説明

画像表示装置、画像表示方法及びプログラム

【課題】別途眼鏡を必要とせずに、表示精度が高い3D画像を表示できること。
【解決手段】画像表示装置10は、タイミング決定部72と、表示制御部82と、DMDチップ22と、駆動部38と、を備える。タイミング決定部72は、各画素を発光することにより画像を表示する表示部12において右目用画像と左目用画像とを交互に表示するタイミングを決定する。表示制御部82は、タイミング決定部72により決定したタイミングに基づき、右目用画像と左目用画像とを表示部12に交互に表示する制御を実行する。DMDチップ22は、表示部12に表示された右目用画像又は左目用画像の光を反射する反射部60を有し、当該反射部60が駆動されると光の反射角が変化する。駆動部38は、タイミング決定部72により決定したタイミングに基づきDMDチップ22の反射部60の駆動を制御することによって、反射部60における光の反射角を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示方法及びプログラムに関し、別途眼鏡を必要とせずに、表示精度が高い3D画像を表示できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、立体画像(3−Dimensional picture、以下、「3D画像」とも呼ぶ)を表示可能な表示装置の需要が高まりつつある。
このような要求に答えるべく、例えば、特許文献1には、液晶パネルの裏面からの表面へ透過する光の進行方向を各画素又は複数の画素毎に所定方向に制御するマイクロプリズムを備えた液晶表示装置の技術が開示されている。
また、特許文献2には、左目用画像と右目用画像とを交互に表示する液晶ディスプレイと、液晶ディスプレイの交互表示に同期して左右の切り替えが可能なシャッタ眼鏡と、により3D画像の表示を実現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−66547号公報
【特許文献2】特開2010−243705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、数画素毎に左目用と右目用とに屈折させるマイクロプリズムが設けられているため、右目用画像と左目用画像とを同時に表示するためには、画像が飛び飛びとなり表示精度が落ちるという問題が生じていた。
また、特許文献2に記載の技術では、3D画像を見るためだけに、ユーザはわざわざ眼鏡をかけなければならないという煩わしさが生じていた。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、別途眼鏡を必要とせずに、表示精度が高い3D画像を表示できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
各画素を発光することにより画像を表示する表示部において、右目用画像と左目用画像とを交互に表示するタイミングを決定するタイミング決定手段と、
前記タイミング決定手段により決定したタイミングに基づき、前記右目用画像と前記左目用画像とを前記表示部に交互に表示する制御を実行する表示制御手段と、
前記表示部に表示された前記右目用画像又は前記左目用画像の光を反射する反射部位を有し、当該反射部位が駆動されると光の反射角が変化する反射手段と、
前記タイミング決定手段により決定したタイミングに基づき、前記反射手段の前記反射部位の駆動を制御することによって、前記反射部位における光の反射角を制御する駆動手段と、
を備える画像表示装置を提供する。
【0007】
本発明の別の態様によると、上述した本発明の一態様に係る画像表示装置に対応する画像表示方法及びプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、別途眼鏡を必要とせずに、表示精度が高い3D画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1の画像表示装置のA−A断面における横断面図である。
【図3】図1の画像表示装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図4】図1乃至図3の画像表示装置に設けられるDMDチップの全体の外観構成を示す斜視図である。
【図5】図4のDMDチップの左端部の上面を拡大した図である。
【図6】図5のDMDチップを構成する複数の反射部のうち1つを拡大した図である。
【図7】電極に電圧を印加していない状態を示す図である。
【図8】電極に電圧を印加した状態を示す図である。
【図9】画像表示装置の機能的構成のうち、3D再生処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図10】リムーバブルメディアの一部の領域に、動画像のデータを登録(記憶)するためのテーブルの構造例である。
【図11】リムーバブルメディアに記憶される、右目用画像と左目用画像との表示のタイミングを示すテーブルの構造例である。
【図12】画像再生処理の流れを説明するフローチャートである。
【図13】モードスイッチ処理の流れを説明するフローチャートである。
【図14】3D再生処理の流れを説明するフローチャートである。
【図15】別実施形態の算出された照度の比率と、1フレームあたりに右目用画像と左目用画像とを交互に表示する時間と、を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の外観構成を示す斜視図である。
画像表示装置10は、例えばフォトフレームにより構成され、少なくとも3D画像(静止画又は動画)を表示することが実現可能になっている。
この場合、ユーザは、画像表示装置10とは別体の機器等(例えば眼鏡)を別途用いる必要なく、3D画像の表示に必要な右目用画像と左目用画像とをそれぞれの目で見ることができる。即ち、ユーザは、画像表示装置10に設けられる機能以外の機能を用いずとも、手軽に3D画像を見ることができる。
換言すると、画像表示装置10は、右目用画像と左目用画像とをそれぞれ表示するタイミングで、液晶からの光の反射部の角度を変えることによって、当該液晶からの光により形成される右目用画像と左目用画像とを、それぞれユーザの右目と左目に映させる制御を実行する。
画像表示装置10は、このような制御の実行を可能にすべく、筐体11と、表示部12と、複数(ただし、図1の例では2)の明るさ検知部13L,13Rと、を備えている。
筐体11は、矩形状に形成され、それぞれに分割可能な略同形状の基台11aと、上部カバー11bとを備えている。
なお、以下、基台11a側を下側とし、上部カバー11b側を上側として、以下の説明を行う。
【0012】
図2は、図1の画像表示装置のA−A断面における横断面図である。
基台11aと上部カバー11bとの間には、平板状のプリント基板(PCB)21が配置されている。
【0013】
プリント基板21の上部には、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス:Digital Micromirror Device)チップ22が配置されている。DMDチップ22の両端縁には、DMDチップ22に電源からの電力を供給するためのDMDチップ用電極23がそれぞれ配置されている。
また、DMDチップ22の上方には、所定の間隔をおいて液晶パネル24と、当該液晶パネル24を保護するためのガラス25と、が下からその順番で積層されている。液晶パネル24及びガラス25は、プリント基板21の上に配置された液晶パネル用電極26と、液晶パネル固定具27と、の間で挟み込まれるように固定されている。
液晶パネル用電極26は、液晶パネル24に電源からの電力を供給する電極である。よって、液晶パネル24及び液晶パネル用電極26により表示部12が構成される。
プリント基板21の一方の端部には、明るさ検知部13Rが配置されている。明るさ検知部13Rは、上部カバー11bに設けられた開口部28Rを介して外方の明るさを検知し得るように構成されている。
なお、図1に示すように、プリント基板21の他方の端部には、同様にして明るさ検知部13Lが配置されている。図示はしないが、明るさ検知部13Rは、上部カバー11bに設けられた孔部(開口部28Rと略同一形状)を介して外方の明るさを検知し得るように構成されている。
【0014】
以上説明したように、基台11aの略中央部には表示部12が配置されている。換言すると、表示部12は、基台11aの略中央部の上面に配置されており、基台11aに上部カバー11bが被されることによって、図1に示すように筐体11の内方に配置されることになる。
【0015】
また、基台11aの外縁部の両端のそれぞれには、明るさ検知部13L,13Rが所定の間隔寸法をもって離間してそれぞれ配置されている。換言すると、明るさ検知部13L,13Rは、基台11aの外縁部のうち、短辺部中央付近にそれぞれ配置されている。
このような明るさ検知部13L,13Rは、フォトトランジスタやフォトダイオード等のフォトセンサにより構成されており、受光量に応じたレベルの出力信号を出力する。
画像表示装置10(より正確には後述する図3のCPU31)は、明るさ検知部13L,13Rの各々からの出力信号に基づいて、各々の配置位置(基台11aの外縁部の両端)付近の照度を認識する。
ここで、画像表示装置10に設けられた表示部12は、一般的には、その長辺方向を左右方向として、その短辺方向を上下方向として、画像を表示する。そこで、以下、表示部12の長辺方向、即ち、図1において筐体11の外縁部の長辺部と略水平な方向(同図中、明るさ検知部13L,13Rを結ぶ線分や、両端にLRが付記された矢印に平行な方向)を、「横方向」と呼ぶ。また、横方向と垂直な方向、即ち、図1において筐体11の外縁部の短辺部(明るさ検知部13L,13Rが配置される部)と略水平な方向を、「縦方向」と呼ぶ。
この場合、画像表示装置10は、明るさ検知部13Rと13Lの各々の検出結果、即ち、基台11aの外縁部の両端付近の2点の照度に基づいて、画像表示装置10が設置された環境下における左右方向の照度の分布を推定することができる。
ここでは、画像表示装置10は、左右方向の照度の分布として、簡易的に、基台11aの外縁部の両端付近の2点の照度(明るさ検知部13Rと13Lの各々の検出結果)の比率(以下、単に「照度の比率」と呼ぶ)を算出する。
そこで、画像表示装置10は、推定した照度の比率に応じて、後述の反射部の角度を制御するタイミングを決定する。
そして、画像表示装置10は、決定されたタイミングに基づき、右目用画像と左目用画像の各データを交互に再生すると共に、反射部60の角度を制御する。
即ち、左目用画像のデータが再生されている場合には、当該左目用画像を形成する光束が鑑賞者の左目に入射されるように、右目用画像のデータが再生されている場合には、当該右目用画像を形成する光束が鑑賞者の右目に入射されるように、反射部60の角度が可変制御される。
なお、このような画像表示装置10により、反射部60の角度が制御されて、鑑賞者に3D画像が視認されるまでに実行される一連の処理を、以下、「3D再生処理」と呼ぶ。
【0016】
図3は、図1の画像表示装置10のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0017】
画像表示装置10は、上述した表示部12、明るさ検知部13L,13R、DMDチップ22に加えて更に、CPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、バス34と、入出力インターフェース35と、操作部37と、駆動部38と、通信部39と、ドライブ40と、を備えている。
【0018】
CPU31は、ROM32に記録されているプログラム、又は、RAM33にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM33は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、CPU31が各種の処理を実行する上において必要なデータ等に加えて、ドライブ40から出力された画像のデータも一時的に記憶する。
【0019】
例えば本実施形態では、後述する図9の明るさ取得部71、タイミング決定部72、表示画像取得部81及び表示制御部82の各機能を実現するプログラムが、ROM32やドライブ40に記憶されている。従って、CPU31が、これらのプログラムに従った処理を実行することで、後述する図9の明るさ取得部71、タイミング決定部72、表示画像取得部81及び表示制御部82の各機能を実現することができる。
【0020】
CPU31、ROM32、及びRAM33は、バス34を介して相互に接続されている。このバス34にはまた、入出力インターフェース35も接続されている。入出力インターフェース35には、上述した表示部12、明るさ検知部13L,13Rに加えて更に、操作部37、駆動部38及び通信部39が接続されている。
【0021】
操作部37は、電源釦、モードSW(Switch)釦等各種釦等で構成され、ユーザの指示操作を受け付ける。
【0022】
DMDチップ22は、複数の反射部60−1,60−2,60−3,60−4・・・,60−Nにより構成されている。尚、以下、反射部60−1,60−2,60−3,60−4・・・,60−Nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「反射部60」と呼ぶ。
反射部60は、表示部12から光として出力された右目用画像及び左目用画像のそれぞれを所定のタイミングでユーザの右目及び左目のそれぞれに入射させるように反射できれば足り、その構成は特に限定されないが、本実施形態では、後述の図6に示すようなミラー素子64が形成されている。
【0023】
駆動部38は、表示部12において右目用画像と左目用画像とが交互に表示されるタイミングに基づき、DMDチップ22を構成する反射部60の角度を制御する。反射部60の角度の制御については、後述の図14の3D再生処理において詳述する。
【0024】
通信部39は、図示せぬ他の装置との間で行う各種通信(インターネット等のネットワークを介する通信を含む)も制御する。
【0025】
入出力インターフェース35にはまた、必要に応じてドライブ40が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなるリムーバブルメディア51が適宜装着される。
ドライブ40によってリムーバブルメディア51から読み出されたプログラムは、必要に応じてRAM33にインストールされる。また、リムーバブルメディア51は、RAM33に記憶されている画像等の各種データも、RAM33と同様に記憶することができる。
【0026】
図4は、図1乃至図3の画像表示装置10に設けられるDMDチップ22の全体の外観構成を示す斜視図である。
DMDチップ22は、例えば本実施形態では、液晶パネル24の各画素に対応付けられた、各反射部60により構成されている。即ち、表示部12の有効画素数がNならば、DMDチップ22は、N個の反射部60−1乃至60−Nにより構成される。
【0027】
図5は、図4のDMDチップ22の左端部の上面を拡大した図である。
DMDチップ22を構成する複数の反射部60は、液晶パネル24の各画素の配置状態に対応して、それぞれ所定の間隔寸法をおいて格子状に略均等に配置されている。
【0028】
図6は、図5のDMDチップ22を構成する複数の反射部60のうち1つを拡大した図である。
反射部60は、シリコン基板61と、2本の支持柱62a,62bと、トーションヒンジ63と、ミラー素子64と、一対のミラーランディング電極65a,65bと、一対のオフセットアドレス電極66a,66bと、を備えている。
2本の支持柱62a,62bは、所定の間隔をおいてシリコン基板61の表面に立設されている。
ミラー素子64は、2本の支持柱62a,62b間に支持されたトーションヒンジ63を介して回動可能に軸支されている。
ミラーランディング電極65a,65b及びオフセットアドレス電極66a,66bは、それぞれシリコン基板61上に配置されている。
ミラーランディング電極65a,65bは、それぞれミラー素子64の外縁側の下方に、オフセットアドレス電極66a,66bは、それぞれミラー素子64の内縁側の下方に、それぞれ配置されている。尚、以下、ミラーランディング電極65a,65b及びオフセットアドレス電極66a,66bを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「電極」と呼ぶ。
ミラー素子64は、鏡面をトーションヒンジ63の軸周りに所定の角度傾斜させることができる。そして、電極に所定の電圧が印加されていない状態においては、図7に示すように、所定の角度傾斜した状態で保持されており、電極に所定の電圧が印加されると、図8に示すように、保持されている角度とは逆の角度に傾斜する。
【0029】
図7は、電極に電圧を印加していない状態を示す図である。
図8は、電極に電圧を印加した状態を示す図である。
例えば、図7に示すように、電極に電圧が印加されていない状態においては、ミラー素子64は、ユーザが下方にある液晶パネル24の表示面の方向(図7中上から下に向かう方向)を見て、右端が下方に傾斜して保持され、液晶パネル24に表示された画像(正確には、液晶パネル24から下方に射出された各画素に対応する光束)を右側に反射する。
また、図8に示すように、電極に電圧が印加されている状態においては、ミラー素子64は、ユーザが下方にある液晶パネル24の表示面の方向(図8中上から下に向かう方向)から見て、左端が下方に傾斜し、液晶パネル24に表示された画像(正確には、液晶パネル24から下方に射出された各画素に対応する光束)を左側に反射する。
【0030】
以上、図1乃至図8を参照して、本実施形態の画像表示装置10のハードウェア構成について説明した。
次に、図9乃至図12を参照して、本実施形態の画像表示装置10の機能的構成について説明する。
【0031】
図9は、このような画像表示装置10の機能的構成のうち、3D再生処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
図9においては、図3の画像表示装置10の構成のうち、明るさ検知部13L,13Rと、表示部12と、CPU31と、駆動部38と、リムーバブルメディア51と、反射部60−1,60−2・・・,60−Nと、が図示されている。
CPU31において、3D再生処理が実行される場合、明るさ取得部71と、タイミング決定部72と、表示画像取得部81と、表示制御部82と、が機能する。
【0032】
明るさ取得部71は、明るさ検知部13L,13Rの検知結果に基づいて、画像表示装置10の周囲の明るさとして、上述した照度の比率を取得する。
明るさ取得部71は、このようにして取得した照度の比率をタイミング決定部72に供給する。
【0033】
タイミング決定部72は、明るさ取得部71から供給された照度の比率に基づき、右目用画像と左目用画像とを表示部12で交互に表示するタイミングを決定する。
具体的には、タイミング決定部72は、明るさ取得部71により取得された照度の比率に応じて、後述の図11(1)〜(3)に示すようなテーブルの中から一のテーブルを決定する。
そして、タイミング決定部72は、決定したテーブルに基づき、右目用画像と左目用画像とを交互に表示するタイミングを決定する。
後述の図14の3D再生処理において詳述するが、タイミング決定部72により決定されたタイミングに基づき、表示部12における画像の表示が制御されると共に、表示部12で表示された画像(正確には、当該画像を構成する各画素に対応する光束)を反射する反射部60の角度が制御される。
タイミング決定部72は、決定したタイミングを駆動部38及び表示画像取得部81に通知する。
【0034】
駆動部38は、タイミング決定部72から通知されたタイミングに従って、反射部60の角度を制御する。
具体的には、駆動部38は、照度の比率に応じて決定されたタイミングテーブルに基づいて、図7に示すように各反射部60を右側に傾斜させるか、又は図8に示すように左側に傾斜させるかの条件を決定する。
そして、駆動部38は、決定した条件に基づき、反射部60の電極に電圧を印加したり、電圧の印加を停止したりして、反射部60の角度(左側又は右側の傾斜方向)を制御する。
即ち、駆動部38は、照度の比率に応じて、反射部60の電極に対する電圧の印加の有無を決定することで、液晶パネル24により表示された画像(正確には、当該画像を構成する各画素に対応する光束)を右目側に反射させるのか、それとも左目側に反射させるのかについての制御を実行する。
具体的には、右目用画像を表示するタイミングでは、駆動部38は、反射部60の電極への電圧の印加を停止することにより、反射部60を右側に傾斜させる。
同様に、左目用画像を表示するタイミングでは、駆動部38は、反射部60の電極へ電圧を印加することにより、反射部60を左側に傾斜させる。
【0035】
表示画像取得部81は、タイミング決定部72から通知されたタイミングに従って、右目用画像又は左目用画像の各データをリムーバブルメディア51から交互に取得する。
具体的には、表示画像取得部81は、図10に示すテーブルに記憶された右目用画像又は左目用画像の各データを、図11(1)〜(3)のテーブルに基づき取得する。
【0036】
図10は、リムーバブルメディア51の一部の領域に、動画像のデータを登録(記憶)するためのテーブルの構造例である。
ここで、動画像は、所定の時点における静止画像が、時間的に連続して複数枚配置されることによって構成される。動画像のデータの記録や再生の処理は、このような静止画像の少なくとも一部分が処理単位となって実行される。このような動画像に対する画像処理において、処理単位となる画像を、以下、「単位画像」と呼ぶ。例えばフレームやフィールドが単位画像の一例である。そこで、単位画像としてフレームが採用された場合を例として、以下の説明を行う。
ここでは、前提として、フレーム毎に、右目用画像と左目用画像の各データは既に生成されているものとする。
図10に示すテーブルは行列構造を有しているため、以下、図10中横方向の項目の集合体を「行」と呼び、同図中縦方向の項目の集合体を「列」と呼ぶ。
図10のテーブルでは、所定の1つの行には、所定の1つのフレームが対応付けられており、当該フレームに関する上方として、「フレーム」、「L」、及び「R」の各項目の情報が格納されている。
即ち、i行目(iは、1乃至nのうちの何れかの整数値。nは、動画像を構成するフレームの総数)の「フレーム」の項目には、当該行に対応付けられたフレームの番号iが格納される。i行目の「L」の項目には、当該行に対応付けられたフレーム、即ち番号iのフレームのうち、左目用画像のデータLiが格納される。i行目の「R」の項目には、当該行に対応付けられたフレーム、即ち番号iのフレームのうち、右目用画像のデータRiが格納される。
【0037】
図11(1)〜(3)は、リムーバブルメディア51に記憶される、右目用画像と左目用画像との表示のタイミングを示すテーブルの構造例である。
図11に示すテーブルは行列構造を有しているため、以下、図11中横方向の項目の集合体を「行」と呼び、同図中縦方向の項目の集合体を「列」と呼ぶ。
図11のテーブルでは、左からi番目の列は、番号iのフレームが対応付けられており、番号iのフレームの表示タイミングにおける、右目用画像と左目用画像との表示順番を示す情報が格納される。即ち、「L」が左目用画像を示し、「R」が右目用画像を示しているため、例えば図11(1)では、番号iのフレームの表示タイミングでは、右目用画像のデータRi、右目用画像のデータRi、及び左目用画像のデータLiがその順番で再生されることになる。 具体的には、タイミング決定部72により決定された照度の比率に応じて、図11(1)〜(3)のテーブルのうち何れかのテーブルが選択されて用いられる。
【0038】
図11(1)は、右側の照度が高いことを示す照度の比率である場合に、選択されて用いられるテーブルである。図11(1)のテーブルによれば、右側の照度が高い、即ち、右側が明るい場合には、1フレーム毎に、上述したように、右目用画像のデータR、右目用画像のデータR、及び左目用画像のデータLがその順番で再生されることになる。即ち、いわゆる1フレーム周期内で、同一の右目用画像のデータRが2回再生された後、左目用画像のデータLが1回再生されることになる。
即ち、右側の照度が高いことを示す照度の比率である場合には、図11(1)のテーブルに従って、各フレーム毎に、同一の右目用画像のデータRが2回表示画像取得部81に取得され、その後、左目用画像Lが1回取得されることになる。
【0039】
図11(2)は、左側の照度が高いことを示す照度の比率である場合に、選択されて用いられるテーブルである。図11(2)のテーブルによれば、左側の照度が高い、即ち、左側が明るい場合には、1フレーム毎に、上述したように、右目用画像のデータR、左目用画像のデータL、及び左目用画像のデータLがその順番で再生されることになる。即ち、いわゆる1フレーム周期内で、右目用画像のデータRが1回再生された後、同一の左目用画像のデータLが2回再生されることになる。
即ち、左側の照度が高いことを示す照度の比率である場合には、図11(2)のテーブルに従って、各フレーム毎に、右目用画像のデータRが1回表示画像取得部81に取得され、その後、同一の左目用画像Lが2回取得されることになる。
【0040】
図11(3)は、右側と左側の照度が略同一であることを示す照度の比率である場合に、選択されて用いられるテーブルである。図11(3)のテーブルによれば、右側と左側の照度が略同一、即ち、右側と左側の明るさが略同一である場合には、1フレーム毎に、上述したように、右目用画像のデータR、及び左目用画像のデータLがその順番で再生されることになる。即ち、いわゆる1フレーム周期内で、右目用画像のデータRが1回再生された後、左目用画像のデータLが1回再生されることになる。
即ち、右側と左側の照度が略同一であることを示す照度の比率である場合には、図11(3)のテーブルに従って、各フレーム毎に、右目用画像のデータRが1回表示画像取得部81に取得され、その後、左目用画像Lが1回取得されることになる。
【0041】
表示画像取得部81は、このようにして右目用画像又は左目用画像のデータを取得する毎に、取得したデータを表示制御部82に供給する。
【0042】
表示制御部82は、表示画像取得部81から供給されたデータにより表わされた画像、即ち左目用画像又は右目用画像を表示部12に表示させる制御を実行する。
具体的には、表示制御部82は、照度の比率に応じて決定されたタイミングに基づき、右目用画像又は左目用画像を表示部12に交互に表示する制御を実行する。
このような表示制御部82の表示の制御と同期して、駆動部38は、照度の比率に応じて決定されたタイミングに基づき、反射部60の角度の変更を制御する。
これにより、表示部12に右目用画像が表示されている場合には、当該右目用画像を構成する各画素に対応する光束は反射部60によって右目側に反射される。一方、表示部12に左目用画像が表示されている場合には、当該左目用画像を構成する各画素に対応する光束は、反射部60によって左目側に反射される。
【0043】
次に、図12を参照して、画像表示装置10の処理のうち、画像のデータを再生するまでの一連の処理(以下、「画像再生処理」と呼ぶ)について説明する。
図12は、画像再生処理の流れを説明するフローチャートである。
【0044】
例えば、画像再生処理は、本実施形態では、操作部37の電源釦の押下操作等、ユーザが動画像の再生を開始する指示操作を操作部56に対して行った場合、その指示操作を契機として開始される。
【0045】
図12のステップS11において、CPU31は、全システム(画像表示装置10全体)を初期設定するためのイニシャライズ処理を行う。具体的には、CPU31は、後述するモードSW処理において設定されるモードの初期値として通常モードを設定する。
【0046】
ステップS12において、CPU31は、モードSWのSW操作があった場合に通常モード又は3Dモードの何れかのモードへの反転を行う一連の処理(以下、「モードSW処理」と呼ぶ)を実行する。
各モードSW、そのSW操作、通常モード、及び3Dモードについては、説明が必要な箇所で適宜後述すると共に、モードSW処理の詳細については図13を参照して後述する。モードSW(操作部37の一部)とは、操作者の押下操作(SW操作)に基づき通常モードと3Dモードとを切り替える釦である。
ステップS12のモードSW処理が終了すると、処理はステップS13に進む。
【0047】
ステップS13において、CPU31は、現在のモードが3Dモードであるか否かを判定する。
ここで、3Dモードとは、画像表示装置10の動作モードの1つであって、1フレーム周期に、右目用画像と左目用画像とを少なくとも1回ずつ交互に表示部12に表示することにより、3D画像を擬似的に表示するモードをいう。
また、画像表示装置10の動作モードの別の1つとして、通常モードが存在する。通常モードとは、1フレーム周期に、通常の1枚のフレームを表示部12に表示することにより、通常の2次元画像を表示するモードをいう。
詳細については後述するが、ステップS12のモードSW処理においてモードSWが押下操作されることにより、通常モードと3Dモードとのうち一方から他方に切り替えられる。
【0048】
現在のモードが通常モードでない場合、ステップS13においてNOであると判定されて、処理はステップS14に進む。
ステップS14において、CPU31は、通常再生処理を行う。通常再生処理とは、1フレーム周期に、通常の1枚のフレームを表示部12に表示するように、動画像のデータを再生する処理をいう。
通常再生処理が終了すると、処理はステップS16に進む。ただし、ステップS16以降の処理は後述する。
【0049】
これに対して、現在のモードが3Dモードである場合、ステップS13においてYESであると判定されて、処理はステップS15に進む。
ステップS15において、CPU31は、3D再生処理を実行する。
3D再生処理の詳細については、図14を参照して後述する。
ステップS15の3D再生処理が終了すると、処理はステップS16に進む。
【0050】
このようにして、ステップS14又はS15の動画像の再生の処理が終了すると、ステップS16において、CPU31は、処理の終了指示があったか否かを判定する。
終了の指示は、特に限定されないが、本実施形態では、ユーザが操作部37を操作して行う、画像の再生終了の指示、及び、動画像のデータが最後まで再生された場合になされる指示が採用されているものとする。
【0051】
この場合、動画像のデータが再生途中で、かつ、再生終了の指示がなされていない場合、ステップS16においてNOであると判定されて、処理はステップS12に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、動画像のデータの再生が終了するか、又は再生途中にその再生終了の指示がなさるまでの間、ステップS12乃至S16のループ処理が繰り返し実行される。
ここで、後述するように、ステップS14の通常再生処理及びステップS15の3D再生処理の処理単位は、特に限定されず、動画像を構成するフレームの総数nよりも小さい単位、例えば最小単位の1フレームを採用することができる。このような場合、同一の動画像のデータを再生中に、処理単位毎に、通常再生と3D再生とを適宜切り換えることが容易に可能になる。
【0052】
その後、動画像のデータの再生が終了するか、又は再生終了の指示がなされると、ステップS16においてYESであると判定されて、画像再生処理は終了となる。
【0053】
以上、図12を参照して、画像再生処理の流れについて説明した。
次に、図13を参照して、図12の画像再生処理のうち、ステップS12のモードSW処理の詳細な流れについて説明する。
【0054】
図13は、モードSW処理の流れを説明するフローチャートである。
上述したように、CPU31により、図12のステップS11の処理でイニシャライズが行われると、処理はステップS12に進み、モードSW処理として次のような処理が実行される。
【0055】
即ち、図13のステップS31において、CPU31は、モードSWの状態がオンになったか否かを判定する。
ユーザがモードSWの押下操作をしていない状態では、モードSWの状態はオフを維持するため、ステップS31においてNOであると判定されて、処理はステップS33に進む。
これに対し、ユーザがモードSWの押下操作をしたことによりモードSWの状態がオンになっている場合、ステップS31においてYESであると判定されて、処理はステップS32に進む。
【0056】
ステップS32において、CPU31はモードの反転を行う。
モードの反転とは、画像表示装置10の動作モードとして、通常モードと3Dモードとのうち、一方から他方に反転するように切り替える処理をいう。例えば、現在のモードが通常モードである場合に、モードSWのSW操作がなされた場合には、通常モードから3Dモードに切り替わる。一方、現在のモードが3Dモードである場合に、モードSWのSW操作がなされた場合には、3Dモードから通常モードに切り替わる。
【0057】
ステップS33において、CPU31は、再生SW(操作部37の一部)の状態がオンになったか否かを判定する。
ユーザが再生SWの押下操作をしていない状態では、再生SWの状態はオフを維持するため、ステップS33においてNOであると判定されて、処理はステップS35に進む。
これに対し、ユーザが再生SWの押下操作をしたことにより再生SWの状態がオンになっている場合、ステップS33においてYESであると判定されて、処理はステップS34に進む。
【0058】
ステップS34において、CPU31は再生フラグに「1」をセットする。
再生フラグは、3D再生処理を行うか否かを判定するためのフラグであり、例えば、再生フラグが「1」である場合には、後述の図14のステップS51においてYESであると判定されて、3D再生処理が実行される。一方、再生フラグが「0」である場合には、図14のステップS51においてNOであると判定されて、3D再生処理は実行されない。再生フラグに「1」がセットされると、処理はステップS35に進む。
【0059】
ステップS35において、CPU31は、停止SW(操作部37の一部)の状態がオンになったか否かを判定する。
ユーザが停止SWの押下操作をしていない状態では、停止SWの状態はオフを維持するため、ステップS35においてNOであると判定されて、モードSW処理が終了となる。
これに対し、ユーザが停止SWの押下操作をしたことにより停止SWの状態がオンになっている場合、ステップS35においてYESであると判定されて、処理はステップS36に進む。
【0060】
ステップS36において、CPU31は再生フラグを「0」にセットする。
ステップS36の処理が終了すると、モードSW処理が終了となる。
【0061】
以上、図13を参照して、モードSW処理の流れについて説明した。
次に、図14を参照して、図12の画像再生処理のうち、ステップS15の3D再生処理の詳細な流れについて説明する。
【0062】
図14は、3D再生処理の流れを説明するフローチャートである。
上述したように、CPU31により、図12のステップS13の処理で、現在のモードが3Dモードであると判定されると、処理はステップS15に進み、3D再生処理として次のような処理が実行される。
【0063】
即ち、図14のステップS51において、図9のタイミング決定部72は、再生フラグは「1」であるか否かを判定する。
上述したとおり、再生フラグは3D再生処理を行うか否かを示すフラグである。従って、この処理では、再生フラグの設定状態が判定されることにより、ユーザにより3D再生処理を実行する旨の指示があるのか否かが判別される。
【0064】
再生フラグが「1」ではない、即ち、再生フラグが「0」である場合には、ステップS51においてNOであると判定されて、3D再生処理終了となる。
【0065】
これに対して、再生フラグが「1」である場合には、ステップS51においてYESであると判定されて、処理はステップS52に進む。
【0066】
ステップS52において、明るさ取得部71は、各明るさ検知部13L,13Rの検知結果を取得する。
【0067】
ステップS53において、明るさ取得部71は、明るさ検知部13L,13Rの結果に基づいて、照度の比率を算出する。明るさ取得部71は、算出した照度の比率をタイミング決定部72に供給する。
【0068】
ステップS54において、タイミング決定部72は、ステップS53において算出された照度の比率に基づいて図11(1)乃至(3)のうち、何れか1つのテーブルを選択する。
【0069】
具体的には、ステップS53の処理で、画像表示装置10の右側(明るさ検知部13R側)の方が、その左側(明るさ検知部13L側)よりも照度が高いことを示す照度の比率が算出された場合、図11(1)のテーブルが選択される。図11(1)のテーブルによれば、1フレームにつき、右目用画像が2回表示されるのに対して、左目用画像が1回表示される。
このように、図11(1)のテーブルが選択された場合、右目用画像の方が左目用画像よりも多く(長時間)表示されることになる。
即ち、この場合は、画像表示装置10の右側が明るいので、右目用画像をユーザの右側の目に対し多く反射させることで、画像表示装置10の周囲の明るさによる見えづらさを解消することができる。
【0070】
同様に、ステップS53の処理で、画像表示装置10の左側(明るさ検知部13L側)の方が、その右側(明るさ検知部13R側)よりも照度が高いことを示す照度の比率が算出された場合、図11(2)のテーブルが選択される。図11(2)のテーブルによれば、1フレームにつき、左目用画像が1回表示されるのに対して、左目用画像が2回表示される。
このように、図11(2)のテーブルが選択された場合、左目用画像の方が右目用画像よりも多く(長時間)表示されることになる。
即ち、この場合は、画像表示装置10の左側が明るいので、左目用画像をユーザの左側の目に対し多く反射させることで、画像表示装置10の周囲の明るさによる見えづらさを解消することができる。
【0071】
また、ステップS53の処理で、画像表示装置10の右側(明るさ検知部13R側)と画像表示装置10の左側(明るさ検知部13L側)とが略同様の照度であることを示す照度の比率が算出された場合、図(3)のテーブルが選択される。図11(3)のテーブルによれば、1フレームにつき、右目用画像が1回表示され、左目用画像が1回表示される。このように、図11(3)のテーブルが選択された場合、右目用画像と左目用画像とが同回数表示されることになる。
即ち、この場合は、画像表示装置10の右側と左側の明るさが略同じなので、右目用画像と左目用画像とをユーザの互いの目に対し同様に反射させることで、画像表示装置10の周囲の明るさによる見えづらさを解消することができる。
このように、画像表示装置10の周囲の明るさ(照度)に合わせて、右目用画像と左目用画像とを表示すると共に、各々の目に対しその画像を反射させることで、周囲の環境によらず見えやすい立体画像を表示することができる。
【0072】
ステップS55において、タイミング決定部72は、ステップS54の処理で選択したテーブルに基づき、右目用画像と左目用画像とを表示部12に交互に表示する表示タイミングを決定する。
具体的には、タイミング決定部72は、選択したタイミングテーブルに基づき、右目用画像と左目用画像との各々の表示タイミングを、1フレームを単位として決定する。
タイミング決定部72は、決定した表示タイミングを表示画像取得部81及び駆動部38に通知する。
【0073】
ステップS56において、表示画像取得部81は、ステップS53の処理で決定された表示タイミングに基づき、右目用画像又は左目用画像のデータをリムーバブルメディア51から取得する。
【0074】
具体的には、i=3番のフレームの表示タイミングであるものとする。そして、画像表示装置10の右側が明るかったため、図11(1)のテーブルに基づき、表示タイミングが決定されたものとする。
この場合、ステップS56の処理では、通常表示ではi=3番のフレームが表示される1フレーム周期において、右目用画像R3、(同一の)右目用画像R3、及び左目用画像L3の各データがその順番で順次取得される。
表示画像取得部81は、取得した右目用画像又は左目用画像のデータを順次表示制御部82に供給する。
【0075】
ステップS57において、表示制御部82は、表示画像取得部81から順次供給される右目用画像又は左目用画像のデータを順次再生すると共に、駆動部38は、ステップS55の処理で決定されたタイミングに基づき反射部60の角度を制御する。
具体的には、表示制御部82に順次供給される右目用画像又は左目用画像のデータは、ステップS55の処理で決定されたタイミングに基づき表示画像取得部81によって順次取得されていたものである。また、駆動部が反射部60を制御する角度も、ステップS55の処理で決定されたタイミングに基づいて制御される。
従って、表示部12に右目用画像が表示されている場合には、反射部60は、それと同期して、反射部60(図3)を右目側に傾斜するように制御する。すると、右目用画像を構成する各画素に対応する光束(液晶パネル24から下方に射出された光束)は、反射部60において反射して、ユーザの右目に入射される。
同様に、表示部12に左目用画像が表示されている場合には、反射部60は、それと同期して、反射部60を左目側に傾斜するように制御する。すると、左目用画像を構成する各画素に対応する光束(液晶パネル24から下方に射出された光束)は、反射部60において反射して、ユーザの右目に入射される。
これにより、別途眼鏡を必要とせずに裸眼で3D画像を視認することができる。
【0076】
ステップS58において、表示制御部82は、リムーバブルメディア51に記録された動画像のデータ、即ち、図10のテーブルに記録された動画像のデータを、規定された分まで再生したか否かを判定する。
ここで、規定された分の単位は、特に限定されず、フレーム数であってもよいし、絶対時間であってもよい。また、規定された分は、可変設定が可能である。例えば単位としてフレーム数が採用されている場合には、1乃至n枚の範囲内で任意の枚数の設定が可能である。例えば、規定された分として、30枚が設定されている場合には、30枚のフレームに相当する左目用画像又は右目用画像のデータの再生が終了すると、規定された分まで再生されたと判定されることになる。
規定された分まで未だ再生されていない場合、ステップS58においてNOであると判定されて、処理はステップS51に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、規定された分までの画像のデータ(上述の例では、30枚のフレームに相当する左目用画像又は右目用画像のデータ)の再生が終了するまでの間、ステップS51乃至S58のループ処理が繰り返し実行される。
そして、規定された分までの再生が終了すると、ステップS58においてYESであると判定されて、3D再生処理は終了となる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の画像表示装置10は、タイミング決定部72と、表示制御部82と、DMDチップ22と、駆動部38と、を備えている。
タイミング決定部72は、各画素を発光することにより画像を表示する表示部12において右目用画像と左目用画像とを交互に表示するタイミングを決定する。
表示制御部82は、タイミング決定部72により決定したタイミングに基づき、右目用画像と左目用画像とを表示部12に交互に表示する制御を実行する。
DMDチップ22は、表示部12に表示された右目用画像又は左目用画像の光を反射する反射部60を有し、当該反射部60が駆動されると光の反射角が変化する。
駆動部38は、タイミング決定部72により決定したタイミングに基づきDMDチップ22の反射部60の駆動を制御することによって、反射部60における光の反射角を制御する。
このように、本実施形態の画像表示装置10は、右目用画像又は左目用画像を表示するタイミングに同期させて、表示部12に表示された右目用画像又は左目用画像の光の反射角を変えることができる。これにより、表示部12に右目用画像が表示されている場合には、当該右目用画像の光はユーザの右目側に入射され、表示部12に左目用画像が表示されている場合には、当該左目用画像の光はユーザの左目側に入射される。このようにして、右目用画像はユーザの右目に、左目用画像はユーザの左目に、各々振り分けることができる。その結果、別途眼鏡を必要とせずに、表示精度が高い3D画像を表示することが可能となる。
【0078】
また、DMDチップ22の反射部60は、表示部12の画素毎に設けられている。
従って、表示部12において表示される画像を各画素毎に右目側と左目側とに振り分けることができる。これにより、画素単位での表示精度が得られ、より高品位な3D画像を表示することが可能となる。
【0079】
また、画像表示装置10は、所定の間隔寸法をもって離間して配置され、周囲の明るさを検知する複数の明るさ検知部13L,13Rを更に備える。
タイミング決定部72は、複数の明るさ検知部13L,13Rの検知結果に基づいて、タイミングを決定する。
このように、離間した各位置における明るさの差異に基づき発生する画像の見やすさの違いを是正することができる。これにより、周囲の明るさが一定していない環境下においても、見やすい3D画像を表示することが可能となる。
【0080】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0081】
例えば、上述の実施形態では、タイミング決定部72は、算出された照度の比率に基づいて、タイミングが記憶されたテーブルを選択し、選択したテーブルに基づき、右目用画像と左目用画像とを交互に表示するタイミングを決定しているが、これに限定されない。
例えば、タイミング決定部72は、図15に示す関数に従い右目用画像と左目用画像とを表示するタイミングを決定してもよい。
【0082】
図15は、算出された照度の比率と、1フレームあたりに右目用画像と左目用画像とを交互に表示する時間と、を表す図である。
図15において、縦軸は、明るさ取得部71により算出された照度の比率を示し、横軸は、1フレームあたりに右目用画像(又は左目用画像)を表示する時間を示す。
タイミング決定部72は、ステップS53の処理で、画像表示装置10の右側の方が、その左側よりも照度が高いことを示す照度の比率が算出された場合、図15の関数に基づき右目用画像を表示する時間を左目用映像を表示する時間よりも長く設定する。
同様に、タイミング決定部72は、ステップS53の処理で、画像表示装置10の左側の方が、その右側よりも照度が高いことを示す比率が算出された場合、図15の関数に基づき左目用画像を表示する時間を右目用映像を表示する時間よりも長く設定する。
そして、タイミング決定部72は、設定した時間に基づき右目用画像と左目用画像とを表示するタイミングを決定する。
この場合は、画像表示装置10の周囲の照度(明るさ)の違いに対応して、テーブルの規定に従い段階的でなく滑らかにタイミングを決定していくので、周囲の明るさ(照度)の環境の違いにきめ細かく対応することができる。
【0083】
また、例えば、上述の実施形態では、DMDチップ22の反射部60の角度を一律に制御しているが、これに限定されない。
例えば、画像表示装置10の左右端部側に配置されている反射部60の角度は、画像表示装置10の中央側に配置されている反射部60の角度よりも大きく傾斜してもよい。
また、画像表示装置10の左端部側に配置されている反射部60の角度は、左目用画像を表示している場合は小さい角度で傾斜し、右目用画像を表示している場合は大きい角度で傾斜してもよい。同様に、画像表示装置10の右端部側に配置されている反射部60の角度は、右目用画像を表示している場合は小さい角度で傾斜し、左目用画像を表示している場合は大きい角度で傾斜してもよい。
これにより、画像表示装置10の右端側の画像と左端側の画像とにおいて、ユーザの目に対する角度を変えることができるため、ユーザの各目の距離に対応して右目用画像と左目用画像とを最適の角度で表示することができる。
【0084】
また、例えば、上述の実施形態では、明るさ検知部13L,13Rは、画像表示装置10の付近の明るさとして照度を検知しているが、これに限定されない。
例えば、画像表示装置10の付近の明度や輝度を検知してもよい。
【0085】
また例えば、上述した実施形態では、本発明が適用される画像表示装置は、フォトフレームとして構成される例として説明した。
しかしながら、本発明は、特にこれに限定されず、表示機能を有する電子機器一般に適用することができ、例えば、本発明は、携帯電話、パーソナルコンピュータ、携帯型ナビゲーション装置、ポータブルゲーム機等に幅広く適用可能である。
【0086】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0087】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0088】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディア51により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア51は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されているROM32やハードディスク等で構成される。
【0089】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0090】
10・・・画像表示装置、11・・・筐体、11a・・・基台、11b・・・上部カバー、12・・・表示部、13L,13R・・・検知部、21・・・プリント基板、22・・・チップ、23・・・チップ用電極、24・・・液晶パネル、25・・・ガラス、26・・・液晶パネル用電極、27・・・液晶パネル固定具、28R・・・開口部、31・・・CPU、32・・・ROM、33・・・RAM、34・・・バス、35・・・入出力インターフェース、37・・・操作部、38・・・駆動部、39・・・通信部、40・・・ドライブ、51・・・リムーバブルメディア、56・・・操作部、60・・・反射部、61・・・シリコン基板、62a,62b・・・支持柱、63・・・トーションヒンジ、64・・・ミラー素子、65a,65b・・・ミラーランディング電極、66a,66b・・・オフセットアドレス電極、71・・・取得部、72・・・タイミング決定部、81・・・表示画像取得部、82・・・表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素を発光することにより画像を表示する表示部において、右目用画像と左目用画像とを交互に表示するタイミングを決定するタイミング決定手段と、
前記タイミング決定手段により決定したタイミングに基づき、前記右目用画像と前記左目用画像とを前記表示部に交互に表示する制御を実行する表示制御手段と、
前記表示部に表示された前記右目用画像又は前記左目用画像の光を反射する反射部位を有し、当該反射部位が駆動されると光の反射角が変化する反射手段と、
前記タイミング決定手段により決定したタイミングに基づき、前記反射手段の前記反射部位の駆動を制御することによって、前記反射部位における光の反射角を制御する駆動手段と、
を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記反射手段の前記反射部位は、前記表示部の画素毎に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
所定の間隔寸法をもって離間して配置され、周囲の明るさを検知する複数の明るさ検知手段
を更に備え、
前記タイミング決定手段は、前記複数の明るさ検知手段の検知結果に基づいて、前記タイミングを決定する、
請求項1又は2の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項4】
各画素を発光することにより画像を表示する表示部に対して、右目用画像と左目用画像とを交互に表示させる制御を実行する画像表示装置の画像表示方法であって、
前記表示部において、右目用画像と左目用画像とを交互に表示するタイミングを決定するタイミング決定ステップと、
前記タイミング決定ステップにより決定したタイミングに基づき、前記右目用画像と前記左目用画像とを前記表示部に交互に表示する制御を実行する表示制御ステップと、
前記表示部に表示された前記右目用画像又は前記左目用画像の光を反射する反射部位を有し、当該反射部位が駆動されると光の反射角が変化する反射ステップと、
前記タイミング決定ステップにより決定したタイミングに基づき、前記反射ステップの前記反射部位の駆動を制御することによって、前記反射部位における光の反射角を制御する駆動ステップと、
を含む画像表示方法。
【請求項5】
各画素を発光することにより画像を表示する表示部に対して、右目用画像と左目用画像とを交互に表示させる画像表示装置を制御するコンピュータに、
前記表示部において、右目用画像と左目用画像とを交互に表示するタイミングを決定するタイミング決定機能と、
前記タイミング決定機能により決定したタイミングに基づき、前記右目用画像と前記左目用画像とを前記表示部に交互に表示する制御を実行する表示制御機能と、
前記表示部に表示された前記右目用画像又は前記左目用画像の光を反射する反射部位を有し、当該反射部位が駆動されると光の反射角が変化する反射機能と、
前記タイミング決定機能により決定したタイミングに基づき、前記反射機能の前記反射部位の駆動を制御することによって、前記反射部位における光の反射角を制御する駆動機能と、
を実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−113192(P2012−113192A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263237(P2010−263237)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】