説明

画像記録装置及び方法並びに濃度補正係数の決定方法及びプログラム

【課題】記録素子の記録特性の誤差に起因する濃度ムラの補正精度を向上させる。
【解決手段】記録ヘッドにおける複数の記録素子のうち、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定し、前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定し、この設定された補正記録素子がそれぞれ記録するドットの間の位置に、実際には記録しない演算上の仮想ドットを設定し、該仮想ドットに演算上の仮想濃度を設定し、補正対象記録素子の記録特性と仮想ドットに起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定し、この濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像記録装置及び方法並びに濃度補正係数の決定方法及びプログラムに係り、特に複数の記録素子を有する記録ヘッドにおける記録素子ごとの特性のばらつきによって生じる濃度ムラの補正に好適な画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のインク吐出口(ノズル)を有するインクジェット方式の記録ヘッドを備えた画像記録装置(インクジェットプリンター)では、ノズルが持つ吐出特性のばらつきによって、記録画像に濃度ムラ(濃度不均一)が生じ、画質上問題となる。図19はノズルの吐出特性のばらつきと、記録結果として現れる濃度ムラの例を模式的に描いた説明図である。
【0003】
同図中、符号300はラインヘッド、符号302-i(i=1〜8)はノズルを示し、符号304-i(i=1〜8)は各ノズル302-i(i=1〜8)によって打滴されるドットを表している。ここでは、ラインヘッド300の幅方向(ノズル配列方向)に対して直交する方向(矢印S方向)に記録紙等の記録媒体が搬送されるものとし、ラインヘッド300のノズル配列方向が主走査方向、ラインヘッド300に対する記録媒体の相対的な搬送方向(S方向)が副走査方向である。
【0004】
図19では、左から3番目のノズル302-3に着弾位置誤差(本来の着弾位置から図上で左横方向に着弾位置がずれて着弾)が発生し、6番目のノズル302-6について液滴量誤差(本来の液滴量よりも多い液滴量で吐出)が発生している例が示されている。この場合、着弾位置誤差や液滴量誤差の発生するノズル302-3、302-6に対応した印字画像の位置(図中のA,Bで示した位置)にスジ状の濃度ムラが発生する。
【0005】
所定の印字領域上で記録ヘッドを複数回走査させて画像記録を行うシリアル(シャトル)スキャン方式の画像記録装置の場合は、よく知られているマルチパス印字によって、濃度ムラを回避することが可能であるが、1回の走査で画像記録を行うシングルパス方式(ラインヘッド方式)では、濃度ムラを回避することが困難である。
【0006】
ノズルごとの吐出特性のばらつきを完全になくすことはヘッド製造上困難であるため、ばらつきを補正する技術について種々の提案がなされている(特許文献1,2)。
【0007】
特許文献1は、いわゆる「飛行曲がり現象」によるスジ状のムラ(バンディング)を解消することを目的として、飛行曲がりを起こしている画素を特定し、その飛行曲がり画素を中心とする近傍の予め定めた距離範囲にある画素を補正対象とし、これら補正対象画素の画素値をその飛行曲がり量に応じて補正することを提案している。同文献1によれば、飛行曲がりに応じた補正値は、飛行曲がり画素と、これを挟んで両側に隣接する補正対象画素との間にそれぞれ仮想的な領域を想定し、これら領域内の画素濃度を演算した結果を基に、各領域の濃度が等しくなるように補正値を定めてテーブル化している(特許文献1の段落[0129]〜[0132]参照)。
【0008】
特許文献2は、テストパターンを出力してその印字結果から着弾位置誤差のデータを測定し、この着弾誤差データを用いて、各ノズルの誤差特性を取り込んだ濃度プロファイルD(x)を定義し、これをフーリエ変換した関数T(f)のパワースペクトルの低周波成分を最小化する計算により、濃度補正係数を導出することを開示している(特許文献2の段落[0062]〜[0089])。
【特許文献1】特開2006−212907号公報
【特許文献2】特開2006−347164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の技術では、飛行曲がり画素が多発し連続する場合に、適切に補正値を計算することができず、補正が正しく行われない、或いは補正値の演算負荷が非常に大きいという欠点がある。また、隣接するドット同士が重なる場合に、その重なり部分はインク量(インク厚)に対して線形な濃度とならない(非線形性を示す)が、同文献1では、隣接画素の打滴が重なる場合の濃度の非線形性が考慮されていない。この点は特許文献2も同様である。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、隣接する画素間のドットの重なりによる濃度の非線形性を考慮して、より高精度の濃度補正(ムラ補正)を実現できる画像記録装置及び画像記録方法並びにその補正処理に有益な濃度補正係数の決定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に係る画像記録装置は、複数の記録素子を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と、前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得手段と、前記複数の記録素子のうち、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する決定手段と、前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定手段と、前記設定された補正記録素子がそれぞれ記録するドットの間の位置に、実際には記録しない演算上の仮想ドットを設定し、該仮想ドットに演算上の仮想濃度を設定する仮想ドット設定手段と、前記補正対象記録素子の記録特性と前記仮想ドットに起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定手段と、前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、前記補正処理手段による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
記録画像における濃度の不均一性(濃度ムラ)は、空間周波数特性(パワースペクトル)での強度で表すことができ、濃度ムラの視認性はパワースペクトルの低周波成分で評価できる。本発明では、濃度補正係数を用いた補正後のパワースペクトルの低周波成分を低減する条件を用いて濃度補正係数を決める演算を行うにあたり、実際に記録素子で記録されるドット(実ドット)の間の位置に、演算上の仮想濃度を有する仮想ドットを設定し、この仮想ドットと実ドットとを含めた濃度ムラを算出している。
【0013】
このような手法により実ドットの重なり部分における濃度の非線形性を仮想ドットの仮想濃度に置き換えて演算することが可能となり、一層精度のよいムラ補正(適切な濃度補正)を実現できる。
【0014】
「特性情報取得手段」は、予め記録素子の記録特性に関する情報をメモリ等の記憶手段に格納しておき、必要な情報を読み出すことによって情報を取得してもよいし、実際にテストパターン等を印字してその印字結果を読み取り、解析処理を行って記録特性の情報を取得してもよい。記録特性が経時的に変化することに鑑み、適宜のタイミングで情報を更新する態様が好ましい。
【0015】
本発明に係る画像記録装置の一態様としてのインクジェット記録装置は、ドットを形成するためのインク液滴を吐出するノズル及び吐出圧を発生させる圧力発生手段(圧電素子や加熱素子など)を含む液滴吐出素子(「記録素子」に相当)を複数配列させた液滴吐出素子列を有する液体吐出ヘッド(「記録ヘッド」に相当)と、画像データから生成されたインク吐出データに基づいて記録ヘッドからの液滴の吐出を制御する吐出制御手段とを備え、前記ノズルから吐出した液滴によって被記録媒体上に画像を形成する。なお、本明細書では、ノズルから吐出した液滴によって記録されるドットを「打滴点」と呼ぶ。
【0016】
記録ヘッドの構成例として、被記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の記録素子を配列させた記録素子列を有するフルライン型のヘッドを用いることができる。この場合、被記録媒体の全幅に対応する長さに満たない記録素子列を有する比較的短尺の記録ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として被記録媒体の全幅に対応する長さの記録素子列を構成する態様がある。
【0017】
フルライン型のヘッドは、通常、被記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。
【0018】
「被記録媒体」は、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(被画像形成媒体、被印字媒体、記録媒体、受像媒体、インクジェット記録装置の場合の吐出媒体、被吐出媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、中間転写媒体、インクジェット記録装置によって配線パターンが印刷されるプリント基板、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
【0019】
「搬送手段」は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様のいずれをも含む。
【0020】
インクジェットヘッドによって、カラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別に記録ヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐
出可能な構成としてもよい。
【0021】
また、本発明は、上記のフルライン型のヘッドに限らず、シリアル(シャトル)スキャン方式の記録ヘッド(記録媒体の搬送方向に略直交する方向に往復移動しながら打滴を行う記録ヘッド)についても適用可能である。
【0022】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像記録装置の一態様であり、前記補正条件は、濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件であることを特徴とする。
【0023】
請求項2に係る発明によれば、濃度補正係数を用いた補正後のパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を用いて濃度補正係数を決めるようにしたことで、周波数原点でのパワースペクトルの強度が最小となり、原点付近(すなわち、低周波領域)のパワースペクトルを小さく抑えることができる。これにより、精度のよいムラ補正を実現できる。
【0024】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の画像記録装置の一態様に係り、前記補正条件は、空間周波数の直流成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件より得られるN本の連立方程式で表されることを特徴とする。
【0025】
N個の補正記録素子についてそれぞれ濃度補正係数を求める場合、未知数はN個あるため、直流(DC)成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件を用いることで、N本の方程式を得て、これを解くことにより、全ての未知数を決定することができる。
【0026】
また、より高次の微分係数が略0となる条件を満たすことにより、周波数原点からの周波数の増加に対してパワースペクトルの増加の程度が一層低く抑えられ、低周波成分の強度がより小さい値に保たれる。
【0027】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像記録装置の一態様に係り、前記記録特性は、記録位置誤差であることを特徴とする。
【0028】
請求項4に示した発明態様によれば、記録位置誤差に起因する濃度ムラに対して効果的な補正を行うことができる。
【0029】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像記録装置の一態様に係り、前記仮想ドットは、前記補正記録素子が記録する隣接ドット間の中点に設定されることを特徴とする。かかる態様により、簡易に演算が可能である。
【0030】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像記録装置の一態様に係り、前記仮想ドットが設定される位置は、前記補正記録素子が記録する隣接ドットの濃度及び位置に応じて決定されることを特徴とする。また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像記録装置の一態様に係り、前記仮想濃度は、前記補正記録素子が記録する隣接ドットの濃度及び該隣接ドット間の間隔に応じて決定されることを特徴とする。
【0031】
仮想ドットの位置とその濃度(仮想濃度)の設定の仕方は様々な態様が可能であるが、例えば、請求項6に示すように、仮想ドットの位置については、隣接ドットの濃度と位置に応じて決定する態様が可能であり、仮想濃度については、請求項7に示すように、隣接ドットの濃度及び該隣接ドット間の間隔に応じて決定する態様が可能である。
【0032】
請求項8に係る発明は前記目的を達成する方法発明を提供する。すなわち、請求項8に記載の画像記録方法は、複数の記録素子を有する記録ヘッドと被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させながら、前記複数の記録素子によって前記被記録媒体に画像を記録する画像記録方法であって、前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得工程と、前記複数の記録素子のうち、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する決定工程と、前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定工程と、前記設定された補正記録素子がそれぞれ記録するドットの間の位置に、実際には記録しない演算上の仮想ドットを設定し、該仮想ドットに演算上の仮想濃度を設定する仮想ドット設定工程と、前記補正対象記録素子の記録特性と前記仮想ドットに起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定工程と、前記補正係数決定工程で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理工程と、前記補正処理工程による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御工程と、を含むことを特徴とする。
【0033】
請求項9記載の発明に係る濃度補正係数の決定方法は、複数の記録素子を有する記録ヘッドにおける前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得工程と、前記複数の記録素子のうち、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する決定工程と、前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定工程と、前記設定された補正記録素子がそれぞれ記録するドットの間の位置に、実際には記録しない演算上の仮想ドットを設定し、該仮想ドットに演算上の仮想濃度を設定する仮想ドット設定工程と、前記補正対象記録素子の記録特性と前記仮想ドットに起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定工程と、を含むことを特徴とする。
【0034】
また、請求項9に係る濃度補正係数の決定方法によって決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理工程を付加した画像処理方法を提供することも可能である。
【0035】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の濃度補正係数の決定方法における各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。なお、請求項9に係る濃度補正係数の決定方法、及び更に補正処理工程を付加した画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することも可能である。
【0036】
本発明によるプログラムは、プリンタなどに組み込まれる中央処理装置(CPU)の動作プログラムとして適用できるとともに、パソコンなどのコンピュータシステムに適用することも可能である。
【0037】
或いはまた、当該プログラムは、単独のアプリケーションソフトウエアとして構成されてもよいし、画像編集ソフトウエアなど、他のアプリケーションの一部として組み込まれてもよい。このようなプログラムをCD−ROMや磁気ディスクその他の情報記憶媒体(外部記憶装置)に記録し、該情報記憶媒体を通じて当該プログラムを第三者に提供したり、インターネットなどの通信回線を通じて当該プログラムのダウンロードサービスを提供したりすることも可能である。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、記録素子の記録特性のばらつきによる濃度ムラを精度よく補正することができ、高品位な画像形成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0040】
〔補正原理〕
まず、補正の原理について説明する。ここで説明する本発明の実施形態による濃度ムラの補正処理では、あるノズルが持つ着弾位置誤差を補正する際に、そのノズルを含む周囲のノズルN本を用いて補正する。詳細は後述するが、補正に用いるノズル数Nが大きいほど、より補正精度が高くなる。
【0041】
図1は補正前の様子を示す図である。同図は、ラインヘッド(記録ヘッドに相当)10の左から3番目のノズル(nzl3)が着弾位置誤差を持っており、理想的な着弾位置(原点O)から図上で右方向(X軸で示した主走査方向)に着弾位置がずれて着弾する。また、図1の下側に示したグラフは、ノズルからの打滴による印字濃度を被記録媒体搬送方向(副走査方向)に平均化して得られる、ノズル列方向(主走査方向)の濃度プロファイルを示したものである。ただし、図1ではノズルnzl3の印字に対する補正を考察するので、ノズルnzl3以外の濃度出力は図示を省略した。横軸(X軸)は主走査方向の位置を表し、縦軸は光学濃度(O.D.)を表す。
【0042】
各ノズルnzl1〜5の初期出力濃度をDi=Dini(ただし、iはノズル番号1〜5、Diniは一定値を表す)、ノズルnzl3の理想着弾位置を原点O、各ノズルnzl1〜5の着弾位置をXi とする。
【0043】
ここでDi は、物理的には記録媒体搬送方向に平均化したノズルの出力光学濃度を表し、データ処理上は各画素が持つ濃度データD(i,j) (ただし、iはノズル番号、jは記録媒体搬送方向の画素番号を表す)に対して「j」について平均化したものを表している。
【0044】
図1に示したように、ノズルnzl3の着弾位置誤差は、ノズルnzl3の濃度出力(太線)の原点Oからのズレとして表される。今、この出力濃度のズレを補正することを考える。
【0045】
図2は補正後の様子を示す図である。ただし、ノズルnzl3以外は補正分のみを図示した。図2の場合、補正に用いるノズル数はN=3であり、ノズルnzl2, nzl3, nzl4 に濃度補正係数d2, d3, d4が乗ぜられている。ここでいう濃度補正係数di は、補正後の出力濃度をDi’とするとき、Di’=Di+di×Diで定義される係数である。
【0046】
本実施形態では、濃度ムラの視認性が最小となるよう、各ノズルの濃度補正係数が決定される。
【0047】
濃度ムラ等の空間構造の視認性は、空間周波数特性によって評価できることが知られており(例えば、「Application of FourierAnalysis to the Visibility of Gratings」Journal of Phisiology 197 551-566(1968) F.W.Campbell and J.G.Robson 1967、「NoisePerception in Electrophotography」Journalof Applied Photographic Engineering 5:190-196(1979) R.P.Dooley andR. Shawを参照))、人間の視覚は低周波成分の感度が高く、高周波成分ほど感度が低いことが明らかにされている。すなわち、濃度ムラの視認性の尺度として、空間周波数特性の低周波エネルギーを用いることが適切である。そのため、本実施形態では、パワースペクトルの低周波成分を最小化するように、各ノズルの濃度補正係数が決定される。
【0048】
〔濃度補正係数の導出〕
次に、濃度補正係数の導出について説明する。図3(a)は、着弾位置ずれの無い理想の打滴によるドット(打滴点)の配置例を示す。図中、矢印xで示した方向は、ラインヘッドの幅方向(主走査方向)、つまりノズル配列方向を表している。
【0049】
図3(b)は、ノズルの吐出特性のばらつきにより着弾位置ずれが発生した実際の打滴点配置の例を示し、図3(c)は、(b)の場合における打滴点のインク厚を模式的に示したものである。
【0050】
隣接打滴点が重ならない場合は、特許文献2と同様に、各ノズルの誤差特性を取り込んだ濃度プロファイルD(x)は次式で表現できる。
【0051】
【数1】

【0052】
ただし、
x:媒体(メディア)上の幅方向位置
xi:打滴点の着弾位置
i:ノズル出力濃度
z(x):標準濃度プロファイル(x=0が重心位置)
しかし、図3(b)、(c)に示すように、隣接打滴点(符号20,21)が重なると、重なった部分はインク厚(重なった部分の2打滴の総面積)に線形な濃度とならず、隣接打滴点の濃度が単純な加算(線形計算)にならない。重なった部分の濃度は単純な加算よりも低くなる。このため、上記の[数1]で示したD(x)の式は成り立たない。
【0053】
そこで、本発明の実施形態では、打滴点の重なり部分における濃度の非線形性による目減り分を考慮し、打滴点が重なる位置(図3におけるxVj)に、実際には打滴しない演算上の仮想打滴点30(濃度Ejがマイナスの値も取りうる)を設け、各ノズルの誤差特性を取り込んだヘッド幅方向(ノズル配列方向)の濃度プロファイルを次式(数2)のように定義する。
【0054】
【数2】

【0055】
ただし、
x:媒体(メディア)上の幅方向位置
xi:打滴点の着弾位置
i:ノズル出力濃度
z(x):標準濃度プロファイル(x=0が重心位置)
xVj:仮想打滴の着弾位置
j:仮想打滴の出力濃度
w(x):仮想打滴点の標準濃度プロファイル(x=0が重心位置)
仮想打滴点の濃度Ej(「仮想濃度」に相当)は、隣接打滴点同士の重なり量に応じて変化させる必要があるため、仮想打滴点の濃度Ejは、隣接打滴点の濃度と間隔の関数で表される(数3)。また、仮想打滴点の位置xVjは、隣接打滴点の濃度と位置の関数で表される(数4)。
【0056】
[数3] Ej=g(Di,Di+1,Xi+1−Xi)
[数4] xVj=h(Di,Di+1,Xi+1,Xi)
実際の装置では、数3、数4の関数に相当するテーブルのデータが用いられる。Ejの値を決定するテーブル([数3]で表される関数g)は、隣接打滴点の濃度と間隔の組み合わせにより値が特定されるものであり、打滴点が重ならない位置での値が「0」となるように設定される。つまり、図4のように、隣接打滴点の重なりが発生する位置(図中矢印で示した位置)のみに濃度Ej(≠0)の値が設定された仮想打滴点(実線円で記載)が生成され、重なりが起こらない隣接打滴点間の位置には仮想打滴点(破線円で記載)は生成されない。
【0057】
仮想打滴点は実際の印字において観察されるものではなく、演算の便宜上、仮想的に設定されるものであり、その設定の仕方は様々に考えられる。図4では、最も単純化した例として、実打滴によるドットサイズが一定で、重なり部分において隣接打滴点の中点に仮想打滴点を設ける場合を示しているが、ドットサイズが変化する場合等についても対応可能であり、仮想打滴点を設定する位置や濃度の設定次第で、様々な状況に対応できる。
【0058】
仮想打滴点の濃度は、その位置と隣接打滴点(実打滴点)の大きさ、濃度、重なり量(打滴点間隔)に応じて定められるが、重なり量は隣接打滴点の大きさによって変わるため、簡易的には、隣接打滴点の大きさに応じて仮想打滴点の濃度を予め計算しておき、これをルックアップテーブルとして保持し、演算に利用することができる。
【0059】
或いはまた、更に細かな計算をする場合には、仮想打滴点の位置も隣接する打滴点の位置とそれぞれの大きさから、重心を考慮して、必ずしも中点ではなく、中点から大きい方の打滴点にシフトさせるなどの応用も可能である。
【0060】
このように、[数2]で定義される濃度プロファイルは、打滴点の重なりによる濃度の非線形性を、仮想打滴点(濃度Ej)を導入することによって補正している。
【0061】
そして本実施形態では、上記[数2]で定義される式のフーリエ変換した関数T’(f)([数5])のパワースペクトル([数6])の低周波成分を最小化するDiの解を導出する。具体的な演算例は後述するが、演算の手法として、T’(f)のf=0における微分係数(1次、2次、、、)がゼロであるとして連立方程式を立て、Diの解を求める。こうして得られたDiの解が濃度補正係数に対応するものとなる。
【0062】
【数5】

【0063】
【数6】

【0064】
〔仮想打滴点の説明〕
このように仮想打滴点を導入することの効果について以下に詳説する。
【0065】
まず、打滴されたドット(1打滴)の反射濃度を計算すると、[数7]に示す関係から、[数8]の関係が導ける。
【0066】
【数7】

【0067】
【数8】

【0068】
ただし、
d:色素濃度(インク厚が一定の場合は色素濃度、色素濃度が一定の場合にはインク厚を示すものとする)
DT:透過濃度
DR:反射濃度
C1:定数
C2:定数
C3:定数
インク色素濃度を半球モデル(これは「インク濃度半球モデル」であり、後述する「反射濃度半球モデル」とは相違するものである)として上記の[数8]式を用いて演算すると、図5、図6の結果が得られる。
【0069】
図5は、打滴が1つの場合の反射濃度プロファイルであり、横軸は媒体上の位置、縦軸は反射濃度を示す。図6は、2つの打滴が互いに一部重なり合っている場合の濃度プロファイルである。図5、図6に示される演算結果は、実際の打滴の濃度プロファイルを概ね忠実に表すものとなっている。
【0070】
この濃度プロファイルに関して、濃度ムラの補正値(濃度補正係数)の演算が簡便になるよう、特許文献2に記載のように、図5、図6に示された実際の反射濃度プロファイルを「反射濃度半球モデル」として近似すると、図7、図8のようになる。
【0071】
図7は、打滴が1つの場合であり、図5に示した実際の反射濃度プロファイルを半球モデル(反射濃度半球モデル)で近似したプロファイルである。図8は、打滴が2つの場合であり、図6に示した実際の反射濃度プロファイルに反射濃度半球モデルを適用したものである。なお、図8中、2打滴での打滴の重なり部分については単純な加算演算で近似した。
【0072】
図8には、比較のために、図6に示した実際の反射濃度プロファイルを併記した(図8中符号aで示す)。図8が示すとおり、反射濃度半球モデルで近似して2打滴の重なり部分を単純な加算演算で計算すると、実際の反射濃度プロファイルとの差が大きくなる。ここでは、2打滴について説明したが、2打滴以上のドットが連続する場合についても同様であり、各ドットの重なり部分について、単純な加算演算を行うと、実際の反射濃度プロファイルと大きく食い違ってしまう。
【0073】
そこで、本発明の実施形態では、演算の容易性を保ったまま、打滴点の重なり部分の反射濃度演算が実際の値(図6)に近づくよう、図9のように、重なり部分の濃度を修正する仮想打滴点を導入する。図9では、第1ドット(打滴1)と第2ドット(打滴2)の中間位置(中点)に、負の濃度を持つ仮想打滴点(図9中符号bで示す)を設けた例が示されているが、仮想打滴点を設定する位置やその濃度については、様々な設定が可能である。
【0074】
なお、図9では、比較のために、図6で説明した実際の反射濃度プロファイル(符号a)と、図8で説明した反射濃度半球モデル(単純加算)によるプロファイル(符号c)を併記した。
【0075】
図9において負の濃度を持つ仮想打滴点を設けたことにより、仮想打滴点の濃度も含めた全体の濃度プロファイル(符号d)は、実際の反射濃度プロファイル(符号a)に近づき、図8の例と比べて濃度誤差が改善される。
【0076】
このように仮想打滴点を導入することで、複数の打滴点が重なるような場合でも、簡便な演算方法において、実際の反射濃度プロファイルに近づけることができる。特に、[数3]で定義されるパワースペクトルを演算する場合(フーリエ変換が必要な場合)には、このような演算方法は有効である。また、実際の打滴点及び仮想打滴点を含む各打滴点の反射濃度を加算(線形結合)で演算するため、各打滴濃度をδ関数に置き換えることも可能であり、その場合、さらに演算を簡略化することができる。
【0077】
2つの打滴が重なる部分における実際の反射濃度演算は、[数9]の式となるが、本発明による仮想打滴点を用いた手法を使用した反射濃度近似演算は、[数10]の式となる。
【0078】
【数9】

【0079】
【数10】

【0080】
ただし、
r:打滴の反射濃度半球モデルの半径
rv:仮想打滴点の反射濃度半球モデルの半径
xo1:打滴1の中心位置
xo2:打滴2の中心位置
xov:仮想打滴点の中心位置
E:仮想打滴点の濃度(実際の値は、予め[数9]、[数10]式を演算して求めておく)
C1:打滴1の濃度
C2:打滴2の濃度
C3:定数
C4:定数
〔具体的な演算例〕
特許文献2にも記載されているとおり、画像の濃度プロファイルは、各ノズルが印字する打滴点の濃度プロファイルの和であり、ノズルの印字を表すのが印字モデル(1ノズルが印字する濃度プロファイル)である。印字モデルはノズル出力濃度Diと標準濃度プロファイルz(x)に分離して表現される。同様に、仮想打滴点のモデルも仮想打滴の濃度Eiと標準濃度プロファイルw(x)に分離して表現される。
【0081】
標準濃度プロファイルz(x)、w(x)は、厳密にはドット径に等しい有限の広がりを持つものであるが、位置誤差の補正を濃度ズレのバランシングの問題であると考えると、重要なのは各打滴点(ドット)の濃度プロファイルの重心位置(着弾位置)であって、濃度プロファイルの広がりは副次的な要素である。そのため、プロファイルをδ関数で置き換える近似は妥当である。このような標準濃度プロファイルを仮定すると数学的な取り扱いが容易となる。
【0082】
図3(d)は、実際の打滴点(実打滴点)と仮想打滴点をそれぞれδ関数型印字モデルで示したものである。図3(d)において、実打滴点には正の値の濃度が与えられ、仮想打滴点には負の値の濃度が設定される様子が示されている。[数2]で定義される式中の標準濃度プロファイルz(x)、w(x)についてδ関数モデルを適用すると、[数3]は次式[数11]で表される。
【0083】
【数11】

【0084】
jは、例えば、左右の打滴点濃度から予め演算し、xvjは、例えば、隣接打滴点の中間点、すなわち、(xi+xi+1)/2として予め演算する。
【0085】
濃度ムラの視認性を最小化することは、すなわち、[式6]のパワースペクトルの低周波成分を最小化することに相当しており、これは数学的にT’(f)の f=0における微分係数(1次、2次、…)がゼロであることで近似できる。今、補正対象とするN個のノズルについて、それぞれの濃度補正係数を求めるため、未知数DiはN個であるから、DC成分の保存条件も含めると、N−1次までの微分係数がゼロの条件を用いれば、全ての(N個の)未知数Diが定まる。
【0086】
すなわち、[数11]におけるT’(f)の f=0における微分係数(1次、2次、…)がゼロであるとして以下の連立方程式[数12]を得る。
【0087】
【数12】

【0088】
すなわち、このようにして得られた条件式を行列形式で表すと、以下の式[数13]を得る。
【0089】
【数13】

【0090】
[数13]で示す式の右辺は予め演算して定数化し、行列式[数14]は、
【0091】
【数14】

【0092】
差積を用いて[数15]で求められるため、
【0093】
【数15】

【0094】
クラメルの公式を用いてDiの値を得る。
【0095】
以上のように、パワースペクトルの原点微分係数をゼロにするという条件から、濃度補正係数を求めることができる。補正に用いる周辺ノズル数Nを増やすほど、より高次の微分係数をゼロにすることが可能になるため、低周波エネルギーがより小さくなり、ムラの視認性は一層低減する。
【0096】
本実施形態では、原点微分係数をゼロにする条件を用いたが、完全にゼロとせずとも、補正前の微分係数に比べて十分小さい値(例えば、補正前の1/10)に設定しても、濃度ムラのパワースペクトルの低周波成分を十分に小さくすることができる。つまり、濃度ムラが視認されない程度にパワースペクトルの低周波成分を小さくするという条件の観点で、パワースペクトルの原点微分係数を十分に小さい値(略0)に設定するという意味から、その値の範囲として補正前の微分係数の絶対値の1/10以下までを許容する。
【0097】
上記説明は、ある特定の1ノズル(例えば、図1におけるノズルnzl3)に対する濃度補正係数の決定方法である。実際には、ヘッド内の全てのノズルが何らかの着弾位置誤差を持っているため、全ての着弾位置誤差に対して補正を行うことが好ましい。
【0098】
すなわち、全てのノズルに対して、周囲N個のノズルにおける上記の濃度補正係数を求める。濃度補正係数を決定する際に用いる上述のパワースペクトル最小化方程式は線形なので、ノズルごとに重ね合わせが可能である。そのため、トータルの濃度補正係数は、上述のようにして得られた濃度補正係数の和を取れば求められる。
【0099】
つまり、ノズルkの持つ位置誤差に対するノズルiの濃度補正係数をd(i,k)とおくと
、このd(i,k)は[数13]の方程式の解Diから求められる。そして、ノズルiのトータルの濃度補正係数diは、次式[数16]として求められる。
【0100】
【数16】

【0101】
なお、上記の例では、全ノズルの着弾位置誤差を補正対象としてインデックスkを足し合わせているが、ある値ΔX_threshを閾値として予め設定しておき、この閾値を超える
着弾位置誤差をもつノズルのみを補正対象とするように選択的に補正する構成も可能である。
【0102】
前述のとおり、補正に用いるノズル数Nの値を増加させると補正精度が向上するが、濃度補正係数の変化幅も増加して再現画像の破綻を招く可能性がある。そのため、画像破綻を起こさないための補正係数制限範囲(上限値d_maxと下限値d_min)を定めておき、上記[数16]の式で求まるトータルの濃度補正係数が制限範囲内に収まるようにN値を設定することが望ましい。すなわち、d_min<di<d_maxを満たすようN値を定める。
【0103】
実験的な知見によれば、d_min≧−1、d_max≦1を満たすならば画像破綻を起こさない。
【0104】
〔濃度補正係数算出時の処理フロー〕
図10は、濃度補正係数(補正データ)を算出するときの手順を示したフローチャートである。濃度補正係数の算出は、画像出力時に毎回実行する必要はなく、ヘッドの吐出特性が変化したときのみ実行すれば十分である。したがって、図10に示す処理フローは、装置製造時(出荷時)の他、例えば、以下のいずれかの条件で開始される。
【0105】
すなわち、(a)印字結果を監視する自動チェック機構(センサ)によって印字画像にスジムラが生じていると判断された場合、(b)人間(オペレータ)が印字画像を見て画像内にスジムラが生じていると判断して所定の操作(更新処理を開始させる指令の入力など)を行った場合、(c)事前に設定していた更新タイミングに達した場合(タイマー等による時間管理やプリント枚数カウンタなどによる稼働実績管理などによって更新タイミングを設定並びに判断可能)、のいずれかの条件で図9に示す処理がスタートする。
【0106】
図10に示すように、濃度補正係数の算出時には、まず、ヘッドの吐出特性を把握するためのテストパターン(予め定められている所定の印字パターン)のプリントが実行される(ステップS10)。
【0107】
次いで、そのテストパターンの印字結果から着弾誤差データ、すなわち各ノズルから打滴される実際の打滴点着弾位置を測定する(ステップS12)。着弾誤差データの測定には、イメージセンサ(撮像素子)を利用した画像読取装置(撮像信号を処理する信号処理手段を含む)を用いることができる。読み取った画像のデータから実際の打滴点の位置を測定し、理想の着弾位置(吐出異常等が無いとした場合の設計上の理想着弾位置)との差から着弾位置誤差の情報が得られる。また、着弾位置情報の他、打滴点の光学濃度情報も測定される。このように、テストパターンの読み取りから得られる各種の情報(実際の着弾位置情報、着弾位置誤差情報、光学濃度情報など)を総称する用語として「着弾誤差データ」という用語を用いている。
【0108】
次いで、ステップS12で得られた着弾誤差データを利用して、実際には打滴しない演算上の「仮想打滴」を設定する(ステップS14)。具体的には、図3で説明したように、仮想打滴点の位置と濃度を設定する。
【0109】
そして、着弾誤差データと仮想打滴点を用いて濃度補正係数を導出する(ステップS16)。濃度補正係数の算出方法については、既に説明した通りである。
【0110】
こうして、求めた濃度補正係数の情報はEEPROM等の書き換え可能な記憶手段に記憶され、以後、最新の補正係数が用いられる。
【0111】
〔画像出力時の処理フロー〕
次に、図10の手順で得られた濃度補正係数を用いるムラ補正処理を含んだ画像処理フローについて説明する。
【0112】
図11は画像出力時の手順を示すフローチャートである。画像を出力(プリント)する際には、まず、出力すべき画像(プリント対象となる画像)のデータを入力する(ステップS20)。入力時の画像のデータ形態は、特に限定されないが、例えば、24ビットカラーのRGBデータとする。この入力画像に対して、ルックアップテーブルによる濃度変換処理を行い(ステップS22)、プリンタの持つインク色に対応した濃度データD(i,j)に変換する。なお、(i,j)は画素の位置を表し、各画素について濃度データが割り当てられる。
【0113】
ここでは、説明の便宜上、入力画像の解像度とプリンタの解像度(ノズル解像度)は一致しているものとするが、両者が一致しない場合は、プリンタ解像度に合わせて、入力画像について画素数変換の処理が行われる。
【0114】
ステップS22における濃度変換処理は一般的な処理であり、下色除去(UCR:Under color Removal)処理、或いはライトインク(同色系の淡インク)を使用するシステムの
場合におけるライトインクへの分配処理などが含まれる。
【0115】
例えば、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)の3色インクの構成の場合には、CMYの濃度データD(i,j)に変換される。或いはまた、上記3色に加えてK(黒),L
C(ライトシアン),LM(ライトマゼンタ)などの他のインクを含むシステムの場合は、そのインク色を含む濃度データD(i,j)に変換される。
【0116】
濃度変換処理を経て得られた濃度データD(i,j)に対して、濃度補正係数を用いたムラ補正処理が行われる(ステップS24)。ここでは、対応するノズルに応じた濃度補正係数(打滴率補正係数)diを濃度データD(i,j)に乗ずる演算が行われる。
【0117】
図12の模式図に示したように、ノズルnzliの位置(主走査方向位置)iと副走査方向位置jによって画像上の画素位置(i,j)が特定され、各画素について濃度データD(i,j)が与えられる。今、図12の斜線で示した画素列の打滴を受け持つノズルについてムラ補正処理を行う場合、補正後の濃度データD’(i,j)は次式、
D’(i,j)=D(i,j)+di×D(i,j)
で計算される。こうして、補正済みの濃度データD’(i,j)が得られる。
【0118】
次いで、この補正済みの濃度データD’(i,j)からハーフトーニング処理を行うことによって(図11のステップS26)、ドットのオン/オフ信号(2値データ)、または、ドットサイズ変調を含む場合はサイズの種類(ドットサイズの選択)を含んだ多値データに変換される。ハーフトーニングの手法は特に限定されず、誤差拡散法やディザ法など周知の2値(多値)化手法を用いることができる。
【0119】
このようにして得られた2値(多値)信号に基づいて各ノズルの打滴が実行され、画像が出力される(ステップS28)。すなわち、ハーフトーニング処理(ステップS26)から得られた2値(多値)のデータから、各ノズルのインク吐出(打滴)データが生成され、吐出動作が制御される。これにより、濃度ムラが抑制され、高品位な画像形成が可能である。
【0120】
〔インクジェット記録装置の構成〕
次に、上述した濃度ムラの補正機能を備えた画像記録装置の具体的な適用例としてのインクジェット記録装置について説明する。
【0121】
図13は、本発明に係る画像記録装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録媒体たる記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するベルト搬送部122と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
【0122】
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0123】
図13では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0124】
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0125】
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0126】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図13のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
【0127】
デカール処理後、カットされた記録紙116は、ベルト搬送部122へと送られる。ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0128】
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図13に示したとおり、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによって記録紙116がベルト133上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
【0129】
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図184中符号188)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図13上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図13の左から右へと搬送される。
【0130】
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0131】
なお、ベルト搬送部122に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0132】
ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0133】
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図14参照)。
【0134】
ヘッド112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
【0135】
ベルト搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
【0136】
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0137】
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0138】
図13に示した印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置誤差などの吐出特性をチェックする手段として機能する。各色のヘッド112K,112C,112M,112Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
【0139】
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
【0140】
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
【0141】
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0142】
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図13には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
【0143】
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッ
ドを示すものとする。
【0144】
図15(a) はヘッド150の構造例を示す平面透視図であり、図15(b) はその一部の拡大図である。また、図15(c) はヘッド150の他の構造例を示す平面透視図、図16は記録素子単位となる1チャネル分の液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図15(a) 中のA−A線に沿う断面図)である。
【0145】
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図15(a),(b) に示したように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0146】
記録紙116の送り方向と略直交する方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図15(a) の構成に代えて、図15(c) に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
【0147】
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており(図15(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル151への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0148】
図16に示したように、各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に分配供給される。
【0149】
圧力室152の一部の面(図16において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)156には個別電極157を備えたアクチュエータ158が接合されている。個別電極157と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。なお、アクチュエータ158には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ158の変位が元に戻る際に、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に再充填される。
【0150】
上述した構造を有するインク室ユニット153を図17に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0151】
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走
査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0152】
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
【0153】
特に、図17に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル151-11 、151-12 、151-13、151-14 、151-15 、151-16を1つのブロックとし(他にはノズル151-21 、…、151-26を1つのブロック、ノズル151-31 、…、151-36を1つのブロック、…として)、記録紙116の搬送速度に応じてノズル151-11 、151-12 、…、151-16を順次駆動することで記録紙116の幅方向に1ラインを印字する。
【0154】
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
【0155】
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録紙116の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0156】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ158の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
【0157】
〔制御系の説明〕
図18は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
【0158】
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力手段)である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0159】
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0160】
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
【0161】
また、システムコントローラ172は、印字検出部124から読み込んだテストパターンの読取データから着弾位置誤差のデータを生成する演算処理を行う着弾誤差測定演算部172Aと、測定された着弾位置誤差の情報から仮想打滴点を設定して濃度補正係数を算出する濃度補正係数算出部172Bとを含んで構成される。なお、着弾誤差測定演算部172A及び濃度補正係数算出部172Bの処理機能はASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
【0162】
濃度補正係数算出部172Bにおいて求められた濃度補正係数のデータは、濃度補正係数記憶部190に記憶される。
【0163】
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(着弾位置誤差測定用のテストパターンのデータを含む)などが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。また、このROM175の記憶領域を活用することで、ROM175を濃度補正係数記憶部190として兼用する構成も可能である。
【0164】
画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0165】
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142等のヒータ189を駆動するドライバである。
【0166】
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データ(多値の入力画像のデータ) から打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能するとともに、生成したインク吐出データをヘッドドライバ184に供給してヘッド150の吐出駆動を制御する駆動制御手段として機能する。
【0167】
すなわち、プリント制御部180は、濃度データ生成部180Aと、補正処理部180Bと、インク吐出データ生成部180Cと、駆動波形生成部180Dとを含んで構成される。これら各機能ブロック(180A〜D)は、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
【0168】
濃度データ生成部180Aは、入力画像のデータからインク色別の初期の濃度データを生成する信号処理手段であり、図11のステップS22で説明した濃度変換処理(UCR処理や色変換を含む)及び必要な場合には画素数変換処理を行う。
【0169】
図18の補正処理部180Bは、濃度補正係数記憶部190に格納されている濃度補正係数を用いて濃度補正の演算を行う処理手段であり、図11のステップS24で説明したムラ補正処理を行う。
【0170】
図18のインク吐出データ生成部180Cは、補正処理部180Bで生成された補正後の濃度データから2値(又は多値)のドットデータに変換するハーフトーニング処理手段を含む信号処理手段であり、図11のステップS26で説明した2値(多値)化処理を行う。インク吐出データ生成部180Cにて生成されたインク吐出データはヘッドドライバ184に与えられ、ヘッド150のインク吐出動作が制御される。
【0171】
駆動波形生成部180Dは、ヘッド150の各ノズル151に対応したアクチュエータ158(図16参照)を駆動するための駆動信号波形を生成する手段であり、該駆動波形生成部180Dにて生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ184に供給される。なお、駆動波形生成部180Dから出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
【0172】
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図18において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0173】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリ174に記憶される。
【0174】
インクジェット記録装置110では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度
やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180の濃度データ生成部180A、補正処理部180B、インク吐出データ生成部180Cを経てインク色ごとのドットデータに変換される。
【0175】
すなわち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド150のノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
【0176】
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられるインク吐出データ及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じてヘッド150の各ノズル151に対応するアクチュエータ158を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0177】
こうして、ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド150に加えられることによって、該当するノズル151からインクが吐出される。記録紙116の搬送速度に同期してヘッド150からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
【0178】
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッドドライバ184を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0179】
印字検出部124は、図13で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180及びシステムコントローラ172に提供する。
【0180】
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124から得られる情報に基づいてヘッド150に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
【0181】
本例の場合、印字検出部124と着弾誤差測定演算部172Aの組み合わせが「特性情報取得手段」に相当し、濃度補正係数算出部172Bが補正対象記録素子(ノズル)を決定する「決定手段」、「補正範囲設定手段」及び「補正係数決定手段」に相当する。また、補正処理部180Bが「補正処理手段」に相当している。
【0182】
上記構成のインクジェット記録装置110によれば、着弾位置誤差による濃度ムラが低減された良好な画像を得ることができる。
【0183】
〔変形例1〕
図18で説明した着弾誤差測定演算部172A、濃度補正係数算出部172B、濃度データ生成部180A、補正処理部180Bが担う処理機能の全て又は一部をホストコンピュータ186側に搭載する態様も可能である。
【0184】
〔変形例2〕
図13〜18では、インクジェット記録装置110に装備した印字検出部124によってテストパターンを読み取る構成を例示し、インクジェット記録装置110におけるシステムコントローラ(図18の符号172)、及び/又はプリント制御部(符号180)に着弾誤差データ取得のための演算処理機能並びに濃度補正係数の演算処理機能を組み込み、インクジェット記録装置110内で演算処理を実施する例を示したが、テストパターンを読み取る手段としての画像読取装置や、その画像読取装置から得られた画像データの処理機能をプリンタの外部装置によって実現することも可能である。
【0185】
例えば、テストパターンを読み取る画像読取装置としてフラットベットスキャナーなどを用いることも可能である。また、読み込んだデータを解析して濃度補正係数を算出する演算手段として、インクジェット記録装置110とは別のコンピュータを用いる構成が可能である。この場合、図10のステップS12で説明した着弾誤差データの測定に用いる画像解析の処理アルゴリズムやステップS14〜16で説明した濃度補正係数の演算アルゴリズムをコンピュータに実行させるプログラムをコンピュータに組み込み、同プログラムを動作させることにより、当該コンピュータを演算装置として機能させる。
【0186】
〔変形例3〕
上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置におけるスジムラに対しても有効な補正効果を得ることができる。
【0187】
また、上述の説明では、画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。
【0188】
上記実施の形態では画像記録装置の一例としてインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。インクジェット方式以外では、サーマル素子を記録素子とする記録ヘッドを備えた熱転写記録装置、LED素子を記録素子とする記録ヘッドを備えたLED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタなど、ドット記録を行う各種方式の画像記録装置についても本発明を適用することが可能である。
【0189】
また、「画像記録装置」という用語の解釈においては、写真プリントやポスター印刷などのいわゆるグラフィック印刷の用途に限定されず、インクジェット技術を利用したレジスト印刷装置、電子回路基板の配線描画装置、微細構造物形成装置など、画像として把握できるパターンを形成し得る工業用途の装置も包含する。
【0190】
また、本発明の適用範囲は、着弾位置誤差による濃度ムラの補正に限定されず、液滴量誤差による濃度ムラ、不吐出ノズルの存在による濃度ムラ、周期的印字誤差による濃度ムラなど、様々な要因による濃度ムラに対して、上述した補正処理と同様の手法によって、補正効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】本発明の実施形態による濃度ムラ補正前の濃度プロファイルの例を示す説明図
【図2】本発明の実施形態による濃度ムラ補正後の様子を示す説明図
【図3】隣接打滴点の重なり部分に負の濃度を有する仮想打滴点が設定される例を示す説明図
【図4】仮想打滴点の設定例を示す図
【図5】1ドット(1つの打滴点)の反射濃度プロファイルを示すグラフ
【図6】重なり部分を有して隣接する2ドットの反射濃度プロファイルを示すグラフ
【図7】図5の反射濃度プロファイルを「反射濃度半球モデル」で近似した例を示すグラフ
【図8】図6の反射濃度プロファイルを「反射濃度半球モデル」で近似した例を示すグラフ
【図9】仮想打滴点を導入して計算される反射濃度プロファイルを示すグラフ
【図10】本発明の実施形態による濃度補正係数算出時の手順を示すフローチャート
【図11】画像出力時における処理手順を示すフローチャート
【図12】本実施形態による濃度ムラ補正処理の概念図
【図13】本発明の一実施形態によるインクジェット記録装置の全体構成図
【図14】図13に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図
【図15(a)】ヘッドの構造例を示す平面透視図
【図15(b)】図15(a) の要部拡大図
【図15(c)】フルライン型ヘッドの他の構造例を示す平面透視図
【図16】図15(a) 中のA−A線に沿う断面図
【図17】図15(a) に示したヘッドのノズル配列を示す拡大図
【図18】本実施形態に係るインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図
【図19】ノズルの吐出特性のばらつきと濃度ムラの関係を説明するために用いた模式図
【符号の説明】
【0192】
10…ラインヘッド、20,21…打滴点、30…仮想打滴点、110…インクジェット記録装置、112…印字部、112K,112C,112M,112Y…ヘッド、114…インク貯蔵/装填部、116…記録紙、122…ベルト搬送部(搬送手段)、124…印字検出部、150…ヘッド、151…ノズル(記録素子)、152…圧力室、153…インク室ユニット、158…アクチュエータ、172…システムコントローラ、172A…着弾誤差測定演算部、172B…濃度補正係数算出部、180…プリント制御部、180A…濃度データ生成部、180B…補正処理部、180C…インク吐出データ生成部、180D…駆動波形生成部、184…ヘッドドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録素子を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と、
前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得手段と、
前記複数の記録素子のうち、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する決定手段と、
前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定手段と、
前記設定された補正記録素子がそれぞれ記録するドットの間の位置に、実際には記録しない演算上の仮想ドットを設定し、該仮想ドットに演算上の仮想濃度を設定する仮想ドット設定手段と、
前記補正対象記録素子の記録特性と前記仮想ドットに起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、
前記補正処理手段による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記補正条件は、濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記補正条件は、空間周波数の直流成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件より得られるN本の連立方程式で表されることを特徴とする請求項2記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記記録特性は、記録位置誤差であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記仮想ドットは、前記補正記録素子が記録する隣接ドット間の中点に設定されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記仮想ドットが設定される位置は、前記補正記録素子が記録する隣接ドットの濃度及び位置に応じて決定されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記仮想濃度は、前記補正記録素子が記録する隣接ドットの濃度及び該隣接ドット間の間隔に応じて決定されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
複数の記録素子を有する記録ヘッドと被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させながら、前記複数の記録素子によって前記被記録媒体に画像を記録する画像記録方法であって、
前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得工程と、
前記複数の記録素子のうち、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する決定工程と、
前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定工程と、
前記設定された補正記録素子がそれぞれ記録するドットの間の位置に、実際には記録しない演算上の仮想ドットを設定し、該仮想ドットに演算上の仮想濃度を設定する仮想ドット設定工程と、
前記補正対象記録素子の記録特性と前記仮想ドットに起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定工程と、
前記補正係数決定工程で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理工程と、
前記補正処理工程による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御工程と、
を含むことを特徴とする画像記録方法。
【請求項9】
複数の記録素子を有する記録ヘッドにおける前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得工程と、
前記複数の記録素子のうち、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する決定工程と、
前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定工程と、
前記設定された補正記録素子がそれぞれ記録するドットの間の位置に、実際には記録しない演算上の仮想ドットを設定し、該仮想ドットに演算上の仮想濃度を設定する仮想ドット設定工程と、
前記補正対象記録素子の記録特性と前記仮想ドットに起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定工程と、
を含むことを特徴とする濃度補正係数の決定方法。
【請求項10】
請求項9に記載の濃度補正係数の決定方法における各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15(a)】
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【図15(b)】
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【図15(c)】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−78390(P2009−78390A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247972(P2007−247972)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】