画質評価方法、プログラム及び装置
【課題】人による残像感の官能検査を、より短時間で且つより良い評価精度で安定して得られるようにする。
【解決手段】速度変化動画表示部36−1は評価対象となる液晶テレビ16に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を繰り返し表示する。判定操作検出部40−1で速度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出すると、速度マップ画像表示部38−1が速度変化動画を移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替え表示し、速度スケールの残像感が発生した位置の速度を読み取る。
【解決手段】速度変化動画表示部36−1は評価対象となる液晶テレビ16に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を繰り返し表示する。判定操作検出部40−1で速度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出すると、速度マップ画像表示部38−1が速度変化動画を移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替え表示し、速度スケールの残像感が発生した位置の速度を読み取る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビ等の表示装置における画質評価方法,プログラム及び装置に関し、特に、応答速度に起因した移動画像の残像感を評価する画質評価方法、プログラム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶テレビに代表される薄型テレビの高画質化を図るため、様々な画質改善技術が開発されており、これに対し画質改善の度合いを客観的に評価する手法が求められている。
【0003】
薄型テレビに使用される液晶パネルは応答速度が遅いという特性があり、動きの速い映像の残像感が問題とされている。動きのある映像の評価は静止画の評価より一般に難しく、客観的な評価方法が求められている。
【0004】
液晶パネルの応答性能を測定する方法として、MPRT法(Moving Picture Response Time)による応答速度測定装置がある。MPRT法は図22のように、縦縞模様のテストパターンの横スクロール表示をカメラで追尾し、撮像した表示画像102の輝度分布104を求め、黒レベルから白レベルへ変化している時間を評価時間Tとして測定する。この評価時間Tは液晶パネルの応答時間に対応しており、評価時間が短いほど応答時間が短く、残像感が少ないと推測することができる。
【特許文献1】特開2004−144831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のMPRT法による応答速度測定装置は、動きのある映像に対する液晶パネルの応答時間を客観的に検出することができるが、装置で測定した評価時間は必ずしも人間の目で感知する残像感とは一致せず、評価時間から残像感があると推定しても、人間の目では残像感を感じない場合もあり、人の目により残像感の有無を判断する官能検査が必要となる。
【0006】
残像感の官能検査方法としては、移動速度が一定のパターンを人に見せ、残像感発生の有無を判断させればよい。しかし、この方法は、異なる移動速度をもつ何種類かのパターンにつき、それぞれ複数回移動パターンの映像を見せて検査する必要があるため、測定時間が長くなると共に、微妙な移動速度の変化では人による判定が不安定になるという問題があった。
【0007】
本発明は、人による残像感の官能検査を、より短時間で且つより良い評価精度で安定して得られるようにする画質評価方法、プログラム及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(画質評価方法)
本発明は速度変化動画を用いた画質評価方法を提供する。即ち本発明の画質評価方法は、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する(望ましくは繰り返し表示する)速度変化動画表示ステップと、
速度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
判定操作信号を検出すると、速度変化動画を、移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の速度変化動画を用いた画質評価方法の別の形態にあっては、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
速度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
検出された判定位置に基づいて移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明は輝度変化動画を用いた画質評価方法を提供する。即ち本発明の画質評価方法は、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
輝度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
判定操作信号を検出すると、輝度変化動画を、移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の輝度変化動画を用いた画質評価方法の別の形態にあっては、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
輝度度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
検出された判定位置に基づいて移動体の残像感発生輝度を検出する残像感発生輝度検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明は彩度変化動画を用いた画質評価方法を提供する。即ち本発明の画質評価方法は、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
彩度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
判定操作信号を検出すると、彩度変化動画を、移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の彩度変化動画を用いた画質評価方法の別の形態にあっては、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
彩度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
検出された判定位置に基づいて移動体の残像感発生彩度を検出する残像感発生彩度検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の速度変化動画を用いた画質評価にあっては、画面内を移動体が速度を変えながら動き回る速度変化動画、例えば丸い図形が左から右へ加速しながら動き抜けるような速度変化動画を繰り返し表示することで、実際の動画表示に近い状態を再現して残像感を正確に判定できる。
【0015】
また速度変化動画の表示による画面上を移動する移動体の位置に応じて速度は一意に定まるため、移動体の位置と速度の関係をグラフ化した速度スケールを持つ速度マップ画面を準備し、評価者が速度変化動画から残像感が発生する位置を判定した際の判定操作により動画から速度マップに切替え表示し、評価者は残像感が発生した位置に対応するスケール値を読み取ることで、残像感の発生位置における移動体の移動速度、即ち残像感発生速度を簡単且つ正確に読み取ることができる。
【0016】
また必要に応じて自動読取モードを選択することで、評価者が残像感を判定した位置から自動的に残像感発生速度を求めることもできる。
【0017】
更に、移動体に残像感が発生する要因としては、移動速度の他には、背景との輝度差分値や、各種色彩値の差分値の影響が考えられる。そこで本発明にあっては、移動体の移動位置に応じて輝度や彩度が変化する輝度変化動画や彩度変化動画を表示して残像感が発生する輝度や彩度を測定して評価することができる。
【0018】
この場合にも、移動体の位置と輝度又は彩度との関係をグラフ化した輝度スケール又は彩度変化スケールを持つマップ画面を準備し動画と切替えて表示し、評価者はブレを特定した位置に対応するスケール値を読み取ることで、残像感の発生位置における移動体の輝度又は彩度、即ち残像感判定輝度又は彩度を簡単且つ正確に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明による画質評価装置の第1実施形態を示した画質評価環境の説明図であり、この第1実施形態にあっては、速度変化動画を用いて画質を評価するようにしたことを特徴とする。
【0020】
図1において、本実施形態で画質評価を行う部屋や設備を画質評価環境10としており、画質評価環境には本発明の第1実施形態における画質評価装置12−1、画質評価に使用する動画を再生する動画再生器14、及び評価対象となる表示装置である液晶テレビ16が設けられ、液晶テレビ16は液晶パネル18を備えている。
【0021】
本実施形態の画質評価は評価者22が目で見て評価するものであり、評価者22の評価判断を画質評価装置12−1に入力するため判定入力機器20が設けられている。判定入力機器20としては、画質評価装置12−1として例えばパーソナルコンピュータを使用した場合にはキーボードやマウスなどが使用でき、また専用の押しボタンスイッチを使用することもできる。
【0022】
評価対象となる液晶テレビ16に対する評価者22の位置は、例えば液晶パネルの前方2.0メートルというように測定条件を決めている。
【0023】
画質評価環境10に設置された画質評価装置12−1に対しては、外部に設けたホスト24がネットワークを介して接続されている。本実施形態にあっては、ホスト24側で画質評価装置12−1で画質評価に使用する速度変化動画、速度マップ画像及び動画管理情報などを準備作業により作成し、ネットワークを介して画質評価装置12−1に転送して、画質評価に使用するようにしている。
【0024】
このためホスト24には評価動画作成部26−1が設けられ、評価動画作成部26−1により動画管理テーブル28−1、速度変化動画ファイル30−1及び速度マップ画像ファイル32−1が作成される。
【0025】
これら画質評価に必要な情報は、ホスト24からネットワークを介して画質評価装置12−1に制御部34−1を介して転送され、同じく動画管理テーブル28−1、速度変化動画ファイル30−1及び速度マップ画像ファイル32−1として格納されている。
【0026】
画質評価装置12−1には、速度変化動画表示部36−1及び速度マップ画像表示部38−1、判定操作検出部40−1、判定位置検出部42−1及び残像感発生速度検出部44−1が設けられている。
【0027】
速度変化動画表示部36−1は、速度変化動画ファイル30−1から移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を読み出して動画再生器14に出力し、動画再生器14で速度変化動画を液晶テレビ16の液晶パネル18に繰り返し表示する。
【0028】
この液晶テレビ16に表示された移動位置に応じて移動速度が変化する移動体を評価者22が見て、移動体にボケが生ずる残像感の発生を確認すると、その位置にマウスカーソルなどのマーカを移動して指し示した状態で、判定入力機器20のマウス、キーボード、あるいは押しボタン操作により、移動体の残像感を判定したことを示す判定操作信号を画質評価装置12−1に送る。
【0029】
判定入力機器20からの判定操作信号は、判定操作検出部40−1と判定位置検出部42−1に入力される。本実施形態にあっては、判定操作検出部40−1を有効とするユーザ読取モードと、判定位置検出部42−1及び残像感発生速度検出部44−1を有効とする自動読取モードの2つのモードがあり、いずれか一方のモードを制御部34−1に対する初期設定操作で選択することができる。
【0030】
制御部34−1にユーザ読取モードを設定すると、判定操作検出部40−1が有効に動作する。判定操作検出部40−1は、液晶テレビ16の液晶パネル18に繰り返し表示されている速度変化動画を見た評価者22の残像感を判定した際に操作した判定操作信号を検出すると、速度マップ画像表示部38−1に検出出力を生じ、動作させる。
【0031】
速度マップ画像表示部38−1は、速度マップ画像ファイル32−1から速度マップ画像を読み出し、それまで表示していた速度変化動画を停止し、動画再生器14を介して静止画像である速度マップ画像を液晶テレビ16に切り替え表示する。
【0032】
速度マップ画像は、移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示しており、評価者22が判定入力機器20で残像感を判定した位置を例えば液晶パネル18上のカーソルなどで指し示していることから、速度マップ画像のマーカが位置している速度スケールから、移動体の残像感を判定した残像感判定速度を簡単に読み取ることができる。
【0033】
一方、制御部34−1で自動読取モードを設定した場合には、判定位置検出部42−1と残像感発生速度検出部44−1が有効となる。判定位置検出部42−1は、液晶テレビ16に繰り返し表示されている速度変化動画を見ている評価者22が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上のマーカで指し示している判定位置を検出する。
【0034】
残像感発生速度検出部44−1は、判定位置検出部42−1で検出された判定位置に基づいて、動画管理テーブル28−1を参照して移動体の残像感発生速度を検出し、必要があれば液晶パネル18の片隅などに表示し、またデータとして、図示しないメモリに記録する。
【0035】
図2は図1の第1実施形態における動画管理テーブル、速度変化動画及び速度マップ画像の作成処理を示した説明図である。図1の第1実施形態にあっては、速度変化動画を作成する際には、まず動画管理テーブル28−1を準備する。もちろん、図1の実施形態における速度変化動画の作成する準備作業はホスト24側で行われる。
【0036】
動画管理テーブル28−1は、速度変化動画を、その動画時間分のフレームを示すフレーム番号FL1〜FLnに分けて管理している。速度変化画像を作成する際には、まず着目する移動体を決め、続いて画面上での移動体の移動パスP(t)を決める。
【0037】
この移動パスP(t)は例えば画面を左端から右端に向けて直線的に移動する経路である。続いて、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度を変化させるためのパラメータとして例えば一定加速度αを決める。このように加速度αを決めると、画面上で移動体は左から右に移動しながら一定加速度で移動速度が増加することになる。
【0038】
移動体の移動パスと速度変化の加速度αが決まれば、フレーム番号FL1〜FLnで指定される各フレームの移動体位置P1〜Pnが決まる。この移動体位置P1〜Pnは、具体的には画面の2次元座標P(x,y)である。
【0039】
動画管理テーブル28−1が作成できたならば、これに基づいて、その下に示すように、フレーム番号FL1〜FLnに対応したフレーム46−1〜46−nで構成される速度変化動画46を作成する。この実施形態において、フレーム46−1〜46−nの移動体48−1〜48−nは黒丸で示している。
【0040】
速度変化動画46を構成するフレーム46−1〜46−nは、例えば1/30秒周期でフレーム切替えすることで動画を表示している。したがって、フレームの切替時間tはt=(1/30)秒の一定時間となる。
【0041】
いま先頭のフレーム46−1の位置P1の移動体48−1がスタート位置で停止していると、次のフレーム46−2の移動体48−2の速度V及び位置P2までの移動距離L12は次のように求まる。ここで移動体は、一定加速度αで移動速度が変化するものとする。
V=αt
L12=αt2
【0042】
そして3番目のフレーム46−3から後ろに順次示すように、フレーム切替えが進むほど移動体の速度は増加し、移動距離もL23,L24・・・というように速度増加に応じて増してゆく。
【0043】
このようなフレーム46−1〜46−nから構成される速度変化動画46が作成できたならば、フレーム46−1〜46−nにおける移動体位置P1〜Pnを目盛りとした速度スケール52を持つ速度マップ画像50を作成する。
【0044】
速度マップ画像50の速度スケール52は、速度変化動画46におけるフレーム46−1〜46−nの移動体48−1〜48−nの位置P1〜Pnをマージすることで作成することができる。
【0045】
なお、図2の速度スケール52は、一定のフレーム切替時間ごとの移動体位置の目盛りに対する速度を示しているが、実際には速度スケール52には等間隔の目盛りを付け、それぞれの目盛りに移動位置に対応した速度表示をすることになる。
【0046】
図3は図1の第1実施形態における画質評価の測定処理を示した説明図である。図3において、速度変化動画46及び速度マップ画像50は、図1のようにホスト24側で作成され、画質評価装置12−1に速度変化動画ファイル30−1及び速度マップ画像ファイル32−1として動画管理テーブル28−1と共に格納されている。
【0047】
速度変化動画46は、例えば白丸で示す移動体48が左側から加速度αで移動速度を増加させながら右側に移動する画像であり、これを評価対象となる液晶テレビ16に繰り返し画像出力することで、動画表示画面54に示すように速度変化動画が繰り返し表示される。
【0048】
この動画表示画面54に示すように、速度変化動画46を繰り返し表示した状態で、評価者22は画面を右から左に速度を増加させながら移動する移動体を観察し、移動体にブレが生ずる残像感発生位置を認識すると、例えばその位置に矢印で示すマーカ55をセットし、図1に示す判定入力機器20の操作で判定操作信号を画質評価装置12−1に供給する。
【0049】
ここで制御部34−1がユーザ読取モードを設定していたとすると、評価者22による判定操作信号を受けて、動画表示画面54から予め準備している速度スケール52を備えた速度マップ画像50を示す速度マップ画面56に切り替わる。
【0050】
このとき、評価者22が残像感を発生した移動体位置に合わせてセットしたマーカ55はそのまま残っていることから、速度マップ画面56に切り替わると、残像感発生位置を示すマーカ55で示す位置の速度を速度スケール52から読むことで、残像感発生速度を評価者22は簡単に知ることができる。
【0051】
なお図3はユーザ読取モードの例であるが、自動読取モードの場合には、評価者22が動画表示画面54を見て移動体にブレが現れたときの判定スイッチ操作から移動体位置、例えばそのときの動画フレーム番号を検出し、動画管理テーブル28−1から残像感発生速度を検出して画面表示あるいはメモリにログされ、速度マップ画面56への切替表示は行わないが、必要に応じて切替表示しても良い。
【0052】
図4は図1の第1実施形態における画質評価装置12−1が実現されるコンピュータのハードウェア環境を示したブロック図である。図4において、コンピュータはCPU58を有し、CPU58のバス60にRAM62、ROM64、ハードディスクドライブ66、キーボード70,マウス72,ディスプレイ74を接続するデバイスインタフェース68、更にネットワークアダプタ76を接続している。
【0053】
ハードディスクドライブ66には、本実施形態の画質評価処理に必要なプログラム、及び図1に示した動画管理テーブル28−1、速度変化動画ファイル30−1及び速度マップ画像ファイル32−1の画質評価に必要なデータが格納されている。
【0054】
コンピュータを起動すると、ROM64のブートコードの実行による起動処理を経てハードディスクドライブ66からRAM62にOSがロードされて実行され、続いてOSの実行に伴いハードディスクドライブ66から画質評価の機能を実現するプログラム及び速度変化動画などのファイルデータをRAM62にロードし、CPU58により画質評価機能を実現するプログラムを実行する。
【0055】
図5は図1の第1実施形態における評価動画作成処理を示したフローチャートであり、ホスト24側の準備作業となる処理である。図5において、第1実施形態の評価動画作成処理は、ステップS1で着目する移動体を決め、続いて、着目する移動体の画面上の移動パスP(t)を作成する。
【0056】
続いてステップS2で、作成した移動パスP(t)を持つ移動体の移動速度V(x,y)を検出する。具体的には、図2に示したように、移動体の移動パスは画面の左から右に移動する直線のパスであり、移動体の移動位置に伴う移動速度は一定加速度αで増加する場合である。
【0057】
これによって速度変化動画を構成するフレームごとの移動体位置P1〜Pnが図2の移動管理テーブル28−1のように決まり、移動体位置P1〜Pnが決まれば、フレームごとの切替時間はフレーム周期t=(1/30)秒であることから、移動速度Vは
V=αt
となり、また移動位置を決める移動距離Lは
L=αt2
として求まる。
【0058】
そしてステップS3で、フレーム番号に対応して、図2に示すようにP1〜Pnと速度V1〜Vnを登録した動画管理テーブル28−1を作成する。
【0059】
次にステップS4で、動画管理テーブル28−1に基づいて図2のフレーム単位の連続シーンで示すように速度変化動画46を作成する。更にステップS5で、速度変化動画46におけるフレーム46−1〜46−nの移動体48−1〜48−nの位置とその速度から、速度スケール52を持つ速度マップ画像50を作成する。
【0060】
図6は第1実施形態における既存の動画を利用した評価画像の作成処理を示したフローチャートである。図5の実施形態にあっては評価画像作成として専用の動画を作る場合を例にとっているが、図6の実施形態にあっては既存の動画を利用して評価画像を作成することを特徴とする。
【0061】
図6において、ステップS1で評価に使用する動画を読み込む。この評価に使用する動画としては、画面内を速度を変えながら飛翔する鳥や、画面内を移動する動物などの動画が利用できる。続いてステップS2で、読み込んだ動画の中で画質評価のために着目する移動体を決定する。例えば画面内で飛翔する鳥などを、着目する移動体に決定する。
【0062】
次にステップS3で動画における移動体の移動速度V(x,y)を算出する。この移動速度Vの算出は、フレームごとに移動体位置を求め、移動体の画面上における移動距離Lをフレーム周期t=(1/30)秒で割った実際に移動体が画面上で移動する速度を算出する。
【0063】
次に、ステップS4で、例えば図2に示したようなフレーム番号に対応して移動体位置と速度を登録した動画管理テーブル28−1が作成できる。更にステップS5で既存の動画の中の着目する移動体について求めた画面上の位置と速度から速度スケール52を表示する速度マップ画像50を作成する。尚、既存動画を用いた場合の速度スケールは、移動体の移動速度は位置の変化とともに連続的に変化せず、位置に対し算出されたランダムな速度を示したスケールとなる。
【0064】
図7はユーザ読取モードによる図1の第1実施形態における画質評価のための計測処理を示したフローチャートである。図7において、ユーザ読取モード測定処理は、ステップS1で画質評価装置12−1にホスト24からの転送で格納している速度変化動画ファイルから速度変化動画を速度変化動画表示部36−1で読み出し、動画再生器14に出力して、評価対象となる液晶テレビ16の液晶パネル18に繰り返し速度変化動画を表示させる。
【0065】
この状態で評価者22は、例えば図3に示すように動画表示画面54の表示状態で画面の左から右に速度を増加させながら移動する移動体を観測し、移動体にブレが生ずる残像感発生位置を認識したら、その位置に図3の動画表示画面54に示すようにマーカ55をセットし、カーソル判定入力機器20の操作により判定操作検出信号を画質評価装置12−1に出力する。
【0066】
続いてステップS3で評価完了か否かチェックしており、残像感の判定操作信号が得られた場合には評価完了と判断し、ステップS4で図3の速度マップ画面56に示すように動画表示画面54から切り替え、速度スケール52を表示する。
【0067】
このとき残像感判定位置を示すマーカ55が残っていることから、マーカ55が指し示す速度スケール52の位置から評価者22は自ら判定した残像感発生速度を簡単に読み取ることができる。実際の画質評価では図7に示すユーザ読取モード測定処理を何回か繰り返し、その速度画面から切り替えられた速度マップ画面の速度スケールの読取値の平均値を求めることで、安定した残像感発生速度を検出できる。
【0068】
図8は自動読取モードによる図1の第1実施形態における測定処理を示したフローチャートである。自動読取モードによる測定処理は、ステップS1で評価用の速度変化画像を表示し、ステップS2で判定入力機器20、例えば残像感判定スイッチの信号読取りを行い、ステップS3で残像感判定スイッチの信号が得られていれば評価完了と認識し、ステップS4でユーザが残像感判定スイッチを操作した画面上の残像感発生位置Pを読み取り、ステップS5で移動体位置Pにより動画管理テーブル28−1から対応する残像感発生速度Vを検出する。
【0069】
具体的には、ステップS4で残像感判定スイッチの操作信号を検出したときのフレーム番号を再生中の速度変化動画から取得し、このフレーム番号により図2の動画管理テーブル28−1を参照することで、対応する速度を自動的に検出することができる。
【0070】
ステップS5で自動的に検出した残像感発生速度は、液晶テレビ16上の画面隅に数値表示してもよいし、検出した残像感移動速度を画質評価装置12−1のメモリにログ情報として例えば評価者22のIDと共に記録し、測定後にホスト24に転送して処理するようにしてもよい。
【0071】
図9は輝度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第2実施形態を示した説明図である。図9において、画質評価環境10には、第2実施形態の画質評価装置12−2、動画再生器14、評価対象となる表示装置である液晶テレビ16が設けられ、液晶テレビ16は液晶パネル18を備えている。また評価者22の評価判断を画質評価装置12−2に入力するための判定入力機器20が設けられている。
【0072】
画質評価環境10に設置された画質評価装置12−2に対してはホスト24がネットワークを介して接続されている。ホスト24には、本実施形態にあっては評価動画作成部26−2が設けられ、動画管理テーブル28−2、輝度変化動画ファイル30−2、及び輝度マップ画像ファイル32−2を準備作業として作成するようにしている。
【0073】
画質評価装置12−2には制御部34−2が設けられ、制御部34−2は図1の第1実施形態と同様、ユーザ読取モードと自動読取モードのいずれか一方の動作モードを設定できる。また画質評価装置12−2には、ホスト24で作成された動画管理テーブル28−2、輝度変化動画ファイル30−2、及び輝度マップ画像ファイル32−2がネットワークを介して転送保持されている。
【0074】
画質評価装置12−2には、輝度変化動画を使用した画質評価のため、輝度変化動画表示部36−2、輝度マップ画像表示部38−2、判定操作検出部40−2、判定位置検出部42−2及び残像感発生輝度検出部44−2が設けられている。
【0075】
制御部34−2でユーザ読取モードを設定した場合、輝度変化動画表示部36−2が評価対象となる液晶テレビ16に、輝度変化動画ファイル30−2に格納している移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を動画再生器14に出力し、動画再生器14で液晶テレビ16上に繰り返し表示させる。
【0076】
判定操作検出部40−2は、液晶テレビ16に繰り返し表示される輝度変化動画を評価者22が見て、例えば画面の左から右に一定速度で移動しながら輝度が同じく一定速度で低下する移動体を観察し、移動体の進行方向の後ろ側にブレを生ずる残像感発生位置を認識すると、その位置に矢印などのマウスカーソルなどのマーカを位置合せして、判定入力機器20の操作により出力される判定操作信号を検出する。
【0077】
判定操作検出部40−2で検出された判定操作は輝度マップ画像表示部38−2に出力され、輝度マップ画像表示部38−2は輝度マップ画像ファイル32−2から移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面を読み出し、動画再生器14による輝度変化動画の再生を停止して輝度マップ画像の表示に切り替える。この輝度マップ画像の表示切替えにより、評価者22は残像感を判定したマーカが示す輝度スケールの目盛りから残像感発生輝度を読み取ることができる。
【0078】
一方、制御部34−2で自動読取モードを設定した場合には、輝度変化動画表示部36−2による液晶テレビ16に対する移動動画の繰返し表示はユーザ読取モードと同じであるが、評価者22が画面上を移動する移動体の輝度変化につき残像感を認識して操作した際の判定操作位置を判定位置検出部42−2で検出し、残像感発生輝度検出部44−2で検出した画面上の判定位置、例えば判定位置のフレーム番号により動画管理テーブル28−2を参照し、対応する残像感発生輝度を検出し、液晶テレビ16の画面隅などに表示するか、あるいは検出した残像感発生輝度をメモリに評価者22のIDと共に記録し、測定後にホスト24に転送することになる。
【0079】
図10は図9の第2実施形態における動画管理テーブル、輝度変化動画及び輝度マップ画像の作成処理を示した説明図であり、図9のホスト24側で準備作業として作成される。
【0080】
図10において、まず輝度変化動画を作成する際に使用する動画管理テーブル28−2を作成する。動画管理テーブル28−2は、輝度変化動画の動画再生時間に亘るフレーム数に対応したフレーム番号FL1〜FLnを持ち、それぞれ移動体位置P1〜Pnと対応する輝度B1〜Bnを格納している。
【0081】
移動体位置は画面上の移動体の移動パスを決め、この移動パスに沿って例えば一定速度で移動体が移動する際の各フレームの移動位置P1〜Pnに対応した例えば明るい状態から暗い状態に変化する輝度B1〜Bnを設定している。
【0082】
動画管理テーブル28−2に基づき、その下に示す輝度変化動画78が作成できる。輝度変化動画78はフレーム78−1〜78−nを持ち、黒丸で示す移動体80−1〜80−nが一定速度で画面上を移動しており、その移動体位置P1〜Pnごとに輝度B1〜Bnに変化している。
【0083】
ここで移動体80−1〜80−nの画面上の速度としては、例えば図2に示したような速度変化動画で残像感を発生し易い速度付近に決めておく。
【0084】
輝度マップ画像82は、輝度変化動画78のフレーム78−1〜78−nにおける移動体80−1〜80−nの位置とその輝度から輝度スケール84を作成している。
【0085】
図11は図9の第2実施形態における画質評価測定処理を示した説明図である。図11において、予め準備した輝度変化動画78を画面出力し、動画表示画面86に示すように、例えば黒を背景に移動体として表示する円形図形が静止状態から一定速度で移動しながら輝度を最大輝度から黒までの間で変化させる輝度変化動画78を繰り返し表示する。
【0086】
このような輝度変化動画78の表示において、動画表示画面86上で輝度がある値を下回ると、評価者22によって、円形図形である対象物の後方の境界が失われてブレたように見え、残像感が発生する。そこで評価者22は、残像感が発生した位置を覚えていて例えばマーカ88で示しておき、画質評価の結果が得られたものとして判定入力機器20の判定操作を行う。
【0087】
評価者22による輝度変化動画に対する例えば残像感発生の判定操作が行われると、その位置をマーカ88で指し示しているため、判定操作信号を受けて右側に示す表示切替えで輝度マップ画面90に切り替わり、輝度スケール84が表示され、輝度スケール84のマーカ88で示す位置を見ることで、残像感が発生する輝度を読み取ることができる。
【0088】
なお図11はユーザ読取モードの例であるが、自動読取モードの場合には、評価者22が動画表示画面86を見て移動体にブレが現れたときの判定スイッチ操作から移動体位置、例えばそのときの動画フレーム番号を検出し、動画管理テーブル28−2から残像感発生輝度を検出して画面表示あるいはメモリにログされ、輝度マップ画面90への切替表示は行わないが、必要に応じて切替表示しても良い。
【0089】
図12は図9の第2実施形態における輝度変化動画を用いた評価動画のフローチャートであり、ホスト24側の準備作業として作成される。
【0090】
図12において、評価動画作成処理は、ステップS1で着目する移動体の一定速度Vとなる表示画面上における移動パスP(t)を作成する。これは、例えば画面を左から右に直線的に移動する移動パスである。もちろん、移動パスは直線であっても曲線であっても、適宜の軌跡が設定できる。
【0091】
続いてステップS2で移動パスP(t)を基に移動体の輝度変化B(x,y)を作成する。ここで移動体の移動速度は一定速度Vとしていることから、図10に示したように、フレーム切替時間t=(1/30)秒ごとの移動体の画面上の移動距離LはL=Vtとなり、移動位置P1〜Pnが一義的に決まり、各位置ごとに例えば図11に示したように、最大輝度から黒に向かって変化する輝度変化B(x,y)を設定して作成する。
【0092】
続いてステップS3で、図10に示すようなフレーム番号に対応して移動体位置P1〜Pnと輝度B1〜Bnを登録した動画管理テーブル28−2を作成する。
【0093】
続いてステップS4で、動画管理テーブル28−2に基づき、その下側に示すようなフレーム78−1〜78−nからなる輝度変化動画78を作成する。更にステップS5で輝度スケール84を表示する輝度マップ画像82を作成する。
【0094】
図13は既存の動画を利用した図9の第2実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャートである。図13において、ステップS1で評価に使用する例えば鳥が飛翔しているような動画を読み込み、ステップS2で動画の中で着目する移動体例えば移動する鳥を決定する。
【0095】
続いてステップS3で移動体の移動位置に対応した輝度変化を作成する。具体的には、フレームごとに移動体の移動位置を求め、その移動位置ごとに、移動体の輝度を検出して設定する。続いてステップS4で図10に示したようなフレーム番号に対応して移動体位置と輝度を登録した動画管理テーブル28−2を生成する。更にステップS5で、図10に示したような輝度スケール84を表示する輝度マップ画像82を作成する。
【0096】
図14はユーザ読取モードによる図9の第2実施形態における測定処理を示したフローチャートである。図14において、ユーザ読取モード測定処理は、ステップS1で評価用の輝度変化動画を図9に示すように評価対象となる液晶テレビ16に表示し、この状態で、ステップS2で判定入力機器20の例えば残像感判定スイッチの信号読取りを行っている。
【0097】
評価者が残像感を判定するとその位置にマーカをセットして残像感判定スイッチを操作することから、残像感判定スイッチの信号読取りで判定操作が検出されると、ステップS3で判定完了が判別され、ステップS6で輝度マップ画像に切替え表示し、切り替えた輝度スケールの残像感判定位置を示すマーカから残像感判定輝度を読み取ることができる。
【0098】
一方、ステップS1〜S3において輝度変化動画を繰返し表示しても、評価者22が画面上を移動する輝度変化する移動体について残像感の発生を認識できない場合がる。この場合にはステップS4に進み、評価不能を示す判定入力機器20の操作から評価不能を判別すると、ステップ5で移動速度の異なる輝度変化動画に変更し、ステップS1からの輝度変化動画の表示を繰り返す。
【0099】
即ち、最初に表示した輝度変化動画から移動体の残像感が認識できない場合には、例えば移動体の速度を速くした輝度変化動画に変更して輝度変化動画の表示を繰り返す。移動体の移動速度が増加すれば、同じ輝度変化であったとしても残像感が出易いことから、画面上を移動して輝度が変化する移動体につき残像感発生を認識して判定操作を行うことで、残像感発生速度を輝度マップ画像の輝度スケールから読み取ることができる。
【0100】
図15は自動読取モードによる図9の第2実施形態における測定処理を示したフローチャートである。図15の自動読取モード測定処理におけるステップS1〜S5の処理は、図14のユーザ読取モードの測定処理と同じであるが、ステップS3で評価完了を判別すると、ステップS6に進み、残像感発生を認識した画面上の残像感判定スイッチの操作から認識して残像感発生位置Pを検出する。この残像感発生位置Pの検出は残像感判定スイッチを操作した際の動画フレーム番号である。続いてステップS7で例えば図10の動画管理テーブル28−2から移動体位置を示すフレーム番号に対応した輝度を読み取り、残像感発生輝度を検出することができる。
【0101】
図16は彩度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第3実施形態を示した説明図である。図16において、画質評価環境10には、第3実施形態の画質評価装置12−3、動画再生器14、評価対象となる表示装置である液晶テレビ16が設けられ、液晶テレビ16は液晶パネル18を備えている。また評価者22の評価判断を画質評価装置12−3に入力するための判定入力機器20が設けられている。
【0102】
画質評価装置12−3に対してはホスト24がネットワークを介して接続され、ホスト24側には評価動画作成部26−3が設けられ、準備作業として動画管理テーブル28−3、彩度変化動画ファイル30−3及び彩度マップ画像ファイル32−3を作成して格納しており、作成後にネットワークを介して画質評価装置12−3に転送し、同じく動画管理テーブル28−3、彩度変化動画ファイル30−3、及び彩度マップ画像ファイル32−3として格納している。
【0103】
画質評価装置12−3には、彩度変化動画表示部36−3、彩度マップ画像表示部38−3、判定操作検出部40−3、判定位置検出部42−3及び残像感発生彩度検出部44−3が設けられており、処理対象が彩度変化動画と彩度マップ画像である点以外は、基本的には図1の速度変化画像の場合と同じである。また制御部34−3にあっては、画像評価の際にユーザ読取モードと自動読取モードのいずれか一方のモードを設定して動作させることができる。
【0104】
制御部34−3でユーザ読取モードを設定した場合は、彩度変化動画表示部36−3は、評価対象となる表示装置である液晶テレビ16に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を繰り返し表示する。
【0105】
判定操作検出部40−3は、制御部34−3でユーザ読取モードを設定した際に動作し、評価者22による判定入力機器20からの残像感発生彩度を認識した際の判定操作信号を検出すると、彩度マップ画像表示部38−3に出力し、それまで表示している彩度変化動画を停止し、彩度マップ画像ファイル32−3から読み出した彩度スケールを有する彩度マップ画像の表示に切り替える。
【0106】
また制御部34−3で自動読取モードを設定した場合には、判定位置検出部42−3で評価者22による残像感発生彩度の判定入力信号、例えば残像感判定スイッチの操作信号を検出すると、残像感発生彩度検出部44−3により判定位置の動画のフレーム番号に対応した残像感発生彩度を動画管理テーブル28−3から検出して液晶テレビ16に表示し、またメモリにログして、測定後にホスト24に評価結果を転送している。
【0107】
図17は図16の第3実施形態における動画管理テーブル、彩度変化動画及び彩度マップ画像の作成処理を示した説明図である。図17の作成処理は、図16に示したようにホスト24側で準備作業として行われ、まず動画管理テーブル28−3が作成される。
【0108】
動画管理テーブル28−3は、画面上で移動体が例えば左から右に移動する移動パスを定め、この移動パスに従った動画再生時間に亘るフレーム数で決まるフレーム番号FL1〜FLnを登録し、移動体を一定速度で移動するものとして、移動パスに従った移動体位置P1〜Pnを移動速度Vとフレーム切替時間t=(1/30)秒から求める。
【0109】
フレーム92−1〜92−nにおいて、フレーム切替えごとの移動距離は移動速度Vが一定でフレーム切替時間がt=(1/30)秒であることから、L=Vtとして同じ距離となり、移動位置P1〜Pnが一義的に求まる。
【0110】
続いて、移動体位置P1〜Pnごとに、ある割合で変化する彩度C1〜Cnを登録する。色彩C1〜Cnの変化としては、例えば人間の可視波長帯域で短い波長から長い波長、またはその逆に、波長を段階的に変化させることで色彩を変化させる。
【0111】
次に動画管理テーブル28−3に基づいて彩度変化動画92を作成する。彩度変化動画92のフレーム92−1〜92−nは、所定の背景色上で、一定速度で移動する移動体の彩度が時間の経過、即ち移動位置に対応して一定速度で変化する動画を構成するフレーム画像の集合となる。
【0112】
更に、移動体の移動位置に応じた彩度を示す目盛りを持った彩度スケール96を有する彩度マップ画像94を作成する。
【0113】
図18は図16の第3実施形態における評価画像作成処理を示したフローチャートであり、ホスト24側での準備作業として行われる処理である。図18において、評価画像作成処理は、ステップS1で着目する移動体を決め、移動体の一定速度Vの画面上における移動パスP(t)を作成し、続いてステップS2で移動パスP(t)に基づいて移動体の彩度変化C(x,y)を作成する。
【0114】
具体的には、表示動画のフレーム周期tと一定の移動速度Vからフレーム切替え毎の移動距離Lが求まり、移動距離Lが求まれれば画面上における移動位置P1〜Pnが求まることから、各移動位置ごとに、ある割合で変化する彩度変化Cを設定する。
【0115】
このステップS2の処理により、ステップS3で図17に示すようなフレーム番号に対応して移動体位置P1〜Pnと彩度C1〜Cnを登録した動画管理テーブル28−3が作成できる。
【0116】
続いてステップS4で、動画管理テーブル28−3に基づいて、図17に示したようにフレーム92−1〜92−nからなる彩度変化動画92を作成する。更にステップS5で、図17に示すように彩度スケール96を有する彩度マップ画像94を作成する。
【0117】
図19は既存の動画を利用した図16の第3実施形態における彩度変化動画を用いた評価動画の作成処理を示したフローチャートである。図19において、既存の動画を使用する評価動画作成処理は、ステップS1で評価に使用する動画を読み込み、ステップS2で動画の中で着目する移動体を決める。
【0118】
続いてステップS3で移動体の移動位置に対応した彩度変化C(x,y)を検出し、ステップS4で図17に示したような動画管理テーブル28−3を作成する。更にステップS5で動画管理テーブル28−3を基に彩度スケールを表示する彩度マップ画像を作成する。
【0119】
図20はユーザ読取モードによる図16の第3実施形態における測定処理を示したフローチャートであり、図16を参照して説明すると次のようになる。
【0120】
ユーザ読取モード測定処理は、ステップS1で画質評価装置12−3の彩度変化動画表示部36−3が彩度変化動画ファイル30−3から彩度変化動画を読み出し、動画再生器14に出力し、液晶テレビ16に彩度変化動画を繰り返し表示させる。
【0121】
この彩度変化動画の再生状態で評価者22が画面上を移動しながら彩度の変化する移動体を観察しており、移動体にブレが生ずる残像感を認識すると、判定位置にマーカをセットし、判定入力機器20として例えば残像感判定スイッチを操作する。
【0122】
ステップS2は残像感判定スイッチの信号読込みを行っており、もし判定スイッチ信号が得られれば、ステップS3で評価完了と判断し、ステップS6で彩度スケールを有する彩度マップ画像を表示する。
【0123】
評価者22は残像感を判定した場合、移動体の移動位置にマーカを設定していることから、彩度マップ画像に切り替えたときにマーカが指し示す彩度スケールから残像感発生彩度を簡単且つ容易に読み取ることができる。
【0124】
一方、ステップS1〜S3により彩度変化動画を繰り返し再生していても評価者22が残像感を認識できなかったような場合には、判定入力機器20の操作などで評価不能の操作を行うことから、これがステップS4で判別され、ステップS5で移動速度の異なる彩度変化動画に変更し、ステップS1からの彩度変化動画の表示を繰り返す。
【0125】
即ち、最初に表示している彩度変化動画で移動体の残像感が認識できない場合には、移動体の移動速度が遅すぎる場合があることから、この場合には移動速度を高めて彩度変化動画を表示し、評価者22において、画面上を移動する移動体の彩度変化から残像感が出易いようにしている。なお移動体の速度を速くする以外に、背景色の異なる彩度変化動画に変更するようにしてもよい。
【0126】
図21は自動読取モードによる図16の第3実施形態における測定処理を示したフローチャートである。この自動読取モード測定処理にあっては、ステップS1〜S5は図20のユーザ読取モードの測定処理と同じであるが、ステップS3で評価完了を判別した場合、ステップS6で図16の判定位置検出部42−3で残像感発生彩度を捉えた移動体位置を例えば動画のフレーム番号として検出し、ステップS7で残像感発生彩度検出部44−3により、例えば動画管理テーブル28−3から判定位置(判定フレーム番号)に対応した彩度を読み出し、画面表示するか、メモリに評価者IDと共にログした後、ホスト24側に転送して処理することになる。なお、この自動読取モードにおいても、必要に応じてユーザ読取モードと同様に、彩度マップ画像を切替え表示しても良い。
【0127】
また本発明は、図1,図9及び図16の各実施形態における画質評価装置12−1,12−2,12−3のそれぞれで実行する画質評価のためのプログラムを提供するものであり、このプログラムは、第1実施形態については図7と図8、第2実施形態については図14と図15、第3実施形態については図20と図21のそれぞれのフローチャートに示す内容となる。
【0128】
なお、上記の実施形態における第2実施形態、第3実施形態の輝度動画表示及び彩度動画表示については、画面上で移動体を一定速度で移動させているが、速度を変化させても構わない。
【0129】
また上記の実施形態にあっては、例えば第1実施形態にあっては画面上の位置において移動速度が例えば一定加速度で増加する速度変化動画を速度増加させながら表示しているが、作成した速度変化動画を逆方向に再生することで、移動体の移動速度を一定加速度で減少させながら表示させる動画表示としてもよい。
【0130】
この点は輝度変化動画及び彩度変化動画についても同様であり、最初、一方向のフレーム順の変化動画を再生し、続いて逆方向に変化する動画を表示し、これを繰り返すようにしてもよい。
【0131】
また上記の実施形態にあっては、移動速度、輝度、彩度を個別に変化させる評価動画を例にとっているが、速度、輝度、彩度のいずれか2つを組み合わせて変化させることも可能であるし、速度、輝度、彩度のすべてを組み合わせて変化させる動画としてもよい。
【0132】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0133】
ここで本発明の特徴をまとめて列挙すると次の付記のようになる。
(付記)
(付記1)(方法:速度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記速度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。(1)
【0134】
(付記2)(自動速度検出)
付記1記載の画質評価方法に於いて、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。(2)
【0135】
(付記3)(輝度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記輝度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。(3)
【0136】
(付記4)(自動速度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生輝度を検出する残像感発生輝度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【0137】
(付記5)(彩度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記彩度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。(4)
【0138】
(付記6)(自動速度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生彩度を検出する残像感発生彩度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【0139】
(付記7)(プログラム:速度変化動画)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示部、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部、及び
前記判定操作信号を検出すると、前記速度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0140】
(付記8)(自動速度検出)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示部、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部、及び、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0141】
(付記9)(輝度変化動画)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示部、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部、及び、
前記判定操作信号を検出すると、前記輝度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0142】
(付記10)(自動速度検出)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示部、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部、及び
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生輝度を検出する残像感発生輝度検出部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0143】
(付記11)(彩度変化動画)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示部、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部、及び、
前記判定操作信号を検出すると、前記彩度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0144】
(付記12)(自動速度検出)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示部、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部、及び、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生彩度を検出する残像感発生彩度検出部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0145】
(付記13)(装置:速度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示部と、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部と、
前記判定操作信号を検出すると、前記速度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0146】
(付記14)(自動速度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示部と、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部と、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0147】
(付記15)(輝度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示部と、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部と、
前記判定操作信号を検出すると、前記輝度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0148】
(付記16)(自動輝度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示部と、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部と、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生輝度を検出する残像感発生輝度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0149】
(付記17)(彩度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示部と、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部と、
前記判定操作信号を検出すると、前記彩度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0150】
(付記18)(自動彩度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示部と、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部と、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生彩度を検出する残像感発生彩度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】速度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第1実施形態を示した説明図
【図2】図1の第1実施形態における動画管理テーブル、速度変化動画および速度マップ画像の作成処理を示した説明図
【図3】図1の第1実施形態における画質評価の測定処理を示した説明図
【図4】本実施形態の画質評価装置が実現されるコンピュータのハードウェア環境を示したブロック図
【図5】図1の第1実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図6】既存の動画を利用した図1の第1実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図7】ユーザ読取モードによる図1の第1実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図8】自動読取モードによる図1の第1実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図9】輝度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第2実施形態を示した説明図
【図10】図9の第2実施形態における動画管理テーブル、輝度変化動画および輝度マップ画像の作成処理を示した説明図
【図11】図9の第2実施形態における画質評価測定処理を示した説明図
【図12】図9の第2実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図13】既存の動画を利用した図9の第2実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図14】ユーザ読取モードによる図9の第2実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図15】自動読取モードによる図9の第2実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図16】彩度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第3実施形態を示した説明図
【図17】図16の第3実施形態における動画管理テーブル、彩度変化動画および彩度マップ画像の作成処理を示した説明図
【図18】図16の第3実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図19】既存の動画を利用した図16の第3実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図20】ユーザ読取モードによる図16の第3実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図21】自動読取モードによる図16の第3実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図22】従来のMPRT法による測定処理の説明図
【符号の説明】
【0152】
10:画質評価環境
12−1〜12−3:画質評価装置
14:動画再生器
16:液晶テレビ
18:液晶パネル
20:判定入力機器
22:評価者
24:ホスト
26−1〜26−3:評価動画作成部
28−1〜28−3:動画管理テーブル
30−1:速度変化動画ファイル
30−2:輝度変化動画ファイル
30−3:彩度変化動画ファイル
32−1:速度マップ画像ファイル
32−2:輝度マップ画像ファイル
32−3:彩度マップ画像ファイル
34−1〜34−3:制御部
36−1:速度変化動画表示部
36−2:輝度変化動画表示部
36−3:彩度変化動画表示部
38−1:速度マップ画像表示部
38−2:輝度マップ画像表示部
38−3:彩度マップ画像表示部
40−1〜40−3:判定操作検出部
42−1〜42−3:判定位置検出部
44−1:残像感発生速度検出部
44−2:残像感発生輝度検出部
44−3:残像感発生彩度検出部
46:速度変化動画
46−1〜46−n,78−1〜78−n,92−1〜92−n:フレーム
48−1〜48−n,80−1〜80−n,94−1〜94−N:移動体
50:速度マップ画像
52:速度スケール
54,86:動画表示画面
55,88:マーカ
56:速度マップ画面
58:CPU
60:バス
62:RAM
64:ROM
66:ハードディスクドライブ
68:デバイスインタフェース
70:キーボード
72:マウス
74:ディスプレイ
76:ネットワークアダプタ
78:輝度変化動画
82:輝度マップ画像
84:輝度スケール
90:輝度マップ画像
92:彩度変化動画
94:彩度マップ画像
96:彩度スケール
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビ等の表示装置における画質評価方法,プログラム及び装置に関し、特に、応答速度に起因した移動画像の残像感を評価する画質評価方法、プログラム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶テレビに代表される薄型テレビの高画質化を図るため、様々な画質改善技術が開発されており、これに対し画質改善の度合いを客観的に評価する手法が求められている。
【0003】
薄型テレビに使用される液晶パネルは応答速度が遅いという特性があり、動きの速い映像の残像感が問題とされている。動きのある映像の評価は静止画の評価より一般に難しく、客観的な評価方法が求められている。
【0004】
液晶パネルの応答性能を測定する方法として、MPRT法(Moving Picture Response Time)による応答速度測定装置がある。MPRT法は図22のように、縦縞模様のテストパターンの横スクロール表示をカメラで追尾し、撮像した表示画像102の輝度分布104を求め、黒レベルから白レベルへ変化している時間を評価時間Tとして測定する。この評価時間Tは液晶パネルの応答時間に対応しており、評価時間が短いほど応答時間が短く、残像感が少ないと推測することができる。
【特許文献1】特開2004−144831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のMPRT法による応答速度測定装置は、動きのある映像に対する液晶パネルの応答時間を客観的に検出することができるが、装置で測定した評価時間は必ずしも人間の目で感知する残像感とは一致せず、評価時間から残像感があると推定しても、人間の目では残像感を感じない場合もあり、人の目により残像感の有無を判断する官能検査が必要となる。
【0006】
残像感の官能検査方法としては、移動速度が一定のパターンを人に見せ、残像感発生の有無を判断させればよい。しかし、この方法は、異なる移動速度をもつ何種類かのパターンにつき、それぞれ複数回移動パターンの映像を見せて検査する必要があるため、測定時間が長くなると共に、微妙な移動速度の変化では人による判定が不安定になるという問題があった。
【0007】
本発明は、人による残像感の官能検査を、より短時間で且つより良い評価精度で安定して得られるようにする画質評価方法、プログラム及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(画質評価方法)
本発明は速度変化動画を用いた画質評価方法を提供する。即ち本発明の画質評価方法は、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する(望ましくは繰り返し表示する)速度変化動画表示ステップと、
速度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
判定操作信号を検出すると、速度変化動画を、移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の速度変化動画を用いた画質評価方法の別の形態にあっては、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
速度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
検出された判定位置に基づいて移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明は輝度変化動画を用いた画質評価方法を提供する。即ち本発明の画質評価方法は、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
輝度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
判定操作信号を検出すると、輝度変化動画を、移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の輝度変化動画を用いた画質評価方法の別の形態にあっては、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
輝度度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
検出された判定位置に基づいて移動体の残像感発生輝度を検出する残像感発生輝度検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明は彩度変化動画を用いた画質評価方法を提供する。即ち本発明の画質評価方法は、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
彩度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
判定操作信号を検出すると、彩度変化動画を、移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の彩度変化動画を用いた画質評価方法の別の形態にあっては、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
彩度変化動画を見ている評価者が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
検出された判定位置に基づいて移動体の残像感発生彩度を検出する残像感発生彩度検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の速度変化動画を用いた画質評価にあっては、画面内を移動体が速度を変えながら動き回る速度変化動画、例えば丸い図形が左から右へ加速しながら動き抜けるような速度変化動画を繰り返し表示することで、実際の動画表示に近い状態を再現して残像感を正確に判定できる。
【0015】
また速度変化動画の表示による画面上を移動する移動体の位置に応じて速度は一意に定まるため、移動体の位置と速度の関係をグラフ化した速度スケールを持つ速度マップ画面を準備し、評価者が速度変化動画から残像感が発生する位置を判定した際の判定操作により動画から速度マップに切替え表示し、評価者は残像感が発生した位置に対応するスケール値を読み取ることで、残像感の発生位置における移動体の移動速度、即ち残像感発生速度を簡単且つ正確に読み取ることができる。
【0016】
また必要に応じて自動読取モードを選択することで、評価者が残像感を判定した位置から自動的に残像感発生速度を求めることもできる。
【0017】
更に、移動体に残像感が発生する要因としては、移動速度の他には、背景との輝度差分値や、各種色彩値の差分値の影響が考えられる。そこで本発明にあっては、移動体の移動位置に応じて輝度や彩度が変化する輝度変化動画や彩度変化動画を表示して残像感が発生する輝度や彩度を測定して評価することができる。
【0018】
この場合にも、移動体の位置と輝度又は彩度との関係をグラフ化した輝度スケール又は彩度変化スケールを持つマップ画面を準備し動画と切替えて表示し、評価者はブレを特定した位置に対応するスケール値を読み取ることで、残像感の発生位置における移動体の輝度又は彩度、即ち残像感判定輝度又は彩度を簡単且つ正確に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明による画質評価装置の第1実施形態を示した画質評価環境の説明図であり、この第1実施形態にあっては、速度変化動画を用いて画質を評価するようにしたことを特徴とする。
【0020】
図1において、本実施形態で画質評価を行う部屋や設備を画質評価環境10としており、画質評価環境には本発明の第1実施形態における画質評価装置12−1、画質評価に使用する動画を再生する動画再生器14、及び評価対象となる表示装置である液晶テレビ16が設けられ、液晶テレビ16は液晶パネル18を備えている。
【0021】
本実施形態の画質評価は評価者22が目で見て評価するものであり、評価者22の評価判断を画質評価装置12−1に入力するため判定入力機器20が設けられている。判定入力機器20としては、画質評価装置12−1として例えばパーソナルコンピュータを使用した場合にはキーボードやマウスなどが使用でき、また専用の押しボタンスイッチを使用することもできる。
【0022】
評価対象となる液晶テレビ16に対する評価者22の位置は、例えば液晶パネルの前方2.0メートルというように測定条件を決めている。
【0023】
画質評価環境10に設置された画質評価装置12−1に対しては、外部に設けたホスト24がネットワークを介して接続されている。本実施形態にあっては、ホスト24側で画質評価装置12−1で画質評価に使用する速度変化動画、速度マップ画像及び動画管理情報などを準備作業により作成し、ネットワークを介して画質評価装置12−1に転送して、画質評価に使用するようにしている。
【0024】
このためホスト24には評価動画作成部26−1が設けられ、評価動画作成部26−1により動画管理テーブル28−1、速度変化動画ファイル30−1及び速度マップ画像ファイル32−1が作成される。
【0025】
これら画質評価に必要な情報は、ホスト24からネットワークを介して画質評価装置12−1に制御部34−1を介して転送され、同じく動画管理テーブル28−1、速度変化動画ファイル30−1及び速度マップ画像ファイル32−1として格納されている。
【0026】
画質評価装置12−1には、速度変化動画表示部36−1及び速度マップ画像表示部38−1、判定操作検出部40−1、判定位置検出部42−1及び残像感発生速度検出部44−1が設けられている。
【0027】
速度変化動画表示部36−1は、速度変化動画ファイル30−1から移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を読み出して動画再生器14に出力し、動画再生器14で速度変化動画を液晶テレビ16の液晶パネル18に繰り返し表示する。
【0028】
この液晶テレビ16に表示された移動位置に応じて移動速度が変化する移動体を評価者22が見て、移動体にボケが生ずる残像感の発生を確認すると、その位置にマウスカーソルなどのマーカを移動して指し示した状態で、判定入力機器20のマウス、キーボード、あるいは押しボタン操作により、移動体の残像感を判定したことを示す判定操作信号を画質評価装置12−1に送る。
【0029】
判定入力機器20からの判定操作信号は、判定操作検出部40−1と判定位置検出部42−1に入力される。本実施形態にあっては、判定操作検出部40−1を有効とするユーザ読取モードと、判定位置検出部42−1及び残像感発生速度検出部44−1を有効とする自動読取モードの2つのモードがあり、いずれか一方のモードを制御部34−1に対する初期設定操作で選択することができる。
【0030】
制御部34−1にユーザ読取モードを設定すると、判定操作検出部40−1が有効に動作する。判定操作検出部40−1は、液晶テレビ16の液晶パネル18に繰り返し表示されている速度変化動画を見た評価者22の残像感を判定した際に操作した判定操作信号を検出すると、速度マップ画像表示部38−1に検出出力を生じ、動作させる。
【0031】
速度マップ画像表示部38−1は、速度マップ画像ファイル32−1から速度マップ画像を読み出し、それまで表示していた速度変化動画を停止し、動画再生器14を介して静止画像である速度マップ画像を液晶テレビ16に切り替え表示する。
【0032】
速度マップ画像は、移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示しており、評価者22が判定入力機器20で残像感を判定した位置を例えば液晶パネル18上のカーソルなどで指し示していることから、速度マップ画像のマーカが位置している速度スケールから、移動体の残像感を判定した残像感判定速度を簡単に読み取ることができる。
【0033】
一方、制御部34−1で自動読取モードを設定した場合には、判定位置検出部42−1と残像感発生速度検出部44−1が有効となる。判定位置検出部42−1は、液晶テレビ16に繰り返し表示されている速度変化動画を見ている評価者22が移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上のマーカで指し示している判定位置を検出する。
【0034】
残像感発生速度検出部44−1は、判定位置検出部42−1で検出された判定位置に基づいて、動画管理テーブル28−1を参照して移動体の残像感発生速度を検出し、必要があれば液晶パネル18の片隅などに表示し、またデータとして、図示しないメモリに記録する。
【0035】
図2は図1の第1実施形態における動画管理テーブル、速度変化動画及び速度マップ画像の作成処理を示した説明図である。図1の第1実施形態にあっては、速度変化動画を作成する際には、まず動画管理テーブル28−1を準備する。もちろん、図1の実施形態における速度変化動画の作成する準備作業はホスト24側で行われる。
【0036】
動画管理テーブル28−1は、速度変化動画を、その動画時間分のフレームを示すフレーム番号FL1〜FLnに分けて管理している。速度変化画像を作成する際には、まず着目する移動体を決め、続いて画面上での移動体の移動パスP(t)を決める。
【0037】
この移動パスP(t)は例えば画面を左端から右端に向けて直線的に移動する経路である。続いて、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度を変化させるためのパラメータとして例えば一定加速度αを決める。このように加速度αを決めると、画面上で移動体は左から右に移動しながら一定加速度で移動速度が増加することになる。
【0038】
移動体の移動パスと速度変化の加速度αが決まれば、フレーム番号FL1〜FLnで指定される各フレームの移動体位置P1〜Pnが決まる。この移動体位置P1〜Pnは、具体的には画面の2次元座標P(x,y)である。
【0039】
動画管理テーブル28−1が作成できたならば、これに基づいて、その下に示すように、フレーム番号FL1〜FLnに対応したフレーム46−1〜46−nで構成される速度変化動画46を作成する。この実施形態において、フレーム46−1〜46−nの移動体48−1〜48−nは黒丸で示している。
【0040】
速度変化動画46を構成するフレーム46−1〜46−nは、例えば1/30秒周期でフレーム切替えすることで動画を表示している。したがって、フレームの切替時間tはt=(1/30)秒の一定時間となる。
【0041】
いま先頭のフレーム46−1の位置P1の移動体48−1がスタート位置で停止していると、次のフレーム46−2の移動体48−2の速度V及び位置P2までの移動距離L12は次のように求まる。ここで移動体は、一定加速度αで移動速度が変化するものとする。
V=αt
L12=αt2
【0042】
そして3番目のフレーム46−3から後ろに順次示すように、フレーム切替えが進むほど移動体の速度は増加し、移動距離もL23,L24・・・というように速度増加に応じて増してゆく。
【0043】
このようなフレーム46−1〜46−nから構成される速度変化動画46が作成できたならば、フレーム46−1〜46−nにおける移動体位置P1〜Pnを目盛りとした速度スケール52を持つ速度マップ画像50を作成する。
【0044】
速度マップ画像50の速度スケール52は、速度変化動画46におけるフレーム46−1〜46−nの移動体48−1〜48−nの位置P1〜Pnをマージすることで作成することができる。
【0045】
なお、図2の速度スケール52は、一定のフレーム切替時間ごとの移動体位置の目盛りに対する速度を示しているが、実際には速度スケール52には等間隔の目盛りを付け、それぞれの目盛りに移動位置に対応した速度表示をすることになる。
【0046】
図3は図1の第1実施形態における画質評価の測定処理を示した説明図である。図3において、速度変化動画46及び速度マップ画像50は、図1のようにホスト24側で作成され、画質評価装置12−1に速度変化動画ファイル30−1及び速度マップ画像ファイル32−1として動画管理テーブル28−1と共に格納されている。
【0047】
速度変化動画46は、例えば白丸で示す移動体48が左側から加速度αで移動速度を増加させながら右側に移動する画像であり、これを評価対象となる液晶テレビ16に繰り返し画像出力することで、動画表示画面54に示すように速度変化動画が繰り返し表示される。
【0048】
この動画表示画面54に示すように、速度変化動画46を繰り返し表示した状態で、評価者22は画面を右から左に速度を増加させながら移動する移動体を観察し、移動体にブレが生ずる残像感発生位置を認識すると、例えばその位置に矢印で示すマーカ55をセットし、図1に示す判定入力機器20の操作で判定操作信号を画質評価装置12−1に供給する。
【0049】
ここで制御部34−1がユーザ読取モードを設定していたとすると、評価者22による判定操作信号を受けて、動画表示画面54から予め準備している速度スケール52を備えた速度マップ画像50を示す速度マップ画面56に切り替わる。
【0050】
このとき、評価者22が残像感を発生した移動体位置に合わせてセットしたマーカ55はそのまま残っていることから、速度マップ画面56に切り替わると、残像感発生位置を示すマーカ55で示す位置の速度を速度スケール52から読むことで、残像感発生速度を評価者22は簡単に知ることができる。
【0051】
なお図3はユーザ読取モードの例であるが、自動読取モードの場合には、評価者22が動画表示画面54を見て移動体にブレが現れたときの判定スイッチ操作から移動体位置、例えばそのときの動画フレーム番号を検出し、動画管理テーブル28−1から残像感発生速度を検出して画面表示あるいはメモリにログされ、速度マップ画面56への切替表示は行わないが、必要に応じて切替表示しても良い。
【0052】
図4は図1の第1実施形態における画質評価装置12−1が実現されるコンピュータのハードウェア環境を示したブロック図である。図4において、コンピュータはCPU58を有し、CPU58のバス60にRAM62、ROM64、ハードディスクドライブ66、キーボード70,マウス72,ディスプレイ74を接続するデバイスインタフェース68、更にネットワークアダプタ76を接続している。
【0053】
ハードディスクドライブ66には、本実施形態の画質評価処理に必要なプログラム、及び図1に示した動画管理テーブル28−1、速度変化動画ファイル30−1及び速度マップ画像ファイル32−1の画質評価に必要なデータが格納されている。
【0054】
コンピュータを起動すると、ROM64のブートコードの実行による起動処理を経てハードディスクドライブ66からRAM62にOSがロードされて実行され、続いてOSの実行に伴いハードディスクドライブ66から画質評価の機能を実現するプログラム及び速度変化動画などのファイルデータをRAM62にロードし、CPU58により画質評価機能を実現するプログラムを実行する。
【0055】
図5は図1の第1実施形態における評価動画作成処理を示したフローチャートであり、ホスト24側の準備作業となる処理である。図5において、第1実施形態の評価動画作成処理は、ステップS1で着目する移動体を決め、続いて、着目する移動体の画面上の移動パスP(t)を作成する。
【0056】
続いてステップS2で、作成した移動パスP(t)を持つ移動体の移動速度V(x,y)を検出する。具体的には、図2に示したように、移動体の移動パスは画面の左から右に移動する直線のパスであり、移動体の移動位置に伴う移動速度は一定加速度αで増加する場合である。
【0057】
これによって速度変化動画を構成するフレームごとの移動体位置P1〜Pnが図2の移動管理テーブル28−1のように決まり、移動体位置P1〜Pnが決まれば、フレームごとの切替時間はフレーム周期t=(1/30)秒であることから、移動速度Vは
V=αt
となり、また移動位置を決める移動距離Lは
L=αt2
として求まる。
【0058】
そしてステップS3で、フレーム番号に対応して、図2に示すようにP1〜Pnと速度V1〜Vnを登録した動画管理テーブル28−1を作成する。
【0059】
次にステップS4で、動画管理テーブル28−1に基づいて図2のフレーム単位の連続シーンで示すように速度変化動画46を作成する。更にステップS5で、速度変化動画46におけるフレーム46−1〜46−nの移動体48−1〜48−nの位置とその速度から、速度スケール52を持つ速度マップ画像50を作成する。
【0060】
図6は第1実施形態における既存の動画を利用した評価画像の作成処理を示したフローチャートである。図5の実施形態にあっては評価画像作成として専用の動画を作る場合を例にとっているが、図6の実施形態にあっては既存の動画を利用して評価画像を作成することを特徴とする。
【0061】
図6において、ステップS1で評価に使用する動画を読み込む。この評価に使用する動画としては、画面内を速度を変えながら飛翔する鳥や、画面内を移動する動物などの動画が利用できる。続いてステップS2で、読み込んだ動画の中で画質評価のために着目する移動体を決定する。例えば画面内で飛翔する鳥などを、着目する移動体に決定する。
【0062】
次にステップS3で動画における移動体の移動速度V(x,y)を算出する。この移動速度Vの算出は、フレームごとに移動体位置を求め、移動体の画面上における移動距離Lをフレーム周期t=(1/30)秒で割った実際に移動体が画面上で移動する速度を算出する。
【0063】
次に、ステップS4で、例えば図2に示したようなフレーム番号に対応して移動体位置と速度を登録した動画管理テーブル28−1が作成できる。更にステップS5で既存の動画の中の着目する移動体について求めた画面上の位置と速度から速度スケール52を表示する速度マップ画像50を作成する。尚、既存動画を用いた場合の速度スケールは、移動体の移動速度は位置の変化とともに連続的に変化せず、位置に対し算出されたランダムな速度を示したスケールとなる。
【0064】
図7はユーザ読取モードによる図1の第1実施形態における画質評価のための計測処理を示したフローチャートである。図7において、ユーザ読取モード測定処理は、ステップS1で画質評価装置12−1にホスト24からの転送で格納している速度変化動画ファイルから速度変化動画を速度変化動画表示部36−1で読み出し、動画再生器14に出力して、評価対象となる液晶テレビ16の液晶パネル18に繰り返し速度変化動画を表示させる。
【0065】
この状態で評価者22は、例えば図3に示すように動画表示画面54の表示状態で画面の左から右に速度を増加させながら移動する移動体を観測し、移動体にブレが生ずる残像感発生位置を認識したら、その位置に図3の動画表示画面54に示すようにマーカ55をセットし、カーソル判定入力機器20の操作により判定操作検出信号を画質評価装置12−1に出力する。
【0066】
続いてステップS3で評価完了か否かチェックしており、残像感の判定操作信号が得られた場合には評価完了と判断し、ステップS4で図3の速度マップ画面56に示すように動画表示画面54から切り替え、速度スケール52を表示する。
【0067】
このとき残像感判定位置を示すマーカ55が残っていることから、マーカ55が指し示す速度スケール52の位置から評価者22は自ら判定した残像感発生速度を簡単に読み取ることができる。実際の画質評価では図7に示すユーザ読取モード測定処理を何回か繰り返し、その速度画面から切り替えられた速度マップ画面の速度スケールの読取値の平均値を求めることで、安定した残像感発生速度を検出できる。
【0068】
図8は自動読取モードによる図1の第1実施形態における測定処理を示したフローチャートである。自動読取モードによる測定処理は、ステップS1で評価用の速度変化画像を表示し、ステップS2で判定入力機器20、例えば残像感判定スイッチの信号読取りを行い、ステップS3で残像感判定スイッチの信号が得られていれば評価完了と認識し、ステップS4でユーザが残像感判定スイッチを操作した画面上の残像感発生位置Pを読み取り、ステップS5で移動体位置Pにより動画管理テーブル28−1から対応する残像感発生速度Vを検出する。
【0069】
具体的には、ステップS4で残像感判定スイッチの操作信号を検出したときのフレーム番号を再生中の速度変化動画から取得し、このフレーム番号により図2の動画管理テーブル28−1を参照することで、対応する速度を自動的に検出することができる。
【0070】
ステップS5で自動的に検出した残像感発生速度は、液晶テレビ16上の画面隅に数値表示してもよいし、検出した残像感移動速度を画質評価装置12−1のメモリにログ情報として例えば評価者22のIDと共に記録し、測定後にホスト24に転送して処理するようにしてもよい。
【0071】
図9は輝度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第2実施形態を示した説明図である。図9において、画質評価環境10には、第2実施形態の画質評価装置12−2、動画再生器14、評価対象となる表示装置である液晶テレビ16が設けられ、液晶テレビ16は液晶パネル18を備えている。また評価者22の評価判断を画質評価装置12−2に入力するための判定入力機器20が設けられている。
【0072】
画質評価環境10に設置された画質評価装置12−2に対してはホスト24がネットワークを介して接続されている。ホスト24には、本実施形態にあっては評価動画作成部26−2が設けられ、動画管理テーブル28−2、輝度変化動画ファイル30−2、及び輝度マップ画像ファイル32−2を準備作業として作成するようにしている。
【0073】
画質評価装置12−2には制御部34−2が設けられ、制御部34−2は図1の第1実施形態と同様、ユーザ読取モードと自動読取モードのいずれか一方の動作モードを設定できる。また画質評価装置12−2には、ホスト24で作成された動画管理テーブル28−2、輝度変化動画ファイル30−2、及び輝度マップ画像ファイル32−2がネットワークを介して転送保持されている。
【0074】
画質評価装置12−2には、輝度変化動画を使用した画質評価のため、輝度変化動画表示部36−2、輝度マップ画像表示部38−2、判定操作検出部40−2、判定位置検出部42−2及び残像感発生輝度検出部44−2が設けられている。
【0075】
制御部34−2でユーザ読取モードを設定した場合、輝度変化動画表示部36−2が評価対象となる液晶テレビ16に、輝度変化動画ファイル30−2に格納している移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を動画再生器14に出力し、動画再生器14で液晶テレビ16上に繰り返し表示させる。
【0076】
判定操作検出部40−2は、液晶テレビ16に繰り返し表示される輝度変化動画を評価者22が見て、例えば画面の左から右に一定速度で移動しながら輝度が同じく一定速度で低下する移動体を観察し、移動体の進行方向の後ろ側にブレを生ずる残像感発生位置を認識すると、その位置に矢印などのマウスカーソルなどのマーカを位置合せして、判定入力機器20の操作により出力される判定操作信号を検出する。
【0077】
判定操作検出部40−2で検出された判定操作は輝度マップ画像表示部38−2に出力され、輝度マップ画像表示部38−2は輝度マップ画像ファイル32−2から移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面を読み出し、動画再生器14による輝度変化動画の再生を停止して輝度マップ画像の表示に切り替える。この輝度マップ画像の表示切替えにより、評価者22は残像感を判定したマーカが示す輝度スケールの目盛りから残像感発生輝度を読み取ることができる。
【0078】
一方、制御部34−2で自動読取モードを設定した場合には、輝度変化動画表示部36−2による液晶テレビ16に対する移動動画の繰返し表示はユーザ読取モードと同じであるが、評価者22が画面上を移動する移動体の輝度変化につき残像感を認識して操作した際の判定操作位置を判定位置検出部42−2で検出し、残像感発生輝度検出部44−2で検出した画面上の判定位置、例えば判定位置のフレーム番号により動画管理テーブル28−2を参照し、対応する残像感発生輝度を検出し、液晶テレビ16の画面隅などに表示するか、あるいは検出した残像感発生輝度をメモリに評価者22のIDと共に記録し、測定後にホスト24に転送することになる。
【0079】
図10は図9の第2実施形態における動画管理テーブル、輝度変化動画及び輝度マップ画像の作成処理を示した説明図であり、図9のホスト24側で準備作業として作成される。
【0080】
図10において、まず輝度変化動画を作成する際に使用する動画管理テーブル28−2を作成する。動画管理テーブル28−2は、輝度変化動画の動画再生時間に亘るフレーム数に対応したフレーム番号FL1〜FLnを持ち、それぞれ移動体位置P1〜Pnと対応する輝度B1〜Bnを格納している。
【0081】
移動体位置は画面上の移動体の移動パスを決め、この移動パスに沿って例えば一定速度で移動体が移動する際の各フレームの移動位置P1〜Pnに対応した例えば明るい状態から暗い状態に変化する輝度B1〜Bnを設定している。
【0082】
動画管理テーブル28−2に基づき、その下に示す輝度変化動画78が作成できる。輝度変化動画78はフレーム78−1〜78−nを持ち、黒丸で示す移動体80−1〜80−nが一定速度で画面上を移動しており、その移動体位置P1〜Pnごとに輝度B1〜Bnに変化している。
【0083】
ここで移動体80−1〜80−nの画面上の速度としては、例えば図2に示したような速度変化動画で残像感を発生し易い速度付近に決めておく。
【0084】
輝度マップ画像82は、輝度変化動画78のフレーム78−1〜78−nにおける移動体80−1〜80−nの位置とその輝度から輝度スケール84を作成している。
【0085】
図11は図9の第2実施形態における画質評価測定処理を示した説明図である。図11において、予め準備した輝度変化動画78を画面出力し、動画表示画面86に示すように、例えば黒を背景に移動体として表示する円形図形が静止状態から一定速度で移動しながら輝度を最大輝度から黒までの間で変化させる輝度変化動画78を繰り返し表示する。
【0086】
このような輝度変化動画78の表示において、動画表示画面86上で輝度がある値を下回ると、評価者22によって、円形図形である対象物の後方の境界が失われてブレたように見え、残像感が発生する。そこで評価者22は、残像感が発生した位置を覚えていて例えばマーカ88で示しておき、画質評価の結果が得られたものとして判定入力機器20の判定操作を行う。
【0087】
評価者22による輝度変化動画に対する例えば残像感発生の判定操作が行われると、その位置をマーカ88で指し示しているため、判定操作信号を受けて右側に示す表示切替えで輝度マップ画面90に切り替わり、輝度スケール84が表示され、輝度スケール84のマーカ88で示す位置を見ることで、残像感が発生する輝度を読み取ることができる。
【0088】
なお図11はユーザ読取モードの例であるが、自動読取モードの場合には、評価者22が動画表示画面86を見て移動体にブレが現れたときの判定スイッチ操作から移動体位置、例えばそのときの動画フレーム番号を検出し、動画管理テーブル28−2から残像感発生輝度を検出して画面表示あるいはメモリにログされ、輝度マップ画面90への切替表示は行わないが、必要に応じて切替表示しても良い。
【0089】
図12は図9の第2実施形態における輝度変化動画を用いた評価動画のフローチャートであり、ホスト24側の準備作業として作成される。
【0090】
図12において、評価動画作成処理は、ステップS1で着目する移動体の一定速度Vとなる表示画面上における移動パスP(t)を作成する。これは、例えば画面を左から右に直線的に移動する移動パスである。もちろん、移動パスは直線であっても曲線であっても、適宜の軌跡が設定できる。
【0091】
続いてステップS2で移動パスP(t)を基に移動体の輝度変化B(x,y)を作成する。ここで移動体の移動速度は一定速度Vとしていることから、図10に示したように、フレーム切替時間t=(1/30)秒ごとの移動体の画面上の移動距離LはL=Vtとなり、移動位置P1〜Pnが一義的に決まり、各位置ごとに例えば図11に示したように、最大輝度から黒に向かって変化する輝度変化B(x,y)を設定して作成する。
【0092】
続いてステップS3で、図10に示すようなフレーム番号に対応して移動体位置P1〜Pnと輝度B1〜Bnを登録した動画管理テーブル28−2を作成する。
【0093】
続いてステップS4で、動画管理テーブル28−2に基づき、その下側に示すようなフレーム78−1〜78−nからなる輝度変化動画78を作成する。更にステップS5で輝度スケール84を表示する輝度マップ画像82を作成する。
【0094】
図13は既存の動画を利用した図9の第2実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャートである。図13において、ステップS1で評価に使用する例えば鳥が飛翔しているような動画を読み込み、ステップS2で動画の中で着目する移動体例えば移動する鳥を決定する。
【0095】
続いてステップS3で移動体の移動位置に対応した輝度変化を作成する。具体的には、フレームごとに移動体の移動位置を求め、その移動位置ごとに、移動体の輝度を検出して設定する。続いてステップS4で図10に示したようなフレーム番号に対応して移動体位置と輝度を登録した動画管理テーブル28−2を生成する。更にステップS5で、図10に示したような輝度スケール84を表示する輝度マップ画像82を作成する。
【0096】
図14はユーザ読取モードによる図9の第2実施形態における測定処理を示したフローチャートである。図14において、ユーザ読取モード測定処理は、ステップS1で評価用の輝度変化動画を図9に示すように評価対象となる液晶テレビ16に表示し、この状態で、ステップS2で判定入力機器20の例えば残像感判定スイッチの信号読取りを行っている。
【0097】
評価者が残像感を判定するとその位置にマーカをセットして残像感判定スイッチを操作することから、残像感判定スイッチの信号読取りで判定操作が検出されると、ステップS3で判定完了が判別され、ステップS6で輝度マップ画像に切替え表示し、切り替えた輝度スケールの残像感判定位置を示すマーカから残像感判定輝度を読み取ることができる。
【0098】
一方、ステップS1〜S3において輝度変化動画を繰返し表示しても、評価者22が画面上を移動する輝度変化する移動体について残像感の発生を認識できない場合がる。この場合にはステップS4に進み、評価不能を示す判定入力機器20の操作から評価不能を判別すると、ステップ5で移動速度の異なる輝度変化動画に変更し、ステップS1からの輝度変化動画の表示を繰り返す。
【0099】
即ち、最初に表示した輝度変化動画から移動体の残像感が認識できない場合には、例えば移動体の速度を速くした輝度変化動画に変更して輝度変化動画の表示を繰り返す。移動体の移動速度が増加すれば、同じ輝度変化であったとしても残像感が出易いことから、画面上を移動して輝度が変化する移動体につき残像感発生を認識して判定操作を行うことで、残像感発生速度を輝度マップ画像の輝度スケールから読み取ることができる。
【0100】
図15は自動読取モードによる図9の第2実施形態における測定処理を示したフローチャートである。図15の自動読取モード測定処理におけるステップS1〜S5の処理は、図14のユーザ読取モードの測定処理と同じであるが、ステップS3で評価完了を判別すると、ステップS6に進み、残像感発生を認識した画面上の残像感判定スイッチの操作から認識して残像感発生位置Pを検出する。この残像感発生位置Pの検出は残像感判定スイッチを操作した際の動画フレーム番号である。続いてステップS7で例えば図10の動画管理テーブル28−2から移動体位置を示すフレーム番号に対応した輝度を読み取り、残像感発生輝度を検出することができる。
【0101】
図16は彩度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第3実施形態を示した説明図である。図16において、画質評価環境10には、第3実施形態の画質評価装置12−3、動画再生器14、評価対象となる表示装置である液晶テレビ16が設けられ、液晶テレビ16は液晶パネル18を備えている。また評価者22の評価判断を画質評価装置12−3に入力するための判定入力機器20が設けられている。
【0102】
画質評価装置12−3に対してはホスト24がネットワークを介して接続され、ホスト24側には評価動画作成部26−3が設けられ、準備作業として動画管理テーブル28−3、彩度変化動画ファイル30−3及び彩度マップ画像ファイル32−3を作成して格納しており、作成後にネットワークを介して画質評価装置12−3に転送し、同じく動画管理テーブル28−3、彩度変化動画ファイル30−3、及び彩度マップ画像ファイル32−3として格納している。
【0103】
画質評価装置12−3には、彩度変化動画表示部36−3、彩度マップ画像表示部38−3、判定操作検出部40−3、判定位置検出部42−3及び残像感発生彩度検出部44−3が設けられており、処理対象が彩度変化動画と彩度マップ画像である点以外は、基本的には図1の速度変化画像の場合と同じである。また制御部34−3にあっては、画像評価の際にユーザ読取モードと自動読取モードのいずれか一方のモードを設定して動作させることができる。
【0104】
制御部34−3でユーザ読取モードを設定した場合は、彩度変化動画表示部36−3は、評価対象となる表示装置である液晶テレビ16に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を繰り返し表示する。
【0105】
判定操作検出部40−3は、制御部34−3でユーザ読取モードを設定した際に動作し、評価者22による判定入力機器20からの残像感発生彩度を認識した際の判定操作信号を検出すると、彩度マップ画像表示部38−3に出力し、それまで表示している彩度変化動画を停止し、彩度マップ画像ファイル32−3から読み出した彩度スケールを有する彩度マップ画像の表示に切り替える。
【0106】
また制御部34−3で自動読取モードを設定した場合には、判定位置検出部42−3で評価者22による残像感発生彩度の判定入力信号、例えば残像感判定スイッチの操作信号を検出すると、残像感発生彩度検出部44−3により判定位置の動画のフレーム番号に対応した残像感発生彩度を動画管理テーブル28−3から検出して液晶テレビ16に表示し、またメモリにログして、測定後にホスト24に評価結果を転送している。
【0107】
図17は図16の第3実施形態における動画管理テーブル、彩度変化動画及び彩度マップ画像の作成処理を示した説明図である。図17の作成処理は、図16に示したようにホスト24側で準備作業として行われ、まず動画管理テーブル28−3が作成される。
【0108】
動画管理テーブル28−3は、画面上で移動体が例えば左から右に移動する移動パスを定め、この移動パスに従った動画再生時間に亘るフレーム数で決まるフレーム番号FL1〜FLnを登録し、移動体を一定速度で移動するものとして、移動パスに従った移動体位置P1〜Pnを移動速度Vとフレーム切替時間t=(1/30)秒から求める。
【0109】
フレーム92−1〜92−nにおいて、フレーム切替えごとの移動距離は移動速度Vが一定でフレーム切替時間がt=(1/30)秒であることから、L=Vtとして同じ距離となり、移動位置P1〜Pnが一義的に求まる。
【0110】
続いて、移動体位置P1〜Pnごとに、ある割合で変化する彩度C1〜Cnを登録する。色彩C1〜Cnの変化としては、例えば人間の可視波長帯域で短い波長から長い波長、またはその逆に、波長を段階的に変化させることで色彩を変化させる。
【0111】
次に動画管理テーブル28−3に基づいて彩度変化動画92を作成する。彩度変化動画92のフレーム92−1〜92−nは、所定の背景色上で、一定速度で移動する移動体の彩度が時間の経過、即ち移動位置に対応して一定速度で変化する動画を構成するフレーム画像の集合となる。
【0112】
更に、移動体の移動位置に応じた彩度を示す目盛りを持った彩度スケール96を有する彩度マップ画像94を作成する。
【0113】
図18は図16の第3実施形態における評価画像作成処理を示したフローチャートであり、ホスト24側での準備作業として行われる処理である。図18において、評価画像作成処理は、ステップS1で着目する移動体を決め、移動体の一定速度Vの画面上における移動パスP(t)を作成し、続いてステップS2で移動パスP(t)に基づいて移動体の彩度変化C(x,y)を作成する。
【0114】
具体的には、表示動画のフレーム周期tと一定の移動速度Vからフレーム切替え毎の移動距離Lが求まり、移動距離Lが求まれれば画面上における移動位置P1〜Pnが求まることから、各移動位置ごとに、ある割合で変化する彩度変化Cを設定する。
【0115】
このステップS2の処理により、ステップS3で図17に示すようなフレーム番号に対応して移動体位置P1〜Pnと彩度C1〜Cnを登録した動画管理テーブル28−3が作成できる。
【0116】
続いてステップS4で、動画管理テーブル28−3に基づいて、図17に示したようにフレーム92−1〜92−nからなる彩度変化動画92を作成する。更にステップS5で、図17に示すように彩度スケール96を有する彩度マップ画像94を作成する。
【0117】
図19は既存の動画を利用した図16の第3実施形態における彩度変化動画を用いた評価動画の作成処理を示したフローチャートである。図19において、既存の動画を使用する評価動画作成処理は、ステップS1で評価に使用する動画を読み込み、ステップS2で動画の中で着目する移動体を決める。
【0118】
続いてステップS3で移動体の移動位置に対応した彩度変化C(x,y)を検出し、ステップS4で図17に示したような動画管理テーブル28−3を作成する。更にステップS5で動画管理テーブル28−3を基に彩度スケールを表示する彩度マップ画像を作成する。
【0119】
図20はユーザ読取モードによる図16の第3実施形態における測定処理を示したフローチャートであり、図16を参照して説明すると次のようになる。
【0120】
ユーザ読取モード測定処理は、ステップS1で画質評価装置12−3の彩度変化動画表示部36−3が彩度変化動画ファイル30−3から彩度変化動画を読み出し、動画再生器14に出力し、液晶テレビ16に彩度変化動画を繰り返し表示させる。
【0121】
この彩度変化動画の再生状態で評価者22が画面上を移動しながら彩度の変化する移動体を観察しており、移動体にブレが生ずる残像感を認識すると、判定位置にマーカをセットし、判定入力機器20として例えば残像感判定スイッチを操作する。
【0122】
ステップS2は残像感判定スイッチの信号読込みを行っており、もし判定スイッチ信号が得られれば、ステップS3で評価完了と判断し、ステップS6で彩度スケールを有する彩度マップ画像を表示する。
【0123】
評価者22は残像感を判定した場合、移動体の移動位置にマーカを設定していることから、彩度マップ画像に切り替えたときにマーカが指し示す彩度スケールから残像感発生彩度を簡単且つ容易に読み取ることができる。
【0124】
一方、ステップS1〜S3により彩度変化動画を繰り返し再生していても評価者22が残像感を認識できなかったような場合には、判定入力機器20の操作などで評価不能の操作を行うことから、これがステップS4で判別され、ステップS5で移動速度の異なる彩度変化動画に変更し、ステップS1からの彩度変化動画の表示を繰り返す。
【0125】
即ち、最初に表示している彩度変化動画で移動体の残像感が認識できない場合には、移動体の移動速度が遅すぎる場合があることから、この場合には移動速度を高めて彩度変化動画を表示し、評価者22において、画面上を移動する移動体の彩度変化から残像感が出易いようにしている。なお移動体の速度を速くする以外に、背景色の異なる彩度変化動画に変更するようにしてもよい。
【0126】
図21は自動読取モードによる図16の第3実施形態における測定処理を示したフローチャートである。この自動読取モード測定処理にあっては、ステップS1〜S5は図20のユーザ読取モードの測定処理と同じであるが、ステップS3で評価完了を判別した場合、ステップS6で図16の判定位置検出部42−3で残像感発生彩度を捉えた移動体位置を例えば動画のフレーム番号として検出し、ステップS7で残像感発生彩度検出部44−3により、例えば動画管理テーブル28−3から判定位置(判定フレーム番号)に対応した彩度を読み出し、画面表示するか、メモリに評価者IDと共にログした後、ホスト24側に転送して処理することになる。なお、この自動読取モードにおいても、必要に応じてユーザ読取モードと同様に、彩度マップ画像を切替え表示しても良い。
【0127】
また本発明は、図1,図9及び図16の各実施形態における画質評価装置12−1,12−2,12−3のそれぞれで実行する画質評価のためのプログラムを提供するものであり、このプログラムは、第1実施形態については図7と図8、第2実施形態については図14と図15、第3実施形態については図20と図21のそれぞれのフローチャートに示す内容となる。
【0128】
なお、上記の実施形態における第2実施形態、第3実施形態の輝度動画表示及び彩度動画表示については、画面上で移動体を一定速度で移動させているが、速度を変化させても構わない。
【0129】
また上記の実施形態にあっては、例えば第1実施形態にあっては画面上の位置において移動速度が例えば一定加速度で増加する速度変化動画を速度増加させながら表示しているが、作成した速度変化動画を逆方向に再生することで、移動体の移動速度を一定加速度で減少させながら表示させる動画表示としてもよい。
【0130】
この点は輝度変化動画及び彩度変化動画についても同様であり、最初、一方向のフレーム順の変化動画を再生し、続いて逆方向に変化する動画を表示し、これを繰り返すようにしてもよい。
【0131】
また上記の実施形態にあっては、移動速度、輝度、彩度を個別に変化させる評価動画を例にとっているが、速度、輝度、彩度のいずれか2つを組み合わせて変化させることも可能であるし、速度、輝度、彩度のすべてを組み合わせて変化させる動画としてもよい。
【0132】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0133】
ここで本発明の特徴をまとめて列挙すると次の付記のようになる。
(付記)
(付記1)(方法:速度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記速度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。(1)
【0134】
(付記2)(自動速度検出)
付記1記載の画質評価方法に於いて、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。(2)
【0135】
(付記3)(輝度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記輝度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。(3)
【0136】
(付記4)(自動速度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生輝度を検出する残像感発生輝度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【0137】
(付記5)(彩度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記彩度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。(4)
【0138】
(付記6)(自動速度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生彩度を検出する残像感発生彩度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【0139】
(付記7)(プログラム:速度変化動画)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示部、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部、及び
前記判定操作信号を検出すると、前記速度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0140】
(付記8)(自動速度検出)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示部、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部、及び、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0141】
(付記9)(輝度変化動画)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示部、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部、及び、
前記判定操作信号を検出すると、前記輝度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0142】
(付記10)(自動速度検出)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示部、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部、及び
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生輝度を検出する残像感発生輝度検出部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0143】
(付記11)(彩度変化動画)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示部、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部、及び、
前記判定操作信号を検出すると、前記彩度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0144】
(付記12)(自動速度検出)
コンピュータを、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示部、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部、及び、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生彩度を検出する残像感発生彩度検出部、
として機能させることを特徴とする画質評価プログラム。
【0145】
(付記13)(装置:速度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示部と、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部と、
前記判定操作信号を検出すると、前記速度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0146】
(付記14)(自動速度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示部と、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部と、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0147】
(付記15)(輝度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示部と、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部と、
前記判定操作信号を検出すると、前記輝度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0148】
(付記16)(自動輝度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示部と、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部と、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生輝度を検出する残像感発生輝度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0149】
(付記17)(彩度変化動画)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示部と、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出部と、
前記判定操作信号を検出すると、前記彩度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【0150】
(付記18)(自動彩度検出)
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示部と、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出部と、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生彩度を検出する残像感発生彩度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】速度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第1実施形態を示した説明図
【図2】図1の第1実施形態における動画管理テーブル、速度変化動画および速度マップ画像の作成処理を示した説明図
【図3】図1の第1実施形態における画質評価の測定処理を示した説明図
【図4】本実施形態の画質評価装置が実現されるコンピュータのハードウェア環境を示したブロック図
【図5】図1の第1実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図6】既存の動画を利用した図1の第1実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図7】ユーザ読取モードによる図1の第1実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図8】自動読取モードによる図1の第1実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図9】輝度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第2実施形態を示した説明図
【図10】図9の第2実施形態における動画管理テーブル、輝度変化動画および輝度マップ画像の作成処理を示した説明図
【図11】図9の第2実施形態における画質評価測定処理を示した説明図
【図12】図9の第2実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図13】既存の動画を利用した図9の第2実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図14】ユーザ読取モードによる図9の第2実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図15】自動読取モードによる図9の第2実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図16】彩度変化画像を用いた本発明による画質評価装置の第3実施形態を示した説明図
【図17】図16の第3実施形態における動画管理テーブル、彩度変化動画および彩度マップ画像の作成処理を示した説明図
【図18】図16の第3実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図19】既存の動画を利用した図16の第3実施形態における評価動画の作成処理を示したフローチャート
【図20】ユーザ読取モードによる図16の第3実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図21】自動読取モードによる図16の第3実施形態における測定処理を示したフローチャート
【図22】従来のMPRT法による測定処理の説明図
【符号の説明】
【0152】
10:画質評価環境
12−1〜12−3:画質評価装置
14:動画再生器
16:液晶テレビ
18:液晶パネル
20:判定入力機器
22:評価者
24:ホスト
26−1〜26−3:評価動画作成部
28−1〜28−3:動画管理テーブル
30−1:速度変化動画ファイル
30−2:輝度変化動画ファイル
30−3:彩度変化動画ファイル
32−1:速度マップ画像ファイル
32−2:輝度マップ画像ファイル
32−3:彩度マップ画像ファイル
34−1〜34−3:制御部
36−1:速度変化動画表示部
36−2:輝度変化動画表示部
36−3:彩度変化動画表示部
38−1:速度マップ画像表示部
38−2:輝度マップ画像表示部
38−3:彩度マップ画像表示部
40−1〜40−3:判定操作検出部
42−1〜42−3:判定位置検出部
44−1:残像感発生速度検出部
44−2:残像感発生輝度検出部
44−3:残像感発生彩度検出部
46:速度変化動画
46−1〜46−n,78−1〜78−n,92−1〜92−n:フレーム
48−1〜48−n,80−1〜80−n,94−1〜94−N:移動体
50:速度マップ画像
52:速度スケール
54,86:動画表示画面
55,88:マーカ
56:速度マップ画面
58:CPU
60:バス
62:RAM
64:ROM
66:ハードディスクドライブ
68:デバイスインタフェース
70:キーボード
72:マウス
74:ディスプレイ
76:ネットワークアダプタ
78:輝度変化動画
82:輝度マップ画像
84:輝度スケール
90:輝度マップ画像
92:彩度変化動画
94:彩度マップ画像
96:彩度スケール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記速度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【請求項2】
請求項1記載の画質評価方法に於いて、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【請求項3】
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記輝度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【請求項4】
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記彩度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示ステップと、を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【請求項1】
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記速度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した速度を示す速度スケールを表示した速度マップ画面に切替えて表示する速度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【請求項2】
請求項1記載の画質評価方法に於いて、
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて移動速度が変化する速度変化動画を表示する速度変化動画表示ステップと、
前記速度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号から画面上の判定位置を検出する判定位置検出ステップと、
前記検出された判定位置に基づいて前記移動体の残像感発生速度を検出する残像感発生速度検出部と、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【請求項3】
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて輝度が変化する輝度変化動画を表示する輝度変化動画表示ステップと、
前記輝度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記輝度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した輝度を示す輝度スケールを表示した輝度マップ画面に切替えて表示する輝度マップ表示ステップと、
を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【請求項4】
評価対象となる表示装置に、移動体の画面上の移動位置に応じて彩度が変化する彩度変化動画を表示する彩度変化動画表示ステップと、
前記彩度変化動画を見ている評価者が前記移動体の残像感を判定した際の判定操作信号を検出する判定操作検出ステップと、
前記判定操作信号を検出すると、前記彩度変化動画を、前記移動体の画面上の移動位置に対応した彩度を示す彩度スケールを表示した彩度マップ画面に切替えて表示する彩度マップ表示ステップと、を備えたことを特徴とする画質評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−16977(P2009−16977A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173689(P2007−173689)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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