画像読影支援システム、および、画像位置合わせ装置、画像出力装置、ならびにプログラム
【課題】画像出力装置で比較対照される1対の被検体の各々を表す2つの画像を並べて出力する場合において、これらの画像中の被検体が対称になるように並べて出力するための位置合わせ処理を効率化する。
【解決手段】位置合わせ処理をフィルムプリンタ4や画像ビューワー5等の画像出力装置で行わずにQA−WS3で前処理として行う。QA−WS3の位置合わせ装置3Bでは、位置合わせ手段32Bが画像P1,P2の基準となる部分の位置合わせ処理を行い、両画像の基準位置のズレ量(移動量)を算出するとともに、位置合わせ後の画像P’を生成する。配信手段33Bは、出力装置情報Rを取得し、配信先に応じて、画像ビューワー5には原画像P1,P2と移動量情報dを、フィルムプリンタ4には位置合わせ後の画像P’を配信する。画像ビューワー5では、画像P1、P2と移動量情報dとに基づいて位置合わせ後の画像を生成して画面表示する。
【解決手段】位置合わせ処理をフィルムプリンタ4や画像ビューワー5等の画像出力装置で行わずにQA−WS3で前処理として行う。QA−WS3の位置合わせ装置3Bでは、位置合わせ手段32Bが画像P1,P2の基準となる部分の位置合わせ処理を行い、両画像の基準位置のズレ量(移動量)を算出するとともに、位置合わせ後の画像P’を生成する。配信手段33Bは、出力装置情報Rを取得し、配信先に応じて、画像ビューワー5には原画像P1,P2と移動量情報dを、フィルムプリンタ4には位置合わせ後の画像P’を配信する。画像ビューワー5では、画像P1、P2と移動量情報dとに基づいて位置合わせ後の画像を生成して画面表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読影支援システム、および、画像位置合わせ装置、画像出力装置、ならびにプログラムに関し、詳細には、比較対照される1対の被検体の各々を表す2つの画像を並べて出力する際に両画像間の位置合わせを行うシステム、および、そのシステムを構成する装置、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影された1対の乳房の画像をフィルム等のハードコピー用出力媒体やCRTやLCD等のソフトコピー用出力媒体に出力する際には、左右の乳房の比較読影を容易にするために、左右の乳房を背中合わせに並べたフォーマット(図6(a)参照)で出力することが行われている。これは左右の乳房の構造、特に乳腺の構造がほぼ対称であることに着目したものであり、このようなフォーマットで出力することにより、左右の乳房の比較観察が容易になり、一方の乳房に癌等の異常陰影があった場合に生じる左右非対称な濃度の分布の発見を容易にするとともに、診断時における見落としを軽減することが可能になる。
【0003】
しかしながら、撮影時のポジショニングのずれ等により、左右の乳房を表す2つの画像を単純に背中合わせに並べただけでは、左右の乳房が対称に出力されないこともある(図6(b)参照)。
【0004】
そこで、本出願人は、比較対照される2つの被検体の医用画像を画像表示装置の表示面上に水平方向に並べて表示する画像表示システムに、被検体の対応位置が表示面上において揃うように、医用画像を位置合わせする位置合わせ手段をさらに設けたシステムを提案している。この画像表示システムにおいて、位置合わせ手段は、2つの医用画像のうち少なくとも一方を、画像表示装置の表示面上においてマウスを用いて鉛直方向に手動で移動させる手段、または、2つの医用画像の各々の中の被検体の対応位置を自動的に検出し、検出された対応位置が表示面上において揃うように、少なくとも一方の画像を自動的に移動させる手段として構成されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−65153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の診断者が各々の特許文献1記載の画像表示システムを利用して同じ1対の乳房を観察する場合、各々の画像表示システムにおいて同じ位置合わせ処理が行われることになり、システム全体としては、同一の処理の重複により非効率的な処理となってしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、画像出力装置で、比較対照される1対の被検体の各々を表す2つの画像を並べて出力する場合において、これらの2つの画像中の被検体が対称になるように並べて出力するための位置合わせ処理を効率化した画像読影支援システム、および、そのシステムを構成する装置、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による画像読影支援システムは、画像出力装置が行っていた位置合わせ機能を分離して画像位置合わせ装置として実装し、この画像位置合わせ装置と画像出力装置とを含むシステムとして構成したことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、画像位置合わせ装置は、被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる画像を受信し(受信手段)、受信した画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、これらの2つの画像を並べて出力する際に、2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向におけるこれら2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、2つの画像の少なくとも一方を2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向に移動して位置合わせを行い(位置合わせ手段)、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量を示す情報ともとの2つの画像とを画像出力装置に供給する(供給手段)ものである。
【0009】
一方、画像出力装置は、上記の画像位置合わせ装置から供給されたこの移動量を示す情報と2つの画像に基づいて、もとの2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えて、2つの画像を並べて出力するものである。
【0010】
また、画像位置合わせ装置が、画像出力装置の要求に応じて、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像、または、位置合わせ後の画像の少なくとも一方を、画像出力装置に選択的に供給するようにし、画像出力装置が、画像位置合わせ装置から供給された、移動量を示す情報ともとの2つの画像、または位置合わせ後の画像に基づいて、もとの2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えて、2つの画像を並べて出力するようにしてもよい。
【0011】
次に、本発明による画像読影支援システムの詳細について説明する。
【0012】
「比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像」の具体例としては、乳房、手、腕、下肢等を表す放射線医用画像が考えられる。乳房の放射線医用画像の場合、2つの画像の組合せとしては、正面画像同士、側面画像同士、または一方の乳房の正面画像と側面画像等が考えられる。なお、これらの2つの画像は、同時期に撮影されたものであり、経過観察のように異なる時期に撮影された画像は含まない。「同時期に撮影された2つの画像」の具体例としては、1回の検査において撮影された2つの画像が考えられる。
【0013】
「2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向」とは、2つの画像を左右(水平方向)に並べた場合には、上下(鉛直)方向、上下に並べた場合には、左右方向を意味する。
【0014】
「2つの画像中の基準となる部分」は、被検体の特徴部分(外形的特徴部分や、濃度または輝度の特徴部分等)とすることが好ましい。これらの特徴部分は各種の自動検出処理によって検出することができるため、位置合わせの自動化を考えた場合に有効だからである。例えば、被検体が左右の乳房である場合、乳腺の分布の対称性に注目した比較観察が有効であるため、放射状に走行する乳腺の端点であるニップル(乳頭)を基準とすることが好ましい。
【0015】
位置合わせ処理は、2つの画像を並べて表示し、操作者がマウスやキーボード等の入力装置を操作して、表示された2つの画像のうち少なくとも一方を手動でこの画像位置合わせ装置の表示面上を移動させる手動処理でもよいし、2つの画像中の基準となる部分の位置を自動的に検出し、検出された位置が揃うように、少なくとも一方の画像を自動的に移動させる自動処理でもよい。また、手動処理と自動処理を組み合わせ、すなわち、2つの画像の少なくとも一方の基準となる部分を検出し、検出された基準となる部分の位置を揃える自動位置合わせ処理と、自動位置合わせの結果を手動で修正する修正処理とを行ってもよい。具体的には、2つの画像の少なくとも一方の基準となる部分を検出し、検出された基準となる部分の位置を揃える自動位置合わせを行い、自動位置合わせがなされた2つの画像を並べて表示し、表示された2つの画像の少なくとも一方を手動でこの画像位置合わせ装置の表示面上を移動させることによって、自動位置合わせの結果を修正するようにしたり、上記の自動位置合わせがなされた2つの画像を並べて表示し、表示された2つの画像中の基準となる部分の位置を手動で修正し、修正後の基準となる部分の位置を自動的に揃えるようにしたりすることが考えられる。
【0016】
「2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量を示す情報」とは、位置合わせ処理によって求められた、2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における2つの画像間のずれ量を意味する。
【0017】
「位置合わせ後の画像」は、位置合わせ処理が行われた2つの画像を、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えて並べた状態で1つの画像として合成したものであってもよいし、2つの画像の少なくとも一方を、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量の分だけ移動させた後の2つの画像、すなわち、単純に並べれば位置合わせがなされた状態での出力が可能となる2つの画像であってもよい。
【0018】
「画像出力装置に供給する」とは、画像位置合わせ装置から画像出力装置に直接的に供給してもよいし、間接的に供給してもよい。ここで、「間接的に」とは、一旦、画像位置合わせ装置から、例えば、画像や画像に関連づけられた情報を記録・管理する画像保管装置等の画像出力装置以外の装置に供給し、この装置から画像出力装置に供給することを意味する。したがって、画像位置合わせ装置(供給手段)は、画像出力装置や画像保管装置等の外部装置に、移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ、または、位置合わせ後の画像の少なくとも一方を直接的に供給するものである。
【0019】
「画像出力装置の要求に応じて」とは、例えば、画像出力装置が画像位置合わせ装置に対して送信する画像要求データに基づいて決定する場合のように、画像出力装置から発せられる情報に応じて、移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ、または、位置合わせ後の画像のどちらを供給するかを決定する場合に限定されず、例えば、画像位置合わせ装置が、画像出力装置の仕様を検索し、画像出力装置が、移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ、または、位置合わせ後の画像のどちらの入力に対応しているかを判断して決定する場合や、画像位置合わせ装置に予め記憶された画像出力装置毎のその画像出力装置で処理可能な入力データの情報を参照して決定する場合のように、画像位置合わせ装置側の処理によって得られる情報に応じて決定する場合も含まれる。また、上記のように画像位置合わせ装置から画像出力装置に間接的に供給する場合には、経由先となる画像出力装置以外の装置の要求に応じて決定してもよい。したがって、画像位置合わせ装置は、画像出力装置や画像保管装置等の外部装置からの要求に応じて、移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ、または、位置合わせ後の画像のどちらを供給するかを決定する。
【0020】
「選択的に供給する」とは、この画像位置合わせ装置が、上記の移動量を示す情報を生成する機能と、位置合わせ後の画像を生成する機能の両方を有しており、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せと位置合わせ後の画像のどちらを外部装置に供給するかを、供給先の外部装置の要求に応じて決定することを意味する。具体的には、上記の位置合わせ処理の段階では、上記の移動量を示す情報と位置合わせ後の画像の両方を生成するようにし、外部装置に供給する際に、供給先の外部装置の要求に応じて、上記のどちらを供給するかを決定するようにしてもよいし、上記の位置合わせ処理の際に、供給先の外部装置の要求に応じて、上記の移動量を示す情報と位置合わせ後の画像の少なくとも一方を選択的に生成し、その生成された移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せと位置合わせ後の画像の少なくとも一方を、供給先の外部装置に供給するようにしてもよい。
【0021】
また、上記の「移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ」と「位置合わせ後の画像」の両方を外部装置に供給し、その外部装置が、処理可能な方を入力として利用するようにしてもよい。
【0022】
画像出力装置が、「画像位置合わせ装置から供給されたこの移動量を示す情報と2つの画像に基づいて、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えて、2つの画像を並べて出力する」場合、その画像出力装置には、この移動量を示す情報と2つの画像とに基づいて、2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、2つの画像の少なくとも一方の出力位置を調整する位置調整手段と、出力位置の調整後の2つの画像を並べて出力する出力手段とを設けることが考えられる。
【0023】
画像出力装置による出力先は、フィルム等のハードコピー用出力媒体であってもよいし、CRTやLCD等のディスプレイ装置、すなわちソフトコピー用出力媒体であってもよい。
【0024】
画像位置合わせ装置の具体的な実装形態としては、被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる画像を受信し、受信した画像に対する規格化処理や画質等のチェックを行うQA−WSと呼ばれるコンピュータに実装することが考えられる。
【0025】
画像位置合わせ装置や画像出力装置は、コンピュータを上記の各々の処理を行わせるプログラムによって制御するようにしてもよい。
【0026】
画像位置合わせ装置と画像出力装置の間での「2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ」や「位置合わせ後の画像」のやり取りは、両装置を接続したネットワーク経由でのデータ通信によって行ってもよいし、両装置で読取可能な記録媒体、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等によって行ってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の画像読影支援システムは、比較対照される1対の被検体の各々を表す2つの画像を並べて出力する際に、これら2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向におけるこれら2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、これら2つの画像の少なくとも一方を移動する位置合わせ処理を、モダリティから逐次送信されてくる画像を受信し、受信した画像の調整を行い、調整が行われた画像を出力するという画像読影ワークフローの中に最適に位置づけたものである。すなわち、この位置合わせ処理を画像出力装置から分離し、画像位置合わせ装置で行うようにしたため、同じ画像を複数の画像出力装置で観察する際に、個々の画像出力装置が同一の位置合わせ処理を重複して行わずに、画像位置合わせ装置が前処理として一括して位置合わせを行うことが可能になり、システム全体としての処理効率が向上する。
【0028】
一方、観察者にとっては、撮影者による被検体の意図的なポジショニング等、もとの画像が有する情報を利用した観察ができることもきわめて重要である。この点については、特許文献1記載の画像表示システムには位置合わせ前のもとの画像が存在するため、もとの画像の観察が可能であるが、上記のように画像位置合わせ処理を画像出力装置から単純に分離して、位置合わせ後の画像のみを画像出力装置に供給するだけでは、もとの画像が画像出力装置に入力されなくなってしまうため、観察者によるもとの画像の観察ができなくなってしまう。そこで、本発明では、画像位置合わせ装置が、位置合わせの結果生成される、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量を示す情報と2つの画像の組合せを画像出力装置に供給するようにし、さらに、画像出力装置が、供給された移動量を示す情報と2つの画像の組合せに基づいて、2つの画像中の基準となる部分の位置が揃えて、2つの画像を並べて出力するようにした。したがって、画像出力装置側では、位置合わせ後の画像の観察ができるだけでなく、画像出力装置側にはもとの画像が供給されることになるため、観察者によるもとの画像の観察が可能になり、画像出力装置から位置合わせ処理を分離しつつも、従来の画像表示システムが有していた機能が失われることなく維持される。また、位置合わせ処理自体は、画像位置合わせ装置によって行われているため、画像出力装置側では、その位置合わせ結果、すなわち上記の移動量を示す情報に基づいて2つの画像の出力位置を調整するだけでよいので、システム全体の処理効率も維持される。
【0029】
以上のように、本発明の画像読影支援システムは、画像位置合わせ装置と画像出力装置の分離によって、位置合わせ処理を画像読影ワークフローの中で最適に位置づけ、システム全体としての処理効率の向上を図るとともに、もとの画像を供給可能にすることによって従来からの観察者のニーズにも応えるようにした、きわめて実用的価値の高いものである。
【0030】
しかし、上記の移動量を示す情報に基づいて2つの画像の出力位置を調整する機能を有さず、入力された画像をそのまま出力する従来の画像出力装置では、このようにもとの2つの画像と位置合わせによる移動量が供給されても、位置合わせ後の画像を出力することができない。そこで、画像位置合わせ装置が、画像出力装置の要求に応じて、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像、または、位置合わせ後の画像の少なくとも一方を画像出力装置に選択的に供給するようにした場合には、画像位置合わせ装置が、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像とに基づいて位置合わせ後の画像を出力可能な画像出力装置には、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像とを供給し、このような出力が不可能な従来の画像出力装置には、位置合わせ後の画像を供給することができるため、画像読影支援システム中に上記の従来の画像出力装置を組み込むことも可能になり、システムの柔軟性が向上する。
【0031】
また、画像位置合わせ装置の位置合わせ手段が、画像出力装置等の外部装置の要求に応じて、上記の移動量を示す情報と位置合わせ後の画像を選択的に生成するようにした場合、必要な場合にのみ位置合わせ後の画像を生成することになるので、処理効率がさらに向上する。
【0032】
なお、位置合わせ処理が、2つの画像の少なくとも一方の基準となる部分を検出し、検出された基準となる部分の位置を揃える自動位置合わせを行うようにした場合には、上記の画像読影ワークフローにおいては、モダリティから画像位置合わせ装置に逐次画像が送信されてくるので、位置合わせ処理を自動化することにより、送信されてくる画像を滞留させることなく、迅速かつ効率的な処理が実現される。
【0033】
さらに、自動位置合わせ結果の手動による修正を行うようにした場合には、自動位置合わせと手動位置合わせ(修正)の両方を備えることにより、位置合わせの精度と効率がさらに向上する。例えば、1対の乳房を被検体とする医用放射線画像におけるニップル(乳頭)を基準とした左右乳房の位置合わせの場合、まったく位置合わせを行わなければ、60%程度のケースでしか位置が合わない。したがって、残りの40%ものケースについて手動で位置合わせを行うには非常に多くの労力が必要となり、位置合わせを行う操作者の負担が大きい。そこで、自動位置合わせを行うようにすると、90%程度のケースで左右乳房の位置が合うようになるので、操作者の負担の軽減に資する。しかし、自動位置合わせで位置が合わない残りの10%のケースについては、病気や手術等により乳房が変形している場合等、もともと左右非対称な乳房を有している患者の画像や、ニップルが写っていない画像であり、自動位置合わせだけで対応することは困難である。そこで、自動位置合わせで位置が合わなかった画像に対して手動による位置合わせを行うようにすることにより、操作者の経験や他の情報に基づく個別的できめの細かい位置の調整が可能になる。以上のように、自動位置合わせによる効率化と手動位置合わせによる高精度化を両立することにより、システム全体としての使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
本発明の第1の実施形態となる画像読影支援システムXは、放射線科情報システム(RIS: Radiology Information System)の一部を構成するものであり、1対の乳房の放射線画像(マンモグラフィ)P1,P2の比較読影を支援するためのものである。図1は、放射線科情報システムの概要を示す図である。図に示すように、放射線科情報システムでは、X線撮影装置1と、CR装置2からなる画像生成系(モダリティ)と、本発明の実施形態となる画像読影支援システムXを構成するQA−WS(画像品質チェック用ワークステーション)3、フィルムプリンタ4、画像ビューワー5、画像保管装置6とがネットワーク9に接続されている。
【0036】
X線撮影装置1は、被検体の放射線画像情報を、シート状の蓄積性蛍光体層を備えてなる蓄積性蛍光体シートIPに記録するものである。
【0037】
CR装置2は、X線撮影装置1によって記録された蓄積性蛍光体シートIPにレーザ光等の励起光を走査して輝尽発光光を生じさせ、得られた輝尽発光光を光電的に読み取ってアナログ画像信号を取得し、このアナログ画像信号をデジタル変換してデジタル画像データP1、P2を生成するものである。
【0038】
QA−WS3は、CR装置2から逐次送信されてくるデジタル画像データP1、P2に対して規格化処理(EDR処理)や、画像の品質を調整するための処理を行うとともに、本発明の画像位置合わせ装置が行う画像位置合わせ処理を行い、さらに、患者や検査の情報Q、配信先の画像出力装置の情報Rを取得し、各処理済の画像データと患者・検査情報Q等とを関連づけて、配信先の画像出力装置に配信する機能を有するコンピュータである。QA−WS3は、CPUや、画像データ等を記憶する主記憶装置(メモリ)、ハードディスク等の外部補助記憶装置、ネットワークインターフェース等の本体ハードウェア、OS等の各種制御プログラムの他、操作者からの要求を入力するキーボードやマウス等の入力装置、画像等を表示するディスプレイ装置等を備えている。
【0039】
図2は、このQA−WS3に実装された本発明の画像位置合わせ装置3Aの概要を示すブロック図である。図に示すように、画像位置合わせ装置3Aは、比較対照される左右1対の乳房の各々を表す2つの画像P1,P2(以下、画像データとその画像データによる画像とは同じ符号を付す)の画像データP1,P2を受信する受信手段31Aと、画像P1,P2を左右に背中合わせに並べて出力する際に、これら2つの画像P1,P2中のニップル部分の上下方向における位置が揃うように、画像P1を上下方向に移動して位置合わせを行い、2つの画像P1,P2中のニップル部分の位置を揃えるための移動量dを示す情報を生成する位置合わせ手段32Aと、その画像P1,P2に関連づけられた患者・検査の情報Qに基づいて、移動量dを示す情報ともとの2つの画像P1,P2の配信先の画像出力装置を特定し、その特定された配信先の画像ビューワー4やフィルムプリンタ5等の画像出力装置にネットワーク9a,9b経由で配信する配信手段33Aとから構成されている。なお、画像位置合わせ装置3Aは、QA−WS3を、上記の受信手段31Aと位置合わせ手段32Aと配信手段33Aとして機能させるためのプログラムによって制御されている。
【0040】
画像データP1,P2は、CR装置2からネットワーク9a経由で送信されるものであり、受信手段31Aによる受信後、QA−WS3のメモリに格納される。
【0041】
患者・検査情報Qは、患者情報や検査オーダー等を入力する装置(図示なし)から送信されてきたものであってもよいし、この送信されてきた情報を登録、管理するデータベースをQA−WS3に設けておき、そのデータベースから取得したものであってもよいし、このQA−WS3に患者・検査情報Qの入力を行う画面等のインターフェースを設けておき、そこから入力されたものであってもよい。この患者・検査情報QもQA−WS3のメモリに格納されている。
【0042】
フィルムプリンタ4は、QA−WS3から配信された画像データによる画像を半切、大角、B4、六切等のフィルムにプリント出力するものである。
【0043】
画像ビューワー5は、QA−WS3から配信された画像データによる画像をディスプレイに表示するコンピュータである。図3は、画像ビューワー5の構成を示すブロック図である。図に示すように、画像ビューワー5は、QA−WS3から配信されたもとの画像の画像データP1,P2と、移動量dを示す情報(以下、移動量情報という)とに基づいて、画像P1と画像P2を背中合わせに並べて表示する際に、画像P1の表示位置を調整する位置調整手段51と、調整済みの画像P1’と画像P2とを背中合わせに表示した際に生じる画像P1’の欠落部分を適低輝度で塗りつぶす低輝度化処理手段52と、処理済画像P1”と画像P2とを背中合わせに並べて表示する表示手段53とを備えたものである。なお、画像ビューワー5は、コンピュータに上記の位置調整手段51、低輝度化処理手段52、表示手段53として機能させるためのプログラムによって制御される。この他、画像ビューワー5では、もとの画像P1、P2等、任意の画像データによる画像の画面表示、これらの画像に対する拡大・縮小、回転、輝度やコントラストの変更、局所領域の抽出やその拡大・縮小等の画像処理や、文字・図形によるコメントの追加、画像中の任意の部分の距離や角度の計測等を行うことができる。
【0044】
画像保管装置6は、画像データを画像データベースに保存・管理するコンピュータであり、大容量外部記憶装置やデータベース管理ソフトウェア(例えば、ORDB(Object Relational DataBase)管理ソフトウェア)を備えている。
【0045】
ネットワーク9aは、CR装置2とQA−WS3とが接続された撮影室内のネットワークであり、ネットワーク9bは、撮影室のネットワーク9aの他、画像ビューワー5が接続された読影室のネットワークや、画像保管装置6が接続されたサーバ室のネットワークと接続された基幹のネットワークである。各装置間の通信は、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)等のプロトコルに基づいて行われる。
【0046】
次に、本発明の画像読影支援システムXの処理の流れについて説明する。図4は、QA−WS3の画像位置合わせ装置3Aに相当する部分で行われる処理を表すフローチャートである。なお、以下でQA−WS3が行う処理は、QA−WS3で実行されるプログラムによって実現されている。
【0047】
まず、受信手段31Aが、CR装置2から逐次送信されてきた画像データP1,P2を受信し、QA−WS3のメモリに格納する(#1)。この画像データP1、P2は、各々、患者の左右の乳房を表す画像のものである。また、撮影時において、個々の患者を識別する患者IDと個々の蓄積性蛍光体シートIPを識別する番号とが関連づけられているため、画像データP1,P2の各々がどの患者のものであるかを、患者IDに基づいて特定することが可能になっている。
【0048】
次に、位置合わせ手段32Aが、QA−WS3によって規格化処理が行われた後の画像データP1,P2をメモリから取得し、取得した画像データP1,P2の各々に基づいて、画像中のニップル部分を基準となる部分として検出する(#2)。具体的には、図5に示すように、エッジ検出等により、乳房Paと直接X線部(素抜け部)との境界線を検出し、この境界線のうち、胸壁側の画像端からの距離lが最も遠い点(半円状の境界線の頂点:lmax)をニップルとして検出する。または、ニップルを表すテンプレート画像を予め準備しておき、各画像P1,P2に対してテンプレートマッチングを行うことによって、ニップルを検出してもよい。
【0049】
さらに、画像P1,P2から検出されたニップルの位置のズレ量を算出する(#3)。具体的には、画像P1、P2の上端を揃えた状態で、各画像から検出されたニップルの鉛直方向における位置の差を算出する。図6は、この処理の例を示す模式図である。図6(a)のように、画像P1とP2の上端を揃えた場合に、画像P1中の乳房PaのニップルNaと画像P2中の乳房PbのニップルNbの鉛直方向における位置が揃っていれば
ズレ量は0となる。一方、図6(b)のように、画像P1とP2の上端を揃えた場合に、ニップルNaとニップルNbの鉛直方向における位置がずれていれば、その差d0がズレ量となる。なお、後続の処理でこのズレ量d0の分だけ画像P1を移動させるため、このズレ量を移動量情報と呼んでいる。
【0050】
そして、位置合わせ後の画像P1とP2をQA−WS3のディスプレイに表示する(#4)。その際、画像P1を移動量d0だけ上下方向に移動し、#3のステップで検出されたニップルの位置が揃うようにして位置合わせ後の画像を表示する。図7は、QA−WS3のディスプレイに表示される画面の一例である。図に示すように、位置合わせ手段32Aは、位置合わせ後の左右の乳房の画像を、画像101から106の各々の大きさに縮小処理し、左右の乳房の組(101と102、103と104、105と106)の単位で、一定の時間間隔で矢印D1の方向に流れていくように、図の画面の下部の領域100に順次表示する。なお、画面上部については後述する。
【0051】
QA−WS3の操作者は、図7の画面下部100に順次表示される画像を見て、画像の品質をチェックするとともに、左右の乳房が正しく位置合わせが行われているかをチェックする。ここで、縮小画像101と102や105と106のように、品質に問題がなく、正しく位置合わせが行われているものについては、操作者は特に操作を行わず、縮小画像は矢印D1の方向に流れていく。これに対して、縮小画像103と104のように正しく位置合わせが行われていないものを操作者が発見した場合には、操作者は、QA−WS3のマウスを操作して、この縮小画像の組のいずれか一方をポインタ102で指示してドラッグし、画面上部の領域110にドロップする。QA−WS3では、この操作に応じて、縮小画像103と104を領域110の大きさに拡大処理して表示する。操作者は、画像111または112のいずれかをドラッグして上下方向に移動させることによって、画像の位置を手動で調整する。図では、画像112を矢印D2方向に移動させている。位置の手動調整が終わったら、操作者はマウスを操作して、ポインタ120を修正実行ボタン121に合わせ、マウスをクリックすることによって、修正実行ボタン121を押下する。なお、操作者が、画像の品質に問題があると判断した場合には、再撮影指示ボタン122を押下して、その画像の再撮影を指示することも可能である。また、付帯情報表示ボタン123を押下することによって、画像に関連づけられた患者IDと個々の蓄積性蛍光体シートIPを識別する番号に基づいて、患者や検査、画像の詳細を表す付帯情報を表示することも可能である。さらに、一時停止/再開ボタン124を押下することにより、縮小画像が順次表示されていく矢印D1方向への流れを一時停止したり、一時停止状態から再開したりすることも可能である。
【0052】
上記の修正実行ボタン121の押下が行われた場合には、QA−WS3がこれを検出し、修正後の移動量dの算出を行う(#6)。具体的には、上記の手動調整によって画像111または112が移動した量d1'を取得し、もとの画像と画像111または112との間での縮小率に基づいて、もとの画像における移動量d1を算出する。さらに、算出された移動量d1を、#3のステップで算出した移動量d0に加算(減算)し、修正後の移動量dを算出する。
【0053】
次に、配信手段33Aが、もとの画像データP1,P2に関連づけられた患者・検査情報Qに基づいて、配信先の装置を特定し、その特定された装置に、修正後の移動量dともとの画像データP1,P2を配信する(#7)。ここで、患者・検査情報Qは、患者情報と検査情報とに分類される。まず、検査情報は、検査を識別する検査ID毎に、特定される患者ID、検査部位、検査日時、依頼元、配信先の画像出力装置を特定する配信先ID等の検査の詳細を表す情報が関連づけられて構成されている。患者情報は、患者を識別する患者ID毎に、患者の氏名、年齢、性別等の患者の属性を表す情報が関連づけられて構成されている。したがって、検査情報中の患者IDに基づいて患者情報を参照することによって、その検査を受けた患者の詳細な情報を参照することができる。配信手段33Aは、もとの画像データP1,P2に関連づけられた検査情報の中から配信先IDを取得し、これにより特定される画像出力装置(ここでは、画像ビューワー5とする)に、修正後の移動量dともとの画像データP1,P2を配信する。
【0054】
画像ビューワー5は、QA−WS3から配信されたもとの画像データP1、P2と移動量情報dを受信し、位置調整手段51が、画像P1を移動量dだけ上下方向に移動した状態を示す調整済画像データP1'を生成する(図8(a)参照)。しかしながら、これだけでは、画像P1の移動により図8(a)のP0の領域が欠落し、最高輝度(最低濃度)で出力されてしまい、読影者は眩しさのため読影しづらくなってしまう。そこで、低輝度化処理手段52が、図8(b)のように、この領域P0を最低輝度(最高濃度)化する処理を行い、処理済画像データP1"を生成する。そして、表示手段53は、処理済画像P1"ともとの画像P2を左右に並べて表示する。これにより、図8(b)のように、ニップルの位置が揃った左右乳房の画像が表示される。
【0055】
以上のように、本発明の実施形態となる画像読影支援システムXは、画像の生成(X線撮影装置1、CR装置2)、画像の調整(QA−WS3)、画像の出力(画像ビューワー5等)という画像読影ワークフローにおいて、位置合わせ処理を最適に位置づけたものである。すなわち、位置合わせ処理をフィルムプリンタ4や画像ビューワー5等の画像出力装置で行わずに、QA−WS3で前処理として行うようにしたため、同じ画像P1,P2を複数の画像出力装置で出力する場合であっても、同一の位置合わせ処理を複数の画像出力装置の各々で行う必要がなくなるため、システム全体としての処理効率が向上する。
【0056】
また、画像位置合わせ装置3Aの配信手段33Aが、もとの画像データP1,P2と移動量情報dとに分けて配信することにより、画像ビューワー5側では、位置調整手段51と低輝度化処理手段52とにより位置合わせ後の画像P'を生成して画面表示することができるだけでなく、もとの画像P1,P2をそのまま表示したり、画像処理を行ったりできるため、もとの画像に基づいて位置合わせ処理を行っていた従来の画像表示システムと同様に、もとの画像の表示や画像処理等の機能が維持される。また、位置合わせ処理自体は、QA−WS3の画像位置合わせ装置3Aで行われているので、画像ビューワー5では、2つの画像の出力位置の調整を行うだけでよくなり、システム全体の処理効率も維持される。
【0057】
また、画像位置合わせ装置3Aが、位置合わせの基準となるニップルの位置を自動検出し、2つの画像間でのニップルの位置のズレ量を自動的に算出することによって、画像読影ワークフローにおいて、画像生成系から送信されてくる画像を滞留させることなく、迅速かつ効率的な処理が実現される。
【0058】
さらに、画像位置合わせ装置3Aが自動で位置合わせを行った後、この自動位置合わせ後の画像を画面表示し、操作者が手動での位置の修正を行えるようにしたことにより、自動位置合わせでは対応できない特殊な画像の位置合わせも可能になるため、位置合わせの精度が向上する。
【0059】
本発明の第2の実施形態となる画像読影支援システムYは、出力位置の調整機能を有していない、受信した画像データを所定のサイズのフィルムにプリントするだけの単機能的な画像出力装置もシステムの構成要素として組み込めるようにしたものである。システムの概要は、図1と同様である。以下、第1の実施形態の画像読影支援システムXとの相違点を中心に説明する。
【0060】
図9は、このQA−WS3に実装された本発明の画像位置合わせ装置3Bの概要を示すブロック図である。図に示すように、画像位置合わせ装置3Bは、位置合わせ手段32Bが、位置合わせ手段32Aと同様にして、2つの画像P1,P2中のニップル部分の位置を揃えるための移動量dを示す情報を生成するとともに、左右の乳房が背中合わせに並べられて合成された位置合わせ後の画像P’(以下、移動量dを示す情報と位置合わせ後の画像P’を合わせて位置合わせ結果という)とを生成するようにした点と、配信手段33Bが、その画像P1,P2に関連づけられた患者・検査の情報Qに基づいて、位置合わせ結果やもとの2つの画像P1,P2の配信先の画像出力装置を特定し、その配信先の装置が要求する位置合わせ結果の内容を示す出力装置情報Rを取得し、取得した出力装置情報Rに基づいて、移動量dを示す情報ともとの2つの画像P1,P2の組合せと、位置合わせ後の画像の少なくとも一方を、配信先の画像ビューワー4やフィルムプリンタ5等の画像出力装置にネットワーク9a,9b経由で配信するようにした点とが、画像位置合わせ装置3Aと相違する。ここで、出力装置情報Rは、QA−WS3の設定ファイルに予め設定され、ハードディスクに格納されており、処理の際には、設定内容がメモリにロードされている。この情報の詳細については後述する。なお、画像位置合わせ装置3Bは、QA−WS3を、受信手段31Bと上記の位置合わせ手段32Bと配信手段33Bとして機能させるためのプログラムによって制御されている。
【0061】
次に、本発明の画像読影支援システムYの処理の流れについて説明する。図10は、QA−WS3で実行されるプログラムに基づいて、画像位置合わせ装置3Bに相当する部分で行われる処理を表すフローチャートである。図のステップ#11から#16までの処理は、第1の実施形態における図4のステップ#1から#6までの処理と同様である。
【0062】
位置合わせ手段32Bは、ステップ#11から#16までの処理を行い、ステップ#16において修正後の移動量dを算出した後、もとの画像データP1,P2と修正後の移動量dとに基づいて、位置合わせ後画像P'を生成する(#17)。具体的には、画像P1とP2を左右の乳房が背中合わせになるように左右に並べ、画像P1を移動量dだけ上下方向に移動し、ニップルの位置が揃うようにした状態を表す1つの合成画像を生成する。すなわち、図8(a)のような画像を1つの画像データとして生成するのである。なお、これだけでは、画像P1の移動により図8(a)のP0の領域が欠落し、最高輝度(最低濃度)で出力されてしまい、読影者は眩しさのため読影しづらくなってしまう。そこで、図8(b)のように、この領域P0を最低輝度(最高濃度)化する処理を行い、読影性能を向上させている。
【0063】
次に、配信手段33Bが、もとの画像データP1,P2に関連づけられた患者・検査情報Qに基づいて、配信先の画像出力装置の情報Rを取得する(#18)。配信手段33Bは、もとの画像データP1,P2に関連づけられた検査情報の中から配信先IDを取得し、この配信先IDを検索キーとして、QA−WS3のメモリに格納された配信先管理テーブルを参照する。図11は、配信先管理テーブルの構成と内容の一例を示したものである。図に示すように、配信先ID毎に、装置の種別と送信データの種別が管理されている。例えば、配信先ID=「A」の出力装置は、フィルムプリンタであり、位置合わせ後の画像P'が配信対象となり、配信先ID=「B」の出力装置は、画像ビューワーであり、もとの画像の画像データP1,P2と移動量情報dが配信対象となる。配信手段33Bは、この配信先管理テーブルの参照結果に基づいて、各配信先の画像出力装置が必要としているデータを配信する。
【0064】
画像位置合わせ装置3Bの処理によって配信されたデータは、フィルムプリンタ4や画像ビューワー5で受信される。以下では、フィルムプリンタ4は、図11の配信先管理テーブルの配信先ID=「A」のもの、画像ビューワー5は、図11の配信先管理テーブルの配信先ID=「B」のものとして説明を行う。
【0065】
フィルムプリンタ4は、QA−WS3から配信された位置合わせ後の画像P'の画像データを受信し、所定の大きさのフィルムに画像P'をプリントして出力する。なお、このフィルムプリンタ4は、移動量情報dに応じて出力位置の調整を行う機能をもっておらず、もとの画像データP1、P2と移動量情報dを受信しても適切に処理できないため、図9の配信先管理テーブルには、配信データとして位置合わせ後画像が設定されている。
【0066】
一方、画像ビューワー5は、QA−WS3から配信されたもとの画像データP1、P2と移動量情報dを受信し、第1の実施形態における画像ビューワー5と同様にして、ニップルの位置が揃った左右乳房の画像を表示する。
【0067】
以上のように、本発明の第2の実施形態となる画像読影支援システムYでは、第1の実施形態の画像読影支援システムXと同様に、システム全体としての処理効率が向上し、もとの画像に基づいて位置合わせ処理を行っていた従来の画像表示システムと同様に、もとの画像の表示や画像処理等の機能が維持されるとともに、フィルムプリンタ4のように、出力位置の調整機能を有していない、受信した画像データを所定のサイズのフィルムにプリントするだけの単機能的な画像出力装置に対しては、位置合わせ後の画像P'を配信することにより、適切に位置合わせした画像を出力することが可能になる。また、本発明の画像読影システムでは、このような画像出力装置もシステムの構成要素として組み込むことが可能になるから、システムの柔軟性が向上する。
【0068】
また、上記の位置合わせ装置3Bでは、画像データの配信時に配信手段33Bが配信先の画像出力装置の情報Rを取得していたが、そのようにせず、図12のように、位置合わせ手段32Cが患者・検査情報Qに基づいて出力装置情報Rを取得するようにしてもよい。すなわち、図13に示すように、受信手段31Cがステップ#21、位置合わせ手段32Cがステップ#22からステップ#26までの処理を、各々、図10のステップ#11からステップ#16と同様にして行った後、位置合わせ手段32Cが、図10のステップ#8と同様にして、患者・検査情報Qに基づいて配信先管理テーブルを参照し、出力装置情報Rを取得し(#27)、配信先の画像出力装置が位置合わせ後の画像データP'を配信する必要があるかどうかを判断し(#28)、位置合わせ後の画像データP'を配信する必要がある場合のみ、位置合わせ後の画像を生成するようにしてもよい(#29)。この場合、配信手段33Cは、配信先管理テーブルを参照する必要はなく、位置合わせ手段32Cが生成した移動量情報dともとの画像データP1,P2、および/または位置合わせ後の画像データP'を配信先の画像出力装置に対して配信するだけでよい(#30)。このようにすれば、画像位置合わせ装置3Cは、必要な場合だけ位置合わせ後の画像データを生成すればよくなるので、システム全体の処理効率がさらに向上する。
【0069】
なお、上記の実施形態では、図7を用いて説明したように、位置合わせ対象の2つの画像のいずれかをマウス操作によって移動させることによって、画像の位置の手動調整を行ったが、このように表示された画像自体を移動させず、位置合わせの基準となる画像中の一部分をマウス等の入力装置により指示し、指示された部分の位置が揃うように再度自動位置合わせを行って、最初に行った自動位置合わせの結果を修正するようにしてもよい。
【0070】
また、配信先管理テーブルに画像保管装置6を設定しておくことにより、画像位置合わせ装置3A、3B、3Cは、移動量情報dともとの画像データP1,P2、および/または位置合わせ後の画像データP'を画像保管装置6に配信することもできる。また、その際に、画像データに対してウェーブレット変換等による圧縮処理を行うととともに、その画像と関連づけられた患者・検査情報Qをヘッダ部に書き込んだ画像データファイルとして配信するようにしてもよい。なお、移動量情報dともとの画像データP1,P2が画像保管装置6に配信された場合、画像保管装置6では、移動量情報dともとの画像データP1,P2とを関連づけて画像データベースに格納する。
【0071】
上記の2つの実施形態では、画像生成系においてCR装置2を用いているが、本発明は画像生成系の種類、すなわち画像を生成するモダリティの種類によっては限定されない。例えば、放射線固体検出器を用いた画像生成系においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態となる放射線科情報システムの概要を示す図
【図2】本発明の第1の実施形態となる画像位置合わせ装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施形態となる画像ビューワーの構成を示すブロック図
【図4】本発明の第1の実施形態となる画像位置合わせ装置の処理の流れを示すフローチャート
【図5】ニップルを検出する処理について説明するための模式図
【図6】ニップルの位置のズレ量を算出する処理について説明するための模式図
【図7】位置合わせ後の画像の表示と位置の手動修正を行う画面の一例を示す図
【図8】位置合わせ後の画像に対する低輝度化処理について説明するための模式図
【図9】本発明の第2の実施形態となる画像位置合わせ装置の構成を示すブロック図
【図10】本発明の第2の実施形態となる画像位置合わせ装置の処理の流れを示すフローチャート
【図11】配信先管理テーブルの一例を示す図
【図12】本発明の他の実施形態となる画像位置合わせ装置の構成を示すブロック図
【図13】本発明の他の実施形態となる画像位置合わせ装置の処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0073】
1 X線撮影装置
2 CR装置
3 QA−WS
3A、3B,3C 本発明の実施形態となる画像位置合わせ装置
4 フィルムプリンタ
5 本発明の実施形態となる画像ビューワー
6 画像保管装置
31A,31B,31C 受信手段
32A,32B,32C 位置合わせ手段
33A,33B,33C 配信手段
51 位置調整手段
52 低輝度化処理手段
53 表示手段
X 本発明の第1の実施形態となる画像読影支援システム
Y 本発明の第2の実施形態となる画像読影支援システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読影支援システム、および、画像位置合わせ装置、画像出力装置、ならびにプログラムに関し、詳細には、比較対照される1対の被検体の各々を表す2つの画像を並べて出力する際に両画像間の位置合わせを行うシステム、および、そのシステムを構成する装置、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影された1対の乳房の画像をフィルム等のハードコピー用出力媒体やCRTやLCD等のソフトコピー用出力媒体に出力する際には、左右の乳房の比較読影を容易にするために、左右の乳房を背中合わせに並べたフォーマット(図6(a)参照)で出力することが行われている。これは左右の乳房の構造、特に乳腺の構造がほぼ対称であることに着目したものであり、このようなフォーマットで出力することにより、左右の乳房の比較観察が容易になり、一方の乳房に癌等の異常陰影があった場合に生じる左右非対称な濃度の分布の発見を容易にするとともに、診断時における見落としを軽減することが可能になる。
【0003】
しかしながら、撮影時のポジショニングのずれ等により、左右の乳房を表す2つの画像を単純に背中合わせに並べただけでは、左右の乳房が対称に出力されないこともある(図6(b)参照)。
【0004】
そこで、本出願人は、比較対照される2つの被検体の医用画像を画像表示装置の表示面上に水平方向に並べて表示する画像表示システムに、被検体の対応位置が表示面上において揃うように、医用画像を位置合わせする位置合わせ手段をさらに設けたシステムを提案している。この画像表示システムにおいて、位置合わせ手段は、2つの医用画像のうち少なくとも一方を、画像表示装置の表示面上においてマウスを用いて鉛直方向に手動で移動させる手段、または、2つの医用画像の各々の中の被検体の対応位置を自動的に検出し、検出された対応位置が表示面上において揃うように、少なくとも一方の画像を自動的に移動させる手段として構成されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−65153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の診断者が各々の特許文献1記載の画像表示システムを利用して同じ1対の乳房を観察する場合、各々の画像表示システムにおいて同じ位置合わせ処理が行われることになり、システム全体としては、同一の処理の重複により非効率的な処理となってしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、画像出力装置で、比較対照される1対の被検体の各々を表す2つの画像を並べて出力する場合において、これらの2つの画像中の被検体が対称になるように並べて出力するための位置合わせ処理を効率化した画像読影支援システム、および、そのシステムを構成する装置、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による画像読影支援システムは、画像出力装置が行っていた位置合わせ機能を分離して画像位置合わせ装置として実装し、この画像位置合わせ装置と画像出力装置とを含むシステムとして構成したことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、画像位置合わせ装置は、被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる画像を受信し(受信手段)、受信した画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、これらの2つの画像を並べて出力する際に、2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向におけるこれら2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、2つの画像の少なくとも一方を2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向に移動して位置合わせを行い(位置合わせ手段)、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量を示す情報ともとの2つの画像とを画像出力装置に供給する(供給手段)ものである。
【0009】
一方、画像出力装置は、上記の画像位置合わせ装置から供給されたこの移動量を示す情報と2つの画像に基づいて、もとの2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えて、2つの画像を並べて出力するものである。
【0010】
また、画像位置合わせ装置が、画像出力装置の要求に応じて、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像、または、位置合わせ後の画像の少なくとも一方を、画像出力装置に選択的に供給するようにし、画像出力装置が、画像位置合わせ装置から供給された、移動量を示す情報ともとの2つの画像、または位置合わせ後の画像に基づいて、もとの2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えて、2つの画像を並べて出力するようにしてもよい。
【0011】
次に、本発明による画像読影支援システムの詳細について説明する。
【0012】
「比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像」の具体例としては、乳房、手、腕、下肢等を表す放射線医用画像が考えられる。乳房の放射線医用画像の場合、2つの画像の組合せとしては、正面画像同士、側面画像同士、または一方の乳房の正面画像と側面画像等が考えられる。なお、これらの2つの画像は、同時期に撮影されたものであり、経過観察のように異なる時期に撮影された画像は含まない。「同時期に撮影された2つの画像」の具体例としては、1回の検査において撮影された2つの画像が考えられる。
【0013】
「2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向」とは、2つの画像を左右(水平方向)に並べた場合には、上下(鉛直)方向、上下に並べた場合には、左右方向を意味する。
【0014】
「2つの画像中の基準となる部分」は、被検体の特徴部分(外形的特徴部分や、濃度または輝度の特徴部分等)とすることが好ましい。これらの特徴部分は各種の自動検出処理によって検出することができるため、位置合わせの自動化を考えた場合に有効だからである。例えば、被検体が左右の乳房である場合、乳腺の分布の対称性に注目した比較観察が有効であるため、放射状に走行する乳腺の端点であるニップル(乳頭)を基準とすることが好ましい。
【0015】
位置合わせ処理は、2つの画像を並べて表示し、操作者がマウスやキーボード等の入力装置を操作して、表示された2つの画像のうち少なくとも一方を手動でこの画像位置合わせ装置の表示面上を移動させる手動処理でもよいし、2つの画像中の基準となる部分の位置を自動的に検出し、検出された位置が揃うように、少なくとも一方の画像を自動的に移動させる自動処理でもよい。また、手動処理と自動処理を組み合わせ、すなわち、2つの画像の少なくとも一方の基準となる部分を検出し、検出された基準となる部分の位置を揃える自動位置合わせ処理と、自動位置合わせの結果を手動で修正する修正処理とを行ってもよい。具体的には、2つの画像の少なくとも一方の基準となる部分を検出し、検出された基準となる部分の位置を揃える自動位置合わせを行い、自動位置合わせがなされた2つの画像を並べて表示し、表示された2つの画像の少なくとも一方を手動でこの画像位置合わせ装置の表示面上を移動させることによって、自動位置合わせの結果を修正するようにしたり、上記の自動位置合わせがなされた2つの画像を並べて表示し、表示された2つの画像中の基準となる部分の位置を手動で修正し、修正後の基準となる部分の位置を自動的に揃えるようにしたりすることが考えられる。
【0016】
「2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量を示す情報」とは、位置合わせ処理によって求められた、2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における2つの画像間のずれ量を意味する。
【0017】
「位置合わせ後の画像」は、位置合わせ処理が行われた2つの画像を、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えて並べた状態で1つの画像として合成したものであってもよいし、2つの画像の少なくとも一方を、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量の分だけ移動させた後の2つの画像、すなわち、単純に並べれば位置合わせがなされた状態での出力が可能となる2つの画像であってもよい。
【0018】
「画像出力装置に供給する」とは、画像位置合わせ装置から画像出力装置に直接的に供給してもよいし、間接的に供給してもよい。ここで、「間接的に」とは、一旦、画像位置合わせ装置から、例えば、画像や画像に関連づけられた情報を記録・管理する画像保管装置等の画像出力装置以外の装置に供給し、この装置から画像出力装置に供給することを意味する。したがって、画像位置合わせ装置(供給手段)は、画像出力装置や画像保管装置等の外部装置に、移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ、または、位置合わせ後の画像の少なくとも一方を直接的に供給するものである。
【0019】
「画像出力装置の要求に応じて」とは、例えば、画像出力装置が画像位置合わせ装置に対して送信する画像要求データに基づいて決定する場合のように、画像出力装置から発せられる情報に応じて、移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ、または、位置合わせ後の画像のどちらを供給するかを決定する場合に限定されず、例えば、画像位置合わせ装置が、画像出力装置の仕様を検索し、画像出力装置が、移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ、または、位置合わせ後の画像のどちらの入力に対応しているかを判断して決定する場合や、画像位置合わせ装置に予め記憶された画像出力装置毎のその画像出力装置で処理可能な入力データの情報を参照して決定する場合のように、画像位置合わせ装置側の処理によって得られる情報に応じて決定する場合も含まれる。また、上記のように画像位置合わせ装置から画像出力装置に間接的に供給する場合には、経由先となる画像出力装置以外の装置の要求に応じて決定してもよい。したがって、画像位置合わせ装置は、画像出力装置や画像保管装置等の外部装置からの要求に応じて、移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ、または、位置合わせ後の画像のどちらを供給するかを決定する。
【0020】
「選択的に供給する」とは、この画像位置合わせ装置が、上記の移動量を示す情報を生成する機能と、位置合わせ後の画像を生成する機能の両方を有しており、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せと位置合わせ後の画像のどちらを外部装置に供給するかを、供給先の外部装置の要求に応じて決定することを意味する。具体的には、上記の位置合わせ処理の段階では、上記の移動量を示す情報と位置合わせ後の画像の両方を生成するようにし、外部装置に供給する際に、供給先の外部装置の要求に応じて、上記のどちらを供給するかを決定するようにしてもよいし、上記の位置合わせ処理の際に、供給先の外部装置の要求に応じて、上記の移動量を示す情報と位置合わせ後の画像の少なくとも一方を選択的に生成し、その生成された移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せと位置合わせ後の画像の少なくとも一方を、供給先の外部装置に供給するようにしてもよい。
【0021】
また、上記の「移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ」と「位置合わせ後の画像」の両方を外部装置に供給し、その外部装置が、処理可能な方を入力として利用するようにしてもよい。
【0022】
画像出力装置が、「画像位置合わせ装置から供給されたこの移動量を示す情報と2つの画像に基づいて、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えて、2つの画像を並べて出力する」場合、その画像出力装置には、この移動量を示す情報と2つの画像とに基づいて、2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、2つの画像の少なくとも一方の出力位置を調整する位置調整手段と、出力位置の調整後の2つの画像を並べて出力する出力手段とを設けることが考えられる。
【0023】
画像出力装置による出力先は、フィルム等のハードコピー用出力媒体であってもよいし、CRTやLCD等のディスプレイ装置、すなわちソフトコピー用出力媒体であってもよい。
【0024】
画像位置合わせ装置の具体的な実装形態としては、被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる画像を受信し、受信した画像に対する規格化処理や画質等のチェックを行うQA−WSと呼ばれるコンピュータに実装することが考えられる。
【0025】
画像位置合わせ装置や画像出力装置は、コンピュータを上記の各々の処理を行わせるプログラムによって制御するようにしてもよい。
【0026】
画像位置合わせ装置と画像出力装置の間での「2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量を示す情報ともとの2つの画像の組合せ」や「位置合わせ後の画像」のやり取りは、両装置を接続したネットワーク経由でのデータ通信によって行ってもよいし、両装置で読取可能な記録媒体、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等によって行ってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の画像読影支援システムは、比較対照される1対の被検体の各々を表す2つの画像を並べて出力する際に、これら2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向におけるこれら2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、これら2つの画像の少なくとも一方を移動する位置合わせ処理を、モダリティから逐次送信されてくる画像を受信し、受信した画像の調整を行い、調整が行われた画像を出力するという画像読影ワークフローの中に最適に位置づけたものである。すなわち、この位置合わせ処理を画像出力装置から分離し、画像位置合わせ装置で行うようにしたため、同じ画像を複数の画像出力装置で観察する際に、個々の画像出力装置が同一の位置合わせ処理を重複して行わずに、画像位置合わせ装置が前処理として一括して位置合わせを行うことが可能になり、システム全体としての処理効率が向上する。
【0028】
一方、観察者にとっては、撮影者による被検体の意図的なポジショニング等、もとの画像が有する情報を利用した観察ができることもきわめて重要である。この点については、特許文献1記載の画像表示システムには位置合わせ前のもとの画像が存在するため、もとの画像の観察が可能であるが、上記のように画像位置合わせ処理を画像出力装置から単純に分離して、位置合わせ後の画像のみを画像出力装置に供給するだけでは、もとの画像が画像出力装置に入力されなくなってしまうため、観察者によるもとの画像の観察ができなくなってしまう。そこで、本発明では、画像位置合わせ装置が、位置合わせの結果生成される、2つの画像中の基準となる部分の位置を揃えるための移動量を示す情報と2つの画像の組合せを画像出力装置に供給するようにし、さらに、画像出力装置が、供給された移動量を示す情報と2つの画像の組合せに基づいて、2つの画像中の基準となる部分の位置が揃えて、2つの画像を並べて出力するようにした。したがって、画像出力装置側では、位置合わせ後の画像の観察ができるだけでなく、画像出力装置側にはもとの画像が供給されることになるため、観察者によるもとの画像の観察が可能になり、画像出力装置から位置合わせ処理を分離しつつも、従来の画像表示システムが有していた機能が失われることなく維持される。また、位置合わせ処理自体は、画像位置合わせ装置によって行われているため、画像出力装置側では、その位置合わせ結果、すなわち上記の移動量を示す情報に基づいて2つの画像の出力位置を調整するだけでよいので、システム全体の処理効率も維持される。
【0029】
以上のように、本発明の画像読影支援システムは、画像位置合わせ装置と画像出力装置の分離によって、位置合わせ処理を画像読影ワークフローの中で最適に位置づけ、システム全体としての処理効率の向上を図るとともに、もとの画像を供給可能にすることによって従来からの観察者のニーズにも応えるようにした、きわめて実用的価値の高いものである。
【0030】
しかし、上記の移動量を示す情報に基づいて2つの画像の出力位置を調整する機能を有さず、入力された画像をそのまま出力する従来の画像出力装置では、このようにもとの2つの画像と位置合わせによる移動量が供給されても、位置合わせ後の画像を出力することができない。そこで、画像位置合わせ装置が、画像出力装置の要求に応じて、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像、または、位置合わせ後の画像の少なくとも一方を画像出力装置に選択的に供給するようにした場合には、画像位置合わせ装置が、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像とに基づいて位置合わせ後の画像を出力可能な画像出力装置には、上記の移動量を示す情報ともとの2つの画像とを供給し、このような出力が不可能な従来の画像出力装置には、位置合わせ後の画像を供給することができるため、画像読影支援システム中に上記の従来の画像出力装置を組み込むことも可能になり、システムの柔軟性が向上する。
【0031】
また、画像位置合わせ装置の位置合わせ手段が、画像出力装置等の外部装置の要求に応じて、上記の移動量を示す情報と位置合わせ後の画像を選択的に生成するようにした場合、必要な場合にのみ位置合わせ後の画像を生成することになるので、処理効率がさらに向上する。
【0032】
なお、位置合わせ処理が、2つの画像の少なくとも一方の基準となる部分を検出し、検出された基準となる部分の位置を揃える自動位置合わせを行うようにした場合には、上記の画像読影ワークフローにおいては、モダリティから画像位置合わせ装置に逐次画像が送信されてくるので、位置合わせ処理を自動化することにより、送信されてくる画像を滞留させることなく、迅速かつ効率的な処理が実現される。
【0033】
さらに、自動位置合わせ結果の手動による修正を行うようにした場合には、自動位置合わせと手動位置合わせ(修正)の両方を備えることにより、位置合わせの精度と効率がさらに向上する。例えば、1対の乳房を被検体とする医用放射線画像におけるニップル(乳頭)を基準とした左右乳房の位置合わせの場合、まったく位置合わせを行わなければ、60%程度のケースでしか位置が合わない。したがって、残りの40%ものケースについて手動で位置合わせを行うには非常に多くの労力が必要となり、位置合わせを行う操作者の負担が大きい。そこで、自動位置合わせを行うようにすると、90%程度のケースで左右乳房の位置が合うようになるので、操作者の負担の軽減に資する。しかし、自動位置合わせで位置が合わない残りの10%のケースについては、病気や手術等により乳房が変形している場合等、もともと左右非対称な乳房を有している患者の画像や、ニップルが写っていない画像であり、自動位置合わせだけで対応することは困難である。そこで、自動位置合わせで位置が合わなかった画像に対して手動による位置合わせを行うようにすることにより、操作者の経験や他の情報に基づく個別的できめの細かい位置の調整が可能になる。以上のように、自動位置合わせによる効率化と手動位置合わせによる高精度化を両立することにより、システム全体としての使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
本発明の第1の実施形態となる画像読影支援システムXは、放射線科情報システム(RIS: Radiology Information System)の一部を構成するものであり、1対の乳房の放射線画像(マンモグラフィ)P1,P2の比較読影を支援するためのものである。図1は、放射線科情報システムの概要を示す図である。図に示すように、放射線科情報システムでは、X線撮影装置1と、CR装置2からなる画像生成系(モダリティ)と、本発明の実施形態となる画像読影支援システムXを構成するQA−WS(画像品質チェック用ワークステーション)3、フィルムプリンタ4、画像ビューワー5、画像保管装置6とがネットワーク9に接続されている。
【0036】
X線撮影装置1は、被検体の放射線画像情報を、シート状の蓄積性蛍光体層を備えてなる蓄積性蛍光体シートIPに記録するものである。
【0037】
CR装置2は、X線撮影装置1によって記録された蓄積性蛍光体シートIPにレーザ光等の励起光を走査して輝尽発光光を生じさせ、得られた輝尽発光光を光電的に読み取ってアナログ画像信号を取得し、このアナログ画像信号をデジタル変換してデジタル画像データP1、P2を生成するものである。
【0038】
QA−WS3は、CR装置2から逐次送信されてくるデジタル画像データP1、P2に対して規格化処理(EDR処理)や、画像の品質を調整するための処理を行うとともに、本発明の画像位置合わせ装置が行う画像位置合わせ処理を行い、さらに、患者や検査の情報Q、配信先の画像出力装置の情報Rを取得し、各処理済の画像データと患者・検査情報Q等とを関連づけて、配信先の画像出力装置に配信する機能を有するコンピュータである。QA−WS3は、CPUや、画像データ等を記憶する主記憶装置(メモリ)、ハードディスク等の外部補助記憶装置、ネットワークインターフェース等の本体ハードウェア、OS等の各種制御プログラムの他、操作者からの要求を入力するキーボードやマウス等の入力装置、画像等を表示するディスプレイ装置等を備えている。
【0039】
図2は、このQA−WS3に実装された本発明の画像位置合わせ装置3Aの概要を示すブロック図である。図に示すように、画像位置合わせ装置3Aは、比較対照される左右1対の乳房の各々を表す2つの画像P1,P2(以下、画像データとその画像データによる画像とは同じ符号を付す)の画像データP1,P2を受信する受信手段31Aと、画像P1,P2を左右に背中合わせに並べて出力する際に、これら2つの画像P1,P2中のニップル部分の上下方向における位置が揃うように、画像P1を上下方向に移動して位置合わせを行い、2つの画像P1,P2中のニップル部分の位置を揃えるための移動量dを示す情報を生成する位置合わせ手段32Aと、その画像P1,P2に関連づけられた患者・検査の情報Qに基づいて、移動量dを示す情報ともとの2つの画像P1,P2の配信先の画像出力装置を特定し、その特定された配信先の画像ビューワー4やフィルムプリンタ5等の画像出力装置にネットワーク9a,9b経由で配信する配信手段33Aとから構成されている。なお、画像位置合わせ装置3Aは、QA−WS3を、上記の受信手段31Aと位置合わせ手段32Aと配信手段33Aとして機能させるためのプログラムによって制御されている。
【0040】
画像データP1,P2は、CR装置2からネットワーク9a経由で送信されるものであり、受信手段31Aによる受信後、QA−WS3のメモリに格納される。
【0041】
患者・検査情報Qは、患者情報や検査オーダー等を入力する装置(図示なし)から送信されてきたものであってもよいし、この送信されてきた情報を登録、管理するデータベースをQA−WS3に設けておき、そのデータベースから取得したものであってもよいし、このQA−WS3に患者・検査情報Qの入力を行う画面等のインターフェースを設けておき、そこから入力されたものであってもよい。この患者・検査情報QもQA−WS3のメモリに格納されている。
【0042】
フィルムプリンタ4は、QA−WS3から配信された画像データによる画像を半切、大角、B4、六切等のフィルムにプリント出力するものである。
【0043】
画像ビューワー5は、QA−WS3から配信された画像データによる画像をディスプレイに表示するコンピュータである。図3は、画像ビューワー5の構成を示すブロック図である。図に示すように、画像ビューワー5は、QA−WS3から配信されたもとの画像の画像データP1,P2と、移動量dを示す情報(以下、移動量情報という)とに基づいて、画像P1と画像P2を背中合わせに並べて表示する際に、画像P1の表示位置を調整する位置調整手段51と、調整済みの画像P1’と画像P2とを背中合わせに表示した際に生じる画像P1’の欠落部分を適低輝度で塗りつぶす低輝度化処理手段52と、処理済画像P1”と画像P2とを背中合わせに並べて表示する表示手段53とを備えたものである。なお、画像ビューワー5は、コンピュータに上記の位置調整手段51、低輝度化処理手段52、表示手段53として機能させるためのプログラムによって制御される。この他、画像ビューワー5では、もとの画像P1、P2等、任意の画像データによる画像の画面表示、これらの画像に対する拡大・縮小、回転、輝度やコントラストの変更、局所領域の抽出やその拡大・縮小等の画像処理や、文字・図形によるコメントの追加、画像中の任意の部分の距離や角度の計測等を行うことができる。
【0044】
画像保管装置6は、画像データを画像データベースに保存・管理するコンピュータであり、大容量外部記憶装置やデータベース管理ソフトウェア(例えば、ORDB(Object Relational DataBase)管理ソフトウェア)を備えている。
【0045】
ネットワーク9aは、CR装置2とQA−WS3とが接続された撮影室内のネットワークであり、ネットワーク9bは、撮影室のネットワーク9aの他、画像ビューワー5が接続された読影室のネットワークや、画像保管装置6が接続されたサーバ室のネットワークと接続された基幹のネットワークである。各装置間の通信は、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)等のプロトコルに基づいて行われる。
【0046】
次に、本発明の画像読影支援システムXの処理の流れについて説明する。図4は、QA−WS3の画像位置合わせ装置3Aに相当する部分で行われる処理を表すフローチャートである。なお、以下でQA−WS3が行う処理は、QA−WS3で実行されるプログラムによって実現されている。
【0047】
まず、受信手段31Aが、CR装置2から逐次送信されてきた画像データP1,P2を受信し、QA−WS3のメモリに格納する(#1)。この画像データP1、P2は、各々、患者の左右の乳房を表す画像のものである。また、撮影時において、個々の患者を識別する患者IDと個々の蓄積性蛍光体シートIPを識別する番号とが関連づけられているため、画像データP1,P2の各々がどの患者のものであるかを、患者IDに基づいて特定することが可能になっている。
【0048】
次に、位置合わせ手段32Aが、QA−WS3によって規格化処理が行われた後の画像データP1,P2をメモリから取得し、取得した画像データP1,P2の各々に基づいて、画像中のニップル部分を基準となる部分として検出する(#2)。具体的には、図5に示すように、エッジ検出等により、乳房Paと直接X線部(素抜け部)との境界線を検出し、この境界線のうち、胸壁側の画像端からの距離lが最も遠い点(半円状の境界線の頂点:lmax)をニップルとして検出する。または、ニップルを表すテンプレート画像を予め準備しておき、各画像P1,P2に対してテンプレートマッチングを行うことによって、ニップルを検出してもよい。
【0049】
さらに、画像P1,P2から検出されたニップルの位置のズレ量を算出する(#3)。具体的には、画像P1、P2の上端を揃えた状態で、各画像から検出されたニップルの鉛直方向における位置の差を算出する。図6は、この処理の例を示す模式図である。図6(a)のように、画像P1とP2の上端を揃えた場合に、画像P1中の乳房PaのニップルNaと画像P2中の乳房PbのニップルNbの鉛直方向における位置が揃っていれば
ズレ量は0となる。一方、図6(b)のように、画像P1とP2の上端を揃えた場合に、ニップルNaとニップルNbの鉛直方向における位置がずれていれば、その差d0がズレ量となる。なお、後続の処理でこのズレ量d0の分だけ画像P1を移動させるため、このズレ量を移動量情報と呼んでいる。
【0050】
そして、位置合わせ後の画像P1とP2をQA−WS3のディスプレイに表示する(#4)。その際、画像P1を移動量d0だけ上下方向に移動し、#3のステップで検出されたニップルの位置が揃うようにして位置合わせ後の画像を表示する。図7は、QA−WS3のディスプレイに表示される画面の一例である。図に示すように、位置合わせ手段32Aは、位置合わせ後の左右の乳房の画像を、画像101から106の各々の大きさに縮小処理し、左右の乳房の組(101と102、103と104、105と106)の単位で、一定の時間間隔で矢印D1の方向に流れていくように、図の画面の下部の領域100に順次表示する。なお、画面上部については後述する。
【0051】
QA−WS3の操作者は、図7の画面下部100に順次表示される画像を見て、画像の品質をチェックするとともに、左右の乳房が正しく位置合わせが行われているかをチェックする。ここで、縮小画像101と102や105と106のように、品質に問題がなく、正しく位置合わせが行われているものについては、操作者は特に操作を行わず、縮小画像は矢印D1の方向に流れていく。これに対して、縮小画像103と104のように正しく位置合わせが行われていないものを操作者が発見した場合には、操作者は、QA−WS3のマウスを操作して、この縮小画像の組のいずれか一方をポインタ102で指示してドラッグし、画面上部の領域110にドロップする。QA−WS3では、この操作に応じて、縮小画像103と104を領域110の大きさに拡大処理して表示する。操作者は、画像111または112のいずれかをドラッグして上下方向に移動させることによって、画像の位置を手動で調整する。図では、画像112を矢印D2方向に移動させている。位置の手動調整が終わったら、操作者はマウスを操作して、ポインタ120を修正実行ボタン121に合わせ、マウスをクリックすることによって、修正実行ボタン121を押下する。なお、操作者が、画像の品質に問題があると判断した場合には、再撮影指示ボタン122を押下して、その画像の再撮影を指示することも可能である。また、付帯情報表示ボタン123を押下することによって、画像に関連づけられた患者IDと個々の蓄積性蛍光体シートIPを識別する番号に基づいて、患者や検査、画像の詳細を表す付帯情報を表示することも可能である。さらに、一時停止/再開ボタン124を押下することにより、縮小画像が順次表示されていく矢印D1方向への流れを一時停止したり、一時停止状態から再開したりすることも可能である。
【0052】
上記の修正実行ボタン121の押下が行われた場合には、QA−WS3がこれを検出し、修正後の移動量dの算出を行う(#6)。具体的には、上記の手動調整によって画像111または112が移動した量d1'を取得し、もとの画像と画像111または112との間での縮小率に基づいて、もとの画像における移動量d1を算出する。さらに、算出された移動量d1を、#3のステップで算出した移動量d0に加算(減算)し、修正後の移動量dを算出する。
【0053】
次に、配信手段33Aが、もとの画像データP1,P2に関連づけられた患者・検査情報Qに基づいて、配信先の装置を特定し、その特定された装置に、修正後の移動量dともとの画像データP1,P2を配信する(#7)。ここで、患者・検査情報Qは、患者情報と検査情報とに分類される。まず、検査情報は、検査を識別する検査ID毎に、特定される患者ID、検査部位、検査日時、依頼元、配信先の画像出力装置を特定する配信先ID等の検査の詳細を表す情報が関連づけられて構成されている。患者情報は、患者を識別する患者ID毎に、患者の氏名、年齢、性別等の患者の属性を表す情報が関連づけられて構成されている。したがって、検査情報中の患者IDに基づいて患者情報を参照することによって、その検査を受けた患者の詳細な情報を参照することができる。配信手段33Aは、もとの画像データP1,P2に関連づけられた検査情報の中から配信先IDを取得し、これにより特定される画像出力装置(ここでは、画像ビューワー5とする)に、修正後の移動量dともとの画像データP1,P2を配信する。
【0054】
画像ビューワー5は、QA−WS3から配信されたもとの画像データP1、P2と移動量情報dを受信し、位置調整手段51が、画像P1を移動量dだけ上下方向に移動した状態を示す調整済画像データP1'を生成する(図8(a)参照)。しかしながら、これだけでは、画像P1の移動により図8(a)のP0の領域が欠落し、最高輝度(最低濃度)で出力されてしまい、読影者は眩しさのため読影しづらくなってしまう。そこで、低輝度化処理手段52が、図8(b)のように、この領域P0を最低輝度(最高濃度)化する処理を行い、処理済画像データP1"を生成する。そして、表示手段53は、処理済画像P1"ともとの画像P2を左右に並べて表示する。これにより、図8(b)のように、ニップルの位置が揃った左右乳房の画像が表示される。
【0055】
以上のように、本発明の実施形態となる画像読影支援システムXは、画像の生成(X線撮影装置1、CR装置2)、画像の調整(QA−WS3)、画像の出力(画像ビューワー5等)という画像読影ワークフローにおいて、位置合わせ処理を最適に位置づけたものである。すなわち、位置合わせ処理をフィルムプリンタ4や画像ビューワー5等の画像出力装置で行わずに、QA−WS3で前処理として行うようにしたため、同じ画像P1,P2を複数の画像出力装置で出力する場合であっても、同一の位置合わせ処理を複数の画像出力装置の各々で行う必要がなくなるため、システム全体としての処理効率が向上する。
【0056】
また、画像位置合わせ装置3Aの配信手段33Aが、もとの画像データP1,P2と移動量情報dとに分けて配信することにより、画像ビューワー5側では、位置調整手段51と低輝度化処理手段52とにより位置合わせ後の画像P'を生成して画面表示することができるだけでなく、もとの画像P1,P2をそのまま表示したり、画像処理を行ったりできるため、もとの画像に基づいて位置合わせ処理を行っていた従来の画像表示システムと同様に、もとの画像の表示や画像処理等の機能が維持される。また、位置合わせ処理自体は、QA−WS3の画像位置合わせ装置3Aで行われているので、画像ビューワー5では、2つの画像の出力位置の調整を行うだけでよくなり、システム全体の処理効率も維持される。
【0057】
また、画像位置合わせ装置3Aが、位置合わせの基準となるニップルの位置を自動検出し、2つの画像間でのニップルの位置のズレ量を自動的に算出することによって、画像読影ワークフローにおいて、画像生成系から送信されてくる画像を滞留させることなく、迅速かつ効率的な処理が実現される。
【0058】
さらに、画像位置合わせ装置3Aが自動で位置合わせを行った後、この自動位置合わせ後の画像を画面表示し、操作者が手動での位置の修正を行えるようにしたことにより、自動位置合わせでは対応できない特殊な画像の位置合わせも可能になるため、位置合わせの精度が向上する。
【0059】
本発明の第2の実施形態となる画像読影支援システムYは、出力位置の調整機能を有していない、受信した画像データを所定のサイズのフィルムにプリントするだけの単機能的な画像出力装置もシステムの構成要素として組み込めるようにしたものである。システムの概要は、図1と同様である。以下、第1の実施形態の画像読影支援システムXとの相違点を中心に説明する。
【0060】
図9は、このQA−WS3に実装された本発明の画像位置合わせ装置3Bの概要を示すブロック図である。図に示すように、画像位置合わせ装置3Bは、位置合わせ手段32Bが、位置合わせ手段32Aと同様にして、2つの画像P1,P2中のニップル部分の位置を揃えるための移動量dを示す情報を生成するとともに、左右の乳房が背中合わせに並べられて合成された位置合わせ後の画像P’(以下、移動量dを示す情報と位置合わせ後の画像P’を合わせて位置合わせ結果という)とを生成するようにした点と、配信手段33Bが、その画像P1,P2に関連づけられた患者・検査の情報Qに基づいて、位置合わせ結果やもとの2つの画像P1,P2の配信先の画像出力装置を特定し、その配信先の装置が要求する位置合わせ結果の内容を示す出力装置情報Rを取得し、取得した出力装置情報Rに基づいて、移動量dを示す情報ともとの2つの画像P1,P2の組合せと、位置合わせ後の画像の少なくとも一方を、配信先の画像ビューワー4やフィルムプリンタ5等の画像出力装置にネットワーク9a,9b経由で配信するようにした点とが、画像位置合わせ装置3Aと相違する。ここで、出力装置情報Rは、QA−WS3の設定ファイルに予め設定され、ハードディスクに格納されており、処理の際には、設定内容がメモリにロードされている。この情報の詳細については後述する。なお、画像位置合わせ装置3Bは、QA−WS3を、受信手段31Bと上記の位置合わせ手段32Bと配信手段33Bとして機能させるためのプログラムによって制御されている。
【0061】
次に、本発明の画像読影支援システムYの処理の流れについて説明する。図10は、QA−WS3で実行されるプログラムに基づいて、画像位置合わせ装置3Bに相当する部分で行われる処理を表すフローチャートである。図のステップ#11から#16までの処理は、第1の実施形態における図4のステップ#1から#6までの処理と同様である。
【0062】
位置合わせ手段32Bは、ステップ#11から#16までの処理を行い、ステップ#16において修正後の移動量dを算出した後、もとの画像データP1,P2と修正後の移動量dとに基づいて、位置合わせ後画像P'を生成する(#17)。具体的には、画像P1とP2を左右の乳房が背中合わせになるように左右に並べ、画像P1を移動量dだけ上下方向に移動し、ニップルの位置が揃うようにした状態を表す1つの合成画像を生成する。すなわち、図8(a)のような画像を1つの画像データとして生成するのである。なお、これだけでは、画像P1の移動により図8(a)のP0の領域が欠落し、最高輝度(最低濃度)で出力されてしまい、読影者は眩しさのため読影しづらくなってしまう。そこで、図8(b)のように、この領域P0を最低輝度(最高濃度)化する処理を行い、読影性能を向上させている。
【0063】
次に、配信手段33Bが、もとの画像データP1,P2に関連づけられた患者・検査情報Qに基づいて、配信先の画像出力装置の情報Rを取得する(#18)。配信手段33Bは、もとの画像データP1,P2に関連づけられた検査情報の中から配信先IDを取得し、この配信先IDを検索キーとして、QA−WS3のメモリに格納された配信先管理テーブルを参照する。図11は、配信先管理テーブルの構成と内容の一例を示したものである。図に示すように、配信先ID毎に、装置の種別と送信データの種別が管理されている。例えば、配信先ID=「A」の出力装置は、フィルムプリンタであり、位置合わせ後の画像P'が配信対象となり、配信先ID=「B」の出力装置は、画像ビューワーであり、もとの画像の画像データP1,P2と移動量情報dが配信対象となる。配信手段33Bは、この配信先管理テーブルの参照結果に基づいて、各配信先の画像出力装置が必要としているデータを配信する。
【0064】
画像位置合わせ装置3Bの処理によって配信されたデータは、フィルムプリンタ4や画像ビューワー5で受信される。以下では、フィルムプリンタ4は、図11の配信先管理テーブルの配信先ID=「A」のもの、画像ビューワー5は、図11の配信先管理テーブルの配信先ID=「B」のものとして説明を行う。
【0065】
フィルムプリンタ4は、QA−WS3から配信された位置合わせ後の画像P'の画像データを受信し、所定の大きさのフィルムに画像P'をプリントして出力する。なお、このフィルムプリンタ4は、移動量情報dに応じて出力位置の調整を行う機能をもっておらず、もとの画像データP1、P2と移動量情報dを受信しても適切に処理できないため、図9の配信先管理テーブルには、配信データとして位置合わせ後画像が設定されている。
【0066】
一方、画像ビューワー5は、QA−WS3から配信されたもとの画像データP1、P2と移動量情報dを受信し、第1の実施形態における画像ビューワー5と同様にして、ニップルの位置が揃った左右乳房の画像を表示する。
【0067】
以上のように、本発明の第2の実施形態となる画像読影支援システムYでは、第1の実施形態の画像読影支援システムXと同様に、システム全体としての処理効率が向上し、もとの画像に基づいて位置合わせ処理を行っていた従来の画像表示システムと同様に、もとの画像の表示や画像処理等の機能が維持されるとともに、フィルムプリンタ4のように、出力位置の調整機能を有していない、受信した画像データを所定のサイズのフィルムにプリントするだけの単機能的な画像出力装置に対しては、位置合わせ後の画像P'を配信することにより、適切に位置合わせした画像を出力することが可能になる。また、本発明の画像読影システムでは、このような画像出力装置もシステムの構成要素として組み込むことが可能になるから、システムの柔軟性が向上する。
【0068】
また、上記の位置合わせ装置3Bでは、画像データの配信時に配信手段33Bが配信先の画像出力装置の情報Rを取得していたが、そのようにせず、図12のように、位置合わせ手段32Cが患者・検査情報Qに基づいて出力装置情報Rを取得するようにしてもよい。すなわち、図13に示すように、受信手段31Cがステップ#21、位置合わせ手段32Cがステップ#22からステップ#26までの処理を、各々、図10のステップ#11からステップ#16と同様にして行った後、位置合わせ手段32Cが、図10のステップ#8と同様にして、患者・検査情報Qに基づいて配信先管理テーブルを参照し、出力装置情報Rを取得し(#27)、配信先の画像出力装置が位置合わせ後の画像データP'を配信する必要があるかどうかを判断し(#28)、位置合わせ後の画像データP'を配信する必要がある場合のみ、位置合わせ後の画像を生成するようにしてもよい(#29)。この場合、配信手段33Cは、配信先管理テーブルを参照する必要はなく、位置合わせ手段32Cが生成した移動量情報dともとの画像データP1,P2、および/または位置合わせ後の画像データP'を配信先の画像出力装置に対して配信するだけでよい(#30)。このようにすれば、画像位置合わせ装置3Cは、必要な場合だけ位置合わせ後の画像データを生成すればよくなるので、システム全体の処理効率がさらに向上する。
【0069】
なお、上記の実施形態では、図7を用いて説明したように、位置合わせ対象の2つの画像のいずれかをマウス操作によって移動させることによって、画像の位置の手動調整を行ったが、このように表示された画像自体を移動させず、位置合わせの基準となる画像中の一部分をマウス等の入力装置により指示し、指示された部分の位置が揃うように再度自動位置合わせを行って、最初に行った自動位置合わせの結果を修正するようにしてもよい。
【0070】
また、配信先管理テーブルに画像保管装置6を設定しておくことにより、画像位置合わせ装置3A、3B、3Cは、移動量情報dともとの画像データP1,P2、および/または位置合わせ後の画像データP'を画像保管装置6に配信することもできる。また、その際に、画像データに対してウェーブレット変換等による圧縮処理を行うととともに、その画像と関連づけられた患者・検査情報Qをヘッダ部に書き込んだ画像データファイルとして配信するようにしてもよい。なお、移動量情報dともとの画像データP1,P2が画像保管装置6に配信された場合、画像保管装置6では、移動量情報dともとの画像データP1,P2とを関連づけて画像データベースに格納する。
【0071】
上記の2つの実施形態では、画像生成系においてCR装置2を用いているが、本発明は画像生成系の種類、すなわち画像を生成するモダリティの種類によっては限定されない。例えば、放射線固体検出器を用いた画像生成系においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態となる放射線科情報システムの概要を示す図
【図2】本発明の第1の実施形態となる画像位置合わせ装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施形態となる画像ビューワーの構成を示すブロック図
【図4】本発明の第1の実施形態となる画像位置合わせ装置の処理の流れを示すフローチャート
【図5】ニップルを検出する処理について説明するための模式図
【図6】ニップルの位置のズレ量を算出する処理について説明するための模式図
【図7】位置合わせ後の画像の表示と位置の手動修正を行う画面の一例を示す図
【図8】位置合わせ後の画像に対する低輝度化処理について説明するための模式図
【図9】本発明の第2の実施形態となる画像位置合わせ装置の構成を示すブロック図
【図10】本発明の第2の実施形態となる画像位置合わせ装置の処理の流れを示すフローチャート
【図11】配信先管理テーブルの一例を示す図
【図12】本発明の他の実施形態となる画像位置合わせ装置の構成を示すブロック図
【図13】本発明の他の実施形態となる画像位置合わせ装置の処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0073】
1 X線撮影装置
2 CR装置
3 QA−WS
3A、3B,3C 本発明の実施形態となる画像位置合わせ装置
4 フィルムプリンタ
5 本発明の実施形態となる画像ビューワー
6 画像保管装置
31A,31B,31C 受信手段
32A,32B,32C 位置合わせ手段
33A,33B,33C 配信手段
51 位置調整手段
52 低輝度化処理手段
53 表示手段
X 本発明の第1の実施形態となる画像読影支援システム
Y 本発明の第2の実施形態となる画像読影支援システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像位置合わせ装置と画像出力装置とを含む画像読影支援システムであって、
前記画像位置合わせ装置は、
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信し、受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行い、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報と前記2つの画像とを前記画像出力装置に供給するものであり、
前記画像出力装置は、
前記画像位置合わせ装置から供給された前記移動量を示す情報と前記2つの画像とに基づいて、該2つの画像中の前記位置を揃えて、前記2つの画像を並べて出力するものであることを特徴とする画像読影支援システム。
【請求項2】
前記画像位置合わせ装置は、
前記画像出力装置の要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を、前記画像出力装置に選択的に供給するものであり、
前記画像出力装置は、
前記画像位置合わせ装置から供給された、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または前記位置合わせ後の画像に基づいて、該2つの画像中の前記位置を揃えて、前記2つの画像を並べて出力するものであることを特徴とする請求項1記載の画像読影支援システム。
【請求項3】
前記画像位置合わせ装置による位置合わせが、
前記2つの画像の少なくとも一方の前記基準となる部分を検出し、検出された前記基準となる部分の前記位置を揃える自動位置合わせ処理によってなされるものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像読影支援システム。
【請求項4】
前記画像位置合わせ装置による位置合わせが、
前記自動位置合わせの結果を手動で修正する修正処理をさらに行うことによってなされるものであることを特徴とする請求項3記載の画像読影支援システム。
【請求項5】
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信する受信手段と、
受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行い、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報を生成する位置合わせ手段と、
前記移動量を示す情報と前記2つの画像とを所定の外部装置に供給する供給手段とを備えたことを特徴とする画像位置合わせ装置。
【請求項6】
前記位置合わせ手段は、前記移動量を示す情報と前記位置合わせ後の画像とを生成するものであり、
前記供給手段は、前記外部装置からの要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を前記外部装置に選択的に供給するものであることを特徴とする請求項5記載の画像位置合わせ装置。
【請求項7】
前記位置合わせ手段は、前記外部装置からの要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を選択的に生成するものであり、
前記供給手段は、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を前記外部装置に供給するものであることを特徴とする請求項5記載の画像位置合わせ装置。
【請求項8】
前記位置合わせ手段が、
前記2つの画像の少なくとも一方の前記基準となる部分を検出し、検出された前記基準となる部分の前記位置を合わせる自動位置合わせ部を有するものであることを特徴とする第5項から第7項のいずれか1項に記載の画像位置合わせ装置。
【請求項9】
前記位置合わせ手段が、
前記自動位置合わせ部による位置合わせの結果を手動で修正する修正部をさらに有するものであることを特徴とする請求項8記載の画像位置合わせ装置。
【請求項10】
コンピュータを、
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信する受信手段と、
受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像について、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行い、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報を生成する位置合わせ手段と、
前記移動量を示す情報と前記2つの画像とを所定の外部装置に供給する供給手段として機能させることを特徴とする画像位置合わせプログラム。
【請求項11】
前記位置合わせ手段が、前記移動量を示す情報と前記位置合わせ後の画像とを生成するように前記コンピュータに機能させるとともに、
前記供給手段が、前記外部装置からの要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を前記外部装置に選択的に供給するように前記コンピュータに機能させることを特徴とする請求項10記載の画像位置合わせプログラム。
【請求項12】
前記位置合わせ手段が、前記外部装置からの要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を選択的に生成するように前記コンピュータに機能させるとともに、
前記供給手段が、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を前記外部装置に供給するように前記コンピュータを機能させることを特徴とする請求項10記載の画像位置合わせプログラム。
【請求項13】
前記位置合わせ手段が、前記2つの画像の少なくとも一方の前記基準となる部分を検出し、検出された前記基準となる部分の前記位置を合わせる自動位置合わせを行うように前記コンピュータを機能させることを特徴とする第10項から第12項のいずれか1項に記載の画像位置合わせプログラム。
【請求項14】
前記位置合わせ手段が、前記自動位置合わせによる位置合わせの結果の手動による修正を受け付けるように前記コンピュータをさらに機能させることを特徴とする請求項13記載の画像位置合わせプログラム。
【請求項15】
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信し、受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行う画像位置合わせ装置から供給された、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報と該2つの画像とに基づいて、該2つの画像中の前記位置が揃うように、前記2つの画像の少なくとも一方の出力位置を調整する位置調整手段と、
前記出力位置の調整後の前記2つの画像を並べて出力する出力手段とを備えたことを特徴とする画像出力装置。
【請求項16】
コンピュータを、
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信し、受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行う画像位置合わせ装置から供給された、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報と該2つの画像とに基づいて、該2つの画像中の前記位置が揃うように、前記2つの画像の少なくとも一方の出力位置を調整する位置調整手段と、
前記出力位置の調整後の前記2つの画像を並べて出力する出力手段として機能させることを特徴とする画像出力プログラム。
【請求項1】
画像位置合わせ装置と画像出力装置とを含む画像読影支援システムであって、
前記画像位置合わせ装置は、
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信し、受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行い、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報と前記2つの画像とを前記画像出力装置に供給するものであり、
前記画像出力装置は、
前記画像位置合わせ装置から供給された前記移動量を示す情報と前記2つの画像とに基づいて、該2つの画像中の前記位置を揃えて、前記2つの画像を並べて出力するものであることを特徴とする画像読影支援システム。
【請求項2】
前記画像位置合わせ装置は、
前記画像出力装置の要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を、前記画像出力装置に選択的に供給するものであり、
前記画像出力装置は、
前記画像位置合わせ装置から供給された、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または前記位置合わせ後の画像に基づいて、該2つの画像中の前記位置を揃えて、前記2つの画像を並べて出力するものであることを特徴とする請求項1記載の画像読影支援システム。
【請求項3】
前記画像位置合わせ装置による位置合わせが、
前記2つの画像の少なくとも一方の前記基準となる部分を検出し、検出された前記基準となる部分の前記位置を揃える自動位置合わせ処理によってなされるものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像読影支援システム。
【請求項4】
前記画像位置合わせ装置による位置合わせが、
前記自動位置合わせの結果を手動で修正する修正処理をさらに行うことによってなされるものであることを特徴とする請求項3記載の画像読影支援システム。
【請求項5】
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信する受信手段と、
受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行い、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報を生成する位置合わせ手段と、
前記移動量を示す情報と前記2つの画像とを所定の外部装置に供給する供給手段とを備えたことを特徴とする画像位置合わせ装置。
【請求項6】
前記位置合わせ手段は、前記移動量を示す情報と前記位置合わせ後の画像とを生成するものであり、
前記供給手段は、前記外部装置からの要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を前記外部装置に選択的に供給するものであることを特徴とする請求項5記載の画像位置合わせ装置。
【請求項7】
前記位置合わせ手段は、前記外部装置からの要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を選択的に生成するものであり、
前記供給手段は、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を前記外部装置に供給するものであることを特徴とする請求項5記載の画像位置合わせ装置。
【請求項8】
前記位置合わせ手段が、
前記2つの画像の少なくとも一方の前記基準となる部分を検出し、検出された前記基準となる部分の前記位置を合わせる自動位置合わせ部を有するものであることを特徴とする第5項から第7項のいずれか1項に記載の画像位置合わせ装置。
【請求項9】
前記位置合わせ手段が、
前記自動位置合わせ部による位置合わせの結果を手動で修正する修正部をさらに有するものであることを特徴とする請求項8記載の画像位置合わせ装置。
【請求項10】
コンピュータを、
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信する受信手段と、
受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像について、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行い、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報を生成する位置合わせ手段と、
前記移動量を示す情報と前記2つの画像とを所定の外部装置に供給する供給手段として機能させることを特徴とする画像位置合わせプログラム。
【請求項11】
前記位置合わせ手段が、前記移動量を示す情報と前記位置合わせ後の画像とを生成するように前記コンピュータに機能させるとともに、
前記供給手段が、前記外部装置からの要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を前記外部装置に選択的に供給するように前記コンピュータに機能させることを特徴とする請求項10記載の画像位置合わせプログラム。
【請求項12】
前記位置合わせ手段が、前記外部装置からの要求に応じて、前記移動量を示す情報と前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を選択的に生成するように前記コンピュータに機能させるとともに、
前記供給手段が、前記移動量を示す情報と前記2つの画像、または、前記位置合わせ後の画像の少なくとも一方を前記外部装置に供給するように前記コンピュータを機能させることを特徴とする請求項10記載の画像位置合わせプログラム。
【請求項13】
前記位置合わせ手段が、前記2つの画像の少なくとも一方の前記基準となる部分を検出し、検出された前記基準となる部分の前記位置を合わせる自動位置合わせを行うように前記コンピュータを機能させることを特徴とする第10項から第12項のいずれか1項に記載の画像位置合わせプログラム。
【請求項14】
前記位置合わせ手段が、前記自動位置合わせによる位置合わせの結果の手動による修正を受け付けるように前記コンピュータをさらに機能させることを特徴とする請求項13記載の画像位置合わせプログラム。
【請求項15】
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信し、受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行う画像位置合わせ装置から供給された、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報と該2つの画像とに基づいて、該2つの画像中の前記位置が揃うように、前記2つの画像の少なくとも一方の出力位置を調整する位置調整手段と、
前記出力位置の調整後の前記2つの画像を並べて出力する出力手段とを備えたことを特徴とする画像出力装置。
【請求項16】
コンピュータを、
被検体を表す画像を生成するモダリティから逐次送信されてくる前記画像を受信し、受信した該画像のうち、比較対照される1対の被検体の各々を表す同時期に撮影された2つの画像に対して、該2つの画像を並べて出力する際に、該2つの画像を並べた方向に対して垂直な方向における該2つの画像中の基準となる部分の位置が揃うように、該2つの画像の少なくとも一方を前記垂直な方向に移動して位置合わせを行う画像位置合わせ装置から供給された、該2つの画像中の前記位置を揃えるための移動量を示す情報と該2つの画像とに基づいて、該2つの画像中の前記位置が揃うように、前記2つの画像の少なくとも一方の出力位置を調整する位置調整手段と、
前記出力位置の調整後の前記2つの画像を並べて出力する出力手段として機能させることを特徴とする画像出力プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−14931(P2006−14931A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195531(P2004−195531)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
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