説明

画素及びこれを備えた有機電界発光表示装置

【課題】均一な画質の映像を表示できるようにした画素を提供すること。
【解決手段】本発明による画素は、第1電源と第2電源との間に接続される有機発光ダイオードと、前記第1電源と前記有機発光ダイオードとの間に接続され、前記有機発光ダイオードに供給される駆動電流を制御する画素回路とを備え、前記画素回路は、第1電極がデータ線に接続され、第2電極が第1ノードに接続され、ゲート電極が現在の走査線に接続される第1トランジスタと、第1電極が前記第1ノードを経由して前記第1電源に接続され、第2電極が前記有機発光ダイオードに接続され、ゲート電極が第2ノードに接続される第2トランジスタと、前記第1電源と前記第2ノードとの間に接続される第1キャパシタと、前記第2ノードと前記現在の走査線との間に接続される第2キャパシタとを備え、前記第1キャパシタの2つの電極が互いに重なる領域において、前記第1キャパシタの2つの電極中の1つ以上の電極に開口部が形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素及びこれを備えた有機電界発光表示装置に関し、特に、均一な画質の映像を表示できるようにした画素及びこれを備えた有機電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光表示装置(Organic Light Emitting Display Device)は、自発光素子である有機発光ダイオードを用いて映像を表示するものであり、薄型化が可能であり、かつ輝度及び色純度が優れているため、次世代表示装置として注目されている。
【0003】
このような有機電界発光表示装置の画素は、有機発光ダイオードOLEDと、前記有機発光ダイオードOLEDにデータ信号に対応する駆動電流を供給するための画素回路とを備える。
【0004】
画素回路は、走査線から供給される走査信号に対応して、データ線からのデータ信号を画素の内部に伝達するスイッチングトランジスタと、前記データ信号を格納するストレージキャパシタと、前記データ信号に対応する駆動電流を有機発光ダイオードOLEDに供給する駆動トランジスタとを備える。
【0005】
ただし、前述した画素は、パネル内のロードによる電圧下降により、目標とする輝度を十分に表現できない場合がある。例えば、ブラック階調を表現しなければならない場合、駆動トランジスタのゲート電圧が十分に上昇できず、コントラスト比が低下し得る。したがって、これを防止するために、ブーストキャパシタを追加で採用した画素構造が提案されている。
【0006】
このブーストキャパシタを採用した画素では、ストレージキャパシタとブーストキャパシタとの間のチャージシェアリング(charge sharing)が発生し、これらの容量比によって画素の輝度が異なるようになる。
【0007】
したがって、画素間の輝度ばらつきを防止し、均一な画質の映像を表示するためには、ストレージキャパシタとブーストキャパシタとの容量比を均一に維持することが重要である。
【0008】
しかし、製造過程で発生する工程ばらつきにより、ストレージキャパシタとブーストキャパシタとの容量が変化し得るが、これら各々の容量自体が異なるように設定されるため、その変化の程度も異なり、前記ストレージキャパシタとブーストキャパシタとの容量比がずれやすくなる。したがって、これによって画質が不均一になる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、画素に備えられるキャパシタの工程ばらつきにかかわらず、均一な画質の映像を表示できるようにした画素及びこれを備えた有機電界発光表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様は、第1電源と第2電源との間に接続される有機発光ダイオードと、前記第1電源と前記有機発光ダイオードとの間に接続され、前記有機発光ダイオードに供給される駆動電流を制御する画素回路とを備え、前記画素回路は、第1電極がデータ線に接続され、第2電極が第1ノードに接続され、ゲート電極が現在の走査線に接続される第1トランジスタと、第1電極が前記第1ノードを経由して前記第1電源に接続され、第2電極が前記有機発光ダイオードに接続され、ゲート電極が第2ノードに接続される第2トランジスタと、前記第1電源と前記第2ノードとの間に接続される第1キャパシタと、前記第2ノードと前記現在の走査線との間に接続される第2キャパシタとを備え、前記第1キャパシタの2つの電極が互いに重なる領域において、前記第1キャパシタの2つの電極中の1つ以上の電極に開口部が形成されることを特徴とする画素を提供する。
【0011】
ここで、前記第1キャパシタの容量は、前記第2キャパシタの容量より大きく設定され得る。
【0012】
また、前記第1キャパシタは、前記第1電源に接続され、前記第1及び第2トランジスタのゲート電極と同一レイヤに位置する第1導電層を含んで構成される第1電極と、前記第2ノードに接続され、前記第1及び第2トランジスタの活性層と同一レイヤに位置する半導体層を含んで構成される第2電極とを備えることができる。ここで、前記第1キャパシタの第2電極を構成する半導体層は、前記第1導電層と重なる領域に形成された前記開口部を備えることができる。
【0013】
また、前記開口部は、前記第1キャパシタの2つの電極中の1つ以上の電極に複数個形成され得る。
【0014】
また、前記画素回路は、第1電極が前記第2トランジスタの第2電極に接続され、第2電極が前記第2ノードに接続され、ゲート電極が前記現在の走査線に接続される第3トランジスタと、第1電極が前記第1電源に接続され、第2電極が前記第1ノードに接続され、ゲート電極が発光制御線に接続される第4トランジスタと、第1電極が前記第2トランジスタの第2電極に接続され、第2電極が前記有機発光ダイオードに接続され、ゲート電極が前記発光制御線に接続される第5トランジスタと、第1電極が前記第2ノードに接続され、第2電極が初期化電源に接続され、ゲート電極が前の走査線に接続される第6トランジスタとをさらに備えることができる。
【0015】
本発明の他の態様は、走査線とデータ線との交差部に位置する複数の画素を備え、前記画素の各々は、第1電源と第2電源との間に接続される有機発光ダイオードと、前記第1電源と前記有機発光ダイオードとの間に接続され、前記有機発光ダイオードに供給される駆動電流を制御する画素回路とを備え、前記画素回路は、第1電極がデータ線に接続され、第2電極が第1ノードに接続され、ゲート電極が現在の走査線に接続される第1トランジスタと、第1電極が前記第1ノードを経由して前記第1電源に接続され、第2電極が前記有機発光ダイオードに接続され、ゲート電極が第2ノードに接続される第2トランジスタと、前記第1電源と前記第2ノードとの間に接続される第1キャパシタと、前記第2ノードと前記現在の走査線との間に接続される第2キャパシタとを備え、前記第1キャパシタの2つの電極が互いに重なる領域において、前記第1キャパシタの2つの電極中の1つ以上の電極に開口部が形成されることを特徴とする有機電界発光表示装置を提供する。
【0016】
ここで、前記画素各々の、第1キャパシタと第2キャパシタとの容量比は、均一に設定され得る。
【0017】
また、前記第1キャパシタの容量は、前記第2キャパシタの容量より大きく設定され得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画素及びこれを備えた有機電界発光表示装置によれば、ブーストキャパシタに比べて容量の大きいストレージキャパシタの内部に開口部を形成することにより、工程ばらつきによるブーストキャパシタとストレージキャパシタとの容量変化の程度を類似するように調整する。これにより、ストレージキャパシタとブーストキャパシタとの容量比が一定に維持され、画素に備えられるキャパシタの工程ばらつきにかかわらず、均一な画質の映像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施例による有機電界発光表示装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、図1における画素の一例を示す回路図である。
【図3】図3は、図2における画素の駆動信号を示すタイミングチャートである。
【図4】図4は、図2における画素回路のレイアウトの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例をより詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施例による有機電界発光表示装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施例による有機電界発光表示装置は、走査駆動部110と、発光制御駆動部120と、データ駆動部130と、画素部140とを備える。
【0023】
走査駆動部110は、図示しない外部の制御回路、例えば、タイミング制御部などから供給される制御信号に対応して、走査線S1〜Snに走査信号を順次供給する。すると、画素150は、走査信号により選択され、順次にデータ信号を受信する。
【0024】
発光制御駆動部120は、タイミング制御部などの外部から供給される制御信号に対応して、発光制御線E1〜Enに発光制御信号を順次供給する。すると、画素150は、発光制御信号により発光が制御される。すなわち、発光制御信号は、画素150の発光時間を制御する。ただし、発光制御駆動部120は、画素150の内部構成によって省略可能である。
【0025】
データ駆動部130は、タイミング制御部などの外部から供給される制御信号に対応して、データ線D1〜Dmにデータ信号を供給する。データ線D1〜Dmに供給されたデータ信号は、走査信号が供給されるたびに、走査信号により選択された画素150に供給される。すると、画素150は、データ信号に対応する電圧を充電し、これに対応する輝度で発光する。
【0026】
画素部140は、走査線S1〜Sn、発光制御線E1〜En、及びデータ線D1〜Dmの交差部に位置する複数の画素150を備える。ここで、各々の画素150は、データ信号に対応する駆動電流に相応する輝度で発光する有機発光ダイオード(図示せず)と、前記有機発光ダイオードに流れる駆動電流を制御するための画素回路(図示せず)とを備える。
【0027】
このような画素部140は、外部から第1電源(例えば、高電位画素電源)ELVDD及び第2電源(例えば、低電位画素電源)ELVSSを受け、これら第1電源ELVDD及び第2電源ELVSSは、各々の画素150に伝達される。すると、画素150は、データ信号に対応して、第1電源ELVDDから有機発光ダイオードを経由して第2電源ELVSSに流れる駆動電流に対応する輝度で発光する。
【0028】
図2は、図1における画素の一例を示す回路図である。また、図3は、図2における画素の駆動信号を示すタイミングチャートである。
【0029】
まず、図2に示すように、本実施例による画素150は、第1電源ELVDDと第2電源ELVSSとの間に接続される有機発光ダイオードOLEDと、前記第1電源ELVDDと有機発光ダイオードOLEDとの間に接続され、前記有機発光ダイオードOLEDに供給される駆動電流を制御する画素回路152とを備える。
【0030】
より具体的には、有機発光ダイオードOLEDのアノード電極は、画素回路152を経由して高電位画素電源である第1電源ELVDDに接続され、有機発光ダイオードOLEDのカソード電極は、低電位画素電源である第2電源ELVDDに接続される。このような有機発光ダイオードOLEDは、画素回路152から駆動電流が供給されたとき、これに対応する輝度で発光する。
【0031】
画素回路152は、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6と、第1及び第2キャパシタC1、C2とを備える。
【0032】
第1トランジスタT1は、現在の走査線Snから現在の走査信号が供給されたとき、データ線Dmから供給されるデータ信号を画素150の内部に伝達する。すなわち、第1トランジスタT1は、画素150のスイッチングトランジスタとして機能するものであり、第1トランジスタT1の第1電極はデータ線Dmに接続され、第2電極は画素150内の第1ノードN1に接続される。ここで、第1電極及び第2電極は、互いに異なる電極であり、例えば、第1電極がソース電極に設定されると、第2電極はドレイン電極に設定される。また、第1トランジスタT1のゲート電極は、現在の走査線Snに接続される。
【0033】
第2トランジスタT2は、画素150の発光期間において、データ信号に対応する駆動電流を第1電源ELVDDから有機発光ダイオードOLEDに供給する。すなわち、第2トランジスタT2は、画素150の駆動トランジスタとして機能するものであり、第2トランジスタT2の第1電極は、第1ノードN1及び第4トランジスタT4を経由して第1電源ELVDDに接続され、第2電極は、第5トランジスタT5を経由して有機発光ダイオードOLEDに接続される。また、第2トランジスタT2のゲート電極は、データ信号を格納するための第1キャパシタC1の一電極が接続される第2ノードN2に接続される。
【0034】
第3トランジスタT3は、第2トランジスタT2の閾値電圧を補償するためのものであり、画素150の内部にデータ信号が供給されたとき、第2トランジスタT2をダイオード形態で接続する。このため、第3トランジスタT3の第1電極は第2トランジスタT2の第2電極に接続され、第2電極は第2トランジスタT2のゲート電極が接続される第2ノードN2に接続される。また、第3トランジスタT3のゲート電極は現在の走査線Snに接続される。
【0035】
第4トランジスタT4は、画素150の非発光期間において、第1電源ELVDDと第2トランジスタT2との間の接続を遮断し、画素150の発光期間において、前記第1電源ELVDDと第2トランジスタT2とを接続し、駆動電流を流すための電流パスが形成されるようにする。このため、第4トランジスタT4の第1電極は第1電源ELVDDに接続され、第2電極は第2トランジスタT2の第1電極が接続される第1ノードN1に接続される。また、第4トランジスタT4のゲート電極は、画素150の発光期間を制御するための発光制御信号が入力される発光制御線Enに接続される。
【0036】
第5トランジスタT5は、画素150の非発光期間において、第2トランジスタT2と有機発光ダイオードOLEDとの間の接続を遮断し、画素150の発光期間において、前記第2トランジスタT2と有機発光ダイオードOLEDとを接続し、駆動電流を流すための電流パスが形成されるようにする。このため、第5トランジスタT5の第1電極は第2トランジスタT2の第2電極に接続され、第2電極は有機発光ダイオードOLEDのアノード電極に接続される。また、第5トランジスタT5のゲート電極は発光制御線Enに接続される。
【0037】
第6トランジスタT6は、画素150にデータ信号が入力されるデータプログラミング期間において、前記データ信号が画素150の内部に円滑に供給できるように前記データプログラミング期間に先立つ初期化期間に第2ノードN2を初期化する。このため、第6トランジスタT6の第1電極は第2ノードN2に接続され、第2電極は初期化電源Vinitに接続される。また、第6トランジスタT6のゲート電極は前の走査信号が供給される前の走査線Sn−1に接続される。
【0038】
第1キャパシタC1は、データプログラミング期間において、画素150の内部に供給されるデータ信号を格納し、これを1フレームの間に維持するためのものであり、第1電源ELVDDと第2ノードN2との間に接続される。すなわち、第1キャパシタC1は、ストレージキャパシタとして機能するものであり、第1キャパシタC1の第1電極は第1電源ELVDDに接続され、第2電極は第2ノードN2に接続される。
【0039】
第2キャパシタC2は、パネル内のロードによる電圧降下を補償し、コントラスト比を改善するためのものであり、現在の走査線Snと第2ノードN2との間に接続される。すなわち、第2キャパシタC2は、現在の走査信号の電圧レベルが変更されたとき、特に、現在の走査信号の供給が中断された時点で、カップリング作用により第2ノードN2の電圧を上昇させることにより、パネル内のロードによる電圧降下を補償するブーストキャパシタとして機能する。このため、第2キャパシタC2の第1電極は現在の走査線Snに接続され、第2電極は第2ノードN2に接続される。
【0040】
以下では、図3に示す駆動波形を図2と結び付けて前述した画素150の動作を詳細に説明する。
【0041】
図3に示すように、まず、初期化期間に設定される第1期間t1において、前の走査線Sn−1を介してローレベルの前の走査信号SSn−1が供給される。すると、ローレベルの前の走査信号SSn−1に対応して、第6トランジスタT6がターンオンされる。これにより、第2ノードN2に初期化電源Vinitの電圧が伝達される。ここで、初期化電源Vinitの電圧は、画素150を初期化できる値、例えば、データ信号Vdataの最低電圧以下の電圧に設定され得る。
【0042】
その後、データプログラミング期間に設定される第2期間t2において、現在の走査線Snを介してローレベルの現在の走査信号SSnが供給される。すると、ローレベルの現在の走査信号SSnに対応して、第1及び第3トランジスタT1、T3がターンオンされる。また、第2トランジスタT2も、第3トランジスタT3によりダイオード接続される形態でターンオンされ、特に、前の第1期間t1に第2ノードN2が初期化されたため、第2トランジスタT2は、順方向にダイオード接続される。
【0043】
これにより、データ線Dmに供給されたデータ信号Vdataは、第1トランジスタ〜第3トランジスタT1〜T3を経由して第2ノードN2に供給される。このとき、第2トランジスタT2がダイオード接続されているため、第2ノードN2には、データ信号Vdataと第2トランジスタT2の閾値電圧との差に対応する電圧が供給される。第2ノードN2に供給された電圧は、第1キャパシタC1に格納される。
【0044】
その後、現在の走査信号SSnの供給が中断され、現在の走査信号SSnの電圧レベルがハイレベルに変更されると、第2キャパシタC2のカップリング作用により、第2ノードN2の電圧は、現在の走査信号SSnの電圧変動幅に対応して変更される。このとき、第1キャパシタC1と第2キャパシタC2との間のチャージシェアリングにより第2ノードN2の電圧が変更されるため、第2ノードN2の電圧変化量は、現在の走査信号SSnの電圧変動幅とともに、第1及び第2キャパシタC1、C2間のチャージシェアリング値に比例して変動される。
【0045】
その後、発光期間に設定される第3期間t3において、発光制御線Enから供給される発光制御信号EMIがハイレベルからローレベルに変更される。すると、第3期間t3において、ローレベルの発光制御信号EMIにより第4及び第5トランジスタT4、T5がターンオンされる。これにより、第1電源ELVDDから、第4トランジスタT4、第2トランジスタT2、第5トランジスタT5、及び有機発光ダイオードOLEDを経由して、第2電源ELVSSへの経路に駆動電流が流れるようになる。
【0046】
このような駆動電流は、第2トランジスタT2により制御されるものであり、第2トランジスタT2は、自身のゲート電極に供給される電圧、すなわち、第2ノードN2の電圧に対応する大きさの駆動電流を発生させる。
【0047】
このとき、第2期間t2において、第1キャパシタC1には、第2トランジスタT2の閾値電圧が反映された電圧が格納されているため、第3期間t3に第2トランジスタT2の閾値電圧が補償される。
【0048】
一方、第2ノードN2の電圧は、現在の走査信号SSnの供給が中断されたとき、前記現在の走査信号SSnの電圧変動幅とともに、第1及び第2キャパシタC1、C2間のチャージシェアリング値によっても変更されるため、画素間の輝度ばらつきを防止し、均一な画質の映像を表示するためには、第1キャパシタC1と第2キャパシタC2との容量比を均一に維持することが重要である。
【0049】
このとき、第1キャパシタC1は、データプログラミング期間に安定してデータ信号が格納できる程度の十分な容量で設計される。また、第2キャパシタC2は、電圧ブースト効果が提供できる程度の容量で設定され、第1キャパシタC1に比べて相対的に小さな容量で設計される。例えば、第1キャパシタC1は、第2キャパシタC2に比べて5倍以上の容量を有するように設計され得る。
【0050】
したがって、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2は、製造過程で発生する工程ばらつきにより形成面積や位置などがずれることによって発生する容量の敏感度及びその変化程度が異なるようになる。
【0051】
特に、小さな容量で設計される第2キャパシタC2の場合、工程ばらつきによる容量変化率が第1キャパシタC1に比べて相対的に大きくなり、これにより、第1キャパシタC1と第2キャパシタC2との容量比がずれてしまう。
【0052】
このように第1キャパシタC1と第2キャパシタC2との容量比がずれてしまうと、画素間の輝度ばらつきが発生し、画質が不均一になり得る。
【0053】
したがって、本発明は、前述した画質の不均一を改善するためになされたものであって、工程ばらつきによる容量変化率が相対的に少ない第1キャパシタC1に開口部を形成し、工程ばらつきによる第1キャパシタC1の容量変化の程度を第2キャパシタC2と類似または同等程度に調整することにより、工程ばらつきにかかわらず、第1キャパシタC1と第2キャパシタC2との容量比を維持し、均一な画質の映像を表示することができる画素及びこれを備えた有機電界発光表示装置を提供することを特徴とする。
【0054】
このため、本発明の第1キャパシタC1は、2つの電極が互いに重なる領域において、少なくとも1つの電極に形成された開口部を備え、これについてのより詳細な説明は、図4を参照して後述する。
【0055】
一方、図2〜図3を参照して前述した画素150は、単に1つの実施例により構成された画素であって、本発明は前述した画素150の構造に限定されるものではない。
【0056】
例えば、第2トランジスタT2の閾値電圧を補償するための第3トランジスタT3、発光期間を制御するための第4及び第5トランジスタT4、T5、初期化のための第6トランジスタT6のうちの少なくとも1つが省略されるか、あるいはこれらの接続関係及び駆動波形などは変更可能である。
【0057】
すなわち、本発明は、現在公開された多様な種類の画素構造に適用できるものであって、特に、駆動トランジスタ(すなわち、第2トランジスタT2)のゲート電圧に影響を及ぼす2つ以上のキャパシタ(すなわち、第1及び第2キャパシタC1、C2)が備えられる構造において、これらキャパシタ間の容量比を一定に維持しようとするときに有用に適用できる。
【0058】
図4は、図2における画素回路のレイアウトの一例を示す平面図である。図4は、本発明の特徴、すなわち、第1キャパシタC1に開口部が形成されることを示すためのものであって、本発明の特徴を説明するにあたり、必須でない一部構成要素(例えば、画素回路の上部に形成される有機発光ダイオード)の図示は省略することとする。
【0059】
図4に示すように、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6は、活性層を含んで構成される半導体層10と、半導体層10の少なくとも一領域と重なるように配置され、ゲート金属で形成されるゲート電極20と、活性層に接続され、ソース及びドレイン金属で形成されるソース及びドレイン電極30とを備える。
【0060】
また、第1及び第2キャパシタC1、C2は、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6の活性層と同一レイヤに位置する半導体層10’と、前記第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6のゲート電極20と同一レイヤに位置する第1導電層20’と、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6のソース及びドレイン電極30と同一レイヤに位置する第2導電層30’とを備える。ここで、説明していない符号「CH」はコンタクトホールを表したものである。
【0061】
ただし、これは単に一例を記載したものであって、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6と第1及び第2キャパシタC1、C2の構成は変更可能である。
【0062】
例えば、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6のうちの少なくとも一部のトランジスタにおいて、ソース及び/またはドレイン電極は、ソース及びドレイン金属の代わりに、活性層と一体となる半導体層10で実現され、自身に接続されるトランジスタの活性層と一体に接続されてもよい。
【0063】
このような第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6は、ゲート電極20と重なる領域の半導体層10に活性層が形成されるため、便宜上、図4では、活性層が形成される領域を基準として第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6の位置を表した。
【0064】
一方、第1及び第2キャパシタC1、C2は、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6の活性層と同一レイヤに位置する半導体層10’、前記第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6のゲート電極20と同一レイヤに位置する第1導電層20’、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6のソース及びドレイン電極30と同一レイヤに位置する第2導電層30’のうち、2つ以上が重なって形成される。
【0065】
特に、図4は、第1及び第2キャパシタC1、C2が半導体層10’と第1導電層20’により大部分の容量が形成された例を開示したものであり、第1キャパシタC1は、ほぼ全面的に重なる半導体層10’及び第1導電層20’と、これらの重畳領域内に一部重なる第2導電層30’とを含んで構成され、第2キャパシタC2は、ほぼ全面的に重なる半導体層10’及び第2導電層30’により構成された例を開示した。
【0066】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1導電層20’と第2導電層30’の全面的な重畳により第1及び第2キャパシタC1、C2を実現することもできる。
【0067】
このような第1及び第2キャパシタC1、C2は、製造工程の効率を高めるための一例であって、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6を形成するステップで同時に形成され得る。
【0068】
このため、第1及び第2キャパシタC1、C2の半導体層10’は、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6の活性層を形成するステップにおいて、同じ材料を用いて同一レイヤに形成され得る。
【0069】
また、第1及び第2キャパシタC1、C2の第1導電層20’は、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6のゲート電極20を形成するステップにおいて、同じ材料(すなわち、ゲート金属)を用いて同一レイヤに形成され、第1及び第2キャパシタC1、C2の第2導電層30’は、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6のソース及びドレイン電極30を形成するステップにおいて、同じ材料(すなわち、ソース及びドレイン金属)を用いて同一レイヤに形成され得る。
【0070】
ただし、本発明において、第1キャパシタC1は、2つの電極が互いに重なる領域において、2つの電極中の1つ以上の電極に形成された開口部40を備えることを特徴とする。
【0071】
例えば、第1キャパシタC1が、第1電源ELVDDに接続され、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6のゲート電極と同一レイヤに位置する第1導電層20’を含んで構成される第1電極と、図2の第2ノードN2に接続され、第1トランジスタ〜第6トランジスタT1〜T6の活性層と同一レイヤに位置する半導体層10’を含んで構成される第2電極とを備えた場合、第1キャパシタC1の半導体層10’及び第1導電層20’の少なくとも1つには、1つ以上の開口部40が形成され得る。
【0072】
特に、第1導電層20’に比べて工程ばらつきが小さい半導体層10’に開口部40を形成すると、開口部40の形成位置や大きさなどを容易に調整することができる。すなわち、本実施例では、第1キャパシタC1の第2電極を構成する半導体層10’の第1導電層20’と重なる領域に開口部40が形成される。
【0073】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、開口部40は、半導体層10’、第1導電層20’、及び第2導電層30’のうちの1つ以上に形成できることはいうまでもない。
【0074】
このような開口部40は、工程ばらつきによる第1キャパシタC1の容量変化率が第2キャパシタC2と類似または同等程度と敏感になるように調整することにより、工程ばらつきにかかわらず、第1キャパシタC1と第2キャパシタC2との容量比を一定に維持し、均一な画質の映像を表示するために形成される。このとき、開口部40による第1キャパシタC1の容量の減少分は、第1キャパシタC1の外郭を拡張するなどして補償することができる。
【0075】
したがって、試験蒸着やシミュレーションなどにより予め把握された第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の工程ばらつきを反映し、画素各々の第1キャパシタC1と第2キャパシタC2との容量比が均一になるように(すなわち、所定の誤差範囲内で同一になるように)開口部40の面積や位置または個数などを調整して設計することができる。
【0076】
また、第1キャパシタC1の2つの電極中の1つ以上の電極に開口部40を複数個分散して形成することにより、第1キャパシタC1の容量変化の程度をより容易に調整することができる。
【0077】
前述したような本発明によれば、ブーストキャパシタ(第2キャパシタC2)に比べて容量の大きいストレージキャパシタ(第1キャパシタC1)の内部に開口部40を形成することにより、工程ばらつきによるブーストキャパシタとストレージキャパシタとの容量変化の程度を類似するように調整することができる。
【0078】
これにより、ストレージキャパシタとブーストキャパシタとの容量比が一定に維持され、画素に備えられるキャパシタの工程ばらつきにかかわらず、均一な画質の映像を表示することができる。
【符号の説明】
【0079】
10、10’;半導体層
20;ゲート電極
20’;第1導電層
30;ソース及びドレイン電極
30’;第2導電層
40;開口部
110;走査駆動部
120;発光制御駆動部
130;データ駆動部
140;画素部
150;画素
152;画素回路
C1、C2;第1キャパシタ、第2キャパシタ
N1、N2;第1ノード、第2ノード
OLED;有機発光ダイオード
T1〜T6;第1トランジスタ〜第6トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源と第2電源との間に接続される有機発光ダイオードと、前記第1電源と前記有機発光ダイオードとの間に接続され、前記有機発光ダイオードに供給される駆動電流を制御する画素回路とを備え、
前記画素回路は、
第1電極がデータ線に接続され、第2電極が第1ノードに接続され、ゲート電極が現在の走査線に接続される第1トランジスタと、
第1電極が前記第1ノードを経由して前記第1電源に接続され、第2電極が前記有機発光ダイオードに接続され、ゲート電極が第2ノードに接続される第2トランジスタと、
前記第1電源と前記第2ノードとの間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記現在の走査線との間に接続される第2キャパシタとを備え、
前記第1キャパシタの2つの電極が互いに重なる領域において、前記第1キャパシタの2つの電極中の1つ以上の電極に開口部が形成されることを特徴とする画素。
【請求項2】
前記第1キャパシタの容量は、前記第2キャパシタの容量より大きく設定されることを特徴とする請求項1に記載の画素。
【請求項3】
前記第1キャパシタは、前記第1電源に接続され、前記第1及び第2トランジスタのゲート電極と同一レイヤに位置する第1導電層を含んで構成される第1電極と、前記第2ノードに接続され、前記第1及び第2トランジスタの活性層と同一レイヤに位置する半導体層を含んで構成される第2電極とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画素。
【請求項4】
前記第1キャパシタの第2電極を構成する半導体層は、前記第1導電層と重なる領域に形成された前記開口部を備えることを特徴とする請求項3に記載の画素。
【請求項5】
前記開口部は、前記第1キャパシタの2つの電極中の1つ以上の電極に複数個形成されることを特徴とする請求項1に記載の画素。
【請求項6】
前記画素回路は、
第1電極が前記第2トランジスタの第2電極に接続され、第2電極が前記第2ノードに接続され、ゲート電極が前記現在の走査線に接続される第3トランジスタと、
第1電極が前記第1電源に接続され、第2電極が前記第1ノードに接続され、ゲート電極が発光制御線に接続される第4トランジスタと、
第1電極が前記第2トランジスタの第2電極に接続され、第2電極が前記有機発光ダイオードに接続され、ゲート電極が前記発光制御線に接続される第5トランジスタと、
第1電極が前記第2ノードに接続され、第2電極が初期化電源に接続され、ゲート電極が前の走査線に接続される第6トランジスタとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画素。
【請求項7】
走査線とデータ線との交差部に位置する複数の画素を備え、前記画素の各々は、第1電源と第2電源との間に接続される有機発光ダイオードと、前記第1電源と前記有機発光ダイオードとの間に接続され、前記有機発光ダイオードに供給される駆動電流を制御する画素回路とを備え、
前記画素回路は、
第1電極がデータ線に接続され、第2電極が第1ノードに接続され、ゲート電極が現在の走査線に接続される第1トランジスタと、
第1電極が前記第1ノードを経由して前記第1電源に接続され、第2電極が前記有機発光ダイオードに接続され、ゲート電極が第2ノードに接続される第2トランジスタと、
前記第1電源と前記第2ノードとの間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記現在の走査線との間に接続される第2キャパシタとを備え、
前記第1キャパシタの2つの電極が互いに重なる領域において、前記第1キャパシタの2つの電極中の1つ以上の電極に開口部が形成されることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項8】
前記画素各々の、第1キャパシタと第2キャパシタとの容量比は、均一に設定されていることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記第1キャパシタの容量は、前記第2キャパシタの容量より大きく設定されることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項10】
前記第1キャパシタは、前記第1電源に接続され、前記第1及び第2トランジスタのゲート電極と同一レイヤに位置する第1導電層を含んで構成される第1電極と、前記第2ノードに接続され、前記第1及び第2トランジスタの活性層と同一レイヤに位置する半導体層を含んで構成される第2電極とを備えることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項11】
前記第1キャパシタの第2電極を構成する半導体層は、前記第1導電層と重なる領域に形成された前記開口部を備えることを特徴とする請求項10に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項12】
前記開口部は、前記第1キャパシタの2つの電極中の1つ以上の電極に複数個形成されることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−191726(P2011−191726A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144762(P2010−144762)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】