説明

異物検出用パターン及び半導体装置

【課題】異物の種類によらずに高効率で異物の存在を検査しうる異物検出用パターン、並びにこのような異物検出用パターンを有する半導体装置を提供する。
【解決手段】基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、複数の角部を除いたL字型パターンは、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物を検出するために用いられる異物検出用パターン及び異物検出用パターンを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、フォトマスク、実装回路基板等の製造工程では、使用する材料や薬液、それらの反応生成物、その他の外的要因等によって処理面に異物が発生し、後の製造工程においてショートや断線等の欠陥を引き起こす原因となることがある。
【0003】
プロセス中に発生する異物の検出方法としては、例えば、複数の電気配線を所定間隔で配置したモニターパターンを処理基板上に形成し、モニターパターン上における異物の有無を電気的に検出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−013225号公報
【特許文献2】特開2008−078572号公報
【特許文献3】特開平05−102002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法は、モニターパターン上に存在する異物を効率よく検出できるが、パターン形状が一般的なデバイスパターンと同様で特異性がなく、半導体装置の製造工程で一般的に使用される欠陥検査の代替に使用することは困難であった。また、異物の有無を電気的に検出する方法であるため、モニターパターンが導電性を有し、且つ、検出対象の異物も導電性を有する場合に限って、検出が可能であった。
【0006】
本発明の目的は、異物の種類によらずに高効率で異物の存在を検査しうる異物検出用パターンを提供することにある。また、本発明の他の目的は、このような異物検出用パターンを有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一観点によれば、基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンは、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンが提供される。
【0008】
また、実施形態の他の観点によれば、基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンが、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンと、前記基板上に形成され、前記異物検出用パターンと同じ材料で形成されたデバイスパターンとを有する半導体装置が提供される。
【0009】
また、実施形態の更に他の観点によれば、基板と、前記基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンが、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンとを有する欠陥検査用基板が提供される。
【0010】
また、実施形態の更に他の観点によれば、複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンが、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンが形成された基板を用いて異物を検出する異物検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の異物検出用パターンによれば、デバイス中に存在する種々のパターンよりも効率的に異物を捕獲することができるため、異物検出用パターンの検査によって基板の処理面の全体に発生する異物を簡便且つ短時間で予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1実施形態による異物検出用パターンの構造を示す平面図である。
【図2】図2は、角部を除いたL字型パターンの構造を示す平面図である。
【図3】図3は、ウェット処理プロセスの一例を示す概略図である。
【図4】図4は、異物検出用パターン内における処理液の流れを示す平面図である。
【図5】図5は、異物検出用パターンの効果を検証するために用いた半導体装置の構造を示す概略図である。
【図6】図6は、第2実施形態による異物検出用パターンの構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態による異物検出用パターンについて図1乃至図5を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態による異物検出用パターンの構造を示す平面図である。図2は、角部を除いたL字型パターンの構造を示す平面図である。図3は、ウェット処理プロセスの一例を示す概略図である。図4は、異物検出用パターン内における処理液の流れを示す平面図である。図5は、異物検出用パターンの効果を検証するために用いた半導体装置の構造を示す概略図である。
【0015】
はじめに、本実施形態による異物検出用パターンの構造について図1及び図2を用いて説明する。
【0016】
本実施形態による異物検出用パターン10は、図1に示すように、複数の角部を除いたL字型パターンを有している。ここで、本願明細書において角部を除いたL字型パターンとは、例えば図2に示すような、第1の方向に延在する矩形状の第1のパターン12と、第1の方向と交差する第2の方向に延在し、第1のパターン12から分離した矩形状の第2のパターン14とを含むものである。第1のパターン12及び第2のパターン14を延伸したときに形成される仮想的な交差部(図中、点線部分)が角部16である。第1のパターン12及び第2のパターン14は、角部16の内側の角18から距離Cの位置に、端部12a及び端部14aを有している。
【0017】
異物検出用パターン10は、パターン形成領域中に、領域20a、領域20b、領域20c、領域20dを有している。各領域20a、20b、20c、20dに形成された複数の角部を除いたL字型パターンは、L字型パターンの角部が直線(図中、一点鎖線で表す)上に並ぶように、同じ向きに配置されている。すなわち、異物検出用パターン10の右上の領域20aでは、L字型の角部が左下側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の右下の領域20bでは、L字型の角部が左上側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の左上の領域20cでは、L字型の角部が右下側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の左下の領域20dでは、L字型の角部が右上側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。
【0018】
領域20aに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線と領域20dに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線とは、一直線上に配置されている。また、領域20bに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線と領域20cに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線とは、一直線上に配置されている。この2つの直線は、異物検出用パターン10の中心点において互いに90度の角度をなして交差(直交)している。
【0019】
このように、本実施形態による異物検出用パターンでは、右上の領域20a、右下の領域20b、左上の領域20c、及び左下の領域30dにおいて、L字型の角部が異なる場所に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンの向きを90度ずつずらして各領域に配置している。
【0020】
本願発明者等が検討を行ったところ、角部を除いたL字型パターンは、異物を捕獲しやすいパターン形状であることが判明した。角部を除いたL字型パターンは、特に、角部の外側から来る異物を捕獲するのに適していることが判った。図2を例にして説明すると、角部を除いたL字型パターンの左下側から右上側に流れてくる異物を、効率よく捕獲することができる。角部を除いたL字型パターンの向きを変えて配置することにより、様々な方向から来る異物を捕獲することが可能となる。
【0021】
本実施形態による異物検出用パターン10は、主に、デバイスの製造プロセス中に発生する異物を検出するためのパターンであり、製品基板の一部分に配置することができる。例えば、半導体ウェーハでは、異物検出用パターン10を、アライメントマークなどの他のプロセスモニタパターンと共にスクライブライン上に配置することができる。異物検出用パターン10の配置場所はスクライブライン上に限定されるものではなく、チップ領域の内部でもよい。また、製品基板とは別に、プロセスモニタ専用の基板を用意し、この基板上に異物検出用パターン10を配置してもよい。
【0022】
本実施形態による異物検出用パターン10による検出対象の異物は、主に、ウェット処理プロセスにおいて発生する異物である。ウェット処理プロセスとは、液状の物質を用いて処理を行うプロセスであり、特に限定されるものではないが、例えば、リソグラフィ工程、めっき工程、ウェットエッチング工程、洗浄工程等が挙げられる。
【0023】
ウェット処理プロセスでは、所定の処理を行った後、処理液中から基板を引き上げ、乾燥させる。基板を引き上げた後、スピナー等を用いて処理液を除去することもある。この際、基板表面に異物が付着し或いは処理液中に異物が混入していると、この異物が基板に残存し、欠陥の原因となることがある。
【0024】
ここで、図3に示すように、半導体ウェーハ30の周囲の4箇所に、本実施形態の異物検出用パターン10が配置されている場合を考える。ウェット処理プロセスの後、スピナーを用いて処理液を除去する場合、処理液は、図3中に矢印で示すように、半導体ウェーハ30の中心から周囲に向けて異物とともに流れていく。
【0025】
この場合、処理液は、右上の異物検出用パターン10に対しては、例えば図4に示すように、異物検出用パターン10の左下側から右上側に向けて流れることになる。異物検出用パターン10に流れ込んだ処理液は、領域20dに形成されたL字型パターンのパターン間隙に沿って流れ、領域20aに形成された角部を除いたL字型パターンの角部に集中する。これにより、処理薬に含まれる異物を、領域20aに形成された角部を除いたL字型パターンによって効率的に捕獲することができる。角部を除いたL字型パターンは、L字型パターンの角部が一直線上に並ぶように配置されているため、最初のL字型パターンによって捕獲されなかった異物も、次段以降のL字型パターンによって捕獲されることがある。これにより、異物の捕獲効率を更に高めることができる。他の領域に配置された異物検出用パターン10についても同様である。
【0026】
なお、角部を除いたL字型パターンの配置としては、角部を異物検出用パターン10の中心に向ける配置と、角部を異物検出用パターン10の外側に向ける配置とが考えられる。これらのうち、角部を異物検出用パターン10の外側に向ける後者の配置は、L字型パターンの長辺部分が異物検出用パターン10の外周部に位置し、処理液の浸入する入口が少なくなるため、角部を異物検出用パターン10の中心に向ける前者の配置が望ましい。
【0027】
異物検出用パターン10により捕獲される異物の大きさは、除去した角部のサイズに依存する。本願発明者等が検討した結果では、L字型パターンの切り取り部分の長さ(角部16の内側の角18からパターンの端部までの距離)をCとして、0.8C〜4.0C程度の大きさの異物を効果的に捕獲できることが判った。したがって、除去する角部の大きさを適宜設定することにより、任意サイズの異物を捕獲することができる。L字型パターンの切り取り部分の長さCの異なる複数の異物検出用パターン10を基板上に配置すれば、異なる大きさの異物を、それぞれ独立して検出することもできる。
【0028】
また、L字型パターン同士の間隔は、特に限定されるものではないが、少なくとも捕獲しようとする異物の大きさよりも広くすることが望ましい。一方、間隔を広げすぎると異物を捕獲する確率が減少するため、L字型パターン同士の間隔は、L字型パターンの切り取り部分の長さをCとして10C程度以下に設定することが望ましい。
【0029】
各領域20a、20b、20c、20dに形成する角部を除いたL字型パターンの数は、特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。
【0030】
このように、本実施形態による異物検出用パターン10を基板上に配置しておくことにより、異物を含む処理液が基板表面を流れる際に、異物を捕獲することができる。本実施形態による異物検出用パターン10には異物の捕獲に適したパターンを採用しているため、デバイス領域に残存する単位面積当たりの異物の数は、異物検出用パターン10に捕獲される単位面積当たりの異物の数と比較して、少なくなると考えられる。例えば、異物検出用パターン10に異物が捕獲されていなければ、デバイス領域に残存する異物はないものと予測することができる。これにより、異物検出用パターン10を用いた欠陥検査は、基板の全面を観察する欠陥検査の代替とすることができ、検査工数を大幅に簡略化することが可能となる。また、異物検出用パターン10に捕獲される異物の検査を行うことにより、デバイス領域に存在する異物の数を予測することができ、ひいては処理液中に混入している異物の量の変動を間接的に知ることも可能である。
【0031】
また、基板上に本実施形態による異物検出用パターンを配置しておくことにより、異物を含む処理液が基板表面を流れる際に、異物検出用パターンによって異物を効率よく捕獲することができる。この結果、デバイス領域に異物が移動する確率を低減することができる。これにより、デバイスパターン上に発生する欠陥自体を抑制することができ、製品歩留まりを向上することも期待できる。この場合には、異物検出用パターン10を複数配置することが効果的である。
【0032】
本実施形態による異物検出用パターン10を構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えば、導電材料であってもよいし、絶縁材料であってもよい。
【0033】
通常は、異物検出用パターン10は、検査対象の工程で基板上に存在するデバイスパターンを形成するための材料と同一の材料により形成される。例えば、リソグラフィ工程であればレジスト材料が、エッチング工程であれば絶縁材料や金属材料等の被エッチング膜が、めっき工程であれば金属材料が、それぞれ用いられる。
【0034】
異物検出用パターン10が有する表面凹凸の観点から言えば、角部を除いたL字型パターンの部分が凸部(残しパターン部)であり、その周りの領域が凹部(抜きパターン部)である。
【0035】
異物検出用パターン10を用いた異物の検出方法は、特に限定されるものではないが、例えば、光学顕微鏡や電子顕微鏡による観察、電気的な検出等が挙げられる。顕微鏡による観察では、モニターパターンや異物の電気的性質に関わらず、異物を検出することができる。
【0036】
次に、図1に示す本実施形態の異物検出用パターン10を用いた異物検出結果の一例について、図5を用いて説明する。
【0037】
図5に示すように、300mmφの半導体ウェーハ40に、チップサイズが20mm×15mmのTEGチップ42を複数形成した。各TEGチップ42には、プロセスモニタ形成領域44を設け、このプロセスモニタ形成領域44内に、図1に示す異物検出用パターン46a,46b,46c,46dを配置した。
【0038】
異物検出用パターン46a,46b,46c,46dは、90nmノードLSIの配線形成工程を想定し、以下に示すサイズで作成した。すなわち、異物検出用パターン46a,46b,46c,46dの形成領域の広さは、110μm×110μmとした。角部を除いたL字型パターンの線幅は、200nmとした。角部を除いたL字型パターンの配置間隔は、1μmとした。角部を除いたL字型パターンの配置本数は、50本とした(上下左右対称で計200本)。L字型パターンの角部の切り取りサイズCをパラメータとし、切り取りサイズCを100nm、400nm、700nm、1000nmとしたパターンをそれぞれ形成した(それぞれ、異物検出用パターン46a,46b,46c,46dに対応)。また、比較例として、角部を切り取らなかった異物検出用パターン48も形成した(切り取りサイズC=0)。
【0039】
上記モニターパターンを含む90nmノードのロジック配線パターン(ハーフピッチ:130nm)を電子線露光装置でウェーハ上のレジスト膜に露光し、レジスト現像後に欠陥検査装置による欠陥検査と電子顕微鏡によるモニターパターンの観察を行った。3種類の電子線レジスト材料を用いて評価を行い、下記結果を得た。
【0040】
【表1】

【0041】
レジストA、レジストBでは、異物検出用パターン46a,46b,46c,46dの何れにも異物が検出されたが、異物検出用パターン48には異物が存在しなかった。また、レジストBの欠陥の9割は異物検出用パターン内で発生しており、本実施形態の異物検出用パターンがデバイスパターンの代表点、すなわち欠陥検査装置の代用となることが確認された。
【0042】
このように、本実施形態によれば、デバイス中に存在する種々のパターンよりも異物を捕獲しやすいパターン形状を有する異物検出用パターンを基板上に配置するので、基板の処理面内に発生する異物を簡便且つ短時間で予測することができる。また、捕獲される異物のサイズは、パターンのサイズによって制御することができ、任意サイズの異物を検出することができる。
【0043】
[第2実施形態]
第2実施形態による異物検出用パターンについて図6を用いて説明する。図1乃至図5に示す第1実施形態による異物検出用パターンと同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
【0044】
図6は、本実施形態による異物検出用パターンの構造を示す平面図である。
【0045】
本実施形態による異物検出用パターン10は、図6に示すように、複数の角部を除いたL字型パターンを有する点で、第1実施形態による異物検出用パターン10と同様である。
【0046】
本実施形態による異物検出用パターン10は、パターン形成領域中に、領域20a、領域20b、領域20c、領域20d、領域20e、領域20f、領域20g、領域20hを有している。各領域20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20hに形成された複数の角部を除いたL字型パターンは、L字型パターンの角部が直線(図中、一点鎖線で表す)上に並ぶように、同じ向きに配置されている。すなわち、異物検出用パターン10の右上の領域20aでは、L字型の角部が左下側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の右側中央の領域20bでは、L字型の角部が左側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の右下の領域20cでは、L字型の角部が左上側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の下側中央の領域20dでは、L字型の角部が上側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の左下の領域20eでは、L字型の角部が右上側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の左側中央の領域20fでは、L字型の角部が右側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の左上の領域20gでは、L字型の角部が右下側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。また、異物検出用パターン10の上側中央の領域20hでは、L字型の角部が下側に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンが配置されている。
【0047】
領域20aに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線と領域20eに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線とは、一直線上に配置されている。また、領域20bに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線と領域20fに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線とは、一直線上に配置されている。また、領域20cに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線と領域20gに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線とは、一直線上に配置されている。また、領域20dに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線と領域20hに形成されたL字型パターンの角部を結ぶ直線とは、一直線上に配置されている。これら4つの直線は、異物検出用パターン10の中心部において互いに45度の角度をなして交差している。
【0048】
このように、本実施形態による異物検出用パターンでは、領域20a、領域20b、領域20c、領域20d、領域20e、領域20f、領域20g、及び領域20hにおいて、L字型の角部が異なる場所に位置するように、角部を除いた複数のL字型パターンの向きを45度ずつずらして各領域に配置している。
【0049】
角部を除いたL字型パターンの向きを変えて配置することにより、様々な方向から来る異物を捕獲することが可能となる。特に、本実施形態による異物検出用パターンでは、角部を除いた複数のL字型パターンの向きを、第1実施形態の場合よりも小さい45度ずつずらして配置しており、異物が流れてくる方向に対する捕獲能力の依存性を更に低減することができる。これにより、異物の捕獲効率を更に高めることができる。
【0050】
なお、図6に示す異物検出用パターン10では、隣接する領域に形成されたL字型パターンを繋げているが、領域の境目でL字型パターン同士を分離するようにしてもよい。
【0051】
また、各領域20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20hに形成する角部を除いたL字型パターンの数は、特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。
【0052】
このように、本実施形態によれば、デバイス中に存在する種々のパターンよりも異物を捕獲しやすいパターン形状を有する異物検出用パターンを基板上に配置するので、基板の処理面内に発生する異物を簡便且つ短時間で予測することができる。また、捕獲される異物のサイズは、パターンのサイズによって制御することができ、任意サイズの異物を検出することができる。
【0053】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態では、パターン12の延在方向とパターン14の延在方向とのなす角度が90度であるL字型パターンを用いた場合を示したが、パターン12の延在方向とパターン14の延在方向とのなす角度は、必ずしも90度である必要はない。本願発明者等が検討を行ったところでは、パターン12の延在方向とパターン14の延在方向とのなす角度を45度〜135度の範囲に設定することにより、異物を効率的に捕獲することができる。
【0055】
また、上記実施形態では、異物検出用パターンの形成領域の全体に角部を除いたL字型パターンを配置したが、異物検出用パターンの形成領域の一部の領域だけに角部を除いたL字型パターンを配置するようにしてもよい。この場合の領域は、図1及び図6に示す領域20a〜20hに限定されるものではなく、異物検出用パターンの形成領域内に任意の場所に任意の形状で配置することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、一つの異物検出用パターン内に形成する角部を除いたL字型パターンを、4方向或いは8方向に向きを変えて配置したが、向きを変える方向は4方向或いは8方向に限定されるものではない。例えば、2方向や16方向であってもよい。また、必ずしも向きを変えて配置する必要はない。
【0057】
少なくとも、角部を除いたL字型パターンを一つ設ければ、角部の外側方向から流れてくる異物を捕獲することができる。角部が直線上に並ぶように同じ向きのL字型パターンを複数設ければ、異物の捕獲効率を高めることができる。角部が反対方向を向いたL字型パターンを、これらの角部が直線上に並ぶように設ければ、流れてくる異物を一方の角部に集中して捕獲効率を更に高めることができる。交差する複数の直線上に並ぶようにL字型パターンを並べれば、様々な方向から来る異物を捕獲することができる。
【0058】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0059】
(付記1) 基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、
前記複数の角部を除いたL字型パターンは、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【0060】
(付記2) 付記1記載の異物検出用パターンにおいて、
前記複数の角部を除いたL字型パターンは、同じ向きに並べられている
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【0061】
(付記3) 付記1記載の異物検出用パターンにおいて、
前記複数の角部を除いたL字型パターンは、互いに反対方向を向いた前記角部を除いたL字型パターンを含む
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【0062】
(付記4) 付記3記載の異物検出用パターンにおいて、
互いに反対方向を向いた前記角部を除いたL字型パターンは、除いた前記角部が向き合うように配置されている
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【0063】
(付記5) 付記1乃至4のいずれか1項に記載の異物検出用パターンにおいて、
複数の前記直線上に並ぶように配置された前記複数の角部を除いたL字型パターンを含む
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【0064】
(付記6) 付記5記載の異物検出用パターンにおいて、
複数の前記直線は、1点で交差している
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【0065】
(付記7) 付記6記載の異物検出用パターンにおいて、
複数の前記直線は、直交している
ことを特徴とする異物検出用パターン
(付記8) 付記7記載の異物検出用パターンにおいて、
複数の前記直線は、45度の角度で交差している
ことを特徴とする異物検出用パターン
(付記9) 基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンが、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンと、
前記基板上に形成され、前記異物検出用パターンと同じ材料で形成されたデバイスパターンと
を有することを特徴とする半導体装置。
【0066】
(付記10) 基板と、
前記基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンが、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンと
を有することを特徴とする欠陥検査用基板。
【0067】
(付記11)複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンが、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンが形成された基板を用いて異物を検出する
ことを特徴とする異物検出方法。
【符号の説明】
【0068】
10…異物検出用パターン
12、14…パターン
12a,14a…パターンの端部
16…角部
18…角
20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h…領域
30,40…半導体ウェーハ
42…TEGチップ
44…プロセスモニタ形成領域
46a,46b,46c,46d,48…異物検出用パターン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、
前記複数の角部を除いたL字型パターンは、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【請求項2】
請求項1記載の異物検出用パターンにおいて、
前記複数の角部を除いたL字型パターンは、同じ向きに並べられている
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【請求項3】
請求項1記載の異物検出用パターンにおいて、
前記複数の角部を除いたL字型パターンは、互いに反対方向を向いた前記角部を除いたL字型パターンを含む
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の異物検出用パターンにおいて、
複数の直線上に並ぶように配置された前記複数の角部を除いたL字型パターンを含む
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【請求項5】
請求項4記載の異物検出用パターンにおいて、
複数の前記直線は、1点で交差している
ことを特徴とする異物検出用パターン。
【請求項6】
基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンが、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンと、
前記基板上に形成され、前記異物検出用パターンと同じ材料で形成されたデバイスパターンと
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に形成された複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンが、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンと
を有することを特徴とする欠陥検査用基板。
【請求項8】
複数の角部を除いたL字型パターンを有し、前記複数の角部を除いたL字型パターンが、除いた前記角部の位置が直線上に並ぶように離間して配置されている異物検出用パターンが形成された基板を用いて異物を検出する
ことを特徴とする異物検出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−59998(P2012−59998A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203025(P2010−203025)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】