発光素子
【課題】優れた熱伝導性を有する熱伝導経路を備えた発光素子を提供する。
【解決手段】発光素子は、第1導電層102、該第1導電層102の上に配置された能動層104、及び該能動層104の上に配置された第2導電層106を含む発光構造と、第1導電層104の上に配置された第1ボンディングパッド107aと、第2導電層106の上に配置された第2ボンディングパッド107bと、第1ボンディングパッド107aの上に配置された第1金属層160と、第2ボンディングパッド107bの上に配置された第2金属層162とを備える。第1ボンディングパッド107aと第2ボンディングパッド107bとの間の間隔が、第1金属層160と第2金属層162との間の間隔よりも大きい。
【解決手段】発光素子は、第1導電層102、該第1導電層102の上に配置された能動層104、及び該能動層104の上に配置された第2導電層106を含む発光構造と、第1導電層104の上に配置された第1ボンディングパッド107aと、第2導電層106の上に配置された第2ボンディングパッド107bと、第1ボンディングパッド107aの上に配置された第1金属層160と、第2ボンディングパッド107bの上に配置された第2金属層162とを備える。第1ボンディングパッド107aと第2ボンディングパッド107bとの間の間隔が、第1金属層160と第2金属層162との間の間隔よりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子(LED)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光素子(LED)パッケージにおいては、サブマウント上に載置したエポキシを使用して、LEDチップをサブマウントに搭載してLED素子を形成する。このプロセスは「ダイボンディング」と呼ばれる。通常、「ダイボンディング」に使用するエポキシは銀充填エポキシまたは他の非導電性樹脂であり得る。次に、LED素子を回路基板の上に組み立てる。フリップチップLEDの場合、p型導電層及びn型導電層を同じ側面上に露出させて、正電極及び負電極をLED構造の同じ側に設けるようにする。そして正電極及び負電極を備えるLED構造をひっくり返して、ワイヤボンディングを使用せずに半田の上に配置する。しかしながら、従来のフリップチップLEDは、回路基板に接続して搭載するために依然として「ダイシング」及び「ダイボンディング」を必要とする。フリップチップLEDの電極が、回路基板との直接接続を行なうために大きなコンタクト領域を有する場合、LEDに関する多くの従来のパッケージングプロセスを省略することができる。
【0003】
従来のLEDの動作電流は通常、数十ミリアンペア〜数百ミリアンペアである。従って、従来のLEDの輝度は照明目的には適さない。輝度を改善するために多数のLEDをLEDランプに組み込む場合、LEDランプの容積がそれに応じて大きくなり、市場における競争力を失うことになる。従って、単一のLEDの輝度を改善することは必要なアプローチである。しかしながら、LEDが高輝度化の方向に進むと、単一のLEDの動作電流及び電力が従来のLEDが必要とする動作電流及び電力の数倍から数百倍になる。例えば、高輝度LEDの動作電流は約数百ミリアンペアから数アンペア(A)である。その結果、LEDによって生じる熱が非常に大きな問題となる。「熱」はLEDの性能に大きく影響する。例えば、熱はLEDから放出される光の波長に影響を及ぼす。熱の影響により半導体デバイスにより生成される光の輝度が下がり、LEDデバイスが損傷する。従って、高出力LEDによって生じる熱を放散する方法がLEDの重要な課題となる。
【0004】
特許文献1及び特許文献2はLEDパッケージ、及び表面実装技術(Surface Mount Technology:SMT)に基づいてLEDパッケージを製造する方法を開示している。各LEDパッケージはLEDチップを含み、各チップはフリップチップボンディングによりサブマウントウェハの前面にボンディングバンプを使用してボンディングされる。複数の開口のアレイを電気絶縁サブマウントウェハに穿孔する。穿孔により形成された複数の開口に金属を充填して複数のビアアレイを形成する。各フリップチップボンディングLEDのp型コンタクト及びn型コンタクトは、サブマウントウェハの半田接合可能な裏面にビアアレイを通して電気的に接続される。フリップチップボンディングLEDチップからサブマウントウェハの半田接合可能な裏面へ熱を伝達するために熱伝導経路を設ける。フリップチップボンディングに続いて、サブマウントウェハを分離して表面実装LEDパッケージを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0188696号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0203189号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、サブマウントウェハ内に金属で充填された穿孔ビアアレイが必要であるため、製造コストが増大する。更に、各チップをサブマウントウェハにボンディングバンプを使用してフリップチップボンディングする操作が複雑になる。従って、LEDパッケージがサブマウントウェハを設けることなく優れた熱伝導性を有する熱伝導経路を備えることができれば大きな利点がもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明の発光素子は、第1導電層、該第1導電層の上に配置された能動層、及び該能動層の上に配置された第2導電層を含む発光構造と、第1導電層の上に配置された第1ボンディングパッドと、第2導電層の上に配置された第2ボンディングパッドと、第1ボンディングパッドの上に配置された第1金属層と、第2ボンディングパッドの上に配置された第2金属層とを備え、第1ボンディングパッドと第2ボンディングパッドとの間の間隔が、第1金属層と第2金属層との間の間隔よりも大きいことを要旨とする。
【0008】
第1ボンディングパッドと第2ボンディングパッドとの間にパッシベーション層を更に備えることが好ましい。
パッシベーション層が第2導電層と接触していることが好ましい。
【0009】
第2導電層の上に配置された第1誘電体層を更に備えることが好ましい。
第1金属層及び第2金属層の少なくともいずれかと接触する第1誘電体層の表面が光を反射するものであることが好ましい。
【0010】
第1金属層及び第2金属層の領域が発光素子の領域の半分よりも広いことが好ましい。
第1誘電体層の上であって第1金属層と第2金属層との間に配置された第2誘電体層を更に備えることが好ましい。
【0011】
第1導電層の上に配置された基板を更に備えることが好ましい。
基板の材料はサファイアを含むことが好ましい。
第1導電層がAlxGayIn1−x−yN又はAlxGayIn1−x−yPを含むことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態に従って発光素子(LED)を形成する様子を表わす断面図。
【図1B】本発明の一実施形態に従って発光素子(LED)を形成する様子を表わす断面図。
【図1C】本発明の一実施形態に従って発光素子(LED)を形成する様子を表わす断面図。
【図1D】本発明の一実施形態に従って発光素子(LED)を形成する様子を表わす断面図。
【図1E】本発明の一実施形態による複数のLEDを示す図。
【図2A】本発明の一実施形態に従ってLEDアレイを形成する様子を表わす断面図。
【図2B】本発明の一実施形態に従ってLEDアレイを形成する様子を表わす断面図。
【図2C】本発明の一実施形態に従ってLEDアレイを形成する様子を表わす断面図。
【図2D】本発明の一実施形態に従ってLEDアレイを形成する様子を表わす断面図。
【図2E】本発明の別の実施形態による、回路基板に接続されたLEDアレイを示す図。
【図2F】本発明の実施形態によるLEDアレイパッケージを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これまでの態様及び本発明に付随する利点の多くは、次の詳細な説明を添付の図と共に参照して理解を一層深めることによって一層容易に理解されるであろう。
図1A〜図1Dは、本発明の一実施形態による発光素子(LED)を形成する方法を示している。図1Aを参照すると、まず、発光構造100が形成される。発光構造100は、クラッド層としての第1導電層102と、層102の上に発光層として配置される能動層104と、層104の上に別のクラッド層として配置される第2導電層106とを備える。好適には、図1に示すように、層102の露出部の上にはボンディングパッド107aが配置され、層106の上には別のボンディングパッド107bが配置される。ボンディングパッド107a及び107bの製造方法及び材料(例えばアルミニウム)はこの技術分野の当業者には公知であるので、以後これらに関する説明は省略する。更に、一実施形態では、発光構造100は、発光構造100を保護するパッシベーション層120を備える。また、パッシベーション層120の製造方法及び材料(例えばSiO2)はこの技術分野の当業者には公知であるので、以後これらに関する説明は省略する。
【0014】
第1導電層102はn型半導体導電層であり、第2導電層106はp型半導体導電層である。n型半導体導電層102及びp型半導体導電層106は、具体的には、この技術分野の当業者には公知の任意の半導体材料として、好適にはAlxGayIn1−x−yN(式中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)のようなIII−V族化合物半導体であってよく、さらにP/N型のドーパントによってドープすることができる。発光層104は具体的には、従来の材料(例えば、AlGaInNまたはAlGaInP)及び構造(例えば、単一量子井戸構造、多量子井戸構造、及びダブルへテロ構造)によって形成することができる。発光層104の原理及び機構はこの技術分野の当業者には公知であるので、以後これらに関する説明は省略する。更に、発光構造100はMOCVDプロセス、分子線エピタキシー(molecular beam epitaxy:MBE)、またはハイドライド気相成長(hydride vapor phase epitaxy:HVPE)を使用して形成することができる。
【0015】
次に、図1Bに示すように、第1誘電体層122を発光構造100の上に形成する。好適には、層122は、D≦20μmの厚さDを有する透明誘電体層であり、該層122は発光構造100により生じる熱を容易に伝達することができる。層122は、SiO2,Si3N4,またはこれらの組合せのような材料によって、MOCVDプロセスまたはMBEプロセスを使用して形成することができる。
【0016】
図1Cに示すように、第1誘電体層122の上には第2誘電体層140が形成される。層140はSiO2、窒化シリコン、ポリイミド、ビスベンゾシクロブテン、またはフォトレジストのような材料によって形成することができる。好適には、層140の厚さは約25μmであり、層140は印刷法を使用して形成される。
【0017】
図1Dに示すように、層140が形成された後、金属層160が形成される。金属層160は発光構造100の上に配置されるとともに、第1導電層102に電気的に接続される。金属層160の一部は第1誘電体層122の上に配置される。更に、金属層162が発光構造100の上に形成され、この金属層162は第2導電層106に電気的に接続される。金属層162の一部は第1誘電体層122の上に配置される。一方、第1誘電体層122及び第2誘電体層140は、金属層160を金属層162から電気的に絶縁する。金属層160または金属層162は具体的には、Au,Al,Ag,またはこれらの金属の合金によって形成することができる。好適には、金属層160及び金属層162は、印刷法を使用して一緒に形成される。その後、LED10の製造プロセスが完了する。
【0018】
一実施形態では、誘電体層122は透明誘電体層である。金属層160及び金属層162の少なくともいずれかと接触する誘電体層122の表面は、発光構造100から放出される光を反射するように設けられている。更に、金属層160及び金属層162の少なくともいずれかは発光構造100の熱伝導経路である。金属層160及び金属層162の広いコンタクト領域A1及びA2は熱放散に有利でもある。
【0019】
図1DのLED10と同じように、図1Eに示すLED10a,10b,及び10cには複数の広いコンタクト領域が設けられ、これらのコンタクト領域の各々は、LED10の横断面積の半分よりも広いことが好ましい。LED10a,10b,及び10cは、「ダイボンディング」及び「ワイヤボンディング」ではなく半田12を使用して回路基板13に直接接続される。別の実施形態では、LED10aは赤色光を放出し、LED10bは緑色光を放出し、LED10cは青色光を放出するためにそれぞれ設けられる。従って、LED10a,10b,及び10cは、回路基板13に接続されると画像表示用途に使用することができる。
【0020】
図2A〜2Dは、本発明の一実施形態による発光素子(LED)アレイを形成する方法を示している。図2Aを参照すると、まず、基板21が設けられる。基板21はサファイア基板、GaAs基板、またはこの技術分野の当業者に公知の他の基板、或いはこれらの組合せとすることができる。次に、複数の発光構造200a,200b,及び200cを基板21の上に形成する。発光構造200a,200b,及び200cの材料及び製造プロセスは図1A〜1Dに示す発光構造100に関する説明を参照することができる。同様に、発光構造200a,200b,及び200cはMOCVDプロセス、分子線エピタキシー、またはハイドライド気相成長を使用して形成することができる。
【0021】
次に、図2Bに示すように、発光構造200aの上に誘電体層222aを形成し、発光構造200bの上に誘電体層222bを形成し、発光構造200cの上に誘電体層222cを形成する。好適には、図1Bに示す層122と同じように、層222a,222b,222cはそれぞれ、D≦20μmの厚さDを有する透明誘電体層であり、これらの層は発光構造200a,200b,及び200cによって生じる熱を容易に放散させることができる。層222a,222b,222cは、SiO2,Si3N4、またはこれらの組合せのような材料によって、MOCVDプロセスまたはMBEプロセスを使用して形成することができる。
【0022】
その後、図2Cに示すように、誘電体層222aの上に誘電体層240aが形成され、誘電体層222bの上に誘電体層240bが形成され、誘電体層222cの上に誘電体層240cが形成される。層240a,240b,240cはSiO2、窒化シリコン、ポリイミド、ビスベンゾシクロブテン、またはフォトレジストのような材料により形成することができる。好適には、図1Cの層140と同じように、層240a,240b,240cの厚さはそれぞれ約25μmである。層240a,240b,240cは、好ましくは印刷法を使用して形成される。一実施形態では、LED20a,20b,20cを互いに電気的に絶縁する(図2Dに示すように)ために、発光構造200a,200b,200cの間に誘電体層280が更に形成される。誘電体層280は、具体的には、層240a、層240b、または層240cと同じ材料(例えばポリイミド)により形成することができるとともに、印刷法を使用して層240a,240b,40cと一緒に形成される。別の構成として、誘電体層280を、層240a,240b,または240cとは異なる材料によって、異なるプロセスを用いて形成してもよい。
【0023】
図2Dに示すように、金属層260a,260b,260c,262a,262b,262cが形成される。これらの金属層260a,260b,260c,262a,262b,262cは、具体的にはAu、Al、Agまたはそれらの金属の合金により形成することができる。好適には、金属層260a,260b,260c,262a,262b,262cは、印刷法を使用して一緒に形成される。その後、LED20a,20b,20cを含むLEDアレイ10の製造プロセスが完了する。
【0024】
図2Eに示すように、LED20a,20b,20cには広いコンタクト領域が設けられ、これらLED20a,20b,20cは半田22を使用して回路基板23に直接接続される。その後、LEDアレイ20は従来の手段を用いる(例えば、エキシマレーザを使用する)ことにより基板21から分離され、画像表示用途に使用することができる。画像表示用途に使用される従来のLEDに比べて、LED20a,20b,20c同士の間隔またはギャップは、スライシング工程及びパッケージング工程が省略されるので縮小される。従って、本発明によれば、画像表示において高い解像度を実現することが可能になる。別の実施形態では、図2Fに示すように、回路基板23に接続されるLEDアレイ20(LED20a,20b,及び20cを含む)をパッケージ24によって封止する。
【0025】
特定の実施形態について例示し説明してきたが、この技術分野の当業者であれば、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される技術範囲から逸脱することなく、種々の変更をなし得ることが明らかであろう。
【符号の説明】
【0026】
21…基板、100,200a,200b,200c…発光構造、102…第1導電層、104…能動層、106…第2導電層、107a,107b…ボンディングパッド、120…パッシベーション層、122…第1誘電体層、140…第2誘電体層、160,162…金属層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子(LED)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光素子(LED)パッケージにおいては、サブマウント上に載置したエポキシを使用して、LEDチップをサブマウントに搭載してLED素子を形成する。このプロセスは「ダイボンディング」と呼ばれる。通常、「ダイボンディング」に使用するエポキシは銀充填エポキシまたは他の非導電性樹脂であり得る。次に、LED素子を回路基板の上に組み立てる。フリップチップLEDの場合、p型導電層及びn型導電層を同じ側面上に露出させて、正電極及び負電極をLED構造の同じ側に設けるようにする。そして正電極及び負電極を備えるLED構造をひっくり返して、ワイヤボンディングを使用せずに半田の上に配置する。しかしながら、従来のフリップチップLEDは、回路基板に接続して搭載するために依然として「ダイシング」及び「ダイボンディング」を必要とする。フリップチップLEDの電極が、回路基板との直接接続を行なうために大きなコンタクト領域を有する場合、LEDに関する多くの従来のパッケージングプロセスを省略することができる。
【0003】
従来のLEDの動作電流は通常、数十ミリアンペア〜数百ミリアンペアである。従って、従来のLEDの輝度は照明目的には適さない。輝度を改善するために多数のLEDをLEDランプに組み込む場合、LEDランプの容積がそれに応じて大きくなり、市場における競争力を失うことになる。従って、単一のLEDの輝度を改善することは必要なアプローチである。しかしながら、LEDが高輝度化の方向に進むと、単一のLEDの動作電流及び電力が従来のLEDが必要とする動作電流及び電力の数倍から数百倍になる。例えば、高輝度LEDの動作電流は約数百ミリアンペアから数アンペア(A)である。その結果、LEDによって生じる熱が非常に大きな問題となる。「熱」はLEDの性能に大きく影響する。例えば、熱はLEDから放出される光の波長に影響を及ぼす。熱の影響により半導体デバイスにより生成される光の輝度が下がり、LEDデバイスが損傷する。従って、高出力LEDによって生じる熱を放散する方法がLEDの重要な課題となる。
【0004】
特許文献1及び特許文献2はLEDパッケージ、及び表面実装技術(Surface Mount Technology:SMT)に基づいてLEDパッケージを製造する方法を開示している。各LEDパッケージはLEDチップを含み、各チップはフリップチップボンディングによりサブマウントウェハの前面にボンディングバンプを使用してボンディングされる。複数の開口のアレイを電気絶縁サブマウントウェハに穿孔する。穿孔により形成された複数の開口に金属を充填して複数のビアアレイを形成する。各フリップチップボンディングLEDのp型コンタクト及びn型コンタクトは、サブマウントウェハの半田接合可能な裏面にビアアレイを通して電気的に接続される。フリップチップボンディングLEDチップからサブマウントウェハの半田接合可能な裏面へ熱を伝達するために熱伝導経路を設ける。フリップチップボンディングに続いて、サブマウントウェハを分離して表面実装LEDパッケージを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0188696号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0203189号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、サブマウントウェハ内に金属で充填された穿孔ビアアレイが必要であるため、製造コストが増大する。更に、各チップをサブマウントウェハにボンディングバンプを使用してフリップチップボンディングする操作が複雑になる。従って、LEDパッケージがサブマウントウェハを設けることなく優れた熱伝導性を有する熱伝導経路を備えることができれば大きな利点がもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明の発光素子は、第1導電層、該第1導電層の上に配置された能動層、及び該能動層の上に配置された第2導電層を含む発光構造と、第1導電層の上に配置された第1ボンディングパッドと、第2導電層の上に配置された第2ボンディングパッドと、第1ボンディングパッドの上に配置された第1金属層と、第2ボンディングパッドの上に配置された第2金属層とを備え、第1ボンディングパッドと第2ボンディングパッドとの間の間隔が、第1金属層と第2金属層との間の間隔よりも大きいことを要旨とする。
【0008】
第1ボンディングパッドと第2ボンディングパッドとの間にパッシベーション層を更に備えることが好ましい。
パッシベーション層が第2導電層と接触していることが好ましい。
【0009】
第2導電層の上に配置された第1誘電体層を更に備えることが好ましい。
第1金属層及び第2金属層の少なくともいずれかと接触する第1誘電体層の表面が光を反射するものであることが好ましい。
【0010】
第1金属層及び第2金属層の領域が発光素子の領域の半分よりも広いことが好ましい。
第1誘電体層の上であって第1金属層と第2金属層との間に配置された第2誘電体層を更に備えることが好ましい。
【0011】
第1導電層の上に配置された基板を更に備えることが好ましい。
基板の材料はサファイアを含むことが好ましい。
第1導電層がAlxGayIn1−x−yN又はAlxGayIn1−x−yPを含むことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態に従って発光素子(LED)を形成する様子を表わす断面図。
【図1B】本発明の一実施形態に従って発光素子(LED)を形成する様子を表わす断面図。
【図1C】本発明の一実施形態に従って発光素子(LED)を形成する様子を表わす断面図。
【図1D】本発明の一実施形態に従って発光素子(LED)を形成する様子を表わす断面図。
【図1E】本発明の一実施形態による複数のLEDを示す図。
【図2A】本発明の一実施形態に従ってLEDアレイを形成する様子を表わす断面図。
【図2B】本発明の一実施形態に従ってLEDアレイを形成する様子を表わす断面図。
【図2C】本発明の一実施形態に従ってLEDアレイを形成する様子を表わす断面図。
【図2D】本発明の一実施形態に従ってLEDアレイを形成する様子を表わす断面図。
【図2E】本発明の別の実施形態による、回路基板に接続されたLEDアレイを示す図。
【図2F】本発明の実施形態によるLEDアレイパッケージを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これまでの態様及び本発明に付随する利点の多くは、次の詳細な説明を添付の図と共に参照して理解を一層深めることによって一層容易に理解されるであろう。
図1A〜図1Dは、本発明の一実施形態による発光素子(LED)を形成する方法を示している。図1Aを参照すると、まず、発光構造100が形成される。発光構造100は、クラッド層としての第1導電層102と、層102の上に発光層として配置される能動層104と、層104の上に別のクラッド層として配置される第2導電層106とを備える。好適には、図1に示すように、層102の露出部の上にはボンディングパッド107aが配置され、層106の上には別のボンディングパッド107bが配置される。ボンディングパッド107a及び107bの製造方法及び材料(例えばアルミニウム)はこの技術分野の当業者には公知であるので、以後これらに関する説明は省略する。更に、一実施形態では、発光構造100は、発光構造100を保護するパッシベーション層120を備える。また、パッシベーション層120の製造方法及び材料(例えばSiO2)はこの技術分野の当業者には公知であるので、以後これらに関する説明は省略する。
【0014】
第1導電層102はn型半導体導電層であり、第2導電層106はp型半導体導電層である。n型半導体導電層102及びp型半導体導電層106は、具体的には、この技術分野の当業者には公知の任意の半導体材料として、好適にはAlxGayIn1−x−yN(式中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)のようなIII−V族化合物半導体であってよく、さらにP/N型のドーパントによってドープすることができる。発光層104は具体的には、従来の材料(例えば、AlGaInNまたはAlGaInP)及び構造(例えば、単一量子井戸構造、多量子井戸構造、及びダブルへテロ構造)によって形成することができる。発光層104の原理及び機構はこの技術分野の当業者には公知であるので、以後これらに関する説明は省略する。更に、発光構造100はMOCVDプロセス、分子線エピタキシー(molecular beam epitaxy:MBE)、またはハイドライド気相成長(hydride vapor phase epitaxy:HVPE)を使用して形成することができる。
【0015】
次に、図1Bに示すように、第1誘電体層122を発光構造100の上に形成する。好適には、層122は、D≦20μmの厚さDを有する透明誘電体層であり、該層122は発光構造100により生じる熱を容易に伝達することができる。層122は、SiO2,Si3N4,またはこれらの組合せのような材料によって、MOCVDプロセスまたはMBEプロセスを使用して形成することができる。
【0016】
図1Cに示すように、第1誘電体層122の上には第2誘電体層140が形成される。層140はSiO2、窒化シリコン、ポリイミド、ビスベンゾシクロブテン、またはフォトレジストのような材料によって形成することができる。好適には、層140の厚さは約25μmであり、層140は印刷法を使用して形成される。
【0017】
図1Dに示すように、層140が形成された後、金属層160が形成される。金属層160は発光構造100の上に配置されるとともに、第1導電層102に電気的に接続される。金属層160の一部は第1誘電体層122の上に配置される。更に、金属層162が発光構造100の上に形成され、この金属層162は第2導電層106に電気的に接続される。金属層162の一部は第1誘電体層122の上に配置される。一方、第1誘電体層122及び第2誘電体層140は、金属層160を金属層162から電気的に絶縁する。金属層160または金属層162は具体的には、Au,Al,Ag,またはこれらの金属の合金によって形成することができる。好適には、金属層160及び金属層162は、印刷法を使用して一緒に形成される。その後、LED10の製造プロセスが完了する。
【0018】
一実施形態では、誘電体層122は透明誘電体層である。金属層160及び金属層162の少なくともいずれかと接触する誘電体層122の表面は、発光構造100から放出される光を反射するように設けられている。更に、金属層160及び金属層162の少なくともいずれかは発光構造100の熱伝導経路である。金属層160及び金属層162の広いコンタクト領域A1及びA2は熱放散に有利でもある。
【0019】
図1DのLED10と同じように、図1Eに示すLED10a,10b,及び10cには複数の広いコンタクト領域が設けられ、これらのコンタクト領域の各々は、LED10の横断面積の半分よりも広いことが好ましい。LED10a,10b,及び10cは、「ダイボンディング」及び「ワイヤボンディング」ではなく半田12を使用して回路基板13に直接接続される。別の実施形態では、LED10aは赤色光を放出し、LED10bは緑色光を放出し、LED10cは青色光を放出するためにそれぞれ設けられる。従って、LED10a,10b,及び10cは、回路基板13に接続されると画像表示用途に使用することができる。
【0020】
図2A〜2Dは、本発明の一実施形態による発光素子(LED)アレイを形成する方法を示している。図2Aを参照すると、まず、基板21が設けられる。基板21はサファイア基板、GaAs基板、またはこの技術分野の当業者に公知の他の基板、或いはこれらの組合せとすることができる。次に、複数の発光構造200a,200b,及び200cを基板21の上に形成する。発光構造200a,200b,及び200cの材料及び製造プロセスは図1A〜1Dに示す発光構造100に関する説明を参照することができる。同様に、発光構造200a,200b,及び200cはMOCVDプロセス、分子線エピタキシー、またはハイドライド気相成長を使用して形成することができる。
【0021】
次に、図2Bに示すように、発光構造200aの上に誘電体層222aを形成し、発光構造200bの上に誘電体層222bを形成し、発光構造200cの上に誘電体層222cを形成する。好適には、図1Bに示す層122と同じように、層222a,222b,222cはそれぞれ、D≦20μmの厚さDを有する透明誘電体層であり、これらの層は発光構造200a,200b,及び200cによって生じる熱を容易に放散させることができる。層222a,222b,222cは、SiO2,Si3N4、またはこれらの組合せのような材料によって、MOCVDプロセスまたはMBEプロセスを使用して形成することができる。
【0022】
その後、図2Cに示すように、誘電体層222aの上に誘電体層240aが形成され、誘電体層222bの上に誘電体層240bが形成され、誘電体層222cの上に誘電体層240cが形成される。層240a,240b,240cはSiO2、窒化シリコン、ポリイミド、ビスベンゾシクロブテン、またはフォトレジストのような材料により形成することができる。好適には、図1Cの層140と同じように、層240a,240b,240cの厚さはそれぞれ約25μmである。層240a,240b,240cは、好ましくは印刷法を使用して形成される。一実施形態では、LED20a,20b,20cを互いに電気的に絶縁する(図2Dに示すように)ために、発光構造200a,200b,200cの間に誘電体層280が更に形成される。誘電体層280は、具体的には、層240a、層240b、または層240cと同じ材料(例えばポリイミド)により形成することができるとともに、印刷法を使用して層240a,240b,40cと一緒に形成される。別の構成として、誘電体層280を、層240a,240b,または240cとは異なる材料によって、異なるプロセスを用いて形成してもよい。
【0023】
図2Dに示すように、金属層260a,260b,260c,262a,262b,262cが形成される。これらの金属層260a,260b,260c,262a,262b,262cは、具体的にはAu、Al、Agまたはそれらの金属の合金により形成することができる。好適には、金属層260a,260b,260c,262a,262b,262cは、印刷法を使用して一緒に形成される。その後、LED20a,20b,20cを含むLEDアレイ10の製造プロセスが完了する。
【0024】
図2Eに示すように、LED20a,20b,20cには広いコンタクト領域が設けられ、これらLED20a,20b,20cは半田22を使用して回路基板23に直接接続される。その後、LEDアレイ20は従来の手段を用いる(例えば、エキシマレーザを使用する)ことにより基板21から分離され、画像表示用途に使用することができる。画像表示用途に使用される従来のLEDに比べて、LED20a,20b,20c同士の間隔またはギャップは、スライシング工程及びパッケージング工程が省略されるので縮小される。従って、本発明によれば、画像表示において高い解像度を実現することが可能になる。別の実施形態では、図2Fに示すように、回路基板23に接続されるLEDアレイ20(LED20a,20b,及び20cを含む)をパッケージ24によって封止する。
【0025】
特定の実施形態について例示し説明してきたが、この技術分野の当業者であれば、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される技術範囲から逸脱することなく、種々の変更をなし得ることが明らかであろう。
【符号の説明】
【0026】
21…基板、100,200a,200b,200c…発光構造、102…第1導電層、104…能動層、106…第2導電層、107a,107b…ボンディングパッド、120…パッシベーション層、122…第1誘電体層、140…第2誘電体層、160,162…金属層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子であって、
第1導電層、該第1導電層の上に配置された能動層、及び該能動層の上に配置された第2導電層を含む発光構造と、
前記第1導電層の上に配置された第1ボンディングパッドと、
前記第2導電層の上に配置された第2ボンディングパッドと、
前記第1ボンディングパッドの上に配置された第1金属層と、
前記第2ボンディングパッドの上に配置された第2金属層とを備え、
前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドとの間の間隔が、前記第1金属層と前記第2金属層との間の間隔よりも大きい、発光素子。
【請求項2】
前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドとの間にパッシベーション層を更に備える請求項1記載の発光素子。
【請求項3】
前記パッシベーション層が前記第2導電層と接触している、請求項2記載の発光素子。
【請求項4】
前記第2導電層の上に配置された第1誘電体層を更に備える請求項1記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1金属層及び前記第2金属層の少なくともいずれかと接触する前記第1誘電体層の表面が光を反射するものである、請求項4記載の発光素子。
【請求項6】
前記第1金属層及び前記第2金属層の領域が前記発光素子の領域の半分よりも広い、請求項1記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1誘電体層の上であって前記第1金属層と前記第2金属層との間に配置された第2誘電体層を更に備える請求項4記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1導電層の上に配置された基板を更に備える請求項1記載の発光素子。
【請求項9】
前記基板の材料がサファイアを含む、請求項8記載の発光素子。
【請求項10】
前記第1導電層がAlxGayIn1−x−yN又はAlxGayIn1−x−yPを含む、請求項1記載の発光素子。
【請求項1】
発光素子であって、
第1導電層、該第1導電層の上に配置された能動層、及び該能動層の上に配置された第2導電層を含む発光構造と、
前記第1導電層の上に配置された第1ボンディングパッドと、
前記第2導電層の上に配置された第2ボンディングパッドと、
前記第1ボンディングパッドの上に配置された第1金属層と、
前記第2ボンディングパッドの上に配置された第2金属層とを備え、
前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドとの間の間隔が、前記第1金属層と前記第2金属層との間の間隔よりも大きい、発光素子。
【請求項2】
前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドとの間にパッシベーション層を更に備える請求項1記載の発光素子。
【請求項3】
前記パッシベーション層が前記第2導電層と接触している、請求項2記載の発光素子。
【請求項4】
前記第2導電層の上に配置された第1誘電体層を更に備える請求項1記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1金属層及び前記第2金属層の少なくともいずれかと接触する前記第1誘電体層の表面が光を反射するものである、請求項4記載の発光素子。
【請求項6】
前記第1金属層及び前記第2金属層の領域が前記発光素子の領域の半分よりも広い、請求項1記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1誘電体層の上であって前記第1金属層と前記第2金属層との間に配置された第2誘電体層を更に備える請求項4記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1導電層の上に配置された基板を更に備える請求項1記載の発光素子。
【請求項9】
前記基板の材料がサファイアを含む、請求項8記載の発光素子。
【請求項10】
前記第1導電層がAlxGayIn1−x−yN又はAlxGayIn1−x−yPを含む、請求項1記載の発光素子。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【公開番号】特開2011−254102(P2011−254102A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182578(P2011−182578)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【分割の表示】特願2005−312177(P2005−312177)の分割
【原出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506007149)エピスター コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【分割の表示】特願2005−312177(P2005−312177)の分割
【原出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506007149)エピスター コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】
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