説明

発光装置及びその作製方法、並びに、携帯電話機

【課題】柔軟性があり、形状を変えることができる発光装置、及び、そのような発光装置を組み込んだ携帯電話機を作製することを課題とする。
【解決手段】第1の電極と、前記第1の電極上の発光層と、前記発光層上に配置されかつ凸部を有する第2の電極とを有する第1のフレキシブル基板と、半導体回路と、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極とを有する第2のフレキシブル基板とを有し、前記第2の電極の凸部と前記第3の電極は、電気的に接続されている発光装置及びその作製方法、並びに、前記発光装置を組み込み、長手方向と短手方向を有する筐体と、前記発光装置は、前記筐体の正面及び長手方向の上部に配置されている携帯電話機に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される発明は、発光装置及びその作製方法、並びに、携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子を有する発光装置を作製する際には、ガラス基板などの基板上に半導体プロセスを用いて発光素子を駆動するための半導体回路を形成し、当該半導体回路上に絶縁膜(平坦化膜)を形成し、その上に発光素子を形成していた。つまり、基板上に下から順番に積み上げるようにして発光素子を駆動するための半導体回路と発光素子とを形成していた。
【0003】
従来の作製工程によって作製した発光装置は、発光素子を駆動するための半導体回路上に発光素子を形成しているため、発光素子よりも下層に形成される素子や配線などに起因する段差などが存在していた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−258211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、発光素子よりも下層に形成される素子や配線などに起因する段差などによってカバレッジ不良などが発生する恐れがあることが課題の1つである。
【0006】
また、発光素子を駆動するための半導体回路を形成し、さらにその上に発光素子を作製すると、作製時間が長くなるという問題や作製コストが高くなるということも課題の1つである。
【0007】
また、発光素子中の発光層は水分に弱いので、発光層に水分が混入しないようにしなくてはならないことも課題の1つである。
【0008】
また、例えばガラス基板のような硬い基板上に発光素子やそれを駆動する半導体回路を作製すると、柔軟性が無く形状を変えることができないので、様々な形状の電子機器に組み込むことができないことも課題の1つである。
【0009】
また、柔軟性のあるフレキシブル基板上に、発光素子やそれを駆動する半導体回路を作製した場合、基板の形状を自由に変えられるが、応力がかかると発光素子及びそれを駆動する半導体回路が壊れる恐れがあることも課題の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の問題を鑑み、本明細書に開示される発明においては、発光素子を駆動する半導体回路と発光素子をフレキシブル基板に配置し、貼り合わせ、発光素子とそれを駆動する半導体回路を電気的に接続する。発光素子とそれを駆動する半導体回路は別の基板上に形成し、それぞれ基板から分離して、さらにそれぞれフレキシブル基板に配置して貼り合わせてもよい。
【0011】
発光素子とそれを駆動する半導体回路を別々の基板上に配置するので、発光素子よりも下層に半導体回路が形成されない。
【0012】
また、発光素子の一部に凸部を形成し、発光素子とそれを駆動する半導体回路を貼り合わせたときに、それらの間に空隙部ができるように配置する。その空隙部に乾燥剤を配置することができる。
【0013】
また、発光素子やそれを駆動する半導体回路をフレキシブル基板上に配置することができるので、それぞれを貼り合わせても形状を変えることができる。
【0014】
さらに、発光素子やそれを駆動する半導体回路をフレキシブル基板上に配置しても、発光素子とそれを駆動する半導体回路との間に、応力を緩和する空間(空隙部)ができるように配置する。
【0015】
本明細書に開示される発明は、第1の電極と、前記第1の電極上の発光層と、前記発光層上に配置されかつ凸部を有する第2の電極とを有する第1のフレキシブル基板と、半導体回路と、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極とを有する第2のフレキシブル基板とを有し、前記第2の電極の凸部と前記第3の電極は、電気的に接続されていることを特徴とする発光装置に関する。
【0016】
前記第1のフレキシブル基板と前記第2のフレキシブル基板とが対向配置されることによって生じた空隙部に乾燥剤が装入されていることを特徴とする発光装置に関する。
【0017】
また本明細書に開示される発明は、第1の電極と、前記第1の電極上の発光層と、前記発光層上に配置されかつ凸部を有する第2の電極とを有する第1のフレキシブル基板と、半導体回路と、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極とを有する第2のフレキシブル基板とを有し、前記第2の電極の凸部と前記第3の電極は、導電性粒子を含む異方性導電膜により電気的に接続されていることを特徴とする発光装置に関する。
【0018】
前記半導体回路を覆って、繊維体と有機樹脂を有する構造体と、前記構造体を貫通する導電性樹脂である前記第3の電極とを有することを特徴とする発光装置に関する。
【0019】
第1の基板上に、第1の分離層、第1の絶縁膜、第1の電極、発光層、凸部を有する第2の電極を形成し、前記第1の分離層を用いて、前記第1の基板と、前記第1の絶縁膜、前記第1の電極、前記発光層、前記第2の電極を分離し、第1のフレキシブル基板上に、第1の接着層を形成し、前記第1の接着層により、前記第1のフレキシブル基板上に、前記第1の絶縁膜、前記第1の電極、前記発光層、前記第2の電極を貼り合わせ、第2の基板上に、第2の分離層、第2の絶縁膜、半導体回路、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極を形成し、前記第2の分離層を用いて、前記第2の基板と、前記第2の絶縁膜、前記半導体回路、前記第3の電極を分離し、第2のフレキシブル基板上に、第2の接着層を形成し、前記第2の接着層により、前記第2のフレキシブル基板上に、前記第2の絶縁膜、前記半導体回路、前記第3の電極を貼り合わせ、前記第2の電極の凸部と前記第3の電極を、電気的に接続することを特徴とする発光装置の作製方法に関する。
【0020】
前記第1のフレキシブル基板と前記第2のフレキシブル基板とが対向配置されることによって生じた空隙部に乾燥剤が装入されていることを特徴とする発光装置の作製方法に関する。
【0021】
また本明細書に開示される発明は、第1の基板上に、第1の分離層、第1の絶縁膜、第1の電極、発光層、凸部を有する第2の電極を形成し、前記第1の分離層を用いて、前記第1の基板と、前記第1の絶縁膜、前記第1の電極、前記発光層、前記第2の電極を分離し、第1のフレキシブル基板上に、第1の接着層を形成し、前記第1の接着層により、前記第1のフレキシブル基板上に、前記第1の絶縁膜、前記第1の電極、前記発光層、前記第2の電極を貼り合わせ、第2の基板上に、第2の分離層、第2の絶縁膜、半導体回路、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極を形成し、前記第2の分離層を用いて、前記第2の基板と、前記第2の絶縁膜、前記半導体回路、前記第3の電極を分離し、第2のフレキシブル基板上に、第2の接着層を形成し、前記第2の接着層により、前記第2のフレキシブル基板上に、前記第2の絶縁膜、前記半導体回路、前記第3の電極を貼り合わせ、前記第1のフレキシブル基板と前記第2のフレキシブル基板との間に、導電性粒子を含む異方性導電性膜を形成し、前記第2の電極の凸部と前記第3の電極を、前記異方性導電膜により電気的に接続することを特徴とする発光装置の作製方法に関する。
【0022】
前記半導体回路を覆って、繊維体と有機樹脂を有する構造体を形成し、前記第3の電極として、前記構造体を貫通する導電性樹脂を形成することを特徴とする発光装置の作製方法に関する。
【0023】
また本明細書に開示される発明は、第1の電極と、前記第1の電極上の発光層と、前記発光層上に配置されかつ凸部を有する第2の電極とを有する第1のフレキシブル基板と、半導体回路と、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極とを有する第2のフレキシブル基板と、前記第2の電極の凸部と前記第3の電極は、電気的に接続されていることを特徴とする発光装置と、前記発光装置を組み込み、長手方向と短手方向を有する筐体と、前記発光装置は、前記筐体の正面及び長手方向の上部に配置されていることを特徴とする携帯電話機に関する。
【発明の効果】
【0024】
これにより、発光素子よりも下層に半導体回路が形成されないので、段差によるカバレッジ不良の発生を抑制することができる。
【0025】
また、発光素子とそれを駆動する半導体回路との間の空隙部に、乾燥剤を配置することができるので、発光層に水分が侵入するのを防ぐことができる。
【0026】
また、発光素子やそれを駆動する半導体回路をフレキシブル基板上に配置することができるので、それぞれを貼り合わせても形状を変えることができ、様々な形状の電子機器に組み込むことができる。
【0027】
さらに、フレキシブル基板上に配置された発光素子やそれを駆動する半導体回路の間に空間(空隙部)ができるので、フレキシブル基板を曲げても応力を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】発光装置の作製工程を示す断面図。
【図2】発光素子の作製工程を示す断面図。
【図3】発光素子の作製工程を示す断面図。
【図4】発光素子の作製工程を示す断面図。
【図5】発光素子の作製工程を示す断面図。
【図6】発光素子の作製工程を示す断面図。
【図7】半導体回路素子の作製工程を示す断面図。
【図8】半導体回路素子の作製工程を示す断面図。
【図9】半導体回路素子の作製工程を示す断面図。
【図10】半導体回路素子の作製工程を示す断面図。
【図11】発光装置の断面図。
【図12】発光装置の断面図。
【図13】携帯電話機の上面図及び断面図。
【図14】シート状繊維体の上面図。
【図15】シート状繊維体の上面図。
【図16】構造体の断面図。
【図17】シート状繊維体の断面図及び構造体の断面図。
【図18】半導体回路素子の作製工程を示す断面図。
【図19】発光装置の作製工程を示す断面図。
【図20】発光装置の断面図。
【図21】発光装置の断面図。
【図22】携帯電話機の上面図。
【図23】半導体回路素子の作製工程を示す断面図。
【図24】半導体回路素子の作製工程を示す断面図及び発光装置の断面図。
【図25】携帯電話機の断面図。
【図26】ELパネルの上面図。
【図27】携帯電話機の上面図及び断面図。
【図28】携帯電話機の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本明細書に開示された発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本明細書に開示された発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本明細書に開示された発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0030】
なお本明細書において、半導体回路は、半導体を利用することで機能する回路を指し、さらに半導体装置とは、半導体を利用することで機能する素子及び装置全般を指し、電子回路、液晶表示装置、発光装置等を含む電気装置およびその電気装置を搭載した電子機器をその範疇とする。
【0031】
なお本明細書において、第1や第2といった序数を用いる場合があるが、便宜的に呼んでいるだけであり、積層の順番や作製工程の順番等はこれに限定されない。
【0032】
[実施の形態1]
本実施の形態では、発光装置及びその作製方法について、図1、図2(A)〜図2(C)、図3(A)〜図3(B)、図4(A)〜図4(B)、図5(A)〜図5(B)、図6(A)〜図6(C)、図7(A)〜図7(D)、図8(A)〜図8(C)、図9(A)〜図9(C)、図10(A)〜図10(B)、図11、図12、図14(A)〜図14(B)、図15、図16、図17(A)〜図17(B)、図18(A)〜図18(B)、図19、図20、図21を用いて説明する。
【0033】
まず発光素子及びその作製方法について、図2(A)〜図2(C)、図3(A)〜図3(B)、図4(A)〜図4(B)、図5(A)〜図5(B)、図6(A)〜図6(C)を用いて説明する。
【0034】
まず、基板131上に、分離層132、下地膜102、及び、電極111を形成する(図2(A)参照)。基板131としては、ガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミック基板等を用いればよい。
【0035】
下地膜102として、酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜、酸素を含む窒化珪素膜のうちのいずれか1つ、あるいは2つ以上の積層膜とすればよい。下地膜102は、後に形成される発光層112に水分が混入するのを防ぐ機能を有する。
【0036】
分離層132として、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる層を、単層または積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
【0037】
分離層132が単層構造の場合、好ましくは、タングステン、モリブデン、タングステンとモリブデンの混合物、タングステンの酸化物、タングステンの酸化窒化物、タングステンの窒化酸化物、モリブデンの酸化物、モリブデンの酸化窒化物、モリブデンの窒化酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化窒化物、タングステンとモリブデンの混合物の窒化酸化物のいずれかを含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
【0038】
分離層132が積層構造の場合、好ましくは、1層目として、タングステン、モリブデン、タングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステンの酸化物、モリブデンの酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステンの酸化窒化物、モリブデンの酸化窒化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化窒化物を形成する。このように、分離層132を積層構造とする場合、金属膜と金属酸化膜との積層構造とすることが好ましい。金属酸化膜の形成方法の一例としては、スパッタ法により直接金属酸化膜を形成する方法、基板131上に形成した金属膜の表面を熱処理または酸素雰囲気下でのプラズマ処理により当該金属膜の表面を酸化して金属酸化膜を形成する方法などが挙げられる。
【0039】
金属膜としては、前述したタングステン(W)、モリブデン(Mo)以外に、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を用いることができる。
【0040】
なお、分離層132を形成する前に、基板131上に酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜、酸素を含む窒化珪素膜などの絶縁膜を形成し、当該絶縁膜上に分離層132を形成するようにしてもよい。基板131と分離層132との間にこのような絶縁膜を設けることにより、基板131が含む不純物が上層に侵入してしまうことを防止することができる。また、後にレーザを照射する工程があるが、その工程の際、基板131がエッチングされてしまうことを防止することができる。なお、ここで、窒素を含む酸化珪素膜と、酸素を含む窒化珪素膜とでは、前者は窒素よりも酸素を多く含み、後者は酸素よりも窒素を多く含むという意味で使い分けている。
【0041】
電極111は、透光性を有する導電膜を用いて形成すればよい。透光性を有する導電膜の材料は、酸化インジウム(In)や酸化インジウム酸化スズ合金(In―SnO;Indium Tin Oxide(ITO))などをスパッタ法や真空蒸着法などを用いて形成して用いることができる。酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)を用いても良い。また、酸化亜鉛(ZnO)も適した材料であり、さらに可視光の透過率や導電率を高めるためにガリウム(Ga)を添加した酸化亜鉛(ZnO:Ga)などを用いることができる。このような材料を用いて電極111を形成した場合、電極111は陽極となる。
【0042】
電極111を陰極とする場合には、アルミニウムなど仕事関数の低い材料の極薄膜を用いるか、そのような物質の薄膜と上述のような透光性を有する導電膜との積層構造を用いることによって作製することができる。
【0043】
次いで、下地膜102及び電極111を覆って、絶縁膜121を形成する(図2(B)参照)。絶縁膜121は、絶縁膜121には、無機材料や有機材料を用いることができる。
【0044】
無機材料として、例えば、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、ダイヤモンド状炭素(Diamond Like Carbon(DLC))のいずれか1つ、あるいは、2つ以上の積層構造を用いることができる。また、有機材料として、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン、シロキサンのうちいずれか1つ、あるいは、2つ以上の積層構造を用いればよい。
【0045】
シロキサンとは、珪素(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む、あるいは、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有するポリマー材料を出発原料として形成される。また、置換基としてフルオロ基を用いてもよく、さらに置換基として、少なくとも水素を含む有機基及びフルオロ基とを用いてもよい。
【0046】
次いで絶縁膜121を用いて、スペーサ105、隔壁104a、隔壁104bを形成する(図2(C)参照)。このとき、スペーサ105は順テーパ型、すなわち断面形状が、上底が下底より短い台形になるように形成する。また、隔壁104a及び隔壁104bはそれぞれ、逆テーパ型、すなわち断面形状が、上底が下底より長い台形になるように形成する。
【0047】
さらにスペーサ105の断面形状は、後に形成される発光層112及び電極113の被覆率が向上するように、台形の四隅が曲率半径を有する形状にしてもよい。
【0048】
隔壁104a及び隔壁104bはそれぞれ、後に形成される発光層112及び電極113を、画素ごとに分離する機能を有する。
【0049】
なお絶縁膜121を形成せずに、スペーサ105、隔壁104a、隔壁104bを、絶縁物を用いて始めからそれぞれの形状に形成してもよい。例えば、インクジェット法等で、はじめから逆テーパ型に形成してもよい。
【0050】
次いで、絶縁膜121の説明で挙げた材料いずれかを用い、下地膜102、電極111、スペーサ105、隔壁104a、隔壁104bを覆って、絶縁膜138を形成する(図3(A)参照)。あるいは、絶縁膜138は、絶縁膜121とは別の材料を用いて形成してもよい。
【0051】
絶縁膜138を用いて、スペーサ105上に、スペーサ106を形成する(図3(B)参照)。スペーサ106は順テーパ型、すなわち断面形状が、上底が下底より短い台形になるように形成する。
【0052】
なお絶縁膜138を形成せずに、スペーサ106を、絶縁物を用いて始めからその形状に形成してもよい。例えば、インクジェット法等で、はじめから順テーパ型に形成してもよい。
【0053】
スペーサ106の断面形状は、後に形成される発光層112及び電極113の被覆率が向上するように、台形の四隅が曲率半径を有する形状にしてもよい。
【0054】
スペーサ105及びスペーサ106を形成することにより、後に形成される発光層112及び電極113が、スペーサ105及びスペーサ106に沿って持ち上がることになる。すなわち、発光層112及び電極113に凸部が生じ、電極113の凸部と、後述するTFT211に電気的に接続される導電性樹脂306が、電気的に接続される。電極113の凸部及び導電性樹脂306が、電極113、発光層112、TFT211と離れた位置で接続されるので、電極113、発光層112、TFT211にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【0055】
次いで、電極111上のうち隔壁104a及び隔壁104bで囲まれた領域に、発光層112及び電極113を形成する(図4(A)参照)。なお、隔壁104a上に発光層112と同じ材料からなるEL材料層107a及び電極113と同じ材料からなる導電材料層108a、並びに、隔壁104b上には発光層112と同じ材料からなるEL材料層107b及び電極113と同じ材料からなる導電材料層108bが形成されるが、それぞれ絶縁膜からなる隔壁104a及び隔壁104bにより、電極111とは電気的に絶縁されているため発光しない。
【0056】
発光層112は、単層であってもよいし、発光層と電極111との間、あるいは、発光層と電極113との間に、電子及び正孔両キャリアの注入、移動、あるいは、再結合を行わせるための層、すなわちキャリア輸送層やキャリア注入層等を自由に組み合わせることが可能である。また、発光層112は、発光層単層である場合、あるいは、発光層及びキャリア輸送層やキャリア注入層等を組み合わせた積層構造である場合も、合わせて発光層112と呼ぶものとする。
【0057】
以下に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を構成する材料について具体的に説明する。
【0058】
正孔注入層は、電極111または電極113の一方である陽極に接して設けられ、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
【0059】
また、正孔注入層として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させたものを用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、陽極として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることができる。アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0060】
複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0061】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0062】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0063】
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0064】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0065】
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0066】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0067】
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0068】
また、正孔輸送層として、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0069】
発光層は、発光性の物質を含む層である。発光層の種類としては、発光中心物質を主成分とするいわゆる単膜の発光層であっても、ホスト材料中に発光中心材料を分散するいわゆるホスト−ゲスト型の発光層であってもどちらでも構わない。
【0070】
用いられる発光中心材料に制限は無く、公知の蛍光または燐光を発する材料を用いることができる。蛍光発光性材料としては、例えばN,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、等の他、発光波長が450nm以上の4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン、(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,13−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。燐光発光性材料としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、の他、発光波長が470nm〜500nmの範囲にある、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、発光波長が500nm(緑色発光)以上のトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等が挙げられる。以上のような材料または他の公知の材料の中から、各々の発光素子における発光色を考慮し選択すれば良い。
【0071】
ホスト材料を用いる場合は、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、NPB(またはα−NPD)、TPD、BSPBなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)などを挙げることができる。これら及び公知の物質の中から、各々が分散する発光中心物質のエネルギーギャップ(燐光発光の場合は三重項エネルギー)より大きなエネルギーギャップ(三重項エネルギー)を有する物質を有し、且つ各々の層が有すべき輸送性に合致した輸送性を示す物質を選択すればよい。
【0072】
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。
【0073】
また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0074】
また、電子輸送層と発光層との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0075】
また、電極111または電極113の他方である陰極に接して、電子注入層を設けてもよい。電子注入層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属またはそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属またはアルカリ土類金属またはそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、陰極からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
【0076】
電極113を陰極として用いる場合には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、陰極と電子輸送層との間に、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を陰極として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。
【0077】
また、電極113を陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。また、上述の複合材料を陽極に接して設けることによって、仕事関数の高低にかかわらず電極の材料を選択することができる。
【0078】
次に、図4(B)に示すようにレーザビーム134、例えばUVレーザビーム、を照射し、図5(A)に示すように分離層132及び下地膜102中に開口部135を形成する。また、レーザビーム134を照射する前に、基板131上に形成された積層体を覆って、分離のための樹脂を設けてもよい。
【0079】
開口部135を形成することにより、分離層132が一部除去されることがきっかけとなり、基板131から、下地膜102、電極111、スペーサ105、スペーサ106、隔壁104a、隔壁104b、発光層112、及び、電極113を含む積層構造体137を、簡単に分離することができる。この分離は、分離層132の内部、または分離層132と下地膜102の間を境界として行われる。
【0080】
また本実施の形態では、レーザビーム134としてUVレーザビームを用いたが、レーザビーム134の種類は、開口部135を形成できるものであれば特に制約はない。
【0081】
レーザビーム134を発振するレーザ発振器は、レーザ媒質、励起源、共振器により構成されている。レーザは、媒質により分類すると、気体レーザ、液体レーザ、固体レーザがあり、発振の特徴により分類すると、自由電子レーザ、半導体レーザ、X線レーザがあるが、本実施の形態では、いずれのレーザを用いてもよい。なお、好ましくは、気体レーザまたは固体レーザを用いるとよく、さらに好ましくは固体レーザを用いるとよい。
【0082】
気体レーザは、ヘリウムネオンレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、アルゴンイオンレーザがある。エキシマレーザは、希ガスエキシマレーザ、希ガスハライドエキシマレーザがある。希ガスエキシマレーザは、アルゴン、クリプトン、キセノンの3種類の励起分子による発振がある。アルゴンイオンレーザは、希ガスイオンレーザ、金属蒸気イオンレーザがある。
【0083】
液体レーザは、無機液体レーザ、有機キレートレーザ、色素レーザがある。無機液体レーザと有機キレートレーザは、固体レーザに利用されているネオジムなどの希土類イオンをレーザ媒質として利用する。
【0084】
固体レーザが用いるレーザ媒質は、固体の母体に、レーザ作用をする活性種がドープされたものである。固体の母体とは、結晶またはガラスである。結晶とは、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)、YLF、YVO4、YAlO3、サファイア、ルビー、アレキサンドライドである。また、レーザ作用をする活性種とは、例えば、3価のイオン(Cr3+、Nd3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Er3+、Ti3+)である。
【0085】
なお、媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。媒質として単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状のものが用いられているが、媒質としてセラミック(多結晶)を用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。また、発光に直接寄与する媒質中のNdやYbなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、媒質としてセラミックを用いると、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上が得られる。さらに、媒質としてセラミックを用いると、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
【0086】
なお、本実施の形態に用いるレーザビーム134として、連続発振型(CW)のレーザビームやパルス発振型のレーザビームを用いることができる。なお、レーザビーム134の照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロファイル等は、下地膜102及び分離層132の厚さやその材料等を考慮して適宜制御する。
【0087】
次いで、基板131から、下地膜102、電極111、スペーサ105、スペーサ106、隔壁104a、隔壁104b、発光層112、及び、電極113を含む積層構造体137を分離する(図5(B)参照)。
【0088】
また、基板141上に絶縁膜142及び接着層143を形成する(図6(A)参照)。ただし、絶縁膜142は必要に応じて形成すればよく、必要なければ形成しなくてもよい。
【0089】
基板141は、フレキシブル基板であり、かつ、透光性を有する基板である。このような基板として、透光性を有するプラスティック基板などを用いればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、などを好適に用いることができる。
【0090】
また絶縁膜142は、下地膜102の説明で挙げた材料のいずれかを用いればよい。
【0091】
接着層143は、反応硬化型、熱硬化型、紫外線硬化型等の光硬化型接着材、嫌気型などの各種硬化型接着材を用いることができる。これら接着材の材質としてはエポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0092】
次いで、積層構造体137中の下地膜102と、基板141上の接着層143を、対向させ貼り合わせる(図6(B)参照)。
【0093】
以上のようにして、フレキシブル基板上に発光素子145を作製する(図6(C)参照)。
【0094】
また以下に、発光素子を駆動する半導体回路及びその作製方法を、図7(A)〜図7(D)、図8(A)〜図8(C)、図9(A)〜図9(C)、図10(A)〜図10(B)、図11、図12、図14(A)〜図14(B)、図15、図16、図17(A)〜図17(B)、図18(A)〜図18(B)、図19、図20、図21図23(A)〜図23(B)を用いて説明する。
【0095】
まず、基板221上に、分離層222、下地膜204を形成する(図7(A)参照)。基板221、分離層222、下地膜204は、それぞれ基板131、分離層132、下地膜102の説明で述べた材料のいずれかを用いればよい。
【0096】
次いで、下地膜204上に島状半導体膜231、下地膜204及び島状半導体膜231を覆ってゲート絶縁膜205、島状半導体膜231上にゲート絶縁膜205を挟んでゲート電極236を形成する(図7(B)参照)。
【0097】
島状半導体膜231を形成する材料は、珪素(Si)やゲルマニウム(Ge)に代表される半導体材料を有する気体を用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質(アモルファス)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、あるいは微結晶(セミアモルファスもしくはマイクロクリスタルともいう)半導体、有機材料を主成分とする半導体などを用いることができる。島状半導体膜231は、スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により半導体膜を成膜した後、エッチングで島状に形成すればよい。本実施の形態では、島状半導体膜231として、島状珪素膜を形成する。
【0098】
また、島状半導体膜231の材料としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの単体のほかGaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどのような化合物半導体も用いることができる。また酸化物半導体である酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化マグネシウム亜鉛、酸化ガリウム、インジウム酸化物、及び上記酸化物半導体の複数より構成される酸化物半導体などを用いることができる。例えば、酸化亜鉛とインジウム酸化物と酸化ガリウムとから構成される酸化物半導体なども用いることができる。なお、酸化亜鉛を島状半導体膜231に用いる場合、ゲート絶縁膜205をY、Al、TiO、それらの積層などを用いるとよく、ゲート電極236、後述する電極215a及び電極215bとしては、ITO、Au、Tiなどを用いるとよい。また、ZnOにInやGaなどを添加することもできる。
【0099】
ゲート電極236は、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用い、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Baから選ばれた元素、または元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、単層構造でも複数の層を積層した構造でもよい。
【0100】
また島状半導体膜231中に、チャネル形成領域233、ソース領域またはドレイン領域の一方である領域234a、ソース領域またはドレイン領域の他方である領域234bを形成する(図7(C)参照)。領域234a及び領域234bは、島状半導体膜231中にゲート電極236をマスクとして、一導電型を有する不純物元素を添加することによって形成すればよい。一導電型を有する不純物元素は、n型を付与する不純物元素であればリン(P)やヒ素(As)を用いればよく、p型を付与する不純物元素であればホウ素(B)を用いればよい。
【0101】
また、チャネル形成領域233及び領域234a、並びに、チャネル形成領域233及び領域234bとの間に、それぞれ低濃度不純物領域を形成してもよい。
【0102】
次いで、ゲート絶縁膜205及びゲート電極236を覆って、絶縁膜206及び絶縁膜207を形成する。さらに絶縁膜207上に、領域234aに電気的に接続する電極215a、並びに、領域234bに電気的に接続する電極215bを形成する。以上述べたようにして、半導体回路に含まれるTFT211を作製する(図7(D)参照)。なお、図7(D)においてはTFTは1つしか示されていないが、TFTの数は2つ以上でもよい。複数のTFTを電気的に接続して半導体回路を形成してもよい。
【0103】
絶縁膜206及び絶縁膜207はそれぞれ、下地膜204の説明で挙げた材料のうちいずれかを用いて形成すればよい。本実施の形態では、絶縁膜206として酸素を含む窒化珪素膜を形成し、絶縁膜207として窒素を含む酸化珪素膜を形成する。これは熱処理によって、酸素を含む窒化珪素膜に含まれる水素により、島状半導体膜231のダングリングボンドを終端させるために行うものである。また絶縁膜206及び絶縁膜207は、必要に応じてどちらか一方を形成してもよい。
【0104】
電極215a及び電極215bは、それぞれゲート電極236の説明で述べた材料のうちいずれかを用いて形成すればよい。
【0105】
次いで、絶縁膜207、電極215a、電極215bを覆って絶縁膜208を形成し、絶縁膜208上に電極215aあるいは電極215bの一方と電気的に接続される電極217を形成する(図8(A)参照)。
【0106】
絶縁膜208は、有機絶縁材料または無機絶縁材料を用いて形成すればよい。
【0107】
無機材料として、例えば、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、ダイヤモンド状炭素(Diamond Like Carbon(DLC))のいずれか1つ、あるいは、2つ以上の積層構造を用いることができる。また、有機材料として、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン、シロキサンのうちいずれか1つ、あるいは、2つ以上の積層構造を用いればよい。
【0108】
電極217は、ゲート電極236の説明で挙げた材料のうちいずれかを用いて形成すればよい。
【0109】
絶縁膜208及び電極217上に、シート状繊維体302に有機樹脂301が含浸された構造体305を設ける(図8(B)参照)。このような構造体305は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的にはシート状繊維体にマトリックス樹脂を有機溶材で希釈した組成物を含浸させた後、乾燥して有機溶材を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。
【0110】
なお、本明細書の図面においては、シート状繊維体302は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。また、TFT211がシート状繊維体302の糸束よりも大きいが、TFT211の大きさがシート状繊維体302の糸束よりも小さい場合もある。
【0111】
ここで、シート状繊維体302及び有機樹脂301を有する構造体(「プリプレグ」ともいう)305について、図14(A)〜図14(B)、図15、図16、図17(A)〜図17(B)を用いて詳細に説明する。
【0112】
シート状繊維体302が糸束を経糸及び緯糸に使って製織した織布の上面図を図14(A)及び図14(B)に示し、その断面図を図17(A)に示す。さらにシート状繊維体302に有機樹脂301が含浸された構造体305の断面図を図17(B)に示す。
【0113】
シート状繊維体302は、有機化合物または無機化合物の織布または不織布である。またシート状繊維体302として、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いてもよい。
【0114】
また、シート状繊維体302は、繊維(単糸)の束(以下、糸束という。)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布で構成されてもよい。織布の場合、平織り、綾織り、繻子織り等適宜用いることができる。
【0115】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした糸束を用いてもよい。開繊加工をした糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化しやすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、シート状繊維体302の厚さを薄くすることが可能である。このため、構造体305の厚さを薄くすることが可能であり、薄型の半導体装置を作製することができる。
【0116】
図14(A)に示すように、シート状繊維体302は、一定間隔をあけた経糸302a及び一定間隔をあけた緯糸302bが織られている。このような繊維体には、経糸302a及び緯糸302bが存在しない領域(バスケットホール302cという)を有する。このようなシート状繊維体302は、有機樹脂301が繊維体に含浸される割合が高まり、シート状繊維体302の密着性を高めることができる。なお、構造体305中のバスケットホール302cには、経糸302a及び緯糸302bは存在しないが、有機樹脂301で充填されている。
【0117】
また、図14(B)に示すように、シート状繊維体302は、経糸302a及び緯糸302bの密度が高く、バスケットホール302cの割合が低いものでもよい。代表的には、バスケットホール302cの大きさが、局所的に押圧される面積より小さいことが好ましい。代表的には一辺が0.01mm以上0.2mm以下の矩形であることが好ましい。シート状繊維体302のバスケットホール302cの面積がこのように小さいと、先端の細い部材(代表的には、ペンや鉛筆等の筆記用具)により押圧されても、当該圧力をシート状繊維体302全体で吸収することが可能である。
【0118】
また、糸束内部への有機樹脂301の浸透率を高めるため、糸束に表面処理が施されても良い。例えば、糸束表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、シランカップリング材、チタネートカップリング材を用いた表面処理がある。
【0119】
また高強度繊維とは、具体的には引張弾性率が高い繊維である。または、ヤング率が高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維である。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維を用いることができる。なお、シート状繊維体302は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0120】
シート状繊維体302に含浸される有機樹脂301は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理によりシート状繊維体を半導体素子層に固着することが可能である。なお、有機樹脂301はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0121】
有機樹脂301または繊維の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等がある。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱伝導性フィラーが有機樹脂または糸束内に含まれることにより素子層での発熱を外部に放出しやすくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の破壊を低減することができる。
【0122】
なお図14(A)及び図14(B)では、経糸及び緯糸をそれぞれ1本ずつ編んで形成したシート状繊維体を示しているが、経糸及び緯糸の数はこれに限定されるものではない。経糸及び緯糸の数はそれぞれ必要に応じて決めればよい。例えば、経糸及び緯糸をそれぞれ10本ずつ束ねたものを一束として編んで形成した、シート状繊維体の上面図を図15に、断面図を図16に示す。なお図15においては、シート状繊維体302は有機樹脂301に含浸されており、構造体305を形成している。
【0123】
次いで、構造体305上、かつ電極217上に、導電性樹脂306を配置する(図8(C)参照)。本実施の形態では、導電性樹脂306として金属元素を含む導電ペースト、例えば銀ペーストを用いる。金属元素は、金属粒子として導電ペーストに含まれていればよい。
【0124】
また導電ペーストは、好ましくは、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)のいずれかを含むペーストであればよい。
【0125】
構造体305上に導電性樹脂306に配置する方法は、スクリーン印刷やインクジェット法を用いればよい。
【0126】
構造体305上に導電性樹脂306を配置すると、構造体305中の有機樹脂301と、導電性樹脂306の成分、例えば導電ペーストを用いる場合はペーストが反応し、有機樹脂301の一部が溶解し、導電性樹脂306それぞれの中の金属粒子がシート状繊維体302の隙間を通り抜け、導電性樹脂306が最初に形成された面(第1の面)の反対の面(第2の面)にまで金属粒子が移動する。これにより構造体305の内部に貫通電極が形成される(図9(A)参照)。
【0127】
なお構造体305の第2の面での導電性樹脂306の面積は、第1の面での面積よりも小さくてもよく、また大きくてもよい。すなわち、導電性樹脂306の構造体305の内部への移動は、収斂しながらの移動でも、広がりながらの移動でもよい。
【0128】
構造体305に貫通孔(コンタクトホールともいう)を形成しない、すなわちシート状繊維体302を分断しないことで、構造体305の強度を維持したまま、構造体305の一方の面と他方の面を電気的に接続させることができる。
【0129】
その後加熱工程及び圧着工程を行い、構造体305中の溶けなかった有機樹脂301を硬化させる。
【0130】
ここで、基板221から構造体305までの積層構造、並びに、導電性樹脂306を積層構造体237と呼ぶことにする。
【0131】
次に、図9(B)に示すように、後の分離工程を容易に行うために、構造体305側から、分離層222から構造体305までの積層構造に、レーザビーム225を照射して、図9(C)に示すように、分離層222、下地膜204、ゲート絶縁膜205、絶縁膜206、絶縁膜207、絶縁膜208、構造体305の積層構造に、溝227を形成してもよい。レーザビーム225は、レーザビーム134の説明で述べたいずれかを用いればよい。
【0132】
次に溝227をきっかけとして、分離層222及び下地膜204の界面において、分離層222が形成される基板221と、下地膜204、ゲート絶縁膜205、絶縁膜206、絶縁膜207、絶縁膜208、構造体305、TFT211を有する積層構造体232とを、物理的手段により分離する(図10(A)参照)。
【0133】
物理的手段とは、力学的手段または機械的手段を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を加える手段を指しており、その手段は、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラを回転させながら分離する処理)である。このとき、構造体305表面に光または熱により剥離可能な粘着シートを設けると、さらに分離が容易となる。
【0134】
また、溝227に液体を滴下し、分離層222及び下地膜204の界面に液体を浸透させて、分離層222から積層構造体232を剥離してもよい。この場合、溝227にのみ液体を滴下してもよいし、または基板221上に作製された積層構造全体を液体に浸して、溝227から分離層222及び下地膜204の界面に液体を浸透させても良い。
【0135】
また、図9(C)において、溝227にNF、BrF、ClF等のフッ化ガスを導入し、分離層222をフッ化ガスでエッチングし除去して、基板221から積層構造体232を分離する方法を用いることができる。
【0136】
また、絶縁膜202及び接着層203を形成した基板201を用意し、次いで、積層構造体232中の下地膜204と、基板201上の接着層203を、対向させ貼り合わせる。基板201、絶縁膜202、接着層203は、それぞれ基板141、絶縁膜142、接着層143の説明で述べた材料を用いればよい。以上のようにして半導体回路素子235が作製される(図10(B)参照)。
【0137】
次いで、発光素子145と半導体回路素子235を対向させる(図1参照)。このとき、電極113の凸部と導電性樹脂306が重なるように対向させる。
【0138】
電極113の凸部と導電性樹脂306を直接接合させた場合を図11に示す。直接接合させる前に、発光素子145及び半導体回路素子235それぞれの表面をプラズマ処理することが好ましい。また電極113と導電性樹脂306を通電させることにより、接合がより強固になる。
【0139】
また電極113、隔壁104a、構造体305に囲まれた空間241が生じ、空間241に乾燥剤242を配置すると、発光層112に水分が侵入するのを防ぐことができる。
【0140】
さらに、空間241が存在するので、基板141及び基板201を曲げても応力を緩和することができる。
【0141】
また、発光素子145と半導体回路素子235を、異方性導電樹脂膜331により貼り合わせた例を図12に示す。異方性導電樹脂膜331としては、ACP(Anisotropic Conductive Paste)やACF(Anisotropic Conductive Film)などが挙げられる。異方性導電樹脂膜331を用いて、発光素子145と半導体回路素子235を貼り合わせることによって、電極113の凸部と導電性樹脂306とが、異方性導電樹脂膜331に含まれる導電性粒子332を介して電気的に接続される。異方性導電樹脂膜331は、縦方向にのみ導通するので、電極113の凸部と導電性樹脂306の間のみ導通する。
【0142】
また発光素子145と半導体回路素子235を、非導電性ペースト(Non Conductive Paste:NCP)で貼り合わせてもよい。
【0143】
図10(B)と別の構成の半導体回路素子及びその作製方法、並びに、発光装置及びその作製方法について、図18(A)〜図18(B)、図19、図20、図21を用いて説明する。
【0144】
まず、図8(B)までの作製工程を基にして、基板221上に、分離層222、下地膜204、ゲート絶縁膜205、絶縁膜206、絶縁膜207、絶縁膜208、電極262及び電極263を有するTFT261、シート状繊維体302及び有機樹脂301を有する構造体305を形成する。
【0145】
このときTFT261は、TFT211と同様に形成すればよいが、電極215aに換えて電極262、電極215bに換えて電極263を形成する。ゲート絶縁膜205、絶縁膜206、絶縁膜207、絶縁膜208に、領域234b及び分離層222に達するコンタクトホールを形成し、電極262及び電極263の一方、本実施の形態では電極263を、領域234b及び分離層222に接するように形成する。
【0146】
次いで、図9(B)及び図9(C)に示す作製工程に基づき、ゲート絶縁膜205、絶縁膜206、絶縁膜207、絶縁膜208、構造体305の積層構造に、溝227を形成する(図18(A)参照)。
【0147】
次いで、溝227をきっかけとして、分離層222及び下地膜204の界面において、分離層222が形成される基板221と、下地膜204、ゲート絶縁膜205、絶縁膜206、絶縁膜207、絶縁膜208、構造体305、TFT261を有する半導体回路素子245とを分離する(図18(B)参照)。これにより、電極263が下地膜204の表面に露出する。
【0148】
次いで、半導体回路素子245中の下地膜204と、発光素子中の電極113を対向させる(図19参照)。このとき電極113の凸部と、下地膜204に露出した電極263が重なるように配置する。
【0149】
電極113の凸部と電極263を直接接合させた場合を図20に示す。直接接合させる前に、発光素子145及び半導体回路素子245それぞれの表面をプラズマ処理することが好ましい。また電極113と電極263を通電させることにより、接合がより強固になる。
【0150】
また電極113、隔壁104a、下地膜204に囲まれた空間247が生じ、空間247に乾燥剤242を配置すると、発光層112に水分が侵入するのを防ぐことができる。
【0151】
また、発光素子145と半導体回路素子245を、異方性導電樹脂膜331により貼り合わせた例を図21に示す。異方性導電樹脂膜331を用いて、発光素子145と半導体回路素子245を貼り合わせることによって、電極113の凸部と電極217とが、異方性導電樹脂膜331に含まれる導電性粒子332を介して電気的に接続される。異方性導電樹脂膜331は、縦方向にのみ導通するので、電極113の凸部と電極263の間のみ導通する。
【0152】
また発光素子145と半導体回路素子245を、非導電性ペースト(Non Conductive Paste:NCP)で貼り合わせてもよい。
【0153】
また 図10(B)と別の構成の半導体回路素子及びその作製方法、並びに、発光装置及びその作製方法について、図23(A)〜図23(B)、図24(A)〜図24(B)を用いて説明する。
【0154】
まず、図8(B)までの作製工程を基にして、基板221上に、分離層222、下地膜204、ゲート絶縁膜205、絶縁膜206、絶縁膜207、電極217、絶縁膜208、電極215a及び電極215bを有するTFT211を形成する。
【0155】
絶縁膜208及び電極217上に、樹脂層251及び支持材252を形成する(図23(A)参照)。本実施の形態では、樹脂層251として水溶性樹脂を用い、また支持材252として、UVテープを用いる。また樹脂層251及び支持材252を形成する前に、図9(B)に示す作製工程と同様にして、レーザビームを照射し、溝を形成してもよい。
【0156】
次いで分離層222及び下地膜204の界面において、分離層222が形成される基板221と、下地膜204、ゲート絶縁膜205、絶縁膜206、絶縁膜207、絶縁膜208、TFT211、電極217を有する半導体回路素子255とを分離する。次いで絶縁膜202及び接着層203を形成した基板201と、半導体回路素子255とを、接着層203によって貼り合わせる(図23(B)参照)。
【0157】
次いで、樹脂層251を溶解させて除去することによって、支持材252を分離する。樹脂層251には他の可溶性樹脂や可塑性樹脂なども用い、化学的、または物理的に半導体回路素子255と支持材252を分離すればよい(図24(A)参照)。
【0158】
図1、図2(A)〜図2(C)、図3(A)〜図3(B)、図4(A)〜図4(B)、図5(A)〜図5(B)、図6(A)〜図6(C)に示す作製工程を基にして、発光素子145を作製し、発光素子145中の電極113の凸部と半導体回路素子255中の電極217を直接接合させる(図24(B)参照)。
【0159】
電極113の凸部と電極217を直接接合させる前に、発光素子145及び半導体回路素子255それぞれの表面をプラズマ処理することが好ましい。また電極113と電極217を通電させることにより、接合がより強固になる。
【0160】
また電極113、隔壁104a、構造体305に囲まれた空間241が生じ、空間241に乾燥剤242を配置すると、発光層112に水分が侵入するのを防ぐことができる。
【0161】
さらに、空間241が存在するので、基板141及び基板201を曲げても応力を緩和することができる。
【0162】
また図12で示す構成と同様に、導電性粒子332を含む異方性導電樹脂膜331を介して、発光素子145と半導体回路素子255を貼り合わせ、電極113の凸部と導電性樹脂306とを電気的に接続してもよい。
【0163】
また発光素子145と半導体回路素子255を、非導電性ペースト(Non Conductive Paste:NCP)で貼り合わせてもよい。
【0164】
以上により、発光素子と半導体回路素子を有する発光装置を作製する。発光素子と半導体回路素子を別々の基板上に作製し、それらを貼り合わせることにより、発光素子よりも下層に半導体回路が形成せず、段差によるカバレッジ不良の発生を抑制することができる。
【0165】
また、発光素子やそれを駆動する半導体回路素子をフレキシブル基板上に配置することができるので、それぞれを貼り合わせても形状を変えることができ、様々な形状の電子機器に組み込むことができる。
【0166】
[実施の形態2]
本実施の形態では、実施の形態1で説明した発光装置を組み込んだ携帯電話機について、図13(A)〜図13(D)、図22(A)〜図22(B)、図25、図26、図27(A)〜図27(D)、図28(A)〜図28(B)を用いて説明する。本実施の形態において、同じものは同じ符号で示している。
【0167】
図13(C)は、携帯電話機を正面から見た図、図13(D)は携帯電話機を横から見た図、図13(B)は携帯電話機を縦から見た図、図13(A)は、筐体411の断面図である。筐体411の正面から見た形状は、長い辺と短い辺を有する矩形であり、矩形の角は丸まっていてもよい。本実施の形態では、正面形状である矩形の長い辺と平行な方向を長手方向と呼び、短い辺と平行な方向を短手方向と呼ぶ。
【0168】
また、筐体411の側面から見た形状も、長い辺と短い辺を有する矩形であり、矩形の角は丸まっていてもよい。本実施の形態では、側面形状である矩形の長い辺と平行な方向は長手方向であり、短い辺と平行な方向を奥行方向と呼ぶ。
【0169】
図13(A)〜図13(D)で示される携帯電話機は、筐体411、筐体402、筐体411に組み込まれた表示領域413、操作ボタン404、ELパネル421、タッチパネル423、支持体416を有している。
【0170】
ELパネル421及び後述する駆動回路412は、実施の形態1で説明した発光素子及び半導体回路素子を有する発光装置を用いて形成すればよい。ELパネル421として発光素子及び発光素子を駆動する画素回路として半導体回路素子を用いる。画素回路を駆動する駆動回路412として、さらに半導体回路素子を用いて作製してもよい。
【0171】
なお、図28(A)は、筐体411の斜視図であり、筐体411の一番面積の広い領域を正面455、正面455の対向する面を裏面452、正面455と裏面452の間に存在する領域を側面453、正面455、裏面452及び側面453に囲まれた領域の内の一方を上面454とする。
【0172】
また図22(A)は、図13(A)〜図13(D)に示す携帯電話機の裏面から見た図である。
【0173】
図22(A)に示すように、駆動回路412は筐体411の裏面452に配置されるように作製されている。
【0174】
図22(B)は、図13(C)に示す状態から横に90°回転させた場合の上面図である。本実施の形態の携帯電話機は、縦に置いても横に置いても画像や文字を表示させることができる。
【0175】
図13(A)に示されるように、筐体411の内部には、支持体416があり、支持体416上にELパネル421が配置されている。ここで支持体416の上面領域を覆っている。
【0176】
このように、携帯電話機の長手方向の上部に表示領域413が存在している。すなわち、上面454に表示領域413が存在している。これにより、例えば携帯電話機を胸ポケットに入れていたとしても、取り出すことなく表示領域413を見ることが可能である。
【0177】
表示領域413には、メールの有無、着信の有無、日時、電話番号、人名等が表示できればよい。また必要に応じて、表示領域413のうち上面454に存在する領域表示し、その他の領域は表示しないことにより、省エネルギー化を図ることができる。
【0178】
図13(D)の断面図を図25に示す。図25に示すように、筐体411内において、支持体416に沿ってELパネル421及びタッチパネル423が配置されており、表示領域413は筐体411の正面455及び上面454に存在している。
【0179】
また、ELパネル421及び駆動回路412の展開図を図26に示す。図26においては、ELパネル421は上面454並びに裏面452に配置されるように作製されており、駆動回路412は裏面452に配置されている。このようにELパネル421を正面455と上面454で別々に作製するのではなく、正面455と上面454の両方に存在するようにELパネル421を作製するので、作製コストや作製時間を抑制することができる。
【0180】
ELパネル421上には、タッチパネル423が配置されており、表示領域413にはタッチパネルのボタン414が表示される。ボタン414を指などで接触することにより、表示領域413の表示内容を操作することができる。また、電話の発信、あるいはメールの作成は、表示領域413のボタン414を指などで接触することにより行うことができる。
【0181】
タッチパネル423のボタン414は、必要なときに表示させればよく、ボタン414が必要ないときは、図22(B)に示すように表示領域413全体に画像や文字を表示させることができる。
【0182】
さらに、携帯電話機の長手方向の上部にも表示領域433が存在し、かつ、携帯電話機の断面形状において上部の長辺も曲率半径を有する例を、図27(A)〜図27(D)及び図28(B)に示す。
【0183】
図27(C)は、携帯電話機を正面から見た図、図27(D)は携帯電話機を横から見た図、図27(B)は携帯電話機を縦から見た図、図27(A)は、筐体431の断面図である。筐体431の正面から見た形状は、長い辺と短い辺を有する矩形であり、矩形の角は丸まっていてもよい。本実施の形態では、矩形の長い辺と平行な方向を長手方向と呼び、短い辺と平行な方向を短手方向と呼ぶ。
【0184】
図27(A)〜図27(D)で示される携帯電話機は、筐体431、筐体402、筐体431に組み込まれた表示領域433、操作ボタン404、ELパネル441、タッチパネル443、支持体436を有している。
【0185】
ELパネル441及び駆動回路412は、実施の形態1で説明した発光素子及び半導体回路素子を用いて形成すればよい。ELパネル441として発光素子及び発光素子を駆動する画素回路として半導体回路素子を用いる。画素回路を駆動する駆動回路412として、さらに半導体回路素子を用いて作製してもよい。
【0186】
なお、図28(B)は、筐体431の斜視図であり、図28(A)と同様に、筐体431の一番面積の広い領域を正面455、正面455の対向する面を裏面452、正面455と裏面452の間に存在する領域を側面453、正面455、裏面452及び側面453に囲まれた領域の内の一方を上面454とする。
【0187】
また、図27(A)〜図27(D)に示す携帯電話機の裏面から見た図は、図13(A)〜図13(D)に示すものと同じであり、図22(A)である。
【0188】
図22(A)と同様に、駆動回路412は筐体431の裏面452に配置されるように作製されている。図27(A)〜図27(D)に示す携帯電話機の裏面から見た図は、図22(A)の筐体411を筐体431と読み替えればよい。
【0189】
図27(A)〜図27(D)に示す携帯電話機では、支持体436の断面形状を上部の長辺に曲率半径を有するように形成する。これにより、ELパネル441及びタッチパネル443それぞれの断面形状において、上部の長辺が曲率半径を有する。また筐体431の上部も湾曲している。すなわち、表示領域433を正面455から見た場合、手前に向かって丸く突き出していることになる。
【0190】
支持体436の上部の長辺の曲率半径をR1とすると、曲率半径R1は20cm〜30cmが好ましい。
【0191】
支持体436の上部の長辺が曲率半径R1を有するように湾曲しているので、支持体436を覆うELパネル441、ELパネル441を覆うタッチパネル443、並びに、筐体431も上部の長辺が湾曲している。
【0192】
図27(A)〜図27(D)に示す携帯電話機は、携帯電話機の長手方向の上部にも表示領域433が存在している。すなわち、上面454も表示領域433が存在している。これにより、例えば携帯電話機を胸ポケットに入れていたとしても、取り出すことなく表示領域433を見ることが可能である。
【0193】
表示領域433には、メールの有無、着信の有無、日時、電話番号、人名等が表示できればよい。また必要に応じて、表示領域433のうち上面454に存在する領域表示し、その他の領域は表示しないことにより、省エネルギー化を図ることができる。
【0194】
また、ELパネル441及び駆動回路412の展開図は、図13(A)〜図13(D)同様、図26であり、ELパネル421をELパネル441と読み替えればよい。図26においては、駆動回路412は上面454並びに裏面452に配置されている。
【符号の説明】
【0195】
102 下地膜
104a 隔壁
104b 隔壁
105 スペーサ
106 スペーサ
107a EL材料層
107b EL材料層
108a 導電材料層
108b 導電材料層
111 電極
112 発光層
113 電極
121 絶縁膜
131 基板
132 分離層
134 レーザビーム
135 開口部
137 積層構造体
138 絶縁膜
141 基板
142 絶縁膜
143 接着層
145 発光素子
201 基板
202 絶縁膜
203 接着層
204 下地膜
205 ゲート絶縁膜
206 絶縁膜
207 絶縁膜
208 絶縁膜
211 TFT
215a 電極
215b 電極
217 電極
221 基板
222 分離層
225 レーザビーム
227 溝
231 島状半導体膜
232 積層構造体
233 チャネル形成領域
234a 領域
234b 領域
235 半導体回路素子
236 ゲート電極
237 積層構造体
241 空間
242 乾燥剤
245 半導体回路素子
247 空間
251 樹脂層
252 支持材
255 半導体回路素子
261 TFT
262 電極
263 電極
301 有機樹脂
302 シート状繊維体
302a 経糸
302b 緯糸
302c バスケットホール
305 構造体
306 導電性樹脂
331 異方性導電樹脂膜
332 導電性粒子
402 筐体
404 操作ボタン
411 筐体
412 駆動回路
413 表示領域
414 ボタン
416 支持体
421 ELパネル
423 タッチパネル
431 筐体
433 表示領域
436 支持体
441 ELパネル
443 タッチパネル
452 裏面
453 側面
454 上面
455 正面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、前記第1の電極上の発光層と、前記発光層上に配置されかつ凸部を有する第2の電極とを有する第1のフレキシブル基板と、
半導体回路と、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極とを有する第2のフレキシブル基板と、
を有し、
前記第2の電極の凸部と前記第3の電極は、電気的に接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のフレキシブル基板と前記第2のフレキシブル基板とが対向配置されることによって生じた空隙部に乾燥剤が装入されていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
第1の電極と、前記第1の電極上の発光層と、前記発光層上に配置されかつ凸部を有する第2の電極とを有する第1のフレキシブル基板と、
半導体回路と、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極とを有する第2のフレキシブル基板と、
を有し、
前記第2の電極の凸部と前記第3の電極は、導電性粒子を含む異方性導電膜により電気的に接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、
前記半導体回路を覆って、繊維体と有機樹脂を有する構造体と、
前記構造体を貫通する導電性樹脂である前記第3の電極と、
を有することを特徴とする発光装置。
【請求項5】
第1の基板上に、第1の分離層、第1の絶縁膜、第1の電極、発光層、凸部を有する第2の電極を形成し、
前記第1の分離層を用いて、前記第1の基板と、前記第1の絶縁膜、前記第1の電極、前記発光層、前記第2の電極を分離し、
第1のフレキシブル基板上に、第1の接着層を形成し、
前記第1の接着層により、前記第1のフレキシブル基板上に、前記第1の絶縁膜、前記第1の電極、前記発光層、前記第2の電極を貼り合わせ、
第2の基板上に、第2の分離層、第2の絶縁膜、半導体回路、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極を形成し、
前記第2の分離層を用いて、前記第2の基板と、前記第2の絶縁膜、前記半導体回路、前記第3の電極を分離し、
第2のフレキシブル基板上に、第2の接着層を形成し、
前記第2の接着層により、前記第2のフレキシブル基板上に、前記第2の絶縁膜、前記半導体回路、前記第3の電極を貼り合わせ、
前記第2の電極の凸部と前記第3の電極を、電気的に接続することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1のフレキシブル基板と前記第2のフレキシブル基板とが対向配置されることによって生じた空隙部に乾燥剤が装入されていることを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項7】
第1の基板上に、第1の分離層、第1の絶縁膜、第1の電極、発光層、凸部を有する第2の電極を形成し、
前記第1の分離層を用いて、前記第1の基板と、前記第1の絶縁膜、前記第1の電極、前記発光層、前記第2の電極を分離し、
第1のフレキシブル基板上に、第1の接着層を形成し、
前記第1の接着層により、前記第1のフレキシブル基板上に、前記第1の絶縁膜、前記第1の電極、前記発光層、前記第2の電極を貼り合わせ、
第2の基板上に、第2の分離層、第2の絶縁膜、半導体回路、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極を形成し、
前記第2の分離層を用いて、前記第2の基板と、前記第2の絶縁膜、前記半導体回路、前記第3の電極を分離し、
第2のフレキシブル基板上に、第2の接着層を形成し、
前記第2の接着層により、前記第2のフレキシブル基板上に、前記第2の絶縁膜、前記半導体回路、前記第3の電極を貼り合わせ、
前記第1のフレキシブル基板と前記第2のフレキシブル基板との間に、導電性粒子を含む異方性導電性膜を形成し、
前記第2の電極の凸部と前記第3の電極を、前記異方性導電膜により電気的に接続することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7のいずれか1項において、
前記半導体回路を覆って、繊維体と有機樹脂を有する構造体を形成し、
前記第3の電極として、前記構造体を貫通する導電性樹脂を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項9】
第1の電極と、前記第1の電極上の発光層と、前記発光層上に配置されかつ凸部を有する第2の電極とを有する第1のフレキシブル基板と、
半導体回路と、前記半導体回路に電気的に接続される第3の電極とを有する第2のフレキシブル基板と、
を有し、
前記第2の電極の凸部と前記第3の電極は、電気的に接続されていることを特徴とする発光装置と、
前記発光装置を組み込み、長手方向と短手方向を有する筐体と、
前記発光装置は、前記筐体の正面及び長手方向の上部に配置されていることを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−153813(P2010−153813A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258522(P2009−258522)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】