説明

画像表示装置のコネクタ接続構造

【課題】表示制御装置にコネクタを介して画像表示装置を接続する際の、画像通信素子の破壊を未然に防止し、そのための構成を簡単で安価に済ませる。
【解決手段】ロボットコントローラ1に対するティーチングペンダントの接続を、コントローラ側コネクタ30に、ペンダント側コネクタ31を嵌合させることにより行なう。コントローラ側コネクタ30は、ハウジング32内に電源端子及び信号端子を有し、ペンダント側コネクタは、金属シュラウド36内に前記電源端子及び信号端子に接触する端子ピンを備える。金属シュラウド36を0Vの電源線に接続する。コントローラ側コネクタ30の係合爪33部分に、グランド電位に接続され、各端子同士の接触よりも先に金属シュラウド36に接触する接触金具34を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像通信素子を有する表示制御装置と画像表示装置との電気的接続を図るようにした画像表示装置のコネクタ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば産業用ロボットにおいては、ロボット本体を制御するロボットコントローラに、ロボット本体のマニュアル操作やティーチング作業を行うためのティーチングペンダントをコネクタを介して着脱自在に接続することが行われる。前記ティーチングペンダントは、ティーチング用の画面やロボット本体の動作状態を示す画面などを表示するための表示部や、前記ロボット本体をマニュアル操作により動作させたり各種の教示(入力)操作を行なうためのキー操作部を備えて構成されている。
【0003】
また、上記コネクタ(コントローラ側コネクタ及びペンダント側コネクタ)には、例えば、2本の電源端子(例えば24V及び0V)と、複数本の信号端子が設けられている。このコネクタの接続により、ロボットコントローラからティーチングペンダントに対する電源供給が行われると共に、両者間での操作信号や表示制御用の信号の送受信が行われるようになっている。
【0004】
ところで、上記したロボットコントローラにあっては、ロボットコントローラに電源が投入されたままで、コネクタの嵌合、取外しが行なわれることがしばしばある。ところがこのとき、例えばペンダント側コネクタをやや傾斜した状態でコントローラ側コネクタに嵌合させようとした場合に、ロボットコントローラに設けられている画像通信素子が破壊する虞があった。
【0005】
具体的には、図8に要部を概略的に示すように、ロボットコントローラ1には、24V及び0Vの電源線2及び3が設けられると共に、画像通信素子4に接続された2本の信号線5,6が設けられている。一方、ティーチングペンダント7には、24V及び0Vの電源線8及び9が設けられ、それらの間に、24Vを例えば3.3Vに降圧する降圧回路10と画像通信素子11とが直列接続されると共に、それに並列にノイズ除去用のコンデンサ12が設けられている。また、画像通信素子11には2本の信号線13,14が接続されている。そして、コネクタ15の嵌合によって、ロボットコントローラ1側の電源線2、3及び信号線5,6が、夫々、ティーチングペンダント7側の電源線8,9及び信号線13,14に夫々接続される(スイッチのシンボルで示す)ようになっている。
【0006】
ところが、図のように0Vの電源線3,9が未だ接続されない時点で、24Vの電源線2,8、並びに、信号線5,6及び13,14が接続された状態が生ずると、図で破線の矢印で示すように、ティーチングペンダント7側において、24Vの電源線8から、コンデンサ12を介して0Vの電源線9を通って画像通信素子11に高圧(24V)の電流が流れ、更に信号線14、信号線6を通ってロボットコントローラ1側の画像通信素子4に流れ込む。これにより、画像通信素子4に、耐量を超える突入電流(電圧)が流れて破壊に至る虞があるのである。コネクタ15の取外し時にも同様の現象が生ずる虞がある。
【0007】
そこで、上記のような不具合を解消するために、従来より、コネクタにおいて、端子ピンのうち0V(アース)端子の長さを、他の端子ピンの長さよりも大きく構成し、コネクタの接続、切離し時に、0V(アース)端子同士が常に他の端子よりも先に接続(後で切離し)されるように構成したものが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平1−297880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術では、コネクタに長さの異なる複数種類の端子ピンを用意しなければならないなど、コネクタの組立工程が面倒となり、その分コスト高を招いてしまうものとなっていた。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、表示制御装置にコネクタを介して画像表示装置を接続する際の、画像通信素子の破壊を未然に防止することができ、しかもそのための構成を簡単で安価に済ませることができる画像表示装置のコネクタ接続構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の画像表示装置のコネクタ接続構造は、画像通信素子を有する表示制御装置に、絶縁材製のハウジング内に電源端子及び信号端子を有する基板側コネクタを設けると共に、画像表示装置に、前記ハウジングの外周に嵌挿される筒状の金属シュラウドの内部に電源端子及び信号端子を有する装置側コネクタを設け、それらコネクタの嵌合により、前記表示制御装置と画像表示装置との電気的接続を行うようにしたものにあって、前記装置側コネクタの金属シュラウドが、前記電源端子のうち0V端子に電気的に接続されていると共に、前記基板側コネクタのハウジングの外側部分に、グランド電位に接続され前記装置側コネクタの嵌合時に前記金属シュラウドの外面に接触する接触金具が設けられ、前記装置側コネクタを前記基板側コネクタに嵌合させる際に、前記各端子同士の接触よりも先に前記接触金具と金属シュラウドとが接触されるように構成されているところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0011】
これによれば、基板側コネクタに対する装置側コネクタの接続時には、グランド電位とされた接触金具が、0V端子に電気的に接続された金属シュラウドに接触することが、各端子と各端子との電気的接続に先立って行なわれるので、装置側コネクタの0V端子がアース接続されない状態で、他の電源端子及び信号端子が接続されるといった状況が生ずることがなくなる。
【0012】
従って、基板側コネクタからの高圧の電流が信号端子を介して画像通信素子に逆流することがなくなり、画像通信素子が破壊されるといったことを未然に防止することができる。しかも、基板側コネクタ部分に、グランド電位に接続された接触金具を付加するだけで済むので、長さの異なる複数種類の端子ピンを用いる場合と比べて、端子の組付け構造も簡単となり、簡単で安価な構成で済ませることができる。
【0013】
このとき、前記接触金具を、金属シュラウドの外面に弾性的に接触する板ばね状に構成し、前記装置側コネクタの接続時に該装置側コネクタに係合する係合爪の近傍に位置して取付ける構成とすることができる(請求項2の発明)。これにより、接触金具のための特別なスペースを設けることなく済ませることができ、スペース的に有利となる。また、前記接触金具を、表示制御装置のグランド電位とされた金属フレームに直接的に取付ける構成としても良く(請求項3の発明)、電気的接続のための別途の配線等が不要となる、より簡単な構成で済ませることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を、表示制御装置としてのロボットコントローラに対する、画像表示装置としてのティーチングペンダントのコネクタ接続構造に適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、従来例の説明において用いた図8についても、共通して使用することとする。
【0015】
図7は、組立用ロボットのシステムの外観構成を概略的に示している。このシステムは、ロボット本体21と、このロボット本体21を制御するための表示制御装置たるロボットコントローラ1とを備えて構成され、そのロボットコントローラ1には、画像表示装置たるティーチングペンダント7が着脱可能に接続されるようになっている。
【0016】
前記ロボット本体21は、例えば組立用の6軸の小形垂直多関節型ロボットとして構成されている。詳しい説明は省略するが、このロボット本体21は、夫々サーボモータにより駆動される6軸のアーム22を有し、アーム22の先端部に、例えばパレットP内に収容されているワークWを把持するためのハンド23を備えている。また、アーム22の先端部には、例えばワークWを撮影するための照明装置24a付きのCCDカメラ24が取付けられている。
【0017】
このロボット本体21は、前記ロボットコントローラ1にケーブル25を介して接続され、前記各軸のサーボモータがこのロボットコントローラ1により制御されるようになっていると共に、CCDカメラ24の入力映像信号がロボットコントローラ1に入力されるようになっている。
【0018】
前記ロボットコントローラ1は、矩形箱状をなす金属フレーム26内に、制御回路やサーボ制御部、画像処理部、電源装置等を組込んで構成されている。前記制御回路は、マイコンを主体として構成され、予め記憶された動作プログラムや、後述するティーチングペンダント7により設定された教示データ等に従って、サーボ制御部を介して前記ロボット本体21の各軸サーボモータを制御し、もって、ロボット本体21によるワークWの組付け作業等を自動で実行させるようになっている。
【0019】
また、ロボットコントローラ1には、後述するように、コネクタ15(図8参照)を介して前記ティーチングペンダント7が接続される。この接続状態では、作業者によるティーチングペンダント7の操作に基づいて、ロボット本体21を実際に動作(マニュアル操作)させることができるようになっている。このとき、ロボットコントローラ1内には、ティーチングペンダント7や図示しない他の周辺機器(パソコンやモニタ装置等)との間での高速データ転送を行なうためのインタフェース部が設けられている。
【0020】
前記ティーチングペンダント7は、作業者が携帯して(手で持運んで)操作できる程度のコンパクトな大きさの薄形のほぼ矩形箱状に構成されている。このティーチングペンダント7の表面部の中央部には、例えば比較的大形のカラー液晶ディスプレイからなる表示部27が設けられており、各種の画面が表示されるようになっている。前記表示部27の表面にはタッチパネルが設けられている。また、ティーチングペンダント7には、表示部27の周囲部に位置して、各種のキーが設けられ、前記タッチパネルと併せてキー操作部28が設けられている。
【0021】
図示はしないが、ティーチングペンダント7内には、マイコンを主体とした制御回路や、前記ロボットコントローラ1との間での高速データ転送を行なうためのインタフェース等が設けられている。このとき、ティーチングペンダント7とロボットコントローラ1とは、接続ケーブル29及びコネクタ15により接続されるようになっている。コネクタ15の詳細な構成については後述する。
【0022】
これにて、作業者は、ティーチングペンダント7を用いてロボット本体21に対する各種の指示を行なうことができると共に、キー操作部28を操作してロボット本体21をマニュアル操作したり、各種の数値設定等を行なって教示データを入力する教示作業を行なうことができるようになっている。前記表示部27には、メニュー画面、設定入力画面、状況表示画面等の必要な情報を表示する各種の画面が表示される。また、表示部27に、前記ロボット本体21に取付けられたCCDカメラ24により取込まれたモニタ映像を表示させることも可能とされている。
【0023】
このとき、図8に示すように、ティーチングペンダント7には、ロボットコントローラ1から駆動電源(例えば直流24V)が供給されるようになっている。具体的には、ロボットコントローラ1に設けられた24V及び0Vの電源線2及び3が、コネクタ15を介して、ティーチングペンダント7に設けられた24V及び0Vの電源線8及び9に夫々接続される。尚、0Vの電源線9は、金属フレーム26に接続された状態でアース接続され、グランド電位(0V電位)とされるようになっている。
【0024】
また、ロボットコントローラ1には、画像通信素子4が設けられ、ティーチングペンダント7には、画像通信素子11が設けられ、それらの間で画像信号の送受信が行なわれるようになっている。具体的には、画像通信素子4に接続された2本の信号線5,6が、コネクタ15を介して、画像通信素子11に接続された2本の信号線13,14に夫々接続される。この場合、前記画像通信素子4及び画像通信素子11は、比較的低電圧(例えば3.3V)で駆動されるようになっている。
【0025】
前記ティーチングペンダント7の24V及び0Vの電源線8及び9間に、24Vを3.3Vに降圧する降圧回路10と前記画像通信素子11とが直列接続されると共に、それに並列にノイズ除去用のコンデンサ12が設けられている。尚、図8では、その他の多数本の信号線(信号端子)を省略している。また、上記のように前記ロボットコントローラ1の金属フレーム26は、グランド電位(0V電位)とされるようになっている。
【0026】
ここで、前記コネクタ15の接続構造について、図1ないし図6も参照して述べる。このコネクタ15は、前記ロボットコントローラ1に設けられる基板側コネクタであるコントローラ側コネクタ30(図1〜図3参照)と、前記ティーチングペンダント7の接続ケーブル29の先端に設けられ、前記コントローラ側コネクタ30に対して嵌合、取外し(挿入、抜出し)される装置側コネクタであるペンダント側コネクタ31(図5,図6参照)とから構成される。
【0027】
そのうちコントローラ側コネクタ30は、図1〜図3に示すように、ロボットコントローラ1の例えば前面側の壁部に位置して固定的に設けられており、金属フレーム26の開口部26aから前方に突出する絶縁材(プラスチック)製のハウジング32を備えている。このハウジング32は、正面から見て、角部に丸みを有し且つ横長(扁平)な台形ブロック状をなし、図示は省略するが、後述するペンダント側コネクタ31の多数本の端子ピンが夫々挿入される多数個の穴を有すると共に、それら各穴内に端子(コンタクト)を備えて構成されている。それら多数本の端子には、前記各電源線2,3に夫々接続された2個の電源端子、及び、前記各信号線5,6に接続された2個の信号端子、並びに、その他の複数本の信号端子が含まれる。
【0028】
また、このコントローラ側コネクタ30は、ロボットコントローラ1内に配設された図示しない基板に電気的及び機械的に接続されている。更に、このコントローラ側コネクタ30には、ペンダント側コネクタ31の接続(嵌合)時に後述する係止金具に係合する係合爪33が、ハウジング32の左右部位に位置して、例えば該ハウジング32に一体的に設けられている。これら各係合爪33は、金属フレーム26を貫通して前面側に突出し、そ上下両端部の先端に前方に突出し外側(側方)に折曲る鉤部33a,33aを有して構成されている。そして、詳しくは後述するように、このコントローラ側コネクタ30部分には、前記ハウジング32の図で右側に位置する係合爪33部分に位置して、図4にも示す接触金具34が設けられるようになっている。
【0029】
これに対し、図5及び図6に示すように、前記ペンダント側コネクタ31は、絶縁材(プラスチック)製の薄型のほぼ矩形状をなすハウジング35を備えており、そのハウジング35の先端面部に、金属シュラウド36を有している。この金属シュラウド36は、前記コントローラ側コネクタ30のハウジング32の外形に対応した形状(角部に丸みを有し且つ横長(扁平)な台形)の筒状をなし、該ハウジング32に対し着脱可能に嵌挿されるようになっている。
【0030】
そして、前記金属シュラウド36の内側部分には、図5に示すように、コントローラ側コネクタ30の各端子に対応した多数本の端子ピン37が配設されている。これら端子ピン37のなかには、前記各電源線8,9に夫々接続された2個の電源端子、及び、前記各信号線13,14に接続された2個の信号端子、並びに、その他の複数本の信号端子が含まれる。このとき、図示はしないが、前記金属シュラウド36は、ハウジング35内で0Vの電源線9(電源端子)に電気的に接続されている。
【0031】
これにて、ペンダント側コネクタ31は、前記コントローラ側コネクタ30に対し、前記金属シュラウド36が該コントローラ側コネクタ30のハウジング32の外側に嵌挿されるように嵌合され、このとき、各端子ピン37が、コントローラ側コネクタ30の各端子に圧接して電気的に接続されるようになっている。尚、本実施例では、前記各端子ピン37の長さは、全て均等とされている。
【0032】
さらに、このペンダント側コネクタ31のハウジング35の先端面部には、前記金属シュラウド36の左右の外側部位に位置して、前記係合爪33に係合される係止金具38が設けられている。これら係止金具38は、内側に閉じた状態と、外側に開いた状態との間で揺動変位可能に設けられ、図示しないばねにより、常時内側に向けて付勢されている。また、図6に示すように、ハウジング35の後部側の左右側部に位置して、それら係止金具38をばね力に抗して外側に変位させるための押圧操作部39が設けられている。
【0033】
これにて、ペンダント側コネクタ31が前記コントローラ側コネクタ30に嵌合された際に、それら係止金具38が内側にある状態では、その先端部が前記各係合爪33(鉤部33a)によって係合され、その嵌合状態がロックされるようになっている。この状態で、ユーザが押圧操作部39を押圧操作することにより、係止金具38が、外側に開く方向に変位して係合爪33の鉤部33aから外れ、もってペンダント側コネクタ31の取外しが可能とされるようになっている。
【0034】
さて、本実施例では、図1〜図3に示すように、前記コントローラ側コネクタ30部分には、ハウジング32の左右外側両方の係合爪33の近傍(上下の鉤部33a、33a間)に位置して、接触金具34が設けられている(図2,3では片方のみ図示)。この接触金具34は、ばね性を有する金属薄板材(例えば厚み0.1mmのベリリウム銅)から構成され、図4にも示すように、前記金属フレーム26の前面に宛がわれた状態に配置される矩形状の取付部34aと、細幅をなしその取付部34aから前方に延びた後、ハウジング32側に向けてU字状に折返された形状をなす接触片部34bとを一体に有して構成されている。
【0035】
図1,図2に示すように、この接触金具34は、金属フレーム26(ハウジング32)に対し、取付部34aに形成されたねじ挿通孔34cを通してねじ40を締め付けることにより、金属フレーム26に電気的に接続された、つまりグランド電位に接続された状態に取付けられる。また、この状態では、前記接触片部34bが、上下の鉤部33a同士間に位置され、その先端部がハウジング32の右側部に接触するように位置される。前記接触片部34bの前端は、ハウジング32の前端よりも前方に突出している。
【0036】
これにて、接触金具34は、前記ペンダント側コネクタ31の嵌合時に、接触片部34bの先端部が前記金属シュラウド36の外面に弾性的に接触するようになっている。またこのとき、接触片部34bの先端部の位置は、ペンダント側コネクタ31をコントローラ側コネクタ30に嵌合させる際に、前記各端子と端子ピン37とが接触するよりも先に前記接触金具34と金属シュラウド36とが接触されるように構成されている。尚、この接触金具34は、コネクタ15の嵌合時(及び取外し時)に、係止金具38と係合爪33との係合の邪魔にならないように配置されていることは勿論である。
【0037】
次に、上記構成の作用について述べる。ロボット本体21のティーチング作業やマニュアル操作を行なうために、ティーチングペンダント7をロボットコントローラ1に接続するにあたっては、接続ケーブル29の先端のペンダント側コネクタ31を、ロボットコントローラ1のコントローラ側コネクタ30に嵌合させるようにする。この場合、ユーザは、図1に示すように、ペンダント側コネクタ31を、その金属シュラウド36が、コントローラ側コネクタ30のハウジング32の外周に嵌挿するように矢印A方向に差込んでいくようにする。
【0038】
このとき、まず、接触金具34の先端部が金属シュラウド36の外面に接触するようになり、その後、コントローラ側コネクタ30の各端子とペンダント側コネクタ31の各端子ピン37とが接触するようになる。コネクタ15の嵌合(接続)が完了した状態では、ペンダント側コネクタ31の係止金具38がコントローラ側コネクタ30の係合爪33に係合され、嵌合状態にロックされる。
【0039】
これにて、図8に示すように、24Vの電源線2,8が接続され、0Vの電源線3,9が接続され、ロボットコントローラ1からティーチングペンダント7に対して駆動用の電源が供給される。これと共に、画像信号通信用の信号線5,6及び12,13を含む各信号線同士が接続される。この状態で、ロボットコントローラ1とティーチングペンダント7との相互間での信号の通信が可能となり、ティーチングペンダント7のキー操作部28の操作によるティーチング作業やマニュアル操作が可能となる。そして、画像通信素子4から画像通信素子11に通信された信号に基づいて、ティーチングペンダント7の表示部27の表示が制御される。
【0040】
また、上記作業後に、ティーチングペンダント7をロボットコントローラ1から取外す場合には、ユーザは、ペンダント側コネクタ31の押圧操作部39を操作して係止金具38の係合爪33に対する係合を解除した状態で、ペンダント側コネクタ31を引抜くようにする。このとき、コントローラ側コネクタ30の各端子とペンダント側コネクタ31の各端子ピン37との接触が切離された後に、接触金具34が金属シュラウド36から離間する(切離される)ようになる。
【0041】
しかして、ロボットコントローラ1の電源が投入されたままで、コントローラ側コネクタ30に対しペンダント側コネクタ31を接続、あるいは取外しが行なわれることがある。このとき、従来構成では、例えばペンダント側コネクタ31が傾いているなどにより、0Vの電源線3,9(端子)同士が接続されていない状態で、24Vの電源線2,8、並びに、信号線5,6及び13,14が接続された状態が生ずると、図8に破線の矢印で示すように、ティーチングペンダント7側において、24Vの電源線8から、コンデンサ12を介して0Vの電源線9を通って画像通信素子11に高圧(24V)の電流が流れ、更に、信号線14、信号線6を通ってロボットコントローラ1側の画像通信素子4に流れ込む虞があった。
【0042】
ところが、本実施例の構成では、コントローラ側コネクタ30に対するペンダント側コネクタ31の接続時には、グランド電位とされた接触金具34が、0Vの電源線9に電気的に接続された金属シュラウド36に接触することが、各端子と各端子ピン37との電気的接続に先立って行なわれるので、0Vの電源線9がアース接続されない状態で、24Vの電源線2,8、並びに、信号線5,6及び13,14が接続されるといった状況が生ずることがなくなるのである。また、コントローラ側コネクタ30に対するペンダント側コネクタ31の切離し時にも、同様に、0Vの電源線9がアース接続されていない状態で、24Vの電源線2,8、並びに、信号線5,6及び13,14が接続されているといった状況が生ずることがなくなるのである。
【0043】
この結果、本実施例によれば、ティーチングペンダント7側において、24Vの電源線8から、コンデンサ12を介して0Vの電源線9を通って画像通信素子11に高圧(24V)の電流が流れ、更に、信号線14、信号線6を通ってロボットコントローラ1側の画像通信素子4に流れ込むといったことがなくなり、画像通信素子4が破壊されるといったことを未然に防止することができる。
【0044】
しかも、本実施例では、コントローラ側コネクタ1部分に、グランド電位に接続された接触金具34を付加して、ペンダント側コネクタ31の金属シュラウド36に接触させるといった簡単な構成で上記不具合を防止することができ、従来のような端子ピンの長さを異ならせる場合と比べて、端子ピン37の組付け構造も簡単となり、簡単で安価な構成で済ませることができるものである。
【0045】
また、特に本実施例では、接触金具34を係合爪33部分(上下の鉤部33a同士間)に設けるようにしたので、接触金具34のための特別なスペースを設けることなく済ませることができ、接触金具34が係合爪33と係止金具38との係合の邪魔になることもない。さらに、接触金具34を、コントローラ側コネクタ1のグランド電位とされた金属フレーム26に直接的に取付ける構成としたので、電気的接続のための別途の配線等が不要となる、より簡単な構成で済ませることができるものである。
【0046】
尚、上記実施例では、ロボットコントローラ1とティーチングペンダント7とを接続するためのコネクタ15に本発明を適用するようにしたが、本発明は、例えば表示制御装置としてのパソコン等の情報機器と、それとは別体の画像表示装置(ディスプレイ)とをコネクタを介して接続する場合のようなコネクタ接続構造全般に適用することができる。また、接触金具34は、コントローラ側コネクタ(基板側コネクタ)30に後付けにより取付可能な構成とすることができる。さらに、コネクタの具体的な形状や構造などについても、種々の変形が可能であることは勿論である等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、接触金具部分の構成を示す横断平面図
【図2】コントローラ側コネクタ部分の斜視図
【図3】コントローラ側コネクタ部分の正面図
【図4】接触金具の斜視図
【図5】ペンダント側コネクタの先端部分の斜視図
【図6】ペンダント側コネクタの平面図
【図7】ロボットシステムの外観構成を概略的に示す斜視図
【図8】要部(コネクタ周辺)の電気的構成を概略的に示す図
【符号の説明】
【0048】
図面中、1はロボットコントローラ(表示制御装置)、2,3,8,9は電源線、4,11は画像通信素子、5,6,13,14は信号線、7はティーチングペンダント(画像表示装置)、15はコネクタ、21はロボット本体、26は金属フレーム、27は表示部、29は接続ケーブル、30はコントローラ側コネクタ(基板側コネクタ)、31はペンダント側コネクタ(装置側コネクタ)、32はハウジング、33は係合爪、36は金属シュラウド、37は端子ピン(端子)、38は係止金具、40はねじを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像通信素子を有する表示制御装置に、絶縁材製のハウジング内に電源端子及び信号端子を有する基板側コネクタを設けると共に、画像表示装置に、前記ハウジングの外周に嵌挿される筒状の金属シュラウドの内部に電源端子及び信号端子を有する装置側コネクタを設け、それらコネクタの嵌合により、前記表示制御装置と画像表示装置との電気的接続を行うようにした画像表示装置のコネクタ接続構造であって、
前記装置側コネクタの金属シュラウドが、前記電源端子のうち0V端子に電気的に接続されていると共に、
前記基板側コネクタのハウジングの外側部分に、グランド電位に接続され前記装置側コネクタの嵌合時に前記金属シュラウドの外面に接触する接触金具が設けられ、
前記装置側コネクタを前記基板側コネクタに嵌合させる際に、前記各端子同士の接触よりも先に前記接触金具と金属シュラウドとが接触されるように構成されていることを特徴とする画像表示装置のコネクタ接続構造。
【請求項2】
前記接触金具は、前記金属シュラウドの外面に弾性的に接触する板ばね状に構成され、前記装置側コネクタの接続時に該装置側コネクタに係合する係合爪の近傍に位置して取付けることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置のコネクタ接続構造。
【請求項3】
前記接触金具は、前記表示制御装置のグランド電位とされた金属フレームに直接的に取付けられることを特徴とする請求項1又は2記載の画像表示装置のコネクタ接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−188815(P2007−188815A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7313(P2006−7313)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】