異形容器の方向修正装置
【課題】胴部に長方形や楕円形の断面を有する異形容器を、一定の方向に向けて揃えることができる異形容器の方向修正装置を提供する。
【解決手段】ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、充填機入り口スターホイール2の外周に、異形容器16の代表寸法に近い直径の軟質材からなる円板状方向規制ガイド11,12を距離を隔てて二箇所に配設しておき、前記スターホイール2によって移送されてきた異形容器16の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、当該容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が前記方向規制ガイド11,12に接触する際に、前記方向規制ガイド11,12の押し圧力と摩擦力によって当該接触部分が挫屈変形することなく、単に当該異形容器16全体が前記方向規制ガイド11,12上を転がり超えるように、当該方向規制ガイド11,12の配置寸法並びに厚さ等を調整する。
【解決手段】ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、充填機入り口スターホイール2の外周に、異形容器16の代表寸法に近い直径の軟質材からなる円板状方向規制ガイド11,12を距離を隔てて二箇所に配設しておき、前記スターホイール2によって移送されてきた異形容器16の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、当該容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が前記方向規制ガイド11,12に接触する際に、前記方向規制ガイド11,12の押し圧力と摩擦力によって当該接触部分が挫屈変形することなく、単に当該異形容器16全体が前記方向規制ガイド11,12上を転がり超えるように、当該方向規制ガイド11,12の配置寸法並びに厚さ等を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異形容器の方向修正装置に関し、より詳しくは、胴部に長方形や楕円形の断面を有する異形容器を、一定の方向に向けて揃える異形容器の方向修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送コンベアで、清浄な異形空容器を充填ステーションに搬入し、流体材料或いは粉粒体材料を異形容器に充填した後、蓋を閉めてラベルを貼付し、搬送コンベアで搬出する一連の充填ラインにおいて、異形容器の短辺或いは短径が、前記搬送コンベアの進行方向に平行になるにしたがって容器の進行方向の据わりが悪くなり、当該異形容器は前後に倒れ易くなる。前記容器の転倒は、転倒容器のジャミング、充填物の漏出・汚染、機械装置の破損、当該ラインの運転停止等、様々な不具合を惹起し、生産ラインの稼働率に直接影響する大きな問題となっていた。
また、充填物の品質の面では、充填機に装着される異形空容器の短辺或いは短径が、搬入コンベアの進行方向に平行に近くなればなるほど、充填ノズルの特性により液体充填物に相応量の空気が混入し、発泡による入味の不足や、酸化による賞味期限短縮を起こす不具合を持っていた。
【0003】
異形容器の転倒を回避し、充填品質の低下を防止する最も有効な対策は、当該異形容器の長辺或いは長径が前記コンベアの進行方向にできるだけ平行になるように、当該異形容器の方向を修正してから、前記コンベアに載せることであった。
前記対策の一例としての公知技術は、特許文献1に開示されているように、生産ラインの特定の場所における変形容器の方向を検出する検出器と、前記変形容器に係合して一体的に移送される係合部材と、当該係合部材を回転させて前記変形容器を回転させる回転駆動機構を備え、前記検出器からの検出信号に基づき、前記回転駆動機構を異なった位置に停止させる複数の位置決めピンを制御して、前記回転駆動機構による変形容器の回転角度位置を制御し、当該変形容器の方向を一回の制御で、所定の方向に揃える方向規制装置である。
【0004】
なお、前記特許文献1は、変形容器の搬送中の転倒や、充填品質の低下を防止するのが目的でなく、方形容器が持つ四面中の特定の一面を整列させることが目的であり、三組の検出器並びに複雑な制御システムと、複雑高価な専用方向規正装置を使用することを提案している。
これに対して、本発明の目的は、異形容器の搬送時の動力を利用して、全ての異形容器の長手方向が、当該容器の進行方向に向くように規制するだけであるから、複雑高価な専用装置や制御システムを使用せず、異形容器の搬送方向を規制することが可能な簡単な手段を提供することである。
【0005】
前記特許文献1の技術では、変形容器の方向を揃えるために専用機を必要とし、当該装置が複雑で高価になる欠点がある。その欠点を改善し、充填装置の物品載置台等を利用して、物品の方向整列を行なえるようにした、方向整列装置を内蔵した充填装置の技術が特許文献2に開示されている。
前記特許文献2においては、方形の物品(空容器)が、タイミングスクリュー並びに供給側スターホイールで方向を定められて充填機に供給され、必要あれば充填機内で方向修正と内容物の充填を行ない、出口側スターホイールで整列されて排出コンベアに移載する構成が開示されており、特許文献1のような複雑な専用機は不必要となっている
しかしながら、搬出入のコンベア並びにスターホイール、場合によってはタイミングスクリューが必要であり、尚且つ複雑な構造の充填機に適用が限られると言う技術上の問題点がある。
【特許文献1】特公平2−14245号公報(第3図)
【特許文献2】特公平7−86043号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第一の課題は、充填機に清浄な異形空容器を供給する部分の条件を勘案し、前記空容器の方向修正を、搬送動力を利用する付加的搬送物ガイドで行なわせる事を目的とする。
詳しくは、充填の前工程は、空容器の洗浄・殺菌であり、当該容器は、首下をグリッパによって把持された状態で、倒立或いは吊り下げられて洗浄・殺菌・抜液処理を受け、スターホイール並びに付属するグリッパの間の受け渡しによって、充填機に吊り下げられたまま搬入される。
したがって、異形空容器は、その長辺或いは長径が搬送される方向に平行な、正しい角度方向のままグリッパ間の受け渡しを通るものもあるが、その角度方向が狂って受け渡されるものもあり、これら様々な方向性の異形容器を、その長手方向が一定範囲内で搬送方向に平行に近くなるように規制することが必要である。
【0007】
方向の狂いには、当該空容器が搬送されている時に、多数のネックグリッパの受け渡し及びタイミングのズレによって拡大する比較的大きな前進角αが付いている場合(図7を参照)と、縮小される後退角β(図8を参照)或いは比較的小さな前進角α’(図9を参照)が付いている場合との二種類あるが、前記付加的搬送物ガイドは、方向性の修正が容易な後退角及び小前進角の付いた容器は勿論のこと、修正が容易でない比較的大きな前進角を持っている異形空容器に有効に働きかけて、異形容器の長手方向が一定範囲内で搬送方向に平行に近づくように修正させることが目的である。
方向の狂いが後退角或いは比較的小さな前進角の異形容器は、前記付加的搬送物ガイドにより、容易に方向性の狂いを縮小され所定範囲内に修正される。
【0008】
第二の課題は、前記異形容器には肉厚の薄いPET(ポリエチレンテレフタレート)製が多く、過度の外力が働くと、挫屈変形を起こして凹み傷が付き、商品価値を損なうことがある。
また、グリッパが前記異形空容器のネック部を把持しているために、前記容器の方向修正には相当のトルクを必要とすることを勘案し、前記空容器の方向を修正させる前記付加的搬送物ガイドの容器と接触する部分は、柔らかな材質を選定して接触応力を緩和しながら適当な押し圧を与え得る機構にすると同時に、前記異形容器を損傷せずに方向修正に必要なトルクを与えることが必要である。その材質の適当な物性と関係寸法の妥当な範囲を決定することを目的とする。
【0009】
第三の課題は、充填ステーションの次工程となる蓋締め装置(キャッパー)から排出され、搬出コンベアに移送される実入り異形容器の中で前記大きな前進角及び後退角のものを、付加的搬送用ガイドにより簡単に修正可能な小さな前進角度或いは後退角度方向に修正する装置を発明することを目的とする。
前記実入り異形容器の場合には、実液圧による容器弾性増加ために相当程度の外力が作用しても、挫屈変形が発生し難く、且つまた、前記容器の保持方法も、前記キャッパー本体を構成するスターホイールとネックガイドによる支持が主体で、把持力が不要な構造のため、前記方向規制装置は前記実入り異形容器に比較的小さなトルクを一時的に与えるだけで、当該異形容器の角度方向は容易に転化する。なお、実入り異形容器は比較的大きな回転質量と小さな抵抗トルクを持っているので過回転し易く、転化角度の行き過ぎに歯止めをかけながら(詳しくは図13参照)、小さな角度方向に転化・修正させることが必要である。
【0010】
第四の課題は、方向の狂いを縮小し、実用的に満足できる範囲内に異形容器の方向を揃える簡単な構造で、実入り異形容器(前記キャッパー出口部)の場合に適用できるアイデアを、当該方向規制装置に盛り込むことを目的とする。
この点に関しては、従来技術として広く用いられてきた、スターホイールとその外周をカバーするアウターガイドとの間隔を漸近的に縮小して、全ての異形容器の長辺或いは長径を、進行方向に平行に揃えるように規制するアイデアが、実施可能で堅実な手段として考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題に対し、本発明は以下の各手段により解決を図る。
(1)第1の手段の異形容器の方向修正装置は、ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、充填機入り口スターホイールの外周に、異形容器の代表寸法(長方形容器の長軸と短軸の算術平均長、楕円形或いは長円形容器に対しては長径と短径の算術平均径を代表寸法とする。)に近い直径の軟質材からなる円板状方向規制ガイドを距離を隔てて二箇所に配設しておき、前記スターホイールによって移送されてきた異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、当該容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が前記円板状方向規制ガイドに接触する際に、前記方向規制ガイドの押し圧力と摩擦力によって当該接触部分が挫屈変形することなく、単に当該異形容器全体が前記円板状方向規制ガイド上を転がり超えるように、当該円板状方向規制ガイドの配置寸法並びに厚さ等を調整することを特徴とする。
【0012】
(2)第2の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第1の手段の異形容器の方向修正装置において、前記方向規制ガイドは、主ガイドと副ガイドの二種類が前記異形容器の外接円直径以上の距離を置いて配設され、主ガイドは当該異形容器の方向転換を行い、副ガイドは、前記ネックグリッパの把持トルクによる抵抗で主ガイドによる転換角度が不十分な場合に備えて更に角度修正を行い、規定値以下の後退角度に収める機能を持たせ、ネックグリッパの把持トルクのバラツキに備えたことを特徴とする。
【0013】
(3)第3の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第2の手段の異形容器の方向修正装置において、前記主ガイド、副ガイドともに前記異形容器の中央胴部に接触する高さに設置し、且つ当該ガイドの厚さは前記接触力によって前記異形容器の中央胴部が挫屈変形を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法であることを特徴とする。
【0014】
(4)第4の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第2の手段の異形容器の方向修正装置において、前記主ガイドに対する副ガイドの相対位置関係は、副ガイドの接触面が主ガイドの異形容器との接触面よりは前に出ることはなく、逆に、主ガイドが規制すべき角度より跳ね戻って、大きな角度のまま搬送される一部の容器の異常後退角度を、副ガイドが前記規定値以下の後退角度に修正し得る位置に後退配置しておくことを特徴とする。
【0015】
(5)第5の手段の異形容器の方向修正装置は、ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、キャッパーから排出され搬出コンベアまで移送される実入り異形容器は、スターホイールによって受け取り・搬送されるが、その外周にはアウターガイドが付設されて、実入り異形容器が遠心力で跳び出さないよう限定しており、前記スターホイールの実入り異形容器引取部の直後には、搬送路に一部を突出した半円とその中央頂部から滑らかに伸長し前記アウターガイドを斜めにラップする腕を備えた形状のステンレス鋼製板状方向規制ガイドが付設されており、前記スターホイールによって搬送されてきた実入り異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が、前記半円形円弧と腕部をもった方向規制ガイドに接触したときに、当該実入り異形容器が前記方向規制ガイド上を転がり超えるように、また、前記腕部によって当該異形容器の転がり過ぎが制止されるように、当該方向規制ガイドの配置寸法や取り付け角度等を調整したことを特徴とする。
【0016】
(6)第6の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第5の手段の異形容器の方向修正装置において、前記方向規制ガイドは前記実入り異形容器の中央胴部に接触する高さに設置するものとし、当該ガイドの厚さは前記接触力によって前記充実異形容器の中央胴部が損傷を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法であることを特徴とする。
【0017】
(7)第7の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第5の手段の異形容器の方向修正装置において、前記スターホイール外周に付設されるアウターガイドは、前記ステンレス鋼製板状方向規制ガイド部から前記搬出コンベアへの引渡し部に至るまでスターホイール外周との間隔を漸近的に縮小して実入り異形容器を搬送中にスターホイールの凹部に押し込めて、その小さな前進角或いは後退角度方向を修正して、搬出コンベアへ引き渡される時には異形容器の長辺或いは長軸は搬出コンベアの搬送方向に殆ど平行になるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係わる発明は、充填機入り口のスターホイールに、ネックグリッパ渡しで供給される異形空容器の長手方向角度が、搬送方向に対して様々であるものを、付加的方向規制ガイドを通過させることによって一挙に、或いは二段階に分けて角度を修正し、当該異形空容器の長手方向を搬送方向に略一致させた後、前記充填機に供給せしめるので、簡単な装置で当該異形容器の入味を正確に保ち、気泡の混入による品質の低下を防止する効果が得られる。
【0019】
請求項2に係わる発明は、前記付加的方向修正ガイドの主ガイドが、前記ネックグリッパの把持トルクの抵抗によって、当該異形空容器の充分な角度修正ができなかった場合、副ガイドの角度修正が機能して前記異形空容器の角度方向の狂いを規定値以下に修正し、
充填機に供給することにより前記ネックグリッパの把持トルクのバラツキによる品質変動を防止する効果が得られる。
【0020】
請求項3に係わる発明は、押し圧に対する脆弱性を持った異形容器が、ネックグリッパによって首下を把持されて搬送されて来る状態において、軟質材料製の円形固定ガイドを使用することによって、前記異形空容器の外面に損傷を与えずにネック回りに回転せしめ、当該異形空容器の長手方向角度を有効に修正させる効果が得られる。
【0021】
請求項4に係わる発明は、前記副ガイドの適正な機能を発揮させる一方、主ガイドの角度修正作用を受けない小さな前進角度を持った異形空容器との、万一の衝突による挫屈破損を回避する効果がある。
【0022】
請求項5,7に係わる発明は、キャッパーから排出され搬出コンベアに移送される実入り異形容器において、長手方向が搬送方向に対してなす角度が、前記前進角或いは後退角を問わず大きい場合に、キャッパー出口スターホイールの搬送力と付加的方向規制ガイドの作用によって小さな前進角、或いは後退角に転化し、続いてスターホイール外周に付設されたアウターガイドの幅寄せ作用により、実入り異形容器の長辺或いは長軸を搬送方向に殆ど一致させ、搬出コンベアに供給することにより、当該搬出コンベア上の実入り異形容器を安定させる効果がある。
【0023】
請求項6に係わる発明は、充填物により重量と回転慣性モーメントを増した実入り異形容器に、前記ステンレス鋼製板状ガイドから相当強さの押し圧を加えて、相当角度回転させる場合に、当該実入り異形容器に損傷を与えず、長手方向角度を有効に修正せしめる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は充填ラインの装置レイアウトの中に本発明の方向修正装置と異形容器の向きを記入した模式レイアウト図である。図2は、第1の実施の形態に係る充填機入り口スターホイールの搬送路に付加的に設置される円板状方向規制ガイドに、比較的大きな前進角を持った異形空容器が接触する様子を表した模式平面図である。図3は図2の異形空容器が、前記円板上を転がり超えて後退角を持つに至った様子を表した模式平面図である。図4は図3の後退角を持った異形空容器が第二の円板状方向規制ガイドに接触する様子を表した模式平面図である。図5は図4の異形空容器の後退角が、第二の円板状方向規制ガイドによって更に修正されて、充填機に適合する角度方向になった様子を表した模式平面図である。図6は充填機入り口スターホイールと、異形空容器及び本発明の円板状方向規制ガイドの支持方法並びに上下方向の位置関係を示す側面図である。
【0025】
図7は比較的大きな前進角を持った異形空容器が軟質円板状方向規制主ガイドに接触した場合の作用力を示した模式平面図である。図8及び図9は、それぞれ後退角を持った異形空容器の場合及び比較的小さな前進角の場合の様子を示した模式平面図である。
【0026】
図1の充填ラインの装置レイアウトにおいて、濯ぎ機1で殺菌・洗浄・抜液された異形空容器16は、首下をグリッパ2gによって把持されたまま充填機入り口スターホイール2のグリッパに受け渡されるが、当該容器断面の長辺或いは長径は様々な方向を向いている。前記充填機入り口スターホイール2の異形空容器受け取り部近くには、本発明の一つである異形空容器用方向規制ガイド装置10が付設されており、前記異形空容器16がスターホイール2によって搬送される際に前記方向規制ガイド装置10の側面を通過すると、当該異形空容器16の断面の長辺或いは長径は全て搬送方向に沿った小さな前進角或いは後退角に修正される。(図1の充填機入り口スターホイール2の周上に縦列等間隔に整列した小さな近似長方形の一つ一つが当該異形空容器16である。)4は、充填機出口スターホイールを示す。
【0027】
図2,3,4,5は、異形空容器用方向規制ガイド装置10が、比較的大きな前進角の異形空容器16の方向を修正する様子を段階的に示したものである。軟質円板状方向規制主ガイド11、軟質円板状方向規制副ガイド12、ガイド取り付け台13、充填機入り口スターホイール2、当該スターホイール2に備えられたネックグリッパ2g、異形空容器16、搬送方向(矢印)T等は何れの図においても共通である。
なお、軟質円板状方向規制主ガイド11及び軟質円板状方向規制副ガイド12は、異形容器の代表寸法(長方形容器の長軸と短軸の算術平均長、楕円形或いは長円形容器に対しては長径と短径の算術平均径を代表寸法とする。)に近い直径を有するとともに、両ガイド11,12は異形空容器16の外接円直径以上の距離を隔てて配置されている。
前記主ガイド11は当該異形空容器16の方向転換を行い、前記副ガイド12は、前記ネックグリッパ2gの把持トルクによる抵抗で同主ガイド11による転換角度が不十分な場合に備えて更に角度修正を行い、規定値以下の後退角度に収める機能を持たせ、ネックグリッパ2gの把持トルクのバラツキに備えた付加的な方向規制ガイドである。
また、前記主ガイド11、副ガイド12ともに前記異形空容器16の中央胴部に接触する高さに設置し、且つ当該ガイド11,12の厚さは前記接触力によって前記異形空容器16の中央胴部が挫屈変形を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法となっている。
【0028】
図2は、濯ぎ機1から充填機入り口スターホイール2のポケット2aに、長辺或いは長径が搬送方向Tに対して比較的大きな前進角αを持った方向の姿勢で供給された異形空容器16が、ゴムパッド等からなる軟質円板状方向規制主ガイド11に接触した時を表している。この時に異形空容器16の接触部には、原理的に当該主ガイド11の表面から垂直に作用する反発力rと、接線方向に働く摩擦力fとが作用し、その合成力pは反時計回りのモーメントとなって異形空容器16のネック部に作用している把持トルクに対抗するが、充填機入り口スターホイール2の搬送作用とともに当該異形空容器16の回転中心CがT方向に移動し、前記反時計回りのモーメントが前記把持トルクを凌駕するようになり(図7参照)、当該異形空容器16は軟質円板状方向規制主ガイド11上を転がり超えて比較的小さな後退角βに修正される。図2から図3に移行する際に、前記スターホイールによって移送されてきた異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、当該容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が前記円板状方向規制ガイドに接触しながら、軟質円板状方向規制主ガイド11に異形空容器16の角部が当接して凹み、図2から図3へ移行する間に元の形状に容器自身の弾性力で復元するようになっている。
【0029】
図2以外の異形空容器16と軟質円板状方向規制主ガイド11が接触する場合として、比較的小さな前進角αを持った異形空容器16の時(図9参照)と、後退角βを持った異形空容器16の時(図8参照)とがあるが、これらの場合は作用する反発力rと摩擦力fの合成力pの回転モーメントを勘案すれば、それぞれ更に小さな前進角と後退角に修正されることが判る。
また、前記スターホイール2により搬送されてくる異形空容器16の中には、更に小さな前進角或いは後退角のものもあり、初めから前記方向規制主ガイド11に接触せずに素通りして行く。
図4は、図3の異形空容器16が更に搬送されて軟質円板状方向規制副ガイド12に接触する時を表している。同方向規制副ガイド12は、前記方向規制主ガイド11より若干後退した位置であって、且つまた、修正後の異形空容器16の後退角が、充填機3の充填品質基準に合致するような範囲内に収まる位置に調整されている。即ち、前記主ガイド11に対する同副ガイド12の相対位置関係は、同副ガイド12の接触面が同主ガイド11の異形空容器16との接触面よりは前に出ることはなく、逆に、同主ガイド11が規制すべき角度より跳ね戻って、大きな角度のまま搬送される一部の容器の異常後退角度を、同副ガイド12が前記規定値以下の後退角度に修正し得る位置に後退配置されている。
【0030】
図5は、軟質円板状方向規制副ガイド12によって、異形空容器16の方向角度が充填機3の充填品質基準に合致するような小さな範囲内に修正される様子を表している。この規定値としての角度範囲は、一例として前進角、後退角を問わず搬送方向に対して20度以内が推奨される。また、軟質円板状方向規制ガイドの材質には合成ゴム(例えばフッ素ゴム)等が弾力性と耐磨耗性のバランスがよいので使用される。
図6は、充填機入り口スターホイール2に備えられたネックグリッパ2gによって首下を把持された異形空容器16とガイド取り付け台13に付設された軟質円板状方向規制主ガイド11及び副ガイド12の高さ方向の位置関係を示す断面図であるが、前記主・副両ガイドともに挫屈変形の起こり難い異形空容器胴部に当たるように設置される。
【0031】
(第2の実施の形態)
図10は、第2の実施の形態に係るキャッパー出口スターホイール、実入り異形容器、本発明のステンレス鋼製板状ガイド及びアウターガイド等の支持方法並びに上下方向の位置関係を示す側面図である。
図11はキャッパー出口スターホイールの搬送路に付加的に設置されたステンレス鋼製板状ガイドとアウターガイドに、比較的大きな前進角を持った実入り異形容器が接触する様子を表した模式平面図である。図12は図11の実入り異形容器が前記ステンレス鋼製板状ガイドの円弧部を転がり超えて後退角を持つに至った様子を表した模式平面図である。図13は図11の実入り異形容器が、前記ステンレス鋼製板状ガイドの円弧部を転がり越える際に、転がり抵抗が小さく相対的に異形容器の慣性モーメントが大きい場合に、前進角になった様子を表した模式平面図である。なお、ステンレス鋼製板状ガイドの腕部は、容器の前進角が大きくならないように規制している。第1の実施の形態と特に異なる部分について説明する。
【0032】
図1の充填ラインの装置レイアウトにおいて、キャッパー5から排出される実入り異形容器25(縦列等間隔に整列した小さな近似長方形で表現)は、キャッパー出口(ポケット式)スターホイール6によって受け取られ、直ぐにアウターガイド21に誘導されて、ステンレス鋼製板状ガイド20の側面を通過するように構成されている。前記実入り異形容器25の角度方向は、大小の前進角或いは後退角等様々であるが、一旦前記ステンレス鋼製板状ガイド20の側面を通過すると、全ての実入り異形容器25の角度方向は比較的小さい前進角或いは後退角に規制されて搬送されてくるので、前記アウターガイド21は搬出コンベア7までの搬送過程において、実入り異形容器25の角度方向を規定範囲内の小さな値に規制することができる。ステンレス鋼製板状ガイド20は、前記実入り異形容器25の中央胴部に接触する高さに設置するものとし、当該ガイド20の厚さは前記接触力によって前記実入り異形容器25の中央胴部が損傷を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法で、ガイド取り付け台22に支持されている。
また、前記スターホイール6の外周に付設されるアウターガイド21は、前記ステンレス鋼製板状ガイド20部から前記搬出コンベア7への引渡し部に至るまで同スターホイール6の外周との間隔を漸近的に縮小して実入り異形容器25を搬送中に同スターホイール6のポケット6aに押し込めて、その小さな前進角或いは後退角度方向を修正して、搬出コンベア7へ引き渡される時には実入り異形容器25の長辺或いは長径は搬出コンベア7の搬送方向に殆ど平行になるように構成されている。
【0033】
図11は、比較的大きな前進角を持った実入り異形容器25が、ステンレス鋼製板状ガイド20に接触した時を表している。この時に実入り異形容器25の接触部には、当該ステンレス鋼製板状ガイド20の表面から垂直に作用する反発力rと、接線方向に働く摩擦力fとが作用し、その合成力pは反時計回りのモーメントとなって当該実入り異形容器25を回転中心Cの周りに回転させ、前記ステンレス鋼製板状ガイド20の凸部を転がり超えさせる。
当該実入り異形容器25は、前記ポケット6aを有するキャッパー出口スターホイール6のネックガイド6bとポケット6aにより保持されているのみで、前記転がりに対する抵抗トルクは比較的小さく、充填物が入っている実入り異形容器25の慣性モーメントとの兼ね合いで、前記ステンレス鋼製板状ガイド20の凸部を転がり超えた実入り異形容器25は、一定限度内の後退角β(図12参照)或いは前記ステンレス鋼製板状ガイド20のガイド腕部20aで規制された比較的小さな前進角αとなる。(図13参照)
【0034】
前記ステンレス鋼製板状ガイド20により、一定限度内の後退角或いは比較的小さな前進角に規制された実入り異形容器25は、前記スターホイール6によって搬送されるとともに、外周に付設されたアウターガイド21の幅寄せ作用により、順次角度方向を搬送方向に平行に近づけられて行く。
なお、前記ステンレス鋼製板状ガイド20とアウターガイド21は別体の装置であるが、これらを一体として実入り異形容器方向規制ガイド(図示せず)とし、組み付け・調整の容易化を図ることも可能である。
結局、実入り異形容器25が、前記キャッパー出口(ポケット式)スターホイール6によって整列搬送され搬出コンベア7に引き渡される時には、その角度方向は搬出コンベア7の進行方向にほぼ平行になっており、当該実入り異形容器25は同コンベア7の駆動力や搬送速度の多少の変動に対しても、列を乱したり転倒する等の障害を起こすことなく、安定して次の工程へ移送される。キャッパーから排出され搬出コンベアまで移送される充実異形容器の方向規制ガイドにも、異形空容器の方向規制ガイドに適用する軟質円板状方向規制ガイドを使用することにより、充填物の品質の保持並びに方向規制ガイド部品・取り付け冶具等の標準化によって、当該充填ラインの運転管理に寄与することができる。
なお、キャッパー5から排出され排出コンベア7まで移送される実入り異形容器25の方向規制ガイドに対しても、第1の実施の形態のような異形空容器6の方向規制ガイド装置10に適用する軟質円板状方向規制ガイド11,12を使用することにより、充填物の品質の保持並びに方向規制ガイド部品、取り付け治具等の標準化によって、当該充填ラインの運転管理に更に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】充填ラインの装置レイアウトの中に本発明の方向修正装置と異形容器の向きを記入した模式レイアウト図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る充填機入り口スターホイールの搬送路に付加的に設置される円板状方向規制ガイドに、比較的大きな前進角を持った異形空容器が接触する様子を表した模式平面図である。
【図3】図2の異形空容器が、円板状方向規制ガイドを転がり超えて後退角を持つに至った様子を表した模式平面図である。
【図4】図3の後退角を持った異形空容器が第二の円板状方向規制ガイドに接触する様子を表した模式平面図である。
【図5】図4の異形空容器の後退角が、第二の円板状方向規制ガイドによって更に修正されて、充填機に適合する角度方向になった様子を表した模式平面図である。
【図6】充填機入り口スターホイールと、異形空容器及び本発明の円板状方向規制ガイドの支持方法並びに上下方向の位置関係を示す図1のA矢視側面図である。
【図7】比較的大きな前進角を持った異形空容器が軟質円板状主ガイドに接触した場合の作用力を示した模式平面図である。
【図8】後退角を持った異形空容器が軟質円板状主ガイドに接触した場合の作用力を示した模式平面図である。
【図9】比較的小さな前進角を持った異形空容器が軟質円板状主ガイド側面を通過する様子を示した模式平面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るキャッパー出口スターホイール、実入り異形容器、本発明のステンレス鋼製板状ガイド及び方向変更ガイド等の支持方法並びに上下方向の位置関係を示す図1のB矢視側面図である。
【図11】キャッパー出口スターホイールの搬送路に付加的に設置されたステンレス鋼製板状ガイドと方向変更ガイドに比較的大きな前進角を持った充実異形容器が接触する様子を表した模式平面図である。
【図12】図11の充実異形容器が、ステンレス鋼製板状ガイドの円弧部を転がり超えて後退角を持つに至った様子を表した模式平面図である。
【図13】図11の充実異形容器が、ステンレス鋼製板状ガイドの円弧部を転がり超える際に、転がり抵抗が小さく相対的に異形容器の慣性モーメントが大きい場合に、前進角になった様子を表した模式平面図である。なお、ステンレス鋼製板状ガイドの腕部は、容器の前進角が大きくならないように規制している。
【符号の説明】
【0036】
1…濯ぎ機、
2…充填機入り口スターホイール、
2a…ポケット、
2g…ネックグリッパ、
3…充填機、
4…充填機出口スターホイール、
5…キャッパー、
6…キャッパー出口スターホイール、
6a…ポケット、
6b…ネックガイド、
7…搬出コンベア、
10…異形空容器用方向規制ガイド装置、
11…軟質円板状方向規制主ガイド、
12…軟質円板状方向規制副ガイド、
13…ガイド取り付け台、
16…異形空容器、
20…ステンレス鋼製板状ガイド、
20aガイド腕部、
21…アウターガイド、
22…ガイド取り付け台、
25…実入り異形容器、
α…前進角、
α’…小さい前進角、
β…後退角、
C…異形容器の回転中心、
f…異形容器に作用する摩擦力、
p…異形容器に作用する合成力、
r…ガイド表面から異形容器に作用する反発力、
T…異形容器の搬送方向(矢印)
【技術分野】
【0001】
本発明は、異形容器の方向修正装置に関し、より詳しくは、胴部に長方形や楕円形の断面を有する異形容器を、一定の方向に向けて揃える異形容器の方向修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送コンベアで、清浄な異形空容器を充填ステーションに搬入し、流体材料或いは粉粒体材料を異形容器に充填した後、蓋を閉めてラベルを貼付し、搬送コンベアで搬出する一連の充填ラインにおいて、異形容器の短辺或いは短径が、前記搬送コンベアの進行方向に平行になるにしたがって容器の進行方向の据わりが悪くなり、当該異形容器は前後に倒れ易くなる。前記容器の転倒は、転倒容器のジャミング、充填物の漏出・汚染、機械装置の破損、当該ラインの運転停止等、様々な不具合を惹起し、生産ラインの稼働率に直接影響する大きな問題となっていた。
また、充填物の品質の面では、充填機に装着される異形空容器の短辺或いは短径が、搬入コンベアの進行方向に平行に近くなればなるほど、充填ノズルの特性により液体充填物に相応量の空気が混入し、発泡による入味の不足や、酸化による賞味期限短縮を起こす不具合を持っていた。
【0003】
異形容器の転倒を回避し、充填品質の低下を防止する最も有効な対策は、当該異形容器の長辺或いは長径が前記コンベアの進行方向にできるだけ平行になるように、当該異形容器の方向を修正してから、前記コンベアに載せることであった。
前記対策の一例としての公知技術は、特許文献1に開示されているように、生産ラインの特定の場所における変形容器の方向を検出する検出器と、前記変形容器に係合して一体的に移送される係合部材と、当該係合部材を回転させて前記変形容器を回転させる回転駆動機構を備え、前記検出器からの検出信号に基づき、前記回転駆動機構を異なった位置に停止させる複数の位置決めピンを制御して、前記回転駆動機構による変形容器の回転角度位置を制御し、当該変形容器の方向を一回の制御で、所定の方向に揃える方向規制装置である。
【0004】
なお、前記特許文献1は、変形容器の搬送中の転倒や、充填品質の低下を防止するのが目的でなく、方形容器が持つ四面中の特定の一面を整列させることが目的であり、三組の検出器並びに複雑な制御システムと、複雑高価な専用方向規正装置を使用することを提案している。
これに対して、本発明の目的は、異形容器の搬送時の動力を利用して、全ての異形容器の長手方向が、当該容器の進行方向に向くように規制するだけであるから、複雑高価な専用装置や制御システムを使用せず、異形容器の搬送方向を規制することが可能な簡単な手段を提供することである。
【0005】
前記特許文献1の技術では、変形容器の方向を揃えるために専用機を必要とし、当該装置が複雑で高価になる欠点がある。その欠点を改善し、充填装置の物品載置台等を利用して、物品の方向整列を行なえるようにした、方向整列装置を内蔵した充填装置の技術が特許文献2に開示されている。
前記特許文献2においては、方形の物品(空容器)が、タイミングスクリュー並びに供給側スターホイールで方向を定められて充填機に供給され、必要あれば充填機内で方向修正と内容物の充填を行ない、出口側スターホイールで整列されて排出コンベアに移載する構成が開示されており、特許文献1のような複雑な専用機は不必要となっている
しかしながら、搬出入のコンベア並びにスターホイール、場合によってはタイミングスクリューが必要であり、尚且つ複雑な構造の充填機に適用が限られると言う技術上の問題点がある。
【特許文献1】特公平2−14245号公報(第3図)
【特許文献2】特公平7−86043号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第一の課題は、充填機に清浄な異形空容器を供給する部分の条件を勘案し、前記空容器の方向修正を、搬送動力を利用する付加的搬送物ガイドで行なわせる事を目的とする。
詳しくは、充填の前工程は、空容器の洗浄・殺菌であり、当該容器は、首下をグリッパによって把持された状態で、倒立或いは吊り下げられて洗浄・殺菌・抜液処理を受け、スターホイール並びに付属するグリッパの間の受け渡しによって、充填機に吊り下げられたまま搬入される。
したがって、異形空容器は、その長辺或いは長径が搬送される方向に平行な、正しい角度方向のままグリッパ間の受け渡しを通るものもあるが、その角度方向が狂って受け渡されるものもあり、これら様々な方向性の異形容器を、その長手方向が一定範囲内で搬送方向に平行に近くなるように規制することが必要である。
【0007】
方向の狂いには、当該空容器が搬送されている時に、多数のネックグリッパの受け渡し及びタイミングのズレによって拡大する比較的大きな前進角αが付いている場合(図7を参照)と、縮小される後退角β(図8を参照)或いは比較的小さな前進角α’(図9を参照)が付いている場合との二種類あるが、前記付加的搬送物ガイドは、方向性の修正が容易な後退角及び小前進角の付いた容器は勿論のこと、修正が容易でない比較的大きな前進角を持っている異形空容器に有効に働きかけて、異形容器の長手方向が一定範囲内で搬送方向に平行に近づくように修正させることが目的である。
方向の狂いが後退角或いは比較的小さな前進角の異形容器は、前記付加的搬送物ガイドにより、容易に方向性の狂いを縮小され所定範囲内に修正される。
【0008】
第二の課題は、前記異形容器には肉厚の薄いPET(ポリエチレンテレフタレート)製が多く、過度の外力が働くと、挫屈変形を起こして凹み傷が付き、商品価値を損なうことがある。
また、グリッパが前記異形空容器のネック部を把持しているために、前記容器の方向修正には相当のトルクを必要とすることを勘案し、前記空容器の方向を修正させる前記付加的搬送物ガイドの容器と接触する部分は、柔らかな材質を選定して接触応力を緩和しながら適当な押し圧を与え得る機構にすると同時に、前記異形容器を損傷せずに方向修正に必要なトルクを与えることが必要である。その材質の適当な物性と関係寸法の妥当な範囲を決定することを目的とする。
【0009】
第三の課題は、充填ステーションの次工程となる蓋締め装置(キャッパー)から排出され、搬出コンベアに移送される実入り異形容器の中で前記大きな前進角及び後退角のものを、付加的搬送用ガイドにより簡単に修正可能な小さな前進角度或いは後退角度方向に修正する装置を発明することを目的とする。
前記実入り異形容器の場合には、実液圧による容器弾性増加ために相当程度の外力が作用しても、挫屈変形が発生し難く、且つまた、前記容器の保持方法も、前記キャッパー本体を構成するスターホイールとネックガイドによる支持が主体で、把持力が不要な構造のため、前記方向規制装置は前記実入り異形容器に比較的小さなトルクを一時的に与えるだけで、当該異形容器の角度方向は容易に転化する。なお、実入り異形容器は比較的大きな回転質量と小さな抵抗トルクを持っているので過回転し易く、転化角度の行き過ぎに歯止めをかけながら(詳しくは図13参照)、小さな角度方向に転化・修正させることが必要である。
【0010】
第四の課題は、方向の狂いを縮小し、実用的に満足できる範囲内に異形容器の方向を揃える簡単な構造で、実入り異形容器(前記キャッパー出口部)の場合に適用できるアイデアを、当該方向規制装置に盛り込むことを目的とする。
この点に関しては、従来技術として広く用いられてきた、スターホイールとその外周をカバーするアウターガイドとの間隔を漸近的に縮小して、全ての異形容器の長辺或いは長径を、進行方向に平行に揃えるように規制するアイデアが、実施可能で堅実な手段として考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題に対し、本発明は以下の各手段により解決を図る。
(1)第1の手段の異形容器の方向修正装置は、ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、充填機入り口スターホイールの外周に、異形容器の代表寸法(長方形容器の長軸と短軸の算術平均長、楕円形或いは長円形容器に対しては長径と短径の算術平均径を代表寸法とする。)に近い直径の軟質材からなる円板状方向規制ガイドを距離を隔てて二箇所に配設しておき、前記スターホイールによって移送されてきた異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、当該容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が前記円板状方向規制ガイドに接触する際に、前記方向規制ガイドの押し圧力と摩擦力によって当該接触部分が挫屈変形することなく、単に当該異形容器全体が前記円板状方向規制ガイド上を転がり超えるように、当該円板状方向規制ガイドの配置寸法並びに厚さ等を調整することを特徴とする。
【0012】
(2)第2の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第1の手段の異形容器の方向修正装置において、前記方向規制ガイドは、主ガイドと副ガイドの二種類が前記異形容器の外接円直径以上の距離を置いて配設され、主ガイドは当該異形容器の方向転換を行い、副ガイドは、前記ネックグリッパの把持トルクによる抵抗で主ガイドによる転換角度が不十分な場合に備えて更に角度修正を行い、規定値以下の後退角度に収める機能を持たせ、ネックグリッパの把持トルクのバラツキに備えたことを特徴とする。
【0013】
(3)第3の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第2の手段の異形容器の方向修正装置において、前記主ガイド、副ガイドともに前記異形容器の中央胴部に接触する高さに設置し、且つ当該ガイドの厚さは前記接触力によって前記異形容器の中央胴部が挫屈変形を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法であることを特徴とする。
【0014】
(4)第4の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第2の手段の異形容器の方向修正装置において、前記主ガイドに対する副ガイドの相対位置関係は、副ガイドの接触面が主ガイドの異形容器との接触面よりは前に出ることはなく、逆に、主ガイドが規制すべき角度より跳ね戻って、大きな角度のまま搬送される一部の容器の異常後退角度を、副ガイドが前記規定値以下の後退角度に修正し得る位置に後退配置しておくことを特徴とする。
【0015】
(5)第5の手段の異形容器の方向修正装置は、ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、キャッパーから排出され搬出コンベアまで移送される実入り異形容器は、スターホイールによって受け取り・搬送されるが、その外周にはアウターガイドが付設されて、実入り異形容器が遠心力で跳び出さないよう限定しており、前記スターホイールの実入り異形容器引取部の直後には、搬送路に一部を突出した半円とその中央頂部から滑らかに伸長し前記アウターガイドを斜めにラップする腕を備えた形状のステンレス鋼製板状方向規制ガイドが付設されており、前記スターホイールによって搬送されてきた実入り異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が、前記半円形円弧と腕部をもった方向規制ガイドに接触したときに、当該実入り異形容器が前記方向規制ガイド上を転がり超えるように、また、前記腕部によって当該異形容器の転がり過ぎが制止されるように、当該方向規制ガイドの配置寸法や取り付け角度等を調整したことを特徴とする。
【0016】
(6)第6の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第5の手段の異形容器の方向修正装置において、前記方向規制ガイドは前記実入り異形容器の中央胴部に接触する高さに設置するものとし、当該ガイドの厚さは前記接触力によって前記充実異形容器の中央胴部が損傷を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法であることを特徴とする。
【0017】
(7)第7の手段の異形容器の方向修正装置は、上記第5の手段の異形容器の方向修正装置において、前記スターホイール外周に付設されるアウターガイドは、前記ステンレス鋼製板状方向規制ガイド部から前記搬出コンベアへの引渡し部に至るまでスターホイール外周との間隔を漸近的に縮小して実入り異形容器を搬送中にスターホイールの凹部に押し込めて、その小さな前進角或いは後退角度方向を修正して、搬出コンベアへ引き渡される時には異形容器の長辺或いは長軸は搬出コンベアの搬送方向に殆ど平行になるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係わる発明は、充填機入り口のスターホイールに、ネックグリッパ渡しで供給される異形空容器の長手方向角度が、搬送方向に対して様々であるものを、付加的方向規制ガイドを通過させることによって一挙に、或いは二段階に分けて角度を修正し、当該異形空容器の長手方向を搬送方向に略一致させた後、前記充填機に供給せしめるので、簡単な装置で当該異形容器の入味を正確に保ち、気泡の混入による品質の低下を防止する効果が得られる。
【0019】
請求項2に係わる発明は、前記付加的方向修正ガイドの主ガイドが、前記ネックグリッパの把持トルクの抵抗によって、当該異形空容器の充分な角度修正ができなかった場合、副ガイドの角度修正が機能して前記異形空容器の角度方向の狂いを規定値以下に修正し、
充填機に供給することにより前記ネックグリッパの把持トルクのバラツキによる品質変動を防止する効果が得られる。
【0020】
請求項3に係わる発明は、押し圧に対する脆弱性を持った異形容器が、ネックグリッパによって首下を把持されて搬送されて来る状態において、軟質材料製の円形固定ガイドを使用することによって、前記異形空容器の外面に損傷を与えずにネック回りに回転せしめ、当該異形空容器の長手方向角度を有効に修正させる効果が得られる。
【0021】
請求項4に係わる発明は、前記副ガイドの適正な機能を発揮させる一方、主ガイドの角度修正作用を受けない小さな前進角度を持った異形空容器との、万一の衝突による挫屈破損を回避する効果がある。
【0022】
請求項5,7に係わる発明は、キャッパーから排出され搬出コンベアに移送される実入り異形容器において、長手方向が搬送方向に対してなす角度が、前記前進角或いは後退角を問わず大きい場合に、キャッパー出口スターホイールの搬送力と付加的方向規制ガイドの作用によって小さな前進角、或いは後退角に転化し、続いてスターホイール外周に付設されたアウターガイドの幅寄せ作用により、実入り異形容器の長辺或いは長軸を搬送方向に殆ど一致させ、搬出コンベアに供給することにより、当該搬出コンベア上の実入り異形容器を安定させる効果がある。
【0023】
請求項6に係わる発明は、充填物により重量と回転慣性モーメントを増した実入り異形容器に、前記ステンレス鋼製板状ガイドから相当強さの押し圧を加えて、相当角度回転させる場合に、当該実入り異形容器に損傷を与えず、長手方向角度を有効に修正せしめる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は充填ラインの装置レイアウトの中に本発明の方向修正装置と異形容器の向きを記入した模式レイアウト図である。図2は、第1の実施の形態に係る充填機入り口スターホイールの搬送路に付加的に設置される円板状方向規制ガイドに、比較的大きな前進角を持った異形空容器が接触する様子を表した模式平面図である。図3は図2の異形空容器が、前記円板上を転がり超えて後退角を持つに至った様子を表した模式平面図である。図4は図3の後退角を持った異形空容器が第二の円板状方向規制ガイドに接触する様子を表した模式平面図である。図5は図4の異形空容器の後退角が、第二の円板状方向規制ガイドによって更に修正されて、充填機に適合する角度方向になった様子を表した模式平面図である。図6は充填機入り口スターホイールと、異形空容器及び本発明の円板状方向規制ガイドの支持方法並びに上下方向の位置関係を示す側面図である。
【0025】
図7は比較的大きな前進角を持った異形空容器が軟質円板状方向規制主ガイドに接触した場合の作用力を示した模式平面図である。図8及び図9は、それぞれ後退角を持った異形空容器の場合及び比較的小さな前進角の場合の様子を示した模式平面図である。
【0026】
図1の充填ラインの装置レイアウトにおいて、濯ぎ機1で殺菌・洗浄・抜液された異形空容器16は、首下をグリッパ2gによって把持されたまま充填機入り口スターホイール2のグリッパに受け渡されるが、当該容器断面の長辺或いは長径は様々な方向を向いている。前記充填機入り口スターホイール2の異形空容器受け取り部近くには、本発明の一つである異形空容器用方向規制ガイド装置10が付設されており、前記異形空容器16がスターホイール2によって搬送される際に前記方向規制ガイド装置10の側面を通過すると、当該異形空容器16の断面の長辺或いは長径は全て搬送方向に沿った小さな前進角或いは後退角に修正される。(図1の充填機入り口スターホイール2の周上に縦列等間隔に整列した小さな近似長方形の一つ一つが当該異形空容器16である。)4は、充填機出口スターホイールを示す。
【0027】
図2,3,4,5は、異形空容器用方向規制ガイド装置10が、比較的大きな前進角の異形空容器16の方向を修正する様子を段階的に示したものである。軟質円板状方向規制主ガイド11、軟質円板状方向規制副ガイド12、ガイド取り付け台13、充填機入り口スターホイール2、当該スターホイール2に備えられたネックグリッパ2g、異形空容器16、搬送方向(矢印)T等は何れの図においても共通である。
なお、軟質円板状方向規制主ガイド11及び軟質円板状方向規制副ガイド12は、異形容器の代表寸法(長方形容器の長軸と短軸の算術平均長、楕円形或いは長円形容器に対しては長径と短径の算術平均径を代表寸法とする。)に近い直径を有するとともに、両ガイド11,12は異形空容器16の外接円直径以上の距離を隔てて配置されている。
前記主ガイド11は当該異形空容器16の方向転換を行い、前記副ガイド12は、前記ネックグリッパ2gの把持トルクによる抵抗で同主ガイド11による転換角度が不十分な場合に備えて更に角度修正を行い、規定値以下の後退角度に収める機能を持たせ、ネックグリッパ2gの把持トルクのバラツキに備えた付加的な方向規制ガイドである。
また、前記主ガイド11、副ガイド12ともに前記異形空容器16の中央胴部に接触する高さに設置し、且つ当該ガイド11,12の厚さは前記接触力によって前記異形空容器16の中央胴部が挫屈変形を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法となっている。
【0028】
図2は、濯ぎ機1から充填機入り口スターホイール2のポケット2aに、長辺或いは長径が搬送方向Tに対して比較的大きな前進角αを持った方向の姿勢で供給された異形空容器16が、ゴムパッド等からなる軟質円板状方向規制主ガイド11に接触した時を表している。この時に異形空容器16の接触部には、原理的に当該主ガイド11の表面から垂直に作用する反発力rと、接線方向に働く摩擦力fとが作用し、その合成力pは反時計回りのモーメントとなって異形空容器16のネック部に作用している把持トルクに対抗するが、充填機入り口スターホイール2の搬送作用とともに当該異形空容器16の回転中心CがT方向に移動し、前記反時計回りのモーメントが前記把持トルクを凌駕するようになり(図7参照)、当該異形空容器16は軟質円板状方向規制主ガイド11上を転がり超えて比較的小さな後退角βに修正される。図2から図3に移行する際に、前記スターホイールによって移送されてきた異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、当該容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が前記円板状方向規制ガイドに接触しながら、軟質円板状方向規制主ガイド11に異形空容器16の角部が当接して凹み、図2から図3へ移行する間に元の形状に容器自身の弾性力で復元するようになっている。
【0029】
図2以外の異形空容器16と軟質円板状方向規制主ガイド11が接触する場合として、比較的小さな前進角αを持った異形空容器16の時(図9参照)と、後退角βを持った異形空容器16の時(図8参照)とがあるが、これらの場合は作用する反発力rと摩擦力fの合成力pの回転モーメントを勘案すれば、それぞれ更に小さな前進角と後退角に修正されることが判る。
また、前記スターホイール2により搬送されてくる異形空容器16の中には、更に小さな前進角或いは後退角のものもあり、初めから前記方向規制主ガイド11に接触せずに素通りして行く。
図4は、図3の異形空容器16が更に搬送されて軟質円板状方向規制副ガイド12に接触する時を表している。同方向規制副ガイド12は、前記方向規制主ガイド11より若干後退した位置であって、且つまた、修正後の異形空容器16の後退角が、充填機3の充填品質基準に合致するような範囲内に収まる位置に調整されている。即ち、前記主ガイド11に対する同副ガイド12の相対位置関係は、同副ガイド12の接触面が同主ガイド11の異形空容器16との接触面よりは前に出ることはなく、逆に、同主ガイド11が規制すべき角度より跳ね戻って、大きな角度のまま搬送される一部の容器の異常後退角度を、同副ガイド12が前記規定値以下の後退角度に修正し得る位置に後退配置されている。
【0030】
図5は、軟質円板状方向規制副ガイド12によって、異形空容器16の方向角度が充填機3の充填品質基準に合致するような小さな範囲内に修正される様子を表している。この規定値としての角度範囲は、一例として前進角、後退角を問わず搬送方向に対して20度以内が推奨される。また、軟質円板状方向規制ガイドの材質には合成ゴム(例えばフッ素ゴム)等が弾力性と耐磨耗性のバランスがよいので使用される。
図6は、充填機入り口スターホイール2に備えられたネックグリッパ2gによって首下を把持された異形空容器16とガイド取り付け台13に付設された軟質円板状方向規制主ガイド11及び副ガイド12の高さ方向の位置関係を示す断面図であるが、前記主・副両ガイドともに挫屈変形の起こり難い異形空容器胴部に当たるように設置される。
【0031】
(第2の実施の形態)
図10は、第2の実施の形態に係るキャッパー出口スターホイール、実入り異形容器、本発明のステンレス鋼製板状ガイド及びアウターガイド等の支持方法並びに上下方向の位置関係を示す側面図である。
図11はキャッパー出口スターホイールの搬送路に付加的に設置されたステンレス鋼製板状ガイドとアウターガイドに、比較的大きな前進角を持った実入り異形容器が接触する様子を表した模式平面図である。図12は図11の実入り異形容器が前記ステンレス鋼製板状ガイドの円弧部を転がり超えて後退角を持つに至った様子を表した模式平面図である。図13は図11の実入り異形容器が、前記ステンレス鋼製板状ガイドの円弧部を転がり越える際に、転がり抵抗が小さく相対的に異形容器の慣性モーメントが大きい場合に、前進角になった様子を表した模式平面図である。なお、ステンレス鋼製板状ガイドの腕部は、容器の前進角が大きくならないように規制している。第1の実施の形態と特に異なる部分について説明する。
【0032】
図1の充填ラインの装置レイアウトにおいて、キャッパー5から排出される実入り異形容器25(縦列等間隔に整列した小さな近似長方形で表現)は、キャッパー出口(ポケット式)スターホイール6によって受け取られ、直ぐにアウターガイド21に誘導されて、ステンレス鋼製板状ガイド20の側面を通過するように構成されている。前記実入り異形容器25の角度方向は、大小の前進角或いは後退角等様々であるが、一旦前記ステンレス鋼製板状ガイド20の側面を通過すると、全ての実入り異形容器25の角度方向は比較的小さい前進角或いは後退角に規制されて搬送されてくるので、前記アウターガイド21は搬出コンベア7までの搬送過程において、実入り異形容器25の角度方向を規定範囲内の小さな値に規制することができる。ステンレス鋼製板状ガイド20は、前記実入り異形容器25の中央胴部に接触する高さに設置するものとし、当該ガイド20の厚さは前記接触力によって前記実入り異形容器25の中央胴部が損傷を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法で、ガイド取り付け台22に支持されている。
また、前記スターホイール6の外周に付設されるアウターガイド21は、前記ステンレス鋼製板状ガイド20部から前記搬出コンベア7への引渡し部に至るまで同スターホイール6の外周との間隔を漸近的に縮小して実入り異形容器25を搬送中に同スターホイール6のポケット6aに押し込めて、その小さな前進角或いは後退角度方向を修正して、搬出コンベア7へ引き渡される時には実入り異形容器25の長辺或いは長径は搬出コンベア7の搬送方向に殆ど平行になるように構成されている。
【0033】
図11は、比較的大きな前進角を持った実入り異形容器25が、ステンレス鋼製板状ガイド20に接触した時を表している。この時に実入り異形容器25の接触部には、当該ステンレス鋼製板状ガイド20の表面から垂直に作用する反発力rと、接線方向に働く摩擦力fとが作用し、その合成力pは反時計回りのモーメントとなって当該実入り異形容器25を回転中心Cの周りに回転させ、前記ステンレス鋼製板状ガイド20の凸部を転がり超えさせる。
当該実入り異形容器25は、前記ポケット6aを有するキャッパー出口スターホイール6のネックガイド6bとポケット6aにより保持されているのみで、前記転がりに対する抵抗トルクは比較的小さく、充填物が入っている実入り異形容器25の慣性モーメントとの兼ね合いで、前記ステンレス鋼製板状ガイド20の凸部を転がり超えた実入り異形容器25は、一定限度内の後退角β(図12参照)或いは前記ステンレス鋼製板状ガイド20のガイド腕部20aで規制された比較的小さな前進角αとなる。(図13参照)
【0034】
前記ステンレス鋼製板状ガイド20により、一定限度内の後退角或いは比較的小さな前進角に規制された実入り異形容器25は、前記スターホイール6によって搬送されるとともに、外周に付設されたアウターガイド21の幅寄せ作用により、順次角度方向を搬送方向に平行に近づけられて行く。
なお、前記ステンレス鋼製板状ガイド20とアウターガイド21は別体の装置であるが、これらを一体として実入り異形容器方向規制ガイド(図示せず)とし、組み付け・調整の容易化を図ることも可能である。
結局、実入り異形容器25が、前記キャッパー出口(ポケット式)スターホイール6によって整列搬送され搬出コンベア7に引き渡される時には、その角度方向は搬出コンベア7の進行方向にほぼ平行になっており、当該実入り異形容器25は同コンベア7の駆動力や搬送速度の多少の変動に対しても、列を乱したり転倒する等の障害を起こすことなく、安定して次の工程へ移送される。キャッパーから排出され搬出コンベアまで移送される充実異形容器の方向規制ガイドにも、異形空容器の方向規制ガイドに適用する軟質円板状方向規制ガイドを使用することにより、充填物の品質の保持並びに方向規制ガイド部品・取り付け冶具等の標準化によって、当該充填ラインの運転管理に寄与することができる。
なお、キャッパー5から排出され排出コンベア7まで移送される実入り異形容器25の方向規制ガイドに対しても、第1の実施の形態のような異形空容器6の方向規制ガイド装置10に適用する軟質円板状方向規制ガイド11,12を使用することにより、充填物の品質の保持並びに方向規制ガイド部品、取り付け治具等の標準化によって、当該充填ラインの運転管理に更に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】充填ラインの装置レイアウトの中に本発明の方向修正装置と異形容器の向きを記入した模式レイアウト図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る充填機入り口スターホイールの搬送路に付加的に設置される円板状方向規制ガイドに、比較的大きな前進角を持った異形空容器が接触する様子を表した模式平面図である。
【図3】図2の異形空容器が、円板状方向規制ガイドを転がり超えて後退角を持つに至った様子を表した模式平面図である。
【図4】図3の後退角を持った異形空容器が第二の円板状方向規制ガイドに接触する様子を表した模式平面図である。
【図5】図4の異形空容器の後退角が、第二の円板状方向規制ガイドによって更に修正されて、充填機に適合する角度方向になった様子を表した模式平面図である。
【図6】充填機入り口スターホイールと、異形空容器及び本発明の円板状方向規制ガイドの支持方法並びに上下方向の位置関係を示す図1のA矢視側面図である。
【図7】比較的大きな前進角を持った異形空容器が軟質円板状主ガイドに接触した場合の作用力を示した模式平面図である。
【図8】後退角を持った異形空容器が軟質円板状主ガイドに接触した場合の作用力を示した模式平面図である。
【図9】比較的小さな前進角を持った異形空容器が軟質円板状主ガイド側面を通過する様子を示した模式平面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るキャッパー出口スターホイール、実入り異形容器、本発明のステンレス鋼製板状ガイド及び方向変更ガイド等の支持方法並びに上下方向の位置関係を示す図1のB矢視側面図である。
【図11】キャッパー出口スターホイールの搬送路に付加的に設置されたステンレス鋼製板状ガイドと方向変更ガイドに比較的大きな前進角を持った充実異形容器が接触する様子を表した模式平面図である。
【図12】図11の充実異形容器が、ステンレス鋼製板状ガイドの円弧部を転がり超えて後退角を持つに至った様子を表した模式平面図である。
【図13】図11の充実異形容器が、ステンレス鋼製板状ガイドの円弧部を転がり超える際に、転がり抵抗が小さく相対的に異形容器の慣性モーメントが大きい場合に、前進角になった様子を表した模式平面図である。なお、ステンレス鋼製板状ガイドの腕部は、容器の前進角が大きくならないように規制している。
【符号の説明】
【0036】
1…濯ぎ機、
2…充填機入り口スターホイール、
2a…ポケット、
2g…ネックグリッパ、
3…充填機、
4…充填機出口スターホイール、
5…キャッパー、
6…キャッパー出口スターホイール、
6a…ポケット、
6b…ネックガイド、
7…搬出コンベア、
10…異形空容器用方向規制ガイド装置、
11…軟質円板状方向規制主ガイド、
12…軟質円板状方向規制副ガイド、
13…ガイド取り付け台、
16…異形空容器、
20…ステンレス鋼製板状ガイド、
20aガイド腕部、
21…アウターガイド、
22…ガイド取り付け台、
25…実入り異形容器、
α…前進角、
α’…小さい前進角、
β…後退角、
C…異形容器の回転中心、
f…異形容器に作用する摩擦力、
p…異形容器に作用する合成力、
r…ガイド表面から異形容器に作用する反発力、
T…異形容器の搬送方向(矢印)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、充填機入り口スターホイールの外周に、異形容器の代表寸法(長方形容器の長軸と短軸の算術平均長、楕円形或いは長円形容器に対しては長径と短径の算術平均径を代表寸法とする。)に近い直径の軟質材からなる円板状方向規制ガイドを距離を隔てて二箇所に配設しておき、前記スターホイールによって移送されてきた異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、当該容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が前記円板状方向規制ガイドに接触する際に、前記方向規制ガイドの押し圧力と摩擦力によって当該接触部分が挫屈変形することなく、単に当該異形容器全体が前記円板状方向規制ガイド上を転がり超えるように、当該円板状方向規制ガイドの配置寸法並びに厚さ等を調整することを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項2】
請求項1の異形容器の方向修正装置において、前記方向規制ガイドは、主ガイドと副ガイドの二種類が前記異形容器の外接円直径以上の距離を置いて配設され、主ガイドは当該異形容器の方向転換を行い、副ガイドは、前記ネックグリッパの把持トルクによる抵抗で主ガイドによる転換角度が不十分な場合に備えて更に角度修正を行い、規定値以下の後退角度に収める機能を持たせ、ネックグリッパの把持トルクのバラツキに備えたことを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項3】
請求項2の異形容器の方向修正装置において、前記主ガイド、副ガイドともに前記異形容器の中央胴部に接触する高さに設置し、且つ当該ガイドの厚さは前記接触力によって前記異形容器の中央胴部が挫屈変形を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法であることを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項4】
請求項2の異形容器の方向修正装置において、前記主ガイドに対する副ガイドの相対位置関係は、副ガイドの接触面が主ガイドの異形容器との接触面よりは前に出ることはなく、逆に、主ガイドが規制すべき角度より跳ね戻って、大きな角度のまま搬送される一部の容器の異常後退角度を、副ガイドが前記規定値以下の後退角度に修正し得る位置に後退配置しておくことを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項5】
ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、キャッパーから排出され搬出コンベアまで移送される実入り異形容器は、スターホイールによって受け取り・搬送されるが、その外周にはアウターガイドが付設されて、実入り異形容器が遠心力で跳び出さないよう限定しており、前記スターホイールの実入り異形容器引取部の直後には、搬送路に一部を突出した半円とその中央頂部から滑らかに伸長し前記アウターガイドを斜めにラップする腕を備えた形状のステンレス鋼製板状方向規制ガイドが付設されており、前記スターホイールによって搬送されてきた実入り異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が、前記半円形円弧と腕部をもった方向規制ガイドに接触したときに、当該実入り異形容器が前記方向規制ガイド上を転がり超えるように、また、前記腕部によって当該異形容器の転がり過ぎが制止されるように、当該方向規制ガイドの配置寸法や取り付け角度等を調整したことを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項6】
請求項5の異形容器の方向修正装置において、前記方向規制ガイドは前記実入り異形容器の中央胴部に接触する高さに設置するものとし、当該ガイドの厚さは前記接触力によって前記実入り異形容器の中央胴部が損傷を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法であることを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項7】
請求項5の異形容器の方向修正装置において、前記スターホイール外周に付設されるアウターガイドは、前記ステンレス鋼製板状方向規制ガイド部から前記搬出コンベアへの引渡し部に至るまでスターホイール外周との間隔を漸近的に縮小して実入り異形容器を搬送中にスターホイールの凹部に押し込めて、その小さな前進角或いは後退角度方向を修正して、搬出コンベアへ引き渡される時には異形容器の長辺或いは長径は搬出コンベアの搬送方向に殆ど平行になるように構成されたことを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項1】
ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、充填機入り口スターホイールの外周に、異形容器の代表寸法(長方形容器の長軸と短軸の算術平均長、楕円形或いは長円形容器に対しては長径と短径の算術平均径を代表寸法とする。)に近い直径の軟質材からなる円板状方向規制ガイドを距離を隔てて二箇所に配設しておき、前記スターホイールによって移送されてきた異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、当該容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が前記円板状方向規制ガイドに接触する際に、前記方向規制ガイドの押し圧力と摩擦力によって当該接触部分が挫屈変形することなく、単に当該異形容器全体が前記円板状方向規制ガイド上を転がり超えるように、当該円板状方向規制ガイドの配置寸法並びに厚さ等を調整することを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項2】
請求項1の異形容器の方向修正装置において、前記方向規制ガイドは、主ガイドと副ガイドの二種類が前記異形容器の外接円直径以上の距離を置いて配設され、主ガイドは当該異形容器の方向転換を行い、副ガイドは、前記ネックグリッパの把持トルクによる抵抗で主ガイドによる転換角度が不十分な場合に備えて更に角度修正を行い、規定値以下の後退角度に収める機能を持たせ、ネックグリッパの把持トルクのバラツキに備えたことを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項3】
請求項2の異形容器の方向修正装置において、前記主ガイド、副ガイドともに前記異形容器の中央胴部に接触する高さに設置し、且つ当該ガイドの厚さは前記接触力によって前記異形容器の中央胴部が挫屈変形を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法であることを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項4】
請求項2の異形容器の方向修正装置において、前記主ガイドに対する副ガイドの相対位置関係は、副ガイドの接触面が主ガイドの異形容器との接触面よりは前に出ることはなく、逆に、主ガイドが規制すべき角度より跳ね戻って、大きな角度のまま搬送される一部の容器の異常後退角度を、副ガイドが前記規定値以下の後退角度に修正し得る位置に後退配置しておくことを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項5】
ロータリ充填機充填ラインの異形容器の方向修正装置において、キャッパーから排出され搬出コンベアまで移送される実入り異形容器は、スターホイールによって受け取り・搬送されるが、その外周にはアウターガイドが付設されて、実入り異形容器が遠心力で跳び出さないよう限定しており、前記スターホイールの実入り異形容器引取部の直後には、搬送路に一部を突出した半円とその中央頂部から滑らかに伸長し前記アウターガイドを斜めにラップする腕を備えた形状のステンレス鋼製板状方向規制ガイドが付設されており、前記スターホイールによって搬送されてきた実入り異形容器の胴部の短辺から角部にかけて、或いは、容器胴部外周の最小曲率の部分近傍が、前記半円形円弧と腕部をもった方向規制ガイドに接触したときに、当該実入り異形容器が前記方向規制ガイド上を転がり超えるように、また、前記腕部によって当該異形容器の転がり過ぎが制止されるように、当該方向規制ガイドの配置寸法や取り付け角度等を調整したことを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項6】
請求項5の異形容器の方向修正装置において、前記方向規制ガイドは前記実入り異形容器の中央胴部に接触する高さに設置するものとし、当該ガイドの厚さは前記接触力によって前記実入り異形容器の中央胴部が損傷を生じない程度の接触圧力に収まるような寸法であることを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【請求項7】
請求項5の異形容器の方向修正装置において、前記スターホイール外周に付設されるアウターガイドは、前記ステンレス鋼製板状方向規制ガイド部から前記搬出コンベアへの引渡し部に至るまでスターホイール外周との間隔を漸近的に縮小して実入り異形容器を搬送中にスターホイールの凹部に押し込めて、その小さな前進角或いは後退角度方向を修正して、搬出コンベアへ引き渡される時には異形容器の長辺或いは長径は搬出コンベアの搬送方向に殆ど平行になるように構成されたことを特徴とする異形容器の方向修正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−73598(P2009−73598A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242509(P2007−242509)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]