説明

発光素子及びディスプレイ

平面光源1上の各画素用発光領域に対応して、液晶セル2bが形成されている。液晶セル2b上には複屈折板3が設けられている。複屈折板3上には、量子ドット膜4が形成されている。量子ドット膜4は、各画素用発光領域上で、第1量子ドット膜4aと、第2量子ドット膜4bとを有する。1フィールド期間中に、第1量子ドット膜4aにだけ紫外線が導かれる状態、両ドット膜4a・4bに任意の割合で紫外線が導かれる状態、及び第2量子ドット膜4bにだけ紫外線が導かれる状態を形成することができる。したがって、各色用画素は、例えば赤色について、異なる赤色光を混合した赤色光を造り出せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、発光素子及びディスプレイに関する。
【背景技術】
直視型ディスプレイ用のパネルとしては、従来より、液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルなどが知られている。液晶ディスプレイパネルは画素電極への印加電圧を制御することで画素ごとの光透過量を制御し、R(赤)画素とG(緑)画素とB(青)画素の光量を異ならせることで所望の色を再現する。また、プラズマディスプレイパネルは、電極への電圧印加回数(X電極とY電極とのサスティン放電回数)を制御することで発光量を制御し、R画素とG画素とB画素の発光量を異ならせることで所望の色を再現する。
なお、量子ドットを用いた着色発光ダイオードが知られている(特表2002−510866号)。
上述した液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルなどでは、R画素のR光波長、G画素のG光波長、B画素のB光波長は、それぞれ単一の波長であり、図6に示すように、色度図上での色再現範囲は三角形状を成し、この範囲を超えては色を再現することはできない。
【発明の開示】
この発明は、上記事情に鑑み、発光色を変化させることができる発光素子及び色再現範囲を拡大できるディスプレイを提供することを目的とする。
この発明にかかる発光素子(以下、この項において第1構成という)は、発光色が互いに異なる複数のフォトルミネッセンス体を区分配置した発光部と、前記フォトルミネッセンス体を励起させる光を出射する出射部と、前記出射部からの光を前記発光部のフォトルミネッセンス体に選択的に導く切替手段と、を備えたことを特徴とする。
上記第1の構成であれば、例えば赤色でも波長が異なる二種の赤色光を出射することができる。また、一つの発光素子が全く異なる色(例えば、赤色と緑色)を出射することも可能になる。
第1構成において、前記光出射部は以下のように構成されていてもよい。すなわち、前記出射部は、発光ダイオードと、前記発光ダイオードの出射光量を制御する手段と、を備えて構成されていてもよい。また、前記出射部は、エレクトロルミネッセンス体と、前記エレクトロルミネッセンス体の出射光量を制御する手段と、を備えて構成されていてもよい。また、前記出射部は、電子線を蛍光体に照射して光を出射する手段と、前記電子線を制御して前記蛍光体の出射光量を制御する手段と、を備えて構成されていてもよい(このような出射部としては、例えば、CRTや冷陰極パネルが挙げられる)。また、前記出射部は、放電によって得られた光を出射する手段と、前記放電を制御して出射光量を制御する手段と、を備えて構成されていてもよい(このような出射部としては、例えば、蛍光体を有する或いは蛍光体を有しないプラズマパネルが挙げられる)。また、前記出射部は、バックライトと、前記バックライトから出射された光の透過光量を制御する液晶パネルと、を備えて構成されていてもよい。
第1構成及び第1構成に従属する構成において、前記切替手段は前記出射部からの光を直進させる状態と直進させない状態とを生成するように構成されていてもよい。前記切替手段は、前記出射部からの所定偏光の光の偏光方向回転制御を行なう液晶セルと、複屈折板と、前記液晶セルへの通電を制御する制御手段と、から成る構成物を、1つ以上備えるものでもよい。また、前記切替手段は、前記出射部からの光を音響光学効果によって複数の領域に選択的に導く音響光学効果素子と、前記音響光学効果素子への通電を制御する制御手段と、から成る構成物を、1つ以上備えるものでもよい。前記発光部は、前記直進する光が入射する位置に、発光が低効率である方のフォトルミネッセンス体を有するのがよい。また、前記発光部は、前記直進する光が入射する位置に、視感度が低い方の色光を出射するフォトルミネッセンス体を有するのがよい。
また、第1構成及び第1構成に従属する構成において、前記発光部の光出射側に、フォトルミネッセンス体の出射光の一部、又は励起光の全部又は一部をカットするフィルタが備えられていてもよい。フィルタとしては、励起光である紫外線をカットするUVカットフィルタ、色範囲を制限する(色再現性を向上させる)カットオフフィルタやバンドパスフィルタが挙げられる。
また、この発明の発光素子(以下、第2構成という)は、発光色が互いに異なる複数のフォトルミネッセンス体を区分配置した発光部と、前記フォトルミネッセンス体を励起させる電子線を出射する出射部と、前記出射部からの電子線を前記発光部のフォトルミネッセンス体に選択的に導く切替手段と、を備えたことを特徴とする。
上記の構成であれば、例えば赤色でも波長が異なる二種の赤色光を出射することができる。また、一つの発光素子が全く異なる色(例えば、赤色と緑色)を出射することも可能になる。
第2構成において、前記出射部は、電子銃又は冷陰極部(例えば、カーボンナノチューブ等)を備えて構成されていてもよい(このような出射部としては、例えば、蛍光体を有しないCRTやフィールドエミッションパネルが挙げられる)。また、第2構成及びこれに従属する構成において、前記切替手段は前記出射部からの電子線を直進させる状態と直進させない状態とを生成するように構成されていてもよい。前記切替手段は、電子線の進路を変える磁界発生手段と、前記磁界発生手段への通電を制御する制御手段と、から成っていてもよい。
また、第2構成及びこれに従属する構成において、前記発光部の光出射側に、フォトルミネッセンス体の出射光の一部をカットするフィルタが備えられていてもよい。
また、この発明の発光素子(以下、第3の構成という)は、フォトルミネッセンス体を有する第1領域と、フォトルミネッセンス体を有しない第2領域と、前記フォトルミネッセンス体を励起させる可視光を出射する出射部と、前記出射部からの可視光を前記第1領域と第2領域に選択的に導く切替手段と、を備えたことを特徴とする。
上記の構成であれば、例えば赤色でも波長が異なる二種の赤色光を出射することができる。また、一つの発光素子が全く異なる色(例えば、赤色と緑色)を出射することも可能になる。
第3の構成において、前記出射部は、以下のように構成されていてもよい。すなわち、前記出射部は、可視光を出射する発光ダイオードと、前記発光ダイオードの出射光量を制御する手段と、を備えて構成されていてもよい。また、前記出射部は、可視光を出射するエレクトロルミネッセンス体と、前記エレクトロルミネッセンス体の出射光量を制御する手段と、を備えて構成されていてもよい。また、前記出射部は、電子線を蛍光体に照射して可視光を出射する手段と、前記電子線を制御して前記蛍光体の出射光量を制御する手段と、を備えて構成されていてもよい(このような出射部としては、例えば、CRTやフィールドエミッションパネルが挙げられる)。また、前記出射部は、放電によって得られた光を蛍光体に照射して可視光を出射する手段と、前記放電を制御して前記可視光の出射光量を制御する手段と、を備えて構成されていてもよい(このような出射部としては、例えば、プラズマパネルが挙げられる)。また、前記出射部は、可視光を出射するバックライトと、前記バックライトから出射された光の透過光量を制御する液晶パネルと、を備えて構成されていてもよい。
第3の構成及びこれに従属する構成において、前記切替手段は前記出射部からの光を直進させる状態と直進させない状態とを生成するように構成されていてもよい。前記切替手段は、前記出射部からの所定偏光の光の偏光方向回転制御を行なう液晶セルと、複屈折板と、前記液晶セルへの通電を制御する制御手段と、から成る構成物を、1つ以上備えるものでもよい。また、前記切替手段は、前記出射部からの光を音響光学効果によって複数の領域に選択的に導く音響光学効果素子と、前記音響光学効果素子への通電を制御する制御手段と、から成る構成物を、1つ以上備えるものでもよい。
また、第3の構成及びこれに従属する構成において、前記領域の光出射側に、フォトルミネッセンス体の出射光の一部、又は前記出射部からの可視光の一部又は不所望な紫外線をカットするフィルタを備えて構成されていてもよい。また、前記フィルタとして、色範囲を制限する(色再現性を向上させる)カットオフフィルタやバンドパスフィルタを用いることができる。
以上の構成において、前記フォトルミネッセンス体は大きさにより発光色が異なる量子ドットとしてもよい。
また、この発明のディスプレイは、以上に示したいずれかの発光素子を画素として複数有して成ることを特徴とする。上記ディスプレイにおいて、赤色光と緑色光と青色光を適宜発光してフルカラー映像表示が行えるように構成されているのがよい。
第1構成を利用する場合、例えば、発光部は、励起光である青色光を受けて赤色光と緑色光を切り換えて出射するように構成される。この発光部を、青色光を出射するバックライトを有する液晶パネル上に隙間を設けて形成する。このようにすれば、前記発光部から赤色光と緑色光が出射し、前記隙間から青色光が出射することになる。上記発光部と隙間をそれぞれ画素と見なせば、2画素でフルカラー表示が行えるディスプレイとなる。
更に、上記のフルカラー映像表示が行える構成において、赤色光と緑色光と青色光とのうちの少なくとも一つについて、互いに波長が異なる光が出射されるように構成されているのがよい。上記の構成であれば、前記画素は例えば赤色でも波長が異なる二種の赤色光に連続的に変化し得るため、色度図上での色再現範囲を四角形状以上の多角形状とすることができ、従来の三角形の色再現範囲を超えて色を再現することができることになる。
また、上記のフルカラー映像表示が行える構成において、赤色光と緑色光と青色光に加え、これら以外の色光(例えば、シアン色光、イエロー色光、マゼンダ色光)も適宜発光するように構成されるのがよい。かかる構成も色再現範囲を拡大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1はこの発明の実施形態の発光素子(直視型ディスプレイにおける画素)の構造を示した断面図である。図2(a)及び図2(b)は図1の発光素子(直視型ディスプレイにおける画素)の作用説明図である。図3は図1の直視型ディスプレイの色再現範囲を示した説明図である。図4は音響光学効果素子を示した説明図である。図5は平面光源の例を示した説明図である。図6は従来のディスプレイにおける色再現範囲を示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
以下、この発明の実施形態の発光素子及び直視型ディスプレイを図1乃至図5に基づいて説明する。
図1は、この実施形態の直視型ディスプレイにおける画素の構造(発光素子の構造)を示した断面図である。平面光源(出射部)1は、励起光である紫外線を発光するものであり、各画素に導く光の光量を変えることができるように構成されている。このような平面光源1としては、紫外線を発光するランプと導光板とから成るバックライト、及びこのバックライトの光出射側に設けた光透過型の液晶パネルによって構成することができる。すなわち、液晶パネルにおける画素電極への印加電圧値を変化させることで、各画素内で発光部に導く光量を可変にできる(図5参照)。
また、平面光源1として蛍光体を有しないプラズマディスプレイパネルを用いることができる。プラズマディスプレイパネルは、周知のごとく、X電極とY電極とアドレス電極の制御によって放電画素(発光画素)の選択及び放電回数(発光量)の制御を行なうものである。具体的には、X電極にはX−sus(サスティン)データが入力され、Y電極にはY−sus(サスティン)データが入力され、アドレス電極にはアドレスデータが入力される。アドレスデータは、プラズマディスプレイパネルの一つ一つの画素について発光/非発光を制御するデータである。画素の発光輝度は、X−susデータとY−susデータによる放電回数により制御される。このような平面光源1における各色画素の出射光量は映像信号における輝度信号によって制御される。
平面光源1上には偏光制御用液晶パネル2が設けられている。偏光制御用液晶パネル2の光入射面には、前記平面光源1から出射される紫外光の偏光方向を揃えるための偏光板2aが設けられている。そして、この偏光制御用液晶パネル2には、前記平面光源1上の各画素用発光領域に対応して液晶セル2bが形成されている。この液晶セル2bは、TFT(薄膜トランジスタ)2cによって駆動される。液晶セル2bは、印加される電圧に応じて出射光の偏光方向を回旋させることができる。前記TFT2cを駆動するドライバは、液晶セルへの印加電圧を変化させて連続的に偏光方向を回転させ、第1偏光の光と第2偏光の光の割合を連続的に変化させる。
偏光制御用液晶パネル2上には複屈折板3が設けられている。複屈折板3は、図2(a)(b)に示しているように、前記第1偏光の光を常光として直進させる一方、第2偏光の光は異常光として図中右斜めに導くようになっている。
複屈折板3上には量子ドット膜(発光部)4が形成されている。量子ドットは微細半導体から成り、光源からの励起光(紫外線)を受けてそれよりも長い波長の光(可視光)を出射する性質を有し、その大きさ(粒径)により発光色(出射光波長)が異なるものである。量子ドット膜4は、前記平面光源1の各画素用発光領域上で、第1量子ドット膜(粒径A)4aと第2量子ドット膜4b(粒径B:A<B)とを有するように塗膜されている。そして、前記複屈折板3を直進透過してくる紫外線を受ける領域には第1量子ドット膜4aが位置し、前記複屈折板3を屈折透過してくる紫外線を受ける領域には第2量子ドット膜4bが位置している。これら量子ドット膜は例えばインクジェットによる塗膜処理によって形成される。そして、量子ドット膜4上には紫外線カットフィルタ5が設けられている。
この実施形態では、量子ドット膜4として、R(赤)用量子ドット膜とG(緑)用量子ドット膜とB(青)用量子ドット膜とを形成しており、各色用量子ドット膜はストライプ配置或いはデルタ配置などで配置形成される。そして、R用量子ドット膜4においては、赤色でも波長が異なる二種の赤色光を出射するように第1量子ドット膜4aの量子ドット及び第2量子ドット膜4bの量子ドットの大きさが調整されており、G用量子ドット膜4においては、緑色でも波長が異なる二種の緑色光を出射するように第1量子ドット膜4aの量子ドット及び第2量子ドット膜4bの量子ドットの大きさが調整されており、B用量子ドット膜4においては、青色でも波長が異なる二種の青色光を出射するように第1量子ドット膜4aの量子ドット及び第2量子ドット膜4bの量子ドットの大きさが調整されている。
従って、例えば1フィールド期間中に、第1量子ドット膜4aにだけ紫外線が導かれる状態、第1量子ドット膜4a及び第2量子ドット膜4bの両方に任意の割合で紫外線が導かれる状態、及び第2量子ドット膜4bにだけ紫外線が導かれる状態を形成することができ、各色用画素は例えば赤色について異なる波長の赤色光を混合した赤色光を造り出すことができ、図3に示すように、色度図上では赤色は単一点ではなく△と☆を結ぶ線上の任意の点として存在することができる。そして、他の色についても点ではなく線上の任意の点として色度図上で存在するできることになり、或るタイミングでは色再現範囲は各色の或る点同士を結んだ三角形状(図の点線参照)となり、他のタイミングでは色再現範囲は各色の他の或る点同士を結んだ別形状の三角形状(図の点線参照)となり、従来よりも格段に色再現範囲が拡大することになる。
上記実施形態では、偏光制御用液晶パネル2及び複屈折板3によって、第1量子ドット膜4a又は第2量子ドット膜4bに光を導く制御を行なったが、図4に示す音響光学効果素子6を用いてもよいものである。この音響光学効果素子6は、高周波電源に接続される振動子6aを有しており、高周波電源をON/OFFさせることで回折光のON/OFFを制御することができる。すなわち、回折光OFFのときに前記平面光源1からの紫外光を第1量子ドット膜4aに導き、回折光ONのときに前記平面光源1からの紫外光を第2量子ドット膜4bに導くように構成することで、第1量子ドット膜4aの発光量と第2量子ドット膜4bの発光量を制御することができる。
光源(出射部)として、発光ダイオードと、前記発光ダイオードの出射光量を制御する供給電力制御部と、を備える光源を利用できる。また、光源(出射部)として、エレクトロルミネッセンス(EL)体と、前記エレクトロルミネッセンス体の出射光量を制御する供給電力制御部と、を備える光源を利用できる。エレクトロルミネッセンス体は有機と無機のいずれを用いてもよい。また、光源(出射部)として、例えば、CRTやフィールドエミッションパネルを利用できる。なお、CRTやフィールドエミッションパネルの蛍光体としては、電子線を受けて紫外線を発光するもの等を用いる。紫外線に限らず、フォトルミネッセンス体を励起させる光であればよい。
ところで、第1量子ドット膜4aと第2量子ドット膜4bの発光効率が同じでない場合がある。そこで、かりに、第1量子ドット膜4aの方が第2量子ドット膜4bよりも発光効率が低いのであれば、直進する光(常光)が入射する位置に第1量子ドット膜4aを配置し、異常光が入射する位置に第2量子ドット膜4bを配置するのがよい。異常光よりも常光の方が伝達効率が高く、発光効率が低い方に常光を導くことで、輝度の均一化が容易になる。
また、第1量子ドット膜4aが出射する光の視感度と第2量子ドット膜4bが出射する光の視感度は同じでない。緑色光の方が赤色光や青色光に比べて視感度が高い。そこで、かりに、第1量子ドット膜4aの出射光の方が第2量子ドット膜4bの出射光よりも視感度が低いのであれば、直進する光(常光)が入射する位置に第1量子ドット膜4aを配置し、異常光が入射する位置に第2量子ドット膜4bを配置するのがよい。これにより、視感度の違いを光量の違いで補うことができる。
また、上記の例では、量子ドット膜4上に紫外線カットフィルタ5を設け、漏れ出る紫外線(励起光)をカットするようにしたが、これに限らず、発光色の色範囲を制限する(色再現を向上させる)ために、カットオフフィルタやバンドパスフィルタを設けてもよいものである。
また、色再現範囲が六角形となる場合を例示したが(図3参照)、これに限るものではない。例えば、第1量子ドット膜4aが赤色光(R)を出射し、第2量子ドット膜4bが第1緑色光(G1)を出射する第1発光素子と、第1量子ドット膜4aが青色光(B)を出射し、第2量子ドット膜4bが第2緑色光(G2)を出射する第2発光素子と、を組み合わせる。これによって、色度図上で緑色光は単一点ではなく二点を結ぶ線上の任意の点として存在し、色再現範囲は四角形となる。勿論、色再現範囲が他の多角形となる構成も可能である。なお、前述した視感度の観点から、赤色光や青色光を出射する量子ドット膜に常光が導かれるように構成するのがよい。
また、上記の例では、発光色が互いに異なる複数のフォトルミネッセンス体として粒径が異なる量子ドット膜を示したが、この量子ドット膜に限るものではない。また、紫外線の照射を受けて可視光を出射するフォトルミネッセンス体を示したが、電子線で発光するフォトルミネッセンス体を用いることもできる。この場合、電子線を出射する出射部としては、フィールドエミッションディスプレイやCRT(陰極線管)を用いることができる。また、フィールドエミッションディスプレイを用いる場合、各画素ごとに微小コイルを形成しておき、前記微小コイルへの通電ON/OFFによって電子線の方向を変えることができる。
また、上記の例では、発光色が互いに異なる二つのフォトルミネッセンス体を組み合わせて一つの画素(発光素子)としたが、フォトルミネッセンス体を有する第1領域とフォトルミネッセンス体を有しない第2領域とを組み合わせて一つの画素(発光素子)としてもよい。この場合、光源(出射部)には、可視光を出射するものを用いる。光源光が青色光であり、第1領域のフォトルミネッセンス体が青色光に励起されて緑色光を出射するとすれば、青色光と緑色光の生成が行える。更に、第1領域のフォトルミネッセンス体が青色光に励起されて赤色光を出射する発光素子を組み合わせれば、3原色光の出射が可能となる。また、例えば、上記赤色光と多少異なる赤色光を出射する発光素子を組み合わせれば、色度図上での色再現範囲を拡大できる。
また、このような構成において、光源(可視光出射部)として、可視光を出射する発光ダイオードと、前記発光ダイオードの出射光量を制御する供給電力制御部と、を備える光源を利用できる。また、光源として、可視光を出射するエレクトロルミネッセンス体と、前記エレクトロルミネッセンス体の出射光量を制御する供給電力制御部と、を備える光源を利用できる。また、光源として、例えば、CRTやフィールドエミッションパネルを利用できる。なお、CRTやフィールドエミッションパネルの蛍光体としては、電子線を受けて可視光(青色光等)を発光するものを用いる。また、光源として、蛍光体を有するプラズマパネルを利用できる。なお、蛍光体としては、紫外線を受けて可視光(青色光等)を発光するものを用いる。また、光源として、可視光を出射するバックライトを有する液晶パネルを利用できる。
また、紫外線が漏れ出る場合には、発光部の光出射側にUVカットフィルタを設ければよい。また、発光色の色範囲を制限する(色再現を向上させる)ために、カットオフフィルタやバンドパスフィルタを設けてもよい。
また、以上説明した構成において(電子線励起タイプは除く)、偏光制御用液晶パネル2や複屈折板3からなる光路切替手段、或いは、音響光学効果素子6からなる光路切替手段を多段に配置することで、3以上の領域に選択的に光を導くことができ、これら領域に発光色が異なる複数のフォトルミネッセンス体を配置することとしてもよい。
以上説明したように、この発明の発光素子であれば、例えば赤色でも波長が異なる二種の赤色光を出射することができる。また、一つの発光素子が全く異なる色(例えば、赤色と緑色)を出射することも可能になる。また、この発明のディスプレイであれば、色用画素は例えば赤色でも波長が異なる二種の赤色光に連続的に変化し得るため、色再現範囲を拡大できる。また、フルカラーディスプレイとする場合、赤色光と緑色光と青色光に加え、これら以外の色光(例えば、シアン色光、イエロー色光、マゼンダ色光)も適宜発光するようにしてもよく、かかる構成も色再現範囲を拡大することが可能となる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色が互いに異なる複数のフォトルミネッセンス体を区分配置した発光部と、前記フォトルミネッセンス体を励起させる光を出射する出射部と、前記出射部からの光を前記発光部のフォトルミネッセンス体に選択的に導く切替手段と、を備えたことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
請求項1に記載の発光素子において、前記出射部は、発光ダイオードと、前記発光ダイオードの出射光量を制御する手段と、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項3】
請求項1に記載の発光素子において、前記出射部は、エレクトロルミネッセンス体と、前記エレクトロルミネッセンス体の出射光量を制御する手段と、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
請求項1に記載の発光素子において、前記出射部は、電子線を蛍光体に照射して光を出射する手段と、前記電子線を制御して前記蛍光体の出射光量を制御する手段と、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項5】
請求項1に記載の発光素子において、前記出射部は、放電によって得られた光を出射する手段と、前記放電を制御して出射光量を制御する手段と、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項6】
請求項1に記載の発光素子において、前記出射部は、バックライトと、前記バックライトから出射された光の透過光量を制御する液晶パネルと、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の発光素子において、前記切替手段は前記出射部からの光を直進させる状態と直進させない状態とを生成するように構成されていることを特徴とする発光素子。
【請求項8】
請求項7に記載の発光素子において、前記切替手段は、前記出射部からの所定偏光の光の偏光方向回転制御を行なう液晶セルと、複屈折板と、前記液晶セルへの通電を制御する制御手段と、から成る構成物を、1つ以上備えることを特徴とする発光素子。
【請求項9】
請求項7に記載の発光素子において、前記切替手段は、前記出射部からの光を音響光学効果によって複数の領域に選択的に導く音響光学効果素子と、前記音響光学効果素子への通電を制御する制御手段と、から成る構成物を、1つ以上備えることを特徴とする発光素子。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の発光素子において、前記発光部は、前記直進する光が入射する位置に、発光が低効率である方のフォトルミネッセンス体を有することを特徴とする発光素子。
【請求項11】
請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の発光素子において、前記発光部は、前記直進する光が入射する位置に、視感度が低い方の色光を出射するフォトルミネッセンス体を有することを特徴とする発光素子。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の発光素子において、前記発光部の光出射側に、フォトルミネッセンス体の出射光の一部、又は励起光の全部又は一部をカットするフィルタを備えたことを特徴とする発光素子。
【請求項13】
発光色が互いに異なる複数のフォトルミネッセンス体を区分配置した発光部と、前記フォトルミネッセンス体を励起させる電子線を出射する出射部と、前記出射部からの電子線を前記発光部のフォトルミネッセンス体に選択的に導く切替手段と、を備えたことを特徴とする発光素子。
【請求項14】
請求項13に記載の発光素子において、前記出射部は、電子銃又は冷陰極部を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の発光素子において、前記切替手段は前記出射部からの電子線を直進させる状態と直進させない状態とを生成するように構成されたことを特徴とする発光素子。
【請求項16】
請求項15に記載の発光素子において、前記切替手段は、電子線の進路を変える磁界発生手段と、前記磁界発生手段への通電を制御する制御手段と、から成ることを特徴とする発光素子。
【請求項17】
請求項13乃至請求項16のいずれかに記載の発光素子において、前記発光部の光出射側に、フォトルミネッセンス体の出射光の一部をカットするフィルタを備えたことを特徴とする発光素子。
【請求項18】
フォトルミネッセンス体を有する第1領域と、フォトルミネッセンス体を有しない第2領域と、前記フォトルミネッセンス体を励起させる可視光を出射する出射部と、前記出射部からの可視光を前記第1領域と第2領域に選択的に導く切替手段と、を備えたことを特徴とする発光素子。
【請求項19】
請求項18に記載の発光素子において、前記出射部は、可視光を出射する発光ダイオードと、前記発光ダイオードの出射光量を制御する手段と、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項20】
請求項18に記載の発光素子において、前記出射部は、可視光を出射するエレクトロルミネッセンス体と、前記エレクトロルミネッセンス体の出射光量を制御する手段と、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項21】
請求項18に記載の発光素子において、前記出射部は、電子線を蛍光体に照射して可視光を出射する手段と、前記電子線を制御して前記蛍光体の出射光量を制御する手段と、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項22】
請求項18に記載の発光素子において、前記出射部は、放電によって得られた光を蛍光体に照射して可視光を出射する手段と、前記放電を制御して前記可視光の出射光量を制御する手段と、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項23】
請求項18に記載の発光素子において、前記出射部は、可視光を出射するバックライトと、前記バックライトから出射された光の透過光量を制御する液晶パネルと、を備えて成ることを特徴とする発光素子。
【請求項24】
請求項18乃至請求項23のいずれかに記載の発光素子において、前記切替手段は前記出射部からの光を直進させる状態と直進させない状態とを生成するように構成されたことを特徴とする発光素子。
【請求項25】
請求項24に記載の発光素子において、前記切替手段は、前記出射部からの所定偏光の光の偏光方向回転制御を行なう液晶セルと、複屈折板と、前記液晶セルへの通電を制御する制御手段と、から成る構成物を、1つ以上備えることを特徴とする発光素子。
【請求項26】
請求項24に記載の発光素子において、前記切替手段は、前記出射部からの光を音響光学効果によって複数の領域に選択的に導く音響光学効果素子と、前記音響光学効果素子への通電を制御する制御手段と、から成る構成物を、1つ以上備えることを特徴とする発光素子。
【請求項27】
請求項18乃至請求項26のいずれかに記載の発光素子において、前記領域の光出射側に、フォトルミネッセンス体の出射光の一部、又は前記出射部からの可視光の一部又は不所望な紫外線をカットするフィルタを備えたことを特徴とする発光素子。
【請求項28】
請求項1乃至請求項27のいずれかに記載の発光素子において、前記フォトルミネッセンス体は大きさにより発光色が異なる量子ドットであることを特徴とする発光素子。
【請求項29】
請求項1乃至請求項28のいずれかに記載の発光素子を画素として複数有して成ることを特徴とするディスプレイ。
【請求項30】
請求項29に記載のディスプレイにおいて、赤色光と緑色光と青色光を適宜発光してフルカラー映像表示が行えるように構成されたことを特徴とするディスプレイ。
【請求項31】
請求項30に記載のディスプレイにおいて、赤色光と緑色光と青色光とのうちの少なくとも一つについて、互いに波長が異なる色光が出射されるように構成されたことを特徴とするディスプレイ。
【請求項32】
請求項30に記載のディスプレイにおいて、赤色光と緑色光と青色光に加え、これら以外の色光も適宜発光するように構成されたことを特徴とするディスプレイ。

【国際公開番号】WO2004/074739
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502747(P2005−502747)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001844
【国際出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】