説明

発券装置

【課題】特別な機構を必要とせずに、媒体にカール癖が付くことを防止することができる発券装置を提供する。
【解決手段】ロール紙を収納するロール紙装填部と、ロール紙の搬送方向を変更するカーブ部と、ロール紙装填部からカーブ部までロール紙をストレートに搬送する第1の搬送部と、カーブ部から先にロール紙をストレートに搬送する第2の搬送部と、ロール紙の先端を検知する検知部と、発券処理が所定の時間行われない場合に、第2の搬送部まで搬送されたロール紙を巻き戻して、ロール紙の先端を第2の搬送部から第1の搬送部の位置にまで後退させる発券制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙を所定の長さにカットし、印刷、磁気書込み等を行い、乗車券等の媒体を発券する発券装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発券装置が媒体を発行する方式には、主に、ロール紙を所定の長さで切断し、印字等の処理を行った後にこれを発行する方式と、予め券紙のサイズにカットされている媒体に印字等の処理を行って発行する方式の2種類に大別される。
【0003】
鉄道旅客等の乗車券等の発券装置では、列車等の発車時刻に遅れることがないように迅速な業務処理や、装置が停止することなく業務を継続することが求められるため、媒体の補充回数を少なくできるロール紙を媒体とする方式の発券機を用いられている。
【0004】
ここで、ロール紙を媒体とする発券装置では券紙を切断する工程が必要であり、発券指示が出される前にロール紙を所定の長さの切断位置まで送り出し、その状態で発券待機させることで、ロール紙を切断位置まで搬送する時間を省略し、全体の発券処理時間の短縮を図っているものが一般的である。また、ロール紙を媒体とする発券装置で印字等の処理を行った後に切断する方式のものもあるが、このような発券装置についても、事前に印字部まで搬送した状態で発券待機させることで処理時間の短縮を図っている。
【0005】
近年、発券装置は小型多機能化を要求されており、機能の高密度実装のためロール紙を切断位置まで導く搬送路に径の小さいカーブを持たせるなどの省スペース化のための工夫が必要となる。また、ロール紙エンドによる業務停止の防止の為に、ロール紙を予め2巻装填して一方のロール紙を使い切った際には他方のロール紙に自動的に切替える方式の発券装置が提案されている。この2巻装填タイプの内、1つめのロール紙は共通搬送路の延長線上に配置し、2つめのロール紙をその横に並列に配置する発券装置の場合、螺旋状にループさせながら横方向へ幅寄せする搬送路を設置することで、2つめのロール紙から繰出された媒体を共通搬送路へ給紙している。
【0006】
このように待機位置までの搬送路に径の小さいカーブやループを持つ発券装置に対して、ロール紙を所定量送り出して発券待機させる方式を適用した場合、ロール紙がカーブやループ部で丸められたまま保持されることになる為、発券指示が出されないまま待機し続けると媒体に強いカール癖が付くこととなる。媒体のカール癖は発券動作時の券詰まりを発生させるリスクを高める要因となり得るため、媒体の搬送条件よっては何らかの対処を施さない限り上述したリスクを回避できない。また、装置の仕様上、許されるカール量が規定されている場合もある。このような規定がない場合においてもカール癖の付いた券紙により、券紙を受け取ったユーザーに不快感を与えることも懸念される。
【0007】
ロール紙のカール癖対策として、例えば、特許文献1には、ロール紙を待機状態から所定寸法送り出し、挟持位置を券の後方にずらす方式が提案されている。この場合、券の先端のカール癖を防ぐことができるため、券先端が搬送路の継ぎ目に引っかかるなどの券詰まりを防止することができる。また、別のカール癖対策として、ロール紙搬送路に券紙に付いたカール癖と逆方向の曲げを与えるカーブを設置し、積極的にカール癖を補正する方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−309890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ロール紙切断位置までの搬送路に、径の小さいカーブやループ状の搬送路を持つ発券機に対して、ロール紙を切断位置まで送り出した状態で待機させる方式を採用するためには、上述したように、長時間発券指示が出なかった場合のロール紙カール癖対策を施す必要がある。
【0010】
上述した特許文献1のカール癖対策の場合、券詰まりの防止には効果的であるが、カール癖自体を解消することはできないため、券の中央から後方にかけてカール癖が付いた券がユーザーの手に渡ることとなる。また、カール癖と逆方向の曲げを与える切返し部を設置する方式は、カール癖自体を解消することができるが、搬送路に逆曲げ部を増設する必要があるため、筐体内の配置に制限がある小型の発券装置には適用が困難である。
【0011】
本発明の目的は、特別な機構を必要とせずに、媒体にカール癖が付くことを防止することができる発券装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明にかかる発券装置は、ロール紙に所定の情報を印字して発券処理を行う発券装置であって、前記ロール紙を収納するロール紙装填部と、前記ロール紙の搬送方向を変更するカーブ部と、前記ロール紙装填部から前記カーブ部まで前記ロール紙をストレートに搬送する第1の搬送部と、前記カーブ部から先に前記ロール紙をストレートに搬送する第2の搬送部と、前記ロール紙の先端を検知する検知部と、前記発券処理が所定の時間行われない場合に、前記第2の搬送部まで搬送された前記ロール紙を巻き戻して、前記ロール紙の先端を前記第2の搬送部から前記第1の搬送部の位置にまで後退させる発券制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特別な機構を必要とせずに、媒体にカール癖が付くことを防止することができる発券装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における発券装置の物理的な構成を示す図である。
【図2】図1に示した発券装置および上位端末の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】発券装置の利用者が業務を開始する際の起動処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】ロール紙が発券待機位置で待機する様子を示す図である。
【図5】発券装置が行う発券処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】営業時間中に発券業務が一定時間行われなかった場合の移行処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】発券装置を省電力モードから復旧させ、発券業務を再開する場合の復旧処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】1日の発券業務を終了し、装置の電源を落とす際の停止処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる発券装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では、発券装置が駅窓口などに設置され、乗車券等を発券する場合について説明しているが、これに限られるものではない。
【0016】
図1は、本実施形態における発券装置1の物理的な構成を示す図である。図1に示すように、発券装置1は、ロール紙20を収納するロール紙収納部2と、ロール紙収納部2に収納されたロール紙20からロール紙20の先端を分離して繰出し搬送路に繰出すロール紙繰出し搬送部3と、分離して繰出されたロール紙20をストレートに搬送する直線搬送部4と、ロール紙20の巻戻しを行う際にロール紙20の先端が直線搬送部4まで巻戻されたことを検知する為のセンサ21と、ロール紙20の搬送方向を変更するカーブ部5と、カッタ23でロール紙20を所定の長さに切出すカッタ部6と、次の発券に備えてロール紙20を送り出す際にロール紙20の先端が所定の発券待機位置まで送り出されたことを検知するセンサ22と、カーブ部5からカッタ部6やセンサ22を越えた位置までロール紙20をストレートに搬送する直線搬送部4’と、カッタ23によりロール紙20から所定の長さに切出された後の媒体の印刷面に印刷を行う印刷部7と、切出された後の媒体の磁気面に対し磁気情報の書込みまたは読取りを行う磁気エンコード部8と、切出された後の媒体の排出および旅客が持参した乗車券等を装置に挿入する排出/挿入部9と、これらを繋ぎ、媒体を搬送する搬送路10と、上述したロール紙繰出し搬送部3を起動させるための繰出しモータ24と、を含んで構成されている。
【0017】
さらに、発券装置1には、運用形態に合わせて、挿入された媒体にパンチ孔を穿孔するパンチ部11と、控除済みの券等を回収・スタックする回収部12と、定期券を収納し、1枚ずつ繰出する定期券繰出し部13等の機能を備えている。これらの各部を備えていない発券装置も存在するが、以下では、これらの各部を備えているものとする。
【0018】
また、発券装置1は、発券装置1の電源を集中管理している自身に対して発券等の指示を出す上位端末30とLANケーブル31で回線接続されている。発券装置1に対する電力の供給は、この上位端末30により集中管理されている。
【0019】
図2は、図1に示した発券装置1および上位端末30の機能的な構成を示すブロック図である。まず、発券装置1について説明する。
図2に示すように、発券装置1は、検知部101と、搬送部102と、電源部103と、通信部104と、主制御部1000と、を含んで構成されている。また、主制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、発券装置1の各部の動作を制御する。主制御部100は、発券制御部1001と、電源制御部1002と、を含んで構成されている。
【0020】
検知部101は、図2に示したセンサ21およびセンサ22である。搬送部102は、ロール紙繰出し搬送部3、直線搬送部4、直線搬送部4’あるいはカーブ部5等の搬送部である。また、電源部103は、発券装置1全体、あるいは上述した各部に電力を供給するための給電回路である。なお、以下では、直線搬送部4のことを第1の搬送部と呼び、直線搬送部4’のことを第2の搬送部と呼ぶこともある。
【0021】
通信部104は、上位端末30との間の通信を媒介するものである、例えば、NIC(Network Interface Card)である。通信部104は、LANケーブル31を介して、上位端末30から発券指示を受信する。また、通信部104は、上位端末30が起動した場合には、その起動信号を受信し、上位端末30が停止した場合には、その停止信号を受信する。さらに、上位端末30が省エネモードへの移行指示を受け付けた場合に、通信部104は、移行信号を受信する。
【0022】
発券制御部1001は、上述した搬送部102の搬送開始動作や搬送停止動作を制御するものである。発券制御部1001は、発券装置1が起動され、主制御部100が、上位端末30とのLAN回線の接続や、発券装置1のイニシャライズ等を行った場合に、搬送部1001や、搬送部1001を動作させるための各種のモータの駆動や停止を行って、ロール紙を搬送し、カッタ部6や印刷部7等の動作を制御して、切出された後の媒体に上位端末30から送信された情報を印刷し、印刷後の媒体を排出/挿入部9から排出させる。
【0023】
電源制御部1002は、上述した電源部103の電源オン動作や電源オフ動作を制御するものである。電源制御部1002は、通信部104が、上位端末30から起動信号を受信した場合に、電源部103を電源オン状態にして発券装置1を起動させる。また、電源制御部1002は、通信部104が、上位端末30から停止信号を受信した場合に、電源部103を電源オフ状態にして発券装置1を停止させる。さらに、電源制御部1002は、通信部104が、上位端末30から移行信号を受信した場合に、発券装置1を省エネモードに移行させる。続いて、上位装置30について説明する。
【0024】
図2に示すように、上位装置30は、入力受付部301と、装置制御部302と、通信部303と、を含んで、を含んで構成されている。
【0025】
入力受付部301は、例えば、キーボードやマウス、あるいはタッチパネルであり、発券装置1に対する発券指示や起動指示、停止指示、あるいは省エネモードへの移行指示、さらには発券のための種々の情報(例えば、乗車券であれば、駅名や区間、有効期間等の情報)の入力を受け付ける。装置制御部302は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、入力受付部301や通信部303など上位端末30全体の動作を制御する。また、通信部303は、例えば、NIC(Network Interface Card)であり、入力受付部301が受け付けた上述した各種の指示や、切出された後の媒体に印刷するための上述した種々の情報を発券装置1に送信する。
【0026】
続いて、上述した発券装置1で行われる処理の処理手順を1日の発券業務の流れに沿って説明する。
【0027】
図3は、発券装置1の利用者が業務を開始する際の起動処理の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、上位端末30の電源がオン状態となって起動した場合(ステップS101)、その起動信号を受信して発券装置1の電源もオン状態となって起動する(ステップS102)。
【0028】
そして、上位端末30と発券装置1のLAN回線が接続され(ステップS103)、LAN回線が接続された発券装置1は、直ちにイニシャライズを行う(ステップS104)。発券装置1がイニシャライズされた後、発券制御部1001は、繰出しモータ24と下搬送路駆動モータ25を駆動させ(ステップS105)、装填されたロール紙20を繰出し搬送部3から直線搬送部4、カーブ部5、直線搬送部4’を通してカッタ部6まで搬送し(ステップS106)、センサ22がロール紙20の先端を検知したことを契機に(ステップS107)、モータ24とモータ25を停止させ(ステップS108)、ロール紙20の搬送を終了させ(ステップS109)、通信部104が上位端末30からの発券指示を受信するまで、その位置(以下、発券待機位置と呼ぶ。)で待機させる(ステップS110)。
【0029】
図4は、ロール紙20が発券待機位置で待機する様子を示す図である。図4に示すように、ロール紙20の先端がセンサ22を通過すると、ロール紙20自体が発券待機位置(A)で停止している。なお、このときのロール紙先端の停止位置は、発券する券の長さ分をカッタ23から搬送させた位置とする。この位置は、あらかじめ不図示のメモリ等の記憶媒体に記憶されているものとする。このステップS110が終了すると、発券装置1の起動処理が終了する。
【0030】
次に、発券処理を行う際の処理手順について説明する。図5は、発券装置1が行う発券処理の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、上位端末30からの発券指示を通信部104が受信すると(ステップS201)、発券制御部1001は、発券待機位置で待機させていたロール紙20をカッタ23で切断させ(ステップS202)、搬送モータ26を駆動し(ステップS203)、切断された後の媒体を印刷部7へ搬送し(ステップS204)、上位端末30から送られる情報を印刷した後(ステップS205)、磁気エンコード部8へ搬送し(ステップS206)、磁気情報を記録する(ステップS207)。発券制御部1001は、情報が書き込まれた媒体を排出/挿入部9へ搬送して(ステップS208)、乗車券等として発行し(ステップS209)、その後、搬送モータ26を停止して(ステップS210)発券処理を終了する。
【0031】
また、ロール紙20を切断後、切断された後の媒体への印字処理等と並行して、発券制御部1001は、次の発券に備えるためにモータ24とモータ25を駆動させ(ステップS211)、ロール紙20を送り出し(ステップS212)、図3に示したステップS107の場合と同様に、センサ22がロール紙20の先端を検知したことを契機に(ステップS213)、モータ24とモータ25を停止し(ステップS213)、ロール紙20の送り出しを終了し(ステップS215)、次の券の発券指示が出るまで図4の(A)で示す発券待機位置で待機させる。
【0032】
続いて、営業時間中に発券業務が一定時間行われなかった場合の移行処理について説明する。図6は、営業時間中に発券業務が一定時間行われなかった場合の移行処理の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、発券装置1は、発券処理が完了してから上位端末30が次の券の発券取引を開始するまでの時間(発券指示を送信するまでの時間)を、上位端末に設置した不図示のタイマで計測し、発券取引が行われないまま一定時間経過すると(ステップS301)、上位端末30は、発券装置1へ省電力モードへの移行指示を、通信部303を介して送信する(ステップS302)。
【0033】
通信部104を介して移行指示を受信した発券装置1は、発券制御部1001がモータ24とモータ25を逆回転で駆動させて(ステップS303)、発券待機位置で待機しているロール紙20を巻戻す(ステップS304)。そして、センサ21が巻戻されたロール紙20の先端を検知したことを契機として(ステップS305)、発券制御部1001は、モータ24とモータ25を停止させ(ステップS306)、ロール紙20の巻戻しを終了する(ステップS307)。このとき、ロール紙20の先端の停止位置は図4の(B)で示すように、直線搬送部4内のセンサ22から一定距離だけ供給側に戻された位置となる。この位置については、発券処理の場合と同様に、不図示のメモリ等の記憶媒体にあらかじめ記憶されているものとする。ロール紙20の巻戻しを完了した発券装置1は、待機電力の消費を軽減するために、上位端末30からの移行指示にしたがって、電源制御部1002が、上位端末30とのLAN回線接続を維持した状態で電源を落とし、省電力モードへと移行する(ステップS308)。
【0034】
次に、発券装置1を省電力モードから復旧させ、発券業務を再開する場合の処理について説明する。図7は、発券装置1を省電力モードから復旧させ、発券業務を再開する場合の復旧処理の処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、上位端末30から発券指示を受信して発券取引操作を再開すると(ステップS401)、発券装置1は、通信部104を介して上位端末30から発券装置1を電源オン状態にするための起動信号を受信する(ステップS402)。
【0035】
電源オン状態となった発券装置1は、発券起動時と同様に、イニシャライズを行い、発券制御部1001が、モータ24とモータ25を駆動させて(ステップS403)、ロール紙20を送り出し(ステップS404)、センサ22がロール紙20の先端を検知したことを契機に(ステップS406)、モータ24とモータ25を停止させ(ステップS407)、ロール紙20を図4の(A)の発券停止位置で停止させてロール紙20の搬送を終了する(ステップS408)。上位端末30が発見のための種々の情報の入力を受け付けた後(ステップS409)、通信部104を介してこれらの情報および発券指示を受信し(ステップS410)、発券装置1は発券処理を行う(ステップS411)。
【0036】
最後に、1日の発券業務を終了し、装置の電源を落とす際の処理について説明する。図8は、1日の発券業務を終了し、装置の電源を落とす際の停止処理の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、業務終了後(ステップS501)、上位端末30のシャットダウンを開始すると(ステップS502)、上位端末30は発券装置1とのLAN接続を切断し(ステップS503)、その後、数秒間シャットダウン処理を行い(ステップS504)、シャットダウン処理完了後(ステップS505)に電源を落とす(ステップS506)。
【0037】
また発券装置1はLAN接続切断後、上位端末30のシャットダウン処理(ステップS504)と並行して、上位端末30から通信部104を介して停止信号を受信すると、イニシャライズを実行し(ステップS507)、その後、省電力モードへの移行の場合と同様に、発券制御部1001が、モータ24とモータ25を逆回転で駆動させ(ステップS508)、発券停止位置で待機しているロール紙20を巻戻し(ステップS509)、センサ21が巻戻されたロール紙20の先端を検知したことを契機として(ステップS510)、モータ24とモータ25を停止させ(ステップS511)、ロール紙20の先端が図2の(B)の位置まで退避した状態で停止させ(ステップS512)、その後、電源制御部1002が電源部103を制御して発券装置1の電源をオフ状態にする(ステップS513)。
【0038】
なお、上述したステップS504において、発券装置1は、停止信号とともに、または停止信号に代えて、上位端末30から通信を切断する旨の切断信号を、通信部104を介して受信した場合に、ステップS507移行の処理を行うこととしてもよい。
【0039】
本実施例では、発券装置1が行う処理として、ロール紙20を切断した後に印刷等の処理を行う方式について説明しているが、ロール紙20に印刷等の処理を行った後に券のサイズに切断して発券する方式についても、カッタと印刷部等の配置を入れ替え、発券待機位置を印刷等の処理を行う位置とすることによって本発明を適用することができる。
【0040】
このように、ロール紙20に所定の情報を印字して発券処理を行う発券装置1において、ロール紙収納部2がロール紙20を収納し、カーブ部5がロール紙20の搬送方向を変更し、第1の搬送部がロール紙収納部2からカーブ部5までロール紙20をストレートに搬送し、第2の搬送部がカーブ部5から先にロール紙20をストレートに搬送し、検知部がロール紙20の先端を検知し、発券制御部1001が発券処理が所定の時間行われない場合に、第2の搬送部まで搬送されたロール紙20を巻き戻して、ロール紙20の先端を第2の搬送部から第1の搬送部の位置(カーブ部5よりもロール紙収納部2側の手前の位置)にまで後退させるので、特別な機構を必要とせずに、媒体にカール癖が付くことを防止することができる発券装置を提供することができる。例えば、径の小さいカーブやループ状の搬送路を持つ発券機に対し特別な機構を必要とせずに、発券待機時のカール癖を防ぐことができる。
【0041】
また、発券装置1は、上位端末30が電源オフ状態となった場合に合わせて発券装置1の電源もオフ状態となるように、電源が上位端末30により集中コントロールされ、LAN回線31を介して上位端末30と発券装置1との回線接続が切断されたときに、自動でロール紙20の巻戻しを行うように制御している。従って、利用者が発券業務を終了し、上位端末30の電源を落とす際に、回線接続が切断されると同時にロール紙を退避させることができるため、業務休止中に媒体にカール癖が付くことを防ぐことができる。また、その際、ロール紙20の巻戻し処理を上位端末30のシャットダウン処理と並行して行うことで、処理時間を増やすことなくロール紙のカール癖対策を講じることができる。
【0042】
本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0043】
1…発券装置、2…ロール紙収納部、3…繰出し搬送部、4…直線搬送部、5…カーブ部、6…カッタ部、7…印刷部、8…磁気エンコード部、9…排出/挿入部、10…搬送路、11…パンチ部、12…回収部、13…定期券繰出し部、20…ロール紙、21…センサ、22…センサ、23…カッタ、24…ロール紙搬送モータ、25…下搬送路駆動モータ、26…券搬送モータ、30…上位端末、31…LANケーブル、1000…主制御部、1001…発券制御部、1002…電源制御部、101…検知部、102…搬送部、103…電源部、104…通信部(発券装置)、301…入力受付部、302…装置制御部、303…通信部(上位端末)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙に所定の情報を印字して発券処理を行う発券装置であって、
前記ロール紙を収納するロール紙装填部と、
前記ロール紙の搬送方向を変更するカーブ部と、
前記ロール紙装填部から前記カーブ部まで前記ロール紙をストレートに搬送する第1の搬送部と、
前記カーブ部から先に前記ロール紙をストレートに搬送する第2の搬送部と、
前記ロール紙の先端を検知する検知部と、
前記発券処理が所定の時間行われない場合に、前記第2の搬送部まで搬送された前記ロール紙を巻き戻して、前記ロール紙の先端を前記第2の搬送部から前記第1の搬送部の位置にまで後退させる発券制御部と、
を備えたことを特徴とする発券装置。
【請求項2】
前記発券制御部は、前記ロール紙の先端を、前記カーブ部よりも前記ロール紙装填部側の手前の位置にまで後退させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の発券装置。
【請求項3】
前記発券装置は、ネットワークを介して情報処理装置に接続され、
前記発券制御部は、前記情報処理装置からの指示に基づいて、前記ロール紙を巻き戻す、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発券装置。
【請求項4】
前記発券制御部は、前記情報処理装置との間の前記ネットワークを介した接続が断たれた場合に、前記ロール紙を巻き戻す、
ことを特徴とする請求項3に記載の発券装置。
【請求項5】
前記発券装置は、
前記情報処理装置の電源がオフ状態となった場合に、前記情報処理装置から前記ネットワークを介して前記オフ状態であることを示す停止信号を受信する通信部と、
前記通信部が前記停止信号を受信した場合に、前記発券装置の電源をオフ状態にする電源制御部と、をさらに備え、
前記発券制御部は、前記電源制御部が前記発券装置の電源をオフ状態にする場合に、前記ロール紙を巻き戻す、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の発券装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−104780(P2011−104780A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258972(P2009−258972)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】