説明

発光素子、およびプロジェクター

【課題】出射端面に対し、利得領域を斜めに形成した発光素子であって、レーザー発振を抑制することができる発光素子を提供する。
【解決手段】本発明に係る発光素子100では、活性層106の積層方向から平面視して、第1端面170の第1方向(−Y方向)とは反対側の第2方向(+Y方向)側の端点をAとし、Aから第2面107に下ろした垂線の足をAとし、第2端面172の第1方向(−Y方向)側の端点をBとし、Bから第1面105に下ろした垂線の足をBとし、線分Aの中点をMとし、線分Aの中点をMとし、積層構造体120には、活性層106を貫通する第1開口部180が設けられ、活性層106の積層方向から平面視して、第1開口部180は、線分Bおよび線分Mに交差して設けられ、第1開口部180の内面は、第1面105および第2面107と平行ではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、広帯域なスペクトル形状であって、インコヒーレント性を示すスーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」ともいう)は、レーザー光などのコヒーレント光を必要としない。しかし、SLDは、素子の構造上、レーザー共振器が意図せず形成されてしまい、レーザー光が出力されてしまう場合がある。そのため、レーザー共振器の形成を防止し、レーザー発振を抑制する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1では、導波路に対し直列に吸収領域を設け、共振器を形成しないようにしている。しかしながら、このような構造では、素子の両側から光を出射することができず、不都合となる場合がある。また、例えば特許文献2では、出射端面に対し、導波路を斜めに配置することにより、共振器を形成しないようにしている。しかしながら、このような構造では、導波路に注入された電流が拡散することにより、出射端面間で共振器が形成されてしまい、レーザー発振が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−196754号公報
【特許文献2】特開2000−244009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、出射端面に対し、利得領域を斜めに形成した発光素子であって、レーザー発振を抑制することができる発光素子を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記発光素子を有するプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光素子は、
活性層と、前記活性層を挟む第1クラッド層および第2クラッド層と、前記活性層、前記第1クラッド層および前記第2クラッド層を挟む第1層および第2層と、を有する積層構造体と、
前記第1層を介して、前記第1クラッド層と電気的に接続された第1電極と、
前記第2層を介して、前記第2クラッド層と電気的に接続された第2電極と、
を含み、
前記積層構造体において、露出された前記活性層を含む面のうちの第1面および第2面は、互いに対向する位置関係であり、
前記第1電極は、オーミックコンタクトする第1層と接しており、
前記第2電極は、オーミックコンタクトする第2層と接しており、
前記活性層のうちの少なくとも一部は、利得領域を構成し、
前記利得領域の平面形状は、前記第1電極と前記第1層との接触面、および前記第2電極と前記第2層との接触面の少なくとも一方の形状と同じであり、
前記利得領域は、直線状に、前記第1面から前記第2面まで、設けられ、
前記利得領域の前記第1面側の第1端面は、前記利得領域の前記第2面側の第2端面より、前記第1面の垂線と直交する第1方向に位置し、
前記活性層を前記第1面側から平面視して、前記第1端面と、前記第2端面とは、重なっておらず、
前記活性層の積層方向から平面視して、
前記第1端面の前記第1方向とは反対側の第2方向側の端点をAとし、
前記Aから前記第2面に下ろした垂線の足をAとし、
前記第2端面の前記第1方向側の端点をBとし、
前記Bから前記第1面に下ろした垂線の足をBとし、
線分Aの中点をMとし、
線分Aの中点をMとし、
前記積層構造体には、前記活性層を貫通する第1開口部が設けられ、
前記活性層の積層方向から平面視して、前記第1開口部は、線分Bおよび線分Mに交差して設けられ、
前記第1開口部の内面は、前記第1面および前記第2面と平行ではない。
【0007】
このような発光素子によれば、前記第1開口部によって、少なくとも一部のレーザー発振を抑制することができる。
【0008】
本発明に係る発光素子において、
前記第1開口部は、前記利得領域と接している。
【0009】
このような発光素子によれば、前記第1開口部によって、確実にレーザー発振を抑制することができる。
【0010】
本発明に係る発光素子において、
前記積層構造体には、前記活性層を貫通する第2開口部が設けられ、
前記活性層の積層方向から平面視して、前記第2開口部は、線分Aに交差して設けられ、
前記活性層を前記第1面から平面的にみて、前記第1開口部の一部と、前記第2開口部の一部とは、重なっており、
前記第2開口部の内面は、前記第1面および前記第2面と平行ではなく、
前記第1開口部と前記第2開口部とは、共振器を構成しない。
【0011】
このような発光素子によれば、前記第1開口部および前記第2開口部によって、レーザー発振を抑制することができる。
【0012】
本発明に係る発光素子において、
前記第1開口部および前記第2開口部の一方の内面のうちの第1内面は、前記第1開口部および前記第2開口部の他方の内面のうちの第2内面と交わる垂線を備え、
前記第1内面の前記垂線は、前記第2内面と直交しない。
【0013】
このような発光素子によれば、前記第1開口部および前記第2開口部によって、レーザー発振を抑制することができる。
【0014】
本発明に係る発光素子において、
前記第1開口部の内面の垂線は、前記第2開口部の内面と交差せず、
前記第2開口部の内面の垂線は、前記第1開口部の内面と交差しない。
【0015】
このような発光素子によれば、前記第1開口部および前記第2開口部によって、レーザー発振を抑制することができる。
【0016】
本発明に係る発光素子において、
前記第1開口部および前記第2開口部は、前記利得領域と離間している。
【0017】
このような発光素子によれば、必要以上に、前記第1開口部および前記第2開口部の面積を大きくすることなく、素子の小型化を図ることができる。
【0018】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る発光素子を有する発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む。
【0019】
このようなプロジェクターによれば、レーザー発振を抑制することができる発光素子を有するため、スペックルノイズを低減でき、輝度ムラを小さくすることができる。
【0020】
本発明に係る発光素子は、
活性層と、前記活性層を挟む第1クラッド層および第2クラッド層と、前記活性層、前記第1クラッド層および前記第2クラッド層を挟む第1層および第2層と、を有する積層構造体と、
前記第1層を介して、前記第1クラッド層と電気的に接続された第1電極と、
前記第2層を介して、前記第2クラッド層と電気的に接続された第2電極と、
を含み、
前記積層構造体において、露出された前記活性層を含む面のうちの第1面および第2面は、互いに対向する位置関係であり、
前記第1電極は、オーミックコンタクトする第1層と接しており、
前記第2電極は、オーミックコンタクトする第2層と接しており、
前記活性層のうちの少なくとも一部は、利得領域を構成し、
前記利得領域の平面形状は、前記第1電極と前記第1層との接触面、および前記第2電極と前記第2層との接触面の少なくとも一方の形状と同じであり、
前記利得領域は、前記活性層の積層方向から平面視して、直線状に、前記第1面から前記第2面まで、設けられ、
前記活性層を前記第1面側から平面的にみて、前記利得領域の前記第1面側の第1端面と、前記利得領域の前記第2面側の第2端面とは、重なっておらず、
前記活性層のうちの少なくとも一部は、前記利得領域から電流が拡散する電流拡散領域を構成し、
前記電流拡散領域は、前記活性層の積層方向から平面視して、前記利得領域を挟んで、前記第1面から前記第2面まで設けられ、
前記積層構造体には、前記活性層を貫通する開口部が設けられ、
前記開口部によって、前記電流拡散領域の前記第1面側の端面と、前記電流拡散領域の前記第2面側の端面とは、共振器を構成しない。
【0021】
このような発光素子によれば、前記開口部によって、レーザー発振を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る発光素子を模式的に示す平面図。
【図2】本実施形態に係る発光素子を模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態に係る発光素子を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る活性層を第1面側から平面的にみた図。
【図5】本実施形態に係る活性層を第1面側から平面的にみた図。
【図6】開口部が形成されていない発光素子を模式的に示す平面図。
【図7】本実施形態に係る発光素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態に係る発光素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態に係る発光素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態の第1変形例に係る発光素子を模式的に示す平面図。
【図11】本実施形態の第2変形例に係る発光素子を模式的に示す平面図。
【図12】本実施形態の第3変形例に係る発光素子を模式的に示す平面図。
【図13】本実施形態の第4変形例に係る発光素子を模式的に示す断面図。
【図14】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図15】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図16】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
1. 発光素子
まず、本実施形態に係る発光素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、発光素子100を模式的に示す平面図である。図2は、発光素子100を模式的に示す図1のII−II線断面図である。図3は、発光素子100を模式的に示す図1のIII−III線断面図である。なお、図1では、便宜上、第2電極116の図示を省略している。また、ここでは、発光素子100がInGaAlP系(赤色)のSLDである場合について説明する。SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑えることにより、レーザー発振を防止することができる。そのため、スペックルノイズを低減することができる。
【0025】
発光素子100は、図1〜図3に示すように、積層構造体120と、第1電極114と、第2電極116と、絶縁部118と、を含むことができる。積層構造体120は、基板102と、第1クラッド層104と、活性層106と、第2クラッド層110と、コンタクト層112と、を含むことができる。
【0026】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いることができる。
【0027】
第1クラッド層104は、基板102上に形成されている。第1クラッド層104としては、例えば、n型のAlGaInP層などを用いることができる。なお、図示はしないが、基板102と第1クラッド層104との間に、バッファー層が形成されていてもよい。バッファー層としては、例えば、n型のGaAs層、InGaP層などを用いることができる。バッファー層は、その上方に形成される層の結晶性を向上させることができる。
【0028】
活性層106は、第1クラッド層104上に形成されている。活性層106は、第1クラッド層104と第2クラッド層110とに挟まれている。活性層106は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0029】
活性層106の形状は、例えば直方体(立方体である場合を含む)などである。活性層106は、図1に示すように、第1面105、第2面107、第3面108および第4面109を構成している。第1面105、第2面107、第3面108および第4面109は、活性層106の面のうち第1クラッド層104または第2クラッド層110に接していない面を含み、積層構造体120において、露出している面である。第1面105、第2面107、第3面108および第4面109は、積層構造体120において、露出された活性層106の側面を含むともいえる。第1面105および第2面107は、互いに対向しており、図示の例では平行である。第3面108および第4面109は、互いに対向しており、図示の例では平行である。第3面108および第4面109は、第1面105と第2面107とを接続している。図示の例では、第1面105および第2面107と、第3面108および第4面109とは、直交している。
【0030】
活性層106の一部は、利得領域160を構成している。利得領域160には、光を生じさせることができ、この光は、利得領域160内で利得を受けることができる。利得領域160は、活性層106の電流経路となることができる。利得領域160は、光の伝播領域(導波領域)ともいえる。利得領域160は、図示の例では、1つ設けられているが、その数は特に限定されず、複数設けられていてもよい。
【0031】
利得領域160は、第1面105側の第1端面170と、第2面107側の第2端面172と、を有する。図示の例では、第1端面170は第1面105に設けられ、第2端面172は第2面107に設けられている。利得領域160は、図1に示すように活性層106の積層方向から平面視して(活性層106の膜厚方向からみて)、第1端面170から第2端面172に向けて、直線状に、第1面105の垂線Pに対して第3面108側に傾いて設けられている。利得領域160の平面形状は、例えば、平行四辺形である。第1端面170は、活性層106の積層方向から平面視して、第2端面172より、垂線Pと直交する第1方向(−Y方向)に位置しているといえる。
【0032】
ここで、図4は、活性層106を、第1面105側から平面的にみた図である。図4に示すように、第1端面170と第2端面172とは、重なっていない。これにより、利得領域160に生じる光を端面170,172の間で、直接的に多重反射させないことができる。その結果、端面170,172の間で、直接的な共振器を構成させないことができる。なお、この場合には、図4に示すように、例えば、第1端面170と第2端面172とのずれ幅xは、正の値であればよい。また、図4では、開口部180,182の図示を省略している。
【0033】
第2クラッド層110は、図2に示すように、活性層106上に形成されている。第2クラッド層110としては、例えば、第2導電型(例えばp型)のAlGaInP層などを用いることができる。
【0034】
例えば、p型の第2クラッド層110、不純物がドーピングされていない活性層106、およびn型の第1クラッド層104により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層104および第2クラッド層110の各々は、活性層106よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層106は、光を増幅する機能を有する。第1クラッド層104および第2クラッド層110は、活性層106を挟んで、注入キャリア(電子および正孔)並びに光を閉じ込める機能を有する。
【0035】
発光素子100は、第1電極114と第2電極116との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、活性層106の利得領域160において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、利得領域160内で光の強度が増幅される。例えば、図1に示すように、利得領域160に生じる光の一部10は、利得領域160内で増幅された後、第1端面170から出射光20として出射される。同様に、利得領域160に生じる光の一部12は、利得領域160内で増幅された後、第2端面172から出射光22として出射される。
【0036】
なお、図示の例では、第1端面170および第2端面172を活性層106の出射面として示しているが、第1端面170のみが活性層106の出射面であってもよい。この場合は、第2面107を反射膜(例えば、全反射膜)等で覆うことにより、第1端面170のみから光を出射することができる。また、図示はしないが、例えば、第1端面170および第2端面172を、反射防止膜で覆うこともできる。反射膜としては、例えば、第1面105側からSiO層、Ta層の順序で10ペア積層したミラーなどを用いることができる。反射防止膜としては、例えば、Al単層などを用いることができる。
【0037】
積層構造体120には、図1および図3に示すように、第1開口部180および第2開口部182が形成されている。開口部180,182は、例えば図3に示すように、活性層106を貫通し、第1クラッド層104まで達している。開口部180,182の底面は、活性層106の下面より下方に位置しているともいえる。図示の例では、開口部180,182は、第1クラッド層104を貫通していないが、第1クラッド層104を貫通し、基板102まで達していてもよい。図3に示す例では、開口部180,182は、絶縁部118で充填されているが、充填されていなくてもよい(すなわち、開口部180,182は、空気で充填されていてもよい)。
【0038】
発光素子100では、図1に示すように活性層106の積層方向から平面視して、第1端面170の第3面108側(第1方向とは反対の第2方向(+Y方向)側)の端点をAとし、Aから第2面107に下ろした垂線の足をAとし、第2端面172の第4面109側(第1方向側)の端点をBとし、Bから第1面105に下ろした垂線の足をBとし、線分Aの中点をMとし、線分Aの中点をMとしている。なお、「端点」とは、例えば、第1端面170と、第1端面170を除く第1面105と、の境界ともいえる。
【0039】
第1開口部180は、図1に示すように、線分Bおよび線分Mに交差して設けられている。第2開口部182は、線分Aおよび線分Mに交差して設けられている。第1開口部180は、線分Bおよび線分Mを跨いで設けられ、第2開口部182は、線分Aおよび線分Mを跨いで設けられているともいえる。図示の例では、開口部180,182は、利得領域160から離間しているが、利得領域160に接していてもよい。
【0040】
図示の例では、第1開口部180は、第1面105に設けられている。この場合、第1面105は、活性層106と、第1開口部180を充填している部材(例えば、図3に示すように開口部180が絶縁部118で充填されている場合は絶縁部118)と、によって構成されているといえる。第1開口部180は、図1に示すように活性層106の積層方向から平面視して、第1面105と隣接しているともいえる。図示はしないが、第1開口部180は、さらに第3面108と隣接していてもよい。また、図示の例では、第2開口部182は、第2面107に設けられている。この場合、第2面107は、活性層106と、第2開口部182を充填している部材と、によって構成されているといえる。第2開口部182は、図1に示すように活性層106の積層方向から平面視して、第2面107と隣接しているともいえる。図示はしないが、第2開口部182は、さらに第4面109と隣接していてもよい。ここで、図5は、活性層106を、第1面105側から平面的にみた図である。図5に示すように、第1開口部180の一部と、第2開口部182の一部とは、重なり領域184において、重なっている。なお、図5では、端面170,172の図示を省略している。
【0041】
図1に示す例では、開口部180,182の平面形状は、三角形であるが、特に限定されない。第1開口部180の内面は、第1面105および第2面107と平行ではない。すなわち、第1開口部180の内面の垂線は、第1面105および第2面107と直交しない。同様に、第2開口部182の内面は、第1面105および第2面107と平行ではない。すなわち、第2開口部182の内面の垂線は、第1面105および第2面107と直交しない。これにより、第1開口部180と、第1面105または第2面107と、によって共振器が構成されることを防止することができる。同様に、第2開口部182と、第1面105または第2面107と、によって共振器が構成されることを防止することができる。開口部180,182は、第1面105または第2面107と、共振器を構成しないように配置されているともいえる。
【0042】
第1開口部180の内面のうちの第1内面181は、第2開口部182の内面のうちの第2内面183と交わる垂線Qを備えることができる。第1内面181と第2内面183とは、例えば、互いに向かい合う面ともいえる。第1内面181の垂線Qは、第2内面183と直交しない。すなわち、第1内面181と第2内面183とは、平行ではない。これにより、第1開口部180と第2開口部182とによって、共振器が構成されることを防止することができる。開口部180,182は、開口部180,182間で、共振器を構成しないように配置されているともいえる。
【0043】
コンタクト層112は、図2に示すように、第2クラッド層110上に形成されている。コンタクト層112としては、第2電極116とオーミックコンタクトする層(例えば第2層)を用いることができる。コンタクト層112としては、例えば、p型のGaAs層などを用いることができる。活性層106、第1クラッド層104および第2クラッド層110は、基板102とコンタクト層112とによって挟まれているともいえる。
【0044】
コンタクト層112と、第2クラッド層110の一部とは、柱状部111を構成することができる。柱状部111の平面形状は、利得領域160の平面形状と同じである。すなわち、利得領域160の平面形状は、コンタクト層112の平面形状と同じである。例えば、利得領域160の形状は、活性層106の積層方向から平面視して、第1電極114と基板102との接触面と、第2電極116とコンタクト層112との接触面と、が重なる形状と同じであるともいえる。例えば、柱状部111の平面形状によって、電極114,116間の電流経路が決定され、その結果、利得領域160の平面形状が決定される。なお、図示はしないが、柱状部111の側面を傾斜させることもできる。
【0045】
絶縁部118は、図2に示すように、第2クラッド層110上であって、柱状部111の側方に設けられていることができる。絶縁部118は、柱状部111の側面に接していることができる。絶縁部118は、図3に示すように、開口部180,182を充填して設けられていてもよい。絶縁部118の上面は、図2に示すように、例えば、コンタクト層112の上面と連続している。絶縁部118としては、例えば、SiN層、SiO層、ポリイミド層などを用いることができる。絶縁部118としてこれらの材料を用いた場合、電極114,116間の電流は、絶縁部118を避けて、該絶縁部118に挟まれた柱状部111を流れることができる。絶縁部118は、活性層106の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。この場合、絶縁部118を形成した部分の垂直断面の有効屈折率は、絶縁部118を形成しない部分、すなわち、柱状部118が形成された部分の垂直断面の有効屈折率よりも小さくなる。これにより、平面方向(活性層106の厚み方向と直交する方向)において、利得領域160内に効率良く光を閉じ込めることができる。なお、図示はしないが、絶縁部118を設けないこともできる。すなわち、絶縁部118が空気であると解釈してもよい。
【0046】
第1電極114は、図2に示すように、基板102の下の全面に形成されている。第1電極114は、該第1電極114とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102(例えば第1層))と接していることができる。第1電極114は、基板102を介して、第1クラッド層104と電気的に接続されている。第1電極114は、発光素子100を駆動するための一方の電極である。第1電極114としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。なお、第1クラッド層104と基板102との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、ドライエッチングなどにより該第2コンタクト層を露出させ、第1電極114を第2コンタクト層上に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることができる。この形態は、基板102が絶縁性である場合に特に有効である。
【0047】
第2電極116は、コンタクト層112上に形成されている。より具体的には、第2電極116は、絶縁部118の開口部内に形成されている。さらに、第2電極116は、絶縁部118上に設けられていてもよい。第2電極116は、コンタクト層112を介して、第2クラッド層110と電気的に接続されている。第2電極116は、発光素子100を駆動するための他方の電極である。第2電極116としては、例えば、コンタクト層112側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。第2電極116とコンタクト層112との接触面は、図1に示すように、利得領域160と同様の平面形状を有している。
【0048】
本実施形態に係る発光素子100の一例として、InGaAlP系の場合について説明したが、発光素子100は、発光利得領域が形成可能なあらゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、InGaN系、GaAs系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、ZnCdSe系などの半導体材料を用いることができる。
【0049】
本実施形態に係る発光素子100は、例えば、プロジェクター、ディスプレイ、照明装置、計測装置などの光源に適用されることができる。
【0050】
本実施形態に係る発光素子100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0051】
発光素子100によれば、レーザー発振を抑制することができる。その理由を以下に説明する。例えば、図2に示すように、第2電極116から第1電極114に向かって流れる電流は、絶縁部118に挟まれた柱状部111を通った後に、少なくとも、活性層106において、平面方向(活性層106の厚み方向と直交する方向)に拡散し、電流拡散領域162を形成する。電流拡散領域162は、図1に示すように活性層106の積層方向から平面視して、利得領域160を挟んで、第1面105から第2面107まで設けられている。電流拡散領域162では、利得領域160と同様に電子と正孔との再結合が起こり、この再結合により発光が生じる。そして、この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こる。すなわち、電流拡散領域162は、利得領域160と同様に、光の導波路となることができる。
【0052】
ここで、図6は、開口部180,182を有さない発光素子1000を模式的に示す平面図であり、図1に対応している。電流拡散領域162は導波路となるので、第3面108側の電流拡散領域162(162a)の幅L(第4面109から第3面108に向かう方向の長さ)が、A間距離より大きくなり、かつ、第4面109側の電流拡散領域162(162b)の幅L(第3面108から第4面109に向かう方向の長さ)が、B間距離より大きくなると、発光素子1000の活性層は、共振器構成領域1162を有する。共振器構成領域1162は、図6に示すように活性層106の積層方向から平面視して、点Cを頂点とする長方形の形状となる。なお、Cは、電流拡散領域162aの第1面105における第3面108側(第1方向側)の端点であり、Cは、Cから第2面107に下ろした垂線の足であり、Dは、電流拡散領域162bの第2面107における第4面109側(第2方向側)の端点であり、Dは、Dから第1面105に下ろした垂線の足である。共振器構成領域1162では、電流拡散領域162aの第1面105の端面と、電流拡散領域162bの第2面107の端面と、が平行となる。そのため両端面間で、直接的な多重反射が起こり、共振器が構成され、レーザー発振が起こってしまう。
【0053】
これに対し、本実施形態に係る発光素子100は、図1に示すように、線分Bおよび線分Mに交差して、第1開口部180が設けられ、線分Aおよび線分Mに交差して、第2開口部182が設けられている。そのため、電流拡散領域162aの第1面105側の端面と、電流拡散領域162bの第2面107側の端面とは、平行とならず、両端面間で、共振器が構成されることを防止することができる。
【0054】
さらに、上述のように、開口部180,182は、開口部180,182と面105,107との間で、共振器が構成されないように配置されている。また、開口部180,182は、第1開口部180と第2開口部182との間で、共振器が構成されないように配置されている。
【0055】
したがって、発光素子100によれば、開口部180,182によって、レーザー発振を抑制することができる。
【0056】
また、発光素子100によれば、開口部180,182は、利得領域160から離間していることができる。そのため、利得領域160における電流経路を遮ることがない。
【0057】
2. 発光素子の製造方法
次に、本実施形態に係る発光素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図7〜図9は、発光素子100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0058】
図7に示すように、基板102上に、第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層110、およびコンタクト層112を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。
【0059】
図8に示すように、コンタクト層112および第2クラッド層110をパターニングする。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術などを用いて行われる。本工程により、柱状部111を形成することができる。
【0060】
図1および図3に示すように、例えば、コンタクト層112、第2クラッド層110、活性層106および第1クラッド層104をパターニングして、開口部180,182を形成する。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術などを用いて行われる。なお、柱状部111および開口部180,182の形成順序は、特に限定されない。
【0061】
図9に示すように、柱状部111の側面を覆うように絶縁部118を形成する。具体的には、まず、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、塗布法などにより、第2クラッド層110の上方(コンタクト層112上を含む)に絶縁層(図示せず)を成膜する。次に、例えば、エッチング技術などを用いて、コンタクト層112の上面を露出させる。以上の工程により、絶縁部118を形成することができる。
【0062】
図2に示すように、コンタクト層112(柱状部111)および絶縁部118上に第2電極116を形成する。次に、基板102の下面下に第1電極114を形成する。第1電極114および第2電極116は、例えば、真空蒸着法により形成される。なお、第1電極114および第2電極116の形成順序は、特に限定されない。
【0063】
以上の工程により、発光素子100を製造することができる。
【0064】
発光素子100の製造方法によれば、レーザー発振を抑制することができる発光素子100を製造することができる。
【0065】
3. 発光素子の変形例
次に、本実施形態の変形例に係る発光素子200,300,400,500について、図面を参照しながら説明する。以下、本実施形態の変形例に係る発光素子200,300,400,500において、本実施形態に係る発光素子100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0066】
(1)第1変形例に係る発光素子
まず、本実施形態の第1変形例に係る発光素子200について、図面を参照しながら説明する。図10は、発光素子200を模式的に示す平面図である。なお、図10では、第2電極116の図示を省略している。
【0067】
発光素子100の例では、図1に示すように、第1開口部180および第2開口部182は、線分Mと交差していた。これに対し、発光素子200では、図10に示すように、開口部180,182のいずれか一方は、線分Mと交差していない。図10に示す例では、第2開口部182は、線分Aと交差しているが、線分Mと交差していない。ただ、発光素子200は、発光素子100と同様に、活性層106を第1面105側から平面的にみて、第1開口部180の一部と、第2開口部182の一部とは、重なっている。これにより、発光素子100と同様に、電流拡散領域162によるレーザー発振を抑制することができる。
【0068】
発光素子200によれば、発光素子100の例に比べて、第2開口部182の面積を小さくできるので、その分、素子の小型化を図ることができる。
【0069】
(2)第2変形例に係る発光素子
次に、本実施形態の第2変形例に係る発光素子300について、図面を参照しながら説明する。図11は、発光素子300を模式的に示す平面図である。なお、図11では、第2電極116の図示を省略している。
【0070】
発光素子100の例では、図1に示すように、第1開口部180は第1面105に隣接し、第2開口部182は第2面107に隣接していた。これに対し、発光素子300では、図11に示すように、開口部180,182は、第1面105および第2面107から離間していてもよい。
【0071】
また、発光素子300では、図11に示すように、第1開口部180の内面の垂線Q,Qは、第2開口部と交差せず、かつ、第2開口部182の内面の垂線R,Rは、第1開口部180と交差しない。そのため、第1開口部180と第2開口部182との間で、直接的な多重反射が生じることがないので、共振器が構成されることはなく、レーザー発振を抑制することができる。なお、図示の例では、QおよびRは、互いに平行であり、QおよびRは、互いに平行である。
【0072】
(3)第3変形例に係る発光素子
次に、本実施形態の第3変形例に係る発光素子400について、図面を参照しながら説明する。図12は、発光素子400を模式的に示す断面図である。
【0073】
発光素子100の例では、図1に示すように、第1開口部180および第2開口部182が設けられていた。これに対し、発光素子400では、図12に示すように、第1面105に隣接した第1開口部180のみが設けられている。第1開口部180は、利得領域160に接しており、図示の例では、端点Aにおいて利得領域160と接している。第1開口部180の内面は、第2面107と平行ではないので、第1開口部180によって、電流拡散領域162a,162bの端面間におけて共振器が構成されることを防止することができる。
【0074】
(4)第4変形例に係る発光素子
次に、本実施形態の第4変形例に係る発光素子500について、図面を参照しながら説明する。図13は、発光素子500を模式的に示す断面図である。
【0075】
発光素子100の例では、図2に示すように、絶縁部118と、絶縁部118とが形成されていない領域、すなわち柱状部111を形成している領域に屈折率差を設けて、光を閉じ込める屈折率導波型について説明した。これに対し、発光素子500は、柱状部111を形成することによって屈折率差を設けず、利得領域160がそのまま導波領域となる、利得導波型であることができる。
【0076】
発光素子500では、図13に示すように、コンタクト層112および第2クラッド層110は、柱状部を構成せず、その側方に絶縁部118は形成されない。絶縁部118は、利得領域160の上方以外のコンタクト層112上に形成されている。すなわち、絶縁部118は利得領域160の上方に開口を有し、該開口ではコンタクト層112の上面が露出している。第2電極116は、その露出しているコンタクト層112上および絶縁部118上に形成されている。第2電極116とコンタクト層112との接触面は、利得領域160と同じ平面形状を有している。図示の例では、第2電極116とコンタクト層112との接触面の平面形状によって、電極114,116間の電流経路が決定され、その結果、利得領域160の平面形状が決定されることができる。なお図示はしないが、第2電極116は、絶縁部118上には形成されず、利得領域160の上方のコンタクト層112上にのみ形成されていてもよい。
【0077】
発光素子500によれば、発光素子100と同様に、レーザー発振を抑制することができる。
【0078】
4. 発光装置
次に、本実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図14は、発光装置600を模式的に示す平面図である。図15は、発光装置600を模式的に示す図15のXV−XV線断面図である。なお、図14では、便宜上、第2電極116の図示を省略している。また、図15では、便宜上、発光素子100を簡略化して図示している。以下、本発光装置600において、本実施形態に係る発光素子100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
発光装置600は、図14および図15に示すように、本発明に係る発光素子(例えば、発光素子100)と、ベース610と、サブマウント620と、第1光軸変換素子630と、第2光軸変換素子640と、を有することができる。
【0080】
ベース610は、例えば、サブマウント620を介して、間接的に発光素子100を支持することができる。ベース610としては、例えば、板状(直方体形状)の部材を用いることができる。ベース610の材質としては、例えば、Cu、Alなどを列挙することができる。発光素子100は、図示はしないが、例えば、ワイヤーボンディングにより、サブマウント620上の電極と電気的に接続されていてもよい。
【0081】
サブマウント620は、例えば、直接的に発光素子100を支持することができる。サブマウント620は、ベース610上に形成されている。サブマウント620上には、発光素子100が形成されている。サブマウント620としては、例えば、板状の部材を用いることができる。なお、例えば、サブマウント620を設けずに、ベース610が直接的に発光素子100を支持することもできる。サブマウント620としては、例えば、BeO,AlN等を用いることができる。
【0082】
ベース610およびサブマウント620の熱伝導率は、例えば、発光素子100の熱伝導率よりも高い。これにより、ベース610およびサブマウント620は、ヒートシンクとして機能することができる。
【0083】
第1光軸変換素子630および第2光軸変換素子640は、例えば、ベース610上に形成される。第1光軸変換素子630は、第1ミラー632を有している。第2光軸変換素子640は、第2ミラー642を有している。ミラー632,642は、図15に示すように、活性層106の上面に対して、例えば45度傾斜している。第1ミラー632は、図14に示すように平面的にみて、第1端面170から出射される光20の進行方向と直交するように配置されている。また、第2ミラー642は、第2端面172から出射される光22の進行方向と直交するように配置されている。光軸変換素子630,640の材質としては、例えば、Al、Ag、Auなどを列挙することができる。例えば、光軸変換素子630,640のミラー632,642の部分のみを、上記列挙した材料としてもよい。
【0084】
第1ミラー632は、第1端面170から出射される光20を反射させることができる。具体的には、図14に示すように、例えば水平方向(活性層106の厚み方向と直交する方向)に進んできた光20を、例えば垂直方向(活性層106の厚み方向)に反射させることができる。同様に、第2ミラー642は、第2端面172から出射される光22を反射させることができる。具体的には、図14に示すように、例えば水平方向(活性層106の厚み方向と直交する方向)に進んできた光22を、例えば垂直方向(活性層106の厚み方向)に反射させることができる。これにより、例えば、光20,22を同一の方向に反射させることができる。
【0085】
発光装置600によれば、本発明に係る発光素子(例えば発光素子100)を有することができるので、レーザー発振を抑制することができ、また、出射光20,22を同一の方向に進行させることができる。
【0086】
5. プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクター700について、図面を参照しながら説明する。図16は、プロジェクター700を模式的に示す図である。なお、図16では、便宜上、プロジェクター700を構成する筐体は省略している。
【0087】
プロジェクター700において、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源(発光装置)600R,緑色光源(発光装置)600G、青色光源(発光装置)600Bは、本発明に係る発光装置(例えば発光装置600)である。
【0088】
プロジェクター700は、光源600R,600G,600Bから出射された光をそれぞれ画像情報に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)704R,704G,704Bと、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)710に投射する投射レンズ(投射装置)708と、を備えている。また、プロジェクター700は、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bから出射された光を合成して投写レンズ708に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)706を備えていることができる。
【0089】
さらに、プロジェクター700は、光源600R,600G,600Bから出射された光の照度分布を均一化させるため、各光源600R,600G,600Bよりも光路下流側に、均一化光学系702R,702G,702Bを設けており、これらによって照度分布が均一化された光によって、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bを照明している。均一化光学系702R,702G、702Bは、例えば、ホログラム702aおよびフィールドレンズ702bによって構成される。
【0090】
各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム706に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投射レンズ706によりスクリーン710上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0091】
プロジェクター700によれば、レーザー発振を抑制することができる発光措置600を有するため、スペックルノイズを低減でき、輝度ムラを小さくすることができる。
【0092】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0093】
また、発光装置600を、発光装置600からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能である。
【0094】
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0095】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0096】
10 光、12 光、20 光、22 光、100 発光素子、102 基板、
104 第1クラッド層、105 第1面、106 活性層、107 第2面、
108 第3面、109 第4面、110 第2クラッド層、111 柱状部、
112 コンタクト層、114 第1電極、116 第2電極、118 絶縁部、
120 積層構造体、160 利得領域、162 電流拡散領域、170 第1端面、
172 第2端面、180 第1開口部、181 第1内面、182 第2開口部、
183 第2内面、184 重なり領域、200 発光素子、300 発光素子、
400 発光素子、500 発光素子、600 発光装置、610 ベース、
620 サブマウント、630 第1光軸変換素子、632 第1ミラー、
640 第2光軸変換素子、642 第2ミラー、700 プロジェクター、
702 均一化光学系、702a ホログラム、702b フィールドレンズ、
704 液晶ライトバルブ、706 クロスダイクロイックプリズム、
708 投写レンズ、710 スクリーン、1000 発光素子、
1162 共振器構成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性層と、前記活性層を挟む第1クラッド層および第2クラッド層と、前記活性層、前記第1クラッド層および前記第2クラッド層を挟む第1層および第2層と、を有する積層構造体と、
前記第1層を介して、前記第1クラッド層と電気的に接続された第1電極と、
前記第2層を介して、前記第2クラッド層と電気的に接続された第2電極と、
を含み、
前記積層構造体において、露出された前記活性層を含む面のうちの第1面および第2面は、互いに対向する位置関係であり、
前記第1電極は、オーミックコンタクトする第1層と接しており、
前記第2電極は、オーミックコンタクトする第2層と接しており、
前記活性層のうちの少なくとも一部は、利得領域を構成し、
前記利得領域の平面形状は、前記第1電極と前記第1層との接触面、および前記第2電極と前記第2層との接触面の少なくとも一方の形状と同じであり、
前記利得領域は、直線状に、前記第1面から前記第2面まで、設けられ、
前記利得領域の前記第1面側の第1端面は、前記利得領域の前記第2面側の第2端面より、前記第1面の垂線と直交する第1方向に位置し、
前記活性層を前記第1面側から平面視して、前記第1端面と、前記第2端面とは、重なっておらず、
前記活性層の積層方向から平面視して、
前記第1端面の前記第1方向とは反対側の第2方向側の端点をAとし、
前記Aから前記第2面に下ろした垂線の足をAとし、
前記第2端面の前記第1方向側の端点をBとし、
前記Bから前記第1面に下ろした垂線の足をBとし、
線分Aの中点をMとし、
線分Aの中点をMとし、
前記積層構造体には、前記活性層を貫通する第1開口部が設けられ、
前記活性層の積層方向から平面視して、前記第1開口部は、線分Bおよび線分Mに交差して設けられ、
前記第1開口部の内面は、前記第1面および前記第2面と平行ではない、発光素子。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1開口部は、前記利得領域と接している、発光素子。
【請求項3】
請求項1において、
前記積層構造体には、前記活性層を貫通する第2開口部が設けられ、
前記活性層の積層方向から平面視して、前記第2開口部は、線分Aに交差して設けられ、
前記活性層を前記第1面から平面的にみて、前記第1開口部の一部と、前記第2開口部の一部とは、重なっており、
前記第2開口部の内面は、前記第1面および前記第2面と平行ではなく、
前記第1開口部と前記第2開口部とは、共振器を構成しない、発光素子。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1開口部および前記第2開口部の一方の内面のうちの第1内面は、前記第1開口部および前記第2開口部の他方の内面のうちの第2内面と交わる垂線を備え、
前記第1内面の前記垂線は、前記第2内面と直交しない、発光素子。
【請求項5】
請求項3において、
前記第1開口部の内面の垂線は、前記第2開口部の内面と交差せず、
前記第2開口部の内面の垂線は、前記第1開口部の内面と交差しない、発光素子。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項において、
前記第1開口部および前記第2開口部は、前記利得領域と離間している、発光素子。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光素子を有する発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む、プロジェクター。
【請求項8】
活性層と、前記活性層を挟む第1クラッド層および第2クラッド層と、前記活性層、前記第1クラッド層および前記第2クラッド層を挟む第1層および第2層と、を有する積層構造体と、
前記第1層を介して、前記第1クラッド層と電気的に接続された第1電極と、
前記第2層を介して、前記第2クラッド層と電気的に接続された第2電極と、
を含み、
前記積層構造体において、露出された前記活性層を含む面のうちの第1面および第2面は、互いに対向する位置関係であり、
前記第1電極は、オーミックコンタクトする第1層と接しており、
前記第2電極は、オーミックコンタクトする第2層と接しており、
前記活性層のうちの少なくとも一部は、利得領域を構成し、
前記利得領域の平面形状は、前記第1電極と前記第1層との接触面、および前記第2電極と前記第2層との接触面の少なくとも一方の形状と同じであり、
前記利得領域は、前記活性層の積層方向から平面視して、直線状に、前記第1面から前記第2面まで、設けられ、
前記活性層を前記第1面側から平面的にみて、前記利得領域の前記第1面側の第1端面と、前記利得領域の前記第2面側の第2端面とは、重なっておらず、
前記活性層のうちの少なくとも一部は、前記利得領域から電流が拡散する電流拡散領域を構成し、
前記電流拡散領域は、前記活性層の積層方向から平面視して、前記利得領域を挟んで、前記第1面から前記第2面まで設けられ、
前記積層構造体には、前記活性層を貫通する開口部が設けられ、
前記開口部によって、前記電流拡散領域の前記第1面側の端面と、前記電流拡散領域の前記第2面側の端面とは、共振器を構成しない、発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−103320(P2011−103320A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256792(P2009−256792)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】