説明

発光装置、プリントヘッドおよび画像形成装置

【課題】加熱と冷却との繰り返しによる基板の変形により光学素子が傾くことによる光軸のずれを抑制した発光装置等を提供する。
【解決手段】回路基板62は、一方の表面に発光チップS1〜S40(図5では発光チップS3とS4とを示す。)を備えるとともに、第1信号配線層301および第2信号配線層302を備え、第1信号配線層301の構成する信号配線301aの幅方向の中心位置C1と、第2信号配線層302の構成する信号配線302aの幅方向の中心位置C2とが、回路基板62の短手方向であるY方向において、ずれて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、プリントヘッドおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を主走査方向に複数、配列してなる、LEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)を用いた記録装置が採用されている。
【0003】
特許文献1には、表面においてベタパターンが長手方向に沿って形成され、裏面において同一の幅寸法の複数の配線パターンが主に長手方向に沿って形成された長尺なベアボードと、該ベタパターン上に、直線状または千鳥状に固定された複数のLEDアレイチップと、を備えたLED基板装置であって、前記複数の配線パターンは、3本以上の複数の組に分けられ、該組内で主に前記ベアボードの短手方向に等間隔に並べられており、少なくとも、前記表面に形成された前記ベタパターンに対応する前記裏面のエリアにおける前記配線パターンが形成されていない部分に、複数のダミーパターンが前記ベアボードの長手方向に沿って形成され、該ダミーパターンの幅寸法は、前記配線パターンの幅寸法と同一であり、該ダミーパターンは、前記ベアボードの短手方向に前記配線パターンの間隔と同一の間隔で形成されたことを特徴とするLED基板装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−274449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発光素子を搭載するプリント基板などの基板(回路基板)は、熱膨張特性や加熱後の収縮特性の異なる、例えばガラスエポキシ基材と銅箔とで構成されており、発光素子や回路素子などを搭載する工程において、加熱と冷却とが繰り返されることにより、歪み、反り、曲がりなどにより、基板の平面度が悪化する。また、発光素子のオン、オフ動作によっても加熱と冷却とが繰り返されることによっても、基板の平面度が悪化する。基板の平面度が悪化すると、基板に搭載された発光素子が傾いて光軸にずれが生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、加熱と冷却との繰り返しによる基板の変形により光学素子が傾くことによる光軸のずれを抑制した発光装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、それぞれが複数の信号配線を有する少なくとも2層の信号配線層を備え、少なくとも隣接する2層の信号配線層において、長手方向に沿って設けられた部分にて当該長手方向に交差する方向の中心位置が互いにずれて設けられている信号配線を備える回路基板と、それぞれが複数の発光素子を有するとともに、前記回路基板の表面上に長手方向に列状に配列された複数の発光チップとを備える発光装置である。
請求項2に記載の発明は、前記回路基板は、前記複数の発光チップが配列された部分において、当該回路基板の長手方向に沿って設けられた部分にて当該長手方向に交差する方向の中心位置が互いにずれて設けられている前記信号配線を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項3に記載の発明は、前記回路基板における前記少なくとも2層の信号配線層のそれぞれが、さらに複数の擬似配線を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置である。
請求項4に記載の発明は、前記少なくとも2層の信号配線層のそれぞれにおける前記複数の信号配線および前記複数の擬似配線は、当該複数の信号配線および当該複数の擬似配線の、前記回路基板の長手方向に沿って設けられた部分が、予め定められた繰り返し間隔で設けられていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置である。
請求項5に記載の発明は、それぞれが複数の信号配線を有する少なくとも2層の信号配線層を備え、少なくとも隣接する2層の信号配線層において、長手方向に沿って設けられた部分にて当該長手方向に交差する方向の中心位置が互いにずれて設けられている信号配線を備える回路基板と、それぞれが複数の発光素子を有するとともに、当該回路基板の表面上に長手方向に列状に配列された複数の発光チップとを備え、像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体に結像させる光学手段と、を備えたことを特徴とするプリントヘッドである。
請求項6に記載の発明は、像保持体を帯電する帯電手段と、それぞれが複数の信号配線を有する少なくとも2層の信号配線層を備え、少なくとも隣接する2層の信号配線層において、長手方向に沿って設けられた部分にて当該長手方向に交差する方向の中心位置が互いにずれて設けられている信号配線を備える回路基板と、それぞれが複数の発光素子を有するとともに、当該回路基板の表面上に長手方向に列状に配列された複数の発光チップとを備え、前記像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、加熱と冷却との繰り返されることによる基板の変形による発光チップの光軸のずれを抑制できる。
請求項2の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、加熱と冷却との繰り返されることによる基板の変形による発光チップの光軸のずれをより抑制できる。
請求項3の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、加熱と冷却との繰り返されることによる基板の変形による発光チップの光軸のずれをより抑制できる。
請求項4の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、加熱と冷却との繰り返されることによる基板の変形を抑制する信号配線がより容易に設計できる。
請求項5の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、光の損失や強度のばらつきをより少なくできる。
請求項6の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、画質の劣化をより抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。
【図2】プリントヘッドの構成を示した断面図である。
【図3】発光装置の平面レイアウトを説明するための図である。
【図4】発光部を詳細に説明するための図である。
【図5】第1の実施の形態が適用される発光装置の断面構造を説明するための図である。
【図6】第1信号配線層を説明する平面図である。
【図7】第2信号配線層を説明する平面図である。
【図8】第1導体層を説明する平面図である。
【図9】第2導体層を説明する平面図である。
【図10】第1の実施の形態において、製造時および動作時における加熱と冷却との繰り返しによる回路基板の変形が抑制されることを説明する図である。
【図11】第1の実施の形態を適用しない場合の、製造時および動作時における加熱と冷却との繰り返しによる回路基板の変形を説明する図である。
【図12】信号配線層が3層または4層の場合の発光装置の一例を示す図である。
【図13】第2の実施の形態が適用される第1信号配線層を説明する平面図である。
【図14】第2の実施の形態が適用される第2信号配線層を説明する平面図である。
【図15】第3の実施の形態が適用される発光装置の断面構造を説明するための図である。
【図16】第4の実施の形態が適用される発光装置の断面構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は第1の実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
【0011】
画像形成プロセス部10は、予め定められた間隔を置いて並列的に配置される複数のエンジンを含む画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙25に多重転写させるために、この記録用紙25を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙25に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙25にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
【0012】
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。そして、画像出力制御部30による制御の下で、パーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
【0013】
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印B方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙25に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙25上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙25は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙25上の合成トナー像は、定着器24によって熱および圧力による定着処理を受けて記録用紙25上に定着され、画像形成装置1から排出される。
【0014】
図2は、プリントヘッド14の構成を示した断面図である。このプリントヘッド14は、ハウジング61、感光体ドラム12を露光する複数の発光素子を備えた発光部63を含む露光手段の一例としての発光装置65、発光部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。
発光装置65は、発光部63、発光部63を駆動するための信号を発生する信号発生回路M(後述する図3参照)等を搭載する回路基板62を備えている。
【0015】
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持し、発光部63の発光素子における発光点の像が、ロッドレンズアレイ64の焦点面に形成されるように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向)に沿って配置されている。
【0016】
図3は発光装置65の平面レイアウトを説明するための図である。図3(a)は、発光装置65の表面図、図3(b)は、発光装置65の裏面図である。
図3(a)に示すように、回路基板62は主走査方向であるX方向に長尺である。この回路基板62の一方の面である表面62a上に、発光部63が構成されている。発光部63は、例えば40個の発光チップS1〜S40を、回路基板62の長手方向であるX方向(主走査方向)に沿って一次元的に配列して構成されている。そして、発光チップS1〜S40は、平面形状が細長い矩形で、回路基板62の副走査方向であるY方向のC−C線で示す中心線を挟んで、それぞれの長辺の一部が向かい合うように、二列に千鳥状に配置されている。発光チップSの平面形状は、例えば、長さ1mm、幅150μmである。
以下において、発光チップS1〜S40をそれぞれ区別しないで説明するときは、発光チップSと表記する。
なお、短手方向であるY方向(副走査方向)は、回路基板62の長手方向であるX方向(主走査方向)に交差する方向をいう。X方向(主走査方向)は、感光体ドラム12の軸方向であり、Y方向(副走査方向)は、感光体ドラム12の回転方向である。
【0017】
一方、図3(b)に示すように、回路基板62の他方の面である裏面62bには、集積回路などによって構成され、発光部63を駆動する信号を送信する信号発生回路Mと、画像出力制御部30からの制御信号および画像処理部40からの画像データを発光装置65に供給する配線の接続のためのコネクタCONとを備えている。信号発生回路MおよびコネクタCONも、回路基板62の裏面62bに、回路基板62の短手方向の中心線(C−C線)上に配置されている。
図3(a)と図3(b)とは表裏の関係にあるので、Y方向が逆になる。
なお、回路基板62の表面62a、裏面62bに、上記した以外の電気的な部品、例えばコンデンサ、抵抗などが搭載されてもよい。
【0018】
図4は、発光部63を詳細に説明するための図である。ここでは、発光チップS1〜S3の部分を示している。
各発光チップSには、例えば128個の発光素子L1〜L128が、発光チップSの表面に、長辺に沿って設けられている。なお、発光素子L1〜L128をそれぞれ区別しないときは発光素子Lと表記する。
また、各発光チップSは、例えば、信号発生回路Mから信号が供給されるT1端子、T2端子、T3端子および接地(GND)電位が供給されるGND端子を備えている。なお、各発光チップSは、裏面より、電源(Vcc)電位が供給される。
そして、発光部63は、発光チップSが1つ置きに向きを180°変えるとともに、発光チップSの発光素子Lが設けられた側の長辺が向かい合うように、千鳥状に配列されている。このとき、隣り合う発光チップS間における発光素子Lの発光点のX方向の距離p2、例えば、発光チップS1の発光素子L128の発光点と発光チップS2の発光素子L128の発光点との距離p2が、発光チップS1内の発光素子Lのピッチp1となるように、隣り合う発光チップS(例えば、発光チップS1とS2)の位置が設定されている。
なお、発光チップS1〜S40は、千鳥状の代わりに、直線状に配列されてもよい。
【0019】
ここでは、例として、発光チップSは信号が送信されるT1端子、T2端子、T3端子およびGND端子を備えるとしたが、発光チップSの発光素子Lの点灯制御に必要な信号が供給される端子構成であれば、どのような端子構成であってもよい。ボンディングパッド304b(後述する図5参照)は、端子構成に対応して設けられればよい。
【0020】
図5は、発光装置65の断面構造を説明するための図である。図5は、図3に示すV−V線での断面構造を示している。V−V線は、発光チップS3およびS4のそれぞれの長辺が向かい合っている部分に設定されている。よって、図5は、発光チップS3、S4が設けられた部分の回路基板62の断面を示している。
ここでは、図の右方向がY方向、図の上方向、すなわち回路基板62の厚さ方向(回路基板62の裏面62bから表面62aに向かう方向)がZ方向である。そして、回路基板62の表面62a上に発光チップS3およびS4が並んで搭載されている。
【0021】
図5により、回路基板62の構成を説明する。
回路基板62は、厚さ方向(Z)の中央部に電気的な絶縁材料から構成される第1絶縁層401を備えている。そして、第1絶縁層401の下面(図において下側の面を指す。)側に、第1絶縁層401に接して、導電材料から構成され、信号配線301aおよび擬似配線301bを構成する、信号配線層の一例としての第1信号配線層301を備えている。さらに、第1信号配線層301の下面側に、第1信号配線層301に接して、電気的な絶縁材料から構成される第2絶縁層402を備えている。さらに、第2絶縁層402の下面側に、第2絶縁層402に接して、導電材料から構成され、信号配線302aおよび擬似配線302bを構成する、信号配線層の一例としての第2信号配線層302を備えている。
以下では、信号配線301a、302aをそれぞれ区別しないで説明するときは信号配線と、擬似配線301b、302bをそれぞれ区別しないで説明するときは擬似配線と表記する。
ここでは、信号配線301aおよび擬似配線301bを構成する第1信号配線層301のように、1の導電材料の層からなる信号配線と擬似配線とを含む層を信号配線層と表記する。
【0022】
ここで、信号配線(信号配線301a、302a)は、各発光チップSに各種の電気的な信号を送信する配線である。信号は、信号発生回路MまたはコネクタCONから、信号配線301a、302aを介して、各発光チップSに設けられたT1端子、T2端子、T3端子に送信される。
これに対し、擬似配線(擬似配線301b、302b)は、電気的な信号を送信することを目的とするものではなく、信号配線301a、302aの間に付加的に設けられた配線である。なお、擬似配線301b、302bの電位は、GND電位に固定されてもよい。
【0023】
一方、第1絶縁層401の上面(図において上側の面を指す。)側に、第1絶縁層401に接して、導電材料から構成される第1導体層303を備えている。第1導体層303の上面側に、第1導体層303に接して、絶縁材料から構成される第3絶縁層403を備えている。さらに、第3絶縁層403の上面側に、第3絶縁層403に接して、導電材料から構成される第2導体層304を備えている。
【0024】
ここでは、例えば、第1導体層303はGND電位を供給する電源配線303aを構成している。
第2導体層304は、発光チップS1〜S40に共通に、Vcc電位を供給する電源配線304aおよび発光チップS1〜S40に設けられたT1端子、T2端子、T3端子、GND端子と、ボンディングワイヤ311で接続されるボンディングパッド304bを構成している。
【0025】
そして、図5に示すように、電源配線304a上に、発光チップS1〜S40(図5では発光チップS3とS4とを示している。)の裏面が、導電性を有する接着剤308により固定されている。そして、発光チップS3、S4は、裏面からVcc電位が供給される。
一方、発光チップS3、S4のGND端子は、ボンディングワイヤ311により、GND電位に設定されたボンディングパッド304bに接続され、GND電位が供給される。
発光チップS3、S4のT1端子、T2端子、T3端子は、ボンディングワイヤ311により、それぞれに設定されたボンディングパッド304bに接続され、信号が送信される。
発光チップSの発光素子Lからの光の放出方向E(矢印Eで示す方向)は、発光チップSの表面に対して垂直な方向である。
【0026】
なお、発光装置65の回路基板62に搭載される信号発生回路Mは、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が供給される。そして、信号発生回路Mは、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや発光強度の補正等を行う。
そして、信号発生回路Mは、各発光チップS(S1〜S40)に対して、発光素子Lの点灯を制御する信号を送信する。
発光チップSの発光素子としては、従来公知の発光ダイオード、発光サイリスタなどを使用することができる。さらに、発光チップSの発光素子としては、有機エレクトロルミネンセンス素子や無機エレクトロルミネンセンス素子を用いてもよい。よって、発光チップSの発光素子についての説明を省略する。
【0027】
次に、第1信号配線層301および第2信号配線層302についてより詳細に説明する。
図3(a)および(b)で示したように、発光装置65は、複数の発光チップS1〜S40を列状に並べて構成されている。信号発生回路MまたはコネクタCONから列状に並べられた発光チップS1〜S40に信号が送信されるためには、信号配線301aおよび302aの一部は、回路基板62の長手方向であるX方向に沿って設けられることになる。そこで、図5では、信号配線301aおよび302aの回路基板62の長手方向に沿って設けられた部分において、回路基板62の長手方向と交差する方向、ここでは短手方向であるY方向(幅方向)の断面を示している。そして、信号配線301aおよび302aの間に設けられた擬似配線301bおよび302bも、回路基板62の長手方向であるX方向に沿って設けられることになる。よって、図5では、擬似配線301bおよび302bについても回路基板62の長手方向に沿って設けられた部分において、回路基板62の長手方向と交差する方向、ここでは短手方向であるY方向(幅方向)での断面を示している。
【0028】
ここでは、信号配線301aおよび擬似配線301bは、配線ピッチlpで設けられている。信号配線302aおよび擬似配線302bは、配線ピッチlpで設けられている。
そして、信号配線301aおよび擬似配線301bの幅方向の中心C1の位置(中心位置C1)と、信号配線302aおよび擬似配線302bの幅方向の中心C2の位置(中心位置C2)とが、回路基板62の長手方向と交差する方向、例えば短手方向であるY方向において、重ならないようにずれて設けられている。
例えば、配線ピッチlpを200μmとし、信号配線301a、擬似配線301b、信号配線302a、擬似配線302bの配線幅lを100μmとする。すなわち、配線(ライン)幅lと間隙(スペース)幅sとは、それぞれ100μmで、比は1:1である。
このとき、信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2との距離を100μmとすると、図5に示すように、Y方向において、信号配線301aおよび擬似配線301bは、信号配線302aおよび擬似配線302bの間に位置する。すなわち、信号配線301aまたは擬似配線301bの端と、信号配線302aまたは擬似配線302bの端との距離d0は0となる。
【0029】
次に、回路基板62を構成する第1信号配線層301、第2信号配線層302、第1導体層303、第2導体層304を個別に説明する。
図6は、第1信号配線層301を説明する平面図である。図6は、回路基板62を裏面(図5の下側)から見た図である。
信号配線301aおよび擬似配線301bが、回路基板62の長手方向であるX方向に沿って設けられている。なお、信号配線301aの一部は、第2信号配線層302上に設けられた信号発生回路Mに接続されるために、回路基板62の短手方向であるY方向に沿って設けられた部分を有している。一方、擬似配線301bは、信号発生回路Mに接続されていない。
そして、信号配線301aおよび擬似配線301bは、配線ピッチlpで設けられている。
【0030】
図7は、第2信号配線層302を説明する平面図である。図7は、回路基板62を裏面(図5の下側)から見た図である。
信号配線302aと擬似配線302bとが、回路基板62の長手方向であるX方向に沿って設けられている。なお、信号配線302aの一部は、信号発生回路Mに接続されるために、回路基板62の短手方向であるY方向に沿って設けられた部分を有している。一方、擬似配線301bは、信号発生回路Mに接続されていない。
そして、回路基板62の長手方向であるX方向に沿って設けられた信号配線302aおよび擬似配線302bの部分は、配線ピッチlpで設けられているとともに、回路基板62の短手方向であるY方向(幅方向)の中心位置C2が、回路基板62のX方向に沿って設けられた第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの部分のY方向(幅方向)の中心位置C1(図5、6参照)に重ならないように、ずれて設けられている。
【0031】
図8は、第1導体層303を説明する平面図である。図8は、回路基板62を裏面(図5の下側)から見た図である。
第1導体層303には、GND電位に設定される電源配線303aが設けられている。電源配線303aは、回路基板62の周囲に設定された配線禁止領域を除いて、回路基板62の全面に、いわゆるべたに設けられている。このようにすることで、GND電位により、信号配線301a、302aを送信される制御信号の電位レベルの変動を少なくし、発光装置65の誤動作を抑制する。
【0032】
図9は、第2導体層304を説明する平面図である。図9は、回路基板62を表面(図5の上側)から見た図である。図9では、発光チップS1〜S5およびボンディングワイヤ311を合わせて示している。
第2導体層304には、Vcc電位を供給する電源配線304aとボンディングパッド304bとが設けられている。
電源配線304aは、発光チップS1〜S40の下部に連続して、いわゆるべたに設けられている。すなわち、発光チップS1〜S40の裏面が、電源配線304a上に貼り付けられている。
そして、発光チップS1〜S40は、裏面からVcc電位が供給されるようになっている。なお、Vcc電位は、発光チップS1〜S40の表面に設けられた端子からボンディングワイヤ311で供給されてもよい。
電源配線304aのY方向の幅は、発光チップS1〜S40を千鳥状に配列できる幅であればよい。また、電源配線304aのX方向の長さは、発光チップS1〜S40が配列できる長さであればよい。
【0033】
次に、回路基板62の製造方法を説明する。
例えば、ガラスエポキシ基材で構成される第1絶縁層401の両面に銅箔を張り付け、一方の面の銅箔を第1信号配線層301として、信号配線301aおよび擬似配線301bに加工する。他方の面の銅箔を第1導体層303として、電源配線303aに加工する。
なお、第1信号配線層301の信号配線301aと第2導体層304のボンディングパッド304bとを接続するビアが設けられることがある。また、第2信号配線層302の信号配線302aと第2導体層304のボンディングパッド304bとを接続するビアが設けられることがある。さらに、信号の送信のために、信号配線を迂回させるために、ビアが設けられることもある。
これらのビアは、レーザ加工またはフォトリソグラフィにより、第1信号配線層301、第1絶縁層401、第1導体層303を貫通する開口(スルーホール)を設け、その開口の周り、または開口を埋めるように導体が形成される。このとき、信号配線301aが電源配線303aと接続されないように、開口の周りの第1導体層303を除去しておくこととなる。
【0034】
次に、片面に銅箔を設けた、ガラス繊維に半硬化の熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ)を含浸させたプリプレグを、第1信号配線層301側に積層し、加圧釜(オートクレーブ)に入れ、加圧するとともに、加熱して、半硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる。熱硬化性樹脂が硬化して第2絶縁層402となり、銅箔が第2信号配線層302となる。
次いで、片面に銅箔を設けた、ガラス繊維に半硬化の熱硬化性樹脂(エポキシ)を含浸させたプリプレグを、第1導体層303側に積層し、加圧釜(オートクレーブ)に入れ、加圧するとともに、加熱して、半硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる。熱硬化性樹脂が硬化して第3絶縁層403となり、銅箔が第2導体層304となる。
【0035】
その後、第2信号配線層302を、信号配線302aおよび擬似配線302bに加工し、第2導体層304を、電源配線304aおよびボンディングパッド304bに加工する。
なお、第2信号配線層302の信号配線302aと第1信号配線層301の信号配線301aとを接続するビア、第2信号配線層302の信号配線302aと第2導体層304のボンディングパッド304bとを接続するビアが、第2絶縁層402に設けられることがある。
また、第1信号配線層301の信号配線301aと第2導体層304のボンディングパッド304bとを接続するビア、第1導体層303の電源配線303aと第2導体層304のボンディングパッド304bとを接続するビアが、第3絶縁層403に設けられることがある。
前述したように、第2絶縁層402に設けられるビアは、第2信号配線層302と第2絶縁層402とに、レーザ加工またはフォトリソグラフィにより、開口を設け、その開口の周りに、または開口を埋めるように導体を形成すればよい。
第3絶縁層403に設けられるビアは、第2導体層304と第3絶縁層403とに、レーザ加工またはフォトリソグラフィにより、開口を設けて、その開口の周り、または開口を埋めるように導体を形成すればよい。
【0036】
そして、第2信号配線層302の信号配線302aと第2導体層304のボンディングパッド304bとは、第1信号配線層301の信号配線301aを介して接続される。
上述したように、回路基板62は、製造工程において、加熱と冷却とが繰り返されて製造される。
なお、本実施の形態では、回路基板62として、ガラスエポキシ基材を用いたが、コンポジット基材、紙フェノール基材であってもよい。そして、回路基板62には、ガラスエポキシ基材を用いた銅張積層基板が使用できる。
【0037】
以下では、第1の実施の形態において、製造時および動作時における加熱と冷却との繰り返しによる回路基板62の変形が抑制されることを説明する。
図10は、第1の実施の形態において、製造時および動作時における加熱と冷却との繰り返しによる回路基板62の変形が抑制されることを説明する図である。
回路基板62の変形は、第1絶縁層401、第2絶縁層402、第3絶縁層403を構成する電気的な絶縁材料と、第1信号配線層301、第2信号配線層302、第1導体層303、第2導体層304の導電材料とで、熱膨張係数および加熱後の収縮特性が異なることによる。すなわち、導電材料は、絶縁材料に比べ、熱膨張係数が大きい。また、絶縁材料および導電材料は、ともに加熱後に冷却しても元の状態に戻らない。
【0038】
図10に示すように、第1信号配線層301には、信号配線301aと擬似配線301bとが、第2信号配線層302には、信号配線302aと擬似配線302bとが設けられている。
すると、回路基板62の製造時および発光装置65の動作時において加熱されると、導電材料で構成された信号配線301a、302b、擬似配線301b、302bがY方向に伸びる。しかし、絶縁材料で構成された第1絶縁層401、第2絶縁層402は、導電材料に比べ、熱膨張係数が小さいため、信号配線301a、302b、擬似配線301b、302bの伸びに追従して伸びることがない。よって、回路基板62の信号配線301a、302b、擬似配線301b、302bの部分が矢印Fに示すように、回路基板62の第1信号配線層301、第2信号配線層302が設けられた側(図中において下側)に、膨らむように変形する。
そして、矢印Fで示す変形は、冷却されて、収縮しても元に戻ることがない。このため、回路基板62は、信号配線301a、302b、擬似配線301b、302bの設けられたそれぞれの部分の矢印Fで示す変形に基づいて、矢印Gで示すように変形することになる。なお、矢印Gは矢印Fの変形を結んだ包絡線である。
しかし、第1の実施の形態では、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2とが、ずれて設けられているので、矢印Fの変形が累積することがなく、分散される。よって、矢印Gの変形が抑えられる。これにより、回路基板62上に配列された発光チップSの傾きが抑制され、発光チップSからの光の放射方向Eのずれが抑えられる。
【0039】
図11は、第1の実施の形態を適用しない場合の、製造時および動作時における加熱と冷却との繰り返しによる回路基板62の変形を説明する図である。
図11に示すように、第1の実施の形態を適用しない場合は、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2とが回路基板62の短手方向であるY方向において、重ねて設けられている。
よって、矢印Fの変形が累積した矢印Hの変形は、第1の実施の形態を適用した場合の矢印Gの変形に比べ、大きくなってしまう。このため、発光チップSが傾き、発光チップSからの光の放射方向Eがずれてしまう。
【0040】
図10において説明したように、第1の実施の形態では、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2とをずらすことで、回路基板62の変形Fが累積することが抑制されている。中心位置C1と中心位置C2とのずれ量は、図10で示したように、配線ピッチlpの1/2とすることが好ましい。しかし、回路基板62の変形Gが抑制されれば、中心位置C1と中心位置C2とのずれ量は、配線ピッチlpの1/2でなくともよい。
また、第1の実施の形態では、配線密度が均一になるように、擬似配線301b、302bを設けている。このようにすることで、回路基板62において、変形Fを均等に発生させうる。よって、回路基板62には、擬似配線301b、302bを設けることが好ましい。しかし、回路基板62の変形Gが抑制されれば、擬似配線301b、302bを設けなくともよい。
【0041】
さらに、配線ピッチlpを固定したが、可変であってもよい。配線幅lは小さいほど、変形Fが小さく抑えられる。しかし、配線幅lおよび間隙幅sは、回路基板62の製造において、製造のしやすさや歩留まりなどによって設定されればよく、上記した値でなくともよい。
さらにまた、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2とは、すべての信号配線および擬似配線において、ずれていなくともよく、発光チップSが傾斜して、光軸がずれるのを抑制できればよい。よって、回路基板62の発光チップSの搭載された部分において、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2とがずれていてもよい。
【0042】
なお、図5および図10では、信号配線層として第1信号配線層301と第2信号配線層302との2層の場合を示したが、信号配線層が3層以上であってもよい。
図12は、信号配線層が3層または4層の場合の発光装置65の一例を示す図である。図12(a)は信号配線層が3層の場合の発光装置65の一例を、図12(b)は信号配線層が4層の場合の発光装置65の一例を示している。
図12(a)に示す信号配線層が3層の場合では、第2信号配線層302の下方(図12(a)において下側)に、第2信号配線層302に接して、第4絶縁層404が設けられ、さらに第4絶縁層404の下方に、第4絶縁層404に接して、第3信号配線層305が設けられている。そして、第3信号配線層305は、信号配線305aと擬似配線305bとに構成されている。
【0043】
第3信号配線層305の信号配線305aおよび擬似配線305bの中心位置C3は、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1および第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2のいずれともずれて設けられている。
このようにすることで、製造時および動作時における加熱と冷却との繰り返しによる回路基板62の変形を抑制し、発光チップSの傾きを抑制して、発光チップSからの光の放射方向Eのずれを抑えている。
なお、隣接する信号配線層、すなわち第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2と、または第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2と第3信号配線層305の信号配線305aおよび擬似配線305bの中心位置C3とがずれていて、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と第3信号配線層305の信号配線305aおよび擬似配線305bの中心位置C3とが重ねて設けられていてもよい。すなわち、変形Fが累積しないように設けられていればよい。
【0044】
図12(b)に示す信号配線層が4層の場合では、図12(a)に示した、信号配線層が3層の場合の、第3信号配線層305の下方(図12(b)において下側)に、第3信号配線層305に接して、さらに第5絶縁層405が設けられ、さらに第5絶縁層405の下方に、第5絶縁層405に接して、第4信号配線層306が設けられている。そして、第4信号配線層306は、信号配線306aと擬似配線306bとに構成されている。
そして、第3信号配線層305の信号配線305aおよび擬似配線305bの中心位置C3は、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1に、第4信号配線層306の信号配線306aおよび擬似配線306bの中心位置C4は、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2に設けられている。
このようにすることで、製造時および動作時における加熱と冷却との繰り返しによる回路基板62の変形を抑制し、発光装置65の発光チップSからの光の放射方向E、すなわち光軸のずれが抑制される。
【0045】
以上説明した発光装置65を使用したプリントヘッド14において、発光装置65における発光チップSの光軸のずれが抑制されるので、ロッドレンズアレイ64での光の損失や強度のばらつきが抑えられる。よって、プリントヘッド14を用いた画像形成装置1において、画質の劣化が少ない画像形成ができる。
【0046】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、発光装置65の回路基板62における第1信号配線層301および第2信号配線層302の構成が、第1の実施の形態と異なっている。第1の実施の形態では、回路基板62の発光チップSの裏面の部分の第1信号配線層301に擬似配線301bを、第2信号配線層302に擬似配線302bを設けていた。第2の実施の形態では、回路基板62の全面において、第1信号配線層301に擬似配線301bを、第2信号配線層302に擬似配線302bを設けている。
【0047】
図13は、第2の実施の形態が適用される第1信号配線層301を説明する平面図である。図6に示した第1の実施の形態における第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bを取り囲むように、さらに擬似配線301bが設けられている。擬似配線301bは、回路基板62の長手方向であるX方向に沿って設けられている。
図14は、第2の実施の形態が適用される第2信号配線層302を説明する平面図である。図7に示した第1の実施の形態における第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bを取り囲むように、さらに擬似配線302bが設けられている。擬似配線302bは、回路基板62の長手方向であるX方向に沿って設けられている。
この回路基板62は、第1の実施の形態で説明した製造方法によって製造することができる。
【0048】
第2の実施の形態においても、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2とが、ずれて設けられている(図5参照)ので、回路基板62の全面において、矢印F(図10参照)の変形が累積することがなく、分散される。よって、回路基板62の全面において、矢印G(図10参照)の変形が抑えられ、発光チップSからの光の放射方向E(図10参照)、すなわち光軸のずれが抑制される。
【0049】
以上説明した発光装置65を使用したプリントヘッド14において、発光装置65における発光チップSの光軸のずれが抑制されるので、ロッドレンズアレイ64での光の損失や強度のばらつきが抑えられる。よって、プリントヘッド14を用いた画像形成装置1において、画質の劣化が少ない画像形成ができる。
【0050】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、発光装置65の回路基板62における第1信号配線層301および第2信号配線層302の構成が、第1の実施の形態と異なっている。第1の実施の形態では、回路基板62の第1信号配線層301における信号配線301aおよび擬似配線301bの配線(ライン)幅lと間隙(スペース)幅sとの比、第2信号配線層302における信号配線302aおよび擬似配線302bの配線(ライン)幅lと間隙(スペース)幅sとの比が、いずれも1(1:1)であった。
図15は、第3の実施の形態が適用される発光装置65の断面構造を説明するための図である。
第3の実施の形態では、配線幅lと間隙幅sとの比が1より大きい(配線幅l>間隙幅s)。例えば、配線ピッチlpが200μmとして、配線幅lを125μm、間隙幅sを75μmとしている。
なお、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bのY方向の中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bのY方向の中心位置C2とは、ずれて設けられている。
この場合、中心位置C1と中心位置C2とのずれが、配線ピッチlpの1/2であっても、第1信号配線層301における信号配線301aまたは擬似配線301bと、第2信号配線層302における信号配線302aまたは擬似配線302bとは、端の部分で距離(幅)d1において重なることになる。
【0051】
なお、第1信号配線層301における信号配線301aまたは擬似配線301bと、第2信号配線層302における信号配線302aまたは擬似配線302bとが重なる距離(幅)d1は、上記した25μmでなくともよい。
この回路基板62は、第1の実施の形態で説明した製造方法によって製造することができる。
【0052】
第3の実施の形態においても、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2とは、ずれて設けられているので、回路基板62において、矢印F(図10参照)の変形が累積することがなく、分散される。よって、回路基板62の変形が抑えられ、発光チップSからの光の放射方向E、すなわち光軸のずれを抑制しうる。
【0053】
以上説明した発光装置65を使用したプリントヘッド14において、発光装置65における発光チップSの光軸のずれが抑制されるので、ロッドレンズアレイ64での光の損失や強度のばらつきが抑えられる。よって、プリントヘッド14を用いた画像形成装置1において、画質の劣化が少ない画像形成ができる。
【0054】
第3の実施の形態において、第2の実施の形態に示したように、回路基板62の全面に擬似配線301b、302bを設けてもよい。
さらに、信号配線層数を3以上としてもよい。
【0055】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、発光装置65の回路基板62における第1信号配線層301および第2信号配線層302の構成が、第1の実施の形態と異なっている。第1の実施の形態では、回路基板62の第1信号配線層301における信号配線301aおよび擬似配線301bの配線(ライン)幅lと間隙(スペース)幅sとの比、第2信号配線層302における信号配線302aおよび擬似配線302bの配線幅lと間隙幅sとの比が、いずれも1(1:1)であった。
図16は、第4の実施の形態が適用される発光装置65の断面構造を説明するための図である。
第4の実施の形態では、配線幅lと間隙幅sとの比を1より小さく(配線幅l<間隙幅s)している。例えば、配線ピッチlpが200μmとして、配線幅lを75μm、間隙幅sを125μmとしている。
なお、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2とは、ずれて設けられている。
この場合、例え、中心位置C1と中心位置C2とのずれが、配線ピッチlpの1/2であっても、第1信号配線層301の信号配線301aまたは擬似配線301bと、第2信号配線層302の信号配線302aまたは擬似配線302bとは、Y方向での端の部分が距離d2だけ離れることになる。
なお、第1信号配線層301における信号配線301aまたは擬似配線301bと、第2信号配線層302における信号配線302aまたは擬似配線302bとの距離d2は、上記の25μmでなくともよい。
この回路基板62は、第1の実施の形態で説明した製造方法によって製造することができる。
【0056】
第4の実施の形態においても、第1信号配線層301の信号配線301aおよび擬似配線301bの中心位置C1と、第2信号配線層302の信号配線302aおよび擬似配線302bの中心位置C2とは、ずれて設けられているので、回路基板62において、矢印F(図10参照)の変形が累積することがなく、分散される。よって、回路基板62の変形が抑えられ、発光チップSからの光の放射方向Eが傾くことが抑制される。よって、回路基板62において、矢印G(図10参照)の変形が抑えられ、発光チップSからの光の放射方向E(図10参照)、すなわち光軸のずれを抑制しうる。
【0057】
以上説明した発光装置65を使用したプリントヘッド14において、発光装置65における発光チップSの光軸のずれが抑制されるので、ロッドレンズアレイ64での光の損失や強度のばらつきが抑えられる。よって、プリントヘッド14を用いた画像形成装置1において、画質の劣化が少ない画像形成ができる。
【0058】
第4の実施の形態において、第2の実施の形態に示したように、回路基板62の全面に擬似配線301b、302bを設けてもよい。
さらに、信号配線層を3層以上としてもよい。
【0059】
なお、第3の実施の形態および第4の実施の形態では、第1信号配線層301および第2信号配線層302における信号配線および擬似配線の配線幅lおよび間隙幅sを同じとしたが、信号配線層毎に違う値としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、11…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、13…帯電器、14…プリントヘッド、15…現像器、23…転写ロール、30…画像出力制御部、40…画像処理部、62…回路基板、63…発光部、64…ロッドレンズアレイ、65…発光装置、308…接着剤、311…ボンディングワイヤ、S1〜S40…発光チップ、301…第1信号配線層、301a…信号配線、301b…擬似配線、302…第2信号配線層、302a…信号配線、302b…擬似配線、303…第1導体層、303a…電源配線、304…第2導体層、304a…電源配線、304b…ボンディングパッド、305…第3信号配線層、305a…信号配線、305b…擬似配線、306…第4信号配線層、306a…信号配線、306b…擬似配線、L1〜L128…発光素子、M…信号発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが複数の信号配線を有する少なくとも2層の信号配線層を備え、少なくとも隣接する2層の信号配線層において、長手方向に沿って設けられた部分にて当該長手方向に交差する方向の中心位置が互いにずれて設けられている信号配線を備える回路基板と、
それぞれが複数の発光素子を有するとともに、前記回路基板の表面上に長手方向に列状に配列された複数の発光チップと
を備える発光装置。
【請求項2】
前記回路基板は、前記複数の発光チップが配列された部分において、当該回路基板の長手方向に沿って設けられた部分にて当該長手方向に交差する方向の中心位置が互いにずれて設けられている前記信号配線を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記回路基板における前記少なくとも2層の信号配線層のそれぞれが、さらに複数の擬似配線を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記少なくとも2層の信号配線層のそれぞれにおける前記複数の信号配線および前記複数の擬似配線は、当該複数の信号配線および当該複数の擬似配線の、前記回路基板の長手方向に沿って設けられた部分が、予め定められた繰り返し間隔で設けられていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
それぞれが複数の信号配線を有する少なくとも2層の信号配線層を備え、少なくとも隣接する2層の信号配線層において、長手方向に沿って設けられた部分にて当該長手方向に交差する方向の中心位置が互いにずれて設けられている信号配線を備える回路基板と、それぞれが複数の発光素子を有するとともに、当該回路基板の表面上に長手方向に列状に配列された複数の発光チップとを備え、像保持体を露光する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体に結像させる光学手段と、
を備えたことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項6】
像保持体を帯電する帯電手段と、
それぞれが複数の信号配線を有する少なくとも2層の信号配線層を備え、少なくとも隣接する2層の信号配線層において、長手方向に沿って設けられた部分にて当該長手方向に交差する方向の中心位置が互いにずれて設けられている信号配線を備える回路基板と、それぞれが複数の発光素子を有するとともに、当該回路基板の表面上に長手方向に列状に配列された複数の発光チップとを備え、前記像保持体を露光する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−771(P2012−771A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134681(P2010−134681)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】