画像解析装置および方法並びにプログラム
【課題】所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す複数の3次元画像の前記所定の方向における位置関係を、周期性構造物を基準にして、より高い精度で自動的に決定する。
【解決手段】所定の方向に周期性を有する周期性構造物(B1,B2,B3)を含む2つの3次元画像V1、V2の間のその所定の方向における位置の対応関係を、その周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて暫定的に決定した後(b)、その周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、3次元画像V1中のその所定の方向における任意の位置に対応する3次元画像V2中のその所定の方向における位置が、3次元画像V2中の位置のその所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、暫定的に決定された対応関係を修正する(c)。
【解決手段】所定の方向に周期性を有する周期性構造物(B1,B2,B3)を含む2つの3次元画像V1、V2の間のその所定の方向における位置の対応関係を、その周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて暫定的に決定した後(b)、その周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、3次元画像V1中のその所定の方向における任意の位置に対応する3次元画像V2中のその所定の方向における位置が、3次元画像V2中の位置のその所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、暫定的に決定された対応関係を修正する(c)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの3次元画像の所定の方向における位置の対応関係を決定する画像解析に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体軸方向に垂直なスライスによる複数の断面画像から構成される複数の3次元画像の比較読影を行う際に、オペレータによって指定された1対の対応するスライス位置と、各3次元画像のスライス厚等に基づいて、各3次元画像中の各断面画像の対応関係を決定し、各3次元画像中の相対応する断面画像を並べて表示する技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、特許文献1では、この1対の対応するスライス位置を自動決定する方法として、比較読影対象の複数の3次元画像間の相関演算を行い、相関が最大となる時の前記所定の構成軸方向における画像間のずれ量を求めることによって決定する技術が提案されている。ここで、相関演算を行う対象領域(ROI)は、オペレータの選択、あるいは、周波数解析等による自動選択によって決定される。
【特許文献1】特開平8−294485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人体を表す複数の3次元画像を構成する軸位断(axial)画像の比較読影を行う場合、呼吸等の影響を受けにくい椎骨を基準にして各3次元画像中の各軸位断画像の対応関係を決定し、相対応する軸位断画像を並べて表示することが、実際の読影現場から要望されている。
【0004】
しかしながら、比較読影対象の各3次元画像間の体軸方向の位置の対応関係を相関演算によって求める際、相関演算の対象領域を、椎骨以外の構造物(臓器等)を含む領域にすると、椎骨のように体軸方向に周期性を有する構造物のテクスチャは、その周期性により、各3次元画像間の相関に対する寄与が小さいので、実際には椎骨以外の構造物が基準となって対応関係が決定されてしまい、椎骨の位置関係がずれた軸位断画像が並べられて表示されてしまうことがあり得る。図20はこのようなケースの具体例を模式的に表したものである。図20(a)は3次元画像V1の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像を表している。ここで、例えば、断面顔図全体に注目して、この断面画像と相関の高い断面画像を3次元画像V2から特定する場合、3次元画像V2から得られる断面画像の断面の体軸方向の位置によって肝臓のテクスチャは大きく変動するが、椎骨のテクスチャは肝臓ほどは変動しないので、肝臓のテクスチャの類似性が高い断面画像が3次元画像V2から特定されることになる。ところが、図20(b)に示したように、被検体の胸部から腹部にかけての断面画像では、呼吸等の影響により、肝臓と椎骨の位置関係が変動しうるため、3次元画像V2から特定された断面画像の断面の位置は、3次元画像V1と同様に椎骨B2の中央付近となるとは限らない。
【0005】
一方、相関演算の対象領域を椎骨の領域のみにすると、椎骨のテクスチャの周期性により、異なる椎骨が対応づけられてしまい、椎骨の位置関係がずれた軸位断画像が並べられて表示されてしまうことがあり得る。図21はこのようなケースの具体例を模式的に表したものである。図21(a)に示した3次元画像V1の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像と椎骨のテクスチャが類似する断面画像を3次元画像V2から特定する場合、椎骨のテクスチャの周期性により、3次元画像V2中の椎骨B2の中央付近だけでなく、椎骨B1の中央付近の断面による断面画像も3次元画像V1の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像と類似する(図21(b))。したがって、両3次元画像間での撮影条件の相違等の影響により、3次元画像V1の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像と3次元画像V2中の椎骨B1の中央付近の断面による断面画像の相関が、3次元画像V2中の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像との相関よりも高くなってしまい、その結果、3次元画像V1の椎骨B2と3次元画像V2の椎骨B1とが対応づけられてしまうことがあり得る。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す複数の3次元画像の前記所定の方向における位置関係を、周期性構造物を基準にして、より高い精度で自動的に決定することを実現する画像解析装置および方法並びにプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像解析装置は、所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定する対応関係決定手段と、前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記対応関係決定手段によって決定された前記対応関係を修正する対応関係修正手段とを設けたものであって、前記対応関係修正手段が、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行うようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明の画像解析方法は、所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定するステップと、前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記決定された前記対応関係を修正するステップとからなる方法であり、前記修正するステップにおいて、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行うようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明の画像解析プログラムは、コンピュータに上記画像解析方法を実行させるものである。
【0010】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0011】
「被検体」は、所定の方向に周期性を有する周期性構造物だけでなく、その周期性構造物との位置関係が前記所定の方向に変位しうる構造物も有していると、本発明の効果がより顕著となる。
【0012】
「所定の方向に周期性を有する周期性構造物」の具体例としては、人体の体軸方向に椎骨を1周期とする周期性を有する脊柱が挙げられる。この場合、脊柱(椎骨)との位置関係が体軸方向に変位しうる構造物の具体例として、呼吸等により変位しうる肺等の臓器が挙げられる。
【0013】
また、「被検体」は同種のものであることが好ましいが、同一の個体であるかどうかは問わない。
【0014】
「2つの3次元画像」は、同一モダリティでの撮影によって得られたものであってもよいし、異なるモダリティでの撮影によって得られたものであってもよい。また、同一検査の異なるシリーズで得られたものであってもよいし、例えば検査日の異なる2つの検査で得られたものであってもよい。さらに、同一検査で得られる、被検体の3次元的動態、すなわち被検体の3次元的な状態変化を表す4次元画像中の2つの時点を表す3次元画像であってもよい。
【0015】
「3次元画像」の画像データは、例えば、前記所定の方向の構成軸上の複数の点における断面画像の画像データの集合として構成されたものであってもよいし、前記所定の方向とは異なる構成軸上の複数の点における断面画像の画像データの集合として構成されたものであってもよい。さらに、ボクセルデータ等の3次元の座標系に基づく画像データであってもよく、この場合、画像データの座標系の座標軸が前記所定の方向と一致していなくてもよい。
【0016】
「2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係」とは、一方の3次元画像に表された被検体中の任意の点の前記所定の方向における位置と、他方の3次元画像に表された被検体中の任意の点の前記所定の方向における位置とを対応づけるものであるが、2つの3次元画像間での被検体の姿勢や撮影範囲、状態(呼吸相等)の相違等の影響により、何を基準として対応づけるかによって、決定される対応関係は異なってくる。
【0017】
「周期性構造物の寄与がより低い基準」とは、前記対応関係の決定の際に、3次元画像に表された周期的構造物の存在が大きな影響を及ぼさないような基準であり、周期性構造物の存在がまったく影響を及ぼさないような基準(周期性構造物の寄与がない基準)であってもよい。具体例としては、周期的構造物を含む被検体全体の画像から得られる特徴量や、被検体中の周期的構造物以外の部分の画像から得られる特徴量を用いた基準が挙げられる。なお、ここで、特徴量は、その画像の各画素の画素値の集合であってもよい。また、2つの3次元画像の被検体の前記所定の方向における撮影範囲がほぼ一致することが予めわかっている場合、3次元画像の画像データが前記所定の方向の構成軸上の複数の点における断面画像の画像データの集合として構成されたものであれば、各断面画像を識別するスライス番号やスライス間隔を用いた基準としてもよいし、3次元画像の画像データが3次元座標系の画像データであれば、前記所定の方向における位置を表す座標値を用いた基準としてもよい。
【0018】
「(対応関係を)決定する」具体的方法としては、前記の基準として画像の情報そのものを用いる場合には、上記特許文献1に記載されているように、両3次元画像間の相関演算により相関が最大となる時の前記所定の方向における画像間のずれ量を求めることによって前記の対応関係を決定することが考えられる。また、前記2つの3次元画像の各々について、3次元画像の前記所定の方向における複数の位置での断面による断面画像に表された前記被検体中の部位を、該断面画像中の前記周期性構造物以外の部分を含む領域の特徴を表す特徴量を少なくとも1つ用いて認識し、前記2つの3次元画像の複数の部位において認識された部位の一致度が所定の基準を満たす程度に高くなるように前記対応関係を決定するようにしてもよい(参考文献1:特開2008-6188号公報等参照)。一方、スライス番号を前記の基準として用いる場合には、両3次元画像中のスライス番号が一致する断面画像を対応づけることによって前記の対応関係を決定することが考えられる。ここで、両3次元画像のスライス間隔が異なる場合には、スライス番号とスライス間隔とから、各3次元画像での前記所定の方向における相対的位置が一致する断面画像を特定し、特定された断面画像を対応づけることによって前記の対応関係を決定することが考えられる。また、前記所定の方向における位置の座標値を前記の基準とする場合には、その座標値が一致する位置を対応づけることによって前記の対応関係を決定することが考えられる。
【0019】
「前記周期性構造物の寄与がより高い基準」とは、前記対応関係の修正の際に、3次元画像に表された周期的構造物の存在が大きな影響を及ぼすような基準である。具体例としては、周期的構造物のみを含む画像中の領域から得られる特徴量や、周期的構造物が大部分を占める画像中の領域から得られる特徴量を用いた基準が挙げられる。なお、ここで、特徴量は、その画像中の領域の各画素の画素値の集合であってもよい。
【0020】
対応関係の修正の際の「近傍の範囲」の具体例としては、前記周期性構造物の1周期の長さよりも小さい範囲が挙げられる。
【0021】
また、「対応関係を修正する」具体的方法としては、一方の前記3次元画像中の所与の点における前記所定の方向に垂直な断面による断面画像から前記周期性構造物を検出し、該検出された周期性構造物を含む注目領域を設定し、前記対応関係決定手段によって決定された対応関係によって対応づけられる、前記一方の3次元画像中の前記所与の点に対応する他方の前記3次元画像中の点の前記近傍の範囲内の複数の候補点における、前記所定の方向に垂直な断面による断面画像の各々から、前記周期性構造物を検出し、該複数の候補点における前記断面画像の各々に、該断面画像から検出された周期性構造物を含む、前記注目領域に対応する候補領域を設定し、該複数の候補点における候補領域のうち、前記注目領域との類似度が最大となる候補領域が含まれる前記断面画像の断面の前記所定の方向における位置を特定し、該特定された位置が、前記一方の前記3次元画像中の前記所与の点と対応づけられるように、前記対応関係の修正を行うことが考えられる。ここで、類似度の算出には、2つの3次元画像が同じモダリティで取得されたものである場合には、注目領域と候補領域の画素値の相関を用いることができ、2つの3次元画像が異なるモダリティで取得されてものである場合には、注目領域と候補領域についての相互情報量を用いることができる。
【0022】
なお、本発明の画像解析装置および方法並びにプログラムを用いて、3以上の3次元画像間の前記位置の対応関係を求めてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係が、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて暫定的に決定された後、前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記の暫定的に決定された前記対応関係が修正される。したがって、最終的に得られる前記位置の対応関係は、実際の読影現場からの要望に合致した、前記所定の方向において、被検体中の周期性構造物の同じ位置を表す各3次元画像中の位置を対応づけたもの、すなわち、主に周期性構造物を基準として決定されたものとなる。
【0024】
また、主に周期性構造物を基準として対応関係を最終的に決定する前に、主に周期性構造物以外を基準として暫定的な対応関係の決定を行い、主に周期性構造物以外の基準に基づいて暫定的に決定された前記対応関係に対する微調整の範囲で、主に周期性構造物を基準とする前記対応関係に修正されるので、両3次元画像間で、周期的構造物の1周期を構成する単位構造物の異なるものに対応づけられてしまう可能性が低減され、より高い精度で前記対応関係を最終的に決定することができる。
【0025】
さらに、前記対応関係の決定を自動的に行うので、ユーザの負荷が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態として、異なる検査で得られた2つの3次元画像の各々を構成する、人体の体軸方向に垂直な断面による複数のスライス画像中に表された被検体の部位を認識し、認識された部位を基準として両3次元画像の体軸方向の位置の対応関係を暫定的に決定した後、各スライス画像から検出された椎骨領域を主に含む関心領域を基準として、暫定的に決定された対応関係を修正し、脊柱(椎骨)を基準とした修正後の対応関係に基づいて、両3次元画像中の対応するスライス画像を同時に表示する画像解析・表示処理について説明する。
【0027】
図1に、本発明の上記実施形態を実現する画像処理ワークステーション2が導入された医療情報システムの概略構成を示す。図に示すように、このシステムは、医用画像の撮影装置(モダリティ)1、画像処理ワークステーション2、画像サーバ3、画像データベース4が、ネットワーク19を介して互いに通信可能な状態で接続されて構成されている。画像処理ワークステーション2および画像サーバ3は、CD−ROM等の記録媒体からインストールされたプログラムによって制御される。また、プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で接続されたサーバからダウンロードされた後にインストールされたものであってもよい。
【0028】
モダリティ1には、被検体の検査対象部位を撮影することにより、その部位を表した画像の画像データを生成し、その画像データに、検査情報や患者情報等の付帯情報を付加して出力する装置が含まれる。付帯情報は、DICOM規格等の標準化された規格やそのモダリティ等のメーカー独自の規格に準拠したフォーマットのものである。モダリティ1の具体例としては、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、PET(Positron Emission Tomography)、超音波撮影装置等が挙げられる。なお、本実施形態では、画像データは、CT,MRI等の被検体の検査対象部位を表す3次元画像の画像データであり、所定のスライス間隔やスライス厚による軸位断画像(スライス画像)の画像データの集合体として構成されるものとする。
【0029】
画像処理ワークステーション2は、処理装置と1台以上の高精細ディスプレイとキーボード・マウス等の入力機器、画像サーバ3等とネットワーク19を介して通信を行う通信インターフェースにより構成されるコンピュータであり、被検体の検査対象部位を表す画像の画像データを入力として様々な画像解析等の画像処理を行い、処理済の画像を様々な表示形式でディスプレイに表示させるソフトウェアプログラムがインストールされている。なお、本発明の上記実施形態の画像解析・表示処理は、この画像処理ワークステーション2において、画像解析・表示プログラムが実行されることによって実現される。
【0030】
画像サーバ3は、汎用の比較的処理能力の高いコンピュータにデータベース管理システム(DataBase Management System: DBMS)の機能を提供するソフトウェアプログラムがインストールされたものである。また、画像サーバ3は画像データベース4が構成される大容量ストレージを備えている。このストレージは、画像サーバ3とデータバスによって接続された大容量のハードディスク装置であってもよいし、ネットワーク19に接続されているNAS(Network Attached Storage)やSAN(Storage Area Network)に接続されたディスク装置であってもよい。画像サーバ3も、モダリティ1や画像処理ワークステーション2等とネットワーク19を介して通信を行う通信インターフェースを有しており、モダリティ1で撮影・取得された画像の画像データを受信し、画像データベース4に登録したり、画像処理ワークステーション2からの検索要求に応じて、画像データベース4に登録された画像データの中から検索要件に合致する画像データを抽出し、抽出された画像データを、検索要求を行った画像処理ワークステーション2に送信したりする。
【0031】
ネットワーク19は病院内の各種装置を接続するローカルエリアネットワークである。但し、読影ワークステーション2が他の病院あるいは診療所にも設置されている場合には、ネットワーク19は、各病院のローカルエリアネットワーク同士をインターネットもしくは専用回線で接続した構成としてもよい。いずれの場合にも、ネットワーク9は光ネットワークなど画像情報の高速転送を実現できるものとすることが望ましい。
【0032】
図2は、画像処理ワークステーション2に実装された機能のうち、本発明の上記実施形態の画像解析・表示処理を実現する機能をブロック化して模式的に表したものである。図に示したように、本発明の実施形態の画像解析・表示処理は、制御部21、画像データ取得部22、部位認識部23、椎骨検出部24、椎骨ROI設定部25、類似度算出部26、GUI制御部27によって実現される。
【0033】
制御部21は、本発明の上記実施形態の画像解析・表示処理の全体を制御するものである。具体的には、画像データ取得部22、部位認識部23、椎骨検出部24、椎骨ROI設定部25、類似度算出部26、GUI制御部27の各機能の処理対象のデータを決定したり、各機能を所定の順序で呼び出したりするとともに、各処理部による処理結果を用いて処理対象となる2つの3次元画像の画像間の位置関係の決定・修正を行うものであり、本発明の上記実施形態の画像解析・表示プログラムのメインプログラムの実行によって実現されるものである。本実施形態では、このプログラムの起動時には、処理対象となる2つの3次元画像の画像データを特定するための情報として、検査IDおよびシリーズID等が起動パラメータとして与えられる。なお、制御部21の処理の詳細については図3等を用いて後述する。
【0034】
画像データ取得部22は、検査IDおよびシリーズID等を入力として、画像サーバ3に対する検索要求を行う。画像サーバ3がこの検索要求に応じて画像データベース4の検索を行い、これらの検査IDおよびシリーズID等と関連づけられた処理対象の2つの3次元画像の画像データを抽出し、画像処理ワークステーション2に送信すると、画像データ取得部22は、その画像データを受信し、画像処理ワークステーション2のハードディスクの所定の領域に格納する。格納形式としては、3次元画像を構成するスライス画像毎に1つの画像ファイルとして格納し、1つの3次元画像を1つのフォルダ(ディレクトリ)としてそのフォルダ配下にその3次元画像に属する複数の画像ファイルを対応づけて管理することが考えられる。また、各画像ファイルのヘッダ部分には、スライス番号や、スライス間隔、スライス位置等の付帯情報が格納されており、各処理部は、自らが必要とする情報を取得可能となっている。
【0035】
部位認識部23は、図4に模式的に示したように、N枚のスライス画像から構成される3次元画像を入力として、各スライス画像1からNに含まれる被検体の部位(撮影部位)を認識する処理を行い、スライス番号と認識された部位を対応づけたリスト形式で表現されうる処理結果を画像処理ワークステーション2の所定のメモリ領域に格納するものである。ここで、被検体が人体の場合、認識される撮影部位は、例えば、頭部、頭頸部、頸部、胸部、胸腹部、腹部、骨盤部、脚部となる。また、各部位を認識する際には、各スライス画像中の人体領域内の空気領域や骨領域の人体領域に対する割合、その人体領域の周長と同じ周長を有する円の面積に対する人体領域の面積の割合(円形度)等の多種の特徴量を用いて、Adaboost手法に基づく学習で得られる判別器によって、スライス画像毎に、各部位らしさを表すスコアを算出し、そのスコアを用いて、動的計画法により、人体の体部の解剖学的位置関係に整合するように、各スライス画像の撮影部位を決定する。したがって、各スライス画像の撮影部位の決定要素として多種の特徴量を用いているため、各スライス画像中の椎骨領域の情報の部位認識結果に対する寄与は低いものとなる。なお、部位認識処理の詳細については図9から12等を用いて後述する。
【0036】
椎骨検出部24は、3次元画像を入力として、AdaBoost手法を用いて脊柱の画像を学習させておいた判別器を用いて、そのスライス画像中に含まれる椎骨(図7(a)参照)を検出する処理を行い、3次元画像を構成する各スライス画像中の椎骨の中心を表す点を検出点として、各スライス画像におけるその検出点の位置座標を画像処理ワークステーション2の所定のメモリ領域に格納するものである。なお、椎骨検出処理の詳細については図13から19等を用いて後述する。
【0037】
椎骨ROI設定部25は、椎骨の検出点が決定された1枚のスライス画像を入力として、検出点を中心とする所定のサイズの領域(例えば、図7(b)に例示した256画素×256画素の矩形領域)を関心領域(ROI)として設定し、その関心領域の画像データを画像処理ワークステーション2の所定のメモリ領域に格納するものである。
【0038】
類似度算出部26は、類似度算出対象の関心領域の画像データを入力として、各関心領域の画素値の相関を求める処理を行い、算出された相関値と、入力された関心領域の画像データが含まれるスライス画像のスライス番号とを対応づけて、画像処理ワークステーション2の所定のメモリ領域に格納するものである。なお、この処理は、入力された2つの画像のモダリティが同一であることを前提としたものであり、2つの画像のモダリティが異なる場合には、2つの画像の相互情報量を求めればよい。また、類似度算出部26の呼び出しの際に、各入力画像データのモダリティも起動パラメータとして受け取るようにし、その起動パラメータに応じて、相関と相互情報量のどちらを求めるかを決定するようにしてもよいし、各入力画像データのモダリティ毎に異なる類似度算出部26を用意しておき、制御部21が各入力画像データのモダリティ1に応じて適切な類似度算出部26を呼び出すようにしてもよい。
【0039】
GUI制御部27は、画像処理ワークステーション2のグラフィカル・ユーザ・インターフェースの制御を行うものであり、表示対象の2つのスライス画像の画像データを入力とし、2つのスライス画像を画像処理ワークステーション2のディスプレイに並べて同時に表示させる制御を行ったり、画像処理ワークステーション2のディスプレイに所定のメニュー画面を表示させる制御を行ったり、マウスやキーボード等の入力装置による操作を受け付けたりするものである。
【0040】
次に、図3のフローチャートを用いて、本発明の実施形態となる画像解析・表示処理の流れについて説明する。この処理の流れは、画像処理ワークステーション2の制御部21による制御に基づいて、画像処理ワークステーション2の他の各処理部や画像サーバ3の各処理部による処理が連携されることによって、実現されている。
【0041】
まず、画像処理ワークステーション2において、本発明の画像解析・表示プログラムが起動されると、制御部21は、その起動パラメータから処理対象の2つの3次元画像を表す検査IDおよびシリーズID等を取得した後、画像データ取得部22を呼び出し、起動パラメータから取得された検査IDおよびシリーズID等を引き渡す。画像データ取得部22は、その検査ID、シリーズID等を検索キーとする検索要求を画像サーバ3に送信し、画像サーバ3での画像データベース4の検索によって抽出された、その検索要求に合致する画像データを画像サーバ3から受信し、スライス画像毎の画像ファイル群として、画像処理ワークステーション2のハードディスクの所定の領域に格納し、画像データの取得完了メッセージを制御部21に返す(#1)。
【0042】
次に、制御部21は、GUI制御部27に、取得された2つの3次元画像の各々を構成するスライス画像の表示と、基準スライス画像の指定の受付を行わせる(#2)。具体的には、制御部21は、GUI制御部27を呼び出し、画像データ取得部22によって取得された2つの3次元画像の各々の先頭のスライス画像の画像データを特定する情報(画像ファイル名等)を引き渡す。GUI制御部27は、その画像データに基づいて各3次元画像の先頭のスライス画像をディスプレイに表示させる。ここで、ユーザが、例えば、ディスプレイに表示されているスライス画像の一方をクリックし、そのスライス画像上でマウスのホイール操作を行うと、GUI制御部27はクリックされた側のスライス画像の表示の切替要求として受け付け、その要求を制御部21に引き渡す。制御部21は、その要求に応じて、クリックされた側の3次元画像の次のスライス画像の画像データを特定する情報をGUI制御部27に引き渡し、GUI制御部27は引き渡された情報に基づいて次のスライス画像をディスプレイに表示させる。これを繰り返すことによって、ユーザは一方の3次元画像を構成するスライス画像を切り替えて順次表示させていくことができる。ユーザが、切替表示されている3次元画像の側で所望のスライス画像が表示された時点で、例えば、「対応スライスの表示」を画面中のメニュー等から選択する操作を行うと、GUI制御部27はその切替えによって表示されたスライス画像に対応する他方の3次元画像中のスライス画像の表示要求として受け付け、その要求を制御部21に引き渡す。制御部21は、この対応スライスの表示要求を受け取ると、その時点で切替え表示が行われていた方の3次元画像のうちの現在表示されているスライス画像を特定する情報を基準スライス画像の情報として所定のメモリ領域に格納する。
【0043】
次に、制御部21は、部位認識部23に、画像データ取得部22によって取得された2つの3次元画像の画像データを入力とする部位認識処理を行わせる(#3)。具体的には、制御部21は、部位認識部23を呼び出し、画像データ取得部22によって取得された2つの3次元画像の画像データの一方を特定する情報を引き渡す。部位認識部23は、その一方の3次元画像の画像データを入力として、その3次元画像の複数のスライス画像中に表された被検体の部位を認識する画像解析処理を行い、認識結果を所定のメモリ領域に格納し、処理完了メッセージを制御部21に返す。制御部21は、画像データ取得部22によって取得された2つの3次元画像データの他方についても同様にして、部位認識部23に処理させる。
【0044】
制御部21は、上記参考文献1に記載されているように、部位認識部23による認識結果に基づいて、まず、両3次元画像の異なる部位間の境界の位置を対応づけていき、次に、2つの境界の間の同一部位と認識されたスライス画像について、その部位内での体軸方向における相対的な位置が一致するスライス画像同士を対応づけていき、さらに、3次元画像の一方の端部と1つの境界との間のスライス画像について、境界に近いスライス画像から順に対応づけていくことによって、両3次元画像中のスライス画像について、体軸方向の位置の対応関係を暫定的に決定する(#4)。
【0045】
図5は、2つの3次元画像V1、V2に対して部位認識結果に基づく対応関係を暫定的に決定した例を模式的に表したものである。この例では、まず、胸部と腹部の境界の位置に注目して、3次元画像V1のスライス番号10,11のスライス画像に対して、3次元画像V2のスライス番号12,13のスライス画像が各々対応づけられるとともに、腹部と骨盤部の境界の位置に注目して、3次元画像V1のスライス番号18,19のスライス画像に対して、3次元画像V2のスライス番号21,22のスライス画像が各々対応づけられる。次に、上記2つの境界の間の腹部と認識されたスライス画像については、例えば、両3次元画像中の、胸部と腹部の境界から腹部と骨盤部の境界までの間をn1:n2の比に内分する位置のスライス画像同士が対応づけられる。さらに、画像の上端から胸部と腹部の境界までの間の胸部と認識されたスライス画像については、3次元画像V1のスライス番号9,8,7,・・・が、各々、3次元画像V2のスライス番号11,10,9,・・・に対応づけられるとともに、腹部と骨盤部の境界から画像の下端までの間の骨盤部と認識されたスライス画像については、3次元画像V1のスライス番号20,21,22,・・・が、各々、3次元画像V2のスライス番号23,24,25,・・・に対応づけられる。
【0046】
なお、上記の境界部分以外のスライス画像についての部位内の比率等を利用した対応づけは、スライス番号のみを用いて行ってもよいし、スライス間隔および/または各スライス画像のスライス位置の座標値を用いた座標計算によって行ってもよい。
【0047】
このようにして部位認識結果に基づいて両3次元画像間の体軸方向の対応関係が暫定的に決定された後、制御部21は、部位認識結果に基づく対応関係を、脊柱(椎骨)を基準とした対応関係に修正するために、前記の他方の3次元画像中に、修正によって新たに基準スライス画像と対応づけられるスライス画像の候補となる複数の候補スライス画像を決定する(#5)。具体的には、制御部21は、ステップ#2で指定された基準スライス画像(ここでは3次元画像V1中の画像とする)の情報をメモリ領域から読み込んだ後、図6に示したように、ステップ#4で暫定的に決定された部位認識結果を基準とした対応関係に基づいて、3次元画像V1に設定された基準スライス画像に対応する3次元画像V2中のスライス画像を特定し、そのスライス画像の体軸方向のスライス位置を中心として、椎骨の体軸方向の長さよりも短い範囲内にスライス位置を有するスライス画像を候補スライス画像に決定する。ここで、椎骨の体軸方向の長さは、人体の椎骨の大きさの平均および分散等の解剖学的知見に基づき、予め設定ファイルやプログラムの起動パラメータとして定義しておけばよく、実際には約3cm程度とすることができる。さらに、候補スライス画像の決定方法としては、各スライス画像のスライス間隔を付帯情報から取得し、椎骨の体軸方向の長さの範囲内に何枚のスライス画像が存在しうるかを求め、前記の基準スライス画像と暫定的に対応するスライス画像を中心として、その枚数のスライス画像を候補スライス画像とする方法が挙げられる。あるいは、各スライス画像のスライス位置(座標値)を付帯情報から取得し、そのスライス位置と椎骨の体軸方向の長さとから、候補スライス画像のスライス位置の存在範囲を座標計算によって求め、その存在範囲内にスライス位置を有するスライス画像を候補スライス画像とすることもできる。
【0048】
次に、制御部21は、決定された基準スライス画像および候補スライス画像の各々の画像データから椎骨を検出する処理を椎骨検出部24に行わせる(#6)。具体的には、制御部21は、椎骨検出部24を呼び出し、2つの3次元画像のうちの一方の画像データを特定する情報を引き渡す。椎骨検出部24は、その3次元画像の画像データを入力として、画像中の椎骨を検出する画像解析処理を行い、各スライス画像の椎骨の検出点の位置座標を所定のメモリ領域に格納し、処理完了メッセージを制御部21に返す。制御部21は、他方の3次元画像についても同様にして椎骨検出部24に処理させる。
【0049】
さらに、制御部21は、基準スライス画像および候補スライス画像の各々に対して椎骨を主に含む関心領域を設定する処理を椎骨ROI設定部25に行わせる(#7)。具体的には、制御部21は、椎骨ROI設定部25を呼び出し、基準スライス画像および候補スライス画像のうちの1つの画像の画像データを特定する情報およびその画像中の椎骨の検出点の位置座標の情報を引き渡す。椎骨ROI設定部25は、これらの引き渡された情報に基づき、そのスライス画像中の検出点を中心とする関心領域を設定し、その関心領域の画像データを所定のメモリ領域に格納し、処理完了メッセージを制御部21に返す。制御部21は、基準スライス画像および候補スライス画像のうちの他の画像についても同様にして椎骨ROI設定部25に処理させる。
【0050】
そして、制御部21は、基準スライス画像中の関心領域と各候補スライス画像中の関心領域との類似度を算出する処理を類似度算出部26に行わせる(#8)。具体的には、制御部21は、類似度算出部26を呼び出し、基準スライス画像中の関心領域の画像データおよび候補スライス画像のうちの1つの画像中の関心領域の画像データを特定する情報を引き渡す。類似度算出部26は、これらの引き渡された情報に基づいて、2つの画像中の関心領域の画像データを取得し、これらの関心領域の類似度(相関値や相互情報量)を算出し、算出結果を所定のメモリ領域に格納し、処理完了メッセージを制御部21に返す。制御部21は、候補スライス画像のうちの他の画像中の関心領域についても同様にして類似度算出部26に基準スライス画像中の関心領域との類似度を算出させる。
【0051】
制御部21は、類似度算出部26によって算出された基準スライス画像中の関心領域と各候補スライス画像中の関心領域との類似度に基づき、関心領域の類似度が最大となる候補スライス画像を基準スライス画像と新たに対応づけることによって、部位認識結果を基準とする両3次元画像間の対応関係を、脊柱(椎骨)を基準とする対応関係に修正する(#9)。このとき、両3次元画像中の他のスライス画像の対応関係は、修正前後での基準スライス画像に対応するスライス画像の移動量(スライス枚数やスライス位置の座標値の変位量)に基づいて順次修正すればよい。
【0052】
最後に、制御部21は、ステップ#8の修正によって得られた椎骨を基準とする対応関係によって対応づけられる2つのスライス画像を画像処理ワークステーション2のディスプレイに同時に表示させる処理をGUI制御部27に行わせる(#10)。具体的には、制御部21は、GUI制御部27を呼び出し、対応する2つのスライス画像の画像データを特定する情報を引き渡す。GUI制御部27は、これらの引き渡された情報に基づいて、表示対象の2つの画像の画像データを取得し、ディスプレイに並べて表示させる。このとき、一定時間間隔あるいはユーザの操作等のトリガに応じて、表示対象の、対応する2つのスライス画像の両方を順次切り替えるようにしてもよい。具体的には、ステップ#2と同様に、GUI制御部21が、そのトリガを検出したらその旨を制御部21に引き渡し、制御部21が次に表示する2つのスライス画像の画像データを特定する情報を新たにGUI制御部27に引き渡すようにすればよい。
【0053】
図8は、本発明の上記の実施形態により、3次元画像V1とV2の対応関係が決定・修正される様子を、両3次元画像の体軸に平行な断面で模式的に表したものである。図8(a)(b)に示したように、本発明の上記の実施形態によれば、制御部21が、まず、部位認識部23による部位認識結果に基づいて両画像V1,V2の対応関係を決定する。図8(a)(b)では、胸部と腹部の境界にスライス位置を有する3次元画像V1のスライス画像SL10と3次元画像V2のスライス画像SL20とが対応づけられている。次に、制御部21は、3次元画像V1中に基準スライス画像(図8(a)ではスライス画像SL10とする)を設定し、その基準スライス画像に対応する3次元画像V2中のスライス画像(図8(b)ではスライス画像SL20)を中心として椎骨の体軸方向の長さよりも短い範囲内にあるスライス画像を候補スライス画像とし、椎骨検出部24と椎骨ROI設定部25の処理により基準スライス画像と各スライス画像中に椎骨を主に含む関心領域を設定させ、類似度算出部26に基準スライス画像中の関心領域と各候補スライス画像中の関心領域の類似度を算出させる。そして、制御部21は、基準スライス画像SL10中の関心領域との類似度が最大となる関心領域を有する候補スライス画像(図8(c)ではスライス画像SL21)を、基準スライス画像SL10と新たに対応づけることによって対応関係の修正を行う。これにより、3次元画像V1とV2の対応関係は、図8(a)と(b)に示した部位認識結果を基準にしたものから、図8(a)と(c)に示した椎骨の位置を基準にしたものに修正され、この対応関係に基づいて画像処理ワークステーション2に同時に並べて表示される両画像V1,V2中の対応する2つのスライス画像(例えばスライス画像SL10とスライス画像SL21)は、椎骨の同一の位置を表したものとなり、実際の読影現場でのユーザの要望に合致した非常に見やすいものとなる。
【0054】
また、制御部21が、検出された椎骨の検出点を中心とする椎骨の体軸方向の長さよりも短い範囲内で、3次元画像V1中の基準スライス画像SL10に対する候補スライス画像を決定するので、図8の椎骨B1やB3の中央部の、スライス画像SL20と類似した椎骨のテクスチャを含むスライス画像は、候補スライス画像から除外され、異なる椎骨に基づいて対応関係が修正されることも回避される。したがって、椎骨を基準とする対応関係の修正精度も極めて高いものとなる。
【0055】
さらに、上記の処理は、画像処理ワークステーション2の制御部21の制御により自動的に行われるので、ユーザが両画像中の対応するスライス画像を手作業で設定する負荷も軽減される。
【0056】
次に、上記の実施形態において、部位認識部23で行われる部位認識処理と、椎骨検出部24で行われる椎骨検出処理の詳細について補足説明する。
【0057】
(1)部位認識処理の詳細
以下、本出願人が特願2007-104846号にて提案している手法について説明する。
【0058】
図9は、部位認識部23の処理の詳細を表すブロック図である。図に示すように、入力された断層画像SLn(n=1,2,・・・)の正規化を行う正規化処理部23aと、正規化された断層画像SNnから多数の特徴量cnm(m=1,2,・・・)を算出する特徴量算出部23bと、正規化断層画像SNn毎に算出された特徴量cnmを、AdaBoost手法によって得られた判別器に入力して、部位らしさを表す部位毎のスコアscnp(p=頭部、頭頸部、頸部、胸部、胸腹部、腹部、骨盤部、脚部)を算出する部位スコア算出部23cと、算出された部位スコアscnpを入力として、動的計画法を用いて、上記体部の並び順が保たれるように各入力断層画像SLnに表された部位Pnを決定する部位決定部23dとから構成される。
【0059】
正規化処理部23aは、入力画像SLnから人体領域を抽出し、抽出された人体領域の情報からランドマーク(基準点)を算出し、算出されたランドマークを基準としてアフィン変換を行って入力画像を拡大・縮小、平行移動、回転させて正規化画像SNnを生成する処理を行う。この正規化処理の目的は、入力される断層画像SLnにおける、個体差や撮影条件等による画像中の人体領域の大きさや傾きのばらつきを排除し、人体領域中の構造物(例えば骨領域や空気領域)の位置を合わせておくことにより、後続の部位認識処理の効率や精度を上げることにある。
【0060】
ここで、入力画像SLnから人体領域を抽出する方法は本発明の実施時点における公知の方法でよく、例えば、入力画像SLnに対して2値化処理とノイズ除去処理を行った後、輪郭抽出処理により人体領域候補となる輪郭を抽出し、抽出された各輪郭の内部の面積が所定の閾値未満の輪郭を除去し、残った輪郭の内部を人体領域と判定する方法(特開平9−187444号公報参照)等が挙げられる。
【0061】
また、ランドマークは、例えば、輪郭線と正中面との交点となる2点とすることができる。具体的には、抽出された人体領域に対するラベリング処理によって得られるラベリング数に応じて、図10のようにランドマークを求めることができる。図10(a)(b)のようにラベリング数が1の場合には、ラベリング領域(人体領域)RLの重心Gを求め、その重心Gを通る長軸ALおよび短軸AS、ならびに、その重心Gを通る、断層画像SLnの上下方向の直線LVを設定し、長軸ALと短軸ASのうち直線LVとなす角が小さい方の軸と人体領域RLの輪郭線との交点をランドマークLM1、LM2とする。図10(a)は、短軸ASと直線LVのなす角の方が長軸ALと直線LVのなす角よりも小さい場合を模式的に表したものであり、胸部、胸腹部、腹部、骨盤部が表された画像に相当する。図10(a)は、長軸ALと直線LVのなす角の方が短軸ASと直線LVのなす角よりも小さい場合を模式的に表したものであり、頭部、頭頸部、頸部が表された画像に相当する。また、図10(c)はラベリング数が2の場合であり、脚部が表された画像に相当する。この場合には、各ラベリング領域RL1、RL2について、重心G1、G2を求め、各重心G1、G2を通る長軸AL1、AL2および短軸AS1、AS2、ならびに、その各重心G1、G2を通る、断層画像SLnの上下方向の直線LV1、LV2を設定し、各ラベリング領域について、長軸AL1、AL2と短軸AS1、AS2のうち直線LV1、LV2となす角が小さい方の軸と人体領域RL1、RL2の輪郭線との交点をIS11、IS12、IS21、IS22とし、互いに交差しない線分IS11 IS21、線分IS12 IS22の中点を各々ランドマークLM1、LM2とする。なお、2つのラベリング領域の面積比が所定の範囲にない場合、すわなち、2つのラベリング領域の面積の差が所定の閾値よりも大きい場合には、面積の小さい方のラベリング領域は医療器具等であると判断し、面積が大きい方のラベリング領域について上記のラベリング数が1の場合と同様の処理を行う。図10(d)はラベリング数が3の場合であり、頸部と両腕が表された画像に相当する。この場合には、各ラベリング領域RL1、RL2、RL3のうち面積が最大の領域(ここではRL2)に対して上記のラベリング数が1の場合と同様にして
ランドマークLM1、LM2を求める。なお、図10(a)(b)(d)において、ランドマークLM1、LM2の直線LVからの距離が所定の閾値よりも大きい場合、ランドマークLM1、LM2の位置を直線LVに近づくようにラベリング領域RLの輪郭に沿って移動させる補正処理を行うようにしてもよい。同様に、図10(c)において、ランドマークLM1、LM2の、線分LM1LM2の中点G3を通る、断層画像SLnの上下方向の直線LV3からの距離が所定の閾値よりも大きい場合には、ランドマークLM1、LM2の位置を直線LV3に近づくように線分IS11IS21、線分IS12IS22に沿って移動させる補正処理を行うようにしてもよい。移動量の具体例としては、ランドマークLM1、LM2と直線LVまたはLV3との距離が20%短くなるように移動させることが考えられる。
【0062】
このようにして求めたランドマークLM1、LM2を基準に、2つのランドマークLM1、LM2が断層画像SLnの水平方向における中心に位置し、かつ、2つのランドマーク間の距離が所定の値になるように、アフィン変換等を行って画像を正規化する。
【0063】
特徴量算出部23bは、正規化画像SNnの各々から、多数の種類の特徴量cnmを算出する処理を行う。特徴量cnmの具体例としては、正規化画像SNn中に設定されたブロック(例えば3×3画素等)内の画素値や画素値の平均値、最大値、最小値、中間値、CT値に基づく閾値処理によって抽出された人体領域中の空気領域や骨領域の人体領域に対する割合、その人体領域の周長と同じ周長を有する円の面積に対する人体領域の面積の割合(円形度)等が挙げられる。なお、特徴量cnmは、算出された値そのものであってもよいし、算出された値を多値化したものであってもよい。
【0064】
部位スコア算出部23cは、特徴量cnmを、AdaBoost手法に基づく学習によって得られた部位毎の判別器群に入力して、断層画像SLn毎に、各部位らしさを表す部位スコアscnpを算出する処理を行う。ここで、部位毎の判別器群は、学習用サンプルとなるその部位が表されていることがわかっている複数の画像とその部位が表されていないことがわかっている複数の画像の各々について上記と同様にして算出された多数の種類の特徴量を用いてAdaBoost手法に基づく学習を行うことによって得られたものである。1つの部位を判別する判別器群には1以上の判別器が含まれるが、2以上の判別器が含まれる場合、各判別器は判別能力について相補的な関係を有したものとなっている。また、判別器群は判別すべき部位の種類と同数生成され、判別器群毎に使用される特徴量の種類が決定される。なお、この学習および部位スコア算出方法の詳細については特開2005-108195号公報等に開示されている。部位スコアの算出は、上記の方法の他、人工ニューラルネットワーク(ANN)、サポートベクターマシン(SVM)、適合ベクターマシン(Relevance Vector Machine; RVM)等の他の学習手法によって生成された判別器を用いた方法や、1つの特徴量または複数の特徴量の組合せに対して部位スコアを決定する参照テーブルを用いた方法(特開2007-307205号公報等参照)等であってもよい。また、特徴量算出部23bと部位スコア算出部23cの処理を、テンプレートマッチング(特開2002-253539号公報等参照)や部位毎の固有画像との比較処理(特開2003-10166号公報等参照)によって得られる類似度を部位スコアとする処理に置換してもよい。
【0065】
上記の処理により、断層画像SLn毎に、部位毎のスコアscnpが算出される。図11(a)は、断層画像(スライス)SLn毎に算出された部位毎のスコアscnpの一例を示した表であり、部位スコアscnpの値が大きいほどその部位である確率が高いことを表している。この表において、スライスSLn毎に部位スコアscnpが最大となる部位を辿ると、スライス1−頭頸部、スライス2−頭頸部、スライス3−頸部、スライス4−胸部、スライス5−頸部、スライス6−胸部となり、スライス4から6の間で、人体の体部の並び順との不整合がある。そこで、次の部位決定部23dの処理でその修正が行われる。
【0066】
部位決定部23dは、予め作成された、人体の体部の配置順、すなわち、頭部、頭頸部、頸部、胸部、胸腹部、腹部、骨盤部、脚部の順で配置された参照部位と、各断層画像SLnにおける部位スコアscnpの最大値との間の不一致が生じないように、各断層画像SLnに表された部位Pnを最終的に決定する処理を行う。ここでは、参照部位と各断層画像SLnにおける部位スコアscnpの最大値との間に不一致がある場合にコストがかかるようにして、コストが最小かつ最短となる経路を求めることによって、部位Pnを最終決定する。具体的には、最適化問題を解くための手法を用いればよく、本実施形態では、その具体例として、動的計画法(DPマッチング;Dynamic Programming)を用いた手法を説明する。
【0067】
まず、図11(a)の部位スコアscnpについて、各スライスにおける部位スコアscnpの最大値から各スコア値を減算する。これにより、図11(b)に示したように、各部位スコアscnpの大小関係が逆転した、すなわち、各部位スコアscnpが0以上の値に変換され、部位スコアscnpが最も高かった部位のスコア値が0に変換された重みマップが生成される。ここで、重みマップの生成の際には、上記の減算ではなく、参照テーブルを用いた変換を行うようにしてもよい。
【0068】
次に、図11(b)の重みマップを入力として、DPマッチングによりコストが最小となる経路を算出する。以下、本出願人が特願2006-140041号(特開2007-307205号)にて提案している手法についての記載を引用する。まず、図11(b)の重みマップを入力として、図11(c)に示すようなコストマップを生成する。図11(c)において、各セル(n,p)のコストは次のように設定される。ここで、nはスライスの番号を示しており、pは部位を表す番号(1:頭頸部、2:頸部、3:胸部)となっている。
【0069】
(1,1):重みマップにおける(1,1)の値(図11(b)参照)
(n,1):重みマップにおける(n−1,1)の値+所定の値(ここでは0)
(1,m):重みマップにおける(1,m−1)の値+所定の値(ここでは0)
(n,m):次の(i)〜(iii)の内の最小値
(i)コストマップにおける(n−1,m−1)の値
+重みマップにおける(n,m)の値
(ii)コストマップにおける(n,m−1)の値
+重みマップにおける(n,m)の値+所定の値(ここでは1.0)
(iii)コストマップにおける(n−1,m)の値
+重みマップにおける(n,m)の値+(ここでは1.0)
次に、コストマップを、右側から左側に向かって、周辺の最小値を順次辿って行く。それにより、スライス番号と部位との対応マップが作成される。
【0070】
これにより、図12に示した、人体の体部の並び順(参照部位)を縦軸とし、各スライスSLnにおける部位スコアscnpの最大値による仮認識結果を横軸とするマッチングカーブに基づいて、仮認識結果を、対応する参照部位に置き換えることにより、各スライスSLnの部位を最終決定する処理が行われたことになる。
【0071】
(2)椎骨検出処理
以下、本出願人が特願2008-054627号等にて提案している手法について説明する。
【0072】
椎骨検出処理は、一本の椎骨の異なる位置の横断面(本発明の上記実施形態における体軸方向に垂直な断面)を示す複数の医用画像から椎骨の中心線を求めるものであり、椎骨検出部24は、この椎骨の中心線を表す各医用画像の点の座標を所定メモリ領域に格納するものである。
【0073】
図13は、椎骨検出部24の処理を詳細に表すブロック図である。図に示すように、椎骨検出部24は複数の医用画像中の各画素の注目画素を基準として周辺領域を設定し、機械学習手法により生成された判別器を用いて、周辺領域を脊髄領域であるか否かを判別する脊髄領域検出手段24aと、脊髄領域検出手段24aにより検出された複数の脊髄領域内の中心点により構成される脊髄中心線を椎骨の縦断面を示す縦断面画像中に生成し、脊髄領域検出手段24aの判別器が、周辺領域を脊髄領域であると判別する程度を表す判別値を算出した際、判別値が所定値以上である周辺領域の基準となる注目画素を前記脊髄領域の中心点とする脊髄中心線生成手段24bと、脊髄中心線生成手段24bにより生成された脊髄中心線と椎骨との位置関係に基づいて椎骨の中心線を求める椎骨中心線決定手段24cを有している。
【0074】
ここで、椎骨中心線決定手段24cは、医用画像毎に、脊髄領域検出手段24aにより検出された脊髄領域内の中心点と脊椎領域を通り、かつ心臓部を通らない直線上の医用画像中の各画素の輝度値を抽出し、抽出された輝度値を持つ各直線により、たとえば図19に示すような縦断面画像を生成する縦断面画像生成手段24dと、縦断面画像生成手段24dにより生成された縦断面画像から所定の輝度値以上である二本の骨梁線を検出し、検出された二本の骨梁線に挟まれる脊椎領域を含む領域を椎骨として検出する椎骨領域検出手段24eを備えるものである。
【0075】
次に、以上の構成の椎骨検出部24において行われる処理について説明する。
【0076】
図14は椎骨検出部24の一連の処理フローチャートである。まず、脊髄領域検出手段24aが、脊髄領域を検出する(#11)。たとえば図15は、被写体を胸から足の付け根まで複数の切断位置で切断したときの各輪切の画像からなる医用画像(アキシャル画像)に置ける典型的な脊髄のCT画像を示す。脊髄領域は明らかなパターンをもっているため、画像検出技術を用いて、医用画像から脊髄領域を安定的に検出することが可能となる。
【0077】
脊髄領域の検出方法として、統合学習機械をつくる手法であるAdaboostに基づいたマシンラーニング手法を利用するものであることが考えられる。具体的には、脊髄領域の追跡は、特徴点検出等の公知の手法や学習データに対してリサンプリングの際に重みを逐次的に更新し、できた機械を最後に学習機械に対する重みをつけることで、統合学習機械をつくる手法であるAdaboostに基づいたマシンラーニング手法を用いる。学習サンプル画像において、たとえば図16のように脊髄の領域の上下P1とP2の二点を指定し、その二点間の中心を中心とし、指定した二点間の距離の二倍の長さの四方形領域を関心領域とする。様々の患者のCT画像の様々の位置(胸椎や腰椎)から切り取った四方形の領域のサイズを正規化し同じサイズに揃える。それらの関心領域を正の学習サンプルとする。
【0078】
次に、脊髄領域検出手段24aが、指定した領域から離れた領域からランダムに様々なサイズの四方形領域を切り出してサイズを揃え、負の学習サンプルとする。
【0079】
次に、脊髄領域検出手段24aが、正と負の学習サンプル画像に対して、例えば図17に示すように、ランダムに選択されたn組の画素ペアの値の組み合わせを特徴量とし、Adaboostに基づいたマシンラーニング手法により、正と負のパターンを見分ける判別器を作成する。
【0080】
脊髄領域を検出する際、医用画像を走査し、注目画素を中心とした様々なサイズの四方形領域を切り出し、図17に示すように特徴量を算出する。
【0081】
それを学習段階で得られた判別器に入力し、判別値を求め、そのうちの最大値を注目画素のスコアとする。医用画像から、判別値が最大になる位置(画素)を検出し、脊髄領域の中心とする。
【0082】
また、脊髄領域を検出する手法として、既知のテンプレートマッチング手法(例えば、特開2002−109548号公報)やリングモデルを用いた画定手法(例えば、特開2007−111533号公報)を本発明の画像処理装置における脊髄領域の検出に用いることができる。
【0083】
次に、脊髄中心線生成手段24bが、脊髄領域の中心点から脊髄中心線を生成する(#12)。中心点は、脊髄領域内の略真中に存在する所定の画素を設定する。必ずしも脊髄領域内の厳密な中心である必要はない。また、脊髄領域の周囲または所定の両端から略等距離にあるような点や、重心点を設定してもよい。
【0084】
具体的には、ここで、前ステップで得られた複数の医用画像の脊髄領域の中心から滑らかな三次元である脊髄中心線を求める。脊髄中心線の算出手法としては、得られた脊髄領域の中心点に折れ線や曲線(多項式曲線、B−Spline曲線など)をフィッティングする手法(例えば、特開平6−189934号公報)がある。また、ランダムに幾つかのサンプルを抽出し最小二乗法をあてはめるRANSAC手法(例えば、M.A.Fischler and R.C.Bolles(June 1981).“Random Sample Consensus:A Paradigm for Model Fitting with Applications to Image Analysis and Automated Cartography”.Comm.of the ACM 24:381-395)を用いても良い。
【0085】
そして、脊髄中心線生成手段24bが、検出された脊髄領域から中心点を設定する際に、得られた判別値(脊髄領域であると判別する程度を表す値であり、言い換えれば、脊髄領域のパターンらしさに相当する値である)を利用してもよい。その際、判別値がある閾値を越えた脊髄領域の中心点のみを選択し、上記脊髄中心線の算出手法により、脊髄領域の滑らかな三次元曲線を生成する。
【0086】
なお、上述した脊髄中心線の算出手法を用いるに際し、判別値を、それぞれの脊髄領域の中心点の重み係数として使用してもよい。
【0087】
次に、縦面画像生成手段24dが、断面画像を生成する(#13)。具体的には、上述した脊髄中心線の算出手法により算出された脊髄中心線をもとに、脊椎の中心線を算出するために、まず、各医用画像で得られた脊髄領域の中心を用いて、図18のように中心点を基準として、Y軸から逆時計周りにα度傾いた直線上の医用画像中の各画素の輝度値を抽出し、抽出された輝度値を持つ各直線により縦断面画像を生成する。上記直線は、縦断面画像を生成する。また、心臓部は血管等が多く存在し、安定的なパターンではないため、上記直線は、中心点と脊椎領域を通り、かつ心臓部を通らないように設定してもよい。
【0088】
椎骨領域検出手段24eは、縦断面画像における椎骨の境界線を検出する(#14)。具体的には、縦断面画像中に、脊髄中心線が一本の曲線となり、脊椎領域は脊髄中心線の左側に、二本のCT値(画素値)の高い骨梁線とそれに囲まれたCT値(画素値)の低い海綿骨領域が現れる。
【0089】
椎骨領域検出手段24eは、椎骨の中心線と幅を算出する(#15)。具体的には、図18の曲線L3である脊髄中心線を用いて椎骨の中心線を算出する。まず、図18の縦断面画像に対し、X方向の差分を求める。脊椎領域の腹側のエッジ部で大きな正の差分値が得られ、その背側のエッジ部で大きな負な差分値が得られる。
【0090】
椎骨領域検出手段24eは、脊髄中心線L3を線形変換し、脊椎領域の背側のエッジ線L2にフィッティングさせるために、式(1)を用いて、係線形変換数a及びbを算出し、脊椎領域の背側のエッジ線L5を算出する。
【数1】
【0091】
腹側のエッジ曲線L1についても、同様な手法でエッジ曲線L4を求められる。
【0092】
上記フィティングさせる手法は上記式に限るものではなく、縦断面画像の輝度値の勾配から直接曲線L4、L5を算出してもよい。
【0093】
図19のように算出された曲線L4と曲線L5は、脊椎領域を含む椎骨の左右の境界線となる。そして算出された左右の境界線から、椎骨の中心線と幅を算出することが可能となる。
【0094】
このようにして、医用画像中の脊髄中心線との位置関係に基づいて、椎骨の中心線を正確に算出することができ、この椎骨の中心線を表す各医用画像上の点を各医用画像における椎骨の中心点として出力することができる。
【0095】
なお、上記実施形態においては、脊髄中心線決定手段24cは、脊髄中心線生成手段24bにより生成された脊髄中心線と椎骨との位置関係に基づいて椎骨の中心線を求めるものであったが、ここで、医用画像を積層したものから構成されるボクセル画像を用いて、椎骨中心線を算出する処理について説明する。
【0096】
縦断面画像生成手段24dは、脊髄領域検出手段24aにより検出された脊髄領域内の中心点とボクセル画像中の中心線を以下の式(2)のように定義した場合、図18のP3とP4を結ぶ断面により、上記ボクセル画像を切断した新たな縦断面画像を式(3)のように、表すことができる。
【数2】
【数3】
【0097】
式(3)で用いられるθは図18のP3とP4を結ぶ断面の傾き角度であり、λは上記断面上の位置を示す。位置の範囲(λの範囲)は、医用画像の枠の範囲により決定される。
【0098】
椎骨領域検出手段24eは、縦断面画像生成手段により生成された新たな縦断面画像から所定の輝度値以上である二本の骨梁線を検出し、検出された二本の骨梁線に挟まれる脊椎領域を含む領域を椎骨として検出するものである。
【0099】
椎骨領域検出手段24eは、二本の骨梁線を求めるため、式(4)により新たな縦断面画像のエッジを求めることができる。
【数4】
【0100】
Δは小さい値であり、通常、一画素であるが、必ずしもこれに限るものではない。
【0101】
また、椎骨領域検出手段24eは、式(4)で得られたエッジから、式(6)を用いて、背側の椎骨の壁にフィッティングすることを可能とし、式(7)を用いて、最小化から得られた最適パラメータを式(5)のように
【数5】
【0102】
すると、椎骨の背側のエッジ線である曲線L5を求めることができる。
【数6】
【数7】
【0103】
また、椎骨領域検出手段は、同様な手法で腹側のエッジ曲線L4を求められる。
【0104】
図19のように算出された曲線L4と曲線L5は、脊椎領域を含む椎骨の左右の境界線となる。そして算出された左右の境界線から、椎骨の中心線と幅を算出することが可能となる。
【0105】
このようにして、ボクセル画像を用いて、医用画像中の脊髄中心線との位置関係に基づいて、椎骨の中心を正確に算出することができる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上記の実施形態におけるシステム構成、処理フロー、モジュール構成、ユーザ・インターフェース等に対して、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な改変を行ったものも、本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記の実施形態はあくまでも例示であり、上記のすべての説明が本発明の技術的範囲を限定的に解釈するために利用されるべきものではない。
【0107】
例えば、上記の実施形態では、最初に2つの3次元画像中のスライス画像を同時に表示しているが(図3のステップ#2)、最初は一方の3次元画像中のスライス画像のみを表示させておき、ユーザが、その3次元画像中のスライス画像を切替表示しながら、所望のスライス画像を発見し、そこで、例えば「同一患者の過去画像の対応スライスの表示」を画面中のメニューから選択した場合に、GUI制御部27がその要求を制御部21に引き渡し、制御部21が画像データ取得部22にその一方の3次元画像に関連づけられた患者の過去画像の画像データを取得させ、その時点でディスプレイに表示されているスライス画像を基準スライス画像とし、その取得された過去画像を他方の3次元画像として、上記の実施形態と同様にその過去画像中の対応するスライス画像を決定し(図3のステップ#3〜#9)、対応するスライス画像を同時に表示させるようにしてもよい。
【0108】
また、上記の実施形態において、図3のステップ#1で2つの3次元画像の画像データを取得した後、ステップ#2の処理を行わずに、一方の3次元画像中のすべてのスライス画像を順次基準スライス画像としてステップ#3から#9までの処理を繰り返し行い、一方の3次元画像中の各々のスライス画像に対応する他方の3次元画像中の対応するスライス画像を特定しておき、ステップ#10で、一方の3次元画像中の先頭のスライス画像と、その画像に対応する他方の3次元画像中のスライス画像とを同時表示するようにしてもよい。ここで、一方の3次元画像中のすべてのスライス画像を順次基準スライス画像とせずに、所定のスライス画像のみを基準画像として、他方の3次元画像中の対応するスライス画像を特定し、両3次元画像中の他のスライス画像の対応関係については、上記の実施形態と同様に(ステップ#10)、修正前後での基準スライス画像に対応するスライス画像の移動量(に基づいて順次特定するようにしてもよい。
【0109】
また、上記の実施形態では対応スライス画像の決定の際に部位認識処理を行っているが(図3のステップ#3)、予め部位認識処理を行っておき、その認識結果(部位)を各スライス画像に付帯情報として関連づけた状態で画像データベース4に格納しておき、対応スライス画像の決定の際には、部位認識処理を行わずに、ステップ#4において、各スライス画像の付帯情報から部位認識結果を取得するようにしてもよい。
【0110】
さらに、上記の実施形態では、部位認識部23、椎骨検出部24、椎骨ROI設定部25は、入力画像データの単位毎に順次処理を行うように説明したが、複数の単位の入力画像データに対して並列に処理可能な構成にし、制御部21がすべての入力画像データを同時に各処理部23,24,25に引き渡すようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形態を実現する画像処理ワークステーションが導入された医療情報システムの概略構成図
【図2】本発明の実施形態を実現するワークステーションの機能ブロック図
【図3】本発明の実施形態となる画像解析・表示処理の流れを表すフローチャート
【図4】撮影部位認識処理の概要を模式的に表した図
【図5】2つの3次元画像に対して部位認識結果に基づく対応関係を暫定的に決定する例を模式的に表した図
【図6】基準スライス画像と候補スライス画像の決定方法を模式的に表した図
【図7】(a)被検体の断面画像と椎骨を含む関心領域の設定例を表した図 (b)関心領域の拡大図
【図8】本発明の実施形態により、3次元画像の対応関係が決定・修正される様子を、両3次元画像の体軸に平行な断面で模式的に表した図
【図9】部位認識部の構成を模式的に表したブロック図
【図10】断層画像の正規化のためのランドマークの設定方法を模式的に表した図
【図11】部位認識処理で用いるスライス毎・部位毎のスコアを表した図((a)部位スコア (b)重みマップ (c)コストマップ)
【図12】部位認識処理で用いるマッチングカーブの一例を示した図
【図13】椎骨検出部の構成を模式的に表したブロック図
【図14】椎骨検出部による処理の流れを表すフローチャート
【図15】アキシャル画像の一例を示す図
【図16】椎骨周辺のアキシャル画像部分の一例を示す図
【図17】Adaboost処理に用いる特徴量の一例を示す概念図
【図18】アキシャル画像と、脊髄中心線に沿った縦断面画像の一例を示す図
【図19】椎骨の境界線を示す図
【図20】椎骨以外の構造物を基準として2つの3次元画像間の対応関係を求めた場合の問題点を模式的に表した図
【図21】椎骨のみを基準として2つの3次元画像間の対応関係を求めた場合の問題点を模式的に表した図
【符号の説明】
【0112】
1 モダリティ
2 画像処理ワークステーション
3 画像サーバ
4 画像データベース
19 ネットワーク
21 制御部
22 画像データ取得部
23 部位認識部
24 椎骨検出部
25 椎骨ROI設定部
26 類似度算出部
27 GUI制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの3次元画像の所定の方向における位置の対応関係を決定する画像解析に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体軸方向に垂直なスライスによる複数の断面画像から構成される複数の3次元画像の比較読影を行う際に、オペレータによって指定された1対の対応するスライス位置と、各3次元画像のスライス厚等に基づいて、各3次元画像中の各断面画像の対応関係を決定し、各3次元画像中の相対応する断面画像を並べて表示する技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、特許文献1では、この1対の対応するスライス位置を自動決定する方法として、比較読影対象の複数の3次元画像間の相関演算を行い、相関が最大となる時の前記所定の構成軸方向における画像間のずれ量を求めることによって決定する技術が提案されている。ここで、相関演算を行う対象領域(ROI)は、オペレータの選択、あるいは、周波数解析等による自動選択によって決定される。
【特許文献1】特開平8−294485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人体を表す複数の3次元画像を構成する軸位断(axial)画像の比較読影を行う場合、呼吸等の影響を受けにくい椎骨を基準にして各3次元画像中の各軸位断画像の対応関係を決定し、相対応する軸位断画像を並べて表示することが、実際の読影現場から要望されている。
【0004】
しかしながら、比較読影対象の各3次元画像間の体軸方向の位置の対応関係を相関演算によって求める際、相関演算の対象領域を、椎骨以外の構造物(臓器等)を含む領域にすると、椎骨のように体軸方向に周期性を有する構造物のテクスチャは、その周期性により、各3次元画像間の相関に対する寄与が小さいので、実際には椎骨以外の構造物が基準となって対応関係が決定されてしまい、椎骨の位置関係がずれた軸位断画像が並べられて表示されてしまうことがあり得る。図20はこのようなケースの具体例を模式的に表したものである。図20(a)は3次元画像V1の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像を表している。ここで、例えば、断面顔図全体に注目して、この断面画像と相関の高い断面画像を3次元画像V2から特定する場合、3次元画像V2から得られる断面画像の断面の体軸方向の位置によって肝臓のテクスチャは大きく変動するが、椎骨のテクスチャは肝臓ほどは変動しないので、肝臓のテクスチャの類似性が高い断面画像が3次元画像V2から特定されることになる。ところが、図20(b)に示したように、被検体の胸部から腹部にかけての断面画像では、呼吸等の影響により、肝臓と椎骨の位置関係が変動しうるため、3次元画像V2から特定された断面画像の断面の位置は、3次元画像V1と同様に椎骨B2の中央付近となるとは限らない。
【0005】
一方、相関演算の対象領域を椎骨の領域のみにすると、椎骨のテクスチャの周期性により、異なる椎骨が対応づけられてしまい、椎骨の位置関係がずれた軸位断画像が並べられて表示されてしまうことがあり得る。図21はこのようなケースの具体例を模式的に表したものである。図21(a)に示した3次元画像V1の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像と椎骨のテクスチャが類似する断面画像を3次元画像V2から特定する場合、椎骨のテクスチャの周期性により、3次元画像V2中の椎骨B2の中央付近だけでなく、椎骨B1の中央付近の断面による断面画像も3次元画像V1の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像と類似する(図21(b))。したがって、両3次元画像間での撮影条件の相違等の影響により、3次元画像V1の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像と3次元画像V2中の椎骨B1の中央付近の断面による断面画像の相関が、3次元画像V2中の椎骨B2の中央付近の断面による断面画像との相関よりも高くなってしまい、その結果、3次元画像V1の椎骨B2と3次元画像V2の椎骨B1とが対応づけられてしまうことがあり得る。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す複数の3次元画像の前記所定の方向における位置関係を、周期性構造物を基準にして、より高い精度で自動的に決定することを実現する画像解析装置および方法並びにプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像解析装置は、所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定する対応関係決定手段と、前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記対応関係決定手段によって決定された前記対応関係を修正する対応関係修正手段とを設けたものであって、前記対応関係修正手段が、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行うようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明の画像解析方法は、所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定するステップと、前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記決定された前記対応関係を修正するステップとからなる方法であり、前記修正するステップにおいて、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行うようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明の画像解析プログラムは、コンピュータに上記画像解析方法を実行させるものである。
【0010】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0011】
「被検体」は、所定の方向に周期性を有する周期性構造物だけでなく、その周期性構造物との位置関係が前記所定の方向に変位しうる構造物も有していると、本発明の効果がより顕著となる。
【0012】
「所定の方向に周期性を有する周期性構造物」の具体例としては、人体の体軸方向に椎骨を1周期とする周期性を有する脊柱が挙げられる。この場合、脊柱(椎骨)との位置関係が体軸方向に変位しうる構造物の具体例として、呼吸等により変位しうる肺等の臓器が挙げられる。
【0013】
また、「被検体」は同種のものであることが好ましいが、同一の個体であるかどうかは問わない。
【0014】
「2つの3次元画像」は、同一モダリティでの撮影によって得られたものであってもよいし、異なるモダリティでの撮影によって得られたものであってもよい。また、同一検査の異なるシリーズで得られたものであってもよいし、例えば検査日の異なる2つの検査で得られたものであってもよい。さらに、同一検査で得られる、被検体の3次元的動態、すなわち被検体の3次元的な状態変化を表す4次元画像中の2つの時点を表す3次元画像であってもよい。
【0015】
「3次元画像」の画像データは、例えば、前記所定の方向の構成軸上の複数の点における断面画像の画像データの集合として構成されたものであってもよいし、前記所定の方向とは異なる構成軸上の複数の点における断面画像の画像データの集合として構成されたものであってもよい。さらに、ボクセルデータ等の3次元の座標系に基づく画像データであってもよく、この場合、画像データの座標系の座標軸が前記所定の方向と一致していなくてもよい。
【0016】
「2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係」とは、一方の3次元画像に表された被検体中の任意の点の前記所定の方向における位置と、他方の3次元画像に表された被検体中の任意の点の前記所定の方向における位置とを対応づけるものであるが、2つの3次元画像間での被検体の姿勢や撮影範囲、状態(呼吸相等)の相違等の影響により、何を基準として対応づけるかによって、決定される対応関係は異なってくる。
【0017】
「周期性構造物の寄与がより低い基準」とは、前記対応関係の決定の際に、3次元画像に表された周期的構造物の存在が大きな影響を及ぼさないような基準であり、周期性構造物の存在がまったく影響を及ぼさないような基準(周期性構造物の寄与がない基準)であってもよい。具体例としては、周期的構造物を含む被検体全体の画像から得られる特徴量や、被検体中の周期的構造物以外の部分の画像から得られる特徴量を用いた基準が挙げられる。なお、ここで、特徴量は、その画像の各画素の画素値の集合であってもよい。また、2つの3次元画像の被検体の前記所定の方向における撮影範囲がほぼ一致することが予めわかっている場合、3次元画像の画像データが前記所定の方向の構成軸上の複数の点における断面画像の画像データの集合として構成されたものであれば、各断面画像を識別するスライス番号やスライス間隔を用いた基準としてもよいし、3次元画像の画像データが3次元座標系の画像データであれば、前記所定の方向における位置を表す座標値を用いた基準としてもよい。
【0018】
「(対応関係を)決定する」具体的方法としては、前記の基準として画像の情報そのものを用いる場合には、上記特許文献1に記載されているように、両3次元画像間の相関演算により相関が最大となる時の前記所定の方向における画像間のずれ量を求めることによって前記の対応関係を決定することが考えられる。また、前記2つの3次元画像の各々について、3次元画像の前記所定の方向における複数の位置での断面による断面画像に表された前記被検体中の部位を、該断面画像中の前記周期性構造物以外の部分を含む領域の特徴を表す特徴量を少なくとも1つ用いて認識し、前記2つの3次元画像の複数の部位において認識された部位の一致度が所定の基準を満たす程度に高くなるように前記対応関係を決定するようにしてもよい(参考文献1:特開2008-6188号公報等参照)。一方、スライス番号を前記の基準として用いる場合には、両3次元画像中のスライス番号が一致する断面画像を対応づけることによって前記の対応関係を決定することが考えられる。ここで、両3次元画像のスライス間隔が異なる場合には、スライス番号とスライス間隔とから、各3次元画像での前記所定の方向における相対的位置が一致する断面画像を特定し、特定された断面画像を対応づけることによって前記の対応関係を決定することが考えられる。また、前記所定の方向における位置の座標値を前記の基準とする場合には、その座標値が一致する位置を対応づけることによって前記の対応関係を決定することが考えられる。
【0019】
「前記周期性構造物の寄与がより高い基準」とは、前記対応関係の修正の際に、3次元画像に表された周期的構造物の存在が大きな影響を及ぼすような基準である。具体例としては、周期的構造物のみを含む画像中の領域から得られる特徴量や、周期的構造物が大部分を占める画像中の領域から得られる特徴量を用いた基準が挙げられる。なお、ここで、特徴量は、その画像中の領域の各画素の画素値の集合であってもよい。
【0020】
対応関係の修正の際の「近傍の範囲」の具体例としては、前記周期性構造物の1周期の長さよりも小さい範囲が挙げられる。
【0021】
また、「対応関係を修正する」具体的方法としては、一方の前記3次元画像中の所与の点における前記所定の方向に垂直な断面による断面画像から前記周期性構造物を検出し、該検出された周期性構造物を含む注目領域を設定し、前記対応関係決定手段によって決定された対応関係によって対応づけられる、前記一方の3次元画像中の前記所与の点に対応する他方の前記3次元画像中の点の前記近傍の範囲内の複数の候補点における、前記所定の方向に垂直な断面による断面画像の各々から、前記周期性構造物を検出し、該複数の候補点における前記断面画像の各々に、該断面画像から検出された周期性構造物を含む、前記注目領域に対応する候補領域を設定し、該複数の候補点における候補領域のうち、前記注目領域との類似度が最大となる候補領域が含まれる前記断面画像の断面の前記所定の方向における位置を特定し、該特定された位置が、前記一方の前記3次元画像中の前記所与の点と対応づけられるように、前記対応関係の修正を行うことが考えられる。ここで、類似度の算出には、2つの3次元画像が同じモダリティで取得されたものである場合には、注目領域と候補領域の画素値の相関を用いることができ、2つの3次元画像が異なるモダリティで取得されてものである場合には、注目領域と候補領域についての相互情報量を用いることができる。
【0022】
なお、本発明の画像解析装置および方法並びにプログラムを用いて、3以上の3次元画像間の前記位置の対応関係を求めてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係が、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて暫定的に決定された後、前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記の暫定的に決定された前記対応関係が修正される。したがって、最終的に得られる前記位置の対応関係は、実際の読影現場からの要望に合致した、前記所定の方向において、被検体中の周期性構造物の同じ位置を表す各3次元画像中の位置を対応づけたもの、すなわち、主に周期性構造物を基準として決定されたものとなる。
【0024】
また、主に周期性構造物を基準として対応関係を最終的に決定する前に、主に周期性構造物以外を基準として暫定的な対応関係の決定を行い、主に周期性構造物以外の基準に基づいて暫定的に決定された前記対応関係に対する微調整の範囲で、主に周期性構造物を基準とする前記対応関係に修正されるので、両3次元画像間で、周期的構造物の1周期を構成する単位構造物の異なるものに対応づけられてしまう可能性が低減され、より高い精度で前記対応関係を最終的に決定することができる。
【0025】
さらに、前記対応関係の決定を自動的に行うので、ユーザの負荷が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態として、異なる検査で得られた2つの3次元画像の各々を構成する、人体の体軸方向に垂直な断面による複数のスライス画像中に表された被検体の部位を認識し、認識された部位を基準として両3次元画像の体軸方向の位置の対応関係を暫定的に決定した後、各スライス画像から検出された椎骨領域を主に含む関心領域を基準として、暫定的に決定された対応関係を修正し、脊柱(椎骨)を基準とした修正後の対応関係に基づいて、両3次元画像中の対応するスライス画像を同時に表示する画像解析・表示処理について説明する。
【0027】
図1に、本発明の上記実施形態を実現する画像処理ワークステーション2が導入された医療情報システムの概略構成を示す。図に示すように、このシステムは、医用画像の撮影装置(モダリティ)1、画像処理ワークステーション2、画像サーバ3、画像データベース4が、ネットワーク19を介して互いに通信可能な状態で接続されて構成されている。画像処理ワークステーション2および画像サーバ3は、CD−ROM等の記録媒体からインストールされたプログラムによって制御される。また、プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で接続されたサーバからダウンロードされた後にインストールされたものであってもよい。
【0028】
モダリティ1には、被検体の検査対象部位を撮影することにより、その部位を表した画像の画像データを生成し、その画像データに、検査情報や患者情報等の付帯情報を付加して出力する装置が含まれる。付帯情報は、DICOM規格等の標準化された規格やそのモダリティ等のメーカー独自の規格に準拠したフォーマットのものである。モダリティ1の具体例としては、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、PET(Positron Emission Tomography)、超音波撮影装置等が挙げられる。なお、本実施形態では、画像データは、CT,MRI等の被検体の検査対象部位を表す3次元画像の画像データであり、所定のスライス間隔やスライス厚による軸位断画像(スライス画像)の画像データの集合体として構成されるものとする。
【0029】
画像処理ワークステーション2は、処理装置と1台以上の高精細ディスプレイとキーボード・マウス等の入力機器、画像サーバ3等とネットワーク19を介して通信を行う通信インターフェースにより構成されるコンピュータであり、被検体の検査対象部位を表す画像の画像データを入力として様々な画像解析等の画像処理を行い、処理済の画像を様々な表示形式でディスプレイに表示させるソフトウェアプログラムがインストールされている。なお、本発明の上記実施形態の画像解析・表示処理は、この画像処理ワークステーション2において、画像解析・表示プログラムが実行されることによって実現される。
【0030】
画像サーバ3は、汎用の比較的処理能力の高いコンピュータにデータベース管理システム(DataBase Management System: DBMS)の機能を提供するソフトウェアプログラムがインストールされたものである。また、画像サーバ3は画像データベース4が構成される大容量ストレージを備えている。このストレージは、画像サーバ3とデータバスによって接続された大容量のハードディスク装置であってもよいし、ネットワーク19に接続されているNAS(Network Attached Storage)やSAN(Storage Area Network)に接続されたディスク装置であってもよい。画像サーバ3も、モダリティ1や画像処理ワークステーション2等とネットワーク19を介して通信を行う通信インターフェースを有しており、モダリティ1で撮影・取得された画像の画像データを受信し、画像データベース4に登録したり、画像処理ワークステーション2からの検索要求に応じて、画像データベース4に登録された画像データの中から検索要件に合致する画像データを抽出し、抽出された画像データを、検索要求を行った画像処理ワークステーション2に送信したりする。
【0031】
ネットワーク19は病院内の各種装置を接続するローカルエリアネットワークである。但し、読影ワークステーション2が他の病院あるいは診療所にも設置されている場合には、ネットワーク19は、各病院のローカルエリアネットワーク同士をインターネットもしくは専用回線で接続した構成としてもよい。いずれの場合にも、ネットワーク9は光ネットワークなど画像情報の高速転送を実現できるものとすることが望ましい。
【0032】
図2は、画像処理ワークステーション2に実装された機能のうち、本発明の上記実施形態の画像解析・表示処理を実現する機能をブロック化して模式的に表したものである。図に示したように、本発明の実施形態の画像解析・表示処理は、制御部21、画像データ取得部22、部位認識部23、椎骨検出部24、椎骨ROI設定部25、類似度算出部26、GUI制御部27によって実現される。
【0033】
制御部21は、本発明の上記実施形態の画像解析・表示処理の全体を制御するものである。具体的には、画像データ取得部22、部位認識部23、椎骨検出部24、椎骨ROI設定部25、類似度算出部26、GUI制御部27の各機能の処理対象のデータを決定したり、各機能を所定の順序で呼び出したりするとともに、各処理部による処理結果を用いて処理対象となる2つの3次元画像の画像間の位置関係の決定・修正を行うものであり、本発明の上記実施形態の画像解析・表示プログラムのメインプログラムの実行によって実現されるものである。本実施形態では、このプログラムの起動時には、処理対象となる2つの3次元画像の画像データを特定するための情報として、検査IDおよびシリーズID等が起動パラメータとして与えられる。なお、制御部21の処理の詳細については図3等を用いて後述する。
【0034】
画像データ取得部22は、検査IDおよびシリーズID等を入力として、画像サーバ3に対する検索要求を行う。画像サーバ3がこの検索要求に応じて画像データベース4の検索を行い、これらの検査IDおよびシリーズID等と関連づけられた処理対象の2つの3次元画像の画像データを抽出し、画像処理ワークステーション2に送信すると、画像データ取得部22は、その画像データを受信し、画像処理ワークステーション2のハードディスクの所定の領域に格納する。格納形式としては、3次元画像を構成するスライス画像毎に1つの画像ファイルとして格納し、1つの3次元画像を1つのフォルダ(ディレクトリ)としてそのフォルダ配下にその3次元画像に属する複数の画像ファイルを対応づけて管理することが考えられる。また、各画像ファイルのヘッダ部分には、スライス番号や、スライス間隔、スライス位置等の付帯情報が格納されており、各処理部は、自らが必要とする情報を取得可能となっている。
【0035】
部位認識部23は、図4に模式的に示したように、N枚のスライス画像から構成される3次元画像を入力として、各スライス画像1からNに含まれる被検体の部位(撮影部位)を認識する処理を行い、スライス番号と認識された部位を対応づけたリスト形式で表現されうる処理結果を画像処理ワークステーション2の所定のメモリ領域に格納するものである。ここで、被検体が人体の場合、認識される撮影部位は、例えば、頭部、頭頸部、頸部、胸部、胸腹部、腹部、骨盤部、脚部となる。また、各部位を認識する際には、各スライス画像中の人体領域内の空気領域や骨領域の人体領域に対する割合、その人体領域の周長と同じ周長を有する円の面積に対する人体領域の面積の割合(円形度)等の多種の特徴量を用いて、Adaboost手法に基づく学習で得られる判別器によって、スライス画像毎に、各部位らしさを表すスコアを算出し、そのスコアを用いて、動的計画法により、人体の体部の解剖学的位置関係に整合するように、各スライス画像の撮影部位を決定する。したがって、各スライス画像の撮影部位の決定要素として多種の特徴量を用いているため、各スライス画像中の椎骨領域の情報の部位認識結果に対する寄与は低いものとなる。なお、部位認識処理の詳細については図9から12等を用いて後述する。
【0036】
椎骨検出部24は、3次元画像を入力として、AdaBoost手法を用いて脊柱の画像を学習させておいた判別器を用いて、そのスライス画像中に含まれる椎骨(図7(a)参照)を検出する処理を行い、3次元画像を構成する各スライス画像中の椎骨の中心を表す点を検出点として、各スライス画像におけるその検出点の位置座標を画像処理ワークステーション2の所定のメモリ領域に格納するものである。なお、椎骨検出処理の詳細については図13から19等を用いて後述する。
【0037】
椎骨ROI設定部25は、椎骨の検出点が決定された1枚のスライス画像を入力として、検出点を中心とする所定のサイズの領域(例えば、図7(b)に例示した256画素×256画素の矩形領域)を関心領域(ROI)として設定し、その関心領域の画像データを画像処理ワークステーション2の所定のメモリ領域に格納するものである。
【0038】
類似度算出部26は、類似度算出対象の関心領域の画像データを入力として、各関心領域の画素値の相関を求める処理を行い、算出された相関値と、入力された関心領域の画像データが含まれるスライス画像のスライス番号とを対応づけて、画像処理ワークステーション2の所定のメモリ領域に格納するものである。なお、この処理は、入力された2つの画像のモダリティが同一であることを前提としたものであり、2つの画像のモダリティが異なる場合には、2つの画像の相互情報量を求めればよい。また、類似度算出部26の呼び出しの際に、各入力画像データのモダリティも起動パラメータとして受け取るようにし、その起動パラメータに応じて、相関と相互情報量のどちらを求めるかを決定するようにしてもよいし、各入力画像データのモダリティ毎に異なる類似度算出部26を用意しておき、制御部21が各入力画像データのモダリティ1に応じて適切な類似度算出部26を呼び出すようにしてもよい。
【0039】
GUI制御部27は、画像処理ワークステーション2のグラフィカル・ユーザ・インターフェースの制御を行うものであり、表示対象の2つのスライス画像の画像データを入力とし、2つのスライス画像を画像処理ワークステーション2のディスプレイに並べて同時に表示させる制御を行ったり、画像処理ワークステーション2のディスプレイに所定のメニュー画面を表示させる制御を行ったり、マウスやキーボード等の入力装置による操作を受け付けたりするものである。
【0040】
次に、図3のフローチャートを用いて、本発明の実施形態となる画像解析・表示処理の流れについて説明する。この処理の流れは、画像処理ワークステーション2の制御部21による制御に基づいて、画像処理ワークステーション2の他の各処理部や画像サーバ3の各処理部による処理が連携されることによって、実現されている。
【0041】
まず、画像処理ワークステーション2において、本発明の画像解析・表示プログラムが起動されると、制御部21は、その起動パラメータから処理対象の2つの3次元画像を表す検査IDおよびシリーズID等を取得した後、画像データ取得部22を呼び出し、起動パラメータから取得された検査IDおよびシリーズID等を引き渡す。画像データ取得部22は、その検査ID、シリーズID等を検索キーとする検索要求を画像サーバ3に送信し、画像サーバ3での画像データベース4の検索によって抽出された、その検索要求に合致する画像データを画像サーバ3から受信し、スライス画像毎の画像ファイル群として、画像処理ワークステーション2のハードディスクの所定の領域に格納し、画像データの取得完了メッセージを制御部21に返す(#1)。
【0042】
次に、制御部21は、GUI制御部27に、取得された2つの3次元画像の各々を構成するスライス画像の表示と、基準スライス画像の指定の受付を行わせる(#2)。具体的には、制御部21は、GUI制御部27を呼び出し、画像データ取得部22によって取得された2つの3次元画像の各々の先頭のスライス画像の画像データを特定する情報(画像ファイル名等)を引き渡す。GUI制御部27は、その画像データに基づいて各3次元画像の先頭のスライス画像をディスプレイに表示させる。ここで、ユーザが、例えば、ディスプレイに表示されているスライス画像の一方をクリックし、そのスライス画像上でマウスのホイール操作を行うと、GUI制御部27はクリックされた側のスライス画像の表示の切替要求として受け付け、その要求を制御部21に引き渡す。制御部21は、その要求に応じて、クリックされた側の3次元画像の次のスライス画像の画像データを特定する情報をGUI制御部27に引き渡し、GUI制御部27は引き渡された情報に基づいて次のスライス画像をディスプレイに表示させる。これを繰り返すことによって、ユーザは一方の3次元画像を構成するスライス画像を切り替えて順次表示させていくことができる。ユーザが、切替表示されている3次元画像の側で所望のスライス画像が表示された時点で、例えば、「対応スライスの表示」を画面中のメニュー等から選択する操作を行うと、GUI制御部27はその切替えによって表示されたスライス画像に対応する他方の3次元画像中のスライス画像の表示要求として受け付け、その要求を制御部21に引き渡す。制御部21は、この対応スライスの表示要求を受け取ると、その時点で切替え表示が行われていた方の3次元画像のうちの現在表示されているスライス画像を特定する情報を基準スライス画像の情報として所定のメモリ領域に格納する。
【0043】
次に、制御部21は、部位認識部23に、画像データ取得部22によって取得された2つの3次元画像の画像データを入力とする部位認識処理を行わせる(#3)。具体的には、制御部21は、部位認識部23を呼び出し、画像データ取得部22によって取得された2つの3次元画像の画像データの一方を特定する情報を引き渡す。部位認識部23は、その一方の3次元画像の画像データを入力として、その3次元画像の複数のスライス画像中に表された被検体の部位を認識する画像解析処理を行い、認識結果を所定のメモリ領域に格納し、処理完了メッセージを制御部21に返す。制御部21は、画像データ取得部22によって取得された2つの3次元画像データの他方についても同様にして、部位認識部23に処理させる。
【0044】
制御部21は、上記参考文献1に記載されているように、部位認識部23による認識結果に基づいて、まず、両3次元画像の異なる部位間の境界の位置を対応づけていき、次に、2つの境界の間の同一部位と認識されたスライス画像について、その部位内での体軸方向における相対的な位置が一致するスライス画像同士を対応づけていき、さらに、3次元画像の一方の端部と1つの境界との間のスライス画像について、境界に近いスライス画像から順に対応づけていくことによって、両3次元画像中のスライス画像について、体軸方向の位置の対応関係を暫定的に決定する(#4)。
【0045】
図5は、2つの3次元画像V1、V2に対して部位認識結果に基づく対応関係を暫定的に決定した例を模式的に表したものである。この例では、まず、胸部と腹部の境界の位置に注目して、3次元画像V1のスライス番号10,11のスライス画像に対して、3次元画像V2のスライス番号12,13のスライス画像が各々対応づけられるとともに、腹部と骨盤部の境界の位置に注目して、3次元画像V1のスライス番号18,19のスライス画像に対して、3次元画像V2のスライス番号21,22のスライス画像が各々対応づけられる。次に、上記2つの境界の間の腹部と認識されたスライス画像については、例えば、両3次元画像中の、胸部と腹部の境界から腹部と骨盤部の境界までの間をn1:n2の比に内分する位置のスライス画像同士が対応づけられる。さらに、画像の上端から胸部と腹部の境界までの間の胸部と認識されたスライス画像については、3次元画像V1のスライス番号9,8,7,・・・が、各々、3次元画像V2のスライス番号11,10,9,・・・に対応づけられるとともに、腹部と骨盤部の境界から画像の下端までの間の骨盤部と認識されたスライス画像については、3次元画像V1のスライス番号20,21,22,・・・が、各々、3次元画像V2のスライス番号23,24,25,・・・に対応づけられる。
【0046】
なお、上記の境界部分以外のスライス画像についての部位内の比率等を利用した対応づけは、スライス番号のみを用いて行ってもよいし、スライス間隔および/または各スライス画像のスライス位置の座標値を用いた座標計算によって行ってもよい。
【0047】
このようにして部位認識結果に基づいて両3次元画像間の体軸方向の対応関係が暫定的に決定された後、制御部21は、部位認識結果に基づく対応関係を、脊柱(椎骨)を基準とした対応関係に修正するために、前記の他方の3次元画像中に、修正によって新たに基準スライス画像と対応づけられるスライス画像の候補となる複数の候補スライス画像を決定する(#5)。具体的には、制御部21は、ステップ#2で指定された基準スライス画像(ここでは3次元画像V1中の画像とする)の情報をメモリ領域から読み込んだ後、図6に示したように、ステップ#4で暫定的に決定された部位認識結果を基準とした対応関係に基づいて、3次元画像V1に設定された基準スライス画像に対応する3次元画像V2中のスライス画像を特定し、そのスライス画像の体軸方向のスライス位置を中心として、椎骨の体軸方向の長さよりも短い範囲内にスライス位置を有するスライス画像を候補スライス画像に決定する。ここで、椎骨の体軸方向の長さは、人体の椎骨の大きさの平均および分散等の解剖学的知見に基づき、予め設定ファイルやプログラムの起動パラメータとして定義しておけばよく、実際には約3cm程度とすることができる。さらに、候補スライス画像の決定方法としては、各スライス画像のスライス間隔を付帯情報から取得し、椎骨の体軸方向の長さの範囲内に何枚のスライス画像が存在しうるかを求め、前記の基準スライス画像と暫定的に対応するスライス画像を中心として、その枚数のスライス画像を候補スライス画像とする方法が挙げられる。あるいは、各スライス画像のスライス位置(座標値)を付帯情報から取得し、そのスライス位置と椎骨の体軸方向の長さとから、候補スライス画像のスライス位置の存在範囲を座標計算によって求め、その存在範囲内にスライス位置を有するスライス画像を候補スライス画像とすることもできる。
【0048】
次に、制御部21は、決定された基準スライス画像および候補スライス画像の各々の画像データから椎骨を検出する処理を椎骨検出部24に行わせる(#6)。具体的には、制御部21は、椎骨検出部24を呼び出し、2つの3次元画像のうちの一方の画像データを特定する情報を引き渡す。椎骨検出部24は、その3次元画像の画像データを入力として、画像中の椎骨を検出する画像解析処理を行い、各スライス画像の椎骨の検出点の位置座標を所定のメモリ領域に格納し、処理完了メッセージを制御部21に返す。制御部21は、他方の3次元画像についても同様にして椎骨検出部24に処理させる。
【0049】
さらに、制御部21は、基準スライス画像および候補スライス画像の各々に対して椎骨を主に含む関心領域を設定する処理を椎骨ROI設定部25に行わせる(#7)。具体的には、制御部21は、椎骨ROI設定部25を呼び出し、基準スライス画像および候補スライス画像のうちの1つの画像の画像データを特定する情報およびその画像中の椎骨の検出点の位置座標の情報を引き渡す。椎骨ROI設定部25は、これらの引き渡された情報に基づき、そのスライス画像中の検出点を中心とする関心領域を設定し、その関心領域の画像データを所定のメモリ領域に格納し、処理完了メッセージを制御部21に返す。制御部21は、基準スライス画像および候補スライス画像のうちの他の画像についても同様にして椎骨ROI設定部25に処理させる。
【0050】
そして、制御部21は、基準スライス画像中の関心領域と各候補スライス画像中の関心領域との類似度を算出する処理を類似度算出部26に行わせる(#8)。具体的には、制御部21は、類似度算出部26を呼び出し、基準スライス画像中の関心領域の画像データおよび候補スライス画像のうちの1つの画像中の関心領域の画像データを特定する情報を引き渡す。類似度算出部26は、これらの引き渡された情報に基づいて、2つの画像中の関心領域の画像データを取得し、これらの関心領域の類似度(相関値や相互情報量)を算出し、算出結果を所定のメモリ領域に格納し、処理完了メッセージを制御部21に返す。制御部21は、候補スライス画像のうちの他の画像中の関心領域についても同様にして類似度算出部26に基準スライス画像中の関心領域との類似度を算出させる。
【0051】
制御部21は、類似度算出部26によって算出された基準スライス画像中の関心領域と各候補スライス画像中の関心領域との類似度に基づき、関心領域の類似度が最大となる候補スライス画像を基準スライス画像と新たに対応づけることによって、部位認識結果を基準とする両3次元画像間の対応関係を、脊柱(椎骨)を基準とする対応関係に修正する(#9)。このとき、両3次元画像中の他のスライス画像の対応関係は、修正前後での基準スライス画像に対応するスライス画像の移動量(スライス枚数やスライス位置の座標値の変位量)に基づいて順次修正すればよい。
【0052】
最後に、制御部21は、ステップ#8の修正によって得られた椎骨を基準とする対応関係によって対応づけられる2つのスライス画像を画像処理ワークステーション2のディスプレイに同時に表示させる処理をGUI制御部27に行わせる(#10)。具体的には、制御部21は、GUI制御部27を呼び出し、対応する2つのスライス画像の画像データを特定する情報を引き渡す。GUI制御部27は、これらの引き渡された情報に基づいて、表示対象の2つの画像の画像データを取得し、ディスプレイに並べて表示させる。このとき、一定時間間隔あるいはユーザの操作等のトリガに応じて、表示対象の、対応する2つのスライス画像の両方を順次切り替えるようにしてもよい。具体的には、ステップ#2と同様に、GUI制御部21が、そのトリガを検出したらその旨を制御部21に引き渡し、制御部21が次に表示する2つのスライス画像の画像データを特定する情報を新たにGUI制御部27に引き渡すようにすればよい。
【0053】
図8は、本発明の上記の実施形態により、3次元画像V1とV2の対応関係が決定・修正される様子を、両3次元画像の体軸に平行な断面で模式的に表したものである。図8(a)(b)に示したように、本発明の上記の実施形態によれば、制御部21が、まず、部位認識部23による部位認識結果に基づいて両画像V1,V2の対応関係を決定する。図8(a)(b)では、胸部と腹部の境界にスライス位置を有する3次元画像V1のスライス画像SL10と3次元画像V2のスライス画像SL20とが対応づけられている。次に、制御部21は、3次元画像V1中に基準スライス画像(図8(a)ではスライス画像SL10とする)を設定し、その基準スライス画像に対応する3次元画像V2中のスライス画像(図8(b)ではスライス画像SL20)を中心として椎骨の体軸方向の長さよりも短い範囲内にあるスライス画像を候補スライス画像とし、椎骨検出部24と椎骨ROI設定部25の処理により基準スライス画像と各スライス画像中に椎骨を主に含む関心領域を設定させ、類似度算出部26に基準スライス画像中の関心領域と各候補スライス画像中の関心領域の類似度を算出させる。そして、制御部21は、基準スライス画像SL10中の関心領域との類似度が最大となる関心領域を有する候補スライス画像(図8(c)ではスライス画像SL21)を、基準スライス画像SL10と新たに対応づけることによって対応関係の修正を行う。これにより、3次元画像V1とV2の対応関係は、図8(a)と(b)に示した部位認識結果を基準にしたものから、図8(a)と(c)に示した椎骨の位置を基準にしたものに修正され、この対応関係に基づいて画像処理ワークステーション2に同時に並べて表示される両画像V1,V2中の対応する2つのスライス画像(例えばスライス画像SL10とスライス画像SL21)は、椎骨の同一の位置を表したものとなり、実際の読影現場でのユーザの要望に合致した非常に見やすいものとなる。
【0054】
また、制御部21が、検出された椎骨の検出点を中心とする椎骨の体軸方向の長さよりも短い範囲内で、3次元画像V1中の基準スライス画像SL10に対する候補スライス画像を決定するので、図8の椎骨B1やB3の中央部の、スライス画像SL20と類似した椎骨のテクスチャを含むスライス画像は、候補スライス画像から除外され、異なる椎骨に基づいて対応関係が修正されることも回避される。したがって、椎骨を基準とする対応関係の修正精度も極めて高いものとなる。
【0055】
さらに、上記の処理は、画像処理ワークステーション2の制御部21の制御により自動的に行われるので、ユーザが両画像中の対応するスライス画像を手作業で設定する負荷も軽減される。
【0056】
次に、上記の実施形態において、部位認識部23で行われる部位認識処理と、椎骨検出部24で行われる椎骨検出処理の詳細について補足説明する。
【0057】
(1)部位認識処理の詳細
以下、本出願人が特願2007-104846号にて提案している手法について説明する。
【0058】
図9は、部位認識部23の処理の詳細を表すブロック図である。図に示すように、入力された断層画像SLn(n=1,2,・・・)の正規化を行う正規化処理部23aと、正規化された断層画像SNnから多数の特徴量cnm(m=1,2,・・・)を算出する特徴量算出部23bと、正規化断層画像SNn毎に算出された特徴量cnmを、AdaBoost手法によって得られた判別器に入力して、部位らしさを表す部位毎のスコアscnp(p=頭部、頭頸部、頸部、胸部、胸腹部、腹部、骨盤部、脚部)を算出する部位スコア算出部23cと、算出された部位スコアscnpを入力として、動的計画法を用いて、上記体部の並び順が保たれるように各入力断層画像SLnに表された部位Pnを決定する部位決定部23dとから構成される。
【0059】
正規化処理部23aは、入力画像SLnから人体領域を抽出し、抽出された人体領域の情報からランドマーク(基準点)を算出し、算出されたランドマークを基準としてアフィン変換を行って入力画像を拡大・縮小、平行移動、回転させて正規化画像SNnを生成する処理を行う。この正規化処理の目的は、入力される断層画像SLnにおける、個体差や撮影条件等による画像中の人体領域の大きさや傾きのばらつきを排除し、人体領域中の構造物(例えば骨領域や空気領域)の位置を合わせておくことにより、後続の部位認識処理の効率や精度を上げることにある。
【0060】
ここで、入力画像SLnから人体領域を抽出する方法は本発明の実施時点における公知の方法でよく、例えば、入力画像SLnに対して2値化処理とノイズ除去処理を行った後、輪郭抽出処理により人体領域候補となる輪郭を抽出し、抽出された各輪郭の内部の面積が所定の閾値未満の輪郭を除去し、残った輪郭の内部を人体領域と判定する方法(特開平9−187444号公報参照)等が挙げられる。
【0061】
また、ランドマークは、例えば、輪郭線と正中面との交点となる2点とすることができる。具体的には、抽出された人体領域に対するラベリング処理によって得られるラベリング数に応じて、図10のようにランドマークを求めることができる。図10(a)(b)のようにラベリング数が1の場合には、ラベリング領域(人体領域)RLの重心Gを求め、その重心Gを通る長軸ALおよび短軸AS、ならびに、その重心Gを通る、断層画像SLnの上下方向の直線LVを設定し、長軸ALと短軸ASのうち直線LVとなす角が小さい方の軸と人体領域RLの輪郭線との交点をランドマークLM1、LM2とする。図10(a)は、短軸ASと直線LVのなす角の方が長軸ALと直線LVのなす角よりも小さい場合を模式的に表したものであり、胸部、胸腹部、腹部、骨盤部が表された画像に相当する。図10(a)は、長軸ALと直線LVのなす角の方が短軸ASと直線LVのなす角よりも小さい場合を模式的に表したものであり、頭部、頭頸部、頸部が表された画像に相当する。また、図10(c)はラベリング数が2の場合であり、脚部が表された画像に相当する。この場合には、各ラベリング領域RL1、RL2について、重心G1、G2を求め、各重心G1、G2を通る長軸AL1、AL2および短軸AS1、AS2、ならびに、その各重心G1、G2を通る、断層画像SLnの上下方向の直線LV1、LV2を設定し、各ラベリング領域について、長軸AL1、AL2と短軸AS1、AS2のうち直線LV1、LV2となす角が小さい方の軸と人体領域RL1、RL2の輪郭線との交点をIS11、IS12、IS21、IS22とし、互いに交差しない線分IS11 IS21、線分IS12 IS22の中点を各々ランドマークLM1、LM2とする。なお、2つのラベリング領域の面積比が所定の範囲にない場合、すわなち、2つのラベリング領域の面積の差が所定の閾値よりも大きい場合には、面積の小さい方のラベリング領域は医療器具等であると判断し、面積が大きい方のラベリング領域について上記のラベリング数が1の場合と同様の処理を行う。図10(d)はラベリング数が3の場合であり、頸部と両腕が表された画像に相当する。この場合には、各ラベリング領域RL1、RL2、RL3のうち面積が最大の領域(ここではRL2)に対して上記のラベリング数が1の場合と同様にして
ランドマークLM1、LM2を求める。なお、図10(a)(b)(d)において、ランドマークLM1、LM2の直線LVからの距離が所定の閾値よりも大きい場合、ランドマークLM1、LM2の位置を直線LVに近づくようにラベリング領域RLの輪郭に沿って移動させる補正処理を行うようにしてもよい。同様に、図10(c)において、ランドマークLM1、LM2の、線分LM1LM2の中点G3を通る、断層画像SLnの上下方向の直線LV3からの距離が所定の閾値よりも大きい場合には、ランドマークLM1、LM2の位置を直線LV3に近づくように線分IS11IS21、線分IS12IS22に沿って移動させる補正処理を行うようにしてもよい。移動量の具体例としては、ランドマークLM1、LM2と直線LVまたはLV3との距離が20%短くなるように移動させることが考えられる。
【0062】
このようにして求めたランドマークLM1、LM2を基準に、2つのランドマークLM1、LM2が断層画像SLnの水平方向における中心に位置し、かつ、2つのランドマーク間の距離が所定の値になるように、アフィン変換等を行って画像を正規化する。
【0063】
特徴量算出部23bは、正規化画像SNnの各々から、多数の種類の特徴量cnmを算出する処理を行う。特徴量cnmの具体例としては、正規化画像SNn中に設定されたブロック(例えば3×3画素等)内の画素値や画素値の平均値、最大値、最小値、中間値、CT値に基づく閾値処理によって抽出された人体領域中の空気領域や骨領域の人体領域に対する割合、その人体領域の周長と同じ周長を有する円の面積に対する人体領域の面積の割合(円形度)等が挙げられる。なお、特徴量cnmは、算出された値そのものであってもよいし、算出された値を多値化したものであってもよい。
【0064】
部位スコア算出部23cは、特徴量cnmを、AdaBoost手法に基づく学習によって得られた部位毎の判別器群に入力して、断層画像SLn毎に、各部位らしさを表す部位スコアscnpを算出する処理を行う。ここで、部位毎の判別器群は、学習用サンプルとなるその部位が表されていることがわかっている複数の画像とその部位が表されていないことがわかっている複数の画像の各々について上記と同様にして算出された多数の種類の特徴量を用いてAdaBoost手法に基づく学習を行うことによって得られたものである。1つの部位を判別する判別器群には1以上の判別器が含まれるが、2以上の判別器が含まれる場合、各判別器は判別能力について相補的な関係を有したものとなっている。また、判別器群は判別すべき部位の種類と同数生成され、判別器群毎に使用される特徴量の種類が決定される。なお、この学習および部位スコア算出方法の詳細については特開2005-108195号公報等に開示されている。部位スコアの算出は、上記の方法の他、人工ニューラルネットワーク(ANN)、サポートベクターマシン(SVM)、適合ベクターマシン(Relevance Vector Machine; RVM)等の他の学習手法によって生成された判別器を用いた方法や、1つの特徴量または複数の特徴量の組合せに対して部位スコアを決定する参照テーブルを用いた方法(特開2007-307205号公報等参照)等であってもよい。また、特徴量算出部23bと部位スコア算出部23cの処理を、テンプレートマッチング(特開2002-253539号公報等参照)や部位毎の固有画像との比較処理(特開2003-10166号公報等参照)によって得られる類似度を部位スコアとする処理に置換してもよい。
【0065】
上記の処理により、断層画像SLn毎に、部位毎のスコアscnpが算出される。図11(a)は、断層画像(スライス)SLn毎に算出された部位毎のスコアscnpの一例を示した表であり、部位スコアscnpの値が大きいほどその部位である確率が高いことを表している。この表において、スライスSLn毎に部位スコアscnpが最大となる部位を辿ると、スライス1−頭頸部、スライス2−頭頸部、スライス3−頸部、スライス4−胸部、スライス5−頸部、スライス6−胸部となり、スライス4から6の間で、人体の体部の並び順との不整合がある。そこで、次の部位決定部23dの処理でその修正が行われる。
【0066】
部位決定部23dは、予め作成された、人体の体部の配置順、すなわち、頭部、頭頸部、頸部、胸部、胸腹部、腹部、骨盤部、脚部の順で配置された参照部位と、各断層画像SLnにおける部位スコアscnpの最大値との間の不一致が生じないように、各断層画像SLnに表された部位Pnを最終的に決定する処理を行う。ここでは、参照部位と各断層画像SLnにおける部位スコアscnpの最大値との間に不一致がある場合にコストがかかるようにして、コストが最小かつ最短となる経路を求めることによって、部位Pnを最終決定する。具体的には、最適化問題を解くための手法を用いればよく、本実施形態では、その具体例として、動的計画法(DPマッチング;Dynamic Programming)を用いた手法を説明する。
【0067】
まず、図11(a)の部位スコアscnpについて、各スライスにおける部位スコアscnpの最大値から各スコア値を減算する。これにより、図11(b)に示したように、各部位スコアscnpの大小関係が逆転した、すなわち、各部位スコアscnpが0以上の値に変換され、部位スコアscnpが最も高かった部位のスコア値が0に変換された重みマップが生成される。ここで、重みマップの生成の際には、上記の減算ではなく、参照テーブルを用いた変換を行うようにしてもよい。
【0068】
次に、図11(b)の重みマップを入力として、DPマッチングによりコストが最小となる経路を算出する。以下、本出願人が特願2006-140041号(特開2007-307205号)にて提案している手法についての記載を引用する。まず、図11(b)の重みマップを入力として、図11(c)に示すようなコストマップを生成する。図11(c)において、各セル(n,p)のコストは次のように設定される。ここで、nはスライスの番号を示しており、pは部位を表す番号(1:頭頸部、2:頸部、3:胸部)となっている。
【0069】
(1,1):重みマップにおける(1,1)の値(図11(b)参照)
(n,1):重みマップにおける(n−1,1)の値+所定の値(ここでは0)
(1,m):重みマップにおける(1,m−1)の値+所定の値(ここでは0)
(n,m):次の(i)〜(iii)の内の最小値
(i)コストマップにおける(n−1,m−1)の値
+重みマップにおける(n,m)の値
(ii)コストマップにおける(n,m−1)の値
+重みマップにおける(n,m)の値+所定の値(ここでは1.0)
(iii)コストマップにおける(n−1,m)の値
+重みマップにおける(n,m)の値+(ここでは1.0)
次に、コストマップを、右側から左側に向かって、周辺の最小値を順次辿って行く。それにより、スライス番号と部位との対応マップが作成される。
【0070】
これにより、図12に示した、人体の体部の並び順(参照部位)を縦軸とし、各スライスSLnにおける部位スコアscnpの最大値による仮認識結果を横軸とするマッチングカーブに基づいて、仮認識結果を、対応する参照部位に置き換えることにより、各スライスSLnの部位を最終決定する処理が行われたことになる。
【0071】
(2)椎骨検出処理
以下、本出願人が特願2008-054627号等にて提案している手法について説明する。
【0072】
椎骨検出処理は、一本の椎骨の異なる位置の横断面(本発明の上記実施形態における体軸方向に垂直な断面)を示す複数の医用画像から椎骨の中心線を求めるものであり、椎骨検出部24は、この椎骨の中心線を表す各医用画像の点の座標を所定メモリ領域に格納するものである。
【0073】
図13は、椎骨検出部24の処理を詳細に表すブロック図である。図に示すように、椎骨検出部24は複数の医用画像中の各画素の注目画素を基準として周辺領域を設定し、機械学習手法により生成された判別器を用いて、周辺領域を脊髄領域であるか否かを判別する脊髄領域検出手段24aと、脊髄領域検出手段24aにより検出された複数の脊髄領域内の中心点により構成される脊髄中心線を椎骨の縦断面を示す縦断面画像中に生成し、脊髄領域検出手段24aの判別器が、周辺領域を脊髄領域であると判別する程度を表す判別値を算出した際、判別値が所定値以上である周辺領域の基準となる注目画素を前記脊髄領域の中心点とする脊髄中心線生成手段24bと、脊髄中心線生成手段24bにより生成された脊髄中心線と椎骨との位置関係に基づいて椎骨の中心線を求める椎骨中心線決定手段24cを有している。
【0074】
ここで、椎骨中心線決定手段24cは、医用画像毎に、脊髄領域検出手段24aにより検出された脊髄領域内の中心点と脊椎領域を通り、かつ心臓部を通らない直線上の医用画像中の各画素の輝度値を抽出し、抽出された輝度値を持つ各直線により、たとえば図19に示すような縦断面画像を生成する縦断面画像生成手段24dと、縦断面画像生成手段24dにより生成された縦断面画像から所定の輝度値以上である二本の骨梁線を検出し、検出された二本の骨梁線に挟まれる脊椎領域を含む領域を椎骨として検出する椎骨領域検出手段24eを備えるものである。
【0075】
次に、以上の構成の椎骨検出部24において行われる処理について説明する。
【0076】
図14は椎骨検出部24の一連の処理フローチャートである。まず、脊髄領域検出手段24aが、脊髄領域を検出する(#11)。たとえば図15は、被写体を胸から足の付け根まで複数の切断位置で切断したときの各輪切の画像からなる医用画像(アキシャル画像)に置ける典型的な脊髄のCT画像を示す。脊髄領域は明らかなパターンをもっているため、画像検出技術を用いて、医用画像から脊髄領域を安定的に検出することが可能となる。
【0077】
脊髄領域の検出方法として、統合学習機械をつくる手法であるAdaboostに基づいたマシンラーニング手法を利用するものであることが考えられる。具体的には、脊髄領域の追跡は、特徴点検出等の公知の手法や学習データに対してリサンプリングの際に重みを逐次的に更新し、できた機械を最後に学習機械に対する重みをつけることで、統合学習機械をつくる手法であるAdaboostに基づいたマシンラーニング手法を用いる。学習サンプル画像において、たとえば図16のように脊髄の領域の上下P1とP2の二点を指定し、その二点間の中心を中心とし、指定した二点間の距離の二倍の長さの四方形領域を関心領域とする。様々の患者のCT画像の様々の位置(胸椎や腰椎)から切り取った四方形の領域のサイズを正規化し同じサイズに揃える。それらの関心領域を正の学習サンプルとする。
【0078】
次に、脊髄領域検出手段24aが、指定した領域から離れた領域からランダムに様々なサイズの四方形領域を切り出してサイズを揃え、負の学習サンプルとする。
【0079】
次に、脊髄領域検出手段24aが、正と負の学習サンプル画像に対して、例えば図17に示すように、ランダムに選択されたn組の画素ペアの値の組み合わせを特徴量とし、Adaboostに基づいたマシンラーニング手法により、正と負のパターンを見分ける判別器を作成する。
【0080】
脊髄領域を検出する際、医用画像を走査し、注目画素を中心とした様々なサイズの四方形領域を切り出し、図17に示すように特徴量を算出する。
【0081】
それを学習段階で得られた判別器に入力し、判別値を求め、そのうちの最大値を注目画素のスコアとする。医用画像から、判別値が最大になる位置(画素)を検出し、脊髄領域の中心とする。
【0082】
また、脊髄領域を検出する手法として、既知のテンプレートマッチング手法(例えば、特開2002−109548号公報)やリングモデルを用いた画定手法(例えば、特開2007−111533号公報)を本発明の画像処理装置における脊髄領域の検出に用いることができる。
【0083】
次に、脊髄中心線生成手段24bが、脊髄領域の中心点から脊髄中心線を生成する(#12)。中心点は、脊髄領域内の略真中に存在する所定の画素を設定する。必ずしも脊髄領域内の厳密な中心である必要はない。また、脊髄領域の周囲または所定の両端から略等距離にあるような点や、重心点を設定してもよい。
【0084】
具体的には、ここで、前ステップで得られた複数の医用画像の脊髄領域の中心から滑らかな三次元である脊髄中心線を求める。脊髄中心線の算出手法としては、得られた脊髄領域の中心点に折れ線や曲線(多項式曲線、B−Spline曲線など)をフィッティングする手法(例えば、特開平6−189934号公報)がある。また、ランダムに幾つかのサンプルを抽出し最小二乗法をあてはめるRANSAC手法(例えば、M.A.Fischler and R.C.Bolles(June 1981).“Random Sample Consensus:A Paradigm for Model Fitting with Applications to Image Analysis and Automated Cartography”.Comm.of the ACM 24:381-395)を用いても良い。
【0085】
そして、脊髄中心線生成手段24bが、検出された脊髄領域から中心点を設定する際に、得られた判別値(脊髄領域であると判別する程度を表す値であり、言い換えれば、脊髄領域のパターンらしさに相当する値である)を利用してもよい。その際、判別値がある閾値を越えた脊髄領域の中心点のみを選択し、上記脊髄中心線の算出手法により、脊髄領域の滑らかな三次元曲線を生成する。
【0086】
なお、上述した脊髄中心線の算出手法を用いるに際し、判別値を、それぞれの脊髄領域の中心点の重み係数として使用してもよい。
【0087】
次に、縦面画像生成手段24dが、断面画像を生成する(#13)。具体的には、上述した脊髄中心線の算出手法により算出された脊髄中心線をもとに、脊椎の中心線を算出するために、まず、各医用画像で得られた脊髄領域の中心を用いて、図18のように中心点を基準として、Y軸から逆時計周りにα度傾いた直線上の医用画像中の各画素の輝度値を抽出し、抽出された輝度値を持つ各直線により縦断面画像を生成する。上記直線は、縦断面画像を生成する。また、心臓部は血管等が多く存在し、安定的なパターンではないため、上記直線は、中心点と脊椎領域を通り、かつ心臓部を通らないように設定してもよい。
【0088】
椎骨領域検出手段24eは、縦断面画像における椎骨の境界線を検出する(#14)。具体的には、縦断面画像中に、脊髄中心線が一本の曲線となり、脊椎領域は脊髄中心線の左側に、二本のCT値(画素値)の高い骨梁線とそれに囲まれたCT値(画素値)の低い海綿骨領域が現れる。
【0089】
椎骨領域検出手段24eは、椎骨の中心線と幅を算出する(#15)。具体的には、図18の曲線L3である脊髄中心線を用いて椎骨の中心線を算出する。まず、図18の縦断面画像に対し、X方向の差分を求める。脊椎領域の腹側のエッジ部で大きな正の差分値が得られ、その背側のエッジ部で大きな負な差分値が得られる。
【0090】
椎骨領域検出手段24eは、脊髄中心線L3を線形変換し、脊椎領域の背側のエッジ線L2にフィッティングさせるために、式(1)を用いて、係線形変換数a及びbを算出し、脊椎領域の背側のエッジ線L5を算出する。
【数1】
【0091】
腹側のエッジ曲線L1についても、同様な手法でエッジ曲線L4を求められる。
【0092】
上記フィティングさせる手法は上記式に限るものではなく、縦断面画像の輝度値の勾配から直接曲線L4、L5を算出してもよい。
【0093】
図19のように算出された曲線L4と曲線L5は、脊椎領域を含む椎骨の左右の境界線となる。そして算出された左右の境界線から、椎骨の中心線と幅を算出することが可能となる。
【0094】
このようにして、医用画像中の脊髄中心線との位置関係に基づいて、椎骨の中心線を正確に算出することができ、この椎骨の中心線を表す各医用画像上の点を各医用画像における椎骨の中心点として出力することができる。
【0095】
なお、上記実施形態においては、脊髄中心線決定手段24cは、脊髄中心線生成手段24bにより生成された脊髄中心線と椎骨との位置関係に基づいて椎骨の中心線を求めるものであったが、ここで、医用画像を積層したものから構成されるボクセル画像を用いて、椎骨中心線を算出する処理について説明する。
【0096】
縦断面画像生成手段24dは、脊髄領域検出手段24aにより検出された脊髄領域内の中心点とボクセル画像中の中心線を以下の式(2)のように定義した場合、図18のP3とP4を結ぶ断面により、上記ボクセル画像を切断した新たな縦断面画像を式(3)のように、表すことができる。
【数2】
【数3】
【0097】
式(3)で用いられるθは図18のP3とP4を結ぶ断面の傾き角度であり、λは上記断面上の位置を示す。位置の範囲(λの範囲)は、医用画像の枠の範囲により決定される。
【0098】
椎骨領域検出手段24eは、縦断面画像生成手段により生成された新たな縦断面画像から所定の輝度値以上である二本の骨梁線を検出し、検出された二本の骨梁線に挟まれる脊椎領域を含む領域を椎骨として検出するものである。
【0099】
椎骨領域検出手段24eは、二本の骨梁線を求めるため、式(4)により新たな縦断面画像のエッジを求めることができる。
【数4】
【0100】
Δは小さい値であり、通常、一画素であるが、必ずしもこれに限るものではない。
【0101】
また、椎骨領域検出手段24eは、式(4)で得られたエッジから、式(6)を用いて、背側の椎骨の壁にフィッティングすることを可能とし、式(7)を用いて、最小化から得られた最適パラメータを式(5)のように
【数5】
【0102】
すると、椎骨の背側のエッジ線である曲線L5を求めることができる。
【数6】
【数7】
【0103】
また、椎骨領域検出手段は、同様な手法で腹側のエッジ曲線L4を求められる。
【0104】
図19のように算出された曲線L4と曲線L5は、脊椎領域を含む椎骨の左右の境界線となる。そして算出された左右の境界線から、椎骨の中心線と幅を算出することが可能となる。
【0105】
このようにして、ボクセル画像を用いて、医用画像中の脊髄中心線との位置関係に基づいて、椎骨の中心を正確に算出することができる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上記の実施形態におけるシステム構成、処理フロー、モジュール構成、ユーザ・インターフェース等に対して、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な改変を行ったものも、本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記の実施形態はあくまでも例示であり、上記のすべての説明が本発明の技術的範囲を限定的に解釈するために利用されるべきものではない。
【0107】
例えば、上記の実施形態では、最初に2つの3次元画像中のスライス画像を同時に表示しているが(図3のステップ#2)、最初は一方の3次元画像中のスライス画像のみを表示させておき、ユーザが、その3次元画像中のスライス画像を切替表示しながら、所望のスライス画像を発見し、そこで、例えば「同一患者の過去画像の対応スライスの表示」を画面中のメニューから選択した場合に、GUI制御部27がその要求を制御部21に引き渡し、制御部21が画像データ取得部22にその一方の3次元画像に関連づけられた患者の過去画像の画像データを取得させ、その時点でディスプレイに表示されているスライス画像を基準スライス画像とし、その取得された過去画像を他方の3次元画像として、上記の実施形態と同様にその過去画像中の対応するスライス画像を決定し(図3のステップ#3〜#9)、対応するスライス画像を同時に表示させるようにしてもよい。
【0108】
また、上記の実施形態において、図3のステップ#1で2つの3次元画像の画像データを取得した後、ステップ#2の処理を行わずに、一方の3次元画像中のすべてのスライス画像を順次基準スライス画像としてステップ#3から#9までの処理を繰り返し行い、一方の3次元画像中の各々のスライス画像に対応する他方の3次元画像中の対応するスライス画像を特定しておき、ステップ#10で、一方の3次元画像中の先頭のスライス画像と、その画像に対応する他方の3次元画像中のスライス画像とを同時表示するようにしてもよい。ここで、一方の3次元画像中のすべてのスライス画像を順次基準スライス画像とせずに、所定のスライス画像のみを基準画像として、他方の3次元画像中の対応するスライス画像を特定し、両3次元画像中の他のスライス画像の対応関係については、上記の実施形態と同様に(ステップ#10)、修正前後での基準スライス画像に対応するスライス画像の移動量(に基づいて順次特定するようにしてもよい。
【0109】
また、上記の実施形態では対応スライス画像の決定の際に部位認識処理を行っているが(図3のステップ#3)、予め部位認識処理を行っておき、その認識結果(部位)を各スライス画像に付帯情報として関連づけた状態で画像データベース4に格納しておき、対応スライス画像の決定の際には、部位認識処理を行わずに、ステップ#4において、各スライス画像の付帯情報から部位認識結果を取得するようにしてもよい。
【0110】
さらに、上記の実施形態では、部位認識部23、椎骨検出部24、椎骨ROI設定部25は、入力画像データの単位毎に順次処理を行うように説明したが、複数の単位の入力画像データに対して並列に処理可能な構成にし、制御部21がすべての入力画像データを同時に各処理部23,24,25に引き渡すようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形態を実現する画像処理ワークステーションが導入された医療情報システムの概略構成図
【図2】本発明の実施形態を実現するワークステーションの機能ブロック図
【図3】本発明の実施形態となる画像解析・表示処理の流れを表すフローチャート
【図4】撮影部位認識処理の概要を模式的に表した図
【図5】2つの3次元画像に対して部位認識結果に基づく対応関係を暫定的に決定する例を模式的に表した図
【図6】基準スライス画像と候補スライス画像の決定方法を模式的に表した図
【図7】(a)被検体の断面画像と椎骨を含む関心領域の設定例を表した図 (b)関心領域の拡大図
【図8】本発明の実施形態により、3次元画像の対応関係が決定・修正される様子を、両3次元画像の体軸に平行な断面で模式的に表した図
【図9】部位認識部の構成を模式的に表したブロック図
【図10】断層画像の正規化のためのランドマークの設定方法を模式的に表した図
【図11】部位認識処理で用いるスライス毎・部位毎のスコアを表した図((a)部位スコア (b)重みマップ (c)コストマップ)
【図12】部位認識処理で用いるマッチングカーブの一例を示した図
【図13】椎骨検出部の構成を模式的に表したブロック図
【図14】椎骨検出部による処理の流れを表すフローチャート
【図15】アキシャル画像の一例を示す図
【図16】椎骨周辺のアキシャル画像部分の一例を示す図
【図17】Adaboost処理に用いる特徴量の一例を示す概念図
【図18】アキシャル画像と、脊髄中心線に沿った縦断面画像の一例を示す図
【図19】椎骨の境界線を示す図
【図20】椎骨以外の構造物を基準として2つの3次元画像間の対応関係を求めた場合の問題点を模式的に表した図
【図21】椎骨のみを基準として2つの3次元画像間の対応関係を求めた場合の問題点を模式的に表した図
【符号の説明】
【0112】
1 モダリティ
2 画像処理ワークステーション
3 画像サーバ
4 画像データベース
19 ネットワーク
21 制御部
22 画像データ取得部
23 部位認識部
24 椎骨検出部
25 椎骨ROI設定部
26 類似度算出部
27 GUI制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定する対応関係決定手段と、
前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記対応関係決定手段によって決定された前記対応関係を修正する対応関係修正手段と
を備えた画像解析装置であって、
前記対応関係修正手段は、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行うものであることを特徴とする画像解析装置。
【請求項2】
前記近傍の範囲が、前記周期性構造物の1周期の長さよりも小さい範囲であることを特徴とする請求項1記載の画像解析装置。
【請求項3】
前記対応関係修正手段が、
一方の前記3次元画像中の所与の点における前記所定の方向に垂直な断面による断面画像から前記周期性構造物を検出し、
該検出された周期性構造物を含む注目領域を設定し、
前記対応関係決定手段によって決定された対応関係によって対応づけられる、前記一方の3次元画像中の前記所与の点に対応する他方の前記3次元画像中の点の前記近傍の範囲内の複数の候補点における、前記所定の方向に垂直な断面による断面画像の各々から、前記周期性構造物を検出し、
該複数の候補点における前記断面画像の各々に、該断面画像から検出された周期性構造物を含む、前記注目領域に対応する候補領域を設定し、
該複数の候補点における候補領域のうち、前記注目領域との類似度が最大となる候補領域が含まれる前記断面画像の断面の前記所定の方向における位置を特定し、
該特定された位置が、前記一方の前記3次元画像中の前記所与の点と対応づけられるように、前記対応関係の修正を行うものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像解析装置。
【請求項4】
前記被検体が、前記周期性構造物との位置関係が前記所定の方向に変位しうる構造物をさらに有するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項5】
前記周期性構造物が椎骨を1周期とする脊柱であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項6】
前記所定の方向が前記被検体の体軸方向であり、
前記対応関係決定手段が、前記2つの3次元画像の各々について、該3次元画像の前記所定の方向における複数の位置での断面による断面画像に表された前記被検体中の部位を、該断面画像中の前記周期性構造物以外の部分を含む領域の特徴を表す特徴量を少なくとも1つ用いて認識し、前記2つの3次元画像の前記複数の位置において認識された部位の一致度が所定の基準を満たす程度に高くなるように、前記対応関係を決定するものであることを特徴とする請求項5記載の画像解析装置。
【請求項7】
所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定するステップと、
前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記決定された前記対応関係を修正するステップと
からなる画像解析方法であって、
前記修正するステップは、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行うものであることを特徴とする画像解析方法。
【請求項8】
コンピュータに、
所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定するステップと、
前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記決定された前記対応関係を修正するステップと
を実行させる画像解析プログラムであって、
前記修正するステップにおいて、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行わせるものであることを特徴とする画像解析プログラム。
【請求項1】
所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定する対応関係決定手段と、
前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記対応関係決定手段によって決定された前記対応関係を修正する対応関係修正手段と
を備えた画像解析装置であって、
前記対応関係修正手段は、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行うものであることを特徴とする画像解析装置。
【請求項2】
前記近傍の範囲が、前記周期性構造物の1周期の長さよりも小さい範囲であることを特徴とする請求項1記載の画像解析装置。
【請求項3】
前記対応関係修正手段が、
一方の前記3次元画像中の所与の点における前記所定の方向に垂直な断面による断面画像から前記周期性構造物を検出し、
該検出された周期性構造物を含む注目領域を設定し、
前記対応関係決定手段によって決定された対応関係によって対応づけられる、前記一方の3次元画像中の前記所与の点に対応する他方の前記3次元画像中の点の前記近傍の範囲内の複数の候補点における、前記所定の方向に垂直な断面による断面画像の各々から、前記周期性構造物を検出し、
該複数の候補点における前記断面画像の各々に、該断面画像から検出された周期性構造物を含む、前記注目領域に対応する候補領域を設定し、
該複数の候補点における候補領域のうち、前記注目領域との類似度が最大となる候補領域が含まれる前記断面画像の断面の前記所定の方向における位置を特定し、
該特定された位置が、前記一方の前記3次元画像中の前記所与の点と対応づけられるように、前記対応関係の修正を行うものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像解析装置。
【請求項4】
前記被検体が、前記周期性構造物との位置関係が前記所定の方向に変位しうる構造物をさらに有するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項5】
前記周期性構造物が椎骨を1周期とする脊柱であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項6】
前記所定の方向が前記被検体の体軸方向であり、
前記対応関係決定手段が、前記2つの3次元画像の各々について、該3次元画像の前記所定の方向における複数の位置での断面による断面画像に表された前記被検体中の部位を、該断面画像中の前記周期性構造物以外の部分を含む領域の特徴を表す特徴量を少なくとも1つ用いて認識し、前記2つの3次元画像の前記複数の位置において認識された部位の一致度が所定の基準を満たす程度に高くなるように、前記対応関係を決定するものであることを特徴とする請求項5記載の画像解析装置。
【請求項7】
所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定するステップと、
前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記決定された前記対応関係を修正するステップと
からなる画像解析方法であって、
前記修正するステップは、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行うものであることを特徴とする画像解析方法。
【請求項8】
コンピュータに、
所定の方向に周期性を有する周期性構造物を含む被検体を表す2つの3次元画像間の前記所定の方向における位置の対応関係を、前記周期性構造物の寄与がより低い基準に基づいて決定するステップと、
前記周期性構造物の寄与がより高い基準に基づいて、前記決定された前記対応関係を修正するステップと
を実行させる画像解析プログラムであって、
前記修正するステップにおいて、前記決定された対応関係によって対応づけられる、一方の前記3次元画像中の前記所定の方向における任意の位置に対応する他方の前記3次元画像中の前記所定の方向における位置が、該他方の3次元画像中の位置の前記所定の方向における近傍の範囲内で修正されるように、前記対応関係の修正を行わせるものであることを特徴とする画像解析プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図7】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図7】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−219655(P2009−219655A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67072(P2008−67072)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100124213
【弁理士】
【氏名又は名称】尾原 和貴
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100124213
【弁理士】
【氏名又は名称】尾原 和貴
【Fターム(参考)】
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