説明

画像読取り装置

【課題】焦点深度が深く、小型化及び薄型化が可能なCISタイプの画像読取り装置を得る。
【解決手段】発光素子1からの光を導光体11を通して原稿41に拡散し、原稿41からの反射光を縮小レンズ20を通して受光素子5に結像させる画像読取り装置。複数の発光素子1(1r,1g,1b)と複数の受光素子5は同一平面上に配置され、かつ、受光素子5が配置されたエリア以外の面に発光素子1が配置されている。縮小レンズ20を用いることによって焦点深度が深くなり、発光素子1と受光素子5を同一平面上に配置することで小型化、薄型化が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取り装置、特に、2次元に配置された複数の受光素子にて原稿画像を読み取るようにした画像読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像画像を光学的に読み取る画像読取り装置としては、大別すると、CCDタイプ(縮小光学系)とCISタイプ(密着光学系)とがある。CCDタイプは、焦点深度が深く、凹凸のある原稿でもクリーンに読み取ることができるが、装置全体が大きくなる。CISタイプは、小型で省電力であるが、焦点深度が浅く、凹凸のある原稿やアダプタを用いるフィルムの画像を読み取ることは困難である。
【0003】
一方、CISタイプであっても、受光素子が1次元に配置されたものであると、受光素子又は原稿を配置方向と直交する方向に移動(スキャン)させる必要があり、読取りに時間を要する。受光素子を2次元に配置すれば、対応する面積の画像をスキャンすることなく読み取ることができる。しかし、焦点深度が浅いという基本的な問題点が残されている。
【0004】
そこで、特許文献1では、ピンホールレンズを用いることにより焦点を可変としたCISタイプの画像読取り装置を提案している。しかし、事前に焦点位置を計算する必要があるため、迅速な対応が困難であり、凹凸のある原稿に対応することもできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−308481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、焦点深度が深く、小型化及び薄型化が可能なCISタイプの画像読取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するため、本発明の一形態である画像読取り装置は、
原稿からの反射光をレンズを通して受光素子に結像させる画像読取り装置において、
複数の発光素子と、
前記発光素子からの光を原稿面へと導く導光体と、
2次元に配置された複数の縮小レンズと、
2次元に配置された複数の受光素子と、
を備え、
前記発光素子と前記受光素子はほぼ同一平面上に配置され、受光素子が配置されたエリア以外の面に発光素子が配置されていること、
を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、原稿からの反射光を受光素子に結像させるレンズとして縮小レンズを用いているため、焦点深度が深くなり、凹凸のある原稿であってもクリーンに読み取ることができる。また、縮小レンズを用いていることと、発光素子と受光素子とがほぼ同一平面上に配置されているため、小型、薄型の画像読取り装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例である画像読取り装置を示す断面図である。
【図2】前記画像読取り装置を模式的に示す斜視図である。
【図3】導光体アレイと縮小レンズを示す平面図である。
【図4】導光体アレイと縮小レンズを示す斜視図である。
【図5】発光素子と受光素子を示す斜視図である。
【図6】発光素子の他の例を示す斜視図である。
【図7】導光体による照度分布を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像読取り装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0011】
本発明の一実施例である画像読取り装置は、図1及び図2に示すように、それぞれ複数の発光素子1と受光素子5と導光体11と縮小レンズ20とで構成されている。発光素子1と受光素子5は、それぞれ、有機半導体で構成された有機EL及び有機PDであり、同一平面上に形成され、基板30に形成された陰極31と、ガラス基板35に形成された陽極36との間に挟着されている。図2に示すように、受光素子5が2次元に配置されたエリア以外の面に発光素子1が配置されている。
【0012】
発光素子1から照射された光は導光体11を介して原稿台ガラス40上に載置された原稿41へと導かれ、原稿面からの反射光は縮小レンズ20を通して受光素子5に結像される。光信号は受光素子5において電気信号に変換され、図示しない画像処理回路に転送される。発光素子1は青色を発光する素子1b、緑色を発光する素子1g、赤色を発光する素子1rにて構成され、陰極31及び陽極36から印加される電圧により発光する。陰極31はAl電極であり、陽極36はITOからなる透明電極である。
【0013】
図5に示すように、発光素子1は受光素子5の1/3の面積とし、3色で一つの受光素子5に対応してもよく、あるいは、図6に示すように、帯状に延在していてもよい。
【0014】
発光素子1と受光素子5は2次元状に広がっており、所定面積の原稿を読み取るのに十分なサイズを有している。発光素子1はRGBごとに順次発光/消灯し、受光素子5で得られた画像データを画像処理回路で合成することにより、フルカラーの画像データを生成する。各受光素子5で得られた画像データは、画像処理回路で1枚の画像に合成される際、各受光素子5の継ぎ目が分からないように画像処理される。
【0015】
なお、発光素子1は1次元方向のエリアごとに該エリアと直交する方向に順次発光駆動させて1枚の原稿を読み取るようにしてもよい。これにて、発光素子1及び受光素子5が消費するピーク電力を抑えることができる。
【0016】
導光体11は、ポリカーボネート樹脂などの透明材にてアレイ10として一体的に成形加工されたもので、頂部は四角錐形状をなしている。図3に示す線11aが谷を形成し、稜線11bが山を形成している。縮小レンズ20は、プラスチック又はガラスにより成形された球面レンズ又は非球面レンズである。導光体アレイ10は縮小レンズ20の鏡胴としても機能している。即ち、図4に示すように、縮小レンズ20は導光体11の底部に一体的に形成した円形状の台座部12に嵌合することでアレイ10に取り付けられる。縮小レンズ20は個々に微妙に焦点位置のばらつきを有しているが、台座部12に薄膜シム(図示せず)などを挟み込むことで光軸方向の位置を微調整することができる。
【0017】
発光素子1から放射された光は、導光体11の頂部傾斜面によって原稿41に対して拡散され、効率的に原稿面に導かれる。なお、発光素子1からの光が直接迷光として受光素子5に入射することを防止する必要があり、そのために、縮小レンズ20の周辺に遮光膜を設けることが好ましい。
【0018】
図2に示すように、発光素子1は受光素子5を避けて配置されるため、受光素子5の直上には光が届きにくい。一方、縮小レンズ20は光軸から遠ざかるに伴って明るさが低下する。そこで、各導光体11は均一な濃度の原稿41を読み取った際に、受光素子5への入射光が均一になるように設計することが好ましい。
【0019】
図7に導光体11による好ましい照度分布を示す。図7では、クロスハッチングの目の粗い、細かいで照度を相対的に示しており、クロスハッチングの目が粗いエリアほど照度が高くなっている。図7において、点線の円は縮小レンズ20の被写界エリアを示している。発光素子1からの照射照度が均一であると想定し、受光素子5ごとに均一な照度となるように、導光体11と入射光線とがなす角度を最適化して導光体11の頂部形状を設計すればよい。受光素子5への入射光を均一化するためには、縮小レンズ20の配置間隔Aと受光素子5の配置間隔Bとが等しいことが好ましい。
【0020】
以上のごとく、前記実施例によれば、原稿からの反射光を受光素子5に結像させるレンズとして縮小レンズ20(前記実施例では1/2の縮小率)を用いているため、焦点深度が深くなり、凹凸のある原稿であってもクリーンに読み取ることができる。また、縮小レンズ20を用いていることと、発光素子1と受光素子5とが同一平面上に配置されているため、小型、薄型の画像読取り装置を得ることができる。
【0021】
なお、本発明に係る画像読取り装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0022】
特に、有機半導体による発光素子や受光素子の構成の詳細は任意である。また、導光体の頂部の形状は原稿面からの反射光を各受光素子に均一に照射させるために種々の形状を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明は、CISタイプの画像読取り装置に有用であり、特に、焦点深度が深く、小型化及び薄型化が可能である点で優れている。
【符号の説明】
【0024】
1(1r,1g,1b)…発光素子
5…受光素子
10…導光体アレイ
11…導光体
12…台座部(保持部)
20…縮小レンズ
41…原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿からの反射光をレンズを通して受光素子に結像させる画像読取り装置において、
複数の発光素子と、
前記発光素子からの光を原稿面へと導く導光体と、
2次元に配置された複数の縮小レンズと、
2次元に配置された複数の受光素子と、
を備え、
前記発光素子と前記受光素子はほぼ同一平面上に配置され、受光素子が配置されたエリア以外の面に発光素子が配置されていること、
を特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
前記発光素子は少なくともRGBの3色の発光素子を有することを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項3】
前記縮小レンズを保持する保持部が前記導光体に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取り装置。
【請求項4】
前記縮小レンズの配置間隔と前記受光素子の配置間隔が等しいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像読取り装置。
【請求項5】
前記縮小レンズは光軸方向の位置が微調整可能に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像読取り装置。
【請求項6】
前記発光素子は1次元方向のエリアごとに該エリアと直交する方向に順次発光駆動されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像読取り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−213131(P2010−213131A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58843(P2009−58843)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】