説明

画面表示システム、車載装置、及び、携帯機器

【課題】 携帯機器から表示画面以外の情報入力を必須とせず、当該携帯機器の表示画面情報に基づいて、選択項目画像の位置を特定する技術を提供する。
【解決手段】 携帯電話機にて、実行中のアプリケーションプログラムの画面上のボタン位置を取得し(S100)、ボタンの個数を示す個数情報及び位置領域を特定するための領域特定情報を設定し(S110)、それらの情報を個数領域へ書き込む(S120)。また、ボタンの個数分の位置情報を設定し(S130,S150)、その情報を位置領域へ書き込む(S140,S150)。一方、ナビゲーション装置では、個数情報及び領域特定情報を読み出し、ボタン個数分の位置情報を読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される画面表示システムに関し、特に、携帯機器の表示画面に表示される携帯側画像を車載装置が有する表示手段に表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばナビゲーション装置や、エアコン、オーディオ等の車載機器に対する操作を、車両に搭載される表示装置(以下「車載表示装置」という)の表示画面で指示するシステムが知られている。この表示画面は例えば液晶ディスプレイなどで構成され、液晶ディスプレイに表示されるボタン等の選択項目画像の位置が指示されることで、それに応じて車載機器が操作される。
【0003】
このようなシステムでは、運転者の運転中の視点移動を軽減する必要性から、表示画面は、運転者前方のできるだけ上方かつ遠い位置に配置することが好ましい。一方、表示画面における位置を指示するための操作部については、運転者の手もとに配置することが好ましい。
【0004】
そこで、表示画面と操作部とを分離した遠隔操作システムが実用化されている。このようなシステムでは、操作部の操作ノブで移動するカーソルが表示画面に表示され、このカーソルによって表示画面の位置を指示する。このとき、操作ノブに対し表示画面の表示内容に応じた反力(抵抗力やアシスト力)を加えることで、触覚的に運転者の操作をサポートし、操作性を向上させる技術が提案されている。
【0005】
例えば、選択項目画像の近傍において、カーソルが当該選択項目画像の内部へ引き込まれるようにアシストする反力を操作ノブに加える技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、選択項目画像の位置に合わせ操作ノブに反力を加えるための反力マップを定義する反力情報を用意しておき、この反力情報に従って、操作ノブにアシストのための反力を加える。
【0006】
ところで、近年、携帯機器の高機能化が進んでいる。例えば、GPSが搭載されているスマートフォンなどの携帯電話機では、車載ナビゲーション装置と同様の経路案内などが可能となっている。そこで、携帯機器を車両の内部で利用することを考えた場合、車載表示装置を用いて携帯機器を利用することが考えられる。例えば、携帯機器と車両側のECUとを接続し、携帯機器の表示画面を車載表示装置の表示画面に映し出すという具合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−96669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のナビゲーション装置や、エアコン、オーディオ等の車載機器とは異なり、携帯機器の表示画面における選択項目画像の位置は、携帯機器側のアプリケーションプログラムによって変化するために、車両側で予め決めておくことができない。したがって、車載表示装置の表示画面に選択項目画像が映し出されたとしても、操作ノブによって、その選択項目画像を指示することはできない。また、選択項目画像の位置が分かれなければ、反力マップ等を定義する反力情報が準備できないため、選択項目画像に応じた反力を操作ノブに加えることもできない。
【0009】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、携帯機器から表示画面以外の情報入力を必須とせず、当該携帯機器の表示画面情報に基づいて、選択項目画像の位置を特定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の画面表示システムは、携帯機器と車載装置とを有するものである。携帯機器とは、例えばスマートフォンなどの携帯電話機として具現化される。もちろん、PDA(Personal Digital Assistant)と呼ばれる個人向けの携帯情報端末なども含まれる。
【0011】
携帯機器と車載装置との間ではデータ通信が行われるようになっている。例えば、USBインターフェースや無線LANインターフェースなどを備える構成とすることが考えられる。なお、ここでいうデータ通信は、有線、無線を問わない。そして、車載装置は、携帯機器の表示画面に表示される携帯側画像を車両が有する表示手段に表示する。
【0012】
ここで特に、携帯機器では、情報埋込手段が、携帯側画像の一部に、ユーザにとって情報内容が視認不能な態様で、携帯側画像に表示される選択項目画像の情報を埋め込む。「情報内容が視認不能な態様」とは、数字フォントなどによって座標値を明示するような態様を除外する趣旨である。また、選択項目画像とは、ユーザ操作のための「ボタン」などと呼ばれる画像である。
【0013】
一方、車載装置では、位置特定手段によって、携帯側画像に埋め込まれた情報に基づき、選択項目画像の表示手段における表示位置が特定される。
つまり、携帯機器の表示画面である携帯側画像が入力されることを前提に、その携帯側画像の一部に選択項目画像の情報を埋め込むようにしたのである。このようにすれば、携帯機器から表示画面以外の情報入力を必須とせず、当該携帯機器の表示画面情報に基づいて、選択項目画像の位置を特定することができる。
【0014】
具体的には、請求項2に示すように、情報埋込手段は、携帯側画像の所定の画像領域である情報領域に、選択項目画像の情報を埋め込むことが例示される。例えば選択項目画像の個数に合わせて複数の情報領域を設定することが考えられる。このような情報領域に選択項目画像の情報を埋め込むようにすれば、位置特定手段による表示位置の特定が容易となる。
【0015】
情報領域は、請求項3に示すように、例えば携帯側画像の縁部に設定されることが考えられる。例えば、携帯側画像の右端、左端、上端、及び、下端の少なくとも何れかに並べて設定されるという具合である。このようにすれば、情報領域が目立たなくなるため、携帯側画像に情報が埋め込まれることによる違和感が少なくなる。
【0016】
また、情報領域は、1つの画素からなる領域でもよいが、請求項4に示すように、複数の画素からなる領域とし、情報埋込手段が、複数の画素のうち情報領域に隣接する画像領域の影響を受け難い特定画素に選択項目画像の情報を埋め込むようにするとよい。隣接する画像領域の影響を受けるとは、携帯側画像が圧縮されたりアナログ変換されたりしたときに、埋め込まれた情報が書き換わってしまうことを意味する。そこで、例えば10×10の画素からなる領域を情報領域とし、その中心付近の画素を特定画素とする。このようにすれば、たとえ携帯側画像が圧縮されたりアナログ変換されたりしたとしても、埋め込まれた情報が書き換わってしまうことを防止できる。
【0017】
このような携帯側画像の圧縮やアナログ変換を考慮すると、請求項5に示すように、情報埋込手段は、特定画素の上位側のビットに選択項目画像の情報を埋め込むことが好ましい。下位側のビットになるほど変換等による誤差が生じる虞があるためである。
【0018】
情報領域が複数の領域で構成される場合があることは既に述べたが、請求項6に示すように、情報領域が、選択項目画像の個数を示す個数情報が埋め込まれる個数領域及び、選択項目画像の位置を示す位置情報が埋め込まれる位置領域で構成されていることとしてもよい。このようにすれば、選択項目画像の個数を個数領域の個数情報から把握することができる。
【0019】
さらにまた、請求項7に示すように、個数領域には、個数情報と共に、位置領域を特定するための領域特定情報が埋め込まれていることとしてもよい。このようにすれば、個数領域の領域特定情報から位置領域が特定されるため、位置特定手段による表示位置の特定が容易になる。
【0020】
ところで、請求項8に示すように、車載装置が操作部を備える構成とすることが考えられる。操作部は、ユーザによる操作に応じて可動する操作ノブを有し、当該操作ノブに連動して表示手段に表示されるカーソルを用い、表示手段に表示された選択項目画像をユーザに選択指示させる。操作ノブは、スライド式であってもよいし、傾倒式であってもよい。このとき、車載装置は、操作部を介した選択項目画像の選択指示があると、当該選択指示がなされた旨を携帯機器へ出力する。このようにすれば、車載装置で、携帯機器を操作することができる。
【0021】
また、このような構成を前提とし、請求項9に示すように、操作部が、設定される反力情報に従い、ユーザの操作に対する反力を操作ノブに加える反力発生手段を有することとしてもよい。このとき、車載装置では、反力情報設定手段が、携帯側画像に埋め込まれた情報に基づき、反力情報を設定する。反力情報は、例えば選択項目画像の表示された画像に対応する反力マップで定義される。この反力情報は、選択項目画像の位置情報から作成してもよいし、選択項目画像の情報の一つとして携帯側画像に予め埋め込むようにしてもよい。このようにすれば、選択項目画像に応じた反力を操作ノブに加えることができる。
【0022】
以上は画面表示システムの発明として説明してきたが、画面表示システムを構成する車載装置の発明として実現することもできる。
すなわち、請求項10に示すような、携帯機器の表示画面に表示される携帯側画像を車両が有する表示手段に表示可能であり、携帯機器との間でデータ通信可能に構成された車載装置であって、携帯機器は、携帯側画像の一部に、ユーザにとって情報内容が視認不能な態様で、携帯側画像に表示される選択項目画像の情報を埋め込む情報埋込手段を備えており、携帯側画像に埋め込まれた情報に基づき、選択項目画像の表示手段における表示位置を特定する位置特定手段を備えていることを特徴とする車載装置である。
【0023】
また、画面表示システムを構成する携帯機器の発明として実現することもできる。
すなわち、請求項11に示すような、表示画面に表示される携帯側画像を車両が有する表示手段に表示可能な車載装置との間でデータ通信可能に構成された携帯機器であって、車載装置は、携帯側画像の一部に埋め込まれた情報に基づき、携帯側画像に表示される選択項目画像の表示手段における表示位置を特定する位置特定手段を備えており、携帯側画像の一部に、ユーザにとって情報内容が視認不能な態様で、選択項目画像の情報を埋め込む情報埋込手段を備えていることを特徴とする携帯機器である。
【0024】
これらの車載装置及び携帯機器についても、上述した請求項2〜9に記載の画面表示システムと同様の構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】表示部及び操作部の車室内での配置状況を模式的に示す説明図である。
【図3】操作画面に対応する反力マップを模式的に示す説明図である。
【図4】情報埋込処理を示すフローチャートである。
【図5】情報領域を模式的に示す説明図である。
【図6】位置特定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態の画面表示システムの概略構成を示すブロック図である。
実施形態の画面表示システムは、ナビゲーション装置1と、携帯電話機50とを備えるものである。ナビゲーション装置1は、図1に示すように、表示部10と、車両の現在地を検出する位置検出部11と、ナビゲーションECU12と、記憶媒体に格納されている地図データやプログラム等の各種データを入力するデータ入力部13と、操作者によって操作される操作部14と、音声出力部15と、USB端子40とを備える。
【0027】
なお、図2に示すように、自動車の車室内において、表示部10は、運転者の前方にあるダッシュボード30上で、運転席と助手席との中間となる位置に配置されており、運転者が表示部10の表示面を見る際の視点移動が軽減されるようになっている。一方、操作部14は、運転席のすぐ横にあるセンターコンソール32の上面に配置されており、運転者が遠方へ手を伸ばしたり姿勢を変えたりすることなく容易に操作できるようになっている。
【0028】
図1のブロック図の説明に戻る。表示部10は、液晶ディスプレイ等の表示面10aを有するカラー表示装置であり、ナビゲーションECU12からの映像信号の入力に応じて各種画像を表示面10aに表示可能である。
【0029】
操作部14は、画面上でカーソルの移動方向や決定指示を入力するためのポインティングデバイスであり、操作者(車両のユーザ)によって動かされる操作ノブ18を有している。この操作ノブ18は、その軸部18aの軸方向と垂直な平面に沿って二次元方向(図中の記号X,Yで示す方向)に可動するものである。本実施形態では、上記二次元方向での操作ノブ18の可動領域は、表示面10a(一般的には長方形で構成される)の縦横比と等しい長方形の領域である。なお、操作ノブ18は、軸部18aの軸方向下向き(図1の矢印Zの方向)にも可動し、操作者により下向きの力が加えられていない状態、すなわち押下されていない状態ではその軸方向上方の定位置に戻るようになっている。
【0030】
また、操作部14は、操作制御部16と、操作ノブ18がZ軸方向に押下されたことを検出する押操作検出センサ20と、操作ノブ18のX軸方向及びY軸方向の位置座標を検出する位置検出センサ22と、操作ノブ18の軸部18aを支持すると共に操作ノブ18に加えられるX軸方向及びY軸方向の操作力に応じた抵抗力やアシスト力といった反力を軸部18aに加える反力発生ユニット24とを備える。なお、操作ノブ18が操作者によってX軸方向及びY軸方向へ動かされる際に、反力発生ユニット24によって常に一定の抵抗力を軸部18aのX軸方向及びY軸方向に加えるようにし、操作に手応えを感じるようにしてもよい。
【0031】
操作制御部16は、操作画面における操作対象領域(本実施形態では表示部10の表示面10aの全域を想定する)の座標と、操作ノブ18のX軸方向及びY軸方向の可動領域における座標とを一対一に対応させる。
【0032】
そして、可動領域における操作ノブ18の座標値はナビゲーションECU12へ操作データとして出力され、ナビゲーションECU12は、操作ノブ18の座標に対応する表示画面上の位置に矢印状のカーソルを表示する。これにより、操作者の操作によって操作ノブ18の位置が可動領域の任意の位置に移動すると、操作画面上のカーソルも操作対象領域内の対応する位置に移動する。なお、操作ノブ18のX軸方向及びY軸方向の位置は、操作者によって力が加えられていない状態では、その位置に停滞するようになっている。また、操作ノブ18をZ軸方向に押す操作(以下、決定操作とも称する)が行われると、操作制御部16は、カーソル位置での入力指示がなされたと判断し、その決定操作情報をナビゲーションECU12へ出力する。
【0033】
また、操作制御部16は、ナビゲーションECU12から入力される反力情報(詳細は後述)で定義される反力の内容に従い、反力発生ユニット24を介し、所定の位置で操作ノブ18に反力(抵抗力やアシスト力)を加える。
【0034】
位置検出部11は、GPS(Global Positioning System )用の人工衛星からの送信電波を受信して車両の位置座標を検出するGPS受信機、車両に加えられる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ、車両の速度に応じた検出信号を出力する車速センサ等から構成されている。そして、これらの各センサを互いに補完しながら使用することで車両の現在地を検出する。
【0035】
データ入力部13は、DVD−ROMやハードディスクドライブといった記憶媒体に格納されている各種プログラムや、ナビゲーション処理用の地図データ等の各種データを読み出し、ナビゲーションECU12へ入力するための装置である。
【0036】
音声出力部15は、各種情報を音声でユーザに報知するための装置である。これによって、表示部10による表示と音声出力部15からの音声出力との両方でユーザに対して各種情報の提供を行うことができる。
【0037】
ナビゲーションECU12は、上記各部を統括制御するための装置であり、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のコンピュータを中心に構成されている。ナビゲーションECU12は、ROMやデータ入力部13から読み出したプログラムに従って各種処理を実行する。
【0038】
USB端子40には、各種外部機器が接続可能となっており、ここにスマートフォン等の携帯電話機50が接続される。ここでは、ターミナルモードでの接続が可能となっている。ターミナルモードは、携帯電話機50の表示画面に表示される携帯側画像を、ナビゲーションECU12を介し、表示部10の表示面10aに映し出すモードである。
【0039】
このとき、表示面10aを操作画面とし、操作部14を介した操作が可能となっている。そして、操作画面による操作によって、USB端子40に接続された携帯電話機50が動作する。以下では、ターミナルモードを前提に説明を続ける。
【0040】
ナビゲーションECU12は、表示部10の表示面10aに携帯電話機50の携帯側画像を表示し、操作部14を介して操作者からの操作を受け付ける。このとき、操作部14にから入力される座標を操作画面内の指示位置として決定する。そして、操作画面に表示される各種ボタン上で操作部14による決定操作がなされると、ナビゲーションECU12によって、USB端子40を介し、携帯電話機50へボタンの決定操作が通知される。
【0041】
なお、ナビゲーションECU12は、操作部14を介して操作者からの操作を受け付ける際、ボタンに対応する引き込み反力等の反力マップを定義する反力情報を操作部14に対して入力する。この反力情報は、例えば、操作ノブ18の可動領域の座標と一対一に対応するマトリクス状のデータテーブルとして設定される。
【0042】
図3は、操作画面に対してナビゲーションECU12が設定する反力情報において定義される反力マップを模式的に示す図である。図3に示すように、操作画面における個々のボタンの位置及び形状に対応する範囲に引き込み反力の発生範囲(図中のグレー部分)が設けられる。この反力情報では、引き込み反力の発生範囲に該当する座標に操作ノブ18が位置するときに、当該反力発生範囲の中心(図中の「+」印)に向けたアシスト力を操作ノブ18に加えるように定義する。ただし、操作画面上の各ボタンに対応する反力発生範囲は、対応するボタンのサイズよりもやや大きい範囲に設定されている。このようにすることで、カーソルがボタンの近傍まで接近した時点から引き込み反力を発生させることができ、カーソルの指示位置をボタンの位置に合わせ易くすることができる。
【0043】
ところで、携帯電話機50の表示画面に表示される携帯側画像は、携帯電話機50のCPUが実行するアプリケーションプログラムに依存し、携帯側画像中のボタンの位置も、アプリケーションプログラムに依存する。本実施形態では、携帯電話機50から入力される携帯側画像に基づき、操作画面におけるボタン位置などを、ナビゲーションECU12が取得し、上述した反力情報を設定する。
【0044】
そこで、携帯電話機50では、そのCPUによって、携帯側画像にボタンの情報を埋め込む情報埋込処理が実行される。図4は、情報埋込処理を示すフローチャートである。この情報埋込処理は、何らかのアプリケーションプログラムが携帯電話機50で実行された場合に行われる。
【0045】
最初のS100では、ボタン位置を取得する。この処理は、携帯電話機50で実行中のアプリケーションプログラムから、当該アプリケーションプログラムの画面上に表示されるボタンの位置を取得するものである。
【0046】
続くS110では、個数情報及び領域特定情報を設定する。個数情報とは、実行中のアプリケーションプログラムの画面上のボタンの個数を示す情報である。また、領域特定情報とは、ボタンの位置情報を有する位置領域を特定する情報であり、正方形の領域である位置領域の一辺のドット数となっている。
【0047】
次のS120では、個数情報及び領域特定情報を個数領域へ書き込む。個数領域は、10ドット×10ドットの領域として携帯側画像に設定される。例えば図5(a)に示すように、携帯側画像Gの右端に個数領域Kが設定されるという具合である。本実施形態では、図5(b)に示すように、個数領域Kの中心の画素GSに、個数情報及び領域特定情報を埋め込む。画素GSは、色情報としてRGB各8ビットの計24ビットで表現される。そこで、画素GSの上位12ビットに、個数情報及び領域特定情報を埋め込む。
【0048】
続くS130では、位置情報を設定する。位置情報は、S100にて取得したボタンの位置を示す情報であり、X座標及びY座標の座標値で示される。位置情報は、ボタンの個数分設定される。
【0049】
次のS140では、位置情報を位置領域へ書き込む。位置領域も、上記個数領域と同様、10ドット×10ドットの領域として携帯側画像の右端に設定される。例えば図5(a)に示すように、携帯側画像Gの右端に、個数領域Kに並べて、複数の位置領域Iが設定されるという具合である。上述した個数情報及び領域特定情報と同様、本実施形態では、図5(b)に示すように、位置領域Iの中心の画素GSに位置情報を埋め込む。画素GSがRGBの計24ビットで表現されることは既に述べたが、位置情報は、携帯側画像Gの解像度との関係から、例えば、画素GSの上位21ビットを用い、その21ビットのうち11ビットにX座標の値を埋め込み、残りの10ビットにY座標の値を埋め込む。
【0050】
続くS150では、ボタンの個数分の位置情報を処理したか否かを判断する。ここでボタンの個数分の位置情報を処理したと判断された場合(S150:YES)、情報埋込処理を終了する。一方、処理していない位置情報があれば(S150:NO)、S130からの処理を繰り返す。このときは、領域特定情報が示す位置領域の一辺のドット数に基づき特定される次の位置領域を対象にする。
【0051】
このような情報埋込処理によって、携帯側画像Gの右端に個数領域K及び位置領域Iが設定される(図5(a)参照)。つまり、携帯側画像の右端に、個数領域及び位置領域からなる情報領域が設定される。そして、個数領域の中心画素には個数情報及び領域特定情報が埋め込まれ(図4中のS110,S120)、位置領域の中心画素には位置情報が埋め込まれる(S130,S140)。上述したように、携帯電話機50から入力されるこのような携帯側画像に基づき、操作画面におけるボタン位置などを、ナビゲーションECU12が取得し、上述した反力情報を設定する。
【0052】
そこで次に、ナビゲーションECU12が実行する位置特定処理を説明する。図6は、位置特定処理を示すフローチャートである。
最初のS200では、個数情報及び領域特定情報を読み出す。この処理は、携帯側画像に設定された個数領域の中心画素の色情報を読み出すものである。これにより、携帯側画像の画面上のボタンの個数、及び、ボタン位置が埋め込まれた位置領域の一辺のドット数が分かる。
【0053】
次のS210では、位置情報を読み出す。この処理は、個数領域に並べて配置される位置領域の中心画素の色情報を読み出すものである。これにより、ボタン位置の座標値が分かる。
【0054】
S220では、ボタンの個数分の位置情報を処理したか否かを判断する。ここでボタンの個数分の位置情報を処理したと判断された場合(S220:YES)、S230へ移行する。一方、処理していない位置情報があれば(S220:NO)、S210からの処理を繰り返す。このときは、領域特定情報が示す位置領域の一辺のドット数に基づき特定される次の位置領域を対象にする。
【0055】
S230では、ボタン位置の座標値に基づき、各ボタンへの引き込み反力を発生させるための反力マップを作成し、当該反力マップを定義する反力情報を設定する。反力情報は、操作部14の操作制御部16へ設定される。
【0056】
次に、本実施形態の画面表示システムが発揮する効果を説明する。
本実施形態では、携帯電話機50にて、実行中のアプリケーションプログラムの画面上のボタン位置を取得し(図4中のS100)、ボタンの個数を示す個数情報及び位置領域を特定するための領域特定情報を設定し(S110)、それらの情報を個数領域へ書き込む(S120)。また、ボタンの個数分の位置情報を設定し(S130,S150)、その情報を位置領域へ書き込む(S140,S150)。一方、ナビゲーション装置1では、個数情報及び領域特定情報を読み出し(図6中のS200)、ボタン個数分の位置情報を読み出す(S210,S220)。
【0057】
つまり、携帯電話機50の表示画面である携帯側画像が入力されることを前提に、その携帯側画像の一部にボタンの情報を埋め込むようにしたのである。これにより、携帯電話機50から表示画面以外の情報入力を必須とせず、当該携帯電話機50の表示画面情報に基づいて、ボタンの位置を特定することができる。
【0058】
また、本実施形態では、図5(a)に示したように、携帯電話機50の携帯側画像Gに個数領域K及び位置領域Iからなる情報領域を設け、この情報領域にボタンの情報を埋め込む。これにより、ナビゲーション装置1での位置特定処理が容易になる。
【0059】
このとき、図5(a)に示したように、携帯側画像Gの右端である縁部に、情報領域を設定している。これにより、情報領域が目立たなくなるため、携帯側画像に情報が埋め込まれることによる違和感が少なくなる。
【0060】
さらにまた、本実施形態では、図5(b)に示したように、個数領域K及び位置領域Iは、一辺が10ドットの正方形として設定されており、その中心画素GSに、情報を埋め込むようにしている。また、画素GSの上位12ビットを用いて、個数情報及び領域特定情報を埋め込むようにした。さらに、画素GSの上位21ビットを用いて、位置情報を埋め込むようにした。これによって、たとえ携帯側画像が圧縮されたりアナログ変換されたりしたとしても、埋め込まれた情報が書き換わってしまうことを防止できる。
【0061】
また、本実施形態では、図5(a)に示したように、ボタンの個数を示す個数情報が埋め込まれる個数領域K及び、ボタンの位置を示す位置情報が埋め込まれる位置領域Iで、情報領域を構成した。これにより、ボタンの個数を個数領域の個数情報から把握することができる。
【0062】
さらにまた、本実施形態では、個数領域に、個数情報と共に、位置領域を特定するための領域特定情報を埋め込むようにした。これにより、個数領域の領域特定情報から位置領域が特定されるため、ナビゲーション装置1における位置特定処理が容易になる。
【0063】
また、本実施形態では、ナビゲーション装置1が操作部14を備え、操作部14は、ユーザによる操作に応じて可動する操作ノブ18を有し、当該操作ノブ18に連動して表示面10aに表示されるカーソルを用い、ボタンをユーザに選択指示させる。そして、ナビゲーション装置1は、操作部14を介したボタンの選択指示があると、当該選択指示がなされた旨を携帯電話機50へ出力する。これにより、ナビゲーション装置1で携帯電話機50を操作することができる。
【0064】
しかも、ナビゲーション装置1では、特定したボタンの位置から、当該ボタンへの引き込み反力を付与するための反力マップを生成し、反力マップを定義する反力情報を設定する(図6中のS230)。これにより、ボタンに応じた反力を操作ノブ18に加えることができる。
【0065】
なお、本実施形態におけるナビゲーション装置1及び携帯電話機50が「画面表示システム」を構成し、ナビゲーション装置1が「車載装置」に相当し、携帯電話機50が「携帯機器」に相当する。
【0066】
また、操作ノブ18が「操作ノブ」に相当し、操作部14が「操作部」に相当し、反力発生ユニット24が「反力発生手段」に相当する。
さらにまた、表示部10が「表示手段」に相当し、携帯電話機50のCPUが「情報埋込手段」に相当し、ナビゲーション装置1のナビゲーションECU12が「位置特定手段」及び「反力情報設定手段」に相当する。
【0067】
また、図4の情報埋込処理が「情報埋込手段」の機能としての処理に相当し、図6中のS200〜S220の処理が「位置特定手段」の機能としての処理に相当し、S230の処理が「反力情報設定手段」の機能としての処理に相当する。
【0068】
以上、本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施可能である。
(イ)上記実施形態では、図5(b)に示したように、個数領域K及び位置領域Iの中心画素GSを特定画素として、画素GSに情報を埋め込むようにしていた。これに対し、特定画素は、中心付近の画素でなくてもよい。ただし、圧縮やアナログ変換などにより隣接する画像領域の影響を受け難い画素を特定画素として採用することが好ましい。また、図5(c)に示すように、複数の画素GSを特定画素として採用してもよい。
【0069】
(ロ)上記実施形態では個数情報と共に領域特定情報を埋め込んでいるが、例えば位置領域が予め定められた大きさである場合など、領域特定情報の埋め込みを行わない構成としてもよい。
【0070】
(ハ)上記実施形態では個数領域及び位置領域から情報領域を構成していたが、領域の設定の仕方は特に限定されない。例えば、区別のない一つの領域を設定し、情報を埋め込む画素を予め定めておくようにしてもよい。
【0071】
この意味では、例えばQRコードなどの2次元コードなどを画面の縁部に埋め込むようにしてもよい。また、例えば「電子透かし」などと呼ばれるような技術を用い、携帯側画像にボタンの情報を埋め込むことも考えられる。
【符号の説明】
【0072】
1…ナビゲーション装置、10…表示部、10a…表示面、11…位置検出部、12…ナビゲーションECU、13…データ入力部、14…操作部、16…操作制御部、18a…操作ノブ、20…押操作検出センサ、22…位置検出センサ、24…反力発生ユニット、30…ダッシュボード、32…センターコンソール、40…USB端子、50…携帯電話機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器と当該携帯機器の表示画面に表示される携帯側画像を車両が有する表示手段に表示可能な車載装置とを備え、前記携帯機器と前記車載装置との間でデータ通信可能に構成された画面表示システムであって、
前記携帯機器は、前記携帯側画像の一部に、ユーザにとって情報内容が視認不能な態様で、前記携帯側画像に表示される選択項目画像の情報を埋め込む情報埋込手段を有し、
前記車載装置は、前記携帯側画像に埋め込まれた前記情報に基づき、前記選択項目画像の前記表示手段における表示位置を特定する位置特定手段を有していること
を特徴とする画面表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画面表示システムにおいて、
前記情報埋込手段は、前記携帯側画像の所定の画像領域である情報領域に、前記選択項目画像の情報を埋め込むこと
を特徴とする画面表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の画面表示システムにおいて、
前記情報領域は、前記携帯側画像の縁部に設定されること
を特徴とする画面表示システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画面表示システムにおいて、
前記情報領域は、複数の画素からなる領域であり、
前記情報埋込手段は、前記複数の画素のうち前記情報領域に隣接する画像領域の影響を受け難い特定画素に前記選択項目画像の情報を埋め込むこと
を特徴とする画面表示システム。
【請求項5】
請求項4に記載の画面表示システムにおいて、
前記情報埋込手段は、前記特定画素の上位側のビットに前記選択項目画像の情報を埋め込むこと
を特徴とする画面表示システム。
【請求項6】
請求項2〜5の何れか一項に記載の画面表示システムにおいて、
前記情報領域は、前記選択項目画像の個数を示す個数情報が埋め込まれる個数領域及び、前記選択項目画像の位置を示す位置情報が埋め込まれる位置領域で構成されていること
を特徴とする画面表示システム。
【請求項7】
請求項6に記載の画面表示システムにおいて、
前記個数領域には、前記個数情報と共に、前記位置領域を特定するための領域特定情報が埋め込まれていること
を特徴とする画面表示システム。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の画面表示システムにおいて、
前記車載装置は、
ユーザによる操作に応じて可動する操作ノブを有し、当該操作ノブに連動して前記表示手段に表示されるカーソルを用い、前記表示手段に表示された前記選択項目画像をユーザに選択指示させることが可能な操作部を備え、
前記操作部を介した前記選択項目画像の選択指示があると、当該選択指示がなされた旨を、前記携帯機器へ出力すること
を特徴とする画面表示システム。
【請求項9】
請求項8に記載の画面表示システムにおいて、
前記操作部は、設定される反力情報に従い、ユーザの操作に対する反力を前記操作ノブに加える反力発生手段を有しており、
前記車載装置は、前記携帯側画像に埋め込まれた前記情報に基づき、前記反力情報を設定する反力情報設定手段を備えていること
を特徴とする画面表示システム。
【請求項10】
携帯機器の表示画面に表示される携帯側画像を車両が有する表示手段に表示可能であり、前記携帯機器との間でデータ通信可能に構成された車載装置であって、
前記携帯機器は、前記携帯側画像の一部に、ユーザにとって情報内容が視認不能な態様で、前記携帯側画像に表示される選択項目画像の情報を埋め込む情報埋込手段を備えており、
前記携帯側画像に埋め込まれた前記情報に基づき、前記選択項目画像の前記表示手段における表示位置を特定する位置特定手段を備えていること
を特徴とする車載装置。
【請求項11】
表示画面に表示される携帯側画像を車両が有する表示手段に表示可能な車載装置との間でデータ通信可能に構成された携帯機器であって、
前記車載装置は、前記携帯側画像の一部に埋め込まれた情報に基づき、前記携帯側画像に表示される選択項目画像の前記表示手段における表示位置を特定する位置特定手段を備えており、
前記携帯側画像の一部に、ユーザにとって情報内容が視認不能な態様で、前記選択項目画像の情報を埋め込む情報埋込手段を備えていること
を特徴とする携帯機器。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−137867(P2012−137867A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288639(P2010−288639)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】