発熱機器の冷却構造
【課題】 複数の発熱機器を集中的に効率よく冷却できるようにして、発熱機器冷却構造の体格の小型化を図る。
【解決手段】 電池16、直流電圧変換器19、20、およびリレー等の電装品21を板状に形成するとともに、これらの複数の発熱機器(16、19〜21)を板厚方向に積層配置し、これら複数の発熱機器(16、19〜21)相互間に冷却通路24、27、32を構成し、この冷却通路24、27、32を通過する冷却流体により複数の発熱機器(16、19〜21)を冷却する。
【解決手段】 電池16、直流電圧変換器19、20、およびリレー等の電装品21を板状に形成するとともに、これらの複数の発熱機器(16、19〜21)を板厚方向に積層配置し、これら複数の発熱機器(16、19〜21)相互間に冷却通路24、27、32を構成し、この冷却通路24、27、32を通過する冷却流体により複数の発熱機器(16、19〜21)を冷却する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発熱機器を集中的に効率よく冷却する発熱機器の冷却構造に関するもので、具体的には、車両に搭載される電池(バッテリ)、直流電圧変換器(DC−DCコンバータ)、リレー等を含む電装品といった電気発熱機器の冷却に適用するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には電気自動車用バッテリシステムにおいて、バッテリの冷却ファンを利用して、電装品および電子制御ユニットを冷却できるようにしたものが提案されている。具体的には、バッテリ冷却用の空冷回路に冷却空気を送風するファンを設けるとともに、この空冷回路に、バッテリ充放電電流を検出する電装品と、バッテ残存容量を計算するマイコンを含む電子制御ユニットを配置し、これらの電装品および電子制御ユニットをファンの送風空気により冷却している。
【特許文献1】特開2002−84604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、バッテリ、電装品および電子制御ユニットの三者を単純にブロック状の形態で空冷回路中に配置しているだけであるので、これら機器と冷却空気との伝熱面積が減少する。そのため、単位容積あたりの冷却性能がどうしても低くなってしまう。また、外形状の異なる種々な機器をそのまま空冷回路中に配置しているので、スペース的な無駄が発生し、冷却構造全体の体格が大きくなってしまう。
【0004】
本発明は、上記点に鑑み、複数の発熱機器を集中的に効率よく冷却できるようにして、発熱機器冷却構造の体格の小型化を図ることを目的とする。
【0005】
また、本発明は、耐久寿命確保のための管理温度が低い発熱機器と、この管理温度が高い発熱機器とを同一の冷却流体で冷却するに当たり、管理温度が高い発熱機器の冷却を良好に行うことを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、板状に形成された複数の発熱機器(16、19〜21)を有し、
前記複数の発熱機器(16、19〜21)は所定間隔を介して板厚方向に積層配置され、前記所定間隔の部分に冷却通路(24、27、32)が構成され、
前記冷却通路(24、27、32)を通過する冷却流体により前記複数の発熱機器(16、19〜21)が冷却されるようにしたことを特徴としている。
【0007】
これによると、発熱機器(16、19〜21)が板状であるから、発熱機器の容積当たりの伝熱面積を大きくすることができ、しかも、板状の発熱機器を積層配置して発熱機器相互間に冷却通路(24、27、32)を構成するから、複数の発熱機器と複数の冷却通路とをコンパクトに配置できる。その結果、必要冷却性能を確保するための発熱機器冷却構造の体格を効果的に小型化できる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、板状に形成された複数の発熱機器(16、19〜21)と、
前記板状の発熱機器(16、19〜21)を収容する扁平状の機器収容空間(55)および扁平状の冷却通路(24、27、32)を前記発熱機器(16、19〜21)の板厚方向に交互に形成する熱交換部材(51、52)とを有し、
前記冷却通路(24、27、32)を通過する冷却流体により前記熱交換部材(51、52)を介して前記発熱機器(16、19〜21)の板状の両面が冷却されるようにしたことを特徴とする。
【0009】
これによると、熱交換部材(51、52)を介して発熱機器(16、19〜21)の板状の両面冷却構造を構成するから、必要冷却性能を確保するための発熱機器冷却構造の体格をより一層効果的に小型化できる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発熱機器の冷却構造において、前記発熱機器(16、19〜21)は電気機器であり、前記発熱機器(16、19〜21)と前記熱交換部材(51、52)の壁面との間に電気絶縁部材(56)が介在されていることを特徴とする。
【0011】
これによると、発熱機器(16、19〜21)と熱交換部材(51、52)との間の電気絶縁を確実に行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の発熱機器の冷却構造において、前記発熱機器(16、19〜21)と前記熱交換部材(51、52)とを圧接させる方向のばね力を発生するばね手段(61)を有することを特徴とする。
【0013】
これによると、発熱機器(16、19〜21)と熱交換部材(51、52)とをばね力にて確実に圧接させることができ、発熱機器(16、19〜21)から熱交換部材(51、52)への熱伝達を良好に行うことができ、冷却性能を向上できる。
【0014】
請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記複数の発熱機器(16、19〜21)を1つのケース(17、18)内に一体に収容すれば、複数の発熱機器の冷却構造を1ユニットとして構成できる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記複数の板状の発熱機器(16、19〜21)は互いに種類が異なるものであり、
前記種類が異なる複数の発熱機器(16、19〜21)が略同一の板状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
これによると、種類が異なる複数の発熱機器の外形状を揃えて、発熱機器冷却構造の全体形状をより一層小型化できる。
【0017】
請求項7に記載の発明のように、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記複数の発熱機器(16、19〜21)として、耐久寿命確保のための管理温度が低い第1の発熱機器(16)と、前記第1の発熱機器(16)よりも管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)とを包含するようにしてよい。
【0018】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器(16)と、前記第2の発熱機器(19〜21)との間に、前記両発熱機器(16、19〜21)よりも断熱性に優れた発熱機器代替部材(62)が介在されていることを特徴とする。
【0019】
これによると、発熱機器代替部材(62)の介在によって第2の発熱機器(19〜21)から第1の発熱機器(16)への熱移動を抑制して、第1の発熱機器(16)の冷却効果を向上できる。
【0020】
請求項9に記載の発明では、請求項7または8に記載の発熱機器の冷却構造において、前記冷却流体の流れ方向の上流側に前記第1の発熱機器(16)が配置され、
前記第1の発熱機器(16)の下流側に前記第2の発熱機器(19〜21)が配置されることを特徴とする。
【0021】
これによると、管理温度が低い第1の発熱機器(16)と管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)の双方において冷却流体との温度差を確保できる。そのため、管理温度の差がある第1、第2の発熱機器を双方とも良好に冷却できる。
【0022】
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)の通路数に比較して、前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)の通路数が少ないことを特徴とする。
【0023】
これによると、第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)を通過した冷却流体を合流して第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)に流入させることができる。このため、第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)における冷却流体の流量を第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)における冷却流体の流量よりも増加して、管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)の冷却性能を増大できる。
【0024】
請求項11に記載の発明では、請求項7ないし10のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)を通過する冷却流体の流速よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)を通過する冷却流体の流速を高くする流速変更手段を有することを特徴とする。
【0025】
これによると、管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)側では冷却流体の流速を高くすることにより、熱伝達率を向上して冷却性能を確保できる。
【0026】
請求項12に記載の発明では、耐久寿命確保のための管理温度が低い第1の発熱機器(16)と、前記第1の発熱機器(16)よりも管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)とを有し、
前記第1の発熱機器(16)および前記第2の発熱機器(19〜21)を同一の冷却流体にて冷却するに当たり、前記第1の発熱機器(16)の周囲を通過する冷却流体の流速よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の周囲を通過する冷却流体の流速を高くする流速変更手段を有することを特徴とする。
【0027】
これによると、管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)側では冷却流体の流速を高くすることにより、熱伝達率を向上して冷却性能を確保できる。
【0028】
請求項13に記載の発明では、請求項11または12に記載の発熱機器の冷却構造において、前記流速変更手段は、前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)の総通路断面積よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)の総通路断面積を小さくすることにより構成されることを特徴とする。
【0029】
これによると、流速変更手段として特別の手段を追加することなく、冷却通路の総通路断面積の設定により流速変更手段を簡単に構成できる。
【0030】
請求項14に記載の発明では、請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器は車載の電池(16)であり、前記第2の発熱機器は車載の直流電圧変換器(19、20)であり、前記冷却流体は冷却水であることを特徴とする。
【0031】
これによると、水冷方式にて車載の電池(16)および車載の直流電圧変換器(19、20)を冷却できる。
【0032】
請求項15に記載の発明では、請求項14に記載の発熱機器の冷却構造において、前記冷却水が循環する発熱機器冷却水回路(C)に、空気により前記冷却水を冷却する発熱機器用ラジエータ(13)および前記冷却水を冷凍サイクル(B)の冷媒により冷却する水冷媒熱交換器(37)の少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0033】
これによると、発熱機器用ラジエータ(13)または水冷媒熱交換器(37)を用いて発熱機器の冷却水を冷却できる。
【0034】
請求項16に記載の発明では、請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器は車載の電池(16)であり、前記第2の発熱機器は車載の直流電圧変換器(19、20)であり、前記冷却流体は空気であることを特徴とする。
【0035】
これによると、空冷方式にて車載の電池(16)および車載の直流電圧変換器(19、20)を冷却できる。
【0036】
請求項17に記載の発明のように、請求項16に記載の発熱機器の冷却構造において、記空気を車室内空気にすれば、夏期の高外気温時においても車室内の冷房された低温空気を用いて車載の電池(16)および車載の直流電圧変換器(19、20)を良好に冷却できる。
【0037】
請求項18に記載の発明では、請求項14ないし17のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記電池(16)および前記直流電圧変換器(19、20)を包含する冷却ユニット(14、15)が車両のシート(57)の下方部に搭載されることを特徴とする。
【0038】
これによると、車両のシート(57)下方部の空間を有効利用して冷却ユニット(14、15)を省スペースで車両に搭載できる。
【0039】
請求項19に記載の発明のように、請求項14または15に記載の発熱機器の冷却構造において、前記冷却水を熱源として車両のシート(57)を加熱するシート用放熱器(75)を備えれば、発熱機器の冷却水を利用して車両のシート暖房機能を発揮できる。
【0040】
請求項20に記載の発明では、請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造が、エンジン冷却水回路(A)を備える車両に搭載されるようになっており、
前記冷却流体は冷却水であり、前記第1の発熱機器(16)および前記第2の発熱機器(19〜21)を通過して温度上昇した前記冷却水を前記エンジン冷却水回路(A)に流入させるように冷却水流路を切り替える流路切替手段(34)を備えることを特徴とする。
【0041】
これによると、第1、第2の発熱機器(16、19〜21)側の発熱を利用して、エンジン冷却水回路(A)側の水温上昇を促進して、車両エンジンの暖機促進、車両の温水熱源暖房の立ち上げ促進といった効果を発揮できる。
【0042】
請求項21に記載の発明では、請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記冷却流体は冷却水であり、前記第2の発熱機器(19〜21)を通過して温度上昇した前記冷却水を前記第1の発熱機器(16)側へ直接戻すように冷却水流路を切り替える流路切替手段(34)を備えることを特徴とする。
【0043】
これによると、管理温度の高い第2の発熱機器(19〜21)の発熱を利用して管理温度の低い第1の発熱機器(16)の温度を適正温度域まで短時間で上昇させることができる。例えば、第1の発熱機器(16)が電池であれば、冬期の低外気温時に電池(16)の温度を電池効率のよい適正温度域に短時間で上昇させることができる。
【0044】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態の全体システム構成図であり、第1実施形態はエンジン(内燃機関)1と、図示しない電動モータの両方を駆動源として走行するハイブリッド車に本発明を適用した例を示す。
【0046】
第1実施形態のシステム構成は、エンジン1の冷却水回路Aと、車両空調用冷凍サイクルBと、発熱機器冷却水回路Cとに大別される。
【0047】
エンジン1の冷却水回路Aは周知の構成であり、エンジン1により回転駆動されるウォータポンプ2を有し、このウォータポンプ2の作動によりエンジン1の冷却水回路Aに冷却水を循環する。
【0048】
ウォータポンプ2の吸入側に冷却水温度応動弁をなすサーモスタット3が配置され、一方、エンジン1の冷却水出口側にラジエータ4とバイパス通路5が並列に設けられている。また、エンジン1の冷却水出口側とウォータポンプ2の吸入側との間にエンジン冷却水を熱源として車室内吹出空気を加熱する暖房用ヒータコア6が設けられている。
【0049】
サーモスタット3は、周知のごとくサーモワックス(感温部材)の温度による体積変化を利用して弁体を変位させて、ラジエータ2側の冷却水通路を開閉する。具体的には、冷却水温度が80℃付近の所定温度まで上昇すると、サーモスタット3はラジエータ4の出口側冷却水通路を開口する。
【0050】
車両空調用冷凍サイクルBは圧縮機7と、凝縮器8と、膨張弁等の減圧器9と、蒸発器10とを有する周知の構成である。圧縮機7は電動モータにより回転駆動される電動圧縮機、またはエンジン1により回転駆動される圧縮機で構成される。
【0051】
蒸発器10とヒータコア6は、車両用空調装置の室内空調ユニット11の通風路内に配置され、空調用電動送風機12の送風空気(内気または外気)と熱交換するようになっている。
【0052】
次に、発熱機器冷却水回路Cには発熱機器用ラジエータ13が設けられている。この発熱機器用ラジエータ13は冷凍サイクルBの凝縮器8の空気流れ上流部に配置され、エンジン用ラジエータ4は凝縮器8の空気流れ下流部に配置されている。これらの三者13、8、4は共通の電動冷却ファン14の送風空気によって冷却される。
【0053】
本実施形態では、発熱機器冷却水回路Cの中に2つの発熱機器用冷却ユニット14、15が配置されている。第1発熱機器用冷却ユニット14は電池16の冷却専用のユニットであり、これに対し、第2発熱機器用冷却ユニット15は、電池16と、直流電圧変換器(DC−DCコンバータ)19、20と、リレー等を含む電装品21とを集中配置して一括冷却するものである。
【0054】
なお、電池16は充電可能な二次電池(バッテリ)であり、例えば、リチウム電池にて構成される。図1に図示するように電池16は多数個用いられ、この多数の電池16を電気的に直列接続して、所定の高電圧(例えば、300V)を発生する。従って、電池16は、多数の電池の組み合わせからなる組電池の単位電池を構成する。
【0055】
第1、第2発熱機器用冷却ユニット14では、ケース17、18内に板状に形成した電池16を冷却水流れ方向aと直交方向に所定間隔を介して多数個積層配置し、この積層配置の電池16群を冷却水流れ方向aに2段にわたって設けている。
【0056】
第2発熱機器用冷却ユニット15では、ケース18内に板状の電池16群の他に、板状の直流電圧変換器(DC−DCコンバータ)19、20と、板状の電装品21とを集中配置している。
【0057】
なお、第1直流電圧変換器19は降圧用であり、例えば、300Vを12vに降圧する。第2直流電圧変換器20は昇圧用であり、例えば、300Vを600vに昇圧する。電装品21は一般にジャンクションボックスと称され、システムメインリレー等を含むものである。
【0058】
第1発熱機器用冷却ユニット14のケース17内の一端側に入口通路部22が、他端側に出口通路部23がそれぞれ形成される。入口通路部22には入口パイプ22aから冷却水が流入する。入口通路部22と出口通路部23間に電池16の相互間に位置する扁平状の冷却通路24が多数個並列に形成される。
【0059】
第2発熱機器用冷却ユニット15のケース18内の一端側に入口通路部25が、他端側に中間折り返し通路部26がそれぞれ形成される。この両通路部25、26間に電池16の相互間に位置する扁平状の冷却通路27が多数個並列に形成される。
【0060】
第1発熱機器用冷却ユニット14内の入口通路部22は接続ホース28を介して第2発熱機器用冷却ユニット15内の入口通路部25に接続される。また、第1発熱機器用冷却ユニット14内の出口通路部23は接続ホース29を介して第2発熱機器用冷却ユニット15内の中間折り返し通路部26に接続される。
【0061】
従って、第1発熱機器用冷却ユニット14内の多数の冷却通路24を冷却水が矢印aのように並列に流れるとともに、第2発熱機器用冷却ユニット15内の多数の冷却通路27を冷却水が矢印bのように並列に流れる。
【0062】
第2発熱機器用冷却ユニット15では、互いに隣接する入口通路部25と出口通路部30との間に仕切部31を設けている。直流電圧変換器19、20と電装品21は、出口通路部30と中間折り返し通路部26の出口側部分との間に配置されている。出口通路部30には冷却水の出口パイプ30aが接続されている。直流電圧変換器19、20と電装品21の相互間にも扁平状の冷却通路32が複数個並列に形成される。
【0063】
これにより、第2発熱機器用冷却ユニット15では、冷却通路27を通過した冷却水、および第1発熱機器用冷却ユニット14内の冷却通路24を通過した冷却水が中間折り返し通路部26に流入する。従って、この中間折り返し通路部26にて第1、第2の両冷却ユニット14、15の冷却通路24、27の冷却水が合流し、この合流後の冷却水が複数の冷却通路32を矢印dのように並列に流れる。
【0064】
ここで、直流電圧変換器19、20および電装品21を冷却する複数の冷却通路32の通路断面積の総和は、電池16側の冷却通路24、27の通路断面積の総和よりも十分小さく設定してある。これにより、冷却通路32における冷却水の流速を電池側冷却通路24、27における冷却水の流速よりも十分高くすることができる。
【0065】
発熱機器冷却水回路Cのうち、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側に電動式のウォータポンプ33を配置し、このウォータポンプ33の作動により発熱機器冷却水回路Cに冷却水を循環する。
【0066】
ウォータポンプ33の吐出側には冷却水流路切替手段をなすサーモスタット34が配置されている。このサーモスタット34は第1連絡通路35を介してエンジン冷却水回路Aのうちヒータコア6の入口側に接続される。
【0067】
サーモスタット34はエンジン1側のサーモスタット3と同様の冷却水温度応動弁であり、サーモワックス(感温部材)の温度による体積変化を利用して弁体を変位させて、第1連絡通路35を開閉する。
【0068】
具体的には、サーモスタット34はウォータポンプ33の吐出側と発熱機器用ラジエータ13との間を常時連通状態に維持している。そして、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側冷却水温度が所定温度(例えば、65℃)に上昇するまではサーモスタット34の弁体が第1連絡通路35を開口している。これに対し、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側冷却水温度が所定温度以上に上昇すると、サーモスタット34の弁体が第1連絡通路35を閉塞する。
【0069】
また、エンジン冷却水回路Aと発熱機器冷却水回路Cとによる閉回路を構成するために、第2連絡通路36により両回路A、Cの間を接続している。具体的には、エンジン冷却水回路Aのヒータコア6の出口側と発熱機器冷却水回路Cの発熱機器用ラジエータ13の出口側との間を第2連絡通路36により接続している。
【0070】
発熱機器冷却水回路Cのうち、発熱機器用ラジエータ13の冷却水出口側と第1発熱機器用冷却ユニット14との間には水冷媒熱交換器37が配置されている。この水冷媒熱交換器37は空調用冷凍サイクルBの低温冷媒により発熱機器冷却水回路Cの冷却水を冷却するもので、例えば、冷媒通路と冷却水通路とを2重管により構成したものである。
【0071】
水冷媒熱交換器37の冷媒入口部には、冷媒通路を開閉する電磁弁38aと高圧冷媒を減圧する減圧器38bとを一体化した弁装置38が配置されている。ここで、減圧器38bは、電磁弁38aの入口通路または出口通路に一体形成したオリフィス等の固定絞りで構成できる。弁装置38と水冷媒熱交換器37は、空調用冷凍サイクルBの減圧器9と蒸発器10に対して並列接続されている。
【0072】
第1発熱機器用冷却ユニット14の入口側水温を検出する水温センサ39の検出信号が制御装置40に入力され、水温が所定温度(例えば、50〜60℃程度)以上に上昇すると、制御装置40により弁装置38の電磁弁38aが開弁するようになっている。ウォータポンプ33、冷却ファン14等の作動も制御装置40により制御される。
【0073】
次に、第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15の具体的熱交換器構造を図2により説明すると、図2は第1発熱機器用冷却ユニット14の熱交換器構造の一部を拡大図示する断面図であって、金属薄板材からなる熱交換板部材51、52は互いの接合面Sに対して外側へ凸状に突き出した断面形状を持つように成形されている。
【0074】
そのため、2枚の熱交換板部材51、52を接合面Sにて最中状に接合すると、2枚の熱交換板部材51、52の内側に図1の冷却通路24を形成できる。
【0075】
各熱交換板部材51、52の長手方向(冷却水流れ方向a)の両端部付近にそれぞれ連通穴51a、51b、52a、52bを開けて、この連通穴51a、51b、52a、52b相互間を入口側管状体53、出口側管状体54により接続するようになっている。これにより、入口側管状体53の内側に図1の入口通路部22を形成し、出口側管状体54の内側に図1の出口通路部23を形成できる。
【0076】
入口側管状体53および出口側管状体54の軸方向の中央部には径外方側へ膨出する蛇腹形状部53a、54aが一体成形されている。この蛇腹形状部53a、54aは、両管状体53、54の軸方向への弾性変形を容易にするためのものである。
【0077】
熱交換板部材51、52、および両管状体53、54および入口パイプ22a等は、いずれも熱伝導性に優れた金属、具体的にはアルミニウムで成形され、熱交換板部材51、52相互間の接合、熱交換板部材51、52と両管状体53、54との間の接合、および入口パイプ22aの接合等をろう付けで行うようになっている。このろう付けは、熱交換器構成を仮組み付けした後に、その仮組み付け体をろう付け加熱炉内に搬入して各接合部を同時に一体ろう付けすることができる。
【0078】
このように一体に接合された熱交換器構造においては、2枚の熱交換板部材51、52の外側面と、入口側管状体53および出口側管状体54との間に、冷却通路24の長手方向(冷却水流れ方向a)に延びる扁平状の機器収容空間55が形成される。
【0079】
そこで、この機器収容空間55内にそれぞれ板状に形成された電池16を収容している。ここで、板状の電池16の表裏両面と、熱交換板部材51、52の外側面(空気側面)との間には電気絶縁のための薄板状の絶縁部材56が配置されている。絶縁部材56の材質は高度の電気絶縁性が得られるセラミック系の絶縁材が好適である。
【0080】
そして、電池16と熱交換板部材51、52との間の熱伝達効率を高めるために、板状の電池16は薄板状の絶縁部材56を介在して熱交換板部材51、52の外側面相互間に圧接状態で挿入される。この電池16の圧接状態は、両管状体53、54に設けた蛇腹形状部53a、54aの弾性変形によって保持できる。
【0081】
なお、図2では、電池16を冷却水流れ方向aに1個のみ配置する例を図示しているが、電池16を図1のように熱交換板部材51、52の外側面相互間において冷却水流れ方向aに2個直列に配置してもよいことはもちろんである。
【0082】
以上、図2では第1発熱機器用冷却ユニット14の熱交換器構造の具体例について説明したが、第2発熱機器用冷却ユニット15における電池16部分の熱交換器構造も図2と同じでよい。そこで、図2では第2発熱機器用冷却ユニット15側の要素の符号を対応する第1発熱機器用冷却ユニット14側の要素の符号の括弧内に併記している。
【0083】
また、第2発熱機器用冷却ユニット15における第1直流電圧変換器19、第2直流電圧変換器20および電装品21における熱交換器構造も基本的には図2と同じでよく、両管状体53、54の軸方向寸法(機器収容空間55の厚み寸法)の変更、あるいは冷却通路32(図1)の通路断面積を冷却通路24、27に対して変更する等の対応を行うだけでよい。
【0084】
図3は第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15の車両搭載位置を例示するもので、車両のシート57の下方で、車両床板58の上面部に第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15を搭載する例を示している。第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15にはカーペット59を被せている。第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15に対する冷却水配管60a、60bは車両床下側から床板58を貫通して車室内側の冷却ユニット14、15に接続される。
【0085】
なお、図3では車両床板58の上面部(車室内側)に第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15を搭載しているが、第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15を車両床板58の下方側(床下)に搭載してもよい。
【0086】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。車両操作スイッチ(図示せず)が車両エンジン1の作動位置に操作されているときは、制御装置40によりウォータポンプ33に通電し、このウォータポンプ33を作動させる。
【0087】
ここで、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側冷却水温度が所定温度(例えば、 65℃)に上昇するまではサーモスタット34の弁体が第1連絡通路35を開口するので、発熱機器冷却水回路Cとエンジン冷却水回路Aとの間は連通している。
【0088】
一方、弁装置38に一体化された電磁弁38aは、水温センサ39により検出される、第1発熱機器用冷却ユニット14の入口側水温が所定温度(例えば、30〜40℃程度)以上に上昇するまでは閉弁状態を維持する。このため、水冷媒熱交換器37の冷媒通路に冷凍サイクルBの冷媒が流れない。従って、冷却水は水冷媒熱交換器37を単に通過するのみで、冷却されない。
【0089】
これにより、ウォータポンプ33が圧送する冷却水の大部分が、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側からサーモスタット34→第1連絡通路35→ヒータコア6→第2連絡通路36→水冷媒熱交換器37→第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15の経路で流れ、発熱機器用ラジエータ13には少量の冷却水が循環するのみである。
【0090】
そのため、発熱機器冷却水回路Cの第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15で吸熱して温度上昇した冷却水は、ヒータコア6の入口部でエンジン冷却水回路Aの冷却水と混合してエンジン冷却水回路Aの冷却水温度の上昇を促進できる。従って、冬期の寒冷時には、車両エンジン1の暖機促進、およびヒータコア6による車室内暖房の立ち上げの促進(即効暖房)といった効果を発揮できる。
【0091】
そして、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側冷却水温度が上記所定温度まで上昇すると、サーモスタット34の弁体が第1連絡通路35を閉塞するので、発熱機器冷却水回路Cとエンジン冷却水回路Aとの連通が遮断される。そのため、発熱機器冷却水回路Cの冷却水の全量が発熱機器用ラジエータ13に循環し、ここで、冷却される。
【0092】
一方、夏期の高外気温時のように、発熱機器用ラジエータ13の冷却性能が低下して、ラジエータ13の出口側冷却水温度、換言すると、第1発熱機器用冷却ユニット14の入口側冷却水温度(水温センサ39の検出温度)が所定温度(例えば、50〜60℃程度)以上に上昇すると、制御装置40により弁装置38の電磁弁38aに通電され、この電磁弁38aが開弁する。
【0093】
すると、弁装置38の減圧器38bにて減圧された低圧冷媒が水冷媒熱交換器37の冷媒通路に流入して冷却水から吸熱して蒸発するので、水冷媒熱交換器37の冷却水通路の冷却水を低圧冷媒にて積極的に冷却できる。そのため、夏期の高外気温時にも、電池16等の発熱機器の管理温度が異常に上昇することをを回避できる。
【0094】
次に、第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15における冷却作用を説明すると、発熱機器用ラジエータ13あるいは水冷媒熱交換器37で冷却されされた低温冷却水は、第1発熱機器用冷却ユニット14の冷却通路24と第2発熱機器用冷却ユニット15の冷却通路27を並列に流れ、その後に、この並列の冷却水流れが合流して冷却通路32を通過する。
【0095】
この冷却水流れによって、電池16、第1、第2直流電圧変換器19、20および電装品21を冷却する。ここで、第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15における熱交換器構造は、各発熱機器(電池16、第1、第2直流電圧変換器19、20および電装品21)をそれぞれ板状に形成し、その板形状の表裏両面に冷却通路24、27、32を形成して、各発熱機器を表裏両面から冷却するようにしている。換言すると、複数の板状の発熱機器に対する両面冷却の熱交換器構造を採用しているから、各発熱機器の冷却のための伝熱面積を効果的に増大でき、各発熱機器の冷却性能を有効に発揮できる。
【0096】
また、電池16の管理温度に比較して、第1、第2直流電圧変換器19、20および電装品21の管理温度の方が高い。ここで、管理温度とは各発熱機器を所定の使用期間の耐久寿命を確保するための上限温度であって、電池16の管理温度は例えば、50℃付近である。これに対し、第1、第2直流電圧変換器19、20の管理温度は例えば、85〜90℃付近である。また、電装品21の管理温度は第1、第2直流電圧変換器19、20と同程度である。
【0097】
そこで、冷却水流れの上流側に各電池16の冷却通路24、27を配置し、冷却水流れの下流側に第1、第2直流電圧変換器19、20および電装品21の冷却通路32を配置している。これにより、電池16と冷却水との温度差、および第1、第2直流電圧変換器19、20、電装品21と冷却水との温度差を双方とも大きくできるので、管理温度の差がある複数の発熱機器をいずれも管理温度以内に冷却できる。
【0098】
また、電池16の多数の冷却通路24、27を並列に通過した冷却水を合流させ、その合流冷却水を直流電圧変換器19、20部分の少数の冷却通路32に流すとともに、冷却通路32の総通路断面積を冷却通路24、27の総通路断面積より小さくしているので、冷却通路32では電池側の冷却通路24、27に比較して冷却水の流速が上昇して、冷却水の流れが乱れることにより水側熱伝達率を向上できる。
【0099】
これと同時に、少数の冷却通路32では電池側の冷却通路24、27に比較して通路1つ当たりの冷却水流量も増加する。以上の結果、冷却水流れの下流側に位置する、管理温度の高い直流電圧変換器19、20および電装品21を良好に冷却できる。
【0100】
ところで、本実施形態によると、複数の種類の異なる発熱機器である電池16、直流電圧変換器19、20、および電装品21をすべて同一の板形状、具体的には、矩形の板形状に揃えて、これらの板形状の発熱機器を積層配置するとともに、板形状の発熱機器の表裏両面を冷却する両面冷却型の熱交換器構造にしているから、複数の種類の異なる発熱機器を集中的に効率よく冷却でき、発熱機器冷却構造の体格を効果的に小型化できる。
【0101】
さらに、冷却水流れ方向aに直列配置した2枚の電池16の合計平面面積と、冷却水流れ方向bに直列配置した2枚の電池16の合計平面面積と、直流電圧変換器19、20の平面面積と、電装品21の平面面積はほぼ同一に設計してあるので、2つの冷却ユニット14、15の体格を無駄なくコンパクトに設計できる。
【0102】
このような発熱機器冷却構造の小型化のために、本実施形態では電池16の板形状の厚さは12mm以下とし、直流電圧変換器19、20の板形状の厚さは30mm以下とし、電装品21の板形状の厚さは50mm以下としている。
【0103】
なお、図1の例では、冷却ユニットを第1発熱機器用冷却ユニット14と第2発熱機器用冷却ユニット15とに分割して構成しているが、例えば、第2発熱機器用冷却ユニット15における電池16の収容スペースを拡大して、第2発熱機器用冷却ユニット15内に第1発熱機器用冷却ユニット14の電池16も収容するようにしてもよい。これよれば、1つの冷却ユニット15内に冷却対象の複数の発熱機器(16、19、20、21)をすべて収容できる。
【0104】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態であり、ばね部材61のばね力により各種発熱機器(電池16、直流電圧変換器19、20、電装品21)と、熱交換板部材51、52との圧接をより一層確実に行うものである。なお、図4は第1実施形態の第2発熱機器用冷却ユニット15に対応するものとして説明するので、第2発熱機器用冷却ユニット15と同等部分に同一符号を付している。
【0105】
ばね部材61は金属ばね材にて皿ばね形状に成形され、熱交換板部材51、52のうち積層方向の一端部に位置する熱交換板部材51とケース18の一端側内壁面との間に配置される。
【0106】
一方、熱交換板部材51、52のうち積層方向の他端部に位置する熱交換板部材52とケース18の他端側内壁面との間には電装品21が配置される。ケース18は剛体であって、樹脂のような電気絶縁材、または電気絶縁層を金属表面に形成した金属材から構成される。
【0107】
そして、ばね部材61を熱交換板部材51とケース18の一端側内壁面との間で圧縮されるようにケース18内に組み付けることにより、ばね部材61の弾性反力(ばね力)により各種発熱機器(16、19、20、21)と熱交換板部材51、52との圧接をより一層確実に行うことができる。これにより、各種発熱機器と熱交換板部材51、52との間の伝熱量を増大して、各種発熱機器の冷却性能を向上できる。
【0108】
なお、第2実施形態では、電装品21の表裏両面の片側面のみを熱交換板部材52に圧接させる構成としている。また、隣接する入口通路部25と出口通路部30との間を遮断する仕切部31は、2枚の熱交換板部材51、52の間に接合される金属板材で構成している。この仕切部31の金属板材には、中間折り返し通路部26の連通のための連通穴31aが開けてある。
【0109】
(第3実施形態)
図5は第3実施形態であり、上記第2実施形態(図4)の変形である。第3実施形態では仕切部31よりも出口通路部30側の領域に直流電圧変換器19、20を並列に配置し、電装品21(図示せず)をケース18内に配置せず、ケース18の外側に配置する。
【0110】
(第4実施形態)
図6は第4実施形態であり、上記第3施形態(図5)の構成を2つのケース18A、18B内に分散配置している。具体的には、第1ケース18A側に電池16の冷却用の熱交換器構造を構成し、第2ケース18B側に直流電圧変換器19、20の冷却用の熱交換器構造を構成している。第1ケース18A側の熱交換器構造の出口通路部26Aと、第2ケース18B側の熱交換器構造の入口通路部26Bとの間を連通パイプ26Cにより連通している。
【0111】
(第5実施形態)
第1〜第3実施形態では、管理温度の高い直流電圧変換器19、20と管理温度の低い電池16とを同一ケース18内にて隣接配置しているので、図7(a)の矢印Eに示すように管理温度の高い直流電圧変換器19、20から管理温度の低い電池16への熱移動が発生しやくすく、この影響で電池温度が上昇する。
【0112】
そこで、第5実施形態では、図7(b)に示すように管理温度の高い直流電圧変換器19、20と管理温度の低い電池16との間に、樹脂等の断熱材からなる電池代替部材(ダミースペーサ)62を配置して、管理温度の高い直流電圧変換器19、20から管理温度の低い電池16への熱移動を抑制する。
【0113】
(第6実施形態)
第1実施形態では、システムメインリレー等を含む電装品21を直流電圧変換器19、20と同様の板形状に形成し、電装品21と直流電圧変換器19、20を冷却水流れに対して並列配置しているが、第6実施形態では、図8に示すようにボックス形状に形成した電装品21を、板形状の直流電圧変換器19、20に対して冷却水流れ下流側に配置している。
【0114】
(第7実施形態)
図9は第7実施形態であり、第1実施形態における水冷媒熱交換器37等を廃止して発熱機器冷却水回路Cにおける冷却水の冷却を発熱機器用ラジエータ13のみで行う例である。なお、第7実施形態では発熱機器用冷却ユニットとして、第1実施形態の第2発熱機器用冷却ユニット15に対応する冷却ユニット15を1個のみ設けている。
【0115】
(第8実施形態)
図10は第8実施形態であり、発熱機器用ラジエータとして、発熱機器冷却水回路Cにおける冷却水の全量が通過する主ラジエータ13と、この主ラジエータ13出口側の冷却水通路を主通路63と補助通路64とに分岐し、補助通路64に補助ラジエータ65を追加している。
【0116】
これにより、電池16は、主ラジエータ13と補助ラジエータ65の両方で冷却された冷却水で低温に冷却できるようにしている。これに対し、直流電圧変換器19、20と電装品21は、電池16側の冷却通路27通過後の冷却水と主通路63からの冷却水との混合冷却水にて冷却する。
【0117】
(第9実施形態)
図11は第9実施形態であり、ウォータポンプ33の吐出通路を主通路66と補助通路67とに分岐し、補助通路67に発熱機器用ラジエータ13を設け、このラジエータ13で冷却された冷却水で電池16を冷却する。
【0118】
これに対し、直流電圧変換器19、20と電装品21は、電池16側の冷却通路27通過後の冷却水と主通路66からの冷却水との混合冷却水にて冷却する。
【0119】
(第10実施形態)
図12は第10実施形態であり、発熱機器用冷却ユニット15において電池16側の冷却水は空調用冷凍サイクルBの低温冷媒により冷却し、これに対し、直流電圧変換器19、20と電装品21側の冷却水は発熱機器用ラジエータ13により冷却する。
【0120】
このため、電池側の入口通路部25と、直流電圧変換器19、20および電装品21側の出口通路部30との間、電池側の出口通路部26Aと、直流電圧変換器19、20および電装品21側の入口通路部26Bとの間を仕切部31により仕切っている。
【0121】
これにより、電池側の冷却通路27には水冷媒熱交換器37で冷却された低温冷却水をウォータポンプ68により循環する。また、直流電圧変換器19、20および電装品21側の冷却通路32には発熱機器用ラジエータ13により冷却された低温冷却水をウォータポンプ33により循環する。
【0122】
なお、第10実施形態では、第1実施形態の弁装置38の電磁弁38aを減圧器38bから分離して水冷媒熱交換器37の冷媒通路下流側に配置している。
【0123】
(第11実施形態)
図13は第11実施形態であり、発熱機器用冷却ユニット15において電池16側の冷却水のみならず、直流電圧変換器19、20および電装品21側の冷却水もすべて空調用冷凍サイクルBの冷熱により冷却する。これにより、発熱機器用ラジエータ13を廃止している。
【0124】
(第12実施形態)
図14は第12実施形態であり、発熱機器用冷却ユニット15の冷却流体として冷却水を用いずに、空調用冷凍サイクルBの冷媒を直接用いる方式(冷媒冷却方式)に関する。
【0125】
このため、冷凍サイクルBにおいて凝縮器7の出口側から圧縮機7の吸入側に至る分岐冷媒通路69を設け、この分岐冷媒通路69に高圧液冷媒を圧送する電動式の液冷媒ポンプ70、減圧器71および発熱機器用冷却ユニット15を直列に設けている。発熱機器用冷却ユニット15においては、電池側の冷却通路27を冷媒流れの上流側に配置し、直流電圧変換器19、20および電装品21側の冷却通路32を冷媒流れの下流側に配置している。
【0126】
(第13実施形態)
図15は第13実施形態であり、空冷方式と水冷方式とを組み合わせて発熱機器用冷却ユニット15を冷却する。
【0127】
このため、発熱機器用冷却ユニット15において、電池側の冷却通路27には図示しない送風機により車室内空気Fを送風して、電池16を空冷する。これに対し、直流電圧変換器19、20および電装品21側の冷却通路32には発熱機器用ラジエータ13により冷却された低温冷却水をウォータポンプ33により循環して、直流電圧変換器19、20および電装品21を水冷する。
【0128】
(第14実施形態)
図16は第14実施形態であり、発熱機器用冷却ユニット15の全体を空冷方式とする場合の車両搭載構造を例示する。電動式の送風機72は車室内空気を吸入して発熱機器用冷却ユニット15のケース18内に送風して、ケース18内の電池16、直流電圧変換器19、20および電装品21のすべてを空冷する。
【0129】
これらを空冷した空気はケース18の吹出口73から再び車室内へ戻る。この空冷後の空気を車両床板58の下方(車室外)へ導くようにしてもよい。
【0130】
(第15実施形態)
図17は第15実施形態であり、低外気温時に直流電圧変換器19、20側の発熱量を利用して電池16を予熱できるようにしたものである。
【0131】
このため、第15実施形態では発熱機器用ラジエータ13と並列のバイパス通路73を設け、このバイパス通路74を流路切替手段をなすサモースタット34にて開閉するようにしている。
【0132】
具体的には、サモースタット34は発熱機器冷却水回路Cを常時開口したままに維持し、かつ、水温が所定温度(例えば、40℃程度)に上昇するまでは、バイパス通路74を開口して直流電圧変換器19、20で加熱された冷却水をバイパス通路74により発熱機器用冷却ユニット14、15の入口側へ直接戻して、電池16を予熱する。このとき、発熱機器用ラジエータ13はバイパス通路74により短絡されるので、発熱機器用ラジエータ13には少量の冷却水が流れるだけである。
【0133】
サモースタット34部の水温が上記所定温度以上に上昇すると、サモースタット34がバイパス通路74を遮断するので、冷却水の全量が発熱機器用ラジエータ13を通過して流れ、冷却水がラジエータ13にて冷却される。
【0134】
(第16実施形態)
図18は第16実施形態であり、シート暖房機能を発揮できるようにしたものである。車両のシート57に冷却水(温水)を熱源とする放熱器74を配置し、発熱機器冷却水回路Cのうち発熱機器用冷却ユニット14、15の出口側流路に放熱器75を電動式の流路切替弁76を介して接続している。
【0135】
シート暖房機能を行うときは、流路切替弁76を放熱器75側の流路77を開口して、発熱機器冷却水回路Cの主流路78を閉塞する状態に切り替える。これにより、発熱機器用冷却ユニット14、15の出口側の高温の冷却水を放熱器75に導入して、放熱器75によりシート57を加熱してシート暖房機能を発揮できる。
【0136】
ここで、放熱器75によりシート57自体を直接加熱するようにしてよいが、あるいは放熱器75により加熱された空気(温風)を図示しない送風機にてシート57の表皮部材に設けた多数の微小吹出穴から吹き出すようにしてもよい。
【0137】
(第17実施形態)
図19は第17実施形態であり、第1実施形態におけるサモースタット34をエンジン冷却水回路Aのうち、暖房用ヒータコア6の出口側通路に配置している。
【0138】
このサーモスタット34は、暖房用ヒータコア6の出口側冷却水温度が所定温度(例えば、40〜50℃程度)に上昇するまでは連絡通路36を開口して暖房用ヒータコア6の出口側通路を連絡通路36に連通している。
【0139】
これに対し、暖房用ヒータコア6の出口側冷却水温度が上記所定温度以上に上昇すると、サーモスタット34の弁体が連絡通路36を閉塞して、暖房用ヒータコア6の出口側通路をエンジン冷却水回路Aのウォータポンプ2吸入側に連通させる。
【0140】
また、発熱機器冷却水回路Cのウォータポンプ33の出口側とエンジン冷却水回路Aのサーモスタット34の出口側との間を連絡通路35により接続している。
【0141】
第17実施形態によると、暖房用ヒータコア6の出口側冷却水温度が所定温度(例えば、40〜50℃程度)に上昇するまでは、サーモスタット34が連絡通路36を開口している。これにより、発熱機器冷却水回路Cのウォータポンプ33出口側→連絡通路35→エンジン冷却水回路Aのウォータポンプ2→エンジン1→暖房用ヒータコア6→サーモスタット34→連絡通路36→水冷媒熱交換器37→第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15→ウォータポンプ33の吸入側に至る閉回路が形成される。
【0142】
このため、発熱機器冷却水回路Cの第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15で吸熱して温度上昇した冷却水がエンジン冷却水回路Aのウォータポンプ2の吸入側に流入する。
【0143】
従って、このウォータポンプ2の吸入側でエンジン冷却水回路Aの冷却水と発熱機器冷却水回路Cの冷却水が混合してエンジン冷却水回路Aの冷却水温度の上昇を促進できる。これにより、冬期の寒冷時には、車両エンジン1の暖機を促進できるとともに、ヒータコア6による車室内即効暖房を促進できる。
【0144】
(他の実施形態)
なお、本発明は上述の第1〜第17実施形態に限定されることなく、さらに、以下のように種々変形可能である。
【0145】
(1)第1実施形態等では、電池16を冷却するに際して、電池16の板形状の表裏両面の全域にわたって冷却通路24、27を形成する例について説明したが、特開2002−56904号公報に記載されているように、電池16の端子部のみに冷却通路24、27を形成するようにしてもよい。
【0146】
(2)第1実施形態等では、複数の発熱機器の組み合わせとして、電池16、直流電圧変換器19、20および電装品21の組み合わせを示しているが、電池を含まない組み合わせ、例えば、直流電圧変換器19、20と電装品21のみの組み合わせを本発明の発熱機器冷却構造に適用してもよい。
【0147】
(3)発熱機器用冷却ユニット14、15の搭載位置として、電池(バッテリ)容量が小さい場合は、車両の助手席側シートの下方位置のみに発熱機器用冷却ユニット14、15を搭載し、電池(バッテリ)容量が大きい場合は、車両の助手席側シートおよび運転席側シートの両方の下方位置に発熱機器用冷却ユニット14、15を搭載すればよい。
【0148】
(4)上述の実施形態の中で、冷却ユニット14、15における冷却流体として、水、空気、冷媒の3種類について説明したが、冷却流体としてオイル類を用いて発熱機器を液冷するようにしてもよい。
【0149】
(5)空調用冷凍サイクルBの圧縮機7が空調側の制御条件では停止状態になっている条件でも、圧縮機7を短時間だけ強制的に運転して水冷媒熱交換器37において低温の冷水をつくっておき、発熱機器の瞬時発熱にもこの低温の冷水を用いて発熱機器を急速冷却できるようにしてもよい。
【0150】
(6)上述の実施形態では、冷却水流路切替手段をなすサーモスタット34を水温に直接応動する冷却水温度応動弁で構成しているが、この冷却水温度応動弁の代わりに冷却水温度に応じて電気的に開閉制御される電動弁を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体システム構成図である。
【図2】第1実施形態による発熱機器用冷却ユニットの熱交換器構造の要部断面図である。
【図3】第1実施形態による発熱機器用冷却ユニットの車両搭載図である。
【図4】第2実施形態による発熱機器用冷却ユニットの概略断面図である。
【図5】第3実施形態による発熱機器用冷却ユニットの概略断面図である。
【図6】第4実施形態による発熱機器用冷却ユニットの概略断面図である。
【図7】(a)は第5実施形態による課題を説明する熱交換器構造の要部断面図、(b)は第5実施形態による熱交換器構造の要部断面図である。
【図8】第6実施形態による発熱機器用冷却ユニットの概略断面図である。
【図9】第7実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図10】第8実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図11】第9実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図12】第10実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図13】第11実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図14】第12実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷媒回路図である。
【図15】第13実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図16】第14実施形態による発熱機器用冷却ユニットの車両搭載図である。
【図17】第15実施形態を示す全体システム構成図である。
【図18】第16実施形態による発熱機器用冷却ユニットの車両搭載図である。
【図19】第17実施形態を示す全体システム構成図である。
【符号の説明】
【0152】
16…電池(発熱機器)、19、20…直流電圧変換器(発熱機器)、
21…電装品(発熱機器)、24、27、32…冷却通路、
51、52…熱交換部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発熱機器を集中的に効率よく冷却する発熱機器の冷却構造に関するもので、具体的には、車両に搭載される電池(バッテリ)、直流電圧変換器(DC−DCコンバータ)、リレー等を含む電装品といった電気発熱機器の冷却に適用するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には電気自動車用バッテリシステムにおいて、バッテリの冷却ファンを利用して、電装品および電子制御ユニットを冷却できるようにしたものが提案されている。具体的には、バッテリ冷却用の空冷回路に冷却空気を送風するファンを設けるとともに、この空冷回路に、バッテリ充放電電流を検出する電装品と、バッテ残存容量を計算するマイコンを含む電子制御ユニットを配置し、これらの電装品および電子制御ユニットをファンの送風空気により冷却している。
【特許文献1】特開2002−84604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、バッテリ、電装品および電子制御ユニットの三者を単純にブロック状の形態で空冷回路中に配置しているだけであるので、これら機器と冷却空気との伝熱面積が減少する。そのため、単位容積あたりの冷却性能がどうしても低くなってしまう。また、外形状の異なる種々な機器をそのまま空冷回路中に配置しているので、スペース的な無駄が発生し、冷却構造全体の体格が大きくなってしまう。
【0004】
本発明は、上記点に鑑み、複数の発熱機器を集中的に効率よく冷却できるようにして、発熱機器冷却構造の体格の小型化を図ることを目的とする。
【0005】
また、本発明は、耐久寿命確保のための管理温度が低い発熱機器と、この管理温度が高い発熱機器とを同一の冷却流体で冷却するに当たり、管理温度が高い発熱機器の冷却を良好に行うことを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、板状に形成された複数の発熱機器(16、19〜21)を有し、
前記複数の発熱機器(16、19〜21)は所定間隔を介して板厚方向に積層配置され、前記所定間隔の部分に冷却通路(24、27、32)が構成され、
前記冷却通路(24、27、32)を通過する冷却流体により前記複数の発熱機器(16、19〜21)が冷却されるようにしたことを特徴としている。
【0007】
これによると、発熱機器(16、19〜21)が板状であるから、発熱機器の容積当たりの伝熱面積を大きくすることができ、しかも、板状の発熱機器を積層配置して発熱機器相互間に冷却通路(24、27、32)を構成するから、複数の発熱機器と複数の冷却通路とをコンパクトに配置できる。その結果、必要冷却性能を確保するための発熱機器冷却構造の体格を効果的に小型化できる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、板状に形成された複数の発熱機器(16、19〜21)と、
前記板状の発熱機器(16、19〜21)を収容する扁平状の機器収容空間(55)および扁平状の冷却通路(24、27、32)を前記発熱機器(16、19〜21)の板厚方向に交互に形成する熱交換部材(51、52)とを有し、
前記冷却通路(24、27、32)を通過する冷却流体により前記熱交換部材(51、52)を介して前記発熱機器(16、19〜21)の板状の両面が冷却されるようにしたことを特徴とする。
【0009】
これによると、熱交換部材(51、52)を介して発熱機器(16、19〜21)の板状の両面冷却構造を構成するから、必要冷却性能を確保するための発熱機器冷却構造の体格をより一層効果的に小型化できる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発熱機器の冷却構造において、前記発熱機器(16、19〜21)は電気機器であり、前記発熱機器(16、19〜21)と前記熱交換部材(51、52)の壁面との間に電気絶縁部材(56)が介在されていることを特徴とする。
【0011】
これによると、発熱機器(16、19〜21)と熱交換部材(51、52)との間の電気絶縁を確実に行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の発熱機器の冷却構造において、前記発熱機器(16、19〜21)と前記熱交換部材(51、52)とを圧接させる方向のばね力を発生するばね手段(61)を有することを特徴とする。
【0013】
これによると、発熱機器(16、19〜21)と熱交換部材(51、52)とをばね力にて確実に圧接させることができ、発熱機器(16、19〜21)から熱交換部材(51、52)への熱伝達を良好に行うことができ、冷却性能を向上できる。
【0014】
請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記複数の発熱機器(16、19〜21)を1つのケース(17、18)内に一体に収容すれば、複数の発熱機器の冷却構造を1ユニットとして構成できる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記複数の板状の発熱機器(16、19〜21)は互いに種類が異なるものであり、
前記種類が異なる複数の発熱機器(16、19〜21)が略同一の板状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
これによると、種類が異なる複数の発熱機器の外形状を揃えて、発熱機器冷却構造の全体形状をより一層小型化できる。
【0017】
請求項7に記載の発明のように、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記複数の発熱機器(16、19〜21)として、耐久寿命確保のための管理温度が低い第1の発熱機器(16)と、前記第1の発熱機器(16)よりも管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)とを包含するようにしてよい。
【0018】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器(16)と、前記第2の発熱機器(19〜21)との間に、前記両発熱機器(16、19〜21)よりも断熱性に優れた発熱機器代替部材(62)が介在されていることを特徴とする。
【0019】
これによると、発熱機器代替部材(62)の介在によって第2の発熱機器(19〜21)から第1の発熱機器(16)への熱移動を抑制して、第1の発熱機器(16)の冷却効果を向上できる。
【0020】
請求項9に記載の発明では、請求項7または8に記載の発熱機器の冷却構造において、前記冷却流体の流れ方向の上流側に前記第1の発熱機器(16)が配置され、
前記第1の発熱機器(16)の下流側に前記第2の発熱機器(19〜21)が配置されることを特徴とする。
【0021】
これによると、管理温度が低い第1の発熱機器(16)と管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)の双方において冷却流体との温度差を確保できる。そのため、管理温度の差がある第1、第2の発熱機器を双方とも良好に冷却できる。
【0022】
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)の通路数に比較して、前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)の通路数が少ないことを特徴とする。
【0023】
これによると、第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)を通過した冷却流体を合流して第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)に流入させることができる。このため、第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)における冷却流体の流量を第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)における冷却流体の流量よりも増加して、管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)の冷却性能を増大できる。
【0024】
請求項11に記載の発明では、請求項7ないし10のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)を通過する冷却流体の流速よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)を通過する冷却流体の流速を高くする流速変更手段を有することを特徴とする。
【0025】
これによると、管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)側では冷却流体の流速を高くすることにより、熱伝達率を向上して冷却性能を確保できる。
【0026】
請求項12に記載の発明では、耐久寿命確保のための管理温度が低い第1の発熱機器(16)と、前記第1の発熱機器(16)よりも管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)とを有し、
前記第1の発熱機器(16)および前記第2の発熱機器(19〜21)を同一の冷却流体にて冷却するに当たり、前記第1の発熱機器(16)の周囲を通過する冷却流体の流速よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の周囲を通過する冷却流体の流速を高くする流速変更手段を有することを特徴とする。
【0027】
これによると、管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)側では冷却流体の流速を高くすることにより、熱伝達率を向上して冷却性能を確保できる。
【0028】
請求項13に記載の発明では、請求項11または12に記載の発熱機器の冷却構造において、前記流速変更手段は、前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)の総通路断面積よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)の総通路断面積を小さくすることにより構成されることを特徴とする。
【0029】
これによると、流速変更手段として特別の手段を追加することなく、冷却通路の総通路断面積の設定により流速変更手段を簡単に構成できる。
【0030】
請求項14に記載の発明では、請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器は車載の電池(16)であり、前記第2の発熱機器は車載の直流電圧変換器(19、20)であり、前記冷却流体は冷却水であることを特徴とする。
【0031】
これによると、水冷方式にて車載の電池(16)および車載の直流電圧変換器(19、20)を冷却できる。
【0032】
請求項15に記載の発明では、請求項14に記載の発熱機器の冷却構造において、前記冷却水が循環する発熱機器冷却水回路(C)に、空気により前記冷却水を冷却する発熱機器用ラジエータ(13)および前記冷却水を冷凍サイクル(B)の冷媒により冷却する水冷媒熱交換器(37)の少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0033】
これによると、発熱機器用ラジエータ(13)または水冷媒熱交換器(37)を用いて発熱機器の冷却水を冷却できる。
【0034】
請求項16に記載の発明では、請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記第1の発熱機器は車載の電池(16)であり、前記第2の発熱機器は車載の直流電圧変換器(19、20)であり、前記冷却流体は空気であることを特徴とする。
【0035】
これによると、空冷方式にて車載の電池(16)および車載の直流電圧変換器(19、20)を冷却できる。
【0036】
請求項17に記載の発明のように、請求項16に記載の発熱機器の冷却構造において、記空気を車室内空気にすれば、夏期の高外気温時においても車室内の冷房された低温空気を用いて車載の電池(16)および車載の直流電圧変換器(19、20)を良好に冷却できる。
【0037】
請求項18に記載の発明では、請求項14ないし17のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記電池(16)および前記直流電圧変換器(19、20)を包含する冷却ユニット(14、15)が車両のシート(57)の下方部に搭載されることを特徴とする。
【0038】
これによると、車両のシート(57)下方部の空間を有効利用して冷却ユニット(14、15)を省スペースで車両に搭載できる。
【0039】
請求項19に記載の発明のように、請求項14または15に記載の発熱機器の冷却構造において、前記冷却水を熱源として車両のシート(57)を加熱するシート用放熱器(75)を備えれば、発熱機器の冷却水を利用して車両のシート暖房機能を発揮できる。
【0040】
請求項20に記載の発明では、請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造が、エンジン冷却水回路(A)を備える車両に搭載されるようになっており、
前記冷却流体は冷却水であり、前記第1の発熱機器(16)および前記第2の発熱機器(19〜21)を通過して温度上昇した前記冷却水を前記エンジン冷却水回路(A)に流入させるように冷却水流路を切り替える流路切替手段(34)を備えることを特徴とする。
【0041】
これによると、第1、第2の発熱機器(16、19〜21)側の発熱を利用して、エンジン冷却水回路(A)側の水温上昇を促進して、車両エンジンの暖機促進、車両の温水熱源暖房の立ち上げ促進といった効果を発揮できる。
【0042】
請求項21に記載の発明では、請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造において、前記冷却流体は冷却水であり、前記第2の発熱機器(19〜21)を通過して温度上昇した前記冷却水を前記第1の発熱機器(16)側へ直接戻すように冷却水流路を切り替える流路切替手段(34)を備えることを特徴とする。
【0043】
これによると、管理温度の高い第2の発熱機器(19〜21)の発熱を利用して管理温度の低い第1の発熱機器(16)の温度を適正温度域まで短時間で上昇させることができる。例えば、第1の発熱機器(16)が電池であれば、冬期の低外気温時に電池(16)の温度を電池効率のよい適正温度域に短時間で上昇させることができる。
【0044】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態の全体システム構成図であり、第1実施形態はエンジン(内燃機関)1と、図示しない電動モータの両方を駆動源として走行するハイブリッド車に本発明を適用した例を示す。
【0046】
第1実施形態のシステム構成は、エンジン1の冷却水回路Aと、車両空調用冷凍サイクルBと、発熱機器冷却水回路Cとに大別される。
【0047】
エンジン1の冷却水回路Aは周知の構成であり、エンジン1により回転駆動されるウォータポンプ2を有し、このウォータポンプ2の作動によりエンジン1の冷却水回路Aに冷却水を循環する。
【0048】
ウォータポンプ2の吸入側に冷却水温度応動弁をなすサーモスタット3が配置され、一方、エンジン1の冷却水出口側にラジエータ4とバイパス通路5が並列に設けられている。また、エンジン1の冷却水出口側とウォータポンプ2の吸入側との間にエンジン冷却水を熱源として車室内吹出空気を加熱する暖房用ヒータコア6が設けられている。
【0049】
サーモスタット3は、周知のごとくサーモワックス(感温部材)の温度による体積変化を利用して弁体を変位させて、ラジエータ2側の冷却水通路を開閉する。具体的には、冷却水温度が80℃付近の所定温度まで上昇すると、サーモスタット3はラジエータ4の出口側冷却水通路を開口する。
【0050】
車両空調用冷凍サイクルBは圧縮機7と、凝縮器8と、膨張弁等の減圧器9と、蒸発器10とを有する周知の構成である。圧縮機7は電動モータにより回転駆動される電動圧縮機、またはエンジン1により回転駆動される圧縮機で構成される。
【0051】
蒸発器10とヒータコア6は、車両用空調装置の室内空調ユニット11の通風路内に配置され、空調用電動送風機12の送風空気(内気または外気)と熱交換するようになっている。
【0052】
次に、発熱機器冷却水回路Cには発熱機器用ラジエータ13が設けられている。この発熱機器用ラジエータ13は冷凍サイクルBの凝縮器8の空気流れ上流部に配置され、エンジン用ラジエータ4は凝縮器8の空気流れ下流部に配置されている。これらの三者13、8、4は共通の電動冷却ファン14の送風空気によって冷却される。
【0053】
本実施形態では、発熱機器冷却水回路Cの中に2つの発熱機器用冷却ユニット14、15が配置されている。第1発熱機器用冷却ユニット14は電池16の冷却専用のユニットであり、これに対し、第2発熱機器用冷却ユニット15は、電池16と、直流電圧変換器(DC−DCコンバータ)19、20と、リレー等を含む電装品21とを集中配置して一括冷却するものである。
【0054】
なお、電池16は充電可能な二次電池(バッテリ)であり、例えば、リチウム電池にて構成される。図1に図示するように電池16は多数個用いられ、この多数の電池16を電気的に直列接続して、所定の高電圧(例えば、300V)を発生する。従って、電池16は、多数の電池の組み合わせからなる組電池の単位電池を構成する。
【0055】
第1、第2発熱機器用冷却ユニット14では、ケース17、18内に板状に形成した電池16を冷却水流れ方向aと直交方向に所定間隔を介して多数個積層配置し、この積層配置の電池16群を冷却水流れ方向aに2段にわたって設けている。
【0056】
第2発熱機器用冷却ユニット15では、ケース18内に板状の電池16群の他に、板状の直流電圧変換器(DC−DCコンバータ)19、20と、板状の電装品21とを集中配置している。
【0057】
なお、第1直流電圧変換器19は降圧用であり、例えば、300Vを12vに降圧する。第2直流電圧変換器20は昇圧用であり、例えば、300Vを600vに昇圧する。電装品21は一般にジャンクションボックスと称され、システムメインリレー等を含むものである。
【0058】
第1発熱機器用冷却ユニット14のケース17内の一端側に入口通路部22が、他端側に出口通路部23がそれぞれ形成される。入口通路部22には入口パイプ22aから冷却水が流入する。入口通路部22と出口通路部23間に電池16の相互間に位置する扁平状の冷却通路24が多数個並列に形成される。
【0059】
第2発熱機器用冷却ユニット15のケース18内の一端側に入口通路部25が、他端側に中間折り返し通路部26がそれぞれ形成される。この両通路部25、26間に電池16の相互間に位置する扁平状の冷却通路27が多数個並列に形成される。
【0060】
第1発熱機器用冷却ユニット14内の入口通路部22は接続ホース28を介して第2発熱機器用冷却ユニット15内の入口通路部25に接続される。また、第1発熱機器用冷却ユニット14内の出口通路部23は接続ホース29を介して第2発熱機器用冷却ユニット15内の中間折り返し通路部26に接続される。
【0061】
従って、第1発熱機器用冷却ユニット14内の多数の冷却通路24を冷却水が矢印aのように並列に流れるとともに、第2発熱機器用冷却ユニット15内の多数の冷却通路27を冷却水が矢印bのように並列に流れる。
【0062】
第2発熱機器用冷却ユニット15では、互いに隣接する入口通路部25と出口通路部30との間に仕切部31を設けている。直流電圧変換器19、20と電装品21は、出口通路部30と中間折り返し通路部26の出口側部分との間に配置されている。出口通路部30には冷却水の出口パイプ30aが接続されている。直流電圧変換器19、20と電装品21の相互間にも扁平状の冷却通路32が複数個並列に形成される。
【0063】
これにより、第2発熱機器用冷却ユニット15では、冷却通路27を通過した冷却水、および第1発熱機器用冷却ユニット14内の冷却通路24を通過した冷却水が中間折り返し通路部26に流入する。従って、この中間折り返し通路部26にて第1、第2の両冷却ユニット14、15の冷却通路24、27の冷却水が合流し、この合流後の冷却水が複数の冷却通路32を矢印dのように並列に流れる。
【0064】
ここで、直流電圧変換器19、20および電装品21を冷却する複数の冷却通路32の通路断面積の総和は、電池16側の冷却通路24、27の通路断面積の総和よりも十分小さく設定してある。これにより、冷却通路32における冷却水の流速を電池側冷却通路24、27における冷却水の流速よりも十分高くすることができる。
【0065】
発熱機器冷却水回路Cのうち、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側に電動式のウォータポンプ33を配置し、このウォータポンプ33の作動により発熱機器冷却水回路Cに冷却水を循環する。
【0066】
ウォータポンプ33の吐出側には冷却水流路切替手段をなすサーモスタット34が配置されている。このサーモスタット34は第1連絡通路35を介してエンジン冷却水回路Aのうちヒータコア6の入口側に接続される。
【0067】
サーモスタット34はエンジン1側のサーモスタット3と同様の冷却水温度応動弁であり、サーモワックス(感温部材)の温度による体積変化を利用して弁体を変位させて、第1連絡通路35を開閉する。
【0068】
具体的には、サーモスタット34はウォータポンプ33の吐出側と発熱機器用ラジエータ13との間を常時連通状態に維持している。そして、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側冷却水温度が所定温度(例えば、65℃)に上昇するまではサーモスタット34の弁体が第1連絡通路35を開口している。これに対し、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側冷却水温度が所定温度以上に上昇すると、サーモスタット34の弁体が第1連絡通路35を閉塞する。
【0069】
また、エンジン冷却水回路Aと発熱機器冷却水回路Cとによる閉回路を構成するために、第2連絡通路36により両回路A、Cの間を接続している。具体的には、エンジン冷却水回路Aのヒータコア6の出口側と発熱機器冷却水回路Cの発熱機器用ラジエータ13の出口側との間を第2連絡通路36により接続している。
【0070】
発熱機器冷却水回路Cのうち、発熱機器用ラジエータ13の冷却水出口側と第1発熱機器用冷却ユニット14との間には水冷媒熱交換器37が配置されている。この水冷媒熱交換器37は空調用冷凍サイクルBの低温冷媒により発熱機器冷却水回路Cの冷却水を冷却するもので、例えば、冷媒通路と冷却水通路とを2重管により構成したものである。
【0071】
水冷媒熱交換器37の冷媒入口部には、冷媒通路を開閉する電磁弁38aと高圧冷媒を減圧する減圧器38bとを一体化した弁装置38が配置されている。ここで、減圧器38bは、電磁弁38aの入口通路または出口通路に一体形成したオリフィス等の固定絞りで構成できる。弁装置38と水冷媒熱交換器37は、空調用冷凍サイクルBの減圧器9と蒸発器10に対して並列接続されている。
【0072】
第1発熱機器用冷却ユニット14の入口側水温を検出する水温センサ39の検出信号が制御装置40に入力され、水温が所定温度(例えば、50〜60℃程度)以上に上昇すると、制御装置40により弁装置38の電磁弁38aが開弁するようになっている。ウォータポンプ33、冷却ファン14等の作動も制御装置40により制御される。
【0073】
次に、第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15の具体的熱交換器構造を図2により説明すると、図2は第1発熱機器用冷却ユニット14の熱交換器構造の一部を拡大図示する断面図であって、金属薄板材からなる熱交換板部材51、52は互いの接合面Sに対して外側へ凸状に突き出した断面形状を持つように成形されている。
【0074】
そのため、2枚の熱交換板部材51、52を接合面Sにて最中状に接合すると、2枚の熱交換板部材51、52の内側に図1の冷却通路24を形成できる。
【0075】
各熱交換板部材51、52の長手方向(冷却水流れ方向a)の両端部付近にそれぞれ連通穴51a、51b、52a、52bを開けて、この連通穴51a、51b、52a、52b相互間を入口側管状体53、出口側管状体54により接続するようになっている。これにより、入口側管状体53の内側に図1の入口通路部22を形成し、出口側管状体54の内側に図1の出口通路部23を形成できる。
【0076】
入口側管状体53および出口側管状体54の軸方向の中央部には径外方側へ膨出する蛇腹形状部53a、54aが一体成形されている。この蛇腹形状部53a、54aは、両管状体53、54の軸方向への弾性変形を容易にするためのものである。
【0077】
熱交換板部材51、52、および両管状体53、54および入口パイプ22a等は、いずれも熱伝導性に優れた金属、具体的にはアルミニウムで成形され、熱交換板部材51、52相互間の接合、熱交換板部材51、52と両管状体53、54との間の接合、および入口パイプ22aの接合等をろう付けで行うようになっている。このろう付けは、熱交換器構成を仮組み付けした後に、その仮組み付け体をろう付け加熱炉内に搬入して各接合部を同時に一体ろう付けすることができる。
【0078】
このように一体に接合された熱交換器構造においては、2枚の熱交換板部材51、52の外側面と、入口側管状体53および出口側管状体54との間に、冷却通路24の長手方向(冷却水流れ方向a)に延びる扁平状の機器収容空間55が形成される。
【0079】
そこで、この機器収容空間55内にそれぞれ板状に形成された電池16を収容している。ここで、板状の電池16の表裏両面と、熱交換板部材51、52の外側面(空気側面)との間には電気絶縁のための薄板状の絶縁部材56が配置されている。絶縁部材56の材質は高度の電気絶縁性が得られるセラミック系の絶縁材が好適である。
【0080】
そして、電池16と熱交換板部材51、52との間の熱伝達効率を高めるために、板状の電池16は薄板状の絶縁部材56を介在して熱交換板部材51、52の外側面相互間に圧接状態で挿入される。この電池16の圧接状態は、両管状体53、54に設けた蛇腹形状部53a、54aの弾性変形によって保持できる。
【0081】
なお、図2では、電池16を冷却水流れ方向aに1個のみ配置する例を図示しているが、電池16を図1のように熱交換板部材51、52の外側面相互間において冷却水流れ方向aに2個直列に配置してもよいことはもちろんである。
【0082】
以上、図2では第1発熱機器用冷却ユニット14の熱交換器構造の具体例について説明したが、第2発熱機器用冷却ユニット15における電池16部分の熱交換器構造も図2と同じでよい。そこで、図2では第2発熱機器用冷却ユニット15側の要素の符号を対応する第1発熱機器用冷却ユニット14側の要素の符号の括弧内に併記している。
【0083】
また、第2発熱機器用冷却ユニット15における第1直流電圧変換器19、第2直流電圧変換器20および電装品21における熱交換器構造も基本的には図2と同じでよく、両管状体53、54の軸方向寸法(機器収容空間55の厚み寸法)の変更、あるいは冷却通路32(図1)の通路断面積を冷却通路24、27に対して変更する等の対応を行うだけでよい。
【0084】
図3は第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15の車両搭載位置を例示するもので、車両のシート57の下方で、車両床板58の上面部に第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15を搭載する例を示している。第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15にはカーペット59を被せている。第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15に対する冷却水配管60a、60bは車両床下側から床板58を貫通して車室内側の冷却ユニット14、15に接続される。
【0085】
なお、図3では車両床板58の上面部(車室内側)に第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15を搭載しているが、第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15を車両床板58の下方側(床下)に搭載してもよい。
【0086】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。車両操作スイッチ(図示せず)が車両エンジン1の作動位置に操作されているときは、制御装置40によりウォータポンプ33に通電し、このウォータポンプ33を作動させる。
【0087】
ここで、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側冷却水温度が所定温度(例えば、 65℃)に上昇するまではサーモスタット34の弁体が第1連絡通路35を開口するので、発熱機器冷却水回路Cとエンジン冷却水回路Aとの間は連通している。
【0088】
一方、弁装置38に一体化された電磁弁38aは、水温センサ39により検出される、第1発熱機器用冷却ユニット14の入口側水温が所定温度(例えば、30〜40℃程度)以上に上昇するまでは閉弁状態を維持する。このため、水冷媒熱交換器37の冷媒通路に冷凍サイクルBの冷媒が流れない。従って、冷却水は水冷媒熱交換器37を単に通過するのみで、冷却されない。
【0089】
これにより、ウォータポンプ33が圧送する冷却水の大部分が、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側からサーモスタット34→第1連絡通路35→ヒータコア6→第2連絡通路36→水冷媒熱交換器37→第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15の経路で流れ、発熱機器用ラジエータ13には少量の冷却水が循環するのみである。
【0090】
そのため、発熱機器冷却水回路Cの第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15で吸熱して温度上昇した冷却水は、ヒータコア6の入口部でエンジン冷却水回路Aの冷却水と混合してエンジン冷却水回路Aの冷却水温度の上昇を促進できる。従って、冬期の寒冷時には、車両エンジン1の暖機促進、およびヒータコア6による車室内暖房の立ち上げの促進(即効暖房)といった効果を発揮できる。
【0091】
そして、第2発熱機器用冷却ユニット15の出口側冷却水温度が上記所定温度まで上昇すると、サーモスタット34の弁体が第1連絡通路35を閉塞するので、発熱機器冷却水回路Cとエンジン冷却水回路Aとの連通が遮断される。そのため、発熱機器冷却水回路Cの冷却水の全量が発熱機器用ラジエータ13に循環し、ここで、冷却される。
【0092】
一方、夏期の高外気温時のように、発熱機器用ラジエータ13の冷却性能が低下して、ラジエータ13の出口側冷却水温度、換言すると、第1発熱機器用冷却ユニット14の入口側冷却水温度(水温センサ39の検出温度)が所定温度(例えば、50〜60℃程度)以上に上昇すると、制御装置40により弁装置38の電磁弁38aに通電され、この電磁弁38aが開弁する。
【0093】
すると、弁装置38の減圧器38bにて減圧された低圧冷媒が水冷媒熱交換器37の冷媒通路に流入して冷却水から吸熱して蒸発するので、水冷媒熱交換器37の冷却水通路の冷却水を低圧冷媒にて積極的に冷却できる。そのため、夏期の高外気温時にも、電池16等の発熱機器の管理温度が異常に上昇することをを回避できる。
【0094】
次に、第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15における冷却作用を説明すると、発熱機器用ラジエータ13あるいは水冷媒熱交換器37で冷却されされた低温冷却水は、第1発熱機器用冷却ユニット14の冷却通路24と第2発熱機器用冷却ユニット15の冷却通路27を並列に流れ、その後に、この並列の冷却水流れが合流して冷却通路32を通過する。
【0095】
この冷却水流れによって、電池16、第1、第2直流電圧変換器19、20および電装品21を冷却する。ここで、第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15における熱交換器構造は、各発熱機器(電池16、第1、第2直流電圧変換器19、20および電装品21)をそれぞれ板状に形成し、その板形状の表裏両面に冷却通路24、27、32を形成して、各発熱機器を表裏両面から冷却するようにしている。換言すると、複数の板状の発熱機器に対する両面冷却の熱交換器構造を採用しているから、各発熱機器の冷却のための伝熱面積を効果的に増大でき、各発熱機器の冷却性能を有効に発揮できる。
【0096】
また、電池16の管理温度に比較して、第1、第2直流電圧変換器19、20および電装品21の管理温度の方が高い。ここで、管理温度とは各発熱機器を所定の使用期間の耐久寿命を確保するための上限温度であって、電池16の管理温度は例えば、50℃付近である。これに対し、第1、第2直流電圧変換器19、20の管理温度は例えば、85〜90℃付近である。また、電装品21の管理温度は第1、第2直流電圧変換器19、20と同程度である。
【0097】
そこで、冷却水流れの上流側に各電池16の冷却通路24、27を配置し、冷却水流れの下流側に第1、第2直流電圧変換器19、20および電装品21の冷却通路32を配置している。これにより、電池16と冷却水との温度差、および第1、第2直流電圧変換器19、20、電装品21と冷却水との温度差を双方とも大きくできるので、管理温度の差がある複数の発熱機器をいずれも管理温度以内に冷却できる。
【0098】
また、電池16の多数の冷却通路24、27を並列に通過した冷却水を合流させ、その合流冷却水を直流電圧変換器19、20部分の少数の冷却通路32に流すとともに、冷却通路32の総通路断面積を冷却通路24、27の総通路断面積より小さくしているので、冷却通路32では電池側の冷却通路24、27に比較して冷却水の流速が上昇して、冷却水の流れが乱れることにより水側熱伝達率を向上できる。
【0099】
これと同時に、少数の冷却通路32では電池側の冷却通路24、27に比較して通路1つ当たりの冷却水流量も増加する。以上の結果、冷却水流れの下流側に位置する、管理温度の高い直流電圧変換器19、20および電装品21を良好に冷却できる。
【0100】
ところで、本実施形態によると、複数の種類の異なる発熱機器である電池16、直流電圧変換器19、20、および電装品21をすべて同一の板形状、具体的には、矩形の板形状に揃えて、これらの板形状の発熱機器を積層配置するとともに、板形状の発熱機器の表裏両面を冷却する両面冷却型の熱交換器構造にしているから、複数の種類の異なる発熱機器を集中的に効率よく冷却でき、発熱機器冷却構造の体格を効果的に小型化できる。
【0101】
さらに、冷却水流れ方向aに直列配置した2枚の電池16の合計平面面積と、冷却水流れ方向bに直列配置した2枚の電池16の合計平面面積と、直流電圧変換器19、20の平面面積と、電装品21の平面面積はほぼ同一に設計してあるので、2つの冷却ユニット14、15の体格を無駄なくコンパクトに設計できる。
【0102】
このような発熱機器冷却構造の小型化のために、本実施形態では電池16の板形状の厚さは12mm以下とし、直流電圧変換器19、20の板形状の厚さは30mm以下とし、電装品21の板形状の厚さは50mm以下としている。
【0103】
なお、図1の例では、冷却ユニットを第1発熱機器用冷却ユニット14と第2発熱機器用冷却ユニット15とに分割して構成しているが、例えば、第2発熱機器用冷却ユニット15における電池16の収容スペースを拡大して、第2発熱機器用冷却ユニット15内に第1発熱機器用冷却ユニット14の電池16も収容するようにしてもよい。これよれば、1つの冷却ユニット15内に冷却対象の複数の発熱機器(16、19、20、21)をすべて収容できる。
【0104】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態であり、ばね部材61のばね力により各種発熱機器(電池16、直流電圧変換器19、20、電装品21)と、熱交換板部材51、52との圧接をより一層確実に行うものである。なお、図4は第1実施形態の第2発熱機器用冷却ユニット15に対応するものとして説明するので、第2発熱機器用冷却ユニット15と同等部分に同一符号を付している。
【0105】
ばね部材61は金属ばね材にて皿ばね形状に成形され、熱交換板部材51、52のうち積層方向の一端部に位置する熱交換板部材51とケース18の一端側内壁面との間に配置される。
【0106】
一方、熱交換板部材51、52のうち積層方向の他端部に位置する熱交換板部材52とケース18の他端側内壁面との間には電装品21が配置される。ケース18は剛体であって、樹脂のような電気絶縁材、または電気絶縁層を金属表面に形成した金属材から構成される。
【0107】
そして、ばね部材61を熱交換板部材51とケース18の一端側内壁面との間で圧縮されるようにケース18内に組み付けることにより、ばね部材61の弾性反力(ばね力)により各種発熱機器(16、19、20、21)と熱交換板部材51、52との圧接をより一層確実に行うことができる。これにより、各種発熱機器と熱交換板部材51、52との間の伝熱量を増大して、各種発熱機器の冷却性能を向上できる。
【0108】
なお、第2実施形態では、電装品21の表裏両面の片側面のみを熱交換板部材52に圧接させる構成としている。また、隣接する入口通路部25と出口通路部30との間を遮断する仕切部31は、2枚の熱交換板部材51、52の間に接合される金属板材で構成している。この仕切部31の金属板材には、中間折り返し通路部26の連通のための連通穴31aが開けてある。
【0109】
(第3実施形態)
図5は第3実施形態であり、上記第2実施形態(図4)の変形である。第3実施形態では仕切部31よりも出口通路部30側の領域に直流電圧変換器19、20を並列に配置し、電装品21(図示せず)をケース18内に配置せず、ケース18の外側に配置する。
【0110】
(第4実施形態)
図6は第4実施形態であり、上記第3施形態(図5)の構成を2つのケース18A、18B内に分散配置している。具体的には、第1ケース18A側に電池16の冷却用の熱交換器構造を構成し、第2ケース18B側に直流電圧変換器19、20の冷却用の熱交換器構造を構成している。第1ケース18A側の熱交換器構造の出口通路部26Aと、第2ケース18B側の熱交換器構造の入口通路部26Bとの間を連通パイプ26Cにより連通している。
【0111】
(第5実施形態)
第1〜第3実施形態では、管理温度の高い直流電圧変換器19、20と管理温度の低い電池16とを同一ケース18内にて隣接配置しているので、図7(a)の矢印Eに示すように管理温度の高い直流電圧変換器19、20から管理温度の低い電池16への熱移動が発生しやくすく、この影響で電池温度が上昇する。
【0112】
そこで、第5実施形態では、図7(b)に示すように管理温度の高い直流電圧変換器19、20と管理温度の低い電池16との間に、樹脂等の断熱材からなる電池代替部材(ダミースペーサ)62を配置して、管理温度の高い直流電圧変換器19、20から管理温度の低い電池16への熱移動を抑制する。
【0113】
(第6実施形態)
第1実施形態では、システムメインリレー等を含む電装品21を直流電圧変換器19、20と同様の板形状に形成し、電装品21と直流電圧変換器19、20を冷却水流れに対して並列配置しているが、第6実施形態では、図8に示すようにボックス形状に形成した電装品21を、板形状の直流電圧変換器19、20に対して冷却水流れ下流側に配置している。
【0114】
(第7実施形態)
図9は第7実施形態であり、第1実施形態における水冷媒熱交換器37等を廃止して発熱機器冷却水回路Cにおける冷却水の冷却を発熱機器用ラジエータ13のみで行う例である。なお、第7実施形態では発熱機器用冷却ユニットとして、第1実施形態の第2発熱機器用冷却ユニット15に対応する冷却ユニット15を1個のみ設けている。
【0115】
(第8実施形態)
図10は第8実施形態であり、発熱機器用ラジエータとして、発熱機器冷却水回路Cにおける冷却水の全量が通過する主ラジエータ13と、この主ラジエータ13出口側の冷却水通路を主通路63と補助通路64とに分岐し、補助通路64に補助ラジエータ65を追加している。
【0116】
これにより、電池16は、主ラジエータ13と補助ラジエータ65の両方で冷却された冷却水で低温に冷却できるようにしている。これに対し、直流電圧変換器19、20と電装品21は、電池16側の冷却通路27通過後の冷却水と主通路63からの冷却水との混合冷却水にて冷却する。
【0117】
(第9実施形態)
図11は第9実施形態であり、ウォータポンプ33の吐出通路を主通路66と補助通路67とに分岐し、補助通路67に発熱機器用ラジエータ13を設け、このラジエータ13で冷却された冷却水で電池16を冷却する。
【0118】
これに対し、直流電圧変換器19、20と電装品21は、電池16側の冷却通路27通過後の冷却水と主通路66からの冷却水との混合冷却水にて冷却する。
【0119】
(第10実施形態)
図12は第10実施形態であり、発熱機器用冷却ユニット15において電池16側の冷却水は空調用冷凍サイクルBの低温冷媒により冷却し、これに対し、直流電圧変換器19、20と電装品21側の冷却水は発熱機器用ラジエータ13により冷却する。
【0120】
このため、電池側の入口通路部25と、直流電圧変換器19、20および電装品21側の出口通路部30との間、電池側の出口通路部26Aと、直流電圧変換器19、20および電装品21側の入口通路部26Bとの間を仕切部31により仕切っている。
【0121】
これにより、電池側の冷却通路27には水冷媒熱交換器37で冷却された低温冷却水をウォータポンプ68により循環する。また、直流電圧変換器19、20および電装品21側の冷却通路32には発熱機器用ラジエータ13により冷却された低温冷却水をウォータポンプ33により循環する。
【0122】
なお、第10実施形態では、第1実施形態の弁装置38の電磁弁38aを減圧器38bから分離して水冷媒熱交換器37の冷媒通路下流側に配置している。
【0123】
(第11実施形態)
図13は第11実施形態であり、発熱機器用冷却ユニット15において電池16側の冷却水のみならず、直流電圧変換器19、20および電装品21側の冷却水もすべて空調用冷凍サイクルBの冷熱により冷却する。これにより、発熱機器用ラジエータ13を廃止している。
【0124】
(第12実施形態)
図14は第12実施形態であり、発熱機器用冷却ユニット15の冷却流体として冷却水を用いずに、空調用冷凍サイクルBの冷媒を直接用いる方式(冷媒冷却方式)に関する。
【0125】
このため、冷凍サイクルBにおいて凝縮器7の出口側から圧縮機7の吸入側に至る分岐冷媒通路69を設け、この分岐冷媒通路69に高圧液冷媒を圧送する電動式の液冷媒ポンプ70、減圧器71および発熱機器用冷却ユニット15を直列に設けている。発熱機器用冷却ユニット15においては、電池側の冷却通路27を冷媒流れの上流側に配置し、直流電圧変換器19、20および電装品21側の冷却通路32を冷媒流れの下流側に配置している。
【0126】
(第13実施形態)
図15は第13実施形態であり、空冷方式と水冷方式とを組み合わせて発熱機器用冷却ユニット15を冷却する。
【0127】
このため、発熱機器用冷却ユニット15において、電池側の冷却通路27には図示しない送風機により車室内空気Fを送風して、電池16を空冷する。これに対し、直流電圧変換器19、20および電装品21側の冷却通路32には発熱機器用ラジエータ13により冷却された低温冷却水をウォータポンプ33により循環して、直流電圧変換器19、20および電装品21を水冷する。
【0128】
(第14実施形態)
図16は第14実施形態であり、発熱機器用冷却ユニット15の全体を空冷方式とする場合の車両搭載構造を例示する。電動式の送風機72は車室内空気を吸入して発熱機器用冷却ユニット15のケース18内に送風して、ケース18内の電池16、直流電圧変換器19、20および電装品21のすべてを空冷する。
【0129】
これらを空冷した空気はケース18の吹出口73から再び車室内へ戻る。この空冷後の空気を車両床板58の下方(車室外)へ導くようにしてもよい。
【0130】
(第15実施形態)
図17は第15実施形態であり、低外気温時に直流電圧変換器19、20側の発熱量を利用して電池16を予熱できるようにしたものである。
【0131】
このため、第15実施形態では発熱機器用ラジエータ13と並列のバイパス通路73を設け、このバイパス通路74を流路切替手段をなすサモースタット34にて開閉するようにしている。
【0132】
具体的には、サモースタット34は発熱機器冷却水回路Cを常時開口したままに維持し、かつ、水温が所定温度(例えば、40℃程度)に上昇するまでは、バイパス通路74を開口して直流電圧変換器19、20で加熱された冷却水をバイパス通路74により発熱機器用冷却ユニット14、15の入口側へ直接戻して、電池16を予熱する。このとき、発熱機器用ラジエータ13はバイパス通路74により短絡されるので、発熱機器用ラジエータ13には少量の冷却水が流れるだけである。
【0133】
サモースタット34部の水温が上記所定温度以上に上昇すると、サモースタット34がバイパス通路74を遮断するので、冷却水の全量が発熱機器用ラジエータ13を通過して流れ、冷却水がラジエータ13にて冷却される。
【0134】
(第16実施形態)
図18は第16実施形態であり、シート暖房機能を発揮できるようにしたものである。車両のシート57に冷却水(温水)を熱源とする放熱器74を配置し、発熱機器冷却水回路Cのうち発熱機器用冷却ユニット14、15の出口側流路に放熱器75を電動式の流路切替弁76を介して接続している。
【0135】
シート暖房機能を行うときは、流路切替弁76を放熱器75側の流路77を開口して、発熱機器冷却水回路Cの主流路78を閉塞する状態に切り替える。これにより、発熱機器用冷却ユニット14、15の出口側の高温の冷却水を放熱器75に導入して、放熱器75によりシート57を加熱してシート暖房機能を発揮できる。
【0136】
ここで、放熱器75によりシート57自体を直接加熱するようにしてよいが、あるいは放熱器75により加熱された空気(温風)を図示しない送風機にてシート57の表皮部材に設けた多数の微小吹出穴から吹き出すようにしてもよい。
【0137】
(第17実施形態)
図19は第17実施形態であり、第1実施形態におけるサモースタット34をエンジン冷却水回路Aのうち、暖房用ヒータコア6の出口側通路に配置している。
【0138】
このサーモスタット34は、暖房用ヒータコア6の出口側冷却水温度が所定温度(例えば、40〜50℃程度)に上昇するまでは連絡通路36を開口して暖房用ヒータコア6の出口側通路を連絡通路36に連通している。
【0139】
これに対し、暖房用ヒータコア6の出口側冷却水温度が上記所定温度以上に上昇すると、サーモスタット34の弁体が連絡通路36を閉塞して、暖房用ヒータコア6の出口側通路をエンジン冷却水回路Aのウォータポンプ2吸入側に連通させる。
【0140】
また、発熱機器冷却水回路Cのウォータポンプ33の出口側とエンジン冷却水回路Aのサーモスタット34の出口側との間を連絡通路35により接続している。
【0141】
第17実施形態によると、暖房用ヒータコア6の出口側冷却水温度が所定温度(例えば、40〜50℃程度)に上昇するまでは、サーモスタット34が連絡通路36を開口している。これにより、発熱機器冷却水回路Cのウォータポンプ33出口側→連絡通路35→エンジン冷却水回路Aのウォータポンプ2→エンジン1→暖房用ヒータコア6→サーモスタット34→連絡通路36→水冷媒熱交換器37→第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15→ウォータポンプ33の吸入側に至る閉回路が形成される。
【0142】
このため、発熱機器冷却水回路Cの第1、第2発熱機器用冷却ユニット14、15で吸熱して温度上昇した冷却水がエンジン冷却水回路Aのウォータポンプ2の吸入側に流入する。
【0143】
従って、このウォータポンプ2の吸入側でエンジン冷却水回路Aの冷却水と発熱機器冷却水回路Cの冷却水が混合してエンジン冷却水回路Aの冷却水温度の上昇を促進できる。これにより、冬期の寒冷時には、車両エンジン1の暖機を促進できるとともに、ヒータコア6による車室内即効暖房を促進できる。
【0144】
(他の実施形態)
なお、本発明は上述の第1〜第17実施形態に限定されることなく、さらに、以下のように種々変形可能である。
【0145】
(1)第1実施形態等では、電池16を冷却するに際して、電池16の板形状の表裏両面の全域にわたって冷却通路24、27を形成する例について説明したが、特開2002−56904号公報に記載されているように、電池16の端子部のみに冷却通路24、27を形成するようにしてもよい。
【0146】
(2)第1実施形態等では、複数の発熱機器の組み合わせとして、電池16、直流電圧変換器19、20および電装品21の組み合わせを示しているが、電池を含まない組み合わせ、例えば、直流電圧変換器19、20と電装品21のみの組み合わせを本発明の発熱機器冷却構造に適用してもよい。
【0147】
(3)発熱機器用冷却ユニット14、15の搭載位置として、電池(バッテリ)容量が小さい場合は、車両の助手席側シートの下方位置のみに発熱機器用冷却ユニット14、15を搭載し、電池(バッテリ)容量が大きい場合は、車両の助手席側シートおよび運転席側シートの両方の下方位置に発熱機器用冷却ユニット14、15を搭載すればよい。
【0148】
(4)上述の実施形態の中で、冷却ユニット14、15における冷却流体として、水、空気、冷媒の3種類について説明したが、冷却流体としてオイル類を用いて発熱機器を液冷するようにしてもよい。
【0149】
(5)空調用冷凍サイクルBの圧縮機7が空調側の制御条件では停止状態になっている条件でも、圧縮機7を短時間だけ強制的に運転して水冷媒熱交換器37において低温の冷水をつくっておき、発熱機器の瞬時発熱にもこの低温の冷水を用いて発熱機器を急速冷却できるようにしてもよい。
【0150】
(6)上述の実施形態では、冷却水流路切替手段をなすサーモスタット34を水温に直接応動する冷却水温度応動弁で構成しているが、この冷却水温度応動弁の代わりに冷却水温度に応じて電気的に開閉制御される電動弁を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体システム構成図である。
【図2】第1実施形態による発熱機器用冷却ユニットの熱交換器構造の要部断面図である。
【図3】第1実施形態による発熱機器用冷却ユニットの車両搭載図である。
【図4】第2実施形態による発熱機器用冷却ユニットの概略断面図である。
【図5】第3実施形態による発熱機器用冷却ユニットの概略断面図である。
【図6】第4実施形態による発熱機器用冷却ユニットの概略断面図である。
【図7】(a)は第5実施形態による課題を説明する熱交換器構造の要部断面図、(b)は第5実施形態による熱交換器構造の要部断面図である。
【図8】第6実施形態による発熱機器用冷却ユニットの概略断面図である。
【図9】第7実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図10】第8実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図11】第9実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図12】第10実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図13】第11実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図14】第12実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷媒回路図である。
【図15】第13実施形態による発熱機器用冷却ユニットの冷却水回路図である。
【図16】第14実施形態による発熱機器用冷却ユニットの車両搭載図である。
【図17】第15実施形態を示す全体システム構成図である。
【図18】第16実施形態による発熱機器用冷却ユニットの車両搭載図である。
【図19】第17実施形態を示す全体システム構成図である。
【符号の説明】
【0152】
16…電池(発熱機器)、19、20…直流電圧変換器(発熱機器)、
21…電装品(発熱機器)、24、27、32…冷却通路、
51、52…熱交換部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成された複数の発熱機器(16、19〜21)を有し、
前記複数の発熱機器(16、19〜21)は所定間隔を介して板厚方向に積層配置され、前記所定間隔の部分に冷却通路(24、27、32)が構成され、
前記冷却通路(24、27、32)を通過する冷却流体により前記複数の発熱機器(16、19〜21)が冷却されるようにしたことを特徴とする発熱機器の冷却構造。
【請求項2】
板状に形成された複数の発熱機器(16、19〜21)と、
前記板状の発熱機器(16、19〜21)を収容する扁平状の機器収容空間(55)および扁平状の冷却通路(24、27、32)を前記発熱機器(16、19〜21)の板厚方向に交互に形成する熱交換部材(51、52)とを有し、
前記冷却通路(24、27、32)を通過する冷却流体により前記熱交換部材(51、52)を介して前記発熱機器(16、19〜21)の板状の両面が冷却されるようにしたことを特徴とする発熱機器の冷却構造。
【請求項3】
前記発熱機器(16、19〜21)は電気機器であり、前記発熱機器(16、19〜21)と前記熱交換部材(51、52)の壁面との間に電気絶縁部材(56)が介在されていることを特徴とする請求項2に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項4】
前記発熱機器(16、19〜21)と前記熱交換部材(51、52)とを圧接させる方向のばね力を発生するばね手段(61)を有することを特徴とする請求項2または3に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項5】
前記複数の発熱機器(16、19〜21)を1つのケース(17、18)内に一体に収容することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項6】
前記複数の板状の発熱機器(16、19〜21)は互いに種類が異なるものであり、
前記種類が異なる複数の発熱機器(16、19〜21)が略同一の板状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項7】
前記複数の発熱機器(16、19〜21)は、耐久寿命確保のための管理温度が低い第1の発熱機器(16)と、前記第1の発熱機器(16)よりも管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)とを包含していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項8】
前記第1の発熱機器(16)と、前記第2の発熱機器(19〜21)との間に、前記両発熱機器(16、19〜21)よりも断熱性に優れた発熱機器代替部材(62)が介在されていることを特徴とする請求項7に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項9】
前記冷却流体の流れ方向の上流側に前記第1の発熱機器(16)が配置され、
前記第1の発熱機器(16)の下流側に前記第2の発熱機器(19〜21)が配置されることを特徴とする請求項7または8に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項10】
前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)の通路数に比較して、前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)の通路数が少ないことを特徴とする請求項9に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項11】
前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)を通過する冷却流体の流速よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)を通過する冷却流体の流速を高くする流速変更手段を有することを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項12】
耐久寿命確保のための管理温度が低い第1の発熱機器(16)と、前記第1の発熱機器(16)よりも管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)とを有し、
前記第1の発熱機器(16)および前記第2の発熱機器(19〜21)を同一の冷却流体にて冷却するに当たり、前記第1の発熱機器(16)の周囲を通過する冷却流体の流速よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の周囲を通過する冷却流体の流速を高くする流速変更手段を有することを特徴とする発熱機器の冷却構造。
【請求項13】
前記流速変更手段は、前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)の総通路断面積よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)の総通路断面積を小さくすることにより構成されることを特徴とする請求項11または12に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項14】
前記第1の発熱機器は車載の電池(16)であり、前記第2の発熱機器は車載の直流電圧変換器(19、20)であり、前記冷却流体は冷却水であることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項15】
前記冷却水が循環する発熱機器冷却水回路(C)に、空気により前記冷却水を冷却する発熱機器用ラジエータ(13)および前記冷却水を冷凍サイクル(B)の冷媒により冷却する水冷媒熱交換器(37)の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項14に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項16】
前記第1の発熱機器は車載の電池(16)であり、前記第2の発熱機器は車載の直流電圧変換器(19、20)であり、前記冷却流体は空気であることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項17】
前記空気は車室内空気であることを特徴とする請求項16に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項18】
前記電池(16)および前記直流電圧変換器(19、20)を包含する冷却ユニット(14、15)が車両のシート(57)の下方部に搭載されることを特徴とする請求項14ないし17のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項19】
前記冷却水を熱源として車両のシート(57)を加熱するシート用放熱器(75)を備えることを特徴とする請求項14または15に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項20】
エンジン冷却水回路(A)を備える車両に搭載される発熱機器の冷却構造であって、
前記冷却流体は冷却水であり、前記第1の発熱機器(16)および前記第2の発熱機器(19〜21)を通過して温度上昇した前記冷却水を前記エンジン冷却水回路(A)に流入させるように冷却水流路を切り替える流路切替手段(34)を備えることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項21】
前記冷却流体は冷却水であり、前記第2の発熱機器(19〜21)を通過して温度上昇した前記冷却水を前記第1の発熱機器(16)側へ直接戻すように冷却水流路を切り替える流路切替手段(34)を備えることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項1】
板状に形成された複数の発熱機器(16、19〜21)を有し、
前記複数の発熱機器(16、19〜21)は所定間隔を介して板厚方向に積層配置され、前記所定間隔の部分に冷却通路(24、27、32)が構成され、
前記冷却通路(24、27、32)を通過する冷却流体により前記複数の発熱機器(16、19〜21)が冷却されるようにしたことを特徴とする発熱機器の冷却構造。
【請求項2】
板状に形成された複数の発熱機器(16、19〜21)と、
前記板状の発熱機器(16、19〜21)を収容する扁平状の機器収容空間(55)および扁平状の冷却通路(24、27、32)を前記発熱機器(16、19〜21)の板厚方向に交互に形成する熱交換部材(51、52)とを有し、
前記冷却通路(24、27、32)を通過する冷却流体により前記熱交換部材(51、52)を介して前記発熱機器(16、19〜21)の板状の両面が冷却されるようにしたことを特徴とする発熱機器の冷却構造。
【請求項3】
前記発熱機器(16、19〜21)は電気機器であり、前記発熱機器(16、19〜21)と前記熱交換部材(51、52)の壁面との間に電気絶縁部材(56)が介在されていることを特徴とする請求項2に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項4】
前記発熱機器(16、19〜21)と前記熱交換部材(51、52)とを圧接させる方向のばね力を発生するばね手段(61)を有することを特徴とする請求項2または3に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項5】
前記複数の発熱機器(16、19〜21)を1つのケース(17、18)内に一体に収容することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項6】
前記複数の板状の発熱機器(16、19〜21)は互いに種類が異なるものであり、
前記種類が異なる複数の発熱機器(16、19〜21)が略同一の板状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項7】
前記複数の発熱機器(16、19〜21)は、耐久寿命確保のための管理温度が低い第1の発熱機器(16)と、前記第1の発熱機器(16)よりも管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)とを包含していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項8】
前記第1の発熱機器(16)と、前記第2の発熱機器(19〜21)との間に、前記両発熱機器(16、19〜21)よりも断熱性に優れた発熱機器代替部材(62)が介在されていることを特徴とする請求項7に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項9】
前記冷却流体の流れ方向の上流側に前記第1の発熱機器(16)が配置され、
前記第1の発熱機器(16)の下流側に前記第2の発熱機器(19〜21)が配置されることを特徴とする請求項7または8に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項10】
前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)の通路数に比較して、前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)の通路数が少ないことを特徴とする請求項9に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項11】
前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)を通過する冷却流体の流速よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)を通過する冷却流体の流速を高くする流速変更手段を有することを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項12】
耐久寿命確保のための管理温度が低い第1の発熱機器(16)と、前記第1の発熱機器(16)よりも管理温度が高い第2の発熱機器(19〜21)とを有し、
前記第1の発熱機器(16)および前記第2の発熱機器(19〜21)を同一の冷却流体にて冷却するに当たり、前記第1の発熱機器(16)の周囲を通過する冷却流体の流速よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の周囲を通過する冷却流体の流速を高くする流速変更手段を有することを特徴とする発熱機器の冷却構造。
【請求項13】
前記流速変更手段は、前記第1の発熱機器(16)の冷却通路(24、27)の総通路断面積よりも前記第2の発熱機器(19〜21)の冷却通路(32)の総通路断面積を小さくすることにより構成されることを特徴とする請求項11または12に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項14】
前記第1の発熱機器は車載の電池(16)であり、前記第2の発熱機器は車載の直流電圧変換器(19、20)であり、前記冷却流体は冷却水であることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項15】
前記冷却水が循環する発熱機器冷却水回路(C)に、空気により前記冷却水を冷却する発熱機器用ラジエータ(13)および前記冷却水を冷凍サイクル(B)の冷媒により冷却する水冷媒熱交換器(37)の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項14に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項16】
前記第1の発熱機器は車載の電池(16)であり、前記第2の発熱機器は車載の直流電圧変換器(19、20)であり、前記冷却流体は空気であることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項17】
前記空気は車室内空気であることを特徴とする請求項16に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項18】
前記電池(16)および前記直流電圧変換器(19、20)を包含する冷却ユニット(14、15)が車両のシート(57)の下方部に搭載されることを特徴とする請求項14ないし17のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項19】
前記冷却水を熱源として車両のシート(57)を加熱するシート用放熱器(75)を備えることを特徴とする請求項14または15に記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項20】
エンジン冷却水回路(A)を備える車両に搭載される発熱機器の冷却構造であって、
前記冷却流体は冷却水であり、前記第1の発熱機器(16)および前記第2の発熱機器(19〜21)を通過して温度上昇した前記冷却水を前記エンジン冷却水回路(A)に流入させるように冷却水流路を切り替える流路切替手段(34)を備えることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【請求項21】
前記冷却流体は冷却水であり、前記第2の発熱機器(19〜21)を通過して温度上昇した前記冷却水を前記第1の発熱機器(16)側へ直接戻すように冷却水流路を切り替える流路切替手段(34)を備えることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1つに記載の発熱機器の冷却構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−216303(P2006−216303A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26443(P2005−26443)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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