説明

発振装置及び容量調整装置

【課題】補助容量素子の存在に起因して、制御電圧に対する電圧制御可変主容量素子の容
量の変化量に基づき発振周波数を変化させることが鈍化するという事態を回避しつつ、発
振周波数を変化させる。
【解決手段】インバータ素子と、圧電振動子と、第1の容量素子と、第2の容量素子と、
電圧制御可変主容量素子と、複数の補助容量素子と、複数の電圧制御可変副容量素子とを
含み、前記複数の補助容量素子及び前記複数の電圧制御可変副容量素子が、前記電圧制御
可変主容量素子に接続又は接続切断が可能であり、前記複数の補助容量素子の容量に対し
ての、制御電圧に対する前記複数の電圧制御可変副容量素子の容量の変化量が実質的に同
一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子のような圧電振動子等により定まる発振周波数を有する発振信号
を生成する発振装置、及び、当該発振装置に用いる容量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示されるような、下記の特許文献1に記載された従来の発振装置D10では、本
来的に、外部装置(図示せず。)から印加される制御電圧Vcntに応じて、バラクタV
10の容量を変化させることにより、水晶振動子X10、コンデンサC10、及びC20
により規定される基準周波数fc(例えば、26MHz)に近似する発振周波数f(例え
ば、26MHz近傍)、即ち、水晶振動子X10、コンデンサC10、C20、及びバラ
クタV10により規定される発振周波数fを有する発振信号OS10を生成する。
【0003】
前記発振装置D10は、水晶振動子X10等の特性上のばらつきに起因する前記基準周
波数fcのずれを修正すべく、即ち、前記基準周波数fcを調整すべく、図5に示される
ように、調整回路A10を有する。当該調整回路A10は、前記基準周波数fcの調整に
必要な容量(合成容量)を実現すべく、相互に容量の大きさを異にする(例えば、1pF
、2pF、4pF、...)のコンデンサCB10、CB20、CB30、...、及び
、スイッチ電圧Vsw10、Vsw20、Vsw30、...による制御下で接続及び接
続切断を行うスイッチSW10、SW20、SW30、...を備える。
【0004】
より詳しくは、コンデンサCB10及びスイッチSW10は、インバータ素子IN10
の出力端及び接地電位GND間に直列接続され、加えて、スイッチSW10は、前記外部
装置又は他の外部装置(図示せず。)から印加を受けるスイッチ電圧Vsw10に基づき
、コンデンサCB10を、前記インバータ素子IN10の出力端及び前記接地電位GND
間に接続し又は当該接続を切断する。他のコンデンサCB20、CB30、...及び他
のスイッチSW20、30、...も、同様に設けられており、また、同様に接続及び接
続切断を行う。発振装置D10では、前記発振信号OS10の基準周波数fcのずれを修
正すべく、例えば、コンデンサCB10の容量及びCB30の容量を使用したいときには
、スイッチSW10、SW30を接続状態にし、他方で、スイッチSW20を接続切断状
態にする。
【0005】
従来の発振装置D10では、2つの極端な例のうちの一方の例として、コンデンサCB
10、CB20、CB30、...の全てを使用しない(切断する)ときには、バラクタ
V10の容量、正確には、制御電圧Vcntに対するバラクタV10の容量の変化量に対
する、コンデンサCB10、CB20、CB30、...の合成容量の比が実質的に零で
あることから、前記基準周波数fcに対しての、バラクタV10の容量が変化することに
よる、当該基準周波数fcからの偏差df(縦軸)は、図6の点線で示されるように、制
御電圧Vcnt(横軸)に対し敏感に反応することができ、換言すれば、制御電圧Vcn
t(横軸)に対して感度高く(感度鋭く)発振周波数fを変化させることができる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−27044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、他方の例として、コンデンサCB10、CB20、CB30、...の
全てを使用する(接続する)ときには、制御電圧Vcntに対するバラクタV10の容量
の変化量に対する、コンデンサCB10、CB20、CB30、...の合成容量の比が
極めて大きくなることから、上記したような基準周波数fcに対する周波数の偏差dfは
、図6の実線で示されるように、制御電圧Vcntに対する反応が鈍感になり、換言すれ
ば、制御電圧Vcntに対する発振周波数fの変化が感度鈍くなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決すべく、本発明に係る発振装置は、
(1)増幅器IN1と、
(2)前記増幅器IN1に並列接続された圧電振動子X1と、
(3)前記増幅器IN1の入力端及び出力端の一方並びに固定電位間GNDに接続され
た第1の容量素子C1と、
(4)前記増幅器IN1の入力端及び出力端の他方並びに前記固定電位GND間に、相
互に直列に設けられた第2の容量素子C2及び電圧制御可変主容量素子V1であって、前
記圧電振動子X1及び前記第1の容量素子C1と協動して発振信号OS1が取り得る発振
周波数Fの範囲の基準となる基準周波数Fcを規定するための前記第2の容量素子C2、
及び、前記発振信号OS1の発振周波数Fを可変すべく容量を変化させるための制御電圧
Vcntの印加を受ける前記電圧制御可変主容量素子V1と、
(5)各補助容量素子が前記第2の容量素子C2と並列に接続又は当該接続の切断が可
能であり、前記基準周波数Fcを調整すべく容量が相互に相違する複数の補助容量素子C
B1〜CB3と、
(6)前記電圧制御可変主容量素子V1による前記発振信号OS1の前記発振周波数F
の可変を補完すべく、各電圧制御可変副容量素子VBi(i=1、2、3....)が、
前記複数の補助容量素子CB1〜CB3のうちの、当該電圧制御可変副容量素子Ciに対
応する補助容量素子CBiの前記接続又は前記接続の切断に連動して前記電圧制御可変主
容量素子V1に並列に接続又は当該接続の切断が可能であり、前記制御電圧Vcntの印
加を受けて容量が変化する複数の電圧制御可変副容量素子VB1〜VB3であって、当該
複数の電圧制御可変副容量素子VB1〜VB3間で、一の電圧制御可変副容量素子VBi
に対応する一の補助容量素子CBiの容量に対しての、前記制御電圧Vcntに対する前
記一の電圧制御可変副容量素子VBiの容量の変化量の比が実質的に同一であるように、
前記制御電圧Vcntに対する容量の変化量が相互に相違する前記複数の電圧制御可変副
容量素子VB1〜VB3と、を含む。
【0009】
上記した本発明に係る発振装置によれば、前記複数の電圧制御可変副容量素子VB1〜
VB3が、当該複数の電圧制御可変副容量素子VB1〜VB3間で、前記一の補助容量素
子CBiの容量に対しての、前記制御電圧Vcntに対する前記一の電圧制御可変副容量
素子VBiの容量の変化量の比が実質的に同一であるように、前記制御電圧Vcntに対
する容量の変化量が相互に相違し、かつ、各電圧制御可変副容量素子VBiが、当該電圧
制御可変副容量素子VBiに対応する補助容量素子CBiの前記接続又は前記接続の切断
に対応して前記電圧制御可変主容量素子に接続又は当該接続の切断が可能であることから
、前記電圧制御可変主容量素子に接続された少なくとも1つ以上の補助容量素子に対応す
る1つ以上の電圧制御可変副容量素子が、前記制御電圧Vcntに対する前記電圧制御可
変主容量素子の容量の変化量を補完することから、従来の発振装置と異なり、前記制御電
圧Vcntに対する前記発振周波数Fの変化の感度を鈍化させることなく、前記発振周波
数Fを可変することが可能となる。
【0010】
上記した本発明に係る発振装置では、前記制御電圧Vcntは、前記発振周波数Fが前
記発振装置の雰囲気の温度変化に起因して変動することを低減すべく、前記雰囲気の温度
変化に基づき、前記電圧制御可変主容量素子V1の前記容量を変化させる。
【0011】
本発明に係る容量調整装置は、
(1)固定した容量を有する容量素子C2と、
(2)前記容量素子C2と直列に接続され、可変する容量を有する電圧制御可変主容量
素子V1であって、当該電圧制御可変主容量素子V1の容量を変化させるための制御電圧
Vcntの印加を受ける前記電圧制御可変主容量素子V1と、
(3)各補助容量素子が前記容量素子C2と並列に接続又は当該接続の切断が可能であ
り、容量が相互に相違する複数の補助容量素子CB1〜CB3と、
(4)各電圧制御可変副容量素子VBi(i=1、2、3....)が、前記複数の補
助容量素子CB1〜CB3のうちの、当該電圧制御可変副容量素子Ciに対応する補助容
量素子CBiの前記接続又は前記接続の切断に連動して前記電圧制御可変主容量素子V1
に並列に接続又は当該接続の切断が可能であり、前記制御電圧Vcntの印加を受けて容
量が変化する複数の電圧制御可変副容量素子VB1〜VB3であって、当該複数の電圧制
御可変副容量素子VB1〜VB3間で、一の電圧制御可変副容量素子VBiに対応する一
の補助容量素子CBiの容量に対しての、前記制御電圧Vcntに対する前記一の電圧制
御可変副容量素子VBiの容量の変化量の比が実質的に同一であるように、前記制御電圧
Vcntに対する容量の変化量が相互に相違する前記複数の電圧制御可変副容量素子VB
1〜VB3と、を含む。
【0012】
上記した本発明に係る容量調整装置によれば、前記複数の電圧制御可変副容量素子VB
1〜VB3が、当該複数の電圧制御可変副容量素子VB1〜VB3間で、前記一の補助容
量素子CBiの容量に対しての、前記制御電圧Vcntに対する前記一の電圧制御可変副
容量素子VBiの容量の変化量の比が実質的に同一であるように、前記制御電圧Vcnt
に対する容量の変化量が相互に相違し、かつ、各電圧制御可変副容量素子VBiが、当該
電圧制御可変副容量素子VBiに対応する補助容量素子CBiの前記接続又は前記接続の
切断に対応して前記電圧制御可変主容量素子に接続又は当該接続の切断が可能であること
から、前記電圧制御可変主容量素子に接続された少なくとも1つ以上の補助容量素子に対
応する1つ以上の電圧制御可変副容量素子が、前記制御電圧Vcntに対する前記電圧制
御可変主容量素子の容量の変化量を補完することから、前記制御電圧Vcntに対する、
前記電圧制御可変主容量素子V1の容量変化の感度を鈍化させることなく、当該電圧制御
可変主容量素子V1の容量を可変することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る発振装置の実施例について図面を参照して説明する。
【0014】
《構成と動作》
図1は、実施例の発振装置の構成を示す。実施例の発振装置D1は、図1に示されるよ
うに、インバータ素子IN1と、水晶振動子X1と、抵抗器R1、R2と、コンデンサC
1、C2(第1、第2の容量素子)と、バラクタV1(電圧制御可変主容量素子)と、調
整回路A1とを含む。
【0015】
インバータ素子IN1は、増幅器の一つであり、例えば+3V及び+5Vのような電源
電位Vcc(固定電位)及び接地電位GND(他の固定電位)に接続されており、例えば
、CMOSインバータ素子から構成されている。
【0016】
水晶振動子X1は、インバータ素子IN1に並列接続されており、コンデンサC1、C
2と協動して発振信号OS1の基準周波数Fcを規定する。
【0017】
抵抗器R1は、インバータ素子IN1に並列接続された、いわゆる帰還抵抗器であり、
発振装置D1のバイアスを規定する。
【0018】
抵抗器R2は、電源電位Vccに基づき、インバータ素子IN1の出力端、即ち、バラ
クタV1の一端(例えば、カソード側)のバイアスを規定する。
【0019】
コンデンサC1は、インバータ素子IN1の出力端及び接地電位GND間に設けられて
おり、また、コンデンサC2及びバラクタV1は、インバータ素子IN1の出力端及び接
地電位GND間に直列接続されて設けられている。バラクタV1は、例えば、MOSバラ
クタ及びPNバラクタからなり、当該バラクタV1の容量を変化させるための制御電圧V
cntを外部制御装置(図示せず。)から印加される。
【0020】
調整回路A1は、インバータ素子IN1の出力端に設けられており、複数の補助コンデ
ンサ(補助容量素子)CB1、CB2、CB3、...と、当該複数の補助コンデンサC
B1、CB2、CB3、...に直列接続された複数の補助バラクタ(電圧制御可変副容
量素子)VB1、VB2、VB3、...と、前記複数の補助コンデンサCB1、CB2
、CB3、...及び当該複数の補助バラクタVB1、VB2、VB3、...と直列に
接続し又は当該接続を遮断することが可能な複数のスイッチSW1、SW2、SW3、.
..と、前記制御電圧Vcntを前記補助バラクタVB1、VB2、VB3、...へ別
個独立に印加するための抵抗器RB1、RB2、RB3、...と、を有する。
【0021】
より正確には、補助コンデンサCB1、CB2、CB3、...は、それぞれ、コンデ
ンサC2と並列に接続し又は当該接続を切断することができるように設けられており、か
つ、当該接続及び当該切断に連動して、バラクタV1と並列に接続され又は当該接続を切
断される。また、補助バラクタVB1、VB2、VB3、...は、それぞれ、バラクタ
V1と並列に接続し又は当該接続を遮断することができるように設けられている。補助コ
ンデンサCB1、CB2、CB3、...の前記接続及び当該接続の切断、並びに、補助
バラクタVB1、VB2、VB3、...の前記接続及び当該接続の遮断は、スイッチS
W1、SW2、SW3、...により行われ、例えば、コンデンサC2への補助コンデン
サCB1の接続及び接続の遮断、並びに、バラクタV1への補助コンデンサCB1の接続
及び接続の遮断は、当該コンデンサCB1及びバラクタV1に対応するスイッチSW1に
よって、外部記憶装置(図示せず。。)から出力されるスイッチ電圧Vsw1に基づき、
連動的に行われる。他の補助コンデンサCB2、CB3、...、及び、他の補助バラク
タVB2、VB3、...についての接続及び接続の遮断もまた、同様にして、それぞれ
、他のスイッチSW2、SW3、...により、スイッチ電圧Vsw2、Vsw3、..
.により行われる。
【0022】
補助コンデンサCB1、CB2、CB3、...は、相互に容量を異にする。より詳し
くは、水晶振動子X1等の特性上のばらつきに起因する基準周波数Fcのずれを修正する
ために必要であると予め想定される容量(合成容量)を、補助コンデンサCB1、CB2
、CB3、...の取捨選択により、即ち、接続又は接続遮断により構成することができ
るように、補助コンデンサCB1、CB2、CB3、...の容量は、それぞれ、1pF
、2pF、4pF、...のように、2のべき乗に従っている。以下では、説明及び理解
を容易にすべく、基準周波数Fcの修正のために、補助コンデンサCB1、CB3が、接
続されており、他方で、補助コンデンサCB2が、接続を切断されることを想定する。
【0023】
補助バラクタVB1、VB2、VB3、...は、例えば、MOSバラクタ及びPNバ
ラクタからなり、制御電圧Vcntに対するバラクタV1の容量の変化量、即ち、制御電
圧Vcntに対する感度が、例えば、当該バラクタV1に接続された前記補助コンデンサ
CB1、CB3の合成容量の大きさに左右されて鈍化することを補完すべく、制御電圧V
cntに対する容量の変化量が相互に異なる。より具体的には、補助バラクタVB1、V
B2、VB3、...のCV特性(制御電圧Vcntに対する補助バラクタVB1、VB
2、VB3、...の容量の変化量)は、1pF/V、2pF/V、4pF/V、...
のように、補助コンデンサCB1の容量に対する補助バラクタVB1のCV特性の比と、
補助コンデンサCB2の容量に対する補助バラクタVB2のCV特性の比と、補助コンデ
ンサCB3の容量に対する補助バラクタVB3のCV特性の比と、...が、相互に実質
的に同一になるように、補助バラクタVB1、VB2、VB3、...の容量の比と同様
に、2のべき乗に従っている。
【0024】
スイッチSW1、SW2、SW3、...は、上記したような、コンデンサC2への補
助コンデンサCB1、CB2、CB3、...の接続及び接続の遮断、並びに、バラクタ
V1への補助バラクタVB1、VB2、VB3、...の接続及び接続の遮断を実行すべ
く、例えば、それぞれ、MOSトランジスタから構成されている。
【0025】
抵抗器RB1、RB2、RB3、...は、前記制御電圧Vcntをバラクタに相互に
独立して印加すべく、制御電圧Vcntが印加される端点(端子)、及び、補助バラクタ
VB1、VB2、VB3、...と補助コンデンサCB1、CB2、CB3、...との
接続点間に、相互に並列に設けられている。
【0026】
《効果》
上記したような構成を有する発振装置D1では、水晶振動子X1等の特性上のばらつき
に起因する、発振信号OS1の基準周波数Fcのずれを修正すべく、「接続」の旨を規定
するスイッチ電圧Vsw1、Vsw3、及び「接続切断」の旨を規定するスイッチ電圧V
sw2に従い、スイッチSW1、SW3により、コンデンサC2と並列に補助コンデンサ
CB1(1pF)、CB3(4pF)が接続され、かつ、スイッチSW2により、コンデ
ンサC2と並列に補助コンデンサCB2(2pF)が接続されない、即ち、接続が切断さ
れる。当該接続及び接続の切断に連動して、バラクタV1と並列に、補助バラクタVB1
(1pF/V)、補助バラクタVB3(4pF/V)が接続され、かつ、補助バラクタV
B2(2pF/V)が接続を切断される。バラクタV1に並列接続された補助バラクタV
B1及び補助バラクタVB3は、制御電圧Vcntに基づくバラクタV1の容量変化によ
り発振周波数Fを変えることに関し、それぞれ、制御電圧Vcntに応じてその容量を変
化させることにより、コンデンサC2に並列接続された、即ち、バラクタV1に並列接続
された補助コンデンサCB1及び補助コンデンサCB3の合成容量の存在に起因して、制
御電圧Vcntに対応するバラクタV1の容量の変化量、即ち、バラクタV1の感度が鈍
化することを低減することができる。換言すれば、仮に、コンデンサC2と並列に、全て
の補助コンデンサCB1、CB2、CB3、...が接続されても、図2の実線で示され
るように、全ての補助コンデンサCB1、CB2、CB3、...が接続されているとき
(点線で図示。)と同様に、制御電圧Vcntに対するバラクタV1の感度を鈍らせるこ
となく、発振周波数Fを変えることができる。
【0027】
換言すれば、バラクタV1及びコンデンサC2、並びに、調整回路A1からなる可変調
整装置B1では、コンデンサC2と並列に、即ち、バラクタV1と並列に、補助コンデン
サCB1、CB2、CB3、...が接続されても、制御電圧Vcntに対する、バラク
タV1の容量変化の感度を低下させることなく、当該バラクタV1の容量を変えることが
できる。
【0028】
〈変形例1〉
図3は、変形例1の発振装置の構成を示す。変形例1の発振装置D1では、図3に示さ
れるように、図1に示された実施例の発振装置D1における、インバータ素子IN1の入
力側の構成と出力側の構成が入れ替わっている。より具体的には、変形例1の発振装置D
1では、実施例の発振装置D1における入力側の構成であるコンデンサC1が、インバー
タ素子IN1の出力側に設けられており、他方で、実施例の発振装置D1における出力側
の構成である、バラクタV1、コンデンサC2、抵抗器R2、及び調整回路A1が、イン
バータ素子INの入力側に設けられている。このような構成を有する変形例1の発振装置
D1によっても、上記したような実施例の発振装置D1の効果と同様な効果を得ることが
できる。
【0029】
〈変形例2〉
図4は、変形例2の発振装置の構成を示す。変形例2の発振装置D2では、図4に示さ
れるように、実施例及び変形例1の発振装置D1と同様に、調整回路A1を有し、他方で
、実施例及び変形例1の発振装置D1と異なり、バイポーラトランジスタTR1、水晶振
動子XC1、抵抗器RC1〜RC5、コンデンサCC1、CC2を有する。詳細には、変
形例2の発振装置D2では、トランジスタTR1のベース及び接地電位GND間に、水晶
振動子XC1、電圧制御可変主容量素子V1、及びコンデンサC2が直列に接続されてお
り、トランジスタTR1のエミッタ及び接地電位GND間に抵抗器RC1が接続されてお
り、トランジスタTR1のベース及びエミッタ間にコンデンサCC1が接続されており、
前記抵抗器RC1と並列にコンデンサCC2が接続されており、トランジスタTR1のベ
ース及び接地電位GND間に抵抗器RC2が接続されており、トランジスタTR1のコレ
クタ及び電源電位Vcc間に抵抗器RC3が接続されており、水晶振動子XC1の一端(
トランジスタTR1のベースに相当。)と電源電位Vcc間に抵抗器RC4が接続されて
おり、水晶振動子XC1の他端及び電源電位Vcc間に抵抗器RC5が接続されており、
水晶振動子XC1の当該他端に、上記の調整回路A1が設けられている。
【0030】
上記したような構成を有する変形例2の発振装置D2によっても、また、上記した実施
例及び変形例1の発振装置D1の効果と同様な効果を得ることができる。
【0031】
〈変形例3〉
前記実施例及び変形例1の発振装置D1における、前記発振信号OS1の発振周波数F
が、前記発振装置D1が置かれている環境、即ち、雰囲気の温度変化に起因して変動する
ときには、前記制御電圧Vcntは、前記雰囲気の温度変化に基づき、前記電圧制御可変
主容量素子V1の前記容量を変化させる量(程度)を規定することにより、前記発振信号
OS1の発振周波数Fを前記温度変化に左右されずに一定に維持すること、即ち、温度補
償することを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例の発振装置の構成を示す図。
【図2】実施例の発振装置の感度を示す図。
【図3】変形例1の発振装置の構成を示す図。
【図4】変形例2の発振装置の構成を示す図。
【図5】従来の発振装置の構成を示す図。
【図6】従来の発振装置の感度を示す図。
【符号の説明】
【0033】
D1…発振装置、IN1…インバータ素子、X1…圧電振動子、V1…電圧制御可変主
容量素子、C1、C2…コンデンサ、A1…調整回路、CB1、CB2、CB3…補助コ
ンデンサ、VB1、VB2、VB3…補助バラクタ、SW1、SW2、SW3…スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)増幅器と、
(2)前記増幅器に並列接続された圧電振動子と、
(3)前記増幅器の入力端及び出力端の一方並びに固定電位間に接続された第1の容量
素子と、
(4)前記増幅器の入力端及び出力端の他方並びに前記固定電位間に、相互に直列に設
けられた第2の容量素子及び電圧制御可変主容量素子であって、前記圧電振動子及び前記
第1の容量素子と協動して発振信号が取り得る発振周波数の範囲の基準となる基準周波数
を規定するための前記第2の容量素子、及び、前記発振信号の発振周波数を可変すべく容
量を変化させるための制御電圧の印加を受ける前記電圧制御可変主容量素子と、
(5)各補助容量素子が前記第2の容量素子と並列に接続又は当該接続の切断が可能で
あり、前記基準周波数を調整すべく容量が相互に相違する複数の補助容量素子と、
(6)前記電圧制御可変主容量素子による前記発振信号の前記発振周波数の可変を補完
すべく、各電圧制御可変副容量素子が、前記複数の補助容量素子のうちの、当該電圧制御
可変副容量素子に対応する補助容量素子の前記接続又は前記接続の切断に連動して前記電
圧制御可変主容量素子に並列に接続又は当該接続の切断が可能であり、前記制御電圧の印
加を受けて容量が変化する複数の電圧制御可変副容量素子であって、当該複数の電圧制御
可変副容量素子間で、一の電圧制御可変副容量素子に対応する一の補助容量素子の容量に
対しての、前記制御電圧に対する前記一の電圧制御可変副容量素子の容量の変化量の比が
実質的に同一であるように、前記制御電圧に対する容量の変化量が相互に相違する前記複
数の電圧制御可変副容量素子と、を含むことを特徴とする発振装置。
【請求項2】
前記制御電圧は、前記発振周波数が前記発振装置の雰囲気の温度変化に起因して変動す
ることを低減すべく、前記雰囲気の温度変化に基づき、前記電圧制御可変主容量素子の前
記容量を変化させることを特徴とする請求項1記載の発振装置。
【請求項3】
(1)固定した容量を有する容量素子と、
(2)前記容量素子と直列に接続され、可変する容量を有する電圧制御可変主容量素子
であって、当該電圧制御可変主容量素子の容量を変化させるための制御電圧の印加を受け
る前記電圧制御可変主容量素子と、
(3)各補助容量素子が前記容量素子と並列に接続又は当該接続の切断が可能であり、
容量が相互に相違する複数の補助容量素子と、
(4)各電圧制御可変副容量素子が、前記複数の補助容量素子のうちの、当該電圧制御
可変副容量素子に対応する補助容量素子の前記接続又は前記接続の切断に連動して前記電
圧制御可変主容量素子に並列に接続又は当該接続の切断が可能であり、前記制御電圧の印
加を受けて容量が変化する複数の電圧制御可変副容量素子であって、当該複数の電圧制御
可変副容量素子間で、一の電圧制御可変副容量素子に対応する一の補助容量素子の容量に
対しての、前記制御電圧に対する前記一の電圧制御可変副容量素子の容量の変化量の比が
実質的に同一であるように、前記制御電圧に対する容量の変化量が相互に相違する前記複
数の電圧制御可変副容量素子と、を含むことを特徴とする容量調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−318203(P2007−318203A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142422(P2006−142422)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】