発光装置、およびプロジェクター
【課題】複数の光出射部の間隔を大きくすることができ、発光装置がライトバルブの直下に配置された方式のプロジェクターに適用できる発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置100は、電極により得られる光の導波路は、帯状かつ直線状の第1利得領域160および第2利得領域170と、第1利得領域160および第2利得領域170を接続し、かつ帯状の円弧形状を含む第3利得領域190と、を含み、第1利得領域160と第2利得領域170とは、第3利得領域190に接続される端部と反対の端部が第1層の側面に接続され、第1層の側面において第1利得領域160から出射される光20と、第1層の側面において第2利得領域170から出射される光22とは、同じ方向に出射される。
【解決手段】発光装置100は、電極により得られる光の導波路は、帯状かつ直線状の第1利得領域160および第2利得領域170と、第1利得領域160および第2利得領域170を接続し、かつ帯状の円弧形状を含む第3利得領域190と、を含み、第1利得領域160と第2利得領域170とは、第3利得領域190に接続される端部と反対の端部が第1層の側面に接続され、第1層の側面において第1利得領域160から出射される光20と、第1層の側面において第2利得領域170から出射される光22とは、同じ方向に出射される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」という)は、通常の発光ダイオード同様にインコヒーレント性を示し、かつ広帯域なスペクトル形状を示しながら、光出力特性では半導体レーザー同様に単一の素子で数百mW程度までの出力を得ることが可能な半導体発光素子である。
【0003】
SLDは、例えばプロジェクターの光源として用いられるが、高出力かつエテンデュの小さな光源を実現するためには、複数の利得領域から出射される光が、同一の方向に進むことが望ましい。特許文献1では、直線状の形状を有する利得領域と、円弧の形状を有する利得領域と、を組合せることによって、2つの利得領域の光出射部(発光点)から出射される光を、同一の方向に進行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−192603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学系の損失低減と部品点数の削減とのため、SLDをライトバルブの直下に配置し、レンズアレイを用いて集光と均一照明とを同時に行う方式のプロジェクターが提案されている。このような方式のプロジェクターでは、レンズアレイに合わせて、光出射部を配置する必要がある。
【0006】
特許文献1に記載されたSLDでは、複数の光出射部の間隔をレンズアレイに合わせて大きくして配置することが困難であり、上記の方式のプロジェクターに適用できない。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、複数の光出射部の間隔を大きくすることができ、発光装置がライトバルブの直下に配置された方式のプロジェクターに適用できる発光装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記発光装置を有するプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光装置は、
電流を注入することによって光を発生させ、かつ当該光の導波路を形成する、第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、を備え、
前記電流の注入によって形成される前記光の導波路は、
帯状かつ直線状の第1利得領域および第2利得領域と、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とを接続し、かつ帯状の円弧形状を含む第3利得領域と、を含み、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記第3利得領域に接続される端部と反対の端部が前記第1層の側面に接続され、
前記第1層の側面において前記第1利得領域から出射される光と、前記第1層の側面において前記第2利得領域から出射される光とは、同じ方向に出射されることを特徴とする。
【0009】
このような発光装置によれば、第1利得領域から出射される光と、第2利得領域から出射される光と、の間隔をレンズアレイに合わせて大きくすることができる。
さらに、このような発光装置によれば、導波路の全長を大きくすることなく、第1利得領域から出射される光と第2利得領域から出射される光との間隔を大きくすることができる。そのため、多大な電流を流す必要はなく、消費電力を抑えることができる。さらに、利得領域の全長を大きくしなくてよいので、装置全体の小型化を図ることができる。そのため、資源が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。
以上のように、このような発光装置では、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる。
【0010】
上記に記載の発光装置において、
前記第3利得領域は、帯状の半円形状とする、ことができる。
【0011】
このような発光装置によれば、半円形状の曲率半径を選択することにより、複数の光出射部の間隔を任意の値に設定することができる。
【0012】
上記に記載の発光装置において、
前記第3利得領域は、
第1利得領域に接続される帯状の四半円弧形状の第1円弧部分と、
第2利得領域に接続される帯状の四半円弧形状の第2円弧部分と、
前記第1円弧部分、及び前記第2円弧部分を接続する帯状かつ直線状の直線部分と、を含む、ことができる。
【0013】
このような発光装置によれば、直線部分の長さを選択することにより、第1層の側面の垂線方向における発光装置の長さを大きくすることなく、複数の光出射部の間隔を任意に設定することができる。
【0014】
上記に記載の発光装置において、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記第1層、前記第2層、および前記第3層の積層方向から見て、同じ方向で前記第1層の側面に接続されている、ことができる。
【0015】
このような発光装置によれば、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる。
【0016】
上記に記載の発光装置において、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層方向から見て、前記第1層の側面の垂線に対して傾いて前記第1層の側面に接続する、ことができる。
【0017】
このような発光装置によれば、第1利得領域、第2利得領域、および第3利得領域に発生する光を、第1利得領域の第1層側の端部と、第2利得領域の第1層側の端部と、の間で多重反射させないようにすることができる。その結果、直接的な共振器を構成させないことができるため、第1利得領域、第2利得領域および第3利得領域に発生する光のレーザー発振を抑制することができる。
【0018】
上記に記載の発光装置において、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層方向から見て、前記第1層の側面の垂線に対して平行に前記第1層の側面に接続すること、ができる。
【0019】
このような発光装置によれば、発光装置の後段に設けられる光学系の設計を容易にすることができる。
【0020】
本発明に係るプロジェクターは、
上記に記載の発光装置と、
前記発光装置から出射された光を集光するマイクロレンズと、
前記マイクロレンズによって集光された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含むことを特徴とする。
【0021】
このようなプロジェクターによれば、レンズアレイのアライメントが容易で、均一性よく光変調装置を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図2】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図6】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図7】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態の第3変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図10】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【図11】本実施形態に係るプロジェクターの一部を模式的に示す図。
【図12】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す図。
【図13】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す断面図。
【図14】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す断面図。
【図15】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
1.発光装置
まず、本実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。図2は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す図1のII−II線断面図である。なお、図1では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0025】
以下では、発光装置100がInGaAlP系(赤色系)のSLDである場合について説明する。SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑えることにより、レーザー発振を防止することができる。そのため、スペックルノイズを低減することができる。
【0026】
発光装置100は、図1および図2に示すように、積層体120と、第1電極112と、第2電極114と、を含むことができる。
【0027】
積層体120は、基板102と、第2層としての第1クラッド層104と、第1層としての活性層106と、第3層としての第2クラッド層108と、第4層としてのコンタクト層110と、絶縁層116と、を有することができる。積層体120の形状は、例えば直方体(立方体である場合を含む)などである。
【0028】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いることができる。
【0029】
第1クラッド層104は、基板102上に形成されている。第1クラッド層104としては、例えば、n型のInGaAlP層などを用いることができる。なお、図示はしないが、基板102と第1クラッド層104との間に、バッファー層が形成されていてもよい。バッファー層としては、例えば、n型のGaAs層、AlGaAs層、InGaP層などを用いることができる。バッファー層は、その上方に形成される層の結晶性を向上させることができる。
【0030】
活性層106は、第1クラッド層104上に形成されている。活性層106は、第1クラッド層104と第2クラッド層108とに挟まれている。活性層106は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0031】
活性層106の形状は、例えば直方体(立方体である場合を含む)などである。活性層106の平面形状は、例えば、積層体120の平面形状と同じである。活性層106は、図1に示すように、第1面130、第2面132、第3面134、および第4面136を有することができる。第1面130,第2面132,第3面134,第4面136は、活性層106の面のうち第1クラッド層104または第2クラッド層108に面状に接していない面であり、積層体120の外形を形成している面である。第1面130,第2面132,第3面134,第4面136は、積層体120の積層方向から見て、活性層106の側面(側壁)、言い換えれば積層体120の側面部、に設けられているともいえ、平坦な面である。第1面130および第2面132は、互いに対向しており、図示の例では平行である。第3面134および第4面136は、第1面130および第2面132に接続する面であって、互いに対向しており、図示の例では平行である。
【0032】
第1面130は、形成方法は特に限定されないが、一般的に劈開によって形成された劈開面とすることができる。第2面132についても、形成方法は特に限定されないが、例えば第2面132も劈開面とすることで、容易に第1面130に対して平行にすることができる。
【0033】
活性層106の一部は、第1利得領域160、第2利得領域170、および第3利得領域190(以下「利得領域」とも称する)を構成している。利得領域160,170,190は、発光利得領域であるため電流を注入することにより光を発生させることができ、この光は、利得領域160,170,190内を、利得を受けつつ導波することができる。すなわち、利得領域160,170,190は、活性層106にて発生する光に対する導波路であるともいえる。
【0034】
利得領域160,170は、図1に示すように、一端が第2面132に接続されており、積層体120の積層方向からの平面視にて、所定の幅を有する帯状かつ直線状の形状を備えている。そして、利得領域160,170の各帯状領域の他端が、それぞれ、第3利得領域190と滑らかに接続されている。換言すれば、第3利得領域190は第1利得領域160と第2利得領域170とを接続している。
第1利得領域160は、第2面132との接続部分に設けられた第1端部182を有する、また、第2利得領域170は、第2面132との接続部分に設けられた第2端部186を有する。第1端部182と、第2端部186とは、第2面132に沿って、間隔Dで離間している。
【0035】
第3利得領域190は、積層体120の積層方向からの平面視にて、所定の幅を有する帯状の円弧形状を有している。より具体的には、第3利得領域190の平面視形状は帯状の半円形状となっている。さらに換言すれば、第3利得領域190の半円形状の中心をOとしたとき、第3利得領域190の中心Oに近い境界線191が、中心をOとした半径R1の半円弧で構成され、中心Oから遠い境界線192が、中心をOとした半径R2の半円弧で構成されている。半径R2と半径R1との差は、第3利得領域190の幅に対応しており、第3利得領域190の幅は、第3利得領域190との接続部における第1利得領域160および第2利得領域170の幅と一致している。
【0036】
第1利得領域160と第2利得領域170とは、図1に示すように積層体120の積層方向から見て(平面視において)、それぞれの帯状形状の長手方向が第2面132の垂線Pに対して同じ傾き(同じ方向)で傾いて第2面132と接続している。より具体的には、利得領域160,170は、垂線Pに対して角度βで傾いて第2面132と接続している。利得領域160,170の長手方向は、第2面132近傍における利得領域160,170の延在方向である。例えば、これらは、利得領域160,170(と利得領域160,170を除いた部分と)の境界線と第2面132との交点における当該境界線に対する接線方向とすることができる。
角度βは、臨界角より小さい角度であれば、0°であってもよい。これにより、第1利得領域160の第1端部182から出射される光20と、第2利得領域170の第2端部186から出射される光22とは、同一の方向に進むことができる。端部182,186は、光出射部であるといえる。
【0037】
なお、角度βは、利得領域160,170,190に発生する光の第2面132に対する入射角であるともいえる。
【0038】
なお、図示はしないが、第2面132を反射防止膜で覆ってもよい。これにより、利得領域160,170,190に発生する光が、第1端部182と第2端部186との間で多重反射することを抑制できる。その結果、直接的な共振器を構成させないことができるため、利得領域160,170,190に発生する光のレーザー発振を抑制することができる。なお、反射防止膜としては、SiO2層、Ta2O5層、Al2O3層、TiN層、TiO2層、SiON層、SiN層や、これらの多層膜などを用いることができる。
【0039】
さらに、角度βは、0°より大きい角度とすることができる。これにより、第1端部182と第2端部186との間で、利得領域160,170,190に発生する光が多重反射することを抑制できる。
【0040】
利得領域160,170,190に発生する光は、第3利得領域190を含む積層体120の垂直断面の有効屈折率(以下、単に「第3利得領域190の有効屈折率」という)と、第3利得領域190を避けた積層体120の垂直断面の有効屈折率(以下、単に「利第3得領域190を避けた部分の有効屈折率」という)と、の差により、円弧状の第3利得領域190内を進行することができる。
【0041】
第3利得領域190の境界線191の半径R1は、第3利得領域190の有効屈折率と、第3利得領域190を避けた部分との有効屈折率と、の差によるが、例えば、800μm以上である。半径R1が、800μm未満であると、効率よく第3利得領域190内の光を導波させることができない場合がある。好ましくは、半径R1は、1600μm程度である。
【0042】
第2クラッド層108は、図2に示すように、活性層106上に、一部を積層体120の積層方向に厚みをかえて形成されている。第2クラッド層108としては、例えば、第2導電型(例えばp型)のInGaAlP層などを用いることができる。
【0043】
例えば、p型の第2クラッド層108、不純物がドーピングされていない活性層106、およびn型の第1クラッド層104により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層104および第2クラッド層108の各々は、活性層106よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層106は、光を発生させ、かつ光を増幅しつつ導波させる機能を有する。第1クラッド層104および第2クラッド層108は、活性層106を挟んで、注入キャリア(電子および正孔)並びに光を閉じ込める機能(光の漏れを抑制する機能)を有する。
【0044】
発光装置100は、第1電極112と第2電極114との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加する(電流を注入する)と、活性層106に利得領域160,170,190を生じ、利得領域160,170,190において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、利得領域160,170,190内で光の強度が増幅される。
【0045】
例えば、図1に示すように、第1利得領域160に生じ、第2面132と反対側に向かう光10は、第1利得領域160内で増幅された後、第3利得領域190を進行しながら増幅される。さらに、その後、第2利得領域170を進行しながら光強度が増幅され、第2端部186から光22の一部として出射される。同様に、第2利得領域170に生じ、第2面132と反対側に向かう光は、第2利得領域170内で増幅された後、第3利得領域190を進行しながら増幅され、さらに第1利得領域160を進行しながら光強度が増幅され、第1端部182から光20の一部として出射される。第3利得領域190に生じた光についても、第3利得領域190内で増幅された後、第1利得領域160および第2利得領域170を進行しながら光強度が増幅され、第1端部182および第2端部186からそれぞれ光20、および光22の一部として出射される。
【0046】
なお、第1利得領域160に発生する光には、直接、第1端部182から光20の一部として出射されるものもある。同様に、第2利得領域170に発生する光には、直接、第2端部186から光22として出射されるものもある。これらの光も同様に各利得領域160,170,190内において増幅される。
【0047】
コンタクト層110は、図2に示すように、第2クラッド層108の一部の上面に形成されている。すなわち、コンタクト層110は、第2クラッド層108の活性層106側とは反対側に形成されているといえる。コンタクト層110は、第2電極114とオーミックコンタクトすることができる。コンタクト層110の上面113は、コンタクト層110と第2電極114との接触面であるといえる。コンタクト層110としては、例えば、p型のGaAs層などを用いることができる。
【0048】
コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部は、柱状部111を構成することができる。柱状部111の積層体120の積層方向から見た平面形状は、利得領域160,170,190の積層体120の積層方向から見た平面形状と同じである。すなわち、コンタクト層110の上面113の平面形状は、利得領域160,170,190の平面形状と同じであるといえる。例えば、柱状部111の平面形状によって、第1電極112,第2電極114間の電流経路が決定され、その結果、利得領域160,170,190の平面形状が決定される。なお、図示はしないが、柱状部111の側面を傾斜させることもできる。
【0049】
絶縁層116は、第2クラッド層108上であって、柱状部111の側方に形成されている。絶縁層116は、柱状部111の側面に接していることができる。絶縁層116の上面は、例えば、コンタクト層110の上面113と連続している。絶縁層116としては、例えば、SiN層、SiO2層、SiON層、Al2O3層、ポリイミド層などを用いることができる。
【0050】
絶縁層116として上記の材料を用いた場合、第1電極112,第2電極114間の電流は、絶縁層116を避けて、該絶縁層116に挟まれた柱状部111を流れることができる。絶縁層116は、活性層106の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。この場合、絶縁層116を形成した部分の垂直断面の有効屈折率は、絶縁層116を形成しない部分、すなわち、柱状部111が形成された部分の垂直断面の有効屈折率よりも小さくなる。これにより、平面方向において、利得領域160,170,190内に効率良く光を閉じ込めることができる。なお、図示はしないが、絶縁層116として上記の材料を用いず、空気層としてもよい。この場合、空気層が絶縁層116として機能することができる。
【0051】
第1電極112は、基板102の下の全面に形成されている。第1電極112は、該第1電極112とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102)と接していることができる。第1電極112は、基板102を介して、第1クラッド層104と電気的に接続されている。第1電極112は、発光装置100を駆動するための一方の電極である。第1電極112としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。
【0052】
なお、第1クラッド層104と基板102との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、基板102と反対側からのドライエッチングなどにより該第2コンタクト層を露出させ、第1電極112を第2コンタクト層上に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることができる。この形態は、基板102が絶縁性である場合に特に有効である。
【0053】
第2電極114は、コンタクト層110の上面113に接して形成されている。さらに、第2電極114は、図2に示すように、絶縁層116上に形成されていてもよい。第2電極114は、コンタクト層110を介して、第2クラッド層108と電気的に接続されている。第2電極114は、発光装置100を駆動するための他方の電極である。第2電極114としては、例えば、コンタクト層110側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。
【0054】
以上、本実施形態に係る発光装置100の一例として、InGaAlP系の場合について説明したが、発光装置100は、発光利得領域が形成可能なあらゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、GaN系、InGaN系、GaAs系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、ZnCdSe系などの半導体材料を用いることができる。
【0055】
また、以上の例では、いわゆる屈折率導波型の発光装置100について説明した。発光装置100は、いわゆる利得導波型でもよいが、第3利得領域190の有効屈折率と、第3利得領域190を避けた部分の有効屈折率と、に所定の差を設けることを考慮すると、少なくとも曲率を有する第3利得領域190については、屈折率導波型の構造を有することが望ましい。
【0056】
本実施形態に係る発光装置100は、例えば、プロジェクター、ディスプレイ、照明装置、計測装置などの光源に適用されることができる。
【0057】
本実施形態に係る発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
発光装置100によれば、直線状の第1利得領域160と、直線状の第2利得領域170と、第1利得領域160と第2利得領域170とを接続する円弧形状を含む第3利得領域190とを含む。そのため、利得領域160,170に発生する光の、第2面132に対する入射角βを大きくすることなく、第1利得領域160の第1端部182と、第2利得領域170の第2端部186と、の間隔D(光出射部の間隔D)を大きくすることができる。これにより、出射光の放射パターンが歪むことを抑制することができ、例えば発光装置をプロジェクターの光源に用いた場合に、ライドバルブを均一に照明することができる。
【0058】
例えば、直線状の形状を有する利得領域のみを用いた形態では、光出射部の間隔を大きくしようとすると、出射面の垂線に対する利得領域の傾き(利得領域に発生する光の出射面に対する入射角)が大きくなってしまい、放射パターンが悪化することがある。本実施形態に係る発光装置100は、このような問題を回避することができる。
【0059】
さらに、発光装置100によれば、直線状である利得領域のみを用いた例に比べて、利得領域の全長を大きくせずに、間隔Dを大きくすることができる。そのため、多大な電流を流す必要はなく、消費電力を抑えることができる。さらに、利得領域の全長を大きくしなくてよいので、装置全体の小型化を図ることができる。そのため、資源が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。
【0060】
例えば、利得領域の全長が大きくなると、一般的に、高出力化を図ることはできるが、反転分布を得るために多大な電流を流さなくてはならず、その結果、所定の光出力以上で用いなければ、高効率化を図ることができない。すなわち、所定の光出力未満では、効率が悪化してしまう。さらに、利得領域の全長が大きくなると、素子全体の面積が大きくなり、資源の無駄や製造コストの向上などの問題が生じる。実施形態に係る発光装置100は、このような問題を回避することができる。
【0061】
以上のように、発光装置100では、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、複数の間隔Dを大きくすることができる。
【0062】
発光装置100によれば、第3利得領域190は、反射面を有していない。すなわち、利得領域160,170に発生し、かつ第2面132と反対側に向かう光を、反射面を用いずに第2面132側に導くことができる。したがって、反射膜を形成する必要がなく、製造コストおよび製造に必要な材料・資源を削減することができる。
【0063】
2.発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図3および図4は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図であって、図2に対応している。
【0064】
図3に示すように、基板102上に、第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層108、およびコンタクト層110を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。
【0065】
図4に示すように、コンタクト層110および第2クラッド層108をパターニングする。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて行われる。本工程により、柱状部111を形成することができる。
【0066】
図2に示すように、柱状部111の側面を覆うように絶縁層116を形成する。具体的には、まず、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、塗布法などにより、第2クラッド層108の上方(コンタクト層110上を含む)に絶縁部材(図示せず)を成膜する。次に、例えば、エッチング技術などを用いて、コンタクト層110の上面113を露出させる。以上の工程により、絶縁層116を形成することができる。
【0067】
次に、コンタクト層110上および絶縁層116上に第2電極114を形成する。次に、基板102の下面下に第1電極112を形成する。第1電極112および第2電極114は、例えば、真空蒸着法により形成される。なお、第1電極112および第2電極114の形成順序は、特に限定されない。
【0068】
以上の工程により、本実施形態に係る発光装置100を製造することができる。
【0069】
発光装置100の製造方法によれば、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる発光装置100を得ることができる。
【0070】
3.発光装置の変形例
次に、本実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。以下、変形例に係る発光装置において、本実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0071】
3.1.第1変形例に係る発光装置
まず、本実施形態の第1変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200を模式的に示す平面図である。なお、図5では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0072】
発光装置100の例では、図1に示すように、円弧形状を含む曲線領域である第3利得領域190は、積層体120の積層方向からの平面視にて、帯状の半円形状を有していた。これに対し、発光装置200では、図5に示すように、第3利得領域190は、帯状の四半円形状の利得部分193,196と、帯状かつ直線状の利得部分199とで構成される。
【0073】
すなわち、第3利得領域190は、積層体120の積層方向からの平面視にて、第1利得領域160の端部に接続される帯状の四半円弧形状を有する利得部分(第1円弧部分)193と、第2利得領域170の端部に接続される帯状の四半円弧形状を有する利得部分(第2円弧部分)196と、利得部分193および利得部分196を接続する帯状かつ直線状の利得領域(直線部分)199と、を有する。第3利得領域190において、利得部分193と利得部分199、ならびに、利得部分196と利得部分199、は滑らかに接続されている。
【0074】
利得部分193は、積層体120の積層方向からの平面視にて、利得部分193の四半円の中心をO1としたとき、中心O1に近い境界線194が半径R1の四半円弧で構成され、中心O1から遠い境界線195が半径R2の四半円弧で構成されている。半径R2と半径R1との差は、利得部分193の幅に対応しており、利得部分193の幅は、利得部分193との接続部における第1利得領域160の幅と一致している。
【0075】
利得部分196は、積層体120の積層方向からの平面視にて、利得部分196の四半円の中心をO2としたとき、中心O2に近い境界線197が半径R1の四半円弧で構成され、中心O2から遠い境界線198が半径R2の四半円弧で構成されている。半径R2と半径R1との差は、利得部分196の幅に対応しており、利得部分196の幅は、利得部分196との接続部における第2利得領域170の幅と一致している。
【0076】
利得部分199は、利得部分193と利得部分196とを直線状に接続する帯状の利得部分である。利得部分199と利得部分193との接続部におけるそれぞれの利得部分の幅は一致している。同様に、利得部分199と利得部分196との接続部におけるそれぞれの利得部分の幅は一致している。
【0077】
発光装置200によれば、上述のように、四半円弧形状の利得部分193,196の間に直線状の利得部分199が設けられる。そのため、発光装置200では、直線状の利得部分199の長さを選択することにより、第2面132の垂線P方向の発光装置200の長さを大きくすることなく、第1利得領域160の第1端部182と、第2利得領域170の第2端部186と、の間隔D(光出射部の間隔D)を任意に設定することができる。
【0078】
3.2.第2変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第2変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す平面図である。図7は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す断面図であって、図6のVII−VII線断面図である。図8は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す断面図であって、図6のVIII−VIII線断面図である。なお、図6では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0079】
発光装置100の例では、図2に示すように、柱状部111は、コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部と、によって構成されていた。これに対し、発光装置300では、図7に示すように、第3利得領域190の平面形状を形成する柱状部111は、コンタクト層110と、第2クラッド層108と、活性層106と、第1クラッド層104と、基板102の一部と、によって構成されている。
【0080】
なお、図示はしないが、第3利得領域190の平面形状を形成する柱状部111は、例えば、コンタクト層110、第2クラッド層108、活性層106、第1クラッド層104から構成されていてもよい。
【0081】
絶縁層116としては、上述のように、SiN層、SiO2層、SiON層、Al2O3層などの誘電体絶縁層や、ポリイミド層などの紫外線効果樹脂層または熱硬化樹脂層を用いることができる。また、これらを積層させて絶縁層116としてもよい。なお、第3利得領域190の有効屈折率と、第3利得領域190を避けた部分の有効屈折率と、に所定の差を設けることを考慮すると、絶縁層116は、柱状部111との屈折率差の大きい誘電体絶縁層を用いることが望ましい。
例えば、まず、誘電体絶縁層をCVD法やスパッタ法で成膜した後、ポリイミド層を塗布法により形成して、絶縁層116としてもよい。これにより、誘電体絶縁層を厚く成膜して絶縁層116とする場合に比べて、簡易に(短時間で)絶縁層116を形成することができる。
【0082】
発光装置300によれば、発光装置100に比べて、第3利得領域190の有効屈折率と、第3利得領域190を避けた有効屈折率と、の差を大きくすることができ(所望の値にすることができ)、より効率よく第3利得領域190内の光を導波させることができる。
【0083】
なお、直線状の利得領域160,170の平面形状を形成する柱状部111は、図8に示すように、コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部と、によって構成されていることが望ましい。仮に、利得領域160,170の平面形状を形成する柱状部111を、図7に示すように、コンタクト層110と、第2クラッド層108と、活性層106と、第1クラッド層104と、基板102の一部と、によって構成すると、利得領域160,170を、高次のモード(利得領域を横断する方向(水平面内で、伝播方向に垂直な方向)の波数がより大きなモード)が伝播し、放射パターンが悪化することがある。
【0084】
また、絶縁層116として上記材料を用いず、空気層としてもよい。この場合、空気は、利得領域160,170,190の有効屈折率と、利得領域160,170,190を避けた有効屈折率と、の差を大きくすることができる(空気の屈折率は約1.0、SiNの屈折率は約2.1)。
【0085】
なお、図5に示したように、直線状の利得部分199を、さらに有する形態では、利得部分199の平面形状を形成する柱状部111は、利得領域160,170と同様に、コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部と、によって構成されていることが望ましい。
【0086】
3.3.第3変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第3変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施形態の第3変形例に係る発光装置500を模式的に示す平面図である。なお、図9では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0087】
発光装置100の例では、図1に示すように、第1利得領域160、第2利得領域170、および第3利得領域190は、1つずつ設けられていた。これに対し、発光装置500では、図9に示すように、第1利得領域160、第2利得領域170および第3利得領域190の各々は、複数設けられている。
【0088】
すなわち、第1利得領域160、第2利得領域170および第3利得領域190は、利得領域群550を構成することができ、発光装置500では、複数の利得領域群550が設けられている。図示の例では、3つの利得領域群550が設けられているが、その数は特に限定されない。
【0089】
複数の利得領域群550は、垂線Pの延びる方向と直交する方向に沿って、配列されている。より具体的には、隣り合う利得領域群550において、一方の利得領域群550の第2端部186と、他方の利得領域群550の第1端部182とが間隔Dとなるように(光出射部の間隔Dと等しくなるように)配列されている。これにより、後述するレンズアレイに、簡易に光20,22を入射させることができる。
【0090】
このような発光装置500によれば、発光装置100の例に比べて、さらなる高出力化を図ることが可能である。
【0091】
4.プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係るプロジェクター700を模式的に示す図である。図11は、本実施形態に係るプロジェクター700の一部を模式的に示す図である。
なお、図10では、便宜上、プロジェクター700を構成する筐体を省略し、さらに光源600を簡略化して図示している。また、図11では、便宜上、光源600、レンズアレイ702、および液晶ライトバルブ704について図示し、さらに光源600を簡略化して図示している。
【0092】
プロジェクター700は、図10に示すように、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光の光源600R、緑色光の光源600G、青色光の光源600Bを含む。光源600R,600G,600Bは、本実施形態に係る発光装置を有する。以下の例では、本実施形態に係る発光装置として発光装置500を有する光源600R,600G,600Bについて説明する。
【0093】
図12は、本実施形態に係るプロジェクター700の光源600を模式的に示す図である。図13は、本実施形態に係るプロジェクター700の光源600を模式的に示す図12のXIV−XIV線断面図である。
【0094】
光源600は、図12および図13に示すように、発光装置500と、ベース610と、サブマウント620と、を有することができる。
【0095】
2つの発光装置500と、サブマウント620とにより、構造体630を構成することができる。構造体630は、光源600に複数設けられ、図12に示すように、発光装置500の光出射部となる端部182,186の配列方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に配列されている。構造体630は、X軸方向に隣り合う光出射部の間隔と、Y軸方向に隣り合う光出射部の間隔と、が同じになるように、配列することができる。
これにより、発光装置500から出射される光を、簡易に、レンズアレイ702に入射させることができる。
【0096】
構造体630を構成する2つの発光装置500は、サブマウント620を挟んで配置されている。図12および図13に示す例では、2つの発光装置500は、サブマウント620を介して第2電極114同士が対向するように配置されている。サブマウント620の第2電極114と接する面には、例えば、配線が形成されている。これにより、複数の第2電極114の各々に、個別に電圧を供給することができる。サブマウント620の材質としては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムが挙げられる。
【0097】
ベース610は、構造体630を支持している。図13に示す例では、ベース610は、複数の発光装置500の第1電極112と接続されている。これにより、ベース610は、複数の第1電極112の共通電極として機能することができる。ベース610の材質としては、例えば、銅、アルミニウムが挙げられる。図示はしないが、ベース610は、ペルチェ素子を介して、ヒートシンクと接続されていてもよい。
【0098】
なお、構造体630の形態は、図12および図13に示す例に限定されない。例えば、図14に示すように、構造体630を構成する2つの発光装置500は、サブマウント620を介して、一方の発光装置500の第1電極112と、他方の発光装置500の第2電極114とが対向するように配置されていてもよい。また、図15に示すように、2つの発光装置500の第1電極112が、共通電極となるように配置されていてもよい。
【0099】
図10に示すように、プロジェクター700は、さらに、レンズアレイ702R,702G,702Bと、透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)704R,704G,704Bと、投射レンズ(投射装置)708と、を含む。
【0100】
光源600R,600G,600Bから出射された光は、各レンズアレイ702R,702G,702B(総称してレンズアレイ700ともいう)に入射する。図11に示すように、レンズアレイ702は、光源600側に、光出射部となる端部182,186から出射される光20,22が入射する平坦面701を有することができる。平坦面701は、複数の端部182,186に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。また、平坦面701の法線は、光20,22の光軸に対して傾斜している。したがって、平坦面701によって、光20,22の光軸を、液晶ライトバルブ704の照射面705に対して、直交させることができる。特に、第2面132と第1利得領域160ならびに第2利得領域170とのなす角度βが0°でない場合、光20,22は各端部182,186から第2面132の垂線Pに対して傾いて出射されるため、平坦面701が設けられることが望ましい。
【0101】
レンズアレイ702は、液晶ライトバルブ704側に、凸曲面703を有することができる。凸曲面703は、複数の平坦面701に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。平坦面701において光軸が変換された光20,22は、凸曲面703によって、集光される、または拡散角を小さくされることにより、重畳(一部重畳)されることができる。これにより、均一性よく液晶ライトバルブ704を照射することができる。
【0102】
以上のように、レンズアレイ702は、光源600から出射される光20,22の光軸を制御して、光20,22を集光させることができる。
【0103】
図10に示すように、各レンズアレイ702R,702G,702Bによって集光された光は、各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bに入射する。各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bは、入射した光をそれぞれ画像情報に応じて変調する。そして、投射レンズ708は、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)710に投射する。
【0104】
また、プロジェクター700は、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bから出射された光を合成して投射レンズ708に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)706を、含むことができる。
【0105】
各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム706に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と、青色光を反射する誘電体多層膜と、が十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射光学系である投射レンズ708によりスクリーン710上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0106】
プロジェクター700によれば、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、複数の光出射部の間隔を所望の値に設計することができる発光装置400を有する。そのため、プロジェクター700では、レンズアレイ702のアライメントが容易で、均一性よく液晶ライトバルブ704を照射することができる。
【0107】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0108】
また、光源600と、レンズアレイ702と、はアライメントされた状態でモジュール化されることが可能である。さらに、光源600と、レンズアレイ702と、液晶ライトバルブ704と、がアライメントされた状態でモジュール化されていてもよい。
【0109】
また、光源600を、光源600からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能である。
【0110】
上述した実施形態、および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態、および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0111】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0112】
10…光、20…光、22…光、100…発光装置、102…基板、104…第1クラッド層(第2層)、106…活性層(第1層)、108…第2クラッド層(第3層)、110…コンタクト層(第4層)、111…柱状部、112…第1電極、113…第4層の上面、114…第2電極、116…絶縁層、120…積層体、130…第1面、132…第2面、134…第3面、136…第4面、160…第1利得領域、170…第2利得領域、182…第1端部、186…第2端部、190…第3利得領域、191…境界線、192…境界線、193…利得部分、194…境界線、195…境界線、196…利得部分、197…境界線、198…境界線、199…利得部分、200〜500…発光装置、550…利得領域対、600…光源、610…ベース、620…サブマウント、630…構造体、700…プロジェクター、701…平坦面、702…レンズアレイ、703…凸曲面、704…液晶ライトバルブ、705…照射面、706…クロスダイクロイックプリズム、708…投射レンズ、710…スクリーン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」という)は、通常の発光ダイオード同様にインコヒーレント性を示し、かつ広帯域なスペクトル形状を示しながら、光出力特性では半導体レーザー同様に単一の素子で数百mW程度までの出力を得ることが可能な半導体発光素子である。
【0003】
SLDは、例えばプロジェクターの光源として用いられるが、高出力かつエテンデュの小さな光源を実現するためには、複数の利得領域から出射される光が、同一の方向に進むことが望ましい。特許文献1では、直線状の形状を有する利得領域と、円弧の形状を有する利得領域と、を組合せることによって、2つの利得領域の光出射部(発光点)から出射される光を、同一の方向に進行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−192603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学系の損失低減と部品点数の削減とのため、SLDをライトバルブの直下に配置し、レンズアレイを用いて集光と均一照明とを同時に行う方式のプロジェクターが提案されている。このような方式のプロジェクターでは、レンズアレイに合わせて、光出射部を配置する必要がある。
【0006】
特許文献1に記載されたSLDでは、複数の光出射部の間隔をレンズアレイに合わせて大きくして配置することが困難であり、上記の方式のプロジェクターに適用できない。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、複数の光出射部の間隔を大きくすることができ、発光装置がライトバルブの直下に配置された方式のプロジェクターに適用できる発光装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記発光装置を有するプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光装置は、
電流を注入することによって光を発生させ、かつ当該光の導波路を形成する、第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、を備え、
前記電流の注入によって形成される前記光の導波路は、
帯状かつ直線状の第1利得領域および第2利得領域と、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とを接続し、かつ帯状の円弧形状を含む第3利得領域と、を含み、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記第3利得領域に接続される端部と反対の端部が前記第1層の側面に接続され、
前記第1層の側面において前記第1利得領域から出射される光と、前記第1層の側面において前記第2利得領域から出射される光とは、同じ方向に出射されることを特徴とする。
【0009】
このような発光装置によれば、第1利得領域から出射される光と、第2利得領域から出射される光と、の間隔をレンズアレイに合わせて大きくすることができる。
さらに、このような発光装置によれば、導波路の全長を大きくすることなく、第1利得領域から出射される光と第2利得領域から出射される光との間隔を大きくすることができる。そのため、多大な電流を流す必要はなく、消費電力を抑えることができる。さらに、利得領域の全長を大きくしなくてよいので、装置全体の小型化を図ることができる。そのため、資源が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。
以上のように、このような発光装置では、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる。
【0010】
上記に記載の発光装置において、
前記第3利得領域は、帯状の半円形状とする、ことができる。
【0011】
このような発光装置によれば、半円形状の曲率半径を選択することにより、複数の光出射部の間隔を任意の値に設定することができる。
【0012】
上記に記載の発光装置において、
前記第3利得領域は、
第1利得領域に接続される帯状の四半円弧形状の第1円弧部分と、
第2利得領域に接続される帯状の四半円弧形状の第2円弧部分と、
前記第1円弧部分、及び前記第2円弧部分を接続する帯状かつ直線状の直線部分と、を含む、ことができる。
【0013】
このような発光装置によれば、直線部分の長さを選択することにより、第1層の側面の垂線方向における発光装置の長さを大きくすることなく、複数の光出射部の間隔を任意に設定することができる。
【0014】
上記に記載の発光装置において、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記第1層、前記第2層、および前記第3層の積層方向から見て、同じ方向で前記第1層の側面に接続されている、ことができる。
【0015】
このような発光装置によれば、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる。
【0016】
上記に記載の発光装置において、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層方向から見て、前記第1層の側面の垂線に対して傾いて前記第1層の側面に接続する、ことができる。
【0017】
このような発光装置によれば、第1利得領域、第2利得領域、および第3利得領域に発生する光を、第1利得領域の第1層側の端部と、第2利得領域の第1層側の端部と、の間で多重反射させないようにすることができる。その結果、直接的な共振器を構成させないことができるため、第1利得領域、第2利得領域および第3利得領域に発生する光のレーザー発振を抑制することができる。
【0018】
上記に記載の発光装置において、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層方向から見て、前記第1層の側面の垂線に対して平行に前記第1層の側面に接続すること、ができる。
【0019】
このような発光装置によれば、発光装置の後段に設けられる光学系の設計を容易にすることができる。
【0020】
本発明に係るプロジェクターは、
上記に記載の発光装置と、
前記発光装置から出射された光を集光するマイクロレンズと、
前記マイクロレンズによって集光された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含むことを特徴とする。
【0021】
このようなプロジェクターによれば、レンズアレイのアライメントが容易で、均一性よく光変調装置を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図2】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図6】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図7】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態の第3変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図10】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【図11】本実施形態に係るプロジェクターの一部を模式的に示す図。
【図12】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す図。
【図13】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す断面図。
【図14】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す断面図。
【図15】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
1.発光装置
まず、本実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。図2は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す図1のII−II線断面図である。なお、図1では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0025】
以下では、発光装置100がInGaAlP系(赤色系)のSLDである場合について説明する。SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑えることにより、レーザー発振を防止することができる。そのため、スペックルノイズを低減することができる。
【0026】
発光装置100は、図1および図2に示すように、積層体120と、第1電極112と、第2電極114と、を含むことができる。
【0027】
積層体120は、基板102と、第2層としての第1クラッド層104と、第1層としての活性層106と、第3層としての第2クラッド層108と、第4層としてのコンタクト層110と、絶縁層116と、を有することができる。積層体120の形状は、例えば直方体(立方体である場合を含む)などである。
【0028】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いることができる。
【0029】
第1クラッド層104は、基板102上に形成されている。第1クラッド層104としては、例えば、n型のInGaAlP層などを用いることができる。なお、図示はしないが、基板102と第1クラッド層104との間に、バッファー層が形成されていてもよい。バッファー層としては、例えば、n型のGaAs層、AlGaAs層、InGaP層などを用いることができる。バッファー層は、その上方に形成される層の結晶性を向上させることができる。
【0030】
活性層106は、第1クラッド層104上に形成されている。活性層106は、第1クラッド層104と第2クラッド層108とに挟まれている。活性層106は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0031】
活性層106の形状は、例えば直方体(立方体である場合を含む)などである。活性層106の平面形状は、例えば、積層体120の平面形状と同じである。活性層106は、図1に示すように、第1面130、第2面132、第3面134、および第4面136を有することができる。第1面130,第2面132,第3面134,第4面136は、活性層106の面のうち第1クラッド層104または第2クラッド層108に面状に接していない面であり、積層体120の外形を形成している面である。第1面130,第2面132,第3面134,第4面136は、積層体120の積層方向から見て、活性層106の側面(側壁)、言い換えれば積層体120の側面部、に設けられているともいえ、平坦な面である。第1面130および第2面132は、互いに対向しており、図示の例では平行である。第3面134および第4面136は、第1面130および第2面132に接続する面であって、互いに対向しており、図示の例では平行である。
【0032】
第1面130は、形成方法は特に限定されないが、一般的に劈開によって形成された劈開面とすることができる。第2面132についても、形成方法は特に限定されないが、例えば第2面132も劈開面とすることで、容易に第1面130に対して平行にすることができる。
【0033】
活性層106の一部は、第1利得領域160、第2利得領域170、および第3利得領域190(以下「利得領域」とも称する)を構成している。利得領域160,170,190は、発光利得領域であるため電流を注入することにより光を発生させることができ、この光は、利得領域160,170,190内を、利得を受けつつ導波することができる。すなわち、利得領域160,170,190は、活性層106にて発生する光に対する導波路であるともいえる。
【0034】
利得領域160,170は、図1に示すように、一端が第2面132に接続されており、積層体120の積層方向からの平面視にて、所定の幅を有する帯状かつ直線状の形状を備えている。そして、利得領域160,170の各帯状領域の他端が、それぞれ、第3利得領域190と滑らかに接続されている。換言すれば、第3利得領域190は第1利得領域160と第2利得領域170とを接続している。
第1利得領域160は、第2面132との接続部分に設けられた第1端部182を有する、また、第2利得領域170は、第2面132との接続部分に設けられた第2端部186を有する。第1端部182と、第2端部186とは、第2面132に沿って、間隔Dで離間している。
【0035】
第3利得領域190は、積層体120の積層方向からの平面視にて、所定の幅を有する帯状の円弧形状を有している。より具体的には、第3利得領域190の平面視形状は帯状の半円形状となっている。さらに換言すれば、第3利得領域190の半円形状の中心をOとしたとき、第3利得領域190の中心Oに近い境界線191が、中心をOとした半径R1の半円弧で構成され、中心Oから遠い境界線192が、中心をOとした半径R2の半円弧で構成されている。半径R2と半径R1との差は、第3利得領域190の幅に対応しており、第3利得領域190の幅は、第3利得領域190との接続部における第1利得領域160および第2利得領域170の幅と一致している。
【0036】
第1利得領域160と第2利得領域170とは、図1に示すように積層体120の積層方向から見て(平面視において)、それぞれの帯状形状の長手方向が第2面132の垂線Pに対して同じ傾き(同じ方向)で傾いて第2面132と接続している。より具体的には、利得領域160,170は、垂線Pに対して角度βで傾いて第2面132と接続している。利得領域160,170の長手方向は、第2面132近傍における利得領域160,170の延在方向である。例えば、これらは、利得領域160,170(と利得領域160,170を除いた部分と)の境界線と第2面132との交点における当該境界線に対する接線方向とすることができる。
角度βは、臨界角より小さい角度であれば、0°であってもよい。これにより、第1利得領域160の第1端部182から出射される光20と、第2利得領域170の第2端部186から出射される光22とは、同一の方向に進むことができる。端部182,186は、光出射部であるといえる。
【0037】
なお、角度βは、利得領域160,170,190に発生する光の第2面132に対する入射角であるともいえる。
【0038】
なお、図示はしないが、第2面132を反射防止膜で覆ってもよい。これにより、利得領域160,170,190に発生する光が、第1端部182と第2端部186との間で多重反射することを抑制できる。その結果、直接的な共振器を構成させないことができるため、利得領域160,170,190に発生する光のレーザー発振を抑制することができる。なお、反射防止膜としては、SiO2層、Ta2O5層、Al2O3層、TiN層、TiO2層、SiON層、SiN層や、これらの多層膜などを用いることができる。
【0039】
さらに、角度βは、0°より大きい角度とすることができる。これにより、第1端部182と第2端部186との間で、利得領域160,170,190に発生する光が多重反射することを抑制できる。
【0040】
利得領域160,170,190に発生する光は、第3利得領域190を含む積層体120の垂直断面の有効屈折率(以下、単に「第3利得領域190の有効屈折率」という)と、第3利得領域190を避けた積層体120の垂直断面の有効屈折率(以下、単に「利第3得領域190を避けた部分の有効屈折率」という)と、の差により、円弧状の第3利得領域190内を進行することができる。
【0041】
第3利得領域190の境界線191の半径R1は、第3利得領域190の有効屈折率と、第3利得領域190を避けた部分との有効屈折率と、の差によるが、例えば、800μm以上である。半径R1が、800μm未満であると、効率よく第3利得領域190内の光を導波させることができない場合がある。好ましくは、半径R1は、1600μm程度である。
【0042】
第2クラッド層108は、図2に示すように、活性層106上に、一部を積層体120の積層方向に厚みをかえて形成されている。第2クラッド層108としては、例えば、第2導電型(例えばp型)のInGaAlP層などを用いることができる。
【0043】
例えば、p型の第2クラッド層108、不純物がドーピングされていない活性層106、およびn型の第1クラッド層104により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層104および第2クラッド層108の各々は、活性層106よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層106は、光を発生させ、かつ光を増幅しつつ導波させる機能を有する。第1クラッド層104および第2クラッド層108は、活性層106を挟んで、注入キャリア(電子および正孔)並びに光を閉じ込める機能(光の漏れを抑制する機能)を有する。
【0044】
発光装置100は、第1電極112と第2電極114との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加する(電流を注入する)と、活性層106に利得領域160,170,190を生じ、利得領域160,170,190において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、利得領域160,170,190内で光の強度が増幅される。
【0045】
例えば、図1に示すように、第1利得領域160に生じ、第2面132と反対側に向かう光10は、第1利得領域160内で増幅された後、第3利得領域190を進行しながら増幅される。さらに、その後、第2利得領域170を進行しながら光強度が増幅され、第2端部186から光22の一部として出射される。同様に、第2利得領域170に生じ、第2面132と反対側に向かう光は、第2利得領域170内で増幅された後、第3利得領域190を進行しながら増幅され、さらに第1利得領域160を進行しながら光強度が増幅され、第1端部182から光20の一部として出射される。第3利得領域190に生じた光についても、第3利得領域190内で増幅された後、第1利得領域160および第2利得領域170を進行しながら光強度が増幅され、第1端部182および第2端部186からそれぞれ光20、および光22の一部として出射される。
【0046】
なお、第1利得領域160に発生する光には、直接、第1端部182から光20の一部として出射されるものもある。同様に、第2利得領域170に発生する光には、直接、第2端部186から光22として出射されるものもある。これらの光も同様に各利得領域160,170,190内において増幅される。
【0047】
コンタクト層110は、図2に示すように、第2クラッド層108の一部の上面に形成されている。すなわち、コンタクト層110は、第2クラッド層108の活性層106側とは反対側に形成されているといえる。コンタクト層110は、第2電極114とオーミックコンタクトすることができる。コンタクト層110の上面113は、コンタクト層110と第2電極114との接触面であるといえる。コンタクト層110としては、例えば、p型のGaAs層などを用いることができる。
【0048】
コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部は、柱状部111を構成することができる。柱状部111の積層体120の積層方向から見た平面形状は、利得領域160,170,190の積層体120の積層方向から見た平面形状と同じである。すなわち、コンタクト層110の上面113の平面形状は、利得領域160,170,190の平面形状と同じであるといえる。例えば、柱状部111の平面形状によって、第1電極112,第2電極114間の電流経路が決定され、その結果、利得領域160,170,190の平面形状が決定される。なお、図示はしないが、柱状部111の側面を傾斜させることもできる。
【0049】
絶縁層116は、第2クラッド層108上であって、柱状部111の側方に形成されている。絶縁層116は、柱状部111の側面に接していることができる。絶縁層116の上面は、例えば、コンタクト層110の上面113と連続している。絶縁層116としては、例えば、SiN層、SiO2層、SiON層、Al2O3層、ポリイミド層などを用いることができる。
【0050】
絶縁層116として上記の材料を用いた場合、第1電極112,第2電極114間の電流は、絶縁層116を避けて、該絶縁層116に挟まれた柱状部111を流れることができる。絶縁層116は、活性層106の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。この場合、絶縁層116を形成した部分の垂直断面の有効屈折率は、絶縁層116を形成しない部分、すなわち、柱状部111が形成された部分の垂直断面の有効屈折率よりも小さくなる。これにより、平面方向において、利得領域160,170,190内に効率良く光を閉じ込めることができる。なお、図示はしないが、絶縁層116として上記の材料を用いず、空気層としてもよい。この場合、空気層が絶縁層116として機能することができる。
【0051】
第1電極112は、基板102の下の全面に形成されている。第1電極112は、該第1電極112とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102)と接していることができる。第1電極112は、基板102を介して、第1クラッド層104と電気的に接続されている。第1電極112は、発光装置100を駆動するための一方の電極である。第1電極112としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。
【0052】
なお、第1クラッド層104と基板102との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、基板102と反対側からのドライエッチングなどにより該第2コンタクト層を露出させ、第1電極112を第2コンタクト層上に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることができる。この形態は、基板102が絶縁性である場合に特に有効である。
【0053】
第2電極114は、コンタクト層110の上面113に接して形成されている。さらに、第2電極114は、図2に示すように、絶縁層116上に形成されていてもよい。第2電極114は、コンタクト層110を介して、第2クラッド層108と電気的に接続されている。第2電極114は、発光装置100を駆動するための他方の電極である。第2電極114としては、例えば、コンタクト層110側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。
【0054】
以上、本実施形態に係る発光装置100の一例として、InGaAlP系の場合について説明したが、発光装置100は、発光利得領域が形成可能なあらゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、GaN系、InGaN系、GaAs系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、ZnCdSe系などの半導体材料を用いることができる。
【0055】
また、以上の例では、いわゆる屈折率導波型の発光装置100について説明した。発光装置100は、いわゆる利得導波型でもよいが、第3利得領域190の有効屈折率と、第3利得領域190を避けた部分の有効屈折率と、に所定の差を設けることを考慮すると、少なくとも曲率を有する第3利得領域190については、屈折率導波型の構造を有することが望ましい。
【0056】
本実施形態に係る発光装置100は、例えば、プロジェクター、ディスプレイ、照明装置、計測装置などの光源に適用されることができる。
【0057】
本実施形態に係る発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
発光装置100によれば、直線状の第1利得領域160と、直線状の第2利得領域170と、第1利得領域160と第2利得領域170とを接続する円弧形状を含む第3利得領域190とを含む。そのため、利得領域160,170に発生する光の、第2面132に対する入射角βを大きくすることなく、第1利得領域160の第1端部182と、第2利得領域170の第2端部186と、の間隔D(光出射部の間隔D)を大きくすることができる。これにより、出射光の放射パターンが歪むことを抑制することができ、例えば発光装置をプロジェクターの光源に用いた場合に、ライドバルブを均一に照明することができる。
【0058】
例えば、直線状の形状を有する利得領域のみを用いた形態では、光出射部の間隔を大きくしようとすると、出射面の垂線に対する利得領域の傾き(利得領域に発生する光の出射面に対する入射角)が大きくなってしまい、放射パターンが悪化することがある。本実施形態に係る発光装置100は、このような問題を回避することができる。
【0059】
さらに、発光装置100によれば、直線状である利得領域のみを用いた例に比べて、利得領域の全長を大きくせずに、間隔Dを大きくすることができる。そのため、多大な電流を流す必要はなく、消費電力を抑えることができる。さらに、利得領域の全長を大きくしなくてよいので、装置全体の小型化を図ることができる。そのため、資源が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。
【0060】
例えば、利得領域の全長が大きくなると、一般的に、高出力化を図ることはできるが、反転分布を得るために多大な電流を流さなくてはならず、その結果、所定の光出力以上で用いなければ、高効率化を図ることができない。すなわち、所定の光出力未満では、効率が悪化してしまう。さらに、利得領域の全長が大きくなると、素子全体の面積が大きくなり、資源の無駄や製造コストの向上などの問題が生じる。実施形態に係る発光装置100は、このような問題を回避することができる。
【0061】
以上のように、発光装置100では、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、複数の間隔Dを大きくすることができる。
【0062】
発光装置100によれば、第3利得領域190は、反射面を有していない。すなわち、利得領域160,170に発生し、かつ第2面132と反対側に向かう光を、反射面を用いずに第2面132側に導くことができる。したがって、反射膜を形成する必要がなく、製造コストおよび製造に必要な材料・資源を削減することができる。
【0063】
2.発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図3および図4は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図であって、図2に対応している。
【0064】
図3に示すように、基板102上に、第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層108、およびコンタクト層110を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。
【0065】
図4に示すように、コンタクト層110および第2クラッド層108をパターニングする。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて行われる。本工程により、柱状部111を形成することができる。
【0066】
図2に示すように、柱状部111の側面を覆うように絶縁層116を形成する。具体的には、まず、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、塗布法などにより、第2クラッド層108の上方(コンタクト層110上を含む)に絶縁部材(図示せず)を成膜する。次に、例えば、エッチング技術などを用いて、コンタクト層110の上面113を露出させる。以上の工程により、絶縁層116を形成することができる。
【0067】
次に、コンタクト層110上および絶縁層116上に第2電極114を形成する。次に、基板102の下面下に第1電極112を形成する。第1電極112および第2電極114は、例えば、真空蒸着法により形成される。なお、第1電極112および第2電極114の形成順序は、特に限定されない。
【0068】
以上の工程により、本実施形態に係る発光装置100を製造することができる。
【0069】
発光装置100の製造方法によれば、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる発光装置100を得ることができる。
【0070】
3.発光装置の変形例
次に、本実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。以下、変形例に係る発光装置において、本実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0071】
3.1.第1変形例に係る発光装置
まず、本実施形態の第1変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200を模式的に示す平面図である。なお、図5では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0072】
発光装置100の例では、図1に示すように、円弧形状を含む曲線領域である第3利得領域190は、積層体120の積層方向からの平面視にて、帯状の半円形状を有していた。これに対し、発光装置200では、図5に示すように、第3利得領域190は、帯状の四半円形状の利得部分193,196と、帯状かつ直線状の利得部分199とで構成される。
【0073】
すなわち、第3利得領域190は、積層体120の積層方向からの平面視にて、第1利得領域160の端部に接続される帯状の四半円弧形状を有する利得部分(第1円弧部分)193と、第2利得領域170の端部に接続される帯状の四半円弧形状を有する利得部分(第2円弧部分)196と、利得部分193および利得部分196を接続する帯状かつ直線状の利得領域(直線部分)199と、を有する。第3利得領域190において、利得部分193と利得部分199、ならびに、利得部分196と利得部分199、は滑らかに接続されている。
【0074】
利得部分193は、積層体120の積層方向からの平面視にて、利得部分193の四半円の中心をO1としたとき、中心O1に近い境界線194が半径R1の四半円弧で構成され、中心O1から遠い境界線195が半径R2の四半円弧で構成されている。半径R2と半径R1との差は、利得部分193の幅に対応しており、利得部分193の幅は、利得部分193との接続部における第1利得領域160の幅と一致している。
【0075】
利得部分196は、積層体120の積層方向からの平面視にて、利得部分196の四半円の中心をO2としたとき、中心O2に近い境界線197が半径R1の四半円弧で構成され、中心O2から遠い境界線198が半径R2の四半円弧で構成されている。半径R2と半径R1との差は、利得部分196の幅に対応しており、利得部分196の幅は、利得部分196との接続部における第2利得領域170の幅と一致している。
【0076】
利得部分199は、利得部分193と利得部分196とを直線状に接続する帯状の利得部分である。利得部分199と利得部分193との接続部におけるそれぞれの利得部分の幅は一致している。同様に、利得部分199と利得部分196との接続部におけるそれぞれの利得部分の幅は一致している。
【0077】
発光装置200によれば、上述のように、四半円弧形状の利得部分193,196の間に直線状の利得部分199が設けられる。そのため、発光装置200では、直線状の利得部分199の長さを選択することにより、第2面132の垂線P方向の発光装置200の長さを大きくすることなく、第1利得領域160の第1端部182と、第2利得領域170の第2端部186と、の間隔D(光出射部の間隔D)を任意に設定することができる。
【0078】
3.2.第2変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第2変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す平面図である。図7は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す断面図であって、図6のVII−VII線断面図である。図8は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す断面図であって、図6のVIII−VIII線断面図である。なお、図6では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0079】
発光装置100の例では、図2に示すように、柱状部111は、コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部と、によって構成されていた。これに対し、発光装置300では、図7に示すように、第3利得領域190の平面形状を形成する柱状部111は、コンタクト層110と、第2クラッド層108と、活性層106と、第1クラッド層104と、基板102の一部と、によって構成されている。
【0080】
なお、図示はしないが、第3利得領域190の平面形状を形成する柱状部111は、例えば、コンタクト層110、第2クラッド層108、活性層106、第1クラッド層104から構成されていてもよい。
【0081】
絶縁層116としては、上述のように、SiN層、SiO2層、SiON層、Al2O3層などの誘電体絶縁層や、ポリイミド層などの紫外線効果樹脂層または熱硬化樹脂層を用いることができる。また、これらを積層させて絶縁層116としてもよい。なお、第3利得領域190の有効屈折率と、第3利得領域190を避けた部分の有効屈折率と、に所定の差を設けることを考慮すると、絶縁層116は、柱状部111との屈折率差の大きい誘電体絶縁層を用いることが望ましい。
例えば、まず、誘電体絶縁層をCVD法やスパッタ法で成膜した後、ポリイミド層を塗布法により形成して、絶縁層116としてもよい。これにより、誘電体絶縁層を厚く成膜して絶縁層116とする場合に比べて、簡易に(短時間で)絶縁層116を形成することができる。
【0082】
発光装置300によれば、発光装置100に比べて、第3利得領域190の有効屈折率と、第3利得領域190を避けた有効屈折率と、の差を大きくすることができ(所望の値にすることができ)、より効率よく第3利得領域190内の光を導波させることができる。
【0083】
なお、直線状の利得領域160,170の平面形状を形成する柱状部111は、図8に示すように、コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部と、によって構成されていることが望ましい。仮に、利得領域160,170の平面形状を形成する柱状部111を、図7に示すように、コンタクト層110と、第2クラッド層108と、活性層106と、第1クラッド層104と、基板102の一部と、によって構成すると、利得領域160,170を、高次のモード(利得領域を横断する方向(水平面内で、伝播方向に垂直な方向)の波数がより大きなモード)が伝播し、放射パターンが悪化することがある。
【0084】
また、絶縁層116として上記材料を用いず、空気層としてもよい。この場合、空気は、利得領域160,170,190の有効屈折率と、利得領域160,170,190を避けた有効屈折率と、の差を大きくすることができる(空気の屈折率は約1.0、SiNの屈折率は約2.1)。
【0085】
なお、図5に示したように、直線状の利得部分199を、さらに有する形態では、利得部分199の平面形状を形成する柱状部111は、利得領域160,170と同様に、コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部と、によって構成されていることが望ましい。
【0086】
3.3.第3変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第3変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施形態の第3変形例に係る発光装置500を模式的に示す平面図である。なお、図9では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0087】
発光装置100の例では、図1に示すように、第1利得領域160、第2利得領域170、および第3利得領域190は、1つずつ設けられていた。これに対し、発光装置500では、図9に示すように、第1利得領域160、第2利得領域170および第3利得領域190の各々は、複数設けられている。
【0088】
すなわち、第1利得領域160、第2利得領域170および第3利得領域190は、利得領域群550を構成することができ、発光装置500では、複数の利得領域群550が設けられている。図示の例では、3つの利得領域群550が設けられているが、その数は特に限定されない。
【0089】
複数の利得領域群550は、垂線Pの延びる方向と直交する方向に沿って、配列されている。より具体的には、隣り合う利得領域群550において、一方の利得領域群550の第2端部186と、他方の利得領域群550の第1端部182とが間隔Dとなるように(光出射部の間隔Dと等しくなるように)配列されている。これにより、後述するレンズアレイに、簡易に光20,22を入射させることができる。
【0090】
このような発光装置500によれば、発光装置100の例に比べて、さらなる高出力化を図ることが可能である。
【0091】
4.プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係るプロジェクター700を模式的に示す図である。図11は、本実施形態に係るプロジェクター700の一部を模式的に示す図である。
なお、図10では、便宜上、プロジェクター700を構成する筐体を省略し、さらに光源600を簡略化して図示している。また、図11では、便宜上、光源600、レンズアレイ702、および液晶ライトバルブ704について図示し、さらに光源600を簡略化して図示している。
【0092】
プロジェクター700は、図10に示すように、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光の光源600R、緑色光の光源600G、青色光の光源600Bを含む。光源600R,600G,600Bは、本実施形態に係る発光装置を有する。以下の例では、本実施形態に係る発光装置として発光装置500を有する光源600R,600G,600Bについて説明する。
【0093】
図12は、本実施形態に係るプロジェクター700の光源600を模式的に示す図である。図13は、本実施形態に係るプロジェクター700の光源600を模式的に示す図12のXIV−XIV線断面図である。
【0094】
光源600は、図12および図13に示すように、発光装置500と、ベース610と、サブマウント620と、を有することができる。
【0095】
2つの発光装置500と、サブマウント620とにより、構造体630を構成することができる。構造体630は、光源600に複数設けられ、図12に示すように、発光装置500の光出射部となる端部182,186の配列方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に配列されている。構造体630は、X軸方向に隣り合う光出射部の間隔と、Y軸方向に隣り合う光出射部の間隔と、が同じになるように、配列することができる。
これにより、発光装置500から出射される光を、簡易に、レンズアレイ702に入射させることができる。
【0096】
構造体630を構成する2つの発光装置500は、サブマウント620を挟んで配置されている。図12および図13に示す例では、2つの発光装置500は、サブマウント620を介して第2電極114同士が対向するように配置されている。サブマウント620の第2電極114と接する面には、例えば、配線が形成されている。これにより、複数の第2電極114の各々に、個別に電圧を供給することができる。サブマウント620の材質としては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムが挙げられる。
【0097】
ベース610は、構造体630を支持している。図13に示す例では、ベース610は、複数の発光装置500の第1電極112と接続されている。これにより、ベース610は、複数の第1電極112の共通電極として機能することができる。ベース610の材質としては、例えば、銅、アルミニウムが挙げられる。図示はしないが、ベース610は、ペルチェ素子を介して、ヒートシンクと接続されていてもよい。
【0098】
なお、構造体630の形態は、図12および図13に示す例に限定されない。例えば、図14に示すように、構造体630を構成する2つの発光装置500は、サブマウント620を介して、一方の発光装置500の第1電極112と、他方の発光装置500の第2電極114とが対向するように配置されていてもよい。また、図15に示すように、2つの発光装置500の第1電極112が、共通電極となるように配置されていてもよい。
【0099】
図10に示すように、プロジェクター700は、さらに、レンズアレイ702R,702G,702Bと、透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)704R,704G,704Bと、投射レンズ(投射装置)708と、を含む。
【0100】
光源600R,600G,600Bから出射された光は、各レンズアレイ702R,702G,702B(総称してレンズアレイ700ともいう)に入射する。図11に示すように、レンズアレイ702は、光源600側に、光出射部となる端部182,186から出射される光20,22が入射する平坦面701を有することができる。平坦面701は、複数の端部182,186に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。また、平坦面701の法線は、光20,22の光軸に対して傾斜している。したがって、平坦面701によって、光20,22の光軸を、液晶ライトバルブ704の照射面705に対して、直交させることができる。特に、第2面132と第1利得領域160ならびに第2利得領域170とのなす角度βが0°でない場合、光20,22は各端部182,186から第2面132の垂線Pに対して傾いて出射されるため、平坦面701が設けられることが望ましい。
【0101】
レンズアレイ702は、液晶ライトバルブ704側に、凸曲面703を有することができる。凸曲面703は、複数の平坦面701に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。平坦面701において光軸が変換された光20,22は、凸曲面703によって、集光される、または拡散角を小さくされることにより、重畳(一部重畳)されることができる。これにより、均一性よく液晶ライトバルブ704を照射することができる。
【0102】
以上のように、レンズアレイ702は、光源600から出射される光20,22の光軸を制御して、光20,22を集光させることができる。
【0103】
図10に示すように、各レンズアレイ702R,702G,702Bによって集光された光は、各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bに入射する。各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bは、入射した光をそれぞれ画像情報に応じて変調する。そして、投射レンズ708は、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)710に投射する。
【0104】
また、プロジェクター700は、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bから出射された光を合成して投射レンズ708に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)706を、含むことができる。
【0105】
各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム706に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と、青色光を反射する誘電体多層膜と、が十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射光学系である投射レンズ708によりスクリーン710上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0106】
プロジェクター700によれば、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、複数の光出射部の間隔を所望の値に設計することができる発光装置400を有する。そのため、プロジェクター700では、レンズアレイ702のアライメントが容易で、均一性よく液晶ライトバルブ704を照射することができる。
【0107】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0108】
また、光源600と、レンズアレイ702と、はアライメントされた状態でモジュール化されることが可能である。さらに、光源600と、レンズアレイ702と、液晶ライトバルブ704と、がアライメントされた状態でモジュール化されていてもよい。
【0109】
また、光源600を、光源600からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能である。
【0110】
上述した実施形態、および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態、および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0111】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0112】
10…光、20…光、22…光、100…発光装置、102…基板、104…第1クラッド層(第2層)、106…活性層(第1層)、108…第2クラッド層(第3層)、110…コンタクト層(第4層)、111…柱状部、112…第1電極、113…第4層の上面、114…第2電極、116…絶縁層、120…積層体、130…第1面、132…第2面、134…第3面、136…第4面、160…第1利得領域、170…第2利得領域、182…第1端部、186…第2端部、190…第3利得領域、191…境界線、192…境界線、193…利得部分、194…境界線、195…境界線、196…利得部分、197…境界線、198…境界線、199…利得部分、200〜500…発光装置、550…利得領域対、600…光源、610…ベース、620…サブマウント、630…構造体、700…プロジェクター、701…平坦面、702…レンズアレイ、703…凸曲面、704…液晶ライトバルブ、705…照射面、706…クロスダイクロイックプリズム、708…投射レンズ、710…スクリーン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を注入することによって光を発生させ、かつ当該光の導波路を形成する、第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、を備え、
前記電流の注入によって形成される前記光の導波路は、
帯状かつ直線状の第1利得領域および第2利得領域と、
前記第1利得領域および前記第2利得領域を接続し、かつ帯状の円弧形状を含む第3利得領域と、を含み、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記第3利得領域に接続される端部と反対の端部が前記第1層の側面に接続され、
前記第1層の側面において前記第1利得領域から出射される光と、前記第1層の側面において前記第2利得領域から出射される光とは、同じ方向に出射される、ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第3利得領域は、帯状の半円形状である、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第3利得領域は、
第1利得領域に接続される帯状の四半円弧形状の第1円弧部分と、
第2利得領域に接続される帯状の四半円弧形状の第2円弧部分と、
前記第1円弧部分、及び前記第2円弧部分を接続する帯状かつ直線状の直線部分と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記第1層、前記第2層、および前記第3層の積層方向から見て、同じ方向で前記第1層の側面に接続されている、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層方向から見て、前記第1層の側面の垂線に対して傾いて前記第1層の側面に接続する、ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層方向から見て、前記第1層の側面の垂線に対して平行に前記第1層の側面に接続する、ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の発光装置と、
前記発光装置から出射された光を集光するマイクロレンズと、
前記マイクロレンズによって集光された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項1】
電流を注入することによって光を発生させ、かつ当該光の導波路を形成する、第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、を備え、
前記電流の注入によって形成される前記光の導波路は、
帯状かつ直線状の第1利得領域および第2利得領域と、
前記第1利得領域および前記第2利得領域を接続し、かつ帯状の円弧形状を含む第3利得領域と、を含み、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記第3利得領域に接続される端部と反対の端部が前記第1層の側面に接続され、
前記第1層の側面において前記第1利得領域から出射される光と、前記第1層の側面において前記第2利得領域から出射される光とは、同じ方向に出射される、ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第3利得領域は、帯状の半円形状である、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第3利得領域は、
第1利得領域に接続される帯状の四半円弧形状の第1円弧部分と、
第2利得領域に接続される帯状の四半円弧形状の第2円弧部分と、
前記第1円弧部分、及び前記第2円弧部分を接続する帯状かつ直線状の直線部分と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記第1層、前記第2層、および前記第3層の積層方向から見て、同じ方向で前記第1層の側面に接続されている、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層方向から見て、前記第1層の側面の垂線に対して傾いて前記第1層の側面に接続する、ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層方向から見て、前記第1層の側面の垂線に対して平行に前記第1層の側面に接続する、ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の発光装置と、
前記発光装置から出射された光を集光するマイクロレンズと、
前記マイクロレンズによって集光された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む、ことを特徴とするプロジェクター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−74120(P2013−74120A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212189(P2011−212189)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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