説明

画像評価装置、撮像装置およびプログラム

【課題】 画像の露出の良否を定量的かつ相対的に把握するための手段を提供する。
【解決手段】 画像評価装置は、取得部と、領域分割部と、露出評価部とを備える。取得部は、撮像装置により撮像された対象画像の情報を取得する。領域分割部は、対象画像を背景領域と非背景領域とに分割する。露出評価部は、対象画像における非背景領域での輝度平均を用いて、対象画像における露出の良否の度合いを示す露出不良度を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像評価装置、撮像装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像装置の撮像での露出の良否を判定する技術が種々提案されている。一例として、特許文献1には、後処理工程で撮像画像の情報を解析し、判定対象の画像が適正露出、露出アンダーまたは露出オーバーのいずれであるかを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−151396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術は、判定対象の画像ごとでの露出の良否判定には適するものの、例えば、画像の露出の良否を定量的かつ相対的に把握する手段としては不向きである点で、さらなる改善が要請されていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、画像の露出の良否を定量的かつ相対的に把握するための手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一の態様の画像評価装置は、取得部と、領域分割部と、露出評価部とを備える。取得部は、撮像装置により撮像された対象画像の情報を取得する。領域分割部は、対象画像を背景領域と非背景領域とに分割する。露出評価部は、対象画像における非背景領域での輝度平均を用いて、対象画像における露出の良否の度合いを示す露出不良度を求める。
【0007】
上記の一の態様において、露出評価部は、非背景領域での輝度平均を含む複数個のパラメータを用いた判別モデルにより、対象画像の情報から露出不良度を演算してもよい。
【0008】
また、上記の判別モデルのパラメータは、対象画像の輝度情報またはおよび色情報の少なくとも一方を加味して設定されていてもよい。
【0009】
さらに、上記の判別モデルのパラメータは、非背景領域から生成された第1エッジ画像での輝度平均、背景領域での輝度平均、非背景領域での輝度平均、背景領域から生成された第2エッジ画像での輝度平均、背景領域での色差の平均、背景領域での色差の絶対値の平均、対象画像全体での輝度平均、対象画像全体での輝度分散、対象画像全体での輝度重心周りの二次モーメント、対象画像全体での色差の絶対値の平均、対象画像の黒潰れした画素数、の少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
【0010】
上記の一の態様の画像評価装置は、対象画像を複数のブロックで等間隔に分割し、複数のブロックのうちから背景領域のテンプレートを抽出するテンプレート抽出部をさらに備えていてもよい。また、領域分割部は、テンプレートと各々のブロックとをマッチングした結果に基づいて、対象画像を背景領域と非背景領域とに分割してもよい。
【0011】
さらに、テンプレート抽出部は、対象画像上で回転対称の位置からテンプレートを複数抽出してもよい。また、領域分割部は、各々のブロックに対して複数のテンプレートを用いてそれぞれマッチングした結果に基づいて、対象画像を背景領域と非背景領域とに分割してもよい。
【0012】
なお、一の態様の画像評価装置を含む撮像装置や、コンピュータを一の態様の画像評価装置として動作させるプログラムや、このプログラムを記憶した記憶媒体や、一の態様に係る画像評価装置の動作を方法のカテゴリで表現したものも、本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象画像における非背景領域での輝度平均を用いて求めた露出不良度によって、ユーザが画像の露出の良否を定量的かつ相対的に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態での画像評価装置の構成例を示すブロック図
【図2】第1実施形態での画像評価装置の動作例を示す流れ図
【図3】第1実施形態での非背景領域の推定処理のサブルーチンの例を示す流れ図
【図4】第1実施形態でのテンプレートマッチングの処理例を示す図
【図5】第2実施形態でのテンプレートの抽出例を示す図
【図6】第3実施形態での画像評価モデルの構築動作例を示す流れ図
【図7】8近傍ラプラシアンフィルタの例を示す図
【図8】第3実施形態での露出不良度の演算動作例を示す流れ図
【図9】第4実施形態での電子カメラの構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態の説明>
図1は、第1実施形態での画像評価装置の構成例を示すブロック図である。第1実施形態の画像評価装置は、撮像装置により撮像された評価対象の画像(対象画像)の露出不良度を評価する露出評価プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータで構成される。
【0016】
図1に示すコンピュータ11は、データ読込部12、記憶装置13、CPU14、メモリ15および入出力I/F16、バス17を有している。データ読込部12、記憶装置13、CPU14、メモリ15および入出力I/F16は、バス17を介して相互に接続されている。さらに、コンピュータ11には、入出力I/F16を介して、入力デバイス18(キーボード、ポインティングデバイスなど)とモニタ19とがそれぞれ接続されている。なお、入出力I/F16は、入力デバイス18からの各種入力を受け付けるとともに、モニタ19に対して表示用のデータを出力する。
【0017】
データ読込部12は、上記の対象画像のデータや、上記の評価処理プログラムを外部から読み込むときに用いられる。例えば、データ読込部12は、着脱可能な記憶媒体からデータを取得する読込デバイス(光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクの読込装置など)や、公知の通信規格に準拠して外部の装置と通信を行う通信デバイス(USBインターフェース、LANモジュール、無線LANモジュールなど)で構成される。
【0018】
記憶装置13は、例えば、ハードディスクや、不揮発性の半導体メモリなどの記憶媒体で構成される。この記憶装置13には、露出評価プログラムや、プログラムの実行に必要となる各種のデータが記録されている。なお、記憶装置13には、データ読込部12から読み込んだ対象画像のデータを記憶しておくこともできる。
【0019】
CPU14は、コンピュータ11の各部を統括的に制御するプロセッサである。このCPU14は、上記の露出評価プログラムの実行によって、テンプレート抽出部21と、マッチング処理部22と、領域分割部23と、露出評価部24としてそれぞれ機能する(テンプレート抽出部21、マッチング処理部22、領域分割部23、露出評価部24の各動作は後述する)。
【0020】
メモリ15は、露出評価プログラムでの各種演算結果(変数およびフラグの値など)を一時的に記憶する。このメモリ15は、例えば揮発性のSDRAMなどで構成される。
【0021】
<第1実施形態の動作例>
以下、図2の流れ図を参照しつつ、第1実施形態における画像評価装置の動作例を説明する。なお、図2の流れ図の処理は、ユーザによるプログラム実行指示に応じて、CPU14が露出評価プログラムを実行することで開始される。
【0022】
(ステップS101)
CPU14は、データ読込部12を介して、撮像装置により撮像された対象画像のデータを外部から取得する。S101で取得された対象画像のデータは、CPU14の制御によって、記憶装置13またはメモリ15に記録される。なお、対象画像のデータが予め記憶装置13に記憶されている場合には、CPU14はS101の処理を省略してもよい。
【0023】
ここで、本明細書の例では、対象画像はYCbCr色空間で表現された画像とする。また、以下の説明において、対象画像のY面、Cb面、Cr面は、単にY,Cb、Crと表記する場合がある。また、各面の座標(x,y)の値を示す場合において、一例としてY面の座標(x,y)の値はY[x,y]と表記する。また、画像の幅(x方向)はwidthと表記し、画像の高さ(y方向)はheightと表記する。
【0024】
(ステップS102)
テンプレート抽出部21、マッチング処理部22および領域分割部23は、対象画像の非背景領域の推定処理を実行する。以下、図3の流れ図を参照しつつ、第1実施形態での非背景領域の推定処理のサブルーチンを説明する。
【0025】
ステップS201:テンプレート抽出部21は、対象画像のY面を複数のブロックで等間隔に分割する。一例として、第1実施形態でのテンプレート抽出部21は、対象画像のY面を、10×10サイズのマトリクス状にブロックで等分割する。なお、簡単のため、各ブロックには、左上隅のブロックを始点として右下隅のブロックが終点となるように、1から100までの番号が順番に割り振られている(図4参照)。また、以下の説明では、変数nはブロック番号を示すものとし、n番目のブロックはblkと表記する。
【0026】
ステップS202:テンプレート抽出部21は、S202の処理で設定された複数のブロックのうちから背景領域のテンプレートとなるブロックを抽出する。一例として、テンプレート抽出部21は、対象画像のY面において一番上の行の各ブロック(ブロック1−ブロック10)をそれぞれテンプレートとして抽出する(図4参照)。
【0027】
ステップS203:マッチング処理部22は、マトリクス状にブロック分割されたY面の列ごとにテンプレートマッチング処理を実行する。一例として、マッチング処理部22は、以下の(A)から(C)の処理を順次実行する。なお、S203でのマッチング処理部22は、Y面の左端の列(図4のI列)から右端の列(図4のX列)の順に一列ずつ処理していくものとする。
【0028】
(A)マッチング処理部22は、現在のテンプレートのブロックblk.tmplに、S202の処理で抽出された初期テンプレートのブロックを登録する。例えば、図4のI列であれば、開始段階でのblk.tmplは初期テンプレートであるブロック1となる。
【0029】
また、マッチング処理部22は、現在のテンプレートを示す指数tmplに初期テンプレートのブロック番号を代入する。例えば、図4のI列であれば、初期テンプレートはブロック1であるので、この時点でのtmplの値は「1」となる。
【0030】
(B)マッチング処理部22は、各列でy方向にブロックスキャンを行って、テンプレートblk.tmplとブロックblkとのテンプレートマッチング処理を実行する。例えば、図4のI列であれば、マッチング処理部22は、n=11,21,31,・・・,91の順に、テンプレートとブロックとのマッチングを実行する。
【0031】
ここで、マッチング処理部22は、対比する2つのブロック間で各画素の画素値差分をそれぞれ求めるとともに、ブロック内における画素値差分の絶対値の総和(Sum of Absolute Difference:以下、SADと称する)を求める。具体的には、マッチング処理部22は、下式(1)の演算によってSADvalueを求めればよい。
【0032】
【数1】

なお、式(1)の「allpxl」はブロック内の全画素を意味する。また、本明細書の説明において「|M|」は、変数Mの絶対値を返す関数を意味する。また、式(1)で求まるSADvalueは、テンプレートとの絵柄の違いが大きなブロックほど値が大きくなる。
【0033】
(C)マッチング処理部22は、式(1)で求めたSADvalueが、閾値TH1未満(SADvalue<TH1)か否かを判定する。
【0034】
ここで、マッチング処理部22は、テンプレートとブロックとの距離に応じて上記の閾値TH1を調整する。具体的には、マッチング処理部22は、下式(2)の演算によって閾値TH1を求めればよい。
【0035】
【数2】

なお、式(2)の「th」は閾値TH1を規定する任意の定数である。また、式(2)で求まる閾値TH1は、テンプレートとブロックとの距離が離れるほど小さな値となる。その結果、テンプレートとブロックとの距離が離れるほど、テンプレートとブロックの絵柄の違いが小さくても、上記の判定においてSADvalueが閾値TH1を上回りやすくなる。
【0036】
そして、上記判定の要件を満たす場合(判定対象のブロックが背景領域のテンプレートと類似する場合)、マッチング処理部22は、現在の判定対象であるブロックnのマッチング結果を示すフラグmatch_rsltに「0」値を代入する。
【0037】
また、この場合のマッチング処理部22は、テンプレートの更新処理を実行する。具体的には、マッチング処理部22は、現在の判定対象のブロックblkを新たにblk.tmplに登録する(blk.tmpl=blk)とともに、現在の判定対象のブロック番号nをtmplに代入する(tmpl=n)。
【0038】
一方、上記判定の要件を満たさない場合(判定対象のブロックが背景領域のテンプレートと類似しない場合)、マッチング処理部22は、match_rsltに「1」値を代入する。
【0039】
そして、マッチング処理部22は、上記の処理をそれぞれ最下行まで繰り返すことで、一列分のmatch_rsltの値を取得する。なお、ブロック1−ブロック10はテンプレートのブロックであってテンプレートと常に一致する。よって、マッチング処理部22は、match_rsltからmatch_rslt10にはいずれも「0」値を代入すればよい。
【0040】
ステップS204:マッチング処理部22は、最後の列のテンプレートマッチング処理が終了したか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)にはS205の処理に移行する。一方、上記要件を満たさない場合(NO側)、マッチング処理部22は、S203に戻って次の列のテンプレートマッチング処理を実行する。このS203からS204のループにより、match_rslt(n=1−100)には、それぞれ「0」または「1」の値が代入されることとなる。
【0041】
ステップS205:領域分割部23は、テンプレートと各ブロックとをマッチングした結果に基づいて、対象画像を背景領域と非背景領域とに分割する。
【0042】
具体的には、領域分割部23は、対象画像においてmatch_rslt(n=1−100)の値が「1」となるブロック(背景領域のテンプレートと類似しないブロック)の範囲を非背景領域とする。また、領域分割部23は、対象画像においてmatch_rslt(n=1−100)の値が「0」となるブロックの範囲を背景領域とする。その後、CPU14は、サブルーチンの処理から図2の処理に復帰する。
【0043】
(ステップS103)
露出評価部24は、対象画像における非背景領域での輝度平均を求める。例えば、露出評価部24は、下式(3)の演算によってYsubregionの値を求めればよい。
【0044】
【数3】

なお、式(3)の「blk」は、背景領域のテンプレートと類似しないブロック(非背景領域のブロック)を意味する。また、式(3)の「mean(Y)」は、ブロック内の輝度平均を返す関数を意味する。
【0045】
(ステップS104)
露出評価部24は、対象画像における非背景領域での輝度平均(S103)を用いて、対象画像における露出の良否の度合いを示す露出不良度を求める。例えば、露出評価部24は、非背景領域の輝度平均(Ysubregion)から適正露出での被写体の輝度値を減算して露出不良度とする。なお、適正露出での被写体の輝度値は、階調範囲のうちで中央近傍の値から適宜決定すればよい。
【0046】
上記の露出不良度は、その絶対値が小さくなるほど、対象画像の主要被写体の露出がより適正露出に近いことを示している。また、露出不良度が正の値であれば、対象画像の主要被写体が露出オーバーであることを示している。また、露出不良度が負の値であれば、対象画像の主要被写体が露出アンダーであることを示している。
【0047】
その後、CPU14は、露出評価部24が求めた露出不良度をモニタに表示出力してもよい。また、CPU14は、対象画像のデータを含む画像ファイルに、露出不良度を付帯情報として記録してもよい。以上で図2の流れ図の説明を終了する。
【0048】
上記のように、第1実施形態の画像評価装置は、撮影後の後処理工程において、撮影時の測光情報を用いずに、非背景領域での輝度平均を用いて対象画像のデータから露出不良度を求めている。上記の露出不良度は、主要被写体の露出が適正露出から離れている度合いを数値で示すとともに、主要被写体の状態が露出オーバーまたは露出アンダーかを示すものである。
【0049】
よって、第1実施形態の構成によれば、露出不良度の数値を指標とすることで、ユーザが対象画像での露出の良否を定量的かつ相対的に判定できるようになる。また、第1実施形態の構成によれば、露出不良度の数値を指標とすることで、従来は困難であった複数の画像間での露出の良否比較をユーザが容易に行うことができる。さらに、第1実施形態の構成によれば、コンピュータに露出不良度の数値と閾値とを対比させることで、露出が良好な画像をコンピュータに選別させることが可能となる。
【0050】
<第2実施形態の説明>
図5は、第2実施形態でのテンプレートの抽出例を示す図である。第2実施形態は第1実施形態におけるS201−S205の処理の変形例であって、非背景領域の推定処理(図2のS102)において、画像評価装置が、1つのブロックに対して複数のテンプレートを用いてテンプレートマッチングを実行する。なお、本明細書では以下の実施形態の説明において、第1実施形態と共通する画像評価装置の構成の重複説明は省略する。
【0051】
第2実施形態の例では、テンプレート抽出部21は、対象画像のY面を、第1実施形態と同様に10×10サイズのマトリクス状にブロックで等分割する。そして、テンプレート抽出部21は、上記のブロックのうちから背景領域のテンプレートとなるブロックを複数抽出する。第2実施形態でのテンプレート抽出部21は、対象画像上の四隅のブロック(ブロック1,10,91,100)をそれぞれテンプレートとして抽出する(図5参照)。なお、第2実施形態で抽出された上記のテンプレートは、対象画像のブロックの配列において90°の回転対称となる位置関係にある。
【0052】
次に、第2実施形態でのマッチング処理部22は、Y面全体の各ブロックを対象として、ブロック1,10,91,100の各テンプレートでそれぞれテンプレートマッチング処理を実行する。そして、第2実施形態でのマッチング処理部22は、上記の式(1)と同様の演算により、任意のテンプレートiと対比するブロックnとの間で画素値差分の絶対値の総和(SADni)を求める。なお、SADniの値は、1つのテンプレートにつきY面の各ブロックでそれぞれ求められる。よって、第2実施形態では4つのテンプレートで各ブロックにそれぞれテンプレートマッチングを行うため、第2実施形態で1つのブロックにつき4種類のSADの値が得られることとなる。
【0053】
その後、マッチング処理部22は、各ブロックに対応する4種類のSADの値を用いて、下式(4)により各ブロックに対応するmatch_rsltの値をそれぞれ求める。
【0054】
【数4】

また、式(4)の「TH2」は、テンプレートとブロックとの類否判定用の閾値である。なお、第2実施形態での閾値TH2は、テンプレートとブロックとの距離に依存しない定数である。
【0055】
その後、領域分割部23は、第1実施形態の処理と同様に、対象画像においてmatch_rslt(n=1−100)の値が「1」となるブロックの範囲を非背景領域とする。また、領域分割部23は、対象画像においてmatch_rslt(n=1−100)の値が「0」となるブロックの範囲を背景領域とする。なお、第2実施形態でのCPU14は、その後に上記のS103およびS104の処理によって露出不良度を求めればよい。
【0056】
上記のように、第2実施形態の画像評価装置は、第1実施形態の構成とほぼ同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態の画像評価装置は、複数のテンプレートによるマッチング結果の論理和に基づいて非背景領域を推定するので、主要被写体が中央に位置しない構図の画像についても、非背景領域をより適切に推定できる。さらに、第2実施形態の画像評価装置は、対象画像上で90°の回転対称の位置からそれぞれテンプレートを抽出するため、構図の上下が異なる画像(縦位置または横位置で撮影された画像)のいずれでも非背景領域をより適切に推定できる。
【0057】
<第3実施形態の説明>
以下、第3実施形態の画像評価装置の動作例を説明する。第3実施形態の画像評価装置は、教師付き学習によって露出不良度を算出する画像評価モデルを前処理で予め構築するとともに、この画像評価モデルを用いて対象画像の露出不良度を求める。
【0058】
まず、図6の流れ図を参照しつつ、第3実施形態での画像評価モデルの構築動作例を説明する。ここで、図6の流れ図の処理は、プログラムの実行指示に応じてCPU14が実行する。なお、以下に示す画像評価モデルの構築動作は、画像評価装置の製造者が予め装置製造工程で実行してもよく、あるいは画像評価装置を購入したユーザが実行するものであってもよい。
【0059】
(画像評価モデルの構築動作)
ステップS301:CPU14は、複数の教師画像のデータをデータ読込部12から読み込んで取得する。ここで、教師画像のデータは、対象画像と同様にYCbCr形式のデータであるものとする。また、各々の教師画像には、各画像に相応する露出不良度の正解値が評価者によって予め付与されている。各画像の露出不良度を示すデータは、各々の教師画像のデータに対応付けされている。なお、S301で取得された教師画像のデータおよび露出不良度のデータは、CPU14の制御によって、記憶装置13またはメモリ15に記録される。
【0060】
ここで、第3実施形態での露出不良度の値は、第1実施形態と同様の基準で設定されるものとする。例えば、適正露出の画像は露出不良度が「0」値となる。また、露出アンダーの画像には露出不良度として負の値が付与され、露出オーバーの画像には正の値が付与される。また、画像の露出が適正露出から離れるほど、露出不良度の絶対値が大きくなる。
【0061】
ステップS302:CPU14は、複数の教師画像(S301)のうちから演算対象の画像を指定する。なお、S302のCPU14は、すべての教師画像を演算対象の画像として順次指定するものとする。
【0062】
ステップS303:テンプレート抽出部21、マッチング処理部22および領域分割部23は、演算対象となった教師画像の非背景領域の推定処理を実行する。なお、S303の処理は、上記の第1実施形態または第2実施形態での非背景領域の推定処理と同様であるので、重複説明は省略する。
【0063】
ステップS304:CPU14は、演算対象となった教師画像の特徴量を求める。一例として、CPU14は、1つの教師画像につき、以下に示す#1−#14までの14種類の特徴量をそれぞれ求める。なお、S304で求められた各特徴量は、CPU14の制御によって、教師画像に対応付けされた状態でそれぞれメモリ15等に記録される。
【0064】
(♯1):非背景領域での輝度平均値(Ysubregion
♯1の特徴量は、主要被写体の明るさを反映させるためのパラメータである。なお、♯1の特徴量はS104の演算で求めたものと同様であるので、重複説明は省略する。
【0065】
(♯2):非背景領域でのエッジ画像の輝度平均値(Contsubregion
♯2の特徴量は、主要被写体のコントラストの強さを反映させるためのパラメータである。露出の良好な画像では一般に主要被写体のコントラストが高まる傾向にある。そのため、第3実施形態のCPU14は、露出評価の1パラメータとして主要被写体のコントラストの強さを考慮している。
【0066】
ここで、CPU14は、以下の処理によって♯2の特徴量を求める。まず、CPU14は、入力されたY面の画像に対して、図7に示す8近傍ラプラシアン(Laplacian)フィルタをたたみ込み演算して、入力画像の全体エッジ画像を生成する。そして、CPU14は、上記の全体エッジ画像から非背景領域に対応する範囲を抽出して第1エッジ画像を生成する。その後、CPU14は、上記の第1エッジ画像の輝度の絶対値の平均をとって、Contsubregionを求めればよい。
【0067】
(♯3):背景領域での色差Cbの平均値(Cbbg
(♯4):背景領域での色差Crの平均値(Crbg
♯3および♯4の特徴量は、背景領域の色情報を反映させるためのパラメータである。一般に、画像の適正な露出は撮影したシーンに応じても変化する。そのため、第3実施形態のCPU14は、露出評価の1パラメータとして背景領域の色情報を考慮してシーンを解析し、各シーンに応じた露出評価を行う。
【0068】
ここで、CPU14は、入力画像のCb面において背景領域に対応する範囲を抽出し、抽出した範囲から色差Cbの平均値Cbbgを求めればよい。同様に、CPU14は、入力画像のCr面において背景領域に対応する範囲を抽出し、抽出した範囲から色差Crの平均値Crbgを求めればよい。
【0069】
(♯5):背景領域での輝度平均値(Ybg
♯5の特徴量は、背景領域の明るさを反映させるためのパラメータである。第3実施形態のCPU14は、例えば、夜景撮影の画像や逆光下で撮影された画像などでもより適切な露出評価を行うために、露出評価の1パラメータとして背景領域の輝度を考慮する。なお、CPU14は、入力画像のY面において背景領域に対応する範囲を抽出し、抽出した範囲から背景領域での輝度平均値Ybgを求めればよい。
【0070】
(♯6):背景領域でのエッジ画像の輝度平均値(Contbg
♯6の特徴量は、主要被写体のコントラストの強さを反映させるためのパラメータである。第3実施形態のCPU14は、例えば、夜景撮影の画像や逆光下で撮影された画像などでもより適切な露出評価を行うために、露出評価の1パラメータとして背景領域のコントラストの強さを考慮する。
【0071】
ここで、CPU14は、以下の処理によって♯6の特徴量を求める。まず、CPU14は、上記の♯2の場合と同様に全体エッジ画像を生成し、この全体エッジ画像から背景領域に対応する範囲を抽出して第2エッジ画像を生成する。その後、CPU14は、上記の第2エッジ画像の輝度の絶対値の平均をとって、Contbgを求めればよい。
【0072】
(♯7):背景領域での色差Crの絶対値の平均値(Crabs.bg
♯7の特徴量は、背景領域での赤色を反映させるためのパラメータである。第3実施形態のCPU14は、露出評価の1パラメータとして背景領域の色情報を考慮してシーンを解析し、例えば、夕焼けのシーンの画像に対してより適切な露出評価を行う。なお、CPU14は、入力画像のCr面において背景領域に対応する範囲を抽出し、抽出した範囲から色差Crの絶対値の平均値Crabs.bgを求めればよい。
【0073】
(♯8):画像全体での輝度平均(mean.Y)
♯8の特徴量は、画像全体の明るさを反映させるためのパラメータである。第3実施形態のCPU14は、露出評価の1パラメータとして画像全体の明るさを考慮し、露出アンダーの画像に対してより適切な露出評価を行う。なお、CPU14は、下式(5)によって入力画像のY面の輝度値の平均をとることで、mean.Yの値を求めればよい。
【0074】
【数5】

ここで、本明細書の説明において、「ΣXY」は、全画素での和を返す関数を意味する。
【0075】
(♯9):画像全体での輝度分散(sd)
♯9の特徴量は、画像全体でのコントラストの状態を反映させるためのパラメータである。一般に、コントラストの低い画像では輝度分散の値は小さくなる。そのため、第3実施形態のCPU14は、露出評価の1パラメータとして画像全体のコントラストを考慮し、露出アンダーや露出オーバーによって低コントラストとなった画像に対してより適切な露出評価を行う。なお、CPU14は、下式(6)の演算によってsdの値を求めればよい。
【0076】
【数6】

(♯10):画像全体での色差Cbの絶対値の平均値(mean.abs.Cb)
(♯11):画像全体での色差Crの絶対値の平均値(mean.abs.Cr)
♯10および#11の特徴量は、画像全体での色情報を反映させるためのパラメータである。一般に、露出アンダーや露出オーバーによる露出不良の画像では、色の変化が乏しくなる。そのため、第3実施形態のCPU14は、露出評価の1パラメータとして画像全体の色情報を考慮し、露出アンダーの画像や露出オーバーの画像に対してより適切な露出評価を行う。なお、CPU14は、下式(7)の演算によってmean.abs.Cbの値を求めればよく、下式(8)の演算によってmean.abs.Crの値を求めればよい。
【0077】
【数7】

(♯12):黒潰れ画素の個数(num.b)
♯12の特徴量は、露出アンダーの画像に対してより適切な露出評価を行うためのパラメータである。なお、CPU14は、入力画像のY面において、階調値が黒潰れを示す閾値以下である画素をカウントしてnum.bを求めればよい。
【0078】
(♯13):画像全体でのx軸の輝度重心周りの二次モーメント(mx)
(♯14):画像全体でのy軸の輝度重心周りの二次モーメント(my)
♯10および#11の特徴量は、画像内の輝点のバラツキを反映させるためのパラメータである。一般に、画像の二次モーメントが大きければ領域がまとまっている傾向にあると判断でき、画像の二次モーメントが小さければ領域が広がっている傾向にあると判断できる。そのため、露出評価の1パラメータとして輝度重心周りの二次モーメントを考慮すれば、輝点の分布による撮影シーンの判別によってより適切な露出評価が可能となる。
【0079】
ここで、入力画像のY面の重心座標(wx,wy)は、下式(9)および下式(10)によって表現できる。なお、本明細書の説明において、「fY(i,j)」は、入力画像のY面における座標(i,j)での画素値を意味する。
【0080】
【数8】

そして、CPU14は、上記の(wx,wy)の値を用いて、下式(11)および下式(12)の演算で(mx,my)の値を求めればよい。
【0081】
【数9】

ステップS305:CPU14は、すべての教師画像が演算対象の画像に指定されたか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)にはS306の処理に移行する。一方、上記要件を満たさない場合(NO側)、CPU14は、S302に戻って、次の教師画像を指定する。このS302からS305のループにより、全ての教師画像で上記の特徴量がそれぞれ求められることとなる。
【0082】
ステップS306:CPU14は、各々の教師画像で求めた特徴量を用いて、教師付き学習により画像評価モデルを構築する。
【0083】
ここで、第3実施形態でのCPU14は、サポートベクターマシン(SVM)の手法を用いた一価の実数関数の回帰推定方法であるSupport Vector Regression(SVR)により、画像評価モデルの構築を行うものとする。なお、上記のSVRによる演算の説明は、例えば『「サポートベクターマシン入門」p148−163,Nello Cristianini他著,大北剛訳,共立出版株式会社,2005年3月25日初版第1刷発行』などに詳細に記載されている。
【0084】
一例として、S306でのCPU14は、教師画像ごとに求まる14種類の特徴量を用いて、SVRの学習公式に準拠して生成された回帰計算のモデル(式(13)、式(14))の各パラメータを決定する。
【0085】
【数10】

ここで、上記の式(13)および式(14)において、「x」は各画像の14種類の特徴量を用いて求まる特徴ベクトルを意味する。同様に、「x(i)」は上記の特徴ベクトルと同じ線形空間に属し、学習により決定されるサポートベクトルを意味する。また、式(13)の「α(i)」は学習により決定される回帰式の係数である。また、式(13)の「b」は学習により決定される回帰式のy切片である。また、式(14)の「γ」は学習時に設定されるチューニングパラメータである。以上で、画像評価モデルの構築動作の説明を終了する。
【0086】
(露出不良度の演算動作)
次に、図8の流れ図を参照しつつ、第3実施形態での露出不良度の演算動作例を説明する。なお、図8の流れ図の処理は、プログラムの実行指示に応じてCPU14が実行する。
【0087】
ステップS401:CPU14は、対象画像のデータをデータ読込部12から読み込んで取得する。ここで、第3実施形態での対象画像は、上記の教師画像とは異なり、露出不良度が未知である撮像画像である。なお、上記の対象画像のデータは、CPU14の制御によって、記憶装置13またはメモリ15に記録される。
【0088】
ステップS402:テンプレート抽出部21、マッチング処理部22および領域分割部23は、対象画像の非背景領域の推定処理を実行する。なお、S402の処理は、上記の第1実施形態または第2実施形態での非背景領域の推定処理と同様であるので、重複説明は省略する。
【0089】
ステップS403:CPU14は、対象画像の14種類の特徴量をそれぞれ求める。なお、S403の処理は、上記のS304の処理と同様であるので重複説明は省略する。
【0090】
ステップS404:CPU14は、対象画像の各特徴量を用いて特徴ベクトルを求める。そして、露出評価部24は、図6の処理で得た画像評価モデル(式(13))に特徴ベクトルを代入し、対象画像の露出不良度を求める。
【0091】
その後、CPU14は、露出評価部24が求めた露出不良度をモニタに表示出力してもよい。また、CPU14は、対象画像のデータを含む画像ファイルに、露出不良度を付帯情報として記録してもよい。以上で図8の流れ図の説明を終了する。
【0092】
上記のように、第3実施形態の画像評価装置は、教師付き学習によって構築された画像評価モデルを用いて、撮影後の後処理工程において撮影時の測光情報を用いずに、対象画像のデータから露出不良度を求めている。
【0093】
よって、第3実施形態の構成によっても、上記の各実施形態と同様に、ユーザが対象画像での露出の良否を定量的かつ相対的に判定でき、また、複数の画像間での露出の良否比較についても容易に行うことができる。また、第3実施形態の構成によっても、コンピュータに露出不良度の数値と閾値とを対比させることで、露出が良好な画像をコンピュータに選別させることが可能となる。
【0094】
さらに、第3実施形態の画像評価装置は、画像の露出状態と相関の高い14種類の特徴量を用いて対象画像の露出を評価するため、多様な撮影シーンの画像に対してより適切な評価を行うことが可能となる。
【0095】
<第4実施形態の説明>
図9は、第4実施形態での電子カメラの構成例を示すブロック図である。電子カメラ31は、撮像光学系32と、撮像素子33と、画像処理エンジン34と、ROM35と、メインメモリ36と、記録I/F37と、ユーザの操作を受け付ける操作部38とを有している。ここで、撮像素子33、ROM35、メインメモリ36、記録I/F37および操作部38は、それぞれ画像処理エンジン34に接続されている。
【0096】
撮像素子33は、撮像光学系32によって結像される被写体の像を撮像し、撮像した画像の画像信号を生成する撮像デバイスである。なお、撮像素子33から出力された画像信号は、A/D変換回路(不図示)を介して制御部に入力される。
【0097】
画像処理エンジン34は、電子カメラ31の動作を統括的に制御するプロセッサである。例えば、画像処理エンジン34は、撮像した画像のデータに対して各種の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整、色変換処理など)を施す。また、画像処理エンジン34は、プログラムの実行により、上記した第1実施形態から第3実施形態のいずれかの画像評価装置(CPU14、テンプレート抽出部21、マッチング処理部22、領域分割部23、露出評価部24)として機能する。
【0098】
ROM35には、画像処理エンジン34によって実行されるプログラムが記憶されている。また、メインメモリ36は、画像処理の前工程や後工程で画像のデータを一時的に記憶する。
【0099】
記録I/F37は、不揮発性の記憶媒体39を接続するためのコネクタを有している。そして、記録I/F37は、コネクタに接続された記憶媒体39に対してデータの書き込み/読み込みを実行する。上記の記憶媒体39は、ハードディスクや、半導体メモリを内蔵したメモリカードなどで構成される。なお、図9では記憶媒体39の一例としてメモリカードを図示する。
【0100】
第4実施形態の電子カメラ31は、ユーザの撮像指示をトリガとする撮像工程において、撮像素子33で撮像された画像を対象画像として取得し、上記実施形態のいずれかの画像評価装置と同様の処理により露出不良度を求める。なお、画像処理エンジン34は、対象画像のデータを含む画像ファイルに、露出不良度を付帯情報として記録してもよく、あるいは演算で求まった露出不良度に応じて不図示のモニタ等に警告表示を行うようにしてもよい。以上により、第4実施形態の電子カメラ31は、上記実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0101】
<実施形態の補足事項>
(1)上記実施形態では対象画像のデータがYCbCr形式である例を説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の画像評価装置は、例えばRGB色空間やL色空間などの他の色空間の画像データについても適用することができる。
【0102】
(2)上記の第3実施形態では、14種類の特徴量を用いて画像評価モデルを構築する例を説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、本発明の画像評価装置は、上記14種類の特徴量の一部を用いて画像評価モデルが構築されたものであってもよく、また、さらに他のパラメータを加えて画像評価モデルが構築されたものであってもよい。
【0103】
(3)本発明の画像評価装置は、上記実施形態のパーソナルコンピュータの例に限定されない。本発明の画像評価装置は、デジタルの画像の再生表示機能やレタッチ機能を有する電子機器(例えば、フォトビューアー、デジタルフォトフレーム、写真の印刷装置など)であってもよい。また、本発明の撮像装置は、携帯電話端末のカメラモジュールとして実装されるものであってもよい。
【0104】
(4)上記の第1、第2、第4実施形態の例において、CPU14は非背景領域の輝度平均(Ysubregion)の値をそのまま露出不良度として出力するようにしてもよい。また、上記の第1実施形態のS203の処理において、テンプレートマッチングの閾値TH1を固定値としてもよい。
【0105】
(5)上記実施形態のテンプレートマッチング処理はSADを用いる例を説明したが、例えば照明変化にロバストにするために、正規化相関を用いてマッチング処理を行うようにしてもよい。
【0106】
(6)上記の各実施形態では、テンプレート抽出部21、マッチング処理部22、領域分割部23、露出評価部24の各処理をソフトウエア的に実現する例を説明したが、ASICによってこれらの各処理をハードウエア的に実現しても勿論かまわない。
【0107】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
【符号の説明】
【0108】
11…コンピュータ、12…データ読込部、13…記憶装置、14…CPU、15…メモリ、16…入出力I/F、31…電子カメラ、33…撮像素子、34…画像処理エンジン、35…ROM、37…記録I/F、39…記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置により撮像された対象画像の情報を取得する取得部と、
前記対象画像を背景領域と非背景領域とに分割する領域分割部と、
前記対象画像における前記非背景領域での輝度平均を用いて、前記対象画像における露出の良否の度合いを示す露出不良度を求める露出評価部と、
を備える画像評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像評価装置において、
前記露出評価部は、前記非背景領域での輝度平均を含む複数個のパラメータを用いた判別モデルにより、前記対象画像の情報から前記露出不良度を演算する画像評価装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像評価装置において、
前記判別モデルのパラメータは、前記対象画像の輝度情報またはおよび色情報の少なくとも一方を加味して設定される画像評価装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の画像評価装置において、
前記判別モデルのパラメータは、前記非背景領域から生成された第1エッジ画像での輝度平均、前記背景領域での輝度平均、前記非背景領域での輝度平均、前記背景領域から生成された第2エッジ画像での輝度平均、前記背景領域での色差の平均、前記背景領域での色差の絶対値の平均、前記対象画像全体での輝度平均、前記対象画像全体での輝度分散、前記対象画像全体での輝度重心周りの二次モーメント、前記対象画像全体での色差の絶対値の平均、前記対象画像の黒潰れした画素数、の少なくとも1つをさらに含む画像評価装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像評価装置において、
前記対象画像を複数のブロックで等間隔に分割し、複数の前記ブロックのうちから前記背景領域のテンプレートを抽出するテンプレート抽出部をさらに備え、
前記領域分割部は、前記テンプレートと各々の前記ブロックとをマッチングした結果に基づいて、前記対象画像を前記背景領域と前記非背景領域とに分割する画像評価装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像評価装置において、
前記テンプレート抽出部は、前記対象画像上で回転対称の位置から前記テンプレートを複数抽出し、
前記領域分割部は、各々の前記ブロックに対して複数の前記テンプレートを用いてそれぞれマッチングした結果に基づいて、前記対象画像を前記背景領域と前記非背景領域とに分割する画像評価装置。
【請求項7】
被写体の像を撮像する撮像部と、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像評価装置と、
を備える撮像装置。
【請求項8】
撮像装置により撮像された対象画像の情報を取得する取得処理と、
前記対象画像を背景領域と非背景領域とに分割する領域分割処理と、
前記対象画像における前記非背景領域での輝度平均を用いて、前記対象画像における露出の良否の度合いを示す露出不良度を求める露出評価処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−114541(P2011−114541A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268594(P2009−268594)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(592217093)株式会社ニコンシステム (102)
【Fターム(参考)】