説明

発光装置及びその製造方法並びに電子機器

【課題】品質や信頼性の高い発光装置及びその製造方法、並びに、電子機器を提供する。
【解決手段】回路基板に適用される接続端子10は、絶縁性の基板11上に設けられた矩形状の平面形状を有する透明電極層12と、当該透明電極層12の縁辺部に沿って設けられた金属配線層13と、を有している。すなわち、透明電極層12は、高い透光性を有する導電層により形成されている。金属配線層13は、透明電極層12の全周に渡る縁辺部を被覆し、当該縁辺部に沿って枠状の平面形状を有するように設けられている。また、金属配線層13は、上述した透明電極層12に比較して高い導電性を有するとともに、高い遮光性を有する導電層により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法並びに電子機器に関し、特に、基板上に電気的な接続を行うための端子パッドを備えた発光装置及びその製造方法、並びに、該発光装置を実装した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型テレビジョンやパーソナルコンピュータのモニタとして、また、携帯電話や携帯音楽プレーヤの表示デバイスとして、薄型かつ軽量で、省電力の液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」と略記する)表示装置等の普及が著しい。これらの表示装置においては、一般に表示特性に優れたアクティブマトリクス駆動方式が採用されている。
【0003】
アクティブマトリクス駆動方式に対応した液晶表示パネルや有機EL表示パネルは、周知のように、絶縁性の基板上に複数の画素がマトリクス状に配列され、各画素に画像データ(例えば階調電圧)の書き込み動作を制御するためのスイッチング素子が設けられている。スイッチング素子としては、一般に、薄膜トランジスタ(TFT)が適用されている。
【0004】
また、このような表示パネルにおいては、各画素を駆動するための制御信号や動作電圧を供給するドライバチップや外部電源、その他の外部装置が接続される接続端子(端子パッド)が設けられている。例えば特許文献1には、金属材料からなる配線層と、当該配線層を被覆する透明電極膜と、からなる接続端子の構造が記載されている。このような接続端子の構造については、後述する実施形態において詳しく説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−072032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、表示パネルに設けられた接続端子は、上述したドライバチップや外部装置等との接続に用いられるだけでなく、当該表示パネルの製造時において、電気的な機能検査を行うための検査装置(プローバー)の検査針を接触させる検査用接続端子としても用いられる。この検査装置を用いた機能検査においては、検査装置や顕微鏡のモニタに映し出された基板の画像に対して、視覚を頼りにして検査用接続端子に検査針を位置合わせ(アライメント)して接触させる作業を行っている。このとき、上述したように、金属材料からなる配線層と透明電極膜からなる接続端子は、不透明であるため、検査装置や顕微鏡のモニタには黒く表示されてしまい、検査用接続端子と検査針との位置関係や双方の接触状態を視認し難いという問題を有していた。そのため、検査用接続端子と検査針との位置ずれや接触不良が生じて適切な機能検査が行われなかった場合には、製品の品質や信頼性が低下する可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、品質や信頼性の高い発光装置及びその製造方法、並びに、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、複数の画素が配列されたパネル基板を備えた発光装置において、前記パネル基板は、基板上に設けられ、所定の平面形状を有する第1の導電層と、第1の導電層上に設けられ、前記第1の導電層の一部が露出するような開口部が形成された第2の導電層と、を有する接続端子を備え、前記第1の導電層は、前記第2の導電層よりも高い光透過率を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発光装置において、前記第2の導電層は、前記第1の導電層と前記第1の導電層の縁辺部のみで重なっていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発光装置において、前記第1の導電層は、透明電極材料からなり、前記第2の導電層は、遮光性を有する金属材料からなることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置において、前記複数の画素は、各々、発光素子と、前記発光素子を所定の輝度階調で発光動作させる画素回路と、を備え、前記第1の導電層は、前記発光素子を構成する透明電極層と同層に設けられ、前記第2の導電層は、前記画素回路に設けられる薄膜トランジスタを構成する金属電極層と同層に設けられていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置において、前記発光装置は前記複数の画素が配列された表示エリアに、少なくとも、前記表示エリアの行方向に配設された複数の選択ラインと、前記表示エリアの列方向に配設された複数のデータラインと、を備え、少なくとも、前記選択ラインに選択信号を印加して、前記選択ラインに接続された前記画素を選択状態に設定する選択駆動回路、及び、画像データに基づく階調信号を生成して、前記データラインを介して前記選択状態に設定された前記画素に供給するデータ駆動回路が、前記接続端子を介して前記パネル基板に電気的に接続されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置において、前記第2の導電層は2層以上の積層構造を備えることを特徴とする。
請求項7記載の発明に係る電子機器は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする。
【0010】
請求項8記載の発明は、発光素子と画素回路とを有する複数の画素が配列された発光パネルを備えた発光装置の製造方法において、前記発光素子を構成する透明電極層と同層に、所定の平面形状を有する第1の導電層を形成する工程と、前記画素回路に設けられる薄膜トランジスタを構成する金属電極層と同層に、前記第1の導電層の縁辺部のみで前記第1の導電層と重なっている第2の導電層を形成する工程と、少なくとも前記第2の導電層を被覆するとともに、前記第1の導電層が露出する開口部を有する保護絶縁膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発光装置や電子機器の品質や信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る発光装置に適用される回路基板の一構成例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る発光装置に適用される回路基板の他の構成例を示す概略図である。
【図3】比較対象となる回路基板の一例を示す概略図である。
【図4】本発明に係る表示装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】本実施形態に係る表示装置の端子部を示す要部構成図である。
【図6】本実施形態に係る表示装置に適用される画素の回路構成例を示す等価回路図である。
【図7】本実施形態に係る表示装置に適用される画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図8】本実施形態に係る表示装置に適用されるパネル基板の要部断面図(その1)である。
【図9】本実施形態に係る表示装置に適用されるパネル基板の要部断面図(その2)である。
【図10】本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図11】本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図12】本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図13】本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図14】本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図15】本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図16】本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程断面図(その7)である。
【図17】本発明に係る発光装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図である。
【図18】本発明に係る発光装置を適用した薄型テレビジョンの構成例を示す斜視図である。
【図19】本発明に係る発光装置を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る発光装置を適用した携帯電話の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る発光装置及びその製造方法並びに電子機器について、実施形態を示して詳しく説明する。ここでは、まず、本発明に係る発光装置に適用される回路基板について説明し、その後、当該回路基板を発光パネルに適用した場合の実施形態について説明する。
【0014】
<回路基板>
図1は、本発明に係る発光装置に適用される回路基板の一構成例を示す概略図である。ここで、図1(a)は、本構成例に係る回路基板に適用される接続端子の概略平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示した平面図におけるIA−IA線(本明細書においては図1中に示したローマ数字の「1」に対応する記号として便宜的に「I」を用いる)に沿った断面を示す概略断面図である。また、図2は、本発明に係る発光装置に適用される回路基板の他の構成例を示す概略図である。図2(a)は、本構成例に係る回路基板に適用される接続端子の概略平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示した平面図におけるIIB−IIB線(本明細書においては図2中に示したローマ数字の「2」に対応する記号として便宜的に「II」を用いる)に沿った断面を示す概略断面図である。なお、図1(a)、図2(a)においては、接続端子の構成を明瞭にするために、最上層の保護絶縁膜の図示を便宜的に省略した。
【0015】
図1(a)、(b)に示すように、本発明に係る発光装置に適用可能な回路基板に設けられる接続端子10は、ガラス基板等の絶縁性の基板11上に設けられた矩形状の平面形状を有する透明電極層(第1の導電層)12と、当該透明電極層12の縁辺部に沿って縁取るように設けられた金属配線層(第2の導電層)13と、保護絶縁膜(オーバーコート絶縁膜)21と、を有している。
【0016】
透明電極層12は、図1(b)に示すように、基板11上に直接、又は、図示を省略した絶縁膜等を介して設けられている。透明電極層12は、例えば錫ドープ酸化インジウム(Indium Tin Oxide;ITO)や亜鉛ドープ酸化インジウム(Indium
Zinc Oxide)等の透明電極材料により形成されている。すなわち、透明電極層12は、高い透光性を有する導電層により形成されている。ここで、透明電極層12として錫ドープ酸化インジウム(ITO)を適用する場合には、例えば50nmの膜厚で形成される。
【0017】
金属配線層13は、図1(a)、(b)に示すように、少なくとも矩形状の透明電極層12の全周に渡る縁辺部を被覆し、当該縁辺部に沿って枠状の平面形状を有するように設けられている。また、接続端子10の枠状部分の金属配線層13から外方(例えば、図1(a)上方)に延在するように、接続配線Lxが金属配線層13と一体的に設けられている。金属配線層13(接続配線Lxを含む)は、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)等の金属単体、又は、アルミニウム−チタン(AlTi)やアルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)、モリブデン−ニオブ(MoNb)等の合金材料により形成されている。すなわち、金属配線層13は、上述した透明電極層12に比較して高い導電性(又は、低い配線抵抗)を有するとともに、高い遮光性を有する導電層により形成されている。ここで、金属配線層13としてアルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)を適用する場合には、例えば400nmの膜厚で形成され、また、モリブデン−ニオブ(MoNb)を適用する場合には、例えば180nmの膜厚で形成される。
【0018】
保護絶縁膜21は、図1(b)に示すように、少なくとも上記接続端子10の金属配線層13を被覆するように、基板11上に形成されている。当該保護絶縁膜21には、上記接続端子10の透明電極層12が露出するように開口部21hが設けられている。保護絶縁膜21は、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなり、例えばシリコン窒化膜を適用する場合には、400nmの膜厚で形成される。
【0019】
また、本発明に係る発光装置に適用可能な回路基板に設けられる接続端子10の他の構成例は、図2(a)、(b)に示すように、図1に示した金属配線層13が、複数の導電層を積層した構成を有している。具体的には、図2(a)、(b)に示すように、少なくとも矩形状の透明電極層12の全周に渡る縁辺部を被覆し、当該縁辺部に沿って枠状の平面形状を有するように、積層された2層の金属層13a、13bからなる金属配線層13が設けられている。ここで、金属配線層13(金属層13a、13b)は、例えばアルミニウム−チタン(AlTi)やアルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)等のアルミニウム合金層と、クロム(Cr)等の遷移金属層からなる積層配線構造を適用することができる。また、金属配線層13と一体的に形成される接続配線Lxも、2層の金属層13a、13bを積層した構造を有している。
【0020】
そして、図1、図2に示したような構造を有する接続端子10において、検査装置(プローバー)のステージ上で、検査針と回路基板上に設けられた検査用の接続端子10とのアライメントを行った後、例えば図1(a)、(b)に示すように、検査針31を接続端子10のコンタクト部(保護絶縁膜21の開口部21h内に露出する透明電極層12部分)に接触させることにより、所定の機能検査が実行される。ここで、図1(a)、(b)では、図示の都合上、検査針31の接続端子10への接触方向を便宜的に変更して示した。また、基板11にドライバチップ(ICチップ)を搭載したり、フィルム基板(FPC)を介して外部装置に接続したりする場合には、例えばコンタクト部に塗布された異方導電性接着剤(ACF)を介して、接続端子10とドライバチップ又はフィルム基板が電気的に接続される。
【0021】
なお、図1、図2に示したような構造を有する接続端子10において、上記各構成例に係る回路基板を、例えば有機EL表示パネルや液晶表示パネルに適用する場合には、透明電極層12は、画素電極と同時に形成することができ、また、金属配線層13は、各画素を駆動するための薄膜トランジスタのソース、ドレイン電極と同時に形成することができる。詳しくは後述する。
【0022】
(作用効果の検証)
次に、上述した各構成例に示した接続端子を有する回路基板における作用効果について、比較例を示して詳しく説明する。
【0023】
図3は、上述した各構成例の比較対象となる回路基板の一例(以下、「比較例」と記す)を示す概略図である。ここで、図3(a)は、比較例の回路基板に適用される接続端子の概略平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示した平面図におけるIIIC−IIIC線(本明細書においては図3中に示したローマ数字の「3」に対応する記号として便宜的に「III」を用いる)に沿った断面を示す概略断面図である。ここで、上述した各構成例と同等の構成については説明を簡略化する。
【0024】
図3(a)、(b)に示すように、比較例の回路基板に適用される接続端子50は、絶縁性の基板51上に設けられた矩形状の平面形状を有する金属配線層52と、当該金属配線層52上に被覆形成された透明電極層53と、を有している。また、基板51上には保護絶縁膜61が被覆形成され、当該保護絶縁膜21には、上記接続端子50の透明電極層53が露出するように開口部61hが設けられている。なお、金属配線層52には、接続端子50の矩形状部分から外方(例えば、図3(a)上方)に延在するように、接続配線Lpが一体的に設けられている。このような金属配線層上に透明電極層が積層された構造の接続端子は、例えば上述した特許文献1等にも記載されている。
【0025】
ここで、比較例の接続端子50において、保護絶縁膜61の開口部61h内に露出するコンタクト部に金属配線層52が設けられているのは、接触抵抗(コンタクト抵抗)を低減するためである。また、当該金属配線層52上に透明電極層53が被覆形成されているのは、金属配線層52におけるピンホールの発生や酸化膜の形成(腐食)を防止するためである。
【0026】
このような比較例の接続端子50においては、保護絶縁膜61の開口部61h内のコンタクト部に遮光性の高い導電層である金属配線層52が設けられている。そのため、回路基板の機能検査において、検査装置の検査針と検査用の接続端子50とのアライメントを行う際に、検査針が接触するコンタクト部が遮光されて、コンタクト部と検査針との位置関係を正確に把握することができないという問題を有している。また、比較例の接続端子50においては、コンタクト部が不透明であるため、検査針がコンタクト部に接触しているかどうかを正確に判断することができないという問題も有している。
【0027】
これに対して、上述した一構成例(図1参照)に示した接続端子10によれば、検査針と接続端子10とのアライメントを行う際に、検査針が接触するコンタクト部(保護絶縁膜21の開口部21h内に露出する透明電極層12部分)と、その周辺の金属配線層13との透光性(すなわち、光透過率)が異なるので、両者のコントラスト比からアライメントを迅速かつ精度良く行うことができる。すなわち、コンタクト部が透明で(高い透光性を有し)、かつ、その周辺が不透明として(高い遮光性を有して)視認されるので、コンタクト部を識別しやすく、かつ、コンタクト部を透視して検査針の位置を正確に把握することができる。また、上述した一構成例に示した接続端子10によれば、コンタクト部が透明であるので、検査針がコンタクト部に接触しているかどうかを正確に判断することができる。さらに、このような接続端子10によれば、コンタクト部となる透明電極層12の縁辺部に金属配線層13が接続されているので、接触抵抗を低減することができる。
【0028】
また、上述した他の構成例(図2参照)に示した接続端子10によれば、図1に示した一構成例と同等の作用効果を得ることができるとともに、金属配線層13が2層の金属層13a、13bにより形成されているので、配線抵抗を低減することができるとともに、マイグレーションを低減することができる。
【0029】
<発光装置>
次に、上述した各構成例に示した接続端子を備えた回路基板を適用可能な発光装置について説明する。ここでは、発光装置として、本発明の回路基板を有機EL表示装置に適用した場合について説明する。なお、本発明はこの適用例に限定されるものではなく、液晶表示装置等、他の表示装置に適用するものであってもよい。
【0030】
(表示装置)
図4は、本発明に係る表示装置の一例を示す概略構成図であり、図5は、図4に示された表示装置の端子部を示す要部構成図である。
【0031】
図4に示すように、上述した各構成例に示した接続端子を備えた回路基板が適用される表示装置(発光装置)100は、概略、パネル基板(回路基板)110上に、表示エリア(表示領域)120と、ドライバ機能を備えたICチップ(以下、「ドライバチップ」と記す)130が設けられた構成を有している。また、表示装置100は、例えばフィルム基板(フレキシブルプリント基板;FPC)140を介して、外部に設けられたコントローラや電源装置(いずれも図示を省略)に接続されるように構成されている。
【0032】
パネル基板110は、ガラス等の絶縁性の基板からなり、図4に示すように、表示エリア120に、有機EL素子を有する複数の画素PIXが2次元配列された画素アレイが設けられている。各画素PIXはドライバチップ130から供給される駆動信号及び画像データに基づいて、所定の輝度階調で発光動作し、これにより、表示エリア120に画像情報が表示される。なお、表示エリア120に配列される画素PIXの具体例については後述する。
【0033】
また、パネル基板110には、図5に示すように、少なくとも、ドライバチップ130の搭載領域Rdrにチップ接続端子10a、10bが配列され、また、フィルム基板140の接続領域Rfpに外部接続端子10cが配列されている。チップ接続端子10aは、パネル基板110に配設された引き出し配線Lrを介して、表示エリア120の各画素PIXに接続されている。また、チップ接続端子10bは、接続配線Lqを介して、パネル基板110の端部に配列された外部接続端子10cに接続されている。外部接続端子10cは、フィルム基板140を介して、パネル基板110の外部に設けられたコントローラや電源装置に接続されている。ここで、チップ接続端子10a、10b及び外部接続端子10cは、上述した各構成例に示した接続端子10と同等の構造が適用される。
【0034】
ドライバチップ130は、パネル基板110の搭載領域Rdrに設けられたチップ接続端子10a、10bに対して、ドライバチップ130の底面(パネル基板110に対向する面)に配列された端子部130Pが1対1で対応するように位置合わせして接続される。ここで、パネル基板110へのドライバチップ130の搭載の際には、チップ接続端子10a、10bとドライバチップ130の端子部130Pとが、例えば異方導電性接着剤(Anisotropic Conductive Paste or Film;ACPあるいはACF)を介して電気的に接続される。
【0035】
また、ドライバチップ130は、パネル基板110の外部に設けられたコントローラから供給される制御信号に基づいて、表示エリア120の各画素PIXに供給する駆動信号及び画像データを生成する。ドライバチップ130は、例えば、画素PIXを選択状態に設定するための選択ドライバ部(選択駆動回路)と、選択状態に設定された画素PIXに画像データに応じた階調信号を供給するデータドライバ部(データ駆動回路)と、各画素PIXを発光駆動するための電源電圧を供給する電源ドライバ部と、を備えている。
【0036】
(画素)
次に、上述した表示装置100の表示エリア120に配列される画素について、図面を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る表示装置に適用される画素の回路構成例を示す等価回路図である。
【0037】
上述したパネル基板110の表示エリア120に配列される各画素PIXは、例えば図6(a)、(b)に示すように、発光駆動回路(画素回路)DCと、電流駆動型の発光素子である有機EL素子OELと、を備えている。発光駆動回路DCは、1乃至複数のトランジスタ(機能素子)及びキャパシタを備えた回路構成を有している。また、発光駆動回路DCは、画像データに応じた電流値の発光駆動電流を生成して、有機EL素子OELに供給する。有機EL素子OELは、発光駆動回路DCから供給される発光駆動電流に基づいて、画像データに応じた輝度階調で発光する。
【0038】
発光駆動回路DCの一例は、例えば図6(a)に示すように、トランジスタTr11、Tr12と、キャパシタCsと、を備えている。トランジスタTr11は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子がデータラインLdに接続され、ソース端子が接点N11に接続されている。トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N12に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)及びソース端子(接点N12)間に接続されている。ここで、電源ラインLaは、所定の高電位電源(電源電圧Vsa)に接続されている。
【0039】
また、有機EL素子OELは、アノード(後述するアノード電極となる画素電極)が上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード(後述するカソード電極となる対向電極)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。
【0040】
ここで、図6(a)に示したトランジスタTr11及びTr12は、例えばnチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタやポリシリコン薄膜トランジスタを適用することができる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート・ソース間に形成される寄生容量であってもよいし、該寄生容量に加えて接点N11及び接点N12間に別個の容量素子を並列に接続したものであってもよい。
【0041】
そして、図6(a)に示したような回路構成を有する画素PIXにおける駆動制御動作は、まず、所定の選択期間に、図4に示したドライバチップ130に設けられた選択ドライバ部から引き出し配線Lrを介して選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselが印加される。これにより、トランジスタTr11がオン動作して、画素PIXが選択状態に設定される。そして、このタイミングに同期して、ドライバチップ130に設けられたデータドライバ部から引き出し配線Lrを介してデータラインLdに、画像データに応じた階調電圧Vdataが印加される。これにより、トランジスタTr11を介して接点N11(すなわち、トランジスタTr12のゲート端子)に階調電圧Vdataに応じた電位が印加される。
【0042】
ここで、トランジスタTr12のドレイン・ソース間電流(すなわち、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流)の電流値は、ドレイン・ソース間及びゲート・ソース間の電位差によって決定される。すなわち、図6(a)に示した発光駆動回路DCにおいては、トランジスタTr12のドレイン・ソース間に流れる電流の電流値は、階調電圧Vdataによって制御される。
【0043】
したがって、トランジスタTr12が接点N11の電位(すなわち、階調電圧Vdata)に応じた導通状態でオン動作して、高電位側の電源電圧Vsaが印加された電源ラインLaからトランジスタTr12及び有機EL素子OELを介して、低電位側の基準電圧Vsc(接地電位Vgnd)に所定の電流値を有する発光駆動電流が流れる。これにより、有機EL素子OELが階調電圧Vdata(すなわち画像データ)に応じた輝度階調で発光する。また、このとき、接点N11に印加された階調電圧Vdataに基づいて、トランジスタTr12のゲート・ソース間のキャパシタCsに電荷が蓄積(充電)される。
【0044】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間においては、ドライバチップ130の選択ドライバ部から選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselが印加される。これにより、トランジスタTr11がオフ動作して画素PIXが非選択状態に設定される。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷が保持されることにより、トランジスタTr12のゲート・ソース間の電位差が保持され、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)に階調電圧Vdataに相当する電圧が印加される。
【0045】
したがって、上記選択状態と同様に、電源ラインLaからトランジスタTr12を介して、有機EL素子OELに発光動作状態と同程度の電流値の発光駆動電流が流れて、発光動作状態が継続される。この発光動作状態は、次の画像データに応じた階調電圧Vdataが書き込まれるまで、例えば、1フレーム期間継続するように制御される。そして、このような駆動制御動作を、表示エリア120に2次元配列された全ての画素PIXについて、各行ごとに順次実行することにより、表示エリア120に所望の画像情報が表示される。
【0046】
また、発光駆動回路DCの他の例は、例えば図6(b)に示すように、トランジスタTr21、Tr22と、トランジスタTr23と、キャパシタCsと、を備えている。トランジスタTr21は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N21に接続されている。トランジスタTr22は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ソース端子がデータラインLdに接続され、ドレイン端子が接点N22に接続されている。トランジスタTr23は、ゲート端子が接点N21に接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N22に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート端子(接点N21)及びソース端子(接点N22)間に接続されている。
【0047】
また、有機EL素子OELは、図6(a)に示した画素PIXと同様に、アノード(アノード電極となる画素電極)が上記発光駆動回路DCの接点N22に接続され、カソード(カソード電極となる対向電極)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。
【0048】
そして、このような回路構成を有する画素PIXにおける駆動制御動作は、まず、画素PIXへの書込動作(選択期間)において、ドライバチップ130の選択ドライバ部から選択ラインLsに選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、画素PIXが選択状態に設定される。このとき、ドライバチップ130に設けられた電源ドライバ部から引き出し配線Lrを介して電源ラインLaに非発光レベル(基準電圧Vsc以下の電圧レベル;例えば負電圧)の電源電圧Vsaが印加されている。そして、この状態で、ドライバチップ130のデータドライバ部からデータラインLdに画像データに応じた負の電圧値に設定された階調電圧Vdataが供給される。これにより、トランジスタTr21〜Tr23がオン動作して、トランジスタTr23のゲート・ソース間に生じた電位差に応じた書込電流が、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22、トランジスタTr22を介してデータラインLd方向に流れる。
【0049】
このとき、キャパシタCsには、接点N21及びN22間に生じた電位差に対応する電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。また、電源ラインLaには、基準電圧Vsc以下の、非発光レベルの電源電圧Vsaが印加され、さらに、書込電流が画素PIXからデータラインLd方向に流れるように設定されている。これにより、有機EL素子OELのアノード(接点N22)に印加される電位は、カソードの電位(基準電圧Vsc)よりも低くなるため、有機EL素子OELには電流が流れず、有機EL素子OELは発光しない(非発光動作)。そして、このような書込動作を、表示エリア120に2次元配列された全ての画素PIXについて、各行ごとに順次実行する。
【0050】
次いで、書込動作終了後の発光動作(非選択期間)において、ドライバチップ130の選択ドライバ部から選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、画素PIXを非選択状態に設定する。これにより、トランジスタTr11及びTr12がオフ動作する。このとき、キャパシタCsには、上述した書込動作において蓄積された電荷が保持されるので、トランジスタTr23はオン状態を維持する。そして、ドライバチップ130の電源ドライバ部から電源ラインLaに発光レベル(基準電圧Vscよりも高い電圧レベル)の電源電圧Vsaが印加されることにより、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22を介して、有機EL素子OELに所定の発光駆動電流が流れる。
【0051】
このとき、キャパシタCsにより保持される電圧成分は、トランジスタTr23において階調電圧Vdataに対応する書込電流を流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流は、当該書込電流と略同等の電流値となる。これにより、各画素PIXの有機EL素子OELは、書込動作時に書き込まれた画像データ(階調電圧Vdata)に応じた輝度階調で発光するので、表示エリア120に所望の画像情報が表示される。
【0052】
なお、図6(a)、(b)に示した画素回路(発光駆動回路DC)は、画像データに応じた電圧値の階調電圧Vdataを印加することにより、各画素PIXの発光素子に画像データに応じた発光駆動電流を流して、所望の輝度階調で発光動作(表示動作)させる電圧指定型の階調制御方式に対応した回路構成を備えた場合について説明した。本発明に適用可能な画素回路は、これに限定されるものではなく、例えば、画像データに応じた電流値の階調電流を供給することにより、各画素に設けられた発光素子に画像データに応じた発光駆動電流を流して、所望の輝度階調で発光動作させる電流指定型の階調制御方式に対応した回路構成を備えたものであってもよい。
【0053】
(画素のデバイス構造)
次いで、上述したような回路構成を有する画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。なお、ここでは、図6(a)に示した発光駆動回路DCを備えた画素PIXのデバイス構造について説明するが、図6(b)に示した発光駆動回路DCを備えた画素PIXの場合も略同等のデバイス構造を適用することができる。また、ここでは、有機EL素子OELの有機EL層において発光した光が、透明な基板を透過して視野側(基板の他面側)に出射されるボトムエミッション型の発光構造を有する有機EL表示パネルについて示す。
【0054】
図7は、本実施形態に係る表示装置に適用される画素の一例を示す平面レイアウト図である。なお、図7においては、図6(a)に示した発光駆動回路DCの各トランジスタ及び配線等が形成された層を主に示し、各トランジスタの電極及び各配線層を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。ここで、同じハッチングを施した電極及び配線層は同層に設けられている。
【0055】
また、図8、図9は、本実施形態に係る表示装置に適用されるパネル基板の要部断面図である。ここで、図8(a)、(b)、図9(a)は、各々、図7に示す平面レイアウトを有する画素におけるVIIID−VIIID線(本明細書においては図7中に示したローマ数字の「8」に対応する記号として便宜的に「VIII」を用いる。以下同じ)、VIIIE−VIIIE線、及び、IXF−IXF線(本明細書においては図7中に示したローマ数字の「9」に対応する記号として便宜的に「IX」を用いる。以下同じ)に沿った断面を示す概略断面図である。また、図9(b)は、図5に示した要部構成図におけるIXG−IXG線に沿った断面を示す概略断面図である。
【0056】
図7に示した画素PIXは、具体的には、図8(a)、(b)に示すように、ガラス等の絶縁性の基板111の一面側(図面上面側)に設定された画素形成領域Rpxごとに設けられている。この画素形成領域Rpxには、有機EL素子OELの形成領域(EL素子形成領域)Relと、隣接する画素PIXとの間の境界領域と、が設定されている。
【0057】
図7に示した画素PIXにおいて、画素形成領域Rpxの図面上方及び下方の縁辺領域には、各々、行方向(図面左右方向)に延在するように選択ラインLs及び電源ラインLaが配設されている。一方、画素形成領域Rpxの図面右方の縁辺領域には、列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLdが配設されている。すなわち、上記選択ラインLs及び電源ラインLaと、データラインLdは直交するように配設されている。
【0058】
また、図7に示した画素PIXにおいては、画素形成領域Rpxの左右の縁辺領域に、列方向(図面上下方向)に延在するように隔壁層114が設けられている。すなわち、図4に示した表示エリア120において、行方向(図面左右方向)に隣接して配列される各画素PIX間の境界領域に、図7、図8(a)、図9(a)に示すように、基板111表面から連続的に突出する隔壁層114が設けられている。一方、画素形成領域Rpxの上下の縁辺領域には、列方向(図面上下方向)に隣接して配列される各画素PIX間の境界領域に、図7、図8(b)に示すように、選択ラインLs及び電源ラインLaを被覆するように絶縁膜113が設けられている。そして、この隔壁層114及び絶縁膜113に囲まれ、かつ、画素電極115が露出した領域がEL素子形成領域Relとして画定されている。なお、図7に示した画素PIXの平面レイアウトにおいては、隔壁層114が、表示エリア120の列方向にのみ延在して設けられた構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば、行方向及び列方向に隣接して配列される各画素PIX間の境界領域に設けられ(すなわち、各画素PIXの画素電極115の四方を取り囲むように設けられ)、画素電極115のみが露出するように構成されたものであってもよい。
【0059】
データラインLdは、例えば図7、図8、図9(a)に示すように、選択ラインLs及び電源ラインLaよりも下層側(基板11側)に設けられている。データラインLdは、トランジスタTr11、Tr12のゲート電極Tr11g、Tr12gを形成するためのゲートメタル層をパターニングすることによって、当該ゲート電極Tr11g、Tr12gと同じ工程で一括して形成される。また、データラインLdは、ゲート絶縁膜112に設けられたコンタクトホールHL2を介して、トランジスタTr11のドレイン電極Tr11dに直接接続されている。
【0060】
また、選択ラインLs及び電源ラインLaは、例えば図7、図8(b)に示すように、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同層に設けられている。選択ラインLs及び電源ラインLaは、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dを形成するためのソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって、当該ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同じ工程で一括して形成される。そして、選択ラインLsは、図7に示すように、下層のゲート絶縁膜112に設けられたコンタクトホールHL1を介して、トランジスタTr11のゲート電極Tr11gに直接接続されている。
【0061】
また、図7に示した画素PIXにおいては、発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr11、Tr12が、例えば、データラインLdに沿って列方向(図面上下方向)に延在するように配置されている。具体的には、トランジスタTr11、Tr12のチャネルの幅方向が、データラインLdに平行に延在するように設定されている。
【0062】
トランジスタTr11は、図7、図8(a)に示すように、基板111上に形成されたゲート電極Tr11gに対応する領域に半導体層SMCが設けられている。また、半導体層SMCに形成されるチャネル領域を挟んで対向するようにソース電極Tr11s及びドレイン電極Tr11dが設けられている。ゲート電極Tr11gと半導体層SMCの間には、ゲート絶縁膜112が設けられている。なお、ソース電極Tr11s及びドレイン電極Tr11dと半導体層SMCとの間には不純物層OHMが設けられ、これにより、半導体層SMCとソース電極Tr11s又はドレイン電極Tr11dがオーミック接続している。
【0063】
そして、図6(a)に示した発光駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr11は、ゲート電極Tr11gがゲート絶縁膜112に設けられたコンタクトホールHL1を介して選択ラインLsに直接接続されている。また、トランジスタTr11のドレイン電極Tr11dは、図8(a)に示すように、ゲート絶縁膜112に設けられたコンタクトホールHL2を介してデータラインLdに直接接続されている。また、トランジスタTr11のソース電極Tr11sは、図8(a)に示すように、ゲート絶縁膜112に設けられたコンタクトホールHL3を介して、後述するキャパシタCsの下部電極Ecaに直接接続されている。ここで、下部電極Ecaは、図7に示すように、トランジスタTr12のゲート電極Tr12gにも直接接続されている。これにより、トランジスタTr11のソース電極Tr11sは、下部電極Ecaを介して、トランジスタTr12のゲート電極Tr12gに電気的に接続される。ここで、コンタクトホールHL1は、図6(a)に示した発光駆動回路DCの接点N11に対応する。
【0064】
また、トランジスタTr12は、図7、図9(a)に示すように、基板111上に形成されたゲート電極Tr12gに対応する領域に半導体層SMCが設けられている。また、半導体層SMCに形成されるチャネル領域を挟んで対向するようにソース電極Tr12s及びドレイン電極Tr12dが設けられている。ゲート電極Tr12gと半導体層SMCの間には、ゲート絶縁膜112が設けられている。なお、ソース電極Tr12s及びドレイン電極Tr12dと半導体層SMCとの間には不純物層OHMが設けられ、これにより、半導体層SMCとソース電極Tr12s又はドレイン電極Tr12dがオーミック接続している。
【0065】
そして、図6(a)に示した発光駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr12は、ゲート電極Tr12gがキャパシタCsの下部電極Ecaに直接接続されている。また、トランジスタTr12のドレイン電極Tr12dは、図7に示すように、電源ラインLaと一体的に形成されている。また、トランジスタTr12のソース電極Tr12sは、図7、図9(a)に示すように、キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極115に直接接続されている。
【0066】
キャパシタCsは、図7、図8、図9(a)に示すように、透明電極材料からなる下部電極Ecaと、該下部電極Ecaに対向する透明電極材料からなる上部電極Ecbと、下部電極Eca及び上部電極Ecb間に介在するゲート絶縁膜112と、を有している。ここで、ゲート絶縁膜112は、キャパシタCsの誘電体層として兼用されている。また、上部電極Ecbは、後述する有機EL素子OELの画素電極115が兼用されている。すなわち、キャパシタCsは、有機EL素子OELの下層側(基板111側)に、当該有機EL素子OELと一体的に設けられている。
【0067】
有機EL素子OELは、図7、図8、図9(a)に示すように、上記キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極(アノード電極)115と、有機EL層(発光機能層)16と、対向電極(カソード電極)117と、を順次積層した素子構造を有している。ここで、本実施形態においては、有機EL素子OELは、ボトムエミッション型の発光構造を有しているので、画素電極115は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の透光性(光透過率)の高い透明な電極材料により形成されている。一方、対向電極117は、アルミニウム単体やアルミニウム合金等の光反射率の高い電極材料を含んで形成されている。
【0068】
画素電極115は、図9(a)に示すように、トランジスタTr12のソース電極Tr12sに直接接続されている。そして、画素電極115には、上記発光駆動回路DCから所定の発光駆動電流が供給される。有機EL層116は、図8、図9(a)に示すように、基板111上に連続的に突出して形成された隔壁層114の側壁114e及び絶縁膜113により画定されたEL素子形成領域Relに露出する画素電極115上に形成される。有機EL層116は、例えば正孔注入層(又は、正孔注入層を含む正孔輸送層)116a及び電子輸送性発光層116bから形成される。
【0069】
対向電極117は、基板111上に2次元配列された各画素PIXの画素電極15に対して、共通に対向するように設けられている。対向電極117は、例えば図4に示した表示エリア120の略全域に、単一の電極層(べた電極)により形成されている。また、対向電極117は、図8、図9(a)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relだけでなく、当該EL素子形成領域Relを画定する隔壁層114や絶縁膜113上にも延在するように設けられている。さらに、対向電極117は、表示エリア120外の基板111上にまで一部が延在するように設けられ、図示を省略したコンタクト部や引き出し配線を介して、ドライバチップ130や外部接続端子10cに電気的に接続されている。
【0070】
隔壁層114は、図7、図8(a)、図9(a)に示すように、少なくとも、表示エリア120に2次元配列される複数の画素PIX相互の境界領域に、基板111表面から連続的に突出するように設けられている。ここで、隔壁層114は、例えばドライエッチング法を用いてパターニングが可能な絶縁材料、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料により形成される。
【0071】
そして、上述した発光駆動回路DC、有機EL素子OEL絶縁膜113及び隔壁層114が形成された基板111の一面側には、封止層としての保護絶縁膜118が形成されている。ここで、図9(b)に示すように、保護絶縁膜118には、少なくとも、パネル基板110(基板111)のドライバチップ130の搭載領域Rdrに配列されるチップ接続端子10a、10b、及び、フィルム基板140の接続領域Rfpに配列される外部接続端子10cが露出するように開口部118hが設けられている。なお、パネル基板110の表示エリア120は、上記保護絶縁膜118に加えて、又は、保護絶縁膜118に替えて、メタルキャップ(封止蓋)やガラス等の封止基板を貼り合わせた封止構造が適用されるものであってもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、チップ接続端子10a、10b及び外部接続端子10cは、いずれも上述した各構成例に示した接続端子10と同等の構造を有している(図1参照)。例えばチップ接続端子10aについて説明すると、図9(b)に示すように、コンタクト部となる矩形状の平面形状を有する透明電極層(第1の導電層)115pと、その縁辺部に沿って枠状に設けられた金属配線層(第2の導電層)SDPとからなる構成を有している。ここで、透明電極層115Pは、上述した構成例に示した透明電極層12に対応し、金属配線層SDPは、上述した構成例に示した金属配線層13に対応する。透明電極層115Pは、例えば、後述する有機EL素子OELの画素電極115を形成するための錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の透明電極膜をパターニングすることにより、画素電極115と同じ工程で一括して形成される。また、金属配線層SDPは、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dを形成するためのソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって、当該ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同じ工程で一括して形成される。
【0073】
なお、図9(b)においては、チップ接続端子10a、10b及び外部接続端子10cが、基板111上に直接設けられた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばゲート絶縁膜112上に設けられているものであってもよい。また、チップ接続端子10a、10b及び外部接続端子10cは、透明電極層115Pが画素電極115を形成するための錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の透明電極膜からなり、金属配線層SDPがソース、ドレインメタル層からなる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、透明電極層115PがキャパシタCsの下部電極Ecaを形成するための錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の透明電極膜からなり、金属配線層SDPがトランジスタTr11、Tr12のゲート電極Tr11g、Tr12gを形成するためのゲートメタル層からなるものであってもよい。
【0074】
以上説明したようなデバイス構造を有する表示パネルにおいて、画像データ(階調電圧Vdata)に応じた所定の電流値の発光駆動電流がトランジスタTr12のドレイン・ソース間に流れて画素電極115に供給されることにより、有機EL素子OELが当該画像データに応じた所定の輝度階調で発光動作する。
【0075】
このとき、有機EL素子OELの画素電極115が高い光透過率を有し、対向電極117が高い光反射率を有することにより、各画素PIXの有機EL層116において発光した光は、画素電極115を直接透過して、あるいは、対向電極117で反射した後、基板111を透過して、視野側である基板11の他面側(図8、図9の図面下方側)に出射される。
【0076】
<発光装置の製造方法>
次に、本実施形態に係る表示パネルを備えた表示装置の製造方法について説明する。
図10〜図16は、本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程断面図である。ここでは、図示の都合上、図8、図9に示したパネル基板110の各部の断面のうち、一部を抜き出して、便宜的に隣接するように配置して示した。図中、(VIIID−VIIID断面)、(IXF−IXF断面)、(IXG−IXG断面)は、各々図8、図9に示した各断面構造における工程断面を示す。
【0077】
上述した表示装置100の製造方法は、まず、図10(a)〜図12(b)に示すように、ガラス基板等の基板111の一面側(図面上面側)に、上述した発光駆動回路DC(図6(a)、図7参照)を構成するトランジスタTr11、Tr12やキャパシタCs、選択ラインLs、電源ラインLa、データラインLdが形成される。
【0078】
具体的には、まず、図7、図10(a)に示すように、透明な基板111の一面側に設定された各画素PIXのEL素子形成領域Relに対応する領域ごとに、キャパシタCsの下部電極Ecaが形成される。ここで、下部電極Ecaは、基板111上に錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の透明な電極材料からなる透明電極膜を成膜後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより形成される。
【0079】
次いで、図7、図10(b)に示すように、基板111上に成膜されたゲートメタル層を、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、表示エリア120の各画素PIXの画素形成領域Rpx内に、ゲート電極Tr11g、Tr12g及びデータラインLdが同時に形成される。なお、ゲート電極Tr11g、Tr12g及びデータラインLdを形成するためのゲートメタル層は、例えばアルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)合金、もしくは、モリブデン−ニオブ(MoNb)合金をターゲットとして用いたスパッタリング法等により形成される。
【0080】
次いで、図10(c)に示すように、基板111上に窒化シリコン等からなるゲート絶縁膜112、真性アモルファスシリコン等からなる半導体膜SMCx、窒化シリコン等からなる絶縁膜を連続的に成膜する。その後、最上層の窒化シリコン等の絶縁膜を、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、図10(c)に示すように、半導体膜SMCx上であって、ゲート電極Tr11g及びTr12gに対応する各領域に、チャネル保護層BLを形成する。
【0081】
次いで、図11(a)に示すように、基板111上にn型アモルファスシリコン等からなる不純物層OHMxを成膜する。その後、図11(b)に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、不純物層OHMx及び半導体膜SMCxを一括してパターニングすることにより、後述するトランジスタTr11及びTr12の形成領域(デバイスエリア)を画定する。
【0082】
次いで、図7、図11(c)に示すように、トランジスタTr11のソース、ドレインとなる領域の不純物層OHM、半導体層SMC及びゲート絶縁膜112を一括してパターニングすることにより、ゲート絶縁膜112の下層の下部電極Eca及びデータラインLdの所定の位置の上面が露出するコンタクトホールHL3及びHL2を形成する。また、このとき、少なくともパネル基板110のドライバチップ130の搭載領域Rdr及びフィルム基板140の接続領域Rfpを含む、表示エリア120以外の所定の領域の不純物層OHM、半導体層SMC及びゲート絶縁膜112を一括してパターニングすることにより、基板111を露出させる。
【0083】
次いで、図7、図12(a)に示すように、基板111上に錫ドープ酸化インジウム(ITO)等からなる透明電極膜を例えば50nmの膜厚で成膜後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、各画素PIXのEL素子形成領域Relの絶縁膜112上に、例えば矩形状の平面形状を有する画素電極115を形成する。これにより、各画素PIXのEL素子形成領域Relにおいて、ゲート絶縁膜112を介して、下部電極Ecaと画素電極115とが対向して配置されたキャパシタCsが形成される。すなわち、画素電極115は、有機EL素子OELのアノード電極であるとともに、下部電極Ecaに対向する上部電極Ecbとして兼用され、また、ゲート絶縁膜112は、誘電体層として兼用される。また、このとき、ドライバチップ130の搭載領域Rdr及びフィルム基板140の接続領域Rfpの基板111上に、例えば矩形状の平面形状を有する透明電極層115Pを同時に形成する。
【0084】
次いで、基板111上にソース、ドレインメタル層を成膜後、フォトリソグラフィ法を用いて、当該ソース、ドレインメタル層をパターニングする。これにより、図12(b)に示すように、少なくともトランジスタTr11、Tr12の各半導体層SMCの両端部上に、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dが形成される。ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dは、チャネル保護層BLを挟んで対向するとともに、オーミック接続のための不純物層OHMを介して、各半導体層SMC上に形成される。これにより、基板111上に、トランジスタTr11、Tr12が形成される。ここで、トランジスタTr11のソース電極Tr11sは、上述したコンタクトホールHL3を介して下部電極Ecaに直接接続され、ドレイン電極Tr11dは、コンタクトホールHL2を介して、データラインLdに直接接続される。また、トランジスタTr12のソース電極Tr12sは、その一部が画素電極115上に延在して直接接続される。
【0085】
また、このソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dを形成する工程においては、選択ラインLs、及び、電源ラインLaも同時に形成される。ここで、選択ラインLsは、図7に示したように、上述したコンタクトホールHL1を介してトランジスタTr11のゲート電極Tr11gに直接接続される。また、電源ラインLaは、図7に示したように、トランジスタTr12のドレイン電極Tr12dと一体的に形成される。なお、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d、選択ラインLs、電源ラインLaを形成するためのソース、ドレインメタル層は、ゲートメタル層と同様に、例えばアルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)合金、もしくは、モリブデン−ニオブ(MoNb)合金をターゲットとして用いたスパッタリング法等により形成される。ソース、ドレインメタル層として、アルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)合金を用いる場合には、例えば400nmの膜厚で形成し、また、モリブデン−ニオブ(MoNb)合金を用いる場合には、例えば180nmの膜厚で形成する。また、このとき、パネル基板110のドライバチップ130の搭載領域Rdr及びフィルム基板140の接続領域Rfpの基板111上に形成された透明電極層115Pの縁辺部に沿って、例えば枠状の平面形状を有し、かつ、当該透明電極層115Pに電気的に接続する金属配線層SDPも同時に形成される。また、図5に示したように、金属配線層SDPと一体的に形成される引き出し配線Lrや接続配線Lqも同時に形成される。
【0086】
次いで、基板111上に、窒化シリコン等からなる絶縁膜113を形成する。その後、当該絶縁膜113をパターニングして、図13(a)に示すように、上記画素電極115が露出する開口部を形成する。このとき、ドライバチップ130の搭載領域Rdr及びフィルム基板140の接続領域Rfpの絶縁膜113を同時に除去し、少なくとも透明電極層115Pを露出させる。
【0087】
次いで、基板111上に、例えばポリイミド系やアクリル系等の感光性の有機樹脂材料を塗布して樹脂層を形成した後、当該樹脂層をパターニングすることにより、図13(b)に示すように、少なくとも表示エリア120に隔壁層114を形成する。ここで、隔壁層114は、基板111の一面側に連続的に突出するとともに、各画素PIXの画素電極115が露出する開口部を有している。これにより、各画素形成領域Rpxにおいて、隔壁層114に形成された開口部、すなわち図7、図8に示したように、隔壁層114の側壁114e及び絶縁膜113により囲まれ、画素電極115が露出する領域が各画素PIXのEL素子形成領域Relとして画定される。
【0088】
次いで、基板111を純水で洗浄した後、例えば酸素プラズマ処理又はUVオゾン処理等を施すことにより、各EL素子形成領域Relに露出する画素電極115の表面を、後述する正孔輸送材料や電子輸送性発光材料の有機化合物含有液に対して親液化する処理を施す。このように、隔壁層114及び絶縁膜113により有機化合物含有液を塗布する領域(EL素子形成領域Rel)を画定し、加えて、各画素PIX(有機EL素子OEL)の画素電極115表面を親液化することにより、後述するように、有機化合物含有液をノズルプリンティング法やインクジェット法を用いて塗布し、有機EL層116の発光層(電子輸送性発光層116b)を形成する場合であっても、隣接して配置される異なる色の画素PIXのEL素子形成領域Relへの有機化合物含有液の漏出や乗り越えを抑制することができる。したがって、カラー表示に対応したパネル基板110を製造する場合であっても、隣接画素相互の混色を防止して、赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料の塗り分けを良好に行うことができる。
【0089】
次いで、図14に示すように、表示エリア120の各画素PIXのEL素子形成領域Relに露出する画素電極115上に、例えば正孔輸送層(担体輸送層)116a及び電子輸送性発光層(担体輸送層)116bが積層形成された有機EL層(発光機能層)116を形成する。
【0090】
まず、各画素PIXのEL素子形成領域Relに対して、連続した溶液(液流)を吐出するノズルプリンティング(又はノズルコート)法、又は、互いに分離した不連続の複数の液滴を所定位置に吐出するインクジェット法等を用いて、正孔輸送材料の溶液又は分散液を塗布した後、加熱乾燥させて画素電極115上に正孔輸送層116aを形成する。
【0091】
具体的には、有機高分子系の正孔輸送材料(担体輸送性材料)を含む有機化合物含有液(有機溶液)として、例えばポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水溶液(PEDOT/PSS;導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェンPEDOTと、ドーパントであるポリスチレンスルホン酸PSSを水系溶媒に分散させた分散液)を、EL素子形成領域Relに塗布する。その後、基板111が載置されているステージを100℃以上の温度条件で加熱して乾燥処理を行って残留溶媒を除去することにより、各EL素子形成領域Relに露出する画素電極115上にのみ有機高分子系の正孔輸送材料を定着させて、正孔輸送層116aを形成する。
【0092】
次いで、各EL素子形成領域Relに形成された正孔輸送層116a上に、ノズルプリンティング法又はインクジェット法等を用いて、電子輸送性発光材料の溶液又は分散液を塗布した後、加熱乾燥させて電子輸送性発光層(担体輸送層)116bを形成する。
【0093】
具体的には、有機高分子系の電子輸送性発光材料(担体輸送性材料)を含む有機化合物含有液(有機溶液)として、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料を、適宜水系溶媒或いはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解または分散した0.1wt%〜5wt%の溶液を、上記正孔輸送層116a上に塗布する。その後、窒素雰囲気中で上記ステージを加熱して乾燥処理を行って残留溶媒を除去することにより、正孔輸送層116a上に有機高分子系の電子輸送性発光材料を定着させて、電子輸送性発光層116bを形成する。
【0094】
次いで、図15に示すように、上記隔壁層114及び有機EL層116(正孔輸送層116a及び電子輸送性発光層116b)が形成された表示エリア120を含む領域に、光反射特性を有し、各画素PIXの有機EL層116を介して画素電極115に対向する、共通の対向電極(カソード電極)117を形成する。ここで、対向電極117は、例えば真空蒸着法を用いて、蒸着マスクを介して純アルミニウムからなる電極層を基板111上に成膜することにより形成される。
【0095】
次いで、図16に示すように、上記対向電極117が形成された基板111上に、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなり、封止層となる保護絶縁膜(オーバーコート膜)118を例えば400nmの膜厚で成膜する。その後、少なくともドライバチップ130の搭載領域Rdr及びフィルム基板140の接続領域Rfpの保護絶縁膜118をパターニングして、透明電極層115Pを露出させる開口部118hを形成する。これにより、搭載領域Rdrに配列されるチップ接続端子10a、10b、及び、接続領域Rfpに配列される外部接続端子10cが形成される。これにより、図4〜図9に示した表示装置100(パネル基板110)が完成する。なお、パネル基板110の表示エリア120は、上記保護絶縁膜118に加えて、又は、保護絶縁膜118に替えて、メタルキャップ(封止蓋)やガラス等の封止基板を基板111に対向して接合するものであってもよい。
【0096】
このように、本実施形態においては、ドライバチップ130の搭載領域Rdrに配列されるチップ接続端子10a、10bや、フィルム基板140の接続領域Rfpに配列される外部接続端子10cが、例えば発光駆動回路DCのトランジスタTr11、Tr12や有機EL素子OELを構成する各層を形成する際の製造プロセスにおいて同時に形成される。すなわち、本実施形態によれば、製造工程の大幅な変更や工程数の増加を伴うことなく、図1、図2に示した接続端子と同等の構造を有するチップ接続端子10a、10bや外部接続端子10cを作製することができる。
【0097】
したがって、本実施形態に係る表示装置(発光装置)によれば、パネル基板110の機能検査の際に、検査装置の検査針とチップ接続端子10a、10bや外部接続端子10cとのアライメントを行う際に、検査針が接触するコンタクト部(保護絶縁膜118の開口部118h内に露出する透明電極層115P部分)と、その周辺の金属配線層SDPとの透光性(光透過率)が異なるので、両者のコントラスト比からコンタクト部を識別しやすく、かつ、コンタクト部を透視して検査針の位置を正確に把握することができる。これにより、本実施形態によれば、アライメントを迅速かつ精度良く行うことができる。また、本実施形態によれば、チップ接続端子10a、10bや外部接続端子10cのコンタクト部が透明であるので、検査針がコンタクト部に接触しているかどうかを正確に判断することができる。さらに、本実施形態によれば、コンタクト部となる透明電極層115Pの縁辺部に金属配線層SDPが接続されているので、接触抵抗を低減することができる。
【0098】
なお、上述した実施形態においては、選択ラインLs及び電源ラインLaを単層の金属配線層により形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば選択ラインLs及び電源ラインLaを、2層以上の金属配線層が積層形成、又は、平行して配設された配線構造を有するものであってもよい。この場合、選択ラインLs及び電源ラインLaの下層側の金属配線層を形成する際に、チップ接続端子10a、10bや外部接続端子10cの透明電極層115Pの縁辺部に設けられる金属配線層SDP及び引き出し配線Lr、接続配線Lqを同時に形成し、選択ラインLs及び電源ラインLaの上層側の金属配線層を形成する際に、上記金属配線層SDP及び引き出し配線Lr、接続配線Lq上にさらに金属層(図2に示した金属層13bに相当する)を同時に積層形成することにより、図2に示した接続端子10と同等の構造を有するチップ接続端子10a、10bや外部接続端子10cを作製することができる。これにより、チップ接続端子10a、10bや外部接続端子10c、引き出し配線Lr、接続配線Lqにおける配線抵抗を低減することができるとともに、マイグレーションを低減することができる。
【0099】
また、本実施形態においては、チップ接続端子10a、10bや外部接続端子10cを構成する透明電極層115Pを、有機EL素子OELの画素電極115と同時に形成し、また、金属配線層SDPを、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同時に形成する場合について説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、例えば透明電極層115Pを、キャパシタCsの下部電極Ecaと同時に形成し、また、金属配線層SDPを、トランジスタTr11、Tr12のゲート電極Tr11g、Tr12gと同時に形成するものであってもよい。
【0100】
<電子機器>
次に、上述した実施形態に係る表示装置(本発明に係る回路基板を備えた発光装置)を適用した電子機器について図面を参照して説明する。
【0101】
上述した実施形態に示したように、有機EL素子OELを有する各画素PIXが2次元配列されたパネル基板110を備える表示装置100は、例えばデジタルカメラや薄型テレビジョン、モバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話等、種々の電子機器の表示デバイスとして良好に適用できるものである。
【0102】
図17は、本発明に係る発光装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図であり、図18は、本発明に係る発光装置を適用した薄型テレビジョンの構成例を示す斜視図であり、図19は、本発明に係る発光装置を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図であり、図20は、本発明に係る発光装置を適用した携帯電話の構成例を示す図である。
【0103】
図17において、デジタルカメラ210は、大別して、本体部211と、レンズ部212と、操作部213と、上述した各実施形態に示した表示装置100を備える表示部214と、シャッターボタン215とを備えている。これによれば、表示部214における機能検査を適切に行うことができるので、製品の品質や信頼性が高いデジタルカメラ210を適用することができる。
【0104】
また、図18において、薄型テレビジョン220は、大別して、本体部221と、上述した実施形態に示した表示装置100を備える表示部222と、操作用コントローラ(リモコン)223と、を備えている。これによれば、表示部222における機能検査を適切に行うことができるので、製品の品質や信頼性が高い薄型テレビジョン220を適用することができる。
【0105】
また、図19において、パーソナルコンピュータ230は、大別して、本体部231と、キーボード232と、上述した実施形態に示した表示装置100を備える表示部233とを備えている。この場合においても、表示部233における機能検査を適切に行うことができるので、製品の品質や信頼性が高いパーソナルコンピュータ230を適用することができる。
【0106】
また、図20において、携帯電話240は、大別して、操作部241と、受話口242と、送話口243と、上述した実施形態に示した表示装置100を備える表示部244とを備えている。この場合においても、表示部244における機能検査を適切に行うことができるので、製品の品質や信頼性が高い携帯電話240を適用することができる。
【0107】
なお、上述した各電子機器においては、本発明に係る回路基板を適用したパネル基板を、表示装置に適用した場合について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る回路基板及び発光装置は、例えば発光素子を有する複数の画素が一方向に配列された発光素子アレイを備え、感光体ドラムに画像データに応じて発光素子アレイから出射した光を照射して露光する露光装置に適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 接続端子
10a、10b チップ接続端子
10c 外部接続端子
11 基板
12 透明電極層
13 金属配線層
13a、13b 金属層
21 保護絶縁膜
100 表示装置
110 パネル基板
120 表示エリア
130 ドライバチップ
140 フィルム基板
PIX 画素
Rpx 画素形成領域
Rel EL素子形成領域
OEL 有機EL素子
Tr11、Tr12、Tr21〜Tr23 トランジスタ
Cs キャパシタ
Ls 選択ライン
La 電源ライン
Ld データライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配列されたパネル基板を備えた発光装置において、
前記パネル基板は、基板上に設けられ、所定の平面形状を有する第1の導電層と、第1の導電層上に設けられ、前記第1の導電層の一部が露出するような開口部が形成された第2の導電層と、を有する接続端子を備え、
前記第1の導電層は、前記第2の導電層よりも高い光透過率を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第2の導電層は、前記第1の導電層と前記第1の導電層の縁辺部のみで重なっていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の導電層は、透明電極材料からなり、前記第2の導電層は、遮光性を有する金属材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の画素は、各々、発光素子と、前記発光素子を所定の輝度階調で発光動作させる画素回路と、を備え、
前記第1の導電層は、前記発光素子を構成する透明電極層と同層に設けられ、前記第2の導電層は、前記画素回路に設けられる薄膜トランジスタを構成する金属電極層と同層に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光装置は前記複数の画素が配列された表示エリアに、少なくとも、
前記表示エリアの行方向に配設された複数の選択ラインと、
前記表示エリアの列方向に配設された複数のデータラインと、
を備え、
少なくとも、前記選択ラインに選択信号を印加して、前記選択ラインに接続された前記画素を選択状態に設定する選択駆動回路、及び、画像データに基づく階調信号を生成して、前記データラインを介して前記選択状態に設定された前記画素に供給するデータ駆動回路が、前記接続端子を介して前記パネル基板に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2の導電層は2層以上の積層構造を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
発光素子と画素回路とを有する複数の画素が配列された発光パネルを備えた発光装置の製造方法において、
前記発光素子を構成する透明電極層と同層に、所定の平面形状を有する第1の導電層を形成する工程と、
前記画素回路に設けられる薄膜トランジスタを構成する金属電極層と同層に、前記第1の導電層の縁辺部のみで前記第1の導電層と重なっている第2の導電層を形成する工程と、
少なくとも前記第2の導電層を被覆するとともに、前記第1の導電層が露出する開口部を有する保護絶縁膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2011−191606(P2011−191606A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58925(P2010−58925)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】