説明

画像読み取り装置、画像読み取り方法、プログラム、記憶媒体

【課題】装置構成が単純で、高速に画像を読み取り、かつ、高解像度の画像を取得する画像読取装置、プログラム及び記憶媒体を提供すること。
【解決手段】原稿を所定のサイクル時間毎に撮影する撮影手段11と、撮影手段が所定のサイクル時間毎に撮影した画像データの品質を評価する評価手段41と、評価手段41が評価した評価値に対応づけて各画像データを記憶する画像データ記憶手段28と、ユーザによる画像取得指示を入力する指示入力手段16と、評価値が所定値以上の画像データを読み出し、第1の画像データの画素が対応する、同じ原稿を撮影した第2の画像データの画素から検出する画素対応づけ手段45と、画像取得指示が入力されたことをトリガーに、画像データの画素数よりも大きい画素数が確保された合成画像データの画素範囲に、画素対応づけ手段が互いに対応付けた複数の画素の画素値をそれぞれ格納する画素値格納手段46と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像データを取得する画像読み取り装置等に関し、特に、原稿の読み取り面を上向きに載置する画像読み取り装置、画像読み取り方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なスキャナでは原稿面を下にし、原稿面がコンタクトガラスに接するように原稿を載置し、コンタクトガラス越しに原稿を光学的に走査する。このため、書籍の原稿面をスキャンする際には見開きページを取り込むごとに書籍を持ち上げページをめくり、書籍を再度コンタクトガラスに載置する必要があり、ユーザにとっては極めて面倒な作業を強いられる。また、原稿の走査中にユーザが原稿面を見ることができないため、誤ったページをスキャンしてしまったり、原稿が十分に開かれていない状態で画像を取り込んでしまうという問題が発生しやすい。これらの問題は自動原稿送り装置(ADF)を搭載しないスキャナで複数ページの原稿をスキャンする際にも同様に発生する。
これに対し、例えば書画カメラのように読み取り面を上に向けた状態で、デジタルカメラなどのエリアセンサをスキャナ代わりにして原稿を読み取る方法が様々考えられている。例えば、カメラないし被写体を微少な距離だけずらして撮影された複数枚の画像を合成する読み取り方法が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、カメラの撮像エリアを超える画像を撮影可能にすると共に、非平面の原稿を平面に変換する目的で、撮影用のカメラと移動可能な原稿台を備え、原稿台を動かしながら原稿を撮影し、得られた画像を合成する画像読み取りシステムが開示されている。一般に、このような読み取り方法は、被写体とカメラとの位置関係が固定である原稿等を高解像度に走査するため利用される。
【0004】
また、短時間で連続的に撮影された画像を合成したりすることにより、画素間を補完して高解像度化する手法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、主に照明装置の映り込みを防止する目的で、揺動可能な支持柱に取り付けられたカメラを用いて複数の角度から原稿を撮影し、得られた画像を合成する装置および方法が開示されている。
【0005】
また、被写体を乗せる台やカメラを移動させて被写体の部分領域を撮影し、この部分画像をつなぎ合わせることにより、カメラの解像度に対して被写体が大きい場合であっても一定の解像度を確保する手法も既に知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
特許文献3には、画像の貼り合わせを行うことなく被写体を読み取ることを目的として、被写体の斜め上に配置された鏡により反射された像を、光路が可変な光学系に設置されたラインセンサで読み取る装置および方法が開示されている。
【特許文献1】特許第3931107号公報
【特許文献2】特開2006‐279828号公報
【特許文献3】特開2007‐82005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の方法のように、カメラや被写体を微小な距離だけ移動させる手法では極めて精度の高い位置合わせが必要であり、機器構成の複雑化、大型化、高価格化につながるという問題があった。また、特許文献2記載の方法のように、連続画像を用いる手法では、連続画像中に被写体に適当な量の移動が必要であり、被写体が紙原稿の場合には原稿台に静止するとカメラと被写体との位置関係が変化しないため、この手法の効果を期待することができない。
【0008】
また、特許文献1又は2記載の方法では、原稿台を移動させながら部分領域を撮影して合成するため、一枚の画像を得るために複数回の撮影を伴うと共に、撮像系の物理的動作を伴うため時間がかかるという問題がある。
これに対し、特許文献3記載の方法のように、カメラと被写体との位置関係を変化させて画像を取得し部分画像をつなぎ合わせる方法や、位置や角度を変えて撮影する方法では、前述した問題が発生しない反面、撮像系を移動させて撮影する必要があることから、機器構成が複雑になる上に一回の原稿の取り込みに時間がかかるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、単純な装置構成により、上向きに載置された原稿を読み取り、かつ、高解像度の画像を取得する画像読取装置、画像読み取り方法、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、原稿を載置する原稿台と、読み取り面が略上向きに原稿台に載置された原稿を撮影する撮影手段と、を有する画像読み取り装置において、撮影手段が所定のサイクル時間毎に撮影した画像データの品質を評価する評価手段と、前記評価手段が評価した評価値に対応づけて各画像データを記憶する画像データ記憶手段と、ユーザによる画像取得指示を入力する指示入力手段と、評価値が所定値以上の画像データを読み出し、第1の画像データの画素が対応する、同じ原稿を撮影した第2の画像データの画素から検出する画素対応づけ手段と、画像取得指示が入力されたことをトリガーに、画像データの画素数よりも大きい画素数の合成画像データの画素範囲に、画素対応づけ手段が互いに対応付けた各画像データの複数の画素の画素値を格納する画素値格納手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
装置構成が単純で、高速に画像を読み取り、かつ、高解像度の画像を取得する画像読取装置、プログラム及び記憶媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、画像読み取り装置100による画像の読み取りを模式的に説明する図の一例を示す。まず、カメラ11は原稿12をサイクル時間毎に撮影する。原稿12は、ユーザによる載置、ページめくり、又は、ページめくり後の自己回復力などにより、カメラ11に対する相対位置が若干ずつ変化していく。カメラ11はサイクル時間毎に原稿12を撮影しているので、この相対位置が若干変化した原稿12を撮影することができ、したがって、同じ原稿12が撮影されても、カメラ11の各素子には原稿12の中の異なる微少部分(カメラの1画素により撮影される後述の原稿画素)が入射して撮影されることになる。
【0013】
画像データはそれぞれ同じ画素数G1で撮影されており、画像データには「あ」という文字が撮影されている。画像データには同じ文字「あ」が撮影されていても、原稿12が少しずつ動きながら撮影されているので各画像データA〜Cの撮影範囲は異なっている。このため、画像読み取り装置100は、基準となる画像データに対し複数の画像データの画素を位置あわせする。すなわち、各画像データの画素毎に、原稿の同じ微少部分(原稿画素)が撮影された画素を対応づける。
【0014】
また、画像読み取り装置100は、画像データを縦横に数倍(図では3倍)にした画像合成フィールド(メモリ)を用意する。用意した直後は画像合成フィールドの各画素には、何も格納されていない。例えば画像データを縦横に3倍した場合、画素数は9×G1画素となる。画像読み取り装置100は、画像合成フィールドに各画像データの画素を格納していく。この場合、画像合成フィールドは画像データの9倍の広さなので、原理的には9枚の画像データまでは全ての画像データを格納することができる。
【0015】
例えば、いずれかの画像データAの画素の画素値を、画像データA〜Cの画素数と画像合成フィールドの画素数の比によって定まる画像合成フィールドの合成領域のいずれの画素に格納する。同様の手順で画像データAのその他の画素の画素値は、画像合成フィールドの縦横2画素おきに格納され、それぞれに同じ広さの合成領域が設定される。これにより、画像合成フィールドの9画素に1つの割合で画像データAの画素値が格納されたことになる。
【0016】
そして、画素値が格納されていない画像合成フィールドの合成領域に、他の画像データB、C等から画素値を格納していく。各画像データの画素の対応関係が明らかなので、対応する画素の画素値を「3×3」の合成領域の空いている画素に格納する。格納する位置は、合成領域毎に共通とすればよい。
例えば、画像データAを(1、1)に格納したなら、画像データBの対応する画素の画素値を(1,2)に格納し、画像データCの対応する画素の画素値を(1,3)に格納する、等である。原理的には画像データが9つあれば、画像合成フィールドの全ての画素を埋めることができる。
【0017】
画像データが画像合成フィールドの全ての画素を満たす数だけ撮影されなかった場合、画素値が格納されていない画像合成フィールドの画素には、画素値を補完して格納する。補間には種々の方法が知られているのがどのような方法で補完してもよい。
【0018】
以上の処理により、カメラ11の画素数G1の所定倍(ここでは9倍)の解像度の合成画像データを得られたことになる。原稿12は原稿面を上に向けた状態で撮影され、ユーザが原稿12のページをめくるだけで各ページの合成画像データが次々と取得されるので、原稿12を持ち上げて裏返すなどの作業が必要ない。また、カメラ11や原稿12の台を動かす必要がないので、コスト増を抑制することができる。
【0019】
図2は、画像読み取りシステム200の構成図の一例を示す。画像読み取りシステム200は、画像読み取り装置100と、ネットワーク18と、合成画像データの配信先となる受信用コンピュータ19とを有する。
【0020】
さらに画像読み取り装置100は、書画カメラ装置50と、書画カメラ装置50と接続された制御部60とを有する。書画カメラ装置50は、カメラ11と、光源13と、カメラ11と光源13を備えつける柱部14と、原稿台15と、読み取りスイッチ16とを有する。カメラ11は、画像データの変化により撮影を開始し以降はサイクル時間毎の連続的に撮影し、読み取りスイッチ16がユーザにより押下される度に1ページの合成画像データを合成する。
【0021】
カメラ11は例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)の光電変換素子により、画素毎に入射した光を電気に変換しそれをA/D変換して所定の輝度階調(例えば、256階調)の画像データを出力する。カメラ11は、サイクル時間毎に原稿12を撮影する。サイクル時間は、例えば、数フレーム/秒〜30フレーム/秒であるが、一定でもよいしユーザが設定可能となっていてもよい。
【0022】
光源13は、例えば蛍光灯やLEDで可視光の波長の光で原稿12を照明する。可視光以外の例えば近赤外光のように夜間でも撮影可能な波長の光を照射してもよい。
【0023】
ネットワーク18は、例えば社内、一部署、一フロア等のLAN、支店間など地理的に離れたLAN同士を接続したWAN、又は、インターネットなどである。なお、ネットワーク18は有線・無線のいずれであってもよい。
【0024】
制御部60は、コンピュータを実体とし、後述する各手段が実現できればよいので、その呼び名は、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Data Assistance)、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、スマートフォン、その他プログラムを実行するCPUを備えたコンピュータであればよい。
【0025】
図3は、制御部60のハードウェア構成図の一例を示す。それぞれバスで相互に接続されているCPU21、RAM22、ROM23、記憶媒体装着部24、NIC25、入力装置26、表示制御部27及びHDD(Hard Disk Drive)28を有するように構成される。なお、受信用コンピュータ19のハードウェア構成図も同様なので説明は省略する。
【0026】
制御部60は、例えばUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、ワイヤレスUSB、Bluetooth等で書画カメラ装置50に接続されており、カメラ11が撮影を開始するとカメラ11により撮影された画像データを次々と受信する。この画像データに後述する処理を施し、合成画像データを生成する。
【0027】
CPU21は、OS(Operating System)やアプリケーションソフトをHDD28から読み出して実行することで種々の機能を提供すると共に、制御部60が行う処理を統括的に制御する。また、画像処理プログラム30を実行して後述する各機能を実現する。
【0028】
RAM22はCPU21が画像処理プログラム30を実行する際に画像処理プログラム30や処理に必要なデータを一時保管する作業メモリ(主記憶メモリ)になり、ROM23はBIOS(Basic Input Output System)やOSを起動するためのプログラム、設定ファイルを記憶している。
【0029】
記憶媒体装着部24は記憶媒体29が着脱可能に構成されており、記憶媒体29に記録された画像処理プログラム30やデータを読み込み、HDD28にインストールする際と、データを書き込む際に使用される。なお、記憶媒体29は、CD、DVD、ブルーレイディスク、SDカード、メモリースティック(登録商標)、マルチメディアカード、xDカード等、不揮発性のメモリであればよい。
【0030】
NIC25は、ネットワーク18に接続するためのインターフェイス、例えばイーサネット(登録商標)カードであり、OSI基本参照モデルの物理層、データリンク層に規定されたプロトコルに従う処理を実行する。
【0031】
入力装置26は、キーボードやマウスなど、ユーザからの様々な操作指示を入力するためのデバイスである。表示制御部27は、プログラムが指示する画面情報に基づき所定の解像度や色数等で液晶などのディスプレイ31に描画する。例えば、GUI(Graphical User Interface)画面を形成し、操作に必要な各種ウィンドウやデータ等をディスプレイ31に表示する。
【0032】
HDD28は、SSD(Flash Solid State Drive)等の不揮発メモリでもよく、本実施形態では画像処理プログラム30が記憶されている。画像処理プログラム30は、記憶媒体29に記憶して配布されたり、ネットワーク18を介して接続された所定のサーバからダウンロードされ、HDD28にインストールされる。
【0033】
図4は、制御部60の機能構成図の一例を示す。図4の各ブロックは、CPU21が画像処理プログラム30を実行するか又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現される。
【0034】
<評価部41>
評価部41について説明する。評価部41は、その画像データから合成画像データを生成してよいか否かを判定するための評価値を算出する。画素数に対する原稿12の撮影範囲が小さすぎたり、撮影範囲がずれているような場合は、合成画像データに用いるべきでない。同様に、画像データの焦点が合っておらずぼやけていたり、コントラストが低かったり、暗いような場合にはその画像データは適切な条件で撮影されていないので、合成画像データに用いるべきでない。このため、評価部41は、各画像データをこのような評価項目に基づき評価して合成画像データに用いることができるか否かを判定する。評価部41は、例えば各画像データについて以下のような評価項目を数値化する。なお、評価値は、数値が高いほど評価が高いものとする。
「原稿が撮影された画素数/画素数、撮影位置」
「鮮明度(エッジ数)、コントラスト、平均輝度値」
図5(a)は原稿12が小さく撮影された例の一例を、図5(b)は撮影位置がずれてしまった例の一例を、それぞれ示す。原稿台15は無地又は単色など、輝度がほぼ一定であるので、画像データのうち輝度が一定の領域を原稿台15が撮影された領域として検出することができる。したがって、「画像データの総画素数−輝度がほぼ一定の画素数」が、「原稿が撮影された画素数」となり、「原稿が撮影された画素数/画素数」を算出できる。
【0035】
また、図5(b)のように撮影位置がずれている場合、輝度がほぼ一定の領域が左端部に現れ、かつ、右端部に輝度がほぼ一定の領域が現れないことになる。このように、左右又は上下の画素領域において、一方に輝度が一定の領域が所定値以上存在値、かつ、他方に輝度が一定の領域が存在しない場合、撮影位置がずれているとしてよい。
【0036】
また、鮮明度は、画像データに水平・垂直なエッジを検出し、エッジの数や大きさから評価される。コントラストは、画素値のヒストグラムが偏っているなどの公知の方法から評価され、平均輝度値は画像データの各画素の画素値の平均から評価される。以下では、各評価項目の数値に重み付けして合計した値を評価値とする。
【0037】
原稿12は少しずつ動きながらも撮影されているが、この評価値により合成に適当な画像データが撮影されているか否かを判定できる。
【0038】
なお、評価値は、評価値が一定以上か否かに関わらず、画像データに対応づけてHDD28に記憶される。例えば、各評価項目の数値のうち1つでも閾値を満たさなければ合成画像データに用いることが不適当であるとしてHDD28に記憶せず破棄してもよい。また、評価値が閾値を満たさなければ、HDD28に記憶せず破棄してもよい。
【0039】
<画素の対応づけ>
まず、画像補整部44は、各画像データに対して台形補正やコントラスト補正を始めとする各種画像処理を施し、画像データを合成に適した画像データに補正する。特に原稿12が書籍形式の場合、綴じ込み部付近では画像データに歪みが発生するので、例えば原稿12の外縁が長方形になるように歪み補正する。また、綴じ込み部付近と小口付近では明るさが変わるので、原稿12の全体が均一の明るさとなるように輝度ムラを補正する。
【0040】
画素対応づけ部45は、各画像データの画素を画像合成フィールドの画素に対応づける。図6(a)は、画像合成フィールドと画像データの画素の対応づけを模式的に説明する図の一例である。例えば、3つの画像データA〜Cがある場合、それぞれ同じ又は近い原稿画素I(例えば、「あ」という文字の第1画の右端)が存在するが、原稿12は少しずつ動きながら撮影されるため、原稿画素Iが同じ画素位置に撮影される可能性は低い。例えば、画像データAでは(x1、y1)の画素に原稿画素Iが撮影され、画像データBでは(x2、y2)の画素に原稿画素Iが撮影され、画像データCでは(x3、y3)の画素に原稿画素Iが撮影されている。
【0041】
この同じ原稿画素Iを、同じ画像合成フィールドの合成領域に格納することで画像データAの合成が可能となるので、画素対応づけ部45は画像データA〜Cの原稿画素Iを、同じ合成領域に対応づける。
【0042】
このため、まず原稿画像A〜Cの各画素を互いに対応づける。同じ原稿12が撮影されている画像データは上下左右にずらすことで画素値が一致するはずである。したがって、例えば、最も評価値のよい画像データ(ここでは画像データAとする)に対し、画像データB、Cの画素をずらしながら、画素値の一致の程度を判定する。画素対応づけ部45は、画素値の差分の二乗を求め、その和(合計)を算出する。これを、画素を1つずつずらしながら繰り返し、合計が最も小さい時に画像データB、Cの各画素が画像データAの各画素に対応づけられたと判定する。
【0043】
また、エッジ部のみを比較して一致する位置を検出してもよい。画素対応づけ部45は、垂直方向、水平方向にエッジを検出し、所定値以上のエッジについてのみ同様の算出を実行することで、処理負荷を低減することができる。
【0044】
また、複数の画像を合成して高解像度の画像を作る際には、一般的に1画素よりも小さいレベル(サブピクセルレベル)で位置合わせを行うことが好ましい。このサブピクセル単位で位置合わせる行う方法としては、例えば次の方法がある。
1)ある領域内に含まれる図形(文字など)のエッジや輪郭を関数で近似し、画像間で比較対象領域内の近似関数同士の誤差が最小となる位置を求める
2)ある領域内に含まれる図形(文字など)の特徴点(線の端点、交点など)を求め、画像間で比較対象領域内の特徴点のずれが最小となる位置を求める
図7(a)は上記1)の方法を、図7(b)は上記2)の方法をそれぞれ模式的に示す図の一例である。図7(a)の画像Aに画像Bの位置をあわせる場合、画像AとBをそれぞれ関数で近似し、画像Bの位置をずらしながら関数同士のずれが最小となる位置を決定する。
【0045】
また、図7(b)では、元の画像データから画像Aと画像Bの特徴点をそれぞれ抽出し、互いの特徴点のずれが最小となる位置を決定する。
【0046】
このような方法を用いて厳密に画像間の位置合わせを行い、ずれに合った画素範囲上の位置に新たな画素を配置していく。例えば、解像度を元画像の3倍に高解像度化する際には、元解像度での1/3画素のずれが高解像度時の1画素分のずれに相当することになる。したがって、位置あわせの際に1/3画素のずれがあると判断された際には、高解像度の画像の画素範囲上で1画素隣に画素が配置される。現実には、高解像度の画像の画素範囲内の1画素にぴったり当てはまる画素が見つかることは極めて稀であるため、ぴったり当てはまらなかった画素の情報を保持しておき、最終的に埋まらなかった画素の画素値を補完する際に利用する。
【0047】
次に、画素格納部46は、画像データAの各画素を画像合成フィールドの合成領域に格納する。例えば、合成画像データを画像データの縦横を3倍した大きさとする場合、原稿画素Iが撮影された(x1,y1)の座標をx方向とy方向にそれぞれ3倍した(3×x1,3×y1)に、画像データAの(x1,y1)の画素値を格納する。
【0048】
この(3×x1,3×y1)の画素の周囲の複数の画素が合成領域となる。図では、(3×x1,3×y1)を左上に、右に2画素、下に2画素の矩形領域を合成領域とした。(3×x1,3×y1)を9×9の合成領域の中央の画素に対応づけてもよいし、右上、右下、左下の画素に対応づけてもよい。
【0049】
そして、画素格納部46は、画像データAの画素(x1,y1)に対応する、画像データBの画素(x2,y2)の画素値、画像データCの画素(x3,y3)の画素値、を合成領域に格納する。
【0050】
合成領域のどこに各画像データの画素を格納するかの位置の決定についてはいくつかの方法がある。
・最も評価値のよい画像データと他の画像データの位置あわせを行った結果に基づき、合成領域の画素値が格納されていない画素を埋めていく
・評価値の近い画像データを近くに格納する
・原稿12の移動方向を考慮する
・所定の順番又は不作為に格納する
最も評価値のよい画像データAと他の画像データBの位置あわせを行った結果を利用する場合、例えば右側に1画素移動した位置関係で対応すれば、合成領域において、画像データAの画素の右側に画像データBの画素値を格納する。所望の画素値が既に格納されている場合は、位置あわせの結果に基づき、次に好適に画素に画素値を格納する。
【0051】
また、「評価値の近い画像データ」は画像データの外観が近似しているとしてよいので、近くに配置することで合成画像データの違和感を低減できると考えられる。したがって、画像データAが最も評価値が高いとすると、画素格納部46は、評価値を参照して、次に評価値の高い画像データ(例えば、画像データB)の画素値を合成領域の画像データAの右の画素に格納し、次に評価値の高い画像データ(例えば、画像データC)の画素値を合成領域の画像データAの下の画素に格納する。
【0052】
また、原稿12の移動方向を考慮してもよい。原稿12は少しずつ動きながらサイクル時間毎に撮影されているので、画像データAに対し画像データB、Cが移動した方向に、合成領域に各画素値を格納する相対的な位置を決定する。例えば、画像データBが画像データAに対し左上方向に移動した場合、画像データAの画素(x1,y1)の画素値を右下に配置し、その左上に画像データBの画素(x2,y2)の画素値を格納し、さらにその左上に画像データCの画素(x3,y3)の画素値を格納する。したがって、この場合、合成領域は矩形でなく左斜め上方向に連続した直線状の領域となる。移動方向を考慮して合成することで、原稿12の空間的に近い画素を連続して配置できる。この場合、画像データと合成画像データで縦横比が異なる場合があるので、縦横比が一致するよう適宜補正して次述の画素の補間により画素値のない画素を埋める。
【0053】
<画素の補間>
続いて画素の補間について説明する。図8(a)〜(d)は、画素の補間を模式的に説明する図の一例である。図8(a)〜(d)の左の合成領域は画素値を数値で示し、右の領域は画素値をグレースケールの濃淡で示す。図8(a)は画素値が格納されていない空の合成領域を示し、図8(b)は基準となる画像データAの画素値が格納された合成領域を示し、図8(c)は画像データB、Cなど画像データA以外の画像データの画素値が格納された合成領域をそれぞれ示す。
【0054】
この結果、図8(c)では4画素に画素値が格納されていない。このような状態は、評価値を満たす画像データが十分な数だけ撮影されない場合に生じる。合成領域に空の画素が存在する場合、画素補間部47は合成領域に格納された他の画素値を用いて、空の画素を補間する。例えば、画素値の補間は線形補間してもよいし、2次式、3次式を用いて補完してもよい。
【0055】
図8(c)では(2、1)の画素が空なので、画素(1,1)と(3,1)の画素値を用いて線形補間すると、(2、1)の画素値は「96」となる。同様に、(2、3)の画素が空なので、画素(1,3)と(3,3)の画素値を用いて線形補間すると、(2、3)の画素値は「32」となる。同様に、(3、2)の画素が空なので、画素(3,1)と(3,3)の画素値を用いて線形補間すると、(3、2)の画素値は「32」となる。同様に、(2、2)の画素が空なので、画素(1,1)と(3,3)の画素値を用いて線形補間すると、(2、2)の画素値は「64」となる。
【0056】
補間により、合成領域の各画素の画素値を補完して全ての画素に画素値を格納することができる。図8(c)では内挿の例を示したが、外挿することもできるし、線形(1次式)や2次式、3次式等で補間するのでなく、例えば画像データA〜Cから格納された画素の平均値を空の画素の画素値に格納してもよいし、画像データA〜Cの評価値でそれぞれの画素の画素値を重み付けして、空の画素の画素値に格納してもよい。
【0057】
また、図8(c)では合成領域の中で補完したが、隣接した合成領域(不図示)は、原稿12においても隣接した画素に対応するので、隣接した合成領域の画素の画素値も近い値を格納しているとしてよい。このため、画素補間部47は、画素値が空の画素を注目画素にしてその周囲(隣接した8画素)の画素値を用いて、注目画素の画素値を補間してもよい。この場合も、注目画素の周囲の画素の平均値を用いてもよいし、ガウシアンフィルタのような平滑化フィルタを用いてもよい。
【0058】
<差分の検出>
差分検出部42は、各画像データ毎に画像データ間の画素値の差分を検出する。すなわち、同じ画素位置にて撮影された異なる画像データの画素値を減算した差分(絶対値又は差分の二乗でもよい)を画素毎に算出し、全画素の合計を算出する。例えば、原稿台15に何も原稿12が載置されていない場合、各画像データには連続的に原稿台15が撮影されるので、画像データ間の差分は極めて小さい。これに対し、原稿台15に原稿12が載置されたり、ページがめくられると、差分が大きく変化する。したがって、差分を検出することで、原稿12の載置やページがめくられたことを検出できる。
【0059】
そして、削除部43は、画像データの差分が所定値以内の画像データ、及び、差分が極めて大きい画像データをHDD28から削除する。前者により同じような画像データがHDD28を圧迫することを防止でき、後者によりユーザが次のページをめくった場合(めくった最中)のように、画像データの変化が大きく合成に用いることが困難な画像データを排除することができる。
【0060】
〔画像読み取り装置100の動作手順〕
画像読み取り装置100の動作手順について図9のフローチャート図に基づき説明する。まず、ユーザは、原稿台15の所定の位置に被写体となる原稿12を載置する。差分検出部42は、カメラ11に映る画像データの変化から、ユーザが原稿12を原稿台15に載置しようとしていること又は載置したか否かを判定する(S301)。ユーザが原稿12を原稿台15に載置しようとしていない又は載置してない場合(S301のNo)、このステップS301の判定を繰り返す。この場合、カメラ11が撮影した画像データはHDD28に記憶されることなく破棄される。
【0061】
なお、カメラ11の撮影範囲は原稿12よりも十分に広く取ることが望ましい。これにより、原稿12が少しずつ動いていても、原稿12の全面をより多くの画像データで捉えることができ、合成画像データを合成する際に有利になる。
【0062】
ユーザが原稿12を原稿台15に載置しようとしているか又は載置した場合(S301のYes)、カメラ11は最終的な生成物である合成画像データの生成に必要な画像データの取得を開始する。上記のようにカメラ11は所定のサイクル時間毎に画像データを取得する(S302)。
【0063】
カメラ11によって一定の時間間隔をおいて撮影された画像データは、撮影されるたびに制御部60のHDD28に記憶される(S303)。
【0064】
ついで、評価部41は、撮影された画像データを評価する(S304)。上記のように、評価は、画像データにおける原稿12の面積が十分であるか、画像データが十分に鮮明であるか等の評価項目ごとに行われる。評価部41は、評価値を画像データに対応づけてHDD28に記憶する(S305)。
ついで、評価部41は評価値が一定以上か否かを判定する(S306)。評価値が一定以上でない場合(S306のNo)、評価部41はその画像データを削除する(S307)。これにより、評価値の低い画像データを用いて合成画像データを生成することを防止できる。
【0065】
なお、HDD28に記憶される画像データの数が一定数を超えた場合は、評価値の低い画像データから順に削除されることが望ましい。これにより、HDD28の容量を節約することができる。
【0066】
このように、ユーザが原稿12を原稿台15の上で移動させている間や、ページめくりをしている間にも、継続的に画像データが評価値と共に取得されている。すなわち、評価値は画像データと共に記憶されているので、合成に適した画像データを利用できる。なお、ページめくりが行われることで、原稿12に大きな変化が発生した際には、差分検出部42がそれを検出するので、画像データが切り替わったことを検出できる。
【0067】
ユーザは、原稿12の読み取りを希望するページを開いた後に読み取りスイッチ16を押下するので、画像読み取り装置100はこの読み取りスイッチ16の押下により画像の読み取り指示を検出する(S308)。ページめくりを検出して、画像の読み取り指示としてもよい。
【0068】
画像読取指示を検出した画像読み取り装置100は(S308のYes)、HDD28に記憶された画像データから、所定の数の画像データを読み出し、画像補整部44へ送出する。画像補整部44は、各画像データに対し台形補正やコントラスト補正を始めとする各種画像処理を実行して、合成に適した画像に変換する(S309)。
【0069】
ついで、画素対応づけ部45は、例えば最も評価値の高い基準となる画像データを決定し、それ以外の画像データと基準の画像データとの相対的な位置関係を解析して位置合わせを行う。また、画素格納部46は、空の画像合成フィールド(メモリ)を用意して、画像合成フィールドの各画素に、各画像データの画素値を格納していく(S310)。所定の数の画像データを合成し終えると、画像読み取り装置100は合成画像データをネットワーク18を介して受信用コンピュータ19に送信する(S311)。
【0070】
なお、本実施例では合成画像データをネットワーク18経由で受信用コンピュータ19に送信したが、合成画像データをプリンタ、複写機、MFP(Multifunction Peripheral)等の画像形成装置に送り、用紙などの記録材に印刷してもよく、この場合コピー機のスキャナとして利用することが可能となる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態の画像読み取り装置100は、原稿面を上に向けた状態で撮影を行うため、ユーザが原稿12のページをめくる度に原稿12を持ち上げる必要はない。また、ユーザが読み取りスイッチ16を押下する前から原稿12を撮影しているので、少しずつ位置の変わる画像データを撮影しやすい。また、ユーザは画像データの読み取りに待たされることなく、高解像度の画像を得ることができる。また、画像読み取り装置100は、カメラ11、光源13、及び、制御部60から構成され、原稿台15やカメラ11の稼働部を設ける必要がないのでコスト増を抑制できる。
【実施例2】
【0072】
実施例1では、評価値のみを元に画像データを評価したが、例えば光沢紙のように、評価値が安定しにくいが画像データは合成可能な程度に撮影されている場合がある。そこで、本実施例では、画像データに基づく評価値に加え、新たに評価パターン40を撮影範囲に追加して評価パターン40の撮影品質に基づき、画像データが品質を満たして撮影されているか否かを判定する画像読み取り装置100について説明する。なお、本実施例における機能構成図は図4の機能構成図と等しく、制御部60のハードウェア構成図は図3と同様なので省略する。
【0073】
図10は、評価パターン40と共に撮影された画像データの一例を模式的に説明する図の一例である。評価パターン40は、原稿台15の所定位置に固定されていることが好ましい。これにより、評価パターン40の検出が容易になる。評価パターン40は、マス毎に区切られ各マスに所定の濃淡又は色、が配置されている。エッジ検出が容易なように、マスを区切る輪郭線は、画素値がゼロの黒又は画素値が255の白である。したがって、例えば、マスの輪郭線に基づき評価パターン40を検出し、評価パターン40が検出されたら、各マスの画素値が、予め登録されたマスター画像の画素値と一致するか(誤差の範囲か否か)を判定する。一致すれば、画像データは適切に撮影されていると判定してよいことになる。
【0074】
したがって、本実施例では、画像データから検出した評価値又は評価パターン40の撮影品質の双方から、合成可能な画像データが取得されたか否かを検出することができる。すなわち、原稿12をページめくりしながら撮影する画像読み取り装置100において、動的に変化する原稿12の画像データが合成可能な程度に取得されたか否かを、静的な評価パターン40を用いて判定可能となる。
【0075】
図11は、本実施例の画像読み取り装置100の動作手順を示すフローチャート図の一例を示す。全体的な手順は実施例1と同様であるので、異なる部分のみを図11に示す。図11に示すように、図9のステップS304〜S307のうち、ステップS304とS306のみについて説明する。
・S304
評価部41は、HDD28に記憶された画像データを評価して評価値を算出する。算出方法は実施例1にて説明した。また、評価部41は画像データから評価パターン40を切り出す。評価パターン40の撮影位置は画像データ間でほぼ同じ位置としてよいので、予め設定された範囲(例えば、画像データの右上の所定範囲)から評価パターン40を検出する。評価部41は、評価パターン40の標準テンプレートを読み出し、設定された範囲で画素をずらしながら画素値の差を評価し、最も画素値が一致する位置に評価パターン40が撮影されていると検出する。その時の画素領域に評価パターン40が撮影されているとして、評価パターン40を切り出す。
【0076】
ついで、評価部41は、撮影された評価パターン40から垂直・水平なエッジを検出して、所定数以上のエッジが検出されるか否かを判定する。所定数以上のエッジが検出されれば適切な焦点で画像データが撮影されているとしてよい。
【0077】
また、評価部41は、評価パターン40から例えば10画素値ごとのヒストグラムを作成し、予め定めた標準分布に画素値が分布しているか否かを判定する。例えば、各ヒストグラムが標準分布に対しプラスマイナスの閾値内であれば、適切なコントラストで撮影されていると判定できる。また、標準分布に対し、各ヒストグラムが全体的に高画素又は低画素に移動している場合、画像データ全体の明るさ(例えば、シャッタースピード、光源13の影響)を調整すれば標準分布が得られるので、適切なコントラストで撮影されていると判定してよい。
【0078】
なお、エッジ数やヒストグラムの標準分布との一致の程度に応じて、評価パターン40の撮影品質を数値化することが好ましい。数値化することで評価値と、標準パターン40の撮影品質を同等に扱うことが可能となる。
【0079】
・S306
ついで、評価部41は、「評価値が一定以上か」又は「評価パターンの撮影品質が基準を満たすか」の少なくとも一方を満たすか否かを判定する(S306)。いずれかを満たす場合(S306のYes)の手順は実施例1と同様である。
【0080】
本実施例の画像読み取り装置100によれば、画像データに共通の評価パターン40を用いることにより、合成に用いる画像データが取得されたか否かの判定に、原稿種別が影響する程度を低減することができる。これにより、より正確な画質評価が可能となり、評価値が若干ばらついていても、高画質な合成画像データを生成可能となる。
【実施例3】
【0081】
実施例1又は2では、HDD28に記憶される画像データの数が一定数を超えた場合は、評価値の低い画像データから順に削除すると説明したが、本実施例ではこれを具体的に実現する画像読み取り装置100について説明する。
【0082】
画像読み取り装置100は原稿12が少しずつ動いている状態で連続的に撮影しているが、最終的には静止する場合が多い。静止した状態では、画像データの差分がほぼ一定となる。そこで、本実施例では、画像データの差分が一定の範囲に入ったら、評価値の低い画像データを削除する。
【0083】
なお、本実施例における機能構成図は図4の機能構成図と等しく、制御部60のハードウェア構成図は図3と同様なので省略する。
【0084】
図12は、本実施形態の画像読み取り装置100が画像を読み取る手順を示すフローチャート図の一例を示す。なお、図12において図9と同一ステップには同一の符号を付しその説明は省略する。
【0085】
これまで説明したように、カメラ11により撮影された画像データのうち評価値又は撮影品質が基準を満たすものは、評価値と対応づけられてHDD28に記憶される(S301〜S307)。
【0086】
評価部41は、繰り返し撮影される画像データに対し、その画像データ以前に撮影された画像データの中で評価値の高い画像データをHDD28から読み出す(S401)。そして、差分検出部42は、その時に撮影された画像データと、読み出した画像データの差分を算出する(S402)。
【0087】
削除部43は差分が一定の範囲内か否かを判定し(S403)、差分が一定の範囲内の場合(ゼロ、極めて小さいを含む)、原稿12はほぼ完全に静止した状態で撮影され合成しても分解能の向上が望めないと考えられる。そこで、削除部43は、比較対象となった2つの画像データのうち、評価値の高いほうを残し評価値の低い方をHDD28から削除する(S404)。
【0088】
評価部41と削除部43は、ステップS402〜S403を記憶されている画像データに対し繰り返す(S405)。これにより、差分の小さい画像データは評価値の高いのもののみを残すことができる。
【0089】
なお、差分が極めて大きい場合、原稿12に大きな変化があったものと判断でき、撮影された画像データは合成できないと判断してHDD28から削除する。これにより、ユーザが誤って原稿12を動かしたり次ページをめくったりしても、合成画像データの品質が低下することを防止できる。
【0090】
以降は、実施例1又は2と同様であり、画像の読み取り指示を検出すると合成画像データが合成される。
【0091】
本実施例の画像読み取り装置100によれば、画像データの差分が一定範囲のものは削除するので、全く同じ画像データばかりが記憶手段に格納されることを防止することができる。また、合成に適さない画像データについては適宜削除していくことによって、画像合成に適切な画像データのみを合成に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】画像読み取り装置による画像の読み取りを模式的に説明する図の一例である。
【図2】画像読み取りシステムの構成図の一例である。
【図3】制御部のハードウェア構成図の一例である。
【図4】制御部の機能構成図の一例である。
【図5】原稿と撮影範囲の関係を模式的に説明する図の一例である。
【図6】画像合成フィールドと画像データの画素の対応づけを模式的に説明する図の一例である。
【図7】サブピクセル単位で位置合わせを行う方法を模式的に説明する図の一例である。
【図8】画素の補間を模式的に説明する図の一例である。
【図9】画像読み取り装置の動作手順を示すフローチャート図の一例である。
【図10】評価パターンと共に撮影された画像データの一例を模式的に説明する図の一例である。
【図11】画像読み取り装置の動作手順を示すフローチャート図の一例である(実施例2)。
【図12】画像読み取り装置の動作手順を示すフローチャート図の一例である(実施例3)。
【符号の説明】
【0093】
11 カメラ
12 原稿
13 光源
14 柱部
15 原稿台
16 読み取りスイッチ
18 ネットワーク
19 受信用コンピュータ
21 CPU
28 HDD
30 画像処理プログラム
40 評価パターン
41 評価部
42 差分検出部
43 削除部
44 画像補整部
45 画素対応づけ部
46 画素格納部
47 画素補間部
50 書画カメラ装置
60 制御部
100 画像読み取り装置
200 画像読み取りシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に読み取り面が略上向きに載置された原稿を読み取る画像読み取り装置であって、
原稿を所定のサイクル時間毎に撮影する撮影手段と、
前記撮影手段がサイクル時間毎に撮影した画像データの品質を評価する評価手段と、
前記評価手段が評価した評価値に対応づけて各画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
ユーザによる画像取得指示を入力する指示入力手段と、
評価値が所定値以上の画像データを読み出し、第1の画像データの画素が対応する、同じ原稿を撮影した第2の画像データの画素を検出する画素対応づけ手段と、
前記画像取得指示が入力されたことをトリガーに、
画像データの画素数よりも大きい画素数が確保された合成画像データであって、画像データと合成画像データの画素数により定まる合成画像データの画素範囲に、前記画素対応づけ手段が互いに対応付けた各画像データの複数の画素の画素値をそれぞれ格納する画素値格納手段と、
を有することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記画素範囲の全てに画像データの画素値が格納されない場合、前記合成画像データの画素のうち画素値が格納されない画素の画素値を、周囲の画素の画素値で補間する補間手段、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記評価手段は、前記撮影手段の画素数に対する原稿が撮影された画素数の比、又は、前記撮影手段の撮影範囲における原稿が撮影された位置の、少なくとも一方に基づき、画像データの品質を評価する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記評価手段は、画像データの先鋭度、コントラスト又は平均輝度値の少なくとも一つに基づき、画像データの品質を評価する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
濃淡を備えた評価パターンが前記撮影手段の撮影範囲内に配置されており、
前記評価手段は、撮影された評価パターンの画素値分布と、予め記憶している該評価パターンの標準的な画素値分布との差が所定内であるか否かにより、画像データの品質を評価する、
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
評価値が所定値以下の画像データを画像データ記憶手段から削除する削除手段、
を有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
撮影手段が撮影した画像データと画像データ記憶手段に記憶された画像データの、画素値の差分を検出する差分検出手段を有し、
前記削除手段は、差分が所定値内の場合、評価値が低い方の画像データを削除する、
ことを特徴とする請求項6記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
前記画素値格納手段は、
前記画素範囲において最も評価値のよい画像データの画素値を格納した画素に対し、
前記画素対応づけ手段による、最も評価値のよい画像データと他の画像データの画素を対応づけた際の画素の対応関係が得られるように、他の画像データの画素値を格納する画素を決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項9】
前記合成画像データの横の長さ又は縦の長さが、前記画像データのn倍の場合、
前記画素値格納手段は、前記画素対応づけ手段が互いに対応付けた複数の画素のいずれかの画素の画素位置を、縦横にそれぞれn倍した前記合成画像データ内の画素位置に、前記画素範囲を設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項10】
原稿台に読み取り面が略上向きに載置された原稿を読み取る画像読み取り方法であって、
撮影手段が、原稿を所定のサイクル時間毎に撮影するステップと、
評価手段が、前記撮影手段が所定のサイクル時間毎に撮影した画像データの品質を評価するステップ、
画像データ記憶手段に、前記評価手段により評価された評価値に対応づけて各画像データを記憶するステップと、
指示入力手段が、ユーザによる画像取得指示を入力するステップと、
評価値が所定値以上の画像データを読み出し、画素対応づけ手段が、第1の画像データの画素が対応する、同じ原稿を撮影した第2の画像データの画素を検出するステップと、
画素値格納手段が、前記画像取得指示が入力されたことをトリガーに、
画像データの画素数よりも大きい画素数が確保された合成画像データであって、画像データと合成画像データの画素数により定まる合成画像データの画素範囲に、前記画素対応づけ手段が互いに対応付けた各画像データの複数の画素の画素値をそれぞれ格納するステップと、
を有することを特徴とする画像読み取り方法。
【請求項11】
原稿を載置する原稿台と、読み取り面が略上向きに原稿台に載置された原稿を撮影する撮影手段と、ユーザによる画像取得指示を入力する指示入力手段と、を備えた書画カメラと接続されたコンピュータを、
前記撮影手段が所定のサイクル時間毎に撮影した画像データの品質を評価する評価手段と、
前記評価手段が評価した評価値に対応づけて各画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
評価値が所定値以上の画像データを読み出し、第1の画像データの画素が対応する、同じ原稿を撮影した第2の画像データの画素を検出する画素対応づけ手段と、
前記画像取得指示が入力されたことをトリガーに、
画像データの画素数よりも大きい画素数が確保された合成画像データであって、画像データと合成画像データの画素数により定まる合成画像データの画素範囲に、前記画素対応づけ手段が互いに対応付けた各画像データの複数の画素の画素値をそれぞれ格納する画素値格納手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項11記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−56771(P2010−56771A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218481(P2008−218481)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】