画像記憶装置
【課題】 比較的簡単な方法で、車両の事故直前の状況を事故の瞬間の破壊などがあっても誤りなく記憶保存することができ、メモリの寿命による制約を軽減できる画像記憶装置の実現を課題とする。
【解決手段】 車両内外の状況を撮影するビデオカメラ部1と、ビデオカメラ部1からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/D変換部2と、ディジタル映像信号を圧縮符号化する画像処理部3と、圧縮された画像データを記録するメモリ部4と、車両の衝撃を検出するためのセンサ部6とを具備し、メモリ部4にデータ保持に電源の必要なメモリとデータ保持に電源を必要としないメモリとを設け、データ保持に電源の必要なメモリに画像データを連続して記録し、データ保持に電源を必要としないメモリには画像データを間欠的に記録し、このデータをセンサ部6からの衝撃検出信号で保持する。
【解決手段】 車両内外の状況を撮影するビデオカメラ部1と、ビデオカメラ部1からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/D変換部2と、ディジタル映像信号を圧縮符号化する画像処理部3と、圧縮された画像データを記録するメモリ部4と、車両の衝撃を検出するためのセンサ部6とを具備し、メモリ部4にデータ保持に電源の必要なメモリとデータ保持に電源を必要としないメモリとを設け、データ保持に電源の必要なメモリに画像データを連続して記録し、データ保持に電源を必要としないメモリには画像データを間欠的に記録し、このデータをセンサ部6からの衝撃検出信号で保持する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像記憶装置に関し、特に自動車等の事故発生直前の映像を記録する画像記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車事故を予防し、自動車の安全性を高め、事故原因を解明する観点から、事故時の状況を画像などで捕らえることができれば効果的である。飛行機等ではフライトレコーダ、ボイスレコーダが設けられているように、自動車においても事故後に事故原因等の究明をするために事故直前の自動車の周りの画像を記憶する装置を考えた場合、画像記録部には下記のような方法が考えられる。
1)防犯カメラ等で使用されているような撮像装置とビデオテープレコーダ等の記録装置を利用する。
2)データ保持に電源の必要な半導体メモリ(SRAM、DRAM等)を記録装置に用いる。
3)データ保持に電源の必要の無い半導体メモリ(EEPROM、フラッシュメモリ等)を記録装置に用いる。
【0003】しかし、この様な通常の記録方法には幾つかの欠点が考えられる。
1)自動車内で使用した場合、振動、温度等の環境が厳しく、ビデオテープレコーダでは、ことに衝突時などでの耐久性に問題がある。
【0004】2)データ保持に電源の必要な半導体メモリ(SRAM、DRAM等)を使用した場合、データ保持には電源がどうしても必要になり、事故後衝撃で車のバッテリーの破損も十分考えられ、データが消えてしまう可能性がある。データ保持専用に装置内に電源を持つ事も可能だが、事故後何日間もデータ保持するのは難しい。
【0005】3)データ保持に電源の必要の無い半導体メモリ(EEPROM、フラッシュメモリ等)を使用した場合は、2)の様な問題はなくなる。しかし、現状ある技術ではデータの書き換え回数は約10万回程度のものしかなく、常時データを記録するためには、大きなメモリ容量が必要となる。たとえば、10秒間記録できるメモリ要領で、画像データを繰り返し記録する装置の場合、10秒おきにメモリの同じ領域のところを書き直す事になり、メモリの寿命は10秒×10万回=100万秒=227.7時間となり、実用にはならない。通常1〜3万時間は必要とされているため、メモリ容量は最低でも1万(時間)÷10万回=0.1時間(6分)
は必要となる。事故前の画像として必要なのは、10〜20秒前からであり、それ以前の画像は必要無い場合がほとんとである。つまり95%が余分なメモリとなってしまう。
【0006】この様な問題を解決する方法として、例えば、特開平6−253250では、一時記憶用のメモリ群と蓄積用メモリとを設け、撮像装置からの画像信号を常時一時記憶用のメモリ群に記憶しておき、衝撃センサからの信号が入力されると、一時記憶用のメモリ群に記憶されている画像信号を蓄積用メモリに転送して半永久的に記憶する方法を採っている。
【0007】また、特開平7−50827では、撮像装置からの画像信号を連続して記録し続けるSRAMと急ブレーキを検出したときSRAMの記憶内容を転送されて記憶するフラッシュメモリとを設けて、フラッシュメモリで画像信号を記憶するようにしている。
【0008】しかし、これらの方法はいずれも事故発生を検知してから一時記憶装置またはSRAMの記憶内容を蓄積用メモリまたはフラッシュメモリに転送しているので、事故の瞬間に一時記憶装置またはSRAMの記憶内容が消えてしまったり、一時記憶装置またはSRAMと蓄積用メモリまたはフラッシュメモリを繋ぐラインに異常が発生したり、制御機構が故障したりした場合はまったくその機能を果たさないというおそれがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく、従来の車両の事故直前の状況の記録を目的とする画像記憶装置は記憶保持に電源の必要なメモリを使用した場合にはデータ保持に問題があり、記憶保持に電源の必要の無い不揮発性メモリを使用する場合にはその寿命が問題となる。また、画像データを一旦、記憶保持に電源の必要なメモリに記憶し、事故発生時に不揮発性メモリに転送する装置では、事故の瞬間に故障が装置内で発生する可能性が多く、その機能が十分に発揮できない虞があった。
【0010】本発明はこの点を解決して、比較的簡単な方法で、車両の事故直前の状況の画像データを事故の瞬間の衝撃などによる破壊などがあっても誤りなく記憶保存することができ、メモリの寿命による制約を軽減でき、またメモリ容量を節約することができる画像記憶装置の実現を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため、本発明は、車両内外の状況を撮影する撮像部と、この撮像部からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/D変換部と、このA/D変換部で変換されたディジタル映像信号を圧縮符号化する画像処理部と、この画像処理部で圧縮された画像データを記録するメモリ部と、車両の衝撃を検出するための加速度センサ等からなるセンサ部とを具備し、前記センサ部からの衝撃検出信号によって、前記メモリ部に記憶されている画像データを保持する画像記憶装置において、前記メモリ部にデータ保持に電源の必要なメモリとデータ保持に電源を必要としないメモリとを設け、前記データ保持に電源の必要なメモリに前記画像処理部で圧縮された画像データを連続して記録し、前記データ保持に電源を必要としないメモリには前記画像処理部で圧縮された画像データを間欠的に記録し、前記センサ部からの衝撃検出信号によって、前記データ保持に電源を必要としないメモリに記憶されている画像データを保持することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる画像記憶装置を添付図面を参照にして詳細に説明する。
【0013】1)実施態様飛行機等にはフライトレコーダ、ボイスレコーダ等事故後に事故原因を究明するためのデータ記録装置が搭載されている。これと同じ様に、本発明は自動車においても、自動車の周りの画像を事故前10秒程度記録しておき、事故後の原因究明に使用することができるような画像記憶装置の実現を考える。すなわち、データ保存部にデータ保持に電源が必要なメモリ(SRAM、DRAM等)と電源の必要の無いメモリ(EEPROM、フラッシュメモリ等)の両方を使用して、メモリ容量をあまり増やすことなく、事故後電源が切れた場合においても、データが消えること無く、事故原因究明ができる画像記憶装置である。
【0014】2)構成、動作、作用本発明の装置全体のブロック図を図1に示す。
1 ビデオカメラ部:自動車内外の状況を撮影しビデオ信号を出力する。
2 A/D変換部:ビデオカメラ部からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換する。
3 画像処理部:ディジタル映像信号を圧縮し、記録に必要なメモリ容量を削減する。
4 メモリ部:圧縮された画像データを記録する。
5 インターフェース部:ディジタル映像信号を外部に出力させるため、外部とのインターフェース。
6 センサ部:事故の発生を検出するための加速度センサ等のセンサ。
7 マイコン部:装置全体をコントロールする。
メモリ部4の構成を図2に示す。
4−1 SRAM:SRAM、DRAM等のデータ保持に電源の必要なメモリ。以下では簡略してすべてSRAMで表すことにする。
4−2 フラッシュ:EEPROM、フラッシュメモリ等、データを書き込んだ後は電源の不要なメモリ。以下では簡略してすべてフラッシュで表すことにする。
【0015】図3に本発明の動作のフローチャートを示す。図3に沿って、本発明の動作を説明する。ステップ100でプログラムがスタートすると、まずステップ101で各部の初期設定を行い、ステップ102で後述するメモリのアドレス計数用のカウンタF、S、Jの初期化(リセット)を行う。
【0016】次にステップ103で外部からの画像出力要求が有るか無いかを判断し、もし要求がある場合は(A)へ、無い場合はステップ104へ進む。ステップ104では衝撃センサの出力等から事故の発生が検出されたかどうかを判断し、発生している場合は(B)へ発生していない場合は、ステップ105へと進む。
【0017】ステップ105ではビデオカメラ部1(撮像装置)からの画像を取り込み、取り込まれた画像をA/D変換部2でA/D変換してディジタル化し(ステップ106)、画像処理部3で圧縮符号化し(ステップ107)、ステップ108でSRAMにこの圧縮されたデータを格納する。
【0018】ステップ108でのSRAMへの画像データ格納は例えば図4のメモリマップwに従って行われる。カウンタFは0から始まって1/30秒毎に1づつ増えていき、1秒毎にまた0に戻る。カウンタSはカウンタFが0に戻る時に1づつ増える。すなわちメモリマップwにおいて、左上の(F,S)=(0,0)から始まり、1フレーム毎(1/30秒)に1つづつ図の下方向に格納され、一番下まで進んで(29,0)に行くと、上の(0,1)に上がって再び下に降りていく。(29,9)まで行くと次は再び(0,0)にもどる。この様にして、SRAMには過去10秒間の画像データが格納される事になる。
【0019】次にステップ108でのSRAMへの画像データ格納に平行してステップ109およびステップ110ではフラッシュメモリにも画像データの格納が行われる。まずステップ109でカウンタFの値をみて0の場合はフラッシュメモーリへのデータ格納時期と判断する。すなわち1秒おきにフラッシュメモリにデータの格納が行われる。フラッシュメモリへの格納方法は例えば図5のメモリマップxに従うものとする。
【0020】ここで、カウンタJは10秒おきに増加する。最大399まで増加し、再び0に戻る。これにより、フラッシュメモリにおいて同じ領域の書き換えは、4000秒毎になり、もし10万回まで書き換えを行った場合、時間としては10万時間以上となり、フラッシュメモリにEEPROMを用いた場合でも少なくとも10年以上は寿命がある事になる。
【0021】これらカウンタF、S、Jの処理を行っているのが、フローチャートでのステップ109からステップ118である。すなわち、ステップ111ではカウンタFを1カウントアップし、ステップ112とステップ113ではカウンタFのカウント値が30に達したたら0に戻してカウンタSを1カウントアップする。ステップ114とステップ115ではカウンタSのカウント値が10に達したたら0に戻してカウンタJを1カウントアップする。そうしてステップ116とステップ117ではカウンタJの値が40に達したら0に戻す。そうして、ステップ118で1/30秒毎にステップ103に戻る(D)。
【0022】ステップ103で、外部より出力要求が有った場合は(A)、外部からの指示により、SRAMのデータを出力させるのかフラッシュのデータを出力させるかを切り換え(ステップ120)データを出力させる(ステップ121)。ステップ104において事故発生が確認出来た場合は(B)、直ちに画像取り込みを停止し、省電力モードにはいる(ステップ125)。このモードは外部より出力要求が来るまで継続される。出力要求が来た場合(ステップ126)は、ステップ120に入り前記と同じ動作に入る。
【0023】なお以上の実施の形態はあくまで1例であり、本発明はこれに限られるものではない。例えば、以上の説明では画像取り込みからデータ格納までを1フレーム(1/30秒)の間に行っているが、たとえば、図3のフローチャートでステップ106からステップ108までの各々の処理を1フレームかけて行って、各フレームにおいて前の処理から前フレームで処理の終わったデータをもらい、1フレームの時間をかけて処理を行い、次の処理にデータをわたすようにしても良い。このようにして順々にデータが転送して処理して行くことで、処理に要する負担を少なくすることができる。また以上に挙げたフレームの時間、記録する時間、カウンタの構成等は例であり、この数値に限定されるものではない。
【0024】また、以上の説明ではデータ保持に電源の必要なSRAM、DRAM等と、データを書き込んだ後は電源の不要なEEPROM、フラッシュメモリ等を用いるように説明したが、場合によってはデータ保持に電源の不要なEEPROM、フラッシュメモリ等だけを用い、間欠的な記録を行わせるようにしても差支えない。
【0025】この技術を使うことにより、事故によりバッテリーが破損した場合においても、取り込んだ画像を半永久的にデータを保存でき、かつ、不揮発性メモリの寿命による制約も軽減でき、またメモリ容量を節約することができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1の発明は、車両内外の状況を撮影する撮像部と、この撮像部からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/D変換部と、このA/D変換部で変換されたディジタル映像信号を圧縮符号化する画像処理部と、この画像処理部で圧縮された画像データを記録するメモリ部と、車両の衝撃を検出するための加速度センサ等からなるセンサ部とを具備し、センサ部からの衝撃検出信号によって、メモリ部に記憶されている画像データを保持する画像記憶装置において、メモリ部にデータ保持に電源の必要なメモリとデータ保持に電源を必要としないメモリとを設け、データ保持に電源の必要なメモリに画像処理部で圧縮された画像データを連続して記録し、データ保持に電源を必要としないメモリには画像処理部で圧縮された画像データを間欠的に記録し、センサ部から衝撃検出信号によって、データ保持に電源を必要としないメモリに記憶されている画像データを保持することを特徴とする。これにより、比較的簡単な方法で、車両の事故直前の状況の画像データを事故の瞬間の衝撃などによる破壊などがあっても誤りなく記憶保存することができ、メモリの寿命による制約を軽減でき、またメモリ容量を節約することができる画像記憶装置を実現することができる。
【0027】本発明の請求項2の発明は、データ保持に電源の必要なメモリがSRAMまたはDRAMであることを特徴とする。これにより、比較的廉価に連続画像を一時記憶することができる。
【0028】本発明の請求項3の発明は、データ保持に電源を必要としないメモリがEEPROMまたはフラッシュメモリであることを特徴とする。これにより、比較的廉価に不揮発性のメモリを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の画像記憶装置のブロック図。
【図2】図1の実施の形態のメモリ部の構成を示すブロック図。
【図3】図1の実施の形態の動作フローチャート。
【図4】SRAMへの画像データ格納の様子を示すメモリマップ。
【図5】フラッシュメモリへの画像データ格納の様子を示すメモリマップ。
【符号の説明】
1…ビデオカメラ部、2…A/D変換部、3…画像処理部、4…メモリ部、5…インターフェース部、6…センサ部、7…マイコン部、8…バッテリー部、4−1…SRAM、4−2…フラッシュメモリ。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像記憶装置に関し、特に自動車等の事故発生直前の映像を記録する画像記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車事故を予防し、自動車の安全性を高め、事故原因を解明する観点から、事故時の状況を画像などで捕らえることができれば効果的である。飛行機等ではフライトレコーダ、ボイスレコーダが設けられているように、自動車においても事故後に事故原因等の究明をするために事故直前の自動車の周りの画像を記憶する装置を考えた場合、画像記録部には下記のような方法が考えられる。
1)防犯カメラ等で使用されているような撮像装置とビデオテープレコーダ等の記録装置を利用する。
2)データ保持に電源の必要な半導体メモリ(SRAM、DRAM等)を記録装置に用いる。
3)データ保持に電源の必要の無い半導体メモリ(EEPROM、フラッシュメモリ等)を記録装置に用いる。
【0003】しかし、この様な通常の記録方法には幾つかの欠点が考えられる。
1)自動車内で使用した場合、振動、温度等の環境が厳しく、ビデオテープレコーダでは、ことに衝突時などでの耐久性に問題がある。
【0004】2)データ保持に電源の必要な半導体メモリ(SRAM、DRAM等)を使用した場合、データ保持には電源がどうしても必要になり、事故後衝撃で車のバッテリーの破損も十分考えられ、データが消えてしまう可能性がある。データ保持専用に装置内に電源を持つ事も可能だが、事故後何日間もデータ保持するのは難しい。
【0005】3)データ保持に電源の必要の無い半導体メモリ(EEPROM、フラッシュメモリ等)を使用した場合は、2)の様な問題はなくなる。しかし、現状ある技術ではデータの書き換え回数は約10万回程度のものしかなく、常時データを記録するためには、大きなメモリ容量が必要となる。たとえば、10秒間記録できるメモリ要領で、画像データを繰り返し記録する装置の場合、10秒おきにメモリの同じ領域のところを書き直す事になり、メモリの寿命は10秒×10万回=100万秒=227.7時間となり、実用にはならない。通常1〜3万時間は必要とされているため、メモリ容量は最低でも1万(時間)÷10万回=0.1時間(6分)
は必要となる。事故前の画像として必要なのは、10〜20秒前からであり、それ以前の画像は必要無い場合がほとんとである。つまり95%が余分なメモリとなってしまう。
【0006】この様な問題を解決する方法として、例えば、特開平6−253250では、一時記憶用のメモリ群と蓄積用メモリとを設け、撮像装置からの画像信号を常時一時記憶用のメモリ群に記憶しておき、衝撃センサからの信号が入力されると、一時記憶用のメモリ群に記憶されている画像信号を蓄積用メモリに転送して半永久的に記憶する方法を採っている。
【0007】また、特開平7−50827では、撮像装置からの画像信号を連続して記録し続けるSRAMと急ブレーキを検出したときSRAMの記憶内容を転送されて記憶するフラッシュメモリとを設けて、フラッシュメモリで画像信号を記憶するようにしている。
【0008】しかし、これらの方法はいずれも事故発生を検知してから一時記憶装置またはSRAMの記憶内容を蓄積用メモリまたはフラッシュメモリに転送しているので、事故の瞬間に一時記憶装置またはSRAMの記憶内容が消えてしまったり、一時記憶装置またはSRAMと蓄積用メモリまたはフラッシュメモリを繋ぐラインに異常が発生したり、制御機構が故障したりした場合はまったくその機能を果たさないというおそれがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく、従来の車両の事故直前の状況の記録を目的とする画像記憶装置は記憶保持に電源の必要なメモリを使用した場合にはデータ保持に問題があり、記憶保持に電源の必要の無い不揮発性メモリを使用する場合にはその寿命が問題となる。また、画像データを一旦、記憶保持に電源の必要なメモリに記憶し、事故発生時に不揮発性メモリに転送する装置では、事故の瞬間に故障が装置内で発生する可能性が多く、その機能が十分に発揮できない虞があった。
【0010】本発明はこの点を解決して、比較的簡単な方法で、車両の事故直前の状況の画像データを事故の瞬間の衝撃などによる破壊などがあっても誤りなく記憶保存することができ、メモリの寿命による制約を軽減でき、またメモリ容量を節約することができる画像記憶装置の実現を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため、本発明は、車両内外の状況を撮影する撮像部と、この撮像部からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/D変換部と、このA/D変換部で変換されたディジタル映像信号を圧縮符号化する画像処理部と、この画像処理部で圧縮された画像データを記録するメモリ部と、車両の衝撃を検出するための加速度センサ等からなるセンサ部とを具備し、前記センサ部からの衝撃検出信号によって、前記メモリ部に記憶されている画像データを保持する画像記憶装置において、前記メモリ部にデータ保持に電源の必要なメモリとデータ保持に電源を必要としないメモリとを設け、前記データ保持に電源の必要なメモリに前記画像処理部で圧縮された画像データを連続して記録し、前記データ保持に電源を必要としないメモリには前記画像処理部で圧縮された画像データを間欠的に記録し、前記センサ部からの衝撃検出信号によって、前記データ保持に電源を必要としないメモリに記憶されている画像データを保持することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる画像記憶装置を添付図面を参照にして詳細に説明する。
【0013】1)実施態様飛行機等にはフライトレコーダ、ボイスレコーダ等事故後に事故原因を究明するためのデータ記録装置が搭載されている。これと同じ様に、本発明は自動車においても、自動車の周りの画像を事故前10秒程度記録しておき、事故後の原因究明に使用することができるような画像記憶装置の実現を考える。すなわち、データ保存部にデータ保持に電源が必要なメモリ(SRAM、DRAM等)と電源の必要の無いメモリ(EEPROM、フラッシュメモリ等)の両方を使用して、メモリ容量をあまり増やすことなく、事故後電源が切れた場合においても、データが消えること無く、事故原因究明ができる画像記憶装置である。
【0014】2)構成、動作、作用本発明の装置全体のブロック図を図1に示す。
1 ビデオカメラ部:自動車内外の状況を撮影しビデオ信号を出力する。
2 A/D変換部:ビデオカメラ部からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換する。
3 画像処理部:ディジタル映像信号を圧縮し、記録に必要なメモリ容量を削減する。
4 メモリ部:圧縮された画像データを記録する。
5 インターフェース部:ディジタル映像信号を外部に出力させるため、外部とのインターフェース。
6 センサ部:事故の発生を検出するための加速度センサ等のセンサ。
7 マイコン部:装置全体をコントロールする。
メモリ部4の構成を図2に示す。
4−1 SRAM:SRAM、DRAM等のデータ保持に電源の必要なメモリ。以下では簡略してすべてSRAMで表すことにする。
4−2 フラッシュ:EEPROM、フラッシュメモリ等、データを書き込んだ後は電源の不要なメモリ。以下では簡略してすべてフラッシュで表すことにする。
【0015】図3に本発明の動作のフローチャートを示す。図3に沿って、本発明の動作を説明する。ステップ100でプログラムがスタートすると、まずステップ101で各部の初期設定を行い、ステップ102で後述するメモリのアドレス計数用のカウンタF、S、Jの初期化(リセット)を行う。
【0016】次にステップ103で外部からの画像出力要求が有るか無いかを判断し、もし要求がある場合は(A)へ、無い場合はステップ104へ進む。ステップ104では衝撃センサの出力等から事故の発生が検出されたかどうかを判断し、発生している場合は(B)へ発生していない場合は、ステップ105へと進む。
【0017】ステップ105ではビデオカメラ部1(撮像装置)からの画像を取り込み、取り込まれた画像をA/D変換部2でA/D変換してディジタル化し(ステップ106)、画像処理部3で圧縮符号化し(ステップ107)、ステップ108でSRAMにこの圧縮されたデータを格納する。
【0018】ステップ108でのSRAMへの画像データ格納は例えば図4のメモリマップwに従って行われる。カウンタFは0から始まって1/30秒毎に1づつ増えていき、1秒毎にまた0に戻る。カウンタSはカウンタFが0に戻る時に1づつ増える。すなわちメモリマップwにおいて、左上の(F,S)=(0,0)から始まり、1フレーム毎(1/30秒)に1つづつ図の下方向に格納され、一番下まで進んで(29,0)に行くと、上の(0,1)に上がって再び下に降りていく。(29,9)まで行くと次は再び(0,0)にもどる。この様にして、SRAMには過去10秒間の画像データが格納される事になる。
【0019】次にステップ108でのSRAMへの画像データ格納に平行してステップ109およびステップ110ではフラッシュメモリにも画像データの格納が行われる。まずステップ109でカウンタFの値をみて0の場合はフラッシュメモーリへのデータ格納時期と判断する。すなわち1秒おきにフラッシュメモリにデータの格納が行われる。フラッシュメモリへの格納方法は例えば図5のメモリマップxに従うものとする。
【0020】ここで、カウンタJは10秒おきに増加する。最大399まで増加し、再び0に戻る。これにより、フラッシュメモリにおいて同じ領域の書き換えは、4000秒毎になり、もし10万回まで書き換えを行った場合、時間としては10万時間以上となり、フラッシュメモリにEEPROMを用いた場合でも少なくとも10年以上は寿命がある事になる。
【0021】これらカウンタF、S、Jの処理を行っているのが、フローチャートでのステップ109からステップ118である。すなわち、ステップ111ではカウンタFを1カウントアップし、ステップ112とステップ113ではカウンタFのカウント値が30に達したたら0に戻してカウンタSを1カウントアップする。ステップ114とステップ115ではカウンタSのカウント値が10に達したたら0に戻してカウンタJを1カウントアップする。そうしてステップ116とステップ117ではカウンタJの値が40に達したら0に戻す。そうして、ステップ118で1/30秒毎にステップ103に戻る(D)。
【0022】ステップ103で、外部より出力要求が有った場合は(A)、外部からの指示により、SRAMのデータを出力させるのかフラッシュのデータを出力させるかを切り換え(ステップ120)データを出力させる(ステップ121)。ステップ104において事故発生が確認出来た場合は(B)、直ちに画像取り込みを停止し、省電力モードにはいる(ステップ125)。このモードは外部より出力要求が来るまで継続される。出力要求が来た場合(ステップ126)は、ステップ120に入り前記と同じ動作に入る。
【0023】なお以上の実施の形態はあくまで1例であり、本発明はこれに限られるものではない。例えば、以上の説明では画像取り込みからデータ格納までを1フレーム(1/30秒)の間に行っているが、たとえば、図3のフローチャートでステップ106からステップ108までの各々の処理を1フレームかけて行って、各フレームにおいて前の処理から前フレームで処理の終わったデータをもらい、1フレームの時間をかけて処理を行い、次の処理にデータをわたすようにしても良い。このようにして順々にデータが転送して処理して行くことで、処理に要する負担を少なくすることができる。また以上に挙げたフレームの時間、記録する時間、カウンタの構成等は例であり、この数値に限定されるものではない。
【0024】また、以上の説明ではデータ保持に電源の必要なSRAM、DRAM等と、データを書き込んだ後は電源の不要なEEPROM、フラッシュメモリ等を用いるように説明したが、場合によってはデータ保持に電源の不要なEEPROM、フラッシュメモリ等だけを用い、間欠的な記録を行わせるようにしても差支えない。
【0025】この技術を使うことにより、事故によりバッテリーが破損した場合においても、取り込んだ画像を半永久的にデータを保存でき、かつ、不揮発性メモリの寿命による制約も軽減でき、またメモリ容量を節約することができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1の発明は、車両内外の状況を撮影する撮像部と、この撮像部からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/D変換部と、このA/D変換部で変換されたディジタル映像信号を圧縮符号化する画像処理部と、この画像処理部で圧縮された画像データを記録するメモリ部と、車両の衝撃を検出するための加速度センサ等からなるセンサ部とを具備し、センサ部からの衝撃検出信号によって、メモリ部に記憶されている画像データを保持する画像記憶装置において、メモリ部にデータ保持に電源の必要なメモリとデータ保持に電源を必要としないメモリとを設け、データ保持に電源の必要なメモリに画像処理部で圧縮された画像データを連続して記録し、データ保持に電源を必要としないメモリには画像処理部で圧縮された画像データを間欠的に記録し、センサ部から衝撃検出信号によって、データ保持に電源を必要としないメモリに記憶されている画像データを保持することを特徴とする。これにより、比較的簡単な方法で、車両の事故直前の状況の画像データを事故の瞬間の衝撃などによる破壊などがあっても誤りなく記憶保存することができ、メモリの寿命による制約を軽減でき、またメモリ容量を節約することができる画像記憶装置を実現することができる。
【0027】本発明の請求項2の発明は、データ保持に電源の必要なメモリがSRAMまたはDRAMであることを特徴とする。これにより、比較的廉価に連続画像を一時記憶することができる。
【0028】本発明の請求項3の発明は、データ保持に電源を必要としないメモリがEEPROMまたはフラッシュメモリであることを特徴とする。これにより、比較的廉価に不揮発性のメモリを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の画像記憶装置のブロック図。
【図2】図1の実施の形態のメモリ部の構成を示すブロック図。
【図3】図1の実施の形態の動作フローチャート。
【図4】SRAMへの画像データ格納の様子を示すメモリマップ。
【図5】フラッシュメモリへの画像データ格納の様子を示すメモリマップ。
【符号の説明】
1…ビデオカメラ部、2…A/D変換部、3…画像処理部、4…メモリ部、5…インターフェース部、6…センサ部、7…マイコン部、8…バッテリー部、4−1…SRAM、4−2…フラッシュメモリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両内外の状況を撮影する撮像部と、この撮像部からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/D変換部と、このA/D変換部で変換されたディジタル映像信号を圧縮符号化する画像処理部と、この画像処理部で圧縮された画像データを記録するメモリ部と、車両の衝撃を検出するための加速度センサ等からなるセンサ部とを具備し、前記センサ部からの衝撃検出信号によって、前記メモリ部に記憶されている画像データを保持する画像記憶装置において、前記メモリ部にデータ保持に電源の必要なメモリとデータ保持に電源を必要としないメモリとを設け、前記データ保持に電源の必要なメモリに前記画像処理部で圧縮された画像データを連続して記録し、前記データ保持に電源を必要としないメモリには前記画像処理部で圧縮された画像データを間欠的に記録し、前記センサ部からの衝撃検出信号によって、前記データ保持に電源を必要としないメモリに記憶されている画像データを保持することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】 前記データ保持に電源の必要なメモリがSRAM(Static Random Access Memory )またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】 前記データ保持に電源を必要としないメモリがEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )またはフラッシュメモリであることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項1】 車両内外の状況を撮影する撮像部と、この撮像部からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/D変換部と、このA/D変換部で変換されたディジタル映像信号を圧縮符号化する画像処理部と、この画像処理部で圧縮された画像データを記録するメモリ部と、車両の衝撃を検出するための加速度センサ等からなるセンサ部とを具備し、前記センサ部からの衝撃検出信号によって、前記メモリ部に記憶されている画像データを保持する画像記憶装置において、前記メモリ部にデータ保持に電源の必要なメモリとデータ保持に電源を必要としないメモリとを設け、前記データ保持に電源の必要なメモリに前記画像処理部で圧縮された画像データを連続して記録し、前記データ保持に電源を必要としないメモリには前記画像処理部で圧縮された画像データを間欠的に記録し、前記センサ部からの衝撃検出信号によって、前記データ保持に電源を必要としないメモリに記憶されている画像データを保持することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】 前記データ保持に電源の必要なメモリがSRAM(Static Random Access Memory )またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】 前記データ保持に電源を必要としないメモリがEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )またはフラッシュメモリであることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2000−13736(P2000−13736A)
【公開日】平成12年1月14日(2000.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−176185
【出願日】平成10年6月23日(1998.6.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年1月14日(2000.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年6月23日(1998.6.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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