説明

発光装置及びその製造方法

【課題】 小型かつ軽量で、発光素子が脱落し難い発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 同一面側に正電極及び負電極を有する発光素子と、互いに離間する第1導電部材及び第2導電部材と、発光素子と導電部材とを接続する接着部材と、を備えた発光装置において、接着部材は、絶縁領域と導電領域とを有するものであり、第1導電部材及び第2導電部材の上面及び側面に接続されており、発光素子の正電極及び負電極は、接着部材の導電領域上に接続されている発光装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、ディスプレイ、携帯電話のバックライト、動画照明補助光源、その他の一般的民生用光源などに用いられる発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化・軽量化に伴い、それらに搭載される発光装置(発光ダイオード)等も小型化されたものが種々開発されている。これらの発光装置は、例えば、一対のリードフレームの一方に、銀(Ag)ペースト等の接着部材を用いて発光素子を載置し、ワイヤ等を用いて他方のリードフレームと発光素子とを電気的に導通させた構造を有している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−313943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記のような発光装置のさらなる小型化が求められている。しかし、発光装置のリードフレーム自体を小型化すると、発光素子を載置する領域が小さくなるため、発光素子の接合強度が低下してしまう。
そこで、本発明は、小型かつ軽量で、発光素子が脱落し難い発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、同一面側に正電極及び負電極を有する発光素子と、互いに離間する第1導電部材及び第2導電部材と、発光素子と導電部材とを接続する接着部材と、を備えた発光装置において、接着部材は、絶縁領域と導電領域とを有するものであり、第1導電部材及び第2導電部材の上面及び側面に接続されており、発光素子の正電極及び負電極は、接着部材の導電領域上に接続されている発光装置に関する。かかる構成によれば、小型かつ軽量の発光装置を得ることができるとともに、発光素子と導電部材との接合強度を高めることができる。
【0006】
第1導電部材と第2導電部材との間に、接着部材が充填されていることが好ましい。かかる構成によれば、発光素子と導電部材との接合強度を高めることができる。
【0007】
第1導電部材の上に発光素子の正電極が配置され、第2導電部材の上に発光素子の負電極が配置されており、接着部材の導電領域は、第1導電部材と発光素子の正電極との間、及び第2導電部材と発光素子の負電極との間に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、小型かつ軽量の発光装置を得ることができる。
【0008】
第1導電部材及び第2導電部材は、互いに隣接する外縁に向かって突出する突出部を有しており、突出部の上面及び下面が接着部材で挟持されていることが好ましい。かかる構成によれば、導電部材への接着部材のアンカー効果を発揮させることができ、発光素子の脱落を防止することができる。また、発光装置の機械的強度を高めることができる。
【0009】
また、本発明は、支持基板の上に、互いに離間する第1導電部材及び第2導電部材を形成する導電部材形成工程と、第1導電部材及び第2導電部材の上に、絶縁部材と導電性フィラーを含有する接着部材を介して発光素子を圧着することにより、接着部材の一部を第1導電部材と第2導電部材との間に延在させるダイボンディング工程と、を含む発光装置の製造方法に関する。かかる構成によれば、小型かつ軽量で、発光素子が脱落し難い発光装置を得ることができる。
【0010】
導電部材形成工程において、第1導電部材及び第2導電部材の互いに隣接する外縁に突出部を形成し、ダイボンディング工程において接着部材の一部を突出部の下に延在させることが好ましい。かかる構成によれば、発光素子が脱落し難い発光装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型かつ軽量の発光装置を得ることができるとともに、発光素子と導電部材との接合強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る発光装置を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る発光装置を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る発光装置の一部を拡大した概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る発光装置の応用例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る発光装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る発光装置を、実施の形態及び実施例を用いて説明する。だたし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0014】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る発光装置を示す概略斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る発光装置を示す概略断面図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る発光装置の一部を拡大した概略断面図である。
【0015】
(発光装置の構造)
本実施の形態の発光装置100は、発光素子104と、互いに離間する第1導電部材101及び第2導電部材102と、発光素子104と第1導電部材101及び第2導電部材102とを接続する接着部材103と、を備えている。発光素子104は、同一面側に正電極104a及び負電極104bを有している。接着部材103は、絶縁領域103aと導電領域103bとを有するものである。接着部材103としては、例えば、絶縁部材に導電性フィラーが混合された異方性導電材料が挙げられる。接着部材103は、第1導電部材101及び第2導電部材102の上面及び側面に接続されている。発光素子104の正電極104a及び負電極104bは、接着部材103の導電領域103b上に接続されている。具体的には、発光素子104の正電極104aは、第1導電部材101の上に配置され、発光素子104の負電極104bは、第2導電部材102の上に配置されている。接着部材103の導電領域103bは、少なくとも第1導電部材101と発光素子104の正電極104aとの間、及び第2導電部材102と発光素子104の負電極104bとの間に設けられている。導電領域103bは、絶縁領域103aによって囲まれている。すなわち、上記の2つの導電領域103bは、絶縁領域103aによって分離されている。
発光素子104の正電極104a及び負電極104bには、Au等の金属バンプ105が設けられていてもよい。この場合、発光素子104の正電極104a及び負電極104bは、金属バンプ105を介して接着部材103の導電領域103b上に接続される。
また、発光装置100は、発光素子104とともに、第1導電部材101及び第2導電部材102の少なくとも一面を被覆する封止部材106とを備える。封止部材106は、発光装置100の上面、側面及び下面の一部を形成している。第1導電部材101及び第2導電部材102の下面側は、外部に露出しており、発光装置100の下面の一部を形成している。第1導電部材101及び第2導電部材102は、封止部材106の下面と面一であることが好ましい。
【0016】
本実施の形態においては、発光素子104は、導電性ワイヤを用いず、正電極104a及び負電極104bを接着部材103を用いて直接第1導電部材101及び第2導電部材102に接合されている。これにより、発光装置の厚みを抑えることができる。また、導電部材に対するワイヤの接合領域を設ける必要がないため、発光装置を小型化することができる。また、接着部材103は、第1導電部材101及び第2導電部材102の上面及び側面に接続されているため、小型化された発光装置においても、導電部材と接着部材との接合面積を確保することができる。
【0017】
(発光装置の製造方法)
次に、本実施の形態に係る発光装置の製造方法について説明する。図4は、本実施の形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0018】
本実施の形態に係る発光装置の製造方法は、主として、支持基板の上に、互いに離間する第1導電部材及び第2導電部材を形成する導電部材形成工程と、第1導電部材及び第2導電部材の上に、接着部材を介して発光素子を圧着することにより、接着部材の一部を第1導電部材と第2導電部材との間に延在させるダイボンディング工程と、を有する。
【0019】
(導電部材形成工程)
まず、支持基板を用意する。支持基板は、第1導電部材及び第2導電部材を形成するために用いる板状又はシート状の部材であり、発光装置を個片化する前に除去されるため、発光装置には具備されていない部材である。支持基板としては、特に限定されず、導電性を有する基板であることが好ましい。
【0020】
支持基板は、例えば、ステンレス(SUS)からなるものが挙げられ、アルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系等、種々のステンレスを用いることができる。好ましくは、フェライト系のステンレスであり、特に好ましくは、400系、300系のものであり、さらに、SUS430(10.4×10−6/K)、SUS444(10.6×10−6/K)、SUS303(18.7×10−6/K)、SUS304(17.3×10−6/K)等が好適に用いられる。400系のステンレスは、鍍金の前処理として酸処理を行うと、300系に比し表面が荒れやすくなる。したがって、酸処理を行った400系のステンレスの上に鍍金層を形成すると、その鍍金層の表面も荒れやすくなる。これにより封止部材を構成する樹脂との密着性を良くすることができる。また、300系は酸処理では表面が荒れにくい。このため300系のステンレスを用いれば、鍍金層の表面の光沢度を向上させやすく、これにより発光素子からの反射率を向上して光取り出し効率の高い発光装置とすることができる。
支持基板の厚みは、10μm〜300μm程度の板状部材を用いるのが好ましく、また、樹脂成形後の反りを緩和するために支持基板にスリット、溝、波形状の加工を施していてもよい。
【0021】
支持基板の上面に、保護膜としてレジストを塗布する。このレジストの厚みによって後に形成される導電部材の厚みを調整することができる。なお、ここでは、支持基板の上面(導電部材を形成する側の面)にのみレジストを設けるが、さらに、下面(反対側の面)に形成してもよい。これにより、後述する鍍金によって支持基板の下面側に導電部材が形成されるのを防ぐことができる。保護膜(レジスト)が、フォトリソグラフィによって形成されるレジストの場合、ポジ型、ネガ型のいずれを用いてもよい。また、スクリーン印刷により形成させるレジストや、シート状のレジストを貼り付けるなどの方法も用いることができる。
塗布したレジストを乾燥させた後、その上部に所定のパターン形状の開口部を有するマスクを直接又は間接的に配置し、紫外線を照射して露光する。その後、エッチング剤で処理することによって、図4(a)に示すように、互いに離間する複数の開口部を有する保護膜が形成される。ここで、必要であれば酸活性処理などを行ってもよい。
【0022】
次に、保護膜の開口部内に、導電部材を形成させる。導電部材を形成する方法としては、電解鍍金、無電解鍍金、スパッタ、蒸着、CVD等が挙げられる。
各形成方法において、条件を調整することで、保護膜の厚みよりも厚くなるように導電部材を形成することができる。これにより導電部材を保護膜の上面にまで形成させ、図3に示すように、突出部を形成してもよい。
【0023】
その後、保護膜を洗浄して除去することで、図4(c)に示すように、互いに離間する第1導電部材及び第2導電部材を形成する。
【0024】
(ダイボンディング工程)
次いで、第1導電部材及び第2導電部材の上に、接着部材を介して発光素子を載置する。接着部材は、第1導電部材及び第2導電部材と、発光素子との間に介在するように形成する。
【0025】
図4(d)は、第1導電部材及び第2導電部材の上に、接着部材を設けた状態を示している。接着部材を形成する方法としては、ディスペンス、ピン転写、印刷等が挙げられる。
【0026】
接着部材は、異方性導電材料を用いることが好ましい。異方性導電材料は、樹脂ボールを金属層で覆った導電性フィラーや、さらにこの金属層の外郭を絶縁膜で覆った導電性フィラーなどを、樹脂などの絶縁部材に混合したものをいう。
接着部材は、ペースト状、固体状(シート状、ブロック状、粉末状)のものを用いることができ、特にペースト状が好ましい。接着部材の形状は、接着部材の組成や導電部材の形状、発光素子の電極の形状等に応じて、適宜選択することができる。
【0027】
このような接着部材は、第1導電部材及び第2導電部材の上に、連続して形成することが好ましい。発光素子を載置する際に、発光素子の正電極及び負電極と第1導電部材及び第2導電部材との間に異方性導電材料を挟み、発光素子を加圧すると、異方性導電材料は発光素子の電極の下側の領域のみに圧力がかかる。これにより、異方性導電材料内に分散している導電性フィラーが押し付けられることで、この領域のみに導電性フィラーによって導電する導電領域が形成される。絶縁膜で外郭を覆った導電性フィラーの場合は、発光素子の電極で加圧されることで、最外郭の絶縁膜が破れ、露出した金属層が電極及び導電部材に接触することによって電気的な接続が発生する。圧力がかからなかった領域は、導電性フィラーの表面が絶縁部材で覆われているため、絶縁領域を形成している。これにより、正負の電極間の絶縁性は保持される。電極や導電部材の間隔が狭い場合においても短絡を起こさずに発光素子を実装することができる。
【0028】
また、発光素子を載置する際に、発光素子を圧着することにより、接着部材の一部が第1導電部材と第2導電部材との間に侵入する。接着部材が第1導電部材と第2導電部材との間に延在することによって、第1導電部材及び第2導電部材と接着部材との接合面積を十分に確保することができる。第1導電部材及び第2導電部材が、互いに隣接する外縁に向かって突出する突出部を有する場合は、発光素子を圧着する際に、圧力を調節することにより、接着部材の一部を第1導電部材及び第2導電部材の突出部の下面よりも下に延在させることができる。
【0029】
なお、ダイボンディング工程において、発光素子の正電極及び負電極に、Au等の金属バンプを形成し、この金属バンプによって異方性導電材料に加圧してもよい。これにより、電極や導電部材の厚みが薄い場合においても短絡を起こさずに発光素子を実装することができる。発光素子の各電極に形成する金属バンプの表面が略同一平面上に位置するように構成することにより、各金属バンプを異方性導電部材に対して均一に加圧させることができるので好ましい。
【0030】
(封止部材形成工程)
次に、発光素子を被覆する封止部材をトランスファモールド、ポッティング、印刷などの方法で形成する。図4(f)は、発光素子の上に封止部材を形成した状態を示す図である。封止部材は、上面を平坦な面としてもよく、或いは、中央が凹んだ、又は突出したような曲面状に形成してもよい。また、封止部材は、1層構造、又は組成が異なる2層以上の多層構造としてもよい。
【0031】
(支持基板除去工程)
封止部材を硬化後、支持基板を剥離して除去する。これにより、第1導電部材及び第2導電部材の底面が露出する。図4(g)は、支持基板を剥離した状態を示す図である。支持基板111を除去する方法としては、物理的に剥がす方法、エッチングにより選択的に支持基板を除去する方法等を用いることができる。
【0032】
(ダイシング工程)
以上のような工程を経て、発光装置の集合体を得ることができる。この発光装置の集合体において、図4(g)に点線で示す分離部、つまり、発光素子間の封止部材を分割するような位置で切断することで発光素子毎に個片化し、図2に示すような発光装置を得ることができる。個片化の方法としては、ブレードによるダイシング、レーザ光によるダイシング等種々の方法を用いることができる。
【0033】
図2では、発光素子を個々に分割した状態を示しているが、目的によって2個毎や4個毎等のアレイや集合体として切り分けてもよい。
また、図1では、第1導電部材及び第2導電部材から離間する位置で切断しているが、これに限らず、第1導電部材及び第2導電部材のうちの少なくとも一方を含む位置で切断してもよい。導電部材から離間する位置で切断する場合、切断される部分が封止部材や接着部材などの樹脂のみとなるため、導電部材と樹脂とを合わせて切断する場合に比して容易に切断することができる。導電部材を含む位置で切断する場合、発光装置の側面にも導電部材が露出するようになり、はんだ等が接合し易くなる。
【0034】
以下、本実施形態の発光装置の各構成部材について詳述する。
【0035】
(導電部材)
導電部材は、発光素子に電気的に接続して、外部から供給される電気を通電させるための一対の電極として機能するものである。導電部材は、互いに離間する第1導電部材と第2導電部材とを有している。
【0036】
第1導電部材は、発光素子の正電極がその上面に接着部材を介して接続される。第2導電部材は、発光素子の負電極がその上面に接着部材を介して接続される。第1導電部材及び第2導電部材の上面は、発光素子の電極が接続可能な面積以上の大きさであればよい。第1導電部材及び第2導電部材の上面の形状は、例えば、上面視が略四角形、多角形、これらの形状に切り欠きを有する形状等、種々のものとすることができる。また、発光素子の電極を配置させる領域は、平坦な面とするのが好ましい。第1導電部材及び第2導電部材は、下面が発光装置の外表面(例えば、下面又は裏面)を形成する。すなわち、第1導電部材及び第2導電部材の下面は封止部材で被覆されずに外部に露出している。
第1導電部材及び第2導電部材の下面は、発光装置の外表面として、実質的に平坦な面とするのが好ましいが、微細な凹凸等が形成されていてもよい。
【0037】
第1導電部材及び第2導電部材の膜厚は、互いに異なっていてもよいが、略等しい膜厚とするのが好ましい。具体的には、10μm〜100μm程度が好ましく、特に、45μm〜95μm程度が好ましい。このような範囲の厚さとすることで、例えば鍍金法によって導電部材を形成する場合に、均一な膜厚の導電部材とすることができる。特に、100μm程度以下とすることにより、従来から用いられているリードフレームでは実現できない極薄い厚みであるため、発光装置のより小型化・軽量化を図ることができる。
【0038】
第1導電部材及び第2導電部材は、互いに異なる材料によって形成されていてもよいが、同じ材料によって形成されていることが好ましい。これにより、より簡便に製造することができる。
例えば、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン等の金属又は合金(例えば、鉄−ニッケル合金、りん青銅、鉄入り銅、Au−Sn等の共晶はんだ、SnAgCu、SnAgCuIn等のはんだ等)、酸化物導電体(例えば、ITO等)等が挙げられる。第1及び第2の導電部材は、単層及び積層のいずれでもよい。
【0039】
特に、第1及び第2の導電部材は、鍍金であることが好ましく、鍍金の積層構造とすることがより好ましい。具体的には、導電部材の最上層(発光素子の載置側)には、発光素子や波長変換部材からの光を反射可能な材料を設けるのが好ましく、具体的には、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Al、W、Mo、Ru、Rh等が好ましい。さらに、最表面は、高反射率、高光沢であることが好ましい。具体的には、可視域の反射率が70%以上であることが好ましく、その場合は、Au、Al、Ag、Ru、Rh、Pt、Pdなどが好ましく、特にAgが好ましい。表面光沢は、例えば、光沢度が0.5以上であることが好ましく、1.0以上がより好ましい。ここで示される光沢度は、日本電色工業製 微小面色差計VSR 300Aを用い、45°照射、垂直受光で得られる数字である。
【0040】
第1導電部材と第2導電部材との間隔は、10μm〜500μmであることが適している。これにより、導電部材間の短絡を防止することができる。特に、導電部材が、Ag等のマイグレーションを起こしやすい材料を含んでいる場合、第1導電部材と第2導電部材との間隔は、200μm以上であることが好ましい。
【0041】
また、導電部材が金属からなる鍍金層の場合、その組成によって線膨張係数が規定されるため、比較的支持基板との線膨張係数が近いものが好ましい。例えば、支持基板として、線膨張係数が10.4×10−6/KであるSUS430を用い、その上に導電部材として、最下層側から、線膨張係数14.2×10−6/KであるAu(0.04〜0.1
μm)、線膨張係数12.8×10−6/KであるNi(又は線膨張係数16.8×10−6/KであるCu)(40〜70μm)、Au(0.01〜0.07μm)、線膨張係数119.7×10−6/KであるAg(2〜6μm)等の積層構造が好ましい。最上層のAgは線膨張係数が他の層の金属と大きく異なるが、発光素子からの光の反射率を優先しているためであり、極めて薄い厚みとしているため反りに対する影響は極めて微弱であり、実用的には問題はない程度である。
【0042】
第1導電部材及び第2導電部材の外縁は、平坦な面でもよいが、接着部材や封止部材との密着性を考慮して、突出部を有する形状とすることが好ましい。突出部は、導電部材の下面から離間した位置に設けることが好ましい。また、接着部材の一部は、突出部の下面よりも下に延在していることが好ましい。これにより、接着部材が導電部材から剥離することを防止することができる。
【0043】
図3は、図2の発光装置の点線で囲んだ領域を拡大した概略断面図である。突出部101xは、例えば、図3のように、第1導電部材101と第2導電部材102との間において、互いに隣接する外縁に向かって突出し、突出部101xにおける上面及び下面が接着部材によって挟持されるように配置していることが好ましい。これにより、導電部材が薄い厚みであっても、機械的強度をより高めることができる。
【0044】
突出部は、第1導電部材及び第2導電部材の周囲の任意の位置に設けることができる。突起部は、例えば、上面視四角形の導電部材の2つの側面にのみ設けるなど、部分的に設けてもよいが、第1導電部材及び第2導電部材の周囲全体にわたって形成していることが好ましい。これにより、封止部材や接着部材からの脱落をより確実に防止することができる。
【0045】
(接着部材)
接着部材は、発光素子と第1導電部材及び第2導電部材とを接着させる部材である。接着部材は、樹脂などの絶縁部材に導電性フィラーが混合された異方性導電材料であることが好ましい。
【0046】
絶縁部材としては、耐熱性に優れた樹脂が好ましい。具体的には、耐熱性に優れた樹脂としては、エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物やこれらの変性樹脂、ハイブリッド樹脂等を用いることができ、特にハイブリッド樹脂が耐熱性、耐光性、接着性が良好であるため好ましい。
【0047】
導電性フィラーの構造は、次の(A1)〜(A4)のいずれでもよい。
(A1)樹脂ボールを金属層で覆ったもの
(A2)(A1)をさらに絶縁膜で覆ったもの
(A3)金属からなるボール
(A4)金属からなるボールをさらに別の金属で覆ったもの
【0048】
導電性フィラーの構造の具体例としては、内側から順に、樹脂ボール/ニッケル/絶縁膜、樹脂ボール/ニッケル/金/絶縁膜、ニッケル/金、ニッケル、鉛フリーはんだ粒子等が挙げられる。樹脂ボールの材料としては、スチレン、アクリル、酸化チタン等が挙げられる。
【0049】
導電フィラーは、粒径が1μm〜20μmの範囲のものを用いることが好ましい。これにより、導電フィラー間のリークを防ぐことが可能となり、また、ペースト内部に導電フィラーを良好に分布させることができる。また、発光素子を圧着する際に、発光素子へ傷をつけることも防止することが可能となる。特に、発光素子の電極に設けられる金属バンプや導電部材の厚みよりも小さい粒径のものを用いることが好ましい。これにより、発光素子と導電部材との間における短絡を防止することができる。
【0050】
接着部材には、Al、TiO、ZrO等の白色フィラーを添加してもよい。これにより、発光素子からの光を反射させることによって遮光することができる。
【0051】
接着部材は、発光素子の側面を被覆するように設けてもよい。これにより、接着部材からの発光素子の剥離を防止することができる。さらに、遮光性の接着部材を用いることにより、発光素子からの光が横方向に漏れるのを防止することができ、上面方向へ効率よく光を取り出すことができる。接着部材は、発光素子の側面の略全体を覆っていてもよいが、図5に示すように、少なくとも発光素子の電極形成面と対向する上面は、接着部材から露出していることが好ましい。
【0052】
(発光素子)
本発明においては、発光素子として、同一面側に正電極と負電極が形成された構造の半導体素子を用いることができる。
【0053】
半導体発光素子としては、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものを用いることができる。さらに、これ以上の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
波長変換部材を有する発光装置とする場合には、その波長変換部材を効率よく励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
【0054】
また、可視光領域の光だけでなく、紫外線や赤外線を出力する発光素子とすることができる。さらには、発光素子とともに、もしくは単独で、受光素子などを搭載することができ、保護素子なども搭載することができる。
【0055】
特に、接着部材として異方性導電材料を用いる場合は、フェイスダウン構造が発光効率を高くする上で有効である。また、電極間のショートの防止や、熱衝撃や熱サイクルによる不灯の防止のため、発光素子の電極に、金属バンプを設けてもよい。金属バンプの厚みは、接着部材の導電フィラーの粒径よりも厚いことが好ましい。
【0056】
発光素子の電極の形状は特に限定されず、略矩形、円形などを用いることができる。
正負の電極間の距離は、接着部材の導電フィラーの粒径よりも大きいことが好ましい。これにより、電極間における短絡を防止することができる。
【0057】
(封止部材)
封止部材は、発光素子とともに、第1導電部材及び第2導電部材の少なくとも一面を被覆するものである。封止部材は、発光素子、受光素子、保護素子などの電子部品を、塵芥や水分、外力などから保護する機能を有する。
【0058】
封止部材の材料としては、発光素子からの光を透過可能な透光性を有し、且つ、耐光性及び絶縁性を有するものが好ましい。具体的には、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂及びこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂、ガラス、シリカゾル等の無機物等が挙げられる。また、これらの有機物に限らず、ガラス、シリカゾル等の無機物も用いることができる。
封止部材は、所望に応じて着色剤、光拡散剤、光反射材、各種フィラー、波長変換部材(例えば、蛍光体)などを含有させることもできる。
封止部材の外表面の形状は、配光特性などに応じて種々選択することができる。例えば、上面を凸状レンズ形状、凹状レンズ形状、フレネルレンズ形状等とすることで、指向特性を調整することができる。また、封止部材に加え、別個にレンズ形状の部材を設けてもよい。さらに、蛍光体入り成形体(例えば蛍光体入り板状成形体、蛍光体入りドーム状成形体等)を用いる場合には、封止部材として蛍光体入り成形体との密着性に優れた材料を選択することが好ましい。蛍光体入り成形体としては、樹脂組成物の他、ガラス等の無機物を用いることができる。
【0059】
封止部材は、波長変換部材として、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する蛍光体を含有させることもできる。
蛍光体としては、発光素子からの光を、それより短波長に変換させるものでもよいが、光取り出し効率の観点から長波長に変換させるものが好ましい。また、これに限らず、他の蛍光体によって変換された光をさらに変換させるもの等も用いることができる。このような波長変換部材は、1種の蛍光体を含有する単層、2種以上の蛍光体が混合された単層、2種以上の蛍光体が別々の層に含有された2層以上の積層、2種以上の蛍光物質等がそれぞれ混合された単層の2層以上の積層のいずれであってもよい。
【0060】
蛍光体としては、例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体や酸窒化物系蛍光体、より具体的には、(a)Eu賦活されたα又はβサイアロン型蛍光体、各種アルカリ土類金属窒化シリケート蛍光体、各種アルカリ土類金属窒化アルミニウムケイ素蛍光体、(b)Eu等のランタノイド系の元素、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類のハロシリケート蛍光体、アルカリ土類金属シリケート蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属硫化物、アルカリ土類金属チオガレート、アルカリ土類金属窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、(c)Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩、アルカリ土類金属希土類ケイ酸塩、(d)Eu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。なかでも、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体であるYAG系蛍光体が好ましい。YAG系蛍光体は、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12などの組成式で表される。また、Yの一部又は全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ce等でもよい。さらに、上記の蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、作用、効果を有する蛍光体も使用することができる。
【0061】
また、蛍光体をガラス、樹脂組成物等、他の成形体に塗布したものも用いることができる。また、蛍光体含有成形体も用いることができる。具体的には、蛍光体含有ガラス、YAG焼結体、YAGとAl、SiO、B等の焼結体、無機融液中でYAGを析出させた結晶化無機バルク体等が挙げられる。蛍光体をエポキシ、シリコーン、ハイブリッド樹脂等で一体成形したものを用いてもよい。
<実施の形態2>
図6は、本発明の実施の形態2に係る発光装置を示す概略断面図である。実施の形態1と重複する説明は省略することもある。
【0062】
本実施の形態の発光装置200は、発光素子104と、互いに離間する第1導電部材101及び第2導電部材102と、発光素子104と第1導電部材101及び第2導電部材102とを接続する接着部材103と、を備えている。発光素子104は、同一面側に正電極104a及び負電極104bを有している。接着部材103は、絶縁領域103aと導電領域103bとを有するものであり、第1導電部材101及び第2導電部材102の上面及び側面に接続されている。発光素子104の正電極104a及び負電極104bは、接着部材103の導電領域103b上に接続されている。具体的には、発光素子104の正電極104aは、第1導電部材101の上に配置され、発光素子104の負電極104bは、第2導電部材102の上に配置されている。接着部材103の導電領域103bは、少なくとも第1導電部材101と発光素子104の正電極104aとの間、及び第2導電部材102と発光素子104の負電極104bとの間に設けられている。発光素子104の正電極104a及び負電極104bは、金属バンプ105を介して接着部材103に接続されていてもよい。
また、本実施の形態の発光装置200は、第1導電部材101及び第2導電部材102の外縁の少なくとも一部を被覆する基体107を有している。基体107は、発光素子104からの光が遮光可能な部材であり、発光素子104を収納する凹部108を形成している。凹部108の底面において、第1導電部材101及び第2導電部材102の上面の一部が露出している。基体107は、発光装置200の上面の一部、側面、及び下面の一部を形成している。第1導電部材101及び第2導電部材102の下面は、基体107の下面(裏面)から露出しており、発光装置200の下面の一部を形成している。
また、凹部108内には、発光素子104を被覆するように、封止部材106が設けられている。
【0063】
(基体)
本実施の形態において、基体は、遮光性を有する各種充填材等を添加することで発光素子からの光を遮光可能な樹脂を含んでなる。基体は、第1導電部材と第2導電部材との間の領域を除いた第1導電部材及び第2導電部材の外縁を被覆する底面部107aと、第1導電部材及び第2導電部材の上において発光素子の周囲に設けられる側壁107bと、を有している。このような遮光性の基体を設けることで、発光素子からの光が、発光装置の横方向から外部に出射するのを抑制することができ、上面方向への光の取り出し効率を向上させることができる。尚、基体は、側壁107bを有していない、すなわち、底面部107aのみを備えるものであってもよい。基体の底面部107a及び側壁107bは、ともに外部への発光素子からの光の漏れを抑制できる厚さであればよい。
【0064】
基体は、発光素子からの光が遮光可能な部材であればよく、また、支持基板との線膨張係数の差が小さいものが好ましい。さらに、絶縁性部材を用いるのが好ましい。好ましい材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂を用いることができる。特に、第1導電部材及び第2導電部材の膜厚が25μm〜200μm程度の薄い厚みの場合は、熱硬化性樹脂が好ましい。これによって、極めて薄型の基体を得ることができる。具体的には、エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂組成物、エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物などを挙げることができる。
【0065】
特に、熱硬化性樹脂が好ましく、特開2006−156704に記載されている樹脂が好ましい。例えば、熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。具体的には、(i)トリグリシジルイソシアヌレート、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルからなるエポキシ樹脂と、(ii)ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸からなる酸無水物とを、エポキシ樹脂へ当量となるよう溶解混合した無色透明な混合物を含む固形状エポキシ樹脂組成物を用いるのが好ましい。さらにこれら混合物100重量部に対して、硬化促進剤としてDBU(1,8−Diazabicyclo(5,4,0)undecene−7)を0.5重量部、助触媒としてエチレングリコールを1重量部、酸化チタン顔料を10重量部、ガラス繊維を50重量部添加し、加熱により部分的に硬化反応させ、Bステージ化した固形状エポキシ樹脂組成物が好ましい。
【0066】
また、国際公開番号WO2007/015426号公報に記載の、トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂を必須成分とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物が好ましい。トリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、例えば、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂を含むことが好ましい。特に、イソシアヌレート環を有するエポキシ樹脂は、耐光性や電気絶縁性に優れている。一つのイソシアヌレート環に対して、2価の、より好ましくは3価のエポキシ基を有することが望ましい。具体的には、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート等を用いることができる。トリアジン誘導体エポキシ樹脂の軟化点は90〜125℃であることが好ましい。また、これらトリアジン誘導体エポキシ樹脂に、水素添加エポキシ樹脂や、その他のエポキシ樹脂を併用してもよい。さらに、シリコーン樹脂組成物の場合、メチルシリコーンレジンを含むシリコーン樹脂が好ましい。
【0067】
トリアジン誘導体エポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤として作用する酸無水物を用いるのが好ましい。特に、非芳香族であり、かつ、炭素炭素2重結合を有さない酸無水物を用いることで耐光性を向上させることができる。具体的には、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物などが挙げられる。特に、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。また、酸化防止剤を用いることが好ましい。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系の酸化防止剤を使用することができる。また、硬化触媒としては、当該分野で公知のものを使用することができる。
【0068】
そして、これら樹脂中に遮光性を付与するための充填剤や、必要に応じて各種添加剤を混入させることができる。本発明では、これらを含めて基体を構成する遮光性樹脂と称する。
【0069】
これらの樹脂には、例えば、充填材(フィラー)としてTiO、SiO、Al、MgO、MgCO、CaCO、Mg(OH)、Ca(OH)等の微粒子等を混入させることで光の透過率を調整することができる。このような充填材を用いることにより、発光素子からの光の約60%以上を遮光するよう、より好ましくは約90%を遮光するように調節することが好ましい。なお、ここでは基体によって光を反射するか、又は吸収するかどちらでもよいが、発光装置を照明等の用途に用いる場合は、より好ましくは反射させることによって遮光するのが好ましい。そのため、発光素子からの光に対する反射率が60%以上であるものが好ましく、90%以上反射するものがさらに好ましい。
【0070】
上記のような各種充填材は、1種類のみ、或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。例えば、反射率を調整するための充填材と、後述のように線膨張係数を調整するための充填材とを併用する等の用い方ができる。
【0071】
例えば、白色の充填剤としてTiOを用いる場合は、好ましくは10〜30wt%、より好ましくは15〜25wt%配合させることが好ましい。TiOは、ルチル形、アナタース形のどちらを用いてもよい。遮光性や耐光性の点からルチル形が好ましい。更に、分散性、耐光性を向上させたい場合、表面処理により改質した充填材も使用できる。TiOから成る充填材の表面処理にはアルミナ、シリカ、酸化亜鉛等の水和酸化物、酸化物等を用いることができる。また、これらに加え、主として線膨張係数を調整するための充填剤として、SiOを60〜80wt%の範囲で用いることが好ましく、さらに、65〜75wt%用いるのが好ましい。また、SiOとしては、結晶性シリカよりも線膨張係数の小さい非晶質シリカが好ましい。また、粒径が100μm以下の充填材、さらには60μm以下の充填材が好ましい。さらに、形状は球形の充填材が好ましく、これにより基体を成型する時の充填性を向上させることができる。また、ディスプレイ等に用いる場合であって、コントラストを向上させたい場合は、充填材は、発光素子からの光の吸収率が60%以上のものが好ましく、90%以上のものがより好ましい。このような場合、充填材としては、アセチレンブラック、活性炭、黒鉛などのカーボンや、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化コバルト、酸化モリブデンなどの遷移金属酸化物、もしくは有色有機顔料などを目的に応じて利用することが好ましい。
【0072】
また、基体の線膨張係数は、個片化する前に除去(剥離)される支持基板の線膨張係数との差が小さくなるように制御することが好ましい。好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下の差とするのがよい。支持基板としてSUS板を用いる場合、線膨張係数の差は20ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましい。この場合、充填材を70wt%以上、好ましくは85wt%以上配合させることが好ましい。これにより、支持基板と基体との残留応力を制御(緩和)することができるため、個片化する前の発光装置の集合体の反りを少なくすることができる。反りを少なくすることで、内部損傷を低減し、また、個片化する際の位置ズレを抑制して歩留まりよく製造することができる。例えば、基体の線膨張係数を5〜25×10−6/Kに調整することが好ましく、さらに好ましくは7〜15×10−6/Kに調整することが望ましい。これにより、基体成型後、冷却時に生じる反りを抑制し易くすることができ、歩留まりよく製造することができる。尚、本明細書において線膨張係数とは、各種充填剤等で調整された遮光性樹脂からなる基体のガラス転移温度以下での線膨張係数を指す。この温度領域における線膨張係数が、支持基板の線膨張係数と近いものが好ましい。
【0073】
また、別の観点から、基体の線膨張係数は、第1導電部材及び第2導電部材の線膨張係数との差が小さくなるように制御するのが好ましい。好ましくは40%以下、より好ましくは20%以下の差とすることが好ましい。これにより、個片化後の発光装置において、第1導電部材及び第2導電部材と基体とが剥離することを抑制し、信頼性に優れた発光装置とすることができる。
【0074】
(実施の形態2に係る発光装置の製造方法)
本実施の形態に係る発光装置の製造方法では、実施の形態1に係る発光装置の製造方法での導電部材形成工程において、第1導電部材及び第2導電部材を形成した後に、第1導電部材と第2導電部材との間に保護膜を形成し、導電部材形成工程の後に、基体を形成する工程を備え、封止部材形成工程において、基体に囲まれて形成される凹部に封止部材を充填すること以外は、実質的に、実施の形態1に係る発光装置の製造方法と同様である。
【0075】
(導電部材形成工程)
実施の形態1に係る発光装置の製造方法と同様に、互いに離間する複数の開口部を有する保護膜が形成された支持基板の上に、金属を用いて鍍金することで、保護膜の開口部内に第1導電部材と第2導電部材とを形成させる。
【0076】
鍍金後、第1導電部材と第2導電部材との間に位置する領域を除いた部分の保護膜を除去する。なお、第1導電部材及び第2導電部材が外延に突出部を有する場合は、この保護膜を残した領域の上に、保護膜をさらに形成する。この保護膜は、少なくとも第1導電部材及び第2導電部材の上面と同じ、もしくは上面よりも高い位置まで形成する。
(基体形成工程)
次いで、発光素子からの光を反射可能な遮光性樹脂からなる基体を形成する。
基体の形成方法は、射出成形、トランスファモールド、圧縮成形等の方法を用いることができる。例えばトランスファモールドにより基体を形成する場合、第1導電部材及び第2導電部材を含む複数の導電部材を形成した支持基板を、上型及び下型からなる金型の内に挟み込むようにセットする。このとき、離型シートなどを介して金型内にセットしてもよい。金型の内には、基体の原料である樹脂ペレットが挿入されており、支持基板と樹脂ペレットとを過熱する。樹脂ペレット溶融後、加圧して金型内に充填する。加熱温度や加熱時間、また圧力等については用いる樹脂の組成等に応じて適宜調整することができる。硬化後、金型から取り出し、成型品を得ることができる。
その後、第1導電部材と第2導電部材との間に形成した保護膜を除去する。
(ダイボンディング工程)
基体形成工程の後に、ダイボンディング工程を行う。ダイボンディング工程は、実施の形態1に係る発光装置の製造方法と同様に行うことができる。
【0077】
(封止部材形成工程)
次に、発光素子を被覆する封止部材を形成する。基体で形成された凹部内に封止部材を形成する場合には、ポッティングを用いて透光性樹脂を凹部内に充填するのが好ましい。ここでは、封止部材は、基体の側壁と略同一の高さになるように設けられているが、これに限らず、基体の側壁よりも低く又は高くなるように形成してもよい。また、封止部材は、上面を平坦な面としてもよく、或いは、中央が凹んだ、又は突出したような曲面状に形成してもよい。これにより、指向特性を調整することができる。また、封止部材は、1層構造、又は2層以上の多層構造としてもよい。

<実施の形態3>
図7は、本発明の実施の形態4に係る発光装置を示す概略断面図である。実施の形態1と重複する説明は省略することもある。
【0078】
本実施の形態の発光装置300は、発光素子104と、互いに離間する第1導電部材101及び第2導電部材102と、発光素子104と第1導電部材101及び第2導電部材102とを接続する接着部材103と、を備えている。発光素子104は、同一面側に正電極104a及び負電極104bを有している。接着部材103は、絶縁領域103aと導電領域103bとを有するものであり、第1導電部材101及び第2導電部材102の上面及び側面に接続されている。発光素子104の正電極104a及び負電極104bは、接着部材103の導電領域103b上に接続されている。また、発光装置300は、発光素子104とともに、第1導電部材101及び第2導電部材102の少なくとも一面を被覆する封止部材106とを備える。
本実施の形態において、第1導電部材101及び第2導電部材102の上面には、それぞれ金属バンプ105が設けられており、この金属バンプ105の上に、接着部材103を介して発光素子104の正電極104a及び負電極104bが接続される。金属バンプ105は、第1導電部材101及び第2導電部材102の上面において、発光素子104の電極パターンに対応した位置に設けられている。接着部材103の導電領域103bは、第1導電部材101及び第2導電部材102の上面にそれぞれ設けられた金属バンプ105と、その上方に配置された発光素子104の正電極104a及び負電極104bとの間に設けられている。このように、導電部材の上面に金属バンプを設けて、その金属バンプの上に接着部材を設けることにより、接着部材と導電部材との間の接合強度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の発光装置は、各種表示装置、照明器具、ディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト光源等に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
100、200、300 発光装置
101 第1導電部材
102 第2導電部材
101x 突出部
103 接着部材
103a 絶縁領域
103b 導電領域
104 発光素子
104a 電極
105 金属バンプ
106 封止部材
107 基体
107a 基体の底面部
107b 基体の側壁
108 凹部
109 保護膜
110 支持基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一面側に正電極及び負電極を有する発光素子と、
互いに離間する第1導電部材及び第2導電部材と、
前記発光素子と前記導電部材とを接続する接着部材と、を備えた発光装置において、
前記接着部材は、絶縁領域と導電領域とを有するものであり、前記第1導電部材及び前記第2導電部材の上面及び側面に接続されており、
前記発光素子の正電極及び負電極は、前記接着部材の導電領域上に接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1導電部材と前記第2導電部材との間に、前記接着部材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1導電部材の上に前記発光素子の正電極が配置され、前記第2導電部材の上に前記発光素子の負電極が配置されており、
前記接着部材の導電領域は、前記第1導電部材と前記発光素子の正電極との間、及び前記第2導電部材と前記発光素子の負電極との間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1導電部材及び第2導電部材は、互いに隣接する外縁に向かって突出する突出部を有しており、該突出部の上面及び下面が前記接着部材で挟持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
支持基板の上に、互いに離間する第1導電部材及び第2導電部材を形成する導電部材形成工程と、
前記第1導電部材及び第2導電部材の上に、絶縁部材と導電性フィラーを含有する接着部材を介して発光素子を圧着することにより、前記接着部材の一部を前記第1導電部材と第2導電部材との間に延在させるダイボンディング工程と、
を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記導電部材形成工程において、前記第1導電部材及び第2導電部材の互いに隣接する外縁に突出部を形成し、
前記ダイボンディング工程において、前記接着部材の一部を前記突出部の下に延在させることを特徴とする請求項5に記載の発光装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−181655(P2011−181655A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43979(P2010−43979)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】