説明

発光デバイス、透明導電膜の形成方法、発光デバイスの製造方法および電気機器

【課題】発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜との密着性を改善し、これらの接触抵抗を低減することができる発光デバイスを得る。
【解決手段】発光デバイスにおいて、サファイア基板11上に形成され、発光デバイスの半導体積層構造を形成するp型GaN層16を、その炭素含有比率が該p型GaN層表面に含まれる全体の元素の含有率に対して10〜30%となり、また、その酸素含有比率が該p型GaN層表面に含まれる全体の元素の含有率に対して10〜25%となるように形成し、該p型GaN層16上にITO膜17を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイス、透明導電膜の形成方法、発光デバイスの製造方法および電気機器に関し、特に、透明導電膜とその下地のGaN膜との接触抵抗及び密着性の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム系化合物半導体は、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)等の短波長発光デバイス用の半導体材料として利用されており、これらの発光デバイスは、通常、基板上に窒化ガリウム系化合物半導体薄膜を積層した構造が用いられている。
【0003】
上記のような半導体材料からなるLEDなどの発光デバイスにおいて、順方向電圧を低下させるためには、半導体材料と電極層との間の良好なオーミックコンタクトを得ることが必要である。
【0004】
従来のLEDでは、n型窒化物系半導体層上にTiおよびAlを含む電極層を形成するとともに、p型窒化物系半導体層上にNiおよびAuを含む電極層を形成することによって、良好なオーミックコンタクトを得るようにしている。
【0005】
しかしながら、従来、窒化物系半導体層上に電極層を形成する場合、窒化物系半導体層と金属とは合金を形成しにくいため、電極層と窒化物系半導体層との密着性が低下する。このため、製造プロセスの途中で電極層が膜剥がれを起こしやすいという不都合があった。その結果、素子の信頼性を向上させるのが困難であるといった課題があった
そこで、特許文献1などでは、窒化物系半導体素子の形成方法において、窒化物系半導体層を熱処理することによって、窒化物系半導体層の表面の水分などを除去し、窒化物系半導体層の表面を清浄化し、これにより、窒化物系半導体層と電極層との密着性を向上させている。
【0006】
この方法では、窒化物系半導体層と電極層との間で良好なオーミックコンタクトを得ることができ、また製造プロセス途中での電極層の膜剥がれを抑制することができ、その結果、窒化物系半導体素子の信頼性を向上させることができる。
【0007】
また、特許文献2には、窒化ガリウム系化合物半導体に用いられる基板上に高品質な窒化ガリウム系化合物半導体薄膜を作製するために、基板表面に付着した有機物等の不純物を洗浄により除去する方法が開示されている。ここで、基板として、一般的なサファイアの他に、SiC、GaN、ZnO、GaAs等が用いられる。
【0008】
また、この特許文献2には、このような洗浄方法により洗浄した基板上に発光デバイスを構成する半導体積層構造を形成したものが開示されている。
【0009】
図8は、窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光デバイスの断面構造を示している。
【0010】
この発光デバイス200は、サファイア基板の表面にGaN層を形成してなる基板206を有している。この基板206は、例えば、ソルベントナフサにより洗浄し、次に、アセトンにより洗浄し、さらに、イソプロピルアルコールにより洗浄し、最後に純水により洗浄している。
【0011】
また、上記発光デバイス200は、該基板206上に形成された、SiをドープしたGaNからなる第1のクラッド層207と、アンドープのAl0.05Ga0.95Nからなる第2のクラッド層208と、該第2のクラッド層208上に形成した、アンドープのIn0.15Ga0.85Nからなる単一量子井戸構造からなる発光層209と、該発光層209上に形成したアンドープのGaNからなる中間層210と、該中間層210上に形成した、MgをドープさせたAl0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層211とを含む積層構造を有している。
【0012】
さらに、該発光デバイス200は、該積層構造上に形成された、ニッケル(Ni)と金(Au)との積層を有する光透過性電極212と、該光透過性電極212上に形成したp側電極214と、該第1のn型クラッド層207の露出させた部分に形成されたn側電極213とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−101068号公報
【特許文献2】特開2007−201495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、従来の発光デバイス200の素子構造では、上記光透過性電極212は、n側電極213から積層構造の発光層209へ供給される電流密度が発光層の面内で均一にするために設けらているが、このような発光デバイス200では、この光透過性電極212とその上のp側電極214との密着性や接触抵抗、さらには、光透過性電極212とその下側の半導体層であるp型クラッド層211との密着性や接触抵抗は、素子特性に大きな影響を及ぼし、特に発光デバイスの駆動電流の低減を図る上で、特に、接触面積の大きい光透過性電極212とその下側のp型クラッド層211との密着性が悪く、光透過性電極212が剥がれやすいと、接触抵抗の増大により、素子特性が損なわれ、良好な特性を有する、低電流駆動が可能な発光デバイスが得られないという問題があった。
【0015】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜との接触抵抗を低減することができる発光デバイス、透明導電膜の形成方法、このような発光デバイスの製造方法、およびこのような良好な特性を有する低電流駆動が可能な発光デバイスを搭載した電気機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る発光デバイスは、基板上に形成され、複数のIII−V族化合物半導体層からなる積層構造を有する発光デバイスであって、該積層構造を構成するGaN層と、該GaN層上に形成された透明導電膜とを有し、該GaN層は、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる構造を有しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0017】
本発明に係る発光デバイスは、基板上に形成され、複数のIII−V族化合物半導体層からなる積層構造を有する発光デバイスであって、該積層構造を構成するGaN層と、該GaN層上に形成された透明導電膜とを有し、該GaN層は、その表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる構造を有しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0018】
本発明に係る発光デバイスは、基板上に形成され、複数のIII−V族化合物半導体層からなる積層構造を有する発光デバイスであって、該積層構造を構成するp型GaN層と、該GaN層上に形成された透明導電膜とを有し、該GaN層は、その表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRa0.35〜0.45nmの範囲になるよう形成したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0019】
本発明に係る発光デバイスは、基板上に形成され、複数のIII−V族化合物半導体層からなる積層構造を有する発光デバイスであって、該積層構造を構成するp型GaN層と、該GaN層上に形成された透明導電膜とを有し、該GaN層は、その表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRms0.45〜0.6nmの範囲になるよう形成したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0020】
本発明は、上記発光デバイスにおいて、前記GaN層はp型GaN層であることが好ましい。
【0021】
本発明は、上記発光デバイスにおいて、前記透明導電膜は、インジウム錫酸化物からなるITO膜であることが好ましい。
【0022】
本発明に係る透明導電膜の形成方法は、下地半導体層上にエピタキシャル成長させたGaN層上に透明導電膜を形成する透明導電膜の形成方法であって、該下地半導体層上に該GaN層を成長させた後、該GaNに対する洗浄処理を、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる条件、あるいはその表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行う工程と、該洗浄処理後に、該GaN層を乾燥する工程とを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0023】
本発明は、上記透明導電膜の形成方法において、前記GaN層をエピタキシャル成長した後、該GaN層をアニールする工程を含むことが好ましい。
【0024】
本発明は、上記透明導電膜の形成方法において、前記GaN層を乾燥する工程は、該GaN層を大気中でのNブローにより乾燥する工程であることが好ましい。
【0025】
本発明は、上記透明導電膜の形成方法において、前記GaN層を乾燥する工程は、該GaN層を、イソプロピルアルコールを用いて乾燥する工程であることが好ましい。
【0026】
本発明に係る透明導電膜の形成方法は、下地半導体層上にエピタキシャル成長させたGaN層上に透明導電膜を形成する透明導電膜の形成方法であって、該下地半導体層上に該GaN層を成長させた後、該GaNに対する洗浄処理を、その表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRa0.35〜0.45nmの範囲になる条件、あるいはその表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRms0.45〜0.6nmの範囲になる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行う工程と、該洗浄処理後に、該GaN層を乾燥する工程とを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
本発明に係る発光デバイスの製造方法は、III−V族化合物半導体を用いて発光デバイスを製造する方法であって、絶縁性基板上にIII−V族化合物半導体層を形成する工程と、該III−V族化合物半導体層上に、該発光デバイスを構成する、複数のIII−V族化合物半導体層からなる素子構造を形成する工程と、該素子構造上に透明電極膜を形成する工程とを含み、該素子構造を形成する工程は、下地半導体層上にGaN層をエピタキシャル成長させる工程と、該エピタキシャル成長させたGaN層に対する洗浄処理を、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる条件、あるいはその表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行う工程と、該洗浄処理後に、該GaN層を乾燥する工程とを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0028】
本発明に係る発光デバイスの製造方法は、III−V族化合物半導体を用いて発光デバイスを製造する方法であって、絶縁性基板上にIII−V族化合物半導体層を形成する工程と、該III−V族化合物半導体層上に、該発光デバイスを構成する、複数のIII−V族化合物半導体層からなる素子構造を形成する工程と、該素子構造上に透明電極膜を形成する工程とを含み、該素子構造を形成する工程は、下地半導体層上にGaN層をエピタキシャル成長させる工程と、該エピタキシャル成長させたGaN層に対する洗浄処理を、その表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRa0.35〜0.45nmの範囲になる条件、あるいはその表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRms0.45〜0.6nmの範囲になる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行う工程と、該洗浄処理後に、該GaN層を乾燥する工程とを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0029】
本発明は、上記発光デバイスの製造方法において、前記GaN層をエピタキシャル成長した後、該GaN層をアニールする工程を含むことが好ましい。
【0030】
本発明は、上記発光デバイスの製造方法において、前記GaN層を乾燥する工程は、該GaN層を大気中でのNブローにより乾燥する工程であることが好ましい。
【0031】
本発明は、上記発光デバイスの製造方法において、前記GaN層を乾燥する工程は、該GaN層を、イソプロピルアルコールを用いて乾燥する工程であることが好ましい。
【0032】
本発明に係る電気機器は、光源を備えた電気機器であって、該光源は、上述した本発明に係る発光デバイスを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0033】
次に作用について説明する。
【0034】
本発明においては、発光デバイスにおいて、発光領域を含む積層構造を構成するGaN層と、該GaN層上に形成された透明導電膜とを有し、該GaN層は、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる構造、あるいはその表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる構造を有するので、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜との接触抵抗を低減することができる。
【0035】
また、本発明においては、下地半導体層上に該GaN層を成長させた後、該GaNに対する洗浄処理を、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる条件、あるいはその表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行うので、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜との接触抵抗を低減することができる。
【0036】
さらに、本発明では、GaNに対する洗浄処理を、有機洗浄により沸点より低温で行うので、GaN層の洗浄面にハイドロカーボンが固着するのを防止することができる。
【0037】
また、GaN表面を酸、アルカリ、有機溶剤で洗浄することで、所定量のカーボン、酸素の量を配置することができる。
【発明の効果】
【0038】
以上のように、本発明によれば、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜との接触抵抗を低減することができる発光デバイス、透明導電膜の形成方法、このような発光デバイスの製造方法、およびこのような良好な特性を有する低電流駆動が可能な発光デバイスを搭載した電気機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の実施形態1による発光デバイスを説明する図であり、この発光デバイスの断面構造を示している。
【図2】図2は、本発明の実施形態1による発光デバイスの製造に用いる洗浄装置を説明する模式図であり、その概略的な構成を示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態1による発光デバイスの製造途中での洗浄処理を説明する図であり、透明導電膜を成長する直前の洗浄の対象となる半導体積層構造を示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態1による発光デバイスの製造途中での洗浄処理の手順を説明する図であり、透明導電膜を形成する下地層であるp型GaN層の成長、及びその後の処理を処理順に示している。
【図5】図5は、本発明の実施形態1による発光デバイスの特性を説明する図であり、図5は、透明導電膜の下地層であるp型GaN層の表面での炭素濃度及び酸素濃度に対する接触抵抗相対値を示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態1による発光デバイスの特性を説明する図であり、透明導電膜の下地層であるp型GaN層の表面状態(モホロジーRMS[nm]、モホロジーRa[nm])に対する接触抵抗相対値を示している。
【図7】図7は、本発明の実施形態2として、実施形態1の発光デバイスを光源として用いた照明装置を説明する図であり、発光デバイスをモールド樹脂によりパッケージングしたランプの構造を示している。
【図8】図8は、特許文献2に開示の発光デバイスの構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1による発光デバイスを説明する図であり、この発光デバイスの断面構造を示している。
【0042】
この実施形態1の発光デバイス10は、サファイア基板(絶縁性基板)11と、該サファイア基板11上に格子不整合を緩和するバッファ層として形成されたAlN膜12と、該AlN膜12上に形成されたノンドープGaN層13とを有している。
【0043】
この半導体発光素子10は、該ノンドープGaN層13上に形成された積層構造を有し、この積層構造は、n型GaN層14上にp型GaN層16を、該両GaN層の間に発光領域となる多重量子井戸層15が介在するよう積層してなる構造となっている。
【0044】
この多重量子井戸層15は、バリア層としてのGaN層15aと、井戸層としてのInGaN層15bとを交互に積層してなる構造を有している。
【0045】
ここで、このp型GaN層16は、その成長後の洗浄処理により、その表面での炭素濃度が10〜30%の範囲に、またその表面での酸素濃度が10〜25%の範囲になるよう調整されている。なお、上記酸素濃度及び炭素濃度は、p型GaN層の表面から3〜4μm程度の深さまでの範囲で測定したものである。
【0046】
ここで、炭素濃度及び酸素濃度はそれぞれ、上記p型GaN層16に含有される種々の元素、具体的には、実質的にGa、Mg、O、Cの含有量(原子の個数)の総和を100パーセントとしたときの、炭素元素及び酸素元素の含有比率を示している。この含有比率の算出には、XPS法(X線光電子分光分析法)を用いている。このXPS法は、超高真空下で資料表面にX線を照射することにより、光電効果により表面から光電子を真空中に放出させ、その光電子の運動エネルギーを観測することで、元素の組成に関する情報を取得するものである。具体的には、光電子のエネルギースペクトルの解析結果に基づいて、物質表面に存在する元素を同定したり定量したりすることが可能である。また、イオンエッチングを併用することで、深さ方向の分析も可能となる。
【0047】
そして、このような表面での酸素と炭素の含有比率をこのように調整したp型GaN層16上には導電性を有する透明膜(透明導電膜)17が全面に形成されている。この透明導電膜には、インジウム錫酸化物からなるITO膜が用いられている。この透明導電膜17は、その上に形成される電極からの電流の密度がp型GaN層16の面内で均一になるように該p型GaN層16上に形成されている。
【0048】
また、前記ITO膜17上には、上部電極18bが配置されており、n型GaN層14の、ITO膜17、p型GaN層16、及び多重量子井戸層15を除去した露出部分には、下部電極18aが形成されている。これら上部電極18b及び下部電極18aは、Ni層上にPt層を介してAu層を形成してなる積層構造を有している。ただし、これらの電極の構造は、Cr層上にAu層を形成してなる積層構造、あるいはNi層上にAu層を積層してなる積層構造でもよい。
【0049】
次に、本実施形態1による発光デバイスの製造方法について説明する。
【0050】
まず、サファイア基板11上にスパッタ処理によりAlN膜12をバッファ層として、例えば300オングストローム程度の厚さに形成する。
【0051】
次に、MOCVD処理により該AlN膜12にノンドープGaN層13を6〜7μm程度の厚さに形成する。その後、このノンドープGaN層13上にn型GaN層14、発光層としての多重量子井戸層15、およびp型GaN層をエピタキシャル成長により順次形成する。ここで、多重量子井戸層15は、バリア層としてのGaN層15aと、井戸層としてのInGaN層15bとを交互に積層して形成される。
【0052】
次に、p型GaN層16の表面を洗浄し、続いて、該p型GaN層16上にITO膜17を形成する。
【0053】
その後、該ITO膜17に上部電極18bを形成するとともに、該ITO膜17、該p型GaN層16、および多重量子井戸層15を選択的に除去して露出した、上記n型GaN層上に下部電極18aを形成する。
【0054】
以下、上記p型GaN層を洗浄する処理について詳しく説明する。
【0055】
まず、この洗浄装置について簡単に説明する。
【0056】
図2は、この洗浄処理に用いる洗浄装置の構成を概略的に示す模式図である。
【0057】
この洗浄装置100は、洗浄処理を行うための洗浄槽101と、該洗浄槽101を収容する筐体100aと、該筐体の外部から洗浄液として薬液あるいは純粋を洗浄槽101に供給する洗浄液供給管102aと、該筐体100a内の洗浄槽101で使用された洗浄液を排出する洗浄液排出管102bと、ウエハWfを収容し、収容したウエハWfを上記洗浄槽101に浸漬するためのカセット103とを有している。また、該筐体100aの上面には、洗浄液の飛散を防止するカバー部材100bが取り付けられており、また筐体100aのした下面には、該洗浄槽101からオーバーフローした洗浄液Fを排出するための排出口102cが設けられている。
【0058】
次に、サファイア基板上に配置する積層構造を構成するp型GaN層16を形成する工程から該p型GaN層を洗浄する工程までの処理について説明する。
【0059】
図3は、本発明の実施形態1による発光デバイスの製造途中での洗浄処理を説明する図であり、透明導電膜を成長する直前の洗浄の対象となる半導体積層構造を示している。
【0060】
図4は、本発明の実施形態1による発光デバイスの製造途中での洗浄処理の手順を説明する図であり、透明導電膜の下地層であるp型GaN層の成長、及びその後の処理を処理順に示している。
【0061】
上述したように、上記積層構造の下地層となるノンドープGaN層13上に、n型GaN層14、多重量子井戸層15、及びp型GaN層16を順次エピタキシャル成長し(ステップS1)、その後、該p型GaN層16に対してアニール処理を施す(ステップS2)。
【0062】
続いて、該p型GaN層16の洗浄処理を行う(ステップS3)。この洗浄処理は、図2に示す洗浄装置100を用いて行う。
【0063】
具体的には、例えば、図2に示す洗浄装置の洗浄槽101に洗浄液として所定濃度のフッ酸液を供給し、該洗浄槽101からは、洗浄槽101に供給されたフッ酸液が若干オーバーフローするよう排出する。このような状態で、洗浄槽101内のフッ酸液の温度を所定温度に保持し、図3に示すように半導体積層構造を形成したサファイア基板(ウエハ)11をカセット103に収容して、該洗浄槽101内のフッ酸液中に所定時間浸漬してp型GaN層16の表面を洗浄処理する。
【0064】
上記のように、p型GaN層16の表面をフッ酸液により洗浄した後、p型GaN層16の表面に対してフッ酸を洗い流すための水洗処理を行い、さらに乾燥処理を行う。
【0065】
この乾燥処理には、上記有機溶剤を用いたIPA乾燥やNブロー乾燥(大気乾燥)などの乾燥処理がある。
【0066】
図5は、本発明の実施形態1による発光デバイスの特性を説明する図であり、図5は、透明導電膜の下地層であるp型GaN層の表面での炭素濃度及び酸素濃度に対する接触抵抗相対値を示している。ここで、太線グラフは、炭素濃度に対する接触抵抗相対値を示し、細線グラフは、酸素濃度に対する接触抵抗相対値を示している。
【0067】
この図5から分かるように、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜17(ITO膜)との接触抵抗は、該p型GaN層表面での炭素濃度に着目したとき、この炭素濃度が25%付近で最小値となっている。なお、接触抵抗相対値は、この最小値を『1』としたときの倍率である。
【0068】
さらに、この炭素濃度が10〜30%の範囲では、接触抵抗相対値は、最小値『1』の4倍程度の値となっており、この範囲の炭素濃度では、実質的な抵抗値は、その最小値(基準値×1E−2)の一桁以内(基準値×1E−1)の大きさに抑えられる。
【0069】
また、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜17(ITO膜)との接触抵抗は、該p型GaN層表面での酸素濃度に着目したとき、この酸素濃度が20%付近で最小値となっている。なお、接触抵抗相対値は、この最小値を『1』としたときの倍率である。
【0070】
さらに、酸素濃度が10〜25%の範囲では、接触抵抗相対値は、最小値『1』の4倍程度の値となっており、この範囲の酸素濃度では、実質的な抵抗値は、その最小値(基準値×1E−2)の一桁以内(基準値×1E−1)の大きさになっている。
【0071】
このことから、p型GaN層表面での炭素濃度は、10〜30%の範囲の濃度とすることにより、炭素濃度に着目したときの実質的な抵抗値をその最小値(基準値×1E−2)の一桁(基準値×1E−1)以内に抑えることができる。また、p型GaN層表面での酸素濃度は、10〜25%の範囲の濃度とすることにより、酸素濃度に着目したときの実質的な抵抗値を、その最小値(基準値×1E−2)の一桁(基準値×1E−1)以内に抑えることができる。
【0072】
また、図6は、本発明の実施形態1による発光デバイスの特性を説明する図であり、透明導電膜の下地層であるp型GaN層の表面状態(モホロジーRMS[nm]、モホロジーRa[nm])に対する接触抵抗相対値を示している。
【0073】
ここで、RMS(二乗平均粗さ)は、平均線から測定曲線までの偏差の二乗を平均した値の平方根で表される値である。また、Ra(中心線平均粗さ)は、粗さ曲線を中心線から折り返し、その粗さ曲線と中心線によって得られた面積を長さLで割った値で表される値である。
【0074】
この図6から分かるように、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜17(ITO膜)との接触抵抗は、該p型GaN層表面でのRMS(二乗平均粗さ)に着目したとき、このRMSが0.55nm付近で最小値となっている。なお、接触抵抗相対値は、この最小値を『1』としたときの倍率である。
【0075】
さらに、このRMSが0.45nm〜0.6nmの範囲では、接触抵抗相対値は、最小値『1』の4倍程度の値となっており、この範囲のRMSでは、実質的な抵抗値は、その最小値(基準値×1E−2)の一桁以内(基準値×1E−1)の大きさに抑えられる。
【0076】
また、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜17(ITO膜)との接触抵抗は、該p型GaN層表面でのRa(中心線平均粗さ)に着目したとき、このRaが0.40付近で最小値となっている。なお、接触抵抗相対値は、この最小値を『1』としたときの倍率である。
【0077】
さらに、Raが0.35nm〜0.45nmの範囲では、接触抵抗相対値は、最小値『1』の4倍程度の値となっており、この範囲のRaでは、実質的な抵抗値は、その最小値(基準値×1E−2)の一桁以内(基準値×1E−1)の大きさになっている。
【0078】
このことから、p型GaN層表面でのRMSは、0.45〜0.6nmの範囲の値とすることにより、RMSに着目したときの実質的な抵抗値をその最小値(基準値×1E−2)の一桁(基準値×1E−1)以内に抑えることができる。また、p型GaN層表面でのRaは、0.35〜0.45の範囲の値とすることにより、Raに着目したときの実質的な抵抗値を、その最小値(基準値×1E−2)の一桁(基準値×1E−1)以内に抑えることができる。
【0079】
従って、サファイア基板11上に形成され、発光デバイスの半導体積層構造を形成するp型GaN層16を、その炭素含有比率が該p型GaN層表面に含まれる全体の元素の含有率に対して10〜30%となり、また、その酸素含有比率が該p型GaN層表面に含まれる全体の元素の含有率に対して15〜25%となる構造とすることにより、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜17(ITO膜)との接触抵抗を低減することができ、良好な特性を有する、低電流駆動が可能な発光デバイス10を提供することができる。
【0080】
また、サファイア基板11上に形成され、発光デバイスの半導体積層構造を形成するp型GaN層16を、その表面のモホロジーが、Ra0.35〜0.45nmの範囲とし、またRms0.45〜0.6nmの範囲となる構造とすることにより、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜(ITO膜)17との接触抵抗を低減することができ、良好な特性を有する、低電流駆動が可能な発光デバイス10を提供することができる。
【0081】
このように本実施形態では、発光領域を含む積層構造を構成するp型GaN層16と、該GaN層上に形成されたITO膜17とを有し、該GaN層16は、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる構造、あるいはその表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる構造を有するので、発光領域を構成する半導体積層構造(最上層のp型GaN層16)と、その上に形成される透明導電膜(ITO膜)17との接触抵抗を低減することができる。
【0082】
また、下地半導体層である多重量子井戸層15上に該p型GaN層16を成長させた後、該GaN層に対する洗浄処理を、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる条件、あるいはその表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行うので、発光領域を構成するp型GaN層16と、その上に形成されるITO膜17との接触抵抗を低減することができる。
【0083】
さらに、本実施形態では、p型GaN層17に対する洗浄処理を、有機洗浄により沸点より低温で行うので、p型GaN層の洗浄面にハイドロカーボンが固着するのを防止することができる。
【0084】
このように、p型GaN層の表面を酸、アルカリ、有機溶剤で洗浄することで、p型GaNの表面には、カーボン、酸素が所定量で存在するようにすることができる。
【0085】
さらに、本実施形態では、発光領域を含む積層構造を構成するp型GaN層16と、該GaN層上に形成されたITO膜17とを有し、該p型GaN層は、その表面でのRMS(二乗平均粗さ)が0.45nm〜0.6nmの範囲の値とした構造、あるいはその表面でのRa(中心線平均粗さ)が0.35nm〜0.45nmの範囲の値とした構造を有するので、発光領域を構成する半導体積層構造(最上層のp型GaN層16)と、その上に形成される透明導電膜(ITO膜)17との接触抵抗を低減することができる。
【0086】
また、下地半導体層である多重量子井戸層15上に該p型GaN層16を成長させた後、該GaN層に対する洗浄処理を、その表面でのRMS(二乗平均粗さ)が0.45nm〜0.6nmの範囲の値となる条件、あるいはその表面でのRa(中心線平均粗さ)が0.35nm〜0.45nmの範囲の値となる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行うので、発光領域を構成するp型GaN層16と、その上に形成されるITO膜17との接触抵抗を低減することができる。
【0087】
なお、上記実施形態1では、ITO膜を形成する下地としての半導体層として、p型GaN層を示しているが、これは、n型GaN層でもよい。
【0088】
また、上記実施形態1では、特に説明しなかったが、上記実施形態1の発光デバイスを光源として用いた照明装置などの電気機器について以下に簡単に説明する。
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2として、実施形態1の発光デバイスを光源として用いた照明装置を説明する図であり、発光デバイスをモールド樹脂によりパッケージングしたランプの構造を示している。
【0089】
このランプ10aは、一対の電極を兼ねるフレーム部材F1及びF2を有しており、一方のフレーム部材F1上には、上述した実施形態1の発光デバイス10が固着され、該発光デバイス10の上部電極18bはボンディングワイヤW1により該一方のフレーム部材F1に接続され、また、発光デバイス10の下部電極18aはボンディングワイヤW2により該他方のフレーム部材F2に接続されている。そして、上記フレーム部材及び発光デバイス10の全体が樹脂Rmにより覆われてモールドパッケージが形成されている。
【0090】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、発光デバイス、透明導電膜の形成方法、発光デバイスの製造方法および電気機器の分野において、発光領域を構成する半導体積層構造と、その上に形成される透明導電膜との密着性を改善し、これらの接触抵抗を低減することができる発光デバイス、透明導電膜の形成方法、このような発光デバイスの製造方法、およびこのような良好な特性を有する、低電流駆動が可能な発光デバイスを搭載した電気機器を得ることができるものである。
【符号の説明】
【0092】
10 半導体発光素子
10a ランプ
11 サファイア基板(絶縁性基板)
12 AlN膜
13 ノンドープGaN層
14 n型GaN層
15 多重量子井戸層
15a GaN層(バリア層)
15b InGaN層(井戸層)
16 p型GaN層
17 透明膜(ITO膜)
18a 下部電極
18b 上部電極
100 洗浄装置
100a 筐体
100b カバー部材
101 洗浄槽
102a 洗浄液供給管
102b 洗浄液排出管
102c 排出口
103 カセット
F1、F2 フレーム部材
Rm モールド樹脂
W1、W2 ボンディングワイヤ
Wf ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成され、複数のIII−V族化合物半導体層からなる積層構造を有する発光デバイスであって、
該積層構造を構成するGaN層と、
該GaN層上に形成された透明導電膜とを有し、
該GaN層は、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる構造を有している、発光デバイス。
【請求項2】
基板上に形成され、複数のIII−V族化合物半導体層からなる積層構造を有する発光デバイスであって、
該積層構造を構成するGaN層と、
該GaN層上に形成された透明導電膜とを有し、
該GaN層は、その表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる構造を有している、発光デバイス。
【請求項3】
基板上に形成され、複数のIII−V族化合物半導体層からなる積層構造を有する発光デバイスであって、
該積層構造を構成するp型GaN層と、
該GaN層上に形成された透明導電膜とを有し、
該GaN層は、その表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRa0.35〜0.45nmの範囲になるよう形成したものである、発光デバイス。
【請求項4】
基板上に形成され、複数のIII−V族化合物半導体層からなる積層構造を有する発光デバイスであって、
該積層構造を構成するp型GaN層と、
該GaN層上に形成された透明導電膜とを有し、
該GaN層は、その表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRms0.45〜0.6nmの範囲になるよう形成したものである、発光デバイス。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発光デバイスにおいて、
前記GaN層はp型GaN層である、発光デバイス。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発光デバイスにおいて、
前記透明導電膜は、インジウム錫酸化物からなるITO膜である、発光デバイス。
【請求項7】
下地半導体層上にエピタキシャル成長させたGaN層上に透明導電膜を形成する透明導電膜の形成方法であって、
該下地半導体層上に該GaN層を成長させた後、該GaNに対する洗浄処理を、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる条件、あるいはその表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行う工程と、
該洗浄処理後に、該GaN層を乾燥する工程とを含む、透明導電膜の形成方法。
【請求項8】
請求項7に記載の透明導電膜の形成方法において、
前記GaN層をエピタキシャル成長した後、該GaN層をアニールする工程を含む、透明導電膜の形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の透明導電膜の形成方法において、
前記GaN層を乾燥する工程は、該GaN層を大気中でのNブローにより乾燥する工程である、透明導電膜の形成方法。
【請求項10】
請求項8に記載の透明導電膜の形成方法において、
前記GaN層を乾燥する工程は、該GaN層を、イソプロピルアルコールを用いて乾燥する工程である、透明導電膜の形成方法。
【請求項11】
下地半導体層上にエピタキシャル成長させたGaN層上に透明導電膜を形成する透明導電膜の形成方法であって、
該下地半導体層上に該GaN層を成長させた後、該GaNに対する洗浄処理を、その表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRa0.35〜0.45nmの範囲になる条件、あるいはその表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRms0.45〜0.6nmの範囲になる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行う工程と、
該洗浄処理後に、該GaN層を乾燥する工程とを含む、透明導電膜の形成方法。
【請求項12】
III−V族化合物半導体を用いて発光デバイスを製造する方法であって、
絶縁性基板上にIII−V族化合物半導体層を形成する工程と、
該III−V族化合物半導体層上に、該発光デバイスを構成する、複数のIII−V族化合物半導体層からなる素子構造を形成する工程と、
該素子構造上に透明電極膜を形成する工程とを含み、
該素子構造を形成する工程は、
下地半導体層上にGaN層をエピタキシャル成長させる工程と、
該エピタキシャル成長させたGaN層に対する洗浄処理を、その表面での炭素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜30%となる条件、あるいはその表面での酸素原子の割合が、該表面に存在するすべての元素の割合の合計に対して、10〜25%となる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行う工程と、
該洗浄処理後に、該GaN層を乾燥する工程とを含む、発光デバイスの製造方法。
【請求項13】
III−V族化合物半導体を用いて発光デバイスを製造する方法であって、
絶縁性基板上にIII−V族化合物半導体層を形成する工程と、
該III−V族化合物半導体層上に、該発光デバイスを構成する、複数のIII−V族化合物半導体層からなる素子構造を形成する工程と、
該素子構造上に透明電極膜を形成する工程とを含み、
該素子構造を形成する工程は、
下地半導体層上にGaN層をエピタキシャル成長させる工程と、
該エピタキシャル成長させたGaN層に対する洗浄処理を、その表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRa0.35〜0.45nmの範囲になる条件、あるいはその表面の粗さが、モホロジーを示す指標でRms0.45〜0.6nmの範囲になる条件の少なくとも一方の条件を満たすよう行う工程と、
該洗浄処理後に、該GaN層を乾燥する工程とを含む、発光デバイスの製造方法。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の発光デバイスの製造方法において、
前記GaN層をエピタキシャル成長した後、該GaN層をアニールする工程を含む、発光デバイスの製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の発光デバイスの製造方法において、
前記GaN層を乾燥する工程は、該GaN層を大気中でのNブローにより乾燥する工程である、発光デバイスの製造方法。
【請求項16】
請求項14に記載の発光デバイスの製造方法において、
前記GaN層を乾燥する工程は、該GaN層を、イソプロピルアルコールを用いて乾燥する工程である、発光デバイスの製造方法。
【請求項17】
光源を備えた電気機器であって、
該光源は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発光デバイスを含む電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−142444(P2012−142444A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294312(P2010−294312)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】