説明

疼痛、特に痛覚過敏治療のための、スポンゴシン(2−メトキシアデノシン)の使用。

特に痛覚過敏の治療のための鎮痛剤としてのスポンゴシン(2−メトキシアデノシン)の使用を記述する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は鎮痛剤および鎮痛剤を使用する疼痛予防、治療、或いは改善方法に関連する。
【0002】
疼痛は2つの構成成分を有し、それぞれ知覚神経の活性化に関与する。1つめの構成成分は例えば皮膚へ熱或いは圧力をかけた結果としてのように、知覚神経が刺激される初期或いは即時段階である。2つめの構成成分は以前損傷を受けた組織を神経支配する知覚メカニズム(sensory mechanisms)の感度が増大する結果である。この2つめの構成成分は痛覚過敏と呼ばれており、組織損傷から発生する慢性疼痛のすべての型に関与するが、疼痛認知の初期或いは即時段階には関与しない。
【0003】
よって、痛覚過敏は組織損傷により疼痛認知が高められた状態である。この状態は神経系の自然な応答であり、該応答は明らかに負傷した個体が損傷組織の保護作用を促進し、組織修復が起こる時間を与えるよう設計されている。この状態には2つの根源的な原因が知られており、知覚神経活性の増大、および脊髄で起こる侵害受容情報のニューロンのプロセッシングにおける変化である。痛覚過敏は、慢性炎症(例えば、関節リウマチ)の状態、および知覚神経損傷が起こる場合(すなわち神経因性疼痛)に、弱まっている可能性がある。
【0004】
鎮痛剤の2つの主要なクラス(class)としては:(i)非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)および関連するCOX−2阻害剤;および(ii)モルヒネに基づくオピエートが知られている。両クラスの鎮痛剤は、正常な即時型の、或いは侵害受容性疼痛の抑制に効果がある。しかしながら、それらは神経因性疼痛のような痛覚過敏の疼痛のいくつかの型にはあまり効果がない。医者の多くは神経因性疼痛に作用するのに必要な高い投与量でオピエートを処方したがらず、それは、これらの化合物の投与に起因する副作用、および患者がこれらの化合物の中毒になる可能性のためである。NSAIDsはオピエートより強力ではなく、よって、さらに高い投与量が必要である。しかしながらこのことは、これらの化合物が胃腸路の過敏を引き起こすので、望ましくない。
【0005】
アデノシンA1受容体アゴニストは強力な鎮痛剤として作用することが知られており(Sawynok, Eur J Pharmacol. (1998) 347, 1-11)、またアデノシンA2A受容体アゴニストは抗炎症剤として作用することが知られている。しかしながら、容認できない副作用のために、アデノシンに基づいた治療の発展は一般に妨げられている。選択的A1受容体アゴニストは徐脈の原因となり、またA2A受容体アゴニストは広汎な血管拡張の原因となり、結果として低血圧および頻脈を引き起こす。
【0006】
それゆえ、神経因性、炎症性、および他の痛覚過敏の症候群(hyperalgesic syndromes)において疼痛認知を制御するのに十分に強力である、および、重大な副作用を有さない、或いは患者が中毒にならない鎮痛剤を提供する必要がある。
【0007】
スポンゴシンは熱帯海洋の海綿、クリプトテシア・クリプタ(Cryptotethia crypta)から1945年に初めて単離された化合物である(Bergmann and Feeney, J. Org. Chem. (1951) 16, 981, Ibid (1956) 21, 226)。スポンゴシンは自然界で初めて発見されたメトキシプリン(methoxypurine)であって、加えて、2−メトキシアデノシン(2-methoxyadenosine)、或いは、9H−プリン−6−アミン(9H-purin-6-amine)、9−α−D−アラビノフラノシル−2−メトキシ(9-α-D-arabinofuranosyl-2-methoxy)として知られている。
【0008】
スポンゴシンの生物活性は初めてBartlettらにより記述され(J. Med. Chem. (1981) 24, 947-954)、彼らは当該化合物がラットにおいて筋肉弛緩性、体温下降、降圧性、および抗炎症性活性を有することを示した(抗炎症性活性はラットの足におけるカラゲナン誘発浮腫の阻害により評価した)。
【0009】
ラットアデノシンA1およびA2A受容体とスポンゴシンの親和性を決定した。得られたKd値(Kd values)はA1受容体については340nMおよびA2A受容体については1.4μMであった(Daly et al., Pharmacol. (1993) 46, 91-100)。モルモットにおいては、単離した心臓標本でスポンゴシンの有効性を試験し、得られたEC50値(EC50 values)はアデノシンA1およびA2A受容体それぞれについて10μMおよび0.7μMであった(Ueeda et al J Med Chem (1991) 34, 1334-1339)。1990年代初期に他のアデノシン受容体 (A2BおよびA3受容体)がクローニングされたが、これらの受容体のスポンゴシン活性は調べられていない。低い力価および低い受容体選択性を有する当該化合物は、ますます高い力価および受容体選択性をもつ新しい化合物が合成されるにつれ、大いに無視されることになった。
【0010】
驚くべきことに、哺乳類に投与する場合スポンゴシンは、疼痛感度が増大した状態(例えば神経因性および炎症性痛覚過敏)において、プリン受容体アゴニストの使用から予想される重大な副作用を起こすことなく、有意に疼痛を軽減することが発見された。
【0011】
本発明により、疼痛の予防、治療、或いは改善のための薬剤の製造におけるスポンゴシンの使用を提供する。
【0012】
ここで使用する「スポンゴシン」なる語はスポンゴシンの遊離塩基、或いは医薬上許容されるスポンゴシンの塩を含む。
【0013】
本発明によるスポンゴシンの使用は上述したように、初期或いは即時段階ではない疼痛の予防、治療或いは改善に特に関連していて、さらにとりわけ痛覚過敏の予防、治療、或いは改善に関連している。
【0014】
加えて本発明により疼痛(特に痛覚過敏)の予防、治療、或いは改善方法が提供され、該方法は、かかる予防、治療、或いは改善の必要がある対象へのスポンゴシンの投与を含む。
【0015】
驚くべきことにスポンゴシンは、アデノシン受容体を活性化することが知られている濃度より十分に低い濃度しか与えないと予想される用量で投与される場合でさえ、神経因性および炎症性疼痛にかかっている哺乳類における疼痛認知の阻害に効果的であることが発見された。それゆえスポンゴシンは、他のアデノシン受容体アゴニストの投与に関連する重大な副作用を起こすことなく、神経因性および炎症性疼痛を治療することができる。
【0016】
スポンゴシンの投与後に、正常な生理学的侵害受容に対する鎮痛効果は全く観察されなかった。
【0017】
痛覚過敏は直接的に知覚神経、或いは知覚神経により神経支配されている組織のどちらかに対する組織損傷の結果であるので、疼痛認知が痛覚過敏の構成成分を含んでいる多くの疾患或いは状態がある。
【0018】
スポンゴシンは神経障害に起因する痛覚過敏の予防、治療、或いは改善のための抗痛覚過敏薬として使用することができ、該神経障害は、腸の疼痛、背痛、癌疼痛、HIV疼痛、幻肢痛、術後疼痛、糖尿病性神経障害、多発神経障害、ヘルペス後神経痛、および三叉神経痛を含む。
【0019】
神経因性疼痛の構成成分を含む知覚神経への損傷に関わる他の疾患或いは状態は、膵臓の疼痛、骨盤/会陰の疼痛、背部の疼痛、胸痛、心臓の疼痛、骨盤の疼痛/PID、関節疼痛(例えば、腱炎、滑液包炎、急性関節炎に関連する)、首の疼痛、産科の疼痛(分娩或いは帝王切開)、慢性神経因性疼痛、脊椎手術の失敗による疼痛(failed back surgery pain)、身体的外傷後の疼痛(銃弾による傷、交通事故、或いは火傷起因の疼痛を含む)、瘢痕組織の疼痛、急性ヘルペス帯状疱疹の疼痛、急性膵炎の強烈な疼痛(癌)、或いは線維筋痛症、筋・筋膜疼痛症候群、骨関節炎、関節リウマチ、坐骨神経痛、或いは腰部の神経根障害、脊髄の狭窄症、側頭下顎の関節障害、腎疝痛、月経困難症/子宮内膜症に起因する、或いは関連する神経因性或いは他の疼痛を含む。
【0020】
スポンゴシンは炎症性疾患の結果として起こる痛覚過敏の予防、治療、或いは改善のための抗痛覚過敏薬として使用することができ、該疾患は、腸の疼痛、背痛、癌疼痛、線維筋痛症、術後疼痛、骨関節炎、および関節リウマチを含む。
【0021】
慢性炎症と関連しているために痛覚過敏が疼痛認知において顕著な役割を果たしている他の疾患或いは状態は、リュウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎のような他の関節炎の状態、或いは喘息、慢性閉塞性肺疾患、線維症、多発性硬化症、敗血症、肺血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性ショック、毒素性ショック、出血性ショック、成人呼吸促迫症候群、脳性マラリア、組織移植拒絶反応、癌の二次的疼痛、HIV、慢性肺性炎症性疾患、ケイ肺症、肺性肉腫、骨吸収の疾患、再灌流損傷、 移植片対宿主の拒絶反応、多発性硬化症、重症筋無力症、同種移植の拒絶反応、感染症起因の発熱および筋肉痛、AIDS関連症候群(ARC)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎およびパイレシス(pyresis)、過敏性腸症候群、骨粗鬆症、脳性マラリア、細菌性髄膜炎、或いはアンホテリシンB治療、インターロイキン−2治療、OKT3治療、或いはGM−CSF治療の副作用を含む。
【0022】
相対的に、上記疾患或いは状態の多くに関連する疼痛はNSAIDsおよびオピエート耐性である。
【0023】
スポンゴシンが医薬上許容される担体、賦形剤或いは希釈剤と併用投与されてもよいということは評価されるだろう。
【0024】
スポンゴシンの適正投与量は治療対象の年齢、性別、および体重、さらに投与経路で異なるだろう。
【0025】
好ましくは、スポンゴシンは投与されるべき対象と同種の動物において徐脈、低血圧、或いは頻脈の副作用を起こすスポンゴシンの最小血漿濃度の5分の1ないし1000分の1、好ましくは5分の1ないし100分の1の血漿濃度を与える用量で投与される。
【0026】
或いは好ましくは、スポンゴシンは、投与されるべき対象と同種の動物において徐脈、低血圧、或いは頻脈の副作用を起こすスポンゴシンの最小投与量の5分の1ないし50分の1、好ましくは5分の1ないし10分の1の用量で投与される。
【0027】
好ましくは、スポンゴシンは、6mg/kg未満、また好ましくは少なくとも0.01mg/kg、より好ましくは少なくとも0.05mg/kg、最も好ましくは少なくとも0.1mg/kgの用量で投与される。 より好ましくは、スポンゴシンは0.1ないし1mg/kg、或いは0.2ないし1mg/kgの用量で投与される。
【0028】
それ故に、70kgヒト対象のための好ましい投与量は420mg未満、好ましくは少なくとも0.7mg、より好ましくは少なくとも3.5mg、最も好ましくは少なくとも7mgである。より好ましくは7ないし70mg、或いは14ないし70mgである。
【0029】
スポンゴシンはいずれの適当な経路、好ましくは経口的に、非経口的に、舌下に、経皮的に、くも膜下腔内に、或いは経粘膜的により投与されてよい。
【0030】
好ましくはスポンゴシンは、1日につき2回或いは3回投与される。
【0031】
加えて、もしスポンゴシンが他の鎮痛剤と併用投与されるならば、相加的な鎮痛効果が得られうるということが発見されている。それ故に、スポンゴシンおよび他の鎮痛剤は望ましい鎮痛効果レベルを得るために投与することができ、各々はどちらかの剤が単独投与される場合に、該レベルに達するのに必要とされるであろう投与量よりも低い投与量である。各々の剤がより低い用量で投与されるので、剤のより高い用量の投与に関連する副作用が軽減する。或いは、スポンゴシンおよび他の鎮痛剤をより高い用量で投与することにより増大した鎮痛効果レベルが得られうる。
【0032】
他の鎮痛剤と併用投与される場合、スポンゴシンの好ましい投与量はスポンゴシン単独投与のために上記で特定した好ましい投与量より低い。
【0033】
他の鎮痛剤がスポンゴシンと同じ様式で作用しないならば、相加的な鎮痛効果が達成されるということが信じられている。スポンゴシンと併用投与されてもよい適合性のある他の鎮痛剤は、オピオイド受容体アゴニストおよび部分アゴニスト(例えば、モルヒネ、ヘロイン、フェンタニル、ブプレノルフィン、コデイン、或いはそれらの誘導体)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えばアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジクロフェナク、或いはそれらの誘導体)、ナトリウム或いはカルシウムチャネル修飾薬(例えばリグノカイン、或いはガバペンチン)、或いは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI’s)(例えばパキシリン)を含む。
【0034】
下記の実施例4はスポンゴシンの抗痛覚過敏の性質がオピオイド受容体アンタゴニストナロキソンの併用投与により影響を受けないということを示し、このことはスポンゴシンがオピオイド受容体を経由して作用しないということを示している。下記の実施例5はスポンゴシンおよびガバペンチンの併用投与の相加的な鎮痛効果を示す。ガバペンチンは神経因性疼痛に対して効果がある。神経因性疼痛を治療するために設計された他の鎮痛剤がスポンゴシンとの相加的な鎮痛性効果を有してもよいということが期待されている。かかる剤は、トパマックス(topamax)、プレガバリン(pregabalin)、ジコニチド(ziconitide)、およびカンナビノイド誘導体を含む。
【0035】
本発明の具体例は添付の図に関連して下記の実施例で述べる:
【0036】
実施例
実施例1
図1:A.スポンゴシン(0.624mg/kg p.o.)はインドメタシン(3mg/kg,po)に相当する有効性をもって、カラゲナン(CGN)誘発温熱性痛覚過敏(CITH)を阻害する。B.投与3時間後のスポンゴシンの濃度−応答関係。カラゲナン(2%、10マイクロリットル)を右後足に投与した。処置した、および処置しなかった後足の近くに熱源を置いた。また、足を引っ込めるまでの時間(paw withdrawal latencies)の相違を示す。スポンゴシンはカラゲナンと同時に投与した。
【0037】
実施例2
図2:スポンゴシン (0.624mg/kg p.o.)は、ラット坐骨神経の慢性狭窄損傷に起因する温熱性痛覚過敏を阻害する。麻酔下で右足の坐骨神経を露出させ、さらに4本のゆるい結紮糸で神経束をくくった。約2週間後、ラットは手術した足において温熱性痛覚過敏を発症し、これは右および左足を引っ込めるまでの時間の違いにより判断した。引っ込めるまでの時間の違いの減少により示されるように、スポンゴシンの投与は痛覚過敏を軽減した。スポンゴシンはカルバマゼピン(CBZ,100mg/kg s.c.)と同等か、或いはより効果がある。
【0038】
実施例3
図3:スポンゴシン(0.624mg/kg p.o.)は血圧或いは心拍数に重大な効果を有さない。移植可能なラジオテレメトリー(radiotelemetry)装置を1グループあたり6ラットの腹腔に設置した。装置の圧力カテーテルを腹大動脈に挿入し、皮膚下のリードIIポジション(lead II position)(腹腔/右肩部の左側)に2つの電極を通した。データ獲得のために、個々のラットはラジオレセプター(DSI)上の各々のケージに入れた。A:血圧、B;心拍数
【0039】
実施例4
図4:スポンゴシン(1.2mg/kg p.o.)はナロキソン(1mg/kg s.c.)の存在および不存在の両方において、ラット坐骨神経の慢性狭窄損傷に起因する静的な異痛症を阻害する。麻酔下で右足の坐骨神経を露出させ、さらに4本のゆるい結紮糸で神経束をくくった。約2週間後、ラットは手術した足において静的な異痛症を発症し、これを右および左足を引っ込めるまでの時間の違いにより判断した。ナロキソンの存在および不存在における足を引っ込めるまでの時間(PWT)の増大により示されるように、スポンゴシンの投与は痛覚過敏を軽減した。Veh:賦形剤
【0040】
実施例5
図5:スポンゴシンおよびガバペンチンは、ラット坐骨神経の慢性狭窄損傷に起因する静的な異痛症を阻害する。図で示すように、スポンゴシンおよびガバペンチンを異なる割合で投与した(p.o.)。全投与量を横軸に、足を引っ込めるまでの時間(PWT)を縦軸に示す。2つの化合物の効果が相加的である場合の予測される抗痛覚過敏効果(各々の剤単独で得られる投与量反応曲線から導く)を示す(・)。観察された効果を(■)で示す。観察された効果は相加性により予測される効果と有為には異なっていないということが明らかである。
【0041】
アデノシン受容体を活性化させることが知られている濃度より十分に低い濃度しか与えないと予想される用量で投与される場合でさえ、スポンゴシンは神経因性および炎症性疼痛にかかっている哺乳類の疼痛認知の阻害に効果的である。これらの投与量では、心臓のA1受容体も血管のA2A受容体も、動物の心血管状態に変化を起こすほど十分には刺激されないということが理解されうる。
【0042】
それ故、スポンゴシンは神経因性或いは炎症性疾患の結果として起こる痛覚過敏の治療のために、経口的に投与されうる抗痛覚過敏薬として使用することができ、該疾患は腸の疼痛、背痛、癌疼痛、線維筋痛症、HIV疼痛、幻肢痛、骨関節炎、関節リウマチ、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、多発神経障害、糖尿病性神経障害および術後疼痛を含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1はスポンゴシン(0.6mg/kg p.o.)のカラゲナン誘発痛覚過敏に対する抗痛覚過敏作用を示し、A:時間経過(賦形剤に対して、*p<0.05、**p<0.01(Sidak’s)、スポンゴシンおよびINDに関して、5時間にわたり、ブランクに対し、p>0.05(Dunnett’s));B:抗痛覚過敏効果の用量依存性;
【図2】図2はスポンゴシン(0.6mg/kg p.o.)の神経因性疼痛の慢性狭窄損傷モデルにおける抗痛覚過敏作用を示し(賦形剤に対して、*p<0.05、**p<0.01(ANOVA Sidak’s));
【図3】図3はA:正常ラットの血圧;B:心拍数 に対するスポンゴシン(0.6mg/kg p.o.)の効果を示し;
【図4】図4は神経因性疼痛の慢性狭窄損傷モデルにおけるナロキソンの存在および不存在でのスポンゴシン(0.6mg/kg p.o.)の効果を示し;さらに
【図5】図5は神経因性疼痛の慢性狭窄損傷モデルにおけるスポンゴシンおよびガバペンチンの相加的な効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疼痛予防、治療、或いは改善のための薬剤製造におけるスポンゴシンの使用。
【請求項2】
疼痛が痛覚過敏である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
痛覚過敏が神経因性疼痛である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
疼痛が知覚神経に損傷を起こす疾患に起因する、或いは関連する、前記請求項いずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
腸の疼痛、膵臓疼痛、骨盤/会陰の疼痛、背痛、背部の疼痛、胸痛、心臓の疼痛、骨盤の疼痛/PID、関節疼痛(例えば、腱炎、滑液包炎、急性関節炎に関連する)、首の疼痛、産科の疼痛(分娩或いは帝王切開)、癌疼痛、HIV疼痛、幻肢痛、術後疼痛、慢性神経因性疼痛、脊椎手術の失敗による疼痛(failed back surgery pain)、身体的外傷後の疼痛(銃弾による傷、交通事故、或いは火傷起因の疼痛を含む)、瘢痕組織疼痛、急性ヘルペス帯状疱疹の疼痛、急性膵炎の強烈な疼痛(癌)、ヘルペス後神経痛、或いは三叉神経痛の予防、治療、或いは改善のための、或いは、糖尿病性神経障害、多発神経障害、線維筋痛症、筋・筋膜疼痛症候群、骨関節炎、関節リウマチ、坐骨神経痛、或いは腰部神経根障害、脊髄の狭窄症、側頭下顎の関節障害、腎疝痛、月経困難症/子宮内膜症に起因する、或いは関連する神経因性或いは他の疼痛の予防、治療、或いは改善のための、前記請求項いずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
痛覚過敏が炎症性疼痛である、請求項2に記載の使用。
【請求項7】
疼痛が炎症性或いは免疫性疾患に起因する、或いは関連する、請求項1、2、或いは6いずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
腸の疼痛、背痛、癌疼痛、線維筋痛症、術後疼痛の予防、治療、或いは改善のための、或いは、骨関節炎、関節リウマチ、リュウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎のような関節炎状態、或いは喘息、慢性閉塞性肺疾患、線維症、多発性硬化症、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性ショック、毒素性ショック、出血性ショック、成人呼吸促迫症候群、脳性マラリア、組織移植拒絶反応、癌の二次的疼痛、HIV、慢性肺性炎症性疾患、ケイ肺症、肺性肉腫、骨吸収の疾患、再灌流損傷、移植片対宿主の拒絶反応、多発性硬化症、重症筋無力症、同種移植の拒絶反応、感染症起因の発熱および筋肉痛、AIDS関連症候群(ARC)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎およびパイレシス(pyresis)、過敏性腸症候群、骨粗鬆症、脳性マラリア、細菌性髄膜炎、或いはアンホテリシンB治療、インターロイキン−2−治療、OKT3治療、或いはGM−CSF治療の副作用に起因する、或いは関連する、炎症性或いは他の疼痛の予防、治療、或いは改善のための、請求項1、2、6或いは7いずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
スポンゴシンが他の鎮痛剤と併用される、前記請求項いずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
他の鎮痛剤がオピオイド受容体アゴニスト或いは部分アゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ナトリウム、或いはカルシウムチャネル修飾薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、或いは神経因性疼痛を治療する剤である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
かかる予防、治療、或いは改善を必要とする対象へのスポンゴシンの投与を含む、疼痛の予防、治療、或いは改善方法。
【請求項12】
疼痛が痛覚過敏である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
痛覚過敏が神経因性疼痛である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
疼痛が知覚神経に損傷を起こす疾患に起因する、或いは関連する、請求項11ないし13いずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
腸の疼痛、膵臓の疼痛、骨盤/会陰の疼痛、背痛、背部の疼痛、胸痛、心臓の疼痛、骨盤の疼痛/PID、関節疼痛(例えば、腱炎、滑液包炎、急性関節炎に関連する)、首の疼痛、産科の疼痛(分娩或いは帝王切開)、癌疼痛、HIV疼痛、幻肢痛、術後疼痛、慢性神経因性疼痛、脊椎手術の失敗による疼痛(failed back surgery pain)、身体的外傷後の疼痛(銃弾による傷、交通事故、或いは火傷起因の疼痛を含む)、瘢痕組織疼痛、急性ヘルペス帯状疱疹の疼痛、急性膵炎の強烈な疼痛(癌)、ヘルペス後神経痛、或いは三叉神経痛の予防、治療、或いは改善のための、或いは糖尿病性神経障害、多発神経障害、線維筋痛症、筋・筋膜疼痛症候群、骨関節炎、関節リウマチ、坐骨神経痛、或いは腰部の神経根障害、脊髄の狭窄症、側頭下顎の関節障害、腎疝痛、月経困難症/子宮内膜症に起因する、或いは関連する神経因性或いは他の疼痛の予防、治療、或いは改善のための、請求項11ないし14いずれか1項記載の方法。
【請求項16】
痛覚過敏が炎症性疼痛である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
疼痛が炎症性或いは免疫性疾患に起因する、或いは関連する、請求項11、12、或いは16に記載の方法。
【請求項18】
腸の疼痛、背痛、癌疼痛、線維筋痛症、術後疼痛の予防、治療、或いは改善のための、或いは骨関節炎、関節リウマチ、リュウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎のような関節炎状態、或いは喘息、慢性閉塞性肺疾患、線維症、多発性硬化症、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性ショック、毒素性ショック、出血性ショック、成人呼吸促迫症候群、脳性マラリア、組織移植拒絶反応、癌の二次的疼痛、HIV、慢性肺性炎症性疾患、ケイ肺症、肺性肉腫、骨吸収の疾患、再灌流損傷、移植片対宿主の拒絶反応、多発性硬化症、重症筋無力症、同種移植の拒絶反応、感染症起因の発熱および筋肉痛、AIDS関連症候群(ARC)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎およびパイレシス(pyresis)、過敏性腸症候群、骨粗鬆症、脳性マラリア、細菌性髄膜炎、或いは,アンホテリシンB治療、インターロイキン−2治療、OKT3治療、或いはGM−CSF治療の副作用に起因する、或いは関連する炎症性或いは他の疼痛の予防、治療、或いは改善のための、請求項11、12、16、或いは17に記載の方法。
【請求項19】
スポンゴシンが、投与されるべき対象と同種の動物において徐脈、低血圧、或いは頻脈の副作用を起こすスポンゴシンの最小血漿濃度の5分の1ないし1000分の1の血漿濃度を与える用量で投与される、請求項11ないし18いずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
投与量が副作用を起こす最小投与量の5分の1ないし100分の1である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
投与されるべき対象と同種の動物において、徐脈、低血圧、或いは頻脈の副作用を起こすスポンゴシンの最小投与量の5分の1ないし50分の1の用量でスポンゴシンが投与される、請求項11ないし18いずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
投与量が副作用を起こす最小投与量の5分の1ないし10分の1である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
スポンゴシンが6mg/kg未満の用量で投与される、請求項11ないし18いずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
スポンゴシンが、少なくとも0.01mg/kg、好ましくは少なくとも0.05mg/kgの用量で投与される、請求項11ないし18、或いは23いずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
スポンゴシンが少なくとも0.1mg/kgの用量で投与される、請求項11ないし18、或いは23いずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
スポンゴシンが0.1ないし1mg/kg、或いは0.2ないし1mg/kgの用量で投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
対象にスポンゴシンおよび他の鎮痛剤を投与する、請求項11ないし18いずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
他の鎮痛剤がオピオイド受容体アゴニスト、或いは部分アゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ナトリウム或いはカルシウムチャネル修飾薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、或いは神経因性疼痛を治療する剤である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
スポンゴシンが、経口的に、非経口的に、舌下に、経皮的に、くも膜下腔内に、或いは経粘膜的に投与される、請求項11ないし28いずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
スポンゴシンが1日に2回或いは3回投与される、請求項11ないし29いずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
対象がヒトである、請求項11ないし30いずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−514638(P2006−514638A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558826(P2004−558826)
【出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005379
【国際公開番号】WO2004/052377
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(505011110)ケンブリッジ・バイオテクノロジー・リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Cambridge Biotechnology Ltd.
【Fターム(参考)】