説明

発泡性熱可塑性樹脂粒子とその製造方法、予備発泡粒子及び発泡成形体

【課題】揮発性有機化合物の残存量を低減でき、揮発性有機化合物の残存による発泡成形体の耐熱性能の悪化をなくして十分な耐熱性を得ることができる発泡性熱可塑性樹脂粒子の提供。
【解決手段】DSC法によって測定されるガラス転移点温度が110℃以上の耐熱性樹脂、又は該耐熱性樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂からなる熱可塑性樹脂に揮発性発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤0.01〜1.0質量部を含有させたことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性、断熱性に優れ、さらに環境適合性に優れた発泡成形体を製造するのに好適な発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。本発明の発泡成形体は、例えば、住宅用断熱材、高温物用保温断熱材などとして利用される。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、軽量であり、優れた断熱性、比較的良好な機械強度を有し、成形容易性に優れ、しかも低コストであることから、各種の容器、梱包材、緩衝材、断熱材などとして汎用されている。
従来、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の使用樹脂として、ポリスチレン樹脂よりも耐熱性に優れた樹脂材料を用い、発泡成形体の耐熱性を向上させて更なる性能向上や用途の拡大を図る提案がなされている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0003】
特許文献1には、スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸共重合体(A)と水酸基含有炭化水素系化合物(B)とを、押出機内において溶融混練後、押出し、次いで切断することを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒状形状物の製造方法が開示されている。水酸基含有炭化水素系化合物(B)としては、アルコール(R−OH)が例示されている。また、これには樹脂粒子への発泡剤含浸時に可塑剤(C)を併用することが好ましいことが記載され、可塑剤(C)としては流動パラフィン、エステル系可塑剤またはポリエステル系可塑剤等が挙げられている。
【0004】
特許文献2には、単量体組成が、アルファメチルスチレン10質量%以上80質量%以下、アクリロニトリル5質量%以上50質量%以下、スチレン系単量体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1種の単量体が85質量%以下である熱可塑性樹脂を含んでなる発泡性熱可塑性樹脂粒子において、該発泡性熱可塑性樹脂粒子中、易揮発性発泡剤2質量%以上15質量%以下、SP値が8.5以上9.5以下である有機化合物0.2質量%以上2.0質量%以下、かつ残存する単量体成分量が0.5質量%以下である発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、該発泡性熱可塑性樹脂粒子から得られる発泡成形体の切断面の気泡の平均弦長が20μm以上70μm以下であることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ポリスチレン系樹脂90〜10質量部とポリフェニレンエーテル樹脂10〜90質量部からなる基材樹脂粒子を水性媒体中加圧下で、常圧における沸点が90℃以下である揮発性発泡剤を含浸させて、揮発性発泡剤の基材樹脂粒子中の含有量が3質量部以下0.8質量部以上の発泡性樹脂粒子を得、この発泡性樹脂粒子を加熱して嵩密度0.05〜0.35g/cmの予備発泡粒子を得、次いで予備発泡粒子を成形型内に充填し、加熱、発泡させて発泡成形体を得ることを特徴とする耐熱性発泡体の製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献4には、100℃で168時間加熱したとき、寸法変化率が±0.5%以内である耐熱性スチレン系樹脂発泡成形体が開示されている。この成形体は、フェニレンエーテル系樹脂とスチレン系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とし、炭酸ガスを発泡剤として得られた予備発泡粒子を成形したものであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−67761号公報
【特許文献2】特開2007−246566号公報
【特許文献3】特開平5−262909号公報
【特許文献4】特開2004−244440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来技術には、次のような問題があった。
特許文献1〜4記載の方法において、例えば、融点、沸点の低いアルコール類、エステル系可塑剤を使用すると、発泡成形体の耐熱性が低下してしまう。また、沸点が低い(50℃以下)の添加剤を使用すると、発泡成形体に残留する揮発性有機化合物の含有量が多くなる問題が懸念される。
【0009】
また、特許文献2では、発泡成形体を構成する単量体成分の残存量が0.5質量%以下としているが、単量体以外の総揮発分としての記載はなく、総揮発分の残存量が与える影響は論じられていない。発泡成形体中に残存している可能性のある単量体以外の揮発性有機化合物、例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサン等の揮発性有機化合物も論じるべきである。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、揮発性有機化合物の残存量を低減でき、揮発性有機化合物の残存による発泡成形体の耐熱性能の悪化をなくして十分な耐熱性を得ることができる発泡性熱可塑性樹脂粒子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、DSC法によって測定されるガラス転移点温度が110℃以上の耐熱性樹脂、又は該耐熱性樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂からなる熱可塑性樹脂に揮発性発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤0.01〜1.0質量部を含有させたことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子を提供する。
【0012】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子において、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、難燃剤1〜10質量部を含むことが好ましい。
【0013】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子において、前記耐熱性樹脂が、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体からなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0014】
また本発明は、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱して予備発泡させて得られた予備発泡粒子を低供する。
【0015】
また本発明は、前記予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、型内発泡成形して得られた発泡成形体を提供する。
【0016】
本発明の発泡成形体において、100℃における加熱寸法変化率の絶対値が1.0%以下であることが好ましい。
【0017】
本発明の発泡成形体において、発泡成形体中の前記揮発性発泡剤を除く揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であることが好ましい。
【0018】
また本発明は、DSC法によって測定されるガラス転移点温度が110℃以上の耐熱性樹脂、又は該耐熱性樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂からなる熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤とを押出機に投入して加熱溶融し、続いて該溶融樹脂材料に揮発性発泡剤を圧入して混合し、押出機先端に取り付けられたダイの孔から水中に押し出すと同時にカットし、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、難燃剤1〜10質量部を配合することが好ましい。
【0020】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、前記耐熱性樹脂が、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体からなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、DSC法によって測定されるガラス転移点温度が110℃以上の耐熱性樹脂、又は該耐熱性樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂からなる熱可塑性樹脂に揮発性発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤0.01〜1.0質量部を含有させたものなので、この発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡し、得られた予備発泡粒子を型内発泡成形する際に、耐熱性がありながら、発泡倍数が上がり易く、さらに発泡粒子中の樹脂の伸びが良好となり、融着性にも優れ、表面状態が良好な耐熱性発泡成形体を得ることができる。
本発明の発泡成形体は、耐熱性が高く、100℃における加熱寸法変化率の絶対値が1.0%以下とすることができ、従来のポリスチレン系樹脂発泡成形体では困難であった高温雰囲気下での使用や高温物の保温等が可能となる。
本発明の発泡成形体は、融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤を配合した前記発泡性熱可塑性樹脂粒子を基に型内発泡成形して製造するので、揮発性有機化合物含有量の低い樹脂材料を用い、水中ホットカット法によって前記発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造した場合、揮発性発泡剤を除く揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下の発泡成形体を提供することができる。この発泡成形体は、住宅用断熱材などの建材用途として特に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に用いる製造装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、DSC法によって測定されるガラス転移点温度が110℃以上の耐熱性樹脂、又は該耐熱性樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂からなる熱可塑性樹脂に揮発性発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子であり、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤0.01〜1.0質量部を含有させたことを特徴とする。
【0024】
前記耐熱性樹脂としては、DSC法によって測定されるガラス転移点温度が110℃以上、好ましくは115℃以上の熱可塑性樹脂が用いられ、特に、ポリスチレン系樹脂との相溶性が良好な熱可塑性樹脂が好ましい。耐熱性樹脂のガラス転移点温度が110℃未満であると、ポリスチレン系樹脂と混合した樹脂の耐熱性をポリスチレン樹脂よりも良くすることができなくなり、得られる発泡成形体の耐熱性がポリスチレン樹脂発泡成形体と殆ど変わらなくなる。
【0025】
前記耐熱性樹脂の具体例としては、
・スチレン−メタクリル酸共重合体(ガラス転移点温度120℃)
・スチレン−無水マレイン酸共重合体(ガラス転移点温度119℃)
・スチレン−マレイミド共重合体(ガラス転移点温度150℃)
・ポリフェニレンエーテル系樹脂(ガラス転移点温度210℃)
・スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体(ガラス転移点温度200℃)
からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
これらの耐熱性樹脂の中でも、ポリスチレン系樹脂との相溶性、耐熱性などの点からスチレン−メタクリル酸共重合体が好ましい。
【0026】
前記耐熱性樹脂は、単独で用いることもできるが、発泡成形体の製造容易性、得られる発泡成形体の機械強度、コスト等の点から、ポリスチレン系樹脂と混合して用いることが好ましい。
【0027】
前記耐熱性樹脂と混合するポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどのスチレン系単量体を重合させて得られる樹脂が挙げられる。さらに、ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体と、該スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては、ジビニルベンゼンのような多官能性単量体や、(メタ)アクリル酸ブチルのような構造中にベンゼン環を含まない(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが例示される。これら他の単量体は、実質的にポリスチレン系樹脂に対して5質量%を超えない範囲で使用してもよい。
【0028】
前記耐熱性樹脂と前記ポリスチレン系樹脂との配合比は、特に限定されず、製造する発泡成形体に要求される耐熱性などに応じて適宜変更可能である。例えば、高い耐熱性を有する発泡成形体を製造する場合には、耐熱性樹脂のみ、或いは耐熱性樹脂の量に対してポリスチレン系樹脂の量を少なく混合することで、高い耐熱性を有する発泡成形体を提供できる。一方、耐熱性に関する要求よりも、製造容易性やコストについての要求が強い場合には、耐熱性樹脂の量に対してポリスチレン系樹脂の量を多く混合することで、製造容易性やコストの点で優れた発泡成形体を提供することができる。
【0029】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子に用いる揮発性発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの炭素数3〜6の飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどのシクロオレフィンなどが挙げられる。
発泡性熱可塑性樹脂粒子中の揮発性発泡剤の含有割合は、1〜15質量%の範囲が好ましい。1質量%未満の場合には未発泡粒子が発生する場合があるので好ましくなく、15質量%を超える量は不必要である。より好ましい含有割合は、3〜10質量%である。
【0030】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子に用いる融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤としては、高級脂肪酸グリセリドや高級脂肪酸金属塩が挙げられ、具体的には炭素数が16以上の飽和脂肪酸のグリセリドや金属塩が好ましく、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、パルミチン酸ジグリセリド、パルミチン酸トリグリセリド、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。
【0031】
高級脂肪酸系滑剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.01〜1.0質量部の範囲で添加する。高級脂肪酸系滑剤の量が0.01質量部未満であると、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて発泡成形体を製造する際に、発泡粒子の伸びが悪くなり、得られる発泡成形体の表面状態が悪くなる。一方、高級脂肪酸系滑剤の量が1.0質量部を超えると、得られる発泡成形体の耐熱性が悪くなり、加熱変形し易くなる。
【0032】
得られる発泡成形体を建材用途や自動車用内装材などとして用いる場合、難燃剤は必須の成分として配合する。難燃剤としては、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)、ポリ臭素化ビフェニル(PBBs)、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3ジブロモ,2メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)などが挙げられる。
使用する難燃剤の分解開始温度は、210〜300℃の範囲が好ましい。難燃剤の分解開始温度が210℃未満であると、熱可塑性樹脂と共に押出機内に投入して加熱溶融する際に難燃剤が分解を起こし、得られる発泡成形体の難燃性が低下する。一方、難燃剤の分解開始温度が300℃を超えると、発泡成形体の燃焼時に難燃剤の分解が進みにくくなり、難燃性が低下する。この点から好ましい難燃剤としてはテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3ジブロモ,2メチルプロピルエーテル)が挙げられる。
【0033】
難燃剤は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、1〜10質量部となるように配合することが好ましく、2〜5質量部の範囲がより好ましい。難燃剤の量が1質量部未満であると、得られる発泡成形体の難燃性が不十分となる。一方、難燃剤の量が10質量部を超えると、得られる発泡成形体の耐熱性や成形性を悪化させる。
【0034】
また、前記難燃剤と共に、難燃助剤を配合することが好ましい。難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物の群から選択された1種または2種以上が挙げられる。好ましい難燃剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.5〜2.5質量部であり、1〜2質量部がより好ましい。
【0035】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子には、前述した各成分の他、必要に応じて、気泡調整剤、着色剤、無機充填材、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの発泡ポリスチレン製造分野で従来より周知の添加物が含まれていてもよい。
【0036】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の粒径は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、0.2〜5mmの粒径のものを使用することができる。
【0037】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面には各種の表面処理剤を塗布しておくことが好ましい。そのような表面処理剤としては、例えば加熱発泡時の予備発泡粒子の結合を防止する結合防止剤、成形時の融着促進剤、帯電防止剤、展着剤等が挙げられる。
結合防止剤としては、例えばタルク、炭酸カルシウム、シリカ、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルシリコン等が挙げられる。
融着促進剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
前記結合防止剤、成形時の融着促進剤、帯電防止剤、展着剤及び他の添加剤は、単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、前述した耐熱性樹脂を含む熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤とを押出機に投入して加熱溶融し、続いて該溶融樹脂材料に揮発性発泡剤を圧入して混合し、押出機先端に取り付けられた造粒用ダイスのノズルから水中に押し出すと同時にカットし、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする本発明に係る製造方法により製造することが好ましい。
【0039】
図1は、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す概略構成図である。
この製造装置Tは、造粒用ダイス1が先端に取り付けられた押出機2(樹脂供給装置)と、造粒用ダイス1のノズルから吐出される樹脂(本実施の形態では発泡剤含有樹脂20)を切断するカッター3が収容されるとともに、造粒用ダイス1の樹脂吐出面13に水流を接触させるためのチャンバー4とを備えている。チャンバー4には、循環する水などの冷却媒体(以下、水と記す)を流すための管路5が接続され、この管路5の一端(チャンバー4より上流側)が、送水ポンプ6を介して水槽7に接続されている。また、管路5の他端(チャンバー4より下流側)には、循環水から発泡性熱可塑性樹脂粒子を分離し、脱水・乾燥する脱水処理部8が設けられている。この脱水処理部8で分離され、脱水・乾燥した発泡性熱可塑性樹脂粒子は、容器9に送られるようになっている。そして、符号21はホッパー、22は発泡剤供給口、23は高圧ポンプである。
【0040】
この製造装置Tを用いて本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造するには、押出機2のホッパー21から、前述した耐熱性樹脂を含む熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤と、必要に応じて添加される添加剤とを押出機2に投入し、押出機2内で加熱溶融し、溶融樹脂を混練しながら造粒用ダイス1側に搬送し、その途中で前述した揮発性発泡剤を溶融樹脂中に圧入し、更に混練しながら該発泡剤含有樹脂を所定の押出温度に調温し、造粒用ダイス1のノズルから押し出す。
【0041】
ノズルから押し出された発泡剤含有樹脂は、ノズル出口側を囲むように設けられたチャンバー4内の水中に押し出され、急速に冷却されると同時に、カッター3によりカットされ、循環水により冷却されながら搬送され、脱水処理部8で循環水と分離されて発泡性熱可塑性樹脂粒子が得られる。
【0042】
この製造方法では、熱可塑性樹脂として揮発性有機化合物含量の少ない樹脂を用いることにより、モノマーが残留し易い懸濁重合法などの発泡ビーズ製造方法と比べて、揮発性発泡剤を除いた揮発性有機化合物含量の少ない発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。
【0043】
本発明は、前述した発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱して予備発泡させて得られた予備発泡粒子を提供する。
この予備発泡に用いる装置は、従来のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造の場合と同等とすることができる。例えば、予備発泡装置内で、水蒸気圧0.5〜4.0kg/cmG程度(約0.05〜0.4MPa)の雰囲気下、発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱することによって得ることができる。加熱時間は一般に20〜120秒程度である。
【0044】
この予備発泡粒子は、通常、嵩密度0.0166〜0.2g/cmを有する。好ましい嵩密度は0.02〜0.1g/cmである。より好ましくは、嵩密度は0.025〜0.05g/cmである。嵩密度が0.0166g/cmより小さいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の強度が低下するため好ましくない。一方、嵩密度が0.2g/cmより大きいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の質量が増加するので好ましくない。
また、この嵩密度を嵩発泡倍数で表すと、嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm)であることから、この予備発泡粒子は5〜60(倍)の嵩発泡倍数を有し、好ましい嵩発泡倍数は10〜50(倍)であり、より好ましい嵩発泡倍数は20〜40(倍)である。
【0045】
本発明は、前述した予備発泡粒子を型内発泡成形して得られた発泡成形体を提供する。
前述した予備発泡粒子を発泡成形体とするには、前述した予備発泡粒子を通常1〜5日間程度保持して熟成させ、その後、予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形させ、予備発泡粒子同士を融着一体化させることによって所望形状を有する発泡成形体を得ることができる。この型内発泡成形は、例えば、蒸気圧0.5〜4.5kg/cmG程度(約0.05〜0.45MPa)の水蒸気を成形型内に導入することによって行うことができる。
【0046】
本発明の発泡成形体は、通常、0.0166〜0.2g/cmの密度を有する。好ましくは、密度が0.02〜0.1g/cmであり、より好ましくは、密度が0.025〜0.05g/cmの範囲である。
該発泡成形体の密度が0.0166g/cmより小さいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の強度が低下するため好ましくない。一方、発泡成形体の密度が0.2g/cmより大きいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の質量が増加するので好ましくない。また、この密度を発泡倍数で示すと、発泡倍数(倍)=1/密度(g/cm)であることから、この発泡成形体は5〜60倍の発泡倍数を有し、好ましい発泡倍数は10〜50倍であり、より好ましい発泡倍数は20〜40倍である。
【0047】
本発明の発泡成形体は、JIS K 6767に準拠した100℃における加熱寸法変化率の絶対値が1.0%以下であることが望ましい。この寸法変化率の絶対値が1.0%を超えると、寸法の安定性に欠け好ましくない。
なお、加熱寸法変化率の絶対値は小さい程望ましいので、その下限値を特に設ける必要はない。例えば、その下限値は0であることが望ましい。
【0048】
本発明の発泡成形体は、揮発性発泡剤を除く揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であることが望ましい。近年、環境問題や、揮発性有機化合物によるアレルギーなどの問題から、密閉空間にて使用される部材に含まれる揮発分を所定量以下に下げる基準が設けられつつある。特に、住宅用途の部材や、自動車の内装材については、出来る限り揮発分を減らすように技術開発が進められている。本発明の発泡成形体は、揮発性発泡剤を除く揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下と低濃度とすることができるので、揮発性有機化合物の残留が問題となる分野、例えば、住宅用断熱材、自動車用内装材などの分野においても使用することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づき更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されることはない。
まず、実施例及び比較例により得られた発泡成形体の評価方法を以下に示す。
【0050】
<表面状態>
長さ400mm、幅300mm、厚み25mmの発泡成形体の表面全体について、「融け」の発生している発泡粒子数を数えた。
○:0〜5未満(融けがないか又は非常に少ない)
△:5〜10未満(融けが少々ある)
×:10以上(融けが多い)
【0051】
<ガラス転移点(Tg)>
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」記載の方法により測定した。即ち、示差走査熱量計装置DSC200型(セイコー電子工業(株)製)を用い測定容器に試料を10mg充てんして、窒素ガス流量30ml/minのもと20℃/minの昇温速度で220℃まで昇温し10分間保持後取り出し室温にて急冷する熱処理の後、窒素ガス流量30ml/minのもと10℃/minの昇温速度で220℃まで昇温しガラス転移温度を測定し中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
【0052】
<揮発性有機化合物の含有量>
試料0.2gを20mLバイアルにDEB(ジエチルベンゼン)入DMF(ジメチルホルムアミド)1mLで溶解し90℃×1hr加熱後Air層を採取し、これをガスクロマトグラフ GC−18A(島津製作所社製)、を用いて内部標準法により定量した。測定条件は、カラム DB−WAX(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm):J&W社製)、検出器:FID、カラム温度条件は50℃2分保持後100℃まで10℃/分で昇温し100℃5分保持後220℃まで40℃/分で昇温し220℃2分保持し、注入口温度(150℃),検出器温度(250℃),測定試料液注入量(2mL),スプリット比=70:1、カラム流量=1.6mL/min(He),ガス圧力=122kPaとした。
【0053】
<加熱寸法変化率>
長さ400mm、幅300mm、厚み25mmの平板形状の発泡成形体を成形金型から取り出し、温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室(JIS−K7100の標準温湿度状態)に24時間放置した後、この発泡成形体の中央部から上下面が平行で正方形状の平板(長さ150mm、巾150mm、厚み25mm)を切り出し、その中央部に縦及び横方向にそれぞれ互いに平行に3本の直線を50mm間隔になるように記入して、JIS−K6767に従う試験片とした。この試験片の寸法(加熱前寸法:L2)を測定した後、100℃に保った熱風循環式乾燥機の中に水平に置き、168時間加熱した後に取り出し、再び恒温恒湿室に1時間放置し、試験片の寸法(加熱後寸法:L2)を測定した。加熱試験の前後における寸法測定はJIS−K6767に従って行い、寸法変化率は次の式に従って求めた。
寸法変化率(%)=(L2−L1)×100/L1
(但し、L1は、型内成形後に23℃、相対湿度50%で24時間放置された発泡成形体から得られた試験片の寸法、L2は該成形体を100℃で168時間加熱した後の試験片の寸法である)
なお、寸法とは、発泡成形体から得られた試験片に記入した縦横それぞれ3本の直線の長さの平均値である。
【0054】
<燃焼試験>
JIS A 9511:1995「発泡プラスチック保温材」測定方法A記載の方法で測定した。
試験片は、試料から厚さ10mm長さ200mm幅25mmを5個切り出し、規定の着火限界指示線及び燃焼限界指示線を付ける。試験片を火源用ろうそくで着火限界指示線まで燃焼させた後、炎を後退させ、その瞬間から炎が消えるまでの時間(秒)を測定し、下記の基準で判断した。
○・・・5個の試験片すべてについて炎が3秒以内に消えると共に残塵がなく、燃焼限界指示線を越えて燃焼しなかった。
×・・・○の基準を満たさない、または自消性がなかった。
【0055】
[実施例1]
(発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造)
耐熱ポリスチレン系樹脂(Tg=120.5℃、東洋スチレン社製、スチレン−メタクリル酸共重合体、商品名「T−080」)とポリスチレン樹脂(Tg=100.5℃ 東洋スチレン社製、ポリスチレン、商品名「HRM−10N」)を質量比40:60で配合した熱可塑性樹脂100質量部に対して、ステアリン酸モノグリセライド0.02質量部、微粉末タルク0.3質量部を、予めタンブラーミキサーにて均一に混合したものを、時間当たり160kg/hrの割合で口径90mmの単軸押出機押出機内へ供給し、樹脂を加熱溶融させた後、発泡剤として樹脂100質量部に対して6質量部のペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20/80混合物)を押出機途中より圧入した。そして、押出機内で樹脂と発泡剤を混練しつつ、押出機先端部での樹脂温度が190℃となるように冷却しながら、押出機に連接しヒーターにより320℃に保持した、直径0.6mm、ランド長さ3.0mmのノズルを200個有する造粒用ダイスを通して、50℃の冷却水が循環するチャンバー内に押し出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する高速回転カッターをダイスに密着させて、毎分3000回転で切断し、脱水乾燥して球形の発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子は変形、ヒゲ等の発生もなく、平均粒径1.1mmであった。
【0056】
(発泡成形体の製造)
発泡性スチレン系樹脂粒子を15℃の保冷庫にて72時間に亘って放置した後、円筒型バッチ式予備発泡機に供給して、吹き込み圧0.1MPaの水蒸気により加熱して嵩発泡倍数40倍の予備発泡粒子を得た。
続いて、得られた予備発泡粒子を室温雰囲気下にて24時間に亘って放置した後、400mm×300mm×25mmの直方体形状のキャビティを有する成形型内に予備発泡粒子を充填した後、成形型のキャビティ内を水蒸気でゲージ圧0.9MPaの圧力でもって20秒間に亘って加熱し、しかる後、成形型のキャビティ内の圧力が0.15MPaになるまで冷却した後、成形型内から400mm×300mm×25mmの直方体形状の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.028g/cmであった。
【0057】
[実施例2]
発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造において、耐熱ポリスチレン系樹脂とポリスチレン樹脂との質量比を60:40に変更したこと、ステアリン酸モノグリセライドの配合量を1.0質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子及び発泡成形体を製造した。
【0058】
[実施例3]
発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造において、耐熱ポリスチレン系樹脂を100質量部とし、ポリスチレン樹脂を配合しないこと、ステアリン酸モノグリセライドの配合量を0.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子及び発泡成形体を製造した。
【0059】
[実施例4]
発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造において、ステアリン酸モノグリセライドの配合量を0.5質量部としたこと、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3ジブロモ,2メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬社製、商品名「SR130」)を3.0質量部配合したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子及び発泡成形体を製造した。
【0060】
[比較例1]
発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造において、ステアリン酸モノグリセライドを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子及び発泡成形体を製造した。
【0061】
[比較例2]
発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造において、ポリスチレン樹脂を100質量部とし、耐熱ポリスチレン系樹脂を配合しないこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子及び発泡成形体を製造した。
【0062】
[比較例3]
発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造において、ステアリン酸モノグリセライドの配合量を1.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子及び発泡成形体を製造した。
【0063】
前記実施例1〜4、比較例1〜3でそれぞれ作製した発泡成形体について、前述した表面状態、ガラス転移点、揮発性有機化合物、加熱寸法変化率、燃焼性の試験・評価を行った。その結果を表1にまとめて記す。
【0064】
【表1】

【0065】
表1の結果から、本発明に係る実施例1〜4で得られた発泡成形体は、耐熱ポリスチレン系樹脂を含む熱可塑性樹脂に、該熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤を加えたことによって、得られた発泡成形体は、発泡粒子の伸びが良好になり、表面状態に優れた美麗な発泡成形体が得られた。
この実施例1〜4で得られた発泡成形体は、いずれもガラス転移点が120℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂からなり、加熱寸法変化率の絶対値が1.0%以下であるものなので、熱湯などの保温用断熱材や電子レンジ加熱調理用容器などの高温物用保温断熱材として十分に利用可能であった。
また、この実施例1〜4で得られた発泡成形体は、揮発性有機化合物の含有量が200ppm程度と少なくなり、揮発性有機化合物の残留が問題となる分野、例えば、住宅用断熱材、自動車用内装材などの分野においても使用することができる。
さらに、難燃剤を加えた実施例4で得られた発泡成形体は、良好な難燃性を示し、難燃性が求められている分野、例えば、住宅用断熱材、自動車用内装材などの分野においても使用することができる。
【0066】
一方、高級脂肪酸系滑剤を添加していない比較例1で得られた発泡成形体は、発泡粒子の伸びが悪くなり、実施例1の発泡成形体と比べて表面状態が悪かった。
また、熱可塑性樹脂として、耐熱性ポリスチレン系樹脂を用いずに、通常のポリスチレン系樹脂のみとした比較例2で得られた発泡成形体は、樹脂のガラス転移点が101.7℃と低く、加熱寸法変化率が−15.7%と大きくなることから、熱湯などの保温用断熱材や電子レンジ加熱調理用容器などの高温物用保温断熱材としては使用できない。
また、高級脂肪酸系滑剤を本発明の上限値よりも多い1.5質量部添加した比較例3で得られた発泡成形体は、表面状態がやや悪く、加熱寸法変化率もやや高くなった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、耐熱性、断熱性に優れ、さらに環境適合性に優れた発泡成形体を製造するのに好適な発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。本発明の発泡成形体は、例えば、住宅用断熱材、高温物用保温断熱材などとして利用される。
【符号の説明】
【0068】
1…造粒用ダイス、2…押出機、3…カッター、4…チャンバー、5…管路、6…送水ポンプ、7…水槽、8…脱水処理部、9…容器、21…ホッパー、22…発泡剤供給口、23…高圧ポンプ、T…製造装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DSC法によって測定されるガラス転移点温度が110℃以上の耐熱性樹脂、又は該耐熱性樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂からなる熱可塑性樹脂に揮発性発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、
前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤0.01〜1.0質量部を含有させたことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂中に、さらに難燃剤を1〜10質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子。
【請求項3】
前記耐熱性樹脂が、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体からなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱して予備発泡させて得られた予備発泡粒子。
【請求項5】
請求項4に記載の予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、型内発泡成形して得られた発泡成形体。
【請求項6】
100℃における加熱寸法変化率の絶対値が1.0%以下であることを特徴とする請求項5に記載の発泡成形体。
【請求項7】
発泡成形体中の前記揮発性発泡剤を除く揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の発泡成形体。
【請求項8】
DSC法によって測定されるガラス転移点温度が110℃以上の耐熱性樹脂、又は該耐熱性樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂からなる熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の融点が65℃以上の高級脂肪酸系滑剤とを押出機に投入して加熱溶融し、続いて該溶融樹脂材料に揮発性発泡剤を圧入して混合し、押出機先端に取り付けられたダイの孔から水中に押し出すと同時にカットし、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂中に、さらに難燃剤を1〜10質量%含むことを特徴とする請求項8に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【請求項10】
前記耐熱性樹脂が、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体からなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項8又は9に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−229205(P2010−229205A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75762(P2009−75762)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】