説明

発光装置

【課題】LEDチップから放射される光の一部を検出する光検出部を実装基板に一体に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、光検出部のS/N比の向上を図れる発光装置を提供する。
【解決手段】LEDチップ1が一表面側に実装され且つLEDチップ1から放射された光を検出する光検出部4が形成された実装基板2と、LEDチップ1から放射された光の配光を制御するレンズ部3とを備える。実装基板2が1枚のシリコン基板(半導体基板)20aを用いて形成され、光検出部4においてLEDチップ1からの光を受光する受光部4aが実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1の側方に形成されており、実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1の真上でない位置に、LEDチップ1から放射された光の一部を全反射の繰り返しにより受光部4aの受光面へ導光する導波路5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップ(発光ダイオードチップ)を用いた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図9に示すように、LEDチップ1と、LEDチップ1を収納するパッケージAとを備え、LEDチップ1から放射される光を検出するフォトダイオードからなる光検出部4がパッケージAに一体に設けられた発光装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述のパッケージAは、LEDチップ1が収納される収納凹所2bが一表面に形成されLEDチップ1が実装される実装基板2aと、実装基板2aの上記一表面側で収納凹所2bを閉塞する形で配設された透光性部材8とで構成され、光検出部4が実装基板2aにおける収納凹所2bの周部から内方へ突出する突出部2cに形成されており、収納凹所2b内がLEDチップ1を封止した透光性封止材(例えば、シリコーン樹脂など)からなる封止部9により充実されている。
【0004】
ここにおいて、実装基板2aは、シリコン基板20aを用いて形成されLEDチップ1が実装されるベース基板20と、シリコン基板40aを用いて形成され光取出窓41が形成されるとともに光検出部4が形成された光検出部形成基板40と、シリコン基板30aを用いて形成されてなり光取出窓41に連通する開口窓31が形成されベース基板20と光検出部形成基板40との間に介在する配光用基板30とで構成されており、光検出部4は、配光用基板30に形成された貫通孔配線34およびベース基板20に形成された貫通孔配線24を介して外部接続用電極27c,27dと電気的に接続されている。なお、LEDチップ1は、ベース基板20に形成された図示しない貫通孔配線を介して図示しない外部接続用電極と電気的に接続されている。
【0005】
上述の図9に示した構成の発光装置では、実装基板2aにおいてLEDチップ1を収納する収納凹所2bの周部から内方へ突出する突出部2cに、LEDチップ1から放射される光を検出する光検出部4が形成されているので、実装基板2aの上記一表面側において収納凹所2bの周囲に光検出部4を配置するためのスペースを別途に確保する必要がなく、光検出部4を実装基板2aに設けながらも平面サイズの小型化が可能になるという利点がある。
【0006】
しかして、例えば、LEDチップ1として赤色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として緑色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として青色LEDチップを採用した発光装置とを同一の回路基板上に近接して配置して、当該回路基板に各発光装置のLEDチップ1を駆動する駆動回路部と、各光検出部4の出力がそれぞれの目標値に保たれるように駆動回路部から各発光色のLEDチップ1に流れる電流をフィードバック制御する制御回路部などを設けておくことにより、各光検出部4それぞれの出力に基づいて各発光色のLEDチップ1の光出力を各別に制御することができ、各発光色ごとのLEDチップ1の光出力の経時変化の違いなどによらず混色光(ここでは、白色光)の光色や色温度の精度を向上することができる。要するに、所望の混色光を安定して得ることができる。
【0007】
また、従来から、図10に示すように、リードフレームを用いて形成され、LEDチップ201とフォトダイオードチップ204とが実装された実装基板202と、LEDチップ201とフォトダイオードチップ204と実装基板202とを封止した透光性樹脂成形部205とを備え、透光性樹脂成形部205の表面に、LEDチップ201に光軸が一致しLEDチップ201から放射された光を集光する集光レンズ部206と、LEDチップ201から放射された光の一部を全反射してフォトダイオード204へ入射させる反射部207,208とが形成されてなる発光装置(光モジュール)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。なお、図10中の破線はLEDチップ201から放射された光の光路を示し、二点差線MはLEDチップ201の光軸を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−294834号公報
【特許文献2】特開平10−321900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図9に示した構成の発光装置では、実装基板2aを3枚のシリコン基板20a,30a,40aを用いて形成する必要があり、構造が複雑になってしまうとともにコストが高くなってしまう。
【0010】
また、図10に示した構成の発光装置は、実装基板202とは別にフォトダイオードチップ204が必要となるので、コストが高くなってしまう。また、図10に示した構成の発光装置は、LEDチップ201から放射され反射部207,208で反射された光がフォトダイオードチップ204の受光面へ直接入射するように反射部207,208の形状などを設計してあるので、反射部207,208で反射された光の光路長が長くなって光減衰量が多くなってしまい、フォトダイオードチップ204のS/N比が低くなってしまう。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、LEDチップから放射される光の一部を検出する光検出部を実装基板に一体に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、光検出部のS/N比の向上を図れる発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、LEDチップと、当該LEDチップが一表面側に実装されるとともにLEDチップから放射された光を検出する光検出部が形成された実装基板とを備え、実装基板が1枚の半導体基板を用いて形成されるとともに、光検出部においてLEDチップからの光を受光する受光部が実装基板の前記一表面側においてLEDチップの側方に形成されてなり、実装基板の前記一表面側においてLEDチップの真上でない位置に、LEDチップから放射された光の一部を反射の繰り返しにより受光部の受光面へ導光する導波路が設けられてなることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、実装基板が1枚の半導体基板を用いて形成されるとともに、光検出部においてLEDチップからの光を受光する受光部が実装基板の一表面側においてLEDチップの側方に形成されてなり、実装基板の前記一表面側においてLEDチップの真上でない位置に、LEDチップから放射された光の一部を全反射の繰り返しにより受光部の受光面へ導光する導波路が設けられているので、LEDチップから放射される光の一部を検出する光検出部を実装基板に一体に設けた構成を採用しながらも、実装基板を1枚の半導体基板を用いて形成できて構造の簡略化を図れ、且つ、LEDチップから放射される光の一部を反射の繰り返しにより光検出部の受光部へ導光する導波路が設けられていることで、LEDチップから放射された光を1回の反射で受光部へ入射させる場合に比べて、受光部に到達するまでの光減衰量を低減できて光検出部のS/N比の向上を図れる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記導波路は、前記実装基板の前記一表面側に形成されたコアと、コアにおける前記実装基板側とは反対側に形成され前記LEDチップから放射される光を反射する光反射材料からなるクラッドとを備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、前記導波路が、コアにおける前記実装基板側とは反対側に形成され前記LEDチップから放射される光を反射する光反射材料からなるクラッドを備えていることにより、当該クラッドにより前記受光部への外乱光を遮光することができ、前記光検出部のS/N比が外乱光の影響で低下するのを抑制することができる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記導波路は、前記実装基板の前記一表面側において前記クラッドからなる上側クラッドとの間に前記コアを挟む形で形成され前記LEDチップから放射される光を反射する光反射材料からなる下側クラッドを備えることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、前記導波路が、それぞれ前記LEDチップから放射される光を反射する光反射材料からなる上側クラッドと下側クラッドとの間に前記コアが挟まれた構造を有しているので、前記コアから上側クラッドおよび下側クラッドそれぞれへ漏れる光量を低減でき、前記光検出部のS/N比の向上を図れる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の発明において、前記実装基板の前記一表面側に設けられ前記LEDチップから放射された光の配光を制御するレンズ部を備え、前記クラッドは、レンズ部の周辺部に形成されてなることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、前記LEDチップから放射された光の配光をレンズ部により制御でき、また、前記クラッドを容易に形成することができる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記実装基板の前記一表面側に設けられ前記LEDチップから放射された光の配光を制御するレンズ部を備え、前記導波路は、レンズ部の光入射面の一部もしくは光出射面の一部に設けられてなることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、前記LEDチップから放射された光の配光をレンズ部により制御でき、また、レンズ部の周部に前記導波路を形成する場合に比べて、前記導波路を容易に形成することが可能となる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記実装基板の前記一表面側に設けられ前記LEDチップから放射された光の配光を制御するレンズ部を備え、前記受光部は、平面視においてレンズ部の外側に位置していることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、前記LEDチップから放射された光の配光をレンズ部により制御でき、また、前記受光部が平面視においてレンズ部の外側に位置していることにより、レンズ部の小型化を図りながらも前記導波路へ前記LEDチップから放射された光を入射させやすくなる。
【0024】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記LEDチップは、n形窒化物半導体層とp形窒化物半導体層とを有するLED薄膜部、n形窒化物半導体層に電気的に接続されたカソード電極およびp形窒化物半導体層に電気的に接続されたアノード電極がZnO結晶からなる六角錘状の錐体の下面側に形成されてなり、前記実装基板は、前記LEDチップのカソード電極およびアノード電極それぞれとバンプを介して接合される導体パターンが形成されてなることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、前記LEDチップから前記実装基板側へ放射された光の一部を前記実装基板の前記一表面側で反射させることが可能となり、前記LEDチップからの光が前記導波路へ入射しやすくなる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明では、LEDチップから放射される光の一部を検出する光検出部を実装基板に一体に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、光検出部のS/N比の向上を図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図2】実施形態2の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図3】実施形態3の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図4】参考例の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図5】実施形態4の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図6】実施形態5の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図7】実施形態6の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図8】実施形態7の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図9】従来例を示す概略断面図である。
【図10】他の従来例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態1)
本実施形態の発光装置は、図1に示すように、LEDチップ1と、当該LEDチップ1が一表面側に実装されるとともにLEDチップ1から放射された光を検出する光検出部4が形成された実装基板2と、実装基板2の上記一表面側に設けられLEDチップ1から放射された光の配光を制御するレンズ部3とを備えている。ここにおいて、本実施形態の発光装置は、実装基板2が1枚の半導体基板を用いて形成されるとともに、光検出部4においてLEDチップ1からの光を受光する受光部4aが実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1の側方に形成されてなり、実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1の真上でない位置に、LEDチップ1から放射された光の一部を反射の繰り返しにより受光部4aの受光面へ導光する導波路5が設けられている。
【0029】
上述の実装基板2は、半導体基板として導電形がn形で主表面である一表面が(100)面のシリコン基板20aを用いて形成してある。ここにおいて、実装基板2は、シリコン基板20aの一表面側に、LEDチップ1の両電極それぞれと電気的に接続される2つの導体パターン25a,25bが形成されるとともに、光検出部4に電気的に接続された2つの導体パターン25c,25dが形成されており、各導体パターン25a,25b,25c,25dとシリコン基板20aの他表面側(図1(a)における下面側)に形成された4つの外部接続用電極27a,27b,27c,27dとがそれぞれ貫通孔配線24を介して電気的に接続されている。
【0030】
本実施形態におけるLEDチップ1は、結晶成長用基板として導電性基板を用い厚み方向の両面に電極(図示せず)が形成され、可視光(例えば、赤色光、緑色光、青色光など)を放射するLEDチップである。そこで、実装基板2は、LEDチップ1が電気的に接続される2つの導体パターン25a,25bのうちの一方の導体パターン25aを、LEDチップ1がダイボンディングされる矩形状のダイパッド部25aaと、ダイパッド部25aaに連続一体に形成され貫通孔配線24との接続部位となる引き出し配線部25abとで構成してある。要するに、LEDチップ1は、上記一方の導体パターン25aのダイパッド部25aaにダイボンディングされており、ダイパッド部25aa側の電極がダイパッド部25aaに接合されて電気的に接続され、ダイパッド部25aa側とは反対側の電極がボンディングワイヤ14を介して他方の導体パターン25bと電気的に接続されている。
【0031】
また、実装基板2は、シリコン基板20aの上記他表面側に、シリコン基板20aよりも熱伝導率の高い金属材料からなる矩形状の放熱用パッド部28が形成されており、ダイパッド部25aaと放熱用パッド部28とがシリコン基板20aよりも熱伝導率の高い金属材料(例えば、Cuなど)からなる複数(本実施形態では、9つ)の円柱状のサーマルビア26を介して熱的に結合されており、LEDチップ1で発生した熱が各サーマルビア26および放熱用パッド部28を介して放熱されるようになっている。
【0032】
ところで、実装基板2は、シリコン基板20aに、上述の4つの貫通孔配線24それぞれが内側に形成される4つの貫通孔22aと、上述の9つのサーマルビア26それぞれが内側に形成される9つの貫通孔22bとが厚み方向に貫設され、シリコン基板20aの上記一表面および上記他表面と各貫通孔22a,22bの内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成されており、各導体パターン25a,25b,25c,25d、各外部接続用電極27a,27b,27c,27d、放熱用パッド部28、各貫通孔配線24および各サーマルビア26がシリコン基板20aと電気的に絶縁されている。
【0033】
ここにおいて、各導体パターン25a,25b,25c,25d、各外部接続用電極27a,27b,27c,27d、放熱用パッド部28は、絶縁膜23上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されており、シリコン基板20aの上記一表面側の各導体パターン25a,25b,25c,25dが同時に形成され、シリコン基板20aの上記他表面側の各外部接続用電極27a,27b,27c,27d、放熱用パッド部28が同時に形成してある。なお、本実施形態では、絶縁膜23上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。また、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と絶縁膜23との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。また、貫通孔配線24およびサーマルビア26の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
【0034】
また、実装基板2は、上述の光検出部4としてフォトダイオードが形成されている。ここにおいて、光検出部4は、シリコン基板20aの上記一表面側に、上記フォトダイオードのp形領域からなる受光部4aが形成されており、上述の2つの導体パターン25c,25dのうちの一方の導体パターン25cが、当該受光部4aに電気的に接続され、他方の導体パターン25dが、上記フォトダイオードのn形領域4bを構成するシリコン基板20aに電気的に接続されている。なお、各導体パターン25c,25dは、絶縁膜23に形成したコンタクトホール23c,23dを通して光検出部4と電気的に接続されている。
【0035】
レンズ部3は、透光性材料(例えば、シリコーン樹脂など)により形成され実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1および当該LEDチップ1に接続されたボンディングワイヤ14を封止した半球状のレンズ状封止部により構成されている。ここにおいて、レンズ部3の透光性材料は、シリコーン樹脂に限らず、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラスなどを採用してもよい。また、レンズ部3の形状は半球状に限らず、例えば、半楕円球状の形状でもよい。なお、本実施形態では、実装基板2とレンズ部3とでパッケージを構成している。
【0036】
また、導波路5は、実装基板2の上記一表面側に形成されレンズ部3と同じ透光性材料からなるコア5aと、コア5aにおける実装基板2側とは反対側に形成されLEDチップ1から放射される光を反射する光反射材料(例えば、Al、Agなど)からなるクラッドである上側クラッド6と、実装基板2の上記一表面側において上側クラッド6との間にコア5aを挟む形で形成されLEDチップ1から放射される光を反射する光反射材料(例えば、Al、Agなど)からなる下側クラッド29とを備えている。しかして、導波路5のコア5aに入射した光の一部がコア5aと上側クラッド6との界面と、コア5aと下側クラッド29との界面とで、交互に反射され受光部4aに導光される。
【0037】
本実施形態の発光装置の製造にあたっては、上述のシリコン基板20aとして実装基板2を多数形成可能なシリコンウェハを用い、実装基板2にLEDチップ1を実装してからレンズ部3および導波路5を形成し、その後、ダイシング工程により実装基板2のサイズに分割するようにしている。
【0038】
以上説明した本実施形態の発光装置は、実装基板2が1枚の半導体基板であるシリコン基板20aを用いて形成されるとともに、光検出部4においてLEDチップ1からの光を受光する受光部4aが実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1の側方に形成されており、実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1の真上でない位置に、LEDチップ1から放射された光の一部を反射の繰り返しにより受光部4aの受光面へ導光する導波路5が設けられているので、LEDチップ1から放射される光の一部を検出する光検出部4を実装基板2に一体に設けた構成を採用しながらも、実装基板2を1枚のシリコン基板20aを用いて形成できて構造の簡略化を図れ、且つ、LEDチップ1から放射される光の一部を反射の繰り返しにより光検出部4の受光部4aへ導光する導波路5が設けられていることで、LEDチップ1から放射された光を1回の反射で受光部4aへ入射させる場合に比べて、受光部4aに到達するまでの光減衰量を低減できて光検出部4のS/N比の向上を図れる。また、本実施形態の発光装置は、上述のレンズ部3を備えているので、LEDチップ1から放射された光の配光をレンズ部3により制御できる。
【0039】
ところで、上側クラッド6がコア5aよりも屈折率の小さな透光性材料により形成されている場合、使用形態によっては外乱光が光検出部4の受光部4aの受光面へ入射してしまい、LEDチップ1からの光を精度良く検出することが難しくなる。
【0040】
また、本実施形態の発光装置では、導波路5が、実装基板2の上記一表面側に形成されたコア5aと、コア5aにおける実装基板2側とは反対側に形成されLEDチップ1から放射される光を反射する光反射材料からなる上側クラッド6とを備えているので、上側クラッド6により受光部4aへの外乱光を遮光することができ、光検出部4のS/N比が外乱光の影響で低下するのを抑制することができ、しかも、コア5aから上側クラッド6へ漏れる光量を低減でき、光検出部4のS/N比の向上を図れる。
【0041】
また、本実施形態では、上側クラッド6がレンズ部3の周辺部に形成されているので、上側クラッド6を容易に形成することができる。また、本実施形態の発光装置では、光検出部4の受光部4aが、平面視においてレンズ部3の外側に位置しているので、レンズ部3の小型化を図りながらも導波路5へLEDチップ1から放射された光を入射させやすくなる。
【0042】
また、本実施形態の発光装置では、導波路5が、実装基板2の上記一表面側において上側クラッド6との間にコア5aを挟む形で形成されLEDチップ1から放射される光を反射する光反射材料からなる下側クラッド29を備えているので、コア5aから下側クラッド29へ漏れる光量を低減でき、光検出部4のS/N比の向上を図れる。
【0043】
また、本実施形態の発光装置は、実装基板2に光検出部4が設けられているので、例えば、LEDチップ1として赤色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として緑色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として青色LEDチップを採用した発光装置とを同一の配線基板(回路基板)上に近接して配置して、当該配線基板に各発光装置のLEDチップ1を駆動する駆動回路部と、各光検出部4の出力がそれぞれの目標値に保たれるように駆動回路部から各発光色のLEDチップ1に流れる電流をフィードバック制御する制御回路部などを設けておくことにより、各光検出部4それぞれの出力に基づいて各発光色のLEDチップ1の光出力を各別に制御することができ、各発光色ごとのLEDチップ1の光出力の経時変化の違いなどによらず混色光(ここでは、白色光)の光色や色温度の精度を向上することができる。要するに、所望の混色光を安定して得ることができる。
【0044】
(実施形態2)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、図2に示すように、実装基板2の上記一表面側に、シリコン基板60aを用いて形成され上側クラッド6が設けられた導波路形成用基板60を接合してある点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
導波路形成用基板60は、主表面である一表面が(100)面のシリコン基板60aにLEDチップ1を露出させる開口窓62が形成されるとともに、シリコン基板60aの一表面側(図2(a)の下面側)における開口窓62の周部に導波路形成用凹部61が形成されており、導波路形成用凹部61の内底面に、上述の上側クラッド6が形成されている。
【0046】
また、シリコン基板60aの上記一表面側には、シリコン酸化膜からなる絶縁膜63が形成されており、当該絶縁膜63上に、それぞれ導体パターン25c,25dと接合される導体パターン65c,65dが形成されている。ここにおいて、各導体パターン65c,6dは、絶縁膜63上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されており、同時に形成されている。なお、本実施形態では、絶縁膜63上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。また、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と絶縁膜63との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。
【0047】
本実施形態の発光装置では、実装基板2と導波路形成用基板60とを接合してから、レンズ部3を形成する際に上側クラッド6と下側クラッド29との間に介在するコア5aを形成している。
【0048】
実装基板2と導波路形成用基板60とを接合する接合工程では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温下で直接接合する常温接合法を採用しているが、常温接合法に限らず、加熱圧接法や、AuSnや半田などの低融点共晶材料を用いた接合法を採用してもよい。ここで、導波路形成用基板60側の導体パターン65c,65dと実装基板20側の導体パターン25c,25dとの接合部位を、貫通孔配線24に重なる領域からずらしておけば、導体パターン65c,65dと導体パターン25c,25dとの互いの接合面の平坦度を高めることができ、特に常温接合法により接合する際の接合歩留まりを高めることができるとともに接合信頼性を高めることができる。
【0049】
ところで、図1に示した構成を有する実施形態1の発光装置では、レンズ部3を形成した後で上側クラッド6を形成することとなるので、シャドーマスクなどを利用して蒸着法などにより上側クラッド6を形成する際に、レンズ部3の表面(光出射面)に上側クラッド6の材料である光反射材料が付着してしまい、レンズ部3に付着した不要部が、LEDチップ1を発光させた場合に影が発生する原因や、光取り出し効率が低下する原因になってしまうことも考えられる。
【0050】
これに対して、本実施形態の発光装置では、実装基板2の上記一表面側に下側クラッド29を形成してから、上側クラッド6を形成したシリコン基板60aを実装基板2の上記一表面側に接合し、その後、レンズ部3を形成するとともにレンズ部3と連続したコア5aを形成する製造プロセスを採用することができるので、上側クラッド6の形成時にレンズ部3の表面に上側クラッド6の材料である光反射材料が付着するのを防止することができる。
【0051】
(実施形態3)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、図3に示すように、レンズ部3の周部に導波路5が一体に形成されている点などが相違する。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
本実施形態の発光装置における導波路5は、厚み方向(図3(a)における左右方向)の一面側のクラッドが空気により構成され、他面側のクラッドがレンズ部3により構成されている。しかして、本実施形態の発光装置では、導波路5に入射した光の一部が導波路5と空気との界面と、導波路5とレンズ部3との界面とで、交互に反射され光検出部4の受光部4aに導光される。
【0053】
以上説明した本実施形態の発光装置は、実施形態1と同様、実装基板2が1枚の半導体基板であるシリコン基板20aを用いて形成されるとともに、光検出部4においてLEDチップ1からの光を受光する受光部4aが実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1の側方に形成されており、実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1の真上でない位置に、LEDチップ1から放射された光の一部を反射の繰り返しにより受光部4aの受光面へ導光する導波路5が設けられているので、LEDチップ1から放射される光の一部を検出する光検出部4を実装基板2に一体に設けた構成を採用しながらも、実装基板2を1枚のシリコン基板20aを用いて形成できて構造の簡略化を図れ、且つ、LEDチップ1から放射される光の一部を反射の繰り返しにより光検出部4の受光部4aへ導光する導波路5が設けられていることで、LEDチップ1から放射された光を1回の反射で受光部4aへ入射させる場合に比べて、受光部4aに到達するまでの光減衰量を低減できて光検出部4のS/N比の向上を図れる。また、本実施形態の発光装置では、導波路5がレンズ部3の頂部から外周縁部に向かう方向に沿って形成されているので、実施形態1に比べて導波路5への入射光量を増加させることが可能となる。
【0054】
ところで、本実施形態では、レンズ部3に導波路5を一体に形成してあるが、レンズ部3に導波路5を設けない構成も考えられる。しかしながら、この場合には、レンズ部3の屈折率と受光部4a上の絶縁膜23との屈折率差に起因して受光部4aの受光効率が低くなってしまうことが考えられる。そこで、図4に示す参考例のように、レンズ部3と絶縁膜23との中間の屈折率を有する透光性材料からなる蒲鉾状の中間屈折率部7をレンズ部3の周部の全周に亘って設けるようにすれば、受光部4aの受光効率を向上できる。なお、中間屈折率部7の形状は特に限定するものではない。
【0055】
(実施形態4)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態3と略同じであって、図5に示すように、レンズ部3がドーム状に形成され、レンズ部3の光入射面の一部に導波路5が設けられている点などが相違する。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施形態の発光装置における導波路5は、厚み方向(図5(a)における左右方向)の一面側のクラッドがレンズ部3により構成され、他面側のクラッドがレンズ部3と実装基板2とで囲まれた空間の媒質(例えば、空気など)により構成されている。しかして、本実施形態の発光装置では、導波路5に入射した光の一部が導波路5とレンズ部3との界面と、導波路5と上記媒質との界面とで、交互に反射され光検出部4の受光部4aに導光される。
【0057】
ところで、レンズ部3は、上述のようにドーム状に形成されており、実装基板2側の端縁(開口縁)が、LEDチップ1を実装した実装基板2の上記一表面側に固着されている。しかして、本実施形態の発光装置の製造時には、実装基板2にLEDチップ1を実装した後、あらかじめ導波路5を光入射面の一部に形成したレンズ部3を実装基板2に固着すればよい。
【0058】
本実施形態の発光装置は、導波路5がレンズ部3の光入射面の一部に設けられているので、実施形態3のようにレンズ部3の周部に導波路5を形成する場合に比べて、導波路5を容易に形成することが可能となる。なお、導波路5は、光ファイバにより構成してもよい。
【0059】
(実施形態5)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態3と略同じであって、図6に示すように、レンズ部3の光出射面の一部に導波路5が設けられている点などが相違する。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
本実施形態の発光装置は、導波路5がレンズ部3の光出射面の一部に設けられているので、実施形態3のようにレンズ部3の周部に導波路5を形成する場合に比べて、導波路5を容易に形成することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態の発光装置では、実施形態1と同様、光検出部4の受光部4aが、平面視においてレンズ部3の外側に位置しているので、レンズ部3の小型化を図りながらも導波路5へLEDチップ1から放射された光を入射させやすくなり、しかも、受光部4aの直上に導波路5が形成されているので、導波路5を導波した光が受光部4aに入射しやすくなる。また、本実施形態の発光装置では、導波路5がレンズ部3の頂部から外周縁部に向かう方向に沿って形成されているので、実施形態1に比べて導波路5への入射光量を増加させることが可能となるとともに、実装基板2の平面サイズの小型化を図れる。なお、導波路5は、光ファイバにより構成してもよい。
【0062】
(実施形態6)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、図7に示すように、導波路5のコア5aが上側クラッド6と実装基板2の絶縁膜23との間に介在する形で形成され、コア5aの材料がレンズ部3とは異なる透光性材料により形成されている点が相違する。要するに、本実施形態では、絶縁膜23が下側クラッドを兼ねている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態の発光装置においても、実施形態1と同様、LEDチップ1から放射される光の一部を検出する光検出部4を実装基板2に一体に設けた構成を採用しながらも、実装基板2を1枚のシリコン基板20aを用いて形成できて構造の簡略化を図れ、且つ、LEDチップ1から放射される光の一部を反射の繰り返しにより光検出部4の受光部4aへ導光する導波路5が設けられていることで、LEDチップ1から放射された光を1回の反射で受光部4aへ入射させる場合に比べて、受光部4aに到達するまでの光減衰量を低減できて光検出部4のS/N比の向上を図れる。
【0064】
(実施形態7)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態6と略同じであり、図8に示すように、LEDチップ1の形状や実装基板2への実装構造などが相違する。なお、実施形態6と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
本実施形態におけるLEDチップ1は、青色光を放射するGaN系の青色LEDチップであり、それぞれ窒化物半導体材料により形成されたn形窒化物半導体層14と発光層15とp形窒化物半導体層16との積層構造を有するLED薄膜部12、n形窒化物半導体層14に電気的に接続されたカソード電極18およびp形窒化物半導体層16に電気的に接続されたアノード電極17がn形のZnO結晶からなる六角錘状の錐体11の下面11a側に形成されている。
【0066】
LEDチップ1のLED薄膜部12は、n形窒化物半導体層14をn形GaN層により構成し、発光層15をInGaN層により構成し、p形窒化物半導体層16を発光層15側のp形AlGaN層と当該p形AlGaN層における発光層15側とは反対側のp形GaN層とで構成してあるが、LED薄膜部12の積層構造は特に限定するものではなく、発光層15は単層構造に限らず、多重量子井戸構造ないし単一量子井戸構造でもよい。
【0067】
また、LEDチップ1は、LED薄膜部12の平面視形状を錐体11の下面11aよりもやや小さな正六角形状の形状に形成してあり、カソード電極18が、LED薄膜部12のn形窒化物半導体層14に接する形で形成されて当該n形窒化物半導体層14と電気的に接続され、アノード電極17が錐体11の下面11aに接する形で形成され当該錐体11を介してp形窒化物半導体層16と電気的に接続されている。したがって、n形窒化物半導体層14と発光層15とp形窒化物半導体層16との平面サイズを同じにすることができる。ここで、LEDチップ1のアノード電極17およびカソード電極18は、下層側のTi膜と上層側のAu膜との積層膜により構成されている。ただし、アノード電極17およびカソード電極18それぞれの形状、サイズ、個数および配置は特に限定するものではない。
【0068】
上述のLEDチップ1は、主表面がc面のサファイアウェハの主表面側に上記積層構造を有するLED薄膜部12をエピタキシャル成長法(例えば、MOVPE法など)により成長し、その後、LED薄膜部12を錐体11の基礎となるn形ZnOウェハに接合してから、サファイアウェハを除去し、続いて、塩酸系のエッチング液(例えば、塩酸水溶液など)を用いてエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うことによりn形ZnOウェハの一部からなる六角錘状の錐体11を形成している。なお、n形ZnOウェハとしては、水熱合成法を利用して製造したものを用いている。六角錘状の錐体11の高さは、n形ZnOウェハの厚さで規定することができ、本実施形態では、n形ZnOウェハとして厚さが500μmのものを用いているので、錐体11の高さは500μmとなっているが、n形ZnOウェハの厚さは特に限定するものではない。また、錐体11の下面11aに対する各斜面11bそれぞれの傾斜角は、n形ZnOウェハの結晶軸方向で規定され、n形ZnOウェハにおいて錐体11の下面11aとなるZn極性面である(0001)面とは反対側のO極性面である(000−1)面に適宜パターニングされたマスクを設けてn形ZnOウェハをO極性面側から異方性エッチングすることにより錐体11を形成しているので、下面11aに対する各斜面11bそれぞれの傾斜角が60°となっている。また、上記マスクのサイズを適宜設定すれば、錐体11を、六角錘の頂部を切り欠いた六角錘状の形状(六角錘台状の形状)とすることもできる。
【0069】
また、LEDチップ1は、LED薄膜部12における錐体11側とは反対側の表面(ここでは、n形窒化物半導体層14の表面)に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造を形成してもよい。このような微細凹凸構造を形成すれば、LEDチップ1においてLED薄膜部12から錐体11側とは反対側に放射される光(ここでは、発光層15からn形窒化物半導体層14側へ放射される光)がLED薄膜部12の表面で反射されるのを抑制して効率良く取り出すことができ、光取り出し効率の向上を図れる。
【0070】
上述のLEDチップ1は、アノード電極17とカソード電極18との間に順方向バイアス電圧を印加することにより、トンネル電流注入によりアノード電極17からp形窒化物半導体層16へホールが注入されるとともに、カソード電極18からn形窒化物半導体層14へ電子が注入され、発光層15に注入された電子とホールとが再結合することで発光し、錐体11の各斜面11bおよびLED薄膜部12におけるn形窒化物半導体層14の錐体11側とは反対側の表面から光が放射される。なお、波長が450nmの光に対するZnOの屈折率は2.1、GaNの屈折率は2.4である。
【0071】
以上説明したLEDチップ1は、錐体11よりもLED薄膜部12が実装基板2の上記一表面に近くなる形で実装基板2に実装されている。
【0072】
ここにおいて、導波路5は、LEDチップ1における錐体11の斜面11bから放射される光の一部や、LED薄膜部12から実装基板2の上記一表面側へ放射されて反射された光の一部が入射するようにコア5aの厚み寸法を設定してある。
【0073】
また、実装基板2は、シリコン基板20aの上記一表面側の導体パターン25a,25bそれぞれにLEDチップ1のカソード電極18、アノード電極17がバンプ80を介して接合されて電気的に接続されている。ここにおいて、本実施形態におけるLEDチップ1はカソード電極18を複数設けてあるので、実装基板2との間の熱抵抗を低減でき、放熱性を向上させることができる。なお、各バンプ80の材料としてはAuを採用しているが、これに限らず、例えば、半田を採用してもよい。
【0074】
以上説明した本実施形態の発光装置では、LEDチップ1として、LED薄膜部12、カソード電極18およびアノード電極17がZnO結晶からなる六角錘状の錐体11の下面11a側に形成されたものを用い、実装基板2には、LEDチップ1のカソード電極18およびアノード電極17それぞれとバンプ80,80を介して接合される導体パターン25b,25aが形成されているので、LEDチップ1から実装基板2側へ放射された光の一部を実装基板2の上記一表面側で反射させることが可能となり、LEDチップ1からの光が導波路5へ入射しやすくなる。なお、本実施形態では、LEDチップ1から実装基板2側へ放射された光が導体パターン25a,25bにより反射されるが、実装基板2の上記一表面側に、LEDチップ1から放射された光を反射する反射膜を設けてもよい。この場合、上記反射膜の材料として導体パターン25a,25bよりもLEDチップ1からの光に対する反射率の高い材料を採用することによって、光検出部4の受光部4aの受光量を増加させることが可能となる。
【0075】
ところで、上記各実施形態の発光装置において、例えば、LEDチップ1として青色の光を放射するLEDチップを用い、LEDチップ1から放射される光によって励起されてLEDチップ1よりも長波長の光を放射する蛍光体を含有した透光性材料(例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料など)により形成され実装基板2との間にレンズ部3を囲む形で配置される蛍光体キャップを設けてもよい。ここにおいて、上述の蛍光体として、LEDチップ1から放射された青色の光によって励起されてブロードな黄色系の光を放射する粒子状の黄色蛍光体を採用すれば、LEDチップ1から放射された青色の光と黄色蛍光体から放射された光とが上記蛍光体キャップから出射されることとなり、白色光を得ることができる。なお、上記蛍光体キャップの透光性材料としてガラスを採用すれば、シリコーン樹脂などの有機材料を採用している場合に比べて、上記蛍光体キャップの熱伝導性が向上するので、蛍光体の温度上昇を抑制できて光束を向上させることができ、しかも、水蒸気やNOなど対するガスバリア性や耐透湿性が向上するとともに、蛍光体の吸湿劣化を抑制でき、信頼性および耐久性が向上する。また、上記蛍光体キャップの材料として用いる透光性材料に混合する蛍光体も黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合しても白色光を得ることができ、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを用いれば演色性を高めることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 LEDチップ
2 実装基板
3 レンズ部
4 光検出部
4a 受光部
5 導波路
5a コア
6 上側クラッド(クラッド)
11 錐体
11a 下面
12 LED薄膜部
14 n形窒化物半導体層
15 発光層
16 p形窒化物半導体層
17 アノード電極
18 カソード電極
20a シリコン基板(半導体基板)
25c 導体パターン
25d 導体パターン
29 下側クラッド
80 バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップと、当該LEDチップが一表面側に実装されるとともにLEDチップから放射された光を検出する光検出部が形成された実装基板とを備え、実装基板が1枚の半導体基板を用いて形成されるとともに、光検出部においてLEDチップからの光を受光する受光部が実装基板の前記一表面側においてLEDチップの側方に形成されてなり、実装基板の前記一表面側においてLEDチップの真上でない位置に、LEDチップから放射された光の一部を反射の繰り返しにより受光部の受光面へ導光する導波路が設けられてなることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記導波路は、前記実装基板の前記一表面側に形成されたコアと、コアにおける前記実装基板側とは反対側に形成され前記LEDチップから放射される光を反射する光反射材料からなるクラッドとを備えることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記導波路は、前記実装基板の前記一表面側において前記クラッドからなる上側クラッドとの間に前記コアを挟む形で形成され前記LEDチップから放射される光を反射する光反射材料からなる下側クラッドを備えることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記実装基板の前記一表面側に設けられ前記LEDチップから放射された光の配光を制御するレンズ部を備え、前記クラッドは、レンズ部の周辺部に形成されてなることを特徴とする請求項2または請求項3記載の発光装置。
【請求項5】
前記実装基板の前記一表面側に設けられ前記LEDチップから放射された光の配光を制御するレンズ部を備え、前記導波路は、レンズ部の光入射面の一部もしくは光出射面の一部に設けられてなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項6】
前記実装基板の前記一表面側に設けられ前記LEDチップから放射された光の配光を制御するレンズ部を備え、前記受光部は、平面視においてレンズ部の外側に位置していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記LEDチップは、n形窒化物半導体層とp形窒化物半導体層とを有するLED薄膜部、n形窒化物半導体層に電気的に接続されたカソード電極およびp形窒化物半導体層に電気的に接続されたアノード電極がZnO結晶からなる六角錘状の錐体の下面側に形成されてなり、前記実装基板は、前記LEDチップのカソード電極およびアノード電極それぞれとバンプを介して接合される導体パターンが形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−278316(P2010−278316A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130780(P2009−130780)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】