説明

画像形成装置

【課題】像担持体をクリーニングするクリーニングブレードやベルト部材をクリーニングするベルト用クリーニングブレードのエッジに紙粉や未転写トナーが堆積することなく、像担持体とベルト部材との逆転駆動をおこなっても双方の部材に摩擦が生じにくい、画像形成装置を提供する。
【解決手段】ベルト部材8と像担持体1Kとを所定方向に駆動する駆動部50〜60は、ベルト部材8に駆動力を伝達しない状態で像担持体1Kを逆方向に回転駆動する逆転駆動モードを実行できるように構成されている。そして、逆転駆動モードが実行されたときに、ベルト部材8が像担持体1Kに静電的に吸着して逆方向に走行するように転写部材9Kに電圧が印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、感光体ドラム等の像担持体をクリーニングするクリーニングブレードと、中間転写ベルト、転写搬送ベルト等のベルト部材をクリーニングするベルト用クリーニングブレードと、が設置された画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、中間転写ベルト等のベルト部材に複数の感光体ドラム(像担持体)が対向するように並設されたタンデム型の画像形成装置が広く知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
特許文献1等における画像形成装置は、4つの感光体ドラム(像担持体)が中間転写ベルト(ベルト部材)に対向するように並設されている。これらの4つの感光体ドラムでは、それぞれ、ブラック(黒色)、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像が形成される。そして、各感光体ドラムで形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト上に重ねて転写(1次転写)される。さらに、中間転写ベルト上に担持された複数色のトナー像は、中間転写ベルトと2次転写ローラ(2次転写部材)との当接位置(ニップ部)で、カラー画像として記録媒体上に転写(2次転写)される。その後、カラー画像が2次転写された記録媒体は、定着部の位置まで搬送されて、その位置で記録媒体上のトナー像が熱と圧力とによって定着される。
【0003】
このような画像形成装置では、4つの感光体ドラム(像担持体)にそれぞれ当接するようにクリーニングブレードが設置されていて、このクリーニングブレードによって感光体ドラム上に残留した未転写トナーがクリーニングされる。さらに、中間転写ベルト(ベルト部材)に当接するようにベルト用クリーニングブレードが設置されていて、このベルト用クリーニングブレードによって中間転写ベルト上に残留した未転写トナーがクリーニングされる。
【0004】
一方、特許文献2等には、転写材担持体をクリーニングするクリーニングブレードのエッジに紙粉が堆積してクリーニング性能が低下する不具合を防止することを目的として、画像形成動作が終了した後に、転写材担持体を画像形成動作時の走行方向に対して逆方向に走行駆動する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のタンデム型の画像形成装置は、中間転写ベルト等のベルト部材をクリーニングするベルト用クリーニングブレードのエッジに紙粉や未転写トナー等が堆積して、やがてそのエッジ部分に微小な隙間が生じてクリーニング性能が低下するとともに、複数の感光体ドラム等の像担持体をそれぞれクリーニングするクリーニングブレードのエッジにも紙粉や未転写トナー等が堆積して、やがてそのエッジ部分にも微小な隙間が生じてクリーニング性能が低下するという不具合があった。
【0006】
このような問題を解決するために、特許文献2等の技術を応用して、画像形成動作が終了した後に、ベルト部材を画像形成動作時の走行方向に対して逆方向に走行駆動するとともに、複数の像担持体をそれぞれ画像形成動作時の回転方向に対して逆方向に回転駆動する方策が考えられる。しかし、ベルト部材を駆動する駆動部は、複数の像担持体のうち少なくとも1つの像担持体(例えば、黒色トナー像を形成する黒色用像担持体である。)を駆動する駆動部と駆動源が共通化されている場合がほとんどであるため、駆動部におけるギア列のバックラッシュ等の影響によって、像担持体が逆方向に回転駆動開始されるタイミングと、ベルト部材が逆方向に走行駆動開始されるタイミングと、にズレが生じてしまっていた。そのため、そのズレが生じた時間分だけ、ベルト部材と像担持体とが摩擦してしまい、ベルト部材や像担持体の表面にダメージが生じてしまっていた。
【0007】
また、このような問題は、ベルト部材として中間転写ベルトを用いた画像形成装置に限定されることなく、転写搬送ベルト等のその他のベルト部材を用いたタンデム型の画像形成装置であっても、ベルト部材と像担持体との逆転駆動をおこなっているものであれば、共通したものとなる。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、像担持体をクリーニングするクリーニングブレードやベルト部材をクリーニングするベルト用クリーニングブレードのエッジに紙粉や未転写トナーが堆積することなく、像担持体とベルト部材との逆転駆動をおこなっても双方の部材に摩擦が生じにくい、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の請求項1記載の発明にかかる画像形成装置は、所定方向にそれぞれ回転するとともに、各色のトナー像がそれぞれ形成される複数の像担持体と、所定方向に走行するとともに、前記複数の像担持体がそれぞれ対向するように並設されたベルト部材と、前記ベルト部材を介して前記複数の像担持体にそれぞれ対向するとともに、所定の電圧が印加されて前記複数の像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像を前記ベルト部材又は記録媒体に転写する複数の転写部材と、前記複数の像担持体にそれぞれ当接して当該像担持体の表面をクリーニングする複数のクリーニングブレードと、前記ベルト部材に当接して当該ベルト部材の表面をクリーニングするベルト用クリーニングブレードと、前記複数の像担持体のうち少なくとも1つの像担持体を前記所定方向に回転駆動するとともに、前記ベルト部材を前記所定方向に走行駆動する駆動部と、を備え、前記駆動部は、前記ベルト部材に駆動力を伝達しない状態で前記少なくとも1つの像担持体を前記所定方向に対して逆方向に回転駆動する逆転駆動モードを実行できるように構成され、前記逆転駆動モードが実行されたときに、前記ベルト部材が前記像担持体に静電的に吸着して前記所定方向に対して逆方向に走行するように前記転写部材に電圧が印加されるものである。
【0010】
また、請求項2記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記1つの像担持体は、黒色トナーによるトナー像が形成される黒色用像担持体であって、前記複数の像担持体のうち前記黒色用像担持体以外の像担持体は、カラートナーによるトナー像が形成されるカラー用像担持体であって、前記カラー用像担持体を所定方向に回転駆動するとともに、前記逆転駆動モードが実行されたときに前記カラー用像担持体を前記所定方向に対して逆方向に回転駆動する第2駆動部と、前記カラー用像担持体を前記ベルト部材に対して相対的に接離させる接離機構と、をさらに備え、前記逆転駆動モードが実行されたときに、前記接離機構によって前記カラー用像担持体が前記ベルト部材に接触した状態に維持されるとともに、前記ベルト部材が前記黒色用像担持体及び前記カラー用像担持体に静電的に吸着して前記所定方向に対して逆方向に走行するように前記複数の転写部材のすべてに電圧が印加されるものである。
【0011】
また、請求項3記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記1つの像担持体は、黒色トナーによるトナー像が形成される黒色用像担持体であって、前記複数の像担持体のうち前記黒色用像担持体以外の像担持体は、カラートナーによるトナー像が形成されるカラー用像担持体であって、前記駆動部は、前記黒色用像担持体が前記所定方向に回転駆動されるのにともない前記カラー用像担持体を所定方向に回転駆動するとともに、前記逆転駆動モードが実行されたときに前記カラー用像担持体を前記所定方向に対して逆方向に回転駆動するように構成され、前記逆転駆動モードが実行されたときに、前記ベルト部材が前記黒色用像担持体及び前記カラー用像担持体に静電的に吸着して前記所定方向に対して逆方向に走行するように前記複数の転写部材のすべてに電圧が印加されるものである。
【0012】
また、請求項4記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記駆動部は、前記ベルト部材を前記所定方向に走行させる一方向の駆動力のみを伝達するワンウェイクラッチを具備したものである。
【0013】
また、請求項5記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記駆動部は、前記逆転駆動モードが実行されたときに、前記像担持体と前記ベルト部材とをそれぞれ逆方向に少なくとも1.5mm移動させるものである。
【0014】
また、請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、前記転写部材は、1次転写ローラであって、前記中間転写ベルト上に1次転写されたトナー像を記録媒体に2次転写する2次転写部材をさらに備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、像担持体の回転駆動に連動してベルト部材を走行駆動する駆動部を、ベルト部材に駆動力を伝達しない状態で像担持体を逆方向に回転駆動できるように構成している。そして、像担持体の逆転駆動がおこなわれるときに、ベルト部材が像担持体に静電的に吸着して逆方向に走行するように転写部材に電圧を印加している。これにより、像担持体をクリーニングするクリーニングブレードやベルト部材をクリーニングするベルト用クリーニングブレードのエッジに紙粉や未転写トナーが堆積することなく、像担持体とベルト部材との逆転駆動をおこなっても双方の部材に摩擦が生じにくい、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す断面図である。
【図3】感光体ドラム及び中間転写ベルトの駆動部を示す図である。
【図4】モノクロモード時の中間転写ベルトの近傍の状態を示す図である。
【図5】逆転駆動モード時の中間転写ベルトの近傍の状態を示す図である。
【図6】モノクロモード時に逆転駆動モードが実行されたときの制御を示すタイミングチャートである。
【図7】カラーモード時に逆転駆動モードが実行されたときの制御を示すタイミングチャートである。
【図8】別形態の感光体ドラム及び中間転写ベルトの駆動部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0018】
まず、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にあるトナー容器収容部31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナー容器32Y、32M、32C、32Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。
トナー容器収容部31の下方には露光装置7が配設され、さらにその下方には作像部6Y、6M、6C、6Kや中間転写ユニット15が配設されている。各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kは、中間転写ユニット15の中間転写ベルト8(ベルト部材)に対向するように並設されている。
図示は省略するが、トナー容器32Y、32M、32C、32Kの下方には、それぞれ、トナー補給装置が配設されている。そして、トナー容器32Y、32M、32C、32Kに収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置によって、作像部6Y、6M、6C、6Kの現像装置内に供給(補給)される。
【0019】
図2を参照して、黒色(ブラック)に対応した作像部6Kは、像担持体としての感光体ドラム1Kと、感光体ドラム1Kの周囲に配設された帯電部4K、現像装置5K(現像部)、クリーニング部2K、除電部(不図示である。)、等で構成されている。そして、感光体ドラム1K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1K上に黒色画像(モノクロ画像)が形成されることになる。
【0020】
なお、他の3つの作像部6Y、6M、6Cも、使用されるトナーの色が異なる以外は、黒色に対応した作像部6Kとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6Y、6M、6Cの説明を適宜に省略して、黒色に対応した作像部6Kのみの説明をおこなうことにする。また、以下の説明において、適宜に、黒色用像担持体としての黒色用の感光体ドラム1Kを「黒色用感光体ドラム」と呼び、カラー用像担持体としてのカラー用の感光体ドラム1Y、1M、1Cを「カラー用感光体ドラム」と呼ぶ。
【0021】
図2を参照して、感光体ドラム1Kは、不図示の駆動モータによって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Kの位置で、感光体ドラム1Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Kの表面は、露光装置7(図1を参照できる。)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって黒色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0022】
その後、感光体ドラム1Kの表面は、現像装置5Kとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、黒色のトナー像が形成される(現像工程である。)。
詳しくは、図2を参照して、現像装置5K内には、トナーとキャリア(磁性キャリア)とからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像装置5K内の現像剤Gは、不図示の磁気センサによって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)が所定の範囲内になるように調整される。すなわち、現像装置5K内のトナー消費に応じて、トナー補給装置によってトナー補給口64Kを介して第2現像剤搬送部504K内に、トナー(補給トナー)が補給される。
トナー補給装置は、図1に示すトナー容器32Kに接続されている。なお、図示は省略するが、トナー補給装置は、トナー容器32K(トナーボトル)を回転駆動する駆動系や、トナー容器32Kから排出されたトナーを貯留するトナータンク部や、トナータンク部に貯留されたトナーをトナー落下経路に向けて搬送するトナー搬送部や、トナー搬送部によって搬送されたトナーを現像装置5K(第2現像剤搬送部504K)に向けて自重落下させるトナー落下経路、等で構成されている。
【0023】
図2を参照して、その後、トナー補給口64Kを介して第2現像剤搬送部504K内に補給されたトナー(補給トナー)は、2つの搬送スクリュ505K、506Kによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、仕切部材で隔絶された第1現像剤搬送部503Kと第2現像剤搬送部504Kとを循環する。
このように循環経路中を循環する現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、周囲に複数の磁極が形成された現像ローラ501K上にキャリアとともに担持される。現像ローラ501K上に担持された現像剤Gは、現像ローラ501Kの矢印方向の回転にともなって搬送されて、ドクターブレード502Kの位置に達する。そして、現像ローラ501K上の現像剤Gは、この位置で適量に規制された後に、感光体ドラム1Kとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム1K上に形成された潜像にトナーが吸着される。
ここで、現像装置5K内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5K内のトナー消費に応じて、トナーボトル32Kに収容されているトナーが、トナー補給装置によってトナー補給口64Kを介して第2現像剤搬送部504K内に補給される。
【0024】
図2を参照して、上述した現像工程の後、感光体ドラム1Kの表面は、中間転写ベルト8及び第1転写ローラ9Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1K上のトナー像がベルト部材としての中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム1Kの表面は、クリーニング部2Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1K上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニングブレード2aは、ウレタンゴムからなる略板状部材であって、感光体ドラム1Kに所定の当接角や当接圧(0.2N/cm程度である。)で当接して感光体ドラム1Kの表面に付着した未転写トナーや紙粉等の付着物をクリーニングする。
最後に、感光体ドラム1Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0025】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6Y、6M、6Cでも、黒色作像部6Kと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6Y、6M、6Cの感光体ドラム1Y、1M、1C上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム1Y、1M、1C上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム1Y、1M、1C上に形成した各色のトナー像を、ベルト部材としての中間転写ベルト8(ベルト部材)上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0026】
ここで、図1を参照して、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8(ベルト部材)、4つの転写部材としての1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写対向ローラ12(駆動ローラ)、第1テンションローラ13、第2テンションローラ14、第3テンションローラ15、第4テンションローラ16、中間転写クリーニング部10、潤滑剤供給部11、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材9Y、9M、9C、9K、12〜16よって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材12(2次転写対向ローラ)の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
【0027】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K(転写部材)は、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、高圧電源部40Y、40M、40C、40K(図3を参照できる。)から1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、それぞれ、トナーの極性とは逆の転写バイアス(+1800V程度の電圧である。)が印加される。なお、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K(転写部材)は、不図示の圧縮スプリングによって、3N程度の圧接力で中間転写ベルト8に当接している。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0028】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写部材としての2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12が、2次転写部材としての2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んでニップ部(2次転写ニップ)を形成している。そして、2次転写ローラ19に、トナーの極性とは逆の2次転写バイアスが印加される(−30μA程度の電流による定電流制御である。)。これにより、ベルト部材としての中間転写ベルト8(ベルト部材)上に担持されたカラートナー像は、この転写ニップ部の位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0029】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーがベルト用クリーニングブレード10aによって機械的に回収される。なお、ベルト用クリーニングブレード10aは、ウレタンゴムからなる略板状部材であって、中間転写ベルト8に所定の当接角や当接圧(0.2N/cm程度である。)で当接して中間転写ベルト8の表面に付着した未転写トナーや紙粉等の付着物をクリーニングする。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0030】
なお、本実施の形態では、中間転写クリーニング部10の下流側(中間転写ベルト8の走行方向下流側である。)の位置に、潤滑剤供給部11が設置されている。この潤滑剤供給部11は、中間転写ベルト8と固形潤滑剤とに摺接するブラシローラ、ステアリン酸亜鉛等からなる固形潤滑剤、固形潤滑剤をブラシローラに向けて付勢する圧縮スプリング、等で構成されていて、中間転写ベルト8上に潤滑剤を塗布する。これにより、中間転写ベルト8やベルト用クリーニングブレード10aの磨耗が軽減されたり、ベルト用クリーニングブレード10aによるクリーニング性が向上したりすることになる。
また、第2テンションローラ14は、中間転写ベルト8を介してベルト用クリーニングブレード10aに圧接していて、ベルト用クリーニングブレード10aによるクリーニング性が高められている。第3テンションローラ15は、中間転写ベルト8を介して潤滑剤供給部11のブラシローラに圧接していて、潤滑剤供給部11による潤滑剤供給性が高められている。第4テンションローラ16は、中間転写ベルト8の外周面側からテンションをかけるように構成されていて、後述するモノクロモード時には黒色用の1次転写ローラ9Kとの間でカラー用の1次転写ローラ9Y、9M、9Cを介さずに中間転写ローラ8を張架・支持する(図4を参照できる。)。
【0031】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0032】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0033】
その後、2次転写ニップ部の位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20(定着装置)の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、記録媒体Pの表面に転写されたカラー画像(トナー像)が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、通常の画像形成時における一連の画像形成プロセスが完了する。
なお、本実施の形態における画像形成装置100は、プロセス線速(又は、記録媒体Pの搬送速度)が150mm/秒程度に設定されている。
【0034】
なお、本実施の形態において、ベルト部材としての中間転写ベルト8は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたベルト部材である。中間転写ベルト8は、体積抵抗率が108〜1012Ωcm程度に、表面抵抗率が109〜1013Ωcm程度に設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト8の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト8の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。
【0035】
また、中間転写ベルト8の内周面に当接する2次転写対向ローラ12は、ベルト部材としての中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ19(2次転写部材)に当接している。
また、2次転写ローラ19(2次転写部材)は、芯金上に、ウレタン材料(ウレタンゴム)からなる抵抗値が106〜1010Ω程度の弾性層(導電性ゴム層)が形成されたローラ部材である。2次転写ローラ19は、中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ12に30N程度の圧接力で当接して、2次転写ニップを形成している。
【0036】
以下、本実施の形態における画像形成装置において、特徴的な構成・動作について詳述する。
図2及び図3を参照して、本実施の形態における画像形成装置100には、4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K(像担持体)のうち少なくとも1つの感光体ドラム(黒色用感光体ドラム1Kである。)を所定方向に回転駆動するとともに、中間転写ベルト8(ベルト部材)を所定方向に走行駆動する駆動部50〜60(第1駆動部)が設置されている。
詳しくは、図3に示すように、第1駆動部は、第1駆動モータ50、駆動ギア51、第1ギア52、アイドラギア53〜59、第2ギア60、等で構成されている。そして、通常の画像形成動作時において、第1駆動モータ50のモータ軸に固設された駆動ギア51が図3の反時計方向に回転することで、駆動ギア51から第1ギア52(黒色用感光体ドラム1Kの回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されて、黒色用感光体ドラム1Kが図3の時計方向に回転駆動されることになる。これと同時に、駆動ギア51から複数のアイドラギア53〜59を介して第2ギア60(中間転写ベルト8を駆動する2次転写対向ローラ12の回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されて、2次転写対向ローラ12との摩擦抵抗によって中間転写ベルト8が図3の反時計方向に走行駆動されることになる。
【0037】
また、図3を参照して、本実施の形態における画像形成装置100には、通常の画像形成動作時に黒色用感光体ドラム1K及び中間転写ベルト8を駆動する第1駆動部50〜60とは別に、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1C(黒色用像担持体以外の像担持体である。)を回転駆動する第2駆動部70〜75が設置されている。
詳しくは、第2駆動部は、第2駆動モータ70、駆動ギア71、第1ギア72、第2ギア73、アイドラギア74、第3ギア75、等で構成されている。そして、通常の画像形成動作時において、第2駆動モータ70のモータ軸に固設された駆動ギア71が図3の反時計方向に回転することで、駆動ギア71から第1ギア72(イエロー用感光体ドラム1Yの回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されて、イエロー用感光体ドラム1Yが図3の時計方向に回転駆動されることになる。これと同時に、駆動ギア71から第2ギア73(マゼンタ用感光体ドラム1Mの回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されて、マゼンタ用感光体ドラム1Mが図3の時計方向に回転駆動されることになる。さらに、駆動ギア71から第2ギア73、アイドラギア74を介して第3ギア75(シアン用感光体ドラム1Cの回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されて、シアン用感光体ドラム1Cが図3の時計方向に回転駆動されることになる。
【0038】
ここで、図4を参照して、本実施の形態における画像形成装置100には、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cを中間転写ベルト8に対して相対的に接離させる接離機構80が設置されている。接離機構80は、1次転写ニップを形成した状態のカラー用の1次転写ローラ9Y、9M、9Cを図4の白矢印方向(下方)に移動できるように構成された機構(例えば、接離モータに接続されたカム機構やリンク機構を用いたものである。)であって、接離モータをオン・オフさせて1次転写ローラ9Y、9M、9Cを上下動させることによりカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cを中間転写ベルト8に対して相対的に接離させる。
具体的に、接離機構80によって1次転写ローラ9Y、9M、9Cが上方に移動されたときには、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cが黒色用感光体ドラム1Kとともに中間転写ベルト8に接触した状態(図3の状態である。)になり、この状態で4色フルカラーの画像形成がおこなわれることになる(フルカラーモードである。)。これに対して、接離機構80によって1次転写ローラ9Y、9M、9Cが下方に移動されたときには、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cが中間転写ベルト8から離間して黒色用感光体ドラム1Kのみが中間転写ベルト8に接触した状態(図4の状態である。)になり、この状態で黒色のみのモノクロの画像形成がおこなわれることになる(モノクロモードである。)。このように、モノクロモード時に、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cやカラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cを中間転写ベルト8から離間することで、中間転写ベルト8やカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cやカラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cの磨耗劣化を軽減することができるとともに、モノクロ画像へのカラートナーの混色を確実に防止することができる。
【0039】
ここで、第1駆動部50〜60(駆動部)は、中間転写ベルト8(2次転写対向ローラ12)に駆動力を伝達しない状態で黒色用感光体ドラム1Kを所定方向に対して逆方向(図3の時計方向に対する反時計方向である。)に回転駆動する「逆転駆動モード」を実行できるように構成されている。
詳しくは、第1駆動モータ50は、正逆双方向回転型のモータであって、制御部45による制御によって駆動ギア51を正方向(図3の矢印方向であって、反時計方向である。)にも逆方向(図5の矢印方向であって、時計方向である。)にも回転することができる。また、図2を参照して、中間転写ベルト8を駆動する駆動ローラとして機能する2次転写対向ローラ12は、その回転軸にワンウェイクラッチ12aが設置されている。このワンウェイクラッチ12aは、中間転写ベルト8を所定方向(図2の矢印方向であって、正方向である。)に走行させる一方向の駆動力のみを伝達して、中間転写ベルト8を逆方向(図2の矢印方向に対する逆方向である。)に走行させる駆動力が作用したときには空転して駆動伝達しないように構成されている。
すなわち、通常の画像形成動作時において、制御部45によって第1駆動モータ50が正方向に駆動すると、黒色用感光体ドラム1Kは正方向に回転駆動されるとともに、ワンウェイクラッチ12を介して2次転写対向ローラ12に駆動力が伝達されて中間転写ベルト8も正方向に走行駆動される(図3の状態である。)。これに対して、逆転駆動モード時において、制御部45によって第1駆動モータ50が逆方向に駆動すると、黒色用感光体ドラム1Kは逆方向に回転駆動されて(図5の状態である。)、ワンウェイクラッチ12によって2次転写対向ローラ12への第1駆動モータ50からの駆動力の伝達はされない。
【0040】
さらに、このような逆転駆動モードが実行されたときには、中間転写ベルト8が黒色用感光体ドラム1Kに静電的に吸着して逆方向(図5の時計方向である。)に走行するように黒色用1次転写ローラ9Kに電圧が印加される。詳しくは、逆転駆動モード時には、黒色用高圧電源部40Kから黒色用1次転写ローラ9Kに+3000V程度の電圧が印加されて、中間転写ベルト8が黒色用感光体ドラム1Kに静電的に吸着した状態になり、第1駆動モータ50からの駆動伝達が解除された状態の中間転写ベルト8が黒色用感光体ドラム1Kの回転にならって吸着力により逆方向に走行(従動)することになる。
このようにしておこなわれる逆転駆動モードは、中間転写ベルト8が逆方向に走行開始するタイミングと、黒色用感光体ドラム1Kが逆方向に回転開始するタイミングと、をほぼ一致させることができる。すなわち、ワンウェイクラッチ12a等を設置することなく、黒色用感光体ドラム1Kの正逆方向の回転駆動と、中間転写ベルト8(2次転写対向ローラ12)の正逆方向の走行駆動と、を第1駆動モータ50の正逆方向の駆動に連動しておこなった場合には、ギア列51〜60のバックラッシュ等の影響によって、中間転写ベルト8が逆方向に走行開始するタイミングと、黒色用感光体ドラム1Kが逆方向に回転開始するタイミングと、にズレが生じてしまう。そのため、そのズレが生じた時間分だけ、中間転写ベルト8と感光体ドラム1K(1Y、1M、1C)とが強く擦れ合って、双方の部材の表面にダメージが生じてしまう。
これに対して、本実施の形態では、逆転駆動モードにおいて、中間転写ベルト8が逆方向に走行開始するタイミングと、黒色用感光体ドラム1Kが逆方向に回転開始するタイミングと、をほぼ一致させることができるため、双方の部材の表面にダメージが生じてしまう不具合を軽減することができる。
【0041】
なお、このような逆転駆動モードは、感光体ドラム1K(1Y、1M、1C)に当接するクリーニングブレード2aのエッジに未転写トナーや紙粉が堆積してクリーニング性能が低下する不具合と、中間転写ベルト8に当接するベルト用クリーニングブレード10aのエッジに未転写トナーや紙粉が堆積してクリーニング性能が低下する不具合と、を同時に解消するためにおこなわれるものであって、一連の画像形成動作が終了するごとに実行される。なお、感光体ドラム1Kや中間転写ベルト8を逆方向に駆動することでクリーニングブレード2aやベルト用クリーニングブレード10aのエッジへの付着物の堆積を防止できるのは、逆方向の駆動によってブレード2a、10aのエッジと当接する相手方1K、8との間に形成される楔形状が崩れることによる。
なお、本実施の形態では、逆転駆動モードが一連の画像形成動作が終了するごとに実行されるように設定したが、画像形成動作がおこなわれる累積時間が所定値に達するごとに画像形成動作終了後に逆転駆動モードが実行されるように構成することもできる。
【0042】
また、本実施の形態では、このようなクリーニングブレード2aやベルト用クリーニングブレード10aのエッジへの付着物の堆積を防止する効果が確実に発揮されるように、逆転駆動モード時において感光体ドラム1Kと中間転写ベルト8とがそれぞれ逆方向に少なくとも1.5mm移動するように、逆転駆動モードの実行時間が設定されている。
【0043】
ここで、本実施の形態では、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cを駆動する第2駆動部70〜75も、逆転駆動モードが実行されたときにカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cを逆方向(図5の反時計方向である。)に回転駆動できるように構成されている。
詳しくは、第2駆動モータ70も、正逆双方向回転型のモータであって、制御部45による制御によって駆動ギア71を正方向(図3の矢印方向であって、反時計方向である。)にも逆方向(図5の矢印方向であって、時計方向である。)にも回転することができる。
【0044】
そして、逆転駆動モードが実行されたときに、接離機構80によってカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cが中間転写ベルト8に接触した状態に維持されるとともに、中間転写ベルト8が黒色用感光体ドラム1K及びカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cに静電的に吸着して逆方向に走行するようにすべての1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに電圧が印加される。
詳しくは、逆転駆動モード時には、黒色用高圧電源部40Kから黒色用1次転写ローラ9Kへの電圧印加に加えて、カラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cにもカラー用高圧電源部40Y、40M、40Cからそれぞれ+3000V程度の電圧が印加されて、中間転写ベルト8が黒色用感光体ドラム1Kに加えてカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cにも静電的に吸着した状態になり、第1駆動モータ50からの駆動伝達が解除された状態の中間転写ベルト8が4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの回転にならって逆方向に走行(従動)することになる(図5の状態である。)。
このように4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに中間転写ベルト8を吸着させることで、中間転写ベルト8に対する保持力(吸着力)が向上して、中間転写ベルト8の逆方向の走行が安定的かつ確実におこなわれることになる。
【0045】
図6は、モノクロモード時(図4の状態である。)に逆転駆動モードが実行されたときの制御を示すタイミングチャートである。
図6に示すように、モノクロモードの画像形成動作がおこなわれているとき(時間T1までである。)には、第1駆動モータ50が正転(正方向の駆動である。)されている。このとき、接離機構80(接離モータ)は、オフの状態であって、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cとカラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cとが中間転写ベルト8から離間した状態になっている(図4の状態である。)。そして、第2駆動モータ70は、オフ(駆動停止)の状態になっている。
その後、モノクロモードの画像形成動作が終了すると、時間T1〜T2において、第1駆動モータ50が駆動停止されるとともに、接離機構80(接離モータ)がオン状態になってカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cとカラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cとが中間転写ベルト8に当接した状態になる(図3の状態である。)。
その後、時間T2〜T3に逆転駆動モードが実行される。すなわち、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cとカラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cとの中間転写ベルト8への当接が完了すると、時間T2〜T3において、第1駆動モータ50が逆転(逆方向の駆動である。)されるとともに、第2駆動モータ70も逆転(逆方向の駆動である。)される。このとき、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kへそれぞれ所定電圧が印加されて、中間転写ベルト8が4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに吸着した状態で逆方向に走行する(図5の状態である。)。
そして、逆転駆動モードが終了すると、時間T3〜T4において、第1駆動モータ50と第2駆動モータ70とがそれぞれ駆動停止されるとともに、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kへの電圧印加が停止される。さらに、時間T4から、接離機構80による離間動作によってカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cとカラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cとが中間転写ベルト8から離間した状態になって(図4の状態である。)、一連の動作が終了する。
【0046】
図7は、カラーモード時(図3の状態である。)に逆転駆動モードが実行されたときの制御を示すタイミングチャートである。
図7に示すように、フルカラーモードの画像形成動作がおこなわれているとき(時間T1までである。)には、第1駆動モータ50と第2駆動モータ70とがそれぞれ正転(正方向の駆動である。)されている。このとき、接離機構80(接離モータ)は、オフの状態であって、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cとカラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cとが中間転写ベルト8に当接した状態になっている(図3の状態である。)。
その後、カラーモードの画像形成動作が終了すると、時間T1〜T2において、第1駆動モータ50と第2駆動モータ70とがそれぞれ駆動停止される。
その後、時間T2〜T3に逆転駆動モードが実行される。すなわち、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cとカラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cとが中間転写ベルト8に当接した状態のまま、時間T2〜T3において、第1駆動モータ50が逆転(逆方向の駆動である。)されるとともに、第2駆動モータ70も逆転(逆方向の駆動である。)される。このとき、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kへそれぞれ所定電圧が印加されて、中間転写ベルト8が4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに吸着した状態で逆方向に走行する(図5の状態である。)。
そして、逆転駆動モードが終了すると、時間T3〜T4において、第1駆動モータ50と第2駆動モータ70とがそれぞれ駆動停止されるとともに、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kへの電圧印加が停止される。さらに、時間T4から、接離機構80によってカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cとカラー用1次転写ローラ9Y、9M、9Cとが中間転写ベルト8から離間した状態になって(図4の状態である。)、一連の動作が終了する。
【0047】
なお、本実施の形態では、第1駆動部50〜60とは別に第2駆動部70〜75を設けて、これらの2つの駆動部によって4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kや中間転写ベルト8を駆動した。
これに対して、図8に示すように、1つの駆動部によって、4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kや中間転写ベルト8を駆動することもできる。このとき、駆動部は、黒色用感光体ドラム1Kが正方向に回転駆動されるのにともないカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cを正方向に回転駆動するとともに、逆転駆動モードが実行されたときにカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cを黒色用感光体ドラム1Kとともに逆方向に回転駆動することになる。そして、このような場合であっても、逆転駆動モードが実行されたときに、中間転写ベルト8が黒色用感光体ドラム1K及びカラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cに静電的に吸着して逆方向に走行するように4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kのすべてに電圧を印加することで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
具体的に、図8に示すように、駆動部は、正逆双方向回転型の駆動モータ80、駆動ギア81、第1ギア52、第2ギア75、第3ギア73、第4ギア72、第5ギア60、アイドラギア55〜59、82、83等で構成されている。そして、通常の画像形成動作時において、駆動モータ80のモータ軸に固設された駆動ギア81が図8の反時計方向に回転することで、駆動ギア81から第2ギア75(シアン用感光体ドラム1Cの回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されてシアン用感光体ドラム1Cが図8の時計方向に回転駆動され、駆動ギア81から第2ギア75、アイドラギア82を介して第1ギア52(黒色用感光体ドラム1Kの回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されて黒色用感光体ドラム1Kが図8の時計方向に回転駆動されることになる。これと同時に、駆動ギア81から第3ギア73(マゼンタ用感光体ドラム1Mの回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されてマゼンタ用感光体ドラム1Mが図8の時計方向に回転駆動され、駆動ギア81から第3ギア73、アイドラギア83を介して第4ギア72(イエロー用感光体ドラム1Yの回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されてイエロー用感光体ドラム1Yが図8の時計方向に回転駆動されることになる。さらに、駆動ギア51から第3ギア73、アイドラギア83、55〜59を介して第5ギア60(中間転写ベルト8を駆動する2次転写対向ローラ12の回転軸に固設されている。)に駆動力が伝達されて、2次転写対向ローラ12との摩擦抵抗によって中間転写ベルト8が図8の反時計方向に走行駆動されることになる。ここで、2次転写対向ローラ12の回転軸には、本実施の形態のものと同様に、正方向のみの駆動力を伝達するワンウェイクラッチ12aを介してギア60が設置されている。
【0049】
そして、図8に示す画像形成装置においても、逆転駆動モード時に、駆動モータ80が逆方向に駆動されるとともに、4つの高圧電源部40Y、40M、40C、40Kから4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに電圧が印加される。これにより、4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kが逆方向に回転駆動されるとともに、同じタイミングで中間転写ベルト8が感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの吸着によって逆方向に走行(従動)される。
このような画像形成装置は、カラー用感光体ドラム1Y、1M、1Cの接離動作はおこなわれないものの、本実施の形態のものと同様に、クリーニングブレード2aとベルト用クリーニングブレード10aとへの付着物の堆積が確実に軽減されることになる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態では、黒色用感光体ドラム1K(黒色用像担持体)の回転駆動に連動して中間転写ベルト8(ベルト部材)を走行駆動する第1駆動部50〜60(駆動部)を、中間転写ベルト8に駆動力を伝達しない状態で感光体ドラム1Kを逆方向に回転駆動できるように構成している。そして、感光体ドラム1Kの逆転駆動がおこなわれるときに、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Kに静電的に吸着して逆方向に走行するように1次転写ローラ9K(転写部材)に電圧を印加している。これにより、感光体ドラム1Kをクリーニングするクリーニングブレード2aや中間転写ベルト8をクリーニングするベルト用クリーニングブレード10aのエッジに紙粉や未転写トナーが堆積することなく、感光体ドラム1Kと中間転写ベルト8との逆転駆動をおこなっても双方の部材1K、8に摩擦が生じにくくなる。
【0051】
なお、本実施の形態では、ベルト部材として中間転写ベルト8を用いた画像形成装置100に対して本発明を適用した。これに対して、その他のベルト部材(例えば、記録媒体を搬送しながら、対向する複数の像担持体にそれぞれ形成されたトナー像を記録媒体上に順次転写する転写搬送ベルトである。)を用いた画像形成装置であっても、ベルト部材をクリーニングするベルト用クリーニングブレードが設置されたものであれば、いずれの画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。この場合、ベルト部材を介して複数の像担持体にそれぞれ対向する複数の転写部材は、所定の電圧が印加されて複数の像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像を記録媒体に転写することになる。
そして、そのような場合にも、本実施の形態と同様に逆転駆動モードをおこなうことで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、転写部材として1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kを用いた画像形成装置100に対して本発明を適用した。これに対して、転写部材として転写チャージャ(ワイヤ放電による帯電をおこなう転写部材である。)を用いた画像形成装置100に対しても、当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、ワンウェイクラッチ12aを設置して2次転写対向ローラ12に逆方向の駆動力が伝達されるのを規制したが、他の機構(例えば、逆方向の駆動力が伝達されたときにギア列の噛み合いが解除される機構である。)を用いて2次転写対向ローラ12に逆方向の駆動力が伝達されるのを規制することもできる。
そして、これらの場合にも、本実施の形態と同様に逆転駆動モードをおこなうことで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(像担持体)、
2K クリーニング部、
2a クリーニングブレード、
6Y、6M、6C、6K 作像部、
8 中間転写ベルト(ベルト部材)、
9Y、9M、9C、9K 1次転写ローラ(転写部材)、
10 中間転写クリーニング部、
10a ベルト用クリーニングブレード、
12 2次転写対向ローラ、
12a ワンウェイクラッチ、
15 中間転写ユニット、
19 2次転写ローラ(2次転写部材)、
40Y、40M、40C、40K 高圧電源部、
50 第1駆動モータ(駆動部)、
70 第2駆動モータ(第2駆動部)、
80 接離機構、
100 画像形成装置本体(装置本体)、 P 記録媒体。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開2009−294312号公報
【特許文献2】特許第3769356号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向にそれぞれ回転するとともに、各色のトナー像がそれぞれ形成される複数の像担持体と、
所定方向に走行するとともに、前記複数の像担持体がそれぞれ対向するように並設されたベルト部材と、
前記ベルト部材を介して前記複数の像担持体にそれぞれ対向するとともに、所定の電圧が印加されて前記複数の像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像を前記ベルト部材又は記録媒体に転写する複数の転写部材と、
前記複数の像担持体にそれぞれ当接して当該像担持体の表面をクリーニングする複数のクリーニングブレードと、
前記ベルト部材に当接して当該ベルト部材の表面をクリーニングするベルト用クリーニングブレードと、
前記複数の像担持体のうち少なくとも1つの像担持体を前記所定方向に回転駆動するとともに、前記ベルト部材を前記所定方向に走行駆動する駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、前記ベルト部材に駆動力を伝達しない状態で前記少なくとも1つの像担持体を前記所定方向に対して逆方向に回転駆動する逆転駆動モードを実行できるように構成され、
前記逆転駆動モードが実行されたときに、前記ベルト部材が前記像担持体に静電的に吸着して前記所定方向に対して逆方向に走行するように前記転写部材に電圧が印加されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記1つの像担持体は、黒色トナーによるトナー像が形成される黒色用像担持体であって、
前記複数の像担持体のうち前記黒色用像担持体以外の像担持体は、カラートナーによるトナー像が形成されるカラー用像担持体であって、
前記カラー用像担持体を所定方向に回転駆動するとともに、前記逆転駆動モードが実行されたときに前記カラー用像担持体を前記所定方向に対して逆方向に回転駆動する第2駆動部と、
前記カラー用像担持体を前記ベルト部材に対して相対的に接離させる接離機構と、
をさらに備え、
前記逆転駆動モードが実行されたときに、前記接離機構によって前記カラー用像担持体が前記ベルト部材に接触した状態に維持されるとともに、前記ベルト部材が前記黒色用像担持体及び前記カラー用像担持体に静電的に吸着して前記所定方向に対して逆方向に走行するように前記複数の転写部材のすべてに電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記1つの像担持体は、黒色トナーによるトナー像が形成される黒色用像担持体であって、
前記複数の像担持体のうち前記黒色用像担持体以外の像担持体は、カラートナーによるトナー像が形成されるカラー用像担持体であって、
前記駆動部は、前記黒色用像担持体が前記所定方向に回転駆動されるのにともない前記カラー用像担持体を所定方向に回転駆動するとともに、前記逆転駆動モードが実行されたときに前記カラー用像担持体を前記所定方向に対して逆方向に回転駆動するように構成され、
前記逆転駆動モードが実行されたときに、前記ベルト部材が前記黒色用像担持体及び前記カラー用像担持体に静電的に吸着して前記所定方向に対して逆方向に走行するように前記複数の転写部材のすべてに電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記ベルト部材を前記所定方向に走行させる一方向の駆動力のみを伝達するワンウェイクラッチを具備したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記逆転駆動モードが実行されたときに、前記像担持体と前記ベルト部材とをそれぞれ逆方向に少なくとも1.5mm移動させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、
前記転写部材は、1次転写ローラであって、
前記中間転写ベルト上に1次転写されたトナー像を記録媒体に2次転写する2次転写部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−7810(P2013−7810A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139148(P2011−139148)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】