説明

皮膚外用剤

【課題】安定性及び安全性が良好で、長期間連続して使用することができ、肩こり、腰痛等の筋肉痛、筋肉疲労、頚肩腕症候群、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)、ひざの関節痛等変形性関節症といった関節症、腱鞘炎、外傷等の創傷、火傷、褥瘡などや、蕁麻疹、主婦湿疹、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患などに対して、優れた予防又は改善効果を有する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる成分を皮膚外用剤に含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩こり、腰痛等の筋肉痛、筋肉疲労、頚肩腕症候群、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)、ひざの関節痛等変形性関節症といった関節症、腱鞘炎、外傷等の創傷、火傷、褥瘡などの予防又は改善、蕁麻疹、主婦湿疹、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患の改善効果など、種々の作用効果を有する皮膚外用剤に関する。さらに詳しくは、乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる成分を含有してなる皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、肩こり、腰痛などの筋肉疲労や筋肉痛の改善、外傷、火傷等の創傷の治癒・改善、かぶれや蕁麻疹、アトピー性皮膚炎等の炎症の改善を図る上で、疾患部位に直接適用できることや、塗布や貼付等により適用すればよく、適用が容易であること等の理由から、皮膚外用剤が多く用いられてきた。すでに、ステロイド性の抗炎症剤や非ステロイド性の消炎・鎮痛剤、殺菌剤、抗生物質等を含有する皮膚外用剤が多数市販されている。また近年では、筋肉疲労や肩こり、筋肉痛等を改善するものとして、シトラールを含有するもの(特許文献1)、β−エンドルフィンを含有するもの(特許文献2)などが、抗炎症効果を有するものとして、アントシアニジンとジンゲロールを含有するもの(特許文献3)、クエルシトリン、ケンフェロール3−O−ラムノシドを含有するもの(特許文献4)、フェルビナク又はインドメタシンとセイヨウトチノキ、サンシシ等の抽出物を含有するもの(特許文献5)といった技術が開示されている。
【0003】
しかし、これまで用いられてきた有効成分の中には、皮膚に対する刺激性や感作性を示したり、安定性に問題があったりして、特に慢性的な疾患の場合などに長期間にわたり使用するには不適であるものも存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−44467号公報
【特許文献2】特開2007−63134号公報
【特許文献3】特開2007−210993号公報
【特許文献4】特開2007−217396号公報
【特許文献5】特開2007−291069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明においては、安定性及び安全性が良好で、長期間連続して使用することができ、肩こり、腰痛等の筋肉痛、筋肉疲労、頚肩腕症候群、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)、ひざの関節痛等変形性関節症といった関節症、腱鞘炎、外傷等の創傷、火傷、褥瘡などや、蕁麻疹、主婦湿疹、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患などに対して、優れた予防又は改善効果を有する皮膚外用剤を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明者らは、乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる成分を皮膚外用剤に含有させることにより、上記疾患等に対して優れた予防又は改善効果を有し、且つ安定性及び安全性が良好で、長期間連続して使用することのできる皮膚外用剤が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、次の[1]〜[18]に関する。
[1]乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる成分を含有する皮膚外用剤。
[2]乳酸菌、納豆菌及び酵母を米ヌカ抽出物及びブドウ糖を含有する培地で培養して得られる発酵液を含有する、上記[1]に記載の皮膚外用剤。
[3]乳酸菌がラクトバチルス・パラカセイである、上記[1]又は[2]に記載の皮膚外用剤。
[4]納豆菌がバチルス・パミルスである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[5]酵母がサッカロマイセス・セリビジェー及びピチア・メンブラニファシエンスより選択される1種以上である、上記[1]〜[4]に記載の皮膚外用剤。
[6]ラクトバチルス・パラカセイ、バチルス・パミルス、並びにサッカロマイセス・セリビジェー及びピチア・メンブラニファシエンスより選択される1種以上の酵母を混合培養して得られる成分を含有する、皮膚外用剤。
[7]ラクトバチルス・パラカセイ、バチルス・パミルス、サッカロマイセス・セリビジェー及びピチア・メンブラニファシエンスを混合培養して得られる成分を含有する、皮膚外用剤。
[8]消炎・鎮痛剤である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[9]筋肉疲労又は筋肉痛の予防又は改善用である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[10]関節症の改善用である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[11]腱鞘炎の改善用である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[12]外傷又は火傷の改善用である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[13]褥瘡の予防又は改善用である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[14]皮膚疾患の改善用である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[15]皮膚疾患が皮膚炎である、上記[14]に記載の皮膚外用剤。
[16]皮膚疾患が皮膚の色素沈着症である、上記[14]に記載の皮膚外用剤。
[17]ヒト用である、上記[1]〜[16]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[18]ヒト以外の動物用である、上記[1]〜[16]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた消炎・鎮痛効果を有し、肩こり、腰痛等の筋肉痛、筋肉疲労、頚肩腕症候群、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)、ひざの関節痛等変形性関節症といった関節症、腱鞘炎、外傷等の創傷、火傷、褥瘡などの改善に有用な皮膚外用剤を得ることができる。また、蕁麻疹、主婦湿疹、アトピー性皮膚炎等の皮膚炎、吹き出物等の皮疹、雀斑、光線性色素斑、肝斑等の色素沈着症等の皮膚疾患の改善に有用な皮膚外用剤を得ることができる。さらに、本発明に係る皮膚外用剤は、筋肉疲労や筋肉痛又は褥瘡に対して、改善効果のみならず予防効果をも有するものであり、またヒト以外の動物の前記各症状の予防又は改善にも有効である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る皮膚外用剤は、乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる成分を含有してなる。
【0010】
本発明において乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる成分(本発明における成分ともいう)とは、乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる成分、すなわち前記の各菌を共棲発酵させた培養物から得られる成分であり、前記菌の生菌、加熱後の死菌、前記菌が培養中に培地に分泌する分泌産物、これらの混合物及びこれらから得られる成分などが挙げられる。なかでも乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる培養液(本発明において混合培養液ともいう)、及び混合培養液から死菌を除去したものが好ましい。また、混合培養液は、加熱処理した後に死菌をろ過して得られる可溶性成分が好ましい。
【0011】
本発明における混合培養を行う際の培地としては、米ヌカ、水、ブドウ糖、蜂蜜、麹汁、麦芽汁、肉エキス等を含有する培地が挙げられる。好ましくは米ヌカ、ブドウ糖及び水を含有する培地が挙げられる。
【0012】
培地の組成成分である米ヌカの種類は特に限定されるものではないが、たとえば、玄米を精米したときに発生したものを使用することができる。米ヌカ、ブドウ糖及び水の組成比は、重量比にして通常1:0.5〜4:10〜40であり、1:0.5〜3:10〜30が好ましく、1:1:20がより好ましい。また上記培地には、上記の各菌の培養に有用な他の成分を添加してもよい。
【0013】
本発明においては、乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合して用いる。
【0014】
本発明において用いる乳酸菌としては、乳酸発酵に関与する細菌であれば、特に限定されないが、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属 (Bifidobacterium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属 (Lactococcus)等に属する細菌が挙げられる。なかでもラクトバシラス属が好ましく、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)がより好ましい。
【0015】
本発明において用いる納豆菌は、バチルス属に属する細菌であれば特に限定されないが、バチルス・パミルス(Bacillus pumilus)が好ましい。
【0016】
本発明における酵母としては、生活環の一定期間において栄養体が単細胞性を示し、主として出芽によって増殖する真菌類であれば特に限定されないが、サッカロマイセス属やピチア属に属する微生物が挙げられる。なかでもサッカロマイセス・セリビジェー(Saccharomyces cerevisiae)、ピチア・メンブラニファシエンス(Pichia membranifaciens)が好ましい。
【0017】
本発明においては、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、バチルス・パミルス(Bacillus pumilus)と、サッカロマイセス・セリビジェー(Saccharomyces cerevisiae)及びピチア・メンブラニファシエンス(Pichia membranifaciens)より選択される1種以上を混合して培養することが特に好ましく、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、バチルス・パミルス(Bacillus pumilus)、サッカロマイセス・セリビジェー(Saccharomyces cerevisiae)及びピチア・メンブラニファシエンス(Pichia membranifaciens)を混合して培養することが最も好ましい。
【0018】
本発明における成分は、たとえば次のようにして製造することができる。まず、たとえば上記乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養するための培地を以下のように調製する。最初に米ヌカと水を混合して混合物を濾過し、濾液にブドウ糖を添加し、加熱して混合した後、混合物を濾過する。濾液にさらに水を添加して滅菌後冷却し、得られた培地を混合培養に供する。
【0019】
次いで、上記培地に上記の乳酸菌、納豆菌及び酵母を接種し、以下のように培養して混合培養液を得る。すなわち、一次培養を通気培養で行う。培養温度は通常32〜40℃であり、好ましくは35〜37℃である。また培養時間は36〜60時間であり、好ましくは40〜55時間である。
【0020】
次に、二次培養を冷温熟成により行う。培養温度は通常2〜15℃であり、好ましくは5〜8℃である。また培養日数は30〜60日間であり、好ましくは40〜50日間である。
【0021】
続いて、二次培養で得られた培養液を滅菌処理する。滅菌処理方法は特に限定されないが、通常、加熱滅菌、電磁波による滅菌、濾過殺菌などにより行われ、なかでも加熱による滅菌が好ましい。加熱滅菌の場合、滅菌温度は通常110〜130℃であり、好ましくは120〜121℃である。また滅菌処理時間は10〜60分間であり、好ましくは16〜17分間である。このようにして得た滅菌後の培養液、又は前記培養液を濾過し、菌体(死菌)を除去して得た液を本発明における成分とする。
【0022】
上記のようにして調製した本発明における成分は、そのまま皮膚外用剤に含有させてもよいが、さらに濃縮し、又は脱色、脱臭、脱塩等の精製処理や、カラムクロマトグラフィー等による分画処理を行った後に用いることもできる。また、凍結乾燥して粉末化し、或いは該粉末を溶媒に懸濁させてペースト化して用いることもできる。
【0023】
本発明においては、上記の本発明における成分を皮膚外用剤用の基剤又は担体に含有させて皮膚外用剤とする。かかる基剤又は担体としては、水性担体、乳状担体、ゲル状担体、クリーム基剤及び軟膏基剤等が挙げられ、マイクロカプセルやリポソームに内包させて含有させることもできる。従って、本発明に係る皮膚外用剤は、液剤、懸濁剤、乳剤、リニメント剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤などの剤形で提供することができる。また前記の他に、パップ剤やパッチ剤等の貼付剤としても提供することもできる。
【0024】
なお、本発明に係る皮膚外用剤には、本発明における成分の安定性及び効果に影響を与えない範囲で、動植物性油脂類、ロウ類、脂肪酸、脂肪族アルコール、エステル油類、炭化水素油類、シリコーン油類といった油性成分、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤といった界面活性剤、エタノール等の低級アルコール類、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシセルロース等の増粘剤類、乳酸及びその塩、クエン酸及びその塩等のpH調整剤、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、L−アルギニン等の塩基類、トコフェロール及びその誘導体等の抗酸化剤、紫外線防止剤、防菌防黴剤、香料、色素、顔料等、皮膚外用剤に一般的に配合される成分を含有させることができる。また、ピロリドンカルボン酸塩、ムコ多糖類等の保湿剤、クロレラ抽出物、シルク加水分解物等の細胞賦活剤、アスコルビン酸誘導体等の美白剤、海藻抽出物、各種植物抽出物等を含有させることができ、ブフェキサマク、フェルビナク、インドメタシン、ケトプロフェン、グリチルレチン酸及びその誘導体等の非ステロイド性抗炎症剤、吉草酸ベサメサゾン、酪酸クロベタゾン、プレドニゾロン等のステロイド性抗炎症剤、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤といった薬効成分を含有させることもできる。
【0025】
本発明に係る皮膚外用剤における上記本発明における成分の含有量は、皮膚外用剤の剤形、対象とする疾患、適用する患者もしくは患畜の年齢及び体重、本発明における成分の調製方法等により異なる。本発明における成分をそのまま皮膚外用剤とする(100重量%)こともできるが、本願発明における混合培養液を加熱滅菌後、死菌を除去したもので、皮膚外用剤全量に対して10〜50重量%(乾燥重量にして0.03〜0.15重量%)とするのが好ましく、30〜50重量%(乾燥重量にして0.09〜0.15重量%)とするのがより好ましい。
【0026】
本発明に係る皮膚外用剤は、消炎・鎮痛剤として、肩こり、腰痛等の筋肉痛、筋肉疲労、頚肩腕症候群、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)、ひざの関節痛等変形性関節症といった関節症、腱鞘炎、外傷等の創傷、火傷、褥瘡などの改善に有効である。また、急激な作業や運動による筋肉疲労の予防効果や、日常的に皮膚の手入れに使用することにより、褥瘡形成の予防効果をも有する。さらに、蕁麻疹、主婦湿疹、アトピー性皮膚炎等の皮膚炎、吹き出物等の皮疹、雀斑、光線性色素斑、肝斑等の色素沈着症(いわゆるシミ、ソバカス)などの皮膚疾患に対する改善効果を有する。
【0027】
またさらに、本発明に係る皮膚外用剤は、ヒト以外の動物の上記各症状の改善にも有効に用いられる。ヒト以外の動物としては、ほ乳類、特にイヌ、ネコ、ウサギ、サル、モルモット等の愛玩動物や、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等の家畜類が挙げられ、特にこれらの創傷等の炎症や、皮膚炎等皮膚疾患などに好適に適用することができる。また、運動による筋肉疲労の予防効果をも有する。
【0028】
本発明に係る皮膚外用剤は、適量を患部に1日あたり1回〜数回塗布し、又は患部に貼付して適用することができる。本発明における成分の1回の適用量としては、成人で皮膚100cmあたり、本願発明の混合培養液を加熱滅菌後、死菌を除去したものについて、0.03g〜0.9g(乾燥重量にして0.09mg〜2.7mg)であり、好ましくは0.15g〜0.6g(乾燥重量にして0.45mg〜1.8mg)である。
【0029】
さらに本発明に係る皮膚外用剤は、化粧水、乳液、保湿クリーム、美容液、洗顔料、パック剤等の皮膚化粧料、肌荒れ改善剤、シワ防止剤、シミ防止剤、日焼け止め剤等の皮膚用の医薬部外品としても提供することができる。
【実施例】
【0030】
さらに本発明について実施例により詳細に説明する。まず、本発明における成分の調製例について示す。
【0031】
[本発明における成分の調製例]
1.培地の調製:まず生米ヌカ450gと水9Lとを混合し、1〜1.5時間撹拌して、5重量%の米ヌカの水抽出液を得た。次にこの米ヌカ抽出液を木綿布で濾過した。この濾過は、木綿布の他に、たとえば吸引機やフィルタープレス等を用いて行うこともできる。そして、濾過後の残渣(粕)を除去するとともに、濾液にブドウ糖450gを添加し、さらに100℃で10分間加熱して混合溶液を調製した。次に、加熱した混合溶液を木綿布で濾過した。この場合の濾過も、木綿布の他に吸引機やフィルタープレス等を用いて行うことができる。濾過後の残渣を除去するとともに、濾液に水約3Lを補充し、9Lの混合溶液を調製した。この溶液を121℃で17分間滅菌した後、冷却して培地とした。なお生米ヌカとしては、玄米の精米時に発生して得られたものを用い、水としては水道水を用いた。
【0032】
2.培養液の調製:上記のようにして調製した培地に、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、サッカロマイセス・セリビジェー(Saccharomyces cerevisiae)、ピチア・メンブラニファシエンス(Pichia membranifaciens)及びバチルス・パミルス(Bacillus pumilus)の4種類の菌を添加して混合した。次に37℃で48時間通気培養を行った(一次培養)。一次培養後に、5℃で1.5ケ月間冷温熟成を行った(二次培養)。この二次培養後に、121℃で17分間滅菌した後、菌体を除去するために濾過して混合培養液を得た。この混合培養液は5℃で冷蔵保管した。
【0033】
以下の本発明に係る実施例においては、本発明における成分としては、「LBSカルチャー」(株式会社リタニアルバイオサイエンス製)を用いた。本品は、上記調製例に記載した混合培養液において、加熱滅菌処理後に菌体を除去したものである。
【0034】
[実施例1]本発明における成分の筋肉疲労予防効果
本発明における成分として、上記のLBSカルチャーについて筋肉疲労の予防効果を評価した。評価は、20才〜70才代の5名の被験者による使用試験により行った。各被験者に、入浴後にLBSカルチャー1〜2gを一方の膝の全体に塗布させ、その翌日に運動させて、運動日の翌日から3日間に生じる筋肉疲労の状況を評価させた。評価は、「予防効果を感じた(塗布部位の筋肉に張りが生じなかった)」、「予防効果を感じなかった(塗布部位の筋肉に強い張りが生じた)」、「どちらともいえない」の3段階にて行わせ、それぞれの評価を行った被験者数にて表1に示した。
【0035】
【表1】

【0036】
表1において、5名の被験者全員が運動日の翌日から3日間にわたり、筋肉疲労の予防効果を感じており、本発明における成分を外用することの有効性が示された。
【0037】
[実施例2]クリーム状消炎・鎮痛剤
次に示す処方により、クリーム状の消炎・鎮痛剤を調製した。
<処方>
(1)スクワラン 2.0(重量%)
(2)オクタメチルシクロテトラシロキサン 4.0
(3)ジメチルポリシロキサン 1.3
(4)オクトキシグリセリン 0.3
(5)ベヘニルアルコール 2.0
(6)セタノール 3.0
(7)セトステアリルアルコール 2.5
(8)ステアリン酸グリセリル 0.2
(9)ステアリン酸ポリエチレングリコール(75) 0.2
(10)ポリオキシエチレン(20)ステアリルアルコール 0.1
(11)ミリスチン酸ポリグリセリル(10) 0.2
(12)グリセリン 5.0
(13)1,3−ブタンジオール 5.0
(14)LBSカルチャー 30.0
(15)精製水 44.2
全量 100.0
<調製法>(1)〜(11)の油相成分を混合し、75℃〜80℃に加熱し溶解した。一方、(12)〜(15)の水相成分を混合して均一に溶解し、75℃〜80℃に加熱した。水相を撹拌しながら、前記油相を徐々に添加して乳化し、室温まで冷却した。
【0038】
上記の実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤について、種々の症状に適用した場合の効果を評価した。
【0039】
(1)筋肉痛(肩こり、腰痛)に対する効果
肩こり、腰痛といった筋肉痛を有する18才〜60才の被験者20名に、2ヶ月間にわたり、1日1回入浴後に、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を患部に1〜2g塗布させ、症状の改善状況を評価させた。評価は、「改善効果を感じた」、「改善効果を感じなかった」、「どちらともいえない」の3段階で行わせ、各評価を行った被験者数にて、表2に示した。
【0040】
【表2】

【0041】
表2において、被験者の80%が肩こり、腰痛といった筋肉痛が改善されたと評価していた。なお、慢性的な腰痛の場合には、改善効果を感じるまでに数日〜4週間を要していた。一方肩こりの場合は、塗布の翌日に顕著な改善が感じられていた。
【0042】
(2)運動時の筋肉疲労に対する効果
運動選手19名(16才〜35才)を被験者として、入浴後に、一方の腕及び脚に実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を2〜4g塗布させ、翌日の筋肉疲労の改善状況を、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を塗布しない方の腕及び脚と比較して評価させた。評価は、「改善効果を感じた」、「改善効果を感じなかった」、「どちらともいえない」の3段階で行わせ、各評価を行った被験者数にて、表3に示した。
【0043】
【表3】

【0044】
表3において、被験者の80%近くが筋肉疲労の改善効果を感じており、それらの被験者は、使用試験後の感想として、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を塗布した方が筋肉疲労が残らない、筋肉疲労の回復が早い、筋肉疲労の改善効果は3〜4日間持続すると述べていた。
【0045】
(3)筋肉疲労の予防効果
20名の被験者(20才〜70才)に、入浴後に実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を一方の脚及び足の指の全体に2〜4g塗布させ、その翌日に運動させて、運動日の翌日から3日間に生じる筋肉疲労の状況を評価させた。評価は、「予防効果を感じた(塗布部位の筋肉に張りが生じなかった)」、「予防効果を感じなかった(塗布部位の筋肉に強い張りが生じた)」、「どちらともいえない」の3段階にて行わせ、それぞれの評価を行った被験者数にて表4に示した。
【0046】
【表4】

【0047】
表4において、被験者の90%が運動日の翌日から3日間にわたり、筋肉疲労の予防効果を感じていた。また、筋肉疲労の予防効果を感じたと回答した被験者は、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を塗布した方の脚には、運動した日の翌日に疲労が残らない、該消炎・鎮痛剤を塗布した方の足(指先)及び脚は踏ん張りがきく、該消炎・鎮痛剤を塗布することにより、体が軽くなったように感じる、といった感想を述べていた。
【0048】
(4)肩関節周囲炎(五十肩)の改善効果
肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)の症状を有する被験者8名(40才〜60才)に、2ヶ月間にわたり、1日1回入浴後に、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を患部に2〜4g塗布させ、症状の改善状況を評価させた。評価は、「改善効果を感じた」、「改善効果を感じなかった」、「どちらともいえない」の3段階で行わせ、各評価を行った被験者数にて、表5に示した。
【0049】
【表5】

【0050】
表5において、被験者の全員が改善効果を感じていた。なお、肩関節周囲炎の改善効果は、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤の塗布を開始して30日以内に全員に認められていた。
【0051】
(5)パソコン操作による腱鞘炎の改善効果
パソコン操作による腱鞘炎の症状を有する被験者6名(18才〜35才)に、2ヶ月間にわたり、1日1回入浴後に、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を患部に1〜2g塗布させ、症状の改善状況を評価させた。評価は、「改善効果を感じた」、「改善効果を感じなかった」、「どちらともいえない」の3段階で行わせ、各評価を行った被験者数にて、表6に示した。
【0052】
【表6】

【0053】
表6において、被験者の全員が改善効果を感じていた。なお、かかる改善効果は、長年腱鞘炎の症状に悩まされていた被験者においても、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤の塗布を開始して2〜4週間で全員に認められていた。
【0054】
(6)ひざ関節痛の改善効果
ひざ関節痛を有する被験者12名(50才〜65才)に、2ヶ月間にわたり、1日1回入浴後に、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を患部に1〜2g塗布させ、症状の改善状況を評価させた。評価は、「改善効果を感じた」、「改善効果を感じなかった」、「どちらともいえない」の3段階で行わせ、各評価を行った被験者数にて、表7に示した。
【0055】
【表7】

【0056】
表7において、67%の被験者が改善効果を感じていた。改善効果を感じた被験者においては、早い人で4日間、遅い人でも20日間の使用で改善効果を認めていた。しかし、2ヶ月間の使用では、ひざ関節痛の完治には至らなかった。
【0057】
(7)外傷の改善効果
外傷を有する被験者8名(20才〜60才)に、2週間にわたり1日2回、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を患部に1〜2g塗布させ、症状の改善状況を評価させた。評価は、「改善効果を感じた」、「改善効果を感じなかった」、「どちらともいえない」の3段階で行わせ、各評価を行った被験者数にて、表8に示した。
【0058】
【表8】

【0059】
表8において、被験者の全員が外傷の炎症症状の改善を感じていた。各被験者において、外傷の炎症症状は塗布開始後1日〜2日で収まり、化膿しにくい傾向が見られた。
また、データは示していないが、火傷の場合は、火傷を負った後直ちに本発明に係るクリーム状消炎・鎮痛剤を塗布し、その後継続使用することにより、火傷跡が残らず、きれいに治癒したとの報告が2例あった。
【0060】
(8)アレルギー性皮膚炎の改善効果
蕁麻疹、主婦湿疹といったアレルギー性皮膚炎の症状を有する被験者13名(25才〜50才)に、2ヶ月間にわたり1日2回、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を患部に1〜2g塗布させ、症状の改善状況を評価させた。評価は、「改善効果を感じた」、「改善効果を感じなかった」、「どちらともいえない」の3段階で行わせ、各評価を行った被験者数にて、表9に示した。
【0061】
【表9】

【0062】
表9において、77%の被験者がアレルギー性皮膚炎の症状の改善効果を感じていた。特に、主婦湿疹及び蕁麻疹の既往を有する被験者において、改善効果が強く見られていた。また、アトピー性皮膚炎による乾燥肌を併せて呈する被験者により、痒みが軽減され、保湿感が保たれたとの報告がなされた。かかる使用試験結果から、本発明を敏感肌用化粧料に応用することができるものと推測される。
【0063】
(9)褥瘡に対する改善効果
皮膚の潰瘍を伴う褥瘡を呈する被験者8名(65才〜75才)に対し、4ヶ月間にわたり、1日2回患部全面に実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を1〜2g塗布し、褥瘡部位の改善状況を評価した。評価は、「改善効果が見られた」、「改善効果が見られなかった」、「どちらともいえない」の3段階で行い、各評価の得られた被験者数にて、表10に示した。
【0064】
【表10】

【0065】
表10より明らかなように、75%の被験者において褥瘡の改善が認められた。被験者のうちの70才男性の場合、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤の使用を始めて6週間後には、潰瘍部の発赤が少し薄くなり、掻痒感が消失した。また、周囲の皮膚の乾燥が改善した。さらに10週間後には、潰瘍部の縮小と皮膚色の改善が見られ、4ヶ月後にはただれが消失した。
また、本使用試験後、褥瘡の改善効果が見られた被験者6名により、引き続き試験を行った。試験期間は2ヶ月間とし、6名のうち3名(A群)には、上記と同様に実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を褥瘡のあった皮膚に塗布し、他の3名(B群)については実施例2の消炎・鎮痛剤の使用を中止し、上記使用試験を開始する前の生活環境に戻した。試験終了後、A群のうち1名については皮膚の張りが見られるようになり、さらに皮膚状態の改善が見られた。残り2名についても、改善された皮膚状態が維持されていた。B群のうち2名については、試験開始後1.5ヶ月〜2ヶ月経過後、褥瘡のあった部位の周辺の肌の張りに衰えが見られた。残り1名については、変化が見られなかった。
【0066】
(10)イヌの皮膚炎に対する改善効果
軽度のアトピー性皮膚炎及び脱毛といった皮膚炎の症状を呈するイヌ20頭(1才〜8才)に対し、2ヶ月間にわたり1日2回、実施例2のクリーム状消炎・鎮痛剤を患部に0.5g〜1g塗布し、症状の改善状況を評価した。評価は、「改善効果が見られた」、「改善効果が見られなかった」、「どちらともいえない」の3段階で行い、各評価の得られた患畜数にて、表11に示した。
【0067】
【表11】

【0068】
表11において、90%の患畜において皮膚症状の改善が認められた。改善の見られた患畜においては、本剤の塗布開始後2〜3週間で掻痒の改善が、2〜4週間で皮膚症状及び脱毛の改善が見られていた。
【0069】
[実施例3]ローション剤
次に示す処方により、ローション剤を調製した。
<処方>
(1)LBSカルチャー 50.0(重量%)
(2)ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
モノヤシ油脂肪酸エステル 1.0
(3)香料 0.1
(4)精製水 48.9
全量 100.0
<調製法>(1)〜(3)を順次(4)に添加し、均一に混合する。
【0070】
上記の実施例3のローション剤について、顔面の皮疹(吹き出物)や、シミ、ソバカス等の色素沈着症状を有する被験者(20才〜50才代)20名に、1日1回夜に洗顔させた後、3週間にわたり使用させ、前記各症状の減少効果を評価させた。その他、保湿感、肌の張りの向上、シワの減少効果、化粧のりのよさについても同時に評価させた。評価は前記各評価項目について、「感じた」、「やや感じた」、「普通」、「あまり感じなかった」、「感じなかった」の5段階で評価させ、結果を表12に示した。
【0071】
【表12】

【0072】
表12において、吹き出物については35%、色素沈着症状については15%の被験者が減少傾向を感じており、減少効果を「あまり感じなかった」及び「感じなかった」と評価した被験者は、それぞれについて20%に過ぎなかった。また、保湿感等についても、効果を「あまり感じなかった」、及び「感じなかった」と評価した被験者は、25%以下であり、本実施例のローション剤は、化粧料としての効果にも優れることが示された。
【0073】
[実施例4]ローション剤
次に示す処方により、ローション剤を調製した。
<処方>
(1)LBSカルチャー 10.0(重量%)
(2)カプロイルグリシン 0.5
(3)アルギニン 0.5
(4)グリセリン 10.0
(5)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(6)加水分解コラーゲン 0.2
(7)香料 0.1
(8)精製水 78.6
全量 100.0
<調製法>(1)〜(7)を順次(8)に添加し、均一に混合する。
【0074】
[実施例5]乳剤
次に示す処方により、乳剤を調製した。
<処方>
(1)ステアリン酸 2.0(重量%)
(2)オリーブ油 5.0
(3)ベヘニルアルコール 1.0
(4)ジメチルポリシロキサン 0.5
(5)ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
モノステアリン酸エステル 1.6
(6)ソルビタンモノステアリン酸エステル 0.8
(7)グリセリンモノステアリン酸エステル 0.6
(8)グリセリンセスキステアリン酸エステル 1.0
(9)デカグリセリンモノミリスチン酸エステル 0.8
(10)グリセリンモノカプリル酸エステル 0.5
(11)オクトキシグリセリン 0.3
(12)アスコルビルテトラヘキシルデカン酸エステル 0.3
(13)1,3−ブタンジオール 3.0
(14)グリセリン 5.0
(15)ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.5
(16)LBSカルチャー 15.0
(17)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
(18)水溶性エラスチン 1.0
(19)水溶性コラーゲン 1.0
(20)2−アミノ−2メチル−1−プロパノール 0.01
(21)香料 0.1
(22)精製水 59.94
全量 100.00
<調製法>(1)〜(12)の油相成分を混合し、70℃〜75℃に加熱して均一に溶解する。一方、(13)〜(16)を(22)に添加して溶解し、70℃〜75℃に加熱する。この水相成分を撹拌しながら、前記油相成分を徐々に添加して乳化し、45℃まで冷却して(17)〜(21)を添加して均一に混合する。その後、室温までさらに冷却する。
【0075】
[実施例6]ゼリー剤
<処方>
(1)LBSカルチャー 30.0(重量%)
(2)アルギニン 1.5
(3)アクリル酸・アクリル酸アルキル(C10〜30)
クロスポリマー 0.3
(4)グリセリン 7.0
(5)ベタイン 1.0
(6)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(7)塩酸ピリドキシン 0.05
(8)シロキクラゲ多糖体 0.1
(9)ヒアルロン酸 0.1
(10)アスコルビン酸エチルエステル 1.0
(11)加水分解コラーゲン 1.0
(12)水溶性コラーゲン 1.0
(13)香料 0.1
(14)精製水 56.75
全量 100.00
<調製法>(1)〜(13)の成分を順次(14)に添加して、均一に混合、溶解し、増粘させる。
【0076】
[実施例7]クリーム剤
<処方>
(1)ステアリン酸 1.0(重量%)
(2)馬油 15.0
(3)コレステロール 1.5
(4)セタノール 2.5
(5)セトステアリルアルコール 2.5
(6)トコフェロール 0.01
(7)ジメチルポリシロキサン 1.8
(8)オクトキシグリセリン 0.3
(9)グリチルレチン酸グリセリル 0.05
(10)グリセリンモノステアリン酸エステル 0.5
(11)ポリグリセリンモノミリスチン酸エステル 1.0
(12)ベタイン 2.0
(13)グリセリン 3.0
(14)LBSカルチャー 30.0
(15)シロキクラゲ多糖体 0.1
(16)香料 0.1
(17)精製水 38.64
全量 100.00
<調製法>(1)〜(11)の油相成分を混合し、70℃〜75℃に加熱して均一に溶解する。一方、(12)〜(14)を(17)に添加して溶解し、70℃〜75℃に加熱する。この水相成分を撹拌しながら、前記油相成分を徐々に添加して乳化し、45℃まで冷却して(15)、(16)を添加して均一に混合する。その後、室温までさらに冷却する。
【0077】
上記の実施例4〜実施例7の皮膚外用剤について、顔面の皮疹(吹き出物)や、シミ、ソバカス等の色素沈着症状を有する被験者(20才〜50才代)20名による使用試験を行った。使用試験は、下記に示す洗顔料により朝と夜の1日2回洗顔させ、その後に各実施例の皮膚外用剤をそれぞれ使用させ、2週間後に前記各症状の減少効果を評価させて行った。また、保湿感、肌の張りの向上、シワの減少効果、化粧のりのよさについても同時に評価させた。評価は前記各評価項目について、「感じた」、「やや感じた」、「普通」、「あまり感じなかった」、「感じなかった」の5段階で評価させ、各実施例について、それぞれの評価を行った被験者数にて表13〜表16に示した。
【0078】
[洗顔料]
<処方>
(1)カリウム石鹸素地 45.0(重量%)
(2)デシルグルコシド 5.0
(3)ココイルグルタミン酸ナトリウム 5.0
(4)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
(5)グリセリン 10.0
(6)1,3−ブタンジオール 4.0
(7)ポリプロピレングリコール 3.0
(8)LBSカルチャー 15.0
(9)エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.1
(10)フェノキシエタノール 0.5
(11)アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリル
アンモニウム共重合体液 2.5
(12)香料 0.1
(13)精製水 4.8
全量 100.0
<調製法>(1)を加熱し、これに加熱した(2)〜(11)及び(13)を加えて混合し、均一に練り混ぜた後冷却する。(12)を添加混合した後、棒状に押し出し、切断、型打ちする。
【0079】
【表13】

【0080】
【表14】

【0081】
【表15】

【0082】
【表16】

【0083】
表13〜表16において、吹き出物及び色素沈着症状の減少効果について、「あまり感じなかった」、「感じなかった」と評価した被験者は15%以下であり、これらの症状に対して軽減傾向が認められていた。特に、実施例6のゼリー剤を使用させた場合は、吹き出物について55%、色素沈着症状について65%の被験者において軽減が感じられており、実施例7のクリーム剤を使用させた場合は、それぞれについて55%の被験者において軽減が感じられていた。また、いずれの実施例においても、保湿感等の良好な化粧効果が認められており、本発明に係る皮膚外用剤を化粧料として提供することの有用性が示唆されていた。さらに、本使用試験においては、本発明における成分であるLBSカルチャーを含有する洗顔料により洗顔した後、実施例4〜実施例7の皮膚用外剤をそれぞれ使用させており、LBSカルチャーを含有する化粧料と、本発明に係る皮膚外用剤とを併用することにより、皮膚症状の改善効果が向上することが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、肩こり、腰痛等の筋肉痛、筋肉疲労、頚肩腕症候群、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)、ひざの関節痛等変形性関節症といった関節症、腱鞘炎、外傷等の創傷、火傷、褥瘡などの改善や、急激な作業や運動による筋肉疲労又は褥瘡形成の予防に有用な皮膚外用剤として、また、蕁麻疹、主婦湿疹、アトピー性皮膚炎等の皮膚炎、吹き出物等の皮疹、雀斑、光線性色素斑、肝斑等の色素沈着症(いわゆるシミ、ソバカス)等の皮膚疾患の改善に有用な皮膚外用剤として提供される。さらに、皮膚のシワの改善、保湿感の向上等の化粧料としても提供され得るものである。さらにまた、ヒト以外の動物の上記症状を予防又は改善する皮膚外用剤としても提供され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる成分を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
乳酸菌、納豆菌及び酵母を米ヌカ抽出物及びブドウ糖を含有する培地で培養して得られる発酵液を含有する、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
乳酸菌がラクトバチルス・パラカセイである、請求項1又は請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
納豆菌がバチルス・パミルスである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
酵母がサッカロマイセス・セリビジェー及びピチア・メンブラニファシエンスより選択される1種以上である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
ラクトバチルス・パラカセイ、バチルス・パミルス、並びにサッカロマイセス・セリビジェー及びピチア・メンブラニファシエンスより選択される一種以上の酵母を混合培養して得られる成分を含有する、皮膚外用剤。
【請求項7】
ラクトバチルス・パラカセイ、バチルス・パミルス、サッカロマイセス・セリビジェー及びピチア・メンブラニファシエンスを混合培養して得られる成分を含有する、皮膚外用剤。
【請求項8】
消炎・鎮痛剤である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
筋肉疲労又は筋肉痛の予防又は改善用である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項10】
関節症の改善用である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項11】
腱鞘炎の改善用である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項12】
外傷又は火傷の改善用である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項13】
褥瘡の予防又は改善用である、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項14】
皮膚疾患の改善用である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項15】
皮膚疾患が皮膚炎である、請求項14に記載の皮膚外用剤。
【請求項16】
皮膚疾患が皮膚の色素沈着症である、請求項14に記載の皮膚外用剤。
【請求項17】
ヒト用である、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項18】
ヒト以外の動物用である、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2010−173991(P2010−173991A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21002(P2009−21002)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(509031615)幸愛化学株式会社 (1)
【出願人】(504135815)株式会社リタニアルバイオサイエンス (2)
【Fターム(参考)】