説明

発光ダイオード用のシリコーンカプセル材料

【課題】シリコーン系ポリマー及びポリマー組成物、前記シリコーン系ポリマー及びポリマー組成物の製造方法ならびに発光ダイオード(LED)との併用方法を提供する。
【解決手段】前記ポリマーは、(1)特定のSi−H含有シクロシロキサンオリゴマーと(2)式XI:


で表されるビニルシロキサンオリゴマーとを、貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下に、反応させる方法により製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン系ポリマー及びポリマー組成物、前記シリコーン系ポリマー及びポリマー組成物の製造方法ならびに発光ダイオード(LED)との併用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用及び住宅用照明器具向けに目下開発が進められている次世代の高輝度発光ダイオード(LED)は、新しい種類のカプセル材料を必要としている。長時間(10,000〜100,000時間)/高温度(100〜200℃)の動作条件に適合しうるような有望なカプセル材料はまだ存在しないからである。
【0003】
現在得られるエポキシ(又は他ポリマー)系カプセル材料は、高輝度LEDの過酷な動作条件下では、許容限度を超える黄変や劣化に見舞われる。更に、新たなカプセル材料候補は現行のカプセル材料製造方法と類似し、そして、適合することができる条件下で製造可能でなくてはならない。前述の欠点を少なくとも1つ克服するようなポリマー及びポリマーフィルム、そのLEDとの併用方法が求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの観点は、
(1)式X:
【化1】


で表されるシクロシロキサンオリゴマーと
(2)式XI:
【化2】


で表されるビニルシロキサンオリゴマーとを、貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下に、反応させる方法により製造されるポリマーに関する。前記式(X)で表されるオリゴマーにおいて、nは0〜6の整数である。各Rは、水素原子、メチル基、アルキル基及びハロアルキル基より独立に選択することができるが、ただし少なくとも2つのRは水素原子でなければならない。前記式(XI)で表されるオリゴマーにおいて、mは2〜20の整数である。各RはシロキサンユニットごとにCH、OCH、OCHCH、ビニル基、及びさらなる[−O−SiR−]q−OCHユニットより独立に選択することができ、qは2〜20の整数である。少なくとも1つのRは、ビニル含有ユニットでなければならない。前記ビニルシロキサンオリゴマーは、25℃での粘度が10〜10,000センチポアズでなければならず、そしてアルコキシ基のSi原子に対する比は0.004:1〜1.5:1の範囲内である。
【0005】
本発明の第2の観点は、
(a)式X:
【化3】


で表されるシクロシロキサンオリゴマーと
(b)式XI:
【化4】


で表されるビニルシロキサンオリゴマーと
c.フィラーと
を貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下に、反応させる方法により製造されるポリマー組成物に関する。前記ポリマー組成物の屈折率は1.3〜2.5である。
【0006】
本発明の第3の観点は、
(a)式X:
【化5】


で表されるシクロシロキサンオリゴマーと
(b)式XI:
【化6】


で表されるビニルシロキサンオリゴマーとを含むプレポリマー混合物に関する。
【0007】
本発明の第4の観点は、
支持体;
前記支持体と動作可能に一体化された発光ダイオード(LED);及び
前記LEDをカプセル化するポリマー組成物であって、
(a)式X:
【化7】


で表されるシクロシロキサンオリゴマーと
(b)式XI:
【化8】


で表されるビニルシロキサンオリゴマーを反応させる方法により製造されるポリマーを含むポリマー組成物;
を含む発光装置に関する。
【0008】
本発明の第5の観点は、ポリマーカプセル化発光ダイオードを製造する方法であって、25℃での粘度が10〜10,000cpであり複数のビニル官能性を有するビニルシロキサンオリゴマーを準備する工程;貴金属ヒドロシリル化触媒を準備する工程;及び以下の構造I、構造II、構造III、構造IV、構造V、構造VI及び構造VII:
【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】


より選択されるシクロシロキサンオリゴマーを準備する工程;前記ビニルシロキサンオリゴマー、前記貴金属ヒドロシリル化触媒及び前記シクロシロキサンオリゴマーを組合わせて混合物とする工程;前記混合物を発光ダイオード(LED)に付与する工程;及び前記混合物を硬化させてポリマーカプセル化LEDを形成する工程を含む方法に関する。
【0009】
本発明の第6の観点は、ポリマーカプセル化発光ダイオードを製造する方法であって、前記のプレポリマー混合物を準備する工程;前記プレポリマー混合物を発光ダイオード(LED)に付与する工程;及び前記混合物を硬化させてポリマーカプセル化LEDを形成する工程を含む方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【0010】
本明細書において、用語と置換基は、それらを最初に記載する際に定義してあり、その定義は、本明細書を通じて維持される。
【0011】
本発明では、シクロシロキサンオリゴマーとビニルシロキサンオリゴマーとを貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下に反応させる方法により製造されるポリマーを提供する。前記シクロシロキサンオリゴマーは次の式Xで表される:
【化16】


式中、変数nは、0〜6の整数である。各置換基Rは、水素原子、メチル基、アルキル基、ハロアルキル基から独立に選択することができるが、ただし少なくとも2つのRは水素原子でなければならない。変数nはまた0、1、2又は3を下限とし4、5又は6を上限とする範囲内で変動することがある。変数nの範囲は、前記変動範囲において前記数値を含むものであると共に、前記数値を組み合せ可能である。本発明の実施態様において使用可能であるシクロシロキサンオリゴマーは、以下に限定されるものではないが、次の構造I、II、III、IV、V、VI及びVIIを挙げることができる:
【化17】


【化18】


【化19】


【化20】


【化21】


【化22】


【化23】


上記の構造は、立体化学又は幾何異性を特定するものではない。化合物I〜VIIの純粋異性体又は異性体混合物を使用することができる。
【0012】
ビニルシロキサンオリゴマーは次の式XIで表される:
【化24】


式中、変数mは2〜20の整数であり、各置換基RはシロキサンユニットごとにCH、OCH、OCHCH、ビニル基、及びさらなる[−O−SiR−]q−OCHユニットより独立に選択しうる。ただし、少なくとも1つのRはビニル含有ユニットでなければならない。前記ビニルシロキサンオリゴマーは25℃での粘度が10〜10,000センチポアズ(cp)であり、またアルコキシ基のSi原子に対する比が0.004:1〜1.5:1の範囲内である。
【0013】
添え字qは2〜20の整数である。変数mと添え字qはまた2、3、4又は5を下限とし10、15、17、18又は20を上限とする範囲内で変動してもよい。m及びqの範囲は、前記変動範囲において前記数値を含むものである(包含的)と共に、前記数値を組み合せ可能である。前記ビニルシロキサンオリゴマーは更に25℃での粘度が10〜10,000cp;20〜1,000cp;50〜600cp;及び150〜500cpの範囲内で変動してもよい。粘度の範囲は、前記変動範囲において前記数値を含むものであると共に、前記数値を組み合せ可能である。前記ビニルシロキサンオリゴマー中のアルコキシ基のSi原子に対する比は更に0.004:1〜1.5:1;0.02:1〜1.3:1;0.1:1〜1.2:1;及び0.5:1〜0.7:1の範囲内で変動してもよい。
【0014】
前記ポリマーは、反応工程式1に示すように、貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下にビニルシロキサンオリゴマーをSi−H含有シロキサンオリゴマーと重合させて製造する。反応工程式1中のビニルシロキサンオリゴマー反応物はビニルシロキサンオリゴマーの構造の確定よりもむしろ例示が目的である。
【0015】
反応工程式1
【化25】

【0016】
本発明のポリマーは屈折率(RI)が1.39〜1.5の範囲内である。前記ポリマーをたとえばLEDのカプセル化に使用するとき、当業者は一般に硬化ポリマーのRIをLEDのRIと合致させるよう努めるであろう。前記ポリマーでは1.3〜1.5の屈折率は通常の範囲であり、1.39〜1.45及び1.39〜1.41が一般的である。前記範囲の数値は全て包含的であり、そして、組み合わせ可能である。前記フィルムは、140℃の温度に1,000時間暴露するとき、450〜470nmの範囲内での光透過の低下が10%未満である。前記暴露は強制換気オーブン内で行った。
【0017】
前記ビニルオキシランオリゴマーは、水の存在下にビニルトリアルコキシシランをジアルキルジアルコキシシランと縮合させて形成する(反応工程式2)。ビニルトリアルコキシシランのジアルキルジアルコキシシランに対するモル比は2.0:1〜1:20、1.5:1〜1:10及び1.1:1.0〜1:5の変動範囲内である。前記範囲の数値は全て包含的であり、そして、組み合せ可能である。この縮合反応の結果は、複数のビニル官能性をもつ無色透明な低分子量のシロキサンオリゴマー、すなわち、ビニルシロキサンオリゴマーである。縮合反応系内の水分量は縮合度に影響する。つまり水分量はビニルシロキサンの分子量に影響する。
【0018】
反応工程式2
【化26】

【0019】
反応工程式2に示す縮合反応生成物は、ビニルシロキサンオリゴマーの構造の確定よりもむしろ例示が目的である。前述のゾル−ゲル反応によって生成されるビニルシロキサンオリゴマーが実際には線状繰り返し単位、分枝状繰り返し単位、環状繰り返し単位、及びそれらの組み合わせを含むことあるということが認識されている。
【0020】
出発シロキサン材料の縮合は、縮合触媒を使用して、又は使用せずに、行うことができる。酸性又は塩基性縮合触媒を使用して、縮合反応速度を増加させることがある。使用可能な酸性縮合触媒は、例えば、塩酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸及び硫酸を挙げることができる。使用可能な塩基性縮合触媒は、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、グアニジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,7−ジアザビシクロ[4.3.0.]ノナン、及び1,4−ジアザビシクロオクタンを挙げることができる。この縮合反応は、副生成物のアルコールを減圧留去することにより、更に加速することができる。
【0021】
反応工程式2の反応物も、他のシロキサン含有成分、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメトキシジビニルシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエトキシメトキシシランなどを含むことがある。
【0022】
本発明の実施態様において、前記の式XIとは別に、ビニルシロキサンオリゴマーを一般組成式XII
【化27】


で示すこともできる。式XIIは、Si(ケイ素原子)ないしO(酸素原子)に対するRの比であり、Rは前記式XIの諸々のアルコキシ基、メチル基及びビニル置換基R、それに末端アルコキシ基及び1つのビニル基を一括して表す。Rの例はOCH、OCHCH、メチル基及びビニル基などである。変数nは1.4、1.7、2.0又は2.1を下限とし2.3、2.5、2.6又は2.7を上限とする範囲内で変動してもよい。ビニルシロキサンオリゴマー中のアルコキシ置換基のSi原子に対する比はプロトン核磁気共鳴分光法で求める。
【0023】
本発明のヒドロシリル化重合反応では、ビニルシロキサンオリゴマーのビニル基のシクロシロキサンオリゴマーのSi−H基に対する当量比(すなわちSi−Hの当量に対するビニルの当量の比)は次の範囲内で変動する:0.5:1.0〜2.0:1.0、0.8:1.0〜1.2:1.0、及び0.9:1.0〜1.1:1.0。これらの変動範囲内の数値は全て包含的であり、そして、組み合せ可能である。貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下にシクロシロキサンオリゴマーをビニルシロキサンオリゴマーと反応させて製造されるポリマーに関するこれまでの説明は、ビニルシロキサンオリゴマーとシクロシロキサンオリゴマーの両官能基が化学量論的に反応することを何ら意味するものではない。
【0024】
シクロシロキサンオリゴマーとビニルシロキサンオリゴマーとの反応は貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下に行わせる。貴金属ヒドロシリル化触媒という用語の意味は、少なくとも1つの貴金属を含み二重結合のヒドロシリル化の触媒として機能する化合物又は錯体を包含する。この用語は元素状態の貴金属も包含する。
【0025】
ロジウムは必ずしも貴金属に含められるとは限らないが、本明細書ではRh化合物、錯体及び元素状態のRhは本発明との関係では特に断らない限り貴金属として扱い、Pd、Pt、Ir及びRhはすべて貴金属の定義に含まれるものとみなす。
【0026】
本発明の1つの実施態様では、シクロシロキサンオリゴマーのビニルシロキサンオリゴマーとの反応に使用する貴金属ヒドロシリル化触媒は、以下に限定されるものではないが、例えば、クロロ白金酸、カーステッド(Karstedt)触媒(Pt{[(CH=CH)MeSi]O})、アシュビー(Ashby)触媒{[(CH=CH)MeSiO]Pt、ウィルキンソン(Wilkinson)触媒[トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロライド]、ポリマー結合型ウィルキンソン触媒、トリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)クロライド、クロロ白金酸/オクタノール錯体、白金シクロビニルメチルシロキサン錯体(アシュビー−カーステッド触媒)、白金カルボニル−シクロビニルメチルシロキサン錯体、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム2,4−ペンタンジオナート、イリジウム2,4−ペンタンジオナート、イリジウムシクロオクタジエンクロライド、プラチナ金属、パラジウム金属、イリジウム金属、及びロジウム金属を挙げることができる。
【0027】
一般に、カーステッド触媒は、前記のシクロシロキサンオリゴマー及びビニルシロキサンオリゴマー共に、温度及び時間が変化しうるような反応条件下で、使用される。前記反応は50℃〜200℃の温度範囲で行わせることができる。前記反応はまた60℃〜180℃、70℃〜150℃、及び90℃〜120℃の温度範囲で行わせることもできる。これらの温度範囲の数値は全て包含的であり、そして、組み合せ可能である。
【0028】
貴金属ヒドロシリル化触媒はきわめて効率的であり、重合を起こすにはppm単位の量が必要となるにすぎない。本発明の1つの実施態様では、1〜100ppmの貴金属ヒドロシリル化触媒が存在することがあり、ビニルシロキサンオリゴマーとシクロシロキサンとの重合が促進する。貴金属ヒドロシリル化触媒の存在量の範囲は5〜80ppm、10〜60ppm、及び20〜40ppmであることもある。貴金属ヒドロシリル化触媒の存在量の範囲の数値は全て包含的であり、そして、組み合せ可能である。
【0029】
貴金属ヒドロシリル化触媒の量を決める場合、ビニルシロキサンオリゴマーとシクロシロキサンとの重合の促進には、また残留触媒に起因するポリマー生成物の変色防止にも、前記範囲内(各数値が包含的及び/又は組み合せ可能)の任意量の貴金属ヒドロシリル化触媒を使用しうることは当業者には自明であろう。
【0030】
前記の温度範囲は、反応を起こせる温度又は温度範囲を限定するものではない。当業者には自明であろうが、ヒドロシリル化が促進される限りで、また本発明によるポリマー生成物だけでなく反応物にも劣化をもたらすことなくヒドロシリル化が起こりうる限りで、任意の温度を使用することができる。
【0031】
更に、前記の温度範囲はヒドロシリル化反応を一定温度で進めなければならないという意味ではない。本発明によるポリマーの形成を可能にする限りで、反応温度は前記範囲内(各数値が包含的及び/又は組み合せ可能)で、定率で又は段階的に変化させることができる。例えば、反応をある時間、例えば、5時間にわたり50℃で行わせ、5時間後に温度を100℃へと(定率で)上昇させ、そのまま2時間保つこともできる。反応が完了するまで温度を連続的に(定率で)上昇させることができる。温度段階と時間は実施者の裁量になるが、それらはポリマー化学の当業者には自明であろう。
【0032】
反応を行わせる時間の長さは変えることができる。一般的には反応時間の長さは16〜20時間である。しかし当業者には自明であろうが、重合が起き本発明のポリマーが形成される時間の長さは温度の変化に応じて調節することができる。生成物の形成は標準的なスペクトル分析装置でモニターすることができ、そして、それにより反応物がポリマー生成物に変換した時点で反応を停止させることもできる。
【0033】
本発明ではポリマー組成物が提供される。前記ポリマー組成物は前記ポリマーと前記ポリマー内部に分散させたフィラーとを含む(反応工程式3)。
反応工程式3
【化28】

【0034】
本発明の実施態様に使用することができるフィラーは、以下に限定されるものではないが、例えば、ホウ素、亜鉛、ストロンチウム、ケイ素、チタン、アルミニウム、ゲルマニウム、スズなどの無色酸化物を挙げることができる。前記フィラーの平均的な粒子サイズ(平均粒径)は、0.1〜10ミクロン、0.2〜5ミクロン、及び0.5〜1.0ミクロンなどの範囲内である。使用可能な他のフィラーとしてカーボンナノチューブ、充実型若しくは中空ガラス球又は石英繊維、及び雲母小板などがある。
【0035】
一般に、前記フィラーを添加し、ポリマー組成物をその総合的な屈折率及び機械的特性、たとえば収縮特性、熱膨張率(CTE)、硬さのなどの点で改質する。ポリマー組成物に占めるフィラーの割合は、次の範囲内とすることができる:5重量%〜60重量%、10重量%〜50重量%、及び20重量%〜40重量%。前記範囲の各数値はみな包含的であり、また組合せ可能である。
【0036】
本発明のポリマー組成物は屈折率(RI)が1.3〜2.5の範囲内である。前記組成物をたとえばLEDのカプセル化に使用するとき、当業者は一般に硬化ポリマー組成物のRIをLEDのRIと合致させるよう努めるであろう。1.3〜2.5の屈折率は通常の範囲であり、1.3〜2.5及び1.5〜2.0の屈折率が一般的である。前記フィルムはまた、140℃の温度に1,000時間暴露するとき、450〜470nmの範囲内での光透過の低下が10%未満である。暴露試験はサンプルを強制換気オーブンに入れて行い、2週間にわたり定期的に取り出して目視検査した。白色の背景と対比し知覚可能な黄色を呈したサンプルは不合格扱いとした。
【0037】
前記ポリマー組成物は、フィラーに加えて添加剤を更に含むことができる。前記添加剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、リン、流れ調整剤、つや消し剤、湿潤剤、及び接着促進剤を挙げることができる。例えば、リンを使用して特定波長の放出光を生成させることができる。流れ調整剤、つや消し剤及び湿潤剤を使用してポリマー組成物の取扱適性を改善することができる。重合防止剤及び抑制剤も、ゲル化時間の調節やポリマー組成物の取扱適性を改善するために使用することができる。
【0038】
ビニルシロキサンオリゴマー及びシクロシロキサンオリゴマーの重合促進に使用することができる貴金属ヒドロシリル化触媒については既述のとおりである。
【0039】
反応工程式2で多数の変数を操作することにより、反応工程式3で述べたポリマー組成物の最終的な機械的性質を好ましい性質に仕立てることができる。例えば、ビニルシロキサンオリゴマーのビニル基の数を増減させ、そして、粘度値を上下させることで、反応工程式2における2つの反応物のモル比を変化させることができる。前記樹脂成分の粘度は一般に60〜500cpの範囲である。フィラーを加えると、その範囲は100〜10,000cpとなることがある。得られる粘度は添加するフィラーの種類や量、粒径に依存する。本明細書で述べる粘度はコーンプレート粘度計法で計測する。
【0040】
更に、反応工程式2における金属含有共反応物、例えば、アルミニウムトリメトキシド、チタンテトラエトキシド、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、ジルコニウムテトラメトキシド、スズテトラエトキシド、テトライソプロポキシアルミニウムなどを使用して、ポリマー組成物の反射率を調節することもできる。
【0041】
本発明のポリマー及びポリマー組成物はカプセル材料として、そして、支持体、例えばLED、光回路、レーザー素子、光学部品(たとえば光カプラー、光中継器、光導波路及び光ファイバー接着剤)との組合せで使用することができる。
【0042】
本発明では、支持体と発光ダイオード(LED)とLEDカプセル化材料のポリマー組成物とを含む発光装置が提供される。本発明の1つの実施態様では、前記支持体は、例えば、回路基板、金属カップ、セラミックカップ、金属反射体などでもよい。また、前記支持体は反射特性を有することがある。LEDは、その正常な動作を可能にするため、電子回路を介して支持体と一体化されている。更に、カプセル材料はLED用のin−situレンズとして機能することがある。
【0043】
本発明の実施態様に使用されるLEDは、その内部に電流が流れると可視光を放出するような半導体素子である。前記可視光は一般に狭い波長帯で放出される。その出力範囲は赤(波長700nm程度)〜青−バイオレット(400nm程度)である。LEDは赤外線エネルギー(830nm以上)を放出するよう設定してもよいが、そうした素子は一般に赤外発光ダイオード(IRED)という。それと同時に、UV領域(200〜400nm)で動作するLEDの開発も目下進められている。LEDのカプセル化に使用されるポリマー組成物(カプセル材料)は前述のとおりである。
【0044】
本発明の発光装置は100℃〜250℃の温度範囲で1,000時間〜100,000時間程度にわたる苛酷な環境条件下で操作される。一般的な操作条件の例は、100℃〜200℃の温度範囲で1,000時間〜40,000時間の期間である。ポリマー組成物の所期目的への適合性を確認する試験では、硬化ポリマー組成物を個別用途に応じて150〜200℃の空気中で熱的に老化させる。老化試験はLEDが放出する波長の光の存在下に行うこともできる。本発明のポリマー組成物は前記の熱酸化条件下で黄変、浸食、及び機械的特性の減損に対して大きな耐性を示す。
【0045】
本発明ではポリマーカプセル化LEDを製造する方法が提供される。前記方法はビニルシロキサンオリゴマーを準備する工程;貴金属ヒドロシリル化触媒を準備する工程;シクロシロキサンオリゴマーを準備する工程;前記ビニルシロキサンオリゴマー、前記貴金属ヒドロシリル化触媒及び前記シクロシロキサンオリゴマーを組み合わせて混合物とする工程;前記混合物を発光ダイオード(LED)に付与する工程;及び前記混合物を硬化させてポリマーカプセル化LEDを形成する工程を含む。
【0046】
ポリマーカプセル化LEDの製造に使用するビニルシロキサンオリゴマーは複数のビニル官能性を含み、また貴金属ヒドロシリル化触媒及びシクロシロキサンオリゴマーの場合と同様に、前述のとおりである。ビニルシロキサンオリゴマー、貴金属ヒドロシリル化触媒、及びシクロシロキサンオリゴマーを混合し、混合物を形成する。全ては技術上周知である。前記混合物はフィラーを追加的に含むことがある。
【0047】
前記諸成分は任意の順序で混ぜ合わせることができる。一般的にはビニルシロキサンオリゴマー、フィラー、貴金属ヒドロシリル化触媒を最初に混ぜ合わせる。次に、シクロシロキサンオリゴマーを加える。この混合工程の任意の時点で熱を加え、低粘度の混合物を得ることがある。混合物は、LEDに付与した後、硬化させる。LEDは個別LED又はLEDアレイであることがある。混合物の硬化にはオーブン硬化法、赤外線硬化法、ホットプレート硬化法、熱金型硬化法、及びそれらの組合せを用いることができる。
【0048】
本発明では、シクロシロキサンオリゴマーとビニルシロキサンオリゴマーとを含むプレポリマー混合物が提供される。シクロシロキサンオリゴマーは式Xによって表される:
【化29】


ビニルシロキサンオリゴマーは式XIによって表される:
【化30】

【0049】
前記混合物は、貴金属ヒドロシリル化触媒及び/又はフィラーを他の添加剤と共に追加的に含んでいてもよい。前記混合物は、追加成分を前記混合物の合計10重量%未満を構成する量で、更に含んでもよい。
【0050】
ポリマーカプセル化発光ダイオード(LED)を製造する代替方法は、プレポリマー混合物を準備する工程;前記プレポリマー混合物をLEDに付与する工程;及び前記混合物を硬化させてポリマーカプセル化LEDを形成する工程を含む。準備するプレポリマー混合物は前述のとおりである。
【0051】
プレポリマー混合物は、手技操作と個別LED又はLEDアレイへの付与とを可能にする粘度となるような温度まで加熱することができる。しかしながら、前記加熱は必ずしも必要ではない。プレポリマー混合物は、LEDへの付与に適した粘度である場合には、受け入れたままの状態で付与することができる。前記混合物を、LEDに付与し、その後硬化させる。混合物の硬化にはオーブン硬化法、赤外線硬化法、ホットプレート硬化法、熱金型硬化法、及びそれらの組合せを用いることができる。
【0052】
前記の硬化法は、本発明の実施態様でプレポリマー混合物の硬化に使用してもよい硬化法のタイプ又は種類を限定するものではない。当業者には自明であろうが、前記プレポリマー混合物の成分すなわちシクロシロキサンオリゴマーとビニルシロキサンオリゴマーとのヒドロシリル化重合を起こすような任意の硬化法が、本発明による硬化法として使用可能である。
【実験】
【0053】
《試験法》
(1)無充填カプセル材料の粘度はFordCup粘度計を使用して測定した。
(2)充填、無充填両カプセル材料混合物のコーンプレート粘度はBrookfieldCP−52コーンプレート粘度計を使用して測定した。別法として、特に比較的高粘性の混合物の場合には、Brookfieldスピンドル型粘度計も使用した。
(3)核磁気共鳴(NMR)分光法によるアルコキシ基のSi原子に対する比の決定
【0054】
前述のアルコキシ/Si比は次の要領で求める:
既知重量(小数第4位まで計測)のビニルシロキサンオリゴマーと無水トルエンの両方を重水素化クロロホルムに溶解し、重水素化クロロホルム溶液を得る。HNMRにより、Bruker AMX−500MHzNMR分光計を使用して、ビニルシロキサンオリゴマーのメトキシプロトンピーク積分値とトルエンのメチルプロトンピーク積分値を測定する。
【0055】
メトキシプロトンシグナルはトルエンのメチルプロトンシグナルに対して−1.0ppmの化学シフトで生じる。テトラメチルシランはビニルシロキサンオリゴマーのケイ素原子に直接結合したメチルプロトンと干渉を起こすため内部標準として使用してはいないが、トルエンのメチルシグナルの化学シフトがテトラメチルシランに対して3.5ppmであることは周知であり、従ってビニルシロキサンオリゴマーのメトキシ基の化学シフトはテトラメチルシランに対して2.5ppmになると計算されよう。
【0056】
次に、トルエンメチル基の当量数に対するビニルシロキサンオリゴマーのメトキシ基の当量数の比を計算する。ビニル基はビニルシロキサンオリゴマーを形成する縮合反応による変化を受けず、またトルエンに対するビニルシロキサンオリゴマーの重量比は既知であるため、トルエンメチル基の当量数に対するビニルシロキサンオリゴマーのビニル基の当量数の比は既知である。
【0057】
ケイ素原子数もまたビニルシロキサンオリゴマーを形成する縮合反応による変化を受けないため、トルエンメチル基の当量数に対するビニルシロキサンオリゴマー中のケイ素原子の当量数の比もまた既知である。従って、ビニル基当量のメトキシ基当量に対する比、及びケイ素原子当量に対するメトキシ基当量の比はこの試験法によって計算される。
【0058】
エトキシ基がビニルシロキサンオリゴマーの置換基として存在するときは、前記エトキシ基はメチレンプロトン又はエトキシ基メチルプロトンに対応するピーク下の面積を積分することによって同様に定量することができる。
【0059】
この方法によれば、実施例1のビニルオリゴマーは0.004/1のアルコキシ/Si比を示した。
【実施例】
【0060】
《実施例1》
ビニルトリメチルシラン(20.7g,0.14mol)とジメチルジメトキシシラン(33.6g,0.28mol)を250ml丸底フラスコに入れた。水(17.6ml)を加え、溶液を60℃で24時間還流させた。混合物を室温に冷まし、2層を形成させた。この2層混合物を分液漏斗に移した。下層を分離し、100ml丸底フラスコに移し、ロータリーエバポレーターで3時間減圧乾燥した。フラスコを取り出し、オイルポンプと接続して24時間で、混じっている可能性のある出発物及び揮発性副生成物をすべて除去するようにした。ビニルシロキサンオリゴマーが無色透明の液体として得られた(変換率96%)。
【0061】
ビニルシロキサンオリゴマーの重合を次の要領で行った。ビニルシロキサンオリゴマー(0.5g)をカーステッド触媒0.3μl及びUVT Sunsphere(シリカ、粒径7ミクロン)0.35gと混ぜ合わせた。前記混合物をオーブンに入れ90℃で45分間加熱して、溶液の脱気及び粘度低減した。冷めないうちに、0.2gのシクロシロキサンオリゴマー、すなわち、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン(D)を加え、混合物を穏やかに、空気の取り込みを避けながら、かき混ぜた。混合物をLEDアレイ上に注ぎ、この素子を強制換気オーブンに入れ18時間90℃に保った。この温度を3時間かけて定率で徐々に室温に下げた。カプセル化LEDのカプセルは透明、硬質で、架橋構造をなしていた。
【0062】
多種多様なエポキシド及び他タイプの熱硬化性樹脂を、高輝度LEDの模擬動作条件下で評価した。最も一般的な不合格理由は、黄色〜こげ茶への顕著な変色を伴う樹脂の熱酸化的劣化であった。
【0063】
過酷な評価試験にパスした唯一の高分子物質は、本発明のポリマー及びポリマー組成物であった。それらは熱酸化耐性にすぐれており、そして、劣化した場合でも概して無色のままである。
【0064】
対応するUV硬化樹脂の熱酸化安定性を調べた。特に、光重合開始剤としてのSOC10を含むエポキシ樹脂を小さなアルミカップに入れ、中圧水銀灯によりUV光を照射して重合を起こさせた。表1は、140℃で2日間の老化試験後の硬化塗料の目視検査結果である。試験用サンプルを強制換気オーブンに入れ、2週間にわたり定期的に取り出して目視検査した。白色の背景と対比し知覚可能な黄色を呈したサンプルは不合格扱いとした。
【0065】
一部の使用樹脂について硬化前の構造を示すと次のようになる:
【化31】


【化32】


【化33】


【化34】


【化35】


【化36】


【表1】

【0066】
すべてのサンプルは140℃で10日間の熱酸化的老化後、顕著に黄変した。これまでで最高の成績を残した樹脂はERL−4221EとPC1000であった。ERL−4221Eはすぐれた初期黄変耐性を示すものの、4日後にはその黄変度はほぼ他樹脂並みとなる。追加の直鎖アクリルポリマー(コポリマーBMA/MMA又はポリビニルブチラール)を含む塗料は熱老化に伴い相分離を起こし、曇った相分離サンプルとなる。
【0067】
いくつかのポリジメチルシロキサン(シリコーン)樹脂(たとえばSF−96シリコーン油)を前記の評価試験にかけた。その結果は劇的であった。140℃の空気中に4週間(672時間)暴露した後でも、黄変は観察されなかった。
【化37】

【0068】
上記のような構造をもつポリジメチルシロキサンはすぐれた、固有の熱酸化安定性をもつ。しかし長期の熱暴露後には、これらの樹脂でさえも緩慢な崩壊性の結合開裂反応を起こす。これらの樹脂が評価試験に合格する性能をもつカギは、こうした劣化にもかかわらず製造品が変色しないことにある。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)式X:
【化1】


(式中、nは0〜6の整数であり、各Rは水素原子、メチル基、アルキル基及びハロアルキル基より独立に選択されるが、ただし少なくとも2つのRは水素原子でなければならない)
で表されるシクロシロキサンオリゴマーと
(2)式XI:
【化2】


(式中、mは2〜20の整数であり、各RはシロキサンユニットごとにCH、OCH、OCHCH、ビニル基、及びさらなる[−O−SiR−]q−OCHユニットより独立に選択され、qは2〜20の整数であり、ただし、少なくとも1つのRはビニル含有ユニットでなければならず、この式で表されるビニルシロキサンオリゴマーは25℃での粘度が10〜10,000センチポアズであり、そしてアルコキシ基のSi原子に対する比は0.004:1〜1.5:1の範囲内である)
で表されるビニルシロキサンオリゴマーとを、貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下に、反応させる方法により製造されるポリマー。
【請求項2】
前記貴金属ヒドロシリル化触媒が、クロロ白金酸、カーステッド触媒(Pt{[(CH=CH)MeSi]O})、アシュビー触媒{[(CH=CH)MeSiO]Pt、ウィルキンソン触媒[トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロライド]、ポリマー結合型ウィルキンソン触媒、[トリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)クロライド]、クロロ白金酸/オクタノール錯体、白金シクロビニルメチルシロキサン錯体(アシュビー−カーステッド触媒)、白金カルボニル−シクロビニルメチルシロキサン錯体、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム2,4−ペンタンジオナート、イリジウム2,4−ペンタンジオナート、イリジウムシクロオクタジエンクロライド、プラチナ金属、パラジウム金属、ロジウム金属、イリジウム金属、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記シクロシロキサンオリゴマーと前記ビニルシロキサンオリゴマーとを、Pt{[(CH=CH)MeSi]O}の存在下に50℃〜200℃の温度で、反応させる方法によって製造する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
nが1である請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
(a)式X:
【化3】


(式中、nは0〜6の整数であり、各Rは水素原子、メチル基、アルキル基及びハロアルキル基より独立に選択されるが、ただし少なくとも2つのRは水素原子でなければならない)
で表されるシクロシロキサンオリゴマーと
(b)式XI:
【化4】


(式中、mは2〜20の整数であり、各RはシロキサンユニットごとにCH、OCH、OCHCH、ビニル基、及びさらなる[−O−SiR−]q−OCHユニットより独立に選択され、qは2〜20の整数であり、ただし、少なくとも1つのRはビニル含有ユニットでなければならず、この式で表されるビニルシロキサンオリゴマーは粘度が10〜10,000センチポアズであり、そしてアルコキシ基のSi原子に対する比は0.004:1〜1.5:1の範囲内である)
で表されるビニルシロキサンオリゴマーと;
(c)フィラーと
を、貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下に、反応させる方法により製造され、屈折率が1.3〜2.5のポリマー組成物。
【請求項6】
前記フィラーが、平均粒径0.1〜10.0ミクロンの範囲内の、ホウ素、ケイ素、チタン、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、ストロンチウム及び亜鉛の各酸化物より選択される、請求項5に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記フィラーが、ポリマー組成物の5重量%〜60重量%を占める、請求項5に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記ポリマーを140℃の温度で1,000時間暴露した場合に、450〜470nmの範囲内で、光透過性が10%未満の低下を示す、請求項5に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記シクロシロキサンオリゴマーと前記ビニルシロキサンオリゴマーとを、Pt{[(CH=CH)MeSi]O}の存在下に50℃〜200℃の温度で、反応させる方法によって製造される、請求項5に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
(a)式X:
【化5】


(式中、nは0〜6の整数であり、各Rは水素原子、メチル基、アルキル基及びハロアルキル基より独立に選択されるが、ただし少なくとも2つのRは水素原子でなければならない)
で表されるシクロシロキサンオリゴマーと
(b)式XI:
【化6】


(式中、mは2〜20の整数であり、各RはシロキサンユニットごとにCH、OCH、OCHCH、ビニル基、及びさらなる[−O−SiR−]q−OCHユニットより独立に選択され、qは2〜20の整数であり、ただし、少なくとも1つのRはビニル含有ユニットでなければならず、この式で表されるビニルシロキサンオリゴマーは粘度が10〜10,000センチポアズであり、またアルコキシ基のSi原子に対する比は0.004:1〜1.5:1の範囲内である)
で表されるビニルシロキサンオリゴマーとを含む、プレポリマー混合物。
【請求項11】
貴金属ヒドロシリル化触媒を追加的に含む、請求項10に記載のプレポリマー混合物。
【請求項12】
フィラーを追加的に含む、請求項10又は11に記載のプレポリマー混合物。
【請求項13】
前記フィラーが、平均粒径0.1〜10.0ミクロンの範囲内の、ホウ素、ケイ素、チタン、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、ストロンチウム及び亜鉛の各酸化物より選択される、請求項12に記載のプレポリマー混合物。
【請求項14】
追加成分を更に含み、前記追加成分がプレポリマー混合物の合計10重量%未満を占める、請求項13に記載のプレポリマー混合物。
【請求項15】
前記貴金属ヒドロシリル化触媒が、クロロ白金酸、カーステッド触媒(Pt{[(CH=CH)MeSi]O})、アシュビー触媒{[(CH=CH)MeSiO]Pt、ウィルキンソン触媒[トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロライド]、ポリマー結合型ウィルキンソン触媒、[トリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)クロライド]、クロロ白金酸/オクタノール錯体、白金シクロビニルメチルシロキサン錯体(アシュビー−カーステッド触媒)、白金カルボニル−シクロビニルメチルシロキサン錯体、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム2,4−ペンタンジオナート、イリジウム2,4−ペンタンジオナート、イリジウムシクロオクタジエンクロライド、プラチナ金属、パラジウム金属、ロジウム金属、イリジウム金属、及びそれらの組み合せからなる群から選択される、請求項11に記載のプレポリマー混合物。
【請求項16】
前記貴金属ヒドロシリル化触媒が、カーステッド触媒Pt{[(CH=CH)MeSi]O}である請求項11に記載のプレポリマー混合物。
【請求項17】
支持体;
前記支持体と動作可能に一体化された発光ダイオード(LED);及び
前記LEDをカプセル化するポリマー組成物であって、
(a)式X:
【化7】


(式中、nは0〜6の整数であり、各Rは水素原子、メチル基、アルキル基及びハロアルキル基より独立に選択されるが、ただし少なくとも2つのRは水素原子でなければならない)
で表されるシクロシロキサンオリゴマーと
(b)式XI:
【化8】


(式中、mは2〜20の整数であり、各RはシロキサンユニットごとにCH、OCH、OCHCH、ビニル基、及びさらなる[−O−SiR−]q−OCHユニットより独立に選択され、qは2〜20の整数であり、ただし、少なくとも1つのRはビニル含有ユニットでなければならず、この式で表されるビニルシロキサンオリゴマーは粘度が10〜10,000センチポアズであり、またアルコキシ基のSi原子に対する比は0.004:1〜1.5:1の範囲内である)
で表されるビニルシロキサンオリゴマーとを、貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下に、反応させる方法により製造されるポリマーを含むポリマー組成物;
を含む発光装置。
【請求項18】
nが1である請求項17に記載の発光装置。
【請求項19】
前記ポリマー組成物が、そのポリマー組成物を140℃の温度で1,000時間暴露した場合に、450〜470nmの範囲内で、光透過性が10%未満の低下を示す、請求項17に記載の発光装置。
【請求項20】
前記ポリマー組成物がフィラーを追加的に含む、請求項17に記載の発光装置。
【請求項21】
前記ポリマー組成物の屈折率が1.3〜2.5である、請求項17に記載の発光装置。
【請求項22】
前記フィラーが、平均粒径0.1〜10.0ミクロンの範囲内の、ホウ素、ケイ素、チタン、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、ストロンチウム及び亜鉛の各酸化物より選択される、請求項20に記載の発光装置。
【請求項23】
前記フィラーが前記ポリマーの5重量%〜60重量%を占める、請求項20に記載の発光装置。
【請求項24】
ポリマーカプセル化発光ダイオード(LED)を製造する方法であって、
25℃での粘度が10〜10,000センチポアズであり複数のビニル官能性を有するビニルシロキサンオリゴマーを準備する工程;
貴金属ヒドロシリル化触媒を準備する工程;
以下の構造I、構造II、構造III、構造IV、構造V、構造VI及び構造VII:
【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】


(各式中、各Rは水素原子、メチル基、アルキル基及びハロアルキル基より独立に選択されるが、ただし少なくとも2つのRは水素原子でなければならない)
より選択されるシクロシロキサンオリゴマーを準備する工程;
前記ビニルシロキサンオリゴマー、前記貴金属ヒドロシリル化触媒及び前記シクロシロキサンオリゴマーを組合わせて混合物とする工程;
前記混合物をLEDに付与する工程;及び
前記混合物を硬化させてポリマーカプセル化LEDを形成する工程;
を含む方法。
【請求項25】
前記硬化工程が、オーブン硬化法、赤外線硬化法、ホットプレート硬化法、熱金型硬化法、及びそれらの組み合せからなる群から選択される方法である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ビニルシロキサンオリゴマーが、
式XI:
【化16】


(式中、mは2〜20の整数であり、各RはシロキサンユニットごとにCH、OCH、OCHCH、ビニル基、及びさらなる[−O−SiR−]q−OCHユニットより独立に選択され、qは2〜20の整数であり、ただし、少なくとも1つのRはビニル含有ユニットでなければならず、そしてアルコキシ基のSi原子に対する比は0.004:1〜1.5:1の範囲内である)
で表される化合物である、請求項24の方法。
【請求項27】
前記混合物がフィラー材料を追加的に含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
ポリマーカプセル化発光ダイオード(LED)を製造する方法であって、
請求項10に記載のプレポリマー混合物を準備する工程;
前記プレポリマー混合物をLEDに付与する工程;及び
前記プレポリマー混合物を硬化させてポリマーカプセル化LEDを形成する工程;
を含む方法。
【請求項29】
前記硬化工程が、オーブン硬化法、赤外線硬化法、ホットプレート硬化法、熱金型硬化法、及びそれらの組み合せからなる群から選択される方法である、請求項28に記載の方法。

【公開番号】特開2006−124710(P2006−124710A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312919(P2005−312919)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(502263411)レンセラール ポリテクニック インスティチュート (14)
【Fターム(参考)】