説明

異形フラットモールド

本発明の特定の実施形態は、異形タイヤトレッド並びに異形トレッドを形成するモールド及び方法を含む。特定の実施形態では、異形トレッドを形成するモールドであって、第1のモールド部材及び第2のモールド部材を含むモールドが提供される。第1のモールド部材と第2のモールド部材は、第1及び第2のモールド部材がモールドキャビティを実質的に包囲する第1の閉鎖位置から第1及び第2のモールド部材が互いにずらされた(又は離された)第2の開放位置に可逆的に相互に変位可能である。第1のモールド部材は、ポリマー部材を収容するようになっていて、内壁及びサイプ形成部材を備えたモールドキャビティを有する。第1のモールド部材は、異形モールドキャビティ底面を有し、第2のモールド部材は、異形成形面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、タイヤトレッド及びモールドに関し、詳細には、異形タイヤトレッド及び異形タイヤトレッドを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性材料、例えばゴム(天然ゴムと合成ゴムの両方)をモールド内で硬化させてエラストマー製品、例えばタイヤ及びタイヤトレッドを含むタイヤコンポーネントを作ることは周知である。典型的には、硬化されるべき材料をモールド内に配置しこれに熱及び圧力を加えて、ついには、分子相互間の所定量の架橋が達成されるようにする。次に、硬化した物品をモールドから取り出し、これに次の操作、例えば物品のエッジからのバリ取りを施す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
更生のためにタイヤトレッドを製造する伝統的な方法は、フラットモールド(「平板状モールド」ともいう)を用いることであり、トレッドを実質的にフラットな又は平らな向きで成形する。具体的に説明すると、トレッド特徴部を形成する凹凸部を含むモールドが全体としてフラットな(即ち、平べったい)配向状態で長手方向且つ側方に延びてこれ又全体として平らな向きに延びるトレッドを形成する。タイヤを更生する際、タイヤを典型的にはバフ磨きし、接着剤及び/又はリエゾンゴムを塗布し、次に平らに又は平板状に形成されたトレッドをタイヤカーカスに巻き付ける。継ぎ目を接着剤で「膠着」した後、タイヤを次にオートクレーブ内で硬化させてプロセスを完了する。平板状トレッドを丸いタイヤに巻き付けるプロセスにより、トレッド要素は、先に平板状であったトレッドがタイヤカーカスの湾曲周囲に沿って回旋状になるにつれて変形する。この変形により、トレッドを横切って延びるトレッド特徴部、例えば溝が丸いタイヤ表面への張り付け時に、特にトレッドを接触面(即ち、路面接触側)(図1A参照)のところで開き又は拡張する。トレッド設計者は、例えばこの特徴部、例えば溝を小さく又は狭く作ることにより寸法及び形状のこの増加を補償するようトレッド設計を適合させることができ、したがって、特徴部又は溝がカーカスへのトレッドの張り付け中に開いたとき、この特徴部又は溝は、その所望の寸法形状に変形し又は開くようになる。しかしながら、狭いトレッド特徴部、例えばサイプ又は狭い溝は、開口部の変形がこのような特徴部の所望の厚さよりも大きい場合、所望の寸法形状に合わせて開くよう小さく作れない。サイプは、タイヤのブロック又はリブに設けられた小さなスリット又は切れ目であり、これらは、トラクションエッジを提供すると共に/或いはブロック又はリブの剛性を減少させて濡れた又は凍結条件においてトラクションや制動を向上させ又は不規則な摩耗パターンの発生を遅らせるよう導入される。したがって、異形トレッド並びに実質的にフラットに又は平板状にトレッドを成形すると共に比較的小さなトレッド特徴部、例えばサイプの所望の寸法を得ることができる手段を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特定の実施形態は、異形トレッド並びにこのようなトレッドを成形する方法及び装置を含む。本発明の特定の実施形態は、異形トレッドを形成するモールドを含む。モールドは、第1のモールド部材及び第2のモールド部材を有するのが良く、第1のモールド部材と第2のモールド部材は、第1及び第2のモールド部材がモールドキャビティを実質的に包囲する第1の閉鎖位置から第1及び第2のモールド部材が互いにずらされた(又は離された)第2の開放位置に可逆的に相互に変位可能である。モールドの特定の実施形態は、ポリマー材料を収容するようになったモールドキャビティを有し、モールドキャビティは、トレッド特徴部を形成する複数個の内壁部材及びサイプ形成部材を有する。モールドキャビティは、異形モールドキャビティ底面を更に有するのが良い。さらに、他の実施形態では、第2のモールド部材は、成形作業中、第1のモールド部材内のポリマー材料に接触して成形された異形ポリマー材料を形成するための異形成形面を有する。
【0005】
本発明の特定の実施形態は、異形タイヤトレッドを形成する方法を含み、このような方法は、ポリマー材料をモールド内に配置するステップを有し、モールドは、第1のモールド部材及び第2のモールド部材を有し、第1のモールド部材と第2のモールド部材は、第1及び第2のモールド部材がモールドキャビティを実質的に包囲する第1の閉鎖位置から第1及び第2のモールド部材が互いにずらされた(又は離された)第2の開放位置に可逆的に相互に変位可能であり、第1のモールド部材は、ポリマー材料を収容するようになったモールドキャビティを有し、モールドキャビティは、トレッド特徴部を形成する複数個の内壁部材及びサイプ形成部材と、異形モールドキャビティ底面とを有し、第2の部材は、成形作業中、第1のモールド部材内のポリマー材料に接触して成形された異形ポリマー材料を形成するための異形成形面を有する。このような方法は、第1及び第2の部材を閉鎖位置に配置することによりモールドを閉鎖してポリマー材料をモールドキャビティ内に分布して配置し、それにより成形ポリマー材料を提供するステップを更に有するのが良い。さらに、このような方法は、第1及び第2の部材を開放位置に配置することによってモールドを開放するステップを更に有するのが良い。
【0006】
本発明の特定の実施形態は、異形タイヤトレッドであって、1つ又は2つ以上のトレッド特徴部を備えると共にトレッドの接触面側を形成する第1の側部及び第1の側部と反対側に位置していて、タイヤ取り付け底面を形成する第2の側部を備えた長手方向に延びる本体を有し、トレッド特徴部は、トレッド本体の第1の側部と第2の側部との間に延びるトレッドの厚み中に延びるトレッドを含む。異形トレッドは、トレッド本体に沿って側方に延びると共に第1の側部に沿う隆起部分及び第2の側部に沿う窪みを形成する山部を更に有する。
【0007】
本発明の上述の目的、特徴及び利点並びに他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に示されている本発明の特定の実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになろう。なお、図中、同一の参照符号は、本発明の同一の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】従来型の平板状成形タイヤトレッドの断面図である。
【図1B】タイヤ取り付け形態で回旋状になっている図1Aのトレッドの断面図である。
【図2A】本発明の実施形態に従って異形プロフィールを備えた全体として平板状のタイヤトレッドの断面図である。
【図2B】タイヤ取り付け形態で回旋状になっている図2Aのトレッドの断面図である。
【図3A】本発明の実施形態に従って第1のモールド部材の成形キャビティの異形底面を表す図と関連して示された異形タイヤトレッドモールドの第1のモールド部材の上から見た斜視図である。
【図3B】本発明の別の実施形態に従って第1のモールド部材の成形キャビティの異形底面を表す図と関連して示された異形タイヤトレッドモールドの第1のモールド部材の上から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に従って第1及び第2のモールド部材を有する異形モールドの断面側面図である。
【図5】本発明の実施形態に従って、使用状態で示された図4の異形モールドの断面図であり、モールドがポリマー材料と共に閉鎖モールド形態にある第1及び第2のモールド部材を備えている状態を示す図である。
【図6】図3A及び図3Bに示されている異形成形キャビティ底面の変形実施形態の上から見た斜視図であり、本発明の実施形態に従って側方付勢向きで延びる複数個の直線状山部を示す図である。
【図7】図3A、図3B及び図6に示されている異形成形キャビティ底面の変形実施形態の上から見た斜視図であり、本発明の実施形態に従って側方付勢向きで延びる複数個の非直線状山部を示す図である。
【図8】本発明の変形実施形態に従って第2のモールド部材の成形面に沿って側方に延びる不連続山部形成部材を示す第2のモールド部材の端面断面図である。
【図9】本発明の変形実施形態に従って異形プロフィールを備えた全体として平板状のタイヤトレッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の実施形態は、異形トレッド及びポリマー材料、例えば熱硬化性又は熱可塑性材料を異形モールド、ポリマー材料用異形モールド及び異形タイヤモールド内で成形する方法を提供する。
【0010】
タイヤトレッドは、代表的には、トレッドの路面接触部分を分離する1つ又は2つ以上の溝を含む厚み(厚さ)を備えた長手方向且つ側方に延びる本体を有する。これら路面接触部分は、ブロック(即ち、突出部)又はリブを有するのが良い。リブは、一般に、トレッドの長手方向/長さ方向に実質的に連続して、最終的にはタイヤの周りに周方向に延びる。リブは、1本又は2本以上の長手方向溝によっても境界付けられる。ブロックは、本質的には、側方溝によって小さな部分に分けられたリブである。溝は、横方向にせよ長手方向にせよいずれにせよ、タイヤが動作している表面と関連した水、マッド、ダート又は任意他の物体を排除することができるボイドを提供することができるほど大きい(広い)よう設計される。サイプは、他方、幅が極めて小さく、このようなサイプは、トラクションエッジを作り又はトレッドブロック又はリブの剛性を減少させるために用いられる場合が多い。サイプは、トレッドにスリットを設けることと同じようなことである場合が多い。典型的には、タイヤがタイヤフットプリントを形成するよう負荷を受けた状態で路面に当たると、サイプの幅は、タイヤフットプリント内に無視できるほどのボイドを提供するほど小さく又は実質的にゼロになる。特定の実施形態では、サイプの幅(開き)は、約1.2ミリメートル(mm)以下である。他の実施形態では、サイプの幅は、1.0mm以下である。さらに別の実施形態では、サイプの幅は、0.8mm以下である。さらに別の実施形態では、サイプは、幅が0.6mm以下である。異形トレッドにより提供される改良により、他のトレッド特徴部、例えば幅の狭い溝並びに任意他の溝も又、恩恵を受けることができる。分かりやすくするために、本明細書で用いられる「リブ」という用語は、他のトレッド要素、例えば突出部又はブロックを包含するものと理解すべきであり、但し、前後関係からこのような包含関係が成り立たない場合は除かれる。
【0011】
上述したように、従来型の平板状トレッドを丸いタイヤカーカスに巻き付けるプロセスにより、トレッド及びこのトレッドに設けられている特徴部は、平板状トレッドがタイヤカーカスの外周部と一致して湾曲した又は丸くなった形状に曲げられているときに変形する。当然のことながら、タイヤ又はタイヤの回転軸線から見て最も遠くに位置するトレッド側は最も顕著に変形し、このトレッド側は、トレッドの接触面側である。図1Aを参照すると、従来型の平板状成形トレッド本体10が示されており、このトレッド本体は、成形幅GOを備えた例示の側方に延びる溝14及び成形幅SOを備えた側方に延びるサイプ16を有している。側方に延びる又は側方という用語は、このように形容されている特徴部がトレッド(又はモールド)の幅を横切る方向に且つトレッド(又はモールド)の長手方向に対して延びることを意味している。このような側方延長(方向)は、トレッド(又はモールド)中心線に対して直角であるのが良く、或いは、これがこのような幅を横切る方向に延びている限り、トレッド(又はモールド)中心線に対して任意他の角度をなしていても良い。トレッド10を例示の実施形態において図1Bに示されているように半径Rにより定められた周囲(又は曲率)を備えたタイヤカーカス(図示せず)に巻き付けると、トレッド10の第1の側部(接触面側)12aは、これがタイヤカーカス周りに曲げられるにつれて拡張する。したがって、側方溝14は、溝取り付け幅GΔを達成するよう開き又は広がり、側方サイプ16は、サイプ取り付け幅SΔを達成するよう広がり、この場合、GΔは、GOよりも大きく、SΔは、SOよりも大きい。溝14の結果として変形した寸法形状は、例えば成形溝14を狭めることによって溝14の成形寸法及び形状を変化させることにより変更可能であり、したがって、所望の溝の幅は、トレッド10がタイヤカーカスに張り付けられているときに溝14が開いた後に達成される。換言すると、成形トレッドは、GOが所望の最終取り付け溝幅であるGFよりも小さいように設計されるのが良い。したがって、サイプ16の所望の取り付け幅SFが溝14よりも非常に小さいので、サイプ16の成形幅SOを狭めても、このことがトレッド10をタイヤカーカスに張り付けているときにサイプ16の撓み(開き)に打ち勝つのには十分でない場合がある。したがって、成形サイプ幅SOは、所望の最終サイプ幅SFを達成することができない場合がある。また、他のトレッド特徴部、例えば狭い溝の所望の寸法を達成することが困難な場合がある。
【0012】
この問題を解決するため、異形トレッドを対応のモールドによって提供することができる。図2Aに示されているように、例示の実施形態では、異形トレッド110が示されている。トレッド110は、主要構成要素として、1つ又は2つ以上のトレッド特徴部を備えると共にトレッド110の接触面側を形成する第1の側部12a及び第1の側部と反対側に位置していて、タイヤ取り付け底面を形成している第2の側部12bを備えた長手方向に延びる本体を有し、トレッド特徴部は、トレッド本体の第1の側部と第2の側部との間に延びるトレッドの厚み中に延びている。図示の実施形態では、トレッド110は、側方に延びるトレッド特徴部と関連した複数個の山部20を有する。これら特徴部としては、幅の広い場合があり又は狭い場合のある溝14及びサイプ16並びにトレッド内に形成されることが望ましい任意他の特徴部が挙げられる。図示の実施形態では、サイプ16は、山部20と関連している。山部20(底面12bから最も遠くに位置するピークまで延びている)は、第1のトレッド側部(接触側)12aに沿って山部を形成すると共に第2のトレッド側部(底面側)12bに沿って窪みを形成している。山部20によって形成された窪みは、半径rの曲率によって定められるのが良い。特定の実施形態、例えば図2Aに示されている実施形態では、逆の輪郭が谷部又は谷部22を形成するよう隣り合う山部20相互間に延びている。谷部22は、頂部又は第1の側部12aに沿って凹み部分を形成する一方で、底面又は第2の側部12bに沿って隆起部分を形成している。図2Aに示されている実施形態では、複数個の山部20及び複数個の谷部22は、山部と谷部が交互に位置する状態で設けられると共に配置されており、これを起伏のある異形トレッド110を提供するものとして説明することができる。
【0013】
図2Bに例示的に示されているように、タイヤカーカスへの張り付け時、トレッド110は、これが半径R(図1Bに示されているよう)に定められたタイヤカーカスの丸い周囲(又は曲率)に合致しているときにリングを形成するよう弓形になる。したがって、山部20に対応したトレッド110の各部分は、事実、カーカスに向かって下方につぶれて(又は換言すると、谷部22が事実、山部20に向かって外方に押しやられて)山部20及び谷部22並びにこれらによって形成された起伏部を実質的になくしてタイヤカーカス(及び/又はこの部分とタイヤカーカスとの間に介在して位置する接着剤)に係合しながらリングを形成する。サイプ16及び溝24は、タイヤカーカスへのトレッド110の張り付け中に変形してそれぞれこれらの所望の幅SF,GFを達成することが推定される。特定の実施形態では、成形半径rは、底面側12bに沿って弓形(弧)を形成し、その長さは、接触側12aに沿って上方に反対側に位置した関連のトレッドブロックの長さにわたって延びる。
【0014】
所望のトレッドを達成するため、特定の実施形態では、任意の山部20の異形成形半径rは、例えば図2A及び図2Bに示されているように、意図したカーカス取り付け半径Rよりも小さい。この実施形態では、関連の山部20に沿って設けられた開口部を有するトレッド特徴部、例えば図示のサイプ16は、事実上、トレッド110をカーカスに張り付けると、サイズが減少する。例えば、引き続き図2A及び図2Bを参照すると、山部20に沿って位置決めされたサイプ16は、頂端部(即ち、開口端部)のところに初期成形幅SO/Aを有すると共に底端部(即ち、閉鎖端部)のところに初期成形幅SO/Bを有する。図示の実施形態では、頂部成形幅SO/Aは、その最終取り付け幅SFよりも大きく、その結果、サイプ16がタイヤカーカスへのトレッド110の張り付け中に閉じると、サイプ16は、これらの標的取り付け幅SFに達するようになる。他の実施形態では、成形半径rは、カーカス取り付け半径Rにほぼ等しいのが良く、このことは、タイヤカーカスへの張り付け時に山部20と関連したトレッドに沿って生じる変形が僅かであることを意味している。したがって、頂部成形幅SO/Aは、最終幅SFにほぼ等しい。ほぼ等しいという用語は、成形半径rが取り付け半径Rよりも僅かに大きく又は小さい場合があることを意味している。また、他の実施形態では、成形半径rは、取り付け半径Rよりも大きくても良いことは想定され、それにより、タイヤカーカス上への非異形の平板状トレッドの配置と関連した硬化(即ち、側方トレッド特徴部の開き)が依然として減少する。図示のように、初期成形底部幅SO/Bは、頂部初期幅SO/Aよりも小さいが、他の実施形態では、底部幅SO/Bが頂部幅SO/A以下であっても良いことが想定される。例示の実施形態では、取り付け半径Rは、長さが約0.5メートル(m)に5センチメートルを加えた長さ又は引いた長さであるが、これよりも長い又は短い取り付け半径Rが想定される。というのは、トレッド110を任意サイズのタイヤ又はタイヤカーカスに用いることができるからである。さらに、特定の実施形態では、サイプ16は、トレッド並びに山部位/又は谷部により形成される任意の輪郭に沿って1.5〜10mmだけ長手方向に間隔を置いて設けられるのが良い。ただし、これよりも大きな又は小さい他の離隔距離を用いることができる。
【0015】
図2A及び図2Bに示されているように、特定の実施形態では、側方溝14は、谷部22内に又はこれに沿って位置決めされるのが良い。このような場合、溝14の頂端部(即ち、開口端部)の初期成形幅GO/Aは、その最終取り付け幅GFよりも小さいのが良く、したがって、トレッド110をタイヤに張り付けると、溝14は、標的幅GFを達成するよう開くようになる。特定の実施形態では、底端部(即ち、閉鎖端部)の初期成形幅GO/Bは、図示のように、頂部初期幅GO/Aよりも大きいのが良いが、他の実施形態では、底部幅GO/Bは、頂部幅GO/A以下であっても良い。
【0016】
上述したように、サイプ16又は他の所望のトレッド特徴部(例えば、幅の狭い溝)を山部20に沿って位置決めすることが望ましい場合がある。任意のトレッド特徴部、例えばサイプ16が山部20上に位置決めされた状態で山部20の延びる方向と同一の方向に延びるのが良く、即ち、トレッド特徴部は、山部20の延長方向に平行に又はこれと同軸整列関係をなして延びるのが良いことが想定される。また、このような特徴部、例えばサイプ16は、山部20が延びる経路に対して横方向に山部20を横切って延びるのが良いことが想定される。例えば、図3Aに関し、第1のモールド部材32のサイプ形成部材46aと関連して形成されるサイプは、山部形成部分120により形成される関連の山部と同一の方向に延びる。同様に、図3Bにおいては、第1のモールド部材32のサイプ形成部材46bと関連して形成されるサイプは、山部形成部分120により形成される関連の山部と同一の方向に延びる。というのは、部材46bはジグザグ状部分120の同様に延びるセグメントに沿って延びるからである。しかしながら、図3Aでは、サイプ形成部材46bと関連して形成されるサイプは、山部形成部分120により形成される山部を横切る。同じことは、図3Bのサイプ形成部材46aと関連して形成されるサイプについてもいえる。図3A及び図3Bは、別個独立に、表面43が設けられている第1のモールド部材32と関連した異形キャビティ底面43を示している。このような図は又、異形底面43の独立表示上に重ね合わされた第1のモールド部材32のキャビティ42のトレッドパターンセグメント45を示し、この独立表示は、異形底面43の山部形成部分120及び谷部形成部分122に対するセグメント45及びそのトレッド特徴部の位置合わせ関係を示している。
【0017】
溝14が谷部22と関連して図示されているが、溝14を任意他のこのような溝のモールド設計がタイヤカーカスへのトレッド張り付け中に生じる撓みを補償することができる場合、山部20相互間の逆(移行)半径の各側に且つ山部20の側部又はピークに沿って配置しても良いことが想定される。同様に、サイプ16を山部20の任意の部分に沿って位置決めすることができる。例えば、図2Aに示されているように、サイプ16は、各山部20のピークのところに配置され、図9では、サイプ16は、各山部20のピークのところに配置され、隣り合うサイプ16は、各山部20の側部に沿ってその各側に配置されている。サイプ16は又、直線状に、弧状に又はジグザグ経路を描いて又は段付き経路を描いて延びても良い。さらに、任意のサイプ16の断面形状は、種々の幾何学的形状又は形態のうちの任意ものを取って良い。したがって、サイプ16は、タイヤ技術の範囲内において任意のサイプから成って良い。
【0018】
異形トレッド110を形成するため、異形モールド30を用いて先ず最初にトレッド要素を湾曲形状に形成し、トレッド要素又は特徴部の開きをトレッドが丸形タイヤカーカスに張り付けられるときに制御するのが良い。横方向特徴部、例えば溝及びサイプを含む幾つかの特徴部に関し、開口部の大きさを減少させ、これをなくし又は更に一段と閉じるようにする。他の特徴部、例えばトレッドブロック相互間の幅の広い溝は、いっそう開く場合があるが、これをトレッドパターンの設計において考慮すると共に補償することができる。これらの検討事項を念頭に置いた上で、異形モールドにより、少なくともトレッドモールドの底面側(タイヤ取り付け面側)に沿って、特定の実施形態では、更にトレッドモールドの頂面側(接触面側)に沿って設けられた関連の曲率を備えた状態で個々のトレッド及び特徴部を成形する。しかしながら、トレッドは、全体として平板状に位置合わせされ、したがって、従来型の平板状モールドプレスでトレッドを成形することができるようになっている。異形モールドの特定の実施形態は、タイヤトレッドを成形する方法及び装置を含む。
【0019】
したがって、本発明の特定の実施形態は、異形トレッドを形成するモールドを含む。このようなモールドの実施形態は、第1のモールド部材及び第2のモールド部材を含み、第1のモールド部材と第2のモールド部材は、第1及び第2のモールド部材がモールドキャビティ又は成形キャビティを実質的に包囲する第1の閉鎖位置から第1及び第2のモールド部材が互いにずらされる(又は離される)第2の開放位置に可逆的に変位可能である。第1の閉鎖位置では、第1のモールド部材と第2のモールド部材は、モールドを閉鎖してモールドキャビティを実質的に包囲するよう協働し、第2の開放位置では、第1のモールド部材と第2のモールド部材は、互いにずらされ(又は離され)、モールドは、開放形態を取る。第1のモールド部材は、道路又は路面に係合するトレッド要素及び特徴部を形成するモールドキャビティを備えている。成形されるべき材料をモールド内に配置し、モールドを閉鎖すると、この材料は、第1のモールド部材のモールド部分と第2のモールド部材との間に形成されたモールドキャビティを少なくとも部分的に充填し、モールドキャビティの壁をオーバーフローして材料をモールドキャビティ内に密封する「バリ」を形成する。ポリマー材料を成形し、熱硬化性ポリマーの場合、ポリマー材料に架橋を作って少なくとも部分的に硬化した材料をもたらすよう熱及び/又は圧力を受けるプラテン上に第1及び第2のモールド部材を直接配置しても良く又は間接的に配置しても良い。
【0020】
このようなモールドの特定の実施形態は、ポリマー材料を収容するようになったモールドキャビティを有する第1のモールド部材を更に含むのが良く、モールドキャビティは、トレッド特徴部を形成する複数個の内壁部材及びサイプ形成部材並びに異形モールドキャビティ底面を有する。別の実施形態では、第1のモールド部材のモールドキャビティ底面の輪郭は、第2のモールド部材成形面の輪郭と関連している。
【0021】
モールドの特定の実施形態は又、成形された異形ポリマー材料を形成するよう成形作業中に第1のモールド部材内のポリマー材料に接触するための異形成形面を備えた第2のモールド部材を提供する。別の実施形態では、異形成形キャビティ底面及び第2のモールド部材の異形成形面は、起伏した表面である。さらに、特定の実施形態では、異形成形キャビティ底面及び第2のモールド部材の異形成形面の各々は、1つ又は2つ以上の山部形成部分及び谷部形成部分を有することが想定される。特定の実施形態では、1つ又は2つ以上のサイプ形成部材は、山部形成部分のうちの1つ又は2つ以上に沿って位置決めされる。さらに、内壁部材のうちの少なくとも1つが谷部形成部分のうちの1つ又は2つ以上に沿って位置決めされ、内壁部材のうちの少なくとも1つはトレッド材料に側方溝を形成するような寸法形状のものであることが想定される。
【0022】
図3〜図5を参照すると、異形モールド30が例示の実施形態として示されている。したがって、異形モールド30は、第1のモールド部材32及び第2のモールド部材34を有する。第1のモールド部材32を下側プラテン(図示せず)上に配置するのが良く、下側プラテンは、成形対象の(及び幾つかの実施形態では、硬化対象の)材料、例えば熱硬化性又は熱可塑性材料を硬化させる熱を供給する。図3A及び図3Bに示されているように、第1のモールド部材32は、幅及び長さを備えた成形キャビティ42を包囲している複数個の外壁40によって境界付けられ、キャビティ幅は、トレッド110の側方の広がりと関連し、キャビティ長さは、タイヤの周囲に沿って延びることができるトレッド110の長手方向長さと関連している。成形キャビティ42は、1つ又は2つ以上の内壁部材44を有し、これら内壁部材は、一緒になって、ネガ型のトレッドパターンを構成する。さらに、キャビティ42は、1つ又は2つ以上のサイプ形成部材46を更に有する。サイプ形成部材46並びに内壁部材44(これらは、溝形成部材として働き、即ち、溝14を形成するよう働くのが良い)は、多数の幾何学的形状及び向きのうちの任意のものを有して良い。したがって、任意公知のサイプ又は溝設計を達成することができ、このような設計としては、例えば、直線形態、湾曲形態及び可変高さ形態及び/可変厚さ形態が挙げられる。サイプ形成部材46は、特定の実施形態では、上述した所望のサイプ厚さを達成するような寸法のものである。
【0023】
図4及び図5を参照して、本発明により提供される異形モールドによりポリマー材料を成形する方法について説明することができる。ポリマー材料は、熱硬化性又は熱可塑性材料であるのが良い。熱硬化性材料としては、天然ゴム及び合成ゴム、例えばブタジエン及び/又はイソプレンのポリマー及びコポリマーが挙げられる。熱硬化性材料としては、ポリマー、例えばポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。図4は、第1のモールド部材32及び第2のモールド部材34を有する異形モールド30の断面側面図であり、これらモールド部材は、モールドの開放形態で示されており、即ち、第1のモールド部材32と第2のモールド部材34は、互いにずらされている(又は離されている)。成形されるべきポリマー材料を第1及び第2のモールド部材32,34が図5に示されているように閉鎖位置に動かされたときに材料が成形キャビティ42の所定の部分を占めるのに十分な量、成形キャビティ42内に配置する。過剰な材料の量は、成形キャビティ42から逃げ出て第1のモールド部材32と第2のモールド部材34との間にシールを形成することができる。この材料の部分は、「バリ」と呼ばれている。
【0024】
本明細書において説明する異形モールドにより任意の異形トレッド設計例を形成することができるということが想定される。したがって、成形キャビティ42のトレッドパターンのうちの少なくとも一部分は、キャビティ底面43に沿って形成される輪郭に沿って延びるのが良い。より詳細に説明すると、キャビティ42内の部材44,46により形成されるトレッドパターンは、山部形成部分120及び谷部形成部分122と関連して配置されるのが良く、これらの部分は、所望配置状態の特徴部を備えた異形トレッド110を達成するようキャビティ底面43及び成形面36aに沿って輪郭を形成することができる。第2のモールド部材34の異形成形面36aは、例示の実施形態では、図4、図5及び図8に示されている山部形成部分120及び谷部形成部分122を有する状態で示されている。キャビティ底面43の輪郭と成形面36aの輪郭は、特定の実施形態では(例えば、図4及び図5に示されている)実質的に同じであっても良く、或いは、他の実施形態では互いにずれる一方で、依然として異形トレッド110を提供するのが良い。トレッド側部12a,12bの対応の輪郭も又、互いに同一であっても良く、或いは互いに異なっていても良いことが推定される。
【0025】
特定の実施形態では、第1のモールド部材32の周囲は、側部40によって形成されることが想定される。さらに、例えば図4に示された特定の実施形態は、モールド30が実質的に閉鎖された位置にあるとき、第2の部材34に係合する異形成形面36aに類似した輪郭部36bを備えた長手方向側部40を有している。実質的に閉鎖された位置では、トレッドのバリが第1のモールド部材32と第2のモールド部材34との間に介在して位置している場合のあることが想定される。
【0026】
材料の所定量部分を成形すると共に/或いは硬化させた後であって、成形されると共に/或いは少なくとも部分的に硬化した材料を異形モールド30から取り出すことが望ましい場合、第1のモールド部材32と第2のモールド部材34を分離し、そして開放形態に戻し、それによりモールド30を開く。したがって、モールド30は、成形ポリマー物品、例えばタイヤトレッド110を提供し、このタイヤトレッドは、成形された底部又は物品の全体的向きが全体として平板状であり又は平らである場合、物品又はトレッド110の長さに沿って延びる対応の輪郭を有している。特定の実施形態では、成形物品は、道路又は路面に接触するよう構成されているトレッド110の接触面側として働く第1の側部12a及びトレッド110をタイヤカーカス(図示せず)に取り付けるよう構成されたタイヤ取り付け底面として働く第2の側部12bを有している。溝14及びサイプ16も又、図2A及び図2Bと関連して上述したように設けられる。
【0027】
本明細書で説明するように、トレッドは、平板状の異形トレッドが丸形タイヤカーカスに沿って配置されると、所望のトレッド特徴部の寸法を達成するよう輪郭付けられるのが良い。したがって、側方に延びる山部20及び谷部22をトレッドに沿って配置すると共に付随する形成部を同様にモールド内に配置して所望のトレッド設計及び特徴を達成するのが良い。図3A及び図3Bを参照すると、第1のモールド部材32のキャビティ42内に形成されたトレッド設計例が示されている。さらに、このような第1のモールド部材32の各々の異形底面43の独立した表示も又、上述されると共にモールドキャビティ42内のトレッドパターンと関連して示されている。これは、トレッド設計の底面輪郭と特徴部との関連性をより明確に示すよう行なわれている。上述したように、第1のモールド部材32は、モールドキャビティ42を有し、このモールドキャビティは、異形底面43を有している。図示のように、各底面43及び成形面36aの輪郭は、山部形成部分120及び谷部形成部分122によって形成されるのが良い。各部分120,122は、任意所望のトレッドを提供するようモールドキャビティ42内の任意特定のトレッド特徴部と位置合わせされるのが良い。第2のモールド部材34の成形面36aも又、全体として図4、図5及び図8に示されているように山部形成部分120及び谷部形成部分122を有する。また、図3A及び図3Bに示されている山部形成部分120及び谷部形成部分122は、成形面36aに沿って側方に延びるのが良い。
【0028】
特定の実施形態では、トレッドは、トレッド長さに沿って間隔を置いて位置した複数個のセグメント45で構成されている。したがって、山部20及び/又は谷部22は、所望のトレッド特徴部と適正な位置合わせを容易にするよう各トレッドセグメント45と関連して配置されるのが良い。図13A及び図13Bを参照すると、トレッド設計部及び特徴部は、第1のモールド部材32のモールドキャビティ42内に構成されると共に配置されている。これら例示の実施形態では、それぞれ山部20及び谷部22を表す山部形成部分120及び谷部形成部分122がキャビティ42内のトレッドパターンの部分と位置合わせされた状態で示されている。図示のように、各セグメント45のサイプ46a,46bは、山部形成部分120に沿って位置決めされ又は位置合わせされ、他方、側方溝14と関連した内壁44は、一部が、谷部形成部分122に沿って位置決めされている。図示のように、各山部20及び各谷部22を各トレッドセグメント45と繰り返し設けることができるということが想定される。また、換言すると、トレッドセグメント45は、所望に応じて山部形成部分120及び谷部形成部分122に沿って位置決めされ又はこれらと関連して設けられても良い。図中、セグメント45の周囲は、別個独立に図示されたキャビティ底面43の対応の部分上に重ね合わされており、それにより内壁44及びサイプ形成部材46が異形底面43とどのように関連しているかが明確に示されている。想定されるように、任意のトレッド設計部並びに任意の対応のモールドキャビティ42は、所望に応じてトレッド設計部との任意の関連性を提供する異形キャビティ底面43を有するのが良い。したがって、サイプ16及び関連の他のトレッド特徴部の配置場所及び間隔は、トレッド設計例相互間で様々であって良いことが想定される。
【0029】
本明細書において説明した輪郭は、任意形状の輪郭を含むことができ、このような輪郭としては、対称の輪郭、非対称の輪郭、可変輪郭又は一定の輪郭が挙げられる。特定の輪郭がキャビティ底面43と共に図3A及び図3Bに示されており、これら輪郭は、モールド(又はトレッド)を側方に横切って延びると共にモールド(又はトレッド)中心線と第1のモールド部材32の外部の平らな底部の両方(即ち、モールド/トレッドの長手方向)に垂直に延びる垂直面に関して対称であるが、この輪郭は、側方に且つモールド(又はトレッド沿って長手方向)に延びる垂直平面に関しては対称ではない。図3A及び図3Bの別個独立に表示された異形キャビティ底面43の変形実施形態を示している図6及び図7の他の実施形態では、鉛直面と長手方向垂直面(上述の文章において説明されている)の両方に関して対称である正弦波輪郭が示されている。任意の実施形態において、任意輪郭(又は波)の振幅(即ち、高さ)は、可変輪郭を提供するようトレッドの長手方向及び/又は側方に増減するのが良い。さらに、任意の実施形態では、隣り合う谷部22又は山部20相互間のピッチ長さPは、トレッド110(及び対応のモールド30)の長さに沿って一貫して繰り返されても良く或いは所望に応じて変化しても良い。例示の実施形態では、ピッチ長さPは、2〜4インチ(5.08〜10.16cm)であり、更に別の実施形態では、4〜10mmであるが、これよりも短い又はこれよりも長いピッチ長さを用いることができる。
【0030】
トレッド110並びに第1のモールド部材32及び第2のモールド部材34と関連した輪郭は、任意の方向に又は任意の経路を辿って側方に延びるのが良い。具体的に説明すると、山部20及び/又は谷部34並びにキャビティ底面43及び成形面36aに沿ってそれぞれ延びる関連の山部形成部分120及び谷部形成部分122は、任意の方向に且つ任意の仕方で側方に延びるのが良い。図示のように、例えば、図3Aの実施形態では、これ又トレッドの山部20及び谷部22を表す山部形成部分120及び谷部形成部分122は、トレッド中心線CLに垂直な側方に直線的に延び、これに対し、図3B及び図7の実施形態は、非直線方向に側方に延びる山部形成部分120及び谷部形成部分122を提供している。図6を参照すると、山部形成部分120及び谷部形成部分122は、トレッド110の幅を横切ってバイヤス状態で(非垂直な角度で)側方に延びている。さらに、図8を参照すると、山部形成部分120は(しかしながら、他の実施形態では、任意の谷部形成部分122も又)、側方に不連続であっても良い(即ち、山部又は谷部は、トレッド110のトレッド幅全体にわたって延びてはおらず、これとは異なり、1つ又は2つ以上のセグメントの状態で延びていても良い)。したがって、山部20及び谷部22並びに山部形成部分120及び谷部形成部分122は、任意所望のトレッドパターンの特徴部に対応するよう任意の向きに配置できる。
【0031】
したがって、本発明の特定の実施形態は、異形タイヤトレッドを形成する方法を含む。特定の実施形態では、このような方法は、ポリマー材料をモールド内に配置するステップを有し、モールドは、第1のモールド部材及び第2のモールド部材を有し、第1のモールド部材と第2のモールド部材は、第1及び第2のモールド部材がモールドキャビティを実質的に包囲する第1の閉鎖位置から第1及び第2のモールド部材が互いにずらされた第2の開放位置に可逆的に相互に変位可能であり、第1のモールド部材は、ポリマー材料を収容するようになったモールドキャビティを有し、モールドキャビティは、トレッド特徴部を形成する複数個の内壁部材及びサイプ形成部材と、異形モールドキャビティ底面とを有し、第2の部材は、成形作業中、第1のモールド部材内のポリマー材料に接触して成形された異形ポリマー材料を形成するための異形成形面を有する。このような方法の他のステップは、第1及び第2の部材を閉鎖位置に配置することによりモールドを閉鎖してポリマー材料をモールドキャビティ内に分布して配置し、それにより成形ポリマー材料を提供するステップを有し、第1及び第2の部材を開放位置に配置することによってモールドを開放するステップを有するのが良い。
【0032】
本発明をその特定の実施形態により説明したが、このような説明は、例示であって、本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。したがって、本発明の範囲及び内容は、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異形トレッドを形成するモールドであって、前記モールドは、
第1のモールド部材及び第2のモールド部材を有し、前記第1のモールド部材と前記第2のモールド部材は、前記第1及び前記第2のモールド部材がモールドキャビティを実質的に包囲する第1の閉鎖位置から前記第1及び前記第2のモールド部材が互いにずらされた第2の開放位置に可逆的に相互に変位可能であり、
前記第1のモールド部材は、ポリマー材料を収容するようになったモールドキャビティを有し、前記モールドキャビティは、トレッド特徴部を形成する複数個の内壁部材及びサイプ形成部材と、異形モールドキャビティ底面とを有し、前記第2のモールド部材は、成形作業中、前記第1のモールド部材内の前記ポリマー材料に接触して成形された異形ポリマー材料を形成するための異形成形面を有する、モールド。
【請求項2】
前記第1のモールド部材の前記モールドキャビティ底面の輪郭は、前記第2のモールド部材成形面の輪郭と関連している、請求項1記載のモールド。
【請求項3】
前記異形モールドキャビティ底面及び前記第2のモールド部材の異形成形面の各々は、起伏した表面を形成している、請求項1記載のモールド。
【請求項4】
前記異形モールドキャビティ底面及び前記第2のモールド部材の前記異形成形面の各々は、1つ又は2つ以上の山部形成部分及び谷部形成部分を含む、請求項1又は3記載のモールド。
【請求項5】
1つ又は2つ以上のサイプ形成部材が前記山部形成部分のうちの1つ又は2つ以上に沿って位置決めされている、請求項4記載のモールド。
【請求項6】
前記内壁部材のうちの少なくとも1つは、前記谷部形成部分のうちの1つ又は2つ以上に沿って位置決めされ、前記内壁部材のうちの前記少なくとも一つは、前記トレッド材料中に側方溝を形成するような寸法形状のものである、請求項4又は5記載のモールド。
【請求項7】
前記ポリマー材料は、熱硬化性ポリマーである、請求項1〜6のうちいずれ一に記載のモールド。
【請求項8】
異形タイヤトレッドを形成する方法であって、前記方法は、
ポリマー材料をモールド内に配置するステップを有し、前記モールドは、第1のモールド部材及び第2のモールド部材を有し、前記第1のモールド部材と前記第2のモールド部材は、前記第1及び前記第2のモールド部材がモールドキャビティを実質的に包囲する第1の閉鎖位置から前記第1及び前記第2のモールド部材が互いにずらされた第2の開放位置に可逆的に相互に変位可能であり、前記第1のモールド部材は、ポリマー材料を収容するようになったモールドキャビティを有し、前記モールドキャビティは、トレッド特徴部を形成する複数個の内壁部材及びサイプ形成部材と、異形モールドキャビティ底面とを有し、前記第2の部材は、成形作業中、前記第1のモールド部材内の前記ポリマー材料に接触して成形された異形ポリマー材料を形成するための異形成形面を有し、
前記第1及び前記第2の部材を前記閉鎖位置に配置することにより前記モールドを閉鎖して前記ポリマー材料を前記モールドキャビティ内に分布して配置し、それにより成形ポリマー材料を提供するステップを有し、
前記第1及び前記第2の部材を前記開放位置に配置することによって前記モールドを開放するステップを有する、方法。
【請求項9】
前記第1のモールド部材の前記モールドキャビティ底面の輪郭は、前記第2のモールド部材成形面の輪郭と関連している、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記異形モールドキャビティ底面及び前記第2のモールド部材の異形成形面の各々は、起伏した表面を形成している、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記異形モールドキャビティ底面及び前記第2のモールド部材の前記異形成形面の各々は、1つ又は2つ以上の山部形成部分及び谷部形成部分を含む、請求項8又は10記載の方法。
【請求項12】
1つ又は2つ以上のサイプ形成部材が前記山部形成部分のうちの1つ又は2つ以上に沿って位置決めされている、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記内壁部材のうちの少なくとも1つは、前記谷部形成部分のうちの1つ又は2つ以上に沿って位置決めされ、前記内壁部材のうちの前記少なくとも一つは、前記トレッド材料中に側方溝を形成するような寸法形状のものである、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
異形タイヤトレッドであって、
1つ又は2つ以上のトレッド特徴部を備えると共に前記トレッドの接触面側を形成する第1の側部及び前記第1の側部と反対側に位置していて、タイヤ取り付け底面を形成する第2の側部を備えた長手方向に延びる本体を有し、前記トレッド特徴部は、前記トレッド本体の前記第1の側部と前記第2の側部との間に延びる前記トレッドの厚み中に延び、
前記トレッド本体に沿って側方に延びると共に前記第1の側部に沿う隆起部分及び前記第2の側部に沿う窪みを形成する山部を有する、トレッド。
【請求項15】
前記トレッド本体に沿って側方に延びると共に前記第1の側部に沿う窪み及び前記第2の側部に沿う隆起部分を形成する谷部を更に有する、請求項14記載のトレッド。
【請求項16】
複数個の山部及び谷部が山部と谷部が交互に位置した状態で提供されると共に配置されている、請求項15記載のトレッド。
【請求項17】
前記1つ又は2つ以上のトレッド特徴部は、1つ又は2つ以上の側方サイプを含み、前記1つ又は2つ以上の側方サイプは、前記山部に沿って位置決めされている、請求項14〜16のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項18】
前記1つ又は2つ以上のトレッド特徴部は、1つ又は2つ以上の側方溝を含み、前記1つ又は2つ以上の側方溝は、前記窪みに沿って位置決めされている、請求項14〜17のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項19】
前記山部は、トレッド中心線に実質的に垂直な方向に側方に延びている、請求項14〜19のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項20】
前記山部は、非線形方向に側方に延びている、請求項14〜19のうちいずれか一に記載のトレッド。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−501256(P2012−501256A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524955(P2011−524955)
【出願日】平成20年8月31日(2008.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/074952
【国際公開番号】WO2010/024827
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【Fターム(参考)】