説明

発光型トランジスタ

本発明は、スイッチング機能を有する発光素子である発光型トランジスタ(LEFET)であって、十分な発光強度を得ることができ、より発光効率が高いものを提供するために成された。ドレイン電極25の材料にアルミニウムを、ソース電極24の材料に金を用いる。ソース電極24−ドレイン電極25間に電圧を印加することにより、ソース電極24から正孔が、ドレイン電極25から電子が、それぞれ発光体層26に注入される。正孔と電子が再結合して、発光体層26が発光する。発光のON/OFFはゲート電圧のON/OFFにより制御される。従来はドレイン電極にも金を用いていたのに対して、本発明では金よりも仕事関数の小さいアルミニウムを用いることにより、より低い電圧でより多くの電子を発光体層26に注入することができる。そのため、発光強度及び発光効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果トランジスタと発光素子の機能を併せ持つ発光型トランジスタ及びそれを用いたレーザ光源に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ等に用いられる発光素子として、有機物を発光体層に用いた有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode: OLED)が実用化されている。OLEDを用いることにより、インクジェット法等の簡単な方法で製造することができ、大面積且つフレキシブルであり、液晶ディスプレイよりも高輝度且つ省電力のディスプレイを得ることができる。
【0003】
また、このようなディスプレイOLEDを制御するスイッチング素子の1つに、有機物をチャネル層に用いた有機電界効果トランジスタ(Organic Field Effect Transistor: OFET)がある。しかし、OLEDとOFETを組み合わせたディスプレイを製造しようとすると、製造プロセスが複雑になる。
【0004】
そこで、OLEDとOFETの機能を兼ね備えた素子である発光型トランジスタ(Light Emitting Field Effect Transistor: LEFET)が検討されている。LEFETは、それ自体が発光し、その発光のON/OFFがゲート電圧のON/OFFにより制御できるものである。このような素子をディスプレイに用いることにより、1個の素子で発光とその制御を共に行うことができるため、上記のようにOLEDとOFETという2つの素子を組み合わせて用いる必要がなくなる。従って、ディスプレイの構造や製造プロセスを簡素化することができ、製造コストを削減することができる。また、素子をより高密度に配置することができ、それにより画像の解像度を高くすることができる。
【0005】
非特許文献1及び2には共に、LEFETの一例について記載されている。これらの文献に示されたLEFETの構成について、その断面図である図1を用いて説明する。ゲート電極11上に絶縁膜12が積層され、絶縁膜12上に第1ソース・ドレイン電極14及び第2ソース・ドレイン電極15が配置される。第1ソース・ドレイン電極14及び第2ソース・ドレイン電極15には、非特許文献1及び2のいずれにおいても金を用いている。また、非特許文献2のLEFETでは、第1ソース・ドレイン電極14及び第2ソース・ドレイン電極15と絶縁膜12の間に、これらの電極を絶縁膜12に接着するための、クロムから成る接着層131及び132が介挿される。絶縁膜12の上に、第1ソース・ドレイン電極14及び第2ソース・ドレイン電極15に接するように、有機物から成る発光体層16が配置される。発光体層16は、非特許文献1のLEFETではヨウ化鉛系層状ペロブスカイト化合物である(C6H5C2H4NH3)2PbI4から成り、非特許文献2のLEFETではテトラセンから成る。
【0006】
【非特許文献1】八尋正幸、他2名,「層状ペロブスカイト自己組織化膜を用いた有機FETの発光及び電気特性」,信学技報,社団法人電子情報通信学会,2002年,OME2002-54号,37〜41ページ
【非特許文献2】A. Hepp、他5名,「テトラセン薄膜を用いた発光電界効果トランジスタ」,フィジカル・レビュー・レターズ,(米国),アメリカ物理学会,2003年10月10日,第91巻,第15号,157406-1〜157406-4頁(A. Hepp et al., "Light-Emitting Field-Effect Transistor Based on a Tetracene Thin Film", Physical Review Letters, American Physical Society, vol. 91, pp. 157406-1 - 157406-4 (2003))
【0007】
このLEFETの動作を説明する。
まず、図1(a)に示すようにゲート電極11に負のゲート電圧VGを印加した場合について述べる。第1ソース・ドレイン電極14−第2ソース・ドレイン電極15間に、第2ソース・ドレイン電極15側が正となるソース−ドレイン電圧VSDを印加する。ここで、ソース−ドレイン電圧VSDは、通常のFETよりも高い数十V〜百数十Vとする。電圧VSDの印加により、第2ソース・ドレイン電極15から発光体層16に正孔が注入される。この正孔はゲート電圧VGにより絶縁膜12側に引きつけられつつ、第1ソース・ドレイン電極14に向かう。即ち、この例では第2ソース・ドレイン電極15がソース電極の役割を、第1ソース・ドレイン電極14がドレイン電極の役割を有する。一方、第1ソース・ドレイン電極14からは、発光体層16に電子が注入される。ここで注入される電子の数は、第2ソース・ドレイン電極15から注入される正孔の数よりも少ないことから、その量を確保するために上記のように電圧VSDを高くしている。こうして注入された正孔と電子は第1ソース・ドレイン電極14の近傍の発光体層16内で再結合し、これにより発光体が発光する。ゲート電圧VGのON/OFFにより、絶縁膜12の近傍の正孔濃度が大きく/小さくなるため、それにより正孔と電子の再結合のON/OFF、即ち発光のON/OFFが制御される。
【0008】
次に、図1(b)に示すようにゲート電極11に正のゲート電圧VGを印加した場合について述べる。前述の場合と同様に第2ソース・ドレイン電極15側が正となる数十V〜百数十Vのソース−ドレイン電圧VSDを印加すると、第1ソース・ドレイン電極14から発光体層16に電子が注入され、この電子はゲート電圧VGにより絶縁膜12側に引きつけられつつ、第2ソース・ドレイン電極15に向かう。即ち、この例では第1ソース・ドレイン電極14がソース電極の役割を、第2ソース・ドレイン電極15がドレイン電極の役割を果たす。一方、第2ソース・ドレイン電極15からは、発光体層16に少数の正孔が注入される。これらの正孔と電子は第2ソース・ドレイン電極15の近傍の発光体層16内で再結合し、これにより発光体が発光する。
【0009】
発光体層16に正孔の輸送能力が高い材料を用いる場合には図1(a)のように負のゲート電圧VGを、電子の輸送能力が高い材料を用いる場合には図1(b)のように正のゲート電圧VGを、それぞれ印加するとよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、LEFETではソース電極から注入されるキャリアとは逆特性のキャリアをドレイン電極から発光体層に注入するために、通常のFETよりも高いソース−ドレイン間電圧を印加している。それでもなお、従来のLEFETでは、ソース電極からのキャリアの注入量に比べてドレイン電極からのキャリアの注入量が不十分であることから、発光強度が不十分である。また、このような高電圧が印加されるうえ、ドレイン電極からのキャリアと再結合しないソース電極からのキャリアによる無駄な電流が大きいため、消費電力が大きく、発光効率も低い。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、十分な発光強度を得ることができ、より消費電力が小さく発光効率が高い発光型トランジスタを提供することである。併せて、この発光型トランジスタを用いたレーザ光源を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために成された本発明に係る発光型トランジスタは、
a)表面に絶縁膜が形成されたゲート電極と、
b)前記絶縁膜上に配置され、仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料から成る第1ソース・ドレイン電極と、
c)同じく前記絶縁膜上に前記第1ソース・ドレイン電極から離間して配置され、仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料から成る第2ソース・ドレイン電極と、
d)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間の前記絶縁膜上に設けられた、有機半導体から成る発光体層と、
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るレーザ光源の第1の態様のものは、
a)表面に絶縁膜が形成されたゲート電極と、
b)前記絶縁膜上に配置され、仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料から成る第1ソース・ドレイン電極と、
c)同じく前記絶縁膜上に前記第1ソース・ドレイン電極から離間して配置され、仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料から成る第2ソース・ドレイン電極と、
d)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間の前記絶縁膜上に設けられた、有機半導体から成る発光体層と、
e)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間に設けられた、前記発光体層において発光する光を回折する回折格子と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るレーザ光源の第2の態様のものは、
a)表面に絶縁膜が形成されたゲート電極と、
b)前記絶縁膜上に配置され、仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料から成る櫛形の第1ソース・ドレイン電極と、
c)仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料から成る櫛形の電極であって、前記絶縁膜上に、該電極の櫛の歯と前記ドレイン電極の櫛の歯をかみ合わせてこれらの歯により回折格子を形成するように配置された第2ソース・ドレイン電極と、
d)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間の前記絶縁膜上に設けられた、有機半導体から成る発光体層と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るレーザ光源の第3の態様のものは、
a)表面に絶縁膜が形成されたゲート電極と、
b)前記絶縁膜上に配置され、仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料から成る第1ソース・ドレイン電極と、
c)同じく前記絶縁膜上に前記第1ソース・ドレイン電極から離間して配置され、仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料から成る第2ソース・ドレイン電極と、
d)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間の前記絶縁膜上に設けられた、有機半導体から成る発光体層と、
e)前記発光体層から外部への光路上に設けられた、前記発光体層の発光波長帯中の所定の波長の光が干渉する誘電体多層膜と、
を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の発光型トランジスタの一例を示す断面図。
【図2】本発明の発光型トランジスタの第1実施例を示す断面図。
【図3】第1実施例の発光型トランジスタの製造方法を示す図。
【図4】本発明の発光型トランジスタの第2実施例を示す断面図。
【図5】本発明の発光型トランジスタの第3実施例を示す断面図。
【図6】本発明の発光型トランジスタの第4実施例を示す断面図。
【図7】比較例の発光型トランジスタにおける発光スペクトル(第1実施例も同様)を示すグラフ。
【図8】第1実施例及び比較例の発光型トランジスタにおける(a)ゲート電圧VGと光電流及び(b)ソース−ドレイン間電流ISDと光電流の関係を示すグラフ。
【図9】本発明のレーザ光源の第1実施例を示す上面図及び断面図。
【図10】本発明のレーザ光源の第2実施例を示す上面図及び断面図。
【図11】本発明のレーザ光源の第3実施例を示す断面図。
【符号の説明】
【0017】
11、21、51、61、71…ゲート電極
12、22、52、62、72…絶縁膜
131、132、23、53、63、73…接着層
14…第1ソース・ドレイン電極
15…第2ソース・ドレイン電極
16、26、56、66、76…発光体層
24、34、44、54、64、74…ソース電極
25、35、45、55、65、75…ドレイン電極
26a…正孔輸送材料
26b…電子輸送材料
271、272…レジスト
281、282…マスク
311、312、41…アルミニウム薄膜片
321、322…金薄膜片
42…被覆層
641、642…櫛形電極の歯
77…誘電体多層膜
【発明の実施の形態及び効果】
【0018】
上記のように、従来のLEFETにはドレイン電極から発光体層へ十分な数のキャリアを供給できないという問題点があることから、本願発明者は第1ソース・ドレイン電極及び第2ソース・ドレイン電極の材料の仕事関数に着目した。仕事関数は金属のフェルミ準位と真空準位との差により定義され、金属から外部への電子の放出は仕事関数の値が小さいほど容易になり、正孔の放出は仕事関数の値が大きいほど容易になる。
【0019】
まず、第2ソース・ドレイン電極がソース電極となり、ソース電極から発光体層に正孔が注入される場合について説明する。
この場合には、前述の通りドレイン電極(第1ソース・ドレイン電極)から発光体層に電子が注入される。このドレイン電極の材料に仕事関数の小さい金属が用いられることにより、ドレイン電極から発光体層への電子の供給量を増加させることができ、それにより発光強度及び発光効率を高めることができる。そして、本願発明者は、従来の金(仕事関数は5.31eV〜5.46eV)電極の代わりに、少なくとも表面の一部にアルミニウム(仕事関数は4.06〜4.26eV)を有する電極を用いれば発光強度及び発光効率を高めることができることを、実験により明らかにした。従って、本発明では、アルミニウム又はそれよりも仕事関数が小さい材料、即ち仕事関数が4.26eV以下である材料をドレイン電極に用いる。そのような材料には、アルミニウムの他にマグネシウム、カルシウム、マグネシウム−銀合金等がある。
【0020】
ドレイン電極は電子注入材料が発光体層に接してさえいれば、そこから発光体層への電子の供給量を増加させることができる。従って、ドレイン電極は電子注入材料のみから成るものには限られず、電子注入材料と他の材料を組み合わせたものから構成してもよい。例えば、電子注入材料と他の材料が積層したものや、他の材料の表面に電子注入材料を被覆したもの等を用いることができる。また、複数種類の電子注入材料を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
一方、ソース電極は、正孔を発光体層に効率よく注入するために、仕事関数の大きい材料で構成する。そのため、この材料(正孔注入材料)には仕事関数がアルミニウムよりも大きい、即ち4.26eVよりも大きいものを用いる。従来のLEFETで用いられている金電極は本発明のLEFETのソース電極に好適に用いることができる。また、例えば白金、インジウム錫酸化物(ITO)、クロム、ニッケル等も正孔注入材料に好適に用いることができる。また、ドレイン電極の場合と同様に、正孔注入材料と他の材料を組み合わせたものからソース電極を構成してもよい。
【0022】
次に、第1ソース・ドレイン電極がソース電極となり、ソース電極から発光体層に電子が注入される場合について説明する。この場合には、ドレイン電極(第2ソース・ドレイン電極)の材料に仕事関数の大きい金属を用いることにより、ドレイン電極から発光体層への正孔の供給量を増加させることができ、それにより発光強度及び発光効率を高めることができる。この場合には、ドレイン電極の材料には仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料を、ソース電極には仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料を、それぞれ用いればよい。
【0023】
前述の通り、ソース電極から発光体層に正孔が注入される場合、電子が注入される場合のいずれも、ソース電極とドレイン電極のいずれか一方は仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料から成り、他方は仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料から成る。即ち、いずれの場合も共通の構成を有する。本願では上記電子注入材料から成る電極を第1ソース・ドレイン電極、上記正孔注入材料から成る電極を第2ソース・ドレイン電極と呼ぶ。
【0024】
第1ソース・ドレイン電極及び第2ソース・ドレイン電極を、各々、前記電子注入材料と前記正孔注入材料を同じ順序で積層した構成とすることができる。これにより、両電極を同時に作製できるため、製造工程を簡素化することができる。この場合、第1ソース・ドレイン電極では主に電子注入材料が電子の注入に寄与し、第2ソース・ドレイン電極では主に正孔注入材料が正孔の注入に寄与する。また、積層の順序は問わないが、電極を絶縁膜上に接着する場合には、該絶縁膜との接着性がよい方の材料を下側とすることが望ましい。
【0025】
また、正孔注入材料よりも電子注入材料の方が絶縁膜との接着性がよい場合には、第2ソース・ドレイン電極が前記電子注入材料から成る接着基層を前記正孔注入材料で覆って成るものであってもよい。この場合、第1ソース・ドレイン電極、第2ソース・ドレイン電極共に、電子注入材料により絶縁膜に接着されるため、接着性がよい。また、第2ソース・ドレイン電極の接着基層と第1ソース・ドレイン電極を同時に作成できるため、製造工程を簡素化することができる。同様に、電子注入材料よりも正孔注入材料の方が絶縁膜との接着性がよい場合には、第1ソース・ドレイン電極が前記正孔注入材料から成る接着基層を前記電子注入材料で覆って成るものであってもよい。
【0026】
ゲート電極及び絶縁膜には、従来のLEFETと同様のものを用いることができる。例えば、通常のシリコン半導体よりも不純物のドープ量を増やして電気抵抗を低くしたn型シリコンをゲート電極として用い、その表面を酸化処理して形成した酸化膜を絶縁膜として用いることができる。また、発光体層の有機半導体にも、従来のLEFET、OFET或いはOLEDと同様のものを用いることができる。例えば、橙色の発光を得る場合には、化学式(1)
【化1】

で表されるpoly(2-methoxy, 5-(2'-ethyl-hexoxy)-1, 4-phenylenevinylene)(略称:MEH-PPV)を好適に用いることができる。また、非特許文献1及び2に記載の(C6H5C2H4NH3)2PbI4やテトラセン等も用いることができる。
【0027】
本発明のLEFETの動作は、基本的には従来のLEFETの動作と同様である。ソース電極から発光体層に正孔が注入される場合には、ゲート電極から負のゲート電圧を印加しつつソース電極−ドレイン電極間に電圧を印加することにより、ソース電極(第2ソース・ドレイン電極)から発光体層に正孔が注入されると共に、ドレイン電極(第1ソース・ドレイン電極)から発光体層に電子が注入される。発光体層中の正孔はゲート電圧によりゲート電極側に引きつけられつつ、ソース−ドレイン間電圧によりドレイン電極側に移動し、ドレイン電極近傍で電子と再結合する。これにより発光体が発光する。ゲート電圧をON/OFFすることにより、絶縁膜近傍の正孔濃度が変化し、それにより発光のON/OFFが制御される。
ソース電極から発光体層に電子が注入される場合には、ゲート電極から正のゲート電圧を印加しつつソース電極−ドレイン電極間に電圧を印加することにより、ソース電極(第1ソース・ドレイン電極)から発光体層に電子が注入されると共に、ドレイン電極(第2ソース・ドレイン電極)から発光体層に正孔が注入される。上記と同様にこれら正孔と電子が再結合することにより発光体が発光する。発光のON/OFF制御も上記と同様である。
【0028】
本発明のドレイン電極は、ソース電極から発光層に注入されるキャリアとは逆極性のキャリアを、従来のLEFETよりも容易に注入することができるため、従来と同程度のソース−ドレイン間電圧を印加すれば、従来よりも発光強度を大きくすることができる。従来と同程度の発光強度を得る場合には、従来よりもソース−ドレイン間電圧を低くすることができる。また、ソース−ドレイン間電圧を適切に設定すれば、これら2つの効果を同時に得ることができる。更に、ソース電極から発光層に注入され発光に寄与しないキャリアの数が減少するため、発光効率を高くすることができる。
【0029】
なお、第1ソース・ドレイン電極及び第2ソース・ドレイン電極は絶縁膜に接している必要はなく、例えばこれらの電極と絶縁膜の間にも発光体層が存在していても構わない。しかし、上記のようにキャリアをゲート電極側に引きつけ易くするために、第1ソース・ドレイン電極及び第2ソース・ドレイン電極は絶縁膜に接していることが望ましい。
【0030】
発光体層は2種類以上の材料から形成することもできる。例えば、発光体層のうち第1ソース・ドレイン電極に接する領域を電子輸送材料から、第2ソース・ドレイン電極に接する領域を正孔輸送材料から形成してもよい。この場合、第1ソース・ドレイン電極から発光体層に注入される電子及び第2ソース・ドレイン電極から発光体層に注入される正孔の輸送効率が共に向上する。また、この構成によれば、ゲート電極に負の電圧を印加すると、正孔が第2ソース・ドレイン電極から発光体層に注入され、ゲート電極に引きつけられつつ第1ソース・ドレイン電極に向けて移動し、第1ソース・ドレイン電極の近傍、即ち正孔輸送材料中で、第1ソース・ドレイン電極から供給される電子と再結合して発光する。第1ソース・ドレイン電極から供給される電子は負のゲート電圧によりゲート電極から遠ざかるため、第1ソース・ドレイン電極近傍以外では再結合は生じない。それに対して、ゲート電極に正の電圧を印加すると、電子が第1ソース・ドレイン電極から発光体層に注入され、ゲート電極側に引きつけられつつ第2ソース・ドレイン電極に向けて移動し、第2ソース・ドレイン電極の近傍、即ち正孔輸送材料中で発光する。従って、正孔輸送材料と電子輸送材料の発光波長が異なれば、この構成のLEFETは、ゲート電極の正負を切り替えることにより、異なる波長の光を発光することができる。
【0031】
次に、本発明のレーザ光源について説明する。
ここまでに述べた本発明のLEFETでは、上記構成により発光体層にキャリアを効率よく供給し、更にゲート電圧を印加することにより、絶縁膜近傍におけるキャリア密度を高くすることができる。このような高キャリア密度下では、基底状態にあるキャリアよりも励起状態にあるキャリアの方が多い反転分布の状態を実現することができる。この反転分布状態において発光した光を更に共振又は干渉させることにより、レーザ発光を実現することができる。また、ゲート電圧のON/OFFによりレーザ発光をON/OFFすることができる。分布帰還(DFB:distributed feedback)型のレーザ光源として、回折格子を用いたものが知られている。本発明においては、このDFBをLEFETに適用した。
【0032】
第1態様のレーザ光源では、第1ソース・ドレイン電極と第2ソース・ドレイン電極の間にそれらとは別体の回折格子を設けることにより、上記干渉を生じさせ、それによりレーザ発光を得る。この回折格子は、例えば絶縁膜の表面に格子状の凹凸を形成することにより設けることができる。また、絶縁膜とは別体の回折格子を絶縁膜上に載置してもよい。
【0033】
第2態様のレーザ光源では、多くのFETで用いられる櫛形電極により回折格子を形成する。第1ソース・ドレイン電極の櫛の歯と第2ソース・ドレイン電極の櫛の歯をかみ合わせるように配置し、これらの歯を等間隔にすれば、それらから回折格子が形成される。これにより、別途回折格子の部材を設けることなく、レーザ光源を形成することができる。
【0034】
第3態様のレーザ光源では、発光体層において発光した光が外部に出射されるまでの間の光路上に誘電体多層膜を設ける。誘電体多層膜はそれを構成する材料や層の厚さにより定まる波長の光を干渉により強めることができる。この誘電体多層膜の干渉波長と発光体層の発光波長を一致させることにより、発光体層において発光した光が誘電体多層膜において干渉により強められ、それによりレーザ発振を得ることができる。
【実施例】
【0035】
本発明に係る発光型トランジスタの第1の実施例を、図2を用いて説明する。ゲート電極21には低抵抗n型シリコン基板を用いる。この基板の一方の表面にSiO2酸化膜から成る絶縁膜22を形成する。絶縁膜22の上に、従来のLEFETと同様に、クロムから成る接着層23を挟んで、金から成るソース電極(第2ソース・ドレイン電極)24を配置する。そして、絶縁膜22上に、ソース電極24から所定のチャネル長だけ離間して、アルミニウムから成るドレイン電極(第1ソース・ドレイン電極)25を配置する。アルミニウムはSiO2との接着性がよいため、このドレイン電極25は絶縁膜22上に直接形成することができる。絶縁膜22の上に、ソース電極24及びドレイン電極25を覆うように、有機物から成る発光体層26を配置する。本実施例で用いた有機物は、上記MEH-PPVである。
【0036】
図3を用いて、第1実施例のLEFETの製造方法を説明する。低抵抗n型シリコン基板21を酸素雰囲気中で加熱し、表面にSiO2酸化膜22を形成する(a)。次に、SiO2酸化膜22上に、スピンコーティングによりレジスト271を塗布した後、ソース電極の形状に応じたマスク281によりレジスト271の表面を覆って、ソース電極のパターンをレジストに転写する(b)。そして、クロム、金の順に蒸着することにより、接着層23及びソース電極24を形成する(c)。レジスト271を除去した後、絶縁膜及びソース電極上に新しいレジスト272を塗布し、ドレイン電極用のマスク282によりレジスト表面を覆ってドレイン電極のパターンを転写する(d)。この時、マスクに位置合わせのためのガイドを設けておくことにより、所定の位置にドレイン電極のパターンを形成することができる。次に、アルミニウムを蒸着してドレイン電極25を形成する(e)。レジストを除去後、キャスト法により発光体層26を形成し、第1実施例のLEFETが完成する(f)。
【0037】
第1実施例のLEFETの動作を説明する。ゲート電極21に負のゲート電圧VGを印加しつつ、ソース電極24とドレイン電極25の間にソース−ドレイン間電圧VSDを印加する。これにより、ソース電極24から正孔が、ドレイン電極25から電子が、それぞれ発光体層26に注入される。発光体層26に注入された正孔と電子はこの層内で再結合し、これにより発光体が発光する。ゲート電圧VGのON/OFFにより発光のON/OFFが制御されるという点では、従来のLEFETと同様である。しかし、本実施例ではドレイン電極25の材料に、金よりも仕事関数の小さいアルミニウムを用いるため、ドレイン電極25からの電子の注入量が従来のLEFETよりも多くなり、発光強度が増大する。また、ソース電極から注入された正孔が電子と再結合する確率が高くなるため、発光効率も向上する。
【0038】
本発明のLEFETの第2の実施例を、図4を用いて説明する。本実施例のゲート電極21、絶縁膜22は第1実施例のものと同様である。絶縁膜22の上に、所定のチャネル長だけ離間して一対のアルミニウム薄膜片311及び312を設け、アルミニウム薄膜片311及び312の上にそれぞれ金薄膜片321及び322を設ける。これらアルミニウム薄膜片と金薄膜片を合わせたものがソース電極34及びドレイン電極35となる。上記のようにアルミニウムと絶縁膜(SiO2)との接着性がよいため、本実施例では両方の電極共に、別途接着層を設ける必要がない。発光体層26は第1実施例のものと同様である。
【0039】
第2実施例のLEFETは、基本的には第1実施例のものと同様のフォトリソグラフィー法により製造される。但し、本実施例ではソース電極とドレイン電極が同じ構成であるため、1回のレジスト形成、パターン転写及び蒸着(アルミニウム、金の順に行う)により、ソース電極とドレイン電極を同時に形成することができる。そのため、第1実施例よりも製造工程が短縮されるうえ、ソース電極とドレイン電極との位置ずれが生じることもない。
【0040】
第2実施例では、ソース電極24及びドレイン電極25は同じ構造を有するが、その機能はそれぞれ異なる。即ち、アルミニウムの仕事関数が金の仕事関数よりも小さいことから、ソース電極24においては金薄膜片321が主に正孔の注入に寄与し、ドレイン電極25においてはアルミニウム薄膜片312が主に電子の注入に寄与すると考えられる。この電極の機能を除き、第2実施例のLEFETの動作は第1実施例のものと同様である。
【0041】
本発明のLEFETの第3の実施例を、図5を用いて説明する。本実施例のゲート電極21、絶縁膜22は第1及び第2実施例のものと同様である。ソース電極44は、アルミニウム薄膜片41の表面に金から成る被覆層42を形成したものである。ドレイン電極45はアルミニウムから成る。ソース電極44、ドレイン電極45は共にアルミニウムが絶縁膜22に接するため、接着性がよい。なお、製造時には、アルミニウム薄膜片41とドレイン電極45を同時に作製する。発光体層26は第1及び第2実施例のものと同様である。
【0042】
第3実施例のLEFETの動作は、基本的には第1及び第2実施例のものと同様である。発光体層26への正孔の注入にはソース電極44の被覆層42の金が寄与し、電子の注入にはドレイン電極45のアルミニウムが寄与する。
【0043】
本発明のLEFETの第4の実施例を、図6を用いて説明する。本実施例では、第2ソース・ドレイン電極24に近い領域の発光体層26は正孔輸送材料26aにより、第1ソース・ドレイン電極25に近い領域の発光体層26は電子輸送材料26bにより、それぞれ形成した。それ以外の構成は図2のものと同様である。本実施例のLEFETは、ゲート電極に負の電圧を印加しつつ第2ソース・ドレイン電極25側が正となるソース−ドレイン電圧VSDを印加すると、正孔が第2ソース・ドレイン電極24から発光体層26に注入され、ゲート電極に引きつけられつつ第1ソース・ドレイン電極25に向けて移動する。この正孔と、第1ソース・ドレイン電極25から発光体層26に注入される電子が第1ソース・ドレイン電極25近傍の発光体層26、即ち電子輸送材料26b内において再結合し、発光する(図6(a))。一方、ゲート電極に正の電圧を印加した場合には、電子が第1ソース・ドレイン電極25から発光体層26に注入され、ゲート電極に引きつけられつつ第2ソース・ドレイン電極24に向けて移動し、正孔輸送層26a内において正孔と再結合し、発光する(図6(b))。このように、第4実施例のLEFETにおいては、ゲート電極の極性により、異なる発光材料(正孔輸送層26aと電子輸送材料26b)内で発光する。これにより、発光の波長もゲート電極の極性により制御することができる。
【0044】
次に、本発明のLEFETの特性について、図7及び図8を用いて説明する。ここでは、第1〜第3実施例のLEFET、及び図1に示した従来のLEFET(比較例)に対して行った特性測定の結果を示す。なお、比較例の接着層131及び132にはクロムを用いている。この比較例は、第2実施例のアルミニウムをクロムに置き換えたものである。
【0045】
第1〜第3実施例、比較例のいずれのLEFETにおいても橙色の発光が観測された。図7に、第1実施例のLEFETにおける発光スペクトルの測定結果を示す。第2及び第3実施例のLEFETからも、強度を除いて同様の発光スペクトルが得られている。発光スペクトルは波長590nm付近にピークを持つ。
【0046】
但し、LEFETの発光強度は各実施例及び比較例の間で大きく異なる。図8(a)に、各LEFETについて、接地されたソース電極に対して-100Vの電圧をドレイン電極に与えた時のゲート電圧VGと光電流の関係を測定した結果を示す。光電流は、LEFETが発した光をシリコンフォトダイオードに入力してその出力電流を測定したものであり、LEFETの発光強度を表すものである。この図に示したゲート電圧VGの領域では、比較例のLEFETからはほとんど発光が観測されなかった。それに対して第1及び第3実施例のLEFETでは、比較例のものとは明らかに異なり、ゲート電圧VGがおおむね40V以上の領域において発光が観測され、LEFETが発光していることが確認された。また、第2実施例のLEFETでもゲート電圧VGが80V以上の領域において発光が観測されている。
【0047】
また、第1〜第3実施例のいずれも、VGが0の時には光電流が0であるため、ゲート電圧VGのON/OFFによりLEFETの発光のON/OFFを制御できることがわかる。
【0048】
図8(b)に、(a)の測定におけるソース−ドレイン間電流ISDと光電流の関係を示す。比較例のLEFETよりも第1〜第3実施例のLEFETの方が、より小さな電流ISDによってより大きい発光強度を得ることができると共に、消費電力を抑制することができる。
【0049】
なお、比較例では、ドレイン電極の接着層は発光体層に接しており、接着層に用いられているクロムの仕事関数の大きさは4.5eVであって金の仕事関数よりも小さい(但し、アルミニウムの仕事関数よりは大きい)ため、電子の注入にクロムの層が寄与していると考えられる。しかし、比較例の実験結果に示すように、ドレイン電極側にクロムの層を含んでいても十分な発光強度を得ることはできない。このことから、電子注入材料としては、クロムの仕事関数は大き過ぎるものと考えられる。
【0050】
次に、本発明のレーザ光源の第1の実施例を、図9を用いて説明する。図9の(a)は本実施例のレーザ光源の上面図(但し、後述の発光体層56は図示していない)、(b)は(a)中のA-A'間の断面図である。表面に絶縁膜52を形成したゲート電極51上に、上記第1実施例のLEFETと同様に接着層53、ソース電極54、ドレイン電極55及び発光体層56を形成する。なお、これらの各層は上記第2実施例や第3実施例のLEFETのもの等、上記本願発明に係るLEFETと同様のものを用いてもよい。また、ソース電極54及びドレイン電極55はいずれも、互いに略平行で且つ絶縁膜52の面内方向に伸びる棒状に形成した。これらの各層と共に、ソース電極54とドレイン電極55の間に回折格子57を設ける。回折格子57は、絶縁膜52の面内方向であってソース電極54及びドレイン電極55に垂直な方向に、棒状の部材を多数、互いに略平行に等間隔で設けたものである。
【0051】
本発明のレーザ光源の第2の実施例を、図10の上面図(a)及びB-B'間の断面図(b)を用いて説明する。本実施例では、ゲート電極61、絶縁膜62、発光体層66は第1実施例と同様に形成される。ソース電極64及びドレイン電極65は、共に櫛形の形状を有し、それぞれの櫛の歯が互いに歯の間に入って櫛同士が咬み合うように絶縁膜62上に配置される。このとき、ソース電極64及びドレイン電極65のそれぞれの歯641と651が等間隔になるようにする。この構成においては、歯641及び651が回折格子となる。なお、本実施例ではソース電極64と絶縁膜62の間に接着層63を設けているが、櫛形電極であれば、ソース電極64及びドレイン電極65の構成は上記第2実施例や第3実施例のLEFETのもの等であってもよい。
【0052】
本発明のレーザ光源の第3の実施例を、図11を用いて説明する。表面に絶縁膜72を形成したゲート電極71上に、上記第1実施例のLEFETと同様に接着層73、ソース電極74、ドレイン電極75及び発光体層76を形成する。図11(a)では発光体層76の上に、図11(b)ではゲート電極71の下に、それぞれ誘電体多層膜77を設ける。誘電体多層膜77には、発光体層76において発光する光の波長に対応して、その波長の光が干渉するものを用いる。図11(b)のように発光体層76から見てゲート電極71側に誘電体多層膜77を設ける場合には、ゲート電極71及び絶縁膜72に、発光体層76で発光する光に対して透明な材料を用いる。また、この場合には、発光体層76から見てゲート電極71の反対側に発光を反射する反射部78を設ける。反射部78には通常の鏡や、上記発光波長の光が干渉し、反射する誘電体多層膜を用いることができる。なお、ソース電極74及びドレイン電極75には、第2実施例や第3実施例のLEFETで用いたものや、第2実施例のレーザ光源で用いたもの等をそのまま用いることができる。
【0053】
第1〜第3実施例のレーザ光源の動作を説明する。ここでは第1実施例の場合について説明するが、第2及び第3実施例の場合も同様である。ゲート電極51に電圧を印加しつつソース電極54−ドレイン電極55間に電圧を印加すると、上記LEFETと同様の原理により、発光体層56内で発光が得られる。本発明の構成では、ゲート電極への電圧印加により発光体層56内の絶縁膜52寄りの領域のキャリア密度が大きく、それにより上記反転分布の状態が形成される。その状態下で、発光した光が回折格子57(第2実施例では歯641及び651、第3実施例では誘電体多層膜77)により干渉して更に光の強度が高められることにより、レーザ発光を得ることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)表面に絶縁膜が形成されたゲート電極と、
b)前記絶縁膜上に配置され、仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料から成る第1ソース・ドレイン電極と、
c)同じく前記絶縁膜上に前記第1ソース・ドレイン電極から離間して配置され、仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料から成る第2ソース・ドレイン電極と、
d)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間の前記絶縁膜上に設けられた、有機半導体から成る発光体層と、
を有することを特徴とする発光型トランジスタ。
【請求項2】
前記第1ソース・ドレイン電極及び第2ソース・ドレイン電極が、各々、前記電子注入材料と前記正孔注入材料を同じ順序で積層したものであることを特徴とする請求項1に記載の発光型トランジスタ。
【請求項3】
前記第2ソース・ドレイン電極が、前記電子注入材料から成る接着基層を前記正孔注入材料で覆って成ることを特徴とする請求項1に記載の発光型トランジスタ。
【請求項4】
前記第1ソース・ドレイン電極が、前記正孔注入材料から成る接着基層を前記電子注入材料で覆って成ることを特徴とする請求項1に記載の発光型トランジスタ。
【請求項5】
前記電子注入材料がアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、若しくはマグネシウム−銀合金のいずれか又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発光型トランジスタ。
【請求項6】
前記正孔注入材料が金、白金、インジウム錫酸化物、クロム若しくはニッケルのいずれか又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光型トランジスタ。
【請求項7】
前記発光体層が、第1ソース・ドレイン電極に接する領域と第2ソース・ドレイン電極に接する領域にそれぞれ異なる材料から成る発光体を形成したものであり、第1ソース・ドレイン電極側が電子輸送材料、第2ソース・ドレイン電極側が正孔輸送材料から成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発光型トランジスタ。
【請求項8】
前記絶縁膜の厚さが前記発光体層の発光波長の干渉条件を満たす厚さであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の発光型トランジスタ。
【請求項9】
a)表面に絶縁膜が形成されたゲート電極と、
b)前記絶縁膜上に配置され、仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料から成る第1ソース・ドレイン電極と、
c)同じく前記絶縁膜上に前記第1ソース・ドレイン電極から離間して配置され、仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料から成る第2ソース・ドレイン電極と、
d)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間の前記絶縁膜上に設けられた、有機半導体から成る発光体層と、
e)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間に設けられた、前記発光体層において発光する光を回折する回折格子と、
を備えることを特徴とするレーザ光源。
【請求項10】
前記回折格子が第1ソース・ドレイン電極と第2ソース・ドレイン電極間の前記ゲート電極上に形成されたものであることを特徴とする請求項9に記載のレーザ光源。
【請求項11】
a)表面に絶縁膜が形成されたゲート電極と、
b)前記絶縁膜上に配置され、仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料から成る櫛形の第1ソース・ドレイン電極と、
c)仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料から成る櫛形の電極であって、前記絶縁膜上に、該電極の櫛の歯と前記ドレイン電極の櫛の歯をかみ合わせてこれらの歯により回折格子を形成するように配置された第2ソース・ドレイン電極と、
d)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間の前記絶縁膜上に設けられた、有機半導体から成る発光体層と、
を備えることを特徴とするレーザ光源。
【請求項12】
a)表面に絶縁膜が形成されたゲート電極と、
b)前記絶縁膜上に配置され、仕事関数が4.26eV以下である電子注入材料から成る第1ソース・ドレイン電極と、
c)同じく前記絶縁膜上に前記第1ソース・ドレイン電極から離間して配置され、仕事関数が4.26eVよりも大きい正孔注入材料から成る第2ソース・ドレイン電極と、
d)前記第1ソース・ドレイン電極と前記第2ソース・ドレイン電極の間の前記絶縁膜上に設けられた、有機半導体から成る発光体層と、
e)前記発光体層から外部への光路上に設けられた、前記発光体層の発光波長帯中の所定の波長の光が干渉する誘電体多層膜と、
を備えることを特徴とするレーザ光源。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【国際公開番号】WO2005/079119
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517997(P2005−517997)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002162
【国際出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】