説明

画像表示装置、画像表示観察システム及び画像表示方法

【課題】3次元映像を表示する場合に,シャッター眼鏡を装着していないユーザに対してのみ所定のメッセージを通知する。
【解決手段】右目用画像及び左目用画像の信号の入力を受け、右目用画像及び左目用画像に所定のメッセージ情報を付加するメッセージ付加部120bと、メッセージ情報が付加された右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号を出力する映像信号制御部120aと、映像信号制御部120aから出力された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示するとともに、右目用画像と左目用画像が切り換わるタイミングで前記メッセージ情報を表示する表示パネル134と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示観察システム及び画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献に記載されているように、視差を有する左目用画像及び右目用画像を所定周期で交互にディスプレイに供給し、この画像を所定周期に同期して駆動される液晶シャッターを備える眼鏡で観察して立体映像を視認する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−138384号公報
【特許文献2】特開2000−36969号公報
【特許文献3】特開2003−45343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した手法では、液晶シャッターを備える眼鏡を装着していないユーザは、立体映像を正常に視認することができない。この場合、左目用画像及び右目用画像には視差があるため、眼鏡を装着していないユーザは、視差のある左目用画像及び右目用画像を両目で視認するため、通常の2次元映像として視認することもできない。従って、眼鏡を装着していないユーザに対して、3Dの映像を表示していることを報知する必要がある。
【0005】
その一方で、映像の中に3Dの映像を表示していることを報知する情報を付加した場合は、液晶シャッターを備える眼鏡を装着して正常に3D映像を視聴しているユーザに対しては不要な情報を報知することになる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、シャッター眼鏡を装着していないユーザに対してのみ、所定のメッセージを通知することが可能な、新規かつ改良された画像表示装置、画像表示観察システム及び画像表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、右目用画像及び左目用画像の信号の入力を受け、前記右目用画像及び左目用画像に所定のメッセージ情報を付加するメッセージ情報付加部と、前記メッセージ情報が付加された前記右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号を出力する信号制御部と、前記信号制御部から出力された信号が入力され、前記右目用画像と左目用画像を交互に表示するとともに、前記右目用画像と左目用画像が切り換わるタイミングで前記メッセージ情報を表示する表示パネルと、を備える、画像表示装置が提供される。
【0008】
また、右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用及び左目用のシャッターのオープン期間を示すタイミング信号を生成し、前記メッセージ情報が表示されるタイミングで前記右目用及び左目用のシャッターの双方を閉じるための前記タイミング信号を送信する眼鏡制御信号送信部を備えるものであってもよい。
【0009】
また、前記信号制御部は、前記右目用画像及び前記左目用画像を少なくとも2回連続して表示するための信号を出力するものであってもよい。
【0010】
また、前記表示パネルはバックライトを含み、前記右目用画像と左目用画像が表示されるタイミング及び前記メッセージ情報が表示されるタイミングに合わせて前記バックライトを点灯させるバックライト制御部を備えるものであってもよい。
【0011】
また、前記表示パネルは表示画面の上下方向に線順次に表示を行う液晶表示パネルからなり、前記表示パネルは、前記メッセージ情報が付加された前記右目用画像及び左目用画像の信号に基づいて、前記表示画面の垂直方向の上端又は下端に前記メッセージ情報を表示するものであってもよい。
【0012】
また、前記表示パネルは、前記右目用画像と左目用画像の信号が切り換わるタイミングの直前に、前記表示画面の垂直方向の下端に前記メッセージ情報を表示するものであってもよい。
【0013】
また、前記表示パネルは、前記右目用画像と左目用画像の信号が切り換わるタイミングの直後に、前記表示画面の垂直方向の上端に前記メッセージ情報を表示するものであってもよい。
【0014】
また、前記メッセージ付加部は、前記右目用画像及び左目用画像の前後のフレームの輝度に基づいて、前記メッセージ情報を付加する領域の輝度を定めて、前記メッセージ情報を付加するものであってもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、右目用画像及び左目用画像の信号の入力を受け、前記右目用画像及び左目用画像の信号に所定のメッセージ情報を付加するメッセージ情報付加部と、前記メッセージ情報が付加された前記右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号を出力する信号制御部と、前記信号制御部から出力された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示するとともに、前記右目用画像と左目用画像が切り換わるタイミングで前記メッセージ情報を表示する表示パネルと、右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用及び左目用のシャッターのオープン期間を示すタイミング信号を生成し、前記メッセージ情報が表示されるタイミングで前記右目用及び左目用のシャッターの双方を閉じるための前記タイミング信号を送信する眼鏡制御信号送信部と、を有する画像表示装置と、前記タイミング信号に基づいて、前記右目用と左目用の前記シャッターを交互に開き、前記メッセージ情報が表示されるタイミングでは前記右目用と左目用の前記シャッターの双方を閉じる前記観賞用眼鏡と、を備える、画像表示観察システムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、右目用画像及び左目用画像の信号の入力を受け、前記右目用画像及び左目用画像の信号に所定のメッセージ情報を付加するステップと、前記メッセージ情報が付加された前記右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号を出力するステップと、前記信号制御部から出力された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示するとともに、前記右目用画像と左目用画像が切り換わるタイミングで前記メッセージ情報を表示するステップと、を備える、画像表示方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シャッター眼鏡を装着していないユーザに対してのみ、所定のメッセージを通知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る立体画像表示観察システムの構成を示す模式図である。
【図2】画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による2度書き込みの原理と、液晶シャッター200a,200bの開閉を示す模式図である。
【図4】メッセージ表示方法の概念を示す模式図である。
【図5】メッセージ表示と液晶シャッターの開閉を詳細に示す模式図である。
【図6】表示画面の上部にメッセージを表示する例を示す模式図である。
【図7】画像表示装置の表示画面の下側から線順次に表示を行う例を示す模式図である。
【図8】図5の例において、バックライトの点灯タイミングを同期させた例を示す模式図である。
【図9】図6の例において、バックライトの点灯タイミングを同期させた例を示す模式図である。
【図10】プラズマディスプレイパネルに適用した場合の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
(1)システム構成例
(2)画像表示装置の構成例
(3)本実施形態による2度書き込みの例
(4)本実施形態によるメッセージ表示の例
(5)バックライトの点灯を同期させた例
(6)プラズマディスプレイパネルへの適用
(7)メッセージの視認性を向上する具体的構成例
【0021】
[(1)システム構成例]
図1は、本発明の一実施形態に係る立体画像表示観察システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステムはLCDから構成される画像表示装置100と、表示画像鑑賞用メガネ200とを備える。
【0022】
画像表示装置100は、例えば時分割式の立体映像ディスプレイ装置であり、左眼用映像及び右眼用映像を非常に短い周期で画面全体に交互にディスプレイする。また、画像表示装置100は、左眼用映像及び右眼用映像のディスプレイ周期に同期して左眼及び右眼に映像を分離して提供する。画像表示装置100は、例えば、フィールド毎に右目用画像Rと左目用画像Lを交互に表示する。表示画像鑑賞用メガネ200には、レンズに相当する部分に一対の液晶シャッター200a,200bが設けられている。液晶シャッター200a,200bは、画像表示装置100のフィールド毎の画像切り換えに同期して交互に開閉動作を行う。すなわち、画像表示装置100に右目用画像Rが表示されるフィールドでは、左目用の液晶シャッター200bが閉鎖状態となり、右目用の液晶シャッターが開放状態200aとなる。また、左目用画像Lが表示されるフィールドでは、これと逆の動作を行う。このように、画像表示装置100は、左眼用映像L及び右眼用映像Rを非常に短い周期で画面全体に交互にディスプレイすると同時に、左眼用映像L及び右眼用映像Rのディスプレイ周期に同期して左眼及び右眼に映像を分離して提供する。
【0023】
このような動作により、鑑賞用メガネ200を掛けて画像表示装置100を見るユーザの右目には右目用画像Rのみが、また、左目には左目用画像Lのみが入射される。このため、鑑賞者の目の内部で右目用と左目用の画像が合成され、画像表示装置100に表示される画像が立体的に認識される。また、画像表示装置100は通常の2次元画像を表示することもでき、この場合、右目用画像Rと左目用画像Lの切り換えは行われない。
【0024】
[(2)画像表示装置の構成例]
次に、画像表示装置100の構成について説明する。図2は、画像表示装置100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像表示装置100は、グラフィック生成部120、メガネ制御信号送信部122、エミッタ124、パネル駆動部126、CPU128、ゲートドライバ130、データドライバ132、液晶表示パネル134を備える。液晶表示パネル134の背後には、バックライト(面光源)136が配置されている。
【0025】
液晶表示パネル134は、液晶層、液晶層を挟んで対向する透明電極、カラーフィルタ等から構成されている。
【0026】
グラフィック生成部120には、右目用画像R及び左目用画像Lを表示するための左右映像信号が例えばHDMI信号により入力される。グラフィック生成部120は、映像信号制御部120a、及びメッセージ付加部120bを備える。映像信号制御部120aは、液晶表示パネル134に右目用画像Rと左目用画像Lを交互に表示させるため、左右映像信号を交互に出力する。また、映像信号制御部120aは、入力された左右映像信号に基づいて、後述する2度書き込みを行うため、右目用映像信号と左目用映像信号のそれぞれについて、同じ信号が2つ連続するように変換を行う。
【0027】
メッセージ付加部120bは、右目用画像Rと左目用画像Lに対して、鑑賞用メガネ200を掛けていないユーザのみに視認させるメッセージを付加する。また、メッセージ付加部120bは、例えば前後のフレームの輝度に基づいて、メッセージ表示領域の輝度を決定してメッセージを付加する。
【0028】
パネル駆動部126には、映像信号制御部120で変換され、メッセージ付加部120bでメッセージが付加された右目用映像信号(R1a,R1b,R2a,R2b,・・・)及び左目用映像信号(L1a,L1b,L2a,L2b,・・・)が入力される。パネル駆動部126は、入力された右目用映像信号及び左目用映像信号を液晶表示パネル134へ入力するための信号に変換し、ゲートドライバ130およびデータドライバ132の動作に用いられるパルス信号を生成する。また、パネル駆動部126は、左右の映像信号の切り換わりを示す信号をCPU128に対して送信する。更に、パネル駆動部126は、左右の映像信号の切り換わりのタイミング、及びメッセージの表示タイミングに応じてバックライト136を点灯させる。
【0029】
パネル駆動部126で変換された信号は、ゲートドライバ130とデータドライバ132のそれぞれに入力される。ゲートドライバ130およびデータドライバ132は、パネル駆動部126で生成されたパルス信号を受け、入力された信号に基づいて液晶表示パネル134の各画素を発光させる。これにより、液晶表示パネル134に映像が表示される。
【0030】
CPU128は、パネル駆動部126から送られた、左右の映像信号の切り換わりを示す信号に基づいて、鑑賞用メガネ200の開閉タイミングを示すタイミング信号をメガネ制御信号送信部122へ送る。後述するが、CPU128は、液晶の応答速度を考慮した上で、開閉タイミングを決定し、タイミング信号を生成する。また、CPU128は、バックライト136を映像の切り換わりに同期して点灯する場合は、バックライト136の点灯期間を考慮した上で、開閉タイミングを決定し、タイミング信号を生成する。メガネ制御信号送信部122は、CPU128から送られたタイミング信号に基づいて、エミッタ124を発光させる駆動信号をエミッタ124へ送る。エミッタ124は、左右の映像信号の切り換わりのタイミング(液晶シャッター200a,200bの開閉タイミング)を示す光信号を、赤外線通信等により鑑賞用メガネ200に対して送信する。
【0031】
表示画像鑑賞用メガネ200は、詳細は省略するが、光信号を受信するセンサを備えている。光信号を受信した鑑賞用メガネ200は、画像表示装置100の右目用映像信号と左目用映像信号の切り換わりのタイミングに同期して、液晶シャッター200a,200bの開閉動作を交互に行う。
【0032】
なお、本実施形態に係る画像処理方法は、グラフィック生成部120、パネル駆動部126、液晶表示パネル134にて順次行われる処理によって実現される。
【0033】
[(3)本実施形態による2度書き込みの例]
液晶の応答速度の不足に起因するクロストークの発生、及び輝度不足等を解消するため、本実施形態では、液晶パネルの駆動周波数を高め、左右の画像の1フレームを液晶表示パネル134に2度表示させる(書き込む)という手法を採用している。
【0034】
図3は、本実施形態による2度書き込みの原理と、液晶シャッター200a,200bの開閉を示す模式図であって、NTSC信号の60[Hz]を2度書きすることにより、右目用画像Rと左目用画像Lのそれぞれを240[Hz]の駆動周波数で表示した場合を示している。図3において、1回の書き込みにより右目用画像R又は左目用画像Lが表示される時間は、1/240[Hz]=4.2[ms]である。
【0035】
本実施形態のように液晶表示パネル134により表示を行う場合は、1フレームを表示する際、一般に、パネルの上端のラインから下に向かって順に1ラインずつ表示を更新していき、線順次に画像表示が行われる。このため、左目用画像L→右目用画像R→左目用画像Lと表示する映像が変化するときは、変化した後のフレームを表示している最中に、画面の上部は新しいフレームの映像が表示されるが、画面の下部は前のフレームの映像が残っている状態となる。このような状態で表示画像鑑賞用メガネ200の液晶シャッター200a,200bを開くと、前のフレームと新しいフレームが交じった映像が目に入るため、正しく映像を表示することができず、左目用画像Lと右目用画像Rが混ざるクロストークが発生してしまう。
【0036】
このようなクロストークを防ぐために、本実施形態では、同じフレームを2回表示し、2回目の表示時のみにメガネのシャッターを開くことによって、液晶表示パネル134の全面で同じフレームの映像が表示されている状態だけがユーザの目に入るようにしている。このとき、液晶表示パネル134は、入力された映像の4倍のフレームレートでL1→L1→R1→R1→L2→L2→R2→R2→・・・の順で表示を行い、各左目用画像Lと右目用画像Rの2回目のフレームのみ、鑑賞用メガネ200のシャッターを開くようにする。
【0037】
以下、図3に基づいて詳細に説明する。ここでは、例えばHDMIで各フレームについて左目用画像Lと右目用画像Rの2枚の映像が送られてくるものとする。この場合、図3(A)に示すように、左右の映像信号は、L1→R1→L2→R2→L3→R3・・・のように順次に送られて、映像信号制御部120へ入力される。
【0038】
映像信号制御部120は、図3(B)に示すように、入力された左右映像信号に基づいて、左目用映像信号L1,L2,L3,・・・と右目用映像信号R1,R2,R3,・・・のそれぞれについて、同じ信号が2つ連続するように変換を行う。これにより、左目用映像信号L1はL1aとL1bに変換され、右目用映像信号R1はR1aとR1bに変換される。他の信号についても同様に変換が行われる。これにより、映像信号制御部120は、図3(B)に示すように、L1a→L1b→R1a→R1b→L2a→L2b→R2a→R2b・・・の順で左右映像信号を順次出力する。
【0039】
液晶表示パネル134は、映像信号制御部120から出力された左右映像信号に基づいて表示を行う。図3(C)は、液晶表示パネル134に表示された画像を示す模式図である。図3(C)において、領域#1は左目用画像Lが表示されている領域を、領域#2は左目用画像Lの液晶の応答待ち状態の領域を、領域#3は右目用画像Rが表示されている領域を、領域#4は右目用画像Rの液晶の応答待ち状態の領域を、それぞれ示している。より詳細には、領域#2、領域#4は、液晶表示パネル134の各ピクセルの電荷は次のフレームの新しい映像のものに書き換えられているものの、液晶の応答待ちのため正しい輝度になっていない状態の領域である。
【0040】
図3(B)は、信号が時間とともに変化する様子を模式的に示している。例えば、図3(B)において、時刻t0からt1の間は、左目用画像Lの1回目の信号L1aが線順次に出力されている様子を示している。同様に、図3(C)は、液晶表示パネル134の表示が時間とともに変化する様子を模式的に示している。図3(C)に示す各映像表示は、図3(B)の時刻t2、t3、t4、t5、t6の各時刻の映像に対応している。
【0041】
図3(B)に示すように、時刻t2以前は1回目、2回目の左目用画像の信号L1a,L1bが出力されており、時刻t2で信号がL1bからR1aに切り換わる。このため、図3(C)に示すように、時刻t2の時点では、液晶表示パネル134の上側の領域#1に左目用画像L1が表示されているが、パネル下部の領域#2では、時刻t2の直前に入力された信号L1bによる左目用画像L1が液晶の応答中の状態となる。
【0042】
次に、時刻t3では、1回目の右目用画像の信号R1aが出力されており、信号R1aによる右目用画像R1が液晶表示パネル134に書き込まれている状態となる。このとき、映像は液晶表示パネル134の上側から順次に書き込まれるため、時刻t3の時点で表示されている画像は、パネルの上側の領域#3では信号R1aによる右目用画像R1が表示され、パネルの下側の領域#1では前フレームの左目用画像L1が表示されている状態となる。また、パネルの上下の中間の領域#4では、信号R1aによる右目用画像R1が応答中の状態となる。
【0043】
次に、時刻t4では、信号がR1aからR1bに切り換わり、信号R1bによる右目用画像R1の液晶表示パネル134への書き込みが開始される。時刻t4以前は1回目の右目用画像の信号R1aが出力されており、時刻t4では信号R1bによる右目用画像R1の液晶表示パネル134への書き込みが開始される。このため、信号R1bによる右目用画像Rの書き始めの段階(t4)では、信号R1aによる1回目の右目用画像Rがパネルの上側のほぼ全面の領域#3に表示され、パネルの下部の領域#4は信号R1aによる右目用画像R1の液晶応答中となる。
【0044】
次に、時刻t5では、信号R1bによる右目用画像Rの液晶表示パネル134への書き込みが開始された時刻t4から、液晶の応答時間が経過しており、パネル下部においても、信号R1aにより右目用画像R1が表示された状態となる。このため、時刻t5では、液晶表示パネル134の全面に右目用画像R1が表示された状態となる。
【0045】
次に、時刻t6では、信号がR1bからL2aに切り換わり、信号L2aによる左目用画像L2の液晶表示パネル134への書き込みが開始される。これにより、時刻t6以前にパネル全面に表示されていた右目用画像R1の上部が次第に左目用画像L2に変化し始める。
【0046】
ここで、右目用画像R1の表示に着目すると、時刻t3では、パネルの上側では信号R1aによる右目用画像R1が表示され、パネルの下側では前フレームの左目用画像L1が表示されている状態となる。このため、時刻t3の時点で右目用の液晶シャッター200aを開くと、ユーザの右目に左右の映像が混ざって視認されてしまう。また、時刻t4では、信号R1aによる1回目の右目用画像Rがパネル上側のほぼ全面に表示され、パネルの下部が信号R1aによる画像が液晶の応答中であるため、パネルの下部の右目用画像R1は所望の輝度に到達していない。このため、時刻t4の時点で右目用の液晶シャッター200aを開くと、パネルの下部において所望の輝度に到達していない映像がユーザの右目に視認されてしまう。
【0047】
一方、時刻t5の時点では、液晶表示パネル134の全面に右目用画像R1が表示されているため、時刻t5の時点で右目用の液晶シャッター200aを開くと、パネル全面に所望の輝度で表示された右目用画像Rをユーザの右目に視認させることができる。
【0048】
ここで、時刻t4の時点でパネル下部に表示されている、液晶が完全に応答していない領域#4では、液晶の応答速度をT[ms]とすると、時刻t4からT[ms]が経過すると、液晶が応答して所望の輝度に到達する。このように、液晶の応答速度を考慮すると、各ラインにおいて、液晶の各ピクセルの電荷を書き換えても、液晶の応答速度時間分だけ遅れて正しい輝度で表示されるようになる。従って、時刻t4からT[ms]が経過した後に液晶シャッター200aを開くようにする。なお、液晶の応答速度Tは、例えば4[ms]程度の値である。また、時刻t6の後、信号L2aによる左目用画像L2の書き込みにより、右目用画像R1の上部が次第に左目用画像L2に変化し始めるため、時刻t6(またはその直前)で右目用の液晶シャッター200aを閉じるようにする。これにより、パネルの上部に表示され始める左目用画像L2が右目用画像R1に混ざってユーザの右目に視認されることを抑止できる。
【0049】
以上のように、本実施形態では、L,Rのフレームをそれぞれ2回ずつ、{L1a,L1b},{R1a,R1b},{L2a,L2b},{R2a,R2b},・・・の信号により表示し、L,Rの2回目(L1b,R1b,L2b,R2b,・・・)の表示の際にメガネのシャッターを開く。これにより、左右映像が混ざるクロストークを抑えるとともに、所望の輝度を確保することが可能となる。
【0050】
以上のような2度書きによる表示は、通常のテレビジョン(TV)の放送や、ネットワーク経由で映像を取得するインターネットテレビ、あるいはサイド・バイ・サイド(Side-by-Side)などの他の3D伝送方式においても、受信機側の画像処理装置100内でL,Rの映像を取り出してから処理を行う。更に、DLP方式のプロジェクタなどにおいても同様の処理を行うことができる。従って、これらの方式においても、パネルの表示タイミングに関しては同様に行うことができる。
【0051】
[(4)本実施形態によるメッセージ表示の例]
次に、本実施形態によるメッセージ表示の例について説明する。画像表示装置100には、映像とともに所定のメッセージが表示される場合がある。このようなメッセージは、通常テキスト情報として表示画面内に表示される。
【0052】
上述のように、画像表示装置100には左目用画像Lと右目用画像Rが交互に表示され、表示画像鑑賞用メガネ200はこれと同期して液晶シャッター200a,200bの開閉を行う。従って、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザは、映像を立体として視認することができない。また、左目用画像Lと右目用画像には視差があるため、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザは、通常の2Dの映像として視認することもできない。このため、本実施形態では、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザに対しては、現在表示されている映像が立体映像であることを示すとともに、表示画像鑑賞用メガネ200を装着するように促すメッセージを表示する。
【0053】
一方、表示画像鑑賞用メガネ200を装着しているユーザは、立体映像を正常に視認できることから、このような注意メッセージを視認する必要はない。そこで、本実施形態では、ユーザが表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザのみがメッセージを視認でき、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザはメッセージを視認できないように表示を行う。以下、このような表示手法につて詳細に説明する。
【0054】
図4は、本実施形態に係るメッセージ表示方法の概念を示す模式図である。図4は、図3(C)と同様に液晶表示パネル134の表示が時間とともに変化する様子を模式的に示している。上述したように、2度書きによる表示では、L,Rの2回目の表示(信号L1b,R1b,L2b,R2b,・・・による表示)の際に液晶シャッター200a,200bを開く。このとき、時系列的には、左右の液晶シャッター200a,200bが共に閉じているタイミングが存在する。そこで、本実施形態では、左右の液晶シャッター200a,200bの双方が閉じている期間にユーザに対するメッセージを表示する。図4の例では、メッセージとして「3D再生中、メガネをかけてください」とのメッセージを表示した例を示している。
【0055】
このような構成によれば、表示画像鑑賞用メガネ200をかけていないユーザに対してのみメッセージを伝えることができる。特に、3D映像の表示中は、メガネを装着していないユーザは正常に映像を見ることができないため、メガネの装着を促すメッセージを表示する場合に有効である。例えば、街頭、店舗、展示会場等に設置した画像表示装置100により3D映像を表示する場合、不特定多数の人が画面を見ることになるが、そのような場合に、メガネを装着していないユーザに対して、3D映像を表示していることを伝えることができ、メガネの装着を促すことができる。
【0056】
また、テレビ受像機(TV)などの画像表示装置100は、任意の複数の人が見ることができるため、3D映像を表示している間、継続してメッセージの表示を行うことで、後からその場に来た人もメッセージを見ることが可能である。
【0057】
従って、番組開始時のみにメッセージを表示するなどの制約がなくなり、3D映像を表示している最中に継続的にメッセージを表示することができる。
【0058】
図5は、本実施形態に係るメッセージ表示と液晶シャッター200a,200bの開閉を詳細に示す模式図であって、図3(C)と同様に液晶表示パネル134の表示が時間とともに変化する様子を模式的に示している。図5において、2度書きによる映像の表示は図3と同様に行われる。図5に示すように、時刻t10からt11の間に信号L1aにより左目用映像L1が書き込まれ、時刻t21においてパネルの下部まで液晶が応答すると、パネル全面に左目用画像L1が表示される。その後、時刻t12までは左目用映像L1が表示される。時刻t12では、信号L1bがR1aに切り換わり、信号R1aによる右目用画像R1の液晶表示パネル134への書き込みが開始される。その後、時刻t12以前に表示されていた左目用画像L1の上部が次第に右目用画像R1に変化し始め、時刻t23でパネルの下部まで液晶の応答が完了すると、パネルの全面に右目用画像R1が表示された状態となり、この状態が時刻t14まで続く。
【0059】
また、図5は、液晶シャッター200a,200bが開閉するタイミングを模式的に示している。図5に示すように、L,Rの1回目の表示(信号L1a,R1a,L2a,R2a,・・・による表示)の間は、液晶シャッター200a,200bは共に閉じている。
【0060】
液晶シャッター200bは、時刻t21以前では閉じているが、時刻t21でパネル全面に左目用画像L1が表示されるタイミングに合わせて、時刻t31から開き始める。液晶シャッター200a,200bについても、液晶の特性上、応答にある程度の時間を要するため、時刻t31の後、時刻t32で液晶シャッター200bが完全に開いた状態となる。これにより、パネル全面に左目用画像L1が表示された状態で液晶シャッター200bが開かれるため、ユーザの左目には左目用画像L1が視認される。
【0061】
そして、本実施形態では、左目用画像L1から右目用画像R1への切り換えが開始する時刻t12よりも前にメッセージを表示するため、時刻t12よりも前に液晶シャッター200bを閉状態にする。このため、時刻t33において、液晶シャッター200bを閉じ始める。液晶シャッター200bを閉じる際にも、応答にはある程度の時間を要するため、時刻t33で液晶シャッター200bを閉じ始めた後、時刻t34で液晶シャッター200bが完全に閉じられる。
【0062】
そして、時刻t34で液晶シャッター200bが閉じるタイミングに合わせて、時刻t22からt12のメッセージ領域表示期間において、メッセージ「3D再生中、メガネをかけてください」を表示する。時刻t22から時刻t12までの区間に表示されたメッセージは、この区間では液晶シャッター200bが実質的に閉じていることから、表示画像鑑賞用メガネ200を装着したユーザに視認されることはない。また、メッセージが表示される区間では液晶シャッター200aは閉じられている。従って、表示画像鑑賞用メガネ200を装着しているユーザの右目、左目のいずれもメッセージを視認することができない。一方、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザは、このメッセージを視認することができる。従って、図5のように、「3D映像再生中、メガネをかけてください」とのメッセージを表示することにより、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザに対して3D映像の表示中であることを認識させることができ、ユーザに対して表示画像鑑賞用メガネ200の装着を促すことができる。一方、表示画像鑑賞用メガネ200を装着しているユーザは、メッセージを視認することなく、立体映像を継続して視認することができる。
【0063】
なお、図5では、シャッター液晶の応答を考慮して、液晶シャッター200bが完全に閉じるタイミング(t34)をメッセージ領域表示期間(t22〜t12)の開始時刻t22よりも後にしているが、液晶シャッター200bが完全に閉じるタイミング(t34)は、メッセージ表示の開始時刻t22よりも以前に設定しても良い。同様に、液晶シャッター200bを開き始めるタイミング(t31)は時刻t21よりも後にしても良い。
【0064】
右目用画像R1を表示する場合も同様に、時刻t23でパネル全面に右目用画像R1が表示されるタイミングに合わせて、時刻t35からt36の間で液晶シャッター200aが閉から開へ遷移する。その後、右目用画像R1から左目用画像L1への切り換えが開始する時刻t14よりも前の時刻t37において、液晶シャッター200aを閉じ始め、時刻t38で液晶シャッター200aが完全に閉じられる。そして、液晶シャッター200aを閉じるタイミングに合わせて、メッセージ表示期間t24〜t14にメッセージを表示する。これにより、表示画像鑑賞用メガネ200を装着しているユーザはメッセージを視認することができず、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザのみメッセージを視認することができる。
【0065】
図6は、表示画面の上部にメッセージを表示する例を示す模式図である。図6に示す例では、信号がR2aからL1aに切り換わった時刻t10から時刻t41までの間に、表示画面の上部にメッセージを表示する。また、信号がL2bからR1aに切り換わった時刻t12から時刻t44までの間に、表示画面の上部にメッセージを表示する。
【0066】
その後、左目用画像L1の2つ目のフレームの表示時に、メッセージ領域を表示するライン数に相当する時間分だけ遅らせて液晶シャッター200bを開く。具体的には、図5の例では、時刻t31から液晶シャッター200bを開き始めたが、図6では、液晶シャッター200bを開き始めの時刻を、メッセージ領域を表示するライン数に相当する時間分だけ遅らせて、時刻t51から開き始める。その後、時刻t52で液晶シャッター200bが完全に開いた状態となり、ユーザの左目にパネル全面に表示された左目用画像L1が表示される。そして、時刻t53において、液晶シャッター200bを閉じ始め、時刻t54で液晶シャッター200bが完全に閉じられる。
【0067】
時刻t54で液晶シャッター200bが閉じられるタイミングに合わせて、時刻t12から時刻t44までのメッセージ領域表示期間にメッセージが表示される。この際、液晶シャッター200bが閉じる時刻t54は、メッセージの表示が終了する時刻t44よりも前に設定される。これにより、メッセージ表示期間では実質的に液晶シャッター200bが閉じているため、表示画像鑑賞用メガネ200を装着しているユーザの左目にメッセージが視認されないようにすることができる。なお、液晶シャッター200bが閉じる時刻t54は、メッセージの表示を開始する時刻t12よりも前に設定しても良い。
【0068】
右目用の液晶シャッター200aについても同様に、時刻t10から時刻t41までのメッセージ表示期間において、メッセージの表示が終了する以前に液晶シャッター200aを閉じるようにする。これにより、ユーザの右目にメッセージが視認されないようにすることができる。
【0069】
液晶表示パネル134では、画面の最上部のラインから1ラインずつ表示を更新していくため、メッセージ表示領域のライン数に相当する時間T(メッセージ表示期間)は、以下の式から求めることができる。
T=[メッセージ表示領域の縦のライン数]/[パネルの縦のライン数]*(1秒/[フレームレート(1秒間に表示するフレームの枚数)])
【0070】
なお、上述のように、本実施形態におけるフレームレートは、映像信号のフレームレートの4倍の240[Hz]である。図6の例では、図5の例に対して時間Tだけ液晶シャッター200a,200bを開く時間を遅らせると、メッセージ表示領域が2回目の書き込みによる映像に書き変わったタイミング(時刻t43、時刻t46)に合わせて液晶シャッター200a,200bが開かれる。従って、表示画像鑑賞用メガネ200を装着しているユーザはメッセージを視認することができなくなる。
【0071】
以上のように、図5及び図6の構成によれば、液晶表示パネル134を用いた場合、表示画像鑑賞用メガネ200を装着しているユーザには、左目用画像L、右目用画像Rの2フレーム目の映像に書き変わった映像しか目に入ってこないため、メッセージがユーザに認識されることはない。
【0072】
一方、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザは、映像信号の4倍のフレームレートで表示しているうちの左目用画像L、右目用画像Rについて、2フレームに1回はメッセージが表示されるため、メッセージを視認することができる。この場合において、高フレームレートで映像を表示しているため、2フレームに1回のメッセージ表示であっても映像としての視認性を高めることが可能である。
【0073】
図7は、画像表示装置100の表示画面の下側から線順次に表示を行う例を示す模式図である。図7に示す例では、時刻t100において、信号L1aによる左目用映像L1が表示画面の下側から書き込まれ、時刻t110で信号L2bによる左目用映像L1が表示画面の下側から書き込まれる。また、時刻t120では信号L2bが信号R1aに切り換わり、信号R1aによる右目用映像R1が表示画面の下側から書き込まれ、時刻t130で信号R2bによる右目用映像R1が表示画面の下側から書き込まれる。
【0074】
この場合においても、時刻t210においてパネルの最上部の液晶まで応答が完了すると、パネル全面に左目用画像L1が表示される。その後、時刻t120までは左目用映像L2が表示される。時刻t120では、信号R1aによる右目用画像Rの液晶表示パネル134への書き込みが画面下部から開始される。その後、時刻t120以前に表示されていた左目用画像L1の下部が次第に右目用画像R1に変化し始め、時刻t240でパネルの上部まで液晶の応答が完了すると、パネルの全面に右目用画像R1が表示された状態となり、この状態が時刻t140まで続く。
【0075】
図7の例において、液晶シャッター200a,200bの開閉タイミングは、図5と同様に行われる。すなわち、左目用画像Lが表示画面の全面に表示されているタイミングでは液晶シャッター200bが開かれ、右目用画像Rが表示画面の全面に表示されているタイミングでは液晶シャッター200bが開かれる。そして、液晶シャッター200a,200bは、メッセージが表示されるタイミングに合わせて閉じられる。メッセージは、次のフレームの信号に切り換わるまで、メッセージ表示期間(時刻t230〜t120、時刻t250〜t140)に表示される。
【0076】
(5)バックライトの点灯を同期させた例
図8は、図5の例において、バックライト136の点灯タイミングを同期させた例を示している。図8に示すように、バックライト136は、左目用画像L1が表示画面の全画に有効に表示されている時間(時刻t21〜t22)と、メッセージの表示期間(時刻t22〜t12)とに渡って連続的に点灯される。また、バックライト136は、右目用画像R1が表示画面の全画に有効に表示されている時間(時刻t23〜t24)と、メッセージの表示期間(時刻t24〜t14)とに渡って連続的に点灯される。
【0077】
バックライト136の点灯タイミングを同期させた場合、バックライト136が消灯しているタイミングでは液晶シャッター200a,200bを開いたとしても、ユーザに映像が視認されることはない。このため、図8の例では、左目用の液晶シャッター200bを信号がL1aからL1bに切り換わるタイミング(時刻t11)に合わせて開いている。ここで、時刻t61は液晶シャッター200bの開き始めの時刻であり、時刻t62は液晶シャッター200bが完全に開いた時刻である。
【0078】
時刻t11から時刻t21までは液晶が応答する過渡期間であるが、バックライト136を消灯しているため、時刻t11から液晶シャッター200bを開いたとしても、液晶応答中の映像がユーザに視認されることはない。従って、バックライト136の点灯タイミングを同期させることにより、特に液晶シャッター200a,200bの開き始めのタイミングを早くすることができ、シャッター側の液晶の応答遅延に起因して液晶シャッター200a,200bの実際の開口時間が少なくなることを抑止でき、所望の輝度を確保できる。
【0079】
一方、液晶シャッター200a,200bを閉じるタイミングについては、メッセージ表示期間に表示されたメッセージが視認されないようにするため、図5と同じタイミングで閉じられる。
【0080】
同様に、右目用の液晶シャッター200aは、信号がR1aからR1bに切り換わるタイミング(時刻t13)に合わせて開かれる。ここで、時刻t71は液晶シャッター200aの開き始めの時刻であり、時刻t72は液晶シャッター200aが完全に開いた時刻である。
【0081】
図9は、図6の例において、バックライト136の点灯タイミングを同期させた例を示している。図9の例においても、バックライト136は、左目用画像L1が表示画面の全面に有効に表示されている時間(時刻t43〜t12)と、メッセージの表示期間(時刻t12〜t44)とに渡って連続的に点灯される。また、バックライト136は、右目用画像R1が表示画面の全面に有効に表示されている時間(時刻t46〜t14)と、メッセージの表示期間(時刻t14〜t47)とに渡って連続的に点灯される。この場合においても、液晶シャッター200a,200bを閉じるタイミングは図6と同様であるが、液晶シャッター200a,200bを開くタイミングはより早くすることができる。図9の例では、時刻t42のタイミングに合わせて液晶シャッター200bを開き、時刻t45のタイミングに合わせて液晶シャッター200aを開いている。これにより、シャッター側の液晶の応答の遅延に起因して液晶シャッター200a,200bの実際の開口時間が少なくなることを抑止でき、所望の輝度を確保できる。
【0082】
[(6)メッセージの視認性を向上する具体的構成例]
上述したようなメッセージの表示において、メッセージ表示エリアの縦のライン数を多くとると、表示画像鑑賞用メガネ200のシャッターを開いている時間が減ってしまい、ユーザが視認する画像の明るさ(輝度)が低下してしまうため、メッセージ表示エリアは最小限のライン数にとどめておくことが望ましい。
【0083】
また、メッセージ表示エリアの背景画像は、前後のフレームと打ち消し合うような映像とすることによって、メッセージの視認性をより向上することができる。具体例を以下に説明する。
【0084】
先ず、第1の方法としては、メッセージ表示エリアの背景画像として、前のフレームと次のフレームの平均をとった映像を白黒反転させた映像を用いる。また、他の方法として、前のフレームの表示エリア内の映像を白黒反転させた映像を用いる場合、次のフレームの表示エリア内の映像を白黒反転させた映像を用いる場合等が考えられる。また、メッセージ領域の背景色は、予め定められたある一定の色としても良い。
【0085】
前後のフレームの平均を反転させた映像を用いる場合、メッセージ表示エリア内の各ピクセル(Pixel)の背景色のRGB値は以下のようになる。
RGB_msg(x,y)=RGB(255:255:255)−(RGB_prev(x,y)+RGB_next(x,y))/2
【0086】
上式において、各変数は以下の通りである。
RGB_msg(x,y):メッセージを表示するフレームにおける、メッセージ表示エリア内の(x,y)の座標のピクセル(Pixel)の背景色のRGB値
RGB(255:255:255):白色
RGB_prev:前に表示されたフレームにおける、メッセージ表示エリア内の(x,y)の座標のピクセルの背景色のRGB値
RGB_next:次に表示するフレームにおける、メッセージ表示エリア内の(X,Y)の座標のピクセルの背景色のRGB値
【0087】
上式によれば、現フレームにおける背景色のRGB値は、前後のフレームのRGB値を平均した値を白色から引き算した値(白黒反転した値)となり、メッセージ領域の背景色は、平均するとRGB(255/2:255/2:255/2)の明るさ(グレー)になる。これにより、複数フレームの平均をとると、背景色を均一の階調にすることができる。
【0088】
なお、メッセージ領域の背景色を前後のフレームと異なる色にすることもできるが、白黒反転(RGB(255:255:255)からの引き算)を使うことで、値がオーバーフローまたはアンダーフローしてしまうことを回避できる。
【0089】
メッセージの文字等を表示する場合は、以上のようにして得られた背景色に対して、文字の色を加算して表示する。この場合、文字部分で一部RGB値がオーバーフローしてしまうことが想定されるが、この場合は上限値を用いることができる。
【0090】
[(7)プラズマディスプレイパネルへの適用]
上述の例では、画像表示装置100として液晶表示パネルを用いた装置を例示したが、プラズマディスプレイパネルを用いた装置に適用することも可能である。図10は、プラズマディスプレイパネルに適用した場合の左右映像の切り換わりを示すタイミングチャートである。
【0091】
プラズマディスプレイパネルの場合、液晶のような応答遅れは殆ど生じないため、上述したような2度書きを行うことなく、左目用画像Lと右目用画像Rのサブフィールドを交互に表示する。そして、左右画像のサブフィールドの間にメッセージ表示用サブフィールドを点灯し、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザに対してメッセージ表示を行う。
【0092】
図10に示すように、左目用の液晶シャッター200bは左目用画像Lのサブフィールドに対応して開かれ、右目用の液晶シャッター200aは右目用画像Rのサブフィールドに対応して開かれる。また、液晶シャッター200a,200bは、メッセージ表示用サブフィールドの点灯区間では閉じられる。
【0093】
具体的には、図10に示すように、時刻t210以前は右目用画像Rのサブフィールドが表示されているため、液晶シャッター200bは閉じられている。時刻t210において右目用画像Rの表示が終了すると、右目用の液晶シャッター200aが閉じ始め、時刻t212で液晶シャッター200aが完全に閉じられる。その後、時刻t212から時刻t214の間にメッセージ表示用サブフィールドが点灯し、メッセージが表示される。そして、時刻t214でメッセージ表示用サブフィールドの表示が終了すると、液晶シャッター200bが開き始め、時刻t216で液晶シャッター200bが完全に開かれる。
【0094】
その後、時刻t218〜t220間で左目用画像Lのサブフィールドが表示され、t220で左目用画像Lのサブフィールドの表示が終了すると、時刻t222で液晶シャッター200bが閉じ始め、時刻t224で液晶シャッター200bが完全に閉じられる。そして、液晶シャッター200bが閉じた時刻t224からt226の間にメッセージ表示用サブフィールドが点灯し、メッセージが表示される。
【0095】
その後、時刻t226でメッセージ表示用サブフィールドの表示が終了すると、液晶シャッター200aが開き始める。時刻t228で液晶シャッター200aが完全に開かれると、時刻t230からt232までの区間で右目用画像Rのサブフィールドが表示される。これにより、ユーザの右目に右目用画像Rが視認される。
【0096】
時刻t232で右目用画像Rのサブフィールドの表示が終了すると、時刻t234で液晶シャッター200aが閉じ始め、時刻t236で液晶シャッター200aが完全に閉じられる。その後、時刻t236から時刻t238までの区間でメッセージ表示用サブフィールドが表示され、時刻t238からt240までの区間で液晶シャッター200bが開かれる。
【0097】
以上のように、プラズマディスプレイパネルに適用した場合であっても、メッセージ表示用サブフィールドの点灯期間に液晶シャッター200a,200bの双方を閉じることによって、表示画像鑑賞用メガネ200を装着していないユーザにのみメッセージを伝達することができる。
【0098】
なお、プラズマディスプレイパネルの場合、液晶パネルのような線順次の表示は行われないため、メッセージ表示用サブフィールドにおいては、画面の上部または下部以外の箇所にメッセージを表示しても良い。
【0099】
以上説明したように本実施形態によれば、立体映像表示において、鑑賞用眼鏡200を装着していないユーザに対してのみ、メッセージを通知することができる。従って、立体映像を表示している最中に、鑑賞用眼鏡200を装着していないユーザに鑑賞用眼鏡200の装着を促すことが可能となる。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0101】
100 画像表示装置
120a 映像信号制御部
120b メッセージ付加部
134 液晶表示パネル
200 鑑賞用メガネ
200a,200b 液晶シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右目用画像及び左目用画像の信号の入力を受け、前記右目用画像及び左目用画像に所定のメッセージ情報を付加するメッセージ情報付加部と、
前記メッセージ情報が付加された前記右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号を出力する信号制御部と、
前記信号制御部から出力された信号が入力され、前記右目用画像と左目用画像を交互に表示するとともに、前記右目用画像と左目用画像が切り換わるタイミングで前記メッセージ情報を表示する表示パネルと、
を備える、画像表示装置。
【請求項2】
右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用及び左目用のシャッターのオープン期間を示すタイミング信号を生成し、前記メッセージ情報が表示されるタイミングで前記右目用及び左目用のシャッターの双方を閉じるための前記タイミング信号を送信する眼鏡制御信号送信部を備える、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記信号制御部は、前記右目用画像及び前記左目用画像を少なくとも2回連続して表示するための信号を出力する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルはバックライトを含み、前記右目用画像と左目用画像が表示されるタイミング及び前記メッセージ情報が表示されるタイミングに合わせて前記バックライトを点灯させるバックライト制御部を備える、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは表示画面の上下方向に線順次に表示を行う液晶表示パネルからなり、
前記表示パネルは、前記メッセージ情報が付加された前記右目用画像及び左目用画像の信号に基づいて、前記表示画面の垂直方向の上端又は下端に前記メッセージ情報を表示する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、前記右目用画像と左目用画像の信号が切り換わるタイミングの直前に、前記表示画面の垂直方向の下端に前記メッセージ情報を表示する、請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記表示パネルは、前記右目用画像と左目用画像の信号が切り換わるタイミングの直後に、前記表示画面の垂直方向の上端に前記メッセージ情報を表示する、請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記メッセージ付加部は、前記右目用画像及び左目用画像の前後のフレームの輝度に基づいて、前記メッセージ情報を付加する領域の輝度を定めて、前記メッセージ情報を付加する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
右目用画像及び左目用画像の信号の入力を受け、前記右目用画像及び左目用画像の信号に所定のメッセージ情報を付加するメッセージ情報付加部と、前記メッセージ情報が付加された前記右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号を出力する信号制御部と、前記信号制御部から出力された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示するとともに、前記右目用画像と左目用画像が切り換わるタイミングで前記メッセージ情報を表示する表示パネルと、右目用と左目用のシャッターを備える鑑賞用眼鏡に対して、前記右目用及び左目用のシャッターのオープン期間を示すタイミング信号を生成し、前記メッセージ情報が表示されるタイミングで前記右目用及び左目用のシャッターの双方を閉じるための前記タイミング信号を送信する眼鏡制御信号送信部と、を有する画像表示装置と、
前記タイミング信号に基づいて、前記右目用と左目用の前記シャッターを交互に開き、前記メッセージ情報が表示されるタイミングでは前記右目用と左目用の前記シャッターの双方を閉じる前記観賞用眼鏡と、
を備える、画像表示観察システム。
【請求項10】
右目用画像及び左目用画像の信号の入力を受け、前記右目用画像及び左目用画像の信号に所定のメッセージ情報を付加するステップと、
前記メッセージ情報が付加された前記右目用画像及び左目用画像を交互に表示するための信号を出力するステップと、
前記信号制御部から出力された信号が入力され、右目用画像と左目用画像を交互に表示するとともに、前記右目用画像と左目用画像が切り換わるタイミングで前記メッセージ情報を表示するステップと、
を備える、画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−109605(P2011−109605A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265392(P2009−265392)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】