癌の処置のための5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸の使用
本発明は、癌の処置における5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸(「5,10−CH2−THFA」)の新規の使用および組成物を提供する。本発明は、5,10−CH2−THFAが、腫瘍増殖の速度を低下させ生存期間を増加させる5−フルオロウラシル(5−FU)の効力を増加させつつ、5−FUの患者に対する毒性を低下させるという驚くべき結果に基づく。本発明は、5−FU、5,10−CH2−THFA、および1つ以上の付加的な抗癌薬を含む癌患者の処置のための方法および組成物を提供する。このような方法および組成物は、現在の治療様式と比較して増加した効力および低下した毒性を提供し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第60/558,889号(2004年4月2日出願、発明者Mark Cantwellおよび発明者Joan Robbinsにより題された「Methods of Using 5,10−Methylene Tetrahydrofolate to Treat Cancer」)および米国仮特許出願第60/658,745号(2005年3月4日出願、発明者Mark Cantwellおよび発明者Joan Robbinsにより題された「Methods of using 5,10−methylene hydrofolate in combination therapies to treat cancer」)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
癌は重要な公衆衛生問題である。結腸直腸癌は、単独で、米国内で1年におよそ50,000件の死を引き起こす。毎年診断されるおよそ130,000の結腸直腸癌例のほぼ半分が、化学療法が唯一の治療法である転移性疾患を伴うかまたは転移性疾患へと進展する。結腸直腸癌のみならず、例えば、乳癌、膵臓癌、胃癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮頸癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、および前立腺癌のようなその他の癌についても、治療のための新たな有効な薬物に基づく療法が緊急に求められている。
【0003】
抗癌薬5−フルオロウラシル(5−FU)は、核酸生合成に必要とされる酵素チミジル酸シンターゼ(TS)のインヒビターであるFdUMPへと体内で変換される。5−FUは、結腸直腸癌および乳癌、さらに頭頸部癌、膵臓癌、胃癌、および非小細胞肺癌のような癌を治療するために一般的に使用されている。5−FUは、一般的に、チミジル酸シンターゼの補因子である還元型の葉酸(5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸またはポリグルタミン酸型の5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸)へと細胞内で変換されるフォリン酸(FA、ロイコボリン(leucovorin))と併用されている。5−FUおよびロイコボリンの組み合わせは、5−FU単独の使用と比較して、増加した抗腫瘍効果を有していることが見出されている。5−FU、およびロイコボリンと組み合わせられた5−FUは、再発性の結腸直腸癌、乳癌、胃癌、またはその他の癌を有する患者の生存期間(survivorship)を改善するためにその他の抗癌剤と組み合わせて使用されている。
【0004】
5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸(「5,10−CH2−THFA」)は、直接、またはポリグルタミン酸型への変換の後、チミジル酸シンターゼの補因子として作用することができる還元型葉酸である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
5−FUに関連した毒性には、口内炎、粘膜炎、胃腸症状、ならびに血液学的毒性、特に、好中球減少、血小板減少、および白血球減少が含まれる。毒性は、抗癌剤の投薬量を制限することにより、または癌患者の治療において医師が利用可能な手段を制限することにより、患者にとって利用可能な治療法を制限する場合がある。従って、患者の生存期間を延長するのに有効な、低下した毒性を有する、改良された抗癌薬レジメンを開発する必要が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、患者に対して現在の様式より低下した毒性および大きい効力を提供する、癌の治療における5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸(「5,10−CH2−THFA」)の新規の使用を提供する。
【0007】
本発明は、5,10−CH2−THFAが、腫瘍増殖の速度を低下させ生存期間を増加させる5−FUの効力を増加させつつ、5−FUの患者に対する毒性を低下させるという驚くべき結果に基づく。本明細書に開示されるように、5,10−CH2−THFAおよび5−FUによる治療は、5−FU単独またはロイコボリン(フォリン酸;FA)と組み合わせられた5−FUによる治療と比べて、腫瘍保持動物の腫瘍増殖速度を低下させ、生存期間を増加させつつ、いずれの治療よりも少ない毒性を示す。
【0008】
本発明は、さらに、5,10−CH2−THFAおよび5−FUおよび付加的な抗癌薬による腫瘍保持動物の治療も、単一様式治療、またはロイコボリンと共に5−FUを使用することを含む別の組み合わせ治療と比べて、結果を改良し得るという発見に基づく。
【0009】
1つの局面において、本発明は、5−フルオロウラシル(5−FU)または5−FUのアナログもしくはプロドラッグ;5,10−CH2−THFA;および1つ以上の付加的な抗癌薬を含む組み合わせ化学療法により癌患者を治療する方法を提供する。1つ以上の付加的な抗癌薬は、特異的結合メンバー、タンパク質、核酸、脂質、ステロイド、高分子、低分子、または金属を含む化学療法剤(これらに制限はされない)を含む、任意の型の1つ以上の化学療法剤であり得る。この1つ以上の抗癌薬は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、有糸分裂インヒビター、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬、または5−FU調節因子のうちの1つ以上を含み得る。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。
【0010】
第二の局面において、本発明は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む、癌の治療のための組成物を提供する。1つ以上の付加的な抗癌薬は、特異的結合メンバー、タンパク質、核酸、脂質、ステロイド、高分子、低分子、または金属を含む化学療法剤(これらに制限はされない)を含む、任意の型の1つ以上の化学療法剤であり得る。この1つ以上の抗癌薬は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、有糸分裂インヒビター、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸生合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬、または5−FU調節因子のうちの1つ以上を含み得る。本発明の多重薬物組成物は、1つの処方物または複数の処方物として提供され得る。
【0011】
本発明の第三の局面は、癌の治療のための組成物の製造における、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な化学療法剤と組み合わせられた5,10−CH2−THFAの使用であり、ここで、少なくとも1つの付加的な化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸生合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬、または5−FU調節因子からなる群より選択される。その使用は、単一の処方物としてまたは複数の処方物として薬学的組成物を製造することを含む。
【0012】
第四の局面において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの癌患者への投与を含む癌薬物治療レジメンの患者に対する毒性を減少させる方法を提供する。
【0013】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、カペシタビン(capecitabine)(これに制限はされない)のような5−FUのアナログもしくはプロドラッグの毒性を減少させる方法を含む。
【0014】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を癌を有する患者へ投与することを含む抗癌治療の毒性を減少させる方法を含む。
【0015】
本発明の第五の局面は、抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することを含む、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬物治療レジメンの患者に対する毒性を低下させる方法である。
【0016】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することによりレジメンの毒性が減少する、カペシタビン(これに制限はされない)のような5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの毒性を減少させる方法を含む。
【0017】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌を有する患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌治療の毒性を減少させる方法を含む。
【0018】
第六の局面において、本発明は、5,10−5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの癌患者への投与を含む癌薬物治療レジメンの効力を増加させる方法を提供する。
【0019】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、カペシタビン(これに制限はされない)のような5−FUのアナログもしくはプロドラッグの効力を増加させる方法を含む。
【0020】
この局面のその他の好ましい実施形態において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を癌を有する患者へ投与することを含む抗癌治療の効力を増加させる方法を含む。
【0021】
本発明の第七の局面は、抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することを含む、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬物治療レジメンの患者に対する効力を増加させる方法である。
【0022】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することによりレジメンの効力が増加する、カペシタビン(これに制限はされない)のような5−FUのアナログまたはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法を含む。
【0023】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌を有する患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌治療の効力を増加させる方法を含む。
【0024】
関連する局面において、本発明は、5−FUおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの中の5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの用量を増加させる方法を提供する。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンを入手すること;抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換すること;ならびに抗癌薬レジメンの中の5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの投薬量を増加させることを含む。この局面において、抗癌薬物の中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換しつつ、5−FUの投薬量を増加させることは、やたらと毒性を増加させることなく、治療の効力を増加させ得る。
【0025】
さらにもう一つの関連する局面において、本発明は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および付加的な抗癌薬を含む抗癌薬レジメンの中の付加的な抗癌薬の用量を増加させる方法を提供する。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬レジメンを入手すること;抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換すること;ならびに抗癌薬レジメンの中の1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることを含む。この局面において、抗癌薬物の中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換しつつ、レジメンにおいて使用される付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることは、やたらと毒性を増加させることなく、治療の効力を増加させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
(定義)
「抗癌薬」とは、癌の治療において使用される任意の薬物である。本発明の方法および組成物において使用され得るいくつかの研究中の抗癌薬のいくつかの非制限的な例は、表1に提供される。
【0027】
「化学療法剤」とは、生物学的活性を有しており、疾患の治療において有用な化学的実体である。癌療法において、化学療法剤は、直接的または間接的に癌細胞の死を引き起こす化学的実体である。化学療法剤は、単一の薬剤として、または1つ以上の他の化学療法剤との組み合わせで抗癌効果を有し得る。
【0028】
抗癌薬または化学療法剤の「アナログ」とは、抗癌薬または化学療法剤と構造的に類似しているが、(ある原子の異なる元素の原子への交換、または特定の官能基の付加もしくは置換のように)組成がわずかに異なっている化学化合物である。本明細書において使用されるように、「アナログ」とは、構造的には類似しているかまたは同一であるが、例えば、可溶性を増強するか、分解を遅延させるか、循環系における半減期を増加させるか、膜透過性を賦与するか、または例えば組織もしくは細胞の標的化を指示することができる付加的な部分を含む化学化合物を意味することもできる。好ましくは、化合物、抗癌薬、または化学療法剤のアナログは、治療的に有効な量で患者に投与された場合、化合物、抗癌薬、または化学療法剤と本質的に同一の活性を有している。
【0029】
抗癌薬または化学療法剤の「プロドラッグ」とは、体内で抗癌薬または治療剤へと変換されるが、それ自体は活性を有していないか、または抗癌薬のものとは定量的もしくは定性的に異なる活性を有している分子である。
【0030】
本明細書において使用されるように、「抗癌薬レジメン」、「化学療法薬物レジメン」、「抗癌薬物プロトコル」、または「化学療法プロトコル」とは、どのような治療を癌患者が受けるか、正確には、いつ、どのような投薬量で各々が与えられるかの正式の概要または計画である。
【0031】
本明細書において使用されるように、「チミジル酸シンターゼの葉酸補因子」または「TSの葉酸補因子」とは、5−FUによるチミジル酸シンターゼの阻害を増強することができる5,10−CH2−THFAまたはポリグルタミン酸型5,10−CH2−THFAのような還元型葉酸分子である。本明細書において使用されるように、「チミジル酸シンターゼの葉酸補因子」は、チミジル酸シンターゼの阻害を増強する葉酸分子の前駆体またはプロドラッグであってもよい。例えば、フォリン酸(5−ホルミル−テトラヒドロ葉酸、ロイコボリン)のような葉酸補因子は、体内で5,10−CH2−THFAおよびポリグルタミン酸型5,10−CH2−THFAへと変換され得る。
【0032】
「毒性」とは、身体の細胞、組織、器官、または系に対する実体の有害な効果をさす。毒性効果は、治療を受ける被験体の細胞または組織との実体の生化学的反応に起因し、全身性であるかもしれないし、または特定の系もしくは器官を含む、特異的なものであるかもしれない。毒性には、非制限的な例として、増加した流涙;粘膜炎;食道咽頭炎;感覚異常(parasthesias)、不眠、および眩暈のような神経学的毒性;悪心、嘔吐、および下痢のような胃腸毒性;体重減少毒性;心臓毒性;脱毛、発汗、および発疹を含む皮膚科学的毒性;ならびに好中球減少、血小板減少、リンパ球減少、および白血球減少(これらに制限はされない)のような血液学的毒性が含まれる。毒性パラメータの臨床的な定義は、国立癌研究所の共通毒性基準(National Cancer Institute’s Common Toxicity Criteria)(バージョン3)または世界保健機関の毒性基準(World Health Organization Toxicity Criteria)に見出され得る。
【0033】
抗癌治療または化学療法レジメンの「効力」は、抗腫瘍効果または抗癌細胞効果、ならびに、例えば、寛解、進行までの時間、応答率、および生存期間のような治療の臨床的な結果を改良する能力により決定される。抗癌治療または化学療法レジメンの効力を査定する容認された方法は、癌治療の分野においてよく確立されている。例えば、抗癌効果は、例えば、血清中または血漿中の癌細胞またはマーカーを検出することにより査定され得る。検出され得る腫瘍タンパク質または抗原の例には、結腸癌に関するCEAおよび膵臓癌に関するCA19−9が含まれる。固形腫瘍の場合、抗腫瘍効果は、腫瘍サイズ、および経時的な腫瘍サイズの変化をモニタリングすることにより測定され得る。臨床研究において、病巣の数、腫瘍サイズ、および腫瘍増殖速度は、ラジオグラフィ、断層撮影法によってモニタリングされ得、可能な場合には、腫瘍量の直接測定によりモニタリングされ得る。抗腫瘍効果は、ELISA、PCR、ウェスタンブロッティング、または免疫細胞化学のような分子生物学および生化学の技術を使用しても測定され得る。
【0034】
【表1】
(I.5−FU、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む組み合わせ療法を使用して、癌を有する患者を治療する方法)
本発明は、5−5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ;5,10−CH2−THFA;および1つ以上の付加的な抗癌薬を含む組み合わせ化学療法により癌患者を治療する方法を提供する。1つ以上の付加的な抗癌薬は、特異的結合メンバー、タンパク質、(アンチセンス分子、リボザイム、およびsiRNA(これらに制限はされない)のような)核酸もしくは核酸アナログ、脂質、ステロイド、高分子、低分子、または金属を含む化学療法剤(これらに制限はされない)を含む、任意の型の1つ以上の化学療法剤であり得る。1つ以上の抗癌薬には、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、イリノテカン、トポテカン)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、ゲムシタビン(gemcitabine)、テザシタビン)、5−FU調節因子、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン)、核酸生合成インヒビター(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン、シスプラチン、オキサリプラチン)、微小管破壊薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン(vinolrebine)、ビンクリスチン)、ホルモン遮断薬(例えば、タモキシフェン)、レセプターチロシンキナーゼおよび非レセプターチロシンキナーゼ(これらに制限はされない)を含むキナーゼのインヒビター(例えば、Iressa、Tarceva、SU5416、PTK787、Gleevec)、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ(bortezomib))、免疫調節因子(例えば、レバミゾール)、抗炎症薬、血管新生インヒビター、サイトカイン(例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子)、ならびにサイトカイン、ホルモン、またはサイトカインもしくはホルモンのレセプターの活性を阻害する薬物(例えば、抗VEGF抗体ベバシツマブ(bevacizumab)または「アバスチン」)(これらに制限はされない)のような1つ以上の化学療法剤が含まれ得る。抗癌薬は、表1に列挙されたもののような抗癌活性の可能性について調査中の薬物であってもよい。抗癌薬には、サイトカイン、ホルモン、またはホルモンレセプターに結合するモノクローナル抗体(例えば、アバスチン、エルビタックス(erbutux)、ハーセプチン(herceptin)のようなEGFまたはVEGF増殖因子の活性化を遮断する抗体)(これらに制限はされない)などのようなモノクローナル抗体が含まれる。
【0035】
その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。本明細書において使用されるように、「付加的な」抗癌薬とは、5,10−CH2−THFA、5−FUもしくは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはロイコボリンではない抗癌薬である。
【0036】
癌患者は、任意の型の癌を有する患者であり得る。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、患者は、例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、または胃癌のような現在の実務において5−FUにより一般的に治療されている腫瘍型を有している。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、患者は、卵巣癌または子宮頸癌(これらに制限はされない)のような、現在の実務において5−FUにより一般的に治療されていない腫瘍型を有している。また、本発明者らは、5,10−CH2−THFA、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、および1つ以上の付加的な抗癌薬を使用する組み合わせ療法が5−FUにより現在一般的に治療されているもの以外の癌を治療するための可能性を有していることを企図する。
【0037】
癌治療および化学療法の分野の当業者は、毒性および効力の評価のためのよく確立されているプロトコルを使用して、5,10−CH2−THFAおよび5−FUの最適の投薬量およびレジメンを決定することができよう。5−FUおよび5,10−CH2−THFAによる癌患者のいくつかの好ましい治療は、1m2当たり10mgから1gの5,10−CH2−THFA、好ましくは1m2当たり20mgから500mgの5,10−CH2−THFA、より好ましくは1m2当たり約30mgから約250mgの5,10−CH2−THFAを使用したレジメンである。例えば、5,10−CH2−THFAの好ましい用量は1m2当たり約30から約120mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変させられ得る、一般的な指針に過ぎない。
【0038】
5−FUの投薬量は、1m2当たり約25mgから約5gであり得、好ましくは1m2当たり約50mgから2.5g、より好ましくは1m2当たり約100mgから約1gである。例えば、5−FUの好ましい用量は、1m2当たり約250から約700mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変させられ得る、一般的な指針に過ぎない。5−FUは、注射またはIV供給を含む任意の実行可能な手段により投与され得る。
【0039】
いくつかの好ましい実施形態において、5−FU自体ではなく5−FUのプロドラッグまたはアナログが、組み合わせ療法において使用される。患者の組織において、5−FUは、チミジル酸シンターゼのインヒビターである5−フルオロ−2’−デオキシウリジレート(FdUMP)へと変換される。本願において、「5−FUのアナログまたはプロドラッグ」とは、FdUMPのようなチミジル酸シンターゼのインヒビターへと直接的または間接的に変換され得るアナログまたはプロドラッグを意味するために使用される。本発明の方法において使用され得る5−FUの1つのプロドラッグは、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン);5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。カペシタビンの投薬量は、熟練した医師により決定され得、一部分、投与の頻度に依る。例えば、カペシタビンの1日投薬量は、1m2当たり約500mgから約7500mg、好ましくは1m2当たり約1000mgから約5000mg、より好ましくは1m2当たり約1500mgから約3000mgであり得る。用量は、1日1〜6(好ましくは2)回の投与へと分割され得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変させられ得る、一般的な指針に過ぎない。カペシタビンは、注射、IV供給、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0040】
本発明の方法において使用され得るアナログの組み合わせは、UFTとして公知の1:4の組み合わせで使用されるテガフール(TF)およびウラシル(U)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、UFT;5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。UFTの投薬量は、熟練した医師により決定され得、部分的に、投与の頻度に依る。例えば、UFTの1日投薬量は、1m2当たり約50mgから約3000mg、好ましくは1m2当たり約100mgから約2000mg、より好ましくは1m2当たり約200mgから約1000mgであり得る。UFTを含む抗癌レジメンは、場合により、UFTと共に投与されるフォリン酸カルシウムを含み得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。UFTは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0041】
本発明の多重薬物レジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量も、投薬量の上昇ならびに毒性および効力のモニタリングを使用した研究により決定され得る。化学療法レジメンにおいて独立に使用されている組み合わせ療法において使用される抗癌薬の投薬量の決定において、実務者は、確立されている化学療法レジメンにおいて使用されている薬物の投薬量を考慮に入れ得る。
【0042】
5,10−CH2−THFAと組み合わせられた場合の5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の低下した毒性は、CH2−THFAの非存在下においては非常に毒性である1つ以上の付加的な抗癌薬と組み合わせて、5,10−CH2−THFAおよび5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)が使用される薬物レジメンを許容し得る。
【0043】
薬物は、資格のある医師により決定され得るレジメンに従って、静脈内投与、経口投与、またはその他の任意の実行可能な手段により投与され得る。本発明の組み合わせプロトコルにおいて使用される抗癌薬は、別々に投与されてもよいし、または、組み合わせプロトコルにおいて使用される抗癌薬のうちの1つ以上が、一緒に投与されてもよい。1つ以上の抗癌薬が別々に投与される場合、各薬物の投与のタイミングおよびスケジュールは、変動し得る。
【0044】
例えば、各薬物のボーラス注射が、多くの週にわたり週1回与えられ得る。好ましくは、5,10−CH2−THFAは、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの前に投与される。例えば、患者は、5−FUの投薬を受ける約10分から約4時間前に、5,10−CH2−THFAの投薬を受け得る。組み合わせ療法において使用される付加的な抗癌薬は、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の投与の前、投与の間、もしくは投与の後に投与されてもよいし、または患者が5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および5,10−CH2−THFAを受けない期間に投与されてもよい。組み合わせ療法のためのプロトコルは、限定的ではなく、頻度、期間、および投薬量に関する多くの実行可能な投与プロトコルを含み得る。
【0045】
本発明のこの局面のいくつかの実施形態において、5,10−CH2−THFA、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および1つ以上の付加的な抗癌薬による癌患者の処置は、5,10−CH2−THFAおよび5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の非存在下での1つ以上の付加的な抗癌薬による患者の処置と比較して、または5,10−CH2−THFAの非存在下での5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および1つ以上の付加的な抗癌薬による患者の処置と比較して、癌患者における腫瘍増殖の速度を低下させ得る。
【0046】
本発明のこの局面のいくつかの実施形態において、5,10−CH2−THFA、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、および1つ以上の付加的な抗癌薬による癌患者の処置は、5,10−CH2−THFAおよび5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の非存在下での1つ以上の付加的な抗癌薬による患者の処置と比較して、または5,10−CH2−THFAの非存在下での5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および1つ以上の付加的な抗癌薬による患者の処置と比較して、癌患者の生存率を増加させ得る。
【0047】
(II.5−FU、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む癌の処置のための組成物)
本発明の第2の局面は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬:を含む、癌の処置のための組成物である。1つ以上の付加的な抗癌薬は、特異的結合メンバー、タンパク質、(アンチセンス分子、リボザイム、およびsiRNA(これらに限定されない)のような)核酸もしくは核酸アナログ、脂質、ステロイド、高分子、低分子、または金属を含む化学療法剤(これらに限定されない)を含む、任意の型の1つ以上の化学療法剤であり得る。1つ以上の抗癌薬には、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、イリノテカン、トポテカン)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、ゲムシタビン)、有糸分裂インヒビター、5−フルオロウラシル調節因子、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン)、核酸生合成インヒビター(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン、シスプラチン、オキサリプラチン)、微小管破壊薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン(vinolrebine)、ビンクリスチン)、ホルモン遮断薬(例えば、タモキシフェン)、レセプターチロシンキナーゼおよび非レセプターチロシンキナーゼ(これらに限定されない)を含むキナーゼのインヒビター(例えば、Iressa、Tarceva、SU5416、PTK787、Gleevec)、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、免疫調節因子(例えば、レバミゾール)、抗炎症薬、血管新生インヒビター、サイトカイン(例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子)、ならびにサイトカイン、ホルモン、またはサイトカインもしくはホルモンのレセプターの活性を阻害する薬物(例えば、抗VEGF抗体ベバシツマブまたは「Avastin」)(これらに限定されない):のような1つ以上の化学療法剤が含まれ得る。抗癌薬はまた、表1に列挙されたもののような可能性のある抗癌活性のため調査中の薬物であり得る。抗癌薬には、サイトカイン、ホルモン、またはホルモンレセプターに結合するモノクローナル抗体(例えば、Avastin、エルビタックス(erbutux)、ハーセプチンのようなEGFまたはVEGF増殖因子の活性化を阻止する抗体)等(これらに限定されない)のようなモノクローナル抗体が含まれる。
【0048】
本発明は、薬学的組成物として処方された5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、5,10−CH2−THFA、および1つ以上の付加的な抗癌薬を含む抗癌薬の組み合わせを包含する。抗癌薬の組み合わせは1つ以上の薬学的処方物を含み得る。例えば、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、5,10−CH2−THFA、および1つ以上の付加的な抗癌薬は、各々、別々の処方物として提供され得る。代替的に、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、5,10−CH2−THFA、および1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの2つ以上が、1つの処方物で一緒に提供され得る。本発明の多重薬物抗癌レジメンにおいて使用される別々の処方物は、同一の投与経路または異なる投与経路のために設計され得る。
【0049】
(III.癌の処置のための薬学的組成物の製造における、5−FU、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬の使用)
本発明はまた、癌の処置のための薬学的組成物の製造における5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬の使用を包含する。少なくとも1つの付加的な抗癌薬は、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、イリノテカン、トポテカン)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、ゲムシタビン)、有糸分裂インヒビター、5−Fu調節因子、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン)、核酸生合成インヒビター(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン、シスプラチン、オキサリプラチン)、微小管破壊薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン(vinolrebine)、ビンクリスチン)、ホルモン遮断薬(例えば、タモキシフェン)、レセプターチロシンキナーゼおよび非レセプターチロシンキナーゼ(これらに限定されない)を含むキナーゼのインヒビター(例えば、Iressa、Tarceva、SU5416、PTK787、グリーベック)、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、免疫調節因子(例えば、レバミゾール)、抗炎症薬、血管新生インヒビター、サイトカイン(例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子)、ならびにサイトカイン、ホルモン、またはサイトカインもしくはホルモンのレセプターの活性を阻害する薬物(例えば、ベバシツマブまたは「Avastin」):のいずれかであり得る。その使用には、単一の処方物として、または複数の処方物としての薬学的組成物の製造が含まれる。例えば、5−FUが注射可能な一定分量として提供され、5,10−CH2−THFAおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬が、5−FUの投薬の前に投与される付加的な注射可能な一定分量として提供され得る。代替的に、5−FU、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬は、各々が別々に投与され得るように、全て別々の処方物で提供され得、その場合、各薬物の一定分量は、特定の組み合わせ薬物レジメンに適切な用量を有するように製造される。
【0050】
薬学的組成物は、保管および好ましくはその後の投与のために調製された薬学的に受容可能なキャリアを含み、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤の中に薬学的に有効な量の化合物を有する。治療的な使用のための受容可能なキャリアまたは希釈剤は、薬学分野において周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990))に記載されている。薬学的組成物には、保存剤、安定剤、色素が提供され得、矯味矯臭剤さえも提供され得る。例えば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが、保存剤として添加され得る。さらに、抗酸化剤および懸濁化剤が使用され得る。
【0051】
標的組織に依って、本発明の薬学的組成物は、経口投与用の錠剤、カプセル、または溶液;局所適用用の軟膏(salve)または軟膏(ointment);直腸投与用の坐剤;吸入剤または鼻腔用スプレーとして使用するための無菌の溶液、懸濁剤等として処方され使用され得る。注射剤も、液状の溶液もしくは懸濁剤として、注射の前に液体に溶解もしくは懸濁させるのに適している固形の形態として、または乳濁剤として、従来の形態で調製され得る。適当な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、乳糖、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システイン等である。さらに、所望により、注射可能な薬学的組成物は、湿潤剤、pH緩衝剤等のような微量の非毒性の補助物質を含有し得る。
【0052】
一用量として必要とされる組成物の薬学的に有効な量は、投与経路、処置される癌の型、および患者の身体的特徴に依る。用量は、所望の効果を達成するために調整され得るが、体重、食事、同時の薬物治療、および医学分野の当業者が認識するその他の因子のような因子に依る。本発明の方法の実施において、薬学的組成物は、単独で使用されるか、または他の治療剤もしくは診断剤と組み合わせられて使用され得る。薬学的組成物は、多様な剤形を利用して、局所、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、結腸、直腸、経鼻、または腹腔内(intraperiotoneally)を含む多様な方式で患者に投与され得る。好ましくは、薬学的組成物は、非経口投与、静脈内投与、または経口投与される。そのような方法は、インビボでの試験化合物の活性の試験においても使用され得る。
【0053】
懸濁剤として経口投与される場合、本発明の組成物は、薬学的処方の分野において周知の技術に従って調製され、かさを与えるための微晶質セルロース、懸濁化剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、粘性増強剤としてのメチルセルロース、および当技術分野において公知の甘味剤/矯味矯臭剤を含有し得る。即放型の錠剤としてのこれらの組成物は、当技術分野において公知の微晶質セルロース、第二リン酸カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ならびに乳糖および/またはその他の賦形剤、結合剤、増量剤(extender)、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤を含有し得る。マウスウォッシュまたはリンスの処方物の成分には、抗微生物薬、界面活性剤、補助界面活性剤(cosurfactant)、油、水、および当技術分野において公知の甘味剤/矯味矯臭剤のようなその他の添加剤が含まれる。
【0054】
飲用溶液により投与される場合、組成物は、適切にpHを調整しながら、キャリアを用いて、水に溶解され本発明の化合物のうちの1つ以上を含む。化合物は、蒸留水、生水、湧水等に溶解され得る。pHは、好ましくは、約3.5と約8.5との間に調整され得る。甘味剤、例えば、1%(w/v)ショ糖が添加され得る。
【0055】
本発明の処方物は、(1)pHを調整するためのその他の酸および塩基;(2)ソルビトール、グリセリン、およびデキストロースのようなその他の張力付与剤;(3)その他のパラヒドロキシ安息香酸エステル、ソルベート、ベンゾエート、プロピオネート、クロルブタノール、フェニルエチルアルコール、塩化ベンザルコニウム、および水銀剤のような他の抗微生物性保存剤;(4)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびその他のゴムのようなその他の粘性付与剤;(5)適当な吸収増強剤;(6)亜硫酸水素塩およびアスコルベートのような抗酸化剤、エデト酸ナトリウムのような金属キレート化剤、およびポリエチレングリコールのような薬物可溶性増強剤のような安定剤;を含むよう変動し得る。
【0056】
(IV.5−FUを含む抗癌薬物処置レジメンの患者に対する毒性を減少させる方法)
本発明はまた、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAを追加することにより、癌患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグを含む癌薬物処置レジメンの患者に対する毒性を減少させる方法を提供する。
【0057】
1つの局面において、その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグを含む抗癌薬物プロトコルを入手すること、および患者に対する低下した毒性を有する抗癌薬物プロトコルを入手するため、抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加すること:を含む。5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグの投与を含む、癌薬物処置の毒性を減少させる方法は、5−FUの毒性を低下させるため、5−FUの投与の前、投与後、または投与と同時に5,10−5,10−CH2−THFAを患者に投与することを含む。好ましくは、5,10−CH2−THFAの投与は5−FUの投与の前である。本発明のこの局面のいくつかの好ましい実施形態において、5,10−CH2−THFAは、5−FUの血液学的毒性を低下させるため、5−FUを受容する患者に投与される。本発明のこの局面の好ましい実施形態において、5−FUおよび5,10−CH2−THFAは、ロイコボリン(フォリン酸、FA)の非存在下で患者に投与される。
【0058】
癌患者は、任意の型の癌を有する患者であり得る。5−FUを受容する癌患者に5,10−CH2−THFAが投与される本発明のいくつかの好ましい実施形態において、患者は、例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、または胃癌のような、5−FUにより現在処置されている腫瘍型を有している。
【0059】
本発明は、5,10−CH2−THFAが、腫瘍増殖の速度を低下させ、生存率を増加させる5−FUの効力を増加させつつ、非腫瘍細胞に対する5−FUの毒性を低下させるという驚くべき結果に基づく。実施例1および実施例2に開示されるように、5,10−CH2−THFAおよび5−FUによる処置は、5−FU単独、またはロイコボリン(フォリン酸)と組み合わせられた5−FUによる処置と比べて、腫瘍を有する動物の腫瘍増殖速度を低下させ、生存率を増加させつつ、いずれの処置よりも動物に対して低い毒性を示す。
【0060】
本明細書において使用される場合、「毒性を低下させる」とは、患者に対する全身的な毒性効果または患者の非癌性細胞に対する毒性効果を低下させることをさす。毒性には、非限定的な例として、増加した流涙;粘膜炎;食道咽頭炎;知覚異常(parasthesias)、不眠、および眩暈のような神経学的毒性;悪心、嘔吐、および下痢のような胃腸毒性;体重減少毒性;心臓毒性;脱毛、発汗、および発疹を含む皮膚科学的毒性;ならびに好中球減少、血小板減少、リンパ球減少、および白血球減少(これらに限定されない)のような血液学的毒性が含まれる。
【0061】
本発明のこの局面のいくつかの好ましい実施形態において、5,10−CH2−THFAは、5−FUによる処置に関連した血液学的毒性の程度を低下させるため、5−FUとの組み合わせ療法において投与される。例えば、5−FUと一緒の5,10−CH2−THFAの投与は、5−FUおよびロイコボリン(フォリン酸)を含む化学療法レジメン(これに制限はされない)を含む、5−FUを含む化学療法レジメンに関連した好中球減少、血小板減少、リンパ球減少、または白血球減少を低下させ得る。
【0062】
癌処置および化学療法の分野の当業者は、毒性および効力の評価のための十分に確立されているプロトコルを使用して、5,10−CH2−THFAおよび5−FUの最適な投薬量およびレジメンを決定し得る。5−FUおよび5,10−CH2−THFAによる癌患者のいくつかの好ましい処置は、1m2当たり10mgから1gの5,10−CH2−THFA、好ましくは1m2当たり20mgから500mgの5,10−CH2−THFA、より好ましくは1m2当たり約30mgから約250mgの5,10−CH2−THFAを使用したレジメンである。例えば、5,10−CH2−THFAの好ましい用量は、1m2当たり約30mgから約120mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。
【0063】
5−FUの投薬量は、1m2当たり約25mgから約5gであり得、好ましくは1m2当たり約50mgから2.5g、より好ましくは1m2当たり約100mgから約1gである。例えば、5−FUの好ましい用量は、1m2当たり約250mgから約700mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。5−FUは、注射またはIV注入を含む任意の実行可能な手段により投与され得る。
【0064】
いくつかの好ましい実施形態において、5−FU自体ではなく5−FUのプロドラッグまたはアナログが、組み合わせ療法において使用される。患者の組織において、5−FUは、チミジル酸シンターゼのインヒビターである5−フルオロ−2’−デオキシウリジレート(FdUMP)へと変換される。本出願において、「5−FUのアナログまたはプロドラッグ」とは、FdUMPのようなチミジル酸シンターゼのインヒビターへと直接的または間接的に変換され得るアナログまたはプロドラッグを意味するために使用される。本発明の方法において使用され得る5−FUの1つのプロドラッグは、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン);5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。カペシタビンの投薬量は、熟練した医師により決定され得、部分的に、投与の頻度に依る。例えば、カペシタビンの1日投薬量は、1m2当たり約500mgから約7500mg、好ましくは1m2当たり約1000mgから約5000mg、より好ましくは1m2当たり約1500mgから約3000mgであり得る。用量は、1日1〜6回(好ましくは2回)の投与へと分割され得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。カペシタビンは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0065】
本発明の方法において使用され得るアナログの組み合わせは、UFTとして公知の1:4の組み合わせで使用されるテガフール(TF)およびウラシル(U)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、UFT;5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。UFTの投薬量は、熟練した医師により決定され得、一部分、投与の頻度に依る。例えば、UFTの1日投薬量は、1m2当たり約50mgから約3000mg、好ましくは1m2当たり約100mgから約2000mg、より好ましくは1m2当たり約200mgから約1000mgであり得る。UFTを含む抗癌レジメンは、場合により、UFTと共に投与されるフォリン酸カルシウムを含み得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。UFTは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0066】
カペシタビンを使用する抗癌薬物プロトコルのいくつかの例は、Blum JL,et al.「Multicenter phase II study of capecitabine in paclitaxel−refractory metastatic breast cancer.」J Clin Oncol 1999;17:485−93;Hoff et al.「Comparison of oral capecitabine versus intravenous fluorouracil plus leucovorin as first−line treatment in 605 patients with metastatic colorectal cancer:results of a randomized phase III study.」J Clin Oncol 2001;19(8):2282−92;およびVan Cutsem E,et al.「Oral capecitabine compared with intravenous fluorouracil plus leucovorin in patients with metastatic colorectal cancer:results of a large phase III study.」J Clin Oncol 2001;19(21):4097−106(全て、特に、カペシタビンを使用した化学療法レジメンの開示のため、参考として本明細書に援用される)に記載されている。本発明は、カペシタビン処置の毒性を低下させるために、カペシタビンを含むプロトコルにおいて5,10−CH2−THFAを投与することを含む。
【0067】
例えば、1つのプロトコルは、2週間、1日2回カペシタビン(1m2当たり1000〜1250mg)を投与した後、1週間の休薬期間を置き、次いでさらなる3週間のサイクルを行うことを含む。5,10−CH2−THFAは、例えば、これらのようなプロトコルに追加され得、プロトコルは毒性および効力に関する臨床試験に基づき最適化され得る。
【0068】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、5,10−5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を癌を有する患者に投与することを含む抗癌処置の毒性を減少させる方法を含む。その方法は、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを入手すること、ならびに患者に対する低下した毒性を有する抗癌薬物プロトコルを入手するために、抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加すること:を含む。
【0069】
付加的な抗癌薬は、非限定的に、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、イリノテカン、トポテカン)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、ゲムシタビン)、5−フルオロウラシル調節因子、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン)、核酸生合成インヒビター(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン)、微小管破壊薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン(vinolrebine)、ビンクリスチン)、ホルモン遮断薬(例えば、タモキシフェン)、レセプターチロシンキナーゼおよび非レセプターチロシンキナーゼ(これらに限定されない)を含むキナーゼインヒビター(例えば、Iressa、Tarceva、SU5416、PTK787、グリーベック)、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、免疫調節因子(例えば、レバミゾール)、抗炎症薬、血管新生インヒビター、サイトカイン(例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子)、またはサイトカイン、ホルモン、もしくはサイトカインもしくはホルモンのレセプターの活性を阻害する薬物(例えば、ベバシツマブ(Avastin)、セツキシマブ(cetuximab)(エルビタックス(eubutux))を含む、任意の型の抗癌薬であり得る。抗癌薬は、表1に列挙されたもののような可能性のある抗癌活性のため調査中の薬物であり得る。抗癌薬には、サイトカイン、ホルモン、またはホルモンレセプターに結合するモノクローナル抗体(例えば、Avastin、エルビタックス(erbutux)、ハーセプチンのようなEGFまたはVEGF増殖因子の活性化を阻止する抗体)等(これらに限定されない)のようなモノクローナル抗体が含まれる。本発明の方法は、複数の付加的な抗癌薬が、5−FUと組み合わせて使用される方法を含む。
【0070】
5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬の投与を含む、癌薬物処置の毒性を減少させる方法は、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の投与の前、投与後、または投与と同時に、5,10−5,10−CH2−THFAを患者に投与することを含む。好ましくは、5,10−CH2−THFAの投与は5−FUの投与の前である。付加的な抗癌薬は、5−FUの投与の前、投与後、または投与と同時に投与され得る。
【0071】
本発明の多重薬物レジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量もまた、投薬量の上昇ならびに毒性および効力のモニタリングを使用した研究により決定され得る。化学療法レジメンにおいて独立に使用されている組み合わせ療法において使用される抗癌薬の投薬量の決定において、実務者は、確立されている化学療法レジメンにおいて使用されている薬物の投薬量を考慮に入れ得る。
【0072】
5−FUを1つ以上の抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせた多数の化学療法プロトコルが、癌療法の領域において公知である。例えば、1つ以上の付加的な薬物(葉酸補因子以外)と組み合わせて5−FUを含む抗癌プロトコルには、シクロホスファミド、エピルビシン、およびフルオロウラシルを含む乳癌のための療法(これに限定されない)が含まれる(例えば、Levine MN,Bramwell VH,Pritchard KI et al.「Randomized trial of intensive cyclophosphamide,epirubicin,and fluorouracil chemotherapy compared with cyclophosphamide,methotrexate,and fluorouracil in premenopausal women with node−positive breast cancer.」J Clin Oncol 1998;16(8):2651−8(特に、5−FUを使用する抗癌プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)を参照のこと)。1つ以上の付加的な抗癌薬(葉酸補因子以外)と組み合わせて5−FUを含む抗癌プロトコルには、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびフルオロウラシルを含む乳癌のための療法も含まれる(例えば、Bennett JM,Muss HB,Doroshaw JH,et al.「A randomized multicenter trial comparing mitoxantrone,cyclophophamide,and fluorouracil with doxorubicin,cyclophosphamide,and fluorouracil in the therapy of metastatic breast cancer.」J Clin Oncol 1988;6(10):1611−20(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)を参照のこと)。本発明は、化学療法レジメンの毒性を低下させるための、これらのような化学療法レジメンへの5,10−CH2−THFAの追加を含む。
【0073】
処置の毒性を低下させるために5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルの別の例は、Keane TJ,Cummings BJ,O’Sullivan B,Payne D,Rawlinson E,MacKenzie R,Danjoux C,Hodson I.「A randomized trial of radiation therapy compared to split course radiation therapy combined with mitomycin C and 5−fluorouracil as initial treatment for advanced laryngeal and hypopharyngeal squamous carcinoma.」IJ Radiation Oncology Biol Phys,1993:25(4):613−8(特に、5−FUを使用する抗癌プロトコルに関する開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような、マイトマイシンCおよびフルオロウラシルの使用を含む頭頸部癌の処置のためのプロトコルである。この場合、抗癌処置プロトコルは、化学療法に加え、放射線療法を含む。
【0074】
処置の毒性を低下させるために5,10−CH2−THFAが追加され得るさらにその他の型のプロトコルは、Keane TJ,Cummings BJ,O’Sullivan B,Payne D,Rawlinson E,MacKenzie R,Danjoux C,Hodson I.「A randomized trial of radiation therapy compared to split course radiation therapy combined with mitomycin C and 5−fluorouracil as initial treatment for advanced laryngeal and hypopharyngeal squamous carcinoma.」IJ Radiation Oncology Biol Phys,1993:25(4):613−8(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルに関する開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたもののような、5−FUをマイトマイシンCと組み合わせる抗癌プロトコル、およびCalais G,Alfonsi M,Bardet E,et al.「Randomized trial of radiation therapy versus concomitant chemotherapy and radiation therapy for advanced−stage oropharynx carcinoma.」J Natl Cancer Inst 1999;91:2081−6(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルに関する開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような、カルボプラチンの使用を5−FUと組み合わせるその他のものである。これらの処置において、抗癌処置プロトコルは、化学療法に加え、放射線療法を含む。
【0075】
本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUのアナログまたはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含むプロトコルの毒性を減少させる方法を含む。カペシタビンおよびドセタキセルを含む抗癌レジメンの例は、O’Shaughnessy J,et al.Superior survival with capecitabine plus docetaxel combination therapy in anthracycline pre−treated patients with advanced breast cancer:phase III trial results.J Clin Oncol 2002;20:2812−23(特に、カペシタビンを使用した抗癌プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されている。5,10−CH2−THFAは、付加的な癌薬物と組み合わせてテガフール−ウラシル(UFT)を含むプロトコル、例えば、Feliu J.et al.”Phase II study of UFT and oxaliplatin in first−line treatment of advanced colorectal cancer.”Br.J.Cancer 2004 91:1758−62(特に、UFTを使用した抗癌プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような、オキサリプラチンを含むプロトコルにも追加され得る。
【0076】
上記のプロトコルの参照は例にすぎず、決して限定的なものではない。処置の毒性を低下させるために5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルは、科学文献および医学文献、ならびに病院、癌センター、および診療所の資源を含む信頼性のある情報源から入手され得る。5,10−CH2−THFAの投与を含めることによりプロトコルの毒性を低下させる際、5−FU、5,10−CH2−THFAのいずれかまたは両方、そして妥当である場合には、1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量およびスケジュールを改変することは、本発明の範囲内である。そのような改変は、容認されている医学的実務に従い、処置に対する患者の反応をモニタリングする訓練された医師によってなされ得る。
【0077】
本発明のこの局面のいくつかの好ましい実施形態は、チミジル酸シンターゼの葉酸補因子としてのロイコボリンが5,10−CH2−THFAに置換される、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)およびチミジル酸シンターゼの葉酸補因子を含む抗癌薬レジメンの毒性を低下させる方法を含む。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬物プロトコルを入手すること;ならびに抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換えること:を含む。
【0078】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換えることによりレジメンの毒性が減少する、カペシタビンまたはUFT(これらに限定されない)のような5−FUのアナログまたはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの毒性を減少させる方法を含む。
【0079】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置き換えることにより、癌を有する患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌処置の毒性を減少させる方法を含む。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;ロイコボリン;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを入手すること;ならびに抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換えること:を含む。
【0080】
5,10−CH2−THFAの抗腫瘍活性およびロイコボリンと比較して減少した全身毒性、ならびにロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの類似した化学的および代謝的な経路のため、本発明者らは、ある範囲の現在の化学療法レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換え得ることを企図する。現在、一般的に5−FU+ロイコボリンと組み合わせて使用されている薬物の非限定的な例は、イリノテカン(CPT−11)、オキサリプラチン、ゲムシタビン、マイトマイシンC、レバミゾール、およびビノレルビンである。本発明は、これらのレジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換えた処置を含む。ロイコボリンの5,10−CH2−THFAへの置換は、低下した毒性と共に、等価なまたは増強された処置効果を提供し得る。非限定的な例として、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換え得る現在の薬物組み合わせレジメンには、結腸直腸癌の処置において使用されている以下のプロトコルが含まれる:
・AIOレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・52週毎に、4週間、週1回、1日目に2時間かけてイリノテカン(100mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(500mg/m2)を点滴;その後、24時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,000mg/m2)を静脈内(IV)ボーラス。
・Douillardレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・2週毎に、1日目に2時間かけてイリノテカン(180mg/m2)を点滴;1日目および2日目に2時間かけてロイコボリン(200mg/m2)を点滴;その後、初回負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、1日目および2日目に22時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(600mg/m2)。
・FOLFOX4レジメン(オキサリプラチン、ロイコボリン、5−FU):
・2週毎に、1日目に2時間かけてオキサリプラチン(85mg/m2)を点滴;1日目および2日目に2時間かけてロイコボリン(200mg/m2)を点滴;その後、初回負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、1日目および2日目に22時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(600mg/m2)。
・FOLFOX6レジメン(オキサリプラチン、ロイコボリン、5−FU):
・2週毎に、1日目に2時間かけてオキサリプラチン(85〜100mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(400mg/m2)を点滴;その後、1日目に初回負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、46時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,400〜3,000mg/m2)。
・FOLFIRIレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・2週毎に、1日目に2時間かけてイリノテカン(180mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(400mg/m2)を点滴;その後、1日目に初回負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、46時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,400〜3,000mg/m2)。
・IFL(またはSaltz)レジメン(イリノテカン、5−FU、ロイコボリン):
・6週のうち4週間、週1回、イリノテカン(125mg/m2)、5−FU(500mg/m2)IVボーラス、およびロイコボリン(20mg/m2)IVボーラス。
【0081】
ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換し得るその他のレジメンには、例えば、(Andre et al.「Phase II study of leucovorin,5−fluorouracil,and gemcitabine for locally advanced and metastatic pancreatic cancer(FOLFUGEM 2) Gastroeneterol Clin Biol;2004 28:645−650(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような)膵臓癌を処置するために使用されているFOLFUGEM1((5−フルオロウラシル(FU)ボーラス400mg/m2、次いで5−FU 2〜3g/m2/46時間およびゲムシタビン1000mg/m2(30分)と組み合わせられたロイコボリン400mg/m2)およびFOLFUGEM2(14日毎のサイクルで、ロイコボリン400mg/m2(2時間)、その後、5−FU 1000mg/m2(22時間)、次いでゲムシタビン800mg/m2(10mg/m2/分))を含む、5−FUおよび少なくとも1つのその他の抗癌薬との組み合わせが含まれる。
【0082】
別の例において、(Poplin et al.「Phase III Southwest Oncology Group 9415/Intergroup 0153 randomized trial of fluorouracil,leucovorin,and levamisole versus fluorouracil continuous infusion and levamisole for adjuvant treatment of stage III and high−risk stage II colon cancer.」J.Clin Oncol.2005 23:1819−25(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような)5−FUおよびレバミゾールも含む組み合わせ療法において、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換え得る。
【0083】
さらに別の例において、(Yeh et al.「Phase II study of weekly vinorelbine and 24−hr infusion of high−dose 5−fluorouracil plus leucovorin as first−line treatment of advanced breast cancer.」Br.J.Cancer 2005 92:1013−8(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような)5−FUおよびビノレルビンも含む組み合わせ療法において、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換え得る。
【0084】
上記の例は、決して限定的なものであることは意図されない。例えば、投薬量およびレジメンは、患者に対する毒性を最小限に抑えるか、または効力を改良するため、改変または最適化され得る。さらに、本明細書に記載されていない多くの抗癌薬が、5,10−CH2−THFAおよび5−FUと組み合わせられ得る。5−FUおよびロイコボリンが、複数の付加的な抗癌薬と組み合わせて使用されるプロトコルにおいても、5,10−CH2−THFAは、ロイコボリンで置換され得る。本発明者らは、次世代型の5−FU、特に、経口型の5−FU(例えば、ゼローダ、カペシタビン)およびUFTとの組み合わせ療法における5,10−CH2−THFAの使用も包含する。
【0085】
5,10−CH2−THFAの他の使用は、抗腫瘍活性を有するモノクローナル抗体のような新たなクラスの生物学的抗腫瘍試薬との組み合わせ療法における使用である。5,10−CH2−THFAと(好ましくは5−FUと)組み合わせられ得る抗体の例には、抗VEGF抗体(例えば、ベバシツマブ(bevacuzimab)または「アバスチン」)および抗EGFレセプター(例えば、エルビタックス(Erbitux)、セツキシマブ、ハーセプチン)が含まれる。実施例1および2に示されるように、ヌードマウスにおける結腸直腸癌の組み合わせ5−FU/5,10−CH2−THFA/アバスチンによる処置は、他の薬物組み合わせより大きく腫瘍増殖を阻害する。
【0086】
本明細書に開示された5,10−CH2−THFAのより低い毒性プロファイルのため、本発明は、毒性が高すぎて広範囲には使用し得ないと典型的に考えられている薬物と組み合わせた5,10−CH2−THFAの使用もまた含む。例えば、5−FU/5,10−CH2−THFA/シスプラチン療法が、そのような組み合わせである。白金ベースの化学療法剤であるシスプラチンは、高度に毒性である。さらに、5,10−CH2−THFAのより低い毒性プロファイルは、増加した薬物(例えば5−FU)の濃度または延長された投薬期間のいずれかの使用を可能にし得る。次に、これは、薬物の効力を増加させ得る。
【0087】
本発明は、5−FUを使用しない療法においてロイコボリン(ロイコボリン)の代わりに5,10−CH2−THFAを使用することも含む。例えば、ロイコボリン(ロイコボリン)と比較して、より低い5,10−CH2−THFAの毒性プロファイルおよび増加した活性に基づき、5,10−CH2−THFAは、メトトレキサートレスキュー療法のために使用され得る。この療法の様式は、現在、ロイコボリンを使用している。
【0088】
(V.5−FUを含む抗癌薬物治療レジメの効力を増加させるための方法)
本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの癌患者への投与を包含する、抗癌薬物処置レジメンの効力を増加させるための方法も提供する。
【0089】
1つの局面において、その方法は、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグを含む抗癌薬レジメンを得る工程、および抗癌薬レジメンの効力を増加させるため、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAを追加する工程を包含する。本発明のこの局面の好ましい実施形態において、5−FUおよび5,10−CH2−THFAは、ロイコボリン(フォリン酸、FA)の非存在下で患者に投与される。5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグの投与を含む癌薬物処置の効力を増加させるための方法は、5−FUの毒性を低下させるため、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。好ましくは、5,10−CH2−THFAの投与は5−FUの投与の前である。
【0090】
関連する局面において、本発明は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグを含む、患者に投与される抗癌薬レジメンに5,10−CH2−THFAを追加することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法を提供する。その方法は、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグを含む抗癌薬物プロトコルを得る工程、抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加する工程;および改変された抗癌薬物プロトコルにより癌患者を処置する工程、を包含する。その方法は、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。本発明のこの局面の好ましい実施形態において、5−FUおよび5,10−CH2−THFAは、ロイコボリン(フォリン酸、FA)の非存在下で患者に投与される。
【0091】
癌患者は、任意の型の癌を有する患者であり得る。5−FUを受容する癌患者に5,10−CH2−THFAが投与される本発明のいくつかの好ましい実施形態において、患者は、例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、頭頸部癌、または胃癌のような、現在5−FUにより処置されている腫瘍型を有している。
【0092】
抗癌薬レジメンの効力(例えば、処置後の腫瘍サイズ、腫瘍増殖(または退縮)の速度、癌細胞またはマーカーの検出、処置後の寛解期の長さ、およびそのレジメンにより処置された癌患者の生存期間(これらに限定はされない))は、方法によって決定され得る。
【0093】
癌処置および化学療法の分野の当業者は、毒性および効力の評価のためのよく確立されているプロトコルを使用して、5,10−CH2−THFAおよび5−FUの最適な投薬量およびレジメンを決定することが可能である。5−FUおよび5,10−CH2−THFAによる癌患者のいくつかの好ましい処置は、1m2当たり10mgから1gの5,10−CH2−THFA、好ましくは1m2当たり20mgから500mgの5,10−CH2−THFA、より好ましくは1m2当たり約30mgから約250mgの5,10−CH2−THFAを使用するレジメンである。例えば、5,10−CH2−THFAの好ましい用量は、1m2当たり約30mgから約120mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的所見および臨床的所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。
【0094】
5−FUの投薬量は、1m2当たり約25mgから約5gであり得、好ましくは1m2当たり約50mgから2.5g、より好ましくは1m2当たり約100mgから約1gである。例えば、5−FUの好ましい用量は、1m2当たり約250mgから約700mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的所見および臨床的所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。5−FUは、注射またはIV注入を含む任意の実行可能な手段により投与され得る。
【0095】
いくつかの好ましい実施形態において、5−FU自体ではなく5−FUのプロドラッグまたはアナログが、組み合わせ療法において使用される。患者の組織において、5−FUは、チミジル酸シンターゼのインヒビターである5−フルオロ−2’−デオキシウリジレート(FdUMP)へと変換される。本願において、「5−FUのアナログまたはプロドラッグ」とは、FdUMPのようなチミジル酸シンターゼのインヒビターへと直接的もしくは間接的に変換され得るアナログまたはプロドラッグを意味するために使用される。本発明の方法において使用され得る5−FUの1つのプロドラッグは、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン);5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与する工程を包含する。カペシタビンの投薬量は、熟練した医師により決定され得、部分的には、投与の頻度に依存する。例えば、カペシタビンの1日投薬量は、1m2当たり約500mgから約7500mg、好ましくは1m2当たり約1000mgから約5000mg、より好ましくは1m2当たり約1500mgから約3000mgであり得る。用量は、1日1〜6(好ましくは2)回の投与へと分割され得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的所見および臨床的所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。カペシタビンは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0096】
本発明の方法において使用され得るアナログの組み合わせは、UFTとして既知の1:4の組み合わせで使用されるテガフール(TF)およびウラシル(U)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、UFT;5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与する工程を包含する。UFTの投薬量は、熟練した医師により決定され得、部分的には、投与の頻度に依存する。例えば、UFTの1日投薬量は、1m2当たり約50mgから約3000mg、好ましくは1m2当たり約100mgから約2000mg、より好ましくは1m2当たり約200mgから約1000mgであり得る。UFTを含む抗癌レジメンはまた、必要に応じて、UFTと共に投与されるフォリン酸カルシウムを含み得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的所見および臨床的所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。UFTは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0097】
カペシタビンを使用する抗癌薬物プロトコルのいくつかの例は、Blum JLら,「Multicenter phase II study of capecitabine in paclitaxel−refractory metastatic breast cancer.」J Clin Oncol 1999;17:485−93;Hoffら「Comparison of oral capecitabine versus intravenous fluorouracil plus leucovorin as first−line treatment in 605 patients with metastatic colorectal cancer:results of a randomized phase III study.」J Clin Oncol 2001;19(8):2282−92;およびVan Cutsem Eら,「Oral capecitabine compared with intravenous fluorouracil plus leucovorin in patients with metastatic colorectal cancer:results of a large phase III study.」J Clin Oncol 2001;19(21):4097−106(これらの全ては、特に、カペシタビンを使用する化学療法レジメンの開示のため、本明細書において参考として援用される)に記載されている。本発明は、処置の効力を改良するため、カペシタビンを含むプロトコルにおいて5,10−CH2−THFAを投与することを含む。
【0098】
例えば、1つのプロトコルは、2週間、1日2回カペシタビン(1m2当たり1000〜1250mg)を投与し、その後、1週間の休薬期間を置き、次いでさらなる3週間のサイクルを行うことを含む。5,10−CH2−THFAは、例えば、これらのようなプロトコルに追加され得、プロトコルは毒性および効力に関する臨床試験に基づき最適化され得る。
【0099】
この局面の他の好ましい実施形態において、本発明は、5,10−5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を癌を有する患者へ投与する工程を包含する、抗癌処置の効力を増加させるための方法を含む。その方法は、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程、ならびに増加した効力を有する抗癌薬物プロトコルを得るため、抗癌薬物プロトコルに5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸を追加する工程、を包含する。
【0100】
5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬の投与を含む癌薬物処置の効力を増加させるための方法は、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の投与の前、後、または同時に、5,10−5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。好ましくは、5,10−CH2−THFAの投与は5−FUの投与の前である。付加的な抗癌薬は、5−FUの投与の前、後、または同時に投与され得る。
【0101】
関連する局面において、本発明は、5−5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む、患者に投与される抗癌薬レジメンに5,10−5,10−CH2−THFAを追加することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法を提供する。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加する工程;ならびに改変された抗癌薬物プロトコルにより癌患者を処置する工程、を包含する。その方法は、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。本発明のこの局面の好ましい実施形態において、5−FUおよび5,10−CH2−THFAは、ロイコボリン(フォリン酸、FA)の非存在下で患者に投与される。付加的な抗癌薬は、5−FUの投与の前、後、または同時に投与され得る。
【0102】
本発明の多重薬物レジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量も、投薬量の上昇ならびに毒性および効力のモニタリングを使用する研究により決定され得る。化学療法レジメンにおいて独立に使用されている組み合わせ療法において使用される抗癌薬の投薬量の決定において、実務者は、確立されている化学療法レジメンにおいて使用されている薬物の投薬量を考慮に入れることができる。
【0103】
5−FUを1つ以上の抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせた多数の化学療法プロトコルが、癌療法の領域において公知である。例えば、1つ以上の付加的な薬物(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせた5−FUを含む抗癌プロトコルには、シクロホスファミド、エピルビシン、およびフルオロウラシルを含む乳癌のための療法(これに限定はされない)が含まれる(例えば、Levine MN,Bramwell VH,Pritchard KIら「Randomized trial of intensive cyclophosphamide,epirubicin,and fluorouracil chemotherapy compared with cyclophosphamide,methotrexate,and fluorouracil in premenopausal women with node−positive breast cancer.」J Clin Oncol 1998;16(8):2651−8(特に、5−FUを使用する抗癌プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)を参照のこと)。1つ以上の付加的な薬物(葉酸補因子以外)と組み合わせた5−FUを含む抗癌プロトコルには、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびフルオロウラシルを含む乳癌のための療法も含まれる(例えば、Bennett JM,Muss HB,Doroshaw JHら,「A randomized multicenter trial comparing mitoxantrone,cyclophophamide,and fluorouracil with doxorubicin,cyclophosphamide,and fluorouracil in the therapy of metastatic breast cancer.」J Clin Oncol 1988;6(10):1611−20(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)を参照のこと)。5,10−CH2−THFAの追加は、これらの化学療法レジメンの効力を増強し得、改変されたレジメンにより処置された患者の生存期間を改良し得る。
【0104】
処置の効力を増加させるために5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルの別の例は、Keane TJ,Cummings BJ,O’Sullivan B,Payne D,Rawlinson E,MacKenzie R,Danjoux C,Hodson I.「A randomized trial of radiation therapy compared to split course radiation therapy combined with mitomycin C and 5−fluorouracil as initial treatment for advanced laryngeal and hypopharyngeal squamous carcinoma.」IJ Radiation Oncology Biol Phys,1993:25(4):613−8(特に、5−FUを使用する抗癌プロトコルに関する開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような、マイトマイシンCおよびフルオロウラシルの使用を含む頭頸部癌の処置のためのプロトコルである。この場合、抗癌処置プロトコルは、化学療法に加え、放射線療法を含む。
【0105】
処置の効力を増加させるために5,10−CH2−THFAが追加され得るさらに他の型のプロトコルは、Keane TJ,Cummings BJ,O’Sullivan B,Payne D,Rawlinson E,MacKenzie R,Danjoux C,Hodson I.「A randomized trial of radiation therapy compared to split course radiation therapy combined with mitomycin C and 5−fluorouracil as initial treatment for advanced laryngeal and hypopharyngeal squamous carcinoma.」IJ Radiation Oncology Biol Phys,1993:25(4):613−8(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルに関する開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたもののような、5−FUをマイトマイシンCと組み合わせる抗癌プロトコル、およびCalais G,Alfonsi M,Bardet Eら,「Randomized trial of radiation therapy versus concomitant chemotherapy and radiation therapy for advanced−stage oropharynx carcinoma.」J Natl Cancer Inst 1999;91:2081−6(特に、5−FUを使用する抗癌レジメンに関する開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような、カルボプラチンの使用を5−FUと組み合わせるものである。これらの処置において、抗癌処置プロトコルは、化学療法に加え、放射線療法を含む。
【0106】
本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUのアナログまたはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含むプロトコルの効力を増加させる方法を含む。カペシタビンおよびドセタキセルを含む抗癌レジメンの例は、O’Shaughnessy Jら,Superior survival with capecitabine plus docetaxel combination therapy in anthracycline pre−treated patients with advanced breast cancer:phase III trial results.J Clin Oncol 2002;20:2812−23(特に、カペシタビンを使用した抗癌プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されている。5,10−CH2−THFAは、付加的な癌薬物と組み合わせてテガフール−ウラシル(UFT)を含むプロトコル、例えば、Feliu J.ら「Phase II study of UFT and oxaliplatin in first−line treatment of advanced colorectal cancer.」Br.J.Cancer 2004 91:1758−62(特に、UFTを使用した抗癌プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような、オキサリプラチンを含むプロトコルにも追加され得る。
【0107】
上記のプロトコルへの参照は、例にすぎず、決して本発明を限定することは意図されない。処置の効力を増加させるために5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルは、科学文献および医学文献、ならびに病院、癌センター、および診療所の供給源を含む任意の信頼性のある情報源から入手され得る。5,10−CH2−THFAの投与を含めることによりプロトコルの効力を増加させる際、5−FU、5,10−CH2−THFAのいずれかまたは両方、そして妥当である場合には、1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量およびスケジュールを改変することは、本発明の範囲内である。そのような改変は、容認されている医学的実務に従い、処置に対する患者の反応をモニタリングする訓練された医師によってなされ得る。
【0108】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、チミジル酸シンターゼの葉酸補因子としてのロイコボリンが5,10−CH2−THFAに置換される、5−FUおよびチミジル酸シンターゼの葉酸補因子を含む抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法を含む。本発明は、抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法を含み、ここで上記抗癌薬レジメンは、5−FUおよびチミジル酸シンターゼの葉酸補因子を含み、そして効力は、チミジル酸シンターゼの葉酸補因子としてのロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することによって増加される。
【0109】
本発明のこの局面の好ましい実施形態において、その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および付加的な抗癌薬を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに改良された効力を有する薬物レジメンを得るため、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程、を包含する。
【0110】
関連する局面において、本発明は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグを含む、患者に投与される抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法を提供する。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程;ならびに改変された抗癌薬物プロトコルにより癌患者を処置する工程、を包含する。その方法は、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。
【0111】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することによりレジメンの効力が増加する、カペシタビンまたはUFT(これらに限定されない)のような5−FUのアナログまたはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの効力を増加させるための方法を含む。本発明は、カペシタビンまたはUFT(これらに限定されない)のような5−FUのアナログまたはプロドラッグを含む、患者へ投与される抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法も提供する。
【0112】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌を有する患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌処置の効力を増加させるための方法を含む。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;ロイコボリン;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程、を包含する。
【0113】
関連する局面において、本発明は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む、患者に投与される抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法を提供する。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程;ならびに改変された抗癌薬物プロトコルにより癌患者を処置する工程、を包含する。その方法は、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。付加的な抗癌薬は、5−FUの投与の前、後、または同時に投与され得る。
【0114】
ロイコボリンと比較して、5,10−CH2−THFAの抗腫瘍活性および減少した全身毒性のため、ならびにロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの類似した化学的経路および代謝的経路のため、本発明者らは、ある範囲の現在の化学療法レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換し得ることを企図する。現在、一般的に5−FU+ロイコボリンと組み合わせて使用されている薬物の例は、イリノテカン(CPT−11)、オキサリプラチン、ゲムシタビン、レバミゾール、マイトマイシンC、およびビノレルビンである。本発明は、これらのレジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換した処置を含む。ロイコボリンの5,10−CH2−THFAへの置換は、低下した毒性と共に、増強された治療効果を提供し得る。非限定的な例として、ロイコボリンが5,10−CH2−THFAに置換され得る現在の薬物組み合わせレジメンには、以下のものが含まれる:
・AIOレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・52週毎に、4週間、週1回、1日目に2時間かけてイリノテカン(100mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(500mg/m2)を点滴;その後、24時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,000mg/m2)を静脈内(IV)ボーラス
・Douillardレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・2週毎に、1日目に2時間かけてイリノテカン(180mg/m2)を点滴;1日目および2日目に2時間かけてロイコボリン(200mg/m2)を点滴;その後、負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、1日目および2日目に22時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(600mg/m2)
・FOLFOX4レジメン(オキサリプラチン、ロイコボリン、5−FU):
・2週毎に、1日目に2時間かけてオキサリプラチン(85mg/m2)を点滴;1日目および2日目に2時間かけてロイコボリン(200mg/m2)を点滴;その後、負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、1日目および2日目に22時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(600mg/m2)
・FOLFOX6レジメン(オキサリプラチン、ロイコボリン、5−FU):
・2週毎に、1日目に2時間かけてオキサリプラチン(85〜100mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(400mg/m2)を点滴;その後、1日目に負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、46時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,400〜3,000mg/m2)
・FOLFIRIレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・2週毎に、1日目に2時間かけてイリノテカン(180mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(400mg/m2)を点滴;その後、1日目に負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、46時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,400〜3,000mg/m2)
・IFL(またはSaltz)レジメン(イリノテカン、5−FU、ロイコボリン):
・6週のうち4週間、週1回、イリノテカン(125mg/m2)、5−FU(500mg/m2)IVボーラス、およびロイコボリン(20mg/m2)IVボーラス。
【0115】
ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換し得る他のレジメンとしては、例えば、(Andreら「Phase II study of leucovorin,5−fluorouracil,and gemcitabine for locally advanced and metastatic pancreatic cancer(FOLFUGEM 2)Gastroeneterol Clin Biol;2004 28:645−650(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような)膵臓癌を処置するために使用されるFOLFUGEM1((5−フルオロウラシル(FU)ボーラス400mg/m2、次いで5−FU 2〜3g/m2/46時間およびゲムシタビン1000mg/m2(30分)と組み合わせたロイコボリン400mg/m2)およびFOLFUGEM2(14日毎のサイクルで、ロイコボリン400mg/m2(2時間)、その後、5−FU 1000mg/m2(22時間)、次いでゲムシタビン800mg/m2(10mg/m2/分))を含む、5−FUおよび少なくとも1つのその他の抗癌薬との組み合わせが挙げられる。
【0116】
別の例において、(Poplinら「Phase III Southwest Oncology Group 9415/Intergroup 0153 randomized trila of fluorouracil,leucovorin,and levamisole versus fluorouracil continuous infusion and levamisole for adjuvant treatment of stage III and high−risk stage II colon cancer.」J.Clin Oncol.2005 23:1819−25(特に、5−FUを使用する癌処置プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような)5−FUおよびレバミゾールも含む組み合わせ療法において、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することができる。
【0117】
さらに別の例において、(Yehら「Phase II study of weekly vinorelbine and 24−hr infusion of high−dose 5−fluorouracil plus leucovorin as first−line treatment of advanced breast cancer.」Br.J.Cancer 2005 92:1013−8(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような)5−FUおよびビノレルビンも含む組み合わせ療法において、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することができる。
【0118】
上記の例は、決して限定的なものであることは意図されない。例えば、投薬量およびレジメンは、患者に対する毒性を最小限に抑えるか、または効力を改良するため、改変または最適化され得る。さらに、本明細書に記載されていない多くの抗癌薬が、5,10−CH2−THFAおよび5−FUと組み合わせられ得る。本発明者らは、次世代型の5−FU、特に、経口型の5−FU(例えば、ゼローダ、カペシタビン)およびUFTとの組み合わせ療法における5,10−CH2−THFAの使用も提唱する。
【0119】
5,10−CH2−THFAの他の使用は、抗腫瘍活性を有するモノクローナル抗体のような新たなクラスの生物学的抗腫瘍試薬との組み合わせ療法における使用である。5,10−CH2−THFAと(好ましくは5−FUと)組み合わせられ得る抗体の例には、抗VEGF抗体(例えば、アバスチン、ベバシツマブ(Bevacuzimab))および抗EGFレセプター(例えば、エルビタックス(Erbitux)、セツキシマブ、ハーセプチン)が含まれる。実施例1および2に示されるように、ヌードマウスにおける結腸直腸癌の組み合わせ5−FU/5,10−CH2−THFA/アバスチンによる処置は、他の薬物組み合わせより大きく腫瘍増殖を阻害する。
【0120】
5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および付加的な抗癌薬を含む処置レジメンに5,10−CH2−THFAが追加される方法の他の局面において、本発明者らは、1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、5−FUを含むレジメンにおいて典型的に使用されている付加的な抗癌薬の投薬量に比べて増加した投薬量で投与され得ることを企図する。従って、本発明は、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAを追加すること、および1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることにより、5−FUおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルの効力を増加させる方法を含む。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加する工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中の1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量を増加させる工程、を包含する。この局面において、抗癌レジメンに5,10−CH2−THFAを追加しながら、そのレジメンにおいて使用される付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることは、禁制的に毒性を増加させることなく、処置の効力を増加させ得る。
【0121】
関連する局面において、本発明は、5−FUおよび1つ以上の付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌レジメンに5,10−CH2−THFAを追加すること、ならびにレジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることにより、癌患者の生存期間を増加させる方法を含む。
【0122】
5−FUを1つ以上の抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせる多数の化学療法プロトコルが、癌療法の領域において公知である。例えば、この適用において参照されるプロトコルには、5−FUが、シクロホスファミド、エピルビシン、ドコルビシン(docorubicin)、カルボプラチン、またはマイトマイシンCと組み合わせられるプロトコルが含まれる。これらの例は、本発明の範囲を限定するものでは決してない。5−FUと組み合わせてこれらまたは他の抗癌薬を使用する癌療法の領域において公知の、または将来的に使用される他のプロトコルも、5,10−CH2−THFAを含めること、および1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることによって改変され得る。
【0123】
本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUのアナログまたはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含むプロトコルの効力を増加させる方法を含む。5,10−CH2−THFAを含めること、および付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることにより改変され得るプロトコルの非限定的な例としては、カペシタビンおよびドセタキセルを含む抗癌レジメン、ならびにUFTおよびオキサリプラチンを含む抗癌レジメンが本明細書において参照される。
【0124】
プロトコルへの上記の参照は、例にすぎず、決して本発明を限定することは意図されない。5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルは、科学文献および医学文献、ならびに病院、癌センター、および診療所の供給源を含む任意の信頼性のある供給源から入手され得る。用量上昇研究は、毒性および効力をモニタリングする確立されたプロトコルに従って実施され得る。抗癌処置プロトコルの最適化において、5−FU、5,10−CH2−THFAのいずれかまたは両方、および1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量およびスケジュールを改変することは、本発明の範囲内である。そのような改変は、容認された医学的な実務に従い、処置に対する患者の応答をモニタリングする訓練された医師によってなされ得る。
【0125】
さらに別の関連する局面において、本発明は、プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに交換すること、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルの効力を増加させる方法を提供する。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中の少なくとも1つの付加的な抗癌薬の投薬量を増加させる工程、を包含する。この局面において、抗癌の中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換しながら、レジメンにおいて使用される付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることは、禁制的に毒性を増加させることなく、処置の効力を増加させ得る。
【0126】
関連する局面において、本発明は、5−FUおよび1つ以上の付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換すること、ならびにレジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることにより、癌患者の生存期間を増加させる方法を含む。
【0127】
5−FUおよびロイコボリンを1つ以上の抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせる多数の化学療法プロトコルが、癌療法の領域において公知である。例えば、この適用において参照されるプロトコルには、5−FUが、ゲムシタビン、ビノレルビン、レバミゾール、イリノテカン、オキサリプラチン、またはマイトマイシンCと組み合わせられるプロトコルが含まれる。これらの例は、本発明の範囲を限定するものでは決してない。5−FUおよびロイコボリンと組み合わせてこれらまたは他の抗癌薬を使用する癌療法の領域において公知の、または将来的に使用される他のプロトコルも、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換すること、および1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることによって改変され得る。
【0128】
本発明は、5,10−CH2−THFAに置換すること、および付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることにより、5−FUのアナログまたはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含むプロトコルの効力を増加させる方法を含む。
【0129】
プロトコルへの上記の参照は、例にすぎず、決して本発明を限定することは意図されない。ロイコボリンが5,10−CH2−THFAに置換され得る、複数の抗癌薬を含む抗癌プロトコルは、科学文献および医学文献、ならびに病院、癌センター、および診療所の供給源を含む任意の信頼性のある供給源から入手され得る。用量上昇研究は、毒性および効力をモニタリングする確立されたプロトコルに従って実施され得る。抗癌処置プロトコルの最適化において、5−FU、5,10−CH2−THFAのいずれかまたは両方、および1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量およびスケジュールを改変することは、本発明の範囲内である。そのような改変は、容認された医学的な実務に従い処置に対する患者の応答をモニタリングする訓練された医師によってなされ得る。
【0130】
本発明者らは、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAが追加された場合、5−FUが、組み合わせ療法において典型的に使用されている投薬量に比べて増加した投薬量で投与され得ることも企図する。従って、本発明は、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAを追加することにより、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む癌を処置するための薬物レジメンにおいて使用される5−FUの投薬量を増加させることにより、抗癌薬物プロトコルの効力を増加させる方法を含む。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加する工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中の5−FUの投薬量を増加させる工程、を包含する。この局面において、抗癌レジメンに5,10−CH2−THFAを追加しながら、そのレジメンにおいて使用される5−FUの投薬量を増加させることは、禁制的に毒性を増加させることなく、処置の効力を増加させ得る。
【0131】
さらに別の関連する局面において、本発明は、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに交換することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルにおける5−FUの用量を増加させる方法を提供する。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中の5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の投薬量を増加させる工程、を包含する。この局面において、抗癌の中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換しながら、レジメンにおいて使用される5−FUの投薬量を増加させることは、禁制的に毒性を増加させることなく、処置の効力を増加させ得る。
【実施例】
【0132】
(実施例1:5−FU、5,10−CH2−THFA、ロイコボリン、抗VEGF、およびオキサリプラチンによる結腸直腸腫瘍HT−29の処置に関するヌードマウス研究)
(材料および方法)
(マウス)
ヌード(nu/nu)マウスはチャールズリバー研究所(Charles River Laboratories)から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナル(International)の飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0133】
(細胞株)
ヒト結腸癌HT−29は、アメリカンティッシュカルチャーコレクション(American Tissue Culture Collection)(ATCC)から入手された。細胞株は、37℃、5%CO2の加湿インキュベーターにおいて、10%ウシ胎仔血清(FBS)、2mM l−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシンを含有しているDMEM(DMEM−10)において維持された。細胞株は、インビボ実験の前に2〜3日毎に継代された。
【0134】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)は、カルバイオケム(Calbiochem)から入手された。ロイコボリン(ロイコボリン)およびオキサリプラチンは、シグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich)から入手された。5,10−CH2−THFAは、エプロバ(Eprova)AG製であった。血管内皮増殖因子に対するモノクローナル抗体(抗VEGF)は、R&Dシステムズ(Systems)(ヒトVEGFアイソフォーム165を認識するクローン26503)またはジェネンテック(Genentech)(アバスチン)から入手された。
【0135】
(HT−29結腸直腸癌ヌードマウス研究#1)
HT−29細胞を、注射のため以下のように調製した。HT−29細胞のコンフルエントな組織培養フラスコを、PBSにより1回洗浄した後、トリプシンにより細胞を剥離した。次いで、剥離された細胞を、DMEM−10で1回洗浄した後、PBSにより1回洗浄した。最後に、細胞をPBSに2×107細胞/mlで再懸濁させた。ヌードマウス(nu/nu)に、28ゲージインスリン針/注射器を使用して、100μl(2×106細胞)のHT−29細胞を皮下接種した。腫瘍が体積100〜300mm3に達した時点で、マウスを、腹腔内注射により投与された5−FU、5,10−CH2−THFA、ロイコボリン、オキサリプラチン、および抗VEGF(R&Dシステムズの抗体)の様々な組み合わせにより処置した。抗VEGFおよびオキサリプラチンを除く全ての薬物が、5日間連続で1日1回投薬された(0.6mg/マウス/薬物)。抗VEGFは、5日目に1回(100μg/マウス)投薬された。オキサリプラチンは、1日目に1回投薬された(0.3mg/マウス)。さらに、5,10−CH2−THFAまたはロイコボリンは、5−FU注射の20分前に注射された。腫瘍サイズはノギスを使用して2〜3日毎に測定された。腫瘍体積は以下の式を使用して計算された:腫瘍体積=(長さ×幅2)/2。腫瘍が直径>2cmに達するか、または腫瘍が潰瘍化した時点で、マウスをCO2により安楽死させた後、頚部脱臼を行った。
【0136】
(データ分析)
腫瘍および血液のデータの統計分析は、グラフパッドプリズム(GraphPad Prism)科学ソフトウェアを使用して実施された。ボンフェロニ(Bonferonni’s)T検定が、複数の群の間の腫瘍サイズを比較するために使用された。ログランク(Logrank)検定は、群生存曲線間の統計的な差を決定するために使用された。2つの群のみが比較されるいくつかの場合には、スチューデント(Student’s)T検定が群測定値間の有意性を決定するために使用された。
【0137】
(結果)
ヌードマウスを、表2に記載された薬物組み合わせにより処置した。この研究において、本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA処置をオキサリプラチンもしくは(R&Dシステムズから入手された)抗VEGF抗体と組み合わせることにより、他の薬物組み合わせより大きく結腸直腸腫瘍の増殖を阻害し得るか否かを調査することを望んだ。薬物濃度および処置日は、材料および方法のセクションに記載されている。処置後、腫瘍サイズを2〜3日毎に測定し、腫瘍体積を計算した。次いで、処置開始からの時間に対して腫瘍体積をプロットした(図1および2)。グラフを単純化するため、本発明者らは、分析を、抗VEGFデータを含むグラフと、オキサリプラチンデータを含む別のセットを含むグラフとに分割した。各処置群についてのベストフィット曲線を計算し、これらの図中にプロットした。図1に見られるように、5−FU/5,10−CH2−THFA/抗VEGFで処置されたマウスは、最も遅い腫瘍増殖曲線を有しており、5−FU/5,10−CH2−THFAまたは5−FU/抗VEGFで処置されたマウスがそれに続いた。
【0138】
【表2】
本発明者らは、処置後の平均腫瘍体積間の差も分析した。抗VEGFデータセットについての様々な処置の組み合わせ(図3)を比較し、本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA/抗VEGFで処置されたマウスの平均腫瘍体積(478.6±102.7、平均値±SEM、n=7)が、5−FU(752.5±104.2、n=8)、5−FU/ロイコボリン(707.5±93.6、n=8)、5−FU/5,10−CH2−THFA(522.5±78.2、n=8)、および5−FU/抗VEGF(502.5±64.1、n=8)で処置されたマウスより小さいことを観察した。オキサリプラチンで処置されたマウスは、最大の腫瘍を有しており(腫瘍体積875.0+90.6、平均+SEM、n=8)(図4)、このことから、HT−29腫瘍がこの薬物に対しては応答性でないことが示された(Plasenciaら(2002)American Society for Clinical Oncology Annual Meeting Abstract No.2188を参照のこと)。3重組み合わせ5−FU/5,10−CH2−THFA/抗VEGFで処置されたマウスが、全ての抗VEGF組み合わせの中で最も小さな腫瘍サイズを有していたのに対し(図3)、5−FU/5,10−CH2−THFA/オキサリプラチン(735.0±80.3、n=8)という3重薬物組み合わせを受容した処置群には等価な腫瘍阻害が欠けていたのは、おそらく、オキサリプラチンに対するHT−29腫瘍の抵抗性のためである(図4)。
【0139】
全ての処置群についてのマウス生存曲線も計算した。明白な全身毒性、腫瘍潰瘍化が見られるか、または腫瘍直径が>2cmに達した時点で、マウスを安楽死させた。研究期間の完了時(42日)、5−FU/5,10−CH2−THFAにより処置されたマウスの75%がまだ生存していた(図5)。この生存率は、5−FUのみにより処置されたマウス(25%、p<0.05、Logrankテスト)より有意に長かった。5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスに加え、5−FU/5,10−CH2−THFA/抗VEGFで処置されたマウスも、全ての他の処置群より長く生存した(57%)。他の処置群と比較して、5−FU/5,10−CH2−THFA/オキサリプラチンにより処置されたマウス(25%)(図6)において防御が欠如していたのは、オキサリプラチンに対するHT−29腫瘍の明らかな抵抗性が原因である可能性が最も高い(図3)。オキサリプラチン処置亜群分析について、5−FU/5,10−CH2−THFA処置は、最も大きな生存率上の利益を提供した。
【0140】
(実施例2:5−FU、5,10−CH2−THFA、FA、および抗VEGFによる結腸直腸腫瘍HT−29の処置に関するヌードマウス研究)
(材料および方法)
(マウス)
ヌード(nu/nu)マウスはチャールズリバー研究所から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナルの飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0141】
(細胞株)
ヒト結腸癌HT−29は、アメリカンティッシュカルチャーコレクション(ATCC)から入手された。細胞株は、37℃、5%CO2の加湿インキュベーターにおいて、10%ウシ胎仔血清(FBS)、2mM l−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシンを含有しているDMEM(DMEM−10)において維持された。細胞株は、インビボ実験の前に2〜3日毎に継代された。
【0142】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)は、カルバイオケムから入手された。ロイコボリン(ロイコボリン)およびオキサリプラチンは、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸は、エプロバAG製であった。血管内皮増殖因子に対するモノクローナル抗体(抗VEGF)は、R&Dシステムズ(ヒトVEGFアイソフォーム165を認識するクローン26503)またはジェネンテック(アバスチン)から入手された。
【0143】
(HT−29結腸直腸癌ヌードマウス研究#2)
HT−29細胞を、注射のため以下のように調製した。HT−29細胞のコンフルエントな組織培養フラスコを、PBSにより1回洗浄した後、トリプシンにより細胞を剥離した。次いで、剥離された細胞を、DMEM−10で1回洗浄した後、PBSにより1回洗浄した。最後に、細胞をPBSに1×107細胞/mlで再懸濁させた。ヌードマウス(nu/nu)に、28ゲージインスリン針/注射器を使用して、100μl(106細胞)のHT−29細胞を皮下接種した。腫瘍が体積30〜100mm3に達した時点で、マウスを、腹腔内注射により投与された5−FU、5,10−CH2−THFA、ロイコボリン、および抗VEGF(ジェネンテックのアバスチン抗体)の様々な組み合わせにより処置した。1日目および7日目に2回(100μg/マウス)投薬された抗VEGFを除き、全ての薬物が、7日間連続で1日1回投薬された(0.6mg/マウス/薬物)。さらに、5,10−CH2−THFAまたはロイコボリンは、5−FU注射の20分前に注射された。腫瘍サイズはノギスを使用して2〜3日毎に測定された。腫瘍体積は以下の式を使用して計算された:腫瘍体積=(長さ×幅2)/2。腫瘍が直径>2cmに達するか、または腫瘍が潰瘍化した時点で、マウスをCO2により安楽死させた後、頚部脱臼を行った。
【0144】
(データ分析)
腫瘍および血液のデータの統計分析は、グラフパッドプリズム科学ソフトウェアを使用して実施された。ボンフェロニT検定が、複数の群の間の腫瘍サイズを比較するために使用された。ログランク検定は、群生存曲線間の統計的な差を決定するために使用された。2つの群のみが比較されるいくつかの場合には、スチューデントT検定が群測定値間の有意性を決定するために使用された。
【0145】
(結果)
上記の最初のヌードマウス研究において得られた予備結果に基づき、本発明者らは、研究設計を一部改変して、別のHT−29ヌードマウス研究を繰り返した。改変には、より大きい群サイズ、R&Dシステムズの抗体のジェネンテックの抗VEGFアバスチン抗体への置換、オキサリプラチンの排除、増加した処置日数、および抗VEGF抗体の増加した投薬回数が含まれていた。ヌードマウスを、表3に記載された薬物組み合わせにより処置した。この研究において、本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA処置を抗VEGF抗体アバスチンと組み合わせることにより、他の薬物組み合わせより大きく結腸直腸腫瘍の増殖を阻害し得るか否かを調査することを望んだ。薬物濃度および処置日は、材料および方法のセクションに記載されている。処置後、腫瘍サイズを2〜3日毎に測定し、腫瘍体積を計算した。次いで、腫瘍体積を、処置開始からの時間に対してプロットした(図7)。各処置群についてのベストフィット曲線を計算し、この図中にプロットした。ベストフィット曲線分析に基づき、各群についての平均倍化時間を計算した(表4)。5−FU/5,10−CH2−THFA/アバスチンの組み合わせで処置されたマウスは、他の全ての群と比較して、最も遅い増殖速度論を示した(倍化時間=9.9日)。これらの結果は、先に記載された1回目のヌードマウス腫瘍研究で得られた結果と一致している。
【0146】
【表3】
【0147】
【表4】
本発明者らは、処置開始後19日目に決定した平均腫瘍体積の差も分析した。平均腫瘍体積±SEMは、図8にプロットされている。本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA/アバスチンで処置されたマウスの平均腫瘍体積(94.0±10.2、平均±SEM、n=12)が、5−FU(368.5±63.7、n=10)、5−FU/ロイコボリン(262.0±36.5、n=11)、5−FU/5,10−CH2−THFA(225.4±32.0、n=12)、5−FU/アバスチン(225.5±28.8、n=12)で処置されたマウスより有意に少ないが(p<0.05、ボンフェロニT検定)、5−FU/ロイコボリン/アバスチンで処置されたマウス(140.8±20.3、n=12)よりは有意に少なくないことを観察した。対照的に、5−FU/ロイコボリン/アバスチンで処置されたマウスの平均腫瘍体積は、5−FUで処置されたマウスにおける腫瘍体積より有意に少ないのみであり、他の処置群よりは有意に少なくなかった。
【0148】
全ての処置群についてのマウス生存曲線も計算した。明白な全身毒性、腫瘍潰瘍化が見られるか、または腫瘍直径が>2cmに達した時点で、マウスを安楽死させた。研究完了前(処置開始から38日目)、生理食塩水、5−FU、または5−FU+アバスチンで処置されたマウスの≦50%がまだ生存していた(図9)。対照的に、5,10−CH2−THFAまたはロイコボリンのいずれかと組み合わせられた5−FU+アバスチンで処置されたマウスの92%が生存していた。様々な薬物組み合わせについてのこの生存率パターンは、前記の1回目のヌードマウス結腸直腸腫瘍研究において観察された結果と類似している。
【0149】
(実施例3:5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの組み合わせにより処置されたBalb/cマウスの血液分析)
(材料および方法)
(マウス)
Balb/cマウスはチャールズリバー研究所から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナルの飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0150】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)は、カルバイオケムから入手された。ロイコボリン(フォリン酸)は、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)は、エプロバAG製であった。
【0151】
(Balb/c血液分析研究)
Balb/cマウス、7週齢の雌マウスに、7日間連続で5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの組み合わせを注射した。全ての薬物が、28ゲージインスリン針/注射器を使用して腹腔内注射された(100μl/マウス、0.6mg/マウス/薬物)。0日目(薬物注射の前)、8日目、および13日目に、200〜250μl/マウスの血液を、眼窩静脈叢(retro−orbital)穿刺によりEDTAでコーティングされたマイクロテイナー(microtainer)チューブ(VWRインターナショナル(International))へと収集した。全血球算定+血球差は、バイエルアドビア(Bayer Advia)120ヘマトロジー(Hematology)分析装置を使用して、アメリカのラブコープコーポレーション(Labcorp Corporation)により決定された。
【0152】
(結果)
殺腫瘍活性に加え、5−FUは、骨髄抑制効果のため、正常細胞、特に、造血系の細胞に対して細胞障害性である。ロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの関連した化学的特徴および作用様式のため、本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA組み合わせ療法の類似した毒性プロファイルが存在するか否かを決定することを望んだ。そのため、本発明者らは、5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの様々な組み合わせ(表5)を正常なBalb/cマウスに注射した。処置前、処置後1週間目および2週間目に、本発明者らは、血液パラメータの変化に関して全血球算定+差を分析した。さらに、本発明者らは、薬物毒性の定性的および定量的な測定値を分析した。
【0153】
【表5】
薬物の投薬から1週間後、本発明者らは、全てのマウスが、体毛の毛羽立ち(ruffled fur)、瀕死、および脱水症を含む、薬物に関連した毒性を有していることを観察した。薬物処置の開始から12日以内に、5−FUのみおよび5−FU/ロイコボリンの処置群の全てのマウスが死亡した。対照的に、5−FU/5,10−CH2−THFA処置群においては、38%のマウス(13匹中5匹)が、14日後に生存していた。全ての処置群についてのカプランマイヤー生存曲線をプロットした(図10)。5−FU/5,10−CH2−THFA処置群 対 5−FU/ロイコボリン処置群のログランク統計比較は、生存率の有意な差(p<0.05)を示した。
【0154】
血液分析は、選択血球型の差も明らかにした(図11)。本発明者らは、以下の血液パラメータを測定した:白血球(WBC)、赤血球(RBC)、ヘモグロビン(HGB)、ヘマトクリット(HCT)、平均細胞体積(MCV)、平均細胞ヘモグロビン(MCH)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCHC)、好中球、リンパ球、血小板(PLT)、好酸球、好塩基球、および単球。薬物処置後1週間目に、本発明者らは、5−FU/ロイコボリンで処置されたマウスより有意に多い白血球を5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスにおいて観察した(p<0.05、スチューデントt検定)。白血球サブセットの中で、本発明者らは、他の処置群より有意に多い血小板および好中球を、5−FU/5,10−CH2−THFAで処置された群において観察した。
【0155】
5−FU/5,10−CH2−THFA処置後に血小板および好中球両方のレベルの差が観察されたため、本発明者らは、これらの細胞型をさらに査定した。NCIの毒性グレード判定基準を使用して、本発明者らは、合わせたグレード1/2の毒性、グレード3の毒性、またはグレード4の毒性のいずれかを有するマウスの割合(%)を計算した。血小板については、本発明者らは、5−FU単独で処置されたマウスの25%が、グレードの4毒性を示すことを観察した(図12)。対照的に、5−FU/ロイコボリンまたは5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスについては、グレード4の毒性は認められなかった。しかしながら、グレード3の毒性を有する5−FU/ロイコボリンマウス(45%)とは異なり、5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスは15%しかグレード3の血小板毒性を示さなかった。残りの5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウス(85%)は、グレード1または2の毒性しか示さない。そのため、このデータは、5−FU/5,10−CH2−THFAが、5−FU単独または5−FU/ロイコボリンよりも軽度の血小板毒性を誘導することを示唆している。
【0156】
同様に、本発明者らは、好中球毒性プロファイルを査定した。血小板の差とは対照的に、標準的なNCIグレード決定システムは、処置群間の認めうる程度の好中球の差を明らかにしなかった。例えば、5−FUのみおよび5−FU/ロイコボリンで処置されたマウスの両方の100%は、グレード4の毒性を示し、5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスの92%が同じグレード4の毒性を示した。5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスの残りの8%は、グレード3の毒性を示した(図13)。しかしながら、グレード4の毒性を示したマウスのより綿密な分析は、定量可能な好中球の差を明らかにした。本発明者らは、グレード4の毒性を有するマウスを、処置後の好中球数の範囲に基づく亜群へと分割した(図14)。この分析は、5−FUのみにより処置されたマウスの100%および5−FU/ロイコボリンで処置されたマウスの80%が、0〜99の間の好中球数を有していることを明らかにした。対照的に、5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスは、40%しか、この最低レベルの好中球数を示さなかった。グレード4と判定された5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスの過半数(50%)が、200〜499の範囲の好中球数を有していた。従って、このデータは、5−FU/5,10−CH2−THFAが、5−FU単独または5−FU/ロイコボリンより軽度の好中球毒性をもたらすことを示唆している。
【0157】
(実施例4:5−FU、ロイコボリン、5,10−CH2−THFA、およびゲムシタビンの組み合わせにより処置されたBalb/cマウスの体重減少毒性分析)
(材料および方法)
(マウス)
Balb/cマウスはチャールズリバー研究所から入手された。マウスは、研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナルの飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0158】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリン(ロイコボリン)は、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)は、エプロバAG製であった。ゲムシタビンはイーライリリー(Eli Lilly)製であり、ミオダーム社(Myoderm Inc.)から購入された。
【0159】
(Balb/c体重分析研究)
Balb/c雌マウスに、5−FU、ロイコボリン、5,10−CH2−THFA、およびゲムシタビンの組み合わせを注射した。5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAは、5日間連続で(1〜5日目)、腹腔内注射された(100μl/マウス、0.6mg/マウス/薬物)。ゲムシタビンは、3日毎(1日目、4日目、および7日目)に腹腔内注射された(100μl/マウス、100μg/マウス)。全ての薬物が27ゲージインスリン針/注射器を使用して注射された。薬物投薬の開始前(処置前)および8日目に、分析用天秤を使用してマウスの体重を測定した。
【0160】
(結果)
5−FUの既知の毒性は、胃腸毒性および関連する体重減少である。ロイコボリンは、胃腸毒性を悪化させる可能性があることが報告されている。さらに、膵臓癌のための現在の標準的な療法であるゲムシタビンは、それ自体の関連する毒性プロファイルを有している。組み合わせ5−FU/ゲムシタビンおよび5−FU/ロイコボリン/ゲムシタビンによる療法は、診療所において調査されており、増強された臨床活性を有していることが示されているが、これらの組み合わせは、典型的には、ゲムシタビン単独または5−FU/ロイコボリン単独より重度の毒性を示す。5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビン組み合わせ療法は、膵臓癌のための可能性のある処置レジメンであるため、ロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの関連する化学的特徴および作用様式のため、本発明者らは、ゲムシタビンと組み合わせられた5−FU/5,10−CH2−THFAの毒性プロファイルを調査することを望んだ。さらに、本発明者らは、組み合わせ5−FU/5,10−CH2−THFAの以前の毒性分析を拡張し、この組み合わせ(combo)が、5−FU/ロイコボリンまたは5−FU単独と比較して、付加的な明白でない毒性プロファイルを有しているか否かを決定することを望んだ。そのため、本発明者らは、5−FU、ロイコボリン、5,10−CH2−THFA、およびゲムシタビンの様々な組み合わせ(表6)を正常なBalb/cマウスに注射した。処置前および処置開始後1週間目に、本発明者らは胃腸毒性の測定値として体重の減少/増加を調査した。
【0161】
【表6】
薬物投与の開始前(処置前)、無作為化されたマウスの群(1群当たり12匹)は、類似した平均体重を示した。処置後(8日目)、マウスの体重は全ての処置群で減少した。有害事象に関する国立癌研究所(NCI)の共通用語法基準(National Cancer Institute’s(NCI)Common Terminology Criteria for Adverse Events)を使用して、体重減少の重度を各処置群についてプロットした(図15)。毒性グレード決定は、出発基線体重からの体重減少率(%)に基づく(表7)。これらの結果は、5−FU/5,10−CH2−THFAが、5−FU単独または組み合わせ5−FU/ロイコボリンによる処置(いずれの処置群についても100%がグレード2〜3の毒性)より有意に低い(p<0.05、フィッシャーの正確確率検定(Fisher’s exact test))グレード2〜3の毒性(50%)を誘導したことを示している。
【0162】
【表7】
ゲムシタビン処置は、単独では、毒性濃度未満の濃度の投与に起因して、グレード1より大きな体重減少毒性を誘導しなかったが、5−FU/ロイコボリンまたは5−FU/5,10−CH2−THFAによる処置へのゲムシタビンの追加は、グレード3の毒性を有するマウスを100%とした(図15)。しかしながら、これらの処置群の間には体重減少率の定量的な差が検出され得た(図16)。このデータは、5,10−CH2−THFAが、2重細胞毒性薬物5−FUおよびゲムシタビンと組み合わせて使用された場合、ロイコボリンより効果的に、マウスを体重減少から防御することを示唆している。5−FU/ロイコボリン/ゲムシタビンで処置されたマウスの92%が、>25%の体重減少を有していたが、有意に少ない(p<0.05、フィッシャーの正確確率検定)5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビンで処置されたマウスが、この重度の体重減少を有していた(33%のマウス)。
【0163】
各処置群についてのマウス生存率も経時的に追跡した(図17)。5−FU/ロイコボリンおよび5−FU/5,10−CH2−THFAの群は、いずれも、5−FUのみにより処置されたマウス(36%)と比較して、最大14日(各群83%)の有意に大きなマウス生存率(%)を有していた(p<0.05、ログランク検定)。最短の生存時間は、100%のマウスが14日目以前に死亡した5−FU/ロイコボリン/ゲムシタビンまたは5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビンの3重薬物組み合わせにおいて観察された。しかしながら、5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビンマウスは、5−FU/ロイコボリン/ゲムシタビンで処置されたマウス(8日)より有意に長く生存した(9日、p<0.05、ログランク検定)。これは、5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビン組み合わせ群について上に記載されたより体重減少毒性の重度が低いことと相関しており、5,10−CH2−THFAが、組み合わせ5−FU/ゲムシタビンレジメンと共に使用された場合、ロイコボリンと比較して、より軽度の体重減少を誘導することを再び示唆している。
【0164】
(実施例5:5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの組み合わせにより処置されたBalb/cマウスのリンパ球分析)
(材料および方法)
(マウス)
Balb/cマウスはチャールズリバー研究所から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナルの飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0165】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)は、カルバイオケムから入手された。ロイコボリン(ロイコボリン)は、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)は、エプロバAG製であった。
【0166】
(Balb/c血液分析研究)
Balb/cマウス、7週齢の雌マウスに、7日間連続で5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの組み合わせを注射した。全ての薬物が、28ゲージインスリン針/注射器を使用して腹腔内注射された(100μl/マウス、0.6mg/マウス/薬物)。0日目(薬物注射の前)、8日目、および13日目に、200〜250μl/マウスの血液を、眼窩静脈叢穿刺によりEDTAでコーティングされたマイクロテイナーチューブ(VWRインターナショナル)へと収集した。全血球算定+血球差は、バイエルアドビア120ヘマトロジー分析装置を使用して、アメリカのラブコープコーポレーションにより決定された。
【0167】
(結果)
実施例3に記載された実験の付加的な分析は、処置群間の毒性の差をさらに明らかにした。初めに記載されたように、本発明者らは、5−FU/ロイコボリンおよび5−FU単独と比較した、5−FU/5,10−CH2−THFA処置群における、血小板および好中球を含む白血球の防御を認めた。基線リンパ球レベルに対する割合(%)に基づくNCI毒性グレード決定(表8)を使用したデータの新たな分析も、他の群と比較して、より大きな5−FU/5,10−CH2−THFA処置群におけるリンパ球の防御を示している(図18)。5−FUのみおよび5−FU/ロイコボリンによる処置群のマウスの100%が、グレード3〜4のリンパ球減少を示したが、5−FU/5,10−CH2−THFA処置群においては有意に少ない(p<0.05、フィッシャーの正確確率検定)マウスが、このレベルの毒性を示した(62%)。そのため、このデータは、5−FU/5,10−CH2−THFAが、5−FUのみまたは5−FU/ロイコボリンのいずれよりも軽度のリンパ球毒性を誘導することを示唆している。
【0168】
【表8】
(実施例6:カペシタビン(ゼローダ)、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)、およびロイコボリンによるHT−29結腸直腸腫瘍の処置に関するヌードマウス研究)
(材料および方法)
(マウス)
ヌード(nu/nu)マウスはシモンセン研究所(Simonsen Laboratories)から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、ペリーサイエンティフィック(Perry Scientific)の飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0169】
(細胞株)
ヒト結腸癌HT−29は、アメリカンティッシュカルチャーコレクション(ATCC)から入手された。細胞は、37℃、10%CO2の加湿インキュベーターにおいて、10%ウシ胎仔血清(FBS)、2mM l−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシンを含有しているDMEM(DMEM−10)において維持された。細胞は、インビボ実験の前に2〜3日毎に継代された。
【0170】
(薬物)
カペシタビン(ゼローダ)は、ロシュラボラトリーズ(Roche Laboratories)(Nutley,New Jersey)製であった。ロイコボリン(ロイコボリン)は、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)は、エプロバAG製であった。
【0171】
(処置)
HT−29細胞を、注射のため以下のように調製した。HT−29細胞のコンフルエントな組織培養フラスコを、PBSにより1回洗浄した後、トリプシンにより細胞を剥離した。次いで、剥離された細胞を、DMEM−10で1回洗浄した後、PBSにより1回洗浄した。最後に、細胞をPBSに107細胞/mlで再懸濁させた。ヌードマウス(nu/nu)に、28ゲージ針/1mlインスリン注射器を使用して、100μlのHT−29細胞(106細胞)を皮下接種した。腫瘍が体積100〜300mm3に達した時点で、マウスを、ゼローダ、5,10−CH2−THFA、ロイコボリン、または水の様々な組み合わせにより処置した。水およびゼローダ(72mg/マウス/日)は経口胃管栄養により投与された。5,10−CH2−THFAおよびロイコボリンは、ゼローダのおよそ20分前に腹腔内注射により投与された(0.6mg/マウス/薬物/日)。全ての薬物が14日間連続で1日1回投薬された。腫瘍サイズおよびマウスの体重が2〜4日毎に測定された。腫瘍体積は以下の式を使用して計算された:腫瘍体積=(長さ×幅2)/2。腫瘍が直径>2cmに達するか、または腫瘍が潰瘍化した時点で、マウスをCO2により安楽死させた後、頚部脱臼を行った。
【0172】
(データ分析)
腫瘍の増殖、生存率、および重量減少の統計分析および曲線フィッティングは、グラフパッドプリズム科学ソフトウェアを使用して実施された。
【0173】
(結果)
(腫瘍増殖)
腫瘍保持マウスを、表9に示される薬物の組み合わせにより処置した。ゼローダは、ヒトにおける使用について承認されている臨床レジメンと同様に経口投薬された。コントロールで処置されたマウス(水)と比較して、全てのゼローダ含有処置群が、より遅い腫瘍増殖を有していた(図19)。さらに、ロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの両方が、ゼローダの抗腫瘍活性を増加させた。これらの差は、表10に示される、指数関数的な腫瘍増殖のベストフィット直線回帰から計算された腫瘍倍化時間に見出され得る。
【0174】
【表9】
【0175】
【表10】
(生存率)
実験の間中、マウス生存率を追跡した(図20)。これらの結果は、薬物投薬の最初の日を1日目と定義して、実験の33日目に、5,10−CH2−THFA+ゼローダが、ロイコボリン+ゼローダ(25%)またはゼローダ単独(38%)と比較して、最も大きな生存率(67%)をもたらすことを示した。さらに、このデータは、全ての他の処置群についての≧30日と比較して、ロイコボリン+ゼローダにより処置されたマウスが、19日という中央生存率により示されるような、より急速な死亡率を有していたことを示唆する。
【0176】
(薬物毒性)
薬物毒性の代理マーカーとして、本発明者らは、マウスの体重を経時的に調査した。体重減少に関する国立癌研究所の共通毒性判定基準バージョン3グレード決定システム(National Cancer Institute’s Common Toxicity Criteria version 3 grading system)(表11)を使用して、最高毒性グレードの体重減少をプロットした(図21)。ゼローダは、単独では、比較的毒性はなく、マウスの36%においてグレード1の毒性を誘導するに過ぎなかったが、ロイコボリンは、グレード1〜3全体の毒性をマウスの90%にまで増加させた。この増加した毒性は、ロイコボリンが下痢、嘔吐、および粘膜炎症のようなゼローダ毒性パラメータを増加させることを示す第II相ヒト臨床試験結果と一致している(Van Cutsem,E.,M.Findlay,B.Osterwalder,W.Kocha,D.Dalley,R.Pazdur,J.Cassidy,L.Dirix,C.Twelves,D.Allman,J.F.Seitz,J.Scholmerich,H.U.Burger,およびJ.Verweij.2000.Capecitabine,an oral fluoropyrimidine carbamate with substantial activity in advanced colorectal cancer:results of a randomized phase II study.J Clin Oncol 18:1337)。対照的に、5,10−CH2−THFAは、ロイコボリンほどマウスにおけるゼローダ毒性を増加させず、マウスの50%のみがグレード1〜3の体重減少を有しており、ロイコボリン処置群と比較して毒性は40%低下していた。
【0177】
【表11】
(結論)
総合すると、このデータは、5,10−CH2−THFAがロイコボリンより少ない毒性でゼローダの抗腫瘍効力を増強することを示唆する。
【0178】
(参考文献)
【0179】
【表12】
全ての標題は読者の便宜のためのものであり、明示されない限り、標題に続く本文の意味を限定するためには使用されるべきではない。
【0180】
上記参考文献(bibliography)において引用されたものを含む、本明細書において引用された全ての参考文献は、その全体が本明細書において参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);抗VEGF(アバスチン(Avastin));およびロイコボリンの組み合わせにより処置されたヌードマウスにおけるHT−29腫瘍の増殖速度論を示すグラフである。HT−29腫瘍の体積を、示された薬物による処置開始からの時間に対してプロットした。平均腫瘍体積±平均値の標準誤差がプロットされている。曲線はベストフィット(best−fit)分析により作成された。
【図2】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);およびオキサリプラチンの組み合わせにより処置されたヌードマウスにおけるHT−29腫瘍の増殖速度論を示すグラフである。HT−29腫瘍の体積を、示された薬物による処置開始からの時間に対してプロットした。平均腫瘍体積±平均値の標準誤差がプロットされている。曲線はベストフィット分析により作成された。
【図3】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);抗VEGF(アバスチン);およびロイコボリンの組み合わせによるHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの処置後の平均腫瘍体積を示すグラフである。処置開始後22日目の平均腫瘍体積を各処置群についてプロットした。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
【図4】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);およびオキサリプラチンの組み合わせによるHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの処置後の平均腫瘍体積を示すグラフである。処置開始後22日目の平均腫瘍体積を各処置群についてプロットした。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
【図5】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);ロイコボリン;および抗VEGF(アバスチン)の組み合わせによる処置後のHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの生存率のカプランマイヤー(Kaplan−Meier)プロットを示す。
【図6】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);およびオキサリプラチンの組み合わせによる処置後のHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの生存率のカプランマイヤープロットを示す。
【図7】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);ロイコボリン;および抗VEGF(アバスチン)の組み合わせにより処置されたヌードマウスにおけるHT−29腫瘍の増殖速度論を示すグラフである。HT−29腫瘍の体積を、処置開始からの時間に対してプロットした。平均腫瘍体積±平均値の標準誤差がプロットされている。曲線はベストフィット分析により作成された。
【図8】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);ロイコボリン;および抗VEGF(アバスチン)の組み合わせによるHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの処置後の平均腫瘍体積を示すグラフである。処置開始後19日目の平均腫瘍体積を各処置群についてプロットした。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
【図9】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);および抗VEGF(アバスチン)の組み合わせによる処置後のHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの生存率のカプランマイヤープロットである。
【図10】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの生存率のカプランマイヤープロットである。
【図11】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの血液分析を示すグラフである。グラフにプロットされた基線測定値に対する割合(%)を計算するため、薬物療法後1週間目に採取された血液測定値を、処置前の血液測定値により割った。平均データ値±平均値の標準誤差が、各処置群についてプロットされている。WBC、白血球;RBC、赤血球;HGB、ヘモグロビン;HCT、ヘマトクリット;MCV、平均細胞容積;MCH、平均細胞ヘモグロビン(mean cell hemoglobin);MCHC、平均細胞ヘモグロビン含量(mean cell hemoglobin content);PLT、血小板。
【図12】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの血小板毒性グレード決定を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、血小板毒性のグレードを各マウスについて計算した。グレード1または2、グレード3、およびグレード4の毒性を有するマウスの割合(%)が各処置群についてプロットされている。
【図13】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの好中球毒性グレード決定を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、好中球毒性のグレードを各マウスについて計算した。各処置群の中のグレード1または2、グレード3、およびグレード4の毒性を有するマウスの割合(%)がプロットされている。
【図14】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの好中球毒性分析を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、グレード4の好中球毒性を有するマウスを、絶対好中球数に基づき細分した。示された好中球数を有するこれらのマウスの割合(%)が各処置群についてプロットされている。
【図15】5−FU;ロイコボリン;10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表記されている);およびゲムシタビンの組み合わせによる処置後のBalb/cマウスの体重減少毒性グレード決定を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、体重減少毒性のグレードを各マウスについて計算した。グレード0、1、2、および3の毒性を有するマウスの割合(%)が各処置群についてプロットされている。Gem.=ゲムシタビン。
【図16】5−FU;ロイコボリン;10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表記されている);およびゲムシタビンの組み合わせによる処置後のBalb/cマウスの体重減少率(%)を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、出発基線体重からの体重減少率(%)を各マウスについて計算した。次いで、図中に示された体重減少の範囲に属するマウスの割合(%)を、各処置群についてプロットした。Gem.=ゲムシタビン。
【図17】5−FU;ロイコボリン;10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表記されている);およびゲムシタビンの組み合わせによる処置後のBalb/cマウスのカプランマイヤー生存率プロットである。Gem.=ゲムシタビン。
【図18】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスのリンパ球減少毒性グレード決定を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、リンパ球減少のグレードを各マウスについて計算した。グレード1/2、グレード3、およびグレード4の毒性を有するマウスの割合(%)が各処置群についてプロットされている。
【図19】カペシタビン(ゼローダ(Xeloda))、ゼローダ/ロイコボリン、およびゼローダ/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)により処置されたヌードマウスにおけるHT−29腫瘍の増殖速度論を示すグラフである。HT−29腫瘍の体積を、処置開始からの時間に対してプロットした。平均腫瘍体積±平均値の標準誤差がプロットされている。曲線はベストフィット分析により作成された。
【図20】カペシタビン(ゼローダ)、ゼローダ/ロイコボリン、およびゼローダ/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスのカプランマイヤー生存率プロットである。
【図21】カペシタビン(ゼローダ)、ゼローダ/ロイコボリン、およびゼローダ/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による8日間の処置後のBalb/cマウスの体重減少毒性を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第60/558,889号(2004年4月2日出願、発明者Mark Cantwellおよび発明者Joan Robbinsにより題された「Methods of Using 5,10−Methylene Tetrahydrofolate to Treat Cancer」)および米国仮特許出願第60/658,745号(2005年3月4日出願、発明者Mark Cantwellおよび発明者Joan Robbinsにより題された「Methods of using 5,10−methylene hydrofolate in combination therapies to treat cancer」)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
癌は重要な公衆衛生問題である。結腸直腸癌は、単独で、米国内で1年におよそ50,000件の死を引き起こす。毎年診断されるおよそ130,000の結腸直腸癌例のほぼ半分が、化学療法が唯一の治療法である転移性疾患を伴うかまたは転移性疾患へと進展する。結腸直腸癌のみならず、例えば、乳癌、膵臓癌、胃癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮頸癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、および前立腺癌のようなその他の癌についても、治療のための新たな有効な薬物に基づく療法が緊急に求められている。
【0003】
抗癌薬5−フルオロウラシル(5−FU)は、核酸生合成に必要とされる酵素チミジル酸シンターゼ(TS)のインヒビターであるFdUMPへと体内で変換される。5−FUは、結腸直腸癌および乳癌、さらに頭頸部癌、膵臓癌、胃癌、および非小細胞肺癌のような癌を治療するために一般的に使用されている。5−FUは、一般的に、チミジル酸シンターゼの補因子である還元型の葉酸(5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸またはポリグルタミン酸型の5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸)へと細胞内で変換されるフォリン酸(FA、ロイコボリン(leucovorin))と併用されている。5−FUおよびロイコボリンの組み合わせは、5−FU単独の使用と比較して、増加した抗腫瘍効果を有していることが見出されている。5−FU、およびロイコボリンと組み合わせられた5−FUは、再発性の結腸直腸癌、乳癌、胃癌、またはその他の癌を有する患者の生存期間(survivorship)を改善するためにその他の抗癌剤と組み合わせて使用されている。
【0004】
5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸(「5,10−CH2−THFA」)は、直接、またはポリグルタミン酸型への変換の後、チミジル酸シンターゼの補因子として作用することができる還元型葉酸である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
5−FUに関連した毒性には、口内炎、粘膜炎、胃腸症状、ならびに血液学的毒性、特に、好中球減少、血小板減少、および白血球減少が含まれる。毒性は、抗癌剤の投薬量を制限することにより、または癌患者の治療において医師が利用可能な手段を制限することにより、患者にとって利用可能な治療法を制限する場合がある。従って、患者の生存期間を延長するのに有効な、低下した毒性を有する、改良された抗癌薬レジメンを開発する必要が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、患者に対して現在の様式より低下した毒性および大きい効力を提供する、癌の治療における5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸(「5,10−CH2−THFA」)の新規の使用を提供する。
【0007】
本発明は、5,10−CH2−THFAが、腫瘍増殖の速度を低下させ生存期間を増加させる5−FUの効力を増加させつつ、5−FUの患者に対する毒性を低下させるという驚くべき結果に基づく。本明細書に開示されるように、5,10−CH2−THFAおよび5−FUによる治療は、5−FU単独またはロイコボリン(フォリン酸;FA)と組み合わせられた5−FUによる治療と比べて、腫瘍保持動物の腫瘍増殖速度を低下させ、生存期間を増加させつつ、いずれの治療よりも少ない毒性を示す。
【0008】
本発明は、さらに、5,10−CH2−THFAおよび5−FUおよび付加的な抗癌薬による腫瘍保持動物の治療も、単一様式治療、またはロイコボリンと共に5−FUを使用することを含む別の組み合わせ治療と比べて、結果を改良し得るという発見に基づく。
【0009】
1つの局面において、本発明は、5−フルオロウラシル(5−FU)または5−FUのアナログもしくはプロドラッグ;5,10−CH2−THFA;および1つ以上の付加的な抗癌薬を含む組み合わせ化学療法により癌患者を治療する方法を提供する。1つ以上の付加的な抗癌薬は、特異的結合メンバー、タンパク質、核酸、脂質、ステロイド、高分子、低分子、または金属を含む化学療法剤(これらに制限はされない)を含む、任意の型の1つ以上の化学療法剤であり得る。この1つ以上の抗癌薬は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、有糸分裂インヒビター、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬、または5−FU調節因子のうちの1つ以上を含み得る。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。
【0010】
第二の局面において、本発明は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む、癌の治療のための組成物を提供する。1つ以上の付加的な抗癌薬は、特異的結合メンバー、タンパク質、核酸、脂質、ステロイド、高分子、低分子、または金属を含む化学療法剤(これらに制限はされない)を含む、任意の型の1つ以上の化学療法剤であり得る。この1つ以上の抗癌薬は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、有糸分裂インヒビター、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸生合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬、または5−FU調節因子のうちの1つ以上を含み得る。本発明の多重薬物組成物は、1つの処方物または複数の処方物として提供され得る。
【0011】
本発明の第三の局面は、癌の治療のための組成物の製造における、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な化学療法剤と組み合わせられた5,10−CH2−THFAの使用であり、ここで、少なくとも1つの付加的な化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸生合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬、または5−FU調節因子からなる群より選択される。その使用は、単一の処方物としてまたは複数の処方物として薬学的組成物を製造することを含む。
【0012】
第四の局面において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの癌患者への投与を含む癌薬物治療レジメンの患者に対する毒性を減少させる方法を提供する。
【0013】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、カペシタビン(capecitabine)(これに制限はされない)のような5−FUのアナログもしくはプロドラッグの毒性を減少させる方法を含む。
【0014】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を癌を有する患者へ投与することを含む抗癌治療の毒性を減少させる方法を含む。
【0015】
本発明の第五の局面は、抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することを含む、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬物治療レジメンの患者に対する毒性を低下させる方法である。
【0016】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することによりレジメンの毒性が減少する、カペシタビン(これに制限はされない)のような5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの毒性を減少させる方法を含む。
【0017】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌を有する患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌治療の毒性を減少させる方法を含む。
【0018】
第六の局面において、本発明は、5,10−5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの癌患者への投与を含む癌薬物治療レジメンの効力を増加させる方法を提供する。
【0019】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、カペシタビン(これに制限はされない)のような5−FUのアナログもしくはプロドラッグの効力を増加させる方法を含む。
【0020】
この局面のその他の好ましい実施形態において、本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を癌を有する患者へ投与することを含む抗癌治療の効力を増加させる方法を含む。
【0021】
本発明の第七の局面は、抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することを含む、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬物治療レジメンの患者に対する効力を増加させる方法である。
【0022】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することによりレジメンの効力が増加する、カペシタビン(これに制限はされない)のような5−FUのアナログまたはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法を含む。
【0023】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌を有する患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌治療の効力を増加させる方法を含む。
【0024】
関連する局面において、本発明は、5−FUおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの中の5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの用量を増加させる方法を提供する。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンを入手すること;抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換すること;ならびに抗癌薬レジメンの中の5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの投薬量を増加させることを含む。この局面において、抗癌薬物の中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換しつつ、5−FUの投薬量を増加させることは、やたらと毒性を増加させることなく、治療の効力を増加させ得る。
【0025】
さらにもう一つの関連する局面において、本発明は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および付加的な抗癌薬を含む抗癌薬レジメンの中の付加的な抗癌薬の用量を増加させる方法を提供する。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬レジメンを入手すること;抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換すること;ならびに抗癌薬レジメンの中の1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることを含む。この局面において、抗癌薬物の中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換しつつ、レジメンにおいて使用される付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることは、やたらと毒性を増加させることなく、治療の効力を増加させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
(定義)
「抗癌薬」とは、癌の治療において使用される任意の薬物である。本発明の方法および組成物において使用され得るいくつかの研究中の抗癌薬のいくつかの非制限的な例は、表1に提供される。
【0027】
「化学療法剤」とは、生物学的活性を有しており、疾患の治療において有用な化学的実体である。癌療法において、化学療法剤は、直接的または間接的に癌細胞の死を引き起こす化学的実体である。化学療法剤は、単一の薬剤として、または1つ以上の他の化学療法剤との組み合わせで抗癌効果を有し得る。
【0028】
抗癌薬または化学療法剤の「アナログ」とは、抗癌薬または化学療法剤と構造的に類似しているが、(ある原子の異なる元素の原子への交換、または特定の官能基の付加もしくは置換のように)組成がわずかに異なっている化学化合物である。本明細書において使用されるように、「アナログ」とは、構造的には類似しているかまたは同一であるが、例えば、可溶性を増強するか、分解を遅延させるか、循環系における半減期を増加させるか、膜透過性を賦与するか、または例えば組織もしくは細胞の標的化を指示することができる付加的な部分を含む化学化合物を意味することもできる。好ましくは、化合物、抗癌薬、または化学療法剤のアナログは、治療的に有効な量で患者に投与された場合、化合物、抗癌薬、または化学療法剤と本質的に同一の活性を有している。
【0029】
抗癌薬または化学療法剤の「プロドラッグ」とは、体内で抗癌薬または治療剤へと変換されるが、それ自体は活性を有していないか、または抗癌薬のものとは定量的もしくは定性的に異なる活性を有している分子である。
【0030】
本明細書において使用されるように、「抗癌薬レジメン」、「化学療法薬物レジメン」、「抗癌薬物プロトコル」、または「化学療法プロトコル」とは、どのような治療を癌患者が受けるか、正確には、いつ、どのような投薬量で各々が与えられるかの正式の概要または計画である。
【0031】
本明細書において使用されるように、「チミジル酸シンターゼの葉酸補因子」または「TSの葉酸補因子」とは、5−FUによるチミジル酸シンターゼの阻害を増強することができる5,10−CH2−THFAまたはポリグルタミン酸型5,10−CH2−THFAのような還元型葉酸分子である。本明細書において使用されるように、「チミジル酸シンターゼの葉酸補因子」は、チミジル酸シンターゼの阻害を増強する葉酸分子の前駆体またはプロドラッグであってもよい。例えば、フォリン酸(5−ホルミル−テトラヒドロ葉酸、ロイコボリン)のような葉酸補因子は、体内で5,10−CH2−THFAおよびポリグルタミン酸型5,10−CH2−THFAへと変換され得る。
【0032】
「毒性」とは、身体の細胞、組織、器官、または系に対する実体の有害な効果をさす。毒性効果は、治療を受ける被験体の細胞または組織との実体の生化学的反応に起因し、全身性であるかもしれないし、または特定の系もしくは器官を含む、特異的なものであるかもしれない。毒性には、非制限的な例として、増加した流涙;粘膜炎;食道咽頭炎;感覚異常(parasthesias)、不眠、および眩暈のような神経学的毒性;悪心、嘔吐、および下痢のような胃腸毒性;体重減少毒性;心臓毒性;脱毛、発汗、および発疹を含む皮膚科学的毒性;ならびに好中球減少、血小板減少、リンパ球減少、および白血球減少(これらに制限はされない)のような血液学的毒性が含まれる。毒性パラメータの臨床的な定義は、国立癌研究所の共通毒性基準(National Cancer Institute’s Common Toxicity Criteria)(バージョン3)または世界保健機関の毒性基準(World Health Organization Toxicity Criteria)に見出され得る。
【0033】
抗癌治療または化学療法レジメンの「効力」は、抗腫瘍効果または抗癌細胞効果、ならびに、例えば、寛解、進行までの時間、応答率、および生存期間のような治療の臨床的な結果を改良する能力により決定される。抗癌治療または化学療法レジメンの効力を査定する容認された方法は、癌治療の分野においてよく確立されている。例えば、抗癌効果は、例えば、血清中または血漿中の癌細胞またはマーカーを検出することにより査定され得る。検出され得る腫瘍タンパク質または抗原の例には、結腸癌に関するCEAおよび膵臓癌に関するCA19−9が含まれる。固形腫瘍の場合、抗腫瘍効果は、腫瘍サイズ、および経時的な腫瘍サイズの変化をモニタリングすることにより測定され得る。臨床研究において、病巣の数、腫瘍サイズ、および腫瘍増殖速度は、ラジオグラフィ、断層撮影法によってモニタリングされ得、可能な場合には、腫瘍量の直接測定によりモニタリングされ得る。抗腫瘍効果は、ELISA、PCR、ウェスタンブロッティング、または免疫細胞化学のような分子生物学および生化学の技術を使用しても測定され得る。
【0034】
【表1】
(I.5−FU、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む組み合わせ療法を使用して、癌を有する患者を治療する方法)
本発明は、5−5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ;5,10−CH2−THFA;および1つ以上の付加的な抗癌薬を含む組み合わせ化学療法により癌患者を治療する方法を提供する。1つ以上の付加的な抗癌薬は、特異的結合メンバー、タンパク質、(アンチセンス分子、リボザイム、およびsiRNA(これらに制限はされない)のような)核酸もしくは核酸アナログ、脂質、ステロイド、高分子、低分子、または金属を含む化学療法剤(これらに制限はされない)を含む、任意の型の1つ以上の化学療法剤であり得る。1つ以上の抗癌薬には、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、イリノテカン、トポテカン)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、ゲムシタビン(gemcitabine)、テザシタビン)、5−FU調節因子、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン)、核酸生合成インヒビター(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン、シスプラチン、オキサリプラチン)、微小管破壊薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン(vinolrebine)、ビンクリスチン)、ホルモン遮断薬(例えば、タモキシフェン)、レセプターチロシンキナーゼおよび非レセプターチロシンキナーゼ(これらに制限はされない)を含むキナーゼのインヒビター(例えば、Iressa、Tarceva、SU5416、PTK787、Gleevec)、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ(bortezomib))、免疫調節因子(例えば、レバミゾール)、抗炎症薬、血管新生インヒビター、サイトカイン(例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子)、ならびにサイトカイン、ホルモン、またはサイトカインもしくはホルモンのレセプターの活性を阻害する薬物(例えば、抗VEGF抗体ベバシツマブ(bevacizumab)または「アバスチン」)(これらに制限はされない)のような1つ以上の化学療法剤が含まれ得る。抗癌薬は、表1に列挙されたもののような抗癌活性の可能性について調査中の薬物であってもよい。抗癌薬には、サイトカイン、ホルモン、またはホルモンレセプターに結合するモノクローナル抗体(例えば、アバスチン、エルビタックス(erbutux)、ハーセプチン(herceptin)のようなEGFまたはVEGF増殖因子の活性化を遮断する抗体)(これらに制限はされない)などのようなモノクローナル抗体が含まれる。
【0035】
その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。本明細書において使用されるように、「付加的な」抗癌薬とは、5,10−CH2−THFA、5−FUもしくは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはロイコボリンではない抗癌薬である。
【0036】
癌患者は、任意の型の癌を有する患者であり得る。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、患者は、例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、または胃癌のような現在の実務において5−FUにより一般的に治療されている腫瘍型を有している。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、患者は、卵巣癌または子宮頸癌(これらに制限はされない)のような、現在の実務において5−FUにより一般的に治療されていない腫瘍型を有している。また、本発明者らは、5,10−CH2−THFA、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、および1つ以上の付加的な抗癌薬を使用する組み合わせ療法が5−FUにより現在一般的に治療されているもの以外の癌を治療するための可能性を有していることを企図する。
【0037】
癌治療および化学療法の分野の当業者は、毒性および効力の評価のためのよく確立されているプロトコルを使用して、5,10−CH2−THFAおよび5−FUの最適の投薬量およびレジメンを決定することができよう。5−FUおよび5,10−CH2−THFAによる癌患者のいくつかの好ましい治療は、1m2当たり10mgから1gの5,10−CH2−THFA、好ましくは1m2当たり20mgから500mgの5,10−CH2−THFA、より好ましくは1m2当たり約30mgから約250mgの5,10−CH2−THFAを使用したレジメンである。例えば、5,10−CH2−THFAの好ましい用量は1m2当たり約30から約120mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変させられ得る、一般的な指針に過ぎない。
【0038】
5−FUの投薬量は、1m2当たり約25mgから約5gであり得、好ましくは1m2当たり約50mgから2.5g、より好ましくは1m2当たり約100mgから約1gである。例えば、5−FUの好ましい用量は、1m2当たり約250から約700mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変させられ得る、一般的な指針に過ぎない。5−FUは、注射またはIV供給を含む任意の実行可能な手段により投与され得る。
【0039】
いくつかの好ましい実施形態において、5−FU自体ではなく5−FUのプロドラッグまたはアナログが、組み合わせ療法において使用される。患者の組織において、5−FUは、チミジル酸シンターゼのインヒビターである5−フルオロ−2’−デオキシウリジレート(FdUMP)へと変換される。本願において、「5−FUのアナログまたはプロドラッグ」とは、FdUMPのようなチミジル酸シンターゼのインヒビターへと直接的または間接的に変換され得るアナログまたはプロドラッグを意味するために使用される。本発明の方法において使用され得る5−FUの1つのプロドラッグは、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン);5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。カペシタビンの投薬量は、熟練した医師により決定され得、一部分、投与の頻度に依る。例えば、カペシタビンの1日投薬量は、1m2当たり約500mgから約7500mg、好ましくは1m2当たり約1000mgから約5000mg、より好ましくは1m2当たり約1500mgから約3000mgであり得る。用量は、1日1〜6(好ましくは2)回の投与へと分割され得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変させられ得る、一般的な指針に過ぎない。カペシタビンは、注射、IV供給、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0040】
本発明の方法において使用され得るアナログの組み合わせは、UFTとして公知の1:4の組み合わせで使用されるテガフール(TF)およびウラシル(U)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、UFT;5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。UFTの投薬量は、熟練した医師により決定され得、部分的に、投与の頻度に依る。例えば、UFTの1日投薬量は、1m2当たり約50mgから約3000mg、好ましくは1m2当たり約100mgから約2000mg、より好ましくは1m2当たり約200mgから約1000mgであり得る。UFTを含む抗癌レジメンは、場合により、UFTと共に投与されるフォリン酸カルシウムを含み得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。UFTは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0041】
本発明の多重薬物レジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量も、投薬量の上昇ならびに毒性および効力のモニタリングを使用した研究により決定され得る。化学療法レジメンにおいて独立に使用されている組み合わせ療法において使用される抗癌薬の投薬量の決定において、実務者は、確立されている化学療法レジメンにおいて使用されている薬物の投薬量を考慮に入れ得る。
【0042】
5,10−CH2−THFAと組み合わせられた場合の5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の低下した毒性は、CH2−THFAの非存在下においては非常に毒性である1つ以上の付加的な抗癌薬と組み合わせて、5,10−CH2−THFAおよび5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)が使用される薬物レジメンを許容し得る。
【0043】
薬物は、資格のある医師により決定され得るレジメンに従って、静脈内投与、経口投与、またはその他の任意の実行可能な手段により投与され得る。本発明の組み合わせプロトコルにおいて使用される抗癌薬は、別々に投与されてもよいし、または、組み合わせプロトコルにおいて使用される抗癌薬のうちの1つ以上が、一緒に投与されてもよい。1つ以上の抗癌薬が別々に投与される場合、各薬物の投与のタイミングおよびスケジュールは、変動し得る。
【0044】
例えば、各薬物のボーラス注射が、多くの週にわたり週1回与えられ得る。好ましくは、5,10−CH2−THFAは、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの前に投与される。例えば、患者は、5−FUの投薬を受ける約10分から約4時間前に、5,10−CH2−THFAの投薬を受け得る。組み合わせ療法において使用される付加的な抗癌薬は、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の投与の前、投与の間、もしくは投与の後に投与されてもよいし、または患者が5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および5,10−CH2−THFAを受けない期間に投与されてもよい。組み合わせ療法のためのプロトコルは、限定的ではなく、頻度、期間、および投薬量に関する多くの実行可能な投与プロトコルを含み得る。
【0045】
本発明のこの局面のいくつかの実施形態において、5,10−CH2−THFA、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および1つ以上の付加的な抗癌薬による癌患者の処置は、5,10−CH2−THFAおよび5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の非存在下での1つ以上の付加的な抗癌薬による患者の処置と比較して、または5,10−CH2−THFAの非存在下での5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および1つ以上の付加的な抗癌薬による患者の処置と比較して、癌患者における腫瘍増殖の速度を低下させ得る。
【0046】
本発明のこの局面のいくつかの実施形態において、5,10−CH2−THFA、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、および1つ以上の付加的な抗癌薬による癌患者の処置は、5,10−CH2−THFAおよび5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の非存在下での1つ以上の付加的な抗癌薬による患者の処置と比較して、または5,10−CH2−THFAの非存在下での5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および1つ以上の付加的な抗癌薬による患者の処置と比較して、癌患者の生存率を増加させ得る。
【0047】
(II.5−FU、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む癌の処置のための組成物)
本発明の第2の局面は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬:を含む、癌の処置のための組成物である。1つ以上の付加的な抗癌薬は、特異的結合メンバー、タンパク質、(アンチセンス分子、リボザイム、およびsiRNA(これらに限定されない)のような)核酸もしくは核酸アナログ、脂質、ステロイド、高分子、低分子、または金属を含む化学療法剤(これらに限定されない)を含む、任意の型の1つ以上の化学療法剤であり得る。1つ以上の抗癌薬には、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、イリノテカン、トポテカン)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、ゲムシタビン)、有糸分裂インヒビター、5−フルオロウラシル調節因子、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン)、核酸生合成インヒビター(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン、シスプラチン、オキサリプラチン)、微小管破壊薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン(vinolrebine)、ビンクリスチン)、ホルモン遮断薬(例えば、タモキシフェン)、レセプターチロシンキナーゼおよび非レセプターチロシンキナーゼ(これらに限定されない)を含むキナーゼのインヒビター(例えば、Iressa、Tarceva、SU5416、PTK787、Gleevec)、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、免疫調節因子(例えば、レバミゾール)、抗炎症薬、血管新生インヒビター、サイトカイン(例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子)、ならびにサイトカイン、ホルモン、またはサイトカインもしくはホルモンのレセプターの活性を阻害する薬物(例えば、抗VEGF抗体ベバシツマブまたは「Avastin」)(これらに限定されない):のような1つ以上の化学療法剤が含まれ得る。抗癌薬はまた、表1に列挙されたもののような可能性のある抗癌活性のため調査中の薬物であり得る。抗癌薬には、サイトカイン、ホルモン、またはホルモンレセプターに結合するモノクローナル抗体(例えば、Avastin、エルビタックス(erbutux)、ハーセプチンのようなEGFまたはVEGF増殖因子の活性化を阻止する抗体)等(これらに限定されない)のようなモノクローナル抗体が含まれる。
【0048】
本発明は、薬学的組成物として処方された5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、5,10−CH2−THFA、および1つ以上の付加的な抗癌薬を含む抗癌薬の組み合わせを包含する。抗癌薬の組み合わせは1つ以上の薬学的処方物を含み得る。例えば、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、5,10−CH2−THFA、および1つ以上の付加的な抗癌薬は、各々、別々の処方物として提供され得る。代替的に、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)、5,10−CH2−THFA、および1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの2つ以上が、1つの処方物で一緒に提供され得る。本発明の多重薬物抗癌レジメンにおいて使用される別々の処方物は、同一の投与経路または異なる投与経路のために設計され得る。
【0049】
(III.癌の処置のための薬学的組成物の製造における、5−FU、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬の使用)
本発明はまた、癌の処置のための薬学的組成物の製造における5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬の使用を包含する。少なくとも1つの付加的な抗癌薬は、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、イリノテカン、トポテカン)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、ゲムシタビン)、有糸分裂インヒビター、5−Fu調節因子、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン)、核酸生合成インヒビター(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン、シスプラチン、オキサリプラチン)、微小管破壊薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン(vinolrebine)、ビンクリスチン)、ホルモン遮断薬(例えば、タモキシフェン)、レセプターチロシンキナーゼおよび非レセプターチロシンキナーゼ(これらに限定されない)を含むキナーゼのインヒビター(例えば、Iressa、Tarceva、SU5416、PTK787、グリーベック)、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、免疫調節因子(例えば、レバミゾール)、抗炎症薬、血管新生インヒビター、サイトカイン(例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子)、ならびにサイトカイン、ホルモン、またはサイトカインもしくはホルモンのレセプターの活性を阻害する薬物(例えば、ベバシツマブまたは「Avastin」):のいずれかであり得る。その使用には、単一の処方物として、または複数の処方物としての薬学的組成物の製造が含まれる。例えば、5−FUが注射可能な一定分量として提供され、5,10−CH2−THFAおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬が、5−FUの投薬の前に投与される付加的な注射可能な一定分量として提供され得る。代替的に、5−FU、5,10−CH2−THFA、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬は、各々が別々に投与され得るように、全て別々の処方物で提供され得、その場合、各薬物の一定分量は、特定の組み合わせ薬物レジメンに適切な用量を有するように製造される。
【0050】
薬学的組成物は、保管および好ましくはその後の投与のために調製された薬学的に受容可能なキャリアを含み、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤の中に薬学的に有効な量の化合物を有する。治療的な使用のための受容可能なキャリアまたは希釈剤は、薬学分野において周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990))に記載されている。薬学的組成物には、保存剤、安定剤、色素が提供され得、矯味矯臭剤さえも提供され得る。例えば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが、保存剤として添加され得る。さらに、抗酸化剤および懸濁化剤が使用され得る。
【0051】
標的組織に依って、本発明の薬学的組成物は、経口投与用の錠剤、カプセル、または溶液;局所適用用の軟膏(salve)または軟膏(ointment);直腸投与用の坐剤;吸入剤または鼻腔用スプレーとして使用するための無菌の溶液、懸濁剤等として処方され使用され得る。注射剤も、液状の溶液もしくは懸濁剤として、注射の前に液体に溶解もしくは懸濁させるのに適している固形の形態として、または乳濁剤として、従来の形態で調製され得る。適当な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、乳糖、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システイン等である。さらに、所望により、注射可能な薬学的組成物は、湿潤剤、pH緩衝剤等のような微量の非毒性の補助物質を含有し得る。
【0052】
一用量として必要とされる組成物の薬学的に有効な量は、投与経路、処置される癌の型、および患者の身体的特徴に依る。用量は、所望の効果を達成するために調整され得るが、体重、食事、同時の薬物治療、および医学分野の当業者が認識するその他の因子のような因子に依る。本発明の方法の実施において、薬学的組成物は、単独で使用されるか、または他の治療剤もしくは診断剤と組み合わせられて使用され得る。薬学的組成物は、多様な剤形を利用して、局所、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、結腸、直腸、経鼻、または腹腔内(intraperiotoneally)を含む多様な方式で患者に投与され得る。好ましくは、薬学的組成物は、非経口投与、静脈内投与、または経口投与される。そのような方法は、インビボでの試験化合物の活性の試験においても使用され得る。
【0053】
懸濁剤として経口投与される場合、本発明の組成物は、薬学的処方の分野において周知の技術に従って調製され、かさを与えるための微晶質セルロース、懸濁化剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、粘性増強剤としてのメチルセルロース、および当技術分野において公知の甘味剤/矯味矯臭剤を含有し得る。即放型の錠剤としてのこれらの組成物は、当技術分野において公知の微晶質セルロース、第二リン酸カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ならびに乳糖および/またはその他の賦形剤、結合剤、増量剤(extender)、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤を含有し得る。マウスウォッシュまたはリンスの処方物の成分には、抗微生物薬、界面活性剤、補助界面活性剤(cosurfactant)、油、水、および当技術分野において公知の甘味剤/矯味矯臭剤のようなその他の添加剤が含まれる。
【0054】
飲用溶液により投与される場合、組成物は、適切にpHを調整しながら、キャリアを用いて、水に溶解され本発明の化合物のうちの1つ以上を含む。化合物は、蒸留水、生水、湧水等に溶解され得る。pHは、好ましくは、約3.5と約8.5との間に調整され得る。甘味剤、例えば、1%(w/v)ショ糖が添加され得る。
【0055】
本発明の処方物は、(1)pHを調整するためのその他の酸および塩基;(2)ソルビトール、グリセリン、およびデキストロースのようなその他の張力付与剤;(3)その他のパラヒドロキシ安息香酸エステル、ソルベート、ベンゾエート、プロピオネート、クロルブタノール、フェニルエチルアルコール、塩化ベンザルコニウム、および水銀剤のような他の抗微生物性保存剤;(4)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびその他のゴムのようなその他の粘性付与剤;(5)適当な吸収増強剤;(6)亜硫酸水素塩およびアスコルベートのような抗酸化剤、エデト酸ナトリウムのような金属キレート化剤、およびポリエチレングリコールのような薬物可溶性増強剤のような安定剤;を含むよう変動し得る。
【0056】
(IV.5−FUを含む抗癌薬物処置レジメンの患者に対する毒性を減少させる方法)
本発明はまた、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAを追加することにより、癌患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグを含む癌薬物処置レジメンの患者に対する毒性を減少させる方法を提供する。
【0057】
1つの局面において、その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグを含む抗癌薬物プロトコルを入手すること、および患者に対する低下した毒性を有する抗癌薬物プロトコルを入手するため、抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加すること:を含む。5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグの投与を含む、癌薬物処置の毒性を減少させる方法は、5−FUの毒性を低下させるため、5−FUの投与の前、投与後、または投与と同時に5,10−5,10−CH2−THFAを患者に投与することを含む。好ましくは、5,10−CH2−THFAの投与は5−FUの投与の前である。本発明のこの局面のいくつかの好ましい実施形態において、5,10−CH2−THFAは、5−FUの血液学的毒性を低下させるため、5−FUを受容する患者に投与される。本発明のこの局面の好ましい実施形態において、5−FUおよび5,10−CH2−THFAは、ロイコボリン(フォリン酸、FA)の非存在下で患者に投与される。
【0058】
癌患者は、任意の型の癌を有する患者であり得る。5−FUを受容する癌患者に5,10−CH2−THFAが投与される本発明のいくつかの好ましい実施形態において、患者は、例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、または胃癌のような、5−FUにより現在処置されている腫瘍型を有している。
【0059】
本発明は、5,10−CH2−THFAが、腫瘍増殖の速度を低下させ、生存率を増加させる5−FUの効力を増加させつつ、非腫瘍細胞に対する5−FUの毒性を低下させるという驚くべき結果に基づく。実施例1および実施例2に開示されるように、5,10−CH2−THFAおよび5−FUによる処置は、5−FU単独、またはロイコボリン(フォリン酸)と組み合わせられた5−FUによる処置と比べて、腫瘍を有する動物の腫瘍増殖速度を低下させ、生存率を増加させつつ、いずれの処置よりも動物に対して低い毒性を示す。
【0060】
本明細書において使用される場合、「毒性を低下させる」とは、患者に対する全身的な毒性効果または患者の非癌性細胞に対する毒性効果を低下させることをさす。毒性には、非限定的な例として、増加した流涙;粘膜炎;食道咽頭炎;知覚異常(parasthesias)、不眠、および眩暈のような神経学的毒性;悪心、嘔吐、および下痢のような胃腸毒性;体重減少毒性;心臓毒性;脱毛、発汗、および発疹を含む皮膚科学的毒性;ならびに好中球減少、血小板減少、リンパ球減少、および白血球減少(これらに限定されない)のような血液学的毒性が含まれる。
【0061】
本発明のこの局面のいくつかの好ましい実施形態において、5,10−CH2−THFAは、5−FUによる処置に関連した血液学的毒性の程度を低下させるため、5−FUとの組み合わせ療法において投与される。例えば、5−FUと一緒の5,10−CH2−THFAの投与は、5−FUおよびロイコボリン(フォリン酸)を含む化学療法レジメン(これに制限はされない)を含む、5−FUを含む化学療法レジメンに関連した好中球減少、血小板減少、リンパ球減少、または白血球減少を低下させ得る。
【0062】
癌処置および化学療法の分野の当業者は、毒性および効力の評価のための十分に確立されているプロトコルを使用して、5,10−CH2−THFAおよび5−FUの最適な投薬量およびレジメンを決定し得る。5−FUおよび5,10−CH2−THFAによる癌患者のいくつかの好ましい処置は、1m2当たり10mgから1gの5,10−CH2−THFA、好ましくは1m2当たり20mgから500mgの5,10−CH2−THFA、より好ましくは1m2当たり約30mgから約250mgの5,10−CH2−THFAを使用したレジメンである。例えば、5,10−CH2−THFAの好ましい用量は、1m2当たり約30mgから約120mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。
【0063】
5−FUの投薬量は、1m2当たり約25mgから約5gであり得、好ましくは1m2当たり約50mgから2.5g、より好ましくは1m2当たり約100mgから約1gである。例えば、5−FUの好ましい用量は、1m2当たり約250mgから約700mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。5−FUは、注射またはIV注入を含む任意の実行可能な手段により投与され得る。
【0064】
いくつかの好ましい実施形態において、5−FU自体ではなく5−FUのプロドラッグまたはアナログが、組み合わせ療法において使用される。患者の組織において、5−FUは、チミジル酸シンターゼのインヒビターである5−フルオロ−2’−デオキシウリジレート(FdUMP)へと変換される。本出願において、「5−FUのアナログまたはプロドラッグ」とは、FdUMPのようなチミジル酸シンターゼのインヒビターへと直接的または間接的に変換され得るアナログまたはプロドラッグを意味するために使用される。本発明の方法において使用され得る5−FUの1つのプロドラッグは、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン);5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。カペシタビンの投薬量は、熟練した医師により決定され得、部分的に、投与の頻度に依る。例えば、カペシタビンの1日投薬量は、1m2当たり約500mgから約7500mg、好ましくは1m2当たり約1000mgから約5000mg、より好ましくは1m2当たり約1500mgから約3000mgであり得る。用量は、1日1〜6回(好ましくは2回)の投与へと分割され得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。カペシタビンは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0065】
本発明の方法において使用され得るアナログの組み合わせは、UFTとして公知の1:4の組み合わせで使用されるテガフール(TF)およびウラシル(U)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、UFT;5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与することを含む。UFTの投薬量は、熟練した医師により決定され得、一部分、投与の頻度に依る。例えば、UFTの1日投薬量は、1m2当たり約50mgから約3000mg、好ましくは1m2当たり約100mgから約2000mg、より好ましくは1m2当たり約200mgから約1000mgであり得る。UFTを含む抗癌レジメンは、場合により、UFTと共に投与されるフォリン酸カルシウムを含み得る。上記のものは、例えば、癌の型および悪性度、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的および臨床的な所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。UFTは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0066】
カペシタビンを使用する抗癌薬物プロトコルのいくつかの例は、Blum JL,et al.「Multicenter phase II study of capecitabine in paclitaxel−refractory metastatic breast cancer.」J Clin Oncol 1999;17:485−93;Hoff et al.「Comparison of oral capecitabine versus intravenous fluorouracil plus leucovorin as first−line treatment in 605 patients with metastatic colorectal cancer:results of a randomized phase III study.」J Clin Oncol 2001;19(8):2282−92;およびVan Cutsem E,et al.「Oral capecitabine compared with intravenous fluorouracil plus leucovorin in patients with metastatic colorectal cancer:results of a large phase III study.」J Clin Oncol 2001;19(21):4097−106(全て、特に、カペシタビンを使用した化学療法レジメンの開示のため、参考として本明細書に援用される)に記載されている。本発明は、カペシタビン処置の毒性を低下させるために、カペシタビンを含むプロトコルにおいて5,10−CH2−THFAを投与することを含む。
【0067】
例えば、1つのプロトコルは、2週間、1日2回カペシタビン(1m2当たり1000〜1250mg)を投与した後、1週間の休薬期間を置き、次いでさらなる3週間のサイクルを行うことを含む。5,10−CH2−THFAは、例えば、これらのようなプロトコルに追加され得、プロトコルは毒性および効力に関する臨床試験に基づき最適化され得る。
【0068】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、5,10−5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を癌を有する患者に投与することを含む抗癌処置の毒性を減少させる方法を含む。その方法は、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを入手すること、ならびに患者に対する低下した毒性を有する抗癌薬物プロトコルを入手するために、抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加すること:を含む。
【0069】
付加的な抗癌薬は、非限定的に、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、イリノテカン、トポテカン)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、ゲムシタビン)、5−フルオロウラシル調節因子、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン)、核酸生合成インヒビター(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン)、微小管破壊薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン(vinolrebine)、ビンクリスチン)、ホルモン遮断薬(例えば、タモキシフェン)、レセプターチロシンキナーゼおよび非レセプターチロシンキナーゼ(これらに限定されない)を含むキナーゼインヒビター(例えば、Iressa、Tarceva、SU5416、PTK787、グリーベック)、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、免疫調節因子(例えば、レバミゾール)、抗炎症薬、血管新生インヒビター、サイトカイン(例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子)、またはサイトカイン、ホルモン、もしくはサイトカインもしくはホルモンのレセプターの活性を阻害する薬物(例えば、ベバシツマブ(Avastin)、セツキシマブ(cetuximab)(エルビタックス(eubutux))を含む、任意の型の抗癌薬であり得る。抗癌薬は、表1に列挙されたもののような可能性のある抗癌活性のため調査中の薬物であり得る。抗癌薬には、サイトカイン、ホルモン、またはホルモンレセプターに結合するモノクローナル抗体(例えば、Avastin、エルビタックス(erbutux)、ハーセプチンのようなEGFまたはVEGF増殖因子の活性化を阻止する抗体)等(これらに限定されない)のようなモノクローナル抗体が含まれる。本発明の方法は、複数の付加的な抗癌薬が、5−FUと組み合わせて使用される方法を含む。
【0070】
5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬の投与を含む、癌薬物処置の毒性を減少させる方法は、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の投与の前、投与後、または投与と同時に、5,10−5,10−CH2−THFAを患者に投与することを含む。好ましくは、5,10−CH2−THFAの投与は5−FUの投与の前である。付加的な抗癌薬は、5−FUの投与の前、投与後、または投与と同時に投与され得る。
【0071】
本発明の多重薬物レジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量もまた、投薬量の上昇ならびに毒性および効力のモニタリングを使用した研究により決定され得る。化学療法レジメンにおいて独立に使用されている組み合わせ療法において使用される抗癌薬の投薬量の決定において、実務者は、確立されている化学療法レジメンにおいて使用されている薬物の投薬量を考慮に入れ得る。
【0072】
5−FUを1つ以上の抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせた多数の化学療法プロトコルが、癌療法の領域において公知である。例えば、1つ以上の付加的な薬物(葉酸補因子以外)と組み合わせて5−FUを含む抗癌プロトコルには、シクロホスファミド、エピルビシン、およびフルオロウラシルを含む乳癌のための療法(これに限定されない)が含まれる(例えば、Levine MN,Bramwell VH,Pritchard KI et al.「Randomized trial of intensive cyclophosphamide,epirubicin,and fluorouracil chemotherapy compared with cyclophosphamide,methotrexate,and fluorouracil in premenopausal women with node−positive breast cancer.」J Clin Oncol 1998;16(8):2651−8(特に、5−FUを使用する抗癌プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)を参照のこと)。1つ以上の付加的な抗癌薬(葉酸補因子以外)と組み合わせて5−FUを含む抗癌プロトコルには、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびフルオロウラシルを含む乳癌のための療法も含まれる(例えば、Bennett JM,Muss HB,Doroshaw JH,et al.「A randomized multicenter trial comparing mitoxantrone,cyclophophamide,and fluorouracil with doxorubicin,cyclophosphamide,and fluorouracil in the therapy of metastatic breast cancer.」J Clin Oncol 1988;6(10):1611−20(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)を参照のこと)。本発明は、化学療法レジメンの毒性を低下させるための、これらのような化学療法レジメンへの5,10−CH2−THFAの追加を含む。
【0073】
処置の毒性を低下させるために5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルの別の例は、Keane TJ,Cummings BJ,O’Sullivan B,Payne D,Rawlinson E,MacKenzie R,Danjoux C,Hodson I.「A randomized trial of radiation therapy compared to split course radiation therapy combined with mitomycin C and 5−fluorouracil as initial treatment for advanced laryngeal and hypopharyngeal squamous carcinoma.」IJ Radiation Oncology Biol Phys,1993:25(4):613−8(特に、5−FUを使用する抗癌プロトコルに関する開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような、マイトマイシンCおよびフルオロウラシルの使用を含む頭頸部癌の処置のためのプロトコルである。この場合、抗癌処置プロトコルは、化学療法に加え、放射線療法を含む。
【0074】
処置の毒性を低下させるために5,10−CH2−THFAが追加され得るさらにその他の型のプロトコルは、Keane TJ,Cummings BJ,O’Sullivan B,Payne D,Rawlinson E,MacKenzie R,Danjoux C,Hodson I.「A randomized trial of radiation therapy compared to split course radiation therapy combined with mitomycin C and 5−fluorouracil as initial treatment for advanced laryngeal and hypopharyngeal squamous carcinoma.」IJ Radiation Oncology Biol Phys,1993:25(4):613−8(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルに関する開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたもののような、5−FUをマイトマイシンCと組み合わせる抗癌プロトコル、およびCalais G,Alfonsi M,Bardet E,et al.「Randomized trial of radiation therapy versus concomitant chemotherapy and radiation therapy for advanced−stage oropharynx carcinoma.」J Natl Cancer Inst 1999;91:2081−6(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルに関する開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような、カルボプラチンの使用を5−FUと組み合わせるその他のものである。これらの処置において、抗癌処置プロトコルは、化学療法に加え、放射線療法を含む。
【0075】
本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUのアナログまたはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含むプロトコルの毒性を減少させる方法を含む。カペシタビンおよびドセタキセルを含む抗癌レジメンの例は、O’Shaughnessy J,et al.Superior survival with capecitabine plus docetaxel combination therapy in anthracycline pre−treated patients with advanced breast cancer:phase III trial results.J Clin Oncol 2002;20:2812−23(特に、カペシタビンを使用した抗癌プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されている。5,10−CH2−THFAは、付加的な癌薬物と組み合わせてテガフール−ウラシル(UFT)を含むプロトコル、例えば、Feliu J.et al.”Phase II study of UFT and oxaliplatin in first−line treatment of advanced colorectal cancer.”Br.J.Cancer 2004 91:1758−62(特に、UFTを使用した抗癌プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような、オキサリプラチンを含むプロトコルにも追加され得る。
【0076】
上記のプロトコルの参照は例にすぎず、決して限定的なものではない。処置の毒性を低下させるために5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルは、科学文献および医学文献、ならびに病院、癌センター、および診療所の資源を含む信頼性のある情報源から入手され得る。5,10−CH2−THFAの投与を含めることによりプロトコルの毒性を低下させる際、5−FU、5,10−CH2−THFAのいずれかまたは両方、そして妥当である場合には、1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量およびスケジュールを改変することは、本発明の範囲内である。そのような改変は、容認されている医学的実務に従い、処置に対する患者の反応をモニタリングする訓練された医師によってなされ得る。
【0077】
本発明のこの局面のいくつかの好ましい実施形態は、チミジル酸シンターゼの葉酸補因子としてのロイコボリンが5,10−CH2−THFAに置換される、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)およびチミジル酸シンターゼの葉酸補因子を含む抗癌薬レジメンの毒性を低下させる方法を含む。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬物プロトコルを入手すること;ならびに抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換えること:を含む。
【0078】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換えることによりレジメンの毒性が減少する、カペシタビンまたはUFT(これらに限定されない)のような5−FUのアナログまたはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの毒性を減少させる方法を含む。
【0079】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置き換えることにより、癌を有する患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌処置の毒性を減少させる方法を含む。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;ロイコボリン;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを入手すること;ならびに抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換えること:を含む。
【0080】
5,10−CH2−THFAの抗腫瘍活性およびロイコボリンと比較して減少した全身毒性、ならびにロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの類似した化学的および代謝的な経路のため、本発明者らは、ある範囲の現在の化学療法レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換え得ることを企図する。現在、一般的に5−FU+ロイコボリンと組み合わせて使用されている薬物の非限定的な例は、イリノテカン(CPT−11)、オキサリプラチン、ゲムシタビン、マイトマイシンC、レバミゾール、およびビノレルビンである。本発明は、これらのレジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換えた処置を含む。ロイコボリンの5,10−CH2−THFAへの置換は、低下した毒性と共に、等価なまたは増強された処置効果を提供し得る。非限定的な例として、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換え得る現在の薬物組み合わせレジメンには、結腸直腸癌の処置において使用されている以下のプロトコルが含まれる:
・AIOレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・52週毎に、4週間、週1回、1日目に2時間かけてイリノテカン(100mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(500mg/m2)を点滴;その後、24時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,000mg/m2)を静脈内(IV)ボーラス。
・Douillardレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・2週毎に、1日目に2時間かけてイリノテカン(180mg/m2)を点滴;1日目および2日目に2時間かけてロイコボリン(200mg/m2)を点滴;その後、初回負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、1日目および2日目に22時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(600mg/m2)。
・FOLFOX4レジメン(オキサリプラチン、ロイコボリン、5−FU):
・2週毎に、1日目に2時間かけてオキサリプラチン(85mg/m2)を点滴;1日目および2日目に2時間かけてロイコボリン(200mg/m2)を点滴;その後、初回負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、1日目および2日目に22時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(600mg/m2)。
・FOLFOX6レジメン(オキサリプラチン、ロイコボリン、5−FU):
・2週毎に、1日目に2時間かけてオキサリプラチン(85〜100mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(400mg/m2)を点滴;その後、1日目に初回負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、46時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,400〜3,000mg/m2)。
・FOLFIRIレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・2週毎に、1日目に2時間かけてイリノテカン(180mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(400mg/m2)を点滴;その後、1日目に初回負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、46時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,400〜3,000mg/m2)。
・IFL(またはSaltz)レジメン(イリノテカン、5−FU、ロイコボリン):
・6週のうち4週間、週1回、イリノテカン(125mg/m2)、5−FU(500mg/m2)IVボーラス、およびロイコボリン(20mg/m2)IVボーラス。
【0081】
ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換し得るその他のレジメンには、例えば、(Andre et al.「Phase II study of leucovorin,5−fluorouracil,and gemcitabine for locally advanced and metastatic pancreatic cancer(FOLFUGEM 2) Gastroeneterol Clin Biol;2004 28:645−650(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような)膵臓癌を処置するために使用されているFOLFUGEM1((5−フルオロウラシル(FU)ボーラス400mg/m2、次いで5−FU 2〜3g/m2/46時間およびゲムシタビン1000mg/m2(30分)と組み合わせられたロイコボリン400mg/m2)およびFOLFUGEM2(14日毎のサイクルで、ロイコボリン400mg/m2(2時間)、その後、5−FU 1000mg/m2(22時間)、次いでゲムシタビン800mg/m2(10mg/m2/分))を含む、5−FUおよび少なくとも1つのその他の抗癌薬との組み合わせが含まれる。
【0082】
別の例において、(Poplin et al.「Phase III Southwest Oncology Group 9415/Intergroup 0153 randomized trial of fluorouracil,leucovorin,and levamisole versus fluorouracil continuous infusion and levamisole for adjuvant treatment of stage III and high−risk stage II colon cancer.」J.Clin Oncol.2005 23:1819−25(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような)5−FUおよびレバミゾールも含む組み合わせ療法において、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換え得る。
【0083】
さらに別の例において、(Yeh et al.「Phase II study of weekly vinorelbine and 24−hr infusion of high−dose 5−fluorouracil plus leucovorin as first−line treatment of advanced breast cancer.」Br.J.Cancer 2005 92:1013−8(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、参考として本明細書に援用される)に開示されたような)5−FUおよびビノレルビンも含む組み合わせ療法において、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置き換え得る。
【0084】
上記の例は、決して限定的なものであることは意図されない。例えば、投薬量およびレジメンは、患者に対する毒性を最小限に抑えるか、または効力を改良するため、改変または最適化され得る。さらに、本明細書に記載されていない多くの抗癌薬が、5,10−CH2−THFAおよび5−FUと組み合わせられ得る。5−FUおよびロイコボリンが、複数の付加的な抗癌薬と組み合わせて使用されるプロトコルにおいても、5,10−CH2−THFAは、ロイコボリンで置換され得る。本発明者らは、次世代型の5−FU、特に、経口型の5−FU(例えば、ゼローダ、カペシタビン)およびUFTとの組み合わせ療法における5,10−CH2−THFAの使用も包含する。
【0085】
5,10−CH2−THFAの他の使用は、抗腫瘍活性を有するモノクローナル抗体のような新たなクラスの生物学的抗腫瘍試薬との組み合わせ療法における使用である。5,10−CH2−THFAと(好ましくは5−FUと)組み合わせられ得る抗体の例には、抗VEGF抗体(例えば、ベバシツマブ(bevacuzimab)または「アバスチン」)および抗EGFレセプター(例えば、エルビタックス(Erbitux)、セツキシマブ、ハーセプチン)が含まれる。実施例1および2に示されるように、ヌードマウスにおける結腸直腸癌の組み合わせ5−FU/5,10−CH2−THFA/アバスチンによる処置は、他の薬物組み合わせより大きく腫瘍増殖を阻害する。
【0086】
本明細書に開示された5,10−CH2−THFAのより低い毒性プロファイルのため、本発明は、毒性が高すぎて広範囲には使用し得ないと典型的に考えられている薬物と組み合わせた5,10−CH2−THFAの使用もまた含む。例えば、5−FU/5,10−CH2−THFA/シスプラチン療法が、そのような組み合わせである。白金ベースの化学療法剤であるシスプラチンは、高度に毒性である。さらに、5,10−CH2−THFAのより低い毒性プロファイルは、増加した薬物(例えば5−FU)の濃度または延長された投薬期間のいずれかの使用を可能にし得る。次に、これは、薬物の効力を増加させ得る。
【0087】
本発明は、5−FUを使用しない療法においてロイコボリン(ロイコボリン)の代わりに5,10−CH2−THFAを使用することも含む。例えば、ロイコボリン(ロイコボリン)と比較して、より低い5,10−CH2−THFAの毒性プロファイルおよび増加した活性に基づき、5,10−CH2−THFAは、メトトレキサートレスキュー療法のために使用され得る。この療法の様式は、現在、ロイコボリンを使用している。
【0088】
(V.5−FUを含む抗癌薬物治療レジメの効力を増加させるための方法)
本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグの癌患者への投与を包含する、抗癌薬物処置レジメンの効力を増加させるための方法も提供する。
【0089】
1つの局面において、その方法は、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグを含む抗癌薬レジメンを得る工程、および抗癌薬レジメンの効力を増加させるため、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAを追加する工程を包含する。本発明のこの局面の好ましい実施形態において、5−FUおよび5,10−CH2−THFAは、ロイコボリン(フォリン酸、FA)の非存在下で患者に投与される。5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグの投与を含む癌薬物処置の効力を増加させるための方法は、5−FUの毒性を低下させるため、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。好ましくは、5,10−CH2−THFAの投与は5−FUの投与の前である。
【0090】
関連する局面において、本発明は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグを含む、患者に投与される抗癌薬レジメンに5,10−CH2−THFAを追加することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法を提供する。その方法は、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグを含む抗癌薬物プロトコルを得る工程、抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加する工程;および改変された抗癌薬物プロトコルにより癌患者を処置する工程、を包含する。その方法は、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。本発明のこの局面の好ましい実施形態において、5−FUおよび5,10−CH2−THFAは、ロイコボリン(フォリン酸、FA)の非存在下で患者に投与される。
【0091】
癌患者は、任意の型の癌を有する患者であり得る。5−FUを受容する癌患者に5,10−CH2−THFAが投与される本発明のいくつかの好ましい実施形態において、患者は、例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、頭頸部癌、または胃癌のような、現在5−FUにより処置されている腫瘍型を有している。
【0092】
抗癌薬レジメンの効力(例えば、処置後の腫瘍サイズ、腫瘍増殖(または退縮)の速度、癌細胞またはマーカーの検出、処置後の寛解期の長さ、およびそのレジメンにより処置された癌患者の生存期間(これらに限定はされない))は、方法によって決定され得る。
【0093】
癌処置および化学療法の分野の当業者は、毒性および効力の評価のためのよく確立されているプロトコルを使用して、5,10−CH2−THFAおよび5−FUの最適な投薬量およびレジメンを決定することが可能である。5−FUおよび5,10−CH2−THFAによる癌患者のいくつかの好ましい処置は、1m2当たり10mgから1gの5,10−CH2−THFA、好ましくは1m2当たり20mgから500mgの5,10−CH2−THFA、より好ましくは1m2当たり約30mgから約250mgの5,10−CH2−THFAを使用するレジメンである。例えば、5,10−CH2−THFAの好ましい用量は、1m2当たり約30mgから約120mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的所見および臨床的所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。
【0094】
5−FUの投薬量は、1m2当たり約25mgから約5gであり得、好ましくは1m2当たり約50mgから2.5g、より好ましくは1m2当たり約100mgから約1gである。例えば、5−FUの好ましい用量は、1m2当たり約250mgから約700mgであり得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的所見および臨床的所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。5−FUは、注射またはIV注入を含む任意の実行可能な手段により投与され得る。
【0095】
いくつかの好ましい実施形態において、5−FU自体ではなく5−FUのプロドラッグまたはアナログが、組み合わせ療法において使用される。患者の組織において、5−FUは、チミジル酸シンターゼのインヒビターである5−フルオロ−2’−デオキシウリジレート(FdUMP)へと変換される。本願において、「5−FUのアナログまたはプロドラッグ」とは、FdUMPのようなチミジル酸シンターゼのインヒビターへと直接的もしくは間接的に変換され得るアナログまたはプロドラッグを意味するために使用される。本発明の方法において使用され得る5−FUの1つのプロドラッグは、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン);5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与する工程を包含する。カペシタビンの投薬量は、熟練した医師により決定され得、部分的には、投与の頻度に依存する。例えば、カペシタビンの1日投薬量は、1m2当たり約500mgから約7500mg、好ましくは1m2当たり約1000mgから約5000mg、より好ましくは1m2当たり約1500mgから約3000mgであり得る。用量は、1日1〜6(好ましくは2)回の投与へと分割され得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的所見および臨床的所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。カペシタビンは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0096】
本発明の方法において使用され得るアナログの組み合わせは、UFTとして既知の1:4の組み合わせで使用されるテガフール(TF)およびウラシル(U)である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、UFT;5,10−CH2−THFA;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を、癌を有する患者に投与する工程を包含する。UFTの投薬量は、熟練した医師により決定され得、部分的には、投与の頻度に依存する。例えば、UFTの1日投薬量は、1m2当たり約50mgから約3000mg、好ましくは1m2当たり約100mgから約2000mg、より好ましくは1m2当たり約200mgから約1000mgであり得る。UFTを含む抗癌レジメンはまた、必要に応じて、UFTと共に投与されるフォリン酸カルシウムを含み得る。上記のものは、例えば、癌の型およびグレード、患者の年齢、健康状態、および性別、組み合わせて使用される特定の薬物、投与の経路および頻度、ならびに多重薬物組み合わせを使用した実験的所見および臨床的所見に基づき、増大または改変され得る、一般的な指針に過ぎない。UFTは、注射、IV注入、または経口処方物を含む任意の実行可能な手段によって投与され得る。
【0097】
カペシタビンを使用する抗癌薬物プロトコルのいくつかの例は、Blum JLら,「Multicenter phase II study of capecitabine in paclitaxel−refractory metastatic breast cancer.」J Clin Oncol 1999;17:485−93;Hoffら「Comparison of oral capecitabine versus intravenous fluorouracil plus leucovorin as first−line treatment in 605 patients with metastatic colorectal cancer:results of a randomized phase III study.」J Clin Oncol 2001;19(8):2282−92;およびVan Cutsem Eら,「Oral capecitabine compared with intravenous fluorouracil plus leucovorin in patients with metastatic colorectal cancer:results of a large phase III study.」J Clin Oncol 2001;19(21):4097−106(これらの全ては、特に、カペシタビンを使用する化学療法レジメンの開示のため、本明細書において参考として援用される)に記載されている。本発明は、処置の効力を改良するため、カペシタビンを含むプロトコルにおいて5,10−CH2−THFAを投与することを含む。
【0098】
例えば、1つのプロトコルは、2週間、1日2回カペシタビン(1m2当たり1000〜1250mg)を投与し、その後、1週間の休薬期間を置き、次いでさらなる3週間のサイクルを行うことを含む。5,10−CH2−THFAは、例えば、これらのようなプロトコルに追加され得、プロトコルは毒性および効力に関する臨床試験に基づき最適化され得る。
【0099】
この局面の他の好ましい実施形態において、本発明は、5,10−5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を癌を有する患者へ投与する工程を包含する、抗癌処置の効力を増加させるための方法を含む。その方法は、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程、ならびに増加した効力を有する抗癌薬物プロトコルを得るため、抗癌薬物プロトコルに5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸を追加する工程、を包含する。
【0100】
5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬の投与を含む癌薬物処置の効力を増加させるための方法は、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の投与の前、後、または同時に、5,10−5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。好ましくは、5,10−CH2−THFAの投与は5−FUの投与の前である。付加的な抗癌薬は、5−FUの投与の前、後、または同時に投与され得る。
【0101】
関連する局面において、本発明は、5−5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む、患者に投与される抗癌薬レジメンに5,10−5,10−CH2−THFAを追加することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法を提供する。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加する工程;ならびに改変された抗癌薬物プロトコルにより癌患者を処置する工程、を包含する。その方法は、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。本発明のこの局面の好ましい実施形態において、5−FUおよび5,10−CH2−THFAは、ロイコボリン(フォリン酸、FA)の非存在下で患者に投与される。付加的な抗癌薬は、5−FUの投与の前、後、または同時に投与され得る。
【0102】
本発明の多重薬物レジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量も、投薬量の上昇ならびに毒性および効力のモニタリングを使用する研究により決定され得る。化学療法レジメンにおいて独立に使用されている組み合わせ療法において使用される抗癌薬の投薬量の決定において、実務者は、確立されている化学療法レジメンにおいて使用されている薬物の投薬量を考慮に入れることができる。
【0103】
5−FUを1つ以上の抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせた多数の化学療法プロトコルが、癌療法の領域において公知である。例えば、1つ以上の付加的な薬物(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせた5−FUを含む抗癌プロトコルには、シクロホスファミド、エピルビシン、およびフルオロウラシルを含む乳癌のための療法(これに限定はされない)が含まれる(例えば、Levine MN,Bramwell VH,Pritchard KIら「Randomized trial of intensive cyclophosphamide,epirubicin,and fluorouracil chemotherapy compared with cyclophosphamide,methotrexate,and fluorouracil in premenopausal women with node−positive breast cancer.」J Clin Oncol 1998;16(8):2651−8(特に、5−FUを使用する抗癌プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)を参照のこと)。1つ以上の付加的な薬物(葉酸補因子以外)と組み合わせた5−FUを含む抗癌プロトコルには、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびフルオロウラシルを含む乳癌のための療法も含まれる(例えば、Bennett JM,Muss HB,Doroshaw JHら,「A randomized multicenter trial comparing mitoxantrone,cyclophophamide,and fluorouracil with doxorubicin,cyclophosphamide,and fluorouracil in the therapy of metastatic breast cancer.」J Clin Oncol 1988;6(10):1611−20(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)を参照のこと)。5,10−CH2−THFAの追加は、これらの化学療法レジメンの効力を増強し得、改変されたレジメンにより処置された患者の生存期間を改良し得る。
【0104】
処置の効力を増加させるために5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルの別の例は、Keane TJ,Cummings BJ,O’Sullivan B,Payne D,Rawlinson E,MacKenzie R,Danjoux C,Hodson I.「A randomized trial of radiation therapy compared to split course radiation therapy combined with mitomycin C and 5−fluorouracil as initial treatment for advanced laryngeal and hypopharyngeal squamous carcinoma.」IJ Radiation Oncology Biol Phys,1993:25(4):613−8(特に、5−FUを使用する抗癌プロトコルに関する開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような、マイトマイシンCおよびフルオロウラシルの使用を含む頭頸部癌の処置のためのプロトコルである。この場合、抗癌処置プロトコルは、化学療法に加え、放射線療法を含む。
【0105】
処置の効力を増加させるために5,10−CH2−THFAが追加され得るさらに他の型のプロトコルは、Keane TJ,Cummings BJ,O’Sullivan B,Payne D,Rawlinson E,MacKenzie R,Danjoux C,Hodson I.「A randomized trial of radiation therapy compared to split course radiation therapy combined with mitomycin C and 5−fluorouracil as initial treatment for advanced laryngeal and hypopharyngeal squamous carcinoma.」IJ Radiation Oncology Biol Phys,1993:25(4):613−8(特に、5−FUを含む抗癌プロトコルに関する開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたもののような、5−FUをマイトマイシンCと組み合わせる抗癌プロトコル、およびCalais G,Alfonsi M,Bardet Eら,「Randomized trial of radiation therapy versus concomitant chemotherapy and radiation therapy for advanced−stage oropharynx carcinoma.」J Natl Cancer Inst 1999;91:2081−6(特に、5−FUを使用する抗癌レジメンに関する開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような、カルボプラチンの使用を5−FUと組み合わせるものである。これらの処置において、抗癌処置プロトコルは、化学療法に加え、放射線療法を含む。
【0106】
本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUのアナログまたはプロドラッグおよび付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含むプロトコルの効力を増加させる方法を含む。カペシタビンおよびドセタキセルを含む抗癌レジメンの例は、O’Shaughnessy Jら,Superior survival with capecitabine plus docetaxel combination therapy in anthracycline pre−treated patients with advanced breast cancer:phase III trial results.J Clin Oncol 2002;20:2812−23(特に、カペシタビンを使用した抗癌プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されている。5,10−CH2−THFAは、付加的な癌薬物と組み合わせてテガフール−ウラシル(UFT)を含むプロトコル、例えば、Feliu J.ら「Phase II study of UFT and oxaliplatin in first−line treatment of advanced colorectal cancer.」Br.J.Cancer 2004 91:1758−62(特に、UFTを使用した抗癌プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような、オキサリプラチンを含むプロトコルにも追加され得る。
【0107】
上記のプロトコルへの参照は、例にすぎず、決して本発明を限定することは意図されない。処置の効力を増加させるために5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルは、科学文献および医学文献、ならびに病院、癌センター、および診療所の供給源を含む任意の信頼性のある情報源から入手され得る。5,10−CH2−THFAの投与を含めることによりプロトコルの効力を増加させる際、5−FU、5,10−CH2−THFAのいずれかまたは両方、そして妥当である場合には、1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量およびスケジュールを改変することは、本発明の範囲内である。そのような改変は、容認されている医学的実務に従い、処置に対する患者の反応をモニタリングする訓練された医師によってなされ得る。
【0108】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、チミジル酸シンターゼの葉酸補因子としてのロイコボリンが5,10−CH2−THFAに置換される、5−FUおよびチミジル酸シンターゼの葉酸補因子を含む抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法を含む。本発明は、抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法を含み、ここで上記抗癌薬レジメンは、5−FUおよびチミジル酸シンターゼの葉酸補因子を含み、そして効力は、チミジル酸シンターゼの葉酸補因子としてのロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することによって増加される。
【0109】
本発明のこの局面の好ましい実施形態において、その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および付加的な抗癌薬を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに改良された効力を有する薬物レジメンを得るため、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程、を包含する。
【0110】
関連する局面において、本発明は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグを含む、患者に投与される抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法を提供する。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程;ならびに改変された抗癌薬物プロトコルにより癌患者を処置する工程、を包含する。その方法は、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。
【0111】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することによりレジメンの効力が増加する、カペシタビンまたはUFT(これらに限定されない)のような5−FUのアナログまたはプロドラッグおよびロイコボリンを含む抗癌薬レジメンの効力を増加させるための方法を含む。本発明は、カペシタビンまたはUFT(これらに限定されない)のような5−FUのアナログまたはプロドラッグを含む、患者へ投与される抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法も提供する。
【0112】
この局面のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、薬物レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌を有する患者への5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌処置の効力を増加させるための方法を含む。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;ロイコボリン;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程、を包含する。
【0113】
関連する局面において、本発明は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む、患者に投与される抗癌薬レジメンの中のロイコボリンを5,10−5,10−CH2−THFAに置換することにより、癌患者の生存期間を増加させるための方法を提供する。その方法は、5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程;ならびに改変された抗癌薬物プロトコルにより癌患者を処置する工程、を包含する。その方法は、5−FUの投与の前、後、または同時に、5,10−CH2−THFAを患者に投与する工程を包含する。付加的な抗癌薬は、5−FUの投与の前、後、または同時に投与され得る。
【0114】
ロイコボリンと比較して、5,10−CH2−THFAの抗腫瘍活性および減少した全身毒性のため、ならびにロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの類似した化学的経路および代謝的経路のため、本発明者らは、ある範囲の現在の化学療法レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換し得ることを企図する。現在、一般的に5−FU+ロイコボリンと組み合わせて使用されている薬物の例は、イリノテカン(CPT−11)、オキサリプラチン、ゲムシタビン、レバミゾール、マイトマイシンC、およびビノレルビンである。本発明は、これらのレジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換した処置を含む。ロイコボリンの5,10−CH2−THFAへの置換は、低下した毒性と共に、増強された治療効果を提供し得る。非限定的な例として、ロイコボリンが5,10−CH2−THFAに置換され得る現在の薬物組み合わせレジメンには、以下のものが含まれる:
・AIOレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・52週毎に、4週間、週1回、1日目に2時間かけてイリノテカン(100mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(500mg/m2)を点滴;その後、24時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,000mg/m2)を静脈内(IV)ボーラス
・Douillardレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・2週毎に、1日目に2時間かけてイリノテカン(180mg/m2)を点滴;1日目および2日目に2時間かけてロイコボリン(200mg/m2)を点滴;その後、負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、1日目および2日目に22時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(600mg/m2)
・FOLFOX4レジメン(オキサリプラチン、ロイコボリン、5−FU):
・2週毎に、1日目に2時間かけてオキサリプラチン(85mg/m2)を点滴;1日目および2日目に2時間かけてロイコボリン(200mg/m2)を点滴;その後、負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、1日目および2日目に22時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(600mg/m2)
・FOLFOX6レジメン(オキサリプラチン、ロイコボリン、5−FU):
・2週毎に、1日目に2時間かけてオキサリプラチン(85〜100mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(400mg/m2)を点滴;その後、1日目に負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、46時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,400〜3,000mg/m2)
・FOLFIRIレジメン(フォリン酸、5−FU、イリノテカン):
・2週毎に、1日目に2時間かけてイリノテカン(180mg/m2)を点滴;1日目に2時間かけてロイコボリン(400mg/m2)を点滴;その後、1日目に負荷量の5−FU(400mg/m2)をIVボーラス、次いで、46時間かけて移動式ポンプを介して5−FU(2,400〜3,000mg/m2)
・IFL(またはSaltz)レジメン(イリノテカン、5−FU、ロイコボリン):
・6週のうち4週間、週1回、イリノテカン(125mg/m2)、5−FU(500mg/m2)IVボーラス、およびロイコボリン(20mg/m2)IVボーラス。
【0115】
ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換し得る他のレジメンとしては、例えば、(Andreら「Phase II study of leucovorin,5−fluorouracil,and gemcitabine for locally advanced and metastatic pancreatic cancer(FOLFUGEM 2)Gastroeneterol Clin Biol;2004 28:645−650(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような)膵臓癌を処置するために使用されるFOLFUGEM1((5−フルオロウラシル(FU)ボーラス400mg/m2、次いで5−FU 2〜3g/m2/46時間およびゲムシタビン1000mg/m2(30分)と組み合わせたロイコボリン400mg/m2)およびFOLFUGEM2(14日毎のサイクルで、ロイコボリン400mg/m2(2時間)、その後、5−FU 1000mg/m2(22時間)、次いでゲムシタビン800mg/m2(10mg/m2/分))を含む、5−FUおよび少なくとも1つのその他の抗癌薬との組み合わせが挙げられる。
【0116】
別の例において、(Poplinら「Phase III Southwest Oncology Group 9415/Intergroup 0153 randomized trila of fluorouracil,leucovorin,and levamisole versus fluorouracil continuous infusion and levamisole for adjuvant treatment of stage III and high−risk stage II colon cancer.」J.Clin Oncol.2005 23:1819−25(特に、5−FUを使用する癌処置プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような)5−FUおよびレバミゾールも含む組み合わせ療法において、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することができる。
【0117】
さらに別の例において、(Yehら「Phase II study of weekly vinorelbine and 24−hr infusion of high−dose 5−fluorouracil plus leucovorin as first−line treatment of advanced breast cancer.」Br.J.Cancer 2005 92:1013−8(特に、5−FUを含む癌処置プロトコルの開示のため、本明細書において参考として援用される)に開示されたような)5−FUおよびビノレルビンも含む組み合わせ療法において、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換することができる。
【0118】
上記の例は、決して限定的なものであることは意図されない。例えば、投薬量およびレジメンは、患者に対する毒性を最小限に抑えるか、または効力を改良するため、改変または最適化され得る。さらに、本明細書に記載されていない多くの抗癌薬が、5,10−CH2−THFAおよび5−FUと組み合わせられ得る。本発明者らは、次世代型の5−FU、特に、経口型の5−FU(例えば、ゼローダ、カペシタビン)およびUFTとの組み合わせ療法における5,10−CH2−THFAの使用も提唱する。
【0119】
5,10−CH2−THFAの他の使用は、抗腫瘍活性を有するモノクローナル抗体のような新たなクラスの生物学的抗腫瘍試薬との組み合わせ療法における使用である。5,10−CH2−THFAと(好ましくは5−FUと)組み合わせられ得る抗体の例には、抗VEGF抗体(例えば、アバスチン、ベバシツマブ(Bevacuzimab))および抗EGFレセプター(例えば、エルビタックス(Erbitux)、セツキシマブ、ハーセプチン)が含まれる。実施例1および2に示されるように、ヌードマウスにおける結腸直腸癌の組み合わせ5−FU/5,10−CH2−THFA/アバスチンによる処置は、他の薬物組み合わせより大きく腫瘍増殖を阻害する。
【0120】
5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および付加的な抗癌薬を含む処置レジメンに5,10−CH2−THFAが追加される方法の他の局面において、本発明者らは、1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、5−FUを含むレジメンにおいて典型的に使用されている付加的な抗癌薬の投薬量に比べて増加した投薬量で投与され得ることを企図する。従って、本発明は、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAを追加すること、および1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることにより、5−FUおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルの効力を増加させる方法を含む。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加する工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中の1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量を増加させる工程、を包含する。この局面において、抗癌レジメンに5,10−CH2−THFAを追加しながら、そのレジメンにおいて使用される付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることは、禁制的に毒性を増加させることなく、処置の効力を増加させ得る。
【0121】
関連する局面において、本発明は、5−FUおよび1つ以上の付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌レジメンに5,10−CH2−THFAを追加すること、ならびにレジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることにより、癌患者の生存期間を増加させる方法を含む。
【0122】
5−FUを1つ以上の抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせる多数の化学療法プロトコルが、癌療法の領域において公知である。例えば、この適用において参照されるプロトコルには、5−FUが、シクロホスファミド、エピルビシン、ドコルビシン(docorubicin)、カルボプラチン、またはマイトマイシンCと組み合わせられるプロトコルが含まれる。これらの例は、本発明の範囲を限定するものでは決してない。5−FUと組み合わせてこれらまたは他の抗癌薬を使用する癌療法の領域において公知の、または将来的に使用される他のプロトコルも、5,10−CH2−THFAを含めること、および1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることによって改変され得る。
【0123】
本発明は、5,10−CH2−THFAを同時投与することにより、5−FUのアナログまたはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含むプロトコルの効力を増加させる方法を含む。5,10−CH2−THFAを含めること、および付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることにより改変され得るプロトコルの非限定的な例としては、カペシタビンおよびドセタキセルを含む抗癌レジメン、ならびにUFTおよびオキサリプラチンを含む抗癌レジメンが本明細書において参照される。
【0124】
プロトコルへの上記の参照は、例にすぎず、決して本発明を限定することは意図されない。5,10−CH2−THFAが追加され得る抗癌プロトコルは、科学文献および医学文献、ならびに病院、癌センター、および診療所の供給源を含む任意の信頼性のある供給源から入手され得る。用量上昇研究は、毒性および効力をモニタリングする確立されたプロトコルに従って実施され得る。抗癌処置プロトコルの最適化において、5−FU、5,10−CH2−THFAのいずれかまたは両方、および1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量およびスケジュールを改変することは、本発明の範囲内である。そのような改変は、容認された医学的な実務に従い、処置に対する患者の応答をモニタリングする訓練された医師によってなされ得る。
【0125】
さらに別の関連する局面において、本発明は、プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに交換すること、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルの効力を増加させる方法を提供する。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中の少なくとも1つの付加的な抗癌薬の投薬量を増加させる工程、を包含する。この局面において、抗癌の中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換しながら、レジメンにおいて使用される付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることは、禁制的に毒性を増加させることなく、処置の効力を増加させ得る。
【0126】
関連する局面において、本発明は、5−FUおよび1つ以上の付加的な抗癌薬(5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、またはチミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌レジメンの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換すること、ならびにレジメンにおいて使用される1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることにより、癌患者の生存期間を増加させる方法を含む。
【0127】
5−FUおよびロイコボリンを1つ以上の抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)と組み合わせる多数の化学療法プロトコルが、癌療法の領域において公知である。例えば、この適用において参照されるプロトコルには、5−FUが、ゲムシタビン、ビノレルビン、レバミゾール、イリノテカン、オキサリプラチン、またはマイトマイシンCと組み合わせられるプロトコルが含まれる。これらの例は、本発明の範囲を限定するものでは決してない。5−FUおよびロイコボリンと組み合わせてこれらまたは他の抗癌薬を使用する癌療法の領域において公知の、または将来的に使用される他のプロトコルも、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換すること、および1つ以上の付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つの投薬量を増加させることによって改変され得る。
【0128】
本発明は、5,10−CH2−THFAに置換すること、および付加的な抗癌薬の投薬量を増加させることにより、5−FUのアナログまたはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含むプロトコルの効力を増加させる方法を含む。
【0129】
プロトコルへの上記の参照は、例にすぎず、決して本発明を限定することは意図されない。ロイコボリンが5,10−CH2−THFAに置換され得る、複数の抗癌薬を含む抗癌プロトコルは、科学文献および医学文献、ならびに病院、癌センター、および診療所の供給源を含む任意の信頼性のある供給源から入手され得る。用量上昇研究は、毒性および効力をモニタリングする確立されたプロトコルに従って実施され得る。抗癌処置プロトコルの最適化において、5−FU、5,10−CH2−THFAのいずれかまたは両方、および1つ以上の付加的な抗癌薬の投薬量およびスケジュールを改変することは、本発明の範囲内である。そのような改変は、容認された医学的な実務に従い処置に対する患者の応答をモニタリングする訓練された医師によってなされ得る。
【0130】
本発明者らは、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAが追加された場合、5−FUが、組み合わせ療法において典型的に使用されている投薬量に比べて増加した投薬量で投与され得ることも企図する。従って、本発明は、薬物レジメンに5,10−CH2−THFAを追加することにより、5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)および付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む癌を処置するための薬物レジメンにおいて使用される5−FUの投薬量を増加させることにより、抗癌薬物プロトコルの効力を増加させる方法を含む。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルに5,10−CH2−THFAを追加する工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中の5−FUの投薬量を増加させる工程、を包含する。この局面において、抗癌レジメンに5,10−CH2−THFAを追加しながら、そのレジメンにおいて使用される5−FUの投薬量を増加させることは、禁制的に毒性を増加させることなく、処置の効力を増加させ得る。
【0131】
さらに別の関連する局面において、本発明は、ロイコボリンを5,10−CH2−THFAに交換することにより、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および付加的な抗癌薬を含む抗癌薬物プロトコルにおける5−FUの用量を増加させる方法を提供する。その方法は、5−FUまたは5−FUのアナログもしくはプロドラッグ、ロイコボリン、および少なくとも1つの付加的な抗癌薬(チミジル酸シンターゼの葉酸補因子以外)を含む抗癌薬物プロトコルを得る工程;抗癌薬物プロトコルの中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換する工程;ならびに抗癌薬物プロトコルの中の5−FU(またはそのアナログもしくはプロドラッグ)の投薬量を増加させる工程、を包含する。この局面において、抗癌の中のロイコボリンを5,10−CH2−THFAに置換しながら、レジメンにおいて使用される5−FUの投薬量を増加させることは、禁制的に毒性を増加させることなく、処置の効力を増加させ得る。
【実施例】
【0132】
(実施例1:5−FU、5,10−CH2−THFA、ロイコボリン、抗VEGF、およびオキサリプラチンによる結腸直腸腫瘍HT−29の処置に関するヌードマウス研究)
(材料および方法)
(マウス)
ヌード(nu/nu)マウスはチャールズリバー研究所(Charles River Laboratories)から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナル(International)の飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0133】
(細胞株)
ヒト結腸癌HT−29は、アメリカンティッシュカルチャーコレクション(American Tissue Culture Collection)(ATCC)から入手された。細胞株は、37℃、5%CO2の加湿インキュベーターにおいて、10%ウシ胎仔血清(FBS)、2mM l−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシンを含有しているDMEM(DMEM−10)において維持された。細胞株は、インビボ実験の前に2〜3日毎に継代された。
【0134】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)は、カルバイオケム(Calbiochem)から入手された。ロイコボリン(ロイコボリン)およびオキサリプラチンは、シグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich)から入手された。5,10−CH2−THFAは、エプロバ(Eprova)AG製であった。血管内皮増殖因子に対するモノクローナル抗体(抗VEGF)は、R&Dシステムズ(Systems)(ヒトVEGFアイソフォーム165を認識するクローン26503)またはジェネンテック(Genentech)(アバスチン)から入手された。
【0135】
(HT−29結腸直腸癌ヌードマウス研究#1)
HT−29細胞を、注射のため以下のように調製した。HT−29細胞のコンフルエントな組織培養フラスコを、PBSにより1回洗浄した後、トリプシンにより細胞を剥離した。次いで、剥離された細胞を、DMEM−10で1回洗浄した後、PBSにより1回洗浄した。最後に、細胞をPBSに2×107細胞/mlで再懸濁させた。ヌードマウス(nu/nu)に、28ゲージインスリン針/注射器を使用して、100μl(2×106細胞)のHT−29細胞を皮下接種した。腫瘍が体積100〜300mm3に達した時点で、マウスを、腹腔内注射により投与された5−FU、5,10−CH2−THFA、ロイコボリン、オキサリプラチン、および抗VEGF(R&Dシステムズの抗体)の様々な組み合わせにより処置した。抗VEGFおよびオキサリプラチンを除く全ての薬物が、5日間連続で1日1回投薬された(0.6mg/マウス/薬物)。抗VEGFは、5日目に1回(100μg/マウス)投薬された。オキサリプラチンは、1日目に1回投薬された(0.3mg/マウス)。さらに、5,10−CH2−THFAまたはロイコボリンは、5−FU注射の20分前に注射された。腫瘍サイズはノギスを使用して2〜3日毎に測定された。腫瘍体積は以下の式を使用して計算された:腫瘍体積=(長さ×幅2)/2。腫瘍が直径>2cmに達するか、または腫瘍が潰瘍化した時点で、マウスをCO2により安楽死させた後、頚部脱臼を行った。
【0136】
(データ分析)
腫瘍および血液のデータの統計分析は、グラフパッドプリズム(GraphPad Prism)科学ソフトウェアを使用して実施された。ボンフェロニ(Bonferonni’s)T検定が、複数の群の間の腫瘍サイズを比較するために使用された。ログランク(Logrank)検定は、群生存曲線間の統計的な差を決定するために使用された。2つの群のみが比較されるいくつかの場合には、スチューデント(Student’s)T検定が群測定値間の有意性を決定するために使用された。
【0137】
(結果)
ヌードマウスを、表2に記載された薬物組み合わせにより処置した。この研究において、本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA処置をオキサリプラチンもしくは(R&Dシステムズから入手された)抗VEGF抗体と組み合わせることにより、他の薬物組み合わせより大きく結腸直腸腫瘍の増殖を阻害し得るか否かを調査することを望んだ。薬物濃度および処置日は、材料および方法のセクションに記載されている。処置後、腫瘍サイズを2〜3日毎に測定し、腫瘍体積を計算した。次いで、処置開始からの時間に対して腫瘍体積をプロットした(図1および2)。グラフを単純化するため、本発明者らは、分析を、抗VEGFデータを含むグラフと、オキサリプラチンデータを含む別のセットを含むグラフとに分割した。各処置群についてのベストフィット曲線を計算し、これらの図中にプロットした。図1に見られるように、5−FU/5,10−CH2−THFA/抗VEGFで処置されたマウスは、最も遅い腫瘍増殖曲線を有しており、5−FU/5,10−CH2−THFAまたは5−FU/抗VEGFで処置されたマウスがそれに続いた。
【0138】
【表2】
本発明者らは、処置後の平均腫瘍体積間の差も分析した。抗VEGFデータセットについての様々な処置の組み合わせ(図3)を比較し、本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA/抗VEGFで処置されたマウスの平均腫瘍体積(478.6±102.7、平均値±SEM、n=7)が、5−FU(752.5±104.2、n=8)、5−FU/ロイコボリン(707.5±93.6、n=8)、5−FU/5,10−CH2−THFA(522.5±78.2、n=8)、および5−FU/抗VEGF(502.5±64.1、n=8)で処置されたマウスより小さいことを観察した。オキサリプラチンで処置されたマウスは、最大の腫瘍を有しており(腫瘍体積875.0+90.6、平均+SEM、n=8)(図4)、このことから、HT−29腫瘍がこの薬物に対しては応答性でないことが示された(Plasenciaら(2002)American Society for Clinical Oncology Annual Meeting Abstract No.2188を参照のこと)。3重組み合わせ5−FU/5,10−CH2−THFA/抗VEGFで処置されたマウスが、全ての抗VEGF組み合わせの中で最も小さな腫瘍サイズを有していたのに対し(図3)、5−FU/5,10−CH2−THFA/オキサリプラチン(735.0±80.3、n=8)という3重薬物組み合わせを受容した処置群には等価な腫瘍阻害が欠けていたのは、おそらく、オキサリプラチンに対するHT−29腫瘍の抵抗性のためである(図4)。
【0139】
全ての処置群についてのマウス生存曲線も計算した。明白な全身毒性、腫瘍潰瘍化が見られるか、または腫瘍直径が>2cmに達した時点で、マウスを安楽死させた。研究期間の完了時(42日)、5−FU/5,10−CH2−THFAにより処置されたマウスの75%がまだ生存していた(図5)。この生存率は、5−FUのみにより処置されたマウス(25%、p<0.05、Logrankテスト)より有意に長かった。5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスに加え、5−FU/5,10−CH2−THFA/抗VEGFで処置されたマウスも、全ての他の処置群より長く生存した(57%)。他の処置群と比較して、5−FU/5,10−CH2−THFA/オキサリプラチンにより処置されたマウス(25%)(図6)において防御が欠如していたのは、オキサリプラチンに対するHT−29腫瘍の明らかな抵抗性が原因である可能性が最も高い(図3)。オキサリプラチン処置亜群分析について、5−FU/5,10−CH2−THFA処置は、最も大きな生存率上の利益を提供した。
【0140】
(実施例2:5−FU、5,10−CH2−THFA、FA、および抗VEGFによる結腸直腸腫瘍HT−29の処置に関するヌードマウス研究)
(材料および方法)
(マウス)
ヌード(nu/nu)マウスはチャールズリバー研究所から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナルの飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0141】
(細胞株)
ヒト結腸癌HT−29は、アメリカンティッシュカルチャーコレクション(ATCC)から入手された。細胞株は、37℃、5%CO2の加湿インキュベーターにおいて、10%ウシ胎仔血清(FBS)、2mM l−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシンを含有しているDMEM(DMEM−10)において維持された。細胞株は、インビボ実験の前に2〜3日毎に継代された。
【0142】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)は、カルバイオケムから入手された。ロイコボリン(ロイコボリン)およびオキサリプラチンは、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸は、エプロバAG製であった。血管内皮増殖因子に対するモノクローナル抗体(抗VEGF)は、R&Dシステムズ(ヒトVEGFアイソフォーム165を認識するクローン26503)またはジェネンテック(アバスチン)から入手された。
【0143】
(HT−29結腸直腸癌ヌードマウス研究#2)
HT−29細胞を、注射のため以下のように調製した。HT−29細胞のコンフルエントな組織培養フラスコを、PBSにより1回洗浄した後、トリプシンにより細胞を剥離した。次いで、剥離された細胞を、DMEM−10で1回洗浄した後、PBSにより1回洗浄した。最後に、細胞をPBSに1×107細胞/mlで再懸濁させた。ヌードマウス(nu/nu)に、28ゲージインスリン針/注射器を使用して、100μl(106細胞)のHT−29細胞を皮下接種した。腫瘍が体積30〜100mm3に達した時点で、マウスを、腹腔内注射により投与された5−FU、5,10−CH2−THFA、ロイコボリン、および抗VEGF(ジェネンテックのアバスチン抗体)の様々な組み合わせにより処置した。1日目および7日目に2回(100μg/マウス)投薬された抗VEGFを除き、全ての薬物が、7日間連続で1日1回投薬された(0.6mg/マウス/薬物)。さらに、5,10−CH2−THFAまたはロイコボリンは、5−FU注射の20分前に注射された。腫瘍サイズはノギスを使用して2〜3日毎に測定された。腫瘍体積は以下の式を使用して計算された:腫瘍体積=(長さ×幅2)/2。腫瘍が直径>2cmに達するか、または腫瘍が潰瘍化した時点で、マウスをCO2により安楽死させた後、頚部脱臼を行った。
【0144】
(データ分析)
腫瘍および血液のデータの統計分析は、グラフパッドプリズム科学ソフトウェアを使用して実施された。ボンフェロニT検定が、複数の群の間の腫瘍サイズを比較するために使用された。ログランク検定は、群生存曲線間の統計的な差を決定するために使用された。2つの群のみが比較されるいくつかの場合には、スチューデントT検定が群測定値間の有意性を決定するために使用された。
【0145】
(結果)
上記の最初のヌードマウス研究において得られた予備結果に基づき、本発明者らは、研究設計を一部改変して、別のHT−29ヌードマウス研究を繰り返した。改変には、より大きい群サイズ、R&Dシステムズの抗体のジェネンテックの抗VEGFアバスチン抗体への置換、オキサリプラチンの排除、増加した処置日数、および抗VEGF抗体の増加した投薬回数が含まれていた。ヌードマウスを、表3に記載された薬物組み合わせにより処置した。この研究において、本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA処置を抗VEGF抗体アバスチンと組み合わせることにより、他の薬物組み合わせより大きく結腸直腸腫瘍の増殖を阻害し得るか否かを調査することを望んだ。薬物濃度および処置日は、材料および方法のセクションに記載されている。処置後、腫瘍サイズを2〜3日毎に測定し、腫瘍体積を計算した。次いで、腫瘍体積を、処置開始からの時間に対してプロットした(図7)。各処置群についてのベストフィット曲線を計算し、この図中にプロットした。ベストフィット曲線分析に基づき、各群についての平均倍化時間を計算した(表4)。5−FU/5,10−CH2−THFA/アバスチンの組み合わせで処置されたマウスは、他の全ての群と比較して、最も遅い増殖速度論を示した(倍化時間=9.9日)。これらの結果は、先に記載された1回目のヌードマウス腫瘍研究で得られた結果と一致している。
【0146】
【表3】
【0147】
【表4】
本発明者らは、処置開始後19日目に決定した平均腫瘍体積の差も分析した。平均腫瘍体積±SEMは、図8にプロットされている。本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA/アバスチンで処置されたマウスの平均腫瘍体積(94.0±10.2、平均±SEM、n=12)が、5−FU(368.5±63.7、n=10)、5−FU/ロイコボリン(262.0±36.5、n=11)、5−FU/5,10−CH2−THFA(225.4±32.0、n=12)、5−FU/アバスチン(225.5±28.8、n=12)で処置されたマウスより有意に少ないが(p<0.05、ボンフェロニT検定)、5−FU/ロイコボリン/アバスチンで処置されたマウス(140.8±20.3、n=12)よりは有意に少なくないことを観察した。対照的に、5−FU/ロイコボリン/アバスチンで処置されたマウスの平均腫瘍体積は、5−FUで処置されたマウスにおける腫瘍体積より有意に少ないのみであり、他の処置群よりは有意に少なくなかった。
【0148】
全ての処置群についてのマウス生存曲線も計算した。明白な全身毒性、腫瘍潰瘍化が見られるか、または腫瘍直径が>2cmに達した時点で、マウスを安楽死させた。研究完了前(処置開始から38日目)、生理食塩水、5−FU、または5−FU+アバスチンで処置されたマウスの≦50%がまだ生存していた(図9)。対照的に、5,10−CH2−THFAまたはロイコボリンのいずれかと組み合わせられた5−FU+アバスチンで処置されたマウスの92%が生存していた。様々な薬物組み合わせについてのこの生存率パターンは、前記の1回目のヌードマウス結腸直腸腫瘍研究において観察された結果と類似している。
【0149】
(実施例3:5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの組み合わせにより処置されたBalb/cマウスの血液分析)
(材料および方法)
(マウス)
Balb/cマウスはチャールズリバー研究所から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナルの飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0150】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)は、カルバイオケムから入手された。ロイコボリン(フォリン酸)は、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)は、エプロバAG製であった。
【0151】
(Balb/c血液分析研究)
Balb/cマウス、7週齢の雌マウスに、7日間連続で5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの組み合わせを注射した。全ての薬物が、28ゲージインスリン針/注射器を使用して腹腔内注射された(100μl/マウス、0.6mg/マウス/薬物)。0日目(薬物注射の前)、8日目、および13日目に、200〜250μl/マウスの血液を、眼窩静脈叢(retro−orbital)穿刺によりEDTAでコーティングされたマイクロテイナー(microtainer)チューブ(VWRインターナショナル(International))へと収集した。全血球算定+血球差は、バイエルアドビア(Bayer Advia)120ヘマトロジー(Hematology)分析装置を使用して、アメリカのラブコープコーポレーション(Labcorp Corporation)により決定された。
【0152】
(結果)
殺腫瘍活性に加え、5−FUは、骨髄抑制効果のため、正常細胞、特に、造血系の細胞に対して細胞障害性である。ロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの関連した化学的特徴および作用様式のため、本発明者らは、5−FU/5,10−CH2−THFA組み合わせ療法の類似した毒性プロファイルが存在するか否かを決定することを望んだ。そのため、本発明者らは、5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの様々な組み合わせ(表5)を正常なBalb/cマウスに注射した。処置前、処置後1週間目および2週間目に、本発明者らは、血液パラメータの変化に関して全血球算定+差を分析した。さらに、本発明者らは、薬物毒性の定性的および定量的な測定値を分析した。
【0153】
【表5】
薬物の投薬から1週間後、本発明者らは、全てのマウスが、体毛の毛羽立ち(ruffled fur)、瀕死、および脱水症を含む、薬物に関連した毒性を有していることを観察した。薬物処置の開始から12日以内に、5−FUのみおよび5−FU/ロイコボリンの処置群の全てのマウスが死亡した。対照的に、5−FU/5,10−CH2−THFA処置群においては、38%のマウス(13匹中5匹)が、14日後に生存していた。全ての処置群についてのカプランマイヤー生存曲線をプロットした(図10)。5−FU/5,10−CH2−THFA処置群 対 5−FU/ロイコボリン処置群のログランク統計比較は、生存率の有意な差(p<0.05)を示した。
【0154】
血液分析は、選択血球型の差も明らかにした(図11)。本発明者らは、以下の血液パラメータを測定した:白血球(WBC)、赤血球(RBC)、ヘモグロビン(HGB)、ヘマトクリット(HCT)、平均細胞体積(MCV)、平均細胞ヘモグロビン(MCH)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCHC)、好中球、リンパ球、血小板(PLT)、好酸球、好塩基球、および単球。薬物処置後1週間目に、本発明者らは、5−FU/ロイコボリンで処置されたマウスより有意に多い白血球を5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスにおいて観察した(p<0.05、スチューデントt検定)。白血球サブセットの中で、本発明者らは、他の処置群より有意に多い血小板および好中球を、5−FU/5,10−CH2−THFAで処置された群において観察した。
【0155】
5−FU/5,10−CH2−THFA処置後に血小板および好中球両方のレベルの差が観察されたため、本発明者らは、これらの細胞型をさらに査定した。NCIの毒性グレード判定基準を使用して、本発明者らは、合わせたグレード1/2の毒性、グレード3の毒性、またはグレード4の毒性のいずれかを有するマウスの割合(%)を計算した。血小板については、本発明者らは、5−FU単独で処置されたマウスの25%が、グレードの4毒性を示すことを観察した(図12)。対照的に、5−FU/ロイコボリンまたは5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスについては、グレード4の毒性は認められなかった。しかしながら、グレード3の毒性を有する5−FU/ロイコボリンマウス(45%)とは異なり、5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスは15%しかグレード3の血小板毒性を示さなかった。残りの5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウス(85%)は、グレード1または2の毒性しか示さない。そのため、このデータは、5−FU/5,10−CH2−THFAが、5−FU単独または5−FU/ロイコボリンよりも軽度の血小板毒性を誘導することを示唆している。
【0156】
同様に、本発明者らは、好中球毒性プロファイルを査定した。血小板の差とは対照的に、標準的なNCIグレード決定システムは、処置群間の認めうる程度の好中球の差を明らかにしなかった。例えば、5−FUのみおよび5−FU/ロイコボリンで処置されたマウスの両方の100%は、グレード4の毒性を示し、5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスの92%が同じグレード4の毒性を示した。5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスの残りの8%は、グレード3の毒性を示した(図13)。しかしながら、グレード4の毒性を示したマウスのより綿密な分析は、定量可能な好中球の差を明らかにした。本発明者らは、グレード4の毒性を有するマウスを、処置後の好中球数の範囲に基づく亜群へと分割した(図14)。この分析は、5−FUのみにより処置されたマウスの100%および5−FU/ロイコボリンで処置されたマウスの80%が、0〜99の間の好中球数を有していることを明らかにした。対照的に、5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスは、40%しか、この最低レベルの好中球数を示さなかった。グレード4と判定された5−FU/5,10−CH2−THFAで処置されたマウスの過半数(50%)が、200〜499の範囲の好中球数を有していた。従って、このデータは、5−FU/5,10−CH2−THFAが、5−FU単独または5−FU/ロイコボリンより軽度の好中球毒性をもたらすことを示唆している。
【0157】
(実施例4:5−FU、ロイコボリン、5,10−CH2−THFA、およびゲムシタビンの組み合わせにより処置されたBalb/cマウスの体重減少毒性分析)
(材料および方法)
(マウス)
Balb/cマウスはチャールズリバー研究所から入手された。マウスは、研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナルの飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0158】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリン(ロイコボリン)は、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)は、エプロバAG製であった。ゲムシタビンはイーライリリー(Eli Lilly)製であり、ミオダーム社(Myoderm Inc.)から購入された。
【0159】
(Balb/c体重分析研究)
Balb/c雌マウスに、5−FU、ロイコボリン、5,10−CH2−THFA、およびゲムシタビンの組み合わせを注射した。5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAは、5日間連続で(1〜5日目)、腹腔内注射された(100μl/マウス、0.6mg/マウス/薬物)。ゲムシタビンは、3日毎(1日目、4日目、および7日目)に腹腔内注射された(100μl/マウス、100μg/マウス)。全ての薬物が27ゲージインスリン針/注射器を使用して注射された。薬物投薬の開始前(処置前)および8日目に、分析用天秤を使用してマウスの体重を測定した。
【0160】
(結果)
5−FUの既知の毒性は、胃腸毒性および関連する体重減少である。ロイコボリンは、胃腸毒性を悪化させる可能性があることが報告されている。さらに、膵臓癌のための現在の標準的な療法であるゲムシタビンは、それ自体の関連する毒性プロファイルを有している。組み合わせ5−FU/ゲムシタビンおよび5−FU/ロイコボリン/ゲムシタビンによる療法は、診療所において調査されており、増強された臨床活性を有していることが示されているが、これらの組み合わせは、典型的には、ゲムシタビン単独または5−FU/ロイコボリン単独より重度の毒性を示す。5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビン組み合わせ療法は、膵臓癌のための可能性のある処置レジメンであるため、ロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの関連する化学的特徴および作用様式のため、本発明者らは、ゲムシタビンと組み合わせられた5−FU/5,10−CH2−THFAの毒性プロファイルを調査することを望んだ。さらに、本発明者らは、組み合わせ5−FU/5,10−CH2−THFAの以前の毒性分析を拡張し、この組み合わせ(combo)が、5−FU/ロイコボリンまたは5−FU単独と比較して、付加的な明白でない毒性プロファイルを有しているか否かを決定することを望んだ。そのため、本発明者らは、5−FU、ロイコボリン、5,10−CH2−THFA、およびゲムシタビンの様々な組み合わせ(表6)を正常なBalb/cマウスに注射した。処置前および処置開始後1週間目に、本発明者らは胃腸毒性の測定値として体重の減少/増加を調査した。
【0161】
【表6】
薬物投与の開始前(処置前)、無作為化されたマウスの群(1群当たり12匹)は、類似した平均体重を示した。処置後(8日目)、マウスの体重は全ての処置群で減少した。有害事象に関する国立癌研究所(NCI)の共通用語法基準(National Cancer Institute’s(NCI)Common Terminology Criteria for Adverse Events)を使用して、体重減少の重度を各処置群についてプロットした(図15)。毒性グレード決定は、出発基線体重からの体重減少率(%)に基づく(表7)。これらの結果は、5−FU/5,10−CH2−THFAが、5−FU単独または組み合わせ5−FU/ロイコボリンによる処置(いずれの処置群についても100%がグレード2〜3の毒性)より有意に低い(p<0.05、フィッシャーの正確確率検定(Fisher’s exact test))グレード2〜3の毒性(50%)を誘導したことを示している。
【0162】
【表7】
ゲムシタビン処置は、単独では、毒性濃度未満の濃度の投与に起因して、グレード1より大きな体重減少毒性を誘導しなかったが、5−FU/ロイコボリンまたは5−FU/5,10−CH2−THFAによる処置へのゲムシタビンの追加は、グレード3の毒性を有するマウスを100%とした(図15)。しかしながら、これらの処置群の間には体重減少率の定量的な差が検出され得た(図16)。このデータは、5,10−CH2−THFAが、2重細胞毒性薬物5−FUおよびゲムシタビンと組み合わせて使用された場合、ロイコボリンより効果的に、マウスを体重減少から防御することを示唆している。5−FU/ロイコボリン/ゲムシタビンで処置されたマウスの92%が、>25%の体重減少を有していたが、有意に少ない(p<0.05、フィッシャーの正確確率検定)5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビンで処置されたマウスが、この重度の体重減少を有していた(33%のマウス)。
【0163】
各処置群についてのマウス生存率も経時的に追跡した(図17)。5−FU/ロイコボリンおよび5−FU/5,10−CH2−THFAの群は、いずれも、5−FUのみにより処置されたマウス(36%)と比較して、最大14日(各群83%)の有意に大きなマウス生存率(%)を有していた(p<0.05、ログランク検定)。最短の生存時間は、100%のマウスが14日目以前に死亡した5−FU/ロイコボリン/ゲムシタビンまたは5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビンの3重薬物組み合わせにおいて観察された。しかしながら、5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビンマウスは、5−FU/ロイコボリン/ゲムシタビンで処置されたマウス(8日)より有意に長く生存した(9日、p<0.05、ログランク検定)。これは、5−FU/5,10−CH2−THFA/ゲムシタビン組み合わせ群について上に記載されたより体重減少毒性の重度が低いことと相関しており、5,10−CH2−THFAが、組み合わせ5−FU/ゲムシタビンレジメンと共に使用された場合、ロイコボリンと比較して、より軽度の体重減少を誘導することを再び示唆している。
【0164】
(実施例5:5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの組み合わせにより処置されたBalb/cマウスのリンパ球分析)
(材料および方法)
(マウス)
Balb/cマウスはチャールズリバー研究所から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、LABインターナショナルの飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0165】
(薬物)
5−フルオロウラシル(5−FU)は、カルバイオケムから入手された。ロイコボリン(ロイコボリン)は、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)は、エプロバAG製であった。
【0166】
(Balb/c血液分析研究)
Balb/cマウス、7週齢の雌マウスに、7日間連続で5−FU、ロイコボリン、および5,10−CH2−THFAの組み合わせを注射した。全ての薬物が、28ゲージインスリン針/注射器を使用して腹腔内注射された(100μl/マウス、0.6mg/マウス/薬物)。0日目(薬物注射の前)、8日目、および13日目に、200〜250μl/マウスの血液を、眼窩静脈叢穿刺によりEDTAでコーティングされたマイクロテイナーチューブ(VWRインターナショナル)へと収集した。全血球算定+血球差は、バイエルアドビア120ヘマトロジー分析装置を使用して、アメリカのラブコープコーポレーションにより決定された。
【0167】
(結果)
実施例3に記載された実験の付加的な分析は、処置群間の毒性の差をさらに明らかにした。初めに記載されたように、本発明者らは、5−FU/ロイコボリンおよび5−FU単独と比較した、5−FU/5,10−CH2−THFA処置群における、血小板および好中球を含む白血球の防御を認めた。基線リンパ球レベルに対する割合(%)に基づくNCI毒性グレード決定(表8)を使用したデータの新たな分析も、他の群と比較して、より大きな5−FU/5,10−CH2−THFA処置群におけるリンパ球の防御を示している(図18)。5−FUのみおよび5−FU/ロイコボリンによる処置群のマウスの100%が、グレード3〜4のリンパ球減少を示したが、5−FU/5,10−CH2−THFA処置群においては有意に少ない(p<0.05、フィッシャーの正確確率検定)マウスが、このレベルの毒性を示した(62%)。そのため、このデータは、5−FU/5,10−CH2−THFAが、5−FUのみまたは5−FU/ロイコボリンのいずれよりも軽度のリンパ球毒性を誘導することを示唆している。
【0168】
【表8】
(実施例6:カペシタビン(ゼローダ)、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)、およびロイコボリンによるHT−29結腸直腸腫瘍の処置に関するヌードマウス研究)
(材料および方法)
(マウス)
ヌード(nu/nu)マウスはシモンセン研究所(Simonsen Laboratories)から入手された。マウスは、全ての研究の開始時、6〜8週齢であった。マウスは、ペリーサイエンティフィック(Perry Scientific)の飼育施設(San Diego,CA)で、1ケージ当たり4匹で、隔離されたヘパフィルター換気ケージにおいて維持された。
【0169】
(細胞株)
ヒト結腸癌HT−29は、アメリカンティッシュカルチャーコレクション(ATCC)から入手された。細胞は、37℃、10%CO2の加湿インキュベーターにおいて、10%ウシ胎仔血清(FBS)、2mM l−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシンを含有しているDMEM(DMEM−10)において維持された。細胞は、インビボ実験の前に2〜3日毎に継代された。
【0170】
(薬物)
カペシタビン(ゼローダ)は、ロシュラボラトリーズ(Roche Laboratories)(Nutley,New Jersey)製であった。ロイコボリン(ロイコボリン)は、シグマアルドリッチから入手された。5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10−CH2−THFA)は、エプロバAG製であった。
【0171】
(処置)
HT−29細胞を、注射のため以下のように調製した。HT−29細胞のコンフルエントな組織培養フラスコを、PBSにより1回洗浄した後、トリプシンにより細胞を剥離した。次いで、剥離された細胞を、DMEM−10で1回洗浄した後、PBSにより1回洗浄した。最後に、細胞をPBSに107細胞/mlで再懸濁させた。ヌードマウス(nu/nu)に、28ゲージ針/1mlインスリン注射器を使用して、100μlのHT−29細胞(106細胞)を皮下接種した。腫瘍が体積100〜300mm3に達した時点で、マウスを、ゼローダ、5,10−CH2−THFA、ロイコボリン、または水の様々な組み合わせにより処置した。水およびゼローダ(72mg/マウス/日)は経口胃管栄養により投与された。5,10−CH2−THFAおよびロイコボリンは、ゼローダのおよそ20分前に腹腔内注射により投与された(0.6mg/マウス/薬物/日)。全ての薬物が14日間連続で1日1回投薬された。腫瘍サイズおよびマウスの体重が2〜4日毎に測定された。腫瘍体積は以下の式を使用して計算された:腫瘍体積=(長さ×幅2)/2。腫瘍が直径>2cmに達するか、または腫瘍が潰瘍化した時点で、マウスをCO2により安楽死させた後、頚部脱臼を行った。
【0172】
(データ分析)
腫瘍の増殖、生存率、および重量減少の統計分析および曲線フィッティングは、グラフパッドプリズム科学ソフトウェアを使用して実施された。
【0173】
(結果)
(腫瘍増殖)
腫瘍保持マウスを、表9に示される薬物の組み合わせにより処置した。ゼローダは、ヒトにおける使用について承認されている臨床レジメンと同様に経口投薬された。コントロールで処置されたマウス(水)と比較して、全てのゼローダ含有処置群が、より遅い腫瘍増殖を有していた(図19)。さらに、ロイコボリンおよび5,10−CH2−THFAの両方が、ゼローダの抗腫瘍活性を増加させた。これらの差は、表10に示される、指数関数的な腫瘍増殖のベストフィット直線回帰から計算された腫瘍倍化時間に見出され得る。
【0174】
【表9】
【0175】
【表10】
(生存率)
実験の間中、マウス生存率を追跡した(図20)。これらの結果は、薬物投薬の最初の日を1日目と定義して、実験の33日目に、5,10−CH2−THFA+ゼローダが、ロイコボリン+ゼローダ(25%)またはゼローダ単独(38%)と比較して、最も大きな生存率(67%)をもたらすことを示した。さらに、このデータは、全ての他の処置群についての≧30日と比較して、ロイコボリン+ゼローダにより処置されたマウスが、19日という中央生存率により示されるような、より急速な死亡率を有していたことを示唆する。
【0176】
(薬物毒性)
薬物毒性の代理マーカーとして、本発明者らは、マウスの体重を経時的に調査した。体重減少に関する国立癌研究所の共通毒性判定基準バージョン3グレード決定システム(National Cancer Institute’s Common Toxicity Criteria version 3 grading system)(表11)を使用して、最高毒性グレードの体重減少をプロットした(図21)。ゼローダは、単独では、比較的毒性はなく、マウスの36%においてグレード1の毒性を誘導するに過ぎなかったが、ロイコボリンは、グレード1〜3全体の毒性をマウスの90%にまで増加させた。この増加した毒性は、ロイコボリンが下痢、嘔吐、および粘膜炎症のようなゼローダ毒性パラメータを増加させることを示す第II相ヒト臨床試験結果と一致している(Van Cutsem,E.,M.Findlay,B.Osterwalder,W.Kocha,D.Dalley,R.Pazdur,J.Cassidy,L.Dirix,C.Twelves,D.Allman,J.F.Seitz,J.Scholmerich,H.U.Burger,およびJ.Verweij.2000.Capecitabine,an oral fluoropyrimidine carbamate with substantial activity in advanced colorectal cancer:results of a randomized phase II study.J Clin Oncol 18:1337)。対照的に、5,10−CH2−THFAは、ロイコボリンほどマウスにおけるゼローダ毒性を増加させず、マウスの50%のみがグレード1〜3の体重減少を有しており、ロイコボリン処置群と比較して毒性は40%低下していた。
【0177】
【表11】
(結論)
総合すると、このデータは、5,10−CH2−THFAがロイコボリンより少ない毒性でゼローダの抗腫瘍効力を増強することを示唆する。
【0178】
(参考文献)
【0179】
【表12】
全ての標題は読者の便宜のためのものであり、明示されない限り、標題に続く本文の意味を限定するためには使用されるべきではない。
【0180】
上記参考文献(bibliography)において引用されたものを含む、本明細書において引用された全ての参考文献は、その全体が本明細書において参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);抗VEGF(アバスチン(Avastin));およびロイコボリンの組み合わせにより処置されたヌードマウスにおけるHT−29腫瘍の増殖速度論を示すグラフである。HT−29腫瘍の体積を、示された薬物による処置開始からの時間に対してプロットした。平均腫瘍体積±平均値の標準誤差がプロットされている。曲線はベストフィット(best−fit)分析により作成された。
【図2】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);およびオキサリプラチンの組み合わせにより処置されたヌードマウスにおけるHT−29腫瘍の増殖速度論を示すグラフである。HT−29腫瘍の体積を、示された薬物による処置開始からの時間に対してプロットした。平均腫瘍体積±平均値の標準誤差がプロットされている。曲線はベストフィット分析により作成された。
【図3】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);抗VEGF(アバスチン);およびロイコボリンの組み合わせによるHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの処置後の平均腫瘍体積を示すグラフである。処置開始後22日目の平均腫瘍体積を各処置群についてプロットした。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
【図4】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);およびオキサリプラチンの組み合わせによるHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの処置後の平均腫瘍体積を示すグラフである。処置開始後22日目の平均腫瘍体積を各処置群についてプロットした。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
【図5】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);ロイコボリン;および抗VEGF(アバスチン)の組み合わせによる処置後のHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの生存率のカプランマイヤー(Kaplan−Meier)プロットを示す。
【図6】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);およびオキサリプラチンの組み合わせによる処置後のHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの生存率のカプランマイヤープロットを示す。
【図7】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);ロイコボリン;および抗VEGF(アバスチン)の組み合わせにより処置されたヌードマウスにおけるHT−29腫瘍の増殖速度論を示すグラフである。HT−29腫瘍の体積を、処置開始からの時間に対してプロットした。平均腫瘍体積±平均値の標準誤差がプロットされている。曲線はベストフィット分析により作成された。
【図8】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);ロイコボリン;および抗VEGF(アバスチン)の組み合わせによるHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの処置後の平均腫瘍体積を示すグラフである。処置開始後19日目の平均腫瘍体積を各処置群についてプロットした。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
【図9】5−FU;5,10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表されている);および抗VEGF(アバスチン)の組み合わせによる処置後のHT−29腫瘍を保持しているヌードマウスの生存率のカプランマイヤープロットである。
【図10】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの生存率のカプランマイヤープロットである。
【図11】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの血液分析を示すグラフである。グラフにプロットされた基線測定値に対する割合(%)を計算するため、薬物療法後1週間目に採取された血液測定値を、処置前の血液測定値により割った。平均データ値±平均値の標準誤差が、各処置群についてプロットされている。WBC、白血球;RBC、赤血球;HGB、ヘモグロビン;HCT、ヘマトクリット;MCV、平均細胞容積;MCH、平均細胞ヘモグロビン(mean cell hemoglobin);MCHC、平均細胞ヘモグロビン含量(mean cell hemoglobin content);PLT、血小板。
【図12】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの血小板毒性グレード決定を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、血小板毒性のグレードを各マウスについて計算した。グレード1または2、グレード3、およびグレード4の毒性を有するマウスの割合(%)が各処置群についてプロットされている。
【図13】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの好中球毒性グレード決定を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、好中球毒性のグレードを各マウスについて計算した。各処置群の中のグレード1または2、グレード3、およびグレード4の毒性を有するマウスの割合(%)がプロットされている。
【図14】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスの好中球毒性分析を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、グレード4の好中球毒性を有するマウスを、絶対好中球数に基づき細分した。示された好中球数を有するこれらのマウスの割合(%)が各処置群についてプロットされている。
【図15】5−FU;ロイコボリン;10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表記されている);およびゲムシタビンの組み合わせによる処置後のBalb/cマウスの体重減少毒性グレード決定を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、体重減少毒性のグレードを各マウスについて計算した。グレード0、1、2、および3の毒性を有するマウスの割合(%)が各処置群についてプロットされている。Gem.=ゲムシタビン。
【図16】5−FU;ロイコボリン;10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表記されている);およびゲムシタビンの組み合わせによる処置後のBalb/cマウスの体重減少率(%)を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、出発基線体重からの体重減少率(%)を各マウスについて計算した。次いで、図中に示された体重減少の範囲に属するマウスの割合(%)を、各処置群についてプロットした。Gem.=ゲムシタビン。
【図17】5−FU;ロイコボリン;10−CH2−THFA(ここでは「補因子」と表記されている);およびゲムシタビンの組み合わせによる処置後のBalb/cマウスのカプランマイヤー生存率プロットである。Gem.=ゲムシタビン。
【図18】5−FU、5−FU/ロイコボリン、および5−FU/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスのリンパ球減少毒性グレード決定を示すグラフである。薬物処置後1週間目に、リンパ球減少のグレードを各マウスについて計算した。グレード1/2、グレード3、およびグレード4の毒性を有するマウスの割合(%)が各処置群についてプロットされている。
【図19】カペシタビン(ゼローダ(Xeloda))、ゼローダ/ロイコボリン、およびゼローダ/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)により処置されたヌードマウスにおけるHT−29腫瘍の増殖速度論を示すグラフである。HT−29腫瘍の体積を、処置開始からの時間に対してプロットした。平均腫瘍体積±平均値の標準誤差がプロットされている。曲線はベストフィット分析により作成された。
【図20】カペシタビン(ゼローダ)、ゼローダ/ロイコボリン、およびゼローダ/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による処置後のBalb/cマウスのカプランマイヤー生存率プロットである。
【図21】カペシタビン(ゼローダ)、ゼローダ/ロイコボリン、およびゼローダ/5,10−CH2−THFA(5,10−CH2−THFAは「補因子」と表記されている)による8日間の処置後のBalb/cマウスの体重減少毒性を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の処置のための薬学的組成物の製造における、以下:
(a)5,10メチレンテトラヒドロ葉酸;および
(b)5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;および
(c)少なくとも1つの付加的な化学療法剤;
の使用であって、該少なくとも1つの付加的な化学療法剤が、以下:
アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬および5−フルオロウラシル調節因子からなる群より選択される、使用。
【請求項2】
前記処置される癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記少なくとも1つの付加的な化学療法剤が、特異的結合メンバーまたは核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子レセプターに結合する抗体を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項8】
前記増殖因子に結合する抗体が、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記少なくとも1つの付加的な化学療法剤が、イリノテカン(CPT−11)、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビノレルビンを含む群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記薬学的組成物が、注射または静脈内供給により投与されるよう処方される、請求項1に記載の使用。
【請求項12】
前記薬学的組成物の成分(a)、(b)および(c)が、単一の処方物として処方される、請求項1に記載の使用。
【請求項13】
前記薬学的組成物の成分(a)、(b)および(c)が、別々に処方される、請求項1に記載の使用。
【請求項14】
癌を有する患者を処置する方法であって、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;5,10メチレンテトラヒドロ葉酸;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項15】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記5−フルオロウラシルが注射により投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約25mgから約5gである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約50mgから約2.5gである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約100mgから約1gである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約50mgから250mgである、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記癌が乳癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が膵臓癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記癌が胃癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記特異的結合メンバーが、VEGFに結合する抗体を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記特異的結合メンバーが、EGFRに結合する抗体を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項39】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項28に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項28に記載の方法。
【請求項48】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項28に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンの毒性を低下させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;
フォリン酸;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;
を包含する、方法。
【請求項53】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌または頭頸部癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記癌が乳癌である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記癌が膵臓癌である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記癌が胃癌である、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項66】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記増殖因子に結合する抗体が、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項58に記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項58に記載の方法。
【請求項74】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項58に記載の方法。
【請求項76】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがマイトマイシンCまたはシクロホスファミドである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項58に記載の方法。
【請求項80】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項58に記載の方法。
【請求項83】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬の毒性を低下させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンに5,10メチレンテトラヒドロ葉酸を追加する工程;
を包含する、方法。
【請求項85】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記5−フルオロウラシルが注射により投与される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約25mgから約5gである、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約50mgから約2.5gである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約100mgから約1gである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項84に記載の方法。
【請求項91】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項80に記載の方法。
【請求項92】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項82に記載の方法。
【請求項93】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項83に記載の方法。
【請求項94】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与され得る、請求項84に記載の方法。
【請求項95】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項84に記載の方法。
【請求項96】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項99】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項100】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項84に記載の方法。
【請求項101】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記癌が乳癌である、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
前記癌が膵臓癌である、請求項100に記載の方法。
【請求項104】
前記癌が胃癌である、請求項100に記載の方法。
【請求項105】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項106】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子レセプターに結合する抗体を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項110】
前記増殖因子に結合する抗体がEGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項98に記載の方法。
【請求項113】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項98に記載の方法。
【請求項115】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項98に記載の方法。
【請求項117】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項98に記載の方法。
【請求項120】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項98に記載の方法。
【請求項123】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
癌を有する患者に投与される抗癌薬レジメンの毒性を低下させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルのアナログまたはプロドラッグおよびフォリン酸:
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;
を包含する、方法。
【請求項125】
前記5−フルオロウラシルのアナログまたはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約200mgから約1500mgである、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与され得る、請求項124に記載の方法。
【請求項130】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項114に記載の方法。
【請求項131】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項121に記載の方法。
【請求項132】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項122に記載の方法。
【請求項133】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;
フォリン酸;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;
を包含する、方法。
【請求項134】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項140】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項141】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌または頭頸部癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項142】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項143】
前記癌が乳癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項144】
前記癌が膵臓癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項145】
前記癌が胃癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項146】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項140に記載の方法。
【請求項147】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記特異的結合メンバーが、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項146に記載の方法。
【請求項151】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項141に記載の方法。
【請求項152】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項139に記載の方法。
【請求項153】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項139に記載の方法。
【請求項155】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項139に記載の方法。
【請求項157】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンCまたはシクロホスファミドである、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項156に記載の方法。
【請求項159】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項139に記載の方法。
【請求項161】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項139に記載の方法。
【請求項164】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンに5,10メチレンテトラヒドロ葉酸を追加する工程;
を包含する、方法。
【請求項166】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記5−フルオロウラシルが注射により投与され得る、請求項166に記載の方法。
【請求項168】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約25mgから約5gである、請求項166に記載の方法。
【請求項169】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約50mgから約2.5gである、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約100mgから約1gである、請求項160に記載の方法。
【請求項171】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項165に記載の方法。
【請求項173】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)が、1日1〜6回、経口処方物中で投与され得る、請求項171に記載の方法。
【請求項174】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項163に記載の方法。
【請求項175】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項175に記載の方法。
【請求項177】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与され得る、請求項165に記載の方法。
【請求項178】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項165に記載の方法。
【請求項179】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項168に記載の方法。
【請求項180】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項169に記載の方法。
【請求項181】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項165に記載の方法。
【請求項182】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項165に記載の方法。
【請求項183】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項165に記載の方法。
【請求項184】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項183に記載の方法。
【請求項185】
前記癌が乳癌である、請求項183に記載の方法。
【請求項186】
前記癌が膵臓癌である、請求項183に記載の方法。
【請求項187】
前記癌が胃癌である、請求項183に記載の方法。
【請求項188】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項182に記載の方法。
【請求項189】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項188に記載の方法。
【請求項190】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項190に記載の方法。
【請求項192】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子レセプターに結合する抗体を含む、請求項188に記載の方法。
【請求項193】
前記増殖因子に結合する抗体が、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項192に記載の方法。
【請求項194】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項193の方法。
【請求項195】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項181に記載の方法。
【請求項196】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項195に記載の方法。
【請求項197】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項181に記載の方法。
【請求項198】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項181に記載の方法。
【請求項200】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項199に記載の方法。
【請求項201】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項200に記載の方法。
【請求項202】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項181に記載の方法。
【請求項203】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項203に記載の方法。
【請求項205】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項181に記載の方法。
【請求項206】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項205に記載の方法。
【請求項207】
癌を有する患者に投与される抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルのアナログまたはプロドラッグおよびフォリン酸;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;
を包含する、方法。
【請求項208】
前記5−フルオロウラシルのアナログまたはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項207に記載の方法。
【請求項209】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)が、1日1〜6回、経口処方物中で投与され得る、請求項208に記載の方法。
【請求項210】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項208に記載の方法。
【請求項211】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項200に記載の方法。
【請求項212】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項201に記載の方法。
【請求項213】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与され得る、請求項197に記載の方法。
【請求項214】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項197に記載の方法。
【請求項215】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項214に記載の方法。
【請求項216】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項215に記載の方法。
【請求項217】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;
フォリン酸;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;
抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;ならびに
増加した効力を有する抗癌薬レジメンを入手するため抗癌薬レジメン中の少なくとも1つの付加的な抗癌薬の投薬量を増加させる工程;
を包含する、方法。
【請求項218】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項217に記載の方法。
【請求項219】
前記5−フルオロウラシルが注射により投与される、請求項218の方法。
【請求項220】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約25mgから約5gである、請求項208に記載の方法。
【請求項221】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約50mgから約2.5gである、請求項220に記載の方法。
【請求項222】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約100mgから約1gである、請求項221に記載の方法。
【請求項223】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項217に記載の方法。
【請求項224】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)が、1日1〜6回、経口処方物中で投与される、請求項223に記載の方法。
【請求項225】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項223に記載の方法。
【請求項226】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから5gである、請求項225に記載の方法。
【請求項227】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項226に記載の方法。
【請求項228】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与される、請求項227に記載の方法。
【請求項229】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項217に記載の方法。
【請求項230】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約25mgから500mgである、請求項229に記載の方法。
【請求項231】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約50mgから250mgである、請求項220に記載の方法。
【請求項232】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項217に記載の方法。
【請求項233】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項217に記載の方法。
【請求項234】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項217に記載の方法。
【請求項235】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項234に記載の方法。
【請求項236】
前記癌が乳癌である、請求項234に記載の方法。
【請求項237】
前記癌が膵臓癌である、請求項234に記載の方法。
【請求項238】
前記癌が胃癌である、請求項234に記載の方法。
【請求項239】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項233に記載の方法。
【請求項240】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項239に記載の方法。
【請求項241】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項240に記載の方法。
【請求項242】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項241に記載の方法。
【請求項243】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子レセプターに結合する抗体を含む、請求項239に記載の方法。
【請求項244】
前記増殖因子に結合する抗体が、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項243に記載の方法。
【請求項245】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項234に記載の方法。
【請求項246】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項232に記載の方法。
【請求項247】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項246に記載の方法。
【請求項248】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項232に記載の方法。
【請求項249】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項248に記載の方法。
【請求項250】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項232に記載の方法。
【請求項251】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項250に記載の方法。
【請求項252】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項241に記載の方法。
【請求項253】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項232に記載の方法。
【請求項254】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項253に記載の方法。
【請求項255】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項254に記載の方法。
【請求項256】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項232に記載の方法。
【請求項257】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項256に記載の方法。
【請求項1】
癌の処置のための薬学的組成物の製造における、以下:
(a)5,10メチレンテトラヒドロ葉酸;および
(b)5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;および
(c)少なくとも1つの付加的な化学療法剤;
の使用であって、該少なくとも1つの付加的な化学療法剤が、以下:
アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬および5−フルオロウラシル調節因子からなる群より選択される、使用。
【請求項2】
前記処置される癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記少なくとも1つの付加的な化学療法剤が、特異的結合メンバーまたは核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子レセプターに結合する抗体を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項8】
前記増殖因子に結合する抗体が、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記少なくとも1つの付加的な化学療法剤が、イリノテカン(CPT−11)、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビノレルビンを含む群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記薬学的組成物が、注射または静脈内供給により投与されるよう処方される、請求項1に記載の使用。
【請求項12】
前記薬学的組成物の成分(a)、(b)および(c)が、単一の処方物として処方される、請求項1に記載の使用。
【請求項13】
前記薬学的組成物の成分(a)、(b)および(c)が、別々に処方される、請求項1に記載の使用。
【請求項14】
癌を有する患者を処置する方法であって、5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;5,10メチレンテトラヒドロ葉酸;および少なくとも1つの付加的な抗癌薬を患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項15】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記5−フルオロウラシルが注射により投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約25mgから約5gである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約50mgから約2.5gである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約100mgから約1gである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約50mgから250mgである、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記癌が乳癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が膵臓癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記癌が胃癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記特異的結合メンバーが、VEGFに結合する抗体を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記特異的結合メンバーが、EGFRに結合する抗体を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項39】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項28に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項28に記載の方法。
【請求項48】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項28に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンの毒性を低下させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;
フォリン酸;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;
を包含する、方法。
【請求項53】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌または頭頸部癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記癌が乳癌である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記癌が膵臓癌である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記癌が胃癌である、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項66】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記増殖因子に結合する抗体が、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項58に記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項58に記載の方法。
【請求項74】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項58に記載の方法。
【請求項76】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがマイトマイシンCまたはシクロホスファミドである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項58に記載の方法。
【請求項80】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項58に記載の方法。
【請求項83】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬の毒性を低下させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンに5,10メチレンテトラヒドロ葉酸を追加する工程;
を包含する、方法。
【請求項85】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記5−フルオロウラシルが注射により投与される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約25mgから約5gである、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約50mgから約2.5gである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約100mgから約1gである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項84に記載の方法。
【請求項91】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項80に記載の方法。
【請求項92】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項82に記載の方法。
【請求項93】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項83に記載の方法。
【請求項94】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与され得る、請求項84に記載の方法。
【請求項95】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項84に記載の方法。
【請求項96】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項99】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項100】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項84に記載の方法。
【請求項101】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記癌が乳癌である、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
前記癌が膵臓癌である、請求項100に記載の方法。
【請求項104】
前記癌が胃癌である、請求項100に記載の方法。
【請求項105】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項106】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子レセプターに結合する抗体を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項110】
前記増殖因子に結合する抗体がEGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項98に記載の方法。
【請求項113】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項98に記載の方法。
【請求項115】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項98に記載の方法。
【請求項117】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項98に記載の方法。
【請求項120】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項98に記載の方法。
【請求項123】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
癌を有する患者に投与される抗癌薬レジメンの毒性を低下させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルのアナログまたはプロドラッグおよびフォリン酸:
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;
を包含する、方法。
【請求項125】
前記5−フルオロウラシルのアナログまたはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約200mgから約1500mgである、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与され得る、請求項124に記載の方法。
【請求項130】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項114に記載の方法。
【請求項131】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項121に記載の方法。
【請求項132】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項122に記載の方法。
【請求項133】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;
フォリン酸;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;
を包含する、方法。
【請求項134】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項140】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項141】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌または頭頸部癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項142】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項143】
前記癌が乳癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項144】
前記癌が膵臓癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項145】
前記癌が胃癌である、請求項133に記載の方法。
【請求項146】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項140に記載の方法。
【請求項147】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記特異的結合メンバーが、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項146に記載の方法。
【請求項151】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項141に記載の方法。
【請求項152】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項139に記載の方法。
【請求項153】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項139に記載の方法。
【請求項155】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項139に記載の方法。
【請求項157】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンCまたはシクロホスファミドである、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項156に記載の方法。
【請求項159】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項139に記載の方法。
【請求項161】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項139に記載の方法。
【請求項164】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンに5,10メチレンテトラヒドロ葉酸を追加する工程;
を包含する、方法。
【請求項166】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記5−フルオロウラシルが注射により投与され得る、請求項166に記載の方法。
【請求項168】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約25mgから約5gである、請求項166に記載の方法。
【請求項169】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約50mgから約2.5gである、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約100mgから約1gである、請求項160に記載の方法。
【請求項171】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項165に記載の方法。
【請求項173】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)が、1日1〜6回、経口処方物中で投与され得る、請求項171に記載の方法。
【請求項174】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項163に記載の方法。
【請求項175】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項175に記載の方法。
【請求項177】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与され得る、請求項165に記載の方法。
【請求項178】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項165に記載の方法。
【請求項179】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項168に記載の方法。
【請求項180】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項169に記載の方法。
【請求項181】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項165に記載の方法。
【請求項182】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項165に記載の方法。
【請求項183】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項165に記載の方法。
【請求項184】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項183に記載の方法。
【請求項185】
前記癌が乳癌である、請求項183に記載の方法。
【請求項186】
前記癌が膵臓癌である、請求項183に記載の方法。
【請求項187】
前記癌が胃癌である、請求項183に記載の方法。
【請求項188】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項182に記載の方法。
【請求項189】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項188に記載の方法。
【請求項190】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項190に記載の方法。
【請求項192】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子レセプターに結合する抗体を含む、請求項188に記載の方法。
【請求項193】
前記増殖因子に結合する抗体が、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項192に記載の方法。
【請求項194】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項193の方法。
【請求項195】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項181に記載の方法。
【請求項196】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項195に記載の方法。
【請求項197】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項181に記載の方法。
【請求項198】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項181に記載の方法。
【請求項200】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項199に記載の方法。
【請求項201】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項200に記載の方法。
【請求項202】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項181に記載の方法。
【請求項203】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項203に記載の方法。
【請求項205】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項181に記載の方法。
【請求項206】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項205に記載の方法。
【請求項207】
癌を有する患者に投与される抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルのアナログまたはプロドラッグおよびフォリン酸;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;ならびに
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;
を包含する、方法。
【請求項208】
前記5−フルオロウラシルのアナログまたはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項207に記載の方法。
【請求項209】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)が、1日1〜6回、経口処方物中で投与され得る、請求項208に記載の方法。
【請求項210】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項208に記載の方法。
【請求項211】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから約5gである、請求項200に記載の方法。
【請求項212】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項201に記載の方法。
【請求項213】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与され得る、請求項197に記載の方法。
【請求項214】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項197に記載の方法。
【請求項215】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約20mgから500mgである、請求項214に記載の方法。
【請求項216】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約30mgから250mgである、請求項215に記載の方法。
【請求項217】
癌と診断された患者に投与される抗癌薬レジメンの効力を増加させる方法であって、以下:
5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグ;
フォリン酸;および
少なくとも1つの付加的な抗癌薬;
を含む抗癌薬レジメンを入手する工程;
抗癌薬レジメン中のフォリン酸を5,10メチレンテトラヒドロ葉酸に置換する工程;ならびに
増加した効力を有する抗癌薬レジメンを入手するため抗癌薬レジメン中の少なくとも1つの付加的な抗癌薬の投薬量を増加させる工程;
を包含する、方法。
【請求項218】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグが5−フルオロウラシルである、請求項217に記載の方法。
【請求項219】
前記5−フルオロウラシルが注射により投与される、請求項218の方法。
【請求項220】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約25mgから約5gである、請求項208に記載の方法。
【請求項221】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約50mgから約2.5gである、請求項220に記載の方法。
【請求項222】
前記5−フルオロウラシルの投薬量が、1m2当たり約100mgから約1gである、請求項221に記載の方法。
【請求項223】
前記5−フルオロウラシルまたはそのアナログもしくはプロドラッグがN4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)である、請求項217に記載の方法。
【請求項224】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)が、1日1〜6回、経口処方物中で投与される、請求項223に記載の方法。
【請求項225】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の1日投薬量が、1m2当たり約500mgから約7.5gである、請求項223に記載の方法。
【請求項226】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1000mgから5gである、請求項225に記載の方法。
【請求項227】
前記N4−ペントキシルカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(カペシタビン)の投薬量が、1m2当たり約1500mgから約3000mgである、請求項226に記載の方法。
【請求項228】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸が注射により投与される、請求項227に記載の方法。
【請求項229】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約10mgから1gである、請求項217に記載の方法。
【請求項230】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約25mgから500mgである、請求項229に記載の方法。
【請求項231】
前記5,10メチレンテトラヒドロ葉酸の投薬量が、1m2当たり約50mgから250mgである、請求項220に記載の方法。
【請求項232】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、以下:アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼインヒビター、微小管破壊薬、核酸合成インヒビター、キナーゼインヒビター、ホルモン遮断薬、プロテオソームインヒビター、血管新生インヒビター、免疫調節因子、抗炎症薬、サイトカイン、サイトカインインヒビター、レセプター結合薬または5−フルオロウラシル調節因子のうちの少なくとも1つを含む、請求項217に記載の方法。
【請求項233】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、特異的結合メンバー、核酸分子もしくは核酸アナログ分子または低分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項217に記載の方法。
【請求項234】
前記癌が、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、膵臓癌、食道癌または頭頸部癌である、請求項217に記載の方法。
【請求項235】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項234に記載の方法。
【請求項236】
前記癌が乳癌である、請求項234に記載の方法。
【請求項237】
前記癌が膵臓癌である、請求項234に記載の方法。
【請求項238】
前記癌が胃癌である、請求項234に記載の方法。
【請求項239】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが特異的結合メンバーを含む、請求項233に記載の方法。
【請求項240】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子に結合する抗体を含む、請求項239に記載の方法。
【請求項241】
前記増殖因子に結合する抗体が、VEGFに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項240に記載の方法。
【請求項242】
前記VEGFに結合する抗体がベバシツマブである、請求項241に記載の方法。
【請求項243】
前記特異的結合メンバーが、増殖因子レセプターに結合する抗体を含む、請求項239に記載の方法。
【請求項244】
前記増殖因子に結合する抗体が、EGFRに結合する少なくとも1つの抗体である、請求項243に記載の方法。
【請求項245】
前記EGFRに結合する抗体がセツキシマブである、請求項234に記載の方法。
【請求項246】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがトポイソメラーゼインヒビターである、請求項232に記載の方法。
【請求項247】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがイリノテカンである、請求項246に記載の方法。
【請求項248】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが代謝拮抗物質である、請求項232に記載の方法。
【請求項249】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、(E)−2’−デオキシ−2’−(フルオロメチレン)シチジン(テザシタビン)、ドキソルビシンまたはエピルビシンである、請求項248に記載の方法。
【請求項250】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがアルキル化剤である、請求項232に記載の方法。
【請求項251】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、マイトマイシンC、シクロホスファミド、シスプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項250に記載の方法。
【請求項252】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがオキサリプラチンである、請求項241に記載の方法。
【請求項253】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つがキナーゼインヒビターである、請求項232に記載の方法。
【請求項254】
前記キナーゼインヒビターがチロシンキナーゼインヒビターである、請求項253に記載の方法。
【請求項255】
前記チロシンキナーゼインヒビターがEGFRチロシンキナーゼインヒビターまたはVEGFRチロシンキナーゼインヒビターである、請求項254に記載の方法。
【請求項256】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが微小管破壊剤である、請求項232に記載の方法。
【請求項257】
前記少なくとも1つの付加的な抗癌薬のうちの少なくとも1つが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはビノレルビンである、請求項256に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2007−531728(P2007−531728A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506303(P2007−506303)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/011046
【国際公開番号】WO2005/097086
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506329535)アドベントルクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/011046
【国際公開番号】WO2005/097086
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506329535)アドベントルクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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