説明

発光型表示手段を有する電話装置

【課題】従来のメッセージを表示する電話装置の表示器は液晶表示器を採用することが一般的であり、ホテルからの重要なメッセージ等を強調表示する場合に、液晶表示により強調部分の文字の色や線の太さや点滅等で変化させる程度であり、強調表示能力が弱かった。
【解決手段】発光型表示手段を有する電話装置であって、受信したメッセージ情報の中から強調表示を指示する予め定められた表示制御データを抽出した場合、または、自電話装置内に予め登録されている文字列を検出した場合に、当該受信したメッセージ情報は強調表示すべき情報であると判定すると、受信したメッセージ情報の全体または前記メッセージ情報の一部または予め定められた特定の文字列を、発光型の表示ドットまたは発光型の表示セグメントを点滅またはスクロールまたは通常の表示よりも高い発光輝度で強調表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッセージサーバ等から受信したメッセージ情報を強調表示可能な発光型表示手段を有する電話装置電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテル等に設置される電話通信システムにおいて、ホテル等に配置されたメッセージサーバからの各種サービス情報やメッセージ情報を受信して電話装置の表示器にメッセージ情報を表示する技術がある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−133042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のメッセージ情報を表示する電話装置の表示器は低コントラストの液晶表示器を採用することが一般的であり、ホテルからの重要なメッセージ等を強調表示する場合に、液晶表示により強調部分の文字の色や線の太さや点滅等で変化させる程度であり、強調表示能力が弱かった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、LED(発光ダイオード)、有機EL(エレクトロルミネッセンス)、蛍光表示管、高コントラストのバックライト付透過型液晶表示器などの発光型表示器を電話装置に搭載し、各種メッセージ情報の内、特定のメッセージ情報を強調表示する場合に、強調部分を発光型表示器の点滅またはスクロールまたは高輝度で発光させることにより、強調表示能力に優れたメッセージ情報表示機能を有する電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、既設のLAN配線に、メッセージ情報を表示する機能を有する電話装置を接続しメッセージサーバ等から受信したメッセージ情報の強調表示を行い、発光型表示器の強調表示部分を点滅またはスクロールまたは高輝度で発光させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、文字表示が可能でかつ高輝度な発光型表示器を電話装置に搭載し、発光型表示器により各種メッセージを強調表示することで、利用者が特別な操作なしで各種メッセージの存在と内容を容易に視認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【実施例】
【0008】
図1は本発明の発光型表示手段を有する電話装置を含むシステムの全体構成図を示す。図1において、100は各部屋に設置してある電話機200−1〜3を制御する呼制御装置を示し、200―1〜3は各部屋に設置してある電話機を示し、300はメッセージ情報を各電話機に配信するメッセージサーバを示し、400はこれらの装置を接続するLAN配線を示している。
【0009】
各電話機200−1〜3に送信され、各電話機200−1〜3の表示装置に表示されるメッセージ情報としては、例えば、事務所等における侵入者警告等の防犯メッセージ、事務所等における業務連絡メッセージ、事務所等における業務関連情報(株価、鉄道・高速道路の交通情報、天気予報、経済ニュース)、宿泊施設におけるモーニングコール設定時間、宿泊施設における伝言メッセージ、宿泊施設における館内施設や施設周辺観光等の案内メッセージ、宿泊施設における地震・火災等の防災メッセージ、夜間・休日や無人時の警戒モード設定、モーニングコール設定、輝度低下または消灯設定など各種設定状態表示などがある。
【0010】
図2は本発明の実施例の発光型表示手段を有する電話機のブロック図を示す。LAN通信部201は、LAN400を介して、電話機の呼制御を行う呼制御装置100及びメッセージ情報を配信するメッセージサーバ300との通信を行い、電話機能部202、制御部203へ情報を通知する。
【0011】
例えば、呼制御装置100からのメッセージ情報は電話機能部202へ通知され、制御部203及びメッセージ情報受信部205を介して強調表示判定部204へ通知される。
制御部203は、すべての表示機能に関連する処理を制御し、電話機能部202は電話機に関わる基本的な機能を処理する。
【0012】
入力部208は、ユーザが操作したテンキー等の内容を入力する。例えば、夜間における警戒モードの設定、宿泊施設におけるモーニングコールの時間設定、宿泊施設における伝言メッセージを読んだ後のメッセージ消去設定、強調表示されたメッセージの輝度低下設定、表示画面全体の消灯設定及び決められたメッセージだけを高輝度に表示する輝度設定などの入力を行う。
【0013】
強調表示判定部204は、メッセージ情報受信部205より通知された内容から強調表示すべきメッセージ情報を判断し、当該メッセージ情報を表示制御部206へ通知する。
【0014】
表示制御部206は、強調表示判定部204より通知された表示の点滅や発光輝度を制御する(例えば、受信した情報に応じて、発光型表示部207の発光型ドット表示やセグメント表示、強調表示、スクロール表示などを行う)。
【0015】
メッセージ情報受信部205は、制御部203より通知されたメッセージ情報を受信し、発光型表示部207は、表示制御部206より通知されたメッセージ情報の発光表示を行う。
センサ部209は、自電話装置周辺に人が存在するか否かを検知し、制御部203に通知する。
【0016】
図3は、本発明の実施例の発光型表示手段を有する電話機200のメッセージ情報強調表示のフローチャートを示す。また、本フローは、電話機200の電源が投入され、図2の各ブロックの初期設定が為され、呼制御装置100及びメッセージサーバ300との通信が可能となった状態から開始される。
【0017】
メッセージ情報強調表示の手順を開始する(S301)と、まず、電話機200はメッセージ情報を受信したか否かの確認を行う(S302)。
メッセージ情報を受信した場合(S302,Yes)、メッセージサーバ300から受信したメッセージ情報に含まれている制御情報の判定を行う(S303)。
【0018】
ここで、本実施例では、受信するメッセージ情報に含まれる制御情報について、3つの場合を想定している。表1を参照して受信するメッセージ情報の構成について説明する。
【表1】

一つ目は、制御情報としてメッセージ本文のみが送られてきた場合である。メッセージ本文とは、表示制御部206が発光型表示部207に表示するメッセージを意味する。
二つ目は、制御情報としてメッセージ本文と輝度制御情報が送られてきた場合である。輝度制御情報とは、表示制御部206が発光型表示部207を表示する際の、輝度の制御情報を意味する。
三つ目は、制御情報としてメッセージ本文と輝度制御情報と表示制御情報が送られてきた場合である。
【0019】
ここで、表示制御情報とは、表示制御部206が発光型表示部207に点滅・スクロール制御する際の、表示する文字の点灯・消灯の時間間隔やスクロール方向、表示時間と移動時間の間隔の情報を意味する。
【0020】
図3の説明に戻る。
S303の判定結果がメッセージ本文のみであった場合(S303:メッセージ本文のみ)、メッセージ表示処理Aを行う(S304)。
S303の判定結果がメッセージ本文と輝度制御情報であった場合(S303:メッセージ+輝度制御情報)、メッセージ表示処理Bを行う(S305)。
メッセージ情報の判定結果がメッセージ本文と輝度制御情報と表示制御情報であった場合(S303:メッセージ本文+輝度制御情報+表示制御情報)、メッセージ表示処理Cを行う(S306)。
そしてメッセージ表示処理が完了するとS302に戻る。
【0021】
図4は、図3のS304のメッセージ表示処理Aのフローチャートを示す。
まず、所定のキーワードを検出したかの判断(S30401)または、所定の表示種別を検出したかの判断(S30402)を行う。
所定のキーワードを検出した場合(S30401,Yes)、または、所定の表示種別を検出した場合(S30402,Yes)、強調表示判定テーブルに応じた輝度表示を行う(S30403)。
ここで表2、表3、表4を参照して用いて所定のキーワードの検出、所定の表示種別の検出方法について説明する。
【表2】

【表3】

【0022】
表2は、メッセージ本文の例を示し、表3は、図示しないが強調表示判定部204に記憶される強調表示判定テーブルである。強調表示判定テーブルは、輝度と輝度制御のためのキーワードおよび電話機の表示種別から構成される。
ここで電話機の表示種別とは、例えば電話機が着信を受けた場合や、電話機のユーザが不在時の待機画面など、電話機の状態に応じて切り替わる画面の種別を意味する。
【0023】
表3の強調表示判定テーブルのキーワードを検出すると、検出したキーワードに応じて、また表3の強調表示判定テーブルの表示種別を検出すると、検出した表示制御を行う。
例えば、表2のメッセージ本文が「伝言メッセージが届いております。」であった場合、強調表示判定テーブルのキーワード「伝言」が検出され、「伝言」のキーワードが登録されている輝度制御情報の「高輝度」を実行する。
【0024】
表4には、表1のメッセージ情報における輝度制御情報の種類を示す。
【表4】

輝度制御情報としては、高輝度、中輝度、低輝度、消灯がある。
また、表2のメッセージ本文が「4月6日(土) AM01:10」で表示種別が「無人時のカレンダ表示」であった場合、強調表示判定テーブルの表示種別「無人時のカレンダ表示」が検出され、「無人時のカレンダ表示」の表示種別が登録されている輝度制御情報の「消灯」を実行する。
キーワード、または、表示種別を検出しなかった場合は(S30401,No)(S30402,No)、通常表示を行う(S30404)。
【0025】
次に表示文字数以上かどうかの判断を行い(S30405)、表示文字数以上だった場合は(S30405,Yes)例えば右から左へのスクロール表示を行う(S30406)。
次に営業日または営業時間でなかった場合(S30407,No)、または人検知されなかった場合(S30408,No)、または所定操作を行った場合(S30409,Yes)、または発着信通話状態でなかった場合(S30410,No)、低輝度表示または消灯、点滅・スクロール停止を行い(S30411)、サーバ通知(S30412)し、本フローを終了する。
【0026】
図5は、図3のS305のメッセージ表示処理Bのフローチャートを示す。メッセージ表示処理Bは、メッセージサーバ300からのメッセージがメッセージ本文+輝度制御情報であった場合の電話機200の処理フローチャートである。
まず、メッセージ情報より輝度制御情報を抽出し、輝度制御情報に応じた輝度表示を行う。次のS30502からS30509の処理は図4のS30405〜S30412の処理と同一なので説明を省略する。
【0027】
図6は、図3のS306のメッセージ表示処理Cのフローチャートを示す。メッセージ表示処理Cは、メッセージサーバ300からのメッセージがメッセージ本文+輝度制御情報+表示制御情報であった場合の電話機200の処理フローチャートである。
まず、メッセージ情報より輝度制御情報と表示制御情報を抽出し、輝度制御情報、表示制御情報に応じた輝度の設定を行う(S30601),(S30602)。
【0028】
つぎに表5を参照して表示制御情報について説明する。
表5は、表示制御情報の一例を示している。
【表5】

【0029】
表示制御情報としては、点滅表示、上下スクロール表示、左右スクロール表示などがある。
表示制御情報「00 00 00 01」は点滅表示であり、更に点灯時間1バイト+消灯時間1バイトを含み、表示制御情報「00
00 00 10」は上から下へのスクロール表示、「00 00 01 00」は下から上へのスクロール表示、「00 00 10 00」は左から右へのスクロール表示、「00
01 00 00」は右から左へのスクロール表示であり、更に固定表示時間1バイト+移動時間1バイトをそれぞれ含む。
次のS30603〜S30608の処理は、図4のS30407〜S30412の処理と同一なので説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の発光型表示手段を有する電話装置は、ホテルからの重要なメッセージ等の伝言の場合だけでなく、文字表示器を搭載することで、以下のような用途にも使用できる。
【0031】
例えば、モーニングコールの設定後、暫く経過すると何時に設定したか記憶が曖昧になった場合、設定時間の確認が面倒であったが、常時設定時間を表示することも出来る。また、ホテル館内の通常案内だけでなく緊急時には避難経路などの案内も表示できるし、ホテル周辺の観光ガイド情報も表示できる。
【0032】
ホテルでは就寝時に所定の操作を行うと、モーニングコールで設定した起床時間までは自発光表示器の輝度を所定レベル以下に低下または消灯させることで、少しでも光があると眠れない人にも配慮することもできる。
【0033】
また、ボタン電話等では、カレンダ機能と連動し、夜間・休日には自発光表示器の輝度を所定レベル以下に低下または消灯させることで低消費電力化を図ることができる。ボタン電話の事務机の上に置かれ、目と鼻の先にあるので、全てのメッセージを強調表示すると、目障りで仕事の邪魔にも成りかねないので、緊急性の低いメッセージは待機中に強調表示を行わないように設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の実施例の発光型表示手段を有する電話装置を含むシステムの全体構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の発光型表示手段を有する電話機のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施例の発光型表示手段を有する電話装置のメッセージ情報強調表示のフローチャートである。
【図4】本発明の実施例の発光型表示手段を有する電話装置のメッセージ情報強調表示に関連するメッセージ表示処理Aのフローチャートである。
【図5】本発明の実施例の発光型表示手段を有する電話装置のメッセージ情報強調表示に関連するメッセージ表示処理Bのフローチャートである。
【図6】本発明の実施例の発光型表示手段を有する電話装置のメッセージ情報強調表示に関連するメッセージ表示処理Cのフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
100 呼制御装置
200 電話機
201 LAN通信部
202 電話機能部
203 制御部
204 強調表示判定部
205 メッセージ情報受信部
206 表示制御部
207 発光型表示部
208 入力部
209 センサ部(人検知部)
300 メッセージサーバ
400 LAN配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージ情報を表示する機能を有する電話装置において、
メッセージ情報を受信するメッセージ情報受信手段と、発光型の表示ドットまたは発光型の表示セグメントで表示すべき情報を表現する発光型表示手段と、前記受信したメッセージ情報が強調表示すべきメッセージ情報か否かを判定する強調表示判定手段と、前記発光型の表示ドットまたは発光型の表示セグメントの点滅またはスクロールまたは発光輝度を制御する表示制御手段を有し、
前記強調表示判定手段は、前記メッセージ情報受信手段が受信したメッセージ情報の中から強調表示を指示する予め定められた表示制御データを抽出した場合、または、前記メッセージ情報受信手段が受信したメッセージ情報の中から自電話装置内に予め登録されている文字列を検出した場合に、当該受信したメッセージ情報は強調表示すべき情報であると判定し、
前記表示制御手段は、前記強調表示判定手段が強調表示すべき情報であると判定した場合に、当該受信したメッセージ情報の全体または前記メッセージ情報の一部または予め定められた特定の文字列を、前記発光型の表示ドットまたは発光型の表示セグメントを点滅またはスクロールまたは通常の表示よりも高い発光輝度で強調表示することを特徴とする発光型表示手段を有する電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話装置において、
前記表示制御手段が、前記受信したメッセージ情報の全体または特定の文字列を強調表示している状態で、人による所定の操作を検出した場合に、当該強調表示を停止すると共に、当該メッセージ情報の送信元または予め定められた通知先へ、予め定められた信号を通知することを特徴とする発光型表示手段を有する電話装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電話装置において、
自電話装置の周辺に人が存在するか否かを検知する人検知手段をさらに有し、
前記人検知手段が人の存在を検知していない場合に、前記表示制御手段は、当該強調表示を停止することを特徴とする発光型表示手段を有する電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−109638(P2010−109638A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279010(P2008−279010)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】