説明

異常警報装置および異常警報システム

【課題】小型で低消費電力の異常警報装置およびこの異常警報装置を備える異常警報システムを実現する。
【解決手段】異常警報装置1は、プログラム可能な論理部11と、異常検知センサからのセンサ信号を処理するセンサ信号処理機能を構築するセンサ信号処理プログラムと、撮像手段からの画像信号を処理する画像信号処理機能を構築する画像信号処理プログラムと、を少なくとも含むコンフィグレーション情報を記憶する記憶手段12と、コンフィグレーション情報に含まれるセンサ信号処理プログラムおよび/または画像信号処理プログラムを記憶手段12からプログラム可能な論理部11へ展開し、センサ信号処理機能および/または画像信号処理機能を構築するコンフィグレーション手段13と、外部装置と双方向無線通信可能な無線通信手段14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災、不法侵入、盗難、ガスもれなどの種々の異常を検知して警報を発する異常警報装置およびこの異常警報装置を備える異常警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、火災、不法侵入、盗難、ガスもれなどの種々の異常を検知して警報を発する異常警報システムでは、異常検知センサを備える装置(以下、「異常警報装置」と称する。)を住宅やビルなどの建造物の適当な場所にいくつか設置し、別個設けられたメインコントローラを用いてこれら各異常警報装置を一元管理している。
【0003】
例えば、一般の住宅に設置される火災警報システムにおいては、住宅の各部屋の天井や壁面などに設置された各火災警報装置とメインコントローラとがケーブルを用いて電気的に接続される。ある部屋で火災が発生すると、当該部屋に設置された火災警報装置は火災の発生を検知してメインコントローラへ火災の発生を通知し、そしてメインコントローラは、警報音を発したり警報ランプを点滅もしくは点灯させたりすることによって、メインコントローラ付近に居るユーザに対して火災の発生を報知する。また、火災警報装置内に設けられたCCDカメラなどのような撮像手段により生成された画像は、メインコントローラに設けられたディスプレイ上に表示され、このディスプレイ表示によりユーザは火災の状況を確認することもできる。
【0004】
各異常警報装置とメインコントローラとの接続をケーブルを介して行う場合、実用性や美観などを考慮して、建造物の天井裏、壁の裏、あるいは床下などにケーブルを配線することになる。このため、建造物を新築する際に同時に異常警報システムを設置することは比較的容易であるが、既存の建造物に異常警報装置を新たに設置する場合は工事が大がかりになる。また例えば、ケーブルが火災により焼失したりあるいは何らかの原因により断線した場合には、異常警報システムが機能しなくなってしまう。
【0005】
そこで、近年、各異常警報装置とメインコントローラとを無線通信により電気的に接続した異常警報システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また例えば、各検知装置と監視装置との間の無線伝送にスペクトラム拡散通信を用いることで、安定性および信頼性の高い異常警報システムを実現する技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−174041号公報
【特許文献2】特開平6−162376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
異常警報システムにおいて各異常警報装置とメインコントローラとの接続にケーブルを用いる場合は、無線通信によりこの接続を実現する場合に比べて設置工事が大がかりなものとなり、設置費用が高くなり、工期も長くなる。また、例えば火災などによりケーブルが消失した場合には、異常警報システム全体が機能しないことになる。
【0009】
一方、無線通信を用いた異常警報システムにおいては、各異常警報装置ごとに独立電源(一般的には乾電池)を設ける必要がある。天井などに設置されることの多い異常警報装置の乾電池の交換は非常に手間がかかる作業である。また、異常検知センサ、CCDカメラ、警報ランプ、および警報音発生のための音響装置など種々の回路を含む高機能の異常警報装置は消費電力が大きいので、乾電池の交換作業の頻度も高い。さらには、異常警報装置をより一層高機能化しようとすると、当該各機能を実現するための回路スペースもその分必要となり、装置本体が大きくならざるを得ない。
【0010】
また、特開2005−174041号公報(上記特許文献1)や特開平6−162376号公報(上記特許文献2)などに記載された発明に代表される無線通信を用いた従来の異常警報システムは、異常警報装置からメインコントローラへ一方向に無線通信されるものであって、メインコントローラ側からは各異常警報装置を遠隔操作することができない。
【0011】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、小型で低消費電力の異常警報装置およびこの異常警報装置を備える異常警報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を実現するために、本発明においては、プログラム可能な論理部と、異常検知センサからのセンサ信号を処理するセンサ信号処理機能を構築するプログラムと撮像手段からの画像信号を処理する画像信号処理機能を構築するプログラムとを少なくとも含むコンフィグレーション情報を記憶する記憶手段と、を異常警報装置内に備える。このような構成の下で、記憶手段に記憶されたコンフィグレーション情報に含まれるこれら各プログラムの中から所望のプログラムを記憶手段からプログラム可能な論理部へ展開し、センサ信号処理機能もしくは画像信号処理機能を構築する。また、本発明による異常警報装置は、外部装置と双方向無線通信可能な無線通信手段をさらに備えるのが好ましい。
【0013】
また、本発明による異常警報装置を少なくとも1つ備える異常警報システムは、異常警報装置に対し双方向無線通信可能であり、かつ、異常警報装置を統括制御可能なメインコントローラを備える。このメインコントローラは、所望の異常警報装置に対する信号として、センサ信号処理プログラムおよび画像信号処理プログラムのうちどのプログラムを記憶手段からプログラム可能な論理部へ展開するかを指示するモード切替指示信号を生成し、異常警報装置へ送信することができる。
【0014】
図1は、本発明による異常警報装置の基本構成図である。以降、異なる図面において同じ参照符号が付されたものは同じ機能を有する構成要素であることを意味するものとする。
【0015】
本発明による異常警報装置1は、プログラム可能な論理部11と、異常検知センサ10からのセンサ信号を処理するセンサ信号処理機能を構築するセンサ信号処理プログラムと、撮像手段からの画像信号を処理する画像信号処理機能を構築する画像信号処理プログラムと、を少なくとも含むコンフィグレーション情報を記憶する記憶手段12と、コンフィグレーション情報に含まれるセンサ信号処理プログラムおよび/または画像信号処理プログラムを記憶手段12からプログラム可能な論理部11へ展開し、センサ信号処理機能および/または画像信号処理機能を構築するコンフィグレーション手段13と、外部装置と双方向無線通信可能な無線通信手段14と、を備える。
【0016】
また、異常警報装置1は、センサ信号処理機能によって生成される、異常発生を通知する信号に基づいて、当該異常発生を視覚的および/または聴覚的に報知する報知手段15をさらに備えるのが好ましい。
【0017】
図2は、本発明による異常警報システムの基本構成図である。本発明による異常警報システム2は、図1の異常警報装置1を少なくとも1つ備え、かつ、異常警報システム2は、異常警報装置1内の無線通信手段14と双方向無線通信可能なメイン無線通信手段21を有するメインコントローラ20であって、このメイン無線通信手段21を介して異常警報装置1を統括制御可能なメインコントローラ20を備える。なお、図2では、一例として、異常警報装置1の個数を3個としたが、本発明は、これに限定されるものではなく、その他の個数であってもよい。なお、図2においては、図1の異常警報装置1内におけるプログラム可能な論理部11、記憶手段12、コンフィグレーション手段13および報知手段15の図示を省略している。
【0018】
メインコントローラ20は、所望の異常警報装置1に対する信号として、センサ信号処理プログラムおよび画像信号処理プログラムのうちどのプログラムを記憶手段から前記プログラム可能な論理部へ展開するかを指示するためのモード切替指示信号を生成し、メイン無線通信手段21を介して所望の異常警報装置1へ送信する。
【0019】
また、メインコントローラ20は、センサ信号処理機能および画像信号処理機能のうちどちらが異常警報装置1において構築されているかを表示するモード表示手段22をさらに有するのが好ましい。また、メインコントローラ20は、異常警報装置1内のセンサ信号処理機能によって生成される信号である異常発生を通知する信号に基づいて、当該異常発生を視覚的および/または聴覚的に報知するメイン報知手段23を有するのが好ましい。また、メインコントローラ20は、異常警報装置1から送信された画像情報に基づいて、異常警報装置1内の撮像手段によって撮像された画像を表示する画像表示手段24を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、小型で低消費電力の異常警報装置およびこの異常警報装置を備える異常警報システムを実現することができる。
【0021】
従来では、異常検知センサからのセンサ信号を処理するセンサ信号処理機能および撮像手段からの画像信号を処理する画像信号処理機能は、異常警報装置内に予め構成されたハードウェアおよび/またはファームウェアを用いて実現されていたが、本発明では、センサ信号処理機能を構築するセンサ信号処理プログラムおよび/または画像信号処理機能を構築する画像信号処理プログラムを、記憶手段からプログラム可能な論理部上に必要に応じて展開することによりこれら各機能を実現するので、異常警報装置を小型および軽量化ならびに低消費電力化することができる。また、異常警報装置を少なくとも1つ備える異常警報システム全体の低消費電力化にも効果的である。
【0022】
また、異常警報装置とこの異常警報装置を統括制御するメインコントローラとの間を双方向無線通信可能とすることにより、ケーブル配線は不要となり、ケーブルの焼失や断線による異常警報システムの動作停止も発生することがなくなり信頼性が向上する。
【0023】
特に、無線通信化により異常警報装置内に乾電池などのような独立電源を設けることになっても、本発明では、異常警報装置内においてセンサ信号処理機能および/または画像信号処理機能を必要に応じていわばソフトウェア的に実現することにより当該異常警報装置を低消費電力化するので、独立電源の長寿命化を図ることができ、結果としてメンテナンスの手間を削減することができる。
【0024】
またさらに、異常警報装置とメインコントローラとの間を双方向無線通信可能とすることにより、異常警報システムのさらなる高機能化も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図3および4は、本発明の実施例による異常警報装置のブロック図である。ここでは、一例として異常警報装置が火災警報装置である実施例について説明する。
【0026】
本実施例による異常警報装置1は、参照符号31で示されるPLD(Programmable Logic Device)と、記憶手段12と、図1の無線通信手段14に相当する無線通信モジュール32およびアンテナ33と、図1の報知手段15に相当するLED/音響装置34と、温度センサ35と、煙センサ36と、CCDカメラ37と、を備える。また、LED/音響装置34、温度センサ35、煙センサ36およびCCDカメラ37と、PLD31との間には、インタフェース(I/F)38−1、38−2、38−3および38−4が設けられる。
【0027】
PLD31は、プログラム可能な論理部11と、コンフィグレーション手段13とを備える。コンフィグレーション手段13は、ハードウェアマクロセルとしてPLD31上に構築されている。PLDの代替例としては、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)などがある。
【0028】
記憶手段12は、例えばフラッシュメモリなどで構成される。記憶手段12は、温度センサ35および煙センサ36からのセンサ信号を処理するセンサ信号処理機能を構築するセンサ信号処理プログラムと、CCDカメラ37からの画像信号を処理する画像信号処理機能を構築する画像信号処理プログラムと、を少なくとも含むコンフィグレーション情報を記憶する。
【0029】
無線通信モジュール32は、当該異常警報装置1内に予め組み込まれるモジュールであるか、あるいは着脱可能なモジュールである。本実施例で用いられる無線方式としては、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ZigBee、HomeRF、UWB(広帯域無線)、IEEE802.11などの無線LAN、特定小電力の無線通信、あるいは赤外線通信などがある。無線方式は予め1つのものに固定しておいてもよいが、異常警報装置の設置環境によっては他の電子機器の無線方式との混信も発生し得るため、本実施例では、複数の無線方式の中から必要に応じて無線方式を選択できるようにする。例えば、無線通信モジュール32を着脱可能なモジュールとして構成しておけば、モジュールを交換することで容易に無線方式を変更することができる。また例えば、特定の無線方式を実現することができるプログラムを外部装置からダウンロードできるようにしてもよい。
【0030】
本実施例では異常警報装置1を火災警報装置として構成するので、図1の異常検知センサ10として、温度センサ35および煙センサ36を設ける。
【0031】
LED/音響装置34は、火災の発生を警告音および/または警報ランプの点滅もしくは点灯により視覚的および/または聴覚的に報知する。なお、LED以外の発光装置を用いてもよく、例えば、電球、EL、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどでもよい。音響装置としては、例えばブザー、スピーカ、チャイムなどがある。
【0032】
記憶手段12に記憶されたコンフィグレーション情報のうち、温度センサ35および煙センサ36からのセンサ信号を処理するセンサ信号処理機能を構築するセンサ信号処理プログラムが、記憶手段12からプログラム可能な論理部11へ、コンフィグレーション手段13によって展開されると、図3に示すような、センサ信号処理機能を実現する論理回路が構築される。本明細書では図3に示すような論理回路がPLD31内におけるプログラム可能な論理部11に構築される動作モードを「火災監視モード」と称する。火災監視モードでは、PLD31内におけるプログラム可能な論理部11には、制御部41と、判定回路42と、インタフェース(I/F)43とが構築される。
【0033】
一方、記憶手段12に記憶されたコンフィグレーション情報のうち、CCDカメラ37からの画像信号を処理する画像信号処理機能を構築する画像信号処理プログラムが、記憶手段12からプログラム可能な論理部11へ、コンフィグレーション手段13によって展開されると、図4に示すような、画像信号処理機能を実現する論理回路が構築される。本明細書では図4に示すような論理回路がPLD31内におけるプログラム可能な論理部11に構築される動作モードを「CCDカメラモード」と称する。CCDカメラモードでは、PLD31内におけるプログラム可能な論理部11には、制御部41と、判定回路42と、インタフェース(I/F)43と、画像処理部44とが構築される。
【0034】
異常警報装置1の電源が投入されると、PLD31内のコンフィグレーション手段13は、記憶手段12からセンサ信号処理プログラムを読み出してこれをPLD31内のプログラム可能な論理部に展開する。これにより、図3に示すような制御部41と判定回路42とインタフェース(I/F)43とからなる論理回路が構築され、異常警報装置1はまずは火災監視モードで動作することになる。
【0035】
火災監視モードにおいては、判定回路42は、温度センサ35および煙センサ36から出力される各センサ信号を常時監視し、火災発生の有無を判定する。判定回路42が、温度センサ35および煙センサ36からの各センサ信号に基づき、「火災が発生した」と判定すると、火災発生通知信号を制御部41へ送信する。制御部41は、火災発生通知信号を判定回路42から受信すると、LED/音響装置34を駆動する。すると、LED/音響装置34は、火災の発生を警告音を発したり警報ランプを点滅もしくは点灯させたりして、当該異常警報装置1付近に居るユーザに対し火災の発生を視覚的および/または聴覚的に報知する。これと同時に、制御部41は、インタフェース(I/F)43、無線通信モジュール32およびアンテナ33を介して外部装置へ火災発生通知信号を送信する。この外部装置とは、後述する異常警報システムにおけるメインコントローラか、あるいは、火災発生通知信号を送信した(すなわち火災の発生を検知した)異常警報装置とは異なる他の異常警報装置のことである。火災の発生を検知していない異常警報装置が、この火災発生通知信号を、後述するようにメインコントローラを介して受信し、あるいは、火災の発生を検知した異常警報装置から直接に受信すると、受信した異常警報装置は、LED/音響装置を駆動し、火災の発生を警告音を発したり警報ランプを点滅もしくは点灯させたりして、当該異常警報装置付近に居るユーザに対し火災の発生を視覚的および/または聴覚的に報知する。
【0036】
一方、火災発生検知後に、判定回路42が、温度センサ35および煙センサ36から出力される各センサ信号に基づき、「火災が発生がなくなり、正常状態に戻った」と判定すると、正常状態通知信号を制御部41へ送信する。制御部41は、正常状態通知信号を判定回路42から受信すると、火災発生後駆動していたLED/音響装置34の当該駆動を停止する。これと同時に、制御部41は、インタフェース(I/F)43、無線通信モジュール32およびアンテナ33を介して、メインコントローラへ、あるいは火災発生通知信号を送信した異常警報装置とは異なる他の異常警報装置へ、正常状態通知信号を送信する。火災の発生を検知していない異常警報装置が、正常状態通知信号を、メインコントローラを介して受信し、あるいは火災の発生を検知した異常警報装置から直接に受信すると、受信した異常警報装置は、火災発生後駆動していたLED/音響装置の当該駆動を停止する。
【0037】
なお、温度センサ35および煙センサ36から出力される各センサ信号からわかる情報、例えば温度や煙の量などに関する情報を、インタフェース(I/F)43、無線通信モジュール32およびアンテナ33を介してメインコントローラへ送信するようにしてもよい。
【0038】
本実施例による異常警報装置1は、センサ信号処理プログラムおよび画像信号処理プログラムのうちどのプログラムを記憶手段12からPLD31内のプログラム可能な論理部11へ展開するかを指示するモード切替指示信号を、アンテナ33および無線通信モジュール32を介して、後述するメインコントローラから受信することができる。異常警報装置1は、モード切替指示信号の受信により、火災監視モードとCCDカメラモードとの間で動作モードを切り替える。
【0039】
異常警報装置1は、電源投入後から火災を検知するまでは火災監視モードで動作するが、火災監視モードからCCDカメラモードへ動作モードを切り替える指示であるモード切替指示信号をアンテナ33および無線通信モジュール32を介して受信すると、PLD31内のコンフィグレーション手段13は、記憶手段12から画像信号処理プログラムを読み出してPLD31内のプログラム可能な論理部に展開する。これにより、図4に示すような、制御部41と判定回路42とインタフェース(I/F)43と画像処理部44とからなる論理回路が構築され、異常警報装置1は、CCDカメラモードで動作することになる。
【0040】
CCDカメラモードにおいては、画像処理部44は、CCDカメラ37が出力した画像信号を処理し、処理後の画像信号をインタフェース(I/F)43、無線通信モジュール32およびアンテナ33を介して外部装置へ送信する。この外部装置とは、異常警報システムにおけるメインコントローラである。なお、CCDカメラモード中も、判定回路42は、温度センサ35および煙センサ36から出力される各センサ信号を監視し、火災発生の有無を判定する処理を継続する。
【0041】
CCDカメラモードにおいて、CCDカメラモードから火災監視モードへ動作モードを切り替える指示であるモード切替指示信号をアンテナ33および無線通信モジュール32を介して受信すると、PLD31内のコンフィグレーション手段13は、記憶手段12からセンサ信号処理プログラムを読み出してPLD31内のプログラム可能な論理部に展開する。これにより、図3に示すような制御部41と判定回路42とインタフェース(I/F)43とからなる論理回路が構築され、異常警報装置1は再び火災監視モードで動作することになる。
【0042】
なお、本実施例では、異常警報装置1は、モード切替指示信号を受信するで、動作モードを火災監視モードとCCDカメラモードとの間で切り替えるとしたが、この代替例として、火災の発生を検知したら自動的に火災監視モードからCCDカメラモードへ切り替えるようにしてもよい。
【0043】
また、本実施例では、センサ信号処理プログラムおよび画像信号処理プログラムは、記憶素子12から読み出されてPLD31内のプログラム可能な論理部11へ展開されるものとしたが、この代替例として、PLD31内のプログラム可能な論理部11へ展開すべきセンサ信号処理プログラムおよび画像信号処理プログラムを、アンテナ33および無線通信モジュール32を介して外部装置からダウンロードするようにしてもよい。
【0044】
図5は、本発明の実施例による異常警報装置を例示する断面図である。なお、図5に示す異常警報装置1における各部品およびこれらの配置場所は一例であり、その他の配置であってもよい。
【0045】
異常警報装置1の筐体48内には、乾電池などの独立電源46、ならびに各種回路および各種素子が実装されたプリント基板45が設けられる。また、筐体48には、天井もしくは壁面3に異常警報装置1を取り付けるための取り付けベース47が設けられる。また、筐体48には、LED34−1、音響装置34−2、温度センサ35、煙センサ36、およびCCDカメラ37が設けられる。
【0046】
本実施例では、PLD31、記憶手段12および無線通信モジュール32は、プリント基板45上に実装される。この代替例として、PLD31、記憶手段12および無線通信モジュール32の全てがシリコン上に実装されたシステム・オン・シリコンの形態、あるいは、PLD31、記憶手段12および無線通信モジュール32の全てが1つのパッケージに実装されたシステム・イン・パッケージの形態で実施してもよい。なお、図5では図示を省略するが、アンテナ23についてもプリント基板上に実装してもよい。
【0047】
図6は、本発明の実施例による異常警報システムにおけるメインコントローラのブロック図である。
【0048】
本実施例におけるメインコントローラ20は、図2のメイン無線通信手段21に相当する無線通信モジュール51およびアンテナ52と、図2のメイン報知手段23に相当するLED/音響装置53と、図2のモード表示手段22および画像表示手段24の機能を含む表示部54と、操作部55と、メインコントローラ20の動作全体を制御する制御部56と、回路制御部57とを備える。また、無線通信モジュール51と表示部54と制御部56の間にはインタフェース(I/F)58−1が設けられ、LED/音響装置53と制御部56との間にはインタフェース(I/F)58−2が設けられる。
【0049】
無線通信モジュール51は、上述の異常警報装置1と同様に、当該メインコントローラ20内に予め組み込まれるモジュールであるか、あるいは着脱可能なモジュールである。本実施例で用いられる無線方式としては、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ZigBee、HomeRF、UWB(広帯域無線)、IEEE802.11などの無線LAN、特定小電力の無線通信、あるいは赤外線通信などがある。無線方式は予め1つのものに固定しておいてもよいが、本実施例では複数の無線方式の中から必要に応じて無線方式を選択できるようにする。無線通信モジュール51を着脱可能なモジュールとして構成しておけば、モジュールを交換することで容易に無線方式を変更することができる。また例えば、特定の無線方式を実現することができるプログラムを、公衆電話回線もしくはインターネット経由でダウンロードできるようにしてもよい。
【0050】
メインコントローラ20内の制御部56は、所望の異常警報装置1に対する信号として、センサ信号処理プログラムおよび画像信号処理プログラムのうちどのプログラムを記憶手段から前記プログラム可能な論理部へ展開するかを指示するモード切替指示信号を生成する。モード切替指示信号の生成開始の指示は、後述する操作部55を操作することによりなされる。生成されたモード切替指示信号は、無線通信モジュール51およびアンテナ52を介して所望の異常警報装置1へ送信される。なお、モード切替指示信号内に、どの異常警報装置のモードを切り替えるかを指示するための識別番号を付与しておいてもよい。この場合、指示された異常警報装置のみがモード切替指示信号に応答して動作モードを切り替えることになる。
【0051】
LED/音響装置53は、火災の発生を警告音および/または警報ランプの点滅もしくは点灯により視覚的および/または聴覚的に報知する。なお、LED以外の発光装置を用いてもよく、例えば、電球、EL、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどでもよい。音響装置としては、例えばブザー、スピーカ、チャイムなどがある。
【0052】
表示部54は、異常警報装置1から送られてきた画像信号に基づいて、CCDカメラ37により撮像された画像を表示する。また、表示部54は、センサ信号処理機能および画像信号処理機能のうちどちらが異常警報装置1において構築されているか、すなわち異常警報装置1が現在どの動作モードにあるかを表示する。表示部54は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ブラウン管、あるいはELなどで構成すればよい。
【0053】
操作部55は、ユーザが、異常警報システム2の異常警報装置1やメインコントローラ20に対して何らかの指示を入力するためのユーザインタフェースである。例えば、異常警報装置1の動作モードの切替えを指示する際や、無線方式をソフトウェア的に変更可能にした場合においては無線方式の変更を指示する際や、あるいは、異常警報システムと外部との連絡方法を設定したりする際などに、ユーザは操作部55を操作することになる。操作部55は、例えばメカニカルスイッチ、タッチパネルなどで構成すればよい。なお、操作部55をタッチパネルで構成する場合は、表示部54の機能も含めて構成することになる。
【0054】
公衆電話回線やインターネットなどに接続される回線制御部57は、固定電話、携帯電話、PHS、IPフォン、電子メールもしくはインターネットなどの各種連絡方式により、異常警報システムにおけるメインコントローラ20や異常警報装置1の状況を外部へ通知したり、あるいは、メインコントローラ20を外部から遠隔操作するために用いられるインタフェースである。アンテナ52および無線通信モジュール51を介して火災発生通知信号を受信した場合は、制御部56は、火災を検知した旨を、回線制御部57を介して外部へ通知する。例えば、火災が検知した場合は所定の携帯電話に自動的に電話をかけたり所定のアドレス宛に電子メールを送信するように設定してもよい。また例えば、固定電話や携帯電話を用いて所定の電話番号に電話をかけたりインターネット経由で所定の操作をしたりすることによって、異常警報システムを遠隔操作できるようにしてもよい。なお、異常警報システムと外部との連絡方式の内容は予め設定しておくのが好ましく、この設定操作にも操作部55が利用される。
【0055】
なお、本実施例では、センサ信号処理プログラムおよび画像信号処理プログラムは、記憶素子12から読み出されてPLD31内のプログラム可能な論理部11へ展開されるとしたが、この代替例として、PLD31内のプログラム可能な論理部11へ展開すべきセンサ信号処理プログラムおよび画像信号処理プログラムを、アンテナ32および無線通信モジュール51を介して異常警報装置へアップロードしてそのままPLD31内のプログラム可能な論理部11へ展開するようにしてもよい。
【0056】
図7は、本発明の実施例による異常警報システムが適用される住宅を例示する模式図である。一例として、2階建ての住宅100に異常警報システム2が設置される場合を示す。図示の例では、異常警報装置1が住宅100の子供部屋A、子供部屋B、寝室Cおよび階段Eの天井に設置され、メインコントローラ20がリビングダイニングDの壁面に設置される。
【0057】
図8は、図7に示す住宅に設置される本発明の実施例による異常警報システムのメインコントローラの外観の第1の具体例を例示する正面図である。なお、図8に示すメインコントローラ20における各構成要素およびこれらの配置場所は一例であり、その他の配置であってもよい。図8に示すように、メインコントローラ20には、LED53−1、音響装置53−2、表示部54、操作部55が設けられる。火災を検知したとき、LED53−1は点滅もしくは点灯し、音響装置53−2は警報音を発する。また、表示部54には、例えば火災を検知した異常警報装置のCCDカメラが撮像した画像などが表示される。
【0058】
操作部55は、異常警報装置が設置された部屋に対応して割り当てられた押しボタン59からなる。図8に示す例では、図7に示す住宅100に合わせて、子供部屋A、子供部屋B、寝室Cおよび階段Eごとに押しボタン59が割り当てられる。押しボタン59が押下される度に、対応する異常警報装置の動作モードは火災監視モードとCCDカメラモードとの間で切り替えられる。なお、押しボタン59の識別を容易にするために、押しボタン59の表面上に、「寝室C」や「子供部屋A」などが書かれた名札を適宜差し込むことができるような構造を設けてもよい。
【0059】
図9は、図7に示す住宅に設置される本発明の実施例による異常警報システムのメインコントローラの外観の第2の具体例を例示する正面図である。なお、図9に示すメインコントローラ20における各構成要素およびこれらの配置場所は一例であり、その他の配置であってもよい。図9に示すように、メインコントローラ20には、LED53−1、音響装置53−2、タッチパネル60が設けられる。
【0060】
タッチパネル60は、図6に示す表示部54および操作部55の機能を同時に実現するものである。タッチパネル60は、本発明による異常警報システムが設置される住宅(この例では図7)を模式的に表示するのが好ましい。
【0061】
タッチパネル60は、例えば、異常警報装置のCCDカメラにより撮像された画像を表示したり、火災を検知した異常警報装置を設置した部屋を示すアイコンを点滅させたり、異常警報装置が現在どの動作モードにあるかを表示する。なお、これらの表示以外のその他の情報についてもタッチパネル60上に表示するようにしてもよい。
【0062】
また、異常警報装置の動作モードの切替えを指示する場合には、タッチパネル60に表示された当該異常警報装置を設置した部屋を示すアイコンをタッチ操作することでなされる。また、タッチパネル60のタッチ操作により、異常警報装置とメインコントローラとの間の無線方式を設定したり、あるいは異常警報システムと外部との連絡方法を設定したりすることができるようにしてもよい。これらの操作以外のその他の操作についても、タッチパネル60へのタッチ操作で実現するようにしてもよい。また、操作可能な内容をメニュー形式で表示するようにしてもよい。
【0063】
なお、タッチパネル60以外の構成要素であるLED53−1および音響装置53−2については図8を参照して説明した構成要素の場合と同様なので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0064】
なお、上述の実施例では、異常警報装置が火災警報装置である場合について説明したが、建物内への不法侵入や、盗難、ガス漏れなどの異常を検知する異常警報装置であっても同様に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、火災、不法侵入、盗難、ガスもれなどの種々の異常を検知して警報を発する異常警報装置およびこの異常警報装置を少なくとも1つ備える異常警報システムに適用することができる。本発明によれば、小型で低消費電力の異常警報装置およびこの異常警報装置を備える異常警報システムを実現することができる。
【0066】
本発明による異常警報装置では、センサ信号処理機能を構築するセンサ信号処理プログラムおよび/または画像信号処理機能を構築する画像信号処理プログラムを、プログラム可能な論理部上に必要に応じて展開することによりこれら各機能を実現するので、異常警報装置を小型および軽量化ならびに低消費電力化することができる。また、異常警報装置を少なくとも1つ備える異常警報システム全体の低消費電力化にも効果的である。
【0067】
また、本発明によれば、異常警報装置とこの異常警報装置を統括制御するメインコントローラとの間を双方向無線通信可能とすることにより、ケーブル配線が不要となり、ケーブルの焼失や断線による異常警報システムの動作停止も発生することがなくなり信頼性が向上する。
【0068】
また、本発明によれば、異常警報装置内に設けられる独立電源の長寿命化を図ることができ、メンテナンスの手間を削減することができる。また、異常警報システムのさらなる高機能化も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明による異常警報装置の基本構成図である。
【図2】本発明による異常警報システムの基本構成図である。
【図3】本発明の実施例による異常警報装置のブロック図(その1)である。
【図4】本発明の実施例による異常警報装置のブロック図(その2)である。
【図5】本発明の実施例による異常警報装置を例示する断面図である。
【図6】本発明の実施例による異常警報システムにおけるメインコントローラのブロック図である。
【図7】本発明の実施例による異常警報システムが適用される住宅を例示する模式図である。
【図8】図7に示す住宅に設置される本発明の実施例による異常警報システムのメインコントローラの外観の第1の具体例を例示する正面図である。
【図9】図7に示す住宅に設置される本発明の実施例による異常警報システムのメインコントローラの外観の第2の具体例を例示する正面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 異常警報装置
2 異常警報システム
11 プログラム可能な論理部
12 記憶手段
13 コンフィグレーション手段
14 無線通信手段
15 報知手段
20 メインコントローラ
21 メイン無線通信手段
22 モード表示手段
23 メイン報知手段
24 画像表示手段
31 PLD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラム可能な論理部と、
異常検知センサからのセンサ信号を処理するセンサ信号処理機能を構築するセンサ信号処理プログラムと、撮像手段からの画像信号を処理する画像信号処理機能を構築する画像信号処理プログラムと、を少なくとも含むコンフィグレーション情報を記憶する記憶手段と、
前記コンフィグレーション情報に含まれる前記センサ信号処理プログラムおよび/または前記画像信号処理プログラムを前記記憶手段から前記プログラム可能な論理部へ展開し、前記センサ信号処理機能および/または前記画像信号処理機能を構築するコンフィグレーション手段と、
外部装置と双方向無線通信可能な無線通信手段と、を備えることを特徴とする異常警報装置。
【請求項2】
前記無線通信手段は、前記センサ信号処理プログラムおよび前記画像信号処理プログラムのうちどのプログラムを前記記憶手段から前記プログラム可能な論理部へ展開するかを指示するモード切替指示信号を受信する請求項1に記載の異常警報装置。
【請求項3】
前記無線通信手段は、当該異常警報装置内の前記センサ信号処理機能によって生成される、異常発生の有無を通知する信号を、前記外部装置へ送信する請求項1に記載の異常警報装置。
【請求項4】
前記無線通信手段は、当該異常警報装置とは異なる他の異常警報装置内の前記センサ信号処理機能によって生成される信号である異常発生の有無を通知する信号を受信する請求項1に記載の異常警報装置。
【請求項5】
前記無線通信手段は、前記画像信号処理機能によって生成された画像情報を、前記外部装置へ送信する請求項1に記載の異常警報装置。
【請求項6】
前記センサ信号処理機能によって生成される、異常発生を通知する信号に基づいて、当該異常発生を視覚的および/または聴覚的に報知する報知手段をさらに備える請求項1または4に記載の異常警報装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の異常警報装置を、少なくとも1つ備える異常警報システムであって、
前記異常警報装置内の前記無線通信手段と双方向無線通信可能なメイン無線通信手段を有するメインコントローラであって、前記メイン無線通信手段を介して前記異常警報装置を統括制御可能なメインコントローラを備えることを特徴とする異常警報システム。
【請求項8】
前記メインコントローラは、所望の前記異常警報装置に対する信号として、前記センサ信号処理プログラムおよび前記画像信号処理プログラムのうちどのプログラムを前記記憶手段から前記プログラム可能な論理部へ展開するかを指示するモード切替指示信号を生成し、前記メイン無線通信手段を介して前記所望の異常警報装置へ送信するとともに、
前記メインコントローラは、前記センサ信号処理機能および前記画像信号処理機能のうちどちらが前記異常警報装置において構築されているかを表示するモード表示手段をさらに有する請求項7に記載の異常警報システム。
【請求項9】
前記メインコントローラは、前記異常警報装置内の前記センサ信号処理機能によって生成される、異常発生を通知する信号に基づいて、当該異常発生を視覚的および/または聴覚的に報知するメイン報知手段をさらに有する請求項7に記載の異常警報システム。
【請求項10】
前記メインコントローラは、前記異常警報装置から送信された画像情報に基づいて、前記撮像手段によって撮像された画像を表示する画像表示手段をさらに有する請求項7に記載の異常警報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−140579(P2007−140579A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329071(P2005−329071)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】