説明

異常脂質血症及び他の脂質障害の治療用化合物

式(I)の類の化合物及び医薬的に許容可能なその塩は特に高脂血症、高コレステロール血症、異常脂質血症、及び他の脂質障害の治療と、これらの疾患に付随する症状及び後遺症(例えばアテローム性動脈硬化症)の発症遅延又は発症の危険低減における治療用化合物として有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特に高脂血症、高コレステロール血症、異常脂質血症、及び他の脂質代謝障害の治療及び抑制と、これらの疾患に付随する症状及び後遺症(例えばアテローム性動脈硬化症や2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)と言うことか多い))の発症遅延又は危険低減における治療用化合物として有用な類のベンゾイソオキサゾール化合物及び医薬的に許容可能なその塩に関する。
【背景技術】
【0002】
脂質代謝障害(異常脂質血症)は1種以上の脂質(即ちコレステロールとトリグリセリド)、及び/又はアポリポ蛋白質(即ちアポリポ蛋白質A、B、C及びE)、及び/又はリポ蛋白質(即ち脂質と脂質を血液中に循環させるアポリポ蛋白質により形成される巨大分子複合体(例えば低密度リポ蛋白質(LDL)、超低密度リポ蛋白質(VLDL)及び中密度リポ蛋白質(IDL)))の異常濃度を特徴とする各種症状を含む。コレステロールは主に低密度リポ蛋白質(LDL)により運搬され、LDL−コレステロール上昇は冠動脈性心疾患の危険に密接に相関しているので、この成分は一般に「悪玉」コレステロールと呼ばれる。より少量のコレステロール成分は高密度リポ蛋白質(HDL)により運搬され、一般に「善玉」コレステロールと呼ばれる。実際に、HDLの主機能は動脈壁に沈着したコレステロールを回収し、肝臓に戻し、腸を通して廃棄することである。上昇したLDLコレステロール値を下げることは望ましいが、HDLコレステロール値を上げることも望ましい。一般に、HDL値の上昇は冠動脈性心疾患(CHD)の危険の低下に結び付けられることが認められている。例えば、Gordonら,Am.J.Med.,62,707−714(1977);Stampferら,N.England J.Med.,325,373−381(1991);及びKannelら,Ann.Internal Med.,90,85−91(1979)参照。HDL上昇剤の1例はニコチン酸であるが、HDL上昇を達成する用量では紅潮等の副作用があるため、効用の限られた薬剤である。
【0003】
異常脂質血症は最初にFredricksonにより上記変動の組合わせに従って分類された。Fredrickson分類は6種の表現型(即ちI、IIa、IIb、III、IV及びV)を含み、一般に総コレステロール濃度とLDLコレステロール濃度の上昇を伴う孤発性高コレステロール血症(即ちIIa型)が最も多い。高コレステロール血症の初期治療は脂肪とコレステロールの少ない食事に切り替えると共に適度の運動を行い、その後、食事と運動のみではLDL低下の目的が達成されない場合に薬物療法を実施することが多い。
【0004】
異常脂質血症の2番目に多く見られる形態は混合ないし複合高脂血症即ちFredrickson分類のIIb及びIII型である。この異常脂質血症は2型糖尿病、肥満症及び代謝症候群患者に認められることが多い。この異常脂質血症ではLDL−コレステロールの緩やかな上昇と共に小型高密度LDL−コレステロール粒子、VLDL及び/又はIDL(即ちトリグリセリドリッチリポ蛋白質)、及び総トリグリセリドの顕著な上昇が認められる。更に、多くの場合にはHDL濃度は低い。
【0005】
ペルオキシソーム増殖因子は齧歯類に投与すると、肝及び腎ペルオキシソームのサイズと個数を劇的に増加すると同時に、β酸化サイクルの酵素の発現増加によりペルオキシソームの脂肪酸代謝能を増加する構造的に多様な群の化合物である。この群の化合物としては限定されないが、フィブラート系脂質調節薬、除草剤、フタル酸エステル可塑剤及び2型糖尿病の治療用として検討されてきた類の化合物であるグリタゾンが挙げられる。ペルオキシソーム増殖は高脂肪食や低温環境順応等の食事又は生理的因子も引き金になる。
【0006】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)及びペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ(PPARδ)の3種のペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)サブタイプが発見され、記載されている。PPARαは多数の中鎖及び長鎖脂肪酸により活性化され、脂肪酸のβ酸化の刺激に関与している。PPARαは齧歯類とヒトでフィブラートと脂肪酸の活性にも関連付けられている。クロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、ベクロフィブラート及びエトフィブラート並びにゲムフィブロジル等のフィブリン酸誘導体は各々PPARαリガンド及び/又は活性化剤であり、血漿トリグリセリドを実質的に低下させると共にHDLを多少増加する。LDLコレステロールに及ぼす効果は一貫せず、化合物及び/又は異常脂質血症表現型に依存するらしい。これらの理由から、この類の化合物は主に高トリグリセリド血症(即ちFredrickson分類IV及びV型)及び/又は混合高脂血症の治療に使用されている。
【0007】
PPARγ受容体サブタイプは脂肪細胞分化プログラムの活性化に関与しており、肝におけるペルオキシソーム増殖の刺激には関与していない。PPARγの蛋白質アイソフォームはPPARγ1とPPARγ2の2種が知られており、PPARγ2がアミノ末端に28アミノ酸を余分に含む点のみが相違する。ヒトアイソタイプのDNA配列はElbrechtら,BBRC 224;431−437(1996)に記載されている。マウスでは、PPARγ2は脂肪細胞で特異的に発現される。Tontonozら,Cell 79:1147−1156(1994)はPPARγ2の生理的役割の1つが脂肪細胞分化の誘導であることを立証している。核ホルモン受容体スーパーファミリーの他のメンバーと同様に、PPARγ2は他の蛋白質との相互作用と例えば応答遺伝子の5’フランキング領域でのホルモン応答因子との結合を介して遺伝子発現を調節する。PPARγ2応答遺伝子の1例は組織特異的脂肪細胞P2遺伝子である。フィブラートや脂肪酸を含むペルオキシソーム増殖因子はPPARの転写活性を活性化するが、高い親和性でチアゾリジンジオン抗糖尿病薬とも結合するPPARγサブタイプの潜在的天然リガンドとしてはプロスタグランジンJ誘導体しか同定されていない。
【0008】
ヒト核受容体遺伝子PPARδ(hPPARδ)はヒト骨肉腫細胞cDNAライブラリーからクローニングされており、A.Schmidtら,Molecular Endocrinology,6:1634−1641(1992)に詳細に記載されている。PPARδは文献中でPPARβ及びNUC1と呼称される場合もあるが、これらの名称はいずれも同一受容体を意味し、Schmidtらはこの受容体をNUC1と呼称している。
【0009】
WO96/01430には、ヒトPPARサブタイプhNUC1Bが開示されている。hNUC1Bのアミノ酸配列はヒトPPARδ(同文献ではhNUC1と言う)とアミノ酸1個、即ち292位のアラニンが相違する。同文献に記載されているin vivo実験に基づき、著者らはhNUC1B蛋白質がhPPARα及び甲状腺ホルモン受容体蛋白質活性を示すことを示唆している。
【0010】
WO97/28149にはPPARδアゴニストがHDL血漿値を上昇させるのに有用であることが開示されている。PPARδアゴニストは最近ではWO2002/100351に関節リウマチ等の各種炎症性疾患の治療に有用であると開示されている。WO97/27857、97/28115、97/28137及び97/27847は抗糖尿病薬、抗肥満薬、抗アテローム性動脈硬化症薬及び抗高脂血症薬として有用であり、PPARを活性化する化合物を開示している。
【0011】
グリタゾンはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ファミリーの受容体と結合し、上記生体物質に関与する所定の転写因子を制御することによりその効果を発揮すると一般に考えられている。グリタゾンはベンジル−2,4−チアゾリジンジオン誘導体である。Hulinら,Current Pharm.Design(1996)2,85−102参照。
【0012】
PPARアゴニストである多数のグリタゾンが糖尿病治療用として認可されている。これらのグリタゾンとしてはトログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾンが挙げられ、いずれも主に又は排他的にPPARγアゴニストである。現在開発中又は臨床試験中の新型PPARアゴニストの多く(例えばムラグリタザール、ナベグリタザール(LY−818)、TAK−559、及びテサグリタザール)はグリタゾン構造をもたず、デュアルPPARα及びγ活性をもつ。PPARα/γアゴニストはNIDDM患者におけるインスリン感受性と脂質プロフィルの両者を改善するものと期待される。
【0013】
各種PPARサブタイプのアゴニストである化合物はPPARアゴニストによる治療に応答する疾患及び症状の治療に有用であると期待されている。これらの症状としては異常脂質血症、糖尿病、及び関連症状が挙げられる。PPARαアゴニストは上昇したLDL値を低下させ、上昇したトリグリセリド値を低下させ、HDL値を上昇させることにより、脂質プロフィルを改善し、異常脂質血症を緩和する。PPARγアゴニストはインスリン感受性を改善し、NIDDM患者におけるインスリン分泌促進剤及びインスリン注射の必要を減らす。PPARδの役割は十分に解明されていないが、PPARδも2型糖尿病患者で高脂血症と高血糖症の抑制に有用であると思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本明細書に記載する類の化合物は新規類の強力で選択的なPPARアゴニストである。本化合物は一般にPPARα受容体に対して高い活性を示す。本化合物の多くはそのアッセイデータによるとPPARγ及びPPARδ受容体に対して殆ど又は全く活性を示さず、従って、PPARαに選択的である。本化合物はPPARαアゴニストにより治療又は改善される疾患、障害及び症状の治療に有用である。
【0015】
本化合物は以下の症状:混合又は糖尿病性異常脂質血症;LDL−C及び/又は非HDL−C上昇により発現される孤発性高コレステロール血症を含む他の脂質代謝障害;高アポBリポ蛋白血症;高トリグリセリド血症;トリグリセリドリッチリポ蛋白質上昇;及び低HDLコレステロール濃度の1種以上の治療に有用である。本化合物はアテローム性動脈硬化症、肥満症、及び血管再狭窄の治療にも有用である。本化合物は炎症症状及びインスリン感受性の治療にも有用であると思われる。脂質代謝障害、肥満症、異常脂質血症、及びインスリン感受性の1種以上の治療及び改善に有用である結果として、本化合物は代謝症候群(シンドロームXとも言う)を治療又は改善することにより、アテローム性動脈硬化症の発症の危険を低減するのにも有効であると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は式I:
【0017】
【化6】

の化合物とこれらの化合物の医薬的に許容可能な塩及びプロドラッグを提供する。
【0018】
式Iの化合物において、
X及びYは各々独立してO又はSであり;
AはH、場合により1〜5個のハロゲンで置換された−C−Cアルキル、−CR−、及び−CRO−から構成される群から選択され、Aが−CR−又は−CROであるとき、式IのAとフェニル環の間の破線は単結合を表し、Aが−CRO−であるとき、−CRO−のOはフェニル環と結合しており、AがH又は−C−Cアルキルであるとき、破線は結合を表さず;
RはH又は場合により1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルキルであり;
はH、ハロゲン、及び場合により1〜5個のハロゲンで置換されたC−Cアルキルから選択され;
及びRは独立してH、ハロゲン、C−Cアルケニル、及びC−Cアルキルから構成される群から選択され、C−Cアルキル及びC−Cアルケニルは場合により1〜5個のハロゲンで置換されており;
及びRは各々独立してH、ハロゲン及びC−Cアルキルから選択され、C−Cアルキルは場合により1〜5個のハロゲンで置換されており;
mは0、1、又は2であり;
nは0、1、又は2であり;
Arは場合によりハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、及び−NRから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルであり、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは場合により1〜5個のハロゲンで置換されており;
及びRは各々独立してH又はC−Cアルキルである。
【0019】
上記要約において、−Cアルキルや−C−Cアルキルのように炭素数によりアルキル基を表す場合には、直鎖と分岐鎖の両者のアルキル基を意味する。
【発明の効果】
【0020】
上記化合物はPPARαアゴニストによる治療に応答する疾患及び症状の治療に有効である。本化合物は以下の疾患又は症状:高脂血症、異常脂質血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高血糖症、及び肥満症の1種以上を治療及び改善するのに有効であるものと期待される。本化合物は非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)及び/又はNIDDMに併発することが多いが非糖尿病患者にも発症し得る症状(高脂血症、異常脂質血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、及び肥満症等)の治療にも有効であると思われる。本化合物はアテローム性動脈硬化症、高インスリン血症、血管再狭窄、及び炎症症状の治療にも有効であると思われる。本化合物は該当疾患の発症に関与する症状を緩和することにより、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄、及び網膜症等のNIDDM後遺症の一部の危険を遅延又は低減するのにも有効であると思われる。本化合物は代謝症候群に関連する危険因子の一部を改善することにより、ヒト代謝症候群患者に発生する心血管イベント(例えば冠動脈心疾患)を低減するのにも有効であると思われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は多数の態様がある。化合物の数種の好ましいサブグループについて以下に記載する。
【0022】
本発明の1態様では、式Iの化合物は以下のように定義され、医薬的に許容可能な塩を含む:
X及びYはOであり、相互にメタ位又はパラ位にあり;
は−CH、−C、n−C、及び−CH(CHから選択され;
及びRは独立してハロゲン、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルから選択され、−C−Cアルキル及び−C−Cアルケニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換されており;
m及びnは各々独立して0又は1であり;
AはH、−CH、−CH−及び−CHO−から構成される群から選択され、AがH又は−CHであるとき、破線は結合を表さず;Aが−CH−又は−CHO−であるとき、式IのAとフェニル環の間の破線は単結合を表し、−CHO−のOはフェニル環と結合しており;
Arは場合により−CF、−OCF、C−Cアルキル、ハロゲン及び−NRから独立して選択される1〜2個の基で置換されたフェニルであり;
及びRは独立してH及びC−Cアルキルから選択される。
【0023】
式Iの化合物のサブグループは下式Ia:
【0024】
【化7】

をもち、医薬的に許容可能な塩を含む。
式Iaにおける置換基は上記定義をもつ。
【0025】
他の態様では、式Ia(医薬的に許容可能な塩を含む)の置換基は以下の定義をもつ:
は−CH、−C、n−C、及び−CH(CHから選択され;
及びRは独立してハロゲン、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルから構成される群から選択され、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換されており;
m及びnは各々独立して0又は1であり;
Arは場合により−CF、−OCF、−C−Cアルキル、ハロゲン及びNRから独立して選択される1〜2個の基で置換されたフェニルであり;
及びRは独立してH及び−C−Cアルキルから構成される群から選択される。
【0026】
式Iの化合物のサブグループは下式Ib:
【0027】
【化8】

をもち、医薬的に許容可能な塩を含む。
【0028】
式Ibにおける置換基は上記定義をもつ。
【0029】
他の態様では、式Ib(医薬的に許容可能な塩を含む)の置換基は以下の定義をもつ:
は−CH、−C、n−C、及び−CH(CHから選択され;
及びRは独立してハロゲン、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルから構成される群から選択され、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換されており;
m及びnは各々独立して0又は1であり;
Arは場合により−CF、−OCF、−C−Cアルキル、ハロゲン及びNRから独立して選択される1〜2個の基で置換されたフェニルであり;
及びRは独立してH及び−C−Cアルキルから構成される群から選択される。
【0030】
式Iの化合物のサブグループは下式Ic:
【0031】
【化9】

をもち、医薬的に許容可能な塩を含む。
【0032】
式Icの化合物において、置換基は以下の定義をもつ:
YはOであり、Yが結合しているフェニル環上のO置換基に対してメタ位又はパラ位にあり;
AはH及び場合により1〜5個のハロゲンで置換された−C−Cアルキルから構成される群から選択される。
他の置換基は上記に定義した通りである。
【0033】
他の態様では、式Ic(医薬的に許容可能な塩を含む)の置換基は以下の定義をもつ:
は−CH、−C、n−C、及び−CH(CHから選択され;
AはH又は−CHであり;
及びRは独立してハロゲン、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルから構成される群から選択され、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換されており;
m及びnは各々独立して0又は1であり;
Arは場合により−CF、−OCF、−C−Cアルキル、ハロゲン及びNRから独立して選択される1〜2個の基で置換されたフェニルであり;
及びRは独立してH及び−C−Cアルキルから構成される群から選択される。
【0034】
一般に、本発明の化合物において、Rの好ましい値はHである。
【0035】
一般に、本発明の化合物において、Rの好ましい値はC−Cアルキルである。
【0036】
下表1に特定化合物を化学構造により示す。表1の直後に表2に化合物の名称を示す。特定化合物は医薬的に許容可能な塩も含む。
【0037】
【表1】



【0038】
表2
実施例1:2−メチル−2−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸;
実施例2:2−メチル−2−{4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸;
実施例3:2−メチル−2−{3−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸;
実施例4:2−メチル−2−{3−[3−(4−クロロ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸;
実施例5:2−メチル−2−{3−[3−(4−イソプロピル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸;
実施例6:2−メチル−2−{3−[3−(4−エチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸;
実施例7:2−メチル−2−{3−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸;
実施例8:2−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸;
実施例9:2−{3−[3−(4−クロロ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−ブタン酸;
実施例10:2−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−ブタン酸;
実施例11:3−メチル−2−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−ブタン酸;
実施例12:2−{2−フルオロ−3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−ブタン酸;
実施例13:2−{3−[3−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸;
実施例14:2−エチル−5−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸;
実施例15:2−イソプロピル−5−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸;
実施例16:2−イソプロピル−5−[3−(4−イソプロピル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸;
実施例17:2−イソプロピル−5−[3−(4−クロロ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸;
実施例18:2−イソプロピル−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸;
実施例19:2−メチル−7−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−カルボン酸;
実施例20:2−エチル−7−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−カルボン酸;及び
実施例21:2−エチル−7−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−カルボン酸。
【0039】
本発明は更に、医薬的に許容可能な塩を含めた上記化合物の任意のものと、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物を含む。
【0040】
本発明は単独活性成分としての本明細書に記載する化合物、又は医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物を含む。本発明は更に、本明細書に記載する化合物、又は医薬的に許容可能な塩と、1種以上の他の活性成分と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物も含む。
【0041】
定義
「アルキル」及び「アル」で始まる他の基(例えばアルコキシ又はアルケニル)は特に定義しない限り、直鎖でも分岐鎖でもよい炭素鎖を意味し、複数分岐点をもつ炭素鎖を含む。アルキル基の例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が挙げられる。イソプロピルとsec−及びtert−ブチルは分岐鎖である。
【0042】
「アルケニル」とは少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、直鎖でも分岐鎖でもよい炭素鎖を意味する。アルケニルの例としてはビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル等が挙げられる。
【0043】
「シクロアルキル」とは特に指定しない限り、炭素原子数3〜10の単環又は二環式飽和炭素環を意味する。この用語はアリール基等の別の環状基に融合した単環又は二環式飽和炭素環も含む。シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
【0044】
ある構造中の置換基又は基を表すために使用する場合に「アリール」(及び「アリーレン」)とは全環が芳香族であり、炭素環原子がただ1つである単環又は二環又は三環式基又は置換基を意味する。「アリール」基はシクロアルキル基や複素環基等の他の環状基と融合していてもよい。アリール置換基の例としてはフェニルとナフチルが挙げられる。フェニルが好ましいアリール基である。
【0045】
「複素環」とは特に定義しない限り、N、S及びOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3〜10員環の完全又は部分飽和環を意味する。
【0046】
「ヘテロアリール」(及びヘテロアリーレン)とはN、O及びS(SO及びSOを含む)から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む5〜6員芳香族環を意味する。ヘテロアリールの例としてはピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、及びピラジニルが挙げられる。ヘテロアリール及び芳香族環は融合して例えばベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル(S−オキシドとジオキシドを含む)、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラン等の二環又は三環系を形成することができる。
【0047】
「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む。フッ素が一般にアルキル基上の最も好ましいハロゲン置換基である。
【0048】
「Me」及び「Et」は夫々メチル及びエチルを表す。
【0049】
化合物「の投与」及び「を投与する」なる用語は治療を必要とする患者に本発明の化合物、又は本発明の化合物の医薬的に許容可能な塩、又は本発明の化合物のプロドラッグを提供することを意味する。
【0050】
疾患又は症状等を治療するとは、疾患又は症状を特定方法で処置することを意味する。
【0051】
疾患又は症状の改善とは疾患又は症状を軽減又は良好にすることを意味する。
【0052】
「代謝症候群」はThird Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection,Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol In Adults(ATP−III).E.S.Fordら,JAMA,vol.287(3),Jan.16,2002,pp 356−359に定義されている。要約すると、腹部肥満、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高血圧、及び空腹時血漿グルコース値上昇の症状のうちの3種以上をもつ場合に代謝症候群であると定義される。これらの基準はATP−IIIで定義されている。
【0053】
本発明の化合物を投与することができる「患者」は類人猿等の霊長類;ウシ等のウシ亜科動物;ウマ等のウマ科動物;イヌ等のイヌ科動物;ネコ等のネコ科動物;ヤギ及びヒツジ等のヒツジ様動物;並びにマウス、ラット、及びモルモット等の齧歯類を含む哺乳動物から選択することができる。患者はニワトリや他の鳥類等の非哺乳動物種でもよい。好ましい患者はヒトである。
【0054】
医薬組成物等における「組成物」なる用語は活性成分とキャリヤーを構成する不活性成分を含有する製剤と、成分の任意2種以上の配合、錯化もしくは凝集、又は成分の1種以上の解離、又は成分の1種以上の他の型の反応もしくは相互作用により直接又は間接的に得られる任意製剤を含むものとする。従って、本発明の医薬組成物は本発明の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを混合することにより製造される任意組成物を含む。
【0055】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は1個以上の不斉中心を含むことができる。従って、本化合物はラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができる。本発明は式Iの化合物のこのような全異性形を包含するものである。本発明は特に立体配置を指定して示す化合物のエナンチオマー及びラセミ混合物と、立体配置を指定せずに示す化合物の個々の立体異性体を含む。
【0056】
本明細書に記載する化合物にはオレフィン二重結合を含むものもあり、特に指定しない限り、E及びZ両者の幾何異性体を含むものとする。
【0057】
本明細書に記載する化合物には二重結合のシフトにより水素結合点が変化したものもある(互変異性体と言う)。1例はカルボニル(例えばケトン)とそのエノール形である(ケト−エノール互変異性体と言うことが多い)。個々の互変異性体とその混合物が式Iの化合物に含まれる。
【0058】
所望により、純エナンチオマー酸又は塩基と共に形成される塩の分別結晶を介して従来の分割により式Iの化合物のラセミ混合物を分離してもよい。式Iの化合物のラセミ混合物を純エナンチオマー化合物とカップリングすることにより他のジアステレオマー誘導体を形成することもできる。このようなジアステレオマー誘導体は標準クロマトグラフィー法や再結晶プロトコールにより分離することができる。その後、付加キラル残基の開裂によりこれらのジアステレオマー誘導体を式Iの化合物の純エナンチオマーに変換することができる。キラル固定相を使用するクロマトグラフィー法により式Iの化合物のラセミ混合物を直接分離することもでき、多数の例が文献公知である。
【0059】
あるいは、光学的に純粋な出発材料又は公知構造の試薬を使用して立体選択的合成により一般式Iの化合物の任意エナンチオマーを得ることもできる。
【0060】
2個以上の不斉中心をもち、ジアステレオマー混合物として存在する式Iの化合物も同様に標準方法により個々のジアステレオマーに分離し、これらを上記のように個々のエナンチオマーに分離することもできる。
【0061】

「医薬的に許容可能な塩」なる用語は無機又は有機塩基と無機又は有機酸を含む医薬的に許容可能な非毒性塩基又は酸から製造される塩を意味する。式Iのカルボン酸化合物の場合、無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、三価マンガン、二価マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛塩等が挙げられる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウム塩が特に好ましい。固体形態の塩は2種以上の結晶構造で存在することもできるし、水和物形態でもよい。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩としては第一、第二、及び第三アミン、置換アミン(天然置換アミンを含む)、環状アミン、並びに塩基性イオン交換樹脂(例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が挙げられる。
【0062】
塩基性化合物の場合には、無機及び有機酸等の医薬的に許容可能な非毒性酸から塩を製造することができる。このような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、及び酒石酸が特に好ましい。
【0063】
当然のことながら、本明細書で式Iの化合物という場合には医薬的に許容可能な塩も含むものとする。
【0064】
代謝産物−プロドラッグ
プロドラッグは患者に投与している間又は患者に投与後に本発明の化合物に変換される化合物である。プロドラッグは本発明の化合物であり、式Iをもつ場合にはプロドラッグの活性代謝産物も同様に本発明の化合物である。本発明のカルボン酸のプロドラッグの非限定的な例は例えばC−Cエステル等のカルボン酸エステル、又は患者に投与後に加水分解し易くする官能基をもつエステルである。
【0065】
この類の化合物のプロドラッグの例としては、式I中のカルボキシ基−C(=O)が−C(=O)G形態の化合物が挙げられ、前記式中、Gは哺乳動物患者に投与中又は投与後に生理的条件下で容易に除去され、遊離カルボン酸又はそのカルボン酸塩を生じる基である。
【0066】
式Iaのプロドラッグの例としては、Gが−OR、−OCHOR、−OCH(CH)OR、−OCHOC(O)R、−OCH(CH)OC(O)R、−OCHOC(O)OR、−OCH(CH)OC(O)OR、及び−NRから構成される群から選択される化合物が挙げられ、各Rは−COH、−CONH、−NH、−OH、−OAc、−NHAc、及びフェニルから選択される1又は2個の基で場合により置換されたC1−6アルキルから独立して選択され;各RはH及びRから独立して選択される。
【0067】
用途
本発明の化合物はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体サブタイプ、特にPPARαの強力なアゴニストであり、一般にPPARγ又はPPARδに対して殆ど又は全く活性をもたない。従って、本発明の化合物はサブタイプPPARαの選択的で強力なアゴニストである。本化合物のうちの少数のものはPPARγ及び/又はPPARδのアゴニストとしての活性ももつ。本発明の化合物はPPARαサブタイプの活性化により治療、抑制又は改善される疾患、障害及び症状を治療、抑制又は改善するのに有用である。
【0068】
本発明の重要な態様は異常脂質血症、高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、低HDL値,高LDL値、及びアテローム性動脈硬化症とその後遺症等の各種脂質代謝障害の治療、抑制又は改善方法として、このような治療を必要とする哺乳動物に治療有効量の式Iの化合物を投与する方法を提供することである。
【0069】
本発明の化合物は治療を必要とする哺乳動物又はヒト患者における以下の疾患又は症状:
(1)脂質障害;
(2)高脂血症;
(3)低HDLコレステロール;
(4)高LDLコレステロール;
(5)高コレステロール血症;
(6)高トリグリセリド血症;
(7)高LDLコレステロールと低HDLコレステロールを含む異常脂質血症;及び
(8)アテローム性動脈硬化症とアテローム性動脈硬化症の後遺症(狭心症、跛行、心臓麻痺、脳卒中等)
の1種以上を治療又は抑制又は改善するのに使用することができ、治療は治療を必要とする患者に治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0070】
より一般には、式I、Ia、Ib、及びIcの化合物は治療有効量の化合物を投与することにより、以下の疾患、障害及び症状:(1)脂質障害、(2)脂質代謝異常、(3)高脂血症、(4)高トリグリセリド血症、(5)高コレステロール血症、(6)低HDL値、(7)高LDL値、(8)アテローム性動脈硬化症とその後遺症、(9)腹部肥満を含む肥満症、(10)血管再狭窄、(11)網膜症、(12)非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、(13)高血糖症、(14)低グルコース耐性、(15)インスリン抵抗性、(16)過敏性腸症候群、(17)クローン病や潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患、(18)膵炎、(19)他の炎症症状、(20)神経変性疾患、(21)アルツハイマー病、(22)乾癬、(23)尋常性座瘡、(24)PPARにより調節される他の皮膚疾患及び皮膚症状、(25)高血圧、(26)悪液質、並びに(27)代謝症候群(シンドロームXとも言う)の1種以上を治療又は抑制又は改善するために使用することができる。
【0071】
本化合物は(1)腫瘍症状、(2)脂肪細胞腫瘍、(3)脂肪細胞癌(例えば脂肪肉腫)、(4)前立腺癌及び他の癌(例えば胃癌、乳癌、膀胱癌及び結腸癌)、並びに(5)血管新生の治療にも有用であると思われる。
【0072】
本発明の化合物で治療することができる他の症状としては、卵巣高アンドロゲン血症(多嚢胞性卵巣症候群)、悪液質,及びインスリン抵抗性を伴う他の障害が挙げられる。
【0073】
本発明は更に、PPARαアゴニストの投与により治療される疾患又は症状の治療に有用な医薬の製造における式Iの化合物、又は医薬的に許容可能なその塩の使用に関する。
【0074】
本発明の別の態様は悪液質の治療方法を提供する。PPARαは飢餓に対する適切なエネルギー備蓄応答に必要であることが知られており、不適切な代謝とエネルギー利用は明らかに悪液質の消耗の原因となる。従って、本発明の化合物は悪液質の治療に有用であると思われる。
【0075】
別の態様では、本発明は有効量の式IのPPARαアゴニストを投与することにより、炎症性腸疾患、クローン病及び潰瘍性大腸炎等の炎症症状を治療する方法を提供する。本発明により治療することができる他の炎症性疾患としては痛風、関節リウマチ、変形性関節症、多発性硬化症、喘息、ARDS、乾癬、血管炎、虚血/再潅流傷害、及び関連疾患が挙げられる。
【0076】
本発明の別の態様は治療を必要とする哺乳動物又はヒト患者に有効量の式Iの化合物を投与することにより、PPARαアゴニストにより調節される各種皮膚疾患及び皮膚症状を治療する方法を提供する。これらの疾患及び症状としては乾癬や尋常性座瘡が挙げられる。治療することができる他の皮膚疾患及び皮膚障害の例としては湿疹;狼瘡関連皮膚傷害;脂漏性皮膚炎や日光皮膚炎等の皮膚炎;脂漏性角化症、老人性角化症、光線角化症、光誘発性角化症、及び毛包性角化症等の角化症;ケロイド及びケロイド形成予防、いぼ、コンジローム、又は尖圭コンジローム、及びヒトパピローマウイルス(HPV)感染(例えば陰部疣贅、ウイルス性疣贅)を含む疣贅、伝染性軟属腫、白板症、扁平苔癬、角膜炎、皮膚癌(例えば基底細胞癌、皮膚T細胞リンパ腫及び局所良性表皮腫瘍(角皮症、表皮母斑))が挙げられる。
【0077】
投与と用量範囲
哺乳動物、特にヒトに有効用量の本発明の化合物を投与するのに適した任意投与経路を利用することができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼内、肺、鼻孔等を利用することができる。剤形としては錠剤、トローチ剤、分散液、懸濁液、溶液、カプセル剤、クリーム、軟膏、エアゾール等が挙げられる。式Iの化合物は経口投与するのが好ましい。
【0078】
使用する活性成分の有効用量は利用する特定化合物、投与方法、治療する症状及び治療する症状の重篤度に応じて変えることができる。
【0079】
高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、異常脂質血症、高脂血症、及び式Iの化合物を適応症とする他の疾患を治療する場合には、本発明の化合物を1日用量約0.1mg〜約100mg/kg動物体重で投与すると一般に満足な結果が得られ、1日用量を一度に投与するか又は1日2〜6回に分けるか、又は持続放出形態で投与することが好ましい。大半の大型哺乳動物の場合、合計1日用量は約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約100mgである。70kgの成人の場合には、合計1日用量は一般に約1mg〜約350mgである。この用量レジメンは特定化合物と患者により異なる。用量は最適治療応答が得られるように上記範囲内又は上記範囲外で調節することができる。1日ヒト用量の例は1、2.5、5、7.5、10、15、25、40、50、75、100、150、200、250、300、及び350mgである。
【0080】
医薬組成物
本発明の別の態様は式Iの化合物と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は活性成分としての式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグと、医薬的に許容可能なキャリヤーと、場合により他の治療成分を含有する。より一般には、式Iの選択化合物、又は医薬的に許容可能なその塩を組成物の単独活性成分とする。「医薬的に許容可能な塩」なる用語は無機塩基又は無機酸と有機塩基又は有機酸を含む医薬的に許容可能な非毒性塩基又は酸から製造される塩を意味する。
【0081】
組成物としては経口、直腸、局所、非経口(例えば皮下、筋肉内及び静脈内)、眼内(眼科薬)、肺(鼻腔内又は口腔吸入)、又は鼻腔内投与に適した組成物が挙げられるが、任意所与症例に最適な経路は治療する症状の種類と重篤度及び活性成分の種類により異なる。組成物は単位剤形とすると簡便であり、製薬分野で周知の任意方法により製造することができる。
【0082】
実地使用では、式Iの化合物を活性成分として慣用薬剤配合技術に従って医薬キャリヤーと混和することができる。キャリヤーは投与に所望される製剤形態、例えば経口か非経口(例えば静脈内)かに応じて多様な形態をとることができる。経口剤形用組成物を製造する場合には、通常の医薬媒体の任意のものを使用することができ、例えば懸濁液、エリキシル剤及び溶液等の経口液体製剤の場合には例えば水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤等を使用することができ、例えば散剤、ハードカプセル、ソフトカプセル、及び錠剤等の経口固体製剤の場合には澱粉、糖類、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のキャリヤーを使用することができ、固体経口製剤のほうが液体製剤よりも好ましい。
【0083】
投与し易いという理由から錠剤とカプセルが最も有利な経口単位剤形であり、その場合には固体医薬キャリヤーを使用する。所望により、標準水性又は非水性技術により錠剤にコーティングしてもよい。このような組成物及び製剤は少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。これらの組成物における活性化合物の百分率は当然のことながら変えることができ、単位重量の約2%〜約60%とすると好都合である。このような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は有効用量が得られるような量である。活性化合物は例えば滴剤又はスプレーとして鼻腔内投与することもできる。
【0084】
錠剤、ピル、カプセル等は更に結合剤(例えばトラガカントガム、アラビアガム、コーンスターチ又はゼラチン);賦形剤(マンニトール、微結晶セルロース、又はリン酸2カルシウム);崩壊剤(例えばコーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸又はクロスカルメロースナトリウム);滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム);及び甘味料(例えばスクロース、ラクトース又はサッカリン)を添加することができる。単位剤形がカプセルである場合には、上記型の材料に加え、脂肪油等の液体キャリヤーを添加することができる。
【0085】
コーティングとして又は用量単位の物理的形状を変化させるために他の種々の材料を使用してもよい。例えば、錠剤はシェラック、糖又はその両者でコーティングすることができる。シロップ又はエリキシル剤は活性成分に加え、甘味剤としてスクロース、防腐剤としてメチル及びプロピルパラベン、色素及びフレーバー(例えばチェリー又はオレンジフレーバー)を添加することができる。
【0086】
式Iの化合物は非経口投与することもできる。水中でこれらの活性化合物の溶液又は懸濁液を製造することができ、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と混合すると適切である。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びその油中混合物中で分散液を製造することもできる。通常の保存及び使用条件下で、これらの製剤は微生物増殖を防ぐために防腐剤を添加することができる。
【0087】
注射用に適した医薬形態としては滅菌水溶液又は分散液と、滅菌注射溶液又は分散液の即時調製用滅菌粉末が挙げられる。いずれの場合も、剤形は無菌でなければならず、注射針を容易に通過する程度まで流動性でなければならない。更に、製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌や真菌等の微生物の汚染作用から保護しなければならない。キャリヤーは例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、適切なその混合物、及び植物油を含む溶媒又は分散媒とすることができる。
【0088】
併用療法
本発明の化合物は式Iの化合物が有用である疾患又は症状の治療又は改善に同様に有用であると考えられる他の薬剤と併用することができる。このような他の薬剤はこのような薬剤に通常使用されている経路と量で式Iの化合物と同時又は順次投与することができる。式Iの化合物を1種以上の他の薬剤と同時に使用する場合には、このような他の薬剤と式Iの化合物を含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法は式Iの化合物と1種以上の他の薬剤を別個のオーバーラップするスケジュールで投与する療法も含む。1種以上の他の活性成分と併用する場合には、本発明の化合物と他の活性成分を各々単独使用する場合よりも低用量で使用できるとも考えられる。従って、本発明の医薬組成物は式Iの化合物に加えて1種以上の他の活性成分を含有するものを含む。
【0089】
例えば、式Iの化合物は(1)コレステロール生合成阻害剤(限定されないが、例えばロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ロスバスタチン、及びZD−4522等のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤);(2)コレステロール吸収阻害剤(例えばスタノールエステル、チクエシド等のステロールグリコシド、又はエゼチミブ等のアゼチジノン);(3)ACAT阻害剤(例えばアバシミブ)、(4)ナイアシン;(5)胆汁酸抑制剤;(6)ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤;(7)胆汁酸再取り込み阻害剤;(8)PPARα/γアゴニスト(例えばムラグリタザール);及び(9)CETP阻害剤(例えばトルセトラピブ)等の1種以上の他の脂質低下剤と併用投与することができる。これらの併用治療は異常脂質血症,高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、低HDL値、高LDL値、及びアテローム性動脈硬化症とその後遺症から選択される1種以上の脂質代謝障害又は症状の治療又は抑制に特に有効であるものと期待される。併用療法は一方もしくは両方の活性成分の使用量を減らしながら治療抑制を達成することができるか、及び/又はいずれかの化合物を単独で使用した場合に達成される抑制に基づいて予想されるよりも良好な脂質抑制を達成することができる。併用療法は1種以上の脂質代謝障害及び糖尿病の治療抑制を達成することができると思われる。好ましい併用剤としては、式Iの化合物の化合物とコレステロール吸収阻害剤(例えばエゼチミブ)、スタチン(例えばシンバスタチン、アトルバスタチン、又はロスバスタチン)、ACAT阻害剤、又は別のPPARαアゴニスト(例えばフェノフィブラート又は別のフィブラート)から選択される1種以上の化合物が挙げられる。特に好ましい併用剤としては、本発明の化合物とコレステロール吸収阻害剤(例えばエゼチミブ)、又は本発明の化合物とスタチン(例えばシンバスタチン)、又は本発明の化合物とスタチン及びコレステロール吸収阻害剤の両者から主に構成される併用剤が挙げられる。
【0090】
より一般には、別々又は同一医薬組成物として式Iの化合物と併用投与することができる類の治療用化合物の例としては限定されないが、以下のものが挙げられる。
(a)インスリン増感剤;
(b)抗糖尿病化合物;
(c)コレステロール低下剤;
(d)抗肥満化合物;
(e)抗炎症化合物;及び
(f)抗高血圧薬。
【0091】
式Iの化合物と併用投与することができる類の化合物の例としては、以下のものが挙げられる。
(a)グリタゾン(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン等)等のPPARγアゴニスト及び部分アゴニスト;
(b)PPARα/γデュアルアゴニスト(例えばムラグリタザール);
(c)フェノフィブリン酸誘導体(例えばゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベンザフィブラート)等の他のPPARαアゴニスト
(d)PPARδアゴニスト(例えばWO97/28149に開示されているもの);
(e)ビグアニド(例えばメトホルミンやフェンホルミン);
(f)蛋白質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(g)ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤(例えばシタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン);
(h)インスリン又はインスリンミメティクス;
(i)スルホニル尿素(例えばトルブタミドやグリピジド)、又は関連物質;
(j)αグルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース);
(k)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(l)グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤;
(m)11βHSDタイプ1酵素阻害剤;
(n)11βHSDタイプ1受容体アンタゴニスト;
(o)エキセンディン−4、エキセンディン−3、GLP−1、GLP−1ミメティクス、及びGLP−I受容体アゴニスト(例えばエキセナチドや、WO00/42026及びWO00/59887に開示されているもの);
(p)GIP、GIPミメティクス(例えばWO00/58360に開示されているもの)、及びGIP受容体アゴニスト;
(q)PACAP、PACAPミメティクス、及びPACAP受容体3アゴニスト(例えばWO01/23420に開示されているもの);
(r)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ロスバスタチン、ZD−4522、及び他のスタチン類);
(s)胆汁酸抑制剤(コレスチラミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体);
(t)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩;
(u)エゼチミブ及び他のコレステロール吸収阻害剤;
(v)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤(ACAT阻害剤)(例えばアバシミブ);
(w)フェノール性抗酸化剤(例えばプロブコール);
(x)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(y)炎症症状治療用薬剤(例えばアスピリン、非ステロイド系抗炎症薬、グルココルチコイド、アザルフィジン、及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤);
(z)抗肥満化合物(例えばフェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY阻害薬、及びβアドレナリン作用性受容体アゴニスト);
(aa)甲状腺ホルモンミメティクス;
(bb)LXRアゴニスト;
(cc)FXRアゴニスト;
(dd)PLTP阻害剤;
(ee)CETP阻害剤(例えばトルセトラピブ);
(ff)グルココルチコイド;並びに
(gg)TNF抑制剤。
【0092】
上記併用は一般に本発明の化合物と他の1種の活性化合物との併用を含む。しかし、1種以上の本発明の化合物と1種以上の他の上記活性化合物から選択される3種以上の活性成分を併用することも考えられる。非限定的な例としては式Iの1種以上の化合物と、インスリン増感剤;抗糖尿病化合物;コレステロール低下剤;抗肥満化合物;抗炎症化合物;及び抗高血圧薬から選択される2種以上の活性化合物との併用が挙げられる。
【0093】
異常脂質血症を併発する2型糖尿病患者に適切な併用の例としては式Iの1種以上の化合物と、ビグアニド、スルホニル尿素、PPARγアゴニスト、PTP−IB阻害剤、DP−IV阻害剤、インスリン、及び抗肥満化合物等の抗糖尿病化合物から選択される1種以上の化合物が挙げられる。
【0094】
生物アッセイ
A)PPAR結合アッセイ
組換えヒトPPARγ、PPARδ、及びPPARαを作製するために、ヒトPPARγ、ヒトPPARδ及びヒトPPARαをgst融合蛋白として大腸菌で発現させた。PPARγの全長ヒトcDNAをpGEX−2T発現ベクター(Pharmacia)にサブクローニングした。PPARδとPPARαの全長ヒトcDNAをpGEX−KT発現ベクター(Pharmacia)にサブクローニングした。各プラスミドを導入した大腸菌を増殖させ、誘導し、遠心により回収した。再懸濁したペレットをフレンチプレスで破砕し、破片を12,000×gで遠心により除去した。組換えヒトPPAR受容体をグルタチオンセファロースでアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。カラムにアプライし、1回洗浄した後に受容体をグルタチオンで溶出した。グリセロール(10%)を加えて受容体を安定化し、アリコートを−80℃で保存した。
【0095】
PPARγと結合させるために、Bergerら(Novel peroxisome proliferator−activated receptor(PPARγ) and PPARδligands produce distinct biological effects.J.Biol.Chem.(1999),274:6718−6725)に記載されているようにTEGM(10mM Tris,pH7.2,1mM EDTA,10%グリセロール,7μL/100mLβ−メルカプトエタノール,10mMモリブデン酸Na,1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン,2μg/mLロイペプチン,2μg/mLベンズアミジン及び0.5mM PMSF)に0.1%脱脂粉乳と10nM[]AD5075(21Ci/mmol)を加え、この中で±試験化合物下に受容体アリコートをインキュベートした。最終容量150μLとなるようにアッセイを〜16時間4℃でインキュベートした。デキストラン/ゼラチン被覆活性炭100μLと共に氷上で〜10分間インキュベートすることにより未結合リガンドを除去した。3000rpmで10分間4℃にて遠心後、上清フラクション50μLをトップカウントでカウントした。
【0096】
PPARδと結合させるために、Bergerら(Novel peroxisome proliferator−activated receptorγ(PPARγ) and PPARδligands produce distinct biological effects.1999 J Biol Chem 274:6718−6725)に記載されているようにTEGM(10mM Tris,pH7.2,1mM EDTA,10%グリセロール,7μL/100mLβ−メルカプトエタノール,10mMモリブデン酸Na,1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン,2μg/mLロイペプチン,2μg/mLベンズアミド及び0.5mM PMSF)に0.1%脱脂粉乳と2.5nM[]L−783483(17Ci/mmol)を加え、この中で±試験化合物下に受容体アリコートをインキュベートした。(L−783483はWO97/28137の実施例20に記載されている3−クロロ−4−(3−(7−プロピル−3−トリフルオロメチル−6−ベンズ−[4,5]−イソキサゾールオキシ)プロピルチオ)フェニル酢酸である)。最終容量150μLとなるようにアッセイを〜16時間4℃でインキュベートした。デキストラン/ゼラチン被覆活性炭100μLと共に氷上で〜10分間インキュベートすることにより未結合リガンドを除去した。3000rpmで10分間4℃にて遠心後、上清フラクション50μLをトップカウントでカウントした。
【0097】
PPARαと結合させるために、TEGM(10mM Tris,pH7.2,1mM EDTA,10%グリセロール,7μL/100mLβ−メルカプトエタノール,10mMモリブデン酸Na,1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン,2μg/mLロイペプチン,2μg/mLベンズアミド及び0.5mM PMSF)に0.1%脱脂粉乳と5.0nM[](3−(4−(3−フェニル−7−プロピル−6−ベンズ−[4,5]−イソキサゾールオキシ)ブチルオキシ))フェニル酢酸(34Ci/mmol)を加え、この中で±試験化合物下に受容体アリコートをインキュベートした。なお、前記化合物ははWO97/28137の実施例62のトリチウム標識体である。最終容量150μLとなるようにアッセイを〜16時間4℃でインキュベートした。デキストラン/ゼラチン被覆活性炭100μLと共に氷上で〜10分間インキュベートすることにより未結合リガンドを除去した。3000rpmで10分間4℃にて遠心後、上清フラクション50μLをトップカウントでカウントした。
【0098】
B)Gal−4hPPARトランス活性化アッセイ
夫々hPPARγ、hPPARδ、hPPARαのリガンド結合ドメイン(LBD)に隣接するように酵母GAL4転写因子DBDを挿入することによりキメラ受容体発現構築物pcDNA3−hPPARγ/GAL4、pcDNA3−hPPARδ/GAL4、pcDNA3−hPPARα/GAL4を作製した。ヘルペスウイルス最小チミジンキナーゼプロモーターとルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にGAL4応答エレメント5コピーを挿入することによりレポーター構築物pUAS(5X)−tk−lucを作製した。pCMV−lacZはサイトメガロウイルスプロモーターの制御下にガラクトシダーゼZ遺伝子を含む。活性炭に吸着させた10%ウシ胎仔血清(Gemini Bio−Products,Calabasas,CA)、非必須アミノ酸、ペニシリンG100単位/ml及び硫酸ストレプトマイシン100mg/mlを加えた高グルコースダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を96ウェル細胞培養プレートに加え、10%COの加湿雰囲気下に37℃でCOS−1細胞12×10個/ウェルを播種した。24時間後にLipofectamine(GIBCO BRL,Gaithersburg,MD)を製造業者の指示に従って使用してトランスフェクションを実施した。要約すると、Lipofectamine 0.48μl、pcDNA3−PPAR/GAL4発現ベクター0.00075μg、pUAS(5X)−tk−lucレポーターベクター0.045μg及びトランス活性化効率の内部対照としてpCMV−lacZ 0.0002μgから各ウェルのトランスフェクション混合物を構成した。細胞を10%COの雰囲気下に37℃で5時間トランスフェクション混合物中にてインキュベートした。次に活性炭に吸着させた5%ウシ胎仔血清、非必須アミノ酸、ペニシリンG100単位/ml及び硫酸ストレプトマイシン100mg/mlを加えた新鮮な高グルコースDMEM中、±漸増濃度の試験化合物下に細胞を〜48時間インキュベートした。化合物をDMSOで可溶化したので、対照細胞を等濃度のDMSOと共にインキュベートし、最終DMSO濃度はトランス活性化活性を生じないことが分かっている濃度である≦0.1%とした。レポーター溶解緩衝液(Promega,Madison,WI)を製造業者の指示に従って使用して細胞溶解液を作製した。ルシフェラーゼアッセイ緩衝液(Promega,Madison,WI)を使用してML3000ルミノメーター(Dynatech Laboratories,Chantilly,VA)で細胞抽出液中のルシフェラーゼ活性を測定した。β−D−ガラクトピラノシド(Calbiochem,San Diego,CA)を使用してβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。
【0099】
C)In Vivo試験
雄性db/dbマウス(10〜11週齢C57Bl/KFJ,Jackson Labs,Bar Harbor,ME)を5頭ずつケージに入れ、粉末Purina齧歯類飼料と水を自由に摂取させる。動物とその飼料を2日おきに計量し、ビークル(0.5%カルボキシメチルセルロース)±指定用量の試験化合物を強制給餌により毎日投与する。薬剤懸濁液を毎日調製する。試験期間中に3〜5日間隔で尾から採血し、血漿グルコース及びトリグリセリド濃度を測定する。グルコース及びトリグリセリド測定は生理食塩水で6倍(v/v)に希釈したヘパリン処理血漿を使用してBoehringer Mannheim Hitachi 911自動アナライザー(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)で実施する。痩せ型動物は同様に飼育した年齢一致ヘテロ接合マウスである。
【0100】
体重〜150gの雄性ゴールデンシリアンハムスターを使用して試験化合物の脂質調節効果を測定する。ハムスターをボックス(5頭ずつ)に入れ、普通齧歯類飼料を与え、水を自由に摂取させる。化合物を0.5%メチルセルロースに懸濁し、ハムスターに9日間強制給餌により毎日投与する(各群ハムスター10頭)。10日目の朝にハムスターを二酸化炭素で安楽死させ、心臓穿刺により血液サンプルを得る。総コレステロール及びトリグリセリド血清値を測定する。
【0101】
平均体重〜15kgの成犬雄ビーグル犬を使用して試験化合物の脂質調節効果を測定する。1頭ずつ檻に入れ、コレステロールフリー飼料を与え、水を自由に摂取させる。実験開始前に頸動脈から毎週サンプルを採取し、血清コレステロール値を測定する。血清コレステロールに及ぼす化合物の効果を試験するために、化合物を0.5%メチルセルロースに懸濁し、2週間強制給餌により毎日投与する(各群5頭)。投与期間中と投与期間後に血液サンプルを採取し、総コレステロール及びトリグリセリド血清値を測定する。
【0102】
合成方法
本発明の化合物の製造方法は一般に下記スキーム1で表される。
【0103】
【化10】

【0104】
適切に置換された式IIIの6−フルオロベンゾ[d]イソオキサゾールは1,3−ジフルオロベンゼンと置換塩化ベンゾイルのフリーデル・クラフツ反応後にイソオキサゾール環の形成により合成することができる。式IVのフェノール中間体の製造には各種方法を使用した。式Vの最終化合物の合成は非プロトン性極性溶媒(例えばN,N−ジメチルアセトアミド)中、無機塩基(例えば炭酸セシウム)の存在下で式IIIの化合物のフッ化物を式IVのフェノールで置換することにより実施した。水性塩基性条件下でエステル加水分解により式Vの所望酸形態を得ることができる。
【0105】
6−フルオロ−3−(置換フェニル)−ベンゾ[d]−イソオキサゾールの製造用一般手順1
ステップ1.1,3−ジフルオロベンゼン(3.42g,30mmol)と置換塩化ベンゾイル(10mmol)をトリフルオロメタンスルホン酸(5.0mL)に溶かした。得られた溶液を60℃に1時間加熱した後、酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(2×50mL)と飽和NaHCO水溶液で順次洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮すると、ほぼ純粋な置換2’,4’−ジフルオロベンゾフェノンが得られた。
【0106】
ステップ2.ステップ1からのベンゾフェノン生成物(10mmol)、塩酸ヒドロキシアミン(3.0g,50mmol)及び酢酸ナトリウム(4.1g,5mol)をメタノール(50mL)中で混合し、得られた懸濁液を50℃で6時間撹拌した。メタノールを除去し、残留固形分を酢酸エチルと研和した。混合物をショートパスシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。オキシムのZ/E混合物から構成される残渣を無水DMF(50mL)に溶かし、CsCO(6.5g,20mml)を溶液に加えた。80℃で14時間撹拌後に混合物を酢酸エチルで希釈し、水洗し、MgSOで乾燥した。溶媒の除去後に、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、6−フルオロ−3−(置換フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾールが総収率70〜95%で得られた(2段階)。
【0107】
中間体1
【0108】
【化11】

【0109】
標記化合物は置換塩化ベンゾイルとして塩化4−トリフルオロメチルベンゾイルを使用して一般手順1に従い、白色固体として得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.10(d,J=8.5Hz,2H),7.90(dd,J=8.5,5.0Hz,1H),7.88(d,J=8.5Hz,2H),7.40(dd,J=8.5,2Hz,1H),7.22(dt,J=8.5,2.0Hz,1H)。
MS(ESI,m/z):294(M+1)。
【0110】
中間体2
【0111】
【化12】

【0112】
標記化合物は置換塩化ベンゾイルとして塩化4−トリフルオロメトキシベンゾイルを使用して一般手順1に従い、白色固体として得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.90(d,J=8.5Hz,2H),7.85(dd,J=8.5,5.0Hz,1H),7.80(d,J=8.5Hz,2H),7.40(dd,J=8.5,2Hz,1H),7.22(dt,J=8.5,2.0Hz,1H)。
【0113】
中間体3
【0114】
【化13】

【0115】
標記化合物は置換塩化ベンゾイルとして塩化4−クロロベンゾイルを使用して一般手順1に従い、白色固体として得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.85(d,J=8.5Hz,2H),7.80(dd,J=8.5,5.0Hz,1H),7.70(d,J=8.5Hz,2H),7.35(dd,J=8.5,2Hz,1H),7.12(ddd,J=8.5,8.5,2.0Hz,1H)。
【0116】
中間体4
【0117】
【化14】

【0118】
標記化合物は置換塩化ベンゾイルとして塩化4−エチルベンゾイルを使用して一般手順1に従い、白色固体として得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.86(d,J=8.5Hz,2H),7.80(dd,J=8.5,5.0Hz,1H),7.40(d,J=8.5Hz,2H),7.25(dd,J=8.5,2Hz,1H),7.22(ddd,J=8.5,2.0Hz,1H),2.74(q,J=7.8Hz,2H),1.28(t,J=7.8Hz,3H)。
【0119】
中間体5
【0120】
【化15】

【0121】
標記化合物は置換塩化ベンゾイルとして塩化4−イソプロピルベンゾイルを使用して一般手順1に従い、白色固体として得られた。H NMR(500MHz,CDOD)δ7.87(d,J=8.5Hz,2H),7.80(dd,J=8.5,5.0Hz,1H),7.40(d,J=8.5Hz,2H),7.25(dd,J=8.5,2Hz,1H),7.22(ddd,J=8.5,2.0Hz,1H),3.0(m,1H),1.30(d,J=7.0Hz,6H)。
【0122】
中間体6
【0123】
【化16】

【0124】
標記化合物は置換塩化ベンゾイルとして塩化3−トリフルオロメチルベンゾイルを使用して一般手順1に従い、白色固体として得られた。H NMR(500MHz,CDOD)δ8.25(m,2H),8.05(dd,J=8.7,5.0Hz,1H),7.91(br d,J=8.0Hz,1H),7.83(t,J=7.8Hz,1H),7.55(dd,J=8.6,2.2Hz,1H),7.31(dt,J=8.9,2.2Hz,1H)。
MS(ESI,m/z):282.0(M+1)。
【0125】
中間体7
【0126】
【化17】

【0127】
標記化合物は置換塩化ベンゾイルとして塩化4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルを使用して一般手順1に従い、白色固体として得られた。
【0128】
置換フェノール中間体の製造用一般手順2
ステップ1.DMF(100mL)中の3−ベンジルオキシフェノール(4.0g,20mmol)と2−ブロモアルカン酸塩(40mmol)とCsCO(14.3g,40mmol)を60℃で2〜8時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水洗した。有機相をMgSOで乾燥し、濃縮した。9:1(v/v)ヘキサン/酢酸エチルを溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、2−(ベンジルオキシフェノキシ)アルカン酸塩が得られた。
【0129】
ステップ2.ステップ1からの生成物を酢酸エチルに溶かし、溶液を水素(1気圧)下に10%Pd−Cの存在下で3時間撹拌した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、濃縮すると、標記化合物が無色油状物として得られた。
【0130】
中間体8
【0131】
【化18】

【0132】
標記化合物は2−ブロモアルカン酸塩として2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチルを使用して一般手順2に従い、油状物として得られた。H NMR(500MHz,CDCl)δ7.14(t,J=8.0Hz,1H),6.50(m,[0213] IH),6.41(m,1H),6.39(t,J=2.0Hz,1H),3.80(s,3H),1.62(s,6H)。
【0133】
中間体9
【0134】
【化19】

【0135】
標記化合物は2−ブロモアルカン酸塩として2−ブロモプロピオン酸メチルを使用して一般手順2に従い、油状物として得られた。H NMR(500MHz,CDCl)δ7.14(t,J=9.0Hz,1H),6.47(dd,J=15Hz,2.5Hz,1H),6.47(s,1H),6.42(t,J=2.5Hz,1H),4.77(q,J=6.5Hz,1H),3.79(s,3H),1.63(d,J=6.5Hz,3H)。
【0136】
中間体10
【0137】
【化20】

【0138】
標記化合物は2−ブロモアルカン酸塩として2−ブロモ−2−ブタン酸メチルを使用して一般手順2に従い、油状物として得られた。H NMR(500MHz,CDCl)δ7.14(t,J=8.0Hz,1H),6.48(m,2H),6.43(t,J=2.5Hz,1H),4.48(t,J=6.5Hz,1H),3.78(s,3H),2.0(m,2H),1.09(t,J=6.5Hz,3H)。
【0139】
中間体11
【0140】
【化21】

【0141】
標記化合物は2−ブロモアルカン酸塩として2−ブロモ−3−メチルブタン酸メチルを使用して一般手順2に従い、油状物として得られた。
【0142】
中間体12
【0143】
【化22】

【0144】
標記化合物は2−ブロモアルカン酸塩として2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチルを使用し、3−ベンジルオキシフェノールの代わりに4−ベンジルオキシフェノールを使用して一般手順2に従い、油状物として得られた。H NMR(500MHz,CDCl)δ7.02(d,J=7.0,2H),6.69(d,J=7.0,2H),3.80(s,3H),1.59(s,6H)。
【0145】
中間体13
【0146】
【化23】

【0147】
中間体13は下記ステップに従って製造した。
【0148】
ステップ1.(E)−2−エチル−3−(2−フルオロフェニル)プロペン酸エチル
【0149】
【化24】

【0150】
2−フルオロベンズアルデヒド(6.2g,50mmol)と2−(トリフェニルホスホロアニリデン)ブタン酸エチル(18.8g,50mmol)のTHF(200mL)溶液を2時間還流した。反応混合物を濃縮し、残渣を1:1ヘキサン:酢酸エチルと研和した。残渣をシリカゲルで濾別し、濾液を濃縮した。8:2ヘキサン:酢酸エチルを溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、(E)−2−エチル−3−(2−フルオロフェニル)プロペン酸エチルが得られた。
【0151】
ステップ2.(2S,3S)−2−エチル−3−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロパン酸エチル
【0152】
【化25】

【0153】
ステップ1からの生成物(4.4g,20mmol)、AD−ミックス−β(28.0g)及びメチルスルホンアミド(1.9g,2.0mmol)を1:1 t−BuOH:HO(200mL)中で混合した。得られた混合物を4℃で2日間撹拌し、NaSO水溶液(2N,20mL)を加えることによりクエンチした。混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、ブライン(2×100mL)で洗浄し、乾燥した。溶媒を除去すると(2S,3S)−2−エチル−3−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロパン酸エチルが得られ、ヘプタン中30%イソプロパノールを移動相として使用してChiracel ODカラムでHPLCにより測定した場合に97%eeであった。
【0154】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.57(dt,J=8.0,2.0Hz,1H),7.31(m,1H),7.19(m,1H),7.05(m,1H),5.30(s,1H),4.38(m,2H),1.84(m,1H),1.38(t,J=7.5Hz,3H),1.25(m,1H),0.79(t,J=7.5Hz,3H)。
【0155】
ステップ3.(2S)−2−エチル−2−ヒドロキシ−3−(2−フルオロフェニル)プロパン酸
【0156】
【化26】

【0157】
ステップ2からの生成物(5.2g,20mmol)、10%炭素担持パラジウム(2.5g)及び濃硫酸(0.53mL,10mmol)を酢酸(100mL)中で混合した。反応混合物を45psiて48時間水素化した。酢酸ナトリウム(1.7g,20mmol)を加え、反応混合物10分間撹拌した後にシリカゲルで濾過した。濾液を濃縮すると、ほぼ純粋な(2S)−2−エチル−2−ヒドロキシ−3−(2−フルオロフェニル)プロパン酸エチルが得られた。エチルエステルをメタノール(150mL)中、KOH(2N,25mL)で加水分解すると、標記化合物が白色固体として得られた。
【0158】
H NMR(600MHz,CDCl)δ7.22−7.30(m,2H),7.08(t,J=7.8Hz,1H),7.03(dd,J=7.8,9.0Hz,1H),3.17(d,J=14.0Hz,1H),3.08(d,J=14Hz,1H),2.03(dq,J=13.8,7.8Hz,1H),1.76(dq,J=13.8,7.8Hz,1H),0.97(t,J=7.8Hz,3H)。
【0159】
ステップ4.(2S)−2−エチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル
【0160】
【化27】

【0161】
ステップ3からの生成物(4.0g,20mmol)の1:4 DMF/トルエン(100mL)溶液に鉱油中60% NaH(1.76g,44mmol)を3回に分けて加えた。反応混合物を110℃でN下に4時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、冷水(100mL)に注入した。水層をヘキサン(50mL)で洗浄し、2N HCl水溶液で酸性化し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。抽出液をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し、濃縮した。残渣を7:1ベンゼン/MeOH(80mL)に溶かし、ガス発生が停止するまでTMSCHN(ヘキサン中1M)で処理した。反応混合物を濃縮し、85:15ヘキサン:酢酸エチルを溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにかけると、標記化合物が得られた。
【0162】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.16(m,2H),6.90(m,2H),3.80(s,3H),3.60(d,J=16Hz,1H),3.23(d,J=16Hz,1H),2.12(m,1H),2.02(m,1H),1.02(t,J=7.5Hz,3H)。
【0163】
ステップ5.(2S)−5−アセチル−2−エチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル
【0164】
【化28】

【0165】
ステップ4からの生成物(3.1g,15mmol)をジクロロメタン(100mL)中で塩化アセチル(3.5g,45mmol)及び塩化アルミニウム(6.0g,45mmol)と混合した。反応混合物を25℃で1時間撹拌した後、1N HCl水溶液(100mL)に注入した。有機層を分離し、水相をジクロロメタン(50mL)で抽出した。抽出液を合わせてブラインで洗浄し、濃縮すると、標記化合物が得られ、次段階で直接使用した。
【0166】
ステップ6.ジクロロメタン(150mL)中のステップ5からの生成物(3.8g,約15mmol)、m−クロロ過安息香酸(70%,7.7g,30mmol)及びNaHCO(3.8g,45mmol)を還流下に2時間撹拌した。反応混合物を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(100mL)とNaHCO水溶液(2×100mL)で順次洗浄した。溶媒の除去後、残渣をメタノール(100mL)に溶かし、KOH水溶液(5N,3mL)で0℃にて5分間処理した。反応混合物を酢酸で中和し、濾過し、濃縮した。8:2ヘキサン:酢酸エチルを溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、中間体13が白色固体として得られた。
【0167】
H NMR(500MHz,CDCl)δ6.72(d,J=8.5Hz,1H),6.67(d,J=3Hz,1H),6.61(dd,J=8.5,3.0,1H),3.80(s,3H),3.54(d,J=14.0Hz,1H),3.16(d,J=14.0Hz,1H),2.05(m,2H),1.0(t,J=7.5Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):223(M+1)。
【0168】
中間体14
【0169】
【化29】

【0170】
中間体14は下記ステップに従って製造した。
【0171】
ステップ1.(2S)−2−イソプロピル−2−ヒドロキシ−3−(2−フルオロフェニル)プロパン酸
【0172】
【化30】

【0173】
対応する臭化o−フルオロベンジル(9.45g,50.0mmol)とマグネシウム屑(1.32g,55.0mmol)から製造した臭化(o−フルオロベンジル)マグネシウムのジエチルエーテル(100mL)溶液を−78℃に冷却した3−メチル−2−オキソブタン酸エチル(7.2g,50mmol)のジエチルエーテル(50mL)溶液に加えた。−78℃で30分後に反応混合物を0℃まで昇温させ、飽和NHCl水溶液に注入した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。残渣をメタノール(200mL)に溶かし、2N KOH(75mL)と2時間50℃で共存させた。反応混合物を水で希釈し、ヘキサンで洗浄した。水層を2N HClで酸性化し、塩化ナトリウムで飽和し、酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去すると、標記化合物が得られた。
【0174】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.30−7.35(m,1H),7.18−7.23(m,1H),7.06(t,,J=7.8Hz,1H),7.00(dd,J=7.8,9.0Hz,1H),3.17(d,J=14.0Hz,1H),3.05(d,J=14.0Hz,1H),2.18(m,1H),1.1(t,J=7.5Hz,3H),0.90(t,J=7.5Hz,3H)。
【0175】
ステップ2.ステップ1からの生成物を中間体14のラセミ化合物に変換した後に、中間体13の製造についてステップ4、5及び6に記載したと同一手順を実施した。10:90イソプロパノール/ヘプタンを溶離液としてラセミ化合物を分取Chiracel ODカラムで分離した。後期フラクションを集め、濃縮すると、中間体14が油状物として得られた。
【0176】
H NMR(500MHz,CDCl)δ6.72(d,J=8.5Hz,1H),6.67(d,J=3.0Hz,1H),6.61(dd,J=8.5,3.0,1H),3.80(s,3H),3.53(d,J=16.0Hz,1H),3.10(d,J=16.0Hz,1H),1.61(s,3H)。
【0177】
中間体15
【0178】
【化31】

【0179】
中間体15は下記ステップに従って製造した。
【0180】
ステップ1.4−メトキシ−2−(メトキシエトキシ)メトキシ−ベンズアルデヒド
【0181】
【化32】

【0182】
ジクロロメタン(200mL)中の4−メトキシ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(6.5g,40mmol)、MEM−塩化物(10.0g,80mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(21mL,120mmol)の混合物を25℃で14時間撹拌した。反応混合物を小容量になるまで濃縮し、ジエチルエーテル(200mL)で希釈し、ショートパスシリカゲルで濾過した。濾液を濃縮すると、次段階で使用するのに十分な純度の粗4−メトキシ−2−(メトキシエトキシ)メトキシ−ベンズアルデヒドが得られた。
【0183】
ステップ2.4−メトキシ−2−(メトキシエトキシ)メトキシフェノール
【0184】
【化33】

【0185】
ステップ1からのアルデヒド(9.5g,40mmol)をジクロロメタン(400mL)に溶かした後にm−クロロ過安息香酸(70%,約80mmol)と固体重炭酸ナトリウム(10.1g,120mmol)を加えた。25℃で2時間激しく撹拌した後に反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(400mL)に注入し、1時間撹拌した。有機層を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を合わせて飽和亜硫酸水素ナトリウム及び重炭酸ナトリウム溶液で順次洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物7.1g(78%収率)が得られた。
【0186】
H NMR(500MHz,CDCl)δ6.88(d,J=8.5Hz,1H),6.83(d,J=2.5Hz,1H),6.60(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),5.0(s,2H),3.88(m,2H),3.61(m,2H),3.80(s,3H),3.42(s,3H)。
【0187】
ステップ3.2−メチル−7−メトキシベンゾ[1,4]ジオキシン−2−オール
【0188】
【化34】

【0189】
DMF(100mL)中のステップ2からの生成物(2.28g,10mmol)、クロロアセトン(4.6g,40mmol)及びCsCOを25℃で16時間激しく撹拌した。混合物を水(200mL)に注入し、酢酸エチル(3×80mL)で抽出した。抽出液を合わせて水洗(2×100mL)した後に濃縮した。残渣をTHF(100mL)に取り、45℃にて5N HCl(20mL)で1時間処理した。反応混合物をブライン(100mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。8:2酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物1.3gが得られた。
【0190】
ステップ4.2−メトキシ−2−メチル−7−メトキシベンゾ[1,4]ジオキシン
【0191】
【化35】

【0192】
塩化水素約1%を添加した無水メタノール(50mL)にステップ3からの生成物を溶かした。25℃に6時間維持した後に溶液をトリエチルアミンでクエンチし、濃縮した。残渣をジエチルエーテルで希釈し、ショートパスシリカゲルで濾過した。溶媒を蒸発させると、標記化合物1.3gが得られた。
【0193】
H NMR(500MHz,CDCl)δ6.81(d,J=8.5Hz,1H),6.59(d,J=2.5Hz,1H),6.36(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),4.19(d,J=11.0Hz,1H),3.81(d,J=11.0Hz,1H),3.80(s,3H),3.35(s,3H),1.60(s,3H)。
【0194】
ステップ5.2−シアノ−2−メチル−7−メトキシベンゾ[1,4]ベンゾジオキン
【0195】
【化36】

【0196】
ステップ4からの生成物(1.0g,4.8mmol)、シアン化トリメチルシリル(2.5mL,9.6mmol)のジクロロメタン(25mL)溶液を氷浴で冷却し、トリフルオロボロンエーテル溶液(mL,9.6mmol)を加えた。反応混合物を0℃に1時間維持し、30分間かけて25℃まで昇温させた。メタノール(2.0mL)を加えた後、水(50mL)を加えた。相分離と抽出後に粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物0.73g(74.8%収率)が得られた。
【0197】
H NMR(500MHz,CDCl)δ6.91(d,J=8.5Hz,1H),6.56(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),6.51(d,J=2.5Hz,1H),4.4(d,J=11.0Hz,1H),3.9(d,J=11.0Hz,1H),3.79(s,3H),1.80(s,3H)。
【0198】
ステップ6.(±)−2−メチル−7−ヒドロキシベンゾ[1,4]ジオキシン−2−カルボン酸メチル
【0199】
【化37】

【0200】
ステップ5からの生成物(0.6g,2.9mmol)を還流下にエタノール中2N KOHで4時間処理した。エタノールを除去し、残渣を2N HClで酸性化すると、粗酸が得られ、ジクロロメタン(mL)に溶かし、三臭化ホウ素(ヘキサン中1M,mL,mmol)で0℃にて1時間処理した。反応混合物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を合わせてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を除去すると残渣が得られ、7:1ベンゼン/メタノールに取り、過剰のトリメチルシリルジアゾメタン(ヘキサン中1m)で処理した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物0.48(75%収率)が油状物として得られた。
【0201】
ステップ7.10:90イソプロパノール/ヘプタンを溶離液としてステップ6からのラセミ生成物を分取Chiracel ODカラムで分離した。後期フラクションを集め、濃縮すると、中間体15が白色固体として得られた。
【0202】
H NMR(500MHz,CDCl)δ6.74(d,J=8.5Hz,1H),6.53(d,J=2.5Hz,1H),6.36(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),5.08(br.s,1H),4.50(d,J=11.0Hz,1H),3.90(d,J=11.0Hz,1H),3.80(s,3H),3.42(s,3H),1.60(s,3H)。
【0203】
中間体16
【0204】
【化38】

【0205】
中間体16はステップ3でクロロアセトンの代わりに1−ブロモ−2−ブタノンを使用し、中間体15について記載したと同一の合成経路に従って製造した。
【0206】
H NMR(500MHz,CDCl)δ6.74(d,J=8.5Hz,1H),6.54(d,J=2.5Hz,1H),6.36(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),5.08(br.s,1H),4.51(d,J=11.0Hz,1H),3.90(d,J=11.0Hz,1H),3.80(s,3H),3.42(s,3H),2.09(m,1H),1.79(m,1H),1.00(t,J=7.5Hz,3H)。
【0207】
ベンゾ[d]イソオキサゾール系カルボン酸誘導体の製造用一般手順3
ステップ1.フェノール中間体と6−フルオロ−3−(置換フェニル)ベンゾ[d]イソオキサゾールのカップリング。ジメチルアセトアミド(10mL)中のフェノール(0.42g,2.0mmol)と6−フルオロ−3−(置換フェニル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(0.28g,1.0mmol)とCsCO(0.65g,2.0mmol)の混合物を100℃で6〜16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N HClと水で洗浄した。溶媒を除去後、粗カップリング生成物と対応する酸から構成される残渣をベンゼン/メタノール(7:1,v/v,mL)に溶かし、ガス発生が停止するまで(トリメチルシリル)ジアゾメタン(ヘキサン中2M)で処理した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにかけると、カップリング生成物が得られた。
【0208】
ステップ2.カップリング生成物の加水分解。ステップ1からの生成物をメタノール(10mL)に溶かし、2N NaOH(2mL,4.0mmol)で25〜50℃にて2〜6時間処理した。反応混合物を2N HClでpH2〜3まで酸性化し、濃縮した。0.1% TFAを添加した10−100%グラジエントCHCN−HOを溶離液として使用して100×20mm YMC C−18カラムで分取HPLCにより残渣を精製すると、最終カルボン酸が得られた。
【実施例1】
【0209】
2−メチル−2−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸
【0210】
【化39】

【0211】
標記化合物はカップリング反応に中間体8と中間体1を使用して一般手順3に従って製造した。
【0212】
H NMR(500MHz,CDOD)δ8.20(d,J=8.0Hz,2H),8.03(d,J=9.0Hz,1H),7.92(d,J=8.0Hz,2H),7.32(t,J=8.0Hz,1H),7.19(m,2H),6.77(dd,J=14.0Hz,2.5Hz,1H),6.77(t,J=3.0Hz,1H),6.66(t,J=3.0Hz,1H),1.58(s,6H)。
MS(ESI,m/z):458.0(M+1)。
【実施例2】
【0213】
2−メチル−2−{4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸
【0214】
【化40】

【0215】
標記化合物はカップリング反応に中間体12と中間体1を使用して一般手順3に従って製造した。
【0216】
H NMR(500MHz,CDCl)δ8.16(d,J=7.0Hz,2H),7.97(d,J=7.0Hz,1H),7.89(d,J=7.0Hz,2H),7.13(dd,J=7.0,1.5Hz,1H),7.07(d,J=1.5Hz,1H),7.04(d,J=7.0,2H),6.99(d,J=7.0,2H),1.59(s,6H)。
MS(ESI,m/z):458.4(M+1)。
【実施例3】
【0217】
2−メチル−2−{3−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸
【0218】
【化41】

【0219】
標記化合物はカップリング反応に中間体8と中間体2を使用して一般手順3に従って製造した。
【0220】
H NMR(500MHz,CDOD)δ8.11(d,J=8.5Hz,2H),7.97(d,J=9.5Hz,1H),7.52(d,J=8.0Hz,2H),7.26(t,J=8.5Hz,1H),7.15(m,2H),6.80(dd,J=8.0Hz,2.5Hz,1H),6.71(t,J=3.0Hz,1H),6.64(dd,J=8.0Hz,2.5Hz,1H),1.54(s,6H)。
MS(ESI,m/z):474.3(M+1)。
【実施例4】
【0221】
2−メチル−2−{3−[3−(4−クロロ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸
【0222】
【化42】

【0223】
標記化合物はカップリング反応に中間体8と中間体3を使用して一般手順3に従って製造した。
【0224】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.95(d,J=8.5Hz,2H),7.60(m,3H),7.30(t,J=7.8Hz,1H),7.14(d,J:1.8Hz,1H),7.12(dd,J=9.0,1.8Hz,1H),6.74(m,2H),6.63(t,J=2.0,1H),1.57(s,6H)。
MS(ESI,m/z):424.3(M+1)。
【実施例5】
【0225】
2−メチル−2−{3−[3−(4−イソプロピル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸
【0226】
【化43】

【0227】
標記化合物はカップリング反応に中間体8と中間体5を使用して一般手順3に従って製造した。
【0228】
H NMR(500MHz,CDOD)δ7.95(d,J=8.7Hz,1H),7.87(d,J=8.1Hz,2H),7.45(d,J=8.1Hz,2H),7.29(t,J=8.2Hz,1H),7.12(m,2H),6.74(m,2H),6.63(t,J=2.3Hz,1H),3.52(d,J=16.9Hz,1H),3.00(m,1H),1.58(s,6H),1.30(d,J=7.0Hz,6H)。
MS(ESI,m/z):432.4(M+1)。
【実施例6】
【0229】
2−メチル−2−{3−[3−(4−エチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸
【0230】
【化44】

【0231】
標記化合物はカップリング反応に中間体8と中間体4を使用して一般手順3に従って製造した。
【0232】
H NMR(600MHz,CDOD)δ7.96(d,J=8.4Hz,1H),7.86(d,J=8.4Hz,2H),7.42(d,J=7.8Hz,2H),7.30(t,J=8.4Hz,1H),7.13(d,J=1.8Hz,1H),7.11(dd,J=8.4Hz,1.8Hz,1H),6.74(m,2H),6.63(t,J=2.4Hz,1H),2.74(q,J=7.8Hz,2H),1.57(s,6H),1.28(t,J=7.8Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):418.3(M+1)。
【実施例7】
【0233】
2−メチル−2−{3−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸
【0234】
【化45】

【0235】
標記化合物はカップリング反応に中間体8と中間体6を使用して一般手順3に従って製造した。
【0236】
H NMR(500MHz,CDOD)δ8.24(m,2H),7.97(d,J=9.4Hz,1H),7.89(br d,J=7.8Hz,1H),7.82(t,J=7.8Hz,1H),7.32(t,J=8.2Hz,1H),7.17(m,2H),6.76(m,2H),6.66(br m,1H),1.58(s,6H)。
MS(ESI,m/z):458.0(M+1)。
【実施例8】
【0237】
2−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸
【0238】
【化46】

【0239】
標記化合物はカップリング反応に中間体9と中間体1を使用して一般手順3に従って製造した。
【0240】
H NMR(500MHz,CDOD)δ8.19(d,J=8.3Hz,2H),8.02(d,J=8.4Hz,1H),7.91(d,J=8.2Hz,2H),7.34(t,J=8.2Hz,1H),7.19(m,2H),6.79(dd,J=8.2,2.1Hz,1H),6.73(dd,J=8.2,2.1Hz,1H),6.73(dd,J=8.2,2.1Hz,1H),6.68(m,1H),4.81(m,1H),1.59(d,J=6.7Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):444.3(M+1)。
【実施例9】
【0241】
2−{3−[3−(4−クロロ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−ブタン酸
【0242】
【化47】

【0243】
標記化合物はカップリング反応に中間体10と中間体3を使用して一般手順3に従って製造した。
【0244】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.91(d,J=8.5Hz,2H),7.82(d,J=8.5Hz,1H),7.57(d,J=9.0Hz,2H),7.34(t,J=8.0Hz,1H),7.17(d,J=1.5Hz,1H),7.14(dd,J=8.0Hz,1.5Hz,1H),6.77(m,2H),6.71(t,J=2.0Hz,1H),4.66(t,J=6.0Hz,1H),2.07(m,2H),1.13(t,J=7.5Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):424.3(M+1)。
【実施例10】
【0245】
2−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−ブタン酸
【0246】
【化48】

【0247】
標記化合物はカップリング反応に中間体10と中間体1を使用して一般手順3に従って製造した。
【0248】
H NMR(500MHz,CDOD)δ8.19(d,J=8.0Hz,2H),8.02(d,J=8.6Hz,1H),7.91(d,J=8.2Hz,2H),7.35(t,J=8.2Hz,1H),7.19(m,2H),6.79(dd,J=8.2,2.2Hz,1H),6.73(dd,J=8.2,1.9Hz,1H),6.73(dd,J=8.2,1.9Hz,1H),6.68(t,J=2.3Hz,1H),4.66(m,1H),1.98(m,2H),1.08(t,J=7.3Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):458.4(M+1)。
【実施例11】
【0249】
3−メチル−2−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−ブタン酸
【0250】
【化49】

【0251】
標記化合物はカップリング反応に中間体11と中間体1を使用して一般手順3に従って製造した。
【0252】
H NMR(500MHz,CDOD)δ8.20(d,J=8.2Hz,2H),8.03(d,J=8.7Hz,1H),7.92(d,J=8.2Hz,2H),7.35(t,J=8.2Hz,1H),7.19(m,2H),6.80(dd,J=8.3,2.2Hz,1H),6.73(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),6.68(t,J=2.3Hz,1H),4.47(d,J=4.8Hz,1H),2.28(m,1H),1.09(d,J=6.9Hz,6H)。
MS(ESI,m/z):472.4(M+1)。
【実施例12】
【0253】
2−{2−フルオロ−3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−ブタン酸
【0254】
【化50】

【0255】
実施例10の標記化合物(92mg,0.2mmol)とSELECTFLUOR(登録商標)(Aldrich,70mg,0.2mmol)のアセトニトリル(2.0mL)溶液を60℃に16時間加熱した。0.1% TFAを添加したCHCN−HO溶媒系を溶離液として使用して100×20mm YMC C−18カラムで分取HPLCにより反応混合物をを直接精製すると、標記化合物が得られた。
【0256】
H NMR(500MHz,CDOD)δ8.17(d,J=8.1Hz,2H),8.00(d,J=9.3Hz,1H),7.89(d,J=8.1Hz,2H),7.17(m,3H),6.77(m,1H),6.70(m,1H),4.63(m,1H),1.99(m,2H),1.08(t,J=7.4Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):476.3(M+1)。
【実施例13】
【0257】
2−{3−[3−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸
【0258】
【化51】

【0259】
標記化合物はカップリング反応に中間体8と中間体7を使用して一般手順3に従って製造した。
【0260】
H NMR(500MHz,CDCl)δ8.14(d,J=9.0Hz,2H),7.84(d,J=9.5Hz,1H),7.77(d,J=8.5Hz,2H),7.34(t,J=8.5Hz,1H),7.17(m,2H),6.84(m,2H),6.74(t,J=2.5Hz,1H),3.63(q,J=7.0Hz,2H),1.67(s,6H),1.28(t,J=7.0Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):461.1(M+1)。
【実施例14】
【0261】
(2S)−2−エチル−5−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸
【0262】
【化52】

【0263】
標記化合物はカップリング反応に中間体13と中間体1を使用して一般手順3に従って製造した。
【0264】
H NMR(600MHz,CDOD)δ8.16(d,J=7.8Hz,2H),7.96(dd,J=9.0Hz,3.0Hz,1H),7.89(d,J=7.8Hz,2H),7.13(d,J=9.0Hz,1H),7.05(s,1H),7.00(s,1H),6.92(d,J=9.0Hz,1H),6.86(d,J=9.0Hz,1H),3.56(d,J=16.8Hz,1H),3.26(d,J=16.2Hz,1H),2.09(m,1H),2.00(m,1H),1.03(t,J=7.2Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):470.3(M+1)。
【実施例15】
【0265】
(2R)−2−イソプロピル−5−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸
【0266】
【化53】

【0267】
標記化合物はカップリング反応に中間体14と中間体1を使用して一般手順3に従って製造した。
【0268】
H NMR(500MHz,CDCl)δ8.16(d,J=7.0Hz,2H),7.96(d,J=7.5Hz,1H),7.88(d,J=7.0Hz,2H),7.13(dd,J=7.5,1.5Hz,1H),7.04(d,J=1.5Hz,1H),6.98(d,J=1.0Hz,1H),6.89(dd,J=7.0,1.0Hz,1H),6.85(d,J=7.0Hz,1H),3.53(d,J=11.4Hz,1H),3.35(d,J=11.4Hz,1H),2.32(m,1H),1.06(d,J=6.6Hz,3H),0.99(d,J=6.6Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):484.5(M+1)。
【実施例16】
【0269】
(2R)−2−イソプロピル−5−[3−(4−イソプロピル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸
【0270】
【化54】

【0271】
標記化合物はカップリング反応に中間体14と中間体5を使用して一般手順3に従って製造した。
【0272】
H NMR(500MHz,CDOD)δ7.90(d,J=8.8Hz,1H),7.85(d,J=8.1Hz,2H),7.44(d,J=6.2Hz,2H),7.08(dd,J=8.8,2.1Hz,1H),7.00(d,J=1.9Hz,1H),6.98(d,J=2.3Hz,1H),6.89(m,1H),6.85(m,1H),3.52(d,J=16.9Hz,1H),3.36(d,J=16.9Hz,1H),2.99(m,1H),2.32(m,1H),1.29(d,J=7.0Hz,6H),1.05(d,J=6.8Hz,3H)0.99(d,J=6.8Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):458.4(M+1)。
【実施例17】
【0273】
(2R)−2−イソプロピル−5−[3−(4−クロロ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸
【0274】
【化55】

【0275】
標記化合物はカップリング反応に中間体14と中間体3を使用して一般手順3に従って製造した。
【0276】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.95(d,J=7.0Hz,2H),7.92(d,J=7.5Hz,1H),7.59(d,J=7.0Hz,2H),7.10(dd,J=7.5,1.5Hz,1H),7.02(d,J=1.5Hz,1H),6.98(d,J=1.0Hz,1H),6.90(dd,J=7.5,1.5Hz,1H),6.85(d,J=7.5Hz,1H),3.53(d,J=11.4Hz,1H),3.36(d,J=11.4Hz,1H),2.32(m,1H),1.06(d,J=6.6Hz,3H),0.99(d,J=6.6Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):450.3(M+1)。
【実施例18】
【0277】
(2R)−2−イソプロピル−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−カルボン酸
【0278】
【化56】

【0279】
標記化合物はカップリング反応に中間体14と中間体2を使用して一般手順3に従って製造した。
【0280】
H NMR(500MHz,CDCl)δ8.06(d,J=7.0Hz,2H),7.95(d,J=7.5Hz,1H),7.46(d,J=7.0Hz,2H),7.13(dd,J=7.5,1.5Hz,1H),7.04(d,J=1.5Hz,1H),6.98(d,J=1.0Hz,1H),6.89(dd,J=7.0,1.0Hz,1H),6.85(d,J=7.0Hz,1H),3.53(d,J=11.4Hz,1H),3.35(d,J=11.4Hz,1H),2.32(m,1H),1.06(d,J=6.6Hz,3H),0.99(d,J=6.6Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):500.5(M+1)。
【実施例19】
【0281】
(2R)−2−メチル−7−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−カルボン酸
【0282】
【化57】

【0283】
標記化合物はカップリング反応に中間体15と中間体1を使用して一般手順3に従って製造した。
【0284】
H NMR(500MHz,CDCl)δ8.17(d,J=7.0Hz,2H),7.98(d,J=7.5Hz,1H),7.89(d,J=7.0Hz,2H),7.15(dd,J=7.5,1.5Hz,1H),7.11(d,J=1.5Hz,1H),6.91(d,J=7.0Hz,1H),6.73(d,J=2.0Hz,1H),6.63(dd,J=7.0,2.0Hz,1H),4.57(d,J=11.4Hz,1H),3.92(d,J=11.4Hz,1H),1.55(s,3H)。
MS(ESI,m/z):472.0(M+1)。
【実施例20】
【0285】
(2R)−2−エチル−7−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−カルボン酸
【0286】
【化58】

【0287】
標記化合物はカップリング反応に中間体16と中間体1を使用して一般手順3に従って製造した。
【0288】
H NMR(600MHz,CDOD)δ8.19(d,J=8.0Hz,2H),8.00(d,J=9.0Hz,1H),7.91(d,J=8.0Hz,2H),7.18(dd,J=9.0Hz,2.0Hz,1H),7.14(d,J=2Hz,1H),6.92(d,J=9.0Hz,1H),6.77(d,J=3.0Hz,1H),6.64(dd,J=9.0Hz,3.0Hz,1H),4.56(d,J=11.5Hz,1H),3.97(d,J=11.0Hz,1H),1.99(m,1H),1.87(m,1H),1.07(t,J=7.5Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):486.0(M+1)。
【実施例21】
【0289】
(2R)−2−エチル−7−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ベンゾ[d]イソオキサゾール−6−イルオキシ]−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−カルボン酸
【0290】
【化59】

【0291】
標記化合物はカップリング反応に中間体16と中間体2を使用して一般手順3に従って製造した。
【0292】
H NMR(500MHz,CDOD)δ8.08(m,2H),7.95(d,J=8.7Hz,1H),7.49(d,J=8.3Hz,2H),7.14(m,1H),7.10(d,J=2.0Hz,1H),6.88(d,J=8.6Hz,1H),6.75(d,J=2.5Hz,1H),6.59(dd,J=8.6,2.6Hz,1H),4.52(d,J=11.1Hz,1H),3.95(d,J=11.1Hz,1H),1.96(m,1H),1.83(m,1H),1.04(t,J=7.2Hz,3H)。
MS(ESI,m/z):502.2(M+1)。
【実施例22】
【0293】
活性医薬成分(API)として式Iの化合物50mg用量を提供する直接打錠法用錠剤処方を以下のように調製する。錠剤は化合物50mg、微結晶セルロース65mg、マンニトール65mg(又はリン酸2カルシウム65mg)、クロスカルメロースナトリウム4mg、ステアリン酸マグネシウム4mg及びOpadry White(Colorcon,West Point,PAの登録商標コーティング剤)8mgを含有する。API、微結晶セルロース、マンニトール(又はリン酸2カルシウム)、及びクロスカルメロースナトリウムをまずブレンドし、次に滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを混合物に加え、打錠する。次に、錠剤にOpadry Whiteをフィルムコーティングする。
【0294】
上記実施例は本発明をより十分に認識及び理解することを目的とする。上記実施例は本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明の範囲は特許請求の範囲により限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iを有する化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【化1】

[式中、X及びYは独立してO及びSから選択され;
AはH、場合により1〜5個のハロゲンで置換された−C−Cアルキル、−CR−、及び−CRO−から構成される群から選択され、ここでAが−CR−又は−CRO−であるとき、式IのAとフェニル環の間の破線は単結合を表し、及びAが−CRO−であるとき、−CRO−のOはフェニル環と結合しており、及びAがH又は−C−Cアルキルであるとき、破線は結合を表さず;
RはH及び場合により1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルキルから構成される群から選択され;
はH、ハロゲン、及び場合により1〜5個のハロゲンで置換されたC−Cアルキルから構成される群から選択され;
及びRは独立してハロゲン、C−Cアルケニル、及びC−Cアルキルから構成される群から選択され、ここでC−Cアルキル及びC−Cアルケニルは場合により1〜5個のハロゲンで置換されており;
及びRは独立してH、ハロゲン及びC−Cアルキルから構成される群から選択され、ここでC−Cアルキルは場合により1〜5個のハロゲンで置換されており;
mは0、1、又は2であり;
nは0、1、又は2であり;
Arは場合によりハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、及び−NRから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルであり、ここで−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは場合により1〜5個のハロゲンで置換されており;及び
及びRは各々独立してH及びC−Cアルキルから選択される]
【請求項2】
X及びYがOであり、ならびに相互にメタ位又はパラ位にあり;
が−CH、−C、n−C、及び−CH(CHから選択され;
及びRが独立してハロゲン、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルから選択され、ここで−C−Cアルキル及び−C−Cアルケニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換されており;
m及びnが各々独立して0又は1であり;
AがH、−CH、−CH−及び−CHO−から構成される群から選択され、ここでAがH又は−CHであるとき、破線は結合を表さず;及びAが−CH−又は−CHO−であるとき、式IのAとフェニル環の間の破線は単結合を表し、及び−CHO−のOはフェニル環と結合しており;
Arが場合により−CF、−OCF、C−Cアルキル、ハロゲン及び−NRから独立して選択される1〜2個の基で置換されたフェニルであり;
及びRが独立してH及びC−Cアルキルから選択される
請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項3】
請求項1に記載の式Ia:
【化2】

を有する化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項4】
が−CH、−C、n−C、及び−CH(CHから構成される群から選択され;
及びRが独立してハロゲン、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルから構成される群から選択され、ここで−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換されており;
m及びnが各々独立して0又は1であり;
Arが場合により−CF、−OCF、−C−Cアルキル、ハロゲン及びNRから独立して選択される1〜2個の基で置換されたフェニルであり;及び
及びRが独立してH及び−C−Cアルキルから構成される群から選択される
請求項3に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項5】
請求項1に記載の式Ib:
【化3】

を有する化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項6】
が−CH、−C、n−C及び−CH(CHから構成される群から選択され;
及びRが各々独立してハロゲン、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルから構成される群から選択され、ここで−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換されており;
m及びnが各々独立して0又は1であり;
Arが場合により−CF、−OCF、−C−Cアルキル、ハロゲン及びNRから独立して選択される1〜2個の基で置換されたフェニルであり;及び
及びRが独立してH及び−C−Cアルキルから構成される群から選択される
請求項5に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項7】
請求項1に記載の式Ic:
【化4】

(式中、YはOであり、及びYが結合しているフェニル環上のO置換基に対してメタ位又はパラ位にあり;
AはH及び場合により1〜5個のハロゲンで置換された−C−Cアルキルから構成される群から選択される)を有する化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項8】
が−CH、−C、n−C及び−CH(CHから構成される群から選択され;
AがH及び−CHから構成される群から選択され;
及びRが独立してハロゲン、−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルから構成される群から選択され、ここで−C−Cアルキル、及び−C−Cアルケニルは場合により1〜3個のハロゲンで置換されており;
m及びnが各々独立して0又は1であり;
Arが場合により−CF、−OCF、−C−Cアルキル、ハロゲン及びNRから独立して選択される1〜2個の基で置換されたフェニルであり;及び
及びRが独立してH及び−C−Cアルキルから構成される群から選択される
請求項7に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項9】
下記化合物:
【化5】




から構成される群から選択される請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩、ならびに医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項11】
異常脂質血症の治療用医薬の製造における請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩の使用。
【請求項12】
治療を必要とする患者における異常脂質血症、高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、低HDL値、及び高LDL値から構成される群から選択される1種以上の脂質障害の治療方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩を前記患者に投与することを含む前記方法。
【請求項13】
アテローム性動脈硬化症を発症する危険のある患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症の危険低減用医薬の製造における請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩の使用。
【請求項14】
治療又は抑制を必要とする患者における1種以上の疾患、障害、又は症状の治療用医薬の製造における請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩の使用であって、前記疾患、障害、又は症状が(1)脂質障害、(2)異常脂質血症、(3)高脂血症、(4)高トリグリセリド血症、(5)高コレステロール血症、(6)低HDL値、(7)高LDL値、(8)アテローム性動脈硬化症とその後遺症、(9)腹部肥満を含む肥満症、(10)血管再狭窄、(11)網膜症、(12)非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、(13)高血糖症、(14)低グルコース耐性、(15)インスリン抵抗性、(16)過敏性腸症候群、(17)クローン病や潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患、(18)膵炎、(19)他の炎症症状、(20)神経変性疾患、(21)アルツハイマー病、(22)乾癬、(23)尋常性座瘡、(24)PPARにより調節される他の皮膚疾患及び皮膚症状、(25)高血圧、(26)悪液質、並びに(27)代謝症候群から構成される群から選択される前記使用。
【請求項15】
治療を必要とする患者におけるアテローム性動脈硬化症の治療用医薬の製造における請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩の使用。
【請求項16】
(1)請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩;
(2)(a)PPARγアゴニスト及び部分アゴニスト;
(b)PPARα/γデュアルアゴニスト;
(c)他のPPARαアゴニスト;
(d)PPARδアゴニスト;
(e)ビグアニド;
(f)蛋白質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(g)ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;
(h)インスリン又はインスリンミメティクス;
(i)スルホニル尿素;
(j)αグルコシダーゼ阻害剤;
(k)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(l)グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤;
(m)11βHSDタイプ1酵素阻害剤;
(n)11βHSDタイプ1受容体アンタゴニスト;
(o)エキセンディン−4、エキセンディン−3、エキセナチド、GLP−1、GLP−1ミメティクス、及びGLP−1受容体アゴニスト;
(p)GIP、GIPミメティクス、及びGIP受容体アゴニスト;
(q)PACAP、PACAPミメティクス、及びPACAP受容体3アゴニスト;
(r)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;
(s)胆汁酸抑制剤;
(t)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩;
(u)エゼチミブ及び他のコレステロール吸収阻害剤;
(v)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤(ACAT阻害剤);
(w)フェノール性抗酸化剤;
(x)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(y)炎症症状治療用薬剤;
(z)抗肥満化合物;
(aa)甲状腺ホルモンミメティクス;
(bb)LXRアゴニスト;
(cc)FXRアゴニスト;
(dd)PLTP阻害剤;
(ee)CETP阻害剤;
(ff)グルココルチコイド;並びに
(gg)TNF抑制剤
から構成される群から選択される1種以上の化合物;並びに
(3)医薬的に許容可能なキャリヤー
を含有する医薬組成物。

【公表番号】特表2008−513458(P2008−513458A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532399(P2007−532399)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/032557
【国際公開番号】WO2006/033891
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】