説明

画像記憶装置

【課題】ドライブレコーダで撮影された動画に対して日時刻証明を行い、当該動画の信頼性を向上させる。
【解決手段】ドライブレコーダ6は、車両8に搭載され、車両外部の風景を動画にて連続撮影する。ドライブレコーダ6は、事故などのイベントの発生を検知すると、動画の更新を停止し、イベントが発生した際の画像を記録した動画データをデータ用サーバ3に送信する。データ用サーバ3は、ドライブレコーダ6から動画データを受信すると、当該動画データを記憶すると共に、当該動画データのハッシュ値を計算し、当該ハッシュ値をタイムスタンプサーバ2に送信する。タイムスタンプサーバ2は、データ用サーバ3からハッシュ値を受信すると、これに現在日時刻を付与して秘密鍵によって電子署名することによりタイムスタンプを発行し、当該タイムスタンプを発行したハッシュ値をデータ用サーバ3に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記憶装置に関し、例えば、車両が走行する際の状況を撮影するドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に周囲や内部などの状況を撮影するカメラを設置し、走行中にこれによって動画を撮影するドライブレコーダが普及しつつある。
ドライブレコーダは、動画を更新しながらメモリに記憶することにより、過去から現在に至る所定の記録時間(例えば30秒)の動画をメモリに記憶する。
そして、衝突事故などの所定のイベントが発生すると、イベント発生後の所定時間経過後(例えば、10秒)に動画の更新を停止する。
これにより、上の例では、イベント発生前の20秒からイベント発生の10秒後までの動画が記憶され、当該動画によりイベント発生時の状況を検証することができる。
【0003】
このようにドライブレコーダを用いた技術として、次の特許文献1の「車両用データ記憶装置及びデータ記憶方法」がある。
この技術は、ドライブレコーダで記録された映像データに、その映像が撮影された時刻を記録するものである。
【特許文献1】特開2002−135769公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の技術では、ドライブレコーダが映像に時刻を記憶するため、記録された時刻の信頼性が低いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ドライブレコーダで撮影された動画に対して日時刻証明を行い、当該動画の信頼性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、移動体に搭載されたカメラで動画を撮影する動画撮影手段と、イベントの発生を検出するイベント検出手段と、前記イベント検出手段でイベントを検出した際に、イベント発生時からそれ以前の少なくとも所定記録時間の前記動画が記憶されている動画記憶手段と、少なくとも、前記記憶されている動画、又は、当該動画に固有な固有情報の一方を含む動画情報を、タイムスタンプを取得する所定のサーバに送信する動画情報送信手段と、を具備したことを特徴とする画像記憶装置を提供する。
請求項2に記載の発明では、前記記憶されている動画の一方向性関数による関数値を計算する計算手段を具備し、前記動画情報は、前記固有情報として、前記計算した関数値を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像記憶装置を提供する。
請求項3に記載の発明では、前記動画情報送信手段は、動画情報の送信に失敗した場合、少なくとも所定期間の間、前記動画情報の送信を試みることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の画像記憶装置を提供する。
請求項4に記載の発明では、現在日時刻を取得する現在日時刻取得手段を具備し、前記動画情報は、前記取得した現在日時刻を含むことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の画像記憶装置を提供する。
請求項5に記載の発明では、現在位置を取得する現在位置取得手段を具備し、前記動画情報は、前記取得した現在位置を含むことを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載の画像記憶装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ドライブレコーダで撮影した動画に対してタイムスタンプが日時刻証明を行い、動画の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)実施の形態の概要
ドライブレコーダ6は、車両8(図5)に搭載され、車両外部の風景を動画にて連続撮影する。ドライブレコーダ6は、事故などのイベントの発生を検知すると、動画の更新を停止し、イベントが発生した際の画像を記録した動画データをデータ用サーバ3に送信する。
データ用サーバ3は、ドライブレコーダ6から動画データを受信すると、当該動画データを記憶すると共に、当該動画データのハッシュ値を計算し、当該ハッシュ値をタイムスタンプサーバ2(TSA)に送信する。
【0009】
タイムスタンプサーバ2は、データ用サーバ3からハッシュ値を受信すると、これに現在日時刻を付与して秘密鍵によって電子署名することによりタイムスタンプを発行し、当該タイムスタンプを発行したハッシュ値をデータ用サーバ3に送信する。
データ用サーバ3は、ドライブレコーダ6からタイムスタンプが発行されたハッシュ値を受信すると、これをハッシュ値の元となった動画データと対応付けて記憶する。
以上の処理により、ドライブレコーダ6が撮影した動画データに対して、ハッシュ値を介してタイムスタンプサーバ2によるタイムスタンプを発行することができ、動画データの証拠性を向上させることができる。
【0010】
(2)実施の形態の詳細
図1は、本実施の形態に係る情報処理システム1のネットワーク構成を説明するための図である。
情報処理システム1は、タイムスタンプサーバ2、データ用サーバ3、ネットワーク4、基地局5、ドライブレコーダ6などを用いて構成されている。
車両8は、例えば、乗用車や運送車両などであるが、これに限定するものではなく、例えば、船舶や航空機など、各種の移動体とすることができる。
【0011】
ドライブレコーダ6は、車両8に搭載されており、カメラ7を備え、画像記憶装置として機能している。
カメラ7は、車両8の前方を撮影しており、所定の記録時間(例えば、30秒間)の動画を更新しながらメモリに記憶する。
また、カメラ7を複数台設け、車両8の側方、後方、あるいは車内を撮影するように構成することもできる。
そして、事故などのイベントが発生した場合、ドライブレコーダ6は、動画の更新を停止し、記憶した動画データをデータ用サーバ3に送信する。
【0012】
データ用サーバ3は、ネットワーク4を介してドライブレコーダ6とタイムスタンプサーバ2と通信することができ、ドライブレコーダ6から動画データが送信されてくると、当該動画データを記憶すると共に、当該動画データのハッシュ値を計算してタイムスタンプサーバ2に送信する。
そして、データ用サーバ3は、タイムスタンプサーバ2からタイムスタンプが発行されたハッシュ値を受信し、これを保存する。
このように、データ用サーバ3は、ドライブレコーダ6が撮影した動画の動画データと、当該動画データのハッシュ値を保管する保管センターとして機能している。
【0013】
なお、ここで、ハッシュ値をタイムスタンプサーバ2に送信するのは、タイムスタンプサーバ2に送信するデータ量を少なくするためであり、動画データを送信して動画データ自体にタイムスタンプを発行するように構成することも可能である。
この場合、データ用サーバ3は、タイムスタンプが発行された動画データを保管する。
【0014】
タイムスタンプサーバ2は、電子文書などの電子データにタイムスタンプを発行して時刻証明を行うサーバであり、本実施の形態では、データ用サーバ3が送信してきたハッシュ値にタイムスタンプを発行してデータ用サーバ3に送信する。
タイムスタンプの発行は、例えば、ネットワーク4経由で送信されてきた電子データに時刻を付与して秘密鍵で電子署名することにより行われる。
電子署名の確認は、当該秘密鍵に対応する公開鍵を用いて電子署名が復号化できたことを以て行うことができ、当該電子署名がタイムスタンプサーバ2によってなされたものであることを確認することができる。
【0015】
ネットワーク4は、例えば、インターネットや携帯電話網などの通信ネットワークによって構成されており、ドライブレコーダ6とデータ用サーバ3の間の通信、及びデータ用サーバ3とタイムスタンプサーバ2の間の通信を仲介する。
基地局5は、例えば、携帯端末などを携帯電話網などに接続する基地局であって、ドライブレコーダ6と無線回線により接続し、ドライブレコーダ6とネットワーク4との通信を仲介する。
【0016】
図2は、ドライブレコーダ6のハードウェア的な構成を説明するための図である。
ドライブレコーダ6は、CPU21、ROM22、RAM23、時計部24、カメラ部25、カメラ7、通信部26、車両情報部27、イベント検出部28、緊急用電源29、不揮発メモリ30などから構成されている。
【0017】
CPU21は、所定のプログラムに従って各種情報処理やドライブレコーダ6の各部を制御する中央処理装置である。CPU21が行う処理は、後ほど詳細に説明する。
ROM22は、読み出し専用メモリであって、CPU21が実行するプログラムやパラメータなどを記憶している。
RAM23は、読み書きが可能なメモリであって、CPU21がプログラムをロードしたり、各種情報処理を行う際のワーキングメモリを提供する。
【0018】
時計部24は、例えば、水晶発振器などを用いて時刻情報を出力する。ドライブレコーダ6は、時計部24が出力する時刻情報を用いて動画の記録時間などを計測する。
また、動画に現在時刻を記録する場合、時計部24が出力した時刻情報を用いることができる。
なお、この場合、時計部24の時刻情報の代わりにGPS(Global Positioning System)によってGPS衛星から送信されてくる日時刻を記録用に用いてもよい。
【0019】
カメラ7は、光学系を用いて被写体をCCD(Charge−Coupled Device)などに投影し、その画像を電気信号に変換することにより画像を撮影する。
カメラ部25は、カメラ7と接続されており、カメラ7で撮影された動画像からCPU21が処理可能なデータ形式の画像データを生成する。
【0020】
カメラ7は、ドライブレコーダ6の筐体に組み込まれ一体型として構成してもよいし、あるいは、カメラ7とカメラ部25を信号コードで接続し、カメラ7とドライブレコーダ6の筐体を別体として構成してもよい。
通信部26は、アンテナを備えており、基地局5との無線通信を行う。
車両情報部27は、GPSシステムから現在位置や現在時刻などを受信したり、車両8のシステムから車速や加速度などの走行状態に関する情報などを受信する。
【0021】
イベント検出部28は、動画の更新を停止するイベントが発生したか否かを検出する。ここでは、イベントの一例として事故を想定しており、例えば、車両8が他車両と衝突したり、障害物と衝突した場合に、これらのイベントの発生を検出する。
このような機能を発揮するために、イベント検出部28は、加速度センサを備えており、車両8の加速度が所定値以上の場合にイベントの発生が検出される。
このように、ドライブレコーダ6は、イベントの発生を検出するイベント検出手段を備えている。
【0022】
緊急用電源29は、車両8からドライブレコーダ6に供給される電力が途絶えた場合に、ドライブレコーダ6に電力を供給する電力源であり、電池などで構成される。
ドライブレコーダ6は、例えば、トンネル内などでネットワーク4に接続できない場合、ネットワーク4に接続できるまで接続を試みるが、その場合、車両8からの電力が供給されない場合も想定されるため、補助電源として緊急用電源29を備えたものである。
【0023】
不揮発メモリ30は、読み書きが可能で電力が供給されなくても記憶内容を保持するメモリであり、例えば、フラッシュメモリなどを用いて構成されている。
【0024】
不揮発メモリ30には、プログラム格納部31とデータ格納部32が形成されている。
プログラム格納部31には、CPU21が情報処理を行うための各種プログラムが記憶されており、データ格納部32には、カメラ7が撮影した動画データを記憶する。
なお、プログラム格納部31は、ROM22に形成してもよい。
【0025】
図では、プログラム格納部31とデータ格納部32を単一の不揮発メモリ30に形成したが、プログラム格納部31用のメモリとデータ格納部32用のメモリを別に用意し、データ格納部32用のメモリをドライブレコーダ6から着脱可能に構成することもできる。
不揮発メモリ30を着脱可能に構成すると、ユーザが不揮発メモリ30を自身のパーソナルコンピュータなどの端末に装着して、動画データを読み出すことが可能となる。
また、ドライブレコーダ6に端末と接続するためのインターフェースを用意し、これを用いてドライブレコーダ6から端末に動画データを転送するように構成することもできる。
【0026】
図3(1)は、データ用サーバ3のハードウェア的な構成を説明するための図である。
データ用サーバ3は、CPU41、ROM42、RAM43、通信部44、記憶部45などから構成されている。
【0027】
CPU41は、所定のプログラムに従って各種情報処理やデータ用サーバ3の各部の制御を行う。具体的には、例えば、ドライブレコーダ6から動画データを受信してこれからハッシュ値を計算する。そして、当該ハッシュ値をタイムスタンプサーバ2に送信し、タイムスタンプサーバ2でタイムスタンプが発行されたハッシュ値を受信して記憶部45に記憶する。
【0028】
ROM42は、読み出し専用メモリであって、データ用サーバ3が動作するための基本的なプログラムやパラメータなどを記憶している。
RAM43は、読み書きが可能なメモリであって、CPU41がプログラムをロードしたり、各種情報処理を行う際のワーキングメモリを提供する。
通信部44は、データ用サーバ3をネットワーク4に接続する。データ用サーバ3は、通信部44を介してドライブレコーダ6やタイムスタンプサーバ2と通信することができる。
【0029】
記憶部45は、例えば、ハードディスクなどの大容量の記憶装置を用いて構成されている。
記憶部45には、プログラム格納部46とデータ格納部47が形成されている。
プログラム格納部46には、CPU41に上記の機能を発揮させるプログラムなどが記憶されている。
データ格納部47には、データベースが形成されており、ドライブレコーダ6から送信されてきた動画データや当該動画データのハッシュ値にタイムスタンプを発行したものを記憶している。
【0030】
図3(2)は、タイムスタンプサーバ2のハードウェア的な構成を説明するための図である。
タイムスタンプサーバ2は、CPU51、ROM52、RAM53、タイムスタンプ部54、通信部55、記憶部56などから構成されている。
CPU51は、所定のプログラムに従って各種情報処理やタイムスタンプサーバ2の各部の制御を行う。具体的には、例えば、データ用サーバ3からハッシュ値を受信し、タイムスタンプ部54を用いてこれにタイムスタンプを発行してデータ用サーバ3に送信する。
【0031】
タイムスタンプ部54は、電子文書などの電子データにタイムスタンプを発行するモジュールである。
タイムスタンプ部54は、原子時計を備えており、正確な日時刻を計測している。
そして、タイムスタンプ部54は、秘密鍵を記憶しており、例えば、電子文書に原子時計で計測した日時刻を付加してこれを秘密鍵で暗号化して電子署名を行う。
この電子署名は、当該秘密鍵に対応する公開鍵で復号化することにより、電子データの内容とタイムスタンプ部54が付与した日時刻の正統性を確認できるため、タイムスタンプとして機能する。
【0032】
ROM52は、読み出し専用メモリであって、タイムスタンプサーバ2が動作するための基本的なプログラムやパラメータなどを記憶している。
RAM53は、読み書きが可能なメモリであって、CPU51がプログラムをロードしたり、各種情報処理を行う際のワーキングメモリを提供する。
通信部55は、タイムスタンプサーバ2をネットワーク4に接続する。タイムスタンプサーバ2は、通信部55を介してデータ用サーバ3と通信することができる。
記憶部56は、例えば、ハードディスクなどの大容量の記憶装置を用いて構成されており、CPU51に上記の機能を発揮させるプログラムなどが記憶されている。
【0033】
図4は、データ用サーバ3のデータベースの論理的な構成を説明するための図である。
データベースには、「機器ID」、「動画受信日時」、「動画データ」、「動画のハッシュ値に対するタイムスタンプ」などの各要素が記憶されている。
【0034】
「機器ID」は、ドライブレコーダ6を識別するためのID情報である。データ用サーバ3は、ドライブレコーダ6と通信を開始するにあたり、例えば、ドライブレコーダ6を機器認証してドライブレコーダ6の機器IDを特定する。
「動画受信日時」は、データ用サーバ3がドライブレコーダ6から動画データを受信した日時である。
「機器ID」と「動画受信日時」により、どの車両のいつのデータであるかを特定することができる。
【0035】
「動画データ」は、データ用サーバ3がドライブレコーダ6から受信した動画データである。
「動画のハッシュ値に対するタイムスタンプ」は、データ用サーバ3が「動画データ」を用いて生成したハッシュ値に対して、タイムスタンプサーバ2が発行したタイムスタンプである。
なお、当該ハッシュ値は「動画データ」から計算できるため、データベースに記憶していないが、データベースにこれを記憶するように構成してもよい。
【0036】
図5は、ドライブレコーダ6が行う情報処理を説明するための図である。
ドライブレコーダ6は、車両8が始動すると、これを検知し、動画の撮影を開始する。
そして、ドライブレコーダ6は、カメラ7で撮影した所定の動画記録時間(ここでは30秒とする)前から現在までの動画を更新しながらデータ格納部32に記憶する。
なお、この更新は古い画像(所謂コマ、フレーム)を消去しながら連続的に行われる。
また、動画を記憶するメモリが十分にある場合には、撮影した動画を全て記憶するように構成してもよい。
このように、ドライブレコーダ6は、移動体に搭載されたカメラで動画を撮影する動画撮影手段を備えている。
【0037】
イベントが発生しない場合には、ドライブレコーダ6は、以上のように30秒前から現在までの動画を撮影し続けるが、イベントが発生すると、ドライブレコーダ6は、動画の更新を停止し、データ格納部32に記憶してある動画データをデータ用サーバ3に送信する。
より詳細には、ドライブレコーダ6は、イベント検出部28でイベントの発生を検出すると、所定時間後に動画の更新・記憶を停止するが、この所定時間は、イベント発生時点の画像を残すため、動画の記録時間よりも短く設定されている。これによって、イベント前後一定時間の動画を保存することができる。
【0038】
本実施の形態では、当該所定時間を10秒とし、イベント発生時点から10秒後に動画の更新・記憶を停止する。これによりイベント発生時より20秒前からイベント発生後10秒までの動画がデータ格納部32に記憶・保存される。
ここで、データ格納部32は、動画記憶手段として機能し、ドライブレコーダ6は、イベント検出手段でイベントを検出した際に、イベント発生時からそれ以前の少なくとも所定記録時間の動画が記憶されている動画記憶手段を備えている。
【0039】
また、データ用サーバ3に送信する動画データは、少なくとも、動画、又は、当該動画に固有な固有情報(後述のハッシュ値)の一方を含む動画情報として機能しており、ドライブレコーダ6は、動画情報を、タイムスタンプを取得する所定のサーバ(データ用サーバ3)に送信する動画情報送信手段を備えている。
【0040】
ドライブレコーダ6は、データ用サーバ3に動画データを送信したことを確認した後は、当該データを消去してもよいし、データ格納部32に保存しておいてもよい。
図5に示したように、ドライブレコーダ6がデータ用サーバ3に動画データを送信した後、データ用サーバ3は、当該動画データのハッシュ値を計算してタイムスタンプサーバ2に送信し、タイムスタンプサーバ2はこれにタイムスタンプを発行してタイムスタンプ付きハッシュ値をデータ用サーバ3に送信する。
なお、ドライブレコーダ6は、イベントが発生した際に動画データの送信に失敗した場合、少なくとも所定期間の間、通信状況を確認して、当該動画データが送信できるまで再送を試みる。
【0041】
このようにして、ドライブレコーダ6で撮影された動画データは、データ用サーバ3に保存されると共に、当該動画データのハッシュ値もタイムスタンプを付与されてデータ用サーバ3に記憶される。
動画データを改竄すると、そのハッシュ値が変化し、タイムスタンプが付与されたハッシュ値と異なってしまうため、タイムスタンプを発行した後は、動画データを改竄することができない。
このように、動画データの日時刻をタイムスタンプによって証明することにより、動画データの証拠性を高めることができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、ドライブレコーダ6は、動画データをデータ用サーバ3に送信したが、例えば、ドライブレコーダ6は、動画データに、車両情報部27で検出したGPS情報(現在位置やGPSによる日時刻など)や車速などのデータ、時計部24で計測した現在日時刻など、他のデータを付加して1つのファイルとし、これをデータ用サーバ3に送信するように構成することもできる。
【0043】
この場合、データ用サーバ3は、当該ファイルをデータベースに記憶すると共に、当該ファイルのハッシュ値を計算してタイムスタンプサーバ2に送信する。
タイムスタンプサーバ2は、データ用サーバ3から当該ハッシュ値を受信してこれにタイムスタンプを付与し、データ用サーバ3に送信する。
データ用サーバ3は、当該タイムスタンプ付きハッシュ値を受信してディスプレイに保存する。
この例では、動画データの他に、ファイルの含まれる他のデータも改竄不能に保存することができる。
【0044】
このように、ドライブレコーダ6は、現在日時刻を取得する現在日時刻取得手段と、現在位置を取得する現在位置取得手段を具備し、これら取得した現在日時刻や現在位置を動画情報に含めることができる。また、何れか一方を含むように構成することも可能である。
【0045】
また、動画情報に更に多くの情報を含めることが可能である。
例えば、車両情報部27で車両8の速度や加速度、及びブレーキやアクセルの操作状態などを検出し、これらをファイルに含めるように構成することができる。
これによって、イベント発生時に、ドライバが適切な速度で運行しており、運転操作も適切であったことを検証することが可能となる。
【0046】
また、イベント発生時にドライブレコーダ6からデータ用サーバ3に送信するデータが複数ある場合、予めこれらに優先順位を決めておき、当該優先順位に従って送信するように構成することもできる。
例えば、動画データ、日時刻、位置情報、・・・を1つのファイルとしてではなく、個別にデータ用サーバ3に送信する構成とする場合、まず、最も重要な情報である動画データを送信し、次いで、日時刻、位置情報、・・・の順に送信するように構成することができる。
これは、データを送信している途中でドライブレコーダ6が故障することも考えられるため、なるべく重要なデータを優先的にデータ用サーバ3に送ることにより、可能な限り証拠保全を行うことができる。
【0047】
また、以上に説明した本実施の形態では、データ用サーバ3とタイムスタンプサーバ2を別のサーバとしたが、データ用サーバ3にタイムスタンプ発行機能を装備し、データ用サーバ3でタイムスタンプの発行を行ってもよい。
【0048】
次に、図6のフローチャートを用いて、ドライブレコーダ6が行う情報処理について説明する。
以下の処理は、ドライブレコーダ6のCPU21、データ用サーバ3のCPU41、タイムスタンプサーバ2のCPU51が所定のプログラムに従って行うものである。
【0049】
まず、ドライブレコーダ6は、車両8が始動すると、カメラ部25を用いてカメラ7で撮影された動画の記録を開始し(ステップ5)、データ格納部32において動画の記録・更新を行う。
次に、ドライブレコーダ6は、イベント検出部28の出力を監視し、イベントが検出されたか否かを判断する(ステップ15)。
イベントが検出されなかった場合(ステップ15;N)、ドライブレコーダ6は、引き続きステップ15でイベント検出部28の出力を監視する。
【0050】
一方、イベントが検出された場合(ステップ15;Y)、ドライブレコーダ6は、所定時間後(例えば、10秒後)に動画の記憶の更新を停止する(ステップ20)。
そして、ドライブレコーダ6は、通信部26を用いてデータ用サーバ3との通信回線を確立し、自己の機器IDなどと共に動画データをデータ用サーバ3に送信する(ステップ25)。
【0051】
すると、データ用サーバ3は、動画データを受信し(ステップ30)、これをデータベースに記憶すると共に、当該動画データのハッシュ値を計算する(ステップ35)。
そして、データ用サーバ3は、当該ハッシュ値をタイムスタンプサーバ2に送信して、タイムスタンプの発行を要求する(ステップ40)。
【0052】
タイムスタンプサーバ2は、データ用サーバ3からハッシュ値を受信すると、タイムスタンプ部54を用いてこれにタイムスタンプを発行し(ステップ45)、データ用サーバ3に送信する。
データ用サーバ3は、タイムスタンプサーバ2からタイムスタンプが発行されたハッシュ値を受信するとこれをデータベースに記憶する(ステップ50)。
【0053】
以上に説明した本実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)イベント発生時を記録した動画データに対して、ハッシュ値を介して、あるいは直接に、タイムスタンプサーバ2が発行するタイムスタンプを付与することができる。
(2)タイムスタンプによって、動画データの改竄が不能となるため、イベント発生時の動画データが非改竄の状態で存在することが証明でき、これによって動画データの証拠性を高めることができる。
(3)動画データに車両情報など、他のデータを加えてファイルとし、これにタイムスタンプサーバ2のタイムスタンプを付与することにより、動画撮影時に関する情報を提供することができる。
【0054】
(変形例)
次に、図7を用いて本実施の形態の変形例について説明する。
先に説明した実施の形態では、ドライブレコーダ6は、動画データをデータ用サーバ3に送信したが、本実施の形態では、ドライブレコーダ6は、動画データからハッシュ値を計算し、当該ハッシュ値をデータ用サーバ3に送信する。
本変形例では、ハッシュ値が、動画に固有な固有情報として機能している。
このため、ドライブレコーダ6は、動画の一方向性関数による関数値を計算する計算手段を備え、動画情報は、前記固有情報として、当該計算した関数値(ハッシュ値)を含んでいる。
【0055】
ドライブレコーダ6は、ハッシュ値を計算すると、これをデータ用サーバ3に送信する。
本変形例では、タイムスタンプサーバ2は動画データを記憶しないため、ハッシュ値の元となった動画データはドライブレコーダ6に記憶する。この場合、データ用サーバ3では動画データを保存しないため、動画データはドライブレコーダ6が保存する。
ハッシュ値にタイムスタンプサーバ2でタイムスタンプが付与されると、動画データは改竄できなくなるため、イベント発生時の動画データが非改竄の状態で存在することが証明でき、これによって動画データの証拠性を高めることができる。
また、ハッシュ値は、動画データに比べてデータ量が小さいため、通信コストおよび通信ネットワークの負荷を低減することができる。
【0056】
ハッシュ値の送信に失敗した場合は、少なくとも所定期間の間はハッシュ値の再送を試みる点は、先の実施の形態と同様である。
また、動画データに車両情報やその他のデータを付加して、動画情報を1つのファイルとしてもよい。この場合、ドライブレコーダ6は、当該ファイルを保存すると共に、当該ファイルのハッシュ値を計算し、データ用サーバ3に送信する。
データ用サーバ3は、当該ハッシュ値をタイムスタンプサーバ2に送信してタイムスタンプを発行してもらい、これを保管する。
【0057】
次に、図8のフローチャートを用いて、本変形例のドライブレコーダ6が行う情報処理について説明する。
図6のフローチャートで説明したステップと同じ処理には同じステップ番号を付し、説明を簡略化・省略することにする。
ステップ5からステップ20までは、図6と同様である。
ステップ20で動画の記憶の更新を停止した後(ステップ20)、ドライブレコーダ6は、当該動画データをデータ格納部32に記憶すると共に、当該データのハッシュ値を計算し(ステップ60)、当該ハッシュ値をデータ用サーバ3に送信する(ステップ65)。
【0058】
データ用サーバ3は、当該ハッシュ値を受信する(ステップ70)。そして、当該ハッシュ値をそのままタイムスタンプサーバ2に送信してタイムスタンプの発行を要求し(ステップ40)、タイムスタンプサーバ2は、当該ハッシュ値にタイムスタンプを発行して(ステップ45)、データ用サーバ3に送信する。
データ用サーバ3は、タイムスタンプサーバ2からタイムスタンプが発行されたハッシュ値を受信してデータベースに記憶する(ステップ50)。
【0059】
このように、本変形例では、動画データのハッシュ値に対してタイムスタンプが発行されるため、動画データの改竄ができなくなる。
ユーザは、イベント後に動画データを関係機関に提出するが、関係機関は、提出された動画データのハッシュ値を計算し、これがデータ用サーバ3に記憶されているタイムスタンプ付きのハッシュ値と一致することを以て、正統な動画データであることを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施の形態に係る情報処理システムのネットワーク構成を説明するための図である。
【図2】ドライブレコーダのハードウェア的な構成を説明するための図である。
【図3】各サーバのハードウェア的な構成を説明するための図である。
【図4】データベースの論理的な構成を説明するための図である。
【図5】ドライブレコーダが行う情報処理を説明するための図である。
【図6】ドライブレコーダが行う情報処理について説明するためのフローチャートである。
【図7】変形例を説明するための図である。
【図8】変形例に係るドライブレコーダが行う情報処理について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 情報処理システム
2 タイムスタンプサーバ
3 データ用サーバ
4 ネットワーク
5 基地局
6 ドライブレコーダ
7 カメラ
8 車両
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 時計部
25 カメラ部
26 通信部
27 車両情報部
28 イベント検出部
29 緊急用電源
30 不揮発メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されたカメラで動画を撮影する動画撮影手段と、
イベントの発生を検出するイベント検出手段と、
前記イベント検出手段でイベントを検出した際に、イベント発生時からそれ以前の少なくとも所定記録時間の前記動画が記憶されている動画記憶手段と、
少なくとも、前記記憶されている動画、又は、当該動画に固有な固有情報の一方を含む動画情報を、タイムスタンプを取得する所定のサーバに送信する動画情報送信手段と、
を具備したことを特徴とする画像記憶装置。
【請求項2】
前記記憶されている動画の一方向性関数による関数値を計算する計算手段を具備し、
前記動画情報は、前記固有情報として、前記計算した関数値を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像記憶装置。
【請求項3】
前記動画情報送信手段は、動画情報の送信に失敗した場合、少なくとも所定期間の間、前記動画情報の送信を試みることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の画像記憶装置。
【請求項4】
現在日時刻を取得する現在日時刻取得手段を具備し、
前記動画情報は、前記取得した現在日時刻を含むことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の画像記憶装置。
【請求項5】
現在位置を取得する現在位置取得手段を具備し、
前記動画情報は、前記取得した現在位置を含むことを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載の画像記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−72788(P2010−72788A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237465(P2008−237465)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】