発光デバイス
【課題】有機発光材料の有効寿命の不均衡は重大である。有機発光材料を組み込んだグラフィックディスプレイの耐用寿命を改善する。
【解決手段】通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備した発光デバイスであって、各々を最適効率で通電したときに前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも低い輝度で光を発光し、前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも大きな面積に光を発光するように構成されていることを特徴とする発光デバイス。
【解決手段】通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備した発光デバイスであって、各々を最適効率で通電したときに前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも低い輝度で光を発光し、前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも大きな面積に光を発光するように構成されていることを特徴とする発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光デバイス、具体的には電界発光デバイスおよびこのような素子を組み込んだディスプレイに関する。電界発光デバイスのための電界発光は、有機発光材料によってもたらされる(たとえば電界発光する半導体の共役ポリマーたとえばPPVを記載している特許文献1を参照のこと)。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、図1に有機発光デバイス素子の典型的な断面構造を示す。この素子は、透明な第1電極(2)たとえばインジウム錫酸化物でコートされた基板(1)上に作製されている。コートされた基板は、少なくとも1層の電界発光有機材料の薄膜(3)および典型的には金属からなる第2電極(4)を形成する最終層でオーバーコートされている。(たとえばガラスまたはプラスチック材料からなる)透明基板を用いることによって、膜(3)中で発生した光が第1電極(2)を通して素子から出ることができる。
【0003】
電界発光デバイスの性能は、過去数年にわたって急速に向上している。それらの高い性能のために、このデバイスは、単純なバックライトからグラフィックディスプレイたとえば数百万ピクセルからなることもあるテレビジョンスクリーン、コンピューターモニターおよびパームトップデバイスまで、広い範囲のディスプレイ用途に対する潜在能力を示している。しかし、ポリマー系を含む赤、緑および青の有機エレクトロルミネセンス系の有効寿命にはかなりの変動がある。本明細書の目的のためには、エレクトロルミネセンス素子の有効寿命とは、所定の駆動方式で動作したときに素子が少なくともディスプレー−モニターのレベルの明るさ(たとえば100cd/m2に設定される)を出すことができる最大時間と定義される。たとえば、赤色発光ポリマーを含むエレクトロルミネセンス素子は有効寿命が5ボルトで30000時間であるが、青色発光ポリマーを含む素子は有効寿命が同じ電圧でわずかに1500時間である(表1参照)。
【0004】
有機発光材料の有効寿命における不均衡は重大である。というのは、このような材料を組み込んだディスプレイの使用寿命または耐用寿命の決定における1つの要因が、使用される様々なポリマーの最短の有効寿命によって支配されるためである。(他の要因は、色シフトを起こす劣化速度に関連している。色シフトは全体の色純度を減少させることがある、すなわち「ホワイト」が「オフホワイト」になり、かつディスプレイ中に不均一を生じさせる可能性もある)。したがって、グラフィックディスプレイの耐用寿命を改善する試みがなされてきた。たとえば、このようなディスプレイにおける「弱いリンク」すなわち比較的寿命の短い青色発光ポリマーの有効寿命をアップグレードさせる研究がなされてきた。また、経時的に最適性能を維持するために、複雑な駆動補償エレクトロニクスにおいて、センシング機構を使用するかまたは性能劣化の速度を予測することによって、デバイスの駆動電流を補うためのシステムが工夫されてきた。しかし、補償機構は複雑で高価な回路を必要とし、このことは利用可能な開口比に制限を課すこともある。
【特許文献1】国際公開WO90/13148
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、有機発光材料を組み込んだグラフィックディスプレイの耐用寿命を改善することにある。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備し、前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長い有効寿命を有する発光デバイスであって、前記第2の素子は前記第1の素子よりも低い明るさで動作するように構成されていることを特徴とする発光デバイスが提供される。
【0007】
ある物体から発光された光の明るさまたは輝度はカンデラ/平方メーターで評価することができ、目の感度に補正すると、発光された光の量(フォトン数)/秒/単位立体角/単位面積という単位である。瞬間的な明るさは、意図的であろうとなかろうと、ある時から別の時までに変わり得る。グラフィックディスプレイに用いる発光デバイスを考慮すると、瞬間的な明るさの変動はあまりにも速く起こるので、人間の目によっては検出することができない。したがって、本発明にとって重要な「明るさ」は、瞬間的な明るさにおける局所的または急速な変動をならして除くのに必要な程度に時間平均されている。
【0008】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含んでいてもよく、ポリマー材料たとえばWO90/13148またはWO92/03490において議論されているものでもよい。
【0009】
本出願人は、有機発光材料を用いているデバイスの明るさと耐用寿命との関係が意味するものを認識している。この関係を概略的に図2に図示している。この図は、異なる有機発光材料を用いている2つのエレクトロルミネセンス素子たとえば赤色発光素子(R)および青色発光素子(B)(これらは異なる有効寿命を持つ)に関するものである。各々の関係は、比較的明るさが明るいと比較的耐用寿命が短い(その逆も同様である)ことを示していると要約することができる。両方の有機発光材料を連続的に同じレベルの明るさで動作させると、最も有効寿命の短い材料が最初に切れ(すなわちその有効寿命の終わりに達し)(この例では青が赤より前に切れる)、そのデバイスはt1で早目に切れたと判断されるであろう。しかし、最も有効寿命の短い材料を他の材料よりも低いレベルの明るさで連続的に動作させれば、デバイスの耐用寿命はt2まで延びるであろう。
【0010】
第1のエレクトロルミネセンス素子の明るさ(B1)と第2のエレクトロルミネセンス素子の明るさ(B2)との比は、第1の素子の有効寿命(τ1)と第2の素子の有効寿命(τ2)との比と、実質的に等しいであろう(すなわちB1/B2=τ1/τ2)。たとえば、2つの素子の有効寿命にあるオーダーの大きさの差がある(たとえば、第1の素子の有効寿命が30000時間で、第2の素子の有効寿命が3000時間である)と仮定してみよう。2つの素子が実質的に同じ時間で切れるべきなのであれば、第2の素子を第1の素子の明るさの10分の1で動作させることが必要であろう。
【0011】
第2の素子(有効寿命が短い)を第1の素子よりも低い明るさで動作させることには別の利点もある。連続的に動作させたとき、第1および第2の素子によって単位時間あたりに発光される光量は、時間とともに減少するかまたは減衰し、おそらく減衰速度は第2の素子で大きいであろう。したがって、両方の素子に通電させている発光デバイスの知覚色は時間とともに移り変わるであろう。これは、全体的な光出力に対する第2の素子による寄与がゆっくりと減少するためである。しかし、第2の素子を第1の素子よりも低い明るさで動作させることによって、単位時間あたりに発光される光量における減衰速度を遅らせる効果があるであろう。言い換えれば、第1および第2の素子による単位時間当りに発光される光量における減衰速度はより一様になるであろう。それゆえ、時間とともに知覚色が移り変わるという問題は緩和されるであろう。
【0012】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は、たとえば共通のカソードを用いて、共通の電位差まで通電されるであろう。明るさ(またはcd/m2の単位での輝度)と電圧の関係を概略的に図3に図示している。この図は、異なる材料を用いている2つのエレクトロルミネセンス素子たとえば赤色発光素子(RED)および青色発光素子(BLUE)(これらは異なる駆動電圧特性を持つ)に関するものである。実際に、赤色発光素子(RED)は青色発光素子(BLUE)よりも低い駆動電圧特性を持つ。このため、2つの素子を共通の電位(V1)で駆動することにより、赤色発光素子は青色発光素子よりも高い明るさで動作するであろう(B1>B2)。したがって、デバイスの耐用寿命を延ばすという目標が共通の電位で動作させることによって達成できる。
【0013】
代わりの実施形態では、第1および第2の素子を異なる電位まで通電してもよい。第2の素子は第1の素子よりも高い電位に通電されるであろう。図3を参照すると、青色発光素子(BLUE)をV2で駆動することによって、B2よりも高い明るさB3が生じるとあろう。もちろん、図3において性能特性が逆になっているか、またはREDおよびBLUE曲線が駆動電位領域でクロスしているならば、第1の素子が第2の素子よりも高い電位に通電されるであろう。
【0014】
第2の素子にパルス状に通電してもよい。パルスさせるのは、連続的にたとえば一定電位で動作させるのと比較して、時間平均の明るさを低下させるという効果がある。このため、青色発光素子(BLUE)を前よりも高い電位(V2>V1)で動作させても、デバイスの耐用寿命はt1よりもまだ長くなるであろう。これは、発光素子が全時間の一部(たとえば1/10未満)の間だけ通電されるにすぎないためである。第2の素子を50Hzを超える周波数で、おそらく100Hzでパルスさせることができる。より低い周波数でも時間平均の明るさを低下させる効果はあるが、いくつかの用途では目の応答関数よりも速い速度で応答させることが望ましいであろう。各パルスはおそらく200ミリ秒間持続し、パルス間はおそらく20ミリ秒であろう。
【0015】
第1および第2の素子をパルスさせてもよい。このとき第1の素子の時間平均の明るさは第2の素子のそれよりも高い。このため、第1および第2の素子を共通の電位で動作させると、第1の素子は第2の素子よりも長時間通電されるであろう。このことは、第1の素子を第2の素子よりも高い周波数でパルスするかまたは第1の素子に対する各パルスの期間(パルス幅)を第2の素子に対するそれと比較して増加させることによって達成できる。両方の素子をパルスさせることは、パッシブマトリックス駆動のディスプレイに組み込まれた発光デバイスに有用であろう。
【0016】
第2の素子を第1の素子よりも大きな面積に光を発光するように構成してもよい。発光面積における差は、同等の時間フレームにわたって、第1の素子からの合計光出力が第2の素子からのそれと実質的に等しくなるようなものであろう。たとえば、アクティベーション期間に差がないのであれば、第1の素子の発光面積(A1)と第2の素子の発光面積(A2)との比は、第2の素子の明るさ(B2)と第1の素子の明るさ(B1)との比と、実質的に等しいであろう(すなわちA1/A2〜B2/B1)。第2の素子を第1の素子よりも低い時間平均明るさで動作させることにより、素子が同じサイズのものならば(アクティベーション期間を同じとして)、素子から観察者によって観察される光量は異なるであろう。これは、普通の目の制約条件(たとえばサンプリングおよび解像の要因)では、素子から受ける光量は時間平均明るさと光が発光されている面積との積に関連するためである。しかし、第2の素子のサイズを第1の素子と対比して増加させることによって、このような差をいくぶん相殺できるかまたは全体的に埋め合わせることもできる。
【0017】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の明るさを、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の半減寿命が実質的に等しくなるように選ぶこともできる。
【0018】
2つのエレクトロルミネセンス素子に関する駆動条件は、材料の性質によって支配されることがある。図4は、それぞれ第1および第2のエレクトロルミネセンス素子中の赤色および青色発光素子に関して、効率対電流密度のプロットを示している。デバイスを最適効率で動作させるべきであるならば、第1のエレクトロルミネセンス素子を第1の電流密度σ1で動作させることが必要であり、一夫で第2のエレクトロルミネセンス素子を第2の電流密度σ2で動作させることが必要であろう(σ1>σ2)。電流密度σ2は、たとえば第2の素子を第1の素子よりも高い電位で動作させることにより達成され、第2の素子をパルスすることによって低い明るさを達成する。
【0019】
デバイスは、さらに、通電したときに第3の色の光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子を具備していてもよく、第3のエレクトロルミネセンス素子は第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の中間にある有効寿命を持つ。全ての素子が有機発光材料を含んでいてもよく、ポリマー材料たとえばWO90/13148またはWO92/03490に開示されているものでもよい。全ての素子を共通の電位差まで、または異なる電位に通電してもよい。おそらく第2の素子が最高の電位で第1の素子が最低の電位であり、おそらく第2の素子がパルスされる。
【0020】
第3のエレクトロルミネセンス素子は、第1の素子よりも大きいが、第2の素子よりも小さい面積に光を発光するように構成されていてもよい。このようにする理由もまた、単位時間あたりで望ましい合計光出力を達成するためである。このようにする効果は、第1の素子を犠牲にして第2の素子の耐用寿命を増加させるのと同じである。このことは、有限の基板を取り扱う場合、実用上は第3の素子の発光面積は標準化され、第1および第2の素子の面積はそれぞれ比較的小さいか比較的大きくなるためである。
【0021】
本発明の第1の態様に係る発光デバイスを組み込んだグラフィックディスプレイであって、デバイス中の各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応するものも提供される。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、所定の電位まで通電したときに第1の明るさ(B1)の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、所定の電位まで通電したときに第2の明るさの光を発光する第2(B2)のエレクトロルミネセンス素子とを具備し、第2の明るさが第1の明るさよりも低い発光デバイスであって、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子を所定に電位に通電する手段を特徴とし、第2のエレクトロルミネセンス素子は第1のエレクトロルミネセンス素子よりも大きい発光面積を有することを特徴とする発光デバイスが提供される。
【0023】
本発明の第2の態様は、単位時間に素子によって発光される合計の光の差を減らすという観点で、最も低い明るさを持つ素子の発光面積を最も高い明るさを持つ素子のそれに対比して増加させる。このような面積的な埋め合わせがないと、共通の電位で動作したときに、最も明るい素子(すなわち第1のエレクトロルミネセンス素子)は他の素子よりも多くの光を発光するであろう。
【0024】
第1または第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含んでいてもよい。有機発光材料がポリマー性であってもよい。
【0025】
通電手段は両方の素子に共通な少なくとも1つの電極を有していてもよい。たとえば、通電手段は、各々両方の素子に共通なアノードおよびカソードを有していてもよい。
【0026】
両方のエレクトロルミネセンス素子に通電したときのいかなる所定の時間間隔においても、第1のエレクトロルミネセンス素子によって発光される合計の光は、第2のエレクトロルミネセンス素子によって発光される合計の光と、実質的に等しくてもよい。
【0027】
第1の明るさ(B1)の第2の明るさ(B2)に対する比が、第2のエレクトロルミネセンス素子の発光面積(A2)の第1のエレクトロルミネセンス素子の発光面積(A1)に対する比と、実質的に等しくてもよい(すなわちB1/B2〜A2/A1)。
【0028】
通電したときに前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子はそれぞれ第1および第2の色の光を発光してもよく、第1および第2の色は赤、緑および青からなる群より選択される。
【0029】
この発光デバイスは、さらに、所定の電位まで通電したときに第3の明るさの光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子(第3の明るさは前記第1および第2の明るさの中間にある)と、第3のエレクトロルミネセンス素子を所定の電位まで通電する手段とを具備していてもよい。
【0030】
第3のエレクトロルミネセンス素子は、第1の素子よりも大きく、第2の素子よりも小さい発光面積を有していてもよい。
【0031】
第2の態様に係る発光デバイスを具備したグラフィックディスプレイであって、各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応するグラフィックディスプレイを提供することができる。
【0032】
本発明の第3の態様によれば、通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備し、各々を最適効率で通電したときに第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも低い輝度で光を発光する発光デバイスであって、両方のエレクトロルミネセンス素子を最適効率で通電したときに前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は同じ知覚の明るさで動作するように構成されていることを特徴とする発光デバイスが提供される。
【0033】
本発明の第3の態様は、異なる輝度対効率特性を有する発光素子を最適効率で動作させ、同時に各素子からの光出力の均一性を達成する。このような発光素子は、寿命が問題ではない(ある種の「使い捨て」用途によくあるケースである)場合に貴重である。
【0034】
第1または第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含んでいてもよい。有機発光材料はポリマー性であってもよい。第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は共通の電位まで通電されてもよい。
【0035】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は異なる電位まで通電されてもよく、第2のエレクトロルミネセンス素子は第1のエレクトロルミネセンス素子よりも高い電位に通電される。一方または両方のエレクトロルミネセンス素子に印加される電位はパルス状であってもよく、第1のエレクトロルミネセンス素子はおそらく第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長時間通電される。たとえば、第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも高い周波数または広いパルス幅でパルスされてもよい。
【0036】
第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも大きな面積に光を発光するように構成されていてもよい。それぞれ最適効率で通電したときに、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の発光面積(A1およびA2)の比が、第2および第1のエレクトロルミネセンス素子の輝度(L2およびL1)の比と、実質的に等しくてもよい(すなわちA1/A2〜L2/L1)。
【0037】
第1および第2の発光色は、赤、緑および青からなる群より選択される。この発光素子は、さらに、通電したときに第3の色の光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子を具備してもよく、最適効率で通電したときに第3のエレクトロルミネセンス素子は第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の中間にある輝度で光を発光する。
【0038】
本発明の第3の態様に係る発光デバイスを具備したグラフィックディスプレイであって、各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応するグラフィックディスプレイも提供される。
【0039】
本発明の第4の態様によれば、通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備し、各々を最適効率で通電したときに第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長い半減寿命を有する発光デバイスであって、両方のエレクトロルミネセンス素子を最適効率で通電したときに第2のエレクトロルミネセンス素子は第1のエレクトロルミネセンス素子よりも低い明るさで動作するように構成されていることを特徴とする発光デバイスが提供される。
【0040】
本発明の第4の態様は、異なる半減寿命対効率特性を有する発光素子を最適効率で、かつデバイスの耐用寿命を増加させるように動作させる。
【0041】
第1または第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含んでいてもよい。有機発光材料がポリマー性であってもよい。第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は共通の電位まで通電されてもよい。
【0042】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は異なる電位まで通電されてもよく、第2のエレクトロルミネセンス素子は第1のエレクトロルミネセンス素子よりも高い電位に通電される。一方または両方のエレクトロルミネセンス素子に印加される電位はパルス状であってもよく、第1のエレクトロルミネセンス素子はおそらく第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長時間通電される。たとえば、第2のエレクトロルミネセンス素子は短時間だけ通電されるが、第1のエレクトロルミネセンス素子は連続的に動作される。それぞれ最適効率で通電したときに、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子に対する通電時間(t1およびt2)の比は、第2および第1のエレクトロルミネセンス素子の半減寿命(T2およびT1)の比と、実質的に等しくてもよい(すなわちt1/t2〜T2/T1)。
【0043】
第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも大きな面積に光を発光するように構成されていてもよい。それぞれ最適効率で通電したときに、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の発光面積(A1およびA2)の比が、前記第2および第1のエレクトロルミネセンス素子の明るさ(B2およびB1)の比と、実質的に等しくてもよい(すなわちA1/A2〜B2/B1)。
【0044】
エレクトロルミネセンス素子から発光される光の第1および第2の色は、赤、緑および青からなる群より選択される。このデバイスは、さらに、通電したときに第3の色の光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子を具備していてもよく、最適効率で通電したときに第3のエレクトロルミネセンス素子は第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の中間にある輝度で光を発光する。
【0045】
本発明の第4の態様に係る発光デバイスを具備したグラフィックディスプレイであって、各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応するグラフィックディスプレイも提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例として説明する。
ディスプレイの知覚される(perceived)明るさは下記のパラメータに依存する。
輝度perceived=輝度pixel・面積比pixel・パルス幅比
この式において、輝度perceivedは、画素サイズが目の解像限界より小さくパルスの繰り返し速度が目の応答よりも速いとして、目で見える輝度である。画素の輝度は下記の式に依存する。
輝度pixel=f[(効率pixel・(合計時間、VpixelまたはIpixel)]。
【0047】
したがって、知覚される輝度は以下のものに依存する。
1.画素の面積比
2.画素のパルス幅比
3.画素の効率
4.画素の半減寿命、または効率が時間とともにどのように変化するか
5.画素へ供給される電流または電圧、すなわち駆動条件。
【0048】
これら5つのパラメータのうち、効率および半減寿命はデバイス/材料の特性によって規定され変わることはない。しかし、他のパラメータは変わり得る。画素の面積比はディスプレイで変更しうるが、動作中は変えることができない。ある種のデバイス構成では共通のカソードおよびアノードを選択することができ、このことは異なる色をもつ画素にわたって同じ電圧をもたらすであろう。パルス幅比は動作中にドライバー回路によって変えることができる。表2には、知覚輝度、ディスプレイの寿命、ディスプレイの効率および共通の電圧を面積比およびパルス幅に対してどのように最適化することができるかの概要を示している。
【0049】
したがって、理論的には、5つの異なる最適化された操作方式があり、これらは以下のようにまとめられる。
1.1 等しい(知覚)輝度、異なる電圧、異なる効率、等しい半減寿命;
1.2 等しい(知覚)輝度、等しい電圧、異なる効率、異なる半減寿命;
1.3 等しい(知覚)輝度、異なる電圧、最適効率、等しい半減寿命;
1.4 異なる(知覚)輝度、等しい電圧、異なる効率、等しい半減寿命;および
1.5 異なる(知覚)輝度、異なる電圧、最適効率、等しい半減寿命。
【0050】
1.1 等しい輝度、異なる電圧、異なる効率、等しい半減寿命
理想的な三色ディスプレイでは全てのディスプレイ面積を画素に用いることができる。標準的なディスプレイでは、全ての画素は同じ面積を持ち、したがってディスプレイ面積の1/3を各々の色に利用できる。ディスプレイが各色についてたとえば100cd/m2の輝度を持っていなければならないのであれば、画素あたり300cd/m2の画素輝度が要求される。図5の例ではディスプレイの寿命は最も低い半減寿命によって支配され、この例では333時間である。全体的なディスプレイの寿命を、画素の面積を最適化することによって、800時間まで増加させることができる。[図5の例では、初期輝度かける半減寿命が一定であると仮定している]。しかし、知覚される輝度を100cd/m2/(画素面積比)にするために、他の関係についても最適化することができる。図5から、青、緑および赤の画素に必要になる輝度の値は、同じ半減寿命を得るためには125、625および2500cd/m2である。したがって、相対的な画素面積は、A(blue):A(green):A(red)=100/125:100/625:100/2500すなわち0.8:0.16:0.04(1/3:1/3:1/3の代わりに)である。
【0051】
1.2 等しい輝度、等しい電圧、異なる効率、異なる半減寿命
いくつかのディスプレイ用途では共通の画素電圧が、たとえば共通のアノードおよびカソードの場合、たとえば安価なホワイトのバックライトを製造するために必要になる。たとえば、輝度−電圧曲線が図6に示されるようなものであると仮定する。全ての画素を4Vの同じ電圧で駆動することによって、各々の異なる色の画素は異なる輝度を持つであろう。均一な知覚輝度を得るためには3つのオプションを利用できる。
【0052】
1.相対的な画素面積を最適化する。
知覚される明るさが各々の色で同じになるように相対的な画素面積を最適化することができる。
LUMperceived=LUMpixel・相対画素面積。
【0053】
均一な知覚輝度のためには、相対的な画素面積を、A(blue):A(green):A(red)=1/85:1/200:1/3666=0.691:0.293:0.016にすべきであり(面積比の合計は1に等しくなくてはならないため)、各々の色について58.7cd/m2の知覚輝度となる。この解決策の短所は、各々の要求されるディスプレイに輝度について、他の画素面積比が要求されることである。次の解決策はこの問題を克服する。
【0054】
2.画素の駆動時間を最適化する。
【0055】
画素の輝度は画素の駆動パルス幅を調整することによっても制御できる。青、緑および赤の画素についてのパルス幅の比は、ポイント1と同じである。この解決策は、他のディスプレイの輝度が要求されれば、パルス幅を調整できるという長所がある。
【0056】
3.駆動時間および画素面積の両方を最適化する。
【0057】
上述した両方の解決策を組み合わせることができる。非常に類似したパルス幅となる適当な画素面積比を選択すること。このことは、高い周波数のパルスの必要性を回避するが、悪い性能および高いドライバーIC設計と製造コストをもたらすことがある。
【0058】
1.3 等しい輝度、異なる電圧、最適効率、等しい半減寿命
ディスプレイを色あたり等しい輝度および最適効率に向けて最適化することもできる。この例では、パルス駆動によるパワーロスを無視している。図7からわかるように、各々の色は異なる輝度で最適効率を持っている。画素面積および/またはパルス幅を調整することによって知覚輝度を等しくすることができる。
【0059】
1.相対的な画素面積を最適化する。
知覚される明るさを等しくするためには、画素面積比を輝度比の逆数すなわちA(blue):A(green):A(red)=1/100:1/75:1/10=0.081:0.108:0.811にすべきである。このことは、知覚される輝度を8.1cd/m2にするであろう。AC駆動は余分のパワーロスをもたらすけれども、パルス幅を変えることによって、最適効率でより低い輝度値を達成することができる。最適効率は、より高い輝度値に対しては達成できない。
【0060】
1.4 異なる輝度、等しい電圧、異なる効率、等しい半減寿命
いくつかの用途においては、異なる知覚輝度の異なる画素色が許容されることがある(たとえば通信用途)。画素面積比は、同じ画素電圧での半減寿命を等しくするために用いることはできない。これは、画素面積によって知覚輝度のみを変更できるにすぎないからである。全ての色に対して等しい電圧(たとえば4V)およびこれらの色に対して等しい寿命はパルス幅を変えることによって達成できる。この例では、図8に4Vでの異なる色に対する半減寿命をT1/2(red)=10000時間、T1/2(green)=120時間、T1/2(blue)=1000時間と示している。半減寿命に逆比例してパルス幅を選ぶことによって、同じ寿命を達成できる。すなわち、幅(red):幅(green):幅(blue)=1:0.012:0.1。画素の輝度は等しくなく、この例では以下の通りである。
Lum(red)=200*1=200cd/m2;
Lum(green)=4000*0.012=48cd/m2;および
Lum(blue)=100*0.1=10cd/m2。
【0061】
1.5 異なる輝度、異なる電圧、最適効率、等しい半減寿命
他の解決策は、パルス幅を最適化して全ての色に対して最大効率と全ての色に対して等しい半減寿命を達成することである。図9から、赤、緑および青に対する最適効率値(図7参照)での動作がそれぞれ50000時間、10000時間および2000時間の半減寿命を与えることがわかる。等しい寿命を得るために画素をパルス駆動することができるが、もちろん異なる輝度をもたらす。この例では、幅(red):幅(green):幅(blue)=1:0.2:0.04のパルス幅比が50000時間の全体的な半減寿命をもたらすであろうが、対応する輝度は以下の通りである。
Lum(red)=40cd/m2;
Lum(green)=10cd/m2;および
Lum(blue)=2cd/m2。
【0062】
図10は、本発明の少なくとも1つの態様を具体化した発光デバイス12を組み込んだグラフィックディスプレイ10の一部を示している。発光デバイス12は、ポリマー系のエレクトロスミネセンス素子14を含み、その第1(14R)は通電したときに赤色の光を発光することができ、その第2(14B)は通電したときに青色の光を発光することができ、その第3(14G)は通電したときに緑色の光を発光することができる。素子14は、図1のように、透明電極(図示せず)でコートされた透明基板16上に設けられている。3つの異なる素子の有効寿命および電圧駆動特性を表1に示している。
【0063】
「赤」の素子14Rは中心に配置され、「緑」および「青」の素子14G、14Bはその周りに対照的に配置されている。このような同じ色の周辺素子は1つのものとして動作し、こうして色中心がデバイスの物理中心にあることを確実にする。この例では、デバイス12において各々の素子によって覆われる面積の比はおよそ1/3赤:1緑:3青である。(必ずしも1.1または1.2に従って最適化する必要はないが、緑の素子の面積を最初に選択し、その後に赤および青の素子の面積をそれぞれ減少および増加させる)。デバイス中の異なる色の素子は共通の電位でまたは異なる電位で動作するように構成することができる。今度は各々のシナリオを採用する。
【0064】
共通の電位
共通の電位(たとえばV1)では、通電したときに各々の素子から発光される光の明るさは色ごとに変わり、赤色発光素子で最大、青色発光素子で最低になるであろう。「緑」発光素子が「赤」および「青」発光素子による両極端の組の間になると想定すると図3からこうなる。しかし、3つの色から生じる光量はほぼ等しくなる。合計の発光は光が発光される面積にも依存するためである。各々の色で均一な発光を達成することはグラフィックディスプレイでは望ましい。「共通電位」の方法は、最高の明るさを持つ素子の面積に対比して最低の明るさを持つ素子の面積を増加させることによりこれを達成する。これは等しい面積の使用とは全く異なり、「青」の素子を「赤」の素子よりも高い電位で駆動させることによって明るさのバランスを達成する。図2に示されるように、有機エレクトロルミネセンス素子から発光される明るさが高いほど、耐用寿命が短い。こうして、電圧補償の代わりに、面積補償を用いて光出力のバランスを達成することによって、「青」の素子を「赤」の素子よりも低い明るさで動作させて耐用寿命を増すことができる(たとえば図2のt1からt2へ)。
【0065】
異なる電位
「赤」、「緑」および「青」の素子の電圧駆動特性の間の不均衡を考慮して、「青」の素子を「赤」および「緑」の素子よりも高い電位で駆動することが望ましいかもしれない。しかし、「青」の素子を高い電位で駆動することは明るさを増加させ、有効寿命および耐用寿命を(増加させるよりもむしろ)減少させるであろう。このため、他の素子に対して等しい光出力を生じさせるけれども、実際の時間平均の明るさが低下し、それによって有効寿命を延ばすように、「青」の素子に対して電位をパルスすることが必要である。もちろん、全ての素子をパルス電位で駆動することもでき、この場合、望ましい効果は異なる素子を異なる仕方でパルスすることによって達成される。たとえば、同じ周波数でパルスするならば、図6に示されるように、パルス幅は「青」の素子よりも「赤」の素子で大きいであろう。このように、グラフィックディスプレイの耐用寿命を1.5K時間から4.5K時間へ増加させることができ、従来の方法で動作される青の素子の有効寿命を超える3倍の改善である。
【表1】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】当該分野で公知の有機発光デバイスの概略図。
【図2】明るさが一定駆動条件で動作している図1のデバイスの耐用寿命にどのように影響するかを示す概略図。
【図3】2つの異なるエレクトロルミネセンス素子に関する明るさ対電圧の概略プロット。
【図4】第1および第2の素子に関する効率対電流密度の概略プロット。
【図5】赤、緑および青の色に関して画素の輝度の関数として画素の半減寿命を示すグラフ。
【図6】赤、緑および青の発光ポリマーの画素に関して輝度対電圧曲線を示すグラフ。
【図7】赤、緑および青の色に関して効率対輝度を示すグラフ。
【図8】赤、緑および青の色に関して半減寿命対画素電圧を示すグラフ。
【図9】赤、緑および青の色に関して半減寿命対効率を示すグラフ。
【図10】本発明を用いたグラフィックディスプレイの概略図。
【図11】図10における「赤」および「緑」の素子を駆動するパルスを示す図。
【図12】異なる画素面積を達成する方法を概略的に示す図。
【図13】図12において各画素の色に対して異なるエネルギーパルス幅を与える、考えられる駆動方式を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は発光デバイス、具体的には電界発光デバイスおよびこのような素子を組み込んだディスプレイに関する。電界発光デバイスのための電界発光は、有機発光材料によってもたらされる(たとえば電界発光する半導体の共役ポリマーたとえばPPVを記載している特許文献1を参照のこと)。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、図1に有機発光デバイス素子の典型的な断面構造を示す。この素子は、透明な第1電極(2)たとえばインジウム錫酸化物でコートされた基板(1)上に作製されている。コートされた基板は、少なくとも1層の電界発光有機材料の薄膜(3)および典型的には金属からなる第2電極(4)を形成する最終層でオーバーコートされている。(たとえばガラスまたはプラスチック材料からなる)透明基板を用いることによって、膜(3)中で発生した光が第1電極(2)を通して素子から出ることができる。
【0003】
電界発光デバイスの性能は、過去数年にわたって急速に向上している。それらの高い性能のために、このデバイスは、単純なバックライトからグラフィックディスプレイたとえば数百万ピクセルからなることもあるテレビジョンスクリーン、コンピューターモニターおよびパームトップデバイスまで、広い範囲のディスプレイ用途に対する潜在能力を示している。しかし、ポリマー系を含む赤、緑および青の有機エレクトロルミネセンス系の有効寿命にはかなりの変動がある。本明細書の目的のためには、エレクトロルミネセンス素子の有効寿命とは、所定の駆動方式で動作したときに素子が少なくともディスプレー−モニターのレベルの明るさ(たとえば100cd/m2に設定される)を出すことができる最大時間と定義される。たとえば、赤色発光ポリマーを含むエレクトロルミネセンス素子は有効寿命が5ボルトで30000時間であるが、青色発光ポリマーを含む素子は有効寿命が同じ電圧でわずかに1500時間である(表1参照)。
【0004】
有機発光材料の有効寿命における不均衡は重大である。というのは、このような材料を組み込んだディスプレイの使用寿命または耐用寿命の決定における1つの要因が、使用される様々なポリマーの最短の有効寿命によって支配されるためである。(他の要因は、色シフトを起こす劣化速度に関連している。色シフトは全体の色純度を減少させることがある、すなわち「ホワイト」が「オフホワイト」になり、かつディスプレイ中に不均一を生じさせる可能性もある)。したがって、グラフィックディスプレイの耐用寿命を改善する試みがなされてきた。たとえば、このようなディスプレイにおける「弱いリンク」すなわち比較的寿命の短い青色発光ポリマーの有効寿命をアップグレードさせる研究がなされてきた。また、経時的に最適性能を維持するために、複雑な駆動補償エレクトロニクスにおいて、センシング機構を使用するかまたは性能劣化の速度を予測することによって、デバイスの駆動電流を補うためのシステムが工夫されてきた。しかし、補償機構は複雑で高価な回路を必要とし、このことは利用可能な開口比に制限を課すこともある。
【特許文献1】国際公開WO90/13148
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、有機発光材料を組み込んだグラフィックディスプレイの耐用寿命を改善することにある。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備し、前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長い有効寿命を有する発光デバイスであって、前記第2の素子は前記第1の素子よりも低い明るさで動作するように構成されていることを特徴とする発光デバイスが提供される。
【0007】
ある物体から発光された光の明るさまたは輝度はカンデラ/平方メーターで評価することができ、目の感度に補正すると、発光された光の量(フォトン数)/秒/単位立体角/単位面積という単位である。瞬間的な明るさは、意図的であろうとなかろうと、ある時から別の時までに変わり得る。グラフィックディスプレイに用いる発光デバイスを考慮すると、瞬間的な明るさの変動はあまりにも速く起こるので、人間の目によっては検出することができない。したがって、本発明にとって重要な「明るさ」は、瞬間的な明るさにおける局所的または急速な変動をならして除くのに必要な程度に時間平均されている。
【0008】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含んでいてもよく、ポリマー材料たとえばWO90/13148またはWO92/03490において議論されているものでもよい。
【0009】
本出願人は、有機発光材料を用いているデバイスの明るさと耐用寿命との関係が意味するものを認識している。この関係を概略的に図2に図示している。この図は、異なる有機発光材料を用いている2つのエレクトロルミネセンス素子たとえば赤色発光素子(R)および青色発光素子(B)(これらは異なる有効寿命を持つ)に関するものである。各々の関係は、比較的明るさが明るいと比較的耐用寿命が短い(その逆も同様である)ことを示していると要約することができる。両方の有機発光材料を連続的に同じレベルの明るさで動作させると、最も有効寿命の短い材料が最初に切れ(すなわちその有効寿命の終わりに達し)(この例では青が赤より前に切れる)、そのデバイスはt1で早目に切れたと判断されるであろう。しかし、最も有効寿命の短い材料を他の材料よりも低いレベルの明るさで連続的に動作させれば、デバイスの耐用寿命はt2まで延びるであろう。
【0010】
第1のエレクトロルミネセンス素子の明るさ(B1)と第2のエレクトロルミネセンス素子の明るさ(B2)との比は、第1の素子の有効寿命(τ1)と第2の素子の有効寿命(τ2)との比と、実質的に等しいであろう(すなわちB1/B2=τ1/τ2)。たとえば、2つの素子の有効寿命にあるオーダーの大きさの差がある(たとえば、第1の素子の有効寿命が30000時間で、第2の素子の有効寿命が3000時間である)と仮定してみよう。2つの素子が実質的に同じ時間で切れるべきなのであれば、第2の素子を第1の素子の明るさの10分の1で動作させることが必要であろう。
【0011】
第2の素子(有効寿命が短い)を第1の素子よりも低い明るさで動作させることには別の利点もある。連続的に動作させたとき、第1および第2の素子によって単位時間あたりに発光される光量は、時間とともに減少するかまたは減衰し、おそらく減衰速度は第2の素子で大きいであろう。したがって、両方の素子に通電させている発光デバイスの知覚色は時間とともに移り変わるであろう。これは、全体的な光出力に対する第2の素子による寄与がゆっくりと減少するためである。しかし、第2の素子を第1の素子よりも低い明るさで動作させることによって、単位時間あたりに発光される光量における減衰速度を遅らせる効果があるであろう。言い換えれば、第1および第2の素子による単位時間当りに発光される光量における減衰速度はより一様になるであろう。それゆえ、時間とともに知覚色が移り変わるという問題は緩和されるであろう。
【0012】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は、たとえば共通のカソードを用いて、共通の電位差まで通電されるであろう。明るさ(またはcd/m2の単位での輝度)と電圧の関係を概略的に図3に図示している。この図は、異なる材料を用いている2つのエレクトロルミネセンス素子たとえば赤色発光素子(RED)および青色発光素子(BLUE)(これらは異なる駆動電圧特性を持つ)に関するものである。実際に、赤色発光素子(RED)は青色発光素子(BLUE)よりも低い駆動電圧特性を持つ。このため、2つの素子を共通の電位(V1)で駆動することにより、赤色発光素子は青色発光素子よりも高い明るさで動作するであろう(B1>B2)。したがって、デバイスの耐用寿命を延ばすという目標が共通の電位で動作させることによって達成できる。
【0013】
代わりの実施形態では、第1および第2の素子を異なる電位まで通電してもよい。第2の素子は第1の素子よりも高い電位に通電されるであろう。図3を参照すると、青色発光素子(BLUE)をV2で駆動することによって、B2よりも高い明るさB3が生じるとあろう。もちろん、図3において性能特性が逆になっているか、またはREDおよびBLUE曲線が駆動電位領域でクロスしているならば、第1の素子が第2の素子よりも高い電位に通電されるであろう。
【0014】
第2の素子にパルス状に通電してもよい。パルスさせるのは、連続的にたとえば一定電位で動作させるのと比較して、時間平均の明るさを低下させるという効果がある。このため、青色発光素子(BLUE)を前よりも高い電位(V2>V1)で動作させても、デバイスの耐用寿命はt1よりもまだ長くなるであろう。これは、発光素子が全時間の一部(たとえば1/10未満)の間だけ通電されるにすぎないためである。第2の素子を50Hzを超える周波数で、おそらく100Hzでパルスさせることができる。より低い周波数でも時間平均の明るさを低下させる効果はあるが、いくつかの用途では目の応答関数よりも速い速度で応答させることが望ましいであろう。各パルスはおそらく200ミリ秒間持続し、パルス間はおそらく20ミリ秒であろう。
【0015】
第1および第2の素子をパルスさせてもよい。このとき第1の素子の時間平均の明るさは第2の素子のそれよりも高い。このため、第1および第2の素子を共通の電位で動作させると、第1の素子は第2の素子よりも長時間通電されるであろう。このことは、第1の素子を第2の素子よりも高い周波数でパルスするかまたは第1の素子に対する各パルスの期間(パルス幅)を第2の素子に対するそれと比較して増加させることによって達成できる。両方の素子をパルスさせることは、パッシブマトリックス駆動のディスプレイに組み込まれた発光デバイスに有用であろう。
【0016】
第2の素子を第1の素子よりも大きな面積に光を発光するように構成してもよい。発光面積における差は、同等の時間フレームにわたって、第1の素子からの合計光出力が第2の素子からのそれと実質的に等しくなるようなものであろう。たとえば、アクティベーション期間に差がないのであれば、第1の素子の発光面積(A1)と第2の素子の発光面積(A2)との比は、第2の素子の明るさ(B2)と第1の素子の明るさ(B1)との比と、実質的に等しいであろう(すなわちA1/A2〜B2/B1)。第2の素子を第1の素子よりも低い時間平均明るさで動作させることにより、素子が同じサイズのものならば(アクティベーション期間を同じとして)、素子から観察者によって観察される光量は異なるであろう。これは、普通の目の制約条件(たとえばサンプリングおよび解像の要因)では、素子から受ける光量は時間平均明るさと光が発光されている面積との積に関連するためである。しかし、第2の素子のサイズを第1の素子と対比して増加させることによって、このような差をいくぶん相殺できるかまたは全体的に埋め合わせることもできる。
【0017】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の明るさを、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の半減寿命が実質的に等しくなるように選ぶこともできる。
【0018】
2つのエレクトロルミネセンス素子に関する駆動条件は、材料の性質によって支配されることがある。図4は、それぞれ第1および第2のエレクトロルミネセンス素子中の赤色および青色発光素子に関して、効率対電流密度のプロットを示している。デバイスを最適効率で動作させるべきであるならば、第1のエレクトロルミネセンス素子を第1の電流密度σ1で動作させることが必要であり、一夫で第2のエレクトロルミネセンス素子を第2の電流密度σ2で動作させることが必要であろう(σ1>σ2)。電流密度σ2は、たとえば第2の素子を第1の素子よりも高い電位で動作させることにより達成され、第2の素子をパルスすることによって低い明るさを達成する。
【0019】
デバイスは、さらに、通電したときに第3の色の光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子を具備していてもよく、第3のエレクトロルミネセンス素子は第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の中間にある有効寿命を持つ。全ての素子が有機発光材料を含んでいてもよく、ポリマー材料たとえばWO90/13148またはWO92/03490に開示されているものでもよい。全ての素子を共通の電位差まで、または異なる電位に通電してもよい。おそらく第2の素子が最高の電位で第1の素子が最低の電位であり、おそらく第2の素子がパルスされる。
【0020】
第3のエレクトロルミネセンス素子は、第1の素子よりも大きいが、第2の素子よりも小さい面積に光を発光するように構成されていてもよい。このようにする理由もまた、単位時間あたりで望ましい合計光出力を達成するためである。このようにする効果は、第1の素子を犠牲にして第2の素子の耐用寿命を増加させるのと同じである。このことは、有限の基板を取り扱う場合、実用上は第3の素子の発光面積は標準化され、第1および第2の素子の面積はそれぞれ比較的小さいか比較的大きくなるためである。
【0021】
本発明の第1の態様に係る発光デバイスを組み込んだグラフィックディスプレイであって、デバイス中の各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応するものも提供される。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、所定の電位まで通電したときに第1の明るさ(B1)の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、所定の電位まで通電したときに第2の明るさの光を発光する第2(B2)のエレクトロルミネセンス素子とを具備し、第2の明るさが第1の明るさよりも低い発光デバイスであって、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子を所定に電位に通電する手段を特徴とし、第2のエレクトロルミネセンス素子は第1のエレクトロルミネセンス素子よりも大きい発光面積を有することを特徴とする発光デバイスが提供される。
【0023】
本発明の第2の態様は、単位時間に素子によって発光される合計の光の差を減らすという観点で、最も低い明るさを持つ素子の発光面積を最も高い明るさを持つ素子のそれに対比して増加させる。このような面積的な埋め合わせがないと、共通の電位で動作したときに、最も明るい素子(すなわち第1のエレクトロルミネセンス素子)は他の素子よりも多くの光を発光するであろう。
【0024】
第1または第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含んでいてもよい。有機発光材料がポリマー性であってもよい。
【0025】
通電手段は両方の素子に共通な少なくとも1つの電極を有していてもよい。たとえば、通電手段は、各々両方の素子に共通なアノードおよびカソードを有していてもよい。
【0026】
両方のエレクトロルミネセンス素子に通電したときのいかなる所定の時間間隔においても、第1のエレクトロルミネセンス素子によって発光される合計の光は、第2のエレクトロルミネセンス素子によって発光される合計の光と、実質的に等しくてもよい。
【0027】
第1の明るさ(B1)の第2の明るさ(B2)に対する比が、第2のエレクトロルミネセンス素子の発光面積(A2)の第1のエレクトロルミネセンス素子の発光面積(A1)に対する比と、実質的に等しくてもよい(すなわちB1/B2〜A2/A1)。
【0028】
通電したときに前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子はそれぞれ第1および第2の色の光を発光してもよく、第1および第2の色は赤、緑および青からなる群より選択される。
【0029】
この発光デバイスは、さらに、所定の電位まで通電したときに第3の明るさの光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子(第3の明るさは前記第1および第2の明るさの中間にある)と、第3のエレクトロルミネセンス素子を所定の電位まで通電する手段とを具備していてもよい。
【0030】
第3のエレクトロルミネセンス素子は、第1の素子よりも大きく、第2の素子よりも小さい発光面積を有していてもよい。
【0031】
第2の態様に係る発光デバイスを具備したグラフィックディスプレイであって、各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応するグラフィックディスプレイを提供することができる。
【0032】
本発明の第3の態様によれば、通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備し、各々を最適効率で通電したときに第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも低い輝度で光を発光する発光デバイスであって、両方のエレクトロルミネセンス素子を最適効率で通電したときに前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は同じ知覚の明るさで動作するように構成されていることを特徴とする発光デバイスが提供される。
【0033】
本発明の第3の態様は、異なる輝度対効率特性を有する発光素子を最適効率で動作させ、同時に各素子からの光出力の均一性を達成する。このような発光素子は、寿命が問題ではない(ある種の「使い捨て」用途によくあるケースである)場合に貴重である。
【0034】
第1または第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含んでいてもよい。有機発光材料はポリマー性であってもよい。第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は共通の電位まで通電されてもよい。
【0035】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は異なる電位まで通電されてもよく、第2のエレクトロルミネセンス素子は第1のエレクトロルミネセンス素子よりも高い電位に通電される。一方または両方のエレクトロルミネセンス素子に印加される電位はパルス状であってもよく、第1のエレクトロルミネセンス素子はおそらく第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長時間通電される。たとえば、第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも高い周波数または広いパルス幅でパルスされてもよい。
【0036】
第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも大きな面積に光を発光するように構成されていてもよい。それぞれ最適効率で通電したときに、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の発光面積(A1およびA2)の比が、第2および第1のエレクトロルミネセンス素子の輝度(L2およびL1)の比と、実質的に等しくてもよい(すなわちA1/A2〜L2/L1)。
【0037】
第1および第2の発光色は、赤、緑および青からなる群より選択される。この発光素子は、さらに、通電したときに第3の色の光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子を具備してもよく、最適効率で通電したときに第3のエレクトロルミネセンス素子は第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の中間にある輝度で光を発光する。
【0038】
本発明の第3の態様に係る発光デバイスを具備したグラフィックディスプレイであって、各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応するグラフィックディスプレイも提供される。
【0039】
本発明の第4の態様によれば、通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備し、各々を最適効率で通電したときに第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長い半減寿命を有する発光デバイスであって、両方のエレクトロルミネセンス素子を最適効率で通電したときに第2のエレクトロルミネセンス素子は第1のエレクトロルミネセンス素子よりも低い明るさで動作するように構成されていることを特徴とする発光デバイスが提供される。
【0040】
本発明の第4の態様は、異なる半減寿命対効率特性を有する発光素子を最適効率で、かつデバイスの耐用寿命を増加させるように動作させる。
【0041】
第1または第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含んでいてもよい。有機発光材料がポリマー性であってもよい。第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は共通の電位まで通電されてもよい。
【0042】
第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は異なる電位まで通電されてもよく、第2のエレクトロルミネセンス素子は第1のエレクトロルミネセンス素子よりも高い電位に通電される。一方または両方のエレクトロルミネセンス素子に印加される電位はパルス状であってもよく、第1のエレクトロルミネセンス素子はおそらく第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長時間通電される。たとえば、第2のエレクトロルミネセンス素子は短時間だけ通電されるが、第1のエレクトロルミネセンス素子は連続的に動作される。それぞれ最適効率で通電したときに、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子に対する通電時間(t1およびt2)の比は、第2および第1のエレクトロルミネセンス素子の半減寿命(T2およびT1)の比と、実質的に等しくてもよい(すなわちt1/t2〜T2/T1)。
【0043】
第1のエレクトロルミネセンス素子は第2のエレクトロルミネセンス素子よりも大きな面積に光を発光するように構成されていてもよい。それぞれ最適効率で通電したときに、第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の発光面積(A1およびA2)の比が、前記第2および第1のエレクトロルミネセンス素子の明るさ(B2およびB1)の比と、実質的に等しくてもよい(すなわちA1/A2〜B2/B1)。
【0044】
エレクトロルミネセンス素子から発光される光の第1および第2の色は、赤、緑および青からなる群より選択される。このデバイスは、さらに、通電したときに第3の色の光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子を具備していてもよく、最適効率で通電したときに第3のエレクトロルミネセンス素子は第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の中間にある輝度で光を発光する。
【0045】
本発明の第4の態様に係る発光デバイスを具備したグラフィックディスプレイであって、各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応するグラフィックディスプレイも提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例として説明する。
ディスプレイの知覚される(perceived)明るさは下記のパラメータに依存する。
輝度perceived=輝度pixel・面積比pixel・パルス幅比
この式において、輝度perceivedは、画素サイズが目の解像限界より小さくパルスの繰り返し速度が目の応答よりも速いとして、目で見える輝度である。画素の輝度は下記の式に依存する。
輝度pixel=f[(効率pixel・(合計時間、VpixelまたはIpixel)]。
【0047】
したがって、知覚される輝度は以下のものに依存する。
1.画素の面積比
2.画素のパルス幅比
3.画素の効率
4.画素の半減寿命、または効率が時間とともにどのように変化するか
5.画素へ供給される電流または電圧、すなわち駆動条件。
【0048】
これら5つのパラメータのうち、効率および半減寿命はデバイス/材料の特性によって規定され変わることはない。しかし、他のパラメータは変わり得る。画素の面積比はディスプレイで変更しうるが、動作中は変えることができない。ある種のデバイス構成では共通のカソードおよびアノードを選択することができ、このことは異なる色をもつ画素にわたって同じ電圧をもたらすであろう。パルス幅比は動作中にドライバー回路によって変えることができる。表2には、知覚輝度、ディスプレイの寿命、ディスプレイの効率および共通の電圧を面積比およびパルス幅に対してどのように最適化することができるかの概要を示している。
【0049】
したがって、理論的には、5つの異なる最適化された操作方式があり、これらは以下のようにまとめられる。
1.1 等しい(知覚)輝度、異なる電圧、異なる効率、等しい半減寿命;
1.2 等しい(知覚)輝度、等しい電圧、異なる効率、異なる半減寿命;
1.3 等しい(知覚)輝度、異なる電圧、最適効率、等しい半減寿命;
1.4 異なる(知覚)輝度、等しい電圧、異なる効率、等しい半減寿命;および
1.5 異なる(知覚)輝度、異なる電圧、最適効率、等しい半減寿命。
【0050】
1.1 等しい輝度、異なる電圧、異なる効率、等しい半減寿命
理想的な三色ディスプレイでは全てのディスプレイ面積を画素に用いることができる。標準的なディスプレイでは、全ての画素は同じ面積を持ち、したがってディスプレイ面積の1/3を各々の色に利用できる。ディスプレイが各色についてたとえば100cd/m2の輝度を持っていなければならないのであれば、画素あたり300cd/m2の画素輝度が要求される。図5の例ではディスプレイの寿命は最も低い半減寿命によって支配され、この例では333時間である。全体的なディスプレイの寿命を、画素の面積を最適化することによって、800時間まで増加させることができる。[図5の例では、初期輝度かける半減寿命が一定であると仮定している]。しかし、知覚される輝度を100cd/m2/(画素面積比)にするために、他の関係についても最適化することができる。図5から、青、緑および赤の画素に必要になる輝度の値は、同じ半減寿命を得るためには125、625および2500cd/m2である。したがって、相対的な画素面積は、A(blue):A(green):A(red)=100/125:100/625:100/2500すなわち0.8:0.16:0.04(1/3:1/3:1/3の代わりに)である。
【0051】
1.2 等しい輝度、等しい電圧、異なる効率、異なる半減寿命
いくつかのディスプレイ用途では共通の画素電圧が、たとえば共通のアノードおよびカソードの場合、たとえば安価なホワイトのバックライトを製造するために必要になる。たとえば、輝度−電圧曲線が図6に示されるようなものであると仮定する。全ての画素を4Vの同じ電圧で駆動することによって、各々の異なる色の画素は異なる輝度を持つであろう。均一な知覚輝度を得るためには3つのオプションを利用できる。
【0052】
1.相対的な画素面積を最適化する。
知覚される明るさが各々の色で同じになるように相対的な画素面積を最適化することができる。
LUMperceived=LUMpixel・相対画素面積。
【0053】
均一な知覚輝度のためには、相対的な画素面積を、A(blue):A(green):A(red)=1/85:1/200:1/3666=0.691:0.293:0.016にすべきであり(面積比の合計は1に等しくなくてはならないため)、各々の色について58.7cd/m2の知覚輝度となる。この解決策の短所は、各々の要求されるディスプレイに輝度について、他の画素面積比が要求されることである。次の解決策はこの問題を克服する。
【0054】
2.画素の駆動時間を最適化する。
【0055】
画素の輝度は画素の駆動パルス幅を調整することによっても制御できる。青、緑および赤の画素についてのパルス幅の比は、ポイント1と同じである。この解決策は、他のディスプレイの輝度が要求されれば、パルス幅を調整できるという長所がある。
【0056】
3.駆動時間および画素面積の両方を最適化する。
【0057】
上述した両方の解決策を組み合わせることができる。非常に類似したパルス幅となる適当な画素面積比を選択すること。このことは、高い周波数のパルスの必要性を回避するが、悪い性能および高いドライバーIC設計と製造コストをもたらすことがある。
【0058】
1.3 等しい輝度、異なる電圧、最適効率、等しい半減寿命
ディスプレイを色あたり等しい輝度および最適効率に向けて最適化することもできる。この例では、パルス駆動によるパワーロスを無視している。図7からわかるように、各々の色は異なる輝度で最適効率を持っている。画素面積および/またはパルス幅を調整することによって知覚輝度を等しくすることができる。
【0059】
1.相対的な画素面積を最適化する。
知覚される明るさを等しくするためには、画素面積比を輝度比の逆数すなわちA(blue):A(green):A(red)=1/100:1/75:1/10=0.081:0.108:0.811にすべきである。このことは、知覚される輝度を8.1cd/m2にするであろう。AC駆動は余分のパワーロスをもたらすけれども、パルス幅を変えることによって、最適効率でより低い輝度値を達成することができる。最適効率は、より高い輝度値に対しては達成できない。
【0060】
1.4 異なる輝度、等しい電圧、異なる効率、等しい半減寿命
いくつかの用途においては、異なる知覚輝度の異なる画素色が許容されることがある(たとえば通信用途)。画素面積比は、同じ画素電圧での半減寿命を等しくするために用いることはできない。これは、画素面積によって知覚輝度のみを変更できるにすぎないからである。全ての色に対して等しい電圧(たとえば4V)およびこれらの色に対して等しい寿命はパルス幅を変えることによって達成できる。この例では、図8に4Vでの異なる色に対する半減寿命をT1/2(red)=10000時間、T1/2(green)=120時間、T1/2(blue)=1000時間と示している。半減寿命に逆比例してパルス幅を選ぶことによって、同じ寿命を達成できる。すなわち、幅(red):幅(green):幅(blue)=1:0.012:0.1。画素の輝度は等しくなく、この例では以下の通りである。
Lum(red)=200*1=200cd/m2;
Lum(green)=4000*0.012=48cd/m2;および
Lum(blue)=100*0.1=10cd/m2。
【0061】
1.5 異なる輝度、異なる電圧、最適効率、等しい半減寿命
他の解決策は、パルス幅を最適化して全ての色に対して最大効率と全ての色に対して等しい半減寿命を達成することである。図9から、赤、緑および青に対する最適効率値(図7参照)での動作がそれぞれ50000時間、10000時間および2000時間の半減寿命を与えることがわかる。等しい寿命を得るために画素をパルス駆動することができるが、もちろん異なる輝度をもたらす。この例では、幅(red):幅(green):幅(blue)=1:0.2:0.04のパルス幅比が50000時間の全体的な半減寿命をもたらすであろうが、対応する輝度は以下の通りである。
Lum(red)=40cd/m2;
Lum(green)=10cd/m2;および
Lum(blue)=2cd/m2。
【0062】
図10は、本発明の少なくとも1つの態様を具体化した発光デバイス12を組み込んだグラフィックディスプレイ10の一部を示している。発光デバイス12は、ポリマー系のエレクトロスミネセンス素子14を含み、その第1(14R)は通電したときに赤色の光を発光することができ、その第2(14B)は通電したときに青色の光を発光することができ、その第3(14G)は通電したときに緑色の光を発光することができる。素子14は、図1のように、透明電極(図示せず)でコートされた透明基板16上に設けられている。3つの異なる素子の有効寿命および電圧駆動特性を表1に示している。
【0063】
「赤」の素子14Rは中心に配置され、「緑」および「青」の素子14G、14Bはその周りに対照的に配置されている。このような同じ色の周辺素子は1つのものとして動作し、こうして色中心がデバイスの物理中心にあることを確実にする。この例では、デバイス12において各々の素子によって覆われる面積の比はおよそ1/3赤:1緑:3青である。(必ずしも1.1または1.2に従って最適化する必要はないが、緑の素子の面積を最初に選択し、その後に赤および青の素子の面積をそれぞれ減少および増加させる)。デバイス中の異なる色の素子は共通の電位でまたは異なる電位で動作するように構成することができる。今度は各々のシナリオを採用する。
【0064】
共通の電位
共通の電位(たとえばV1)では、通電したときに各々の素子から発光される光の明るさは色ごとに変わり、赤色発光素子で最大、青色発光素子で最低になるであろう。「緑」発光素子が「赤」および「青」発光素子による両極端の組の間になると想定すると図3からこうなる。しかし、3つの色から生じる光量はほぼ等しくなる。合計の発光は光が発光される面積にも依存するためである。各々の色で均一な発光を達成することはグラフィックディスプレイでは望ましい。「共通電位」の方法は、最高の明るさを持つ素子の面積に対比して最低の明るさを持つ素子の面積を増加させることによりこれを達成する。これは等しい面積の使用とは全く異なり、「青」の素子を「赤」の素子よりも高い電位で駆動させることによって明るさのバランスを達成する。図2に示されるように、有機エレクトロルミネセンス素子から発光される明るさが高いほど、耐用寿命が短い。こうして、電圧補償の代わりに、面積補償を用いて光出力のバランスを達成することによって、「青」の素子を「赤」の素子よりも低い明るさで動作させて耐用寿命を増すことができる(たとえば図2のt1からt2へ)。
【0065】
異なる電位
「赤」、「緑」および「青」の素子の電圧駆動特性の間の不均衡を考慮して、「青」の素子を「赤」および「緑」の素子よりも高い電位で駆動することが望ましいかもしれない。しかし、「青」の素子を高い電位で駆動することは明るさを増加させ、有効寿命および耐用寿命を(増加させるよりもむしろ)減少させるであろう。このため、他の素子に対して等しい光出力を生じさせるけれども、実際の時間平均の明るさが低下し、それによって有効寿命を延ばすように、「青」の素子に対して電位をパルスすることが必要である。もちろん、全ての素子をパルス電位で駆動することもでき、この場合、望ましい効果は異なる素子を異なる仕方でパルスすることによって達成される。たとえば、同じ周波数でパルスするならば、図6に示されるように、パルス幅は「青」の素子よりも「赤」の素子で大きいであろう。このように、グラフィックディスプレイの耐用寿命を1.5K時間から4.5K時間へ増加させることができ、従来の方法で動作される青の素子の有効寿命を超える3倍の改善である。
【表1】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】当該分野で公知の有機発光デバイスの概略図。
【図2】明るさが一定駆動条件で動作している図1のデバイスの耐用寿命にどのように影響するかを示す概略図。
【図3】2つの異なるエレクトロルミネセンス素子に関する明るさ対電圧の概略プロット。
【図4】第1および第2の素子に関する効率対電流密度の概略プロット。
【図5】赤、緑および青の色に関して画素の輝度の関数として画素の半減寿命を示すグラフ。
【図6】赤、緑および青の発光ポリマーの画素に関して輝度対電圧曲線を示すグラフ。
【図7】赤、緑および青の色に関して効率対輝度を示すグラフ。
【図8】赤、緑および青の色に関して半減寿命対画素電圧を示すグラフ。
【図9】赤、緑および青の色に関して半減寿命対効率を示すグラフ。
【図10】本発明を用いたグラフィックディスプレイの概略図。
【図11】図10における「赤」および「緑」の素子を駆動するパルスを示す図。
【図12】異なる画素面積を達成する方法を概略的に示す図。
【図13】図12において各画素の色に対して異なるエネルギーパルス幅を与える、考えられる駆動方式を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備した発光デバイスであって、
各々を最適効率で通電したときに前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも低い輝度で光を発光し、
前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも大きな面積に光を発光するように構成されていることを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
前記第1または第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記有機発光材料がポリマーであることを特徴とする請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は共通の電位まで通電されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は異なる電位まで通電されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記第2のエレクトロルミネセンス素子は前記第1のエレクトロルミネセンス素子よりも高い電位に通電されることを特徴とする請求項5に記載の発光デバイス。
【請求項7】
一方または両方のエレクトロルミネセンス素子に印加される電位はパルス状であることを特徴とする請求項4または5に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長時間通電されることを特徴とする請求項7に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも高い周波数または広いパルス幅でパルスされることを特徴とする請求項7に記載の発光デバイス。
【請求項10】
それぞれ最適効率で通電したときに、前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の発光面積の比が、前記第2および第1のエレクトロルミネセンス素子の輝度の比と、実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記第1および第2の発光色が、赤、緑および青からなる群より選択されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項12】
さらに、通電したときに第3の色の光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子を具備し、最適効率で、前記第3のエレクトロルミネセンス素子は前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の中間の輝度で光を発光することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記第1のエレクトロルミネセンス素子は赤色発光素子として構成されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の発光デバイスを具備したグラフィックディスプレイであって、各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応することを特徴とするグラフィックディスプレイ。
【請求項1】
通電したときに第1の色の光を発光する第1のエレクトロルミネセンス素子と、通電したときに第2の色の光を発光する第2のエレクトロルミネセンス素子とを具備した発光デバイスであって、
各々を最適効率で通電したときに前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも低い輝度で光を発光し、
前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも大きな面積に光を発光するように構成されていることを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
前記第1または第2のエレクトロルミネセンス素子は有機発光材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記有機発光材料がポリマーであることを特徴とする請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は共通の電位まで通電されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子は異なる電位まで通電されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記第2のエレクトロルミネセンス素子は前記第1のエレクトロルミネセンス素子よりも高い電位に通電されることを特徴とする請求項5に記載の発光デバイス。
【請求項7】
一方または両方のエレクトロルミネセンス素子に印加される電位はパルス状であることを特徴とする請求項4または5に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも長時間通電されることを特徴とする請求項7に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記第1のエレクトロルミネセンス素子は前記第2のエレクトロルミネセンス素子よりも高い周波数または広いパルス幅でパルスされることを特徴とする請求項7に記載の発光デバイス。
【請求項10】
それぞれ最適効率で通電したときに、前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の発光面積の比が、前記第2および第1のエレクトロルミネセンス素子の輝度の比と、実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記第1および第2の発光色が、赤、緑および青からなる群より選択されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項12】
さらに、通電したときに第3の色の光を発光する第3のエレクトロルミネセンス素子を具備し、最適効率で、前記第3のエレクトロルミネセンス素子は前記第1および第2のエレクトロルミネセンス素子の中間の輝度で光を発光することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記第1のエレクトロルミネセンス素子は赤色発光素子として構成されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の発光デバイスを具備したグラフィックディスプレイであって、各々のエレクトロルミネセンス素子がグラフィック情報を表示する画素に対応することを特徴とするグラフィックディスプレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−318898(P2006−318898A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126078(P2006−126078)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【分割の表示】特願2002−503946(P2002−503946)の分割
【原出願日】平成13年6月21日(2001.6.21)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【分割の表示】特願2002−503946(P2002−503946)の分割
【原出願日】平成13年6月21日(2001.6.21)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】
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