説明

白色反射フィルム

【課題】高い輝度を得ることができ、打ち抜き加工の際にカエリやヒゲ状物が発生し難い、打ち抜き性に優れる液晶表示装置のバックライトユニットに用いられる反射板用白色積層フィルムを提供する。
【解決手段】無機粒子を含有するポリエステル組成物からなる光反射層、およびその少なくとも一方の面に設けられたポリステルからなる支持層から構成される白色積層フィルムであって、支持層のポリエステルは、全ジカルボン酸成分を基準としてテレフタル酸成分95〜99.9モル%およびイソフタル酸成分0.1〜5モル%をジカルボン酸成分としてなる共重合ポリエチレンテレフタレートであり、白色積層フィルムの支持層について測定したポリエステルの固有粘度が0.54〜0.65dl/gであり、光反射層のポリエステル組成物は無機粒子52〜60重量%および芳香族熱可塑性ポリエステル40〜48重量%からなり、白色積層フィルムの光反射層について測定したポリエステルの固有粘度が0.40〜0.53dl/gであることを特徴とする、二軸延伸された、反射板用白色積層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のバックライトユニットの反射板として用いられる、反射板用白色積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトユニットには、大きく分けてディスプレイの背面に光源を置くバックライト方式と、側面に光源を置くサイドライト方式があり、いずれの方式においても、光源からの光が画面の背面へ逃げるのを防ぐために、背面に反射フィルムが設置されている。この反射フィルムには、薄くかつ高い反射率を備えることが要求される。
【0003】
反射フィルムとして、フィルムの内部に微細な気泡を含有する白色ポリエステルフィルムが知られており、液晶表示装置用反射フィルムとして広く利用されている。液晶テレビの普及にともない、特にディスプレイの背面に光源を置くバックライト方式において、高輝度のバックライトユニットが求められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−62104号公報
【特許文献2】特公平8−16175号公報
【特許文献3】特開2000−37835号公報
【特許文献4】特開2005―125700号公報
【特許文献5】特開2004−50479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の反射フィルムで高輝度を得られるものは、断裁時に、フィルムの端面にヒゲ状物やカエリが発生し易い。ヒゲ状物は、裁断による切断面に発生する細い突起部であるが、これはごみとして除去する必要があるため、ヒゲ状物の発生があると生産性を低下させることになる。また、カエリは、裁断による切断面付近に発生する部分的に盛り上がった部分であり、カエリがあると反射面と光源間の距離が変わり、輝度に対して悪い影響を与え、均一な輝度を得ることができなくなる可能性がある。
【0006】
本発明は、高い反射率を備え、液晶表示装置のバックライトユニットに反射板として用いたときに高い輝度を得ることができる反射板用白色積層フィルムであって、打ち抜き加工の際にカエリやヒゲ状物が発生し難い、打ち抜き性に優れる反射板用白色積層フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、無機粒子を含有するポリエステル組成物からなる光反射層、およびその少なくとも一方の面に設けられたポリステルからなる支持層から構成される白色積層フィルムであって、支持層のポリエステルは、全ジカルボン酸成分を基準としてテレフタル酸成分95〜99.9モル%およびイソフタル酸成分0.1〜5モル%をジカルボン酸成分としてなる共重合ポリエチレンテレフタレートであり、白色積層フィルムの支持層について測定したポリエステルの固有粘度が0.54〜0.65dl/gであり、光反射層のポリエステル組成物は無機粒子52〜60重量%および芳香族熱可塑性ポリエステル40〜48重量%からなり、白色積層フィルムの光反射層について測定したポリエステルの固有粘度が0.40〜0.53dl/gであることを特徴とする、二軸延伸された、反射板用白色積層フィルムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い反射率を備え、液晶表示装置のバックライトユニットに反射板として用いたときに高い輝度を得ることができる反射板用白色積層フィルムであって、打ち抜き加工の際にカエリやヒゲ状物が発生し難い、打ち抜き性に優れる反射板用白色積層フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の反射板用白色積層フィルムは、光反射層およびその少なくとも一方の面に設けられたポリステルからなる支持層から構成される。
以下、支持層、光反射層の順に説明する。
【0010】
[支持層]
支持層のポリエステルは、全ジカルボン酸成分を基準としてテレフタル酸成分95〜99.9モル%およびイソフタル酸成分0.1〜5モル%をジカルボン酸成分としてなる共重合ポリエチレンテレフタレートである。この範囲でイソフタル酸成分を共重合することによって、支持層の良好な打ち抜き性を得ることができる。イソフタル酸成分が5モル%を超えるとヒゲ状物が生じ易くなる。0.1モル%未満であるとカエリが大きくなったり、フィルムの製膜性が悪化が懸念される。イソフタル酸成分の共重合量は、好ましくは0.1〜4モル%、特に好ましくは0.1〜3モル%である。
【0011】
白色積層フィルムの支持層について測定したポリエステルの固有粘度は0.54〜0.65dl/gである。支持層の固有粘度が0.65dl/gを越えると溶融押出しができない等、フィルムの生産にあたり不具合が生じ、0.54dl/g未満であるとフィルムの製膜の際に破断しやすい。
特に良好な打ち抜き性と製膜性を得る観点からは、支持層のポリエステルの固有粘度は、光反射層のポリエステルの固有粘度よりも高いことが好ましい。
【0012】
[光反射層]
本発明における光反射層は、無機粒子をポリエステル中に含有させることによって白色を呈するようにした層である。
【0013】
[光反射層のポリエステル]
光反射層のポリエステルとしては、熱可塑性ポリエステルを用いる。この熱可塑性ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いる。このジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4’―ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸を挙げることができる。ジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1,6―ヘキサンジオールを挙げることができる。これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは、ホモポリマーであってもよいが、共重合ポリマーが好ましい。共重合ポリマーである場合、共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分を基準として例えば1〜20モル%、好ましくは2〜15モル%、さらに好ましくは3〜13モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、光反射層についても優れた製膜性を得ることができ、熱寸法安定性に優れた白色積層フィルムを得ることできる。
【0014】
白色積層フィルムの光反射層について測定したポリエステルの固有粘度は0.40〜0.53dl/gである。固有粘度が0.53を越えると、光反射層のポリエステル組成物は高濃度の無機粒子を含んでいるため、溶融押出しができないといった生産上の不具合が生じる。他方、0.40dl/g未満であると、フィルムが破断して製膜できない。
【0015】
[光反射層の無機粒子]
光反射層の無機粒子としては、無機物質の粒子を用い、具体的には、硫酸バリウム粒子、二酸化チタン粒子、二酸化珪素粒子、炭酸カルシウム粒子を例示することができる。
無機粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜3.0μm、さらに好ましくは0.2〜2.5μm、特に好ましくは0.3〜2.0μmである。この範囲の平均粒径の無機粒子を用いることで、ポリエステル中に適度に分散させることができ、無機粒子の凝集が起こりずらく、表面に粗大突起のない光反射層を得ることができる。同時に、光反射層の表面が荒れすぎず、適切な範囲の光沢度の表面を得ることができる。無機粒子として特に好ましいものは、平均粒径が0.1〜3.0μmの硫酸バリウム粒子である。
【0016】
無機粒子の平均粒径は、d50(メジアン径)を採用するが、粒径の小さいものから10%のd10、小さいものから90%のd90で表した際、無機粒子の粒度分布のd90/d10は、好ましくは1〜500、さらに好ましくは1〜300、さらに好ましくは1〜100、特に好ましくは1〜50である。この範囲の粒度分布であると、フィルターに粗大粒子が詰まることがなく、微小粒子が再凝集することもなく、安定して製膜することができる。
無機粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。白色無機粒子は、分散性を向上させるために表面処理を行ってあってもよい。
【0017】
光反射層は、無機粒子およびポリエステルからなるポリエステル組成物から構成される。この組成物において、無機粒子は52〜60重量%、好ましくは53〜59重量%、さらに好ましくは54〜58重量%を占める。無機粒子の含有量が52重量%未満であると高い反射率を得ることができず、そして、打ち抜き加工性も劣るものとなる。無機粒子含有量が60%を超えると製膜が非常に困難になる。
光反射層の組成物は、必要に応じて、無機粒子およびポリエステル以外の成分を含有してもよい。そのような成分として、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤を挙げることができる。
【0018】
[反射率]
本発明の反射板用白色積層フィルムの反射率は、波長550nmにおける光線反射率として、好ましくは98.5%以上、特に好ましくは99.0%以上である。反射率が98.5%以上であることによってバックライトユニットに用いたときに高い輝度を得ることができる。この反射率と良好な打ち抜き性を得るためには、上記の光反射層と上記の支持層とから構成される白色積層フィルムを用いる。
本発明の白色積層フィルムの厚みは、好ましくは100〜250μm、さらに好ましくは150〜230μmである。この範囲の厚みであるとによって、良好なハンドリング性を得ることができる。
【0019】
[層構成]
本発明の反射板用白色積層フィルムは、共押出し法により製造されたものであることが好ましい。すなわち、光反射層と支持層とは、好ましくは共押出し法により積層されている。
本発明の反射板用白色積層フィルムは、単一もしくは複数の光反射層を含み、単一もしくは複数の支持層を含む。光反射層の厚みの合計と支持層の厚みの合計との比は、好ましくは85:15〜98:2、さらに好ましくは95:5〜98:2である。この範囲の厚み比であることで、高い光線反射率の白色積層フィルムを製膜中の破断なく安定して製膜得ることができて好ましい。
【0020】
本発明の反射板用白色積層フィルムは、光反射層の少なくとも一方の面に支持層が設けられた構成であり、具体的には、例えば、光反射層/支持層の2層構成、支持層/光反射層/支持層の3層構成、光反射層/支持層/光反射層の3層構成、支持層/光反射層/支持層/光反射層/支持層の5層構成をとることができる。これらのうち製膜性の安定性の観点から支持層/光反射層/支持層の3層構成が好ましい。
【0021】
本発明の反射板用白色積層フィルムの総厚みは、好ましくは150〜250μm、さらに好ましくは170〜230μmである。この範囲の総厚みであるでことによって良好なハンドリング性および生産性を得ることができる。
本発明の反射板用白色積層フィルムは、二軸延伸されている。二軸延伸されていることによって、高い機械的強度を得ることができる。
【0022】
[製造方法]
以下、本発明の反射板用白色積層フィルムを製造する方法の一例を説明する。以下、ポリマーのガラス転移点をTg、融点をTmということがある。
白色積層フィルムの製造に用いるポリエステルは、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μmの不織布型フィルターを用いて濾過を行うことが好ましい。この濾過を行うことで、通常は凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑え、粗大異物の少ない白色積層フィルムを得ることができる。なお、不織布の平均目開きは、好ましくは20〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。濾過したポリエステルの組成物は、溶融した状態でフィードブロックを用いた同時多層押出法により、ダイから多層状態で押出し、未延伸積層シートを製造する。
【0023】
ダイより押出された未延伸積層シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、未延伸積層フィルムとなる。この未延伸積層フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸積層フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸は、ポリエステルのTg以上の温度で行うことが好ましい。延伸倍率は、縦方向、縦方向と直交する方向(以降、横方向と呼ぶ)ともに、好ましくは2.5〜4.3倍、さらに好ましくは2.7〜4.2倍である。2.5倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.3倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
【0024】
縦延伸後の積層フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して積層二軸配向フィルムとするが、これらの処理は、フィルムを走行させながら行う。横延伸の予熱処理はポリエステルのTgより高い温度から始める。横延伸過程での昇温は、連続的でも段階的(逐次的)でもよいが、通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸後のフィルムは、両端を把持したまま(Tm−20℃)〜(Tm−100℃)で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。熱処理温度が(Tm−20℃)より高いとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。(Tm−100)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがあり好ましくない。また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
【0025】
また、本発明の白色積層フィルムは、逐次二軸延伸法以外にも同時二軸延伸法を用いて製膜することができる。延伸倍率は、縦方向、横方向ともに、例えば2.7〜4.3倍、好ましくは2.8〜4.2倍である。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
なお、PETは、ポリエチレンテレフタレート、IPAは、イソフタル酸を意味する。
【0027】
(1)反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%としたときのサンプルフィルムの光線反射率を波長550nmで測定した。
【0028】
(2)輝度
液晶表示装置に反射板として用いたときの表示装置の輝度を評価した。ソニー(株)製32インチテレビ(ブラビアKDL−32V2500)のバックライトの反射フィルムを取り外し、かわりに評価対象のサンプルフィルムを設置し、輝度計(大塚電子製Model MC−940)を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで輝度を測定した。
【0029】
(3)無機粒子の平均粒径
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて、粒子の粒度分布を求め、d50での粒子径を平均粒径とした。
【0030】
(4)打ち抜き性
穴あけ治具CARL CP−5を用いて、フィルムを50回打ち抜き(円形状の穴の直径は6mm、打ち抜く速度は50回/1分間とした)、打ち抜いた端部を光学顕微鏡にて倍率25倍にて観察しヒゲ状物の発生の有無とカエリの発生の有無を観察した。
ヒゲ状物については、打ち抜き部分から長さ1mm以上飛び出しているヒゲ状物がある打ち抜き穴を「発生有」とし、カエリについては、打ち抜き部分の一部または全部がフィルム平面を基準として0.5mm以上盛り上がっている打ち抜き穴を「発生有」とした。
ヒゲ状物およびカエリのそれぞれについて、下記式で発生割合を算出した。
発生割合(%)=「発生有」の個数/50個
【0031】
(5)固有粘度
フィルムの原料のポリエステルまたは白色積層フィルムから各層ごとに剥離したポリエステル0.3gに対し、o−クロロフェノール25ml加え100℃で溶解し、溶解後25℃に冷却された状態で測定した。なお、無機粒子を含んでいるものは、o−クロロフェノールに溶解後、遠心分離装置(日立工機製CF−15RXII型)を用いて12000rpmにて30分間遠心分離を行い、無機粒子とo−クロロフェノールに溶解したポリエステルとを分離した後、固有粘度を測定、算出した。固有粘度は下記換算式にて求めた。
固有粘度=測定値/{(100−無機粒子濃度)/100}
【0032】
(6)各層の厚み比
日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率500倍にて、フィルムの断面を観察し、測定数5点の平均にてフィルムの各層の厚み比を求めた。
【0033】
(7)フィルムの厚み
接触式厚み計(アンリツ製 K−402B)を用いてフィルム厚みを測定した。
【0034】
[実施例1]
(イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートの合成)
テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメチル18重量部(ポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準に12モル%)、エチレングリコール98重量部、ジエチレングリコール1.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜240℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.3mmHgまで減圧するとともに292℃まで昇温し、重縮合反応を行い、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを得た。このポリマーの固有粘度は0.72dl/gであった。以下、このポリマーを樹脂Eという。
【0035】
また重縮合時の反応温度を、292℃から260℃に変更した他は実施例1と同様にして重合を行い、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを得た。このポリマーの固有粘度は0.55dl/gであった。このポリマーを樹脂Fという。
樹脂Fを、予備加熱器(滞留30分)を経て、ジャケット付き(210℃熱媒通過)縦型円筒状の固相反応器の上部へ供給し、器内に一定の滞留時間を保つように設定し、下部より乾燥した210℃の窒素を供給して上部より窒素排出させて窒素気流下での連続固相重合を行った。滞留時間が5時間で得られたポリマーの固有粘度は0.79dl/gであった。以下、このポリマーを樹脂Gという。
【0036】
(ポリエチレンテレフタレートの合成)
テレフタル酸ジメチル132重量部およびイソフタル酸ジメチル18重量部のかわりに、テレフタル酸ジメチル150重量部を用いる他は、上記のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートの合成と同様にして、ポリエチレンテレフタレートを得た。このポリマーの固有粘度は0.71dl/gであった。以下、このポリマーを樹脂Hという。
【0037】
重縮合時の反応温度を、292℃から260℃に変更した他は実施例1と同様にして重合を行い、ポリエチレンテレフタレートを得た。このポリマーの固有粘度は0.54dl/gであった。以下、このポリマーを樹脂Iという。
樹脂Iを、予備加熱器(滞留30分)を経て、ジャケット付き(210℃熱媒通過)縦型円筒状の固相反応器の上部へ供給し、器内に一定の滞留時間を保つように設定し、下部より乾燥した210℃の窒素を供給して上部より窒素排出させて窒素気流下での連続固相重合を行った。滞留時間が5時間で得られたポリマーの固有粘度は0.79dl/gであった。以下、このポリマーを樹脂Jという。
【0038】
(無機粒子マスターチップの作成)
樹脂Eと平均粒径1.0μmの硫酸バリウム粒子を用いて、真空ベント式二軸押出機にて65重量%となるように樹脂温度270℃にて押出し、マスターチップの作成をした。
作成したマスターチップの固有粘度は0.59dl/gであった。以下、このマスターチップを樹脂Kという。
【0039】
樹脂Eと平均粒径0.2μmのルチル型二酸化チタンを用いて、樹脂K同様に60重量%となるよう二酸化チタンのマスターチップを作成した。固有粘度は0.60dl/gであった。以下、このマスターチップを樹脂Lという。
樹脂Eと平均粒径0.6μmの二酸化珪素を用いて、樹脂K同様に50重量%となるよう二酸化珪素のマスターチップを作成した。固有粘度は0.61dl/gであった。以下、このマスターチップを樹脂Mという。
【0040】
樹脂Eと平均粒径1.0μmの炭酸カルシウムを用いて、樹脂K同様に50重量%となるよう炭酸カルシウムのマスターチップを作成した。固有粘度は0.61dl/gであった。以下、このマスターチップを樹脂Nという。
樹脂Hと平均粒径1.0μmの硫酸バリウムを用いて、樹脂K同様に65重量%となるよう硫酸バリウムのマスターチップを作成した。固有粘度は0.61dl/gであった。以下、このマスターチップを樹脂Oという。
【0041】
(白色積層フィルムの製造)
上記で得た樹脂Iと樹脂Kを用いて支持層(A層)の原料とし、表に記載した割合にて樹脂を混合し、イソフタル酸成分の共重合量、硫酸バリウム粒子の含有量が表に記載されている濃度とした。また光反射層(B層)も同様に樹脂E、G、H、JおよびKを混合し、表に記載されている濃度とした。これらの原料を用い、それぞれ270℃に加熱された2台の押出機に供給し、A層の原料とB層の原料を、A層/B層/A層となるような3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。A層/B層/A層の厚み比が2軸延伸後に4/92/4となるように各押出機の吐出量で調整した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化し未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムを74℃の予熱ゾーンつづけて76℃の予熱ゾーンを通して、93℃に保たれた縦延伸ゾーンに導き、長手方向(縦方向)に3.1倍に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、フィルムの両端をクリップで保持しながら114℃の余熱ゾーンを通して126℃に保たれた横延伸ゾーンに導き長手方向に垂直な方向(横方向)に3.7倍に延伸した。その後テンター内で194℃で熱固定を行い、縦弛緩率2%で熱弛緩し、幅入れ率2%、幅入れ温度145℃で横方向の幅入れを行い、室温まで冷やして二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムは、厚み225μmの白色積層フィルムであり反射率は98.6%であった。得られた白色積層フィルムの特性を表4に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
[実施例2〜9]
表1、2および3に示す条件をとる他は実施例1と同様にして白色積層フィルムを作成した。得られた白色積層フィルムの特性を表4に示す。
【0047】
[比較例1〜7]
表1、2および3に示す条件をとる他は実施例1と同様にして白色積層フィルムを作成した。得られた白色積層フィルムは、反射率が低く加工性や製膜性に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の白色積層フィルムは、液晶表示装置の反射フィルムとして好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子を含有するポリエステル組成物からなる光反射層、およびその少なくとも一方の面に設けられたポリステルからなる支持層から構成される白色積層フィルムであって、支持層のポリエステルは、全ジカルボン酸成分を基準としてテレフタル酸成分95〜99.9モル%およびイソフタル酸成分0.1〜5モル%をジカルボン酸成分としてなる共重合ポリエチレンテレフタレートであり、白色積層フィルムの支持層について測定したポリエステルの固有粘度が0.54〜0.65dl/gであり、光反射層のポリエステル組成物は無機粒子52〜60重量%および芳香族熱可塑性ポリエステル40〜48重量%からなり、白色積層フィルムの光反射層について測定したポリエステルの固有粘度が0.40〜0.53dl/gであることを特徴とする、二軸延伸された、反射板用白色積層フィルム。
【請求項2】
フィルムの反射率が98.5%以上である、請求項1記載の反射板用白色積層フィルム。
【請求項3】
光反射層の総厚みと支持層の総厚みとの比が85:15〜98:2である、請求項1記載の反射板用白色積層フィルム。
【請求項4】
無機粒子が、硫酸バリウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムおよび二酸化珪素からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる平均粒径0.1〜3.0μmの粒子である、請求項1記載の反射板用白色積層フィルム。

【公開番号】特開2011−11370(P2011−11370A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155284(P2009−155284)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】