説明

画像読取装置、コンピュータプログラム、及び記録媒体

【課題】 文書の流出経路等の把握を容易にし、文書の不正な複写等を未然に防止することを可能にする画像読取装置を提供する。
【解決手段】 画像読取装置40は、通知のための情報56が予め定められた方法で埋め込まれた文書58の画像を読取って、その文書58の画像信号を発生するための読取部102と、読取部102が発生する画像信号を所定の印刷装置42に出力するための出力手段と、読取部102が発生する画像信号から、文書に埋め込まれた情報56を抽出するための情報抽出部104と、抽出手段により抽出される情報に基づき、所定の通知先に対する通知を行なうための通知部106とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書の複写を管理するための機能を持つ画像読取装置に関し、特に、保護されるべき文書の複写履歴を管理するための機能を実現する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、文書の不正な複写・改ざんを抑止する目的で、及び情報が漏洩した際の流出経路を把握する目的で、文書の内容とは別の情報を文書に埋め込んで印刷する技術が広く利用されている。
【0003】
例えば、後掲の特許文献1には、文書等の画像の背景にマスク画像を潜像として埋め込む画像処理装置が開示されている。この画像処理装置は、文書等の画像に背景を合成し、所定の細かい出力線数でのスクリーン処理を施して出力する。背景を合成するために画像処理装置は、文書等の画像とは別に、背景画像と、印刷時の出力線数より粗い線数で背景画像に網点処理を施した画像(以下「網点処理背景画像」と呼ぶ。)と、埋め込むべきマスク画像とを準備する。網点処理背景画像については、その階調が背景画像の階調と略一致するように階調補正処理を行なっておく。続いて、マスク画像の画素ごとに、その画素値に応じて背景画像と網点処理背景画像とのいずれか一方の画素を選択することにより、マスク画像が潜像として埋め込まれた潜像埋込背景画像を生成する。画像処理装置は、文書等の画像と潜像埋込背景画像とを合成し、当該画像に出力線数でのスクリーン処理を施して印刷出力する。
【0004】
このようにして印刷された印刷物において、背景のうち網点処理背景画像の画素が選択された部分とその他の部分との階調は略一致している。したがって、網点処理背景画像の画素が選択された部分とその他の部分との相違は目立たない。しかし、網点処理背景画像の画素が選択された部分においては、網点の大きさが複写機で十分解像できる程度に粗いので、複写されると網点がそのまま再現される。その他の部分は、細かい出力線数でのスクリーン処理が施されている。複写機の解像度には限界があるため、網点がある程度以上細かくなると、複写機ではその部分の網点ドットは解像されなくなる。そのため、この部分においては、複写されると網点が消える。したがって、文書の画像と潜像埋込背景画像とを合成して印刷した印刷物を複写すると、複写画像ではマスク画像の画素値に応じた濃淡が生じ、マスク画像が目立つようになる。例えばマスク画像として準備した「禁複写」などの文字列が浮かび上がる。これにより、文書が原本でないことを表したり、複写を心理的に抑制させたりすることができる。また、情報漏洩時の流出経路の追跡を目的として、文書の印刷者や印刷日時の情報を視認可能な文字列として浮かび上がらせることもできる。
【0005】
また例えば、後掲の特許文献2には、文書の特徴情報を画像化して文書画像に画像として貼り付けることにより文書の正当性を検証する書類認証方法が開示されている。この書類認証方法では、書類を発行する装置が書類の画像の特徴情報を作成し、書類画像に画像として読取できるように貼り付けて印刷する。書類を受取る側では、スキャナなどの画像読取装置で書類画像を読取り、書類画像から特徴情報を抽出する。また、書類画像から特徴情報を取除いた画像の特徴情報を、書類を発行した装置で行なったのと同様の方法により作成する。抽出された特徴情報と、新たに作成された特徴情報とを照合することにより、書類に対する改ざんの有無を検証する。
【0006】
【特許文献1】特開2001−197297号公報
【特許文献2】特開2001−309157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の画像処理装置によれば、文書の不正な複写を心理的に抑制することが期待できる。しかし、潜像が浮かび上がることを知りながらあえて複写をする者もいる。特許文献1に記載の画像処理装置では、このような者による不正な複写を防止できない。また、潜像が浮かび上がった状態で文書が不正に流通するおそれもある。潜像の浮かび上がった状態の文書が発見された場合には、その文書を回収したり、文書の所持者に対してその入手先を糾したりするなど、何らかの措置をとることができるかも知れない。しかし、文書の流出経路を把握するには、複写された文書そのものの移動経路と複写された場所とを時間的に遡って辿らなければならない。したがって文書の流出経路を把握することは極めて困難である。
【0008】
特許文献2に記載の書類認証方法によれば、書類を受取る側で書類に対する改ざんの有無を検証することはできる。しかし、改ざんが行なわれた時点からその改ざんが発覚した時点までの間にどのような問題が生じたかについては明らかにならない。改ざんが発覚した時点では既に何らかの形で被害が生じているおそれもある。特許文献2に記載の方法では、書類の不正利用を発見することはできても、不正利用の発見前にどのような状況が生じていたかまで把握することはできず、不正利用への対策が後手にまわることとなる。
【0009】
それゆえに、本発明の目的は、保護されるべき文書の流出経路等の把握を容易にする装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、保護されるべき文書の不正な複写等を未然に防止することを可能にする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の局面に係る画像読取装置は、通知のための情報が予め定められた方法で埋め込まれた文書の画像を読取って、その文書の画像信号を発生するための読取手段と、読取手段が発生する画像信号を所定の外部装置に出力するための出力手段と、読取手段が発生する画像信号から、文書に埋め込まれた情報を抽出するための抽出手段と、抽出手段により抽出される情報に基づき、所定の通知先に対する通知を行なうための通知手段とを含む。
【0012】
文書の画像を読取手段が読取りその画像信号を発生すると、抽出手段は、画像信号から、その文書に予め埋め込まれた通知のための情報を抽出する。通知手段は、抽出された情報に基づき所定の通知先に対して通知を行なう。したがって、所定の通知先において、文書の画像の読込が行なわれた際に、通知を受けることができる。よって、不正に流通した画像が実際に発見されなくても、文書の画像が読取られたことを把握できるようになる。
【0013】
好ましくは、文書に埋め込まれる情報は、通知先を示す被通知者情報を含む。通知手段は、抽出手段により抽出される被通知者情報により示される通知先に対して通知を送信するための送信手段を含む。
【0014】
抽出手段により被通知者情報が抽出されると、送信手段は、被通知者情報により示される通知先に対して通知を送信する。したがって、被通知者情報によって文書ごとに通知先を指定でき、文書ごとにその管理を特定の通知先で把握できる。
【0015】
より好ましくは、送信手段は、被通知者情報により示される通知先宛の電子メールで、通知を送信するための手段を含む。
【0016】
抽出手段が被通知者情報を抽出すると、送信手段は電子メールで通知を送信する。文書の画像の読込が行なわれた際に、通知先はその通知を電子メールで受けることができる。電子メールは、ネットワークに接続された多種多様な機器で受信可能なため、それらの機器を用いて容易に通知を受けることができ、利便性が向上する。
【0017】
画像読取装置はさらに、送信手段による通知の送信の可否を検査するための検査手段と、検査手段による検査結果に応じて、読取手段による画像の読取を制御するための手段とを含んでもよい。
【0018】
検査手段と制御するための手段とにより、読取手段による画像の読取が、送信手段による通知の送信の可否に応じて実行される。画像の読取を行なったにもかかわらず通知が送信されないという事態を回避でき、より確実に文書の画像が読取られたことを所定の通知先に通知できる。
【0019】
文書に埋め込まれる情報は、通知手段による通知を行なうべきことを指定する通知指定情報を含んでもよい。通知手段は、抽出手段により抽出される通知指定情報に応答して、通知先に対する通知を行なうための手段を含む。
【0020】
文書の画像が読取られたときに通知を行なうべきことを指定する通知指定情報を、文書に埋め込め込んでおく。必要に応じて、文書の画像が読取られた際に通知を行なうことができる。
【0021】
文書に埋め込まれる情報は、その文書の識別情報を含んでもよい。通知手段は、所定の通知先に対する識別情報の通知を行なうための手段を含む。
【0022】
通知を行なうための手段は、文書に埋め込まれた識別情報を所定の通知先に通知する。通知先では、この通知を受けたときにどの文書の画像が読取られたかを識別できる。どの文書の情報が流出したかを通知先で容易に把握できるようになる。
【0023】
文書に埋め込まれる情報はさらに、通知先を示す被通知者情報を含んでもよく、通知を行なうための手段は、抽出手段により抽出される被通知者情報により示される通知先に対して、識別情報を送信するための送信手段を含んでもよい。
【0024】
被通知者情報により、文書ごとに通知先を指定できる。文書ごとに、適切な通知先で文書を管理できる。
【0025】
画像読取装置はさらに、利用者を認証するための認証手段を含んでもよい。通知手段は抽出された情報に基づき、所定の通知先に対して、認証手段により認証された利用者の通知を行なうための手段を含む。
【0026】
認証手段が利用者を認証すると、通知を行なうための手段は、認証された利用者の通知を行なう。画像読取装置の利用者を通知先において知ることができ、文書の画像の読取を行なった者を、通知先で容易に把握できるようになる。
【0027】
通知手段は、抽出された情報に基づき、所定の通知先に対して、画像読取装置の識別情報の通知を行なうための手段を含んでもよい。
【0028】
通知を行なうための手段は、画像読取装置の識別情報の通知を行なう。画像の読取を実行した画像読取装置が通知先において識別でき、文書の流出経路の把握が容易になる。
【0029】
通知手段は、抽出された情報に基づき、所定の通知先に対して、読取手段による読取時の設定情報の通知を行なうための手段を含んでもよい。
【0030】
通知を行なうための手段は、読取時の設定情報の通知を行なう。画像の読取が実行された時点の読取時の設定を通知先において知ることができ、読取られた画像の状態、文書の流出経路、及び文書の情報の履歴を把握しやすくなる。
【0031】
好ましくは、画像読取装置はさらに、予め定める判定基準に基づき画像の読取の可否を判定するための判定手段と、判定手段により読取可能と判定されたことに応答して、画像の読取が実行されるよう読取手段を制御するための読取制御手段とを含む。
【0032】
読取手段は、判定基準に基づき読取可能と判定された場合に限り、画像の読取を実行する。判定基準に反して画像の読取が実行されることを防止できる。
【0033】
より好ましくは、判定手段は、利用者に対する認証を行ない、認証の成否に基づき、読取手段による文書の読取の可否を判定するための手段を含む。
【0034】
判定するための手段は、利用者に対する認証を行ない、その成否に基づき読取の可否を判定する。読取制御手段は、その判定結果にしたがい読取手段を制御する。読取手段による読取が実行されるか否かは、利用者の認証の成否に応じて決定される。読取の権限を持たない者が不正に画像読取装置を用いて画像の読取を行なうことを未然に防止できる。
【0035】
より好ましくは、判定手段は、所定の装置から、利用者についての認証の成否を示す情報を受信するための手段と、認証の成否を示す情報に基づき、読取手段による画像の読取の可否を判定するための手段とを含む。
【0036】
受信するための手段が所定の装置から認証の成否を示す情報を受信すると、判定するための手段がその情報に基づき読取の可否を判定する。読取制御手段は、その判定結果にしたがい読取手段を制御する。読取手段による読取が実行されるか否かは、利用者の認証の成否を示す情報に応じて決定される。利用者の認証の成否を示す情報を所定の装置で画像読取装置に供給することにより、読取の権限を持たない者が不正に画像読取装置を用いて画像の読取を行なうことを未然に防止できる。
【0037】
好ましくは、画像読取装置はさらに、抽出手段により抽出された情報をもとに、出力手段による画像信号の出力の可否を判定するための出力判定手段と、出力判定手段により出力可能と判定されたことに応答して画像信号の出力が実行されるよう、出力手段を制御するための出力制御手段とを含む。
【0038】
抽出手段は、文書に埋め込まれた情報を抽出する。出力判定手段は、抽出手段により文書から抽出された情報をもとに、出力手段による画像信号の出力の可否を判定する。出力制御手段は、その判定結果にしたがい出力手段を制御する。出力手段による画像信号の出力が実行されるか否かは、文書に埋め込まれた情報をもとに決定される。出力判定手段により出力不可と判定されるような情報を予め文書に埋め込んでおくことにより、その文書の画像の出力が行なわれることを防止できる。
【0039】
本発明の第2の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されると、当該コンピュータを上記したいずれかの画像読取装置として動作させる。したがって、このコンピュータプログラムをコンピュータで実行することにより、上記した本発明の第1の局面の作用及び効果をコンピュータで実現することができる。
【0040】
本発明の第3の局面に係る記録媒体は、本発明の第2の局面に係るコンピュータプログラムを記録した、コンピュータで読取可能な記録媒体である。この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータで読取り、実行することにより、本発明の第1の局面の作用及び効果を実現できる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の第1の局面によれば、文書の画像の読込が行なわれた際に、所定の通知先において通知を得ることができる。不正に流通した画像が実際に発見されなくても、文書の流出を把握することができる。よって、不正利用への対策を早期に実施できるようになる。また、文書に応じて通知先を被通知者情報によって指定できる。さらに電子メールで通知を送信することにより、利便性が向上する。
【0042】
また、通知を送信せずに画像の読取を行なうような事態を回避でき、より確実に通知を送信できる。
【0043】
通知指定情報を文書に埋め込め込んでおくことにより、指定に該当する文書の画像が読取られた際に、通知を行なうことができる。文書の識別情報をその文書に埋め込んでおけば、識別情報の通知を行なうことができ、画像が読取られた文書が通知先で識別できる。画像読取装置の利用者を認証し通知することにより、画像読取装置を用いて文書の画像を読取った利用者を通知先で特定できる。画像読取装置の識別情報を通知することにより、画像の読取を実行した画像読取装置を通知先が識別できる。読取時の設定情報の通知により、画像の読取が実行された時点の画像読取の設定を通知先で知ることができるようになる。通知先で文書の複写状況、流出経路、及び文書の情報の履歴等を把握することが容易になり、文書の不正利用に対する強力な抑止力となる。
【0044】
予め定めた判定基準に反して画像の読取が実行されたり、読取の権限を持たない者が不正に画像読取装置を用いて画像の読取又は出力を行なったりすることを防止できる。利用者の認証を別の装置で行ないその結果を画像読取装置に供給することにより、権限を持たない者による画像の読取が防止できる。また文書に、出力判定手段が出力不可と判定するよう予め情報を埋め込んでおくことにより、その文書の画像の流出も防止できる。
【0045】
本発明の第2の局面に係るコンピュータプログラムよれば、このコンピュータプログラムをコンピュータで実行させることにより、第1の局面に係る発明と同様の効果を奏することができる。
【0046】
本発明の第3の局面に係る記録媒体によれば、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータで実行させることにより、第1の局面に係る発明と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態について説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、同一の部品に同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての説明は繰返さない。
【0048】
本実施の形態のシステムは、文書の利用者について認証を行なうことにより、文書の複写権限を有する利用者のみに文書の複写を許可する。また、文書を複写するために画像の読取が行なわれた時点で、文書を管理する立場にある被通知者に所定の通知を行なう。
【0049】
図1に、本発明の第1の実施の形態に係るシステム全体の構成を示す。図1を参照して、本実施の形態に係るシステム50は、ネットワーク52を前提としたものである。システム50は、ネットワーク52に接続可能で、ネットワーク52から文書管理のための所定の情報を受信し、原稿54に埋め込み画像56の形で埋め込んで原稿54を印刷することにより文書58を生成する原稿印刷装置60と、ネットワーク52に接続可能で、埋め込み画像56の埋め込まれた文書58を利用者62による入力に応じて光学的に読取り、得られた画像のデータをもとに文書58の複製物である複写文書68を生成する複写機システム70とを含む。文書管理のための情報は埋め込み画像56として文書58に埋め込まれているので、それを複写して得られた複写文書68にもこの埋め込み画像56が含まれている。なお、本明細書では、埋め込み画像56として埋め込まれる管理のための情報を「管理情報」と呼ぶ。
【0050】
複写機システム70は、文書を光学的に読取り画像データ化して出力する画像読取装置40と、画像読取装置40から画像情報を受けてこれを印刷する印刷装置42とを含む。画像読取装置40は、利用者62による入力をもとに利用者62の権限を判定し、認証された場合にのみ画像読取を行なう。
【0051】
ネットワーク52は、IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3により策定されたネットワーク規格に準拠する方式による通信をサポートする。原稿印刷装置60及び画像読取装置40は特に、TCP(Transmission Control Protocol)及びUDP(User Datagram Protocol)のプロトコルでネットワーク52を介して通信を行なう機能を有する。
【0052】
画像読取装置40は、文書58の画像を読取ることで得られる画像データから埋め込み画像56のデータを検出する機能を有する。画像読取装置40はさらに、当該検出したデータから管理情報を復元し、ネットワーク52を介して当該管理情報に基づき通知を行なう機能を有する。
【0053】
システム50はさらに、ネットワーク52に接続され、文書58を識別可能にするための文書識別情報を原稿印刷装置60に対して供給するとともに、画像読取装置40からの通知を受けて文書58の複写履歴を記録し、文書58を管理する立場にある被通知者64宛に、通知と複写履歴の情報を送信する履歴情報サーバ74と、被通知者64が所持し、ネットワーク52を介して履歴情報サーバ74より被通知者64宛の通知及び複写履歴を受けて、被通知者64に表示する端末装置66と、複写機システム70、端末装置66、及び履歴情報サーバ74の間での情報の授受を仲介するメールサーバ72とを含む。
【0054】
図2に、図1に示す埋め込み画像56として埋め込まれる管理情報の構成を示す。図2を参照して、管理情報80は、通知先となるべき被通知者64(図1参照)を表す被通知者情報82と、この管理情報80が埋め込まれた文書の文書識別情報84とを含む。被通知者情報82は、図1に示す被通知者64を表す情報、及び当該被通知者64が所持する端末装置66のアドレス情報を含む。
【0055】
<画像読取装置40>
図3に、本実施の形態に係る画像読取装置40の機能的構成を示す。図3を参照して、画像読取装置40は、利用者62による入力をもとに利用者62が複写を行なう際の権限を判定し、その結果に応じて認証の成否を表わす信号を出力するための認証部100と、認証部100からの信号及び当該画像読取装置40とネットワーク52との接続状況に応じて、画像読取の条件が充足されていれば文書58の画像を読取って画像データを生成し、当該画像データを印刷装置42へ出力するための読取部102と、読取部102から画像データの入力を受け、当該画像データから管理情報80(図2参照)を抽出するための情報抽出部104と、情報抽出部104により抽出された管理情報80をもとに通知を生成し、ネットワーク52を介して端末装置66及び履歴情報サーバ74に対し通知を送信するための通知部106とを含む。
【0056】
認証部100は、予め定められた利用者62の認証情報が格納された認証情報記憶部110と、利用者62から認証のための入力を受けて当該入力に応じた入力情報を発生するための認証入力部112と、認証情報記憶部110内の認証情報と認証入力部112からの入力情報とを照合することにより利用者62の権限の有無を判定し、その結果に応じて、認証成功を表わす認証成功信号、及び認証失敗を表わす認証失敗信号の一方を出力するための照合部114とを含む。
【0057】
読取部102は、照合部114からの信号を受け、さらにネットワーク52との接続状況を確認し、照合部114からの信号と接続状況とをもとに画像読取を実行するか否かを判定し、当該判定の結果に応じて、画像の読取を命じる制御信号を出力するための読取制御部120と、読取制御部120から画像の読取を命じる制御信号を受けたことに応答して、文書58の画像を光学的に読取って画像データを生成し、印刷装置42及び情報抽出部104に出力する機能を有し、読取制御部120からの制御信号に応答して、画像の読取及び画像データの出力を実行するための画像読取部122とを含む。
【0058】
図4に、認証情報記憶部110(図3参照)に格納される認証情報の一例を示す。図4を参照して、認証情報140は複数のエントリを含む。各エントリは、利用者62に一意に付与されるユーザ識別子142と、ユーザごとに設定されたパスワード144とを含む。
【0059】
通知部106が生成し送信する通知は、利用者62のユーザ識別子(142)、画像読取装置40のネットワーク52上でのアドレス、画像読取装置40に固有のシリアル番号、及び画像読取に関する設定情報を含む。設定情報は、読取時の時刻、文書58の読取枚数、文書の読取サイズ、並びに、読取時の濃度、色、及びコントラスト等を表わす情報を含む。
【0060】
<履歴情報サーバ74>
図5に、履歴情報サーバ74(図1参照)の機能的構成をブロック図形式で示す。図5を参照して、履歴情報サーバ74は、ネットワーク52を介して原稿印刷装置60と通信可能で、原稿印刷装置60により印刷される文書58を識別するための文書識別子を発行し原稿印刷装置60に与える文書識別子処理部162と、ネットワーク52を介して画像読取装置40から通知を受信し、当該通知をもとに文書58の複写履歴をとるとともに、端末装置66に対して当該履歴の情報を送信する通知処理部164と、文書識別子処理部162及び通知処理部164に接続され、文書58の複写機システム70による複写履歴を、文書識別子処理部162により発行された文書識別子ごとに記憶する複写履歴記憶部160とを含む。
【0061】
図6に複写履歴記憶部160に記憶される複写履歴リストの一例を示す。図6を参照して、複写履歴リスト180は、複数のエントリを含む。各エントリは、文書58ごとに一意に付与される文書識別子182と、画像読取装置40による読取の履歴を示す複写履歴情報184とを含む。図6に示す複写履歴リスト180においては、文書識別子182は32ビットの整数である。また、複写履歴情報184は、複写が行なわれた日時と複写機システム70のネットワーク52上でのアドレスとの組を1つのノードとする線形リストである。
【0062】
<印刷装置60>
図7に、原稿印刷装置60の機能的構成をブロック図形式で示す。図7を参照して、原稿印刷装置60は、履歴情報サーバ74と通信を行なって管理情報80(図2参照)を準備し、原稿54に管理情報80を埋め込み画像56として埋め込む情報埋込部190と、情報埋込部190による埋め込みが行われた原稿54を印刷して埋め込み画像56付きの文書58を出力するための印刷部192とを含む。
【0063】
<コンピュータによる実現>
本実施の形態に係る画像読取装置40(図3参照)は、コンピュータハードウェアと、そのコンピュータハードウェアにより実行されるプログラムと、コンピュータハードウェアに格納されるデータとにより実現される。図8にこのコンピュータハードウェアの内部構成を示す。
【0064】
図8を参照して、このコンピュータ200は、キーボード202と、スキャナ204と、CPU(中央処理装置)206と、キーボード202、スキャナ204、及びCPU206に接続されたバス210と、バス210に接続され、ブートアッププログラム等を記憶する読出専用メモリ(ROM)212と、バス210に接続され、プログラム命令、システムプログラム、及び作業データ等を記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)214と、不揮発性メモリ216と、ネットワーク52(図1参照)への接続を提供するネットワークアダプタボード220とを含む。コンピュータ200は、バス210を介して印刷装置42に接続される。
【0065】
コンピュータ200に画像読取装置40の機能を実現させるためのコンピュータプログラムは、ネットワーク52を通じてネットワークアダプタボード220に送信され不揮発性メモリ216に記憶される。プログラムは実行の際に不揮発性メモリ216からRAM214にロードされる。又はネットワーク52を介して、直接にRAM214にプログラムをロードしてもよい。
【0066】
このプログラムは、コンピュータ200にこの実施の形態の画像読取装置40の機能を実現させる複数の命令を含む。この画像読取装置40の機能を実現させるのに必要な基本的機能のいくつかはコンピュータ200上で動作するオペレーティングシステム(OS)又はサードパーティのプログラム、若しくはコンピュータ200にインストールされる各種ツールキットのモジュールにより提供される。したがって、このプログラムはこの実施の形態の画像読取装置40の機能を実現するのに必要な機能全てを必ずしも含まなくてよい。このプログラムは、命令のうち、所望の結果が得られるように制御されたやり方で適切な機能又は「ツール」を呼出すことにより、画像読取装置40の機能を実現させるための命令のみを含んでいればよい。コンピュータシステム200の動作は周知であるので、ここでは繰返さない。
【0067】
図9に、コンピュータ200(図8参照)に画像読取装置40(図3参照)の認証部100の機能を実現させる認証プログラムの制御構造をフローチャートで示す。図9を参照して、認証プログラム240が開始されると、ステップ(以下、単に「S」と表記する。)S242で、利用者62からユーザ識別子とパスワードの入力があったか否かを判定する。入力があればS244へ進む。入力がなければS242の処理を繰返す。S244では、予め記憶している認証情報140(図4参照)を読出す。S246で、認証情報140と入力された情報とを照合し、認証情報140に、入力された情報と一致するユーザ識別子142とパスワード144との組からなるエントリが存在するか否かを判定する。存在すればS248へ進む。存在しなければS250へ進む。S248では、認証成功を表わす認証成功信号を出力し、S252へ進む。S250では、認証失敗を表わす認証失敗信号を出力し、処理を終了する。S252では、利用者62のユーザ識別子を出力し、処理を終了する。
【0068】
図10に、コンピュータ200(図8参照)に画像読取装置40(図3参照)の読取部102の機能を実現させる読取プログラムの制御構造をフローチャートで示す。図10を参照して、読取プログラム260が開始されると、S262において、ネットワーク52(図1参照)への接続状況を確認する。適切に接続されていると確認されればS264へ進む。さもなければS262の処理を繰返す。S264では、認証部100より認証成功信号が入力された否かを判定する。入力されたならばS266へ進む。さもなければS264の処理を繰返す。S266では、文書58を光学的に読取り、画像データを生成する。続くS268では、生成した画像データを印刷装置42(図1参照)及び情報抽出部104(図3参照)へ出力して、処理を終了する。
【0069】
図11に、コンピュータ200(図8参照)に画像読取装置40(図3参照)の情報抽出部104及び通知部106の機能を実現させるプログラムの制御構造をフローチャートで示す。図11を参照して、このプログラム280が開始されると、S282において、文書58の画像が読取られ画像データが出力されたか否か判定する。出力されていればS284へ進む。さもなければS282の処理を繰返す。S284では、画像に管理情報80(図2参照)が埋め込まれていたか否か、すなわち、画像データ内に、埋め込み画像56のデータがあるか否かを判定する。埋め込み画像56のデータがあれば、S286へ進む。さもなければ処理を終了する。S286では、画像データから埋め込み画像56のデータを抽出する。そして抽出したデータから管理情報80(図2参照)を復元する。続くS288では、管理情報80内の被通知者情報82及び文書識別情報84、並びに画像読取装置40のアドレス及び複写時刻の情報等をもとに通知を準備し、当該通知を電子メールで送信して処理を終了する。
【0070】
本実施の形態に係る履歴情報サーバ74(図5参照)は、コンピュータハードウェアと、そのコンピュータハードウェアにより実行されるプログラムと、コンピュータハードウェアに格納されるデータとにより実現される。図12にこのコンピュータハードウェアの内部構成を示す。図12を参照して、このコンピュータ300は、CPU302と、CPU302に接続されたバス304と、バス304にそれぞれ接続されたROM306、RAM308、不揮発性メモリ310、及びネットワークアダプタボード312とを含む。
【0071】
コンピュータ300に履歴情報サーバ74の機能を実現させるためのコンピュータプログラムは、ネットワーク52を通じてネットワークアダプタボード312に送信され不揮発性メモリ310に記憶される。プログラムは実行の際に不揮発性メモリ310からRAM308にロードされる。又はネットワーク52を介して、直接にRAM308にプログラムをロードしてもよい。このプログラムは、コンピュータ300に履歴情報サーバ74の機能を実現させる複数の命令を含む。当該機能を実現させるのに必要な基本的機能のいくつかはOS又はサードパーティのプログラム、若しくは各種ツールキットのモジュールにより提供される。このプログラムは、命令のうち、所望の結果が得られるように制御されたやり方で適切な機能又は「ツール」を呼出すことにより、履歴情報サーバ74の機能を実現させるための命令のみを含んでいればよい。
【0072】
図13に、コンピュータ300(図12参照)に履歴情報サーバ74(図5参照)の機能を実現させるコンピュータプログラムの制御構造をフローチャートで示す。図13を参照して、このプログラム320が開始されると、S322において、文書58に付与されるべき文書識別子となる変数の記憶領域を確保し、当該記憶領域の変数を初期化する。S324で、原稿印刷装置60(図1参照)から文書識別子の要求を受けたか否かを判定する。受けたならばS326へ進む。さもなければS330へ進む。S326では、新たな文書識別子を生成する。すなわち、S322で確保された記憶領域の変数の値に1を加算する等の変更を行なう。続くS328では、S326で生成された文書識別子を原稿印刷装置60へ送信する。処理はS324へ戻る。
【0073】
S330では、画像読取装置40から通知を受信したか否かを判定する。受信したならば、S332へ進む。さもなければS324へ戻る。S332では、複写履歴リスト180(図6参照)を更新する。すなわち、図6を参照して、複写履歴リスト180内の該当するエントリにおいて、複写履歴情報184に、画像読取装置40のアドレスと複写時刻の情報とを追加する。再び図13を参照して、S334では、画像読取装置40から受信した通知に被通知者情報82(図2参照)が含まれているか否かを判定する。含まれていればS336へ進む。さもなければS324へ戻る。S336では、被通知者情報82に基づき、図1に示す被通知者64の端末装置66に対して、S332で追加した分の履歴情報を送信する。処理はS324へ戻る。
【0074】
本実施の形態に係る原稿印刷装置60(図7参照)は、コンピュータハードウェアと、そのコンピュータハードウェアにより実行されるプログラムと、コンピュータハードウェアに格納されるデータとにより実現される。図14にこのコンピュータハードウェアの内部構成を示す。図14を参照して、このコンピュータ350は、プリンタ352と、CPU354と、プリンタ352及びCPU354に接続されたバス356と、バス356にそれぞれ接続されたROM358、RAM360、不揮発性メモリ362、及びネットワークアダプタボード364とを含む。
【0075】
コンピュータ350に原稿印刷装置60の機能を実現させるためのプログラムは、ネットワーク52を通じてネットワークアダプタボード364に送信され不揮発性メモリ362に記憶される。プログラムは実行の際に不揮発性メモリ362からRAM360にロードされる。又はネットワーク52を介して、直接にRAM360にプログラムをロードしてもよい。このプログラムは、コンピュータ350に原稿印刷装置60の機能を実現させる複数の命令を含む。当該機能を実現させるのに必要な基本的機能のいくつかはOS又はサードパーティのプログラム、若しくは各種ツールキットのモジュールにより提供される。このプログラムは、命令のうち、所望の結果が得られるように制御されたやり方で適切な機能又は「ツール」を呼出すことにより、原稿印刷装置60の機能を実現させるための命令のみを含んでいればよい。
【0076】
図15に、コンピュータ350(図14参照)に原稿印刷装置60(図7参照)の機能を実現させるプログラムの制御構造を示す。図15を参照して、このプログラム370が開始されると、S372において、印刷の要求があるか否かを判定する。すなわち、原稿54(図7参照)が与えられ、印刷が要求される状態になればS374へ進む。さもなければS372の処理を繰返す。S374では、履歴情報サーバ74に対して文書識別子の要求を送信する。S376では、履歴情報サーバ74から文書識別子を受信したか否かを判定する。文書識別子を受信したならばS378へ進む。さもなければS376の処理を繰返す。S378では、受信した文書識別子と予め設定された被通知者情報とから管理情報80(図2参照)を準備し、原稿54に管理情報80を埋め込み画像56として埋め込み、文書58の印刷画像のデータを生成する。S380では、S378での処理により生成されたデータをもとに、埋め込み画像56付きの文書58を印刷し、処理を終了する。
【0077】
<動作>
本実施の形態に係るシステム50は以下のように動作する。図1を参照して、原稿54が被通知者64等により原稿印刷装置60に与えられると、原稿印刷装置60は動作を開始する。図7を参照して、原稿印刷装置60の情報埋込部190は、管理情報80(図2参照)を構成する情報のうち被通知者情報82を予め準備している。情報埋込部190は、原稿54の入力に応答して、管理情報80を構成するもう一方の情報である文書識別情報84を得るために、ネットワーク52(図1参照)を介して履歴情報サーバ74へ文書識別子の要求を送信する。
【0078】
図5を参照して、履歴情報サーバ74において文書識別子処理部162は予め文書識別子の準備及び初期化を行なっておく。すなわち、文書識別子となる変数の記憶領域を確保し、当該記憶領域に、当該変数の初期値として整数値0を格納しておく。文書識別子処理部162は、ネットワーク52を介して原稿印刷装置60から要求を受信したことに応答して、記憶領域に格納されている変数の値を、当該変数に1を加算した値で置換する。文書識別子処理部162は、更新後の変数の値を、ネットワーク52を介して原稿印刷装置60に、文書識別子として返信する。
【0079】
図7を参照して、履歴情報サーバ74から文書識別子を受信すると、情報埋込部190は、受信した文書識別子からなる文書識別情報84を生成する。情報埋込部190はさらに、文書識別情報84と、予め準備された被通知者情報82とをもとに、管理情報80(図2参照)を生成する。情報埋込部190は、管理情報80を埋め込み画像56として原稿54に埋め込んで印刷画像のデータを生成し、当該データを印刷部192に与える。印刷部192は、与えられたデータをもとに印刷用紙に画像を印刷する。ここでの印刷により生成される印刷物が、埋め込み画像56付きの文書58となる。
【0080】
図3を参照して、利用者62が画像読取装置40の認証入力部112にユーザ識別子及びパスワードを入力すると、画像読取装置40は動作を開始する。まず、認証入力部112が、利用者62からの入力に応じて入力情報を発生する。入力情報はユーザ識別子及びパスワードを含む。発生した入力情報は照合部114に与えられる。
【0081】
照合部114は、入力情報が与えられたことに応答して、認証情報記憶部110から認証情報140(図4参照)を読出す。照合部114は、読出した認証情報140内で、入力情報と一致するユーザ識別子及びパスワードの組を検索する。一致する組が検索されたことに応答して、照合部114は、利用者62に複写機システム70の利用権限があると判定する。この場合照合部114は、読取部102の読取制御部120に認証成功信号を与え、当該一致する組のユーザ識別子を通知部106に与える。一致する組が検索されなかった場合、照合部114は、利用者に複写機システム70の利用権限がないと判定する。この場合照合部114は、読取制御部120に照合失敗信号を与える。
【0082】
読取部102の読取制御部120は、予めネットワーク52(図1参照)への接続確認を行なっておく。例えば、読取制御部120は、ネットワーク52上にある自ドメインのメールサーバ72に自分宛すなわち画像読取装置40宛の電子メールを送信する。図1を参照して、メールサーバ72がこの電子メールをネットワーク52経由で受信すると、メールサーバ72は、受信した電子メールを、ネットワーク52経由でその宛先である画像読取装置40に送信する。図3を参照して、読取制御部120は、この電子メールをメールサーバ72からネットワーク52経由で受信することにより、ネットワーク52に適切に接続されていることを確認する。
【0083】
ネットワーク52への接続が確認された状態で、照合部114から読取制御部120に信号が与えられると、読取制御部120はその内容を判別する。照合結果情報が認証成功信号であると判別されると、読取制御部120は、画像の読取を命じる制御信号を画像読取部122に与える。
【0084】
画像読取部122は、読取制御部120からの制御信号に応答して、文書58の画像を読取って画像データを生成する。画像読取部122は、生成した画像データを、情報抽出部104及び図1に示す印刷装置42に出力する。画像読取部122は、この際に読取時の時刻、読取った原稿の枚数、原稿のサイズ、及び読取時の濃度等の設定情報を通知部106に与える。
【0085】
図1を参照して、印刷装置42は、画像データの入力を受け、当該画像データをもとに所定の印刷用紙に画像を印刷する。印刷により生成された印刷物が、複写文書68となる。
【0086】
再び図3を参照して、情報抽出部104は、画像読取部122から画像データの入力を受けると、当該画像データから埋め込み画像56(図1参照)のデータの抽出を試みる。埋め込み画像56のデータの抽出に成功すると、情報抽出部104は、抽出したデータから管理情報80(図2参照)を復元する。情報抽出部104は、管理情報80を通知部106に与える。
【0087】
通知部106には、画像読取装置40のネットワーク52上でのアドレス及び画像読取装置40のシリアル番号等の情報が予め準備されている。また、通知部106には、照合部114から利用者62のユーザ識別子が与えられる。さらに通知部106には、画像読取部122から上記した読取時の設定情報が与えられる。情報抽出部104から通知部106に管理情報80(図2参照)が与えられると、通知部106はこれに応答して通知の送信動作を開始する。すなわち通知部106はまず、予め準備された情報と、与えられた情報とをもとに通知を生成する。続いて通知部106は、通知をもとに端末装置66宛及び履歴情報サーバ74宛の電子メールを作成する。通知部106は、作成した電子メールを、ネットワーク52を介してメールサーバ72に送信する。
【0088】
通知部106により送信された電子メールは、図1に示すネットワーク52経由でメールサーバ72に送信される。メールサーバ72は、当該電子メールをネットワーク52経由で端末装置66及び履歴情報サーバ74に送信する。
【0089】
電子メールは端末装置66により表示され、その内容は被通知者64の知るところとなる。
【0090】
図5を参照して、履歴情報サーバ74の通知処理部164は、画像読取装置40からの電子メールを受信すると、当該電子メールに含まれる通知から、文書識別情報84(図2参照)、画像読取装置40のネットワーク上でのアドレス、及び読取時の時刻の情報を取得する。通知処理部164は、取得した文書識別情報84をもとに、複写履歴リスト180(図6参照)内で、文書58の文書識別子に該当するエントリを特定する。通知処理部164は、画像読取装置40のアドレスと読取時の時刻との組、特定又は作成したエントリの複写履歴情報184を格納する。格納された一組の情報は、複写履歴情報184内の線形リストにおいて、新たなノードとなる。次に、通知処理部164は、受信した電子メールに含まれる通知から、被通知者情報82(図2参照)の取得を試みる。取得に成功すると、通知処理部164は、被通知者情報82をもとに被通知者64宛の電子メールのアドレスを特定する。通知処理部164は、特定したアドレスと、文書58についての複写履歴情報184とをもとに、被通知者64(図1参照)宛の電子メールを作成する。通知処理部164は、作成した電子メールを、ネットワーク52を介してメールサーバ72に送信する。
【0091】
通知処理部164により送信された電子メールは、図1に示すネットワーク52経由でメールサーバ72に送信される。メールサーバ72は、当該電子メールをネットワーク52経由で被通知者64の端末装置66に送信する。電子メールは端末装置66により表示され、その内容は被通知者64の知るところとなる。
【0092】
以上のように、本実施の形態に係るシステム50では、画像読取装置40により画像の読取を行なった時点で、被通知者64への被通知者情報に基づく通知が行なわれる。そのため、複写機システム70により文書が複写されたことを、被通知者64はその都度知ることができる。よって、不正に複写された文書が時間の経過にしたがって広く流通してしまう前に、被通知者は対策を講じることができる。また、画像読取装置40は、利用者62が認証された場合にのみ画像読取を行なう。よって、複写の権限を持たない者が文書を不正に複写することを未然に防止できる。本実施の形態に係るシステムではさらに、文書の画像を読取る際に認証された利用者62のユーザ識別子が被通知者64に通知される。また、本実施の形態に係るシステム50ではさらに、履歴情報サーバ74が、文書ごとに、当該文書の画像を読取った装置のアドレス及び当該文書の画像が読取られた日時を複写履歴として管理し、被通知者64に通知する。したがって、被通知者64は、いつ、どの文書が、どの複写機システムで、誰によって複写されたかを通知によって容易に把握できるようになる。すなわち、文書の流出経路等の把握が容易になる。したがって、本実施の形態に係るシステムにより、被通知者64は、迅速にかつ的確に、文書の不正な利用に対処できるようになる。
【0093】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、画像読取装置40は、利用者62の権限の有無によって文書の複写の可否を判定し、複写が可能であるとの判定結果が得られた場合に限り、文書から画像を読取り、印刷装置42へ画像データを出力した。しかし、本発明はこのような実施の形態には限定されない。以下に示す第2の実施の形態では、画像読取装置は、利用者の権限の有無による判定とは別に、文書ごとに複写の可否を判定する。
【0094】
本実施の形態に係るシステムは、図1に示す第1の実施の形態に係るシステム50と類似する。ただし、本実施の形態に係るシステムは、図1に示す画像読取装置40に替えて、以下に説明する画像読取装置を含む。
【0095】
図16に、本実施の形態に係る画像読取装置400の機能的構成を示す。図16を参照して、画像読取装置400は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40と同様に利用者62による入力をもとに利用者62が複写を行なう際の権限を判定し、複写の権限があると判定すると文書から画像を読取って文書の画像データを生成する。ただし、画像読取装置400は、文書の画像データが所定の条件を満たす場合に限り、画像データを印刷装置42へ出力する。本実施の形態における文書422には、管理情報が埋め込み画像420として埋め込まれる。本実施の形態に係る管理情報には、複写の許可及び禁止の別を表わす情報が含まれる。
【0096】
画像読取装置400は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40(図3参照)のものとそれぞれ同一の認証部100と通知部106とを含む。画像読取装置400は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40の読取部102と情報抽出部104とにそれぞれ替えて、認証部100の照合部114及びネットワーク52に接続された読取部402と、読取部402、通知部106、及び印刷装置42に接続された情報抽出部404とを含む。
【0097】
読取部402は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40のものと同一の読取制御部120と、読取制御部120及び情報抽出部404に接続され、読取制御部120から与えられる制御信号にしたがって文書422の画像を読取って画像データを生成し、出力するための画像読取部406とを含む。画像読取部406は、第1の実施の形態に係る画像読取部122と異なり、印刷装置42には接続されない。すなわち画像読取部406は、印刷装置42へ画像データを出力しない。
【0098】
情報抽出部404は、第1の実施の形態に係る情報抽出部104と同様に、入力された画像データから、埋め込み画像420のデータを抽出し、管理情報に復元する機能を有する。情報抽出部404は、第1の実施の形態に係る情報抽出部104と異なり、さらに、管理情報をもとに文書422の複写の可否を判定する機能を有する。情報抽出部404は、接続された印刷装置42への画像データの出力を、その判定結果にしたがって行なう機能を有する。
【0099】
図17に、図16に示す埋め込み画像420として埋め込まれる管理情報の構成の一例を示す。図17を参照して、管理情報430は、第1の実施の形態に係る管理情報80のものと同一の被通知者情報82及び文書識別情報84に加えて、複写の許可及び禁止の別を表す複写可否情報432を含む。複写可否情報432は、図1に示す原稿印刷装置60に原稿54が入力される際に被通知者64等により設定される。原稿印刷装置60は、第1の実施の形態に係る管理情報80と同様の埋め込み方法により、管理情報430を埋め込み画像420として原稿54に埋め込んで、文書422の印刷を行なう。
【0100】
本実施の形態に係る画像読取装置400は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40と同様のコンピュータハードウェアと、そのコンピュータハードウェアにより実行されるプログラムと、コンピュータハードウェアに格納されるデータとにより実現される。
【0101】
コンピュータに本実施の形態に係る画像読取装置400の認証部100の機能を実現させるプログラムの制御構造は、図9に示す認証プログラム240と同一の制御構造である。よってここでは説明を繰返さない。
【0102】
図18に、コンピュータに画像読取装置400(図16参照)の読取部402の機能を実現させる読取プログラム440の制御構造をフローチャートで示す。図18を参照して、本実施の形態に係る読取プログラム440が開始されると、図10に示す第1の実施の形態に係る読取プログラム260のものと同一のS262〜S266の処理を実行する。本実施の形態に係る読取プログラム440では、第1の実施の形態に係る読取プログラム260と異なり、S266が終了すると、S442へ進む。S442では、S266で生成した画像データを情報抽出部404(図16参照)のみに出力し、読取プログラム440を終了する。
【0103】
図19に、コンピュータに画像読取装置400の情報抽出部404及び通知部106の機能を実現させるプログラム460の制御構造をフローチャートで示す。図19を参照して、このプログラム460が開始されると、図11に示す第1の実施の形態に係るプログラム280のものと同一の、S282〜S288の各ステップの処理を実行する。このプログラム460では、図11に示すプログラム280と異なり、S288が終了すると、S462へ進む。S462では、埋め込み画像420のデータから復元された管理情報に複写許可を示す複写可否情報432が含まれているか否かを判定する。含まれていたならばS464へ進む。さもなければ、プログラム460を終了する。S464では、印刷装置42(図1参照)へ、画像データを出力し、プログラム460を終了する。
【0104】
画像読取装置400は、以下のように動作する。図16を参照して、利用者62が画像読取装置400の認証入力部112にユーザ識別子及びパスワードを入力すると、画像読取装置400の認証部100は、第1の実施の形態と同様の動作で、利用者62の利用権限を判定し、判定結果に応じて認証成功信号及び認証失敗信号の一方を、読取部402の読取制御部120に与える。
【0105】
読取部402の読取制御部120は、第1の実施の形態と同様の動作でネットワーク52(図1参照)への接続確認を行なっておく。接続が確認された状態で照合部114から信号が与えられると、読取制御部120は、第1の実施の形態と同様の動作でその内容を判別する。認証成功信号が与えられたと判別されると、読取制御部120は、画像の読取を命じる制御信号を画像読取部406に与える。
【0106】
画像読取部406は、読取制御部120からの制御信号に応答して、文書422の画像を読取って画像データを生成する。画像読取部406は、生成した画像データを情報抽出部404に出力する。また、画像読取部406は、読取時の時刻、読取った原稿の枚数、原稿のサイズ、及び読取時の濃度等の設定情報を通知部106に与える。この際、画像データは印刷装置42(図1参照)に与えられない。したがってこの時点では、印刷装置42は印刷を行なわない。よって、複写文書は生成されない。
【0107】
情報抽出部404は、画像読取部406から画像データの入力を受けると、画像データからの埋め込み画像420(図16参照)のデータの抽出を試みる。埋め込み画像420のデータの抽出に成功すると、情報抽出部404は、抽出したデータから管理情報430を復元し、被通知者情報82と、文書識別情報84と、複写可否情報432とを得る。情報抽出部404は、得られた被通知者情報82と文書識別情報84とを通知部106に与える。通知部106は、第1の実施の形態と同様の動作で通知の電子メールを端末装置66及び履歴情報サーバ74宛で送信する。
【0108】
情報抽出部404はさらに、得られた複写可否情報432について判定を行なう。ここで複写可否情報432が文書422の複写許可を示すとの判定結果を得ると、情報抽出部404は、印刷装置42へ画像データを出力する。印刷装置42は、この時点に至って初めて画像データの入力を受け、当該画像データをもとに所定の印刷用紙に画像を印刷する。ここでの印刷により生成される印刷物が、文書422の複写文書となる。
【0109】
複写可否情報432が複写禁止を示すとの判定結果を得た場合、又は複写可否情報432の抽出に失敗した場合、情報抽出部404は、画像データを破棄する。画像データは印刷装置42に与えられない。印刷装置42は、印刷を行なわず、そのため文書の複写文書は生成されない。
【0110】
以上のように、第2の実施の形態では、画像読取装置400は、文書に埋め込まれた複写可否情報をもとに、文書ごとに複写の可否を判定し、その結果にしたがい、印刷装置42へ画像データを出力する。複写が禁じられている文書、及び複写の可否が不明な文書の画像データは、印刷装置42に供給されることなく破棄される。そのため、当該文書の複写文書が生成されることはない。したがって、複写の禁じられた文書が不正に複写されることを未然に防止できる。また、画像読取装置400は、画像データを破棄する場合においても、通知を送信する。これにより、不正な複写を行なおうとした利用者がいることを、複写文書が実際に出現する前に、被通知者64に通知することができる。
【0111】
なお、第2の実施の形態においては複写可否情報432による複写の可否の判定に失敗した場合に画像データを破棄したが、管理情報430が抽出されなかった場合、及び管理情報430内に複写可否情報432が含まれていなかった場合に、画像データを出力するようにしてもよい。この場合、複写が禁じられた文書の画像データのみが破棄されるようになる。
【0112】
[第3の実施の形態]
第1及び第2の実施の形態では、画像読取装置が利用者62からの入力を受けて利用者の認証を行なった。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。本実施の形態に係るシステムでは、利用者62の認証をネットワーク52に接続された認証入力装置と、ネットワーク52上のサーバ装置とによって行なう。画像読取装置は、ネットワーク52経由で照合結果の情報を受け、当該情報をもとに文書の複写の可否を判定する。
【0113】
図20に、本実施の形態に係るシステムの全体構成を示す。図20を参照して、本実施の形態に係るシステム500は、第1の実施の形態に係るシステム50(図1参照)と同様にネットワーク52を前提としたものである。システム500は、第1の実施の形態に係るシステム50(図1参照)のものと同一の原稿印刷装置60と、履歴情報サーバ74と、端末装置66とを含む。システム500はさらに、複写機システム70に替えて、次の各装置を含む。すなわちシステム500はさらに、ネットワーク52に接続可能で、利用者62による入力を受けて当該入力に対応する入力情報をネットワーク52上の予め定められた装置に送信するための認証情報入力装置502と、ネットワーク52に接続可能で、認証情報入力装置502からネットワーク52経由で与えられる入力情報をもとに利用者62の権限を判定し、当該判定の結果を表わす情報を、ネットワーク52上の予め定められた画像読取装置に送信するための認証サーバ504と、ネットワーク52に接続可能で、認証サーバ504からの情報に応じて文書58を光学的に読取って画像データを生成し、当該画像データをもとに複写文書68を生成する複写機システム506とを含む。
【0114】
複写機システム506は、図1に示す第1の実施の形態のものと同一の印刷装置42と、認証サーバ504からの情報に応じて文書58を光学的に読取って画像データを生成し、印刷装置42に出力するための画像読取装置510とを含む。画像読取装置510は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40と同様に、文書58の画像を読取ることで得られる画像データから埋め込み画像56のデータを検出する機能を有する。画像読取装置510はさらに、当該検出したデータから管理情報を復元し、当該管理情報に基づく通知を、ネットワーク52を介して行なう機能を有する。
【0115】
図21に、本実施の形態に係る画像読取装置510の機能的構成を示す。図21を参照して、本実施の形態に係る画像読取装置510は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40のものと同一の画像読取部122、及び画像読取部122を制御する読取制御部520からなる読取部512と、第1の実施の形態に係る画像読取装置40のものとそれぞれ同一の情報抽出部104及び通知部106とを含む。読取制御部520は、認証サーバ504からの情報をネットワーク52経由で受信し、当該情報をもとに画像読取の可否の判定を行ない、画像読取部122を制御する機能を有する。
【0116】
図22に本実施の形態に係る認証情報入力装置502の機能的構成を示す。図22を参照して、認証情報入力装置502は、図3に示す第1の実施の形態に係る画像読取装置40のものと同一の認証入力部112と、認証入力部112が発生する入力情報を、ネットワーク52を介して認証サーバ504に送信する認証情報出力部530とを含む。
【0117】
図23に本実施の形態の認証サーバ504の機能的構成を示す。本実施の形態に係る認証サーバ504は、図3に示す第1の実施の形態に係る画像読取装置40のものと同一の認証情報記憶部110と、ネットワーク52に接続され、認証情報入力装置502から入力情報を受信して認証情報記憶部110内の認証情報と照合することにより利用者を認証し、ネットワーク52を介して、予め定められた画像読取装置510に、照合結果を表わす情報を送信する照合部540とを含む。
【0118】
本実施の形態に係る画像読取装置510は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40と同様に、コンピュータハードウェア、プログラム、及びデータにより実現される。コンピュータに画像読取装置510の機能を実現させるプログラムにおいて、情報抽出部104及び通知部106の機能を実現するプログラムは、図11に示すプログラムと同一である。ただし、本実施の形態に係る画像読取装置510の読取部512の機能を実現させる読取プログラムは、図10に示す読取プログラム260と異なる。図24に、本実施の形態に係る画像読取装置510の読取部512の機能を実現する読取プログラムの制御構造を示す。
【0119】
図24を参照して、本実施の形態に係る読取プログラム550が開始されると、S552において、照合結果を表わす情報を受信したか否かを判定する。受信したならば図10に示す第1の実施の形態のものと同一のS266及びS268へ進み、文書の画像の読取と、画像データの生成及び出力とを行ない、処理を終了する。
【0120】
本実施の形態に係る読取制御部520は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40と異なり、利用者62から認証情報の入力を受けない。図20に示す認証情報入力装置502及び認証サーバ504が第1の実施の形態に係る認証部100と同様の機能を実現する。すなわち、利用者62が認証情報入力装置502(図22参照)の認証入力部112にユーザ識別子及びパスワードを入力すると、認証入力部112が利用者62からの入力に応じて入力情報を発生する。認証情報出力部530は、発生した入力情報を、ネットワーク52を介して認証サーバ504へ送信する。図23を参照して、認証サーバ504の照合部540は、入力情報を受信すると、第1の実施の形態に係る画像読取装置40の照合部114(図3参照)と同一の動作で認証情報記憶部110から認証情報140(図4参照)を読出し、入力情報と一致するユーザ識別子及びパスワードの組を検索する。照合部540は、当該検索の成否をもとに利用者62の利用権限を判定する。照合部540は、照合結果の情報を、ネットワーク52を介して予め定められた画像読取装置510へ送信する。
【0121】
図21を参照して、画像読取装置510の読取制御部520は、認証サーバ504からネットワーク52経由で認証結果を表わす情報を受信する。読取制御部520は、認証サーバ504から照合結果を表わす情報が与えられると、その内容を判別する。照合結果を表わす情報が複写機システム506の利用可能を表わすものであると判別されると、読取制御部520は、画像の読取を命じる制御信号を画像読取部122に与える。画像読取部122、情報抽出部104、及び通知部106は、第1の実施の形態と同様の動作を実行する。
【0122】
以上のように、本実施の形態に係るシステム500では、認証の結果がネットワーク52経由で読取制御部520に与えられる。読取制御部520が認証の結果を受取ることで、同時にネットワーク52への接続を確認できる。よって読取制御部520による接続確認の動作を簡略化できる。
【0123】
なお、上記した第3の実施の形態では、認証サーバ504は、照合結果を表わす情報を予め定められた画像読取装置510に対して送信した。しかし本発明はこのような実施の形態には限定されない。認証サーバ504は、ネットワーク52に接続された装置の中から照合結果を表わす情報の送信先となる画像読取装置510を特定し、当該特定した送信先に照合結果を表わす情報を送信するようにしてもよい。例えば、認証情報入力装置502が認証サーバ504に対して認証情報とともに画像読取装置510のアドレス情報等を送信し、認証サーバ504がアドレス情報等をもとに画像読取装置510を特定するようにしてもよい。この場合、利用者62が認証情報入力装置502に対し認証情報とともに画像読取装置510のアドレス情報等を入力するようにしてもよいし、認証情報入力装置502が、近隣にある画像読取装置510を所定の検出方法を用いて検出し、当該画像読取装置510のアドレス情報等を得るようにしてもよい。また例えば、画像読取装置510が複数ある場合、利用者62ごとに、利用可能な複写機システムを予め割り当てておき、当該割り当てに関する情報と画像読取装置510のアドレス情報とを認証サーバ504が保持するようにしてもよい。この場合、認証サーバ504は、認証情報をもとに利用者62の利用権限を判定するとともに、当該利用者62に割り当てられた画像読取装置510を特定する。認証サーバ504は、当該特定された画像読取装置510に対して照合結果を表わす情報を送信する。
【0124】
[第4の実施の形態]
第1から第3の実施の形態では、画像読取装置は、ネットワーク52を介して、被通知者64へ通知すべき情報を送信した。しかし、本発明はこのような実施の形態には限定されない。本実施の形態に係るシステムは、ネットワーク52を前提としない。本実施の形態に係る画像読取装置620は、ネットワーク52を介して通知を送信する代りに、通知内容を表示する。
【0125】
図25に、本実施の形態に係るシステム全体の構成を示す。図25を参照して、本実施の形態に係るシステムは、図1に示す第1の実施の形態に係るシステム50のものと同一の原稿印刷装置60と、第1の実施の形態に係るシステム50の複写機システム70と類似するが、通知内容を表示するという機能を持つ点で複写機システム70と異なる複写機システム610とを含む。複写機システム610は、第1の実施に係る複写機システム70の画像読取装置40に替えて、画像読取装置40と類似の画像読取装置620を含む。本実施の形態において、複写機システム610は、文書604の画像を読取り、複写文書606を生成する。文書604には、管理情報が埋め込み画像602として埋め込まれる。
【0126】
図26に、本実施の形態において文書604に埋め込まれる管理情報の構成を示す。本実施の形態に係る管理情報630は、画像読取装置620に対して当該文書の読取時に通知を行なうことを指定する通知指定情報632を含む。
【0127】
図27に、本実施の形態に係る読取装置620の構成を示す。図27を参照して、画像読取装置620は、第1の実施の形態のものと同一の認証部100と、認証部100の照合部114により出力される信号に応じて、文書604の画像を読取って画像データを生成し出力する読取部642と、読取部642から画像データの入力を受け、当該画像データから通知指定情報632を抽出する情報抽出部644と、抽出部644により通知指定情報632が抽出された事に応答して、通知を準備し、出力する通知部646とを含む。画像読取装置620はさらに、通知部646による出力を受けてこれを表示する表示部648を含む。
【0128】
読取部642は、第1の実施の形態に係る読取部102(図3参照)のものと同一の画像読取部122と、第1の実施の形態に係る読取制御部120と同様に照合部114からの照合結果に応じて制御信号を画像読取部122に与える読取制御部650とを含む。本実施の形態に係る読取制御部650は、図3に示す読取制御部120と異なり、図1に示すネットワーク52との接続機能を持たず、ネットワーク52との接続状況を確認する機能も持たない。
【0129】
図28に、コンピュータに本実施の形態に係る情報抽出部644及び通知部646の機能を実現させるプログラムの制御構造を示す。図28を参照して、処理660が開始されると、S662において、画像の読取を待つ状態となる。画像の読取が完了すると、S664へ進む。S664では、画像データより復元された管理情報に、通知指定情報632が含まれているか否かを判定する。含まれていればS666へ進む。さもなければ処理を終了する。
【0130】
S666では、照合部114による照合の結果得られるユーザ識別子と、画像読取の際の設定情報とに基づき、表示部648(図27参照)に通知を表示させ、処理を終了する。
【0131】
以上のように、本実施の形態に係る画像読取装置は、文書に埋め込まれた通知指定情報にしたがい被通知者への通知を表示する。表示を見ることができる位置に被通知者が存在するという状況下で、被通知者に即時に通知を行なうことができる。
【0132】
なお、本実施の形態において、通知部646及び表示部648は、表示によって通知を行なったが、本発明は、このようなものには限定されない。例えば、通知の内容に応じた警報音を発するようにしてもよいし、通知の内容を音声等に変換して出力するようにしてもよい。
【0133】
[第5の実施の形態]
上記した第1〜第3の実施の形態では、通知部は、ネットワークを介して通知を行なった。しかし本発明はこのような実施の形態には限定されない。例えば、電話回線網を通じて被通知者の電話に通知を行なうようにしてもよい。
【0134】
図29に、本実施の形態に係る画像読取装置700の機能的構成を示す。図29を参照して、画像読取装置700は、第1の実施の形態に係る画像読取装置40のものと同一の認証部100と、第4の実施の形態に係る画像読取装置620のものと同一の読取部642と、読取部642の画像読取部122から画像情報を受け、当該情報から被通知者情報として被通知者64の所持する電話機704の電話番号を抽出する情報抽出部712と、図3に示す第1の実施の形態の通知部106と同様に通知を準備し、電話回線網702を介して、電話機704へ通知を行なう通知部714とを含む。
【0135】
本実施の形態では、少なくとも被通知者の電話機704に付与されている電話番号が、埋め込み画像56として文書58に埋め込まれる。通知部714は、第1の実施の形態に係る通知部106と同様の動作で通知を生成し、さらに、当該通知情報をもとに音声信号を発生する。通知部714は、電話番号をもとに電話回線網702を通じて電話機704を呼出し、当該音声信号を、電話回線網702を介して電話機704に送信する。
【0136】
以上のように、本実施の形態に係る画像読取装置は、文書に埋め込まれた被通知者情報をもとに通知先の電話番号を特定し、当該番号の電話への電話通信によって通知を行なう。履歴情報サーバによる履歴の管理が必要ない場合に、直接的に被通知者への通知を行なうことができる。
【0137】
なお、第5の実施の形態では、通知情報をもとに音声信号を発生し、電話回線網702を介して送信したが、本発明は、このような実施の形態には限定されない。例えば、通知内容を表わす画像のファクシミリ信号を生成し、電話回線網702を介して所定のファクシミリ装置に当該ファクシミリ信号を送信するようにしてもよい。また、電話回線網702を用いた既存の文字メッセージ交換サービス等を用いて通知内容を表わす文字メッセージを送信するようにしてもよい。
【0138】
なお、上記した第1〜第5の実施の形態では、利用者62の認証の際に、ユーザ識別子及びパスワードを照合する方法を用いた。しかし、本発明はこのような実施の形態には限定されない。例えば、利用者がPIN(Personal Identification Number)コードを入力したり、利用者の指紋・虹彩などの生体認証を行なうための入力デバイスを用いたりしてもよい。また、予めIC(Integrated Circuit)カード等に認証情報を記憶させておき、記憶させておいた情報を用いて照合を行なうようにしてもよい。また、顔認証のように、利用者が装置の前に立つだけで認証情報を得られるような形態でもよい。
【0139】
上記した第1の実施の形態では、読取制御部120は、ネットワーク52への接続が確認され、かつ利用可能を表わす内容の照合結果情報が与えられた場合に、画像読取部122に対し、画像の読取を命じる制御信号を与えた。しかし、本発明はこのような実施の形態には限定されない。例えば、読取制御部120は、ネットワーク52への接続が確認されていない段階で照合結果情報が与えられた場合にも、画像の読取を命じる制御信号を与えるようにしてもよい。この場合、通知部106は、通知を一時的に記憶しておいて、ネットワーク52への接続が確認された時点で、当該通知の送信を行なうようにしてもよい。
【0140】
上記した第1〜第3の実施の形態では、画像読取装置(例えば図1参照)は、端末装置66及び履歴情報サーバ74宛に通知を送信した。しかし、本発明はこのような実施の形態には限定されない。例えば、被通知者への通知が、画像読取装置から履歴情報サーバ74を経由して端末装置66に送信されるようにしてもよい。この場合、例えば画像読取装置40は、履歴情報サーバ74に通知を送信する。履歴情報サーバ74は、画像読取装置から送られた通知をもとに複写履歴をとり、当該通知に複写履歴を表わす情報を追加して端末装置66に送信するようにしてもよい。履歴情報サーバ74は、画像読取装置から送られた通知をもとに複写履歴をとり、当該通知に複写履歴を表わす情報を追加して端末装置66に送信するようにしてもよい。
【0141】
なお、上記した第1から第3の実施の形態において、ネットワーク52を介して授受される情報は、暗号化等の技術を用いて秘匿するようにしてもよい。
【0142】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置40を含むシステム50の構成を示す概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る管理情報の構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る画像読取装置40の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】認証情報記憶部110に記憶される認証情報の一例を示す図である。
【図5】履歴情報サーバ74の構成を示すブロック図である。
【図6】複写履歴記憶部160に記憶される複写履歴情報の一例を示す図である。
【図7】原稿印刷装置60の構成を示すブロック図である。
【図8】画像読取装置40の機能を実現するコンピュータ200の内部構成を示す図である。
【図9】コンピュータ200に画像読取装置40の認証部100の機能を実現させるプログラム240の制御構造を示すフローチャートである。
【図10】コンピュータ200に画像読取装置40の読取部102の機能を実現させるプログラム260の制御構造を示すフローチャートである。
【図11】コンピュータ200に画像読取装置40の情報抽出部104及び通知部106の機能を実現させるプログラム280の制御構造を示すフローチャートである。
【図12】履歴情報サーバ74の機能を実現させるコンピュータの内部構成を示す図である。
【図13】コンピュータ300に履歴情報サーバ74の機能を実現させるプログラム320の制御構造を示すフローチャートである。
【図14】原稿印刷装置60の機能を実現させるコンピュータ350の内部構成を示す図である。
【図15】コンピュータ350に原稿印刷装置60の機能を実現させるプログラム370の制御構造を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態に係る画像読取装置400の機能的構成を示すブロック図である。
【図17】第2の実施の形態に係る管理情報の構成を示す図である。
【図18】コンピュータに第2の実施の形態に係る読取部402の機能を実現させる読取プログラム440の制御構造を示すフローチャートである。
【図19】第2の実施の形態に係る情報抽出部404及び通知部106の機能を実現させるプログラム460の制御構造を示すフローチャートである。
【図20】第3の実施の形態に係るシステム500の構成を示す図である。
【図21】第3の実施の形態に係る画像読取装置510の機能的構成を示すブロック図である。
【図22】第3の実施の形態に係る認証情報入力装置502の機能的構成を示す概略図である。
【図23】第3の実施の形態に係る認証サーバ504の機能的構成を示すブロック図である。
【図24】コンピュータに第3の実施の形態に係る画像読取装置510の読取部512の機能を実現させる読取プログラム550の制御構造を示すフローチャートである。
【図25】第4の実施の形態に係るシステム全体の構成を示す概略図である。
【図26】第4の実施の形態に係る管理情報の構成を示す図である。
【図27】第4の実施の形態に係る画像読取装置620の構成を示す図である。
【図28】コンピュータに第4の実施の形態に係る情報抽出部644及び通知部646の機能を実現させるプログラム660の制御構造を示すフローチャートである。
【図29】第5の実施の形態に係る画像読取装置700の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0144】
40,400,510,620,700 画像読取装置、42 印刷装置、52 ネットワーク、54 原稿、56,420,602 埋め込み画像、58,422,604 文書、60 原稿印刷装置、62 利用者、64 被通知者、66 端末装置、72 メールサーバ、74 履歴情報サーバ、100 認証部、102,402,512,642 読取部、104,404,644,712 情報抽出部、106,646,714 通知部、110 認証情報記憶部、112 認証入力部、114 照合部、120,520,650,読取制御部、122,406 画像読取部、160 複写履歴記憶部、162 文書識別子処理部、164 通知処理部、190 情報埋込部、192 印刷部、202 キーボード、204 スキャナ、206,302,354 CPU、210,304,356 バス、212,306,358 ROM、214,308,360 RAM、216,310,362 不揮発性メモリ、220,312,364 ネットワークアダプタボード、352 プリンタ、502 認証情報入力装置、504 認証サーバ、530 認証情報出力部、648 表示部、702 電話回線網、704 電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通知のための情報が予め定められた方法で埋め込まれた文書の画像を読取って、当該文書の画像信号を発生するための読取手段と、
前記読取手段が発生する画像信号を所定の外部装置に出力するための出力手段と、
前記読取手段が発生する画像信号から、前記文書に埋め込まれた情報を抽出するための抽出手段と、
前記抽出手段により抽出される情報に基づき、所定の通知先に対する通知を行なうための通知手段とを含む、画像読取装置。
【請求項2】
前記文書に埋め込まれる情報は、前記通知先を示す被通知者情報を含み、
前記通知手段は、前記抽出手段により抽出される前記被通知者情報により示される通知先に対して前記通知を送信するための送信手段を含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記送信手段は、前記被通知者情報により示される通知先宛の電子メールで、前記通知を送信するための手段を含む、請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
さらに、前記送信手段による前記通知の送信の可否を検査するための検査手段と、
前記検査手段による検査結果に応じて、前記読取手段による画像の読取を制御するための手段とを含む、請求項2又は請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記文書に埋め込まれる情報は、前記通知手段による通知を行なうべきことを指定する通知指定情報を含み、
前記通知手段は、前記抽出手段により抽出される前記通知指定情報に応答して、前記通知先に対する通知を行なうための手段を含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記文書に埋め込まれる情報は、当該文書の識別情報を含み、
前記通知手段は、所定の通知先に対する前記識別情報の通知を行なうための手段を含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記文書に埋め込まれる情報はさらに、前記通知先を示す被通知者情報を含み、
前記通知を行なうための手段は、前記抽出手段により抽出される前記被通知者情報により示される通知先に対して、前記識別情報を送信するための送信手段を含む、請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
さらに、前記画像読取装置の利用者を認証するための認証手段を含み、
前記通知手段は前記抽出された情報に基づき、所定の通知先に対して、前記認証手段により認証された利用者の通知を行なうための手段を含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記通知手段は、前記抽出された情報に基づき、所定の通知先に対して、前記画像読取装置の識別情報の通知を行なうための手段を含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記通知手段は、前記抽出された情報に基づき、所定の通知先に対して、前記読取手段による読取時の設定情報の通知を行なうための手段を含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項11】
さらに、予め定める判定基準に基づき画像の読取の可否を判定するための判定手段と、
前記判定手段により読取可能と判定されたことに応答して、画像の読取が実行されるよう前記読取手段を制御するための読取制御手段とを含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記判定手段は、利用者に対する認証を行ない、当該認証の成否に基づき、前記読取手段による画像の読取の可否を判定するための手段を含む、請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記判定手段は、所定の装置から、利用者についての認証の成否を示す情報を受信するための手段と、
前記認証の成否を示す情報に基づき、前記読取手段による画像の読取の可否を判定するための手段とを含む、請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項14】
さらに、前記抽出手段により抽出された情報をもとに、前記出力手段による前記画像信号の出力の可否を判定するための出力判定手段と、
前記出力判定手段により出力可能と判定されたことに応答して前記画像信号の出力が実行されるよう、前記出力手段を制御するための出力制御手段とを含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項15】
コンピュータにより実行されると、当該コンピュータを請求項1〜請求項14のいずれかに記載の画像読取装置として動作させる、コンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のコンピュータプログラムが記録された、コンピュータで読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−211159(P2006−211159A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18869(P2005−18869)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】