説明

画像送信装置

【課題】 宛先ミス、画像サイズ許容量超え等によるSEND NGの状況をユーザがPCの前に居ても気付き、設定ミスした部分のみPCから指示することで再送を行うことを可能とし、ユーザビリティーが向上させる。
【解決手段】 SEND NGの時、ユーザのPCに対してその旨を示すメールをMFPから送信するとともにMFP内にジョブを待機させる。ユーザが受け取ったメールに修正すべき設定を書き込んでMFPに送信するとMFPは再度SENDを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク経由で画像を送信する手段を有するマルチファンクションプリンタ(以下MFPと呼ぶ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からネットワーク経由で画像を送信する手段を有するMFPは既に実施されている。(例えば、特許文献1)
特許文献1に記載のファクシミリ装置は、最終的に受信ファイルの印字出力を得られない障害が発生した場合に送信局に対してその旨を通知し、受信局側で異常の発生したファイルを解析し、このファイルを受信局に向けて再送する再送部を備えたことを特徴とする。
【特許文献1】特開平05-304598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の手段では送信の宛先入力ミス、画像サイズオーバー等の要因で正常に画像が送信先に送れなかった場合にユーザが送信の可否を積極的に情報取得しなければならず、また、送信に問題が生じていた時に再送の操作を最初から行わなければならず、顧客満足を低下させていた。宛先ミス等によるSendNGの状況を現状ではユーザが意識的に情報取得を行わなければならず、Send操作を行った後、ユーザは自分のPCに戻り、通常業務を再開することが多いと思われるので、SendNGの状況に気付くことと訂正、再送を行う行為はPC上で行えることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の問題を解決するため、本発明に係る画像送信装置は、
ネットワークを経由して画像を送信する画像送信手段と前記画像送信手段によって送信する際に送信先の宛先、送信の条件等に所定の問題が発生した場合に装置内に前記画像送信のためのジョブを待機させるとともに、前記画像送信手段に画像送信の操作を行ったユーザに対して、問題が発生した旨を通知するメールを発行する手段を有し、前記ユーザがメール内の所定のフォーマットに指示内容を記載して前記画像送信装置にメールを返信し、画像送信装置は返信されたメールを受信することによって、前記返信されたメールに記載されている指示内容に従って前記画像送信のための待機しているジョブを再度実行し、前記支持内容に従った画像の送信を実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の提案により、画像送信の際の宛先ミス、画像サイズオーバー等により、送信に問題が発生した状況をユーザがMFPから離れ、自分のPCに戻った状態でもメール通知によって気付くことができ、さらにユーザからのメール返信によって設定ミスした箇所のみMFPに対して指示することで画像の再送を行うことができ、ユーザはMFPの前に再度出向く必要がなくなるため大幅にユーザビリティーが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0007】
(MFPの構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。図1は本発明の装置であるMFPの制御部の主要部分の構成を示している。Main Controller100はMFPの中心的な制御部で高速なCPU101及びCPU101が読み書きするRAM102、CPU101のプログラム格納用のROM103を中心として多様な処理をこなす。さらに種々のI/Oデバイスを制御するI/O制御部104、I/O制御部104に接続されたネットワーク制御部105、画像データ等を格納するデータ格納部106、装置の操作用パネルの表示及びキー操作による制御を行う操作部107及び、画像処理部108からなる。
【0008】
画像処理部108はスキャナ301、プリンタ302の制御及び必要な画像処理等を行う。スキャナ301から入力された画像は画像処理部108でダイレクトに処理された後、RAM102に一時的に置かれ、その後、データ格納部106に格納される。格納された画像データは出力が必要な時に読み出され、再度、RAM102に一時的に置かれ、その後、画像処理部108で処理され、ダイレクトにプリンタ302へ出力する。
【0009】
CPU101は装置全体の制御を行う他、PDLデータ(プリンタで高速に処理可能な印刷命令データ)をプリンタエンジン302で直接印刷可能なビットマップ形式へ変換を行ったりする。ネットワーク200を経由して送られたPDLデータはネットワーク制御部105、I/O制御部104を経由してHDD等の大容量な記憶媒体で構成されるデータ格納部106に蓄積される。その後、上記の様に、CPU101にてビットマップ形式への変換が行われる。ビットマップ形式へ変換を行った後は画像処理部108で画像の階調補正、フィルタ処理、また必要に応じて解像度変換等を行い、プリンタエンジン302から印字出力される。
【0010】
また、スキャナエンジン301から取り込まれたビットマップデータはPDLデータがビットマップ形式に変換された後と同様に画像処理部108で画像の階調補正、フィルタ処理、また必要に応じて解像度変換等を行い、プリンタエンジン302から印字出力され、コピー動作が実現する。あるいは画像処理部108で画像圧縮が行われた後、ネットワーク制御部105を経由して、ネットワークに接続されたPCに画像データを送信することもできる。
【0011】
図2はユーザが操作部107上で“送信“のメニューが選択した場合の送信設定画面の例を示している。ユーザは図2の送信設定画面上で送り先画像の送信先を設定する。図2の例では新規宛先を直接手入力する”直接入力“モードを選択し、送信先に対して”メール“で転送するモードを選択する様子を示している。また、送信する画像モードは”カラー、300dpi“で、送信する画像のフォーマットは”PDF“ファイルであることを選択する様子を示している。ユーザは操作部107上で図2の様に送信の設定を行った後、操作部107上のスタートボタンを押すことによって画像の送信動作を実現できる。
【0012】
図3は原稿をMFPにセットし、ユーザが操作部107上で送信の操作を行った際に設定した送信先に対して送信に問題が発生している様子を示しており、図4は送信時の問題発生をユーザにメールで通知する様子を示している。送信のジョブはMFP内に退避させ、再度設定がなされた時に画像の再送が可能となる様、待機する。問題発生を通知するメールの送信先であるユーザのPCはユーザが最初にMFPを使用する際に図5の様な認証画面で認証作業を行うことによってあらかじめMFP内に登録されたユーザのメールアドレスとの対応付けがなされ、対応付けされたメールアドレスを通知先として認識すれば良い。
【0013】
図6はMFP上での動作フローを示した図である。MFPに原稿をセットし(501)、図2の画面上で設定を行った後、操作部107上でスタートボタンを押して送信を開始する(502)。MFPは設定された送信先の宛先が存在するかどうかネットワーク経由で問い合わせる(503)。ネットワーク上から応答がなく、宛先が存在しないと判断された場合にMFPは図4の認証作業で特定されたメールアドレスに対して宛先が不正である旨を示すメールを送信する(504)。また、MFP内に送信のジョブ待機し、再送に備える(505)。
【0014】
また、(503)の判断において、ネットワーク上から応答があり、宛先が存在すると判断された場合には送信先に対して送信画像のサイズが許容範囲であるかどうか問い合わせる(506)。送信先に対して送信画像のサイズが許容範囲でないと判断された場合にMFPは図4の認証作業で特定されたメールアドレスに対して画像サイズが不正である旨を示すメールを送信する(507)。また、MFP内に送信のジョブ待機し、再送に備える(508)。また、(506)の判断において、送信先に対して送信画像のサイズが許容範囲であると判断された場合には送信先と通信を開始した後、画像の送信を行う(509)。
【0015】
ユーザは上記の様に宛先が不正である旨を示すメールあるいは画像サイズが不正である旨を示すメールを受信することにより、送信設定に問題があることに気付く。ユーザは受信したメールの所定の箇所に修正すべき設定を記入してMFPに対してメールを返信することができる。MFPはユーザからの返信メールの記述を解釈して、記述に従った設定で画像を送信先に再送できる。
【0016】
図7は、修正後の設定メールを受信し、再送信を行う様子を示した図である。
【0017】
図8は宛先が不正である旨を示すメールに対して、メールを受信したユーザがミスを修正したメールアドレスを改めて記入した例を示している。網掛けの部分が改めて入力したメールアドレスである。図9は受信した画像サイズが不正である旨を示すメールに対して、メールを受信したユーザがサイズに関わる画像モードを見直して記入した例を示している。網掛けの部分が見直して入力した画像モードである。
【0018】
図10はMFP上での動作フローを示した図である。MFPは図8、図9の内容の返信メールを受信すると(601)、まず、先頭のテキストの文字列を切り出して解釈を行う(602)。切り出した記述が宛先不正を意図する内容であるかどうか判断を行い(603)、切り出した記述が宛先不正を意図する内容であると判断した場合は“*設定再入力*”の後の“宛先:”に続いて記載されている文字列を切り出して解釈を行う(604)。MFPは切り出した文字列を再設定用のアドレスを判断し、MFP内に待機させていたジョブを再設定用のアドレスに対して再送する(605)。
【0019】
また、(603)の判断において切り出した記述が宛先不正を意図する内容ではないと判断した場合は、切り出した記述が画像サイズ不正を意図する内容であるかどうか判断を行い(606)、切り出した記述が画像サイズ不正を意図する内容であると判断した場合は“*設定再入力*”の後の“(1:再設定、2:分割送信)?:”に続いて記載されている文字列を切り出して解釈を行う(607)。切り出した文字列が“1”である場合は再設定の指示を読み取るため、さらに下段に記載されている“解像度(dpi):” に続いて記載されている文字列及び、“モード(1:CL、2:BW):” に続いて記載されている文字列を切り出して解釈を行う。図9の例では“解像度(dpi):”の後には“200”という文字列が、“モード(1:CL、2:BW):”の後には“2”という文字列が記載されているため、MFPは解像度が200dpi及びBW(白黒)モードが設定されたと解釈し、その設定で画像を送信先に再送する(608)。
【0020】
また、(606)の判断において切り出した記述が画像サイズ不正を意図する内容でないと判断された場合はユーザからの再送要求のための返信メールではないと判断し、MFPは特に処理を行わない。
【0021】
以上の手順でMFPはユーザからの返信メールに従って、MFP内に待機していた送信NGのジョブを再送することにより、ユーザは一度失敗した送信行為をPC上の修正指示によって所望の宛先に対して再度送信させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】MFPの制御部の主要部分の構成を示した図。
【図2】操作部の送信設定画面の例を示した図。
【図3】送信に問題が発生している様子を示した図。
【図4】送信時の問題発生をユーザに通知する様子を示した図。
【図5】操作部の認証画面の例を示した図。
【図6】送信に問題が発生した時の動作フローを示した図。
【図7】修正後の設定メールを受信し、再送信を行う様子を示した図。
【図8】修正後の設定メールの例(宛先修正)を示した図。
【図9】修正後の設定メールの例(画像モード修正)を示した図。
【図10】修正後の設定メールを受信し、再送信を行う動作フローを示した図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを経由して画像を送信する画像送信手段と前記画像送信手段によって送信する際に送信先の宛先や送信の条件に所定の問題が発生した場合に画像装置内に前記画像送信のためのジョブを待機させるとともに、前記画像送信手段に画像送信の操作を行ったユーザに対して、問題が発生した旨を通知するメールを発行することを特徴とする画像送信装置。
【請求項2】
前記所定の問題とは送信先の宛先のミス、送信画像サイズの規定値超過であることを特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項3】
前記通知するメールには送信を行ったジョブを特定するためのサムネイル画像の添付ファイルを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項4】
前記画像送信の操作を行ったユーザを特定する手段は前記ユーザが画像送信装置を使用する際に行った認証作業によって発生した情報に基づいて前記ユーザの特定が行われることを特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項5】
前記問題が発生した旨を通知するメールに対して、前記ユーザがメール内の所定のフォーマットに指示内容を記載して前記画像送信装置にメールを返信し、画像送信装置は返信されたメールを受信することによって、前記返信されたメールに記載されている指示内容に従って前記画像送信のための待機しているジョブを再度実行し、前記支持内容に従った画像の送信を実現することを特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−34767(P2010−34767A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193538(P2008−193538)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】