説明

発光装置、電子機器、及び照明装置

【課題】有機EL素子の劣化を抑制でき、かつ、下部電極と上部電極が短絡し難い、信頼性の高い発光装置を提供する。
【解決手段】第1の基板及び封止体に囲まれた空間内に、発光素子及び隔壁を含む発光部を備え、発光素子は、第1の基板上に設けられた第1の電極、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層、及び発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極を備え、発光素子は、第1の基板上に設けられた第1の電極、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層、及び発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極を備え、隔壁は、第1の電極の端部を覆い、かつ発光素子の発光領域と重なる位置に開口部が設けられ、隔壁は、最大粒径が1ナノメートル以上発光性の有機化合物を含む層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を含む発光装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELとも記す)現象を利用した発光装置、電子機器、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL現象を利用した発光素子(有機EL素子とも記す)の研究開発が盛んに行われている。有機EL素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物からの発光を得ることができる。
【0003】
薄型軽量化が容易であること、入力信号に対し高速に応答可能であること、直流低電圧電源を用いて駆動可能であること等の特徴を有する有機EL素子は、次世代のフラットパネルディスプレイや照明への応用が検討されている。特に、有機EL素子をマトリクス状に配置した表示装置は、従来の液晶表示装置と比較して、視野角が広く視認性が優れる点に優位性があると考えられている。
【0004】
一方で、有機EL素子は、外部から侵入する水分や酸素などの不純物により信頼性が損なわれてしまうという課題がある。
【0005】
有機EL素子の外部から、水分や酸素などの不純物が、有機EL素子を構成する有機化合物や金属材料に侵入することで、有機EL素子の寿命は大幅に低減されてしまう場合がある。有機EL素子に用いる有機化合物や金属材料が、水分や酸素などの不純物と反応し、劣化してしまうためである。
【0006】
したがって、不純物の侵入を防ぐために有機EL素子を封止する技術について、研究開発が進められている。
【0007】
例えば、特許文献1には、有機EL素子を封止するために用いることができる、第1のガラス板と第2のガラス板とをフリットで接着させて封止したガラスパッケージが開示されている。
【0008】
特許文献1に開示されたガラスパッケージで有機EL素子を封止した発光装置は、封止後に、外部から該発光装置内に不純物が侵入することを抑制することができると考えられる。しかし、発光装置の作製工程において、発光装置を構成する材料に水分が少なからず吸着され、発光装置の内部に水分が残留してしまうことが一般に知られている。特許文献1に記載の封止技術では、発光装置の内部に一度入ってしまった水分に関して、除去する手段等が設けられていないため、封止前に発光装置内に侵入し、かつ封止後に発光装置内に残留している水分の、有機EL素子を構成する有機化合物や金属材料への侵入を防ぐことは困難である。
【0009】
また、特許文献2には、各発光画素間に、有機材料からなる画素間隔壁が形成された電気光学表示装置が開示されている。さらに、該画素間隔壁には、該有機材料より低分子の材料からなる充填物が含有されている構成、及び、該充填物が脱水材である構成が開示されている。
【0010】
特許文献2に開示された表示装置は、装置内部に脱水材を備えるため、画素間隔壁等に含まれる水分の、有機EL素子を構成する有機化合物や金属材料への侵入を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許公開第2004−0207314号公報
【特許文献2】特開2004−235014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、有機EL素子において、下部電極の表面が平坦化されていない、又は下部電極上にゴミが存在するために、下部電極上にEL層が均一に成膜されず、EL層が欠損する場合がある。このような場合、該EL層上に上部電極が形成されると、EL層が形成されていない欠損箇所において、下部電極及び上部電極(陽極及び陰極)が接し、短絡するという不具合が生じる。
【0013】
特許文献2に開示された表示装置において、画素電極(下部電極に相当)の端部を覆う画素間隔壁は、発光素子の発光領域と重なる位置に開口部を有する。この隔壁の端部(開口端)に充填物(例えば脱水材)に由来する凹凸が存在すると、発光素子において、発光層(又は有機機能層)が形成されない欠損箇所が生じる可能性がある。該欠損箇所では、下部電極及び上部電極が接し、短絡するという不具合が生じることがある。
【0014】
したがって、本発明の一態様は、有機EL素子の劣化を抑制でき、かつ、下部電極と上部電極が短絡し難い、信頼性の高い発光装置を提供することを目的の一とする。また、該発光装置を備えた、信頼性の高い電子機器又は照明装置を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
有機EL素子は、第1の電極と、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層(以下、EL層とも記す)と、EL層上に設けられた第2の電極と、を備える。本発明者らは、有機EL素子において、該第1の電極の端部を覆う隔壁が、水分を物理吸着する材料(以下、物理吸着型乾燥剤とも記す)を含む構成、具体的には、最大粒径がEL層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を含む構成、に想到した。
【0016】
よって、本発明の一態様は、第1の基板及び封止体に囲まれた空間内に、発光素子及び隔壁を含む発光部を備え、発光素子は、第1の基板上に設けられた第1の電極、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層、及び発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極を備え、隔壁は、第1の電極の端部を覆い、かつ発光素子の発光領域と重なる位置に開口部が設けられ、隔壁は、最大粒径が1ナノメートル以上発光性の有機化合物を含む層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を含む発光装置である。
【0017】
封止体としては、例えば、透湿性の低い薄膜を用いることができる。または、対向基板及び封止材(ガラスフリット等を用いたガラスや、樹脂など)を用いることができる。ガラスは封止性が高いため、封止材として、ガラスを用いることが好ましい。また、樹脂は耐衝撃性や耐熱性に優れ、外力等による変形で壊れにくいため、封止材として、樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
また、本発明の一態様は、互いに対向する第1の基板及び第2の基板と、発光素子及び隔壁を含む発光部と、発光部の外周を囲むように設けられた封止材と、を有し、第1の基板、第2の基板及び封止材に囲まれた空間内に発光部を備え、発光素子は、第1の基板上に設けられた第1の電極、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層、及び発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極を備え、隔壁は、第1の電極の端部を覆い、かつ発光素子の発光領域と重なる位置に開口部が設けられ、隔壁は、最大粒径が1ナノメートル以上該発光性の有機化合物を含む層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、含む発光装置である。
【0019】
本発明の一態様の発光装置は、第1の基板、及び封止体(又は、第1の基板、第2の基板及び封止材)に囲まれた空間内に、発光素子(有機EL素子)が設けられている。したがって、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子が劣化することを抑制できる。かつ、本発明の一態様の発光装置は、隔壁に物理吸着型乾燥剤を含む。したがって、作製工程中等に発光装置の内部に侵入し残留した不純物を、該物理吸着型乾燥剤によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した不純物により、発光素子が劣化することを抑制できる。
【0020】
例えば、該物理吸着型乾燥剤は、第1の基板、封止体(第2の基板など)、第1の基板上に設けられた各膜、又は第2の基板上に設けられた各膜の、表面や内部に侵入し残留した不純物を吸着することができる。特に、隔壁と近接している膜等(第1の基板や、第1の基板と有機EL素子との間に設けられた下地膜、有機EL素子を駆動するトランジスタを構成する膜等)の表面や内部に侵入し残留した不純物を、容易に吸着することができる。
【0021】
また、封止能力が低下し、外部から発光装置内に不純物が侵入した場合でも、該物理吸着型乾燥剤によって不純物を吸着することができる。したがって、不純物による発光素子の劣化を抑制することができる。
【0022】
また、本発明の一態様の発光装置において、隔壁に含まれる物理吸着型乾燥剤は、最大粒径が1nm以上EL層の膜厚以下である。物理吸着型乾燥剤の最大粒径がEL層の膜厚以下であるため、隔壁に乾燥剤を含ませても、該乾燥剤に由来する凹凸により、EL層が形成されない欠損箇所が生じることを抑制し、隔壁の端部付近において第1の電極と第2の電極が短絡し難い、信頼性の高い発光装置を提供することができる。また、物理吸着型乾燥剤は、最大粒径が1nm以上であると作製が容易であるため好ましい。
【0023】
上記発光装置において、該隔壁が、0重量パーセント(wt%)より多く30重量パーセント以下の割合で該物理吸着型乾燥剤を含むことが好ましい。
【0024】
隔壁に物理吸着型乾燥剤を含みすぎると、隔壁としての機能を果たせなくなる恐れがあるため、隔壁に含まれる物理吸着型乾燥剤は、50wt%以下が好ましく、30wt%以下がさらに好ましい。また、隔壁に含まれる物理吸着型乾燥剤が少ないと、隔壁表面に、該乾燥剤に由来する凹凸が形成されにくくなり、EL層が形成されない欠損箇所が生じることを抑制できるため、好ましい。
【0025】
上記発光装置において、物理吸着型乾燥剤が、ゼオライトであると好ましい。
【0026】
乾燥剤には、水分等を化学吸着する材料(化学吸着型乾燥剤と記す)と、物理吸着する材料(物理吸着型乾燥剤と記す)とに大きく分けられる。化学吸着型乾燥剤は、水分等の吸着時に、化学反応により熱が発生する場合や、該乾燥剤自体が別の物質に変化し、体積変化が起こる場合がある。これにより、隔壁からの熱の発生や、隔壁の体積変化が生じると、有機EL素子にダメージを与えるため、好ましくない。よって、本発明では、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着型乾燥剤を用いる。特に、ゼオライトは、粒径を十分に小さくする、隔壁を構成する樹脂材料に含ませる、湿度が低い環境下でも水分等を吸着する、等の観点からも好適に用いることができるため好ましい。
【0027】
上記発光装置において、隔壁が、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、又はフェノール系樹脂を含むことが好ましい。
【0028】
アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、及びフェノール系樹脂は、透湿性や透水性が高いため、隔壁の材料として用いることで、該隔壁中に含まれる乾燥剤が水分等をより吸着しやすく、好ましい。
【0029】
上記発光装置において、隔壁が、該物理吸着型乾燥剤を含まない第1の層と、該物理吸着型乾燥剤を含む第2の層と、の積層構造であると好ましい。
【0030】
隔壁が、積層構造からなる場合、物理吸着型乾燥剤を少なくともいずれか一層に含めば良い。例えば、2層構造の場合は、物理吸着型乾燥剤を含まない第1の層上に、物理吸着型乾燥剤を含む第2の層が設けられた積層構造が好ましい。このような構成とすることで、隔壁の端部(特に末端)は、物理吸着型乾燥剤を含まない層からなるため、隔壁の端部付近において、第1の電極と第2の電極が短絡し難い、信頼性の高い発光装置を実現することができる。また、第1の層上に第2の層が設けられていると、設けられていない場合に比べて、第1の層とEL層(又は第2の電極)が接する面積が小さく、第1の層に残留する不純物は、第1の層からEL層(又は第2の電極)に直接侵入しづらい。該不純物は、EL層に侵入する前に、第2の層内に侵入する可能性が高くなる。よって、該不純物を、第2の層に含まれる物理吸着型乾燥剤によって吸着しやすくなるため、不純物が発光素子に侵入することを抑制することができる。
【0031】
また、物理吸着型乾燥剤を含む第1の層を、物理吸着型乾燥剤を含まない第2の層が覆う積層構造が好ましい。このような構成とすることで、隔壁の表面は物理吸着型乾燥剤を含まない第2の層からなる。よって、該乾燥剤に由来する凹凸が第1の層に存在したとしても、第1の層を覆う第2の層により平坦化されるため、EL層が形成されない欠損箇所が生じることを特に抑制し、隔壁上に形成する膜の被覆性を高め、第1の電極と第2の電極が短絡し難い、信頼性の高い発光装置を実現することができる。このような積層構造の隔壁を採用する場合、物理吸着型乾燥剤の最大粒径は、EL層の膜厚と第2の層の膜厚の和よりも小さければ良い。
【0032】
また、先に挙げた理由から、物理吸着型乾燥剤を含む層に、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、又はフェノール系樹脂を用いることが好ましい。
【0033】
上記発光装置において、隔壁上にスペーサを備え、スペーサは、最大粒径が1nm以上該スペーサの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含むことが好ましい。特にスペーサは、最大粒径が1nm以上該スペーサの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。
【0034】
発光装置において、隔壁上にスペーサを備えることで、一対の基板(第1の基板及び第2の基板)の間隔を一定に保つことができる。隔壁だけでなく、スペーサにも物理吸着型乾燥剤を含むことで、発光装置の内部に存在する不純物を、より吸着することができる。したがって、不純物により発光素子が劣化することをさらに抑制することができる。
【0035】
上記発光装置において、発光部は、第1の電極と電気的に接続するトランジスタを備え、トランジスタ及び発光素子の間に設けられた絶縁膜は、最大粒径が1nm以上該絶縁膜の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含むことが好ましい。特に該絶縁膜は、最大粒径が1nm以上該絶縁膜の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。
【0036】
発光装置を構成する絶縁膜に物理吸着型乾燥剤を含むことで、発光装置の内部に存在する不純物を、より吸着することができる。トランジスタ及び発光素子の間に設けられた絶縁膜(層間絶縁膜)や、第1の基板と有機EL素子との間に設けられた下地膜等に、該乾燥剤を含む構成も、本発明の一態様に含まれる。これら絶縁膜に含まれる乾燥剤は、有機EL素子を駆動するトランジスタの表面や内部に侵入し残留した不純物を、吸着することができる。したがって、不純物により発光素子が劣化することをさらに抑制することができる。
【0037】
上記発光装置において、第2の基板は、発光素子の発光領域と重なる位置に着色層を備え、着色層は、最大粒径が1nm以上該着色層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含むことが好ましい。特に着色層は、最大粒径が1nm以上該着色層の膜厚の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。特に、着色層に含まれる物理吸着型乾燥剤の最大粒径は300nm以下であることが好ましい。
【0038】
上記発光装置において、第2の基板は、発光素子の発光領域と重ならない位置に、ブラックマトリクスを備え、ブラックマトリクスは、最大粒径が1nm以上該ブラックマトリクスの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含むことが好ましい。特にブラックマトリクスは、最大粒径が1nm以上該ブラックマトリクスの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。
【0039】
上記発光装置において、第2の基板は、発光素子の発光領域と重なる位置に設けられた着色層と、発光領域と重ならない位置に設けられたブラックマトリクスと、着色層及びブラックマトリクスを覆うオーバーコート層と、を有し、オーバーコート層は、最大粒径が1nm以上該オーバーコート層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含むことが好ましい。特にオーバーコート層は、最大粒径が1nm以上該オーバーコート層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。
【0040】
本発明の一態様の発光装置は、着色層、ブラックマトリクス、オーバーコート層の少なくともいずれか一に物理吸着型乾燥剤を含むことで、作製工程中等に、発光装置の内部に侵入し発光装置の内部に残留した不純物を、該物理吸着型乾燥剤によって吸着することができる。
【0041】
例えば、該物理吸着型乾燥剤は、第1の基板、第2の基板、第1の基板上に設けられた各膜、又は第2の基板上に設けられた各膜の、表面や内部に侵入し残留した不純物を吸着することができる。特に、該乾燥剤を含む層と近接している膜等(第2の基板や、第2の基板上に設けられた着色層、ブラックマトリクス、オーバーコート層等)の表面や内部に侵入し残留した不純物を、容易に吸着することができる。
【0042】
また、封止能力が低下し、外部から発光装置内に不純物が侵入した場合でも、該物理吸着型乾燥剤によって不純物を吸着することができる。したがって、不純物により発光素子が劣化することをさらに抑制することができる。
【0043】
なお、スペーサ、絶縁膜、着色層、ブラックマトリクス、及びオーバーコート層において、物理吸着型乾燥剤を含みすぎると、それぞれの層が担う機能を果たせなくなる恐れがあるため、それぞれの層に含まれる物理吸着型乾燥剤は、50wt%以下、好ましくは30wt%以下であることが好ましい。
【0044】
また、オーバーコート層及び着色層は、発光素子が発する光を発光装置の外部に取り出す際に、該光が通過する層であるため、光の散乱が起こりにくいことが好ましい。よって、オーバーコート層及び着色層に含む物理吸着型乾燥剤は、最大粒径が1nm以上300nm以下であることが好ましい。
【0045】
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置を表示部に有する電子機器である。また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置を照明部に有する照明装置である。本発明の一態様の発光装置は、有機EL素子の劣化を抑制でき、かつ、下部電極と上部電極が短絡し難いため、電子機器又は照明装置に適用することで、信頼性の高い電子機器又は照明装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0046】
有機EL素子の劣化を抑制でき、かつ、下部電極と上部電極が短絡し難い、信頼性の高い発光装置を提供することができる。また、該発光装置を備えた、信頼性の高い電子機器又は照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図2】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図3】本発明の一態様の発光装置の作製方法の一例を示す図。
【図4】本発明の一態様の発光装置の作製方法の一例を示す図。
【図5】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図6】EL層の一例を示す図。
【図7】本発明の一態様の電子機器及び照明装置の一例を示す図。
【図8】本発明の一態様の照明装置の一例を示す図。
【図9】本発明の一態様の電子機器の一例を示す図。
【図10】本発明の一態様の発光装置、及び比較の発光装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0049】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図1、図2及び図10を用いて説明する。
【0050】
本発明の一態様の発光装置は、第1の基板及び封止体に囲まれた空間内に、発光部を備える。本実施の形態では、封止体として第2の基板及び封止材を用いる構成を例に挙げて説明する。第1の基板及び第2の基板は互いに対向している。封止材は、発光部の外周を囲むように設けられている。発光部は、発光素子(有機EL素子)及び隔壁を含む。該発光素子は、第1の基板上に第1の電極を有し、第1の電極上に発光性の有機化合物を含む層(EL層)を有し、EL層上に第2の電極を有する。該隔壁は、第1の電極の端部を覆い、かつ発光素子の発光領域と重なる位置に開口部が設けられている。
【0051】
本発明の一態様では、第1の基板及び封止体に囲まれた空間内に、発光部(発光素子)を備えることから、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子が劣化することを抑制できる。
【0052】
かつ、本発明の一態様の発光装置において、隔壁は、最大粒径が1nm(ナノメートル)以上EL層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を含む。したがって、本発明の一態様では、作製工程中等に発光装置の内部に侵入し残留した不純物を、該物理吸着型乾燥剤によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した不純物により、発光素子が劣化することを抑制できる。
【0053】
例えば、該物理吸着型乾燥剤は、第1の基板、第2の基板、第1の基板上に設けられた各膜、又は第2の基板上に設けられた各膜の、表面や内部に侵入し残留した不純物を吸着することができる。特に、隔壁と近接する膜等(第1の基板や、第1の基板と有機EL素子との間に設けられた下地膜、有機EL素子を駆動するトランジスタを構成する膜等)の表面や内部に侵入し残留した不純物を、容易に吸着することができる。
【0054】
また、封止能力が低下し、外部から発光装置内に不純物が侵入した場合でも、該物理吸着型乾燥剤によって不純物を吸着することができる。したがって、不純物による発光素子の劣化を抑制することができる。
【0055】
ところで、有機EL素子において、下部電極(本実施の形態では第1の電極)の表面が平坦化されていない、又は第1の電極上にゴミが存在するために、第1の電極上にEL層が均一に成膜されず、EL層が欠損する場合がある。このような場合、該EL層上に上部電極(本実施の形態では第2の電極)が形成されると、EL層が形成されていない欠損箇所において、第1の電極及び第2の電極(陽極及び陰極)が接し、短絡するという不具合が生じる。
【0056】
第1の電極の端部を覆う隔壁は、発光素子の発光領域と重なる位置に開口部を有する。この隔壁の端部(開口端)に凹凸が存在すると、発光素子において、EL層が形成されない欠損箇所が生じる可能性がある。そして、EL層が形成されていない欠損箇所において、第1の電極及び第2の電極(陽極及び陰極)が接し、短絡するという不具合が生じる。
【0057】
この観点から、隔壁に含まれる物理吸着型乾燥剤は、十分に小さい粒径であることが好ましい。かつ、隔壁中に、物理吸着型乾燥剤を多く含みすぎないことが好ましい。なお、物理吸着型乾燥剤は、粒径が小さいほど表面積が大きくなるため、少量でより大きな吸湿効果を得ることができる。
【0058】
具体的に、本発明の一態様の発光装置と比較の発光装置を用いて説明する。図10(A)に本発明の一態様の発光装置を示し、図10(B)に比較の発光装置を示す。図10(A)(B)に示す発光装置は、第1の基板801上に有機EL素子である発光素子130を有する。
【0059】
図10(A)(B)に示す発光装置は、第1の基板801上に、第1の電極118が形成されている。また、第1の電極118の端部は、隔壁124で覆われている。また、第1の電極118上にはEL層120が形成されており、EL層120上には第2の電極122が形成されている。
【0060】
図10(A)に示す本発明の一態様の発光装置と、図10(B)に示す比較の発光装置の違いは、隔壁124に含まれる物理吸着型乾燥剤である。
【0061】
図10(B)に示す比較の発光装置において、隔壁124に含まれる物理吸着型乾燥剤126は、粒径がEL層120の膜厚よりも大きい。図10(A)に示す本発明の一態様の発光装置において、隔壁124に含まれる物理吸着型乾燥剤125は、物理吸着型乾燥剤126に比べて、粒径が小さく、EL層120の膜厚よりも小さい。
【0062】
図10(B)に示すように、隔壁124の端部(開口端)に物理吸着型乾燥剤126に由来する凹凸が存在すると、発光素子130において、EL層120が形成されない欠損箇所が生じる。そして、該欠損箇所では、第1の電極118及び第2の電極122が接し、短絡するという不具合が生じる。
【0063】
しかし、本発明の一態様の発光装置において、隔壁124に含まれる物理吸着型乾燥剤125は、最大粒径が1nm以上EL層120の膜厚以下である。よって、図10(A)に示すように、物理吸着型乾燥剤125に由来する凹凸により、EL層120が形成されない欠損箇所が生じることを抑制し、隔壁124の端部付近において第1の電極118と第2の電極122が短絡し難い、信頼性の高い発光装置を提供することができる。
【0064】
また、隔壁124に含まれる物理吸着型乾燥剤125の割合が低いほど、乾燥剤に由来する凹凸が隔壁の端部に生じる確率が低くなり、EL層が形成されない欠損箇所が生じることを抑制することができる。具体的には、隔壁124に含まれる物理吸着型乾燥剤125の割合は、0wt%より多く50wt%以下が好ましく、30wt%以下であることがさらに好ましい。
【0065】
また、隔壁124に含まれる物理吸着型乾燥剤125は、ナノサイズ(つまり最大粒径が1nm以上1000nm以下)であることが好ましく、300nm以下であることが特に好ましい。最大粒径が300nm以下であると、物理吸着型乾燥剤125に由来する凹凸により、EL層120が形成されない欠損箇所が生じることを特に抑制することができ、隔壁124の端部付近において第1の電極118と第2の電極122が短絡し難い、信頼性の高い発光装置を提供することができる。
【0066】
以下に本発明の一態様の発光装置の一例を示す。
【0067】
(構成例1)
図1(A)に、本発明の一態様の発光装置の平面図を示す。図1(A)におけるA−B間の断面図を図1(B)に示す。
【0068】
図1(A)(B)に示す発光装置は、第1の基板801、第2の基板806、及び封止材805に囲まれた空間810内に、発光部802が設けられている。
【0069】
発光部802は、発光素子130(第1の電極118、EL層120、及び第2の電極122)を有する。隔壁124は、第1の電極118の端部を覆い、かつ発光素子130の発光領域と重なる位置に開口部が設けられている。また、隔壁124は、最大粒径が1nm以上EL層120の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤125を含む。
【0070】
隔壁124は、樹脂を用いて形成することができる。例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、又はフェノール系樹脂等を用いることができる。
【0071】
特に、隔壁124の作製が容易となるため、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型の感光性樹脂、あるいは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型の感光性樹脂を用いることが好ましい。
【0072】
特に、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、及びフェノール系樹脂は、透湿性や透水性が高いため、隔壁の材料として用いることで、該隔壁中に含まれる乾燥剤が水分等をより吸着しやすく、好ましい。
【0073】
隔壁124は、第1の電極118の端部を覆って設けられている。隔壁124の上層に形成されるEL層120や第2の電極122の被覆性を良好なものとするため、隔壁124の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、隔壁124の上端部又は下端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせるのが好ましい。
【0074】
物理吸着型乾燥剤125としては、例えば、シリカゲルやゼオライトを用いることができる。特に、ゼオライトは、粒径を十分に小さくする、隔壁を構成する樹脂材料に含ませる、湿度が低い環境下でも水分等を吸着する、等の観点からも好適に用いることができるため好ましい。
【0075】
物理吸着型乾燥剤125は、最大粒径が1nm以上EL層120の膜厚以下である。好ましくは、1000nm以下であり、さらに好ましくは、300nm以下である。このように、物理吸着型乾燥剤125がナノサイズの構成であると、隔壁124に用いる樹脂中で凝集しやすい場合がある。シランカップリング剤で表面を修飾した物理吸着型乾燥剤125を用いることで凝集を抑制することができる。
【0076】
本実施の形態の発光装置は、第1の基板801、第2の基板806、及び封止材805に囲まれた空間810内に、発光部802(発光素子130)を備えることから、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。
【0077】
かつ、本実施の形態の発光装置において、隔壁124は、物理吸着型乾燥剤125を含む。したがって、作製工程中等に発光装置の内部に侵入し残留した不純物を、物理吸着型乾燥剤125によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した不純物により、発光素子130が劣化することを抑制できる。
【0078】
さらに、本実施の形態の発光装置において、隔壁124に含まれる物理吸着型乾燥剤125は、最大粒径が1nm以上EL層120の膜厚以下である。よって、物理吸着型乾燥剤125に由来する凹凸により、EL層120が形成されない欠損箇所が生じることを抑制し、隔壁124の端部付近において第1の電極118と第2の電極122が短絡することを抑制することができる。
【0079】
なお、本発明において、隔壁124は、単層に限られず、複数の層からなっていても良い。隔壁124が、複数の層からなる場合、物理吸着型乾燥剤125を少なくともいずれか一層に含めば良い。複数の層からなる隔壁124を備える本発明の一態様の発光装置の例を以下に示す。
【0080】
(構成例2)
図1(A)におけるA−B間の断面図を図1(C)に示す。
【0081】
図1(C)に示す発光装置は、第1の基板801、第2の基板806、及び封止材805に囲まれた空間810内に、発光部802が設けられている。
【0082】
発光部802は、発光素子130(第1の電極118、EL層120、及び第2の電極122)を有する。隔壁124は、第1の電極118の端部を覆い、かつ発光素子130の発光領域と重なる位置に開口部が設けられている。
【0083】
図1(C)に示す発光装置において、隔壁124は、第1の層124a及び第2の層124bからなる。具体的には、第1の層124a上に第2の層124bが設けられている。第1の層124aは、最大粒径が1nm以上EL層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤125を含む。かつ、第2の層124bは、物理吸着型乾燥剤125を含まない。
【0084】
物理吸着型乾燥剤125を含む層(構成例2では、第1の層124a)は、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、又はフェノール系樹脂を用いて形成することが好ましい。アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、及びフェノール系樹脂は、透湿性や透水性が高いため、隔壁の材料として用いることで、該隔壁中に含まれる乾燥剤が水分等をより吸着しやすく、好ましい。
【0085】
また、物理吸着型乾燥剤125を含まない層(構成例2では、第2の層124b)は、物理吸着型乾燥剤125を含む層と同じ材料で形成しても良く、異なる材料で形成しても良い。例えば、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型の感光性樹脂、あるいは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型の感光性樹脂などの有機化合物や、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。
【0086】
(構成例3)
図2(A)に示す隔壁204のように、第1の層204aの上面形状に比べて、第2の層204bの下面形状が小さい構成であっても良い。第1の層204aは、物理吸着型乾燥剤125を含み、かつ、第2の層204bは、物理吸着型乾燥剤125を含まない。
【0087】
(構成例4)
図2(B)に示す隔壁214のように、第2の層214bが、第1の層214aを覆う構成であっても良い。第1の層214aは、物理吸着型乾燥剤125を含み、かつ、第2の層214bは、物理吸着型乾燥剤125を含まない。
【0088】
図2(B)の構成を適用した発光装置において、隔壁214の表面は物理吸着型乾燥剤を含まない第2の層214bからなるため、隔壁214の端部付近において、第1の電極と第2の電極がより短絡し難い、信頼性の高い発光装置を実現することができる。
【0089】
図2(B)の構成を適用した発光装置において、物理吸着型乾燥剤の最大粒径は、第2の層214bの膜厚とEL層の膜厚の和より小さければ、隔壁214の端部付近において、第1の電極と第2の電極がより短絡し難い、信頼性の高い発光装置を実現することができる。よって、EL層が薄い場合であっても、比較的最大粒径の大きな物理吸着型乾燥剤を適用できる。
【0090】
(構成例5)
図2(C)に示す隔壁224は、第1の層224a及び第2の層224bからなる。具体的には、第2の層224bが、第1の層224aを覆う構成である。第1の層224aは、物理吸着型乾燥剤125を含まない。かつ、第2の層224bは、最大粒径が1nm以上EL層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤125を含む。
【0091】
(構成例6)
図2(D)に示す隔壁234のように、第1の層234aの上面形状と、第2の層234bの下面形状が等しい構成であっても良い。第1の層234aは、物理吸着型乾燥剤125を含まない。かつ、第2の層234bは、物理吸着型乾燥剤125を含む。
【0092】
(構成例7)
図2(E)に示す隔壁244のように、第1の層244aの上面形状に比べて、第2の層244bの下面形状が小さい構成であっても良い。第1の層244aは、物理吸着型乾燥剤125を含まない。かつ、第2の層244bは、物理吸着型乾燥剤125を含む。
【0093】
構成例5〜7のように、第1の層上に、物理吸着型乾燥剤125を含む第2の層が設けられていると、設けられていない場合(つまり、隔壁が乾燥剤を含まない従来の隔壁である場合)に比べて、第1の層とEL層(又は第2の電極)が接する面積が小さく(特に構成例5では、第1の層224aは、EL層や第2の電極と接しない)、第1の層に残留する不純物は、第1の層からEL層(又は第2の電極)に直接侵入しづらい。該不純物は、EL層に侵入する前に、第2の層内に侵入する可能性が高くなる。よって、該不純物を、第2の層に含まれる物理吸着型乾燥剤125によって吸着しやすくなるため、不純物が発光素子に侵入することを抑制することができる。
【0094】
特に、構成例6、7は、隔壁の端部(特に末端)が、物理吸着型乾燥剤125を含まない第1の層からなる。よって、物理吸着型乾燥剤125に由来する凹凸が第1の層に存在したとしても、第1の層を覆う第2の層により平坦化されるため、EL層が形成されない欠損箇所が生じることを特に抑制し、隔壁上に形成する膜の被覆性を高め、第1の電極と第2の電極が短絡し難い、信頼性の高い発光装置を実現することができる。
【0095】
<本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料>
以下に、本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、隔壁及び物理吸着型乾燥剤については先の記載を参酌できる。
【0096】
[第1の基板801、第2の基板806]
基板としては、ガラス、石英、有機樹脂などの材料を用いることができる。発光素子からの光を取り出す側の基板は、該光に対する透光性を有する材料を用いる。
【0097】
基板として有機樹脂を用いる場合、有機樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜた基板を使用することもできる。
【0098】
なお、第1の基板801に含まれる不純物が第1の基板801上に設けられる各素子に拡散することを抑制するため、基板801の表面には絶縁層を設けることが好ましい。
【0099】
[発光素子130]
第1の電極118は、光を取り出す側と反対側に設けられ、反射性を有する材料を用いて形成される。反射性を有する材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料を用いることができる。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や銀と銅の合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。
【0100】
EL層120は、少なくとも発光物質を含む層(発光層)を有する。そのほか、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。EL層の構成例は実施の形態4で詳細に説明する。
【0101】
第2の電極122に用いることができる透光性を有する材料としては、酸化インジウム、ITO、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いることができる。
【0102】
また、第2の電極122として、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又はチタン等の金属材料を用いることができる。又は、それら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いてもよい。又は、グラフェン等を用いても良い。なお、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合、透光性を有する程度に薄くすればよい。
【0103】
なお、本実施の形態においては、トップエミッション構造の発光装置について例示したが、ボトムエミッション構造(下面射出構造)又はデュアルエミッション構造(両面射出構造)の発光装置としても良い。
【0104】
[封止材805]
封止材805は、公知のシール材やガラスフリット等を用いて形成できる。具体的には、熱硬化樹脂、又は光硬化樹脂などの有機樹脂や、低融点ガラスなどの材料を用いることができる。また、シール材に乾燥剤が含まれていても良い。
【0105】
[封止体]
本実施の形態では、封止体として、第2の基板及び封止材を用いる構成を例に説明したが、封止体として、透湿性の低い薄膜を用いることもできる。透湿性の低い薄膜としては、無機絶縁膜を用いることができる。具体的には、酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜等を用いることができる。封止体として、透湿性の低い薄膜を単層又は積層で用いることができる。また、透湿性の低い薄膜は、第2の基板及び封止材と組み合わせて適用することもできる。
【0106】
[空間810]
空間810は、希ガスもしくは窒素ガスなどの不活性ガス、又は有機樹脂などの固体で充填されていてもよく、減圧雰囲気であってもよい。
【0107】
以上のように、本発明の一態様の発光装置は、第1の基板及び封止体に囲まれた空間内に、発光部(発光素子)を備えることから、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子が劣化することを抑制できる。
【0108】
かつ、本発明の一態様の発光装置において、隔壁は、物理吸着型乾燥剤を含む。したがって、作製工程中等に発光装置の内部に侵入し残留した不純物を、物理吸着型乾燥剤によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した不純物により、発光素子が劣化することを抑制できる。
【0109】
さらに、本発明の一態様の発光装置において、隔壁に含まれる物理吸着型乾燥剤は、最大粒径が1nm以上EL層の膜厚以下である。よって、物理吸着型乾燥剤に由来する凹凸により、EL層が形成されない欠損箇所が生じることを抑制し、隔壁の端部付近において第1の電極と第2の電極が短絡することを抑制することができる。
【0110】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0111】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置の作製方法について、図3及び図4を用いて説明する。特に、発光部802の作製方法を説明する。
【0112】
本実施の形態では、隔壁に感光性樹脂を用い、物理吸着型乾燥剤125としてゼオライトを用いる場合を例に挙げて説明する。
【0113】
(構成例1)
はじめに、構成例1(図1(B))の作製方法の一例について、図3を用いて説明する。
【0114】
まず、第1の基板801上に第1の電極118を形成する(図3(A))。
【0115】
次に、第1の電極118上に、物理吸着型乾燥剤125を含む樹脂層134を形成する(図3(B))。
【0116】
ここで、樹脂層134を形成するための材料について説明する。
【0117】
まず、物理吸着型乾燥剤125として用いる、最大粒径が1nm以上EL層の膜厚以下であるゼオライトを、凍結乾燥等で乾燥させる。特に最大粒径が、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、さらに300nm以下であることが好ましい。
【0118】
次に、シランカップリング剤等を用いて、ゼオライトの表面修飾を行う。これにより、樹脂中でのゼオライトの凝集を抑制することができる。
【0119】
最後に、押し出し機等を用いて、樹脂層134に用いる感光性樹脂にゼオライトを分散させる。このとき、感光性樹脂に含まれるゼオライトの割合は、0wt%より多く50wt%以下であることが好ましく、30wt%以下であることがさらに好ましい。
【0120】
以上の工程で得た、物理吸着型乾燥剤125を含む感光性樹脂を用いて、樹脂層134を形成する。例えば、不活性雰囲気下で、スピナー、スリットコーター等のコーティング装置を用いて、ゼオライトを含む感光性樹脂を塗布すれば良い。
【0121】
そして、マスク135を用いて樹脂層134に対して選択的に露光を行う。なお、ゼオライトを含む感光性樹脂は、酸素存在下で、光による硬化が起こりにくい場合がある。この場合、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気で、樹脂層134を硬化させることが好ましい。ここでは、窒素雰囲気下で露光を行う。
【0122】
その後、現像を行うことで、樹脂層134から隔壁124を形成する(図3(C))。
【0123】
なお、隔壁124の形成方法はこれに限られず、スクリーン印刷法や、インクジェット法を用いて形成しても良い。
【0124】
次に、隔壁124に含まれる水分等の不純物を除去するため、加熱処理を行う。本実施の形態では、第1の基板801を洗浄し、窒素雰囲気下で200〜300℃(好ましくは250〜300℃)の加熱処理を行い、さらに真空中で200〜300℃(好ましくは250〜300℃)の加熱処理を行う。
【0125】
真空中での加熱処理の後は、大気にさらすことなく第1の基板801を搬送し、蒸着を行い、第1の電極118及び隔壁124上にEL層120を形成する。そして、EL層120上に、第2の電極122を形成する。以上の工程により、第1の基板801上に発光素子130を作製することができる。
【0126】
(構成例2)
次に、構成例2(図1(C))の作製方法の一例について、図3、4を用いて説明する。
【0127】
まず、第1の基板801上に第1の電極118を形成する(図3(A))。
【0128】
次に、第1の電極118上に、物理吸着型乾燥剤125を含む第1の層124aを形成する。第1の層124aは、構成例1を作製する際の樹脂層134の形成方法と同様の方法で形成することができる。本実施の形態では、ゼオライトを含む感光性樹脂を塗布することで第1の樹脂層134aを形成し、マスク135を用いて第1の樹脂層134aに対して選択的に露光を行う(図4(A))。そして、現像を行った後、加熱処理を行うことで第1の層124aを形成する(図4(B))。
【0129】
次に、第1の層124a上に、物理吸着型乾燥剤125を含まない第2の樹脂層134bを形成する。本実施の形態では、窒素雰囲気下で、コーティング装置を用いて、第1の樹脂層134aに用いる感光性樹脂と同じ樹脂を塗布する。
【0130】
次に、マスク135を用いて第2の樹脂層134bに対して選択的に露光を行う(図4(C))。
【0131】
その後、現像を行い、加熱処理を行うことで、第2の層124bを形成する。以上により、第1の層124a及び第2の層124bからなる隔壁124を形成する(図4(D))。本作製方法では、第1の層124a及び第2の層124bを、一つのフォトマスクを用いて形成することができ、作製に要するマスク枚数が増えないため、好ましい。
【0132】
なお、第1の樹脂層134a及び第2の樹脂層134bを順に塗布した後、一度に露光や現像、加熱処理を行うことで、第1の層124a及び第2の層124bを形成しても良く、作製工程が少なくなるため、好ましい。
【0133】
以降は、構成例1と同様の工程を行うことで、第1の基板801上に発光素子130を作製することができる(図4(C))。
【0134】
(構成例3)
構成例3(図2(A))は、例えば、構成例2の作製方法において、第1の樹脂層134aに用いる感光性樹脂と、第2の樹脂層134bに用いる感光性樹脂を異なる材料とし、第1の層204aと第2の層204bの現像のレートに差をつけることで作製することができる。
【0135】
(構成例4)
構成例4(図2(B))は、例えば、構成例2の作製方法において、第1の樹脂層134aを露光する際に用いるマスクと、第2の樹脂層134bを露光する際に用いるマスクとを異なるものとすることで、作製することができる。
【0136】
(構成例5〜7)
構成例5〜7(図2(C)〜(E))では、第1の樹脂層134aを、物理吸着型乾燥剤125を含まない感光性樹脂を用いて形成し、第2の樹脂層134bを、物理吸着型乾燥剤125を含む感光性樹脂を用いて形成する。それ以外の方法は、構成例5は、構成例4と同じ方法を適用することができる。同様に、構成例6は、構成例2と同じ方法を、構成例7は、構成例3と同じ方法を適用することができる。
【0137】
構成例2、3、6、7は、隔壁が複数の層からなるが、単層の場合と同じ枚数のマスクで作製することができるため、好ましい。
【0138】
以上のように、本発明の一態様の発光装置を作製することができる。
【0139】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0140】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図5を用いて説明する。図5(A)は本発明の一態様の発光装置を示す平面図であり、図5(B)は、発光装置が備える発光部の一例を示す断面図であり、図5(C)は、図5(A)を鎖線C−Dで切断した断面図である。
【0141】
本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、第1の基板801上に、発光部802、駆動回路部803(ゲート側駆動回路部)、駆動回路部804(ソース側駆動回路部)及び封止材805を有する。発光部802及び駆動回路部803、804は、第1の基板801、第2の基板806及び封止材805で形成された空間に封止されている。
【0142】
該発光装置は、第1の基板801、第2の基板806、及び封止材805に囲まれた空間810内に、発光部802(発光素子130)を備えることから、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。
【0143】
図5(C)に示す発光部802は、スイッチング用のトランジスタ140aと、電流制御用のトランジスタ140bと、電流制御用トランジスタ140bの配線(ソース電極またはドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極118とを含む複数の発光ユニットにより形成されている。
【0144】
発光素子130は、第1の電極118、発光性の有機化合物を含む層(EL層)120、及び第2の電極122によって構成されている。また、第1の電極118の端部を覆って隔壁124が形成されている。また、隔壁124は、最大粒径が1nm以上EL層120の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤125を含む。
【0145】
本実施の形態の発光装置において、隔壁124は、物理吸着型乾燥剤125を含む。したがって、作製工程中等に発光装置の内部に侵入し残留した不純物を、物理吸着型乾燥剤125によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した不純物により、発光素子130が劣化することを抑制できる。
【0146】
さらに、本実施の形態の発光装置において、隔壁124に含まれる物理吸着型乾燥剤125は、最大粒径が1nm以上EL層120の膜厚以下である。よって、物理吸着型乾燥剤125に由来する凹凸により、EL層120が形成されない欠損箇所が生じることを抑制し、隔壁124の端部付近において第1の電極118と第2の電極122が短絡することを抑制することができる。
【0147】
図5(B)に、発光部802の別の構成を示す。図5(B)に示す発光部802は、隔壁124上にスペーサ137を有する。発光装置において、隔壁124上にスペーサ137を備えることで、一対の基板(第1の基板801及び第2の基板806)の間隔を一定に保つことができる。スペーサ137の形状は逆テーパ形状に限られず、テーパ形状であっても良い。
【0148】
なお、図2(A)に示した本発明の一態様の隔壁124は、膜厚等を適宜選択することで、第2の層124bがスペーサの機能を担う構成とすることができる。
【0149】
第1の基板801上には、駆動回路部803、804に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、またはリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC808(Flexible Printed Circuit)を設ける例を示している。なお、FPC808にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。本明細書における発光装置は、発光装置本体だけでなく、発光装置本体にFPCまたはPWBが取り付けられた状態のものも範疇に含むものとする。
【0150】
駆動回路部803、804は、トランジスタを複数有する。図5では、駆動回路部803が、nチャネル型のトランジスタ152及びpチャネル型のトランジスタ153を組み合わせたCMOS回路を有する例を示している。駆動回路部の回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成することができる。また、本実施の形態では、発光部が形成された基板上に駆動回路が形成されたドライバー一体型を示すが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、発光部が形成された基板とは別の基板に駆動回路を形成することもできる。
【0151】
<本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料>
以下に本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、基板、発光素子、封止材、空間、物理吸着型乾燥剤及び隔壁については、実施の形態1で例示した材料を適用することができる。
【0152】
[トランジスタ]
本発明の一態様の発光装置に用いるトランジスタ(トランジスタ140a、140b、152、153等)の構造は特に限定されない。トップゲート型のトランジスタを用いても良いし、逆スタガ型などのボトムゲート型のトランジスタを用いても良い。また、チャネルエッチ型やチャネルストップ(チャネル保護)型としても良い。また、トランジスタに用いる材料についても特に限定されない。
【0153】
ゲート電極は、例えば、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらの元素を含む合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0154】
ゲート絶縁層は、例えば、プラズマCVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン又は酸化アルミニウムを単層で又は積層して形成することができる。
【0155】
半導体層は、シリコン半導体や酸化物半導体を用いて形成することができる。シリコン半導体としては、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどがあり、酸化物半導体としては、In−Ga−Zn−O系金属酸化物などを、適宜用いることができる。ただし、半導体層110としては、In−Ga−Zn−O系金属酸化物である酸化物半導体を用いて、オフ電流の低い半導体層とすることで、後に形成される発光素子130のオフ時のリーク電流が抑制できるため、好ましい。
【0156】
ソース電極層及びドレイン電極層としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、又は該元素を含む金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方又は双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜又はそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。また、ソース電極層112a及びドレイン電極層112bは、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In等)、酸化スズ(SnO等)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛(In−ZnO等)又はこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0157】
[第1の絶縁層114、第2の絶縁層116]
第1の絶縁層114は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏する。第1の絶縁層114としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0158】
第2の絶縁層116としては、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択するのが好適である。例えば、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン等の有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、第2の絶縁層116を形成してもよい。
【0159】
第1の絶縁層114や第2の絶縁層116は、最大粒径が1nm以上各絶縁層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含んでいても良い。特に該絶縁膜が、最大粒径が1nm以上各絶縁層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。
【0160】
発光装置を構成する絶縁膜に物理吸着型乾燥剤を含むことで、発光装置の内部に存在する不純物を、より吸着することができる。よって、トランジスタ及び発光素子の間に設けられた絶縁膜(層間絶縁膜)や、第1の基板と有機EL素子との間に設けられた下地膜等に、該乾燥剤を含む構成も、本発明の一態様に含まれる。これら絶縁膜に含まれる乾燥剤は、有機EL素子を駆動するトランジスタの表面や内部に侵入し残留した不純物を、吸着することができる。したがって、不純物により発光素子が劣化することをさらに抑制することができる。
【0161】
[スペーサ137]
スペーサ137は、無機絶縁材料、有機絶縁材料、金属材料を用いて形成することができる。例えば、無機絶縁材料としては、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。有機絶縁材料としては、感光性樹脂、非感光性樹脂などを用いることができる。また、金属材料としては、チタン、アルミニウムなどを用いることができる。
【0162】
スペーサは、最大粒径が1nm以上該スペーサの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含むことが好ましい。特にスペーサが、最大粒径が1nm以上該スペーサの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。隔壁だけでなく、スペーサにも物理吸着型乾燥剤を含むことで、発光装置の内部に存在する不純物を、より吸着することができる。したがって、発光装置の内部に存在する不純物により発光素子が劣化することをさらに抑制することができる。
【0163】
[カラーフィルタ166、ブラックマトリクス164]
基板806には、発光素子130(の発光領域)と重なる位置に、着色層であるカラーフィルタ166が設けられている。カラーフィルタ166は、発光素子130からの発光色を調色する目的で設けられる。例えば、白色発光の発光素子を用いてフルカラーの表示装置とする場合には、異なる色のカラーフィルタを設けた複数の発光ユニットを用いる。その場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色を用いても良いし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。
【0164】
カラーフィルタは、最大粒径が1nm以上該カラーフィルタの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含んでいても良い。特にカラーフィルタは、最大粒径が1nm以上該カラーフィルタの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。特に、カラーフィルタに含まれる物理吸着型乾燥剤の最大粒径は、300nm以下であることが好ましい。
【0165】
また、隣接するカラーフィルタ166の間(発光素子130の発光領域と重ならない位置)にはブラックマトリクス164が設けられている。ブラックマトリクス164は隣接する発光ユニットの発光素子130からの光を遮光し、隣接する発光ユニット間における混色を抑制する。ここで、カラーフィルタ166の端部を、ブラックマトリクス164と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。ブラックマトリクス164は、発光素子130からの発光を遮光する材料を用いることができ、金属や、有機樹脂などの材料を用いて形成することができる。なお、ブラックマトリクス164は、駆動回路部803などの発光部802以外の領域に設けても良い。
【0166】
ブラックマトリクスは、最大粒径が1nm以上該ブラックマトリクスの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含んでいても良い。特にブラックマトリクスは、最大粒径が1nm以上該ブラックマトリクスの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。
【0167】
また、カラーフィルタ166及びブラックマトリクス164を覆うオーバーコート層168が形成されている。オーバーコート層168は、発光素子130からの発光を透過する材料から構成され、例えば無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。なお、オーバーコート層168は不要ならば設けなくても良い。
【0168】
オーバーコート層は、最大粒径が1nm以上該オーバーコート層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含んでいても良い。特にオーバーコート層は、最大粒径が1nm以上該オーバーコート層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。特に、オーバーコート層に含まれる物理吸着型乾燥剤の最大粒径は、300nm以下であることが好ましい。
【0169】
本発明の一態様の発光装置は、カラーフィルタ、ブラックマトリクス、オーバーコート層の少なくともいずれか一に物理吸着型乾燥剤を含む構成とすることで、作製工程中等に、発光装置の内部に侵入し発光装置の内部に残留した不純物を、該物理吸着型乾燥剤によって吸着することができる。
【0170】
例えば、該物理吸着型乾燥剤は、第1の基板、第2の基板、第1の基板上に設けられた各膜、又は第2の基板上に設けられた各膜の、表面や内部に侵入し残留した不純物を吸着することができる。特に、該乾燥剤を含む層と近接している膜等(第2の基板や、第2の基板上に設けられた着色層、ブラックマトリクス、オーバーコート層等)の表面や内部に侵入し残留した不純物を、容易に吸着することができる。
【0171】
また、封止能力が低下し、外部から発光装置内に不純物が侵入した場合でも、該物理吸着型乾燥剤によって不純物を吸着することができる。したがって、不純物により発光素子が劣化することをさらに抑制することができる。
【0172】
なお、スペーサ、絶縁膜、カラーフィルタ、ブラックマトリクス、及びオーバーコート層において、物理吸着型乾燥剤を含みすぎると、それぞれの層が担う機能を果たせなくなる恐れがあるため、それぞれの層に含まれる物理吸着型乾燥剤は、50wt%以下が好ましく、30wt%以下がさらに好ましい。
【0173】
また、オーバーコート層及びカラーフィルタは、発光素子が発する光を発光装置の外部に取り出す際に、該光が通過する層であるため、光の散乱が起こりにくいことが好ましい。よって、オーバーコート層及びカラーフィルタに含む物理吸着型乾燥剤は、最大粒径が1nm以上300nm以下であると好ましい。
【0174】
なお、本実施の形態では、カラーフィルタ方式を用いた発光装置を例に説明したが、本発明の構成はこれに限られない。例えば、塗り分け方式や、色変換方式を適用しても良い。なお、着色層の一例である、色変換方式を適用する際に用いる色変換層についても、物理吸着型乾燥剤を含ませることができる。具体的には、最大粒径が1nm以上該色変換層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く50wt%以下の割合で含んでいても良い。特に、最大粒径が1nm以上該色変換層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0wt%より多く30wt%以下の割合で含むことが好ましい。特に、色変換層に含まれる物理吸着型乾燥剤の最大粒径は、300nm以下が好ましい。
【0175】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0176】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に適用することができるEL層の構成例について、図6を用いて説明する。
【0177】
EL層には公知の物質を用いることができ、低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもできる。なお、EL層を形成する物質には、有機化合物のみから成るものだけでなく、無機化合物を一部に含む構成も含めるものとする。
【0178】
図6(A)では、第1の電極118及び第2の電極122の間にEL層120を有する。図6(A)に示すEL層120は、第1の電極118側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704及び電子注入層705の順で積層されている。
【0179】
EL層は、図6(B)に示すように、第1の電極118と第2の電極122との間に複数積層されていても良い。この場合、積層された第1のEL層120aと第2のEL層120bとの間には、電荷発生層709を設けることが好ましい。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
【0180】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つ以上のEL層を有する発光素子の場合でも同様である。
【0181】
EL層120は、図6(C)に示すように、第1の電極118と第2の電極122との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2の電極122と接する複合材料層708を有していても良い。
【0182】
第2の電極122と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2の電極122を形成する際に、EL層120が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。
【0183】
電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
【0184】
電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0185】
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0186】
以下に、それぞれの層に用いることができる材料を例示する。なお、各層は、単層に限られず、二層以上積層しても良い。
【0187】
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物や、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物等を用いることができる。
【0188】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0189】
さらに、高分子化合物を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0190】
特に、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、第1の電極118からの正孔注入性を良好にし、発光素子の駆動電圧を低減することができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。該複合材料を用いて正孔注入層701を形成することにより、第1の電極118からEL層120への正孔注入が容易となる。
【0191】
複合材料に用いる有機化合物は、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0192】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
【0193】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0194】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0195】
また、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物を用いることができる。
【0196】
電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため、特に好ましい。
【0197】
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、NPB、TPD、BPAFLP、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0198】
また、正孔輸送層702には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体や、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0199】
発光層703は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0200】
発光層703に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)]−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0201】
また、発光層703に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{2−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルピラジナト}イリジウム(III)(略称:Ir(dmmoppr)(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、(ジピバロイルメタナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)を有するため、燐光性化合物として用いることができる。
【0202】
なお、発光層703としては、上述した発光性の有機化合物(発光物質、ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、ゲスト材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0203】
ホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0204】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0205】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0206】
また、発光層703として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:PFO)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
【0207】
また、発光層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光層を2つ有する発光素子において、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。また、発光層を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
【0208】
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、Alq、Almq、BeBq、BAlqなど、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBD、OXD−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。
【0209】
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層705には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
【0210】
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0211】
図6(B)に示す電荷発生層709は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層709は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。
【0212】
図6(C)に示す複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。
【0213】
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0214】
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0215】
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0216】
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0217】
電子リレー層707に含まれるフタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、SnPc(Phthalocyanine tin(II) complex)、ZnPc(Phthalocyanine zinc complex)、CoPc(Cobalt(II)phthalocyanine, β−form)、FePc(Phthalocyanine Iron)及びPhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)のいずれかを用いることが好ましい。
【0218】
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。
【0219】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。具体的には、VOPc(Vanadyl phthalocyanine)、SnOPc(Phthalocyanine tin(IV) oxide complex)、TiOPc(Phthalocyanine titanium oxide complex)は、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高いため好ましい。
【0220】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0221】
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいても良い。ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)の他、TTN、ニッケロセン、デカメチルニッケロセンなどの有機化合物を用いることができる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0222】
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0223】
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等が挙げられる。
【0224】
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN))、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等が挙げられる。
【0225】
その他にも、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン)(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を用いることができる。
【0226】
なお、電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質とドナー性物質との共蒸着などの方法によって電子リレー層707を形成すれば良い。
【0227】
以上により、本実施の形態のEL層を作製することができる。
【0228】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0229】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置を用いて完成させた様々な電子機器および照明器具の一例について、図7乃至図9を用いて説明する。
【0230】
本発明の一態様の発光装置は、有機EL素子の劣化を抑制でき、かつ、下部電極と上部電極が短絡し難い。したがって、本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性の高い電子機器及び照明装置を実現することができる。
【0231】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器および照明器具の具体例を図7乃至図9に示す。
【0232】
図7(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、本発明の一態様の発光装置を表示部7103に用いることができる。本発明の一態様の発光装置を表示部7103に用いることで、信頼性の高いテレビジョン装置を実現することができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
【0233】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0234】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0235】
図7(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、本発明の一態様の発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。本発明の一態様の発光装置を表示部7203に用いることで、信頼性の高いコンピュータを実現することができる。
【0236】
図7(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図7(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に本発明の一態様の発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。本発明の一態様の発光装置を表示部7304又は/及び表示部7305に用いることで、信頼性の高い携帯型遊技機を実現することができる。図7(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図7(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0237】
図7(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、本発明の一態様の発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。本発明の一態様の発光装置を表示部7402に用いることで、信頼性の高い携帯電話機を実現することができる。
【0238】
図7(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0239】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0240】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0241】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0242】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0243】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0244】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0245】
図7(E)は卓上照明器具であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源7506を含む。なお、卓上照明器具は、本発明の一態様の発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。本発明の一態様の発光装置を照明部7501に用いることで、信頼性の高い卓上照明器具を実現することができる。なお、照明器具には天井固定型の照明器具又は壁掛け型の照明器具なども含まれる。
【0246】
図8は、本発明の一態様の発光装置を、室内の照明装置811に用いた例である。本発明の一態様の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置に用いることができる。その他、ロール型の照明装置812として用いることもできる。なお、図8に示すように、室内の照明装置811を備えた部屋で、図7(E)で説明した卓上照明器具813を併用してもよい。
【0247】
図9(A)(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図9(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
【0248】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9037にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、残りの半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
【0249】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタンを表示することができる。
【0250】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
【0251】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
【0252】
また、図9(A)では表示部9631aと表示部9631bの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方の表示部のサイズと他方の表示部のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
【0253】
図9(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図9(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
【0254】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0255】
また、この他にも図9(A)(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0256】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面または二面に設けることで、効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好適である。なお、バッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0257】
また、図9(B)に示す充放電制御回路9634の構成及び動作について、図9(C)にブロック図を示し説明する。図9(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図9(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0258】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
【0259】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力電送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
【0260】
以上のように、本発明の一態様の発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。本発明の一態様の発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0261】
なお、本実施の形態に示す構成は、先の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0262】
110 半導体層
112a ソース電極層
112b ドレイン電極層
114 第1の絶縁層
116 第2の絶縁層
118 第1の電極
120 EL層
120a 第1のEL層
120b 第2のEL層
122 第2の電極
124 隔壁
124a 第1の層
124b 第2の層
125 物理吸着型乾燥剤
126 物理吸着型乾燥剤
130 発光素子
134 樹脂層
134a 第1の樹脂層
134b 第2の樹脂層
135 マスク
137 スペーサ
140a トランジスタ
140b トランジスタ
152 トランジスタ
153 トランジスタ
164 ブラックマトリクス
166 カラーフィルタ
168 オーバーコート層
204 隔壁
204a 第1の層
204b 第2の層
214 隔壁
214a 第1の層
214b 第2の層
224 隔壁
224a 第1の層
224b 第2の層
234 隔壁
234a 第1の層
234b 第2の層
244 隔壁
244a 第1の層
244b 第2の層
701 正孔注入層
702 正孔輸送層
703 発光層
704 電子輸送層
705 電子注入層
706 電子注入バッファー層
707 電子リレー層
708 複合材料層
709 電荷発生層
801 第1の基板
802 発光部
803 駆動回路部
804 駆動回路部
805 封止材
806 第2の基板
810 空間
811 照明装置
812 照明装置
813 卓上照明器具
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源
9033 具
9034 スイッチ
9035 電源スイッチ
9036 スイッチ
9037 操作キー
9038 操作スイッチ
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a 領域
9632b 領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 コンバータ
9639 ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板及び封止体に囲まれた空間内に、発光素子及び隔壁を含む発光部を備え、
前記発光素子は、前記第1の基板上に設けられた第1の電極、前記第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層、及び前記発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極を備え、
前記隔壁は、前記第1の電極の端部を覆い、かつ前記発光素子の発光領域と重なる位置に開口部が設けられ、
前記隔壁は、最大粒径が1ナノメートル以上前記発光性の有機化合物を含む層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を含む発光装置。
【請求項2】
互いに対向する第1の基板及び第2の基板と、
発光素子及び隔壁を含む発光部と、
前記発光部の外周を囲むように設けられた封止材と、を有し、
前記第1の基板、前記第2の基板及び前記封止材に囲まれた空間内に前記発光部を備え、
前記発光素子は、前記第1の基板上に設けられた第1の電極、前記第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層、及び前記発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極を備え、
前記隔壁は、前記第1の電極の端部を覆い、かつ前記発光素子の発光領域と重なる位置に開口部が設けられ、
前記隔壁は、最大粒径が1ナノメートル以上前記発光性の有機化合物を含む層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を含む発光装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記隔壁が、0重量パーセントより多く30重量パーセント以下の割合で前記物理吸着型乾燥剤を含む発光装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、
前記物理吸着型乾燥剤が、ゼオライトである発光装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか一項において、
前記隔壁が、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、又はフェノール系樹脂を含む発光装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか一項において、
前記隔壁が、前記物理吸着型乾燥剤を含まない第1の層と、前記物理吸着型乾燥剤を含む第2の層と、の積層構造である発光装置。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のいずれか一項において、
前記隔壁上にスペーサを備え、
前記スペーサは、最大粒径が1ナノメートル以上前記スペーサの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0重量パーセントより多く50重量パーセント以下の割合で含む発光装置。
【請求項8】
請求項2乃至請求項7のいずれか一項において、
前記発光部は、前記第1の電極と電気的に接続するトランジスタを備え、
前記トランジスタ及び前記発光素子の間に設けられた絶縁膜は、最大粒径が1ナノメートル以上前記絶縁膜の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0重量パーセントより多く50重量パーセント以下の割合で含む発光装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第2の基板は、前記発光素子の発光領域と重なる位置に着色層を備え、
前記着色層は、最大粒径が1ナノメートル以上前記着色層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0重量パーセントより多く50重量パーセント以下の割合で含む発光装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9において、
前記第2の基板は、前記発光素子の発光領域と重ならない位置に、ブラックマトリクスを備え、
前記ブラックマトリクスは、最大粒径が1ナノメートル以上前記ブラックマトリクスの膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0重量パーセントより多く50重量パーセント以下の割合で含む発光装置。
【請求項11】
請求項8乃至請求項10のいずれか一項において、
前記第2の基板は、
前記発光素子の発光領域と重なる位置に設けられた着色層と、
前記発光領域と重ならない位置に設けられたブラックマトリクスと、
前記着色層及び前記ブラックマトリクスを覆うオーバーコート層と、を有し、
前記オーバーコート層は、最大粒径が1ナノメートル以上前記オーバーコート層の膜厚以下の物理吸着型乾燥剤を、0重量パーセントより多く50重量パーセント以下の割合で含む発光装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の発光装置を表示部に有する電子機器。
【請求項13】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の発光装置を照明部に有する照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−69480(P2013−69480A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205992(P2011−205992)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】