説明

画像読み取り装置

【課題】読み取り生産性の低下を抑制しながら、原稿上の文書画像およびコード画像を読み取る。
【解決手段】スキャナは、原稿送り装置10および読み取り装置30を備える。読み取り装置30は、原稿上の可視画像(文書画像)を読み取るためのフルレートキャリッジ33、ハーフレートキャリッジ34、結像用レンズ37、およびCCDイメージセンサ38等を備えており、フルレートキャリッジ33には、原稿上の赤外画像(コード画像)を読み取るためのCIS40が搭載される。例えば原稿の固定読み取りを行う際、フルレートキャリッジ33およびハーフレートキャリッジ34が移動することにより、CCDイメージセンサ38にて原稿の所定面の可視画像が読み取られ、CIS40にて同一原稿且つ同一面の赤外画像が読み取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ等の読み取り装置、コンピュータ入力用のスキャナ等として、原稿の画像情報を自動的に読み取る画像読み取り装置が用いられている。この種の画像読み取り装置では、光源を用いて原稿に光を照射し、原稿から反射する反射光をイメージセンサにて受光することで、原稿の画像を読み取っている。
【0003】
また、最近では、セキュリティー意識の高まりや電子化の流れを受けて、紙幣や有価証券等の特殊原稿を一般の原稿と区別化するために、特殊原稿上に例えば赤外線を吸収あるいは反射する画形材(インク、トナー等)を用いて、目視ではわかりにくい不可視像を形成しておく技術が採用され始めている。また、上記特殊原稿以外でも、例えば機密情報等を可視像にて形成する原稿に、さらに上記画形材を用いてID等のコード情報を埋め込んだ不可視像を形成しておく技術も検討されている。
【0004】
このため、画像読み取り装置においても、可視画像(文書画像)の読み取りに加えてコード情報等を含む赤外画像(コード画像)の読み取りが要請されている。このような要請に対し、例えば反射光の光路中に赤外、赤、緑、および青のカラーフィルタを選択的に挿入できるように構成し、赤外画像の読み取り、赤画像の読み取り、緑画像の読み取り、そして青画像の読み取りを順次実行する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−284283号公報(第3−4頁、図5、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の画像読み取り装置では、原稿上の画像を読み取るために複数回(例えばカラー画像の場合には赤外、赤、緑、および青の4回)のスキャン動作を実行させる必要があり、その結果、読み取り生産性の低下を招いていた。
【0007】
また、原稿の読み取り方式には、上記特許文献1のように固定配置される原稿の画像をキャリッジを移動させながら読み取る固定読み取り方式の他、キャリッジ等の読み取り光学系を固定するとともに原稿を搬送(移動)させて読み取る搬送読み取り方式も存在する。このような搬送読み取り方式を採用した画像読み取り装置では、原稿上の画像を読み取るために同じ原稿を複数回(例えばカラー画像の場合には赤外、赤、緑、および青の4回)読み取り位置に搬送することが必要になる。すると、この画像読み取り装置では、読み取り生産性の低下を招く他、原稿に与えるダメージが大きくなったり、あるいは原稿のジャム等が発生する危険性が高くなったりするという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、読み取り生産性の低下を抑制しながら、例えば文書画像及びコード画像など原稿上の複数種の画像を読み取ることのできる画像読み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもと、本発明が適用される画像読み取り装置は、原稿に形成された文書画像を読み取る第1読み取り部と、第1読み取り部による文書画像の読み取りに際して、文書画像と同一面に形成されたコード画像を読み取る第2読み取り部とを含んでいる。
【0010】
ここで、第2読み取り部によるコード画像の読み取り結果に基づいて、原稿に付与された固有の識別情報を取得する取得部をさらに含むことができる。また、第1読み取り部は文書画像として可視画像を読み取り、第2読み取り部はコード画像として不可視画像を読み取ることができる。さらに、第1読み取り部は縮小光学系を用いて文書画像を読み取り、第2読み取り部は密着光学系を用いてコード画像を読み取ることができる。さらにまた、第1読み取り部は、可視光を照射する可視光源と可視光源にて照射された原稿からの反射光を受光する可視センサとを有し、第2読み取り部は、赤外光を照射する赤外光源と赤外光源にて照射された原稿からの反射光を受光する赤外センサとを有することを特徴とすることができる。
【0011】
また、他の観点から捉えると、本発明は、原稿に形成された第1画像を、密着光学系を用いて読み取る密着読み取り部と、密着読み取り部による第1画像の読み取りに際して、第1画像と同一面に形成された第2画像を、縮小光学系を用いて読み取る縮小読み取り部とを含む画像読み取り装置として把握することもできる。
【0012】
このような画像読み取り装置において、密着読み取り部は第1画像としてコード画像を読み取り、縮小読み取り部は第2画像として文書画像を読み取ることができる。また、密着読み取り部は第1画像として不可視画像を読み取り、縮小読み取り部は第2画像として可視画像を読み取ることができる。さらに、密着読み取り部にて読み取られた第1画像のデータを2値化して処理を施す第1処理部と、縮小読み取り部にて読み取られた第2画像のデータを2値化せずに処理を施す第2処理部とをさらに含むことを特徴とすることができる。
【0013】
さらに、他の観点から捉えると、本発明は、原稿を載置する載置部と、載置部に載置される原稿の特定領域の画像を読み取る二次元エリアセンサと、載置部に載置される原稿を走査する走査部と、走査部にて走査される原稿のスキャン全領域の画像を読み取る一次元ラインセンサとを含む画像読み取り装置として把握することもできる。
【0014】
このような画像読み取り装置において、二次元エリアセンサはコード画像を読み取り、一次元ラインセンサは文書画像を読み取ることができる。また、二次元エリアセンサは不可視画像を読み取り、一次元ラインセンサは可視画像を読み取ることができる。さらに、二次元エリアセンサにて原稿の読み取りを行った後、一次元ラインセンサにて原稿の読み取りを行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数種類の読み取り部あるいはセンサを適宜組み合わせるようにしたので、読み取り生産性の低下を抑制しながら、原稿上の複数種の画像を読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は本実施の形態が適用されるスキャナ(画像読み取り装置)の構成例を示す図である。
このスキャナは、積載された原稿束から原稿を順次搬送するとともに原稿を固定するためのカバーの機能を備えた原稿送り装置10と、スキャンによって画像を読み込む読み取り装置30とを備えている。
【0017】
原稿送り装置10は、複数枚の原稿からなる原稿束を積載する原稿トレイ11、この原稿トレイ11の下方に設けられ、読み取りが終了した原稿を積載する排紙トレイ12を備える。また、原稿送り装置10は原稿トレイ11上の原稿を取り出して搬送するナジャーロール13を備える。さらに、ナジャーロール13の原稿搬送方向下流側には、フィードロールおよびリタードロールによって用紙を一枚ずつに捌く捌き機構14が設けられる。原稿が搬送される第1搬送路21には、原稿搬送方向上流側から順に、プレレジロール15、レジロール16、第1プラテンロール17a、第2プラテンロール17b、およびアウトロール18が設けられる。プレレジロール15は、一枚ずつに捌かれた原稿を下流側のロールに向けて搬送すると共に原稿のループ形成を行う。レジロール16は、一旦停止した後にタイミングを合わせて回転を再開し、画像の読み取り領域に対してレジストレーション調整を施しながら原稿を供給する。第1プラテンロール17aおよび第2プラテンロール17bは、読み取り装置30にて読み込み中の原稿搬送をアシストする。アウトロール18は、読み取り装置30にて読み込まれた原稿をさらに下流に搬送する。
また、アウトロール18よりも原稿搬送方向下流側には、原稿を排紙トレイ12に導くための第2搬送路22が設けられる。この第2搬送路22には、排出ロール19が配設される。
【0018】
さらに、このスキャナでは、原稿の両面に形成された画像を1プロセスで読み取ることができるよう、アウトロール18の出口側とプレレジロール15の入口側との間に第3搬送路23が設けられている。なお、上述した排出ロール19は、原稿を第3搬送路23に反転搬送する機能も有している。
さらにまた、このスキャナには、原稿の両面読み取りを行った際に、その排出時に原稿をさらに再度反転させて排紙トレイ12に排出するための第4搬送路24が設けられている。この第4搬送路24は、第2搬送路22の上部側に設けられている。そして、上述した排出ロール19は、原稿を第4搬送路24に反転搬送する機能も有している。
【0019】
一方、第1読み取り部あるいは縮小読み取り部として機能する読み取り装置30は、上述した原稿送り装置10を開閉可能に支持すると共に、この原稿送り装置10を装置フレーム31によって支え、また、原稿送り装置10によって搬送される原稿の画像読み取りを行う。この読み取り装置30は、筐体を形成する装置フレーム31、画像を読み込むべき原稿を静止させた状態で載置する第1プラテンガラス32A、原稿送り装置10によって搬送される原稿を読み取るための光の開口部を有する第2プラテンガラス32Bを備えている。
【0020】
また、読み取り装置30は、第2プラテンガラス32Bの下に静止し、あるいは第1プラテンガラス32Aの全体にわたってスキャンして画像を読み込むフルレートキャリッジ33、フルレートキャリッジ33から得られた光を結像部へ供給するハーフレートキャリッジ34を備えている。フルレートキャリッジ33には、原稿に光を照射する照明ランプ35、および原稿から得られた反射光(可視光)を受光する第1ミラー36Aが設けられている。また、フルレートキャリッジ33には、CIS(Contact Image Sensor)40が装着されている。なお、CIS40の詳細については後述する。さらに、ハーフレートキャリッジ34には、第1ミラー36Aから得られた光を結像部へ提供する第2ミラー36Bおよび第3ミラー36Cが設けられている。ここで、可視光源として機能する照明ランプ35としては、少なくとも可視領域(400nm〜800nm)の発光波長を有する所謂白色光源(例えばハロゲンランプ)が使用される。さらにまた、読み取り装置30は、結像用レンズ37およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ38を備えている。これらのうち、結像用レンズ37は、第3ミラー36Cから得られた光学像を光学的に縮小する。また、可視センサとして機能するCCDイメージセンサ38は、結像用レンズ37によって結像された光学像を光電変換する。つまり、読み取り装置30では、所謂縮小光学系を用いてCCDイメージセンサ38に像を結像させている。
【0021】
そして、読み取り装置30は、制御・画像処理ユニット50をさらに備える。制御・画像処理ユニット50は、CCDイメージセンサ38やCIS40から入力される画像データに所定の処理を施す。また、制御・画像処理ユニット50は、原稿送り装置10および読み取り装置30の各部の動作を制御する。
【0022】
図2は、読み取り装置30に設けられるCCDイメージセンサ38の概略構成を示す図である。このCCDイメージセンサ38は、基板38aと、原稿の搬送方向と直交する方向に並列に伸びる三本のラインセンサ38B、38G、38Rを備える。各ラインセンサ38B、38G、38Rは、例えば10μm×10μmのフォトダイオードPDをn個直線上に並べた構成となっており、各ラインセンサ38B、38G、38Rの間隔は4ラインとなっている。
そして、各ラインセンサ38B、38G、38Rには、それぞれに異なる波長成分を透過するためのカラーフィルタが装着されており、それぞれ、青(Blue)用ラインセンサ、緑(Green)用ラインセンサ、赤(Red)用ラインセンサとして機能している。また、緑用ラインセンサ38Gは、モノクロ読み取り時には白黒(Black-White)用のラインセンサとしても機能する。
【0023】
本実施の形態では、フルレートキャリッジ33(照明ランプ35および第1ミラー36A)、ハーフレートキャリッジ34(第2ミラー36Bおよび第3ミラー36C)、結像用レンズ37、およびCCDイメージセンサ38によって、原稿に形成された可視画像(文書画像、第1画像)を読み取ることができる。このようにしてCCDイメージセンサ38が読み取った可視画像のデータ(可視画像データ)は、制御・画像処理ユニット50に出力される。
【0024】
図3は、フルレートキャリッジ33に設けられる第2読み取り部あるいは縮小読み取り部としてのCIS40の概略構成を示す図である。このCIS40は、ハウジング41、ガラス42、赤外LED(Light Emitting Diode)アレイ43、ロッドレンズアレイ44、およびラインセンサ45を備えている。これらのうち、ガラス42は、ハウジング41の第1搬送路21側に形成された開口に装着される。ここで、ハウジング41の照明ランプ35(図1参照)側の側部には、照明ランプ35の照射光を原稿面に向けて反射するリフレクタ41Aが形成されており、フルレートキャリッジ33の小型化に寄与している。また、赤外光源として機能する赤外LEDアレイ43は、ガラス42を介して第1搬送路21を搬送される原稿に赤外光(本実施の形態では850nm近傍の光)を照射する。ロッドレンズアレイ44は、赤外LEDアレイ43からの照射光の反射光を集光する。赤外センサとして機能するラインセンサ45は、ロッドレンズアレイ44により集光された光を光電変換する。ここで、ラインセンサ45としては、CCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の一次元ラインセンサを用いることができ、実寸幅(例えばA4長手幅297mm)の画像を読み取ることが可能である。つまり、CIS40では、縮小光学系ではなくロッドレンズアレイ44およびラインセンサ45を用いた密着光学系にて画像の取り込みを行う。これにより、構造をシンプルにすることができ、且つ、筐体を小型化し、消費電力を低減することができる。
【0025】
本実施の形態では、フルレートキャリッジ33に搭載されるCIS40(赤外LEDアレイ43、ロッドレンズアレイ44、およびラインセンサ45)によって、原稿に形成された赤外画像(コード画像、不可視画像、第2画像)を読み取ることができる。このとき、上記CCDイメージセンサ38およびラインセンサ45は、原稿の同一面に形成された画像を読み取る。このようにしてラインセンサ45が読み取った赤外画像のデータ(赤外画像データ)は、制御・画像処理ユニット50に出力される。
【0026】
図4は、制御・画像処理ユニット50の機能ブロック図を示している。この制御・画像処理ユニット50は、CCDイメージセンサ38から入力される可視画像データおよびラインセンサ45から入力される赤外画像データに処理を施す信号処理部51と、原稿送り装置10および読み取り装置30の動作を制御する制御部52とを備えている。信号処理部51は、原稿の一方の面を読み取るCCDイメージセンサ38およびこのCCDイメージセンサ38と同一の面を読み取るラインセンサ45からの各々の出力に対して所定の画像処理を施す機能を有している。
【0027】
信号処理部51は、画像信号に対してシェーディング補正等の各種処理を施す画像処理部を2系統備えている。具体的には、CCDイメージセンサ38によって得られた可視画像データに対して画像処理を施す可視画像処理部70と、ラインセンサ45によって得られた赤外画像データに対して画像処理を施す赤外画像処理部80とを備える。これら可視画像処理部70や赤外画像処理部80からの出力は、例えばプリンタ等や、パーソナルコンピュータ(PC)等のホストシステムへ出力される。
【0028】
一方、制御部52は、読み取りコントローラ61、CCD/CISコントローラ62、照明コントローラ63、スキャンコントローラ64、および搬送機構コントローラ65を備える。これらのうち、読み取りコントローラ61は、原稿送り装置10および読み取り装置30の全体を制御する。CCD/CISコントローラ62はCCDイメージセンサ38およびCIS40(ラインセンサ45)による画像データの取り込み動作を制御する。照明コントローラ63は、読み取りタイミングに合わせて白色光源からなる照明ランプ35や赤外LEDアレイ43における赤外LEDの点灯・消灯を制御する。スキャンコントローラ64は、読み取り装置30におけるモータのオン/オフなどを行いフルレートキャリッジ33およびハーフレートキャリッジ34によるスキャン動作を制御する。搬送機構コントローラ65は、原稿送り装置10におけるモータの制御、各種ロールの動作やフィードクラッチの動作、ゲートの切り替え動作等を制御する。これらの各種コントローラからは、原稿送り装置10および読み取り装置30に対して制御信号が出力され、かかる制御信号に基づいて、これらの動作制御が可能となる。読み取りコントローラ61は、ホストシステムからの制御信号や、例えば自動選択読み取り機能に際して検出されるセンサ出力、UI(User Interface)を介したユーザからの選択等に基づいて読み取りモードを設定し、原稿送り装置10および読み取り装置30を制御している。ここで、設定され得る読み取りモードとしては、第1プラテンガラス32A上に載置された原稿の画像を読み取る固定読み取りモード、原稿送り装置10にて搬送される原稿の画像を順次読み取る搬送読み取りモード等が挙げられる。また、搬送読み取りモードにおいては、原稿の片面に形成された画像を読み取る片面モード、反転パスを用いて原稿の両面に形成された画像を順次読み取る両面モード等が実行され得る。
【0029】
図5(a)は可視画像処理部70の機能ブロックを示している。可視画像処理部70は、アナログ処理部(Analog Front End:AFE)71、A/D変換部(Analog Digital Converter:ADC)72、可視シェーディング補正部73、および画像処理部74を備える。
AFE71は、CCDイメージセンサ38による可視画像データに対してゲイン・オフセット調整等のアナログ補正を施す。
ADC72は、アナログ補正が施された可視画像データをデジタルデータに変換する。
可視シェーディング補正部73は、入力されてくる可視画像データに可視シェーディング補正を施す。可視シェーディング補正では、入力されてくる可視画像データに対し、対応する青用ラインセンサ38B、緑用ラインセンサ38G、および赤用ラインセンサ38Rそれぞれにおける各フォトダイオードPDの感度のばらつきや照明ランプ35の光量分布特性に応じた補正を施す。
画像処理部74は、入力されてくる可視画像データに対して各種画像処理を施し、文書画像データとして出力する。この画像処理部74で施される処理としては、例えばγ/グレイバランス補正、色空間変換、拡大縮小、フィルタリング処理、コントラスト調整、さらには地肌除去等が挙げられる。
【0030】
一方、図5(b)は赤外画像処理部80の機能ブロックを示している。赤外画像処理部80は、AFE81、ADC82、赤外シェーディング補正部83、2値化処理部84、および識別情報解析部85を備える。
AFE81は、ラインセンサ45による赤外画像データに対してゲイン・オフセット調整等のアナログ補正を施す。
ADC82は、アナログ補正が施された赤外画像データをデジタルデータに変換する。
赤外シェーディング補正部83は、入力されてくる赤外画像データに赤外シェーディング補正を施す。赤外シェーディング補正では、入力されてくる赤外画像データに対し、ラインセンサ45における各フォトダイオードPDの感度のばらつきや赤外LEDアレイを構成する各赤外LEDの光量分布特性に応じた補正を施す。
2値化処理部84は、シェーディング補正がなされた赤外画像データを2値化(0または1)して出力する。
取得部として機能する識別情報解析部85は、2値化された赤外画像データに含まれるコード画像から識別情報を解析し、得られた識別情報を出力する。
それゆえ、本実施の形態では、赤外画像処理部80が第1処理部として機能し、可視画像処理部70が第2処理部として機能していることになる。
【0031】
次に、このスキャナで読み取られる原稿の画像について詳細に説明する。このスキャナでは、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、および黒等の通常色にて形成された一般的な可視画像のみを有する原稿に加え、可視画像および上述した識別情報を含むコード画像にて形成された不可視画像(本実施の形態では赤外画像)を有する原稿も読み取ることができる。ここで、「可視」および「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。すなわち媒体(用紙)に印刷(形成)された画像が、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで、「可視」と「不可視」とを区別しているのである。
【0032】
図6(a)〜(c)は、不可視画像を構成する二次元コード画像を説明するための図である。図6(a)は、不可視画像によって形成され、配置される二次元コード画像の単位を模式的に示すために格子状に表現した図である。また、図6(b)は二次元コード画像の一単位を示した図である。さらに、図6(c)は、バックスラッシュ「\」とスラッシュ「/」の斜線パターンを説明するための図である。
【0033】
これら図6(a)〜(c)に示す二次元コード画像は、赤外線照射による機械読み取りと復号化処理とが長期にわたって安定して可能で、且つ、情報が高密度に記録できる不可視画像で形成される。また、画像を出力する媒体表面の可視画像が形成された領域とは関係なく、任意の領域に設けることが可能な不可視画像であることが好ましい。本実施の形態では、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体一面(紙面)の全面に不可視画像が形成される。また、目視した際に光沢差によって認識できる不可視画像であることが更に好ましい。ただし、「全面」とは、用紙の四隅をすべて含む意味ではない。レーザプリンタ等の電子写真方式の装置では、通常、紙面の端部は印刷できない部位である場合が多いことから、かかる部位には不可視画像を印刷する必要はない。なお、本実施の形態では、この二次元コード画像が、850nm近傍の波長に吸収のピークを有する材料にて構成されているものとする。
【0034】
図6(b)に示す二次元コードパターンは、媒体上の座標位置を示す位置コードが格納される領域と、電子文書または印刷媒体を一意に特定するための識別コードが格納される領域とを含んでいる。また、同期コードが格納される領域も含んでいる。そして、図6(a)に示すように、この二次元コードパターンが複数、配置され、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体一面(紙面)の全面に異なる位置情報が格納された二次元コードが格子状に配置される。すなわち、媒体一面に、図6(b)に示すような二次元コードパターンが複数個、配置され、その各々が、位置コード、識別コード、および同期コードを備えている。そして、複数の位置コードの領域には、それぞれ配置される場所により異なる位置情報が格納されている。一方、複数の識別コードの領域には、配置される場所によらず同じ識別情報が格納されている。
【0035】
図6(b)において、位置コードは、6ビット×6ビットの矩形領域内に配置されている。各ビット値は、回転角度が異なる複数の微小ラインビットマップで形成され、図6(c)に示す斜線パターン(パターン0およびパターン1)で、ビット値0とビット値1とを表現している。より具体的には、相互に異なる傾きを有するバックスラッシュ「\」およびスラッシュ「/」を用いて、ビット値0とビット値1とを表現している。斜線パターンは600dpi(dot per inch)において8画素×8画素の大きさで構成されており、左上がりの斜線パターン(パターン0)がビット値0を、右上がりの斜線パターン(パターン1)がビット値1を表現する。したがって、一つの斜線パターンで1ビット(0または1)を表現できる。このような二種類の傾きからなる微小ラインビットマップを用いることで、可視画像に与えるノイズがきわめて小さく、且つ、大量の情報を高密度にデジタル化して埋め込むことが可能な二次元コードパターンを提供することが可能となる。
【0036】
すなわち、図6(b)に示した位置コード領域には合計36ビットの位置情報が格納されている。この36ビットのうち、18ビットをX座標の符号化に、他の18ビットをY座標の符号化に使用することができる。各18ビットをすべて位置の符号化に使用すると、218通り(約26万通り)の位置を符号化できる。各斜線パターンが図6(c)に示したように8画素×8画素(600dpi)で構成されている場合、600dpiの1ドットは0.0423mmであることから、図6(b)に示す二次元コード(同期コードを含む)の大きさは、縦横ともに3mm程度(8画素×9ビット×0.0423mm)となる。3mm間隔で26万通りの位置を符号化した場合、約786mの長さを符号化できる。このように18ビットすべてを位置の符号化に使用してもよいし、あるいは、斜線パターンの検出誤りが発生するような場合には誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットを含めてもよい。
【0037】
また、識別コードは、2ビット×8ビットおよび6ビット×2ビットの矩形領域に配置されており、合計28ビットの識別情報を格納できる。識別情報として28ビットすべてを使用した場合、228通り(約2億7千万通り)の識別情報を表現できる。識別コードも位置コードと同様に、28ビットの中に誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットを含めることができる。
【0038】
なお、図6(c)に示す例では、二つの斜線パターンは互いに角度が90°異なるが、例えば角度差を45°とすれば四種類の斜線パターンを構成できる。このように構成した場合は、一つの斜線パターンで2ビットの情報(0〜3)を表現できる。すなわち、斜線パターンの角度種類を増やすことで、表現できるビット数を増加させることができる。
また、図6(c)に示す例では、斜線パターンを使用してビット値の符号化を説明しているが、選択できるパターンは斜線パターンに限られない。例えばドットのON/OFFや、ドットの位置を基準位置からずらす方向により符号化する方法も採用することが可能である。
【0039】
では、本実施の形態にかかるスキャナを用いた原稿の読み取り動作について説明する。このスキャナでは、上述したように、第1プラテンガラス32Aに載置された原稿の読み取り(固定読み取りモード)、および、原稿送り装置10にて搬送される原稿の読み取り(搬送読み取りモード)が実行可能である。
【0040】
まず、固定読み取りモードについて説明する。
第1プラテンガラス32Aに載置された原稿の画像を読み取る場合には、フルレートキャリッジ33とハーフレートキャリッジ34とが、2:1の割合でスキャン方向(図1に示す矢印方向)に移動する。
このとき、フルレートキャリッジ33に設けられた照明ランプ35の光(白色光)が原稿の被読み取り面に照射される。そして、原稿からの反射光(可視光)が第1ミラー36A、第2ミラー36B、および第3ミラー36Cの順に反射されて結像用レンズ37に導かれる。結像用レンズ37に導かれた光は、CCDイメージセンサ38の受光面に結像される。CCDイメージセンサ38は上述したように一次元ラインセンサを三本(青用ラインセンサ38R、緑用ラインセンサ38G、赤用ラインセンサ38R)備えており、それぞれが1ライン分を同時に処理して制御・画像処理ユニット50に出力する。
また、このとき、フルレートキャリッジ33に搭載されたCIS40の赤外LEDアレイ43からの光(赤外光)も原稿の被読み取り面に照射される。そして、原稿からの反射光(赤外光)がガラス42を介してロッドレンズアレイ44に導かれる。ロッドレンズアレイ44に導かれた光は、ラインセンサ45の受光面に結像される。ラインセンサ45は上述したように一次元ラインセンサからなり、1ライン分を同時に処理して制御・画像処理ユニット50に出力する。
そして、このライン方向(スキャンの副走査方向)にフルレートキャリッジ33およびハーフレートキャリッジ34を移動させ、CDDイメージセンサ38およびラインセンサ45にて原稿の次のラインを読み取る。これを原稿全体に亘って実行することで、1ページの原稿読み取りすなわちCCDイメージセンサ38による可視画像の読み取りおよびラインセンサ45による赤外画像の読み取りが完了する。
【0041】
次に、搬送読み取りモードについて説明する。
原稿送り装置10にて搬送される原稿の画像を読み取る際には、搬送される原稿が、第2プラテンガラス32Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ33およびハーフレートキャリッジ34は、図1に示す実線の位置に停止した状態におかれる。この状態で、フルレートキャリッジ33に搭載された照明ランプ35およびフルレートキャリッジ33に搭載されたCIS40に設けられた赤外LEDアレイ43が点灯する。そして、原稿送り装置10の第1プラテンロール17aを経た1ライン目の反射光(赤外光)が、CIS40のガラス42を経てロッドレンズアレイ44にて結像され、ラインセンサ45によって赤外画像が読み込まれる。次いで、原稿送り装置10の第2プラテンロール17bを経た原稿の1ライン目の反射光が、第1ミラー36A、第2ミラー36B、および第3ミラー36Cを経て結像用レンズ37にて結像され、CCDイメージセンサ38によって可視画像が読み込まれる。
【0042】
次に、ラインセンサ45およびCCDイメージセンサ38にて主走査方向の1ライン分を同時に処理した後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが、ラインセンサ45およびCCDイメージセンサ38によって読み込まれる。そして、原稿の先端が第2プラテンガラス32B上の各読み取り位置に到達した後、この原稿の後端が第2プラテンガラス32B上の各読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページの原稿読み取りすなわちラインセンサ45による赤外画像の読み取りおよびCCDイメージセンサ38による可視画像の読み取りが完了する。
【0043】
また、原稿の両面に形成された画像を読み取る際には、表面側の読み取りを完了した原稿の後端が第2搬送路22に設けられた排出ロール19を通過する直前に、排出ロール19の駆動方向が逆方向に切り替えられる。このとき、図示しないゲートの向きが切り替えられることにより、原稿は第3搬送路23に導かれる。このとき、原稿の後端側が今度は先端側になる。そして、原稿は表裏が反転された状態で再び第2プラテンガラス32Bの上を通過し、上述したプロセスと同様にして裏面側の読み取りすなわちラインセンサ45による赤外画像の読み取りおよびCCDイメージセンサ38による可視画像の読み取りが行われる。そして、裏面側の読み取りを完了した原稿の後端が第2搬送路22に設けられた排出ロール19を通過する直前に、排出ロール19の駆動方向が再び逆方向に切り替えられる。このとき、図示しないゲートの向きが切り替えられることにより、原稿は第4搬送路24へと導かれる。このとき、原稿の先後端が再び入れ替わり、原稿は原稿トレイ11上に置かれていたときとは表裏が反転した状態で排紙トレイ12上に排出される。このようにすることで、複数枚の原稿束の並び順を、原稿トレイ11上に置かれていたときと排紙トレイ12上に排出されたときとで、同じにすることができる。
【0044】
これら固定読み取りモードおよび搬送読み取りモードにおいて取得された赤外画像データおよび可視画像データには、次のような処理がなされる。
まず、CCDイメージセンサ38によって取得された可視画像データは、可視画像処理部70に入力される。可視画像処理部70に入力された可視画像データは、AFE71によってアナログ処理が施された後、ADC72によってデジタルデータに変換される。そして、デジタルデータに変換された可視画像データは、可視シェーディング補正部73にて可視シェーディング補正が施された後、画像処理部74で所定の画像処理が施され、文書画像データとして出力される。なお、本実施の形態において、画像処理部74は、可視画像データを多値(例えば8ビット:256階調)のデータとして処理し、文書画像データとして出力している。
【0045】
一方、ラインセンサ45によって取得された赤外画像データは、赤外画像処理部80に入力される。赤外画像処理部80に入力された赤外画像データは、AFE81によってアナログ処理が施された後、ADC82によってデジタルデータに変換される。そして、デジタルデータに変換された赤外画像データは、赤外シェーディング補正部83にて赤外シェーディング補正が施された後、2値化処理部84で2値(1ビット:2階調)のデジタルデータに変換される。2値のデジタルデータに変換された赤外画像データは、識別情報解析部85で解析が行われ、得られた識別情報が出力される。ここで、赤外画像データを2値化しているのは、コード画像自体がそもそも2値の画像であり、コード画像に含まれる識別情報の解析を行うためには2値のデジタルデータの方が有利だからである。
【0046】
また、本実施の形態では、CCDイメージセンサ38にて読み取りが行われる可視画像の読み取り解像度が例えば600spi(sample per inch)に設定され、ラインセンサ45にて読み取りが行われる赤外画像の読み取り解像度が例えば300spiに設定される。ここで、可視画像の読み取り解像度はある程度高いレベルであることが望ましいが、赤外画像の読み取り解像度は上記二次元コード画像の解析を行うために必要なレベルであればよい。したがって、本実施の形態では、赤外画像の読み取り解像度を可視画像の読み取り解像度よりも低く設定している。これにより、CIS40のコストも低く抑えることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態では、原稿に形成される文書画像(可視画像)を読み取るための読み取り装置30と、同じ原稿に形成されるコード画像(不可視画像、赤外画像)を読み取るためのCIS40とを設け、これら読み取り装置30およびCIS40を用いて、原稿の同一面を読み取るように構成した。これにより、読み取り生産性の低下を抑制しながら、原稿に形成された文書画像及びコード画像を1プロセスで読み取ることが可能になる。
特に、本実施の形態では、フルレートキャリッジ33にCIS40を搭載し、このフルレートキャリッジ33を第1プラテンガラス32Aの直下および第2プラテンガラス32Bの直下に移動できるように構成した。これにより、このスキャナで固定読み取りモードを実行する場合や搬送読み取りモードを実行する場合においても、1プロセスで文書画像及びコード画像を読み取ることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、CIS40(ラインセンサ45)による赤外画像の読み取り結果に基づき、識別情報解析部85にて識別情報の解析を行うようにした。これにより、赤外画像データに含まれる識別情報を取得することが可能になり、例えば複写禁止の識別情報が取得された場合には、文書画像データの出力を禁止するなどの措置を講じることができるようになる。
【0049】
さらに、本実施の形態では、文書画像(可視画像)は縮小光学系を用いて読み取りを行い、コード画像(不可視画像、赤外画像)は密着光学系を用いて読み取りを行うようにした。これにより、文書画像については焦点深度を深くすることが可能になり、可視画像データにおけるピンぼけ等を防止することができる。また、コード画像についてはCIS40にて読み取りを行うことで、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【0050】
さらにまた、本実施の形態では、CCDイメージセンサ38で読み取りが行われた可視画像データは多値のまま画像処理を実行し、ラインセンサ45で読み取りが行われた赤外画像データは2値化した後に識別情報解析処理を実行するようにした。これにより、可視画像データに基づいて高画質な文書画像データを出力できるとともに、赤外画像データに基づく識別情報の解析を容易にすることができる。
【0051】
そして、本実施の形態では、文書画像(可視画像)を読み取るための光学系とコード画像(不可視画像、赤外画像)を読み取るための光学系とを完全に分離し、それぞれ別個で読み取りを行うようにした。すなわち、センサ(CCDイメージセンサ38やラインセンサ45)だけでなく、照明系(照明ランプ35や赤外LEDアレイ43)等も別々のものを用いた。これにより、例えば文書画像を読み取るための光学系のみを備えたスキャナに、容易にコード画像を読み取るための光学系を追加装着することが可能になる。また、一方の照明が他方の読み取りに与える影響を低減することもできる。
【0052】
<実施の形態2>
図7は、本実施の形態が適用されるスキャナの構成例を示す図である。このスキャナの基本構成は、実施の形態1で説明したものとほぼ同様であるが、実施の形態1ではフルレートキャリッジ33にCIS40を搭載していたのに対し、本実施の形態ではハーフレートキャリッジ34にCIS40を搭載するようにしたものである。また、フルレートキャリッジ33には、照明ランプ35からの照射光を第2プラテンガラス32B側に向けて反射するリフレクタ39が設けられている。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0053】
では、本実施の形態にかかるスキャナを用いた原稿の読み取り動作について説明する。このスキャナでは、実施の形態1と同様、第1プラテンガラス32Aに載置された原稿の読み取り(固定読み取りモード)、および、原稿送り装置10にて搬送される原稿の読み取り(搬送読み取りモード)が実行可能である。
【0054】
まず、固定読み取りモードについて説明する。
第1プラテンガラス32Aに載置された原稿の画像を読み取る場合には、フルレートキャリッジ33とハーフレートキャリッジ34とが、2:1の割合でスキャン方向(矢印方向)に移動する。
このとき、フルレートキャリッジ33に設けられた照明ランプ35の光(白色光)が原稿の被読み取り面に照射される。そして、原稿からの反射光(可視光)が第1ミラー36A、第2ミラー36B、および第3ミラー36Cの順に反射されて結像用レンズ37に導かれる。結像用レンズ37に導かれた光は、CCDイメージセンサ38の受光面に結像される。CCDイメージセンサ38は上述したように一次元ラインセンサを三本を備えており、それぞれが1ライン分を同時に処理して制御・画像処理ユニット50に出力する。
このとき、ハーフレートキャリッジ34に搭載されたCIS40の赤外LEDアレイ43からの光(赤外光)も原稿の被読み取り面に照射される。そして、原稿からの反射光(赤外光)がガラス42を介してロッドレンズアレイ44に導かれる。ロッドレンズアレイ44に導かれた光は、ラインセンサ45の受光面に結像される。ラインセンサ45は上述したように一次元ラインセンサからなり、1ライン分を同時に処理して制御・画像処理ユニット50に出力する。
そして、このライン方向(スキャンの副走査方向)にフルレートキャリッジ33およびハーフレートキャリッジ34を移動させ、CDDイメージセンサ38およびラインセンサ45にて原稿の次のラインを読み取る。これを原稿全体に亘って実行することで、1ページの原稿読み取りすなわちCCDイメージセンサ38による可視画像の読み取りおよびラインセンサ45による赤外画像の読み取りが完了する。
【0055】
次に、搬送読み取りモードについて説明する。
原稿送り装置10にて搬送される原稿の画像を読み取る際には、搬送される原稿が、第2プラテンガラス32Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ33およびハーフレートキャリッジ34は、図7に示す実線の位置に停止した状態におかれる。この状態で、フルレートキャリッジ33に搭載された照明ランプ35およびハーフレートキャリッジ34に搭載されたCIS40に設けられた赤外LEDアレイ43が点灯する。そして、原稿送り装置10の第1プラテンロール17aを経た1ライン目の反射光(赤外光)が、CIS40のガラス42を経てロッドレンズアレイ44にて結像され、ラインセンサ45によって赤外画像が読み込まれる。次いで、原稿送り装置10の第2プラテンロール17bを経た原稿の1ライン目の反射光が、第1ミラー36A、第2ミラー36B、および第3ミラー36Cを経て結像用レンズ37にて結像され、CCDイメージセンサ38によって可視画像が読み込まれる。
次に、ラインセンサ45およびCCDイメージセンサ38にて主走査方向の1ライン分を同時に処理した後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが、ラインセンサ45およびCCDイメージセンサ38によって読み込まれる。そして、原稿の先端が第2プラテンガラス32B上の各読み取り位置に到達した後、この原稿の後端が第2プラテンガラス32B上の各読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページの原稿読み取りすなわちCCDイメージセンサ38による可視画像の読み取りおよびラインセンサ45による赤外画像の読み取りが完了する。
【0056】
また、原稿の両面に形成された画像を読み取る際には、表面側の読み取りを完了した原稿の後端が第2搬送路22に設けられた排出ロール19を通過する直前に、排出ロール19の駆動方向が逆方向に切り替えられる。このとき、図示しないゲートの向きが切り替えられることにより、原稿は第3搬送路23に導かれる。このとき、原稿の後端側が今度は先端側になる。そして、原稿は表裏が反転された状態で再び第2プラテンガラス32Bの上を通過し、上述したプロセスと同様にして裏面側の読み取りすなわちラインセンサ45による赤外画像の読み取りおよびCCDイメージセンサ38による可視画像の読み取りが行われる。そして、裏面側の読み取りを完了した原稿の後端が第2搬送路22に設けられた排出ロール19を通過する直前に、排出ロール19の駆動方向が再び逆方向に切り替えられる。このとき、図示しないゲートの向きが切り替えられることにより、原稿は第4搬送路24へと導かれる。このとき、原稿の先後端が再び入れ替わり、原稿は原稿トレイ11上に置かれていたときとは表裏が反転した状態で排紙トレイ12上に排出される。
【0057】
そして、CCDイメージセンサ38によって取得された可視画像データは、実施の形態1と同様に可視画像処理部70にて所定の処理がなされた後、文書画像データとして出力される。また、ラインセンサ45によって取得された赤外画像データは、実施の形態1と同様に赤外画像処理部80にて所定の処理がなされ、取得された識別情報が出力されることになる。
【0058】
このように、本実施の形態においても、原稿に形成される文書画像(可視画像)を読み取るための読み取り装置30と、同じ原稿に形成されるコード画像(不可視画像、赤外画像)を読み取るためのCIS40とを設け、これら読み取り装置30およびCIS40を用いて、原稿の同一面を読み取るように構成した。これにより、読み取り生産性の低下を抑制しながら、原稿に形成された文書画像及びコード画像を1プロセスで読み取ることが可能になる。
特に、本実施の形態では、フルレートキャリッジ33ではなく、ハーフレートキャリッジ34にCIS40を搭載しているため、フルレートキャリッジ33の重量増加に伴うモーションクオリティの低下およびこれに伴う可視画像の画質低下を抑制することができる。
【0059】
なお、ハーフレートキャリッジ34にCIS40を搭載した場合、固定読み取りモードにおいて、CIS40(ラインセンサ45)が原稿の全域を読み取ることはできない。これは、図7にも示したように、ハーフレートキャリッジ34が、フルレートキャリッジ33の半分しか移動しないことによる。ただし、図6を用いて説明したように、コード画像(不可視画像)は原稿の全域に形成されており、しかも対象となるコード画像は原稿の全域にわたって同一の識別情報を含むものであるため、このことによって問題は生じない。
【0060】
<実施の形態3>
図8は、本実施の形態が適用されるスキャナの構成例を示す図である。このスキャナの基本構成は、実施の形態1で説明したものとほぼ同様であるが、実施の形態1では原稿送り装置10内に反転パスを設けることで原稿の両面読み取りを実行可能としていたのに対し、本実施の形態では、原稿送り装置10内に原稿の他の面を読み取る機構を設け、原稿の一度の搬送で原稿の両面に形成された画像を読み取り可能としたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0061】
図8に示すスキャナにおいて、読み取り装置30の構成は実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
一方、原稿送り装置10は、複数枚の原稿からなる原稿束を積載する原稿トレイ111、この原稿トレイ111の下方に設けられ、読み取りが終了した原稿を積載する排紙トレイ112を備える。また、原稿送り装置10は原稿トレイ111の原稿を取り出して搬送するナジャーロール113を備える。さらに、ナジャーロール113の原稿搬送方向下流側には、用紙を一枚ずつに捌く捌き機構114が設けられる。この捌き機構114は、ナジャーロール113により供給される原稿をさらに下流側に向けて搬送するフィードロールおよびナジャーロール113により供給される原稿を一枚ずつに捌くリタードロールを有する。原稿が搬送される搬送路115には、原稿搬送方向上流側から順に、プレレジロール116、レジロール117、第1プラテンロール118a、第2プラテンロール118b、アウトロール119、および排出ロール120が設けられる。プレレジロール116は、一枚ずつに捌かれた原稿を下流側のロールに向けて搬送すると共に原稿のループ形成を行う。レジロール117は、回転し一旦停止した後にタイミングを合わせて回転を再開し、原稿読み取り部に対してレジストレーション調整を施しながら原稿を供給する。第1プラテンロール118aは、読み取り装置30のCIS40(ラインセンサ45)にて読み込み中の原稿搬送をアシストする。第2プラテンロール118bは、読み取り装置30のCCDイメージセンサ38にて読み込み中の原稿搬送をアシストする。
アウトロール119は、読み取り装置30にて読み込まれた原稿をさらに下流に搬送する。そして、排出ロール120は、読み込まれた原稿をさらに搬送すると共に排紙トレイ112に排出する。
また、原稿送り装置10において、アウトロール119と排出ロール120との間には、原稿搬送方向上流側から順に、赤外CIS130および可視CIS140が設けられている。本実施の形態では、上記CIS40の他に赤外CIS130も第2読み取り部として機能する。また上記読み取り装置30の他に可視CIS140も第1読み取り部として機能する。
【0062】
図9は、上記赤外CIS130および可視CIS140の構成例を示す図である。これら赤外CIS130および可視CIS140は、図8に示したようにアウトロール119と排出ロール120との間に設けられる。原稿の片面(第1面)は、第2プラテンガラス32Bに押し当てられ、この第1面の画像のうち、赤外画像はCIS40(ラインセンサ45)にて読み込まれ、可視画像はCCDイメージセンサ38にて読み込まれる。一方、赤外CIS130および可視CIS140は、搬送路115を介して対向する他方の側から、原稿の片面(第2面)の画像を読み込む。すなわち、この第2面の画像のうち、赤外画像は赤外CIS130(後述する赤外ラインセンサ135)にて読み込まれ、可視画像は可視CIS140(後述する可視ラインセンサ145)にて読み込まれる。
【0063】
これらのうち、赤外CIS130は、ハウジング131、ガラス132、赤外LEDアレイ133、ロッドレンズアレイ134、および赤外ラインセンサ135を備えている。これらのうち、ガラス132は、ハウジング131の搬送路115側に形成された開口に装着される。また、赤外光源として機能する赤外LEDアレイ133は、ガラス132を介して原稿の第2面に光(赤外光)を照射する。ロッドレンズアレイ134は、赤外LEDアレイ133からの照射光の反射光を集光する。赤外センサとして機能する赤外ラインセンサ135は、ロッドレンズアレイ134により集光された光(赤外光)を読み取る。
【0064】
他方、可視CIS140は、ハウジング141、ガラス142、白色LEDアレイ143、ロッドレンズアレイ144、および可視ラインセンサ145を備えている。これらのうち、ガラス142は、ハウジング141の搬送路115側に形成された開口に装着される。また、可視光源として機能する白色LEDアレイ143は、ガラス142を介して原稿の第2面に光(白色光)を照射する。ロッドレンズアレイ144は、白色LEDアレイ143からの照射光の反射光を集光する。可視センサとして機能する可視ラインセンサ145は、ロッドレンズアレイ134により集光された光(可視光)を読み取る。
【0065】
そして、赤外ラインセンサ135および可視ラインセンサ145としては、CCDやCMOSセンサ、密着型センサ等を用いることができ、実寸幅(例えばA4長手幅297mm)の画像を読み取ることが可能である。つまり、赤外CIS130および可視CIS140では、縮小光学系を用いずにロッドレンズアレイ134および赤外ラインセンサ135(ロッドレンズアレイ144および可視ラインセンサ145)を用いた密着光学系にて画像の取り込みを行う。したがって、構造をシンプルにすることができ、且つ、筐体を小型化し、消費電力を低減することができる。
【0066】
図10は、本実施の形態で用いられる制御・画像処理ユニット50の機能ブロック図を示している。この制御・画像処理ユニットの基本構成は実施の形態1で説明したものと同様であるが、信号処理部51が画像処理部を4系統備えている点が異なっている。すなわち、本実施の形態では、信号処理部51が、第1可視画像処理部150、第1赤外画像処理部160、第2可視画像処理部170、および第2赤外画像処理部180を備えている。
第1可視画像処理部150は、CCDイメージセンサ38によって得られた原稿の第1面の可視画像データ(第1可視画像データ)に対して処理を施す。第1赤外画像処理部160は、CIS40によって得られた原稿の第1面の赤外画像データ(第1赤外画像データ)に対して処理を施す。第2可視画像処理部170は、可視CIS140(可視ラインセンサ145)によって得られた原稿の第2面の可視画像データ(第2可視画像データ)に対して処理を施す。第2赤外画像処理部180は、赤外CIS130(赤外ラインセンサ135)によって得られた原稿の第2面の赤外画像データ(第2赤外画像データ)に対して処理を施す。これら第1可視画像処理部150、第1赤外画像処理部160、第2可視画像処理部170、および第2赤外画像処理部180からの出力は、実施の形態1と同様、例えばプリンタ等や、パーソナルコンピュータ(PC)等のホストシステムへ出力される。
【0067】
また、第1可視画像処理部150および第2可視画像処理部170の構成は、実施の形態1で説明した可視画像処理部70(図5(a)参照)と同じものを使用することができる。したがって、本実施の形態では、第1可視画像処理部150および第2可視画像処理部170が、第2処理部として機能する。また、第1赤外画像処理部160および第2赤外画像処理部180の構成は、実施の形態1で説明した赤外画像処理部80(図5(b)参照)と同じものを使用することができる。したがって、本実施の形態では、第1赤外画像処理部160および第2赤外画像処理部180が第1処理部として機能する。
【0068】
では、本実施の形態にかかるスキャナを用いた原稿の読み取り動作について説明する。このスキャナでは、実施の形態1と同様、第1プラテンガラス32Aに載置された原稿の読み取り(固定読み取りモード)、および、原稿送り装置10にて搬送される原稿の読み取りが可能である。但し、固定読み取りモードは実施の形態1と同じプロセスとなるので、ここでは搬送読み取りモードのみについて説明を行う。
【0069】
原稿送り装置10にて搬送される原稿の画像を読み取る際には、搬送される原稿が、第2プラテンガラス32Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ33およびハーフレートキャリッジ34は、図8に示す実線の位置に停止した状態におかれる。この状態で、フルレートキャリッジ33に搭載された照明ランプ35およびフルレートキャリッジ33に搭載されたCIS40に設けられた赤外LEDアレイ43が点灯する。そして、原稿送り装置10の第1プラテンロール17aを経た1ライン目の反射光(赤外光)が、CIS40のガラス42を経てロッドレンズアレイ44にて結像され、ラインセンサ45によって赤外画像が読み込まれる。次いで、原稿送り装置10の第2プラテンロール17bを経た原稿の1ライン目の反射光が、第1ミラー36A、第2ミラー36B、および第3ミラー36Cを経て結像用レンズ37にて結像され、CCDイメージセンサ38によって可視画像が読み込まれる。これにより、原稿の第1面の赤外画像および可視画像の読み取りが行われる。
【0070】
次に、ラインセンサ45およびCCDイメージセンサ38にて主走査方向の1ライン分を同時に処理した後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが、ラインセンサ45およびCCDイメージセンサ38によって読み込まれる。そして、原稿の先端が第2プラテンガラス32B上の各読み取り位置に到達した後、この原稿の後端が第2プラテンガラス32B上の各読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページ分の第1面の原稿読み取りすなわちラインセンサ45による赤外画像の読み取りおよびCCDイメージセンサ38による可視画像の読み取りが完了する。
【0071】
また、原稿の両面に形成された画像を読み取る際には、ラインセンサ45およびCCDイメージセンサ38にて読み取りがなされた原稿がさらに搬送され、赤外CIS130および可視CIS140との対向位置を順次通過する。このとき、赤外CIS130に設けられた赤外LEDアレイ133および可視CIS140に設けられた白色LEDアレイ143が点灯する。そして、赤外CIS130では、原稿送り装置10のアウトロール119を経た1ライン目の反射光(赤外光)が、ガラス132を経てロットレンズアレイ134にて結像され、赤外ラインセンサ135によって赤外画像が読み込まれる。次いで、可視CIS140では、1ライン目の反射光(可視光)が、ガラス142を経てロッドレンズアレイ144にて結像され、可視ラインセンサ145によって可視画像が読み込まれる。これにより、原稿の第2面の赤外画像及び可視画像の読み取りが行われる。
【0072】
次に、赤外ラインセンサ135および可視ラインセンサ145にて主走査方向の1ライン分を同時に処理した後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次に主走査方向の1ラインが、赤外ラインセンサ135および可視ラインセンサ145によって読み込まれる。そして、原稿の先端が赤外CIS130および可視CIS140による各読み取り位置に到達した後、この原稿の後端が各読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページ分の第2面の原稿読み取りすなわち赤外ラインセンサ135による赤外画像の読み取りおよび可視ラインセンサ145による可視画像の読み取りが完了する。
【0073】
そして、CCDイメージセンサ38によって取得された第1可視画像データ(原稿の第1面の可視画像データ)は、第1可視画像処理部150に入力され、所定の処理がなされた後、原稿の第1面の文書画像データとして出力される。また、ラインセンサ45によって取得された第1赤外画像データ(原稿の第1面の赤外画像データ)は、第1赤外画像処理部160に入力され、所定の処理がなされた後に識別情報の解析が行われ、得られた識別情報(原稿の第1面の識別情報)が出力される。
【0074】
他方、可視CIS140(可視ラインセンサ145)によって取得された第2可視画像データ(原稿の第2面の可視画像データ)は、第2可視画像処理部170に入力され、所定の処理がなされた後、原稿の第2面の文書画像データとして出力される。また、赤外CIS130(赤外ラインセンサ135)によって取得された第2赤外画像データ(原稿の第2面の赤外画像データ)は、第2赤外画像処理部180に入力され、所定の処理がなされた後に識別情報の解析が行われ、得られた識別情報(原稿の第2面の識別情報)が出力される。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態では、搬送読み取りモードにおいて、原稿の第1面の画像を読み取り装置30およびCIS40で読み取り、同じ原稿の第2面の画像を原稿送り装置10に設けられた可視CIS140および赤外CIS130で読み取るように構成した。このとき、読み取り装置30は原稿の第1面の可視画像を読み取り、CIS40はこの原稿の第1面の赤外画像を読み取るようにした。一方、可視CIS140はこの原稿の第2面の可視画像を読み取り、赤外CIS130はこの原稿の第2面の赤外画像を読み取るようにした。これにより、搬送読み取りモードの両面読み取りモードにおいて、読み取り生産性の低下を抑制しながら、原稿の両面に形成された文書画像及びコード画像を1プロセスで読み取ることが可能になる。
【0076】
また、本実施の形態においては、原稿の第1面の文書画像(可視画像)を読み取るための光学系と原稿の第1面のコード画像(不可視画像、赤外画像)を読み取る光学系とを完全に分離した。また、原稿の第2面の文書画像(可視画像)を読み取るための光学系と原稿の第2面のコード画像(不可視画像、赤外画像)を読み取る光学系とを完全に分離した。これにより、例えば文書画像を読み取るための光学系のみを備えたスキャナに、容易にコード画像を読み取るための光学系を追加装着することが可能になる。また、一方の照明が他方の読み取りに与える影響を低減することもできる。
【0077】
<実施の形態4>
図11は、本実施の形態が適用されるスキャナの構成例を示す図である。ここで、図11(a)はスキャナの側部断面図を示しており、図11(b)はスキャナの上面図を示している。本実施の形態にかかるスキャナでは、実施の形態1と同様に一次元ラインセンサからなるCCDイメージセンサを用いて原稿の可視画像(文書画像)を読み取る一方、二次元エリアセンサを用いて原稿の赤外画像(不可視画像、コード画像)を読み取っている点が上記実施の形態1〜3とは異なる。また、このスキャナは、所謂固定読み取りモード専用である点も上記実施の形態1〜3とは異なる。
このスキャナは、載置された原稿の画像を読み取る読み取り装置200と、読み取り装置200に載置された原稿を固定するのに用いられるプラテンカバー220とを備える。
【0078】
読み取り装置200は、筐体を形成する装置フレーム201、および画像を読み込むべき原稿を静止させた状態で載置する載置部としてのプラテンガラス202を備える。
また、読み取り装置200は、プラテンガラス202のほぼ全体にわたってスキャンして画像読み込むフルレートキャリッジ203、フルレートキャリッジ203から得られた光を結像部へ供給するハーフレートキャリッジ204を備えている。フルレートキャリッジ203には、原稿に白色光を照射する照明ランプ205、照明ランプ205からの照射光をプラテンガラス202側に向けて反射するリフレクタ205A、および原稿から得られた反射光を受光する第1ミラー206Aが設けられている。また、ハーフレートキャリッジ204には、第1ミラー206Aから得られた光を結像部へ提供する第2ミラー206Bおよび第3ミラー206Cが設けられている。さらに、読み取り装置200は、結像用レンズ207およびCCDイメージセンサ208を備えている。これらのうち、結像用レンズ207は、第3ミラー206Cから得られた光学像を光学的に縮小する。また、CCDイメージセンサ208は、結像用レンズ207によって結像された光学像を光電変換する。つまり、読み取り装置200では、所謂縮小光学系を用いてCCDイメージセンサ208に像を結像させている。このCCDイメージセンサ208の構成は実施の形態1で説明したCCDイメージセンサ38(図2参照)の構成と同じである。すなわち、CCDイメージセンサ208は、複数(例えば三本)の一次元ラインセンサにて構成される。また、このスキャナにおいては、フルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204によって、走査部が構成されている。そして、本実施の形態では、プラテンガラス202上に載置された原稿の画像を、フルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204にて走査(スキャン)することにより、読み取りが行われる。このとき、原稿の端部を除くほぼ全面(スキャン全領域という)の画像を読み取ることができる。
【0079】
また、読み取り装置200は、プラテンガラス202に載置された原稿の赤外画像を読み取る赤外画像読み取り部210をさらに備える。この赤外画像読み取り部210は、原稿に赤外光を照射する複数の赤外LED211、原稿から得られた反射光(赤外光)を結像部へ提供する結像用レンズ212、および赤外エリアセンサ214を備えた赤外センサ部213を備える。なお、本実施の形態で用いられる赤外エリアセンサ214は、プラテンガラス202に載置される原稿のうち例えば10mm×10mmの矩形領域(特定領域)の画像(赤外画像)を読み取ることができるように構成されている。すなわち、赤外エリアセンサ214は、二次元エリアセンサにて構成される。また、このスキャナでは、プラテンガラス202の一角をレジ基準位置202aとする所謂コーナーレジ方式を採用しており、赤外画像読み取り部210(赤外エリアセンサ214)は、レジ基準位置202aの近傍に取り付けられている。これにより、プラテンガラス202上に小サイズの原稿を載置して読み取りを行う場合にも、この原稿に形成された赤外画像を読み取ることができるようになっている。
【0080】
さらに、読み取り装置200は、制御・画像処理ユニット230をさらに備える。制御・画像処理ユニット230は、CCDイメージセンサ208や赤外エリアセンサ214から入力される画像データに所定の処理を施す。また、制御・画像処理ユニット230は、読み取り装置200の各部の動作を制御する。
【0081】
他方、読み取り装置200に対して開閉自在に配設されるプラテンカバー220は、図中奥側を軸とし、図中手前側を揺動させることで開閉を行うことができるようになっている。そして、読み取り装置200とプラテンカバー220との間には、読み取り装置200に対するプラテンカバー220の開閉動作を検知する開閉センサ221が取り付けられている。なお、図11(b)においては、プラテンカバー220および開閉センサ221の記載を省略している。
【0082】
図12は、制御・画像処理ユニット230の機能ブロック図を示している。この制御・画像処理ユニット230は、CCDイメージセンサ208から入力される可視画像データおよび赤外エリアセンサ214から入力される赤外画像データに処理を施す信号処理部231と、読み取り装置200の動作を制御する制御部232とを備えている。信号処理部231は、原稿の一方の面を読み取るCCDイメージセンサ208およびこのCCDイメージセンサ208と同一の面を読み取る赤外エリアセンサ214からの各々の出力に対して所定の画像処理を施す機能を有している。
【0083】
信号処理部231は、CCDイメージセンサ208によって得られた可視画像データに対して画像処理を施す可視画像処理部250と、赤外エリアセンサ214によって得られた赤外画像データに対して画像処理を施す赤外画像処理部260とを備える。これら可視画像処理部250、および赤外画像処理部260からの出力は、実施の形態1と同様、例えばプリンタ等や、パーソナルコンピュータ(PC)等のホストシステムへ出力される。
そして、可視画像処理部250の構成は、実施の形態1で説明した可視画像処理部70(図5(a)参照)と同じものを使用することができる。また、赤外画像処理部260の構成は、実施の形態1で説明した赤外画像処理部80(図5(b)参照)と同じものを使用することができる。
【0084】
一方、制御部232は、読み取りコントローラ241、センサコントローラ242、照明コントローラ243、およびスキャンコントローラ244を備える。これらのうち、読み取りコントローラ241は、読み取り装置200の全体を制御する。センサコントローラ242はCCDイメージセンサ208および赤外エリアセンサ214による画像データの取り込み動作を制御する。照明コントローラ243は、所定のタイミングに合わせて白色光源からなる照明ランプ205や赤外LED211の点灯・消灯を制御する。スキャンコントローラ244は、読み取り装置200におけるモータのオン/オフなどを行いフルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204によるスキャン動作を制御する。これらの各種コントローラからは、読み取り装置200に対して制御信号が出力され、かかる制御信号に基づいて、これらの動作制御が可能となる。読み取りコントローラ241は、ホストシステムからの制御信号や、例えば自動選択読み取り機能に際して、あるいは、プラテンカバーの開閉動作に際して開閉センサ221で検出されるセンサ出力、UI(User Interface)を介したユーザからの選択等に基づいて読み取り装置200を制御している。なお、本実施の形態にかかるスキャナでは、プラテンガラス202上に載置された原稿の画像を読み取る固定読み取りモードのみが実行可能である。
【0085】
では、図13に示すフローチャートを参照しつつ、本実施の形態にかかるスキャナを用いた原稿の読み取り動作について説明する。
ユーザがプラテンガラス202上に原稿を載置する際に、ユーザによりプラテンカバー220が開けられ、プラテンガラス202上に原稿がセットされた後、プラテンカバー220が閉じられる。このとき、開閉センサ221は、プラテンカバー220を開状態から閉状態に移行するのを検知する(ステップ101)。なお、開閉センサ221にて開状態から閉状態への移行が検知されない場合は、ステップ101に戻って検知を待つ。すると、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は赤外LED211を点灯させる(ステップ102)。また、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242は赤外エリアセンサ214による赤外画像読み取りを実行させる(ステップ103)。そして、読み取りコントローラ241は、開閉センサ221による検知結果に基づいてプラテンカバー220が完全に閉じられたか否かを判断する(ステップ104)。ここで、プラテンカバー220が完全に閉じられていない場合は、ステップ103に戻って赤外画像読み取りを続行する。一方、ステップ104においてプラテンカバー220が完全に閉じられたと判断した場合、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は赤外LED211を消灯させる(ステップ105)。また、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242は赤外エリアセンサ214による赤外画像読み取りを終了させる。
なお、上記ステップ103で赤外エリアセンサ214にて読み取られた赤外画像データは、赤外画像処理部260で所定の処理がなされ、その結果として識別情報の取得および出力が行われる。このようにして、プラテンカバー220の閉動作がなされている間に、原稿の赤外画像の読み取りおよび得られた赤外画像データに基づく識別情報の取得が実行されることになる。
【0086】
次に、読み取りコントローラ241は、UI等を介してユーザによりスタートボタンの押下が実行されたか否かを判断する(ステップ106)。ここで、スタートボタンが押下されていないと判断した場合は、スタートボタンの押下を待つ。一方、スタートボタンの押下が実行されたと判断した場合、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は照明ランプ205を点灯させる(ステップ107)。また、読み取りコントローラ241は、スキャンコントローラ244に制御信号を出力し、スキャンコントローラ244はフルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204によるスキャン動作を開始させる。さらに、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242はCCDイメージセンサ208による可視画像読み取りを開始させる(ステップ108)。そして、読み取りコントローラ241は、フルレートキャリッジ203の読み取り部位が原稿の端部に到達したか否か、すなわち、可視画像の読み取りが完了したか否かを判断する(ステップ109)。ここで、可視画像の読み取りが完了していない場合は、ステップ108に戻って可視画像読み取りを続行する。一方、ステップ109において可視画像読み取りが完了したと判断した場合、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は照明ランプ205を消灯させる(ステップ110)。また、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242はCCDイメージセンサ208による可視画像読み取りを終了させる。さらに、読み取りコントローラ241は、スキャンコントローラ244に制御信号を出力し、スキャンコントローラ244はフルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204をホームポジション(図11(a)に実線で示す位置)まで移動させる。以上により、原稿の読み取り動作が終了する。
なお、上記ステップ108でCCDイメージセンサ208にて読み取られた可視画像データは、可視画像処理部250で所定の処理がなされ、その結果として文書画像データの出力が行われる。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態では、原稿に形成される文書画像(可視画像)を、一次元のラインセンサであるCCDイメージセンサ208を用いて読み取るとともに、原稿の同じ面に形成されるコード画像(不可視画像、赤外画像)を、二次元のエリアセンサである赤外エリアセンサ214を用いて読み取るようにした。これにより、読み取り生産性の低下を抑制しながら、原稿に形成された文書画像及びコード画像をともに読み取ることが可能になる。
特に、本実施の形態では、プラテンカバー220の閉動作に連動して先に赤外エリアセンサ214を用いた赤外画像読み取りを実行させ、その後、ユーザから受け付けた指示に基づいてCCDイメージセンサ208による可視画像読み取りを実行させるようにした。このため、可視画像の読み取り動作に際してユーザの待ち時間を長期化させることがない。
【0088】
また、本実施の形態では、赤外エリアセンサ214を読み取り装置200に固定し、原稿上の所定の領域のみを読み取るように構成した。ここで、コード画像は、実施の形態2で説明したように原稿の全面に一様に形成されており、所定の領域を読み取る構成とした場合にも、必要なコード画像を取得することができる。そして、本実施の形態では、赤外画像読み取り部210(赤外エリアセンサ214)を固定読み取りの基準位置となるレジ基準位置202aの近傍に配置するようにした。これにより、原稿のサイズに関係なく、原稿に形成されたコード画像を読み取ることが可能になる。
【0089】
そして、本実施の形態では、文書画像(可視画像)を読み取るための光学系とコード画像(不可視画像、赤外画像)を読み取るための光学系とを完全に分離し、それぞれ別個で読み取りを行わせるようにした。特に、本実施の形態では、赤外画像読み取り部210が可動部を有しておらず、固定状態で赤外画像の読み取りを行うことが可能であるため、例えば文書画像を読み取るための光学系のみを備えたスキャナに、容易にコード画像を読み取るための光学系(赤外画像読み取り部210)を追加装着することが可能になる。また、本実施の形態では、赤外画像の読み取り期間と可視画像の読み取り期間とを異ならせているため、一方の照明が他方の読み取りに与える影響を低減することもできる。
【0090】
なお、本実施の形態では、プラテンガラス202に対向するように赤外エリアセンサ214を配設していたが、これに限られるものではない。図14は、実施の形態4にかかるスキャナの変形例を示している。図14に示すスキャナでは、赤外反射光の光路中にミラー215を取り付けることにより赤外光の光路を垂直方向に曲げるように構成し、赤外光の光路を可視光の光路とほぼ平行にしている。このような構成を採用することにより、図11に示すスキャナと比べて赤外光の光路長を長く確保することができ、結像レンズ212を用いた赤外光の集光をより容易に行うことが可能になる。
【0091】
<実施の形態5>
図15は、本実施の形態が適用されるスキャナの構成例を示す図である。ここで、図15(a)はスキャナの側部断面図を示しており、図15(b)はスキャナの上面図を示している。このスキャナの基本構成は、実施の形態4で説明したものとほぼ同様であるが、フルレートキャリッジ203に赤外LED211が搭載されている点、および、原稿から反射した赤外光が第1ミラー206A、第2ミラー206B、および第3ミラー206Cを介して結像用レンズ212に入射された後に赤外センサ部213(赤外エリアセンサ214)にて受光される点が異なっている。なお、本実施の形態において、実施の形態4と同様のものについては同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0092】
本実施の形態において、赤外LED211は、フルレートキャリッジ203の一端部側、具体的には、レジ基準位置202a側に装着されている。また、結像用レンズ212および赤外センサ部213(赤外エリアセンサ214)もレジ基準位置202a側に偏倚して装着されている。
なお、制御・画像処理ユニット230の構成は、実施の形態4で説明したもの(図12参照)と同じものを使用することができる。
【0093】
そして、本実施の形態にかかるスキャナでは、実施の形態4と同様、図13に示すフローチャートに従って原稿の読み取り動作が実行される。すなわち、プラテンカバー220の開状態から閉状態への移行動作に連動して赤外エリアセンサ214を用いた赤外画像の読み取りが実行され、その後プラテンカバー220がが閉状態となった後にCCDイメージセンサ208を用いた可視画像の読み取りが実行される。
【0094】
このように、本実施の形態では、原稿に形成される文書画像(可視画像)を、一次元のラインセンサであるCCDイメージセンサ208を用いて読み取るとともに、原稿の同じ面に形成されるコード画像(不可視画像、赤外画像)を、二次元のエリアセンサである赤外エリアセンサ214を用いて読み取るようにした。これにより、読み取り生産性の低下を抑制しながら、原稿に形成された文書画像及びコード画像をともに読み取ることが可能になる。
【0095】
また、本実施の形態では、赤外エリアセンサ214によって原稿上の所定の領域のみを読み取るように構成した。ここで、コード画像は、実施の形態2で説明したように原稿の全面に一様に形成されており、所定の領域を読み取る構成とした場合にも、必要なコード画像を取得することができる。そして、本実施の形態では、赤外画像読み取り部210(赤外LED211、結像用レンズ212、および赤外センサ部213(赤外エリアセンサ214)を固定読み取りの基準位置となるレジ基準位置202aの近傍に配置するようにした。これにより、原稿のサイズに関係なく、原稿に形成されたコード画像を読み取ることが可能になる。
【0096】
<実施の形態6>
図16は、本実施の形態が適用されたスキャナの構成例を示す図である。ここで、図16(a)はスキャナの側部断面図を示しており、図16(b)はスキャナの上面図を示している。このスキャナの基本構成は、実施の形態5で説明したものとほぼ同様であるが、フルレートキャリッジ203に照明ランプ205および赤外LED211を搭載するのに代えて白色赤外光源216を搭載した点、および、読み取り装置200内に紙幅検知センサ217を取り付けた点が異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態4と同様のものについては同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0097】
ここで、白色赤外光源216は、可視光である白色光および不可視光である赤外光をともに照射できる機能を有する。
また、紙幅検知センサ217はプラテンガラス202上に載置された原稿がこの紙幅検知センサ217との対向部に存在するか否かを検知し、その検知結果に基いて、原稿の副走査方向長さ(紙幅)が所定のサイズ(例えばA4LEF)であるか否か等の判断が行われる。なお、本実施の形態において、紙幅検知センサ217は、可視光に感度を有する光センサにて構成される。
なお、制御・画像処理ユニット230の構成は、実施の形態4で説明したもの(図12参照)と同じものを使用することができる。
【0098】
では、図17に示すフローチャートを参照しつつ、本実施の形態にかかるスキャナを用いた原稿の読み取り動作について説明する。
ユーザがプラテンガラス202上に原稿を載置する際に、ユーザによりプラテンカバー220が開けられ、プラテンガラス202上に原稿がセットされた後、プラテンカバー220が閉じられる。このとき、開閉センサ221は、プラテンカバー220を開状態から閉状態に移行するのを検知する(ステップ201)。なお、開閉センサ221にて開状態から閉状態への移行が検知されない場合は、ステップ201に戻って検知を待つ。すると、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は白色赤外光源216を点灯させる(ステップ202)。また、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242は赤外エリアセンサ214による赤外画像読み取りを実行させる(ステップ203)。さらに、センサコントローラ242は、紙幅検知センサ217による原稿幅の読み取り(紙幅検知)を実行させる(ステップ204)。そして、読み取りコントローラ241は、開閉センサ221による検知結果に基づいてプラテンカバー220が完全に閉じられたか否かを判断する(ステップ205)。ここで、プラテンカバー220が完全に閉じられていない場合は、ステップ203に戻って赤外画像読み取りおよび原稿幅読み取りを続行する。一方、ステップ205においてプラテンカバー220が完全に閉じられたと判断した場合、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は白色赤外光源216を消灯させる(ステップ206)。また、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242は赤外エリアセンサ214による赤外画像読み取りを終了させ、紙幅検知センサ217による原稿幅読み取りを終了させる。
なお、上記ステップ203で赤外エリアセンサ214にて読み取られた赤外画像データは、赤外画像処理部260で所定の処理がなされ、その結果として識別情報の取得および出力が行われる。このようにして、プラテンカバー220の閉動作がなされている間に、原稿の赤外画像の読み取りおよび得られた赤外画像データに基づく識別情報の取得が実行されることになる。
また、上記ステップ204で紙幅検知センサ217にて検知された原稿幅は、読み取りコントローラ241に入力される。そして、読み取りコントローラ241は、後述する可視画像読み取りにおけるスキャンコントローラ244の制御内容(例えばフルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204の移動量等)を決定する。
【0099】
次に、読み取りコントローラ241は、UI等を介してユーザによりスタートボタンの押下が実行されたか否かを判断する(ステップ207)。ここで、スタートボタンが押下されていないと判断した場合は、スタートボタンの押下を待つ。一方、スタートボタンの押下が実行されたと判断した場合、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は白色赤外光源216を点灯させる(ステップ208)。また、読み取りコントローラ241は、スキャンコントローラ244に制御信号を出力し、スキャンコントローラ244はフルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204によるスキャン動作を開始させる。さらに、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242はCCDイメージセンサ208による可視画像読み取りを開始させる(ステップ209)。そして、読み取りコントローラ241は、フルレートキャリッジ203の読み取り部位が原稿の端部に到達したか否か、すなわち、可視画像の読み取りが完了したか否かを判断する(ステップ210)。ここで、可視画像の読み取りが完了していない場合は、ステップ209に戻って可視画像読み取りを続行する。一方、ステップ210において可視画像読み取りが完了したと判断した場合、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は白色赤外光源216を消灯させる(ステップ211)。また、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242はCCDイメージセンサ208による可視画像読み取りを終了させる。さらに、読み取りコントローラ241は、スキャンコントローラ244に制御信号を出力し、スキャンコントローラ244はフルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204をホームポジション(図16(a)に実線で示す位置)まで移動させる。以上により、原稿の読み取り動作が終了する。
なお、上記ステップ209でCCDイメージセンサ208にて読み取られた可視画像データは、可視画像処理部250で所定の処理がなされ、その結果として文書画像データの出力が行われる。
【0100】
以上説明したように、本実施の形態では、原稿に形成される文書画像(可視画像)を、一次元のラインセンサであるCCDイメージセンサ208を用いて読み取るとともに、原稿の同じ面に形成されるコード画像(不可視画像、赤外画像)を、二次元のエリアセンサである赤外エリアセンサ214を用いて読み取るようにした。これにより、読み取り生産性の低下を抑制しながら、原稿に形成された文書画像及びコード画像をともに読み取ることが可能になる。
ここで、本実施の形態では、白色光および赤外光の両者を照射することのできる白色赤外光源216を用いるようにしたので、フルレートキャリッジの小型化および軽量化を図ることができる。
【0101】
また、本実施の形態では、プラテンカバー220の閉動作に連動して赤外エリアセンサ214による赤外画像読み取りおよび紙幅検知センサ217による原稿幅の検知を実行させ、その後、ユーザから受け付けた指示に基づいてCCDイメージセンサ208による可視画像読み取りを実行させるようにした。ここで、本実施の形態では、白色赤外光源216を点灯させることで、赤外光に基づく赤外画像読み取りおよび可視光に基づく原稿幅検知をほぼ同時に実行させることができる。このため、可視画像の読み取り動作に際してユーザの待ち時間を長期化させることがない。
【0102】
なお、本実施の形態にかかるスキャナでは、上記ステップ203において赤外画像読み取りを実行する際に赤外エリアセンサ214に可視光が入射するおそれがあり、また、上記ステップ209において赤外画像読み取りを実行する際にCCDイメージセンサ208に赤外光が入射するおそれがある。このような場合、各センサによる読み取りデータに誤差が含まれることになりやすいことから、赤外エリアセンサ214には可視光を遮断するフィルタを、また、CCDイメージセンサ208には赤外光を遮断するフィルタを、それぞれ装着しておくことが好ましい。
【0103】
<実施の形態7>
本実施の形態は、実施の形態4とほぼ同様であるが、コード画像(赤外画像)の読み取りを行った結果に基づいて文書画像(可視画像)の読み取りを許可するか否の判断が行われる点が異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態4と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0104】
では、図18に示すフローチャートを参照しつつ、本実施の形態にかかるスキャナを用いた原稿の読み取り動作について説明する。
ユーザがプラテンガラス202上に原稿を載置する際に、ユーザによりプラテンカバー220が開けられ、プラテンガラス202上に原稿がセットされた後、プラテンカバー220が閉じられる。このとき、開閉センサ221は、プラテンカバー220を開状態から閉状態に移行するのを検知する(ステップ301)。なお、開閉センサ221にて開状態から閉状態への移行が検知されない場合は、ステップ301に戻って検知を待つ。すると、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は赤外LED211を点灯させる(ステップ302)。また、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242は赤外エリアセンサ214による赤外画像読み取りを実行させる(ステップ303)。そして、読み取りコントローラ241は、開閉センサ221による検知結果に基づいてプラテンカバー220が完全に閉じられたか否かを判断する(ステップ304)。ここで、プラテンカバー220が完全に閉じられていない場合は、ステップ303に戻って赤外画像読み取りを続行する。一方、ステップ304においてプラテンカバー220が完全に閉じられたと判断した場合、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は赤外LED211を消灯させる(ステップ305)。また、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242は赤外エリアセンサ214による赤外画像読み取りを終了させる。
【0105】
なお、上記ステップ303で赤外エリアセンサ214にて読み取られた赤外画像データは、赤外画像処理部260で所定の処理(赤外画像処理)がなされ(ステップ306)、その結果として識別情報の取得および出力が行われる。このようにして、プラテンカバー220の閉動作がなされている間に、原稿の赤外画像の読み取りおよび得られた赤外画像データに基づく識別情報の取得が実行されることになる。そして、取得された識別情報は、図示しないホストシステムに送信される(ステップ307)。なお、ホストシステムは、送信されてきた識別情報に基づいて、この原稿に対する画像読み取りが許可されているか否かを判断する。
【0106】
次に、読み取りコントローラ241は、UI等を介してユーザによりスタートボタンの押下が実行されたか否かを判断する(ステップ308)。ここで、スタートボタンが押下されていないと判断した場合は、スタートボタンの押下を待つ。一方、スタートボタンの押下が実行されたと判断した場合、読み取りコントローラ241はホストシステムからの受信信号を待つ(ステップ309)。なお、この二つの動作は同時に実行されていてもかまわない。スタートボタンの押下とホストシステムからの受信信号がともにYesであった場合、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は照明ランプ205を点灯させる(ステップ310)。ここで、本実施の形態においては信号の受信の有無で判断したが、これは受信の有無だけでなく特定の形態の信号を受け取った場合でもかまわない。
【0107】
また、読み取りコントローラ241は、スキャンコントローラ244に制御信号を出力し、スキャンコントローラ244はフルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204によるスキャン動作を開始させる。さらに、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242はCCDイメージセンサ208による可視画像読み取りを開始させる(ステップ311)。そして、読み取りコントローラ241は、フルレートキャリッジ203の読み取り部位が原稿の端部に到達したか否か、すなわち、可視画像の読み取りが完了したか否かを判断する(ステップ312)。ここで、可視画像の読み取りが完了していない場合は、ステップ311に戻って可視画像読み取りを続行する。一方、ステップ312において可視画像読み取りが完了したと判断した場合、読み取りコントローラ241は、照明コントローラ243に制御信号を出力し、照明コントローラ243は照明ランプ205を消灯させる(ステップ313)。また、読み取りコントローラ241は、センサコントローラ242に制御信号を出力し、センサコントローラ242はCCDイメージセンサ208による可視画像読み取りを終了させる。さらに、読み取りコントローラ241は、スキャンコントローラ244に制御信号を出力し、スキャンコントローラ244はフルレートキャリッジ203およびハーフレートキャリッジ204をホームポジション(図11(a)に実線で示す位置)まで移動させる。以上により、原稿の読み取り動作が終了する。
なお、上記ステップ311でCCDイメージセンサ208にて読み取られた可視画像データは、可視画像処理部250で所定の処理がなされ、その結果として文書画像データの出力が行われる。
【0108】
以上説明したように、本実施の形態では、原稿に形成される文書画像(可視画像)を、一次元のラインセンサであるCCDイメージセンサ208を用いて読み取るとともに、原稿の同じ面に形成されるコード画像(不可視画像、赤外画像)を、二次元のエリアセンサである赤外エリアセンサ214を用いて読み取るようにした。これにより、実施の形態4と同様に、読み取り生産性の低下を抑制しながら、原稿に形成された文書画像及びコード画像をともに読み取ることが可能になる。
【0109】
特に、本実施の形態では、プラテンカバー220の閉動作に連動して先に赤外エリアセンサ214を用いた赤外画像読み取りを実行させ、その後、ホストシステムからの信号とユーザから受け付けた指示に基づいてCCDイメージセンサ208による可視画像読み取りを実行させるようにした。このため、ホストシステムからの信号なしに可視画像の読み取り動作が開始されることはなく、必要以上に可視画像の取り込みを行わない。したがって、例えば複写が禁止される重要書類が原稿として用いられた場合に、その読み取りを禁止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施の形態1が適用されたスキャナの構成例を示す図である。
【図2】読み取り装置に設けられるCCDイメージセンサの概略構成を示す図である。
【図3】フルレートキャリッジに設けられるCIS(Contact Image Sensor)の概略構成を示す図である。
【図4】制御・画像処理ユニットの機能ブロックを示す図である。
【図5】(a)は可視画像処理部の機能ブロックを、(b)は赤外画像処理部の機能ブロックを、それぞれ示す図である。
【図6】(a)〜(c)は不可視画像を構成する二次元コード画像を説明するための図である。
【図7】実施の形態2が適用されたスキャナの構成例を示す図である。
【図8】実施の形態3が適用されたスキャナの構成例を示す図である。
【図9】原稿送り装置に設けられる赤外CISおよび可視CISの概略構成を示す図である。
【図10】実施の形態3で用いられる制御・画像処理ユニットの機能ブロックを示す図である。
【図11】実施の形態4が適用されたスキャナの構成例を示す図である。
【図12】実施の形態4で用いられる制御・画像処理ユニットの機能ブロックを示す図である。
【図13】実施の形態4にかかるスキャナを用いた原稿の読み取り動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】実施の形態4が適用されたスキャナの変形例を示す図である。
【図15】実施の形態5が適用されたスキャナの構成例を示す図である。
【図16】実施の形態6が適用されたスキャナの構成例を示す図である。
【図17】実施の形態6にかかるスキャナを用いた原稿の読み取り動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】実施の7にかかるスキャナを用いた原稿の読み取り動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
10…原稿送り装置、30…読み取り装置、33…フルレートキャリッジ、34…ハーフレートキャリッジ、35…照明ランプ、38…CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、40…CIS(Contact Image Sensor)、43…赤外LEDアレイ、45…ラインセンサ、50…制御・画像処理ユニット、51…信号処理部、52…制御部、70…可視画像処理部、74…画像処理部、80…赤外画像処理部、84…2値化処理部、85…識別情報解析部、130…赤外CIS、133…赤外LEDアレイ、135…赤外ラインセンサ、140…可視CIS、143…白色LEDアレイ、145…可視ラインセンサ、200…読み取り装置、202…プラテンガラス、202a…レジ基準位置、203…フルレートキャリッジ、204…ハーフレートキャリッジ、208…CCDイメージセンサ、210…赤外画像読み取り部、211…赤外LED、212…結像用レンズ、213…赤外センサ部、214…赤外エリアセンサ、220…プラテンカバー、221…開閉センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に形成された文書画像を読み取る第1読み取り部と、
前記第1読み取り部による前記文書画像の読み取りに際して、当該文書画像と同一面に形成されたコード画像を読み取る第2読み取り部と
を含む画像読み取り装置。
【請求項2】
前記第2読み取り部による前記コード画像の読み取り結果に基づいて、前記原稿に付与された固有の識別情報を取得する取得部をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記第1読み取り部は前記文書画像として可視画像を読み取り、
前記第2読み取り部は前記コード画像として不可視画像を読み取ることを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記第1読み取り部は縮小光学系を用いて前記文書画像を読み取り、
前記第2読み取り部は密着光学系を用いて前記コード画像を読み取ることを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記第1読み取り部は、可視光を照射する可視光源と当該可視光源にて照射された前記原稿からの反射光を受光する可視センサとを有し、
前記第2読み取り部は、赤外光を照射する赤外光源と当該赤外光源にて照射された前記原稿からの反射光を受光する赤外センサとを有すること
を特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
原稿に形成された第1画像を、密着光学系を用いて読み取る密着読み取り部と、
前記密着読み取り部による前記第1画像の読み取りに際して、当該第1画像と同一面に形成された第2画像を、縮小光学系を用いて読み取る縮小読み取り部と
を含む画像読み取り装置。
【請求項7】
前記密着読み取り部は前記第1画像としてコード画像を読み取り、
前記縮小読み取り部は前記第2画像として文書画像を読み取ることを特徴とする請求項6記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
前記密着読み取り部は前記第1画像として不可視画像を読み取り、
前記縮小読み取り部は前記第2画像として可視画像を読み取ることを特徴とする請求項6記載の画像読み取り装置。
【請求項9】
前記密着読み取り部にて読み取られた前記第1画像のデータを2値化して処理を施す第1処理部と、
前記縮小読み取り部にて読み取られた前記第2画像のデータを2値化せずに処理を施す第2処理部と
をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の画像読み取り装置。
【請求項10】
原稿を載置する載置部と、
前記載置部に載置される原稿の特定領域の画像を読み取る二次元エリアセンサと、
前記載置部に載置される原稿を走査する走査部と、
前記走査部にて走査される原稿のスキャン全領域の画像を読み取る一次元ラインセンサと
を含む画像読み取り装置。
【請求項11】
前記二次元エリアセンサはコード画像を読み取り、
前記一次元ラインセンサは文書画像を読み取ることを特徴とする請求項10記載の画像読み取り装置。
【請求項12】
前記二次元エリアセンサは不可視画像を読み取り、
前記一次元ラインセンサは可視画像を読み取ることを特徴とする請求項10記載の画像読み取り装置。
【請求項13】
前記二次元エリアセンサにて前記原稿の読み取りを行った後、前記一次元ラインセンサにて当該原稿の読み取りを行うことを特徴とする請求項10記載の画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−306047(P2007−306047A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129348(P2006−129348)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】