説明

白濁シミ付着防止洗浄方法及びその洗浄装置。

【課題】 乾燥後に発生するシリカ成分などによる白濁シミの付着及びその付着物による錆を防止する洗浄後の白濁シミ付着防止洗浄方法及びその洗浄装置を得ること。
【解決手段】 洗浄水又は濯ぎ水に含まれる不純物により白濁シミ及び錆が、洗浄、乾燥後に発生しないように、逆浸透膜(RO膜)装置で溶存不純物を除去した純水とし、特に濯ぎ槽の塩化カルシュウム、塩化ナトリウムの不純物の濃度を10ppm以下にする目的で純水の供給量を制御する洗浄後のシミ付着防止方法と、
第1槽の洗浄槽及び第2槽の濯ぎ槽に超音波発生装置及び加温するヒーターを設けた洗浄装置において、該第2槽を介して該第1槽に純水を供給する該逆浸透膜装置を備え、該第2槽の汚染度を計測する導電率センサーにより純水の供給量を制御し、また該逆浸透膜装置の排水を洗浄槽に洗浄水として供給する洗浄後の白濁シミ付着防止の超音波洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工品または食器など被洗浄物の洗浄、乾燥後に発生するシリカ成分、塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなど乾燥白濁不純物による白濁したシミの付着及びその付着物による錆を防止する方法とその超音波洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波洗浄器が家庭用として、眼鏡、宝石などを洗浄する小型の汎用のものと、大型の産業用部品洗浄に多く用いられるようになり、また高度技術を要求される半導体ウェーハ或いは液晶パネルなどガラス基板の高精密洗浄として、純水による超音波洗浄装置がプラントの一装置として提供されている。
【0003】
上述汎用の超音波洗浄器は、水又は水に洗浄剤を加えた物で洗浄することが多く、簡易に使用するものとして広く一般に提供、使用されている。
【0004】
また、金属加工品など工業的に使用される超音波洗浄器は、水と界面活性剤または溶剤により脱脂しながら部品洗浄するものもあり、さらにまた上述高精密洗浄の純水による超音波洗浄器は、イオン交換膜による純水製造装置と超音波洗浄器を組み合わせて、純水と超音波で洗浄する大型のプラントシステムの一装置で、非常に高度に不純物を除去して、被洗浄物の汚れを取り除く、高価な装置として使用されている。
【0005】
而して、先行技術の先願例として、レンズシート成形に使用されるマスター金型の鍍金の前処理方法で、その金型を切削するのに使用した切削油を除去する界面活性剤を含む薬液の水溶液による超音波洗浄工程の切削油除去工程と、レンズシート表面に切削油を除去する工程に由来するしみが発生するのを防止する洗浄工程の該水はイオン交換樹脂にて処理された純水を使用するしみ発生防止工程とを備えた、とする実施例を示す「鍍金の前処理方法」がある。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
また、他の先行技術の先願例として、第1、第2、第3および第4槽を備え、第4槽に供給された純水が、第3槽と第2槽を経て第1槽へ流れる脱脂洗浄装置であって、第1槽の底部にはバブリング装置が配設され、第2および第3槽の底面または側面に超音波発生装置が、底部に水中ジェット発生装置がそれぞれ配設され、第4槽の底部には水中ジェット発生装置が配設されている、とした実施例を示す「金属材料の脱脂洗浄装置」がある。(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−167687号公報
【特許文献2】特開平7−238391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した水による洗浄後のシミ及び錆の発生における水中の成分について、一般的に言われる乾燥後のシミの原因は、水に溶解するイオン(Na,Mg,Na,Cl,SO等イオン状シリカ)及び非溶解成分(細菌などの有機物、粘土などの無機物)とコロイド(コロイド状シリカ)などがあり、その内、イオン交換膜で除去されるのは、イオン成分であり、乾燥後のシミ及び錆の原因となる非イオンは除去されず、また非イオンにおけるイオン交換膜に対する目詰まりの汚染傷害となり、それに対して非イオン成分の除去は、逆浸透膜(RO膜)装置が優れているとされている。
【0009】
またそのイオン交換膜または逆浸透膜(RO膜)装置を、洗浄用として必要とする純水レベルの各用途別に適宜使い分けて、それぞれの純水製造装置が選ばれることは、従来に無く、そして該純水の製造は、短絡的に高度純水製造装置としてのイオン交換膜が一般的に使用され、高価な装置としてのイメージから一般装置の組み込み化が少なく、価格に対応し、且つ純水レベルの各用途別に使い分けて使用できる提案がなく、広く待たれていた。
【0010】
上述した従来の汎用の超音波洗浄器は、一般水道水などをそのまま使用して、眼鏡などの小物を洗浄するものであり、その超音波洗浄器の性能に見合う汚れ落ちは図れるが、乾燥により発生するシリカ成分など残留物の白濁したシミが発生し、また一般水道水などの洗浄では、錆の発生の恐れがあるので、十分な拭き取りが必要であった。
【0011】
またこの白濁した乾燥後のシミの拭き取りに関して、特に金属加工品など工業的に使用される超音波洗浄器も一般水道水を利用して洗浄する限り、同様に白濁したシミが発生し、その拭き取りが必要であることからこの作業が煩雑であり、特に、その洗浄工程後にメッキ行程があるものに関しては、シミの拭き取りが十分でない場合、メッキの品質に影響し、また焼き入れ行程がある金属加工品なども同様に、かすかなシミが残るだけで、そのシミ後が焼き入れ後に浮き上がって模様状をなし、品質に大きく影響するため、それを防止するために、完全な拭き取りを必要とし、手間とコストが掛かっており、その改善が求められていた。
【0012】
さらに、金属加工品などは、その洗浄による錆の発生も問題となるため、水を使わず高価な洗浄剤、溶剤などを使用し、水を使う場合は拭き取り乾燥を徹底している現状で、前述したように手間とコストが掛り、その改善が求められていた。
【0013】
そして、上記超音波洗浄器に用いられる純水製造装置は、この分野で広く一般的に使用されているのがイオン交換膜装置で、該イオン交換膜装置は、イオン化した不純物は除去できるが、溶存微小粒子の除去率は低く、また.該装置の処理水量に関して、処理能力、ランニングコストの面から小型ではそのいずれも対応できないことから大型の装置で処理水量を確保し、よってコスト高となり、この事から汎用に使用される装置に組み込まれることが少なく、汎用に使用できるようランニングコストの低い小型の装置で水量を確保できる物が求められていた。
【0014】
そのイオン交換膜装置と逆浸透膜(RO膜)装置の比較において、一般的に知られる水に溶解しているイオン化した不純物を精密に取り除くのがイオン交換膜装置で、またそれに対してイオン分と非イオン分の除去に程度の差はあるものの、その両方に対応しているのが逆浸透膜(RO膜)装置であり、従来、半導体ウェーハ或いは液晶パネルなどガラス基板の高精密洗浄は、高レベル純水を必要としていることからイオン交換膜装置を使用し、また高度超純水と膜寿命の観点から、前段処理に逆浸透膜(RO膜)装置を、後処理にイオン交換膜装置を使用しており、このようにイオン交換膜装置の水の高度処理からこの分野で最も多く使用されている。
【0015】
しかし、該イオン交換膜装置は、膜交換など高レベルの管理とそのランニングコストが高く、小規模で使用する金属加工品、ホテルなどレストランで大量に使用するグラス食器など被洗浄物の乾燥後のシミ、または該金属加工品の錆防止のための汎用の洗浄に使用するにはコスト的に合わず、またそれほどの高度純水も必要なく、しかし、一般的に純水製造装置は、上述したような高レベルの純水を提供する装置であり、そしてそのような認識が主流とそれに見合った高レベルの管理が必要であることから、価格、ランニングコストに見合うような汎用の該装置は提供されておらず、上述のシミまたは錆防止に対応する様な汎用の装置の提供が待たれていた。
【0016】
而して、先行技術が開示される特許文献1の「鍍金の前処理方法」は、「切削に使用された切削油を除去するのに使用される薬剤の水溶液が部分的に乾燥すると、顕微鏡的なしみとなって金型の表面に残ってしまい、これが原因となって、製造されたレンズシートの表面にしみ模様が発生する」という課題解決を目的とし、超音波洗浄工程の切削油除去工程と、しみが発生するのを防止する洗浄工程に使用される純水は、イオン交換樹脂にて処理された純水を使用しており、イオン交換樹脂を使用する該装置は上述したように高価であること、また該行程で使用するイオン交換樹脂装置レベルの純水は、しみ防止程度の洗浄水で有れば、該純水が過剰品質となり、無駄な品質によるコスト上昇であって、求める課題解決と価格、ランニングコストに見合うような装置ではなかった。
【0017】
また、しみが発生するのを防止する洗浄工程に使用される純水は、イオン交換樹脂によるもので、そして上述したイオン交換樹脂が取り除ける以外の非溶解成分(細菌などの有機物、粘土などの無機物)とコロイド(コロイド状シリカ)などのしみの原因が、未だ取り除く対策が示されていない装置であった。
【0018】
而して、また先行技術が開示される特許文献2の「金属材料の脱脂洗浄装置」は、第1、第2、第3および第4槽を備え、該第4槽に供給された純水が、超音波洗浄装置を設けた第3槽と第2槽を経て第1槽へ流れる脱脂洗浄装置としており、その純水を得る装置を蒸発法純水製造装置またはイオン交換法純水製造装置としており、その洗浄に使用するには多量の洗浄水が必要で、該蒸発法では水量を得るのに装置の大型化避けられず、上述したように、該蒸発法では開示される装置の使用用途に見合うような装置ではなかった。
【0019】
つまり、開示される脱脂洗浄装置は、純水が第3槽と第2槽を経て第1槽へ流れる構成であることから該洗浄に使用する洗浄水が多量となり、その必要水量に対応する蒸発法純水製造装置も必然的に大型となり、また蒸発法純水製造装置は高度純水であり、開示される脱脂洗浄程度であれば該純水が過剰品質でコスト高となり、上述の先行技術と同様、開示される装置の使用用途に見合うような装置ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記課題を有効に達成するために、第1の解決手段として、超音波装置を有する洗浄装置で、洗浄工程と濯ぎ工程にて金属加工品またはグラス食器を洗浄すると共に活性炭フィルターなど前処理フィルターを有する逆浸透膜(RO膜)装置で、水道水等の原水に溶存するミネラル成分及び塩化ナトリウムなどの該乾燥白濁不純物を除去する純水製造工程と、該純水で洗浄と濯ぎ洗いするとき、少なくとも上記濯ぎ工程で使用する純水に溶存する塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなどの該乾燥白濁不純物の濃度を、10ppm以下の純水で濯ぎ洗いするとしたことで、
乾燥後に発生する塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなどの該乾燥白濁不純物による白濁したシミの付着及びその付着物による錆を防止するとしている。
【0021】
また、第2の解決手段として、濯ぎ洗い工程の純水供給量を、該純水に含まれる塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなどの乾燥白濁不純物を導電率センサーで計測した値で該供給量を制御する方法としたことで、
洗浄水及び濯ぎ水としての純水の供給量を制御するとしている。
【0022】
さらに、第3の解決手段として、第1槽の洗浄槽と第2槽の濯ぎ槽を有し、超音波発生装置及び加温するヒーターを設けた洗浄装置において、第1槽の洗浄槽または第2槽の濯ぎ槽を介して該第1槽の洗浄槽に純水を供給する純水製造装置を備え、また少なくとも該第2槽に水の汚染度を計測する導電率センサーを設け、該導電率センサーの信号により該純水の供給量を制御するとしたことで、
乾燥後に発生する塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなどの乾燥白濁不純物による白濁したシミの付着及びその付着物による錆を防止するとしている。
【0023】
加えて、第4の解決手段として、純水製造装置を、活性炭、膜フィルターなど前処理フィルターを有する逆浸透膜(RO膜)装置としたことで、
使用用途に見合う不純物の除去と使用水量を供給するとしている。
【0024】
加えて、第5の解決手段として、第1槽の洗浄槽に供給する洗浄水を、逆浸透膜(RO膜)装置の排水または該装置の純水またはその双方としたことで、
逆浸透膜(RO膜)装置で純水を製造するときに出る多量の排水を利用するとしている。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、上述したそれぞれの手段によって有効な効果が得られるようにしたもので、特に、第1の解決手段の、超音波装置を有する洗浄装置で、洗浄工程と濯ぎ洗い工程にて、金属加工品または食器を洗浄すると共にその後の乾燥工程において、シリカ成分、塩化カルシュウム(CaCl)及び塩化ナトリウム(NaCl)などの乾燥白濁不純物により、白濁したシミ及び錆が発生しないように、活性炭フィルターなど前処理フィルターを有する逆浸透膜(RO膜)装置で、水道水等の原水に溶存するミネラル成分及び塩化ナトリウムなどの該乾燥白濁不純物を除去する純水製造工程と、該純水で洗浄と濯ぎ洗いするとき、少なくとも上記濯ぎ洗い工程で使用する純水に溶存する塩化カルシュウム、塩化ナトリウムの濃度を、10ppm以下の純水で濯ぎ洗いすることにより、
工業的に使用される金属加工品の洗浄乾燥後に発生する塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなど乾燥白濁不純物による白濁したシミの付着及びその付着物による錆が防止でき、またホテルのレストランなど大量に使用するグラス食器などの洗浄乾燥後に発生する点模様の乾燥白濁不純物による白濁したシミの付着が防止できる。
【0026】
また特に、該金属加工品は、加工後の油など汚れの洗浄とその洗浄工程後にメッキ行程があるものに関しては、シミの拭き取りが十分でない場合、メッキの品質に影響し、また焼き入れ行程があるものも同様に、かすかなシミが残るだけで、そのシミ後が焼き入れ後に浮き上がって模様状をなし、品質に大きく影響するため非常に重要で、それを防止するための拭き取りが省け、よってその手間とコスト削減ができる。
【0027】
また、該金属加工品を加工後の油など汚れの洗浄に、原水に水道水などの水を使うと、乾燥白濁不純物で、特に、塩化カルシュウム、塩化ナトリウム(NaCl)などは、その金属加工品に錆を発生させるので、従来水を使わず高価な洗浄剤、溶剤などを使用し、水を使う場合は拭き取り乾燥を徹底しているのが現状で、前述したように手間とコストが掛っていたが、高価な洗浄剤、溶剤などが必要なく、拭き取り乾燥の手間も軽減改善される。
【0028】
さらに、ホテルなどレストランで大量に使用するグラス食器などは、お客に出すグラスが洗浄後に残る白濁した点模様のシミの付着により、そのレストランのイメージを落とすこととなり、大量のグラス食器などを一つ一つ拭き取る作業をしているのが現状で、その作業が省け、手間とコスト削減ができる。
【0029】
而して、第2の解決手段の、濯ぎ洗い工程の純水供給量を、該純水に含まれる塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなどの乾燥白濁不純物を導電率センサーで計測した値で該供給量を制御することにより、
上述と略同様の効果に加えて、乾燥白濁不純物による白濁した点模様のシミ及び錆の原因となる不純物を管理することで純水を効率よく使用でき、白濁した点模様のシミ及び錆の防止とコスト削減ができる。
【0030】
而して、第3の解決手段の、少なくとも第1槽の洗浄槽と第2槽の濯ぎ槽を備え、該第1槽の洗浄槽または第2槽の濯ぎ槽の少なくともどちらか一方の槽に超音波発生装置及び加温するヒーターを設けた洗浄装置において、第1槽の洗浄槽または第2槽の濯ぎ槽を介して該第1槽の洗浄槽に純水を供給する純水製造装置を備え、また少なくとも該第2槽に水の汚染度を計測する導電率センサーを設け、該導電率センサーの信号により該純水の供給量を制御することにより、
上述したような金属加工品の洗浄乾燥後に発生するシリカ成分、塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなど乾燥白濁不純物による白濁したシミの付着及びその付着物による錆が防止でき、またホテルのレストランなど大量に使用するグラス食器などの洗浄乾燥後に発生する点模様の乾燥白濁不純物による白濁したシミの付着を防止する効果により、純水による洗浄後のシミ付着防止の超音波洗浄装置の提供ができる。
【0031】
而して、第4の解決手段の、純水製造装置を、活性炭、膜フィルターなど前処理フィルターを有する逆浸透膜(RO膜)装置としたことにより、
従来のイオン交換膜装置に換えて、逆浸透膜(RO膜)装置とすることで、被洗浄物の乾燥後のシミまたは金属加工品の錆防止のための汎用の洗浄に使用する程度の水処理で、また洗浄における大水量に対応すると共に価格、ランニングコストに見合う汎用の装置が提供でき、またそれは白濁した点模様のシミまたは錆防止に対応する上述効果となる。
【0032】
而して、第5の解決手段の、第1槽の洗浄槽に供給する洗浄水を、逆浸透膜(RO膜)装置の排水または該装置の純水またはその双方としたことにより、
逆浸透膜(RO膜)装置で純水を製造するときに出る多量の排水を第1槽の洗浄槽に供給する洗浄水として利用するので、洗浄に使用する大量の水を節水することができ、該第1槽の洗浄槽は、非洗浄物が最も汚れた状態の物を洗浄すると共に濯ぎ洗い行程があるので、洗浄水の状態が多少悪くても洗浄仕上がりに特に影響なく、このことから節水の効果を優先できる。
【0033】
なお、該排水は、水道水に含まれる不純物が、排水比率の割合で濃縮された排水となるが、上記洗浄槽で洗浄される被洗浄物の汚れ具合からすれば、無視できるほど小さいのと、上述したように、次工程の濯ぎ工程により不純物を洗い流せるので、洗浄水として十分有効利用でき、よってその上記多量の排水量からして大きな節水となる。
【0034】
また、純水製造装置として従来のイオン交換膜装置に換えて、逆浸透膜(RO膜)装置とすることで、白濁した点模様のシミ及び錆防止程度の求める品質に対応する純水となり、該純水が過剰品質によるコスト上昇を招くことなく、前記求める課題解決とランニングコストに見合う汎用装置として、上述したそれぞれの効果に加え提供できる。
よって、これらのことから本発明は、実用上著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】 本発明の一実施例で、その構成の正面を示す概要図である。
【図2】 本発明の洗浄及び濯ぎ工程と純水製造の工程図である。
【図3】 本発明の試験例の乾燥前後によるシミの状態を示す写真である。
【図4】 本発明の試験例の純水と水道水を経過時間による錆の発生状態を示す試験結果の写真である。
【図5】 本発明の試験例の不純物(a),(b)の含有量と錆の変化を示す試験結果の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
洗浄水または濯ぎ水に含まれる乾燥白濁不純物により白濁したシミ及び錆が洗浄、乾燥後に発生しないように、活性炭フィルターなど前処理フィルターを有する逆浸透膜(RO膜)装置で、水道水等の原水に溶存するミネラル成分及び塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなど乾燥白濁不純物を除去した純水を、特に濯ぎ槽の塩化カルシュウム、塩化ナトリウムの不純物の濃度を10ppm以下にする目的で該純水の供給量を制御する洗浄後のシミ付着防止方法と、
第1槽の洗浄槽及び第2槽の濯ぎ槽に超音波発生装置及び加温するヒーターを設けた洗浄装置において、該各槽若しくは該第2槽を介して該第1槽に純水を供給する活性炭、膜フィルターなど前処理フィルターを有する逆浸透膜(RO膜)装置を備え、該逆浸透膜(RO膜)装置から該第2槽に該純水を供給するとき、該第2槽に導電率センサーを設けて濯ぎ槽の汚染度を計測して純水の供給量を制御し、また逆浸透膜(RO膜)装置の排水を第1槽の洗浄槽に洗浄水を供給することにより、洗浄水を節水し、これらのことにより乾燥後に発生する該乾燥白濁不純物による白濁したシミの付着及びその付着物による錆を防止する洗浄後のシミ付着防止の超音波洗浄装置を実現させた。
【実施例】
【0037】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、図1において、1は超音波純水洗浄装置で、該超音波純水洗浄装置1は、第1槽の洗浄槽2と第2槽の濯ぎ槽3と純水製造装置4を有している。
【0038】
そこで、第1槽の洗浄槽2は、該槽内底部に超音波発生装置5及びヒーター6を設け、上部所定位置に排水口7を開設すると共に該排水口7より高い位置に第1槽の洗浄槽2と第2槽の濯ぎ槽3とを貫通させると共に該濯ぎ槽3から洗浄槽2に濯ぎ水の純水が流入するように連通口8を形成している。
【0039】
また、該濯ぎ槽3は、上記洗浄槽2と略同様に超音波発生装置5a及びヒーター6aを設け、該濯ぎ槽3の濯ぎ水の汚染度を計測する導電率センサー9を側壁に設けている。
【0040】
さらに、純水製造装置4は、図1に示すように水道水などの原水が供給される膜フィルター10及び活性炭フィルター11を介して逆浸透膜(RO膜)装置12に供給されるよう配置すると共に該逆浸透膜(RO膜)装置12で製造された純水を貯水槽13に貯水され、適宜、濯ぎ槽3に供給できるよう配置されている。
【0041】
而して、超音波純水洗浄装置1で上述したような金属加工品またはグラス食器などの被洗浄物を洗浄するとき、図2に示すような工程で行われ、そこで被洗浄物を洗浄するとき先ず、第一濾過工程に原水より供給される水道水などの浮遊物を膜フィルター10で取り除き、次の第二濾過工程の活性炭フィルター11で残留塩素(Cl)を取り除き、そして逆浸透膜(RO膜)装置12で純水を製造すると共に貯水槽13で貯水され、適宜、濯ぎ槽3に供給できるよう配置している。
【0042】
そして、金属加工品またはグラス食器などの被洗浄物を洗浄するとき、貯水槽13に貯水された純水を、濯ぎ槽3を介して洗浄槽2に供給すると共にヒーター6により60度程度に加温され、その後洗浄工程の洗浄槽2で、超音波発生装置5により洗浄される。
【0043】
次に、洗浄槽2で洗浄された被洗浄物を、濯ぎ工程の濯ぎ槽3で、超音波発生装置5aにより濯ぎを行うと共に該濯ぎ槽3の濯ぎ水に含まれる塩化カルシュウム、塩化ナトリウムの不純物の濃度を10ppm以下としているため、導電率センサー9で該濯ぎ水の汚染度を計測して10ppm以上になると貯水槽13より純水を供給して汚染濃度を調整する。
【0044】
なお、上述純水製造装置4で純水を製造するときの純水製造量と排水量の関係において、一例を示せば、製造される純水63l/hに対して、排水90l/hと約70%の割合で排水が生じ、該排水は水道水に含まれる不純物が、排水比率の割合で濃縮された排水となり通常廃棄されるが、上記洗浄槽2で洗浄される被洗浄物の汚れ具合からすれば、無視できるほど小さいのと、次工程の濯ぎ工程により不純物を洗い流せるので、洗浄水としては十分有効利用でき、よってその上記多量の排水量からして、洗浄水としての利用は、通例、廃棄することからすれば大きな節水となる。
【0045】
而して、図3に示す乾燥後に発生するシリカ成分、塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなど乾燥白濁不純物による白濁したシミの付着に関して、該不純物が乾燥することによって白濁したシミとなり、その乾燥前後を示し、具体的には、発生する白濁シミの状態を示す試験例の写真で、RO膜水と水道水を市販フランジに水滴を垂らした状態で乾燥させ、その比較において、(a)乾燥前の状態と(b)乾燥後の状態から乾燥白濁不純物による白濁したシミの状態が、明らかに見て取れる。
【0046】
このことから、明らかに乾燥することによって水道水の不純物が表面化して、白濁したシミとして発生しており、それに対してRO膜水の純水で、その白濁シミを防止できることが証明されている。
【0047】
また、図4に示すRO膜水と水道水を鋼板に垂らした状態で時間経過による錆発生の比較において、30分、1時間、2時間の各試験例の写真で、RO膜水は特に変化は見られないが、水道水における錆による変色が、時間経過と共に明らかに見て取れる。
【0048】
このことから、明らかに水道水の不純物が影響して錆が発生しており、それに対して、RO膜水の純水は乾燥白濁不純物をコントロールしているので、その影響を制限でき、よって錆を防止できることが証明されている。
【0049】
さらに、図5に示す(a)塩化カルシュウム(CaCl)と(b)塩化ナトリウム(NaCl)の不純物の各濃度比率に対する乾燥後の錆の発生比較の各試験例の写真で、(a)塩化カルシュウム(CaCl)と(b)塩化ナトリウム(NaCl)について、それぞれの濃度が10ppmを超す値から錆による変色が、不純物の濃度変化と共に明らかに見て取れる。
【0050】
このことから、明らかに水道水の不純物が影響して錆が発生しており、それに対して、RO膜水の純水で、その錆を防止できることが証明されている。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の洗浄後のシミ付着等防止洗浄方法及びその洗浄装置は、金属加工品またはグラス食器などの洗浄装置とし、また水洗浄で乾燥不純物による白濁したシミの付着及びその付着物による錆を防止する目的で、あらゆる物の洗浄として利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 超音波純水洗浄装置
2 洗浄槽
3 濯ぎ槽
4 純水製造装置
5,5a 超音波発生装置
6,5a ヒーター
10 膜フィルター
11 活性炭フィルター
12 逆浸透膜(RO膜)装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波装置を有する洗浄装置で、洗浄工程と濯ぎ洗い工程にて、金属加工品または食器を洗浄すると共にその後の乾燥工程において、シリカ成分、塩化カルシュウム(CaCl)及び塩化ナトリウム(NaCl)などの乾燥白濁不純物により、白濁したシミ及び錆が発生しないように、活性炭フィルターなど前処理フィルターを有する逆浸透膜(RO膜)装置で、水道水等の原水に溶存するミネラル成分及び塩化ナトリウムなどの該乾燥白濁不純物を除去する純水製造工程と、該純水で洗浄と濯ぎ洗いするとき、少なくとも上記濯ぎ洗い工程で使用する純水に溶存する塩化カルシュウム、塩化ナトリウムの濃度を、10ppm以下の純水で濯ぎ洗いすることを特徴とした白濁シミ付着防止洗浄方法。
【請求項2】
請求項1記載の濯ぎ洗い工程の純水供給量を、該純水に含まれる塩化カルシュウム、塩化ナトリウムなどの乾燥白濁不純物を導電率センサーで計測した値で該供給量を制御することを特徴とした白濁シミ付着防止洗浄方法。
【請求項3】
少なくとも第1槽の洗浄槽と第2槽の濯ぎ槽を備え、該第1槽の洗浄槽または第2槽の濯ぎ槽の少なくともどちらか一方の槽に超音波発生装置及び加温するヒーターを設けた洗浄装置において、第1槽の洗浄槽または第2槽の濯ぎ槽を介して該第1槽の洗浄槽に純水を供給する純水製造装置を備え、また少なくとも該第2槽に水の汚染度を計測する導電率センサーを設け、該導電率センサーの信号により該純水の供給量を制御することを特徴とした白濁シミ付着防止の超音波洗浄装置。
【請求項4】
請求項3記載の純水製造装置を、活性炭、膜フィルターなど前処理フィルターを有する逆浸透膜(RO膜)装置としたことを特徴とする白濁シミ付着防止の超音波洗浄装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4のいずれか一項に記載の第1槽の洗浄槽に供給する洗浄水を、逆浸透膜(RO膜)装置の排水または該装置の純水またはその双方としたことを特徴とする白濁シミ付着防止の超音波洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−177701(P2011−177701A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61496(P2010−61496)
【出願日】平成22年2月27日(2010.2.27)
【出願人】(510074494)
【Fターム(参考)】