説明

画像情報を用いるカテーテル追跡用システム

体内のカテーテルの位置追跡用システムであって、画像データを解析することによって、カテーテルのイメージングヘッドの位置を計算するものである。上記解析は、自由裁量によって選択された基準面に対する、3次元空間内のイメージングヘッドの位置を測定して行う。画像は、基準画像と比較され、2つの画像の対応する位置の相関データが収集され、特定方向の相関損失率が、測定される。この相関損失率は、指数関数のように変化する。指数関数は、画像と、基準画像と、の間の分離角度を概算し、評価される。1以上の分離角度は、基準画像に対する、画像の位置を測定するのに用いられる。この処理を一連の画像について繰り返し実行することによって、カテーテルの位置が、測定される。その上、体内の腔のマップが、生成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野は、医療装置に関するものであり、特に、超音波イメージングの実施に用いられるような、カテーテル追跡方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医術では、詰まった状態、又は、閉塞した状態の血管のような、患者内の疾患部分を診断し、且つ、治療するのに、しばしば、カテーテルが用いられている。カテーテルは、例えば、患者の血管を切開し、患者の血管にカテーテルを挿入することによって、患者の血管内に導入される。医師等のカテーテル操作者は、その後、カテーテルが、患者の疾患部分を診断し、且つ、治療するために、正確な位置に達するまで、患者の血管を通してカテーテルを操縦する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
患者内の血管、又は、他の腔を通してカテーテルを操縦している間、患者の体内空間内のカテーテルの位置を頻繁に知る必要がある。従来のイメージングシステムでは、腔をまっすぐの管として現す、血管、又は、他の腔の画像を生成するものであり、3次元空間関係の概念を提供するものではなかった。患者内においては、しかしながら、腔は、ほとんどの場合において曲がっており、且つ、腔から種々の向きに分岐している分岐を含むものである。カテーテルのイメージングヘッドの3次元位置を、測定できるのであれば、3次元イメージングソフトウェアを用いて、分岐点の位置と同様に、腔の、真位置と、曲がり、捻れ、方向変換の位置と、を測定することができる。真位置を知ることによって、患者のより正確なマップを生成することができるようになる。正確なマップは、患者のより効果的な診断と、治療とをもたらすものである。例えば、正確な3次元位置データを収集することは、正確な血流マップ、ひいては、血流モニタリングと、血流の立体化とを可能にするものである。
【0004】
もともとは、X線技術が、患者内のX線可視化装置の位置を表す、X線可視化装置の広範囲にわたる行程図を、提供するのに用いられてきた。しかしながら、2次元投影画像である、X線画像は、カテーテル通路の3次元形状の一部分の情報しか提供することができない。更に、長時間X線を照射することは、患者にとって有害なことであり、そのような照射は避ける方が望ましい。故に、患者を有害な副作用に曝すことなく、患者内のカテーテルの位置を簡単に測定することができ、且つ、多種多様なカテーテル、又は、他の画像診断装置に用いることができる、追跡システムが求められている。
【0005】
カテーテルのX線による追跡につきものの問題を解決するため、種々の技術が、有害なX線技術の副作用を伴うことなく、患者内のカテーテルの位置情報を収集する試みとして提案されている。上記技術の中でもとりわけ、位置情報を収集する追跡システムは、電磁的、光学的、機械的、音響学的、及び/又は、慣性検出を行う、要素を用いるものである。これらの技術の多くは、患者内でカテーテルを追跡可能にするため、カテーテルに特別な要素を追加することを求めるものである。
【0006】
それ故、改良されたカテーテル追跡方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
イメージングカテーテルに関して、体内のカテーテルの位置を測定するために、イメージングカテーテル自身によって集められた画像に包含されているデータに依存することによって、カテーテルに特別な要素を追加することなく、X線追跡の欠点を避けることができる。この改良された方法は、また、カテーテルが、そのすぐ周りのデータを収集する能力を有しているという限りにおいて、他の形態のカテーテルでも用いることができるものである。
【0008】
この方法では、イメージングカテーテルによって収集された第1画像は、イメージングカテーテルによって収集された第2画像と比較される。この比較は、第1画像と第2画像との間の1以上のオフセット角を計算するのに用いられる。このデータは、第2画像の第1画像に対する相対位置を測定するのに用いられる。一連の画像のそれぞれについて、これらの測定値を求めることによって、一連の画像の完全な進路を、3次元で、測定することができる。イメージングカテーテル画像の方向は、イメージングカテーテルの先端部分のイメージング要素の方向によって定められるものであり、この方法は、イメージング要素の位置を測定できるようにするものである。この方法は、また、イメージングシステムが、カテーテルが通る腔の正確、又は、より正確な3次元表示を生成可能にするものである。
【0009】
本発明の、他のシステム、方法、特徴、利点は、添付図面と詳細な説明の実施例に基づいて、当業者に明らかになる、又は、なるであろう。このことは、上記追加システム、方法、特徴、利点の全てが、この説明に含有されており、本発明の範囲内にあり、そして、添付の請求の範囲によって保護される、ということを意味するものである。
【0010】
上述した内容と、本発明の他の利点と目的とが、どのようにして達成されるのかを正しく理解するため、上に簡単に説明された本発明の、より詳しい説明が、添付の図面によって明らかにされる詳細な実施例を参照することによって与えられる。図中の構成要素は、尺図通りである必要はなく、その代わりに、発明の原理を示す部分を強調したものであることに、注意すべきである。更に、図では、異なる図面にわたって、類似の部品に同様の参照番号が、示されている。しかしながら、同様の部品に、常に同じ参照番号が付されているとは限らない。更に、図面は、概念を示すことを意図しており、相対サイズ、形状、他の詳細な特性は、実際のもの、又は、正確なものでなく、概略が示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1によると、本発明の実施例で用いるイメージングシステムは、イメージングカテーテル10と、コンピュータ20と、ビデオディスプレイ30と、を含有している。イメージングカテーテル10は、コンピュータ20に結合されている。コンピュータ20は、ビデオディスプレイ30に画像を表示するためのイメージングソフトウェアを実行する。イメージングカテーテル10は、イメージングカテーテル10の先端部分に設けられたイメージングヘッド12を含有している。イメージングヘッド12は、超音波振動子、光を用いるイメージング装置、又は、イメージングデータを収集する他のあらゆる装置である。イメージングカテーテル10は、血管のような、患者内の腔に差し込まれる。イメージングヘッド12は、例えば、腔の断面画像を集めることによって、患者の腔内から画像データを収集する。ある実施例では、イメージングヘッド12は、カテーテル10の軸周りに回転し、かつ、腔の音波反射によって、腔から環状の画像データを収集する。あるいは、光波が、腔で反射され、イメージングヘッド12によって受光される。イメージングヘッド12は、この画像データを、線、又は、光ファイバーのような、データ通信チャンネル15に沿って、カテーテル10からコンピュータ20へと送る。コンピュータ20は、画像データを受け取り、状況に応じて、画像データを処理し、その後、画像データをビデオディスプレイ30に表示する。他の実施例では、ホログラフィック表示ユニット、プリンター、プロジェクター他の画像表示装置が、ビデオディスプレイ30の代わりに用いられる。この実施例では、イメージングヘッド12によって撮られる画像は、カテーテル10が移動する腔内の軸に対する断面で表される。他の実施例では、イメージングヘッド12によってキャプチャされる画像は、軸に対する断面以外の角度を持って撮られたスライスとして表される。
【0012】
腔は、患者の内側で捻れ、屈曲し、曲がっているため、腔の軸は、常に方向が変化し、画像の向きも、また、常に変化する。その上、カテーテルの操作者は、例えば、腔周りの追加データを収集するため、異なる角度で腔の特定部分の画像を撮るために、腔内でイメージングヘッドの向きを変更することを選ぶことができる。イメージングヘッド12の位置の正確な測定値を提供するため、そして、腔の正確なマップを提供するため、直前にキャプチャした画像から各画像の相対オフセットを測定することは、有益なことである。計算するリソースと時間とを減らすため、幾つかの画像をスキップし、且つ、直前にキャプチャされた画像以外の幾つかの画像との相対オフセットを計算することが可能である。このことは、結果として、正確さの相対的な減少を生じるものであるが、カテーテル10が用いられる特定の状況においては、容認しうるものである。
【0013】
本発明の実施例の方法を、簡単に考察し、より明確に説明するための、画像比較と位置測定の処理についての以下の開示は、図2に示されている画像スライスの例を用いるものである。ある体積の箱110内の一連の交差面100a-jは、患者内の血管、又は、他の腔の部分のような、ある生体の立体画像から撮った画像スライスを表している。
【0014】
交差面100a-jは、図2の左側下の交差線105で全て交わっている。交差面105a-jは、例えば、カテーテル10が、腔内の曲がっている部分に沿って導かれると同時に、イメージングヘッド12によってキャプチャされた一連の画像であり、ある体積の箱110の底の面100aから始まり、ある体積の箱110の頂部に向かう面100b-jへと進むものである。
【0015】
各面100a-jは、超音波画像、又は、光を用いた画像のような、画像データのスライスを包含している。各面100a-jに包含されている画像データは、面がある体積の箱110を進むにつれて、変化する。例えば、図3を参照すると、ある体積の箱110は、第1形状120と、第2形状130と、を包含している。実際の超音波、又は、光を用いた画像は、ここに表す例よりも複雑であるが、開示したのと同じ原理が、あらゆる種類の画像データに用いられる。この例は、明確化のため単純化されている。第1形状120は、ある体積の箱110の底の部分の面100aから始まり、各面100b-jを通って上へと行き、最後の面100jの上の空間で終端となる。第2形状130は、第1形状120と同じサイズであるが、ある体積の箱110の異なる位置にある。第2形状130は、面100bと交差する位置から始まり、面100c-fを通って上へと行き、面100fと面100gとの間の空間で終端となる。面100a、100g-jは、第2形状130とは交差しない。
【0016】
面100a-jは、形状120、130と交差し、交差部分で各形状120、130の画像データのスライスをキャプチャする。形状120、130のスライス120a-j、130a-eを包含している、結果として得られる一連の面100a-jが、図4に示されている。面100aは、第1形状120の小さなスライス120aを包含している。面100bは、第1形状120の僅かに大きなスライス120bと、第2形状130の小さなスライス130aとを包含している。第1形状120のスライス120a-jは、面が面100aから面100jへと、第1形状120のスライス120a-jを段階的に進むにつれて、徐々に幅広になっている。第2形状130のスライス130a-eは、面が第2形状130のスライス130a-eを段階的に進むにつれて、先ず、幅広になった後、元に戻り、最終的には無くなる。
【0017】
図4に見られるように、面が、形状120、130を段階的に進むと同時に、面100a-j上の画像スライスには違いが生じる。しかしながら、これらの違いは、(同じサイズの形状120のスライス120a-j用の)各面100a-jの左側の違いと比べて、(形状130のスライス130a-e用の)各面100a-jの右側において顕著である。これらの違いは、面100a-bのような、隣り合う面の間の分離距離が、左側よりも右側で大きくなっているために生じるものである。2枚の面100a-bは、右側でより離れているため、これに相当して、右側の画像スライス130a-b間の相互関係は、同じ2枚の面100a-bの左側の画像スライス120a-b間の相互関係よりも低い。
【0018】
図4の例では、違いは、検査された各面上に現れた2つの物体120、130の高レベルな比較を行うことによって測定される。他の型のデータ用に、他の方法による違いの測定と、画像に関する種々の違いと、を実行することができる。例えば、データが、(超音波画像のような)面上の特定点の密度を表すならば、違いは、2つの面のそれぞれの同じ点について、密度値の違いを測定することによって算出される。データが、視覚映像データで表されるならば、違いは、各面の同一点の画像の色、色相、彩度、反射率、濃度のような、視覚映像データに関連する幾つかの値や特性の違いを測定することによって、算出される。
【0019】
一般に、面100a-jの何れか2つの面間の相関は、全ての面が全く同じ画像データを包含しているとき、同じ各面100a-jの左側に沿う交差ライン105において最大になる。面100a-jの対の間の相関は、左から右へと面100a-jを段階的に横切ることによって、徐々に失われていく。“相関損失”、又は、“相関の損失”という語は、種々の方法によって計算できる、比較すべき面間の部分的な違いを表すもの、として用いている。画像間の違いを計算する特定方法は、当業者による設計上の選択事項であり、ここで開示されている発明の実施例に不可欠なものではない。この例では、説明の容易のため、相関損失は、左から右にかけて面100a-jを横切って測定されたものである。相関損失は、ここで述べる方法の結果に影響を与えることなく、面100a-jをどのような方向に横切っても測定することができる。
【0020】
(全て共通のラインに沿って交差している)2つの対の面を横切って撮られる画像について検討する実例であって、共通の交線からの距離の増加に伴う画像の違いの様子を実証するものが、図5に示されている。図5のグラフの横軸140は、交線105からの距離を測定したものである。縦軸150は、面100a-j内の比較される2枚の面間の違いのの測定値である。下方データライン160は、面100aの画像データと、面100bの画像データとを比較することによって収集されたサンプルデータを表している。情報データライン170は、面100aの画像データと、面100cの画像データとを比較することによって収集されたサンプルデータを表している。検討した対の画像は、始め、相関が高い(面間の違いが少ないことを証明している)が、次第に相関が低く(面間の違いが大きいことを証明している)なる。面100aと面100bとの間の相関損失の率は、面100aと面100cとの間の相関損失の率よりも低い。このことは、面100aと面100bとの間の角度が、面100aと面100cとの間の角度よりも小さいという事実に由来するものである。
【0021】
図6によると、面a-jの内の何れかの2枚の面間の違いは、f(x)=A(1-e-λX)で表される指数関数によって、近似することができる。ここで、Aは、関数の極限値を表しており、λは、値Aに達するまでの、関数の増加率を表すパラメータである。面100a-j内の何れかの2枚の面間の違いの様子を表す特定の指数関数は、最も適合する近似方法を用いて近似することができるものである。下方適合指数関数165は、下方データライン160に近似されている。上方適合指数関数175は、上方データライン170に近似されている。
【0022】
原点(0,0)での各適合指数関数165、175の導関数を算出することは、各適合指数関数165、175用のAλの値を明らかにするものである。Aλの値は、相関損失の比較を行う方向において、比較される面100a-100jの内の2つの面間の分離角度に、良く近似している。故に、原点での下方適合指数関数165の導関数は、面100aと面100bとの間の分離角度に近似している。同様に、原点での上方適合指数関数175の導関数は、面100aと面100cとの間の分離角度に近似している。
【0023】
図7は、(1)面100b-jと面100aとを比較するサンプル相関データを近似している、一連の適合指数関数の導関数と、(2)面100b-jと面100aとの間の分離角度θと、の間の関係のグラフを示している。このサンプルデータに関し、各対の面間の分離角度θは、既知である。横軸は、Aλの値を表している。Aλの値は、上に考察した相関比較から近似されたものである。縦軸は、既知の分離角度θを表している。一連のデータポイント180a-jは、近似されたAλの値と、各面100a-jと基準面100aとの間の既知の分離角度θと、の関係を表している。データポイント180aは、基準面100aとそれ自身との相関比較用に近似されたAλの値(即ち、0)に対する、基準面100aとそれ自身との間の分離角度(即ち、0)を表している。データポイント180bは、基準面100aと面100bとの相関比較用に近似されたAλの値に対する、基準面100aと面100bとの間の分離角度を表している。同様に、データポイント180c-jは、それぞれの面100c-jと基準面100aとの相関比較用に近似されたAλの値に対する、それぞれの面100c-jと基準面100aとの間の分離角度を表している。この例では、適合ライン185は、Aλの値と、分離角度θと、間の関係が直線関係にあり、且つ、Aλの値が、分離角度θに比例していることを実証している。故に、既知の分離角度をAλの値によって割り算することによって、比例定数を計算することができる。それ故、前述した処理を用いることによって、任意の向きの任意の2枚の面の間の分離角度は、その向きの2枚の面の間の相関の損失率の解析によって概算することができる。
【0024】
図8によると、面100b-jの内の何れか1つと基準面100aとの間の分離角度が一度既知となると、関連部分同士の配置原理によって、基準面100aに対する上記面100b-jの内の何れか1つの相対位置を算出することが可能になる。例えば、100gを参照すると、面100gは、2本のライン105、190によって定められる。基準面100aに対し、これらのラインの何れもが、面100aと面100gとの上の2つの画像から収集されたデータを用いることによって、算出可能なものであるため、面100aに対する面100gの位置は、面100aと面100gとの上の2つの画像から収集されたデータを用いることによって、算出可能なものである。
【0025】
基準面100aが、3次元極座標系(ρ,θ,φ)の(0,0,0)から始まるように定められているとすると、基準面100aは、2本の交差ライン(0,0,0)-(ρ,0,0)と(0,0,0)-(ρ,0,π/2)によって定められる。ρは、基準面100aの画像幅を表しており、θは、上記基準面100aの傾斜角を表し、φは、原線(0,0,0)-(ρ,0,0)からの反時計回りの角度を表している。100gの位置は、極座標の(0,0,0)-(ρ,0,0)で表される交差ライン105と、極座標の(0,0,0)-(ρ,θ,0)で表されるライン190と、の位置によって定められる。ρの値は、基準面100aの寸法から知られるものであり、θの値は、上述したように、基準面100aと面100gとの中の画像データの相関比較を用いて算出することができるものである。それ故、面100gの位置は、基準面100aについての情報と、画像データ相関比較から収集された情報と、を用いて測定されるものである。
【0026】
上述した実例は、面100a-jの全てが交差ライン105を共用しており、それぞれを1方向にのみ変化させた、面100a-jについての相関比較に限定されたものであることに注意を要する。このことは、画像データを用いるカテーテルを追跡する改善された方法の処理の原理の説明の簡略化のために行なったものであるが、他の方法の実施例では、基準面100aと任意の自由裁量の関係を持つ他の面の位置を容易に計算することができる。例えば、図9によると、面100kは、基準面100aから2方向に変化している。2つの面100aと面100kとが、(ρ,0,0)軸で交差している部分での、基準面100aと面100kとの間は、角度θであり、2つの面100a、100kが、(ρ,0,π/2)軸で交差している部分での、基準面100aと面100kとの間は、角度θである。
【0027】
基準面100aと面100kとの間の角度θを測定するため、(0,0,0)-(ρ,0,0)方向の相関損失率が、計算され、且つ、上述した指数関数に近似される。基準面100aと面100kとの間の角度θを測定するため、(0,0,0)-(ρ,0,π/2)方向の相関損失率が、計算され、且つ、上述した指数関数に近似される。相関損失は、図1乃至図8の実例では0(ゼロ)から始まるが、これは、図9の実例では常には当てはまらないということに、注意が必要である。(0,0,0)-(ρ,0,0)の軸と、(0,0,0)-(ρ,0,π/2)の軸に続くサンプリングラインでなく、面100kを横切る(サンプリングライン200、210、220、230のような)任意のサンプリングラインについて、相関損失関数は、0でない値から始まる。このことは、比較開始時に既にいくらかの損失が存在していることを示している。この作用は、単に、これらのサンプルライン200、210、220、230用の指数関数のグラフが、相関の損失用の初期値に比例する量によって左側にずらされたことを意味しているにすぎず、分離角度θ1、又は、θ2の計算方法に何ら影響を与えるものではない。
【0028】
同様に、(0,0,0)-(ρ,0,0)、(0,0,0)-(ρ,0,π/2)方向の何れか、又は、両方に、それぞれ平行な面の位置は、上述した方法を用いることによって、容易に計算することができる。基準面100aに平行な面内の任意の方向において、相関損失の率は0になり、分離角度は0になる。面が基準面100aと交差しないならば、相関損失関数の初期値は、0でない値となるが、平行であるが交差しない面が示されている状態では、相関損失の率は、相関損失の測定方向において、0でない値を保つことになる。
【0029】
故に、任意の自由裁量で選択した基準面の位置に関し、面が基準面と交差するか否かによらず、面が基準面に平行であるか否かによらず、2つの面の中の画像データを比較することによって、且つ、2つの面が交差することが既知であるならば、2方向、又は、時には1方向にある、各面の相関損失の率を計算することによって、任意の面の位置を測定することができる。
【0030】
上述した原理を拡張すれば、一度、基準面に対する第1面の位置が測定されると、第1面に対する第2面の位置は、第1面を基準面として用い、再度位置測定を実行することによって、測定することができる。故に、3次元空間に位置している、自由裁量による長さだけ続く、面の連鎖が、ここで説明した方法を用いることによって、構成することができる。これらの面の各々は、カテーテルが患者内の腔内を通ることによって、カテーテルによって収集された画像データを含んでおり、この面の連鎖は、腔のマップを、3次元で表すものである。
【0031】
前述の明細書では、発明は、その特別な実施例を参照することによって説明されている。しかし、種々の改良や変更が、発明の広範な範囲から離れることなく、行うことができることは、自明なことである。例えば、面は、上述した方向だけでなく、互いに任意の方向に向いているものであっても良い。相関損失を比較するためのデータは、上述した画像データだけでなく、相対的な位置計算用の任意のデータで良い。例えば、同時に複数のポイントで収集された画像は、世代別の相関損失を測定するのに比較することができる。更に、読者には、ここで説明したプロセス・アクションの特定の順番と組合せは、単に示されただけで、発明は、異なる、又は、追加のプロセス・アクション、又は、プロセス・アクションの異なる組合せ、又は、順番によって、実行することができるということが、理解される。医療機器の当業者に既知の特性とプロセスとは、同様に、要望に応じて組み込まれる。その上、特性は、要望に応じて追加、又は、削除することができる。従って、明細書と図面とは、限定するための説明ではなく、発明は、添付の請求の範囲と法上の均等な範囲以外に、制限されたり、又は、限定されたりするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例のイメージングシステムである。
【図2】ある体積の材料の一連の画像スライスである。
【図3】ある体積の材料に見本物を含有している、ある体積の材料の一連の画像スライスである。
【図4】一連の画像スライスであって、各画像スライス内の見本物の断面図を示している。
【図5】2つの対の面の間の相関の損失のグラフの例である。
【図6】図5のグラフの適合指数関数を示している。
【図7】指数関数の導関数と、分離角との関係のグラフである。
【図8】極座標において、基準面に対する画像面の位置を示している。
【図9】極座標において、基準面に対する第2画像面の位置を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者内の腔のマッピング用システムであって、
イメージングカテーテルと、コンピュータと、出力装置と、を含んでおり、
上記イメージングカテーテルが、腔の複数の画像をキャプチャするようになっており、
上記コンピュータが、キャプチャされた複数の画像を受け取り、画像内の包含データを用いて、複数の画像の各々の3次元位置を測定することによって、腔のマップを生成するようになっており、
上記出力装置が、腔のマップを出力するようになっている、
システム。
【請求項2】
上記出力装置が、ビデオディスプレイを含んでいる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記コンピュータが、複数の画像の内の1つの画像と、位置が示されている基準画像と、を比較することによって、上記複数の画像の内の1つの画像の位置を測定するものである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
上記システムが、基準画像の位置を自由裁量によって定めることによって、初期化されるものである、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
上記基準画像の位置が、上記コンピュータによって予め測定された位置に基づいて知られるものである、
請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−525306(P2007−525306A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501792(P2007−501792)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/004023
【国際公開番号】WO2005/093658
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(500238446)ボストン サイエンティフィック リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】Boston Scientific Limited
【Fターム(参考)】