説明

発電装置付可撓性モジュールと、これを用いた発電装置付可撓性センサ装置

【課題】本発明は生産性の良好な発電装置付可撓性モジュールを提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、この課題を解決するために信号処理回路5bと、この信号処理回路5bを駆動する発電ブロック6と、これら発電ブロック6と信号処理回路5が形成された基板8とを備え、基板8には可撓性領域9と剛性領域10とを設け、この剛性領域10上には電子部品13や半導体素子12が装着されて、信号処理回路5bが形成されるとともに、可撓性領域9には発電ブロック6が形成されたものである。これにより、信号処理回路5bは剛性領域10に形成されるので、容易に実装ができる。また、発電ブロックが可撓性領域9に設けられるので可撓性を失うこともないので、しっかりと測定対象へ装着できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物に装着され、発電手段とこの発電手段によって駆動される信号処理回路とを含む発電装置付可撓性モジュールとこれを用いた発電装置付可撓性センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のセンサ装置について説明する。従来のセンサ装置は、片面のフレキシブル基板上に、アンテナ、バッテリ、信号処理回路や温度センサ5aが搭載され、これらが保護膜で覆われた構成である。
【0003】
このように構成されたセンサ装置は例えば人体に直接貼り付けられ、信号処理回路が温度センサで検出した体温の信号を送信信号へと変換し、アンテナを介して外部の監視装置へと送信するものである。なお、これらの温度センサや信号処理回路は、バッテリから供給される電源電圧によって駆動される。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−201338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来のセンサ装置では、フレキシブル基板上に信号処理回路や温度センサが構成されている。つまり、これらの部品をフレキシブル基板上に実装する必要があるが、汎用の実装機などでの実装が困難であり、生産性が悪いという課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、汎用の実装機などで容易に実装でき、生産性の良好な発電装置付可撓性モジュールならびにセンサ装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために発電ブロックと、センサで検出された信号が入力される信号処理回路とを有し、基板には可撓性領域と剛性領域と、この剛性領域上には複数の電子部品が装着されて、少なくとも前記信号処理回路が形成されるとともに、前記可撓性領域には少なくとも前記発電ブロックが形成されたものである。これにより初期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、基板と、この基板上に構成された信号処理回路と、この信号処理回路を駆動する電源電圧を発生する発電ブロックとを備え、前記発電ブロックが前記基板上に構成された発電装置付センサモジュールにおいて、前記基板には可撓性領域と剛性領域とを設け、この剛性領域上には複数の電子部品が装着されて、少なくとも前記信号処理回路が形成されるとともに、前記可撓性領域には少なくとも前記発電ブロックが形成された発電装置付可撓性モジュールである。
【0010】
これにより、剛性領域上に信号処理回路が形成されるので、この信号処理回路を構成する電子部品は汎用の実装機などで容易に実装が可能となる。したがって、非常に生産性の良好な発電装置付可撓性モジュールを実現できる。
【0011】
また、発電ブロックが可撓性領域に形成されるので、装着対象の形状や、動きなどによらず、装着対象に対して発電装置付可撓性モジュールをしっかりと装着することができる。従って、発電装置付可撓性モジュール上にセンサなどを設けておけば、センサを測定対象に近接あるいは接触させて測定することも可能となるので、精度よく検知することができる。さらに、装着対象を人体としたような場合、発電装置付可撓性モジュールの装着に対する違和感を少なくするとともに、行動への妨げを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態におけるセンサ装置の正面図
【図2】同、断面図
【図3】同、回路ブロック図
【図4】同、第2の例のセンサ装置の断面図
【図5】同、第3の例のセンサ装置の断面図
【図6】同、第4の例のセンサ装置の断面図
【図7】実施の形態2におけるセンサ装置を貼り付けた状態での断面図
【図8】同、センサ装置の下面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態における発電装置付可撓性センサ装置(以降センサ装置1という)について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるセンサ装置の正面図であり、図2は、同断面図である。本実施の形態におけるセンサ装置1は、測定対象に装着されて、規定の情報を検知し、その検知情報を親機(図示なし)へ送信するものである。そのためにセンサ装置1には、検知した情報を送信するセンサモジュール2(発電装置付可撓性モジュールの一例として用いた)と、このセンサモジュール2を測定対象へ装着するための装着部材とを有した構成となっている。
【0014】
なお、本実施の形態におけるセンサ装置1では、装着部材として、センサモジュール2の測定対象と面する側(図1における下面側)に増粘剤3が形成されている。なお、本実施の形態では、センサモジュール2の下面に増粘剤3が設けられているが、これは下面側に増粘剤3が塗布され、センサモジュール2より大きなサイズの樹脂シートを用いても良い。そしてこの場合、樹脂シートはセンサモジュール2を覆うようにして測定対象へ貼り付けられる。ここで、本実施の形態のセンサ装置1における測定対象は人体であり、人体に貼り付けてさまざまな人体情報を検知するものである。
【0015】
図3は、本実施の形態におけるセンサモジュール2の回路ブロック図である。では図3を用いて、本実施の形態におけるセンサモジュール2の回路について詳細に説明する。センサモジュール2には、信号処理部5と、この信号処理部5へ電源電圧を供給する発電ブロック6と、信号処理部5の出力(あるいは入出力、または入力)に接続されたアンテナ7とを有している。ここで信号処理部5には、人体の人体情報を検知するセンサ5aと、このセンサ5aで検出された情報を送信信号へと変換する信号処理回路5bと、これらのセンサ5aや信号処理回路5bを駆動制御するための駆動回路5cとを有している。
【0016】
本実施の形態におけるセンサ5aは人体の体温を測定する温度センサとしているが、これに限らず脈拍や動作など他の生体情報を検知するセンサであっても良い。また、本実施の形態では人体に装着して、人体情報を検知しているが、これに限らず人体以外を測定対象としても良い。この場合、それぞれの測定対象に応じ、種々の情報を検知するためのセンサが適宜設けられる。
【0017】
次に、図1、図2を用いて、本実施の形態におけるセンサ装置1の構成を説明する。基板8は、フレキシブル配線基板8a(可撓性基材の一例として用いた)とガラス基材エポキシ樹脂系のプリント基板8b(非可撓性基材の一例として用いた)とから形成されている。本実施の形態では、フレキシブル配線基板8aの両端部近傍上にプリント基板8bが積層された構成としている。そしてこの構成により、基板8には、フレキシブル配線基板8a単独の可撓性領域9と、フレキシブル配線基板8a上にプリント基板8bが搭載された剛性領域10とが形成される。つまり、フレキシブル配線基板8aにおいてプリント基板8bと接続される接続部11は、可撓性領域9のフレキシブル配線基板8aの両端から延在して形成される。そしてこの接続部11とプリント基板8bとは、はんだや導電性接着剤などのような導電部材によって接続される。
【0018】
ここで剛性領域10には、信号処理部5が形成されている。ただし本実施の形態では、信号処理回路5bや駆動回路5cなどを構成する半導体素子12(電子部品の一例として用いた)や電子部品13が、プリント基板8bの上面側に装着されている。この半導体素子12は、いわゆるベアチップであり、プリント基板8bへフリップチップ実装されている。一方センサ5aはフレキシブル配線基板8aの接続部11の下面へ装着される。本実施の形態では、半導体素子12のプリント基板8bへの実装は、異方性導電フィルム(いわゆるACF)により行われているが、これは異方性導電ペーストや非導電性フィルムや非導電性ペーストなどによる接続でも良い。一方、電子部品13やセンサ5aは、クリーム半田や導電性の接着剤などによって装着される。
【0019】
なお、プリント基板8bは、フレキシブル配線基板8aにおける接続部11の上側のみに搭載しているが、これは上下両面や下面側のみとしても構わない。また、本実施の形態ではセンサ5aは測定対象へ接触させて検知するセンサ5aであるので、フレキシブル配線基板8aの下面にセンサ5aが装着される。これによって人体の情報を精度良く検知できる。
【0020】
図4は、第2の例におけるセンサ装置の断面図である。本実施の形態においてセンサ5aは、フレキシブル配線基板8aの下面に搭載されたが、これはプリント基板8bの下面に装着しても良い。いずれにしてもセンサ5aを剛性領域10におけるフレキシブル配線基板8aあるいはプリント基板8bの下面側(剛性領域10の下面側)に搭載することが重要である。この構成により、汎用の実装機などを用いて容易にセンサ5aを実装できるので、生産性の良好なセンサモジュール2を実現できる。
【0021】
ただし、測定対象へ接触させる必要性のないセンサ5aは、他の電子部品13や半導体素子12と同様にプリント基板8bの上面に装着すると良い。この場合これらの部品を同時に装着できるので、さらに生産性が良くできる。
【0022】
一方可撓性領域9には、発電ブロック6とアンテナ7とが形成されている。本実施の形態では、アンテナ7にはプリントアンテナを用いているので、フレキシブル配線基板8a上に形成した。しかし、アンテナ7に例えば空芯コイルなどを用いる場合には、これもプリント基板8b上に搭載する。
【0023】
では次に発電ブロック6について詳細に説明する。本実施の形態における発電ブロック6は色素増感型の太陽電池であり、フレキシブル配線基板8aにおける可撓性領域9上に形成されている。この少なくともフレキシブル配線基板8aの上面には銅箔によるパターンが配線され、可撓性領域9には、銅箔によって太陽電池の一方の電極(図示せず)が形成されている。そして太陽電池の他方の電極14は、フレキシブル配線基板8aにおける可撓性領域9の上方に配置される。この他方の電極14とフレキシブル配線基板8aとの間の接続は、スペーサ15によって行われ、このスペーサ15に設けられた孔15aは電解液によって満たされている。すなわち、電解液はフレキシブル配線基板8aとスペーサ15と電極14とによって囲まれ、完全に密封された状態となる。ここで電極は、透明な樹脂製の支持基材と、この支持基板の下面に形成された透明電極膜より形成される。なお、透明電極膜には、酸化亜鉛などの金属膜が用いられる。
【0024】
このとき、発電ブロック6の可撓性を失わないようにするため、スペーサ15や電極14にもPETなどのような可撓性を有した基材が用いられる。このように色素増感型の太陽電池は、可撓性を有した材料で形成し易いので、可撓性を有したセンサ装置1を実現し易くなる。
【0025】
ここで、センサ装置1はある期間の間、継続的に情報を検知するために、長期間人体に貼り付けられた状態のままとなる。しかし、同一場所への長期の装着はかぶれなどの原因となるため、定期的にセンサ装置1を貼り付ける位置を変更することや、あるいは入浴時にセンサ装置1を外し、装着箇所を洗うなどの処置をすることが望ましい。ところが、一般的に一度肌へ貼り付けた増粘剤3には、ごみ(垢など)が付着するので、再度貼り付けようとした場合、増粘剤3の粘着力が大幅に低下する。そこで、このように人体へ増粘剤3で直接貼り付けて使用されるセンサ装置1では、多くとも数回程度の再利用の後は廃棄され、新しいセンサ装置1へと交換されるため、低価格であることが非常に重要となる。そこで、本実施の形態における太陽電池には、色素増感型太陽電池を用いている。色素増感型太陽電池は、シリコンアモルファスによる太陽電池に比べて、その製造コストや原材料のコストが低価格であり、非常に低価格なセンサ装置1を実現できる。なお本実施の形態において、発電ブロック6は色素増感型の太陽電池としたが、これは例えばシリコンアモルファスによる太陽電池や、燃料電池などでも良く、可撓性を有した発電手段であれば良い。
【0026】
以上のような構成によって、剛性領域10であるプリント基板8b上に信号処理回路5bが形成されるので、電子部品13や半導体素子12は汎用の実装機などで容易に実装が可能となる。したがって、非常に生産性の良好なセンサモジュール2を実現できる。また、半導体素子12が剛性領域10にフリップチップ実装されるので、半導体素子12をプリント基板8bにしっかりと圧接できる。したがって、半導体素子12とプリント基板8bとの間の接続の信頼性を高くできる。
【0027】
また、フレキシブル配線基板8aの可撓性領域9上に色素増感太陽電池が形成されるので、センサ装置1を貼り付ける場所の形状や、動きなどによらず、センサ装置1をしっかりと装着することができる。従って、センサ5aと測定対象との間の距離などの変化も小さく、あるいは確実に測定対象へ接触させて測定することも可能となるので、精度のよい検知を行うことができる。さらに、発電ブロック6が可撓性領域9に形成されているので、センサ装置1の装着に対する違和感を少なくするとともに、行動への妨げを少なくすることができる。
【0028】
さらにまた、剛性領域10の端部近傍には、帯状(あるいは紐状など)の装着具が取り付けられる装着具固定部が形成される。これにより、装着具固定部が剛性領域10に設けられるので、装着具の取り付け部の破壊などが生じ難くなり、長期にセンサ装置1をしっかりと装着することができる。なお本実施の形態では可撓性領域9の両側に剛性領域10を設け、これら両方の剛性領域10の両端部近傍に装着具固定部が形成されている。そしてその装着具固定部の一例として、プリント基板8b、接続部11、増粘剤3ならびに剥離紙4を貫通する孔16を形成している。そしてこの孔16に柔軟性と弾性とを有した帯や紐を通すことで、帯や紐などを用いて腕などの部位へ装着することができる。これにより孔16は剛性領域10に設けられているので、たとえ帯や紐などを取り付けても孔16に亀裂などが生じにくくなり、センサ装置1をしっかりと装着することができる。
【0029】
なお、装着具ならびに装着具固定部の形態は本実施の形態に限るものではなく、例えば孔16に代えてプリント基板8bの端部よりT字状の切り込みを設けても良い。あるいは、装着具側にクリップのような保持具が設けられているような場合、装着具固定部としては、保持具で挟まれるために電子部品13や半導体素子12が装着されない領域が形成される。そしていずれにしてもこのような構成とすることによって、装着具固定部は剛性領域に設けられるので、センサ装置1をしっかりと装着することができる。
【0030】
そしてこのようなセンサ装置1を、人体や衣服などへ直接貼り付ける場合には、増粘剤3の表面にあらかじめ設けられた剥離紙4(反射光量調整部材の一例として用いた)を剥がし、増粘剤3によってセンサモジュール2を貼り付ける。また、例えば皮膚が弱く増粘剤によるかぶれなどがあるように、人体や衣服へ直接貼り付けられないような場合、剥離紙4は剥がさず(あるいはあらかじめ増粘剤3のないセンサ装置1を準備し)、センサ装置1に装着具を装着し、この装着具によってセンサ装置1を装着する。この場合、太陽電池と装着対象との間に剥離紙4が設けられるので、装着対象の色によらず反射光量が安定する。従って、衣服の色や肌の色の違いなどに対しても安定した電圧を得ることができる。特に、剥離紙4に反射率の高い部材を用いれば、光の反射率の小さな暗色系の衣服などの上に装着された場合でも高い発電効率の太陽電池を得ることができる。
【0031】
ここで、剥離紙4と増粘剤3との間(接触面)には、シリコン樹脂などによる剥離層(表面処理の一例として用いた、図示はなし)が形成されている。これにより、剥離紙4は増粘剤3から容易に剥離(分離)可能となり、剥離紙4を剥がすと増粘剤3はフレキシブル基板8a側に残ることとなる。このようにフレキシブル基板8aの下面に増粘剤3を設けておき、剥離紙4は増粘剤3から剥がすことができる構成であるので、剥離紙4を剥がすだけで、直接装着対象へ貼り付けて使用することも可能となる。したがって、センサ装置1を直接衣服や肌へ装着することも可能となるので、装着具が不要となる。また、装着具を装着したときの違和感(締め付け感)なども少なくできる。そしてこれは、肌の色が色白である場合や、反射率の大きな色の衣服上に装着する場合には特に有効となる。
【0032】
以上のような構成によって、剥離紙4の反射率と装着対象の反射率とがほぼ等しい場合には、剥離紙4を剥がして増粘剤3によって直接センサ装置1を貼り付けることができる。一方、剥離紙4の反射率と装着対象の反射率とが異なる場合には、センサ装置1は剥離紙4を剥がさずに、装着具を取り付け、この装着具によって衣服上へ装着することができる。これにより、装着対象の色の違いに関わらず、安定した発電効率を実現できる。
【0033】
一方、衣服や肌が反射率の大きな色であるような場合、反射光量調整部材の有無による太陽電池の効率の差は小さくなる。そこで、このような場合には、剥離紙4を剥がして衣服や肌へ直接装着することも可能となるので、別途装着具などを準備する必要がなくなる。
【0034】
本実施の形態において剥離紙4の反射率は肌の反射率とほぼ同じとしている。具体的には、肌の色に近い色合いのマット紙を用いている。これにより、センサ装置1を肌へ直接装着した場合と、衣服へ装着した場合とでの太陽電池の効率のばらつきを小さくできる。また、剥離紙4は紙であるので、非常に低価格なセンサ装置1を実現できる。なお、剥離紙4の素材は、紙に限られるものではなく、PETなど他の材料を用いても構わない。ただし、このように光が透過するような材料を用いる場合、剥離紙4の表面に反射率の高い材料や色の塗料などによる表面処理を行って、光を反射するようにすればよい。
【0035】
本実施の形態における剥離紙4には、肌に近い色を用いたが、これは他の色としても良い。たとえば剥離紙4として反射素材を用いても良い。このとき、装着対象が反射率の小さな素材や暗色系の色である場合には、センサ装置1は剥離紙4を剥がさずに、装着具を取り付け、この装着具によって衣服上へ装着すると良い。一方、装着対象が反射率の大きな素材や淡色系の色である場合には、剥離紙4を剥がし、増粘剤3によって直接センサ装置1を貼り付けることができる。これによって、装着対象が違っても反射量を大きくできるので、装着対象の反射率の違いなどによらず効率の良好な太陽電池を実現できる。従って、センサ装置1がたとえば暗色系の衣服のような反射率の小さな素材上に装着されても安定した発電量を維持できる。なお反射素材には、たとえば剥離紙4の色を反射率の大きな白色や淡色系の色の素材を用いるとか、あるいはマット紙でなく光沢紙やコーティング素材などのような表面がつるつるな素材を用いれば良い。
【0036】
ここで本実施の形態では可撓性領域9の両側に剛性領域10を設けたが、電子部品13や半導体素子12が一方の剛性領域10にのみ集中して装着される場合、剛性領域10は電子部品13を搭載される側一方のみとしても良い。この場合、可撓性領域9(図1においてはフレキシブル配線基板8aの左側)の端部近傍に装着具固定部を形成する。また、帯や紐による装着が不要であるような場合にも、一方(図1において可撓性領域9の左側)の剛性領域10は削除しても良い。
【0037】
さらに、剛性領域10の両側や4方向あるいは剛性領域10を囲むように可撓性領域9を形成しても良い。この場合、剛性領域10が3箇所以上設けられるが、このような場合には、少なくとも最も離れた剛性領域10に対し装着具固定部が形成する。もちろんこの場合も上述のように、可撓性領域9に対して装着具固定部を形成しても良い。
【0038】
さらに加えて、本実施の形態では可撓性領域9と剛性領域10との間に幅狭部17を設けている。この幅狭部17の幅は、可撓性領域9の幅や剛性領域10の幅に比べて狭くしている。なお本実施の形態における幅狭部17は、可撓性領域9のフレキシブル配線基板8aにおけるプリント基板8bとの接合境界にスリット17aを設けることによって形成する。これにより、可撓性領域9と剛性領域10との間の連結は、幅狭部17によって連結されるので、可撓性領域9の変形が阻害されにくくなる。従って、センサ装置1をしっかりと測定対象へ貼り付けることができる。なお、本実施の形態では、可撓性領域9の片側にのみスリット17aを設けたが、これは両側に設けても良い。また、可撓性領域9の4方向に剛性領域10を設けても良く、いずれの場合も可撓性領域9と剛性領域10とが連結される箇所は幅狭部17とする。
【0039】
さらに、本実施の形態ではスリット17aは可撓性領域9側に形成したが、これは剛性領域10側へ形成しても良い。この場合、幅狭部17においてもプリント基板8bが形成されるので、幅狭部17上に配線された配線パターンなどに加わるストレスを小さくできる。従って、幅狭部17で配線パターンの切断などが生じ難くなり、信頼性の高いセンサ装置1を実現できる。
【0040】
センサ5aは下面(センサ装置1の人体への貼り付け面側)に搭載されている。したがって、センサ5aは直接肌などの測定対象へ接触するので、精度の良い検知が可能となる。そしてさらに本実施の形態では、センサ5aにおいて肌と接触する部分は増粘剤3が塗布されず、増粘剤3の不形成部3aとしている。
【0041】
図5は、第3の例におけるセンサ装置の断面図である。図5において図1から図4と同じものには、同じ番号を用いており、その説明は簡略化している。第3の例におけるセンサ装置1において、基板20は、可撓性を有する電極14(可撓性基材の他の例として用いた)と、プリント基板8b(非可撓性基材)とによって構成される。この例においては、電極14の下方にフレキシブル基板8bが対向して、太陽電池が形成された領域が可撓性領域9となる。一方、剛性領域10は、電極14の下にプリント基板8bが積層されて形成される。
【0042】
そして電極14の下面では、透明電極膜がフレキシブル基板8aと対向した面からプリント基板8bと電極14とが接続される箇所にまで延在して形成される。これにより、太陽電池と信号処理部5とが接続され、太陽電池で発電された電力が信号処理部5へと供給されることとなる。
【0043】
以上の構成により、半導体素子12、電子部品13やセンサ5aは剛性領域10に装着できるので、非常に生産性が良好となる。また、支持基材の上面に導体パターンを形成すれば、支持基材上面に半導体素子12、電子部品13やセンサ5aを実装することも可能となるので、信号処理部5を小型することができ、装着時の違和感を少なくできる。
【0044】
図6は、第4の例におけるセンサ装置の断面図である。図6において図1から図5と同じものには、同じ番号を用いており、その説明は簡略化している。第4の例におけるセンサ装置1において基板22は、フレキシブル基板8aとプリント基板8bとによって構成される点は、第1の例と同じである。しかし剛性領域10は、フレキシブル基板8aの下面側にプリント基板8bが積層されることによって形成される。この場合、フレキシブル基板8aには、下面にも導体パターンが形成された両面配線基板を用いる。
【0045】
この例の場合においても半導体素子12、電子部品13やセンサ5aは剛性領域10に装着できるので、非常に生産性が良好となる。また、支持基材の上面に導体パターンを形成すれば、支持基材上面に半導体素子12、電子部品13やセンサ5aを実装することも可能となるので、信号処理部5を小型することができ、装着時の違和感を少なくできる。
【0046】
なおこれら第3と第4の例の場合、プリント基板8bの下面に半導体素子12、電子部品13やセンサ5aが装着される。そしてセンサ装置1は、信号処理部5が下方を向く方向に装着される。従って、半導体素子12、電子部品13やセンサ5aが露出した状態であると、これらが直接に肌へあたることとなり、違和感が大きくなる。そこで、この例の場合、半導体素子12、電子部品13やセンサ5aを樹脂21によって覆っておく。これにより装着時の違和感を小さくできる。
【0047】
(実施の形態2)
図7は本実施の形態におけるセンサ装置を人体へ貼り付けた状態での断面図であり、図8は同、センサ装置の下面図である。これらの図7、図8において、図1や図2と同じものには、同じ番号を用いており、その説明は簡略化している。図7、図8において、剛性領域10の一部分には、フレキシブル配線基板8aとプリント基板8bとが接続された接続領域11aを有する。この接続領域11aでは、はんだや導電性接着剤などのような導電部材によって、フレキシブル配線基板8aとプリント基板8bとが接続される。そして剛性領域10において接続領域11aに隣接した領域には、遊離可能領域11bが形成される。この遊離可能領域11bでは、プリント基板8bとフレキシブル配線基板8aとは接続されておらず、遊離可能となる。
【0048】
具体的には、フレキシブル配線基板8aおよびプリント基板8bの幅方向(図2において上下方向)において全体がプリント基板8bに対して非接続とするものである。これによって、フレキシブル配線基板8aの遊離可能領域11bは、プリント基板8bから自在に遊離することができることとなる。そしてセンサ5aは、フレキシブル基板8aにおける遊離可能領域11bの下面に装着されるので、センサ5a装着領域を含め、センサ5a搭載側の端部はプリント基板8bと固定されず、遊離できる構成としている。これにより、センサ5aはプリント基板8bより遊離した状態で、被検査対象へ貼り付けることができる。従って、例えセンサ装置1の装着場所の形状が湾曲し、その局率半径が小さくても、センサ5aを確実に測定対象の表面に接触させることができる。
【0049】
さらに、センサ5aは剛体領域に搭載されることとなる。つまり、センサ5aをフレキシブル配線基板8aへ実装する工程において、センサ5aは剛体領域上に装着されることとなる。つまりこの実装工程において、センサ5aが実装される箇所では、剛性を有したプリント基板8b上にフレキシブル配線基板8aが重ねられた状態となる。これにより、プリント基板8bが受けとして作用し、センサ5aはあたかも硬い基板に実装するかのごとくに実装することができる。したがって、センサ5aの実装は汎用の実装機で容易に実装することができるので、非常に生産性の良好なセンサモジュール2を実現することができる。
【0050】
また、センサ5aは剛性領域10におけるフレキシブル配線基板8aの下面(センサモジュール2の人体への貼り付け面側)に搭載される。したがって、センサ5aは直接肌などの測定対象へ接触させることができるので、精度の良い検知が可能となる。
【0051】
さらにフレキシブル配線基板8aには遊離可能領域11bが形成されているので、センサモジュール2を被検査対象へ貼り付けた場合、フレキシブル配線基板8aがプリント基板8bより遊離し、測定対象に沿った状態で貼り付けられることとなる。そして、この遊離可能領域11bにセンサ5aが装着されているので、例えセンサモジュール2の装着場所の形状が湾曲し、その局率半径が小さくても、センサ5aを確実に測定対象の表面に接触させることができる。
【0052】
つまり、センサ5aを実装する時には、剛性を有したプリント基板8bがフレキシブル配線基板8aの受けとしての働きをし、測定対象へ貼り付けられたときには、測定対象へ貼り付けられるフレキシブル配線基板8aから遊離し、センサモジュール2の装着(センサ5aの接触)を妨げなくできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明にかかる発電装置付可撓性モジュールは、生産性が良好であるという効果を有し、可撓性を有したセンサ装置に用いると有用である。
【符号の説明】
【0054】
2 センサモジュール
5b 信号処理回路
6 発電ブロック
8 基板
9 可撓性領域
10 剛性領域
12 半導体素子
13 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号処理回路と、この信号処理回路を駆動する電源電圧を発生する発電ブロックと、この発電ブロックと前記信号処理回路とが形成される基板とを備え、前記基板には可撓性領域と剛性領域とを設け、この剛性領域には複数の電子部品が装着されて、少なくとも前記信号処理回路が形成されるとともに、前記可撓性領域には少なくとも前記発電ブロックが形成された発電装置付可撓性モジュール。
【請求項2】
可撓性領域は可撓性基材によって形成されるとともに、前記剛性領域は、前記可撓性基材における接続部の少なくともいずれか一方の面に非可撓性基材が積層されることによって形成された請求項1に記載の発電装置付可撓性モジュール。
【請求項3】
非可撓性基材には、ガラス基材のプリント配線基板を用いた請求項2に記載の発電装置付可撓性モジュール。
【請求項4】
発電ブロックには、太陽電池が形成された請求項3記載の発電装置付可撓性モジュール。
【請求項5】
太陽電池は、色素増感型太陽電池とした請求項4に記載の発電装置付可撓性モジュール。
【請求項6】
可塑性基材には、フレキシブル配線基板を用い、前記フレキシブル基板に形成された銅箔を色素増感型太陽電池の電極とした請求項5に記載の発電装置付可撓性モジュール。
【請求項7】
信号処理回路の入力に接続されたセンサを設け、このセンサは非可撓性基材に装着された請求項2に記載の発電装置付可撓性モジュール。
【請求項8】
信号処理回路の入力に接続されたセンサを設けるとともに、可撓性基材の上面に非可撓性基材が搭載され、前記センサは可撓性基材の下面であるとともに、前記非可撓性基材の下方となる位置に装着された請求項2に記載の発電装置付可撓性モジュール。
【請求項9】
前記剛性領域と前記可撓性領域との間には、前記剛性領域と前記可撓性領域との間を接続する連結領域を設け、この連結領域の幅は、前記剛性領域の幅と前記可撓性領域の幅との少なくともいずれか一方の幅より小さな幅とした請求項1に記載の発電装置付可撓性モジュール。
【請求項10】
請求項1に記載の発電装置付可撓性モジュールと、この発電装置付可撓性モジュールを測定対象物に装着するために、前記発電装置付可撓性モジュールに取り付けられる装着具とを有した発電装置付可撓性センサ装置において、前記発電装置付可撓性モジュールには、信号処理回路の入力に接続されるとともに、前記測定対象の情報を検知するセンサと、前記装着具が固定される装着具固定部とを設け、前記装着具固定部は前記剛性領域の端部近傍に形成された発電装置付可撓性センサ装置。
【請求項11】
請求項1に記載の発電装置付可撓性モジュールと、この発電装置付可撓性モジュールを測定対象へ貼り付ける増粘剤とを有した発電装置付きセンサ装置において、前記発電装置付センサ装置には、信号処理回路の入力に接続されるとともに、前記測定対象の情報を検知するセンサを設け、前記センサは前記剛性領域の下面側に搭載されて、前記測定対象へと直接接触する発電装置付可撓性センサ装置。
【請求項12】
前記センサの下側には、前記増粘剤の不形成部が形成された請求項10に記載の発電装置付可撓性センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−234047(P2010−234047A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297414(P2009−297414)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】