説明

皮膚外用剤

【課題】美白剤を配合した皮膚外用剤の肌に塗布した際の美白効果をより高めた皮膚外用剤を提供することにある。美白剤を配合した皮膚外用剤の美白剤の効果を増強させることは当業界において重要な課題である。特に、厚生労働省で認可されている数少ない医薬部外品の美白剤主剤が発揮する美白効果の増強は特別重要である。
【解決手段】美白剤とN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを含有するリポソームを含むことを特徴とする皮膚外用剤。前記リポソームはホスファチジルコリン含有量の高いリン脂質を構成成分として調製されるものが好ましい。前記皮膚外用剤は肌を明るくし、肌の透明感を高める等の優れた美白効果を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は美白作用を有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線が皮膚に作用することによる、さまざまな作用が皮膚の老化の促進、日焼けによるしみ等の原因となることが知られている。特に、メラニンの産生の促進による色黒やしみの対策が求められている。これらの紫外線により種々の影響を抑えるために美白成分を配合した化粧品が市販されている。これらの化粧品の多くは、美白剤の効果による機能を標榜したものである。これらの化粧品をよりよいものにするために、美白剤を配合した皮膚外用剤の美白効果を高める技術開発がなされており、その成果は一部製品にも応用されている。
【0003】
例えば、リン脂質、コレステロール及び/又はその誘導体、グリセリン及び/又は1,3−ブチレングリコールを含有したリポソーム含有水分散液と、美白剤とを含有する、各々の効果が向上する皮膚外用剤(特許文献1参照)、美白剤と、ブクリョウ、ニンジン、アルテア、アルニカ、アロエ、イラクサ、ウイキョウ、ウイッチヘーゼル、コガネバナ、キハダ、オトギリソウ、カミツレ、カワラヨモギ、キウイ、キュウリ、スイカズラ、クララ、ブドウ、クレソン、コンフリー、サンザシ、ジオウ、シソ、シャクヤク、シラカバ、スギナ、ボダイジュ、サルビア、クワ等の特定の植物抽出物の一種又は二種以上と、抗炎症剤、抗酸化剤から選ばれる薬効剤の一種又は二種以上を含有する、美白剤が本来有する効果を向上し、安定で且つ優れた美白効果を有する皮膚外用剤皮膚外用剤(特許文献2参照)、アセロラ抽出物並びに美白剤及び/又は抗炎症剤を含有する、美白剤及び/又は抗炎症剤が本来有する効果を向上し、安定で且つ優れた美白作用を有する美白用皮膚外用剤(特許文献3参照)、カムカム抽出物及び美白剤を含有することを特徴とする、美白剤が本来有する効果を向上し、安定で且つ優れた美白作用を有する皮膚外用剤(特許文献4参照)、(A)少なくともグルコース、フコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖とする多糖類と(B)美白剤を含有することを特徴とする、美白剤が本来有する効果を向上し、安定で且つ優れた美白作用を有する美白用皮膚外用剤(特許文献5参照)、ギョリュウの植物体あるいはその溶媒抽出物と、美白剤(例えば、ハイドロキノン配糖体およびその誘導体、L−アスコルビン酸およびその誘導体、トラネキサム酸およびその誘導体、サリチル酸およびその誘導体、レゾルシンおよびその誘導体、グルタチオン、コウジ酸、エラグ酸など)または美白効果を有する生薬(例えば、ルムプヤン、コラデカバロ、ジュルベバ、ユキノシタ、オウゴン、エンメイソウ、ウコン、クララ、アセンヤク、カンゾウ、ビワ、カミツレなどの植物由来の生薬)を含有する、美白作用が相乗的に向上し、化粧品に配合した場合に十分な美白効果を発揮し、さらに安全性に優れ、しかも使用感などの官能に大きな影響を及ぼさない皮膚外用剤(特許文献6参照)、メシマコブの子実体及び/又は菌床抽出物の1種又は2種以上と美白剤を含有することを特徴とする、美白作用が相乗的に向上する安全性の高い皮膚外用剤(特許文献7参照)等の開発がなされている。
【0004】
しかしながら、これら多くの技術開発がなされているにもかかわらずそれらの効果は充分でなかった。
【0005】
一方、本発明に配合される成分であるN−アセチルチロシンはメラニン生成抑制作用を有する成分として知られている(特許文献8参照)。また、グラブリジンは抗菌作用、抗酸化作用、抗う触作用、抗プラスミン作用、メラニン生成抑制作用を有することが知られており、アルブチン程度のチロシナーゼ活性阻害効果があるとされている(特許文献9参照)。さらに、グラブリジンは美白作用を有し中程度に色素沈着を淡色化する成分として知られている(特許文献10参照)。また、グルタチオンはメラニン生成抑制作用を有する成分として知られている(例えば、特許文献11、12参照)。
【0006】
しかしながら、これらの成分を美白剤とともに皮膚外用剤に配合して美白剤の効果を増強させる技術はない。
【0007】
【特許文献1】特開平8−183726号公報
【特許文献2】特開2000−119156号公報
【特許文献3】特開2000−212032号公報
【特許文献4】特開2001−031558号公報
【特許文献5】特開2002−029929号公報
【特許文献6】特開2003−160461号公報
【特許文献7】特開2006−282594号公報
【特許文献8】特開平9−323915号公報
【特許文献9】特開平6−239730号公報
【特許文献10】特開平5−213735号公報
【特許文献11】特開2002−29920号公報
【特許文献12】特開2006−273808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、美白剤を配合した皮膚外用剤の肌に塗布した際の美白効果をより高めた皮膚外用剤を提供することにある。美白剤を配合した皮膚外用剤の美白剤の効果を増強させることは当業界において重要な課題である。特に、厚生労働省で認可されている数少ない医薬部外品の美白剤主剤が発揮する美白効果の増強は特別重要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために、美白に対する相乗効果を高める成分をメラノサイト付近に有効にデリバリーする研究を進め、美白剤の効果を相乗的に助ける成分と、紫外線によりメラニンの産生を指令するメッセンジャーである活性酸素の消去効果を有する成分を含有するリポソームを、医薬部外品の主剤である美白剤とともに皮膚外用剤に配合することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の(A)、(B):
(A)N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを含有するリポソーム;
(B)美白剤;
を含むことを特徴とする皮膚外用剤である。
【0011】
前記N−アセチルチロシンの含有量は皮膚外用剤全量中0.0001〜8.0質量%、グルタチオンの含有量は皮膚外用剤全量中0.0001〜1.6質量%、グラブリジンの含有量は皮膚外用剤全量中0.0001〜0.8質量%であることが好ましい。
【0012】
また、前記リポソームは、構成成分としてリン脂質を含むものであることが好ましい。
【0013】
また、前記リン脂質は、ホスファチジルコリン含有量が50質量%以上であるものが好ましい。
【0014】
また、前記リン脂質の含有量は、リポソーム全量中0.1〜7.0質量%であることが好ましい。
【0015】
また、前記リポソームの平均粒径は、150nm以下であることが好ましい。
【0016】
前記美白剤は、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸三ナトリウム、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸及びその塩、エラグ酸及びその塩、トラネキサム酸及びその塩、ルシノール、カミツレエキス、リノール酸並びにプラセンターエキスからなる群から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0017】
本発明の皮膚外用剤は、美白剤とともにN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを含有するリポソームを配合する。前記N−アセチルチロシンはリポソームに含有させることによってメラノサイトに効果的にデリバリーし、N−アセチルチロシンの美白剤のメラニン生成抑制効果を助ける機能が有効に発揮される。さらに、グルタチオン及びグラブリジンがリポソームに含有させることによって皮膚への吸収が高まり、角層から効果的にメラノサイトにデリバリーされ、グルタチオン及びグラブリジンの紫外線によりメラニンの産生を指令するメッセンジャーである活性酸素の消去効果がメラノサイトにおいて有効に発揮される。これによって、美白剤による美白効果が相乗的に高められ、効果的に作用するグルタチオン及びグラブリジンの活性酸素の消去効果と相まって、肌を明るくし、肌の透明感を高める等の優れた美白効果を発揮するものと考えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、美白剤とN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを含有するリポソームを皮膚外用剤に配合することにより、肌を明るくし、肌の透明感を高める等の優れた美白効果を発揮する皮膚外用剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
【0020】
本発明においては、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを含有するリポソームが皮膚外用剤に含まれる。
【0021】
前記リポソームに含有されるN−アセチルチロシンはN−アセチル−L−チロシンとも呼ばれ分子式はC1113NOで分子量は223.23である。チロシンにアセチル基を導入したもので、例えば日本理化学薬品製のN−アセチルチロシン等が利用できる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤におけるN−アセチルチロシンの含有量は、効果を特に有効に発揮するために、皮膚外用剤全量中0.0001質量%以上であることが好ましく、上限は特に限定されないが8.0質量%が好ましく、N−アセチルチロシンの皮膚外用剤中の含有量が上記範囲になるように、N−アセチルチロシンを含有するリポソームが皮膚外用剤に含有される。リポソーム中のN−アセチルチロシンの含有量は特に限定されないが、リポソーム全量中0.001〜10.0質量%の範囲であることが好ましい。
【0023】
また、前記リポソームに含有されるグルタチオンはペプチド性のチオールであり、ひとの細胞に存在し細胞内の抗酸化成分として主要な位置を占めるものである。グルタチオンは一般に市販されているので、市販品を用いることが可能である。
【0024】
本発明の皮膚外用剤におけるグルタチオンの含有量は、効果を特に有効に発揮するために、皮膚外用剤全量中0.0001質量%以上であることが好ましく、上限は特に限定されないが1.6質量%が好ましく、グルタチオンの皮膚外用剤中の含有量が上記範囲になるように、グルタチオンを含有するリポソームが皮膚外用剤に含有される。リポソーム中のグルタチオン含有量は特に限定されないが、リポソーム全量中0.001〜2.0質量%の範囲であることが好ましい。
【0025】
さらに、前記リポソームに含有されるグラブリジンは甘草に含まれるイソフラボノイド系イソフラバンの一種で、油溶性甘草抽出物としても一般的である。本発明においては、前記油溶性甘草抽出物を用いてもよいが、前記抽出物からグラブリジンを特別に精製して純度を高めたものが市販されており、例えば、丸善製薬株式会社製の油溶性甘草エキスHG、油溶性甘草エキスPT−40等を利用できる。
【0026】
本発明の皮膚外用剤におけるグラブリジンの含有量は、効果を特に有効に発揮するために、皮膚外用剤全量中0.0001質量%以上であることが好ましく、上限は特に限定されないが0.8質量%が好ましく、グラブリジンの皮膚外用剤中の含有量が上記範囲になるように、グラブリジンを含有するリポソームが皮膚外用剤に含有される。リポソーム中のグラブリジン含有量は特に限定されないが、リポソーム全量中0.001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。
【0027】
本発明において、前記N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンをリポソームに含有させる(以下、リポソームに含有させることをリポソーム化ともいう。)技術は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いてN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを含有するリポソームを得ることができる。以下、本発明における好ましい前記リポソーム及びリポソーム化技術について説明する。
【0028】
本発明においては、リポソーム化に際して、その構成成分として好ましくはリン脂質が用いられる。リポソーム化に用いられるリン脂質としては、化粧料、医薬部外品、医薬品等に使用されるものであれば特に限定されない。なお、本発明においてリン脂質とは、天然リン脂質、水素添加リン脂質等のリン脂質誘導体、合成リン脂質等を含めた概念のものである。リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、大豆レシチン、卵黄レシチン等の天然リン脂質、天然リン脂質中の不飽和炭素鎖を水素により飽和とした水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質等の水素添加リン脂質、ジオレイルホスファチジルコリン等の合成リン脂質等が挙げられる。リン脂質は、その1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。本発明においては、大豆レシチン、卵黄レシチン等のリン脂質、水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質等の水素添加リン脂質、合成リン脂質を用いることが好ましく、水素添加リン脂質がさらに好ましく、水素添加することにより高度不飽和結合がなくなり酸化に対する安定性は向上する。また、これにより、リポソームの酸化安定性や温度安定性が向上する。水素添加リン脂質のヨウ素価は10以下が酸化安定性を保つためにも好ましい。水素添加リン脂質は、大豆等から得られるレシチンを水素添加して得たリン脂質を利用することができるが、さらに、このリン脂質を分画してホスファチジルコリン(PC)の含有量を50質量%以上に濃縮したものを用いることが好ましい。これによれば、安定に、特に本発明で好ましい粒径の小さいリポソームが安定に得られる。本発明においては、リン脂質のホスファチジルコリン含有量が50質量%以上であることが好ましい。水素添加リン脂質は特に限定されないが、水素添加大豆リン脂質が特に好ましい。
【0029】
リン脂質は公知のものであり、一般に市販されているので市販品を用いることが可能である。市販品としては、例えば、レシノールS−10EX(PC含有量95質量%以上、ヨウ素価10以下)、同S−10E(PC含有量75〜85質量%、ヨウ素価10以下)、同S−10M(PC含有量55〜65質量%、ヨウ素価10以下)等の水素添加大豆リン脂質(以上、いずれも日光ケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。
【0030】
本発明のリポソームにおけるリン脂質の含有量は、リポソーム全量中0.1〜7.0質量%が好ましく、さらに好ましくは、リポソーム全量中2.0〜7.0質量%である。リポソーム全量中3.0〜6.0質量%が最も好ましい。リン脂質をリポソーム中に高濃度に配合することにより、後述する粒径の小さいリポソームを得ることができ、該リポソームを皮膚外用剤に配合して皮膚に適用することによりリポソームに含有された、美白剤の効果を助ける成分としてのN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを効果的に肌に浸透させ、美白効果を高めることができる。
【0031】
リポソームの安定化の目的でコレステロール、コレステロールエステル、界面活性剤、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類等の安定化剤を添加することができる。前記リポソームの安定化剤は、例えば、前記リポソーム調製の際にリン脂質等と共に混合され、リポソームの一構成成分とすることができる。安定化剤の配合量はリポソーム全量中0.001〜1.0質量%程度配合することが好ましい。
【0032】
前記非イオン界面活性剤の例としては、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)硬化ヒマシ油、POEグリセリンモノイソステアレート等を挙げることができる。非イオン界面活性剤は1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0033】
N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを含有するリポソームの調製は、特に限定されることなく、例えば、リン脂質等本発明のリポソーム構成成分を用いて、薄膜法によるリン脂質多層膜を分散させる方法や、高圧ホモジナイザーによる分散法等既知の方法で調製することができる。
【0034】
例えば、リン脂質に、もし必要であれば多価アルコール、コレステロール等の安定化剤を加熱混合し、溶解する。その後、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを添加し、撹拌混合し、そこに温水を加え、さらに撹拌混合する。その後、高圧ミキサー(例えばマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディックス社製)のような高圧乳化機やAPVホモジナイザー等)で処理しリポソームを形成させる。次いで、加温した場合は、室温まで冷却してリポソーム液を得る。
【0035】
リポソームは、リン脂質の二分子膜の一層あるいは多層からなる球状の小胞体で、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンがリン脂質の膜中または小胞体内に取り込まれた内包状態となる。前記多層リポソームは、小胞体中に油溶性の成分、親水性の成分を多く取り込むことが可能であり、本発明の目的には多層リポソームが適している。
【0036】
本発明のリポソームは、皮膚への浸透及びメラノサイトへのデリバリー等を考慮すると小さい粒径のものが好ましく、平均粒径が150nm以下のリポソームが好ましい。粒径の測定は濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子株式会社製)を用いて測定される。粒径の下限は、製造される範囲で特に限定されないが、安定性の点から30nmが好ましい。
【0037】
前記のように、リン脂質を高濃度に配合した粒径の小さいリポソームにN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを含有させて皮膚外用剤に配合することで、美白剤の効果を助ける成分を有効に肌に浸透させ、美白効果を顕著に高めることができる。
【0038】
リポソームは、一般的には、水分散液として存在し、水に任意に希釈される。皮膚外用剤中においても皮膚外用剤中の水に任意に希釈される。
【0039】
本発明においては、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンをリポソームに包含させて皮膚外用剤中に含有されるが、前記リポソームとしては、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンの混合されたものが包含されたリポソームばかりでなく、皮膚外用剤中のリポソーム内に所定のN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンが存在すればよい。例えば、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンそれぞれ別々に包含されたリポソームの、それぞれのリポソームを皮膚外用剤中に含有させても構わない。本発明においては、これらのリポソームの態様を全て含めたものとして、請求項等の表現をとっている。本発明においては、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンの混合されたものが包含されたリポソームが効果の点で好ましい。
【0040】
本発明において、美白剤は、従来メラニン産生を抑制する作用が知られているものであれば、特に限定されることなく使用することができ、本発明の効果を発揮する。美白剤としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム(APMという。)、アスコルビン酸リン酸三ナトリウム等のアスコルビン酸塩、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル等のアスコルビン酸脂肪酸エステル、アスコルビン酸グルコシド等のアスコルビン酸配糖体等のアスコルビン酸及びその関連物質、ハイドロキノンの配糖体(アルブチン等)等のハイドロキノン誘導体、コウジ酸、コウジ酸の塩、エラグ酸、エラグ酸の塩、フェルラ酸、フェルラ酸の塩等のフェノール性物質及びその誘導体、トラネキサム酸、トラネキサム酸の塩、ルシノール、カミツレエキス、リノール酸、プラセンターエキス等が挙げられる。
【0041】
これらの内、好ましいものは、APM、アスコルビン酸リン酸三ナトリウム、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸、コウジ酸の塩、エラグ酸、エラグ酸の塩、トラネキサム酸、トラネキサム酸の塩、ルシノール、カミツレエキス、リノール酸、プラセンターエキス等であり、本発明の効果を充分発揮する。これらの好ましい美白剤はいずれも医薬部外品の美白剤の主剤として厚生労働省で許可になっている原料である。
【0042】
特に好ましい美白剤は、APM、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン等である。
【0043】
なお、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンは美白作用を有するものとして知られているが、本発明における美白剤からはこれらのN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンは除外される。
【0044】
美白剤の含有量は特に限定されないが、一般的には皮膚外用剤全量中0.001〜15.0質量%の範囲で含有される。なお、好ましく用いられる厚生労働省で認可されている美白剤主剤の場合、皮膚外用剤の美白効果、使用性、安定性等を考慮しても、各美白剤の厚生労働省における医薬部外品の承認前例の範囲で含有すれば充分である。
【0045】
本発明の皮膚外用剤には、前記成分の他に、通常化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。前記任意配合成分としては、成分中に含まれる物質が複数の成分に該当する場合がある記載であり、また前記と一部重なる記載も含まれるが、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、多価アルコール、エモリエント剤、増粘剤、水溶性高分子、皮膜形成剤、油ゲル化剤、有機および無機顔料、有機および無機顔料、有機粉体、低級アルコール、紫外線吸収剤、皮膚賦活剤,血行促進剤等の薬剤、植物抽出物、有機酸、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、収斂剤、清涼剤、冷感剤、制汗剤、色素、香料、水等を挙げることができる。
【0046】
前記任意配合成分のうち、油分の具体的な例としては、エステル系油分として、例えば、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、
【0047】
ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル等が挙げられる。
【0048】
炭化水素系油分として、例えば、スクワラン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。シリコーン系油分として、例えば、ポリメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルシクロポリシロキサン、環状シリコーン油、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性シリコーン油、アミノ変性シリコーン油等が挙げられる。フッ素系油分として、例えば、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。動植物油脂として、例えば、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、杏仁油、パーム核油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ヤシ油、ククイナッツ油、コメヌカ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、シアバター、月見草油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、卵黄油、牛脂、馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、ホホバ油等が挙げられる。
【0049】
保湿剤としては、例えば、ソルビトール、マンニトール、ピロリドン−カルボン酸ナトリウム、グリセリン、プロビレングリコール、1,3−ブチレングリコール(1,3−BG)、エチレングリコール、ヒアルロン酸、コラーゲン等が挙げられる。エモリエント剤としては前記の油分が役割を果たす。水溶性高分子としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン系重合体の高分子、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、デキストリン等が挙げられる。
【0050】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン性界面活性剤として、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ジメチコンコポリオール等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
【0051】
カチオン性界面活性剤として、例えば、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤として、例えば、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
【0052】
顔料としては、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンカラ、クレー、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン、カーボンブラック、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びこれらの無機粉体と有機粉体の複合粉体等が挙げられる。
【0053】
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸ホモメンチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルへキシルエステル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラアミノ安息香酸及びそのエステル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、フェルラ酸、サリチル酸オクチル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、シノキサート、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルへキシル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、ジメチコジエチルベンザルマ ロネート、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒ ドロキシベンゾイル]安息香 酸ヘキシルエステル、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,2’−メチレンビス(6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等が挙げられる。
【0054】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール等が挙げられる。殺菌剤としては、例えば、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エリソルビン酸等が挙げられる。
【0055】
植物抽出物としては、例えば、アシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバ−エキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ−ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス等が挙げられる。
【0056】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸−水素ナトリウム等が挙げられる。
【0057】
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、1,3−BG、1,2−ペンタンジオール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール(DPG)、ジグリセリン等が挙げられる。
【0058】
保湿剤としては、例えば、乳酸塩(ナトリウム等)、ピロリドンカルボン酸ナトリウム(PCAソーダ)、尿素等を挙げられる。
【0059】
水溶性高分子としては、例えば、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、プルラン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)等が挙げられる。
【0060】
なお、これらの任意の成分はこれらに限定されるものではない。
【0061】
本発明においては、調製されたリポソーム分散液をそのまま、あるいは若干の添加物を混合して皮膚外用剤として応用しても構わないが、調製されたリポソーム又はリポソーム分散液を他の皮膚外用剤基剤とともに混合して皮膚外用剤を調製することも可能であり、この方法が一般的である。具体的には、例えば、常法によりリポソームの配合されない皮膚外用剤を調製し、次いで該皮膚外用剤を撹拌しながら50℃以下でリポソームを添加して調製する。
【0062】
本発明皮膚外用剤の形態としては、特に限定されないが、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック等が挙げられる。また、剤型としては、特に限定されないが、液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状、ジェル状、分散液状等が挙げられる。
【実施例】
【0063】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。配合量は、特に記載のないものは質量%である。実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
【0064】
[使用感官能評価試験]
ボランティア20名によって使用感効果テストを行った。ボランティアは、毎日1回28日間肌(顔面他)に塗布する用法での使用試験を行い、「肌の明るさ」、「肌の透明感」、「肌質改善効果」を官能で評価した。各評価は、3段の評価として、それぞれの評価をした人数をまとめた。
【0065】
[リポソームの製造]
表1に掲げた成分を用いて以下の方法でリポソーム分散液からなるリポソームA〜Fを製造した。表1には使用した各成分の割合を質量%(配合量合計100質量%)で示している。水素添加大豆リン脂質、1,3−BGの一部を70℃で混合後、1,3−BGの残部とPOE(100)硬化ヒマシ油の混合物を添加し、70℃で加熱溶解した。その後、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを添加し(リポソームFを除く。)、撹拌混合した。その後、水を加え100質量%とし撹拌混合した。最後に、高圧乳化機(「マイクロフルイダイザー」米国マイクロフルイディックス社製)で処理をしリポソームを得た。なお、同表1には得られたリポソームの平均粒径を併せて示した。
【0066】
【表1】

【0067】
(注)NIKKOLレシノールS−10E(日光ケミカルズ社製)
【0068】
[実施例1〜8、比較例1〜11]
表2〜4に示した成分、配合量の処方(配合量合計100質量%)のクリームを以下の方法で調製した。なお、リポソームA〜Fは表1に示したものである。
【0069】
(調製法)
実施例1〜5の調製
成分1〜8、10を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9、14を22に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、50℃になったら17〜21を添加しさらに35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0070】
実施例6〜7の調製
成分1〜8を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9、14を22の一部に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、50℃になったら11、12を22の残部に溶解して添加し、さらに19を添加し35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0071】
実施例8の調製
成分1〜8を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9を22の一部に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、50℃になったら13、15、16を22の残部に溶解して添加し、さらに19を添加し35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0072】
比較例1の調製
成分1〜8、10を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9、14を19に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0073】
比較例2〜3の調製
成分1〜8を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9、14を19の一部に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、50℃になったら11、12を19の残部に溶解して添加し、35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0074】
比較例4の調製
成分1〜8を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9を19の一部に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、50℃になったら13、15、16を19の残部に溶解して添加し、35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0075】
比較例5〜6の調製
成分1〜8を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9、14を19に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、50℃になったら17〜18を添加しさらに35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0076】
比較例7、11の調製
成分1〜8、10を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9に19を溶解し、これと、14、17、18を20に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0077】
比較例8〜9の調製
成分1〜8を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9に19を溶解し、これと、14、17、18を20の一部に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、50℃になったら11、12を20の残部に溶解して添加し、35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0078】
比較例10の調製
成分1〜8を混合して75〜80℃で加熱溶解した(油相部)。9に19を溶解し、これと、17、18を20の一部に加えて75〜80℃に加温した水相部を前記油相部に徐々に撹拌しながら加えて乳化した。撹拌しながら冷却し、50℃になったら13、15、16を20の残部に溶解して添加し、35℃まで撹拌してクリームを得た。
【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
前記クリームは、処方の基本部分は全て同じとして、実施例3〜7においてN−アセチルチロシンの処方中の配合量が同じ(0.6質量%)になるよう、リポソームの製造で調製したリポソームC、D、Eを配合した。これに伴い、水素添加大豆リン脂質の配合量が実施例3、6、7は1.2質量%、実施例4は0.5質量%、実施例5は0.42質量%となる。比較例1〜4は、リポソームが配合されていない例であり、比較例5は、美白剤が配合されていない例であり、さらに、比較例6は、リポソーム中にN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンが含有されていない例である。また、比較例7〜10においては、実施例3、6、7、8におけるN−アセチルチロシンの配合量0.6質量%及びグルタチオンの配合量0.3質量%、グラブリジンの配合量0.09質量%を配合し、比較例11においてはこの配合量の2倍とした。これらは、リポソーム化されていない状態で配合した。
【0083】
上記実施例1〜8、比較例1〜11の皮膚外用剤(クリーム)につき効果試験を行い、その評価結果を表5、6に示した。
【0084】
【表5】

【0085】
【表6】

【0086】
表5、6から明らかなように、美白剤と、N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを包含させたリポソームを配合した本発明の皮膚外用剤(クリーム)(実施例1〜8)は、いずれも肌の明るさ及び透明感が比較例と比較して高まることが分かり、いずれも美白効果が相乗的に優れていた。さらに、肌質改善効果が相乗的に高まる効果が見られた。
【0087】
一方、リポソームが配合されていない美白剤配合のみの比較例1〜4のクリームは、前記効果すべてにおいて効果が得られていないことが分かる。さらに、美白剤が配合されていない比較例5のクリーム、リポソーム中にN−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンが含有されていない比較例6のクリームは、前記効果すべてにおいて効果が得られていないことが分かる。また、実施例3、6、7、8におけるN−アセチルチロシンの配合量0.6質量%及びグルタチオンの配合量0.3質量%、グラブリジンの配合量0.09質量%をリポソーム化されていない状態で配合し(比較例7〜10)、さらに、この配合量の2倍とした比較例11のクリームは、前記効果すべてにおいて効果が得られていないことが分かる。
【0088】
以下、さらに本発明の皮膚外用剤を示す。
【0089】
実施例9 化粧水
成分 配合量(質量%)
(1)1,3−BG 5.0
(2)DPG 2.0
(3)フェノキシエタノール 0.2
(4)精製水 残量
(5)APM 3.0
(6)クエン酸ナトリウム 0.5
(7)エデト酸四ナトリウム 0.2
(8)リポソームG(注) 50.0
合計100.0
【0090】
(注)リポソームCの水素添加大豆リン脂質を同量のNIKKOLレシノールS−10M(日光ケミカルズ社製)に替えて製造したもの
【0091】
(製法)
成分(1)〜(7)を撹拌溶解し、(8)を加え、撹拌混合して化粧水を得た。
【0092】
実施例10 化粧水
実施例9の化粧水において、APMの代わりにアスコルビン酸リン酸三ナトリウムを配合した以外は全く同様にして実施例10の化粧水を得た。
【0093】
実施例11 ジェル
成分 配合量(質量%)
(1)1,3−BG 5.0
(2)DPG 2.0
(3)フェノキシエタノール 0.2
(4)精製水 残量
(5)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.4
(6)テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル 3.0
(7)クエン酸 0.2
(8)リポソームC 50.0
(9)水酸化カリウム 0.3
合計100.0
【0094】
(製法)
成分(5)を(4)の一部に撹拌分散し、(9)を(4)の残部に溶解したもので中和してゲルにした。これに(1)、(2)、(3)、(7)を加えて溶解し、つぎに、(6)を徐々に加えて撹拌して乳化した。さらに(8)を加えて、撹拌混合してジェルを得た。
【0095】
実施例12 ジェル
実施例11のジェルにおいて、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの代わりにモノステアリン酸アスコルビルを配合した以外は全く同様にして実施例12のジェルを得た。
【0096】
実施例13 ジェル
実施例11のジェルにおいて、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの代わりにモノパルミチン酸アスコルビルを配合した以外は全く同様にして実施例13のジェルを得た。
【0097】
実施例14 美容液
成分 配合量(質量%)
(1)1,3−BG 5.0
(2)DPG 2.0
(3)フェノキシエタノール 0.2
(4)精製水 残量
(5)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.4
(6)モノパルミチン酸アスコルビル 3.0
(7)スクワラン 5.0
(8)クエン酸 0.2
(9)リポソームC 50.0
(10)水酸化カリウム 0.3
合計100.0
【0098】
(製法)
成分(5)を(4)の一部に撹拌分散し、(10)を(4)の残部に溶解したもので中和してゲルにした。(6)を(7)に加温して加え撹拌溶解しこれを徐々にジエルに加えて撹拌して乳化した。
さらに(1)、(2)、(3)、(8)を加えて溶解した。さらに(9)を加えて、撹拌混合して美容液を得た。
【0099】
実施例15 美容液
実施例14の美容液において、モノパルミチン酸アスコルビルの代わりにジパルミチン酸アスコルビルを配合した以外は全く同様にして実施例15の化粧水を得た。
【0100】
実施例16 美容液
実施例14の美容液において、モノパルミチン酸アスコルビルの代わりにルシノールを配合した以外は全く同様にして実施例16の美容液を得た。
【0101】
実施例17 美容液
実施例14の美容液において、モノパルミチン酸アスコルビルの代わりにカミツレエキスを配合した以外は全く同様にして実施例17の美容液を得た。
【0102】
実施例18 美容液
実施例14の美容液において、モノパルミチン酸アスコルビルの代わりにリノール酸を配合した以外は全く同様にして実施例18の美容液を得た。
【0103】
実施例19 クリーム
成分 配合量(質量%)
油相
POE(40)モノステアリン酸 2.0
自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 5.0
ステアリン酸 2.0
セタノール 2.0
スクワラン 12.0
マカデミアナッツ油 4.0
メチルポリシロキサン 0.2
防腐剤 適量
水相
1,3−BG 7.0
アルブチン 3.0
クエン酸 0.2
精製水 残量
リポソーム相
リポソームH(注) 50.0
合計100.0
【0104】
(注)リポソームEのPOE(100)硬化ヒマシ油を同量のコレステロールに替えて製造したもの
【0105】
(調製法)
油相、水相ともに80℃で加温溶解し、水相を油相に撹拌しながら徐々に加えて乳化した。さらに撹拌を続けて冷却し、40℃以下でリポソームHを添加、さらに撹拌して均一混合してクリームを得た。
【0106】
実施例20 クリーム
実施例19のクリームにおいて、アルブチン3.0質量%の代わりにアスコルビン酸グルコシドを2.0質量%配合し、精製水の配合量で調整した以外は同様にして実施例20のクリームを得た。
【0107】
実施例21 化粧水
成分 配合量(質量%)
(1)1,3−BG 5.0
(2)DPG 2.0
(3)フェノキシエタノール 0.2
(4)精製水 残量
(5)プラセンターエキス 0.1
(6)クエン酸 0.2
(7)リポソームI(注) 70.0
合計100.0
【0108】
(注)リポソームBの水素添加大豆リン脂質を同量のNIKKOLレシノールS−10EX(日光ケミカルズ社製)に替えて製造したもの
【0109】
(製法)
成分(1)〜(6)を撹拌溶解し、(7)を加え、撹拌混合して化粧水を得た。
【0110】
実施例22 化粧水
成分 配合量(質量%)
(1)1,3−BG 5.0
(2)DPG 2.0
(3)フェノキシエタノール 0.2
(4)精製水 残量
(5)トラネキサム酸 0.1
(6)クエン酸 0.2
(7)リポソームC 70.0
合計100.0
【0111】
(製法)
成分(1)〜(6)を撹拌溶解し、(7)を加え、撹拌混合して化粧水を得た。
【0112】
実施例23 美容液
実施例14の美容液において、モノパルミチン酸アスコルビル3.0質量%の代わりにエラグ酸0.1質量%を配合し、精製水の配合量で調整した以外は同様にして実施例23の美容液を得た。
【0113】
実施例24 化粧水
実施例22の化粧水において、トラネキサム酸の代わりにコウジ酸を配合した以外は全く同様にして実施例24の化粧水を得た。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、化粧品、医薬品等の種々の分野に応用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)、(B):
(A)N−アセチルチロシン、グルタチオン及びグラブリジンを含有するリポソーム;
(B)美白剤;
を含むことを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
N−アセチルチロシンの含有量が皮膚外用剤全量中0.0001〜8.0質量%である請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
グルタチオンの含有量が皮膚外用剤全量中0.0001〜1.6質量%である請求項1又は2記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
グラブリジンの含有量が皮膚外用剤全量中0.0001〜0.8質量%である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
リポソームが、構成成分としてリン脂質を含むものである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
リン脂質のホスファチジルコリン含有量が50質量%以上である請求項5記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
リン脂質の含有量がリポソーム全量中0.1〜7.0質量%である請求項5又は6記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
リポソームの平均粒径が150nm以下である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
美白剤が、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸三ナトリウム、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸及びその塩、エラグ酸及びその塩、トラネキサム酸及びその塩、ルシノール、カミツレエキス、リノール酸並びにプラセンターエキスからなる群から選ばれた1種又は2種以上である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2009−221152(P2009−221152A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67394(P2008−67394)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(502024694)ドクタープログラム株式会社 (8)
【Fターム(参考)】